1: 2012/10/16(火) 23:18:31.39 ID:UXxGrO7X0
P「すいませーん……誰かいますか?」

凛「いらっしゃ……あれ? プロデューサー?」

P「凛じゃないか。 バイトか?」

凛「ううん。 ここは私の家だよ」

P「そうだったのか。 いやー、実家が花屋だなんて知らなかったわ」

凛「言ってなかったからね」

P「まあ、言う必要も無いからな」

凛「うん」



2: 2012/10/16(火) 23:22:44.38 ID:UXxGrO7X0
P「参ったな……」

凛「私じゃマズいのかな」

P「んー、今までもここ利用してたけど、知ってる人となったらね」

凛「秘密はバラさないよ」

P「秘密ってほどでもないんだけど、買いにくいというか」

凛「……そんな花なんてあった?」

P「誰にも言わないでくれよ?」

凛「……わかった」

3: 2012/10/16(火) 23:26:08.18 ID:UXxGrO7X0
P「それじゃあ、紫苑と女郎花、あと蛇結茨」

凛「それって…………わかった。 誰にも言わないよ」

P「俺用に頼んであったはずだから、予約品に無いかな?」

凛「ちょっと探してみる……あったよ」

P「ありがとう、凛」

凛「ううん……はい。 1600円ね」

P「ありがとう。 それじゃ、また明日な!」

凛「うん」

6: 2012/10/16(火) 23:30:05.25 ID:UXxGrO7X0
加蓮「お客さんだったの?」

凛「うん。 プロデューサーだった」

奈緒「へー、あのプロデューサーが花ねー?」

凛「…………」

加蓮「凛?」

凛「……うん、何でもないよ?」

奈緒「じゃあハナコちゃん貸して!」

凛「……ねえ、2人とも」

加蓮「何?」

凛「調べないといけないことが出来たから、手伝って」

8: 2012/10/16(火) 23:34:29.41 ID:UXxGrO7X0






アイドルマスター シンデレラガールズSS



        『kaleidoscope』




.

11: 2012/10/16(火) 23:38:45.97 ID:UXxGrO7X0
ちひろ「プロデューサーさんの履歴書?」

凛「うん。 見ることって出来ないかな」

ちひろ「重要書類だし、ちょっと難しいかも知れないよ?」

凛「そっか……ごめんなさい」

ちひろ「プロデューサーさんに許可取ってみる?」

凛「うーん……ちょっとそれはいいかな……」

ちひろ「あれ? プロデューサーさん、どうしたんですか?」

凛「え?」

12: 2012/10/16(火) 23:42:11.58 ID:UXxGrO7X0
凛「え?」

P「ごめんなさいちひろさん、明日の引継ぎをしておこうと思いまして」

ちひろ「今からですか? 大丈夫ですよ」

P「凛? どうしたんだ?」

凛「ううん。 プロデュサーって明日オフだよね?」

P「我侭言って取らせてもらったんだ」

凛「そっか……」

ちひろ「プロデューサーさん? じゃあ始めましょうか」

13: 2012/10/16(火) 23:46:17.76 ID:UXxGrO7X0
P「わかりました。 というわけで凛、また後でな」

凛「うん」


――――――

―――




凛「明日なんだけどさ」

奈緒「何だ藪から棒に」

凛「予定何かある?」

加蓮「明日はオフだよ」

奈緒「アタシも」

16: 2012/10/16(火) 23:50:54.43 ID:UXxGrO7X0
凛「じゃあ、9時に○○駅前集合ね」

加蓮「調べることの件?」

凛「うん。 プロデューサーを尾けるよ」

奈緒「はあ?」

凛「乗る?」

加蓮「うーん……気にならないって訳でもないし……」

奈緒「乗った!」

加蓮「えー……じゃあ、私も行くかな」

凛「わかった。 お金は多めに用意しておいてね」

17: 2012/10/16(火) 23:53:47.35 ID:UXxGrO7X0
奈緒「ところで、プロデューサーの家わかってるのか?」

凛「エナドリ10で手を打ったよ」

加蓮「えっ」


つぎのひ


凛「おはよう」

加蓮「おはよー」

奈緒「おっす」

凛「じゃあ、行こうか」

19: 2012/10/16(火) 23:58:22.13 ID:UXxGrO7X0

加蓮「探偵ごっこみたいだね」

奈緒「そんな高尚なもんじゃないと思うけどなー?」

凛「いいから。 行くよ」

加蓮「うん」


――――――

――――

――

凛「ここだよ」

奈緒「ふっつーのマンションだな」

20: 2012/10/17(水) 00:01:08.23 ID:gWDvd4SR0
加蓮「まだそんなに事務所も大きいわけじゃないし、仕方ないんじゃない?」

凛「そろそろ出てくると思う」

加蓮「何でそんなことわかるの?」

凛「勘」

奈緒「勘ってねぇ……」



P「…………」



加蓮「あ、本当に出てきた」

奈緒「嘘っ! 手に持ってるのは……花束?」

24: 2012/10/17(水) 00:05:15.70 ID:gWDvd4SR0
凛「そうだと思う。 うちで買ったやつだよ」

加蓮「じゃあ凛は何の花を買ったか知ってるんだ?」

凛「うん。 でも、それはいいじゃない」

奈緒「まあいいか。 見失っちまうぞ?」

凛「急ごう」






26: 2012/10/17(水) 00:09:10.91 ID:gWDvd4SR0
凛「駅?」

奈緒「電車かー、切符をよく見てないと買うの間違えたら大変だぞ」

加蓮「でも今の時間なら××行きと環状線しかないよ?」

凛「多分××行きだと思う。 環状線で行ける範囲なら一日休みいらないと思うし」

奈緒「××って……」

凛「乗り換え、か」


P「…………」


奈緒「あまり近くに座らないほうがいいよな」

凛「そうだね」

27: 2012/10/17(水) 00:12:53.36 ID:gWDvd4SR0
加蓮「ちょっと目的地に着いたら起こしてね……」

奈緒「おいい?」

凛「ちょっと私も寝るね、降りそうになったら起こして」

奈緒「凛まで……ったく」




『終点××~ ××です。 △△線へのお乗換えは3番ホームです』

奈緒「起きろって! もう!」

凛「ごめん……」

加蓮「……Pさんは?」

奈緒「もう降りたよ! 早く追うぞ」

29: 2012/10/17(水) 00:18:20.40 ID:gWDvd4SR0
凛「うん……」

加蓮「乗り換えて……」

凛「やっぱり△△に行くんだ……」

加蓮「やっぱり?」

凛「うん、プロデューサーの履歴書見たらさ、出身地が××だったんだよ。 だから、その先の△△って可能性もあるんだ」

奈緒「あれ? でも△△って」

凛「そうなんだよね」

奈緒「調べてみたけど、とっくに廃村になってるよな?」

加蓮「廃村?」

30: 2012/10/17(水) 00:21:20.36 ID:gWDvd4SR0
凛「うん。 私も調べてみたんだけどね、15年前に廃村というか、ダムの下になってるんだ」

奈緒「てことは……プロデューサーはダムを見に行ったのか?」

凛「そうじゃないと思う」

加蓮「とりあえず△△駅はこの路線の終点だから、ゆっくり出来るね」

奈緒「それもそうだな、じゃあ寝るぞ」

加蓮「お菓子でも食べようか」

凛「そうだね」

奈緒「アタシも食べる」

凛「寝ないの?」

奈緒「食べる」

31: 2012/10/17(水) 00:24:25.86 ID:gWDvd4SR0
『終点△△~ △△~』

凛「着いた」

奈緒「空気がおいしいなー、流石田舎は違う」

加蓮「療養で来たことある所に似てる雰囲気だなぁ」


P「…………」


奈緒「無人駅を出て、ダムの方か?」

凛「うん、あっちのほうが△△村の方みたい」

加蓮「ねえ、凛?」

凛「何?」

加蓮「もしかして、結構歩く?」

33: 2012/10/17(水) 00:28:12.74 ID:gWDvd4SR0
奈緒「あー……加蓮はまだ体力が充分じゃないからな……」

加蓮「いざとなったら休むから大丈夫だよ」

凛「辛くなる前に言ってよ?」

加蓮「うん……よし、行こう」







加蓮「△△霊園?」

凛「やっぱり……」

奈緒「墓参りか?」

凛「そうみたいだね」

36: 2012/10/17(水) 00:32:11.00 ID:gWDvd4SR0
加蓮「これは邪魔したらだめでしょ……」

奈緒「同じく」

凛「出来る限り近くまで行くよ」

奈緒「本気か!?」

凛「うん」

加蓮「どうしてそこまでするのさ?」

凛「プロデューサーさ、去年も同じ日に休みを取ってるんだ」

奈緒「だから?」

凛「もしかしたら、とても大事な日なのかもしれないと思って」

38: 2012/10/17(水) 00:35:33.76 ID:gWDvd4SR0
奈緒「や、だからってさ」

加蓮「ああ……そうこういってる間に着いちゃった……」


P「…………」


凛「花を添えた……」

加蓮「何しゃべってるのかな……聞き取れないや」

奈緒「押すな押すな頼むから」

ぱき

P「!?」

奈緒「あ」

加蓮「~~~!」

凛「はぁ……」

39: 2012/10/17(水) 00:39:14.94 ID:gWDvd4SR0
P「お前ら……こんなところで何してる……いやわかるけども」

凛「ごめん、プロデューサー」

P「尾けてきたか……」

奈緒「こんなことだとは思わなかったよ」

加蓮「なんというか……ごめん」

P「まぁいいや……さ、帰ろう」

凛「もういいの?」

P「ああ……いいんだ」

凛「プロデューサー……」

P「さ、駅に戻ろう。 次を逃すと3時間後だぞ?」

加蓮「え」

40: 2012/10/17(水) 00:42:36.15 ID:gWDvd4SR0
奈緒「3時間は勘弁! さっさと戻ろう」

凛「…………」

奈緒「りーんー?」

凛「ごめん、すぐ行くよ」







凛「ねえ、プロデューサー」

P「なんだ?」

凛「あの花は、誰に向けたものなの?」

41: 2012/10/17(水) 00:46:04.21 ID:gWDvd4SR0
加蓮「凛!」

奈緒「お前何馬鹿聞いてんだ!」

P「…………」

凛「私は花屋の娘だよ? 花言葉くらい知ってる」

P「…………はぁ……」

加蓮「いや、言わなくていいからね?」

奈緒「そうだぞ? いくら凛に聞かれたからって、言う必要は」

凛「あるよ」

43: 2012/10/17(水) 00:49:52.15 ID:gWDvd4SR0
加蓮「凛……一体どうしたのさ……」

凛「誰に当てたものなの? 家族?」

P「わかったわかった……仕方ないな……」

奈緒「Pさん、いいのか?」

P「いいよ……」

凛「…………」

P「ふう……じゃあ、少し昔話をしようか」

44: 2012/10/17(水) 00:53:03.85 ID:gWDvd4SR0
~15年前 1月25日~


p「え? おひっこし?」

母「そうなのよ。 国の方針でね、村が無くなっちゃうの」

p「えー? ぼく、ここすきだよ?」

父「パパもこの村は好きだよ。 でも決まっちゃったことなんだ」

p「ねーねー、おひっこしするのはわかったけど、ここにはいつまでいるの?」

父「ギリギリまでいるさ、そうだな……3月20日までかな」

p「さんがつはつかだね! わかった!」

父「うんうん、いい子だな」

p「にへへー」

45: 2012/10/17(水) 00:57:32.36 ID:gWDvd4SR0
~△△公園~

p「……おひっこしかぁ……」

「…………」

p「××村におひっこししたら、おともだちいっぱいできるかな……」

「…………」

p「あれ?」

「……なに……?」

p「こんにちは!」

「……こんにちは……」

49: 2012/10/17(水) 01:02:21.54 ID:gWDvd4SR0
p「あそんでるの?」

「……ううん……」

p「じゃあ、何をしてるの?」

「……そらを……みてるの……」

p「おそら?」

「……うん……」

p「うわぁ! きれいだね!」

「……そうね……」

p「ぼくはpっていうんだ! きみは?」

「……わたしは……―――……」

51: 2012/10/17(水) 01:06:44.66 ID:gWDvd4SR0






p「じゃあぼく、きょうはかえるね!」

「……ええ……」

p「あしたもここにいる?」

「……いるわよ……」

p「あしたもくるから、いっしょにあそぼうね!」

「……いいわ……」

p「じゃあね!」

「……さようなら……」

53: 2012/10/17(水) 01:10:27.49 ID:gWDvd4SR0
~1月31日~

「…………」

p「こんにちは!」

「……こんにちは……」

p「きょうもさむいね!」

「……ふふ……そうね……」

p「なにしてあそぶ?」

「……おそらを……みましょう……」

p「うん!」

55: 2012/10/17(水) 01:13:48.98 ID:gWDvd4SR0






p「じゃあまたね!」

「……ええ……」

p「こんどはあさってにくるね!」

「……わかった……」

p「ばいばい!」

「……さようなら……」

56: 2012/10/17(水) 01:18:11.45 ID:gWDvd4SR0
~2月10日~

p「――ちゃんは、どうしておそらをみてるの?」

「……ほんとうは……おほしさまをみるのがすき……」

p「おほしさまはよるじゃないとみられないよ?」

「……だから……おひるは……おそらをみてるの……ほら……」

p「あ! うっすらおつきさまがみえる!」

「……うん……」

p「おひるにおほしさまをみるにはどうしたらいいのかな?」

「……あるわよ……」

p「ふぇ?」

「……こんど……もってくるわ……」

58: 2012/10/17(水) 01:22:05.92 ID:gWDvd4SR0
~2月12日~

p「なにそれ?」

「……やくそく……」

p「あ! おほしさまがみられるやつ?」

「……はい……」

p「うわぁ! きれい!」

「……ふふ……」

p「おほしさまみたい!」

「……よかった……ふふ……」

p「これ、なんていうの?」

「……万華鏡……よ……」

59: 2012/10/17(水) 01:25:34.27 ID:gWDvd4SR0
p「まんげきょう?」

「……そう……よ……」

p「こんなきれいなのしってるなんて――ちゃんすごいね!」

「……ふふ……」







p「じゃあ、またね!」

「……さよなら……」

60: 2012/10/17(水) 01:31:19.34 ID:gWDvd4SR0
~3月1日~

p「え、さきにおひっこししちゃうの?」

「……ええ……」

p「そっかぁ……さみしいなぁ……」

「……わたしも……さみしい……」

p「じゃあ、こんどあったときにたからものをこうかんしよう!」

「……いいわ……」

p「またあした!」

「……ばい、ばい……」

62: 2012/10/17(水) 01:34:59.78 ID:gWDvd4SR0
~3月3日~

p「はい! これ!」

「……これは……?」

p「えっとね、『すてんどぐらす』っていうんだ!」

「……?」

p「たいようさんに、すかしてみて!」

「……きれい……」

p「せろはんを、いろんなかたちにきりとってペタペタはるんだよ!」

「……ありがとう……だいじに……するね……」

p「うん!」

「……わたしからは……これ……」

p「あ! まんげきょうだ!」

「……うん……あげる……」

p「ありがとう!――ちゃん!」

63: 2012/10/17(水) 01:38:57.92 ID:gWDvd4SR0
~3月9日~

p「――ちゃん、あしたおひっこしなの?」

「……うん……あした……」

p「いっしょにあそぶのはさいごなんだね……」

「……うん……」

p「きょうはなにをしてあそぼう?」

「……いっしょに……おそらをみましょう……」

p「うん!」






64: 2012/10/17(水) 01:42:01.64 ID:gWDvd4SR0
p「ねえ、――ちゃんのたんじょうびっていつ?」

「……3がつ25にち……」

p「そっかぁ」

「……ねえ……たんじょうびのおはながあるの……しってる……?」

p「たんじょうびのおはな?」

「……うん……いちにちいちにちに……それぞれおはながあるの……」

p「へぇ! ――ちゃんのおはなは?」

「……じゃけついばら……」

66: 2012/10/17(水) 01:47:30.54 ID:gWDvd4SR0
p「え? じゃけつ……?」

「……じゃけつ……いばら……」

p「じゃけついばら? むずかしいおなまえだね」

「……おぼえててね……おねがいだから……」

p「うん!」

「……もう……かえらなきゃ……」

p「そっかぁ……また! あおうね!」

「……うん……また……ね……」

68: 2012/10/17(水) 01:52:35.88 ID:gWDvd4SR0
~現在~

P「こんな感じかな……」

凛「……」

P「それから毎年、蛇結茨を花屋さんに無理言って取り寄せて貰っては、あそこに手向けてたんだよ」

凛「いつか、会えるように?」

P「それもあるけど、約束を覚えててくれたらいいなって」

奈緒「会えなくても、いいのか?」

P「うーん……会えるなら会いたいけど。 名前覚えてないんだよなぁ……」

加蓮「それ大失態だよね……」

P「言うなよ……」

奈緒「またどうしてお墓なんだ? もっと解りやすいところないか?」

73: 2012/10/17(水) 01:58:58.92 ID:gWDvd4SR0
P「元村にいた人間が、一番用事があるのはお墓だと思ってね」

加蓮「なるほど……じゃあ、あれは誰のお墓なの?」

P「あれは、記念碑だよ?」

凛「そっか……だから手も合わせてなかったんだね」

P「そういうことだ。 うちは墓も引っ越しちゃったからね」

凛「……プロデューサー」

P「何だ?」

凛「会えるよ、きっと」

P「……だと、いいよな」

78: 2012/10/17(水) 02:03:33.09 ID:gWDvd4SR0
――――――

――――

――


~同日夜 △△霊園~

「……あった……」

「ふふ……今年も……よかった……」

「……名前は……やっぱり思い出せないわね」

「でも……今年は……蛇結茨だけじゃない」

「……この花は……?」

「……帰ったら……調べましょう」

「……いつか……会えるかしら」

83: 2012/10/17(水) 02:10:06.08 ID:gWDvd4SR0
数日後


P「只今もどりましたー」

ちひろ「お帰りなさい」

P「今日は大収穫ですよ!」

ちひろ「ティンとくる子がいましたか!」

P「はい! 明日皆に紹介します!」

凛「新しい人?」

P「ああ! お前らよりは年上だけどな」

85: 2012/10/17(水) 02:13:46.00 ID:gWDvd4SR0
奈緒「先輩なのに年下って……不思議な感じだな」

P「美人さんだぞー?」

加蓮「美人じゃなくて悪かったねー」

P「いやいや! お前らは可愛いし!」

凛「そういうことにしといてあげるよ」

P「信用されてねぇ!」

奈緒「あはははは!」

86: 2012/10/17(水) 02:19:05.38 ID:gWDvd4SR0
~次の日~

P「おはよいーす」

凛「朝の挨拶くらいちゃんとしようよ……おはよう」

加蓮「おはよう」

奈緒「おはよう、Pさん」

P「早速だが、今日から所属のアイドル候補生を紹介する!」

凛「来たね」

加蓮「さてどんな人が来るのかな」

奈緒「検討がつかないな……」

P「どうぞ」

「…………」

87: 2012/10/17(水) 02:22:35.82 ID:gWDvd4SR0
加蓮「うわ何あの人……めっちゃ美人……」

凛「強敵が……」

奈緒「すごい雰囲気の人が来たな……」

P「あ、自己紹介お願いします」

のあ「……高峯のあよ……よろしくね……」

凛「私は渋谷凛。 よろしく、高峯……さん?」

加蓮「私は北条加蓮」

奈緒「神谷奈緒。 よろしく」

のあ「……私の事は……名前呼びで構わないわ……敬語も必要ない」

P「というわけで、高峯のあさんだ。 仲良くしろよ?」

92: 2012/10/17(水) 02:27:10.45 ID:gWDvd4SR0
奈緒「言われなくても仲良くするって」

のあ「……ふふ……楽しそうな人たちね……P?」

P「はい。 いい子達ばかりなんですよ」

のあ「……あなたが……スカウトしたの?」

P「そうですね、シンデレラガールズプロジェクトがそういう企画なので。 他薦も可能ですよ」

のあ「……そう……それで、私はどうしたら」

P「さすがに初日からレッスンというわけにもいきません。 凛達のレッスン見学します?」

奈緒「んな!?」

凛「いやちょっとプロデューサー……私達まだ見せられるレベルじゃないけど?」

P「いいんだって、ただ見てもらうだけなんだから」

加蓮「えー」

P「えーじゃない。 んじゃ移動ー」

94: 2012/10/17(水) 02:31:09.20 ID:gWDvd4SR0






凛「うーん……動きが合わない……」

奈緒「加蓮、足が逆だよ。 右足から下がるんだ」

加蓮「うわ、ごめん」

トレーナー「それじゃ、もう一回通してみましょうか」


P「今日はダンスレッスンですね。 グループでのダンス指導です」

のあ「……ハードね……」

P「いきなりこのレベルはさせませんよ? まずは柔軟や体操から、基本ステップですね」

のあ「……足を引っ張るつもりは無いわ」

P「頼もしいです」

96: 2012/10/17(水) 02:34:55.90 ID:gWDvd4SR0






加蓮「流石に……体力が持たない……」

P「加蓮はここから休憩な。 凛と奈緒は引き続き頼みます」

トレーナー「わかりました」

凛「いいな、私も休憩したい」

奈緒「同じく」

トレーナー「はいはい! 愚痴は終わってからね!」

奈緒「やるしかないかー」

凛「うん」

99: 2012/10/17(水) 02:39:16.91 ID:gWDvd4SR0
加蓮「ぜー……はー……」

P「お疲れ」

加蓮「うーん……中々思う通りにはいかないね……」

P「仕方ないだろ? これでも先月より持つようになってるよ」

加蓮「そっか……よかった……ふぅ……」

のあ「……ねえ……」

加蓮「……はー……はい?」

のあ「……あなたは……体力が無いの……?」

加蓮「うぐ……ずばりくるね……」

P「加蓮は元々からだが弱いんですよ。 なので基礎体力が低いのは仕方ないんです」

のあ「……そう……」

加蓮「だから足引っ張っちゃうんだよね……悔しいな……」

105: 2012/10/17(水) 02:43:04.09 ID:gWDvd4SR0
P「でも柔軟性と研究力は一番ですね」

加蓮「体を激しく動かすことは出来ないから、映像を見ていることが多くて。 ベッドの上でなら柔軟くらいは出来るから」

のあ「……あなたは……」

加蓮「はい?」

のあ「……強いわね」

加蓮「……は?」

のあ「……ハンディキャップにも真正面から立ち向かう……そういう子は好きよ」

加蓮「……あはは……」

P「褒められたんだから素直に受け取っておけよー?」

加蓮「真正面から褒められるのは慣れないよ……」

109: 2012/10/17(水) 02:46:15.80 ID:gWDvd4SR0
のあ「……ふふ……」

P「……え……?」

のあ「……何?」

『……ふふ……』

P「いえ……」

のあ「……そう」

凛「……」

トレーナー「凛ちゃん! 余所見しない!」

凛「……ごめんなさい」

加蓮「……凛……?」

110: 2012/10/17(水) 02:50:02.54 ID:gWDvd4SR0






P「只今戻りましたー」

奈緒「やっと座れるー」

P「三人ともお疲れ様」

奈緒「今日はちょっとハードじゃなかったか?」

P「厳しくするように頼んでおいたからなー」

奈緒「うわー……」

P「ほらほら、後輩の前でヘタるのかー?」

奈緒「後輩ったってさー、年上じゃんか」

P「だから何だってんだ?」

奈緒「ぐ……」

111: 2012/10/17(水) 02:53:50.93 ID:gWDvd4SR0
凛「…………」

加蓮「凛?」

凛「…………」

加蓮「凛ってば!」

凛「……ごめん、聞いてなかった」

加蓮「別に何の話もしてないけどね」

凛「そう……」

加蓮「どうしたんさー、レッスンも途中から集中してなかったでしょ」

凛「うん……」

加蓮「プロデューサーばかり見ちゃって……」

凛「っ……そういうのじゃ、ないから」

加蓮「そういうのって?」

112: 2012/10/17(水) 02:58:17.95 ID:gWDvd4SR0
凛「……なんでもない」

加蓮「ふーん」

凛「何?」

加蓮「悩んでるなら、相談してね?」

奈緒「そうだぞー? アタシらは友達じゃんか」

凛「奈緒? プロデューサーと話てたんじゃ?」

奈緒「Pさんなら、のあさんと話してるよ」

P「……!……?」

のあ「……。……」

凛「……そっか」

奈緒「本当にどうしたんだー? らしくないぞ?」

凛「大丈夫、何でもない……うん……」

114: 2012/10/17(水) 03:02:15.92 ID:gWDvd4SR0
それから少しして

加蓮「のあさーん」

のあ「……何?」

加蓮「これから凛奈緒とお茶しに行くんだけど、のあさんもどう?」

のあ「…………」

加蓮「あ、予定があるなら別にいいんだ」

のあ「……無いわ、一緒させてもらうわ」

加蓮「んじゃ、行こう」

のあ「……ええ」






115: 2012/10/17(水) 03:06:27.66 ID:gWDvd4SR0
加蓮「のあさんの誕生日って3月25日なんだ?」

凛(3月25日の誕生花って……)

のあ「……ええ……過ぎたばかりね……」

凛「もうちょっと前に会ってたら、事務所でパーティーでも出来たのにね」

のあ「……そんなことまでするのね」

加蓮「あの事務所は本当にアイドルを大切にしてくれるよ」

奈緒「無理してる時もある気がするけどなー」

のあ「……Pは、いつも遅くまで?」

凛「うん……無理して欲しくは無いんだけどな……」

のあ「そう……」

奈緒「のあさんって、オフの日とか何をしてすごしてるの?」

のあ「……家にいることが多いわ」

116: 2012/10/17(水) 03:10:47.96 ID:gWDvd4SR0
奈緒「そっかー」

のあ「……後は、星を見るのが好きね」

凛「星?」

のあ「……ええ……夜に、星を眺めるのが好き」

凛「へぇ……」

のあ「……昼でも……星は見えるのだけど」

凛「……どういうことか良くわからないのだけど……」

のあ「……陽の光に負けているだけという話よ」

凛「ああ……そういう……」

のあ「今度……あなた達にも見せてあげるわ」

加蓮「へ? 何を?」

のあ「……ふふ……」

凛(蛇結茨? まさかね……)

117: 2012/10/17(水) 03:14:43.11 ID:gWDvd4SR0
~しばらくして~

P「のあさん、雑誌のモデルのオファーが来てますよ」

のあ「……どんな?」

P「なんでもヘッドホンのモデルだとか……どうします?」

のあ「……受けるわ」

P「わかりました」

のあ「……P……」

P「はい?」

のあ「……私は……Pの獲ってきた仕事なら信用するわ」

P「あはは……じゃあ、のあさんに似合うような仕事も沢山取ってきます!」

のあ「……ふふ……」

ばたん

のあ(……P……貴方は……貴方は私の力を引き出し、アイドルとして完璧にプロデュースし、そして……そして私の心を……)

118: 2012/10/17(水) 03:18:43.38 ID:gWDvd4SR0
別の日

のあ「……今日の仕事は?」

P「ひな祭りのモデルですよ……季節はずれですね」

のあ「……そうね。 でも、貴方の持ってきた仕事なら構わないわ」

P「そうですか……? 助かります」

のあ「……衣装に着替えてくるわ」

P「はい」

――――――

――――

――

119: 2012/10/17(水) 03:23:33.81 ID:gWDvd4SR0
のあ「……お待たせ」

P「のあさんは相変わらずサイバーな雰囲気が似合いますね」

のあ「……サイバーとひな祭りはかけ離れていると思うけど」

P「そこの違和感を無くすのが今回ののあさんの仕事です」

のあ「……私の事を買ってくれてるのね」

P「これがオファー先からのあさんが指名された理由なんですよ」

のあ「……Pは、どう思うの?」

P「俺は、のあさんなら出来ると思いますよ」

のあ「……Pがそういうなら良いわ……これは……?」

P「さげもんっていうみたいですよ? 俺も詳しくは知らないですけど」

のあ「そう……知らなかったわ……地上にも美しい星があったみたい、なんてね……」

122: 2012/10/17(水) 03:28:10.84 ID:gWDvd4SR0
P「……詩人ですね」

のあ「……P……」

P「はい?」

のあ「……例えば貴方が輝く星を手に入れたいのならば、私の力できっと叶えてみせるわ」

P「のあさん……?」

のあ「……それが、私の……」

スタッフ「すいませーん! 高峯さんスタンバイお願いします!」

のあ「…………」

P「あはは……」

のあ「……行ってくるわ」

P「……はい」

――――――

――――

――

124: 2012/10/17(水) 03:32:01.14 ID:gWDvd4SR0
凛「来たよ、プロデューサー」

P「待ってたぞ」

奈緒「あれ? のあさんは?」

P「今前半の撮影終わって衣装替えだよ」

加蓮「あちゃー、タイミング悪かったかな」

P「静かにしろよ?」

凛「わかってるよ」

奈緒「のあさんモデルの仕事多いなー、美人だもんなー……」

加蓮「それだけじゃないよ。 スタイルもいいし、誰にも真似出来ない雰囲気を出してる」

P「相変わらず加蓮の観察眼はすごいな」

奈緒「アタシたちももっと頑張らないと、後輩に示しがつかないなー」

凛「そうだね……うん」

加蓮「あ、のあさんいた」

126: 2012/10/17(水) 03:36:49.09 ID:gWDvd4SR0
のあ「……凛、奈緒に加蓮……どうして?」

P「こいつらも一緒に見学させてもらいますね」

のあ「……構わないわ」

奈緒「すごい格好……これって何?」

凛「さあ……? 着物ってことしかわからないけど」

P「あれ、カラコンも入れてるんですね」

のあ「……ええ……衣装に合うでしょう?」

加蓮「センスがすごい……真似できないよこんなの。 のあさんにしか似合わない」

のあ「……ひな祭りには、虹色が合う」

P「どうしてですか?」

のあ「……また今度話すわ……もう時間ね」

奈緒「のあさん、頑張って」

のあ「……ええ……」

129: 2012/10/17(水) 03:40:49.87 ID:gWDvd4SR0

凛「のあさん……綺麗だな……」

P「いや、本当に凄いのはここからだ」

奈緒「……へ?」

カメラマン「それじゃ、一発で決めちゃおうか」

のあ「……はい……」

加蓮「……!?」

凛「何これ……すごい緊張感……」

P「のあさんの凄い所は、周りを全て飲み込んでしまう所だ。 スタッフの人たちの表情見てみろ」

奈緒「アタシ達もそこまで余裕無いんだけど……」

131: 2012/10/17(水) 03:45:31.55 ID:gWDvd4SR0
加蓮「それ以上に雰囲気に飲まれちゃってるね」

P「決して生半可な仕事は許さない……いや、許されない雰囲気っていうのかな」

加蓮「……そっか、だからのあさんはすごいんだ」

P「ああ。 天性のルックス、周りを飲むほどの存在感、唯一無二の雰囲気……」

凛「……」

P「のあさんにビジュアル方面で勝てる人なんて、そういないんじゃないかな」

加蓮「……そう思う」

奈緒「……凛? どした?」

凛「……勝てないよ……こんなの……」

133: 2012/10/17(水) 03:51:06.51 ID:gWDvd4SR0
それより後の日

がちゃ

凛「おはようプロデューサー……何してるの?」

P「おはよう凛。 これだよこれ」

凛「万華鏡……」

P「ああ。 こうすれば名前を思い出すかも知れないからな」

凛「……そっか」

P「凛、見てみるか?」

凛「うん」

P「どうよ?」

凛「すごい……本当に綺麗……」

P「だろー? 虜になっちまうってもんだ」

134: 2012/10/17(水) 03:55:31.37 ID:gWDvd4SR0
凛「…………」

P「熱中しちゃったな……あ、おはようございます」

のあ「……おはよう」

凛「…………」

のあ「……万華鏡……?」

P「ええ……のあさんもどうです?」

のあ「……奇遇ね……私も持ってきているのよ……」

P「本当ですか? 綺麗ですよね」

のあ「……ええ……」

がちゃり

加蓮「眠い……」

奈緒「アタシだって眠いけど」

加蓮「はいはい、Pさんに会いたいから早起きだもんね」

奈緒「あのな……」

136: 2012/10/17(水) 04:00:49.09 ID:gWDvd4SR0
P「おっすお前ら」

のあ「……おはよう……」

加蓮「おはよう、Pさん。 のあさん」

奈緒「おはよーす……凛?」

凛「……おはよう。 これ、ありがとうね」

P「ああ、良かったろ?」

凛「うん、綺麗だった」

奈緒「何してたんだ?」

P「万華鏡だよ。 お前らも見るか?」

のあ「……約束してたから……」

加蓮「ありがとう、のあさん」

奈緒「お? どれどれ」

P「今の子って万華鏡見たこと無いんですかね?」

137: 2012/10/17(水) 04:04:32.36 ID:gWDvd4SR0
のあ「……年を取ったわ」

P「ですよね……」

奈緒「おぅ!? 何これ……」

加蓮「すごい……」

のあ「……ふふ……」

P「こうすれば、昼間も星が見られるからな」

のあ「……え?」

加蓮「……あ」

凛「……」

奈緒「……」

P「何か、おかしい事言ったか?」

のあ「……今……何て……」

141: 2012/10/17(水) 04:08:22.64 ID:gWDvd4SR0
P「はい?」

のあ「……先の台詞をもう一度言いなさい」

P「え、あ? のあさん、どうしたですか?」

のあ「……もう一度」

P「ええと……『昼間でも星がみられるから』……ですか?」

のあ「……」

P「のあ……さん?」

のあ「……その万華鏡を見せて……」

加蓮「え? はい」

のあ「……これは……そう……そうだったの」

P「えーと、のあさん?」

のあ「……P……」

143: 2012/10/17(水) 04:13:36.14 ID:gWDvd4SR0
P「はい?」

のあ「明日はオフよね」

P「ええ、のあさんもですね」

のあ「……蛇結茨を手向けていた……あの場所で待ってるわ」

P「え……まさか」

のあ「……仕事に行くわ……直帰するから……」

P「わかりました……」

凛「……」

加蓮「……」

奈緒「……」

P「……嘘だろ……?」

凛「嘘じゃないよ」

146: 2012/10/17(水) 04:17:29.62 ID:gWDvd4SR0
P「え?」

凛「のあさんが、Pさんの探してた人だよ」

P「マジでか……」

凛「……明日……行くの?」

P「ああ……」

凛「……そうだよね」

P「凛?」

凛「ううん、なんでもない……さ、レッスン行こう?」

加蓮「う、うん」

奈緒「わかった……」

P「……凛……」

147: 2012/10/17(水) 04:21:16.80 ID:gWDvd4SR0






奈緒「良かったのか?」

凛「うん、邪魔なんて出来ないし」

加蓮「そっか……よく我慢したね」

凛「うん……わかってたんだ」

奈緒「何が?」

凛「勝てない……って」

加蓮「凛……」

凛「さ、ビジュアルでは勝てないけど歌ならのあさんに勝てるよ、頑張ろう」

奈緒「そうだな、後輩に負けたまんまじゃ夢見が悪い!」

加蓮「うん、行こう!」

凛「プロデューサー……おめでとう……」

151: 2012/10/17(水) 04:30:35.87 ID:gWDvd4SR0
翌日

『終点△△~ △△~』

P「ふぅ……来ちゃったよ……」

P(蛇結茨の事を知ってたってことは、のあさんで確定だよな)

 (15年ぶりか……やっと、会える……会ってるから会えるってのは変か?)

 (どうにせよ、この先で結果は待ってる)

 (…………いた)

のあ「…………」

P「やっぱり……のあさんだったんですね……」

のあ「……ええ……」

P「いいや……違うか」

のあ「…………」

P「15年振りだね、のあちゃん」

のあ「……15年振りね……P……」

152: 2012/10/17(水) 04:34:13.65 ID:gWDvd4SR0
――――――

――――

――

P「え、毎年来てたの!?」

のあ「……夜に来てたから……会えなくても不思議ではないわ」

P「俺だけ来てるの知らなかったってことじゃん……」

のあ「……毎年蛇結茨が添えてあったのは嬉しかったわ」

P「それだけは、忘れてなかったんだよ」

のあ「……それが無ければ、ここに毎年来ることも無かったわ」

P「でも、名前は忘れちゃってたんだ、ごめん」

のあ「私もよ……ごめんなさい」

P「あはははは」

のあ「……ふふ……」

155: 2012/10/17(水) 04:38:11.31 ID:gWDvd4SR0
P「イメージ合うわけないよ、俺の知ってるのあちゃんは茶髪だったもの」

のあ「……あれは染めてたのよ、銀髪のままだと外出は許されなかったわ」

P「道理で気付かないわけだ」

のあ「……貴方は」

P「ん?」

のあ「……昔から、変わらない」

P「そう言われると傷つくなぁ」

のあ「……褒めてるのよ」

P「そう?」

のあ「……誰とも打ち解けられずに1人でいた私は、空を見てるしかなかったから」

P「でも、楽しそうだったよ」

のあ「……今でも、空を見るのは好きよ」

P「今でも、万華鏡を見るのが好きだよ」

のあ「……何も、変わってないのね」

157: 2012/10/17(水) 04:44:25.23 ID:gWDvd4SR0
P「……うん」

のあ「……少し、変わったわ」

P「あの時のステンドグラス……まだ持ってたんだ」

のあ「……ええ……ずっと、持ってたわ」

P「俺も……のあちゃんから貰った万華鏡、ずっと持ってるよ」

のあ「……知ってるわ」

P「昨日見てるもんね……」

のあ「……ふふ……」

P「……ふぅ……」

のあ「……今も……そのステンドグラスから見る思い出は変わらないわ」

P「万華鏡は、いつも違うよ」

のあ「……貴方は……このステンドグラスから何が見える?」

P「15年振りか……どれどれ」

158: 2012/10/17(水) 04:51:42.05 ID:gWDvd4SR0
のあ「……P……」

P「何? のあちゃん」

のあ「……ん……」

P「……え」

のあ「……ふふ……」

P「……のあちゃん?」

のあ「……Pの前では……メイクをを落として、カラコンも外して、衣装も脱いだ素の私で居られるわ」

P「え? ちょっと?」

のあ「それを知るのは、貴方だけ……」

160: 2012/10/17(水) 04:55:27.82 ID:gWDvd4SR0
のあ「……その呼び方は……二人の時だけ……」

P「……うん」

のあ「……さあ、帰るわよ……あの子達と一緒の場所へ」

P「のあちゃん」

のあ「……何?」

P「俺も、言っておかないといけない事があるんだ」

161: 2012/10/17(水) 05:01:59.98 ID:gWDvd4SR0
そのまた翌日

P「おはようございます」

凛「おはよう、プロデューサー」

加蓮「おはよう、Pさん」

奈緒「おっす」

P「……凛」

凛「なに?」

P「一昨日は、済まなかった」

凛「なんで謝るの?」

P「背中を押してもらってさ」

凛「それなら、普通お礼を言うんじゃないの?」

P「……その内わかるよ……」

163: 2012/10/17(水) 05:08:35.15 ID:gWDvd4SR0
凛「……どういうこと?」

のあ「……おはよう……」

凛「おはようございます」

加蓮「おはようございます、のあさん」

奈緒「おはよう、のあさん」

P「おはようございます、のあさん」

奈緒「……のあ」

加蓮「「さん」?」

凛「ちょっとプロデューサー」

P「何だ何だ」

凛「付き合ってるのに「さん」付けってどういうこと?」

のあ「……付き合っている……?」

加蓮「え?」

164: 2012/10/17(水) 05:12:23.78 ID:gWDvd4SR0
奈緒「……嘘でしょPさん?」

P「だから謝ったじゃないか……」

凛「付き合ってないの?」

P「俺は、皆を立派なアイドルにするまでは誰とも付き合わないよ」

加蓮「え゛……」

奈緒「何それ? 何それ?」

P「そう決めたんだよ、お互い私情で仕事に力が入らないとか馬鹿らしいじゃないか」

加蓮「あきれた……」

凛「……のあさんは、それでいいの?」

のあ「……凛は、それでよかったの?」

凛「……え?」

のあ「……ばればれよ」

凛「―――!!」

166: 2012/10/17(水) 05:16:07.62 ID:gWDvd4SR0
P「あー、凛」

凛「な、何?」

P「知ってた」

凛「……嘘でしょ……」

P「凛に告白されてたとしても、同じ事を言ってたよ……ずるいだろうけどね」

凛「……じゃあ私は、1人で空回りしてたってこと?」

加蓮「折角いっぱい泣いて諦めたのにね?」

凛「そんなこと言わなくていい」

奈緒「あの時の凛はひどかったなー……全然泣き止まないの」

凛「奈緒……!」

のあ「……ふふ……」

奈緒「え……? 何?」

169: 2012/10/17(水) 05:21:49.36 ID:gWDvd4SR0
のあ「……貴女もなのね……」

奈緒「うぇ!? 違う違う!」

P「そっかー、俺は奈緒に嫌われてるのか……」

奈緒「いや嫌ってないぞ!?」

P「じゃあどうなんだ?」

奈緒「ふん!」

P「あーあ……さ、仕事に行きましょうか、のあさん」

のあ「……ええ……P……」

凛「のあさん……」

のあ「……何?」

凛「今度さ……万華鏡の作り方、教えてくれない?」

のあ「……いいわよ」

凛「わ……私も昼に、星が見たいし……」

のあ「……ふふ……」

171: 2012/10/17(水) 05:25:19.97 ID:gWDvd4SR0


『万華鏡ってさ、絶対に同じ模様にならないんだよ』

『だから、見てて飽きないんだよなぁ』

『のあさんが教えてくれたってのもあるけどね』





『……虹色がひな祭りに合う理由?』

『……貴方がステンドグラスをくれた日だからよ』

『……私の、宝物だから……』


.

172: 2012/10/17(水) 05:29:10.97 ID:gWDvd4SR0



          『君を忘れない』


          『3月25日に』


          『約束を、守る』



.

175: 2012/10/17(水) 05:33:02.58 ID:gWDvd4SR0






アイドルマスター シンデレラガールズSS



        『kaleidoscope』




                       end

179: 2012/10/17(水) 05:36:03.79 ID:gWDvd4SR0
終わりです

自分の中では最長記録となる長さ……

書き込みつつ読み返してたけど、設定にブレがあるね

花言葉をバラされるとオチないわけで

SRのあさんが格好良すぎて気付いたらSS書いてた

読んでくれてありがとうございました

181: 2012/10/17(水) 05:40:49.55 ID:gWDvd4SR0
追伸:長時間お付き合いいただきありがとうございます

    長時間の支援ありがとうございました

引用元: モバマスP「今日は花屋に行く日だった」