1: 2016/03/07(月) 21:54:04.762 ID:ELNvRiUa0.net
声に出てた…


雛月「……」ジト


悟「いや、違うんだ!今のはその、なんというか…」


雛月「……バカなの?」


悟「ご、ごめんなさい…」

3: 2016/03/07(月) 21:56:43.178 ID:ELNvRiUa0.net
雛月「……そんなに見たいの?」


悟「へ? あ、うん」


雛月「……ま、減るもんじゃないしね」


悟「い、いいの!?」



何がっついてんだ…

しっかりしろ、もうすぐ29歳。

4: 2016/03/07(月) 21:58:03.620 ID:ELNvRiUa0.net
雛月「……でも私、かわいいパンツ持ってないか
ら…」

悟「パンツが可愛いか可愛くないかなんて関係ないよっ! 加代のパンツってだけで価値があるんだから!!」


雛月「悟…」


悟「大丈夫。 どんなパンツでも笑ったりしないから!」


雛月「……やっぱり、バカなの?」

6: 2016/03/07(月) 22:00:02.385 ID:ELNvRiUa0.net
しまった。

押しが強すぎたか?


悟「いや、あの…その、つまり、俺は可愛いパンツが見たいんじゃなくて、加代のパンツが…見たい…わけで…」


支離滅裂だ…


雛月「……わかった」


悟「へ?」


雛月「わかったから、ちょっと後ろ向いてて」

7: 2016/03/07(月) 22:02:07.050 ID:ELNvRiUa0.net
マジか。

頼んでみるもんだな…


雛月「悟。もういいよ」


悟「あ、うん」


雛月「ど、どうかな…?」モジモジ


白か…

確かに可愛げの欠片もないデザインだけど、それがまた加代の太ももを引き立てて…

8: 2016/03/07(月) 22:04:02.070 ID:ELNvRiUa0.net
悟「最高だよ加代!!俺、加代の太もも舐めたい!!」


声に出てた…


雛月「は?」


悟「そうじゃない!? そうじゃなくて…その…」


どうする。

どうしたらこの窮地から逃れられる…?

9: 2016/03/07(月) 22:06:02.233 ID:ELNvRiUa0.net
雛月「そうじゃなくて、なに?」ジト


悟「か、加代のパンツが欲しいんだ!!」


やっちまった…


雛月「ぷっ…バカなの?」クスクス


え?

な、なんか空気が和んだ…?

10: 2016/03/07(月) 22:08:02.353 ID:ELNvRiUa0.net
雛月「……特別だからね」イソイソ


マジか!


悟「ほ、ほんとにいいの?」


雛月「いらないの?」


悟「欲しいです! 下さいッ!!」


もうなりふり構っていられるか。

11: 2016/03/07(月) 22:10:20.331 ID:ELNvRiUa0.net
雛月「それじゃ、悟。もいっかい後ろ向いて」イソイソ


ここで後ろを向くのは簡単だ…

でも、それでいいのか?

本当にそれが最善なのか?


悟「か、加代、あのさ…もし良かったらその、パンツ脱がしたいんだけど…」


雛月「は?」


あーダメだ。

これ、リバイバルしなきゃダメな奴だ。

13: 2016/03/07(月) 22:12:10.291 ID:ELNvRiUa0.net
雛月「……」ジト


頼む…頼むからもう一回チャンスを…!


雛月「……ま、いいけど」


お?


悟「加代…?」


雛月「……好きにしたら?」プイッ

14: 2016/03/07(月) 22:14:04.368 ID:ELNvRiUa0.net
ギリギリセーフだった!?

上手く行き過ぎて怖いくらいだ…


悟「ほ、ほんとにいいの?」


雛月「……やるなら早くして」


悟「あ、はい。それでは失礼します」


失礼しますってなんだよ…

どうやら加代の言う通り、俺はバカみたいだ。

15: 2016/03/07(月) 22:16:02.313 ID:ELNvRiUa0.net
悟「それじゃ、加代…いくよ」ゴクリ


雛月「……ん」


とりあえず、パンツに指をかけて…


雛月「ひゃっ!」ビクッ


悟「ど、どうしたの加代!?」


雛月「……手、冷たくて」

16: 2016/03/07(月) 22:18:04.071 ID:ELNvRiUa0.net
悟「ご、ごめん…」シュン


きっとこういうことに気が回らないから、俺には彼女が出来ないんだろうな…


雛月「手、貸して」


悟「へ?」


ギュッ


悟「か、加代…?」

18: 2016/03/07(月) 22:20:01.939 ID:ELNvRiUa0.net
雛月「ふふっ…あったかいでしょ?」ニコッ


悟「う、うん」


ドキドキが止まらない…

落ちつけ、もうすぐ29歳。


雛月「ん。もういいよ」


悟「あ、ありがとう加代」


雛月「……どういたしまして」

19: 2016/03/07(月) 22:22:11.130 ID:ELNvRiUa0.net
よし。

それじゃあ気をとり直して…



悟「それじゃ、いくよ加代」


雛月「……ん」



加代のパンツを…!



賢也「なにやってんだお前ら…」


悟「ケ、ケンヤ!?」


賢也「まったく…正義の味方が聞いて呆れるぜ」

21: 2016/03/07(月) 22:24:02.338 ID:ELNvRiUa0.net
悟「ち、違うんだ!? これは…その…」


裕美「さ、悟くんがそんな人だとは思わなかった…」


裕美まで…


不味い。不味いぞ。

どうしたらいい?


考えろ。考えるんだもうすぐ29歳!!

22: 2016/03/07(月) 22:26:15.172 ID:ELNvRiUa0.net
悟「ひ、裕美のパンツも欲しいなぁ~! な、なんて…あはは…」


終わった…


完全にゲームセットだ。


もうムショにでもなんでもいいからぶち込んでくれ…


裕美「えぇ!? で、でも僕、男だし…だけど、悟くんが欲しいっていうなら…僕は…」モジモジ


ん?

24: 2016/03/07(月) 22:28:04.477 ID:ELNvRiUa0.net
悟「ひ、裕美…いいのか?」


裕美「さ、悟くんの頼みなら…僕、ひと肌脱ぐよ!!」


どうやら…

まだまだこの世界は捨てたものではないらしい。


悟「あ、ありがとう裕m」


賢也「……なんだよ。悟は裕美の方がいいのかよ」プイッ


ケンヤが…拗ねた?

25: 2016/03/07(月) 22:30:06.957 ID:ELNvRiUa0.net
悟「ケ、ケンヤ…?」


賢也「俺、けっこー悟と仲良かったつもりだったんだけど…悟は俺のパンツには興味ないんだな。よくわかったよ」プイッ


なんだ?

こんなケンヤ、初めて見る。


悟「そ、そういうわけじゃないけど、その…し、親しき中にも礼儀ありっていうだろ? だから…」


ケンヤ「じゃあ、ヒナや裕美ならいいっていうのかよ」ムスッ


これはあれだ…

修羅場って奴だ。

26: 2016/03/07(月) 22:32:06.122 ID:ELNvRiUa0.net
悟「そ、そんなつもりはなくって…」


賢也「じゃあどんなつもりだったんだよ!」


裕美「や、やめなよ2人とも~!」


困った。

余計状況が悪化してしまった…


どうする?

走って逃げるか?


だけど裕美はともかく、ケンヤを振り切れるかどうか…


雛月「……バカなの?」

28: 2016/03/07(月) 22:34:03.940 ID:ELNvRiUa0.net
裕美「ひ、雛月さん…?」


賢也「ヒナ、それどーゆー意味?」


雛月「こんなん、冗談に決まってるべさ。それを間に受けちゃって…ほんと、バカなの?」クスクス


え?


裕美「じょ、冗談…?」


賢也「なんだ…それならそうと早く言えよ悟」


初めは何がなんだかわからなかったけど、ようやく気付いた。


悟「あ、あはははは!ごめんごめん!なかなか切り出せなくってさ…」


雛月「……ふんっ」プイッ


加代は俺を助けてくれたらしい。

30: 2016/03/07(月) 22:36:04.935 ID:ELNvRiUa0.net
それからしばらく談笑して俺達はそれぞれ帰路に着いた。


賢也「んじゃ、またな悟」

裕美「雛月さんもまた明日~!」


悟「ん。したっけ」

雛月「また、明日」


やれやれ…

結局戦利品は何もなかったけど、とりあえず大事にならなかっただけ良しとしよう。

31: 2016/03/07(月) 22:38:06.688 ID:ELNvRiUa0.net
悟「それじゃ加代、また明日!」


雛月「悟」


悟「ん? どうしたの?」


雛月「……忘れ物」ポイッ


悟「うわっとっと…こ、これは…!」ゴクリ

32: 2016/03/07(月) 22:40:51.587 ID:ELNvRiUa0.net
見なくてもわかる。

仄かに温かいこの小さな布切れは間違いなく…


雛月「……大事にしてね」ニコッ


悟「た、宝物にする!! だからその…ありがとう加代!!」


雛月「……バカなの?」クスクス


バカでもなんでも良かった。

加代のパンツにはそれだけの価値があるのだから。

34: 2016/03/07(月) 22:44:05.147 ID:ELNvRiUa0.net
エピローグ


こうして手に入れた加代のパンツは、今でも俺の枕元に置いてある。


ガキの頃に色々失くして、色々な後悔をしてきた俺だったが、どうやらこれだけは失くさなかったようだ。


このパンツを嗅ぐたびにあのリバイバルでの辛かった思い出や、嬉しかったこと、そして去り際の加代の笑顔が蘇る。


朝起きると俺は加代のパンツに顔を埋め、胸いっぱいに深呼吸して…



悟「ま、今日も一日頑張りますか」



と、言って…母さんや愛理には絶対に見つからないように、宝物を仕舞うのだった。





FIN

35: 2016/03/07(月) 22:45:41.696 ID:A1uF3OsO0.net
続きはよ

引用元: 悟「加代のパンツ見たいな…」雛月「は?」