1: ◆9YfKA67h5g 2017/06/19(月) 01:44:31.56 ID:gET7koTZ0
これはモバマスSSです

2: 2017/06/19(月) 01:45:35.58 ID:gET7koTZ0
佐久間まゆ「プロデューサーさん、お疲れさまです」

P「おう、お疲れさま 今日もいいライブだったぞ」

どうもこんにちは、佐久間まゆです
今日も一日のお仕事を終えて大好きな運命の人のもとへ

まゆ「プロデューサーさん、今日もご褒美は無しですか?」

3: 2017/06/19(月) 01:46:26.57 ID:gET7koTZ0
ここのところプロデューサーさんが冷たい
今まであんなに優しくしてくれたプロデューサーさん
ライブでもテレビでのお仕事でも
いつも頑張ったまゆの頭を優しく撫でてくれていたはずなのに…

P「あぁ、周りに人も居るしな」

最近こうやって避けられることが多くなった気がする
確かにプロデューサーさんとまゆはプロデューサーとアイドル
繋がってはいけない存在

4: 2017/06/19(月) 01:47:34.31 ID:gET7koTZ0
でも…

まゆ「プロデューサーさん…まゆ何かプロデューサーさんの気に障ることでもしましたか?」

P「ん?いきなりどうした」

まゆ「前までは仕事終わったら撫でてくれていたのに、最近はしてくれなくなりましたよね」

P「怒ってなんかいないぞ、まゆは俺の大切なアイドルだ」

5: 2017/06/19(月) 01:48:01.78 ID:gET7koTZ0
まゆは『大切なアイドル』
まゆはそれ以上の存在になりたいのに
あなたに一番大切にされる存在になりたいのに
アイドルとしては最低かもしれない
けど、まゆにとってはプロデューサーさんの『一番』になる
それだけだった

6: 2017/06/19(月) 01:48:28.45 ID:gET7koTZ0
数日後

まゆはレッスンを終えて帰ろうとしていた時

川島瑞樹「プロデューサー君、お疲れさま」

P「あぁ、川島さん お疲れさまです」

瑞樹「聞いたわよー?」

P「何をですか?」

瑞樹「もう、とぼけちゃて」

7: 2017/06/19(月) 01:48:56.46 ID:gET7koTZ0
瑞樹さんとプロデューサーさんがお話をしている
プロデューサーさんの右手にはいつもの缶コーヒー
仕事が大変な時にいつも飲んでいるもの
でも、いったい何の話なんでしょう?
まゆの知らないプロデューサーさんの話
まゆは二人の会話がよく聞こえるような位置まで移動する
プロデューサーさんの話なら何だって知っていたい
だって運命の人だから

8: 2017/06/19(月) 01:49:33.30 ID:gET7koTZ0
P「ほんとになんのことですか?」

瑞樹「ちひろちゃんと結婚するんでしょ? おめでとう!」

その一言でまゆの頭の中は真っ白になりそうになる
どうせ何かの間違いだ
そうあって欲しいと願いながらその後の会話に耳をかたむける

9: 2017/06/19(月) 01:50:06.42 ID:gET7koTZ0
P「情報早いですね、どこから聞いたんですか」

瑞樹「この間飲み会でちひろちゃんがやけに上機嫌だったから問い詰めたら白状したわ」

P「はぁ、ちひろのやつ…迷惑かけてないですか?」

瑞樹「あら、もう亭主面?」

P「まぁ一応亭主になるんですから」

瑞樹「うわー、もうのろけ始めたわよ」

P「そんなんじゃありませんよ」

10: 2017/06/19(月) 01:50:43.95 ID:gET7koTZ0
話をしているプロデューサーさんはとても幸せそう
まゆの前ではあんな顔は見せなかったのに

瑞樹「まぁ何はともあれ、おめでとう!」

P「ありがとうございます」

瑞樹「あーぁ、先超されちゃったわねぇ」

プロデューサーさんと瑞樹さんの会話はまだ続いていたけど
まゆの耳はこれ以上この会話を聞くのをやめてしまっていた
耳を塞ぎ、嘘だ嘘だと自分に言い聞かせる
心臓がバクバクいっているような気がする

11: 2017/06/19(月) 01:51:14.63 ID:gET7koTZ0
しばらくすると瑞樹さんは立ち去り
プロデューサーさんが一人になる

まゆは頭が真っ白のまま
プロデューサーさんの後ろに立つ

まゆ「プロデューサーさん…今の話本当ですか」

P「…まゆか、今の話聞いていたのか?」

プロデューサーさんの声が聞こえる

12: 2017/06/19(月) 01:51:42.45 ID:gET7koTZ0
まゆへ向けた優しい声

P「まゆにはできるだけ隠そうとしてたんだがな」

プロデューサーさんは優しい声のまま、でも少し悲しそうに言葉を紡ぐ

P「俺は、結婚する」

まゆ「そう…ですか…」

13: 2017/06/19(月) 01:52:22.36 ID:gET7koTZ0
最近少し冷たくなったと思っていたのはこれが原因なのか
まゆはプロデューサーさんの顔をまっすぐ見ることができない

まゆ「おめでとう…ございます」

まゆはこみ上げる何かを必氏に押さえながら
消え入りそうな声で言葉を絞り出す

P「あぁ、ありがとうな」

14: 2017/06/19(月) 01:52:48.40 ID:gET7koTZ0
プロデューサーさんはそう言って部屋へと戻っていく
まゆは一人残される
こういうとき少女漫画ではどうなるのだろうか
一人で膝をついて泣き崩れるのかな
でもまゆはそうはならなかった
ただ一人呆然と立ち尽くすだけ
意識がどこにあるのかすらわからない

15: 2017/06/19(月) 01:54:58.22 ID:gET7koTZ0
その日はどうやって家に着いたかわからない
気がついたら家に帰っていて日は変っていた
次の日になっても正直心の整理ができない
一週間経ってもプロデューサーさんの顔を見ると
頭の中が真っ白になって
なんにも考えられなくなる

16: 2017/06/19(月) 01:55:34.20 ID:gET7koTZ0
そして時は流れて
プロデューサーさんの結婚式の日

まゆは学校の制服に身を包み
式場である教会へと入っていく

いつもとは違う
素敵なウエディングドレス姿のちひろさん

そして
いつもと違う
まゆの知らない幸せそうなプロデューサーさん

17: 2017/06/19(月) 01:56:10.23 ID:gET7koTZ0
式の間は黙って見ているだけでいい
今、口を開いてしまうと何かが壊れてしまう気がした

式は着実に進み
誓いのキス

プロデューサーさんがヴェールを捲り
にっこりと笑って
ちひろさんに優しく口づけを…

そこから式の記憶は無い

18: 2017/06/19(月) 01:56:42.20 ID:gET7koTZ0
そして気がついたら披露宴が始まっていた

目の前に運ばれてくる料理も美味しそうに見えなくて

まゆは一人
会場の隅っこにぽつんと座っていた

何も考えられない
…何も考えたくない

19: 2017/06/19(月) 01:57:19.55 ID:gET7koTZ0
一時間くらい経っただろうか
新郎新婦のプロデューサーさんとちひろさんが各席に挨拶回りをしている

そしてまゆがいるはずのテーブルへの挨拶を終わらせると
まゆが隅っこにいることに気がついたのか
ちひろさんに一言かけて
まゆの方へと歩いてくる

20: 2017/06/19(月) 01:57:55.74 ID:gET7koTZ0
P「まゆ…」

まゆ「プロデューサーさん、ご結婚おめでとうございます」

P「あぁ、ありがとうな」

まゆはこの運命の人を
諦めなければいけない

いまもまだ
プロデューサーさんを前にすると言葉は何一つ出てこない

21: 2017/06/19(月) 01:58:47.58 ID:gET7koTZ0
P「まゆ、ごめんな」

プロデューサーさんが謝る

P「本当なら一番に報告するべきだったんだ、でもまゆが俺を好きで居てくれているのはわかっていた」

プロデューサーさんは悲しそうな顔で続ける
まゆはプロデューサーさんのそんな顔が見たいわけじゃ無いんです

P「俺はいつの間にかそんなまゆに甘えていたのかもしれないな」

プロデューサーさんの言葉には優しさとぬくもりが溢れている

22: 2017/06/19(月) 01:59:32.89 ID:gET7koTZ0
P「まゆ、今までありがとう これからもよろしくな」

でも、その優しさが今はつらく感じる


まゆは一つの決心とともに重い口を開く


そう大好きだったあなたに……

23: 2017/06/19(月) 02:00:11.51 ID:gET7koTZ0
まゆ「まゆはプロデューサーさんのことが大好きでした」

それはアイドルとしては最低かもしれない言葉

まゆ「正直今でも好きです」

プロデューサーさんはその言葉を聞くと少し困った顔をする
それでもかまわずに続ける

24: 2017/06/19(月) 02:00:46.30 ID:gET7koTZ0
まゆ「初めて会った時から運命の人と思っていました」

言葉を紡いでいると自然と目から涙が溢れる

次の言葉を最後にまゆは言葉を出せなくなる



まゆ「でもプロデューサーさん、あなたはまゆの運命の人じゃ無かったみたいです」

25: 2017/06/19(月) 02:01:18.42 ID:gET7koTZ0
ここまでのお付き合いありがとうございました

また次回会いましょう

26: 2017/06/19(月) 02:13:45.85 ID:F4UrTqMIo

引用元: 佐久間まゆ「遠く届かなかったあなたへ」