1: 2014/03/29(土) 20:53:21.31 ID:FCDCXfKWo
時子「ごきげんよう」

拓海「こんばんわー☆」キャピッ

時子「番組第一回目のディナーは、豚のしょうが焼きよ」

拓海「わぁい☆」キャピッ

時子「これから豚料理の何たるかを、この時子様が直々に教えてあげるわ。感謝なさい」



3: 2014/03/29(土) 20:56:54.34 ID:FCDCXfKWo
時子「まず用意するのは、言うまでも無いけれど豚肉3枚」

拓海「スーパーでもしょうが焼き用の豚肉が売ってありますね☆」キャピッ

時子「えぇ、そうね」

拓海「それじゃあ筋に切り込みを入れて、肉に小麦粉を……」



時子「あら、あら、あら」

拓海「?」

4: 2014/03/29(土) 21:01:21.27 ID:FCDCXfKWo
時子「この豚肉、そのまま小麦粉付けて焼くつもり?」

拓海「それが何か?」

時子「はぁ……貴女、全然分かってないのね」

拓海「は?」

時子「いい?豚肉はね、焼く前に程良く叩いて伸ばしておくの」

時子「そうすれば、焼いた時に肉が硬くならずに柔らかくなるから」

時子「……貴女、こんな事も知らずにしょうが焼きを作るつもりだったの?」

7: 2014/03/29(土) 21:04:00.79 ID:FCDCXfKWo
拓海「それって、小麦粉付けてからでも」

時子「はぁ?それじゃ折角まぶした小麦粉の意味がなくなるじゃない」

拓海「……あ、そっかー☆たくみん、うっかり☆」テヘペロ

時子「分かったならさっさと豚肉を仕込みなさいよ。ホント愚図ね」

拓海「……すみませーん☆」キャピッ

時子「ったく、脳にいく栄養が胸にいってる子はこれだから……」

拓海「………」

8: 2014/03/29(土) 21:06:18.98 ID:FCDCXfKWo
時子「さて、豚肉を仕込んでる間にタレを作ろうかしら」

時子「材料は酒、砂糖、醤油、みりん、そしてしょうがの……」

時子「あら?」



時子「ねぇ、ちょっと」

拓海「はい?」

時子「すりおろしておいてって言ったわよね?しょうが」

10: 2014/03/29(土) 21:08:19.19 ID:FCDCXfKWo
拓海「そ、それはスタッフの仕事じゃ」

時子「ミスに対する口答えと言い訳を許可した覚えは無いのだけれど」

拓海「………」

時子「お子様向けのスイーツを作る貴女の持ち番組って、25時半からだったの?」

拓海「……違、います」

時子「なら、今は誰の番組?」

拓海「……時子……様、です」プルプル

12: 2014/03/29(土) 21:11:35.86 ID:FCDCXfKWo
時子「私がやれと言ったら、貴女がやるの。私の番組では常識でしょう?」

拓海「す、すいませんでしたー☆今からすりおろしまーす☆」キャピッ

時子「もういいわ、私がやるから。貴女はさっさと肉を仕込み終えなさい」

拓海「………」

時子「ったく、こんな下らない事に時間を使わせないでくれる?本当に使えない子ね」ショリショリ



拓海「……………」

13: 2014/03/29(土) 21:14:06.85 ID:FCDCXfKWo
時子「はい、すりおろしたしょうがも混ぜて……タレの完成よ」

拓海「おいしくなぁれッ☆」ドスッ

時子「次は玉ねぎを切るわ。まぁ私には造作も無……」

拓海「おいしくなぁれッ☆」ドムッ

時子「………」

拓海「お・い・し・く・な・ぁ・れッ☆」ドゴォ

時子「煩いわね……静かに料理できないわけ?」

拓海「すみませーん☆」キャピッ

14: 2014/03/29(土) 21:18:44.49 ID:FCDCXfKWo
時子「仕込み終わったなら、さっさと小麦粉をまぶしてちょうだい」

拓海「はぁい☆」



時子「……ちょっと。何やってるの?」

拓海「?」ベタベタ

時子「肉が粉で真っ白じゃない。貴女一体何を作ってるつもり?」

拓海「……何って、しょうが焼きに決まって」

時子「これが?」

15: 2014/03/29(土) 21:21:00.69 ID:FCDCXfKWo
拓海「………」

時子「いい?小麦粉は薄くまぶす程度でいいの。パン粉じゃないのよ?」

時子「お子様向けのスイーツは作れる癖に、しょうが焼き一つまともに作れないわけ?流石に冗談よね?」

拓海「………」

時子「豚肉だってタダじゃないの。貴女のおままごとで無駄に消費できる豚肉なんて、ここには一枚も……」

拓海「チッ、うっせーよ」ボソッ

時子「あ?」

拓海「反省してまーす☆」

17: 2014/03/29(土) 21:28:15.81 ID:FCDCXfKWo
ジュージュー

時子「油を引いたら、先に玉ねぎを強火でサッと炒め……」ガタガタ

時子「いったん器に取り出すの」ガチャン

拓海「………」

時子「次に豚肉を並べて、このまま焼くわ」ジュージュー



時子「はぁ……いいわ、すごくいい」ジュージュー

時子「焼いた豚肉って、いつ嗅いでもたまらないわ……♪」ジュージュー

拓海「………」

21: 2014/03/29(土) 21:34:49.17 ID:FCDCXfKWo
時子「……表面が少し茶色になってきたみたいね。そろそろタレを」

拓海「そぉいっ!」ドバァ

時子「」


ジュウウウウウ…


時子「あ、ああ、あ……ああ貴女、な、何してくれてんのよ!?」

拓海「へっ……これが拓海流、ぶっかけダレって奴だ!」

23: 2014/03/29(土) 21:39:30.93 ID:FCDCXfKWo
時子「あ、あぁ……私の、豚肉……タレに沈んで……!」

拓海「んな小せぇこと気にすんなよ。アタシは濃い味の方が好きだぜ?」

時子「誰がいつ貴女の好みなんて聞いたのよ!これじゃ肉の味がタレに殺されちゃうじゃない!!」

拓海「はぁ?」

時子「じっくりといたぶるから美味しくなるんであって、氏んでしまっては元も子もないでしょ!?」



拓海「……肉は肉だろ。腹に入れば一緒だろうが」

時子「」ブチッ

25: 2014/03/29(土) 21:41:42.70 ID:FCDCXfKWo
し  ば  ら  く  お  待  ち  く  だ  さ  い

27: 2014/03/29(土) 21:46:41.58 ID:FCDCXfKWo
時子「………」ボロッ

拓海「………」ボロッ



時子「……盛り付け、終わり。豚のしょうが焼き、完成よ」コトッ

拓海「わー☆とってもおいしそー☆」

時子「……来週はパイナップルを入れない酢豚を作るわ」

拓海「たくみんスマイル☆……また見てねー☆」フリフリ

29: 2014/03/29(土) 21:50:17.20 ID:FCDCXfKWo
P「………」



P「普通に夜食テロ目的の深夜番組を企画したはずだったのに……」

P「どうしてああなった……」



P「つーか毎週作り方で揉めて放送事故起こしてるのに、10%台っておかしいだろ……深夜だぞ……」

P「局は継続させたがってるし、二人とも意地になって辞めたがらないし……一体どうすりゃいいんだ……」

31: 2014/03/29(土) 21:53:56.04 ID:FCDCXfKWo
拓海「ほらよプロデューサー、今週作ったポークソテーだ!」ゴトッ

P「あぁ……」

拓海「先週あいつが作ったとんかつよりは、絶対にうめーから!」

P「そ、そうか」

時子「……ポークソテーは、もう氏んだのよ」

拓海「一々うるせーな、肉ならもう氏んでるだろバーカ」

P「な、なぁ、二人とも……もう少し、仲良く作ってみないか?その方がきっと……」

32: 2014/03/29(土) 21:57:00.65 ID:FCDCXfKWo
時子「この牝牛と仲良くですって?正気?」

拓海「あ?誰が牝牛だコラ」

時子「と言うか貴女、早く辞めてくれない?私の番組なんだけど。初回だけの助手だったはずでしょ?」

拓海「ハッ!辞めたきゃテメェが辞めやがれ。教科書通りのつまんねー料理見てる奴なんかいねーからよ!」

時子「あ゙ぁ?」

P「やめて!お願いだから喧嘩しないで!頼むから!」

拓海「………」

時子「……ふん」

33: 2014/03/29(土) 21:59:30.92 ID:FCDCXfKWo
P「そ、それじゃあ……ポークソテー、いただきます」



P「………」パクパク

時子「貴方の脳味噌と舌が狂ってなければ、おいしく感じる訳無いわよね?そうでしょ?」

P「………」モグモグ

拓海「アタシのポークソテーが、マズい訳無いよな?……な?」





P「……………」パクパクモグモグ

34: 2014/03/29(土) 22:04:01.63 ID:FCDCXfKWo
~翌日~

ちひろ「最近うちのアイドルの料理番組、評判上がってますね~」

P「そうですね」

ちひろ「あれって、作った料理どうしてるんですか?」

P「俺が食べてます」

ちひろ「そうなんですか、羨ましいですね~♪」

P「……あの、ちひろさん」

ちひろ「はい?」

P「胃薬売ってません?」



おわり

35: 2014/03/29(土) 22:05:28.07 ID:xO6Xc1Dl0

荒んだ胃袋にイチゴパスタをどうぞ

引用元: 財前時子「ブタ野郎3分クッキングの時間ね」