1: 2015/04/08(水) 14:23:07.34 ID:Fxpubhq+0
2: 2015/04/08(水) 14:24:09.16 ID:Fxpubhq+0
ーレッスン場ー
(女性モバP、以下P)「よし、そこまでにしておこっか」
加蓮「えぇ~、まだやれるってば、ほら…っとと…」ふらっ
P「無理しないの。詰め込んだって体調崩したら大変なんだから」だきっ
加蓮「あ…ありがと…」
北条加蓮。私の、初めての担当アイドル。
ここ数月、ずっと一緒にレッスンやライブをこなしてきたけど…。
いまだに危なっかしさが抜けない。
(女性モバP、以下P)「よし、そこまでにしておこっか」
加蓮「えぇ~、まだやれるってば、ほら…っとと…」ふらっ
P「無理しないの。詰め込んだって体調崩したら大変なんだから」だきっ
加蓮「あ…ありがと…」
北条加蓮。私の、初めての担当アイドル。
ここ数月、ずっと一緒にレッスンやライブをこなしてきたけど…。
いまだに危なっかしさが抜けない。
3: 2015/04/08(水) 14:24:59.14 ID:Fxpubhq+0
…ううん、別に上手いとか下手とか、そういうことを言ってるんじゃなくて。
加蓮「う…っ…! けほっ! はぁ…はぁ…」
P「だ、大丈夫⁉︎ …ほら、ゆっくり息を吐いて…深呼吸」さすさす
加蓮「はあ…すう…っ…はぁ、はぁ…っ…はあ…」
加蓮「ダメだなあ…頭では…わかってるのに…」
加蓮「身体、ついていかなくて…ごめんね…」
P「ゆっくりで、いいんだよ。 落ち着いたら、今日はもうお終いにしよ。…ね」
そう。彼女は、身体が弱い。
こんな風に、ちょっと無理をしただけで倒れてしまいそうになるくらいに。
ーーーー
加蓮「う…っ…! けほっ! はぁ…はぁ…」
P「だ、大丈夫⁉︎ …ほら、ゆっくり息を吐いて…深呼吸」さすさす
加蓮「はあ…すう…っ…はぁ、はぁ…っ…はあ…」
加蓮「ダメだなあ…頭では…わかってるのに…」
加蓮「身体、ついていかなくて…ごめんね…」
P「ゆっくりで、いいんだよ。 落ち着いたら、今日はもうお終いにしよ。…ね」
そう。彼女は、身体が弱い。
こんな風に、ちょっと無理をしただけで倒れてしまいそうになるくらいに。
ーーーー
4: 2015/04/08(水) 14:25:33.69 ID:Fxpubhq+0
ー数ヶ月前、2回目のレッスンー
P「ちょっと休憩にしよっか。 …ねえ、北条さん」
加蓮「なに…? 」ギ口リ
P「うっ…そんな睨まなくても…あの、随分きつそうだけど…」
加蓮「…ちゃんといるだけいいっしょ? サボってるわけじゃないんだし」
P「いや、それはそう…なんだけどさ、えっと…」
加蓮「基礎体力に問題があるのなんて、見たらわかるでしょ…?」
加蓮「アイドルのレッスンなんて、ついていける身体じゃないって」
P「……うん、それは…昨日のレッスンでなんとなく、そうじゃないかなとは、思ってたけど」
P「ちょっと休憩にしよっか。 …ねえ、北条さん」
加蓮「なに…? 」ギ口リ
P「うっ…そんな睨まなくても…あの、随分きつそうだけど…」
加蓮「…ちゃんといるだけいいっしょ? サボってるわけじゃないんだし」
P「いや、それはそう…なんだけどさ、えっと…」
加蓮「基礎体力に問題があるのなんて、見たらわかるでしょ…?」
加蓮「アイドルのレッスンなんて、ついていける身体じゃないって」
P「……うん、それは…昨日のレッスンでなんとなく、そうじゃないかなとは、思ってたけど」
5: 2015/04/08(水) 14:26:11.47 ID:Fxpubhq+0
加蓮「まあ…言わなかった私も悪いんだけど…」
加蓮「私だって、自分の身体がここまでポンコツなんて思ってなかったしね…」
P「ポンコツって、そんな言い方…」
加蓮「他に例えようがないし。…体育の授業とか、いつも見学だったしね…」
P「そ、そんなに…?」
P「じゃあ、会った時に言ってた、特訓とか下積みとかキャラじゃない、って言うのは…」
加蓮「まあ…そういうこと、かな…体力ないの。昔、入院してたから」
P(これは…いきなりハードな子を受け持っちゃったかな…?)
P(これで本人にやる気がないのなら…最悪、再選考しないと…)
加蓮「私だって、自分の身体がここまでポンコツなんて思ってなかったしね…」
P「ポンコツって、そんな言い方…」
加蓮「他に例えようがないし。…体育の授業とか、いつも見学だったしね…」
P「そ、そんなに…?」
P「じゃあ、会った時に言ってた、特訓とか下積みとかキャラじゃない、って言うのは…」
加蓮「まあ…そういうこと、かな…体力ないの。昔、入院してたから」
P(これは…いきなりハードな子を受け持っちゃったかな…?)
P(これで本人にやる気がないのなら…最悪、再選考しないと…)
6: 2015/04/08(水) 14:26:50.16 ID:Fxpubhq+0
加蓮「…よし、だいぶ落ち着いてきた…ねえ」
P「えっ、な、何かな」
加蓮「…………」じっ
P「……?」
加蓮「まぁ…仕方ない、か」ぼそっ
P「北条さん…?」
加蓮「なんでもない。ね、走り込み、付き合ってくれない?」
P「走り込みって…北条さん、身体は…」
加蓮「楽になってきたし、ヘーキ。 それより…」
P「えっ、な、何かな」
加蓮「…………」じっ
P「……?」
加蓮「まぁ…仕方ない、か」ぼそっ
P「北条さん…?」
加蓮「なんでもない。ね、走り込み、付き合ってくれない?」
P「走り込みって…北条さん、身体は…」
加蓮「楽になってきたし、ヘーキ。 それより…」
7: 2015/04/08(水) 14:27:22.39 ID:Fxpubhq+0
加蓮「せっかく振り付けもらえる、とかなった時にさ、踊れないんじゃ悔しいじゃない」
加蓮「だから、体力付けないと。」
P「それで…走り込み?」
加蓮「アンタも付いてきてよ。…アイドルが道でぶっ倒れたら、困るでしょ?」にこっ
P「……あ…。」
P(すごく、かわいい笑顔…こんな表情もできるんだ…)
加蓮「ねえ、どうなの? ついてきてくれる?」
加蓮「だから、体力付けないと。」
P「それで…走り込み?」
加蓮「アンタも付いてきてよ。…アイドルが道でぶっ倒れたら、困るでしょ?」にこっ
P「……あ…。」
P(すごく、かわいい笑顔…こんな表情もできるんだ…)
加蓮「ねえ、どうなの? ついてきてくれる?」
8: 2015/04/08(水) 14:27:57.36 ID:Fxpubhq+0
P(この子…本当はもしかすると……)
P「…ふふっ、あはははははっ」
加蓮「…?」
P「ううん、なんでもない。いいよ、一緒にいこっか、走り込み。」
加蓮「ん。 じゃあちょっと準備してくるから、待ってて」たたた…
なんとなく、だけど確信があった。この子、
きっとすごいアイドルになるんじゃないか、って。
それと…実は案外、根は優しい、いい子なんじゃないかなぁって。
P「…ふふっ、あはははははっ」
加蓮「…?」
P「ううん、なんでもない。いいよ、一緒にいこっか、走り込み。」
加蓮「ん。 じゃあちょっと準備してくるから、待ってて」たたた…
なんとなく、だけど確信があった。この子、
きっとすごいアイドルになるんじゃないか、って。
それと…実は案外、根は優しい、いい子なんじゃないかなぁって。
9: 2015/04/08(水) 14:28:52.04 ID:Fxpubhq+0
ーーーーー
それからしばらくして。
彼女と一緒にレッスンを重ねて、
じゃあオーディション出てみよっか、と私の提案もあり、試しにと受けたオーディション。
手元にあるのは、不合格の通知。私は今から、その結果を伝えなきゃいけないんだけど。
P「気が、重いなあ…」
言い出したのは私だし、きっと合格できるだろう。
贔屓目抜きで、そう考えていたんだけど…
不合格。
P「はあ…」
ため息が漏れる。 どうやって伝えよ。 帰ったら…ダメだよね、うん。
それからしばらくして。
彼女と一緒にレッスンを重ねて、
じゃあオーディション出てみよっか、と私の提案もあり、試しにと受けたオーディション。
手元にあるのは、不合格の通知。私は今から、その結果を伝えなきゃいけないんだけど。
P「気が、重いなあ…」
言い出したのは私だし、きっと合格できるだろう。
贔屓目抜きで、そう考えていたんだけど…
不合格。
P「はあ…」
ため息が漏れる。 どうやって伝えよ。 帰ったら…ダメだよね、うん。
10: 2015/04/08(水) 14:29:21.92 ID:Fxpubhq+0
加蓮「おはよ。オーディション、落ちたんだってね。」
P「おはよ…って、ええ⁉︎」
なんで知ってるの、と聞くと、ちひろさんがさっき話してくれたんだよ、と北条さん。
鬼か、あの人は。
加蓮「プロデューサーさんは加蓮ちゃんが合格するって本気で信じてたんだから、
辛いだろうけど責めないであげてくださいね、だって。
別にそんなつもりなかったけどね。」
天使か、あの人は。
P「おはよ…って、ええ⁉︎」
なんで知ってるの、と聞くと、ちひろさんがさっき話してくれたんだよ、と北条さん。
鬼か、あの人は。
加蓮「プロデューサーさんは加蓮ちゃんが合格するって本気で信じてたんだから、
辛いだろうけど責めないであげてくださいね、だって。
別にそんなつもりなかったけどね。」
天使か、あの人は。
11: 2015/04/08(水) 14:29:54.99 ID:Fxpubhq+0
P「その…北条さんは…」
加蓮「悔しいよ、正直ムカつくし。」
P「う…それは…その…ごめんね」
加蓮「アンタじゃないよ。…ムカつくのは、私自身」
P「え…」
加蓮「次は負けないから。 それだけ。 …じゃ、レッスンしよっか。今日もよろしくね」
P「…うん、よろしくね」ぎゅっ
加蓮「悔しいよ、正直ムカつくし。」
P「う…それは…その…ごめんね」
加蓮「アンタじゃないよ。…ムカつくのは、私自身」
P「え…」
加蓮「次は負けないから。 それだけ。 …じゃ、レッスンしよっか。今日もよろしくね」
P「…うん、よろしくね」ぎゅっ
12: 2015/04/08(水) 14:30:26.05 ID:Fxpubhq+0
加蓮「え…、手…」
P「へ? あ、わわ、ごめんなさい、つい」ぱっ
気づくと私は彼女の手を両手で握りしめていたらしく。
慌てて手を離したら、別にいいのに、と笑われてしまった。
うう…なんか私ばっかり恥ずかしいような…気のせいかな…?
ーーーーー
P「へ? あ、わわ、ごめんなさい、つい」ぱっ
気づくと私は彼女の手を両手で握りしめていたらしく。
慌てて手を離したら、別にいいのに、と笑われてしまった。
うう…なんか私ばっかり恥ずかしいような…気のせいかな…?
ーーーーー
13: 2015/04/08(水) 14:31:11.46 ID:Fxpubhq+0
加蓮「あーあーあーあーあー…」
基礎を固める、という方針でレッスンを組んでいるので、
ボイトレはほぼ毎回やるようにしている。
今日はボーカルレッスンなので、特に重点的に。
加蓮「あーあーあーあー…うっ」
P「大丈夫?」たたっ
加蓮「だ…大丈夫、ちょっと酸欠気味なだけだから…」
P「でも…」
加蓮「本当に、大丈夫だから」
P「北条さん…」
ーーーーー
基礎を固める、という方針でレッスンを組んでいるので、
ボイトレはほぼ毎回やるようにしている。
今日はボーカルレッスンなので、特に重点的に。
加蓮「あーあーあーあー…うっ」
P「大丈夫?」たたっ
加蓮「だ…大丈夫、ちょっと酸欠気味なだけだから…」
P「でも…」
加蓮「本当に、大丈夫だから」
P「北条さん…」
ーーーーー
14: 2015/04/08(水) 14:31:42.50 ID:Fxpubhq+0
加蓮「ちゃんと声を出すのって、こんなにハードなんだね…知らなかったよ」
P「無理はしないでいいからね…焦らず行こう、ね」
レッスン場の隅に二人して腰を下ろす。
とりあえず落ち着くまで、話でもしよっか、と提案してみたんだけど。
意外とすんなり「わかった」って言ってくれて、ちょっとびっくりしてたり。
加蓮「無理すると、うるさいから。無理しないでやっていくよ、親にも言われてるし」
あはは…北条さんらしいというか。
加蓮「ねえ、アンタからは…」
P「ん?」
加蓮「…プロデューサーからは、何か感想とか、ないの?」
P「無理はしないでいいからね…焦らず行こう、ね」
レッスン場の隅に二人して腰を下ろす。
とりあえず落ち着くまで、話でもしよっか、と提案してみたんだけど。
意外とすんなり「わかった」って言ってくれて、ちょっとびっくりしてたり。
加蓮「無理すると、うるさいから。無理しないでやっていくよ、親にも言われてるし」
あはは…北条さんらしいというか。
加蓮「ねえ、アンタからは…」
P「ん?」
加蓮「…プロデューサーからは、何か感想とか、ないの?」
15: 2015/04/08(水) 14:32:30.45 ID:Fxpubhq+0
P「あ……」
加蓮「ここを、こうしたら…とかさ…プロデューサー?」
P「…う、ううん、えっと、感想、感想ね…えっと」
加蓮「……?………ああ」
P(今、プロ、プロデューサーって…)
P「えっと…その、北条さんはさ、その」
加蓮「加蓮」
P「え…?」
加蓮「名前で呼んでよ。その方がやりやすいし。」
加蓮「…じゃないと、私だけだとなんか…はずいし」
P「北条さん…」
加蓮「ほら、なんかないの、感想とかさ」
加蓮「ここを、こうしたら…とかさ…プロデューサー?」
P「…う、ううん、えっと、感想、感想ね…えっと」
加蓮「……?………ああ」
P(今、プロ、プロデューサーって…)
P「えっと…その、北条さんはさ、その」
加蓮「加蓮」
P「え…?」
加蓮「名前で呼んでよ。その方がやりやすいし。」
加蓮「…じゃないと、私だけだとなんか…はずいし」
P「北条さん…」
加蓮「ほら、なんかないの、感想とかさ」
16: 2015/04/08(水) 14:33:09.67 ID:Fxpubhq+0
P「う、うん…えっと、加蓮ちゃん…
加蓮ちゃんはね、もっと笑顔を意識してみたらいいんじゃないかな」
加蓮「笑顔? 私が?」
P「うん。せっかくかわいい顔なんだから…笑わなくっちゃもったいないよ?」
加蓮「かわっ…⁉︎」
北条さん…加蓮ちゃんは目を白黒させて驚いてる。
言われ慣れてないのかな。すごくかわいいと思うんだけど。
加蓮「えっと…その、そもそも私、そんな笑顔とかって苦手っていうかさ…」
P「…? どうして?」
とてもそうは思えないんだけどなぁ…
加蓮「なんて言うのかな…私ってほら、無愛想だし」
加蓮ちゃんはね、もっと笑顔を意識してみたらいいんじゃないかな」
加蓮「笑顔? 私が?」
P「うん。せっかくかわいい顔なんだから…笑わなくっちゃもったいないよ?」
加蓮「かわっ…⁉︎」
北条さん…加蓮ちゃんは目を白黒させて驚いてる。
言われ慣れてないのかな。すごくかわいいと思うんだけど。
加蓮「えっと…その、そもそも私、そんな笑顔とかって苦手っていうかさ…」
P「…? どうして?」
とてもそうは思えないんだけどなぁ…
加蓮「なんて言うのかな…私ってほら、無愛想だし」
17: 2015/04/08(水) 14:34:04.68 ID:Fxpubhq+0
P「そうかなぁ? そんなことないと思うんだけど…」
加蓮「それは…ほら、プロデューサーには取り繕う必要とかないっていうか…」
加蓮「私って、基本人前では感情を表に出さないようにしてるんだよね…
目立ってもいいことないし」
P「……?」
加蓮「いじられたりとか、嫌でしょ? よく知りもしない相手にさ。
だから、なるべくそういうの…見せたくないっていうか」
P「よく知らないって言ったって、クラスメイトとか友達とか、知ってる人だってたくさん…」
加蓮「それが、いないんだよね~…どっちかっていうと病院の方が長いし、
学校行っても保健室で過ごすことがほとんどだからさ、うまくいかないっていうか」
P「あ…ごめん…」
加蓮「いいって、別にプロデューサーが悪いわけじゃないじゃん。
聞いてほしいから喋ってるんだし」
P「加蓮ちゃん…」
ーーーーーーーー
加蓮「それは…ほら、プロデューサーには取り繕う必要とかないっていうか…」
加蓮「私って、基本人前では感情を表に出さないようにしてるんだよね…
目立ってもいいことないし」
P「……?」
加蓮「いじられたりとか、嫌でしょ? よく知りもしない相手にさ。
だから、なるべくそういうの…見せたくないっていうか」
P「よく知らないって言ったって、クラスメイトとか友達とか、知ってる人だってたくさん…」
加蓮「それが、いないんだよね~…どっちかっていうと病院の方が長いし、
学校行っても保健室で過ごすことがほとんどだからさ、うまくいかないっていうか」
P「あ…ごめん…」
加蓮「いいって、別にプロデューサーが悪いわけじゃないじゃん。
聞いてほしいから喋ってるんだし」
P「加蓮ちゃん…」
ーーーーーーーー
18: 2015/04/08(水) 14:34:49.68 ID:Fxpubhq+0
ー数週間後、レッスン場ー
加蓮「あ、そういえば…この前トレーナーさんのレッスンでね、褒められたんだよ」
P「トレーナーさんに? なんて?」
加蓮「声が綺麗ですねって。別に褒められたくてやってるわけじゃないけどさ。
こういうの…なんか、嬉しいね」
P「声かぁ…私も、加蓮ちゃんの歌声、好きだな、なんて言うか、うん、
透き通ってる感じで。」
加蓮「無理に持ち上げないでいいって。課題だって見つかったし、これからだからさ」
P「課題?」
加蓮「体力無いから声が安定しないんだって。」
P「ああ…」
P(そう、声質自体はすごくいいものを持ってる。
けど、振れ幅が大きすぎて、正直、まだまだな部分が大きいんだよね…)
加蓮「あ、そういえば…この前トレーナーさんのレッスンでね、褒められたんだよ」
P「トレーナーさんに? なんて?」
加蓮「声が綺麗ですねって。別に褒められたくてやってるわけじゃないけどさ。
こういうの…なんか、嬉しいね」
P「声かぁ…私も、加蓮ちゃんの歌声、好きだな、なんて言うか、うん、
透き通ってる感じで。」
加蓮「無理に持ち上げないでいいって。課題だって見つかったし、これからだからさ」
P「課題?」
加蓮「体力無いから声が安定しないんだって。」
P「ああ…」
P(そう、声質自体はすごくいいものを持ってる。
けど、振れ幅が大きすぎて、正直、まだまだな部分が大きいんだよね…)
19: 2015/04/08(水) 14:35:21.68 ID:Fxpubhq+0
加蓮「プロデューサー、それで引っかかってたんでしょ、顔に出てたよ」
P「う…マジですか」
加蓮「あーあ、ウケるよね、
ちゃんと生きるのサボってたツケがこんなところでくるなんてさー」
P「加蓮ちゃん!」
加蓮「えっ…」
P「そんな…自分の事、投げ出したように言うのは…よくないよ」
加蓮「………」
P「ごめん…私が言えたクチじゃないのは、わかってるけどさ…」
P「寂しいじゃない。そんな風に言われると…」
加蓮「あ…」
P「う…マジですか」
加蓮「あーあ、ウケるよね、
ちゃんと生きるのサボってたツケがこんなところでくるなんてさー」
P「加蓮ちゃん!」
加蓮「えっ…」
P「そんな…自分の事、投げ出したように言うのは…よくないよ」
加蓮「………」
P「ごめん…私が言えたクチじゃないのは、わかってるけどさ…」
P「寂しいじゃない。そんな風に言われると…」
加蓮「あ…」
20: 2015/04/08(水) 14:35:52.48 ID:Fxpubhq+0
加蓮「………プロデューサー」
P「……うん」
加蓮「ありがと…その、怒ってくれるんだね、プロデューサーは」
P「当たり前じゃない、仲間だよ、私たち」
加蓮「仲間…」
P「アイドルとプロデューサー、ってだけじゃないの。
私はあなたをトップアイドルにするって決めてるんだから。
だったら、仲間だよ。
仲間の心配するのは…当たり前じゃないのかな」
P「……うん」
加蓮「ありがと…その、怒ってくれるんだね、プロデューサーは」
P「当たり前じゃない、仲間だよ、私たち」
加蓮「仲間…」
P「アイドルとプロデューサー、ってだけじゃないの。
私はあなたをトップアイドルにするって決めてるんだから。
だったら、仲間だよ。
仲間の心配するのは…当たり前じゃないのかな」
21: 2015/04/08(水) 14:36:24.60 ID:Fxpubhq+0
加蓮「そんな風に、言ってくれるんだ…」
加蓮「…ふふ、そっか…仲間、なんだ。…初めてかも、そういうのって」
P「…これからもっとたくさん、そういう『初めて』が増えていくよ。
私、加蓮ちゃんとなら、きっとトップまで行けるって信じてるから。」
加蓮「そっか…。 じゃあ、それまでエスコート、お願いしても…いいかな」
P「おう、どんとこーい!…って、私、女なんだけどな…」
加蓮「あはは、そういえばそうだったね。 プロデューサー、
なんかたまーに男らしいから、つい」
P「うう…胸か、胸がないのがいかんのか…」
毎日牛乳飲んでるのに。 どーせ身長も胸も小さいですよ…うう…。
加蓮「…ふふ、そっか…仲間、なんだ。…初めてかも、そういうのって」
P「…これからもっとたくさん、そういう『初めて』が増えていくよ。
私、加蓮ちゃんとなら、きっとトップまで行けるって信じてるから。」
加蓮「そっか…。 じゃあ、それまでエスコート、お願いしても…いいかな」
P「おう、どんとこーい!…って、私、女なんだけどな…」
加蓮「あはは、そういえばそうだったね。 プロデューサー、
なんかたまーに男らしいから、つい」
P「うう…胸か、胸がないのがいかんのか…」
毎日牛乳飲んでるのに。 どーせ身長も胸も小さいですよ…うう…。
22: 2015/04/08(水) 14:37:00.97 ID:Fxpubhq+0
ーさらに数週間後、レッスン場ー
P「わあっ、すごいすごい! 加蓮ちゃん、バッチリ言われた通りにできてるよ!」
加蓮「もう、子供じゃないんだから…大丈夫だよ、ふふっ」
P「もう笑顔も完璧じゃない? って言うか、他の表情も…思わず見入っちゃったもん」
加蓮「なんか面白いね、表現のレッスン。 アイドルって色々なことやるんだなぁ…」
P「その様子だと、ヴィジュアルレッスンはもうバッチリって感じかな?」
加蓮「うん…わりと得意…てゆーか、得意だね、うん」
P「わあっ、すごいすごい! 加蓮ちゃん、バッチリ言われた通りにできてるよ!」
加蓮「もう、子供じゃないんだから…大丈夫だよ、ふふっ」
P「もう笑顔も完璧じゃない? って言うか、他の表情も…思わず見入っちゃったもん」
加蓮「なんか面白いね、表現のレッスン。 アイドルって色々なことやるんだなぁ…」
P「その様子だと、ヴィジュアルレッスンはもうバッチリって感じかな?」
加蓮「うん…わりと得意…てゆーか、得意だね、うん」
23: 2015/04/08(水) 14:37:34.69 ID:Fxpubhq+0
P「おっ、言い切ったね?」
加蓮「こういうの、色々見てきたからかな、それが生きてる気がする、って言うか」
P「色々?」
加蓮「あー…まあ、その話は長くなりそうだし……あ」
加蓮「ねえ、おなかすかない? 帰りに何か食べていきたいんだけど、
プロデューサー、どう?」
P「いいね~。 で、何にする? あんまり高くなければお姉さんおごっちゃるぞ~」
加蓮「ぷっ、なんかジジむさいよプロデューサー」
P「で、何にしますかい? お財布に優しいとこだと嬉しいんだけどなー」
加蓮「んー…お財布には優しいんじゃないかな、軽く食べるだけだし」
24: 2015/04/08(水) 14:38:16.22 ID:Fxpubhq+0
P「軽く? ラーメンとか?」
加蓮「女の人でラーメンを軽く…なんてプロデューサー、ますます男っぽいよ」
P「そうかなぁ? 普通に女の子来てるけどなあ…」
P(そう言えばこの前すっごい綺麗な髪の子が来てたなあ…どこかで見た気がするんだけど)
ーーーーーー
ー某所ー
銀髪の女性「くしゅん!」
銀髪の女性「…はて…誰か噂でもしているのでしょうか…」
ーーーーーー
加蓮「女の人でラーメンを軽く…なんてプロデューサー、ますます男っぽいよ」
P「そうかなぁ? 普通に女の子来てるけどなあ…」
P(そう言えばこの前すっごい綺麗な髪の子が来てたなあ…どこかで見た気がするんだけど)
ーーーーーー
ー某所ー
銀髪の女性「くしゅん!」
銀髪の女性「…はて…誰か噂でもしているのでしょうか…」
ーーーーーー
25: 2015/04/08(水) 14:38:46.46 ID:Fxpubhq+0
ー少しして、ファーストフード店ー
「「いらっしゃいませー」」
P「意外…加蓮ちゃんこういうお店とか来るんだ…」
加蓮「別に、そう不思議がることもないと思うけどね」
加蓮「あ、これとこれください、ポテトとシェーク付きで。 プロデューサーは?」
P「んー…どれも美味しそうで…悩む」
加蓮「なら、私の半分食べれば? そのかわり、そっちのも半分もらうの。どう?」
P「その案採用! じゃ、私はこれとこれとこれとー♪」
加蓮「ちょ、食べ過ぎじゃない⁉︎」
P「ダメぇ?」←加蓮初期台詞風
加蓮「うっわー、それやられると結構腹たつんだね、知らなかった」
「「いらっしゃいませー」」
P「意外…加蓮ちゃんこういうお店とか来るんだ…」
加蓮「別に、そう不思議がることもないと思うけどね」
加蓮「あ、これとこれください、ポテトとシェーク付きで。 プロデューサーは?」
P「んー…どれも美味しそうで…悩む」
加蓮「なら、私の半分食べれば? そのかわり、そっちのも半分もらうの。どう?」
P「その案採用! じゃ、私はこれとこれとこれとー♪」
加蓮「ちょ、食べ過ぎじゃない⁉︎」
P「ダメぇ?」←加蓮初期台詞風
加蓮「うっわー、それやられると結構腹たつんだね、知らなかった」
26: 2015/04/08(水) 14:39:17.32 ID:Fxpubhq+0
P「じゃ、このへんで勘弁しといてやるか♪」
加蓮「私と違ってプロデューサーはレッスンもないんだし、気をつけないと太るよ?」
P「美味しいから大丈夫だよ!」
加蓮「な、何それ」
P「なんか最近ウチで流行ってるんだって、これ」
加蓮(何が大丈夫なんだろう…)
ーーーーーー
加蓮「私と違ってプロデューサーはレッスンもないんだし、気をつけないと太るよ?」
P「美味しいから大丈夫だよ!」
加蓮「な、何それ」
P「なんか最近ウチで流行ってるんだって、これ」
加蓮(何が大丈夫なんだろう…)
ーーーーーー
27: 2015/04/08(水) 14:39:49.93 ID:Fxpubhq+0
P「さて、席にもついて、注文も全部揃ったことですし」
加蓮「じゃ、食べよっか。はい半分」
P「うむ、くるしゅうないぞよ」
加蓮「なにキャラなの、プロデューサー」
P「さあ? 自分でもわかんない♪ うん、美味しい!
こういうの、なんかテンション上がっちゃうんだー」
加蓮「テキトーだなあ…」
P「ところが、ちゃんと大事なとこは覚えてるんですね、これが」
加蓮「あー…話さなきゃ、ダメ。 やっぱり。」
P「…言いにくい話なら、無理に聞いたりしないけどね」
加蓮「じゃ、食べよっか。はい半分」
P「うむ、くるしゅうないぞよ」
加蓮「なにキャラなの、プロデューサー」
P「さあ? 自分でもわかんない♪ うん、美味しい!
こういうの、なんかテンション上がっちゃうんだー」
加蓮「テキトーだなあ…」
P「ところが、ちゃんと大事なとこは覚えてるんですね、これが」
加蓮「あー…話さなきゃ、ダメ。 やっぱり。」
P「…言いにくい話なら、無理に聞いたりしないけどね」
28: 2015/04/08(水) 14:40:20.92 ID:Fxpubhq+0
加蓮「言いにくくないけど…引かないでね?」
P「うん、引かない引かない」もぐもぐ
加蓮「…ふふ、本当、いい意味でテキトーって言うか、なんか力抜けるね」
加蓮「簡単な話だよ。入院してる間、ずーっと暇だったからさ」
加蓮「それこそぷち引きこもり? …まあそんな感じで。
テレビが友達、って感じだったんだよね」
P「テレビが?」
加蓮「うん。映画とかドラマとか…アニメとかバラエティとか。」
加蓮「どんな番組も見てたから、表情豊かな人って面白いなーって思ってたんだ。」
P「うん、引かない引かない」もぐもぐ
加蓮「…ふふ、本当、いい意味でテキトーって言うか、なんか力抜けるね」
加蓮「簡単な話だよ。入院してる間、ずーっと暇だったからさ」
加蓮「それこそぷち引きこもり? …まあそんな感じで。
テレビが友達、って感じだったんだよね」
P「テレビが?」
加蓮「うん。映画とかドラマとか…アニメとかバラエティとか。」
加蓮「どんな番組も見てたから、表情豊かな人って面白いなーって思ってたんだ。」
29: 2015/04/08(水) 14:41:00.38 ID:Fxpubhq+0
加蓮「それが今、生きてるのかな、って。怪我の功名、っていうのかな」
加蓮「って、これじゃブラックジョークだよね、あははっ!」
P「加蓮ちゃん…」
加蓮「平気だよ、これが私のスタンダードだから」
加蓮「話しておいてなんだけどさ、あんまり重く考えられるとこっちも困るっていうか…
アレ、私すごい自分勝手言ってる?」
P「言ってる言ってる」もぐもぐ
加蓮「…ごめんね、こうしないと、もたないからさ」
加蓮「…ありがと、そんな風におちゃらけてくれて」
P「………」よしよし
加蓮「ちょ、ここお店っ! 頭、恥ずかしいってば…」
P「美味しいから大丈夫だよ」
加蓮「私は全然大丈夫じゃない⁉︎」
P(強がりさんめ。大人しく私に撫でられるといい)
加蓮「って、これじゃブラックジョークだよね、あははっ!」
P「加蓮ちゃん…」
加蓮「平気だよ、これが私のスタンダードだから」
加蓮「話しておいてなんだけどさ、あんまり重く考えられるとこっちも困るっていうか…
アレ、私すごい自分勝手言ってる?」
P「言ってる言ってる」もぐもぐ
加蓮「…ごめんね、こうしないと、もたないからさ」
加蓮「…ありがと、そんな風におちゃらけてくれて」
P「………」よしよし
加蓮「ちょ、ここお店っ! 頭、恥ずかしいってば…」
P「美味しいから大丈夫だよ」
加蓮「私は全然大丈夫じゃない⁉︎」
P(強がりさんめ。大人しく私に撫でられるといい)
30: 2015/04/08(水) 14:41:37.32 ID:Fxpubhq+0
ー帰りの車内ー
P「美味しかったね、結構久しぶりに食べたなぁ、ああいうの」
加蓮「そうなんだ? 私、結構よく食べるんだよね、ファーストフードとかスナック菓子とか」
P「太るよー」
加蓮「う…しょうがないでしょ、定期的に食べたくなるんだから」
加蓮「一応、最近はレッスンもしてるし…それに、ああいうの、憧れだったからさ」
P「美味しかったね、結構久しぶりに食べたなぁ、ああいうの」
加蓮「そうなんだ? 私、結構よく食べるんだよね、ファーストフードとかスナック菓子とか」
P「太るよー」
加蓮「う…しょうがないでしょ、定期的に食べたくなるんだから」
加蓮「一応、最近はレッスンもしてるし…それに、ああいうの、憧れだったからさ」
31: 2015/04/08(水) 14:42:14.71 ID:Fxpubhq+0
P「憧れ? ハンバーガーが?」
加蓮「病院食ばかりだったからさ、薄味だし、味気ないし…
テレビのCMとかでああいうの見ると、いいなーって思ってたよ」
加蓮「身体がそれなりに丈夫になってから、お小遣い握りしめて…買って食べたっけ」
加蓮「なんていうのかな、感動しちゃって。
ハンバーガーとかでいちいち感動しちゃうんだもん、
周りの話とか、付いていけるわけもなくってさ」
加蓮「甘えても…優しくしてくれるのは最初だけ…だから」
加蓮「おかげで、この顔に貼り付いた無愛想は…なかなか剥がれ落ちてくれないみたい」
加蓮「病院食ばかりだったからさ、薄味だし、味気ないし…
テレビのCMとかでああいうの見ると、いいなーって思ってたよ」
加蓮「身体がそれなりに丈夫になってから、お小遣い握りしめて…買って食べたっけ」
加蓮「なんていうのかな、感動しちゃって。
ハンバーガーとかでいちいち感動しちゃうんだもん、
周りの話とか、付いていけるわけもなくってさ」
加蓮「甘えても…優しくしてくれるのは最初だけ…だから」
加蓮「おかげで、この顔に貼り付いた無愛想は…なかなか剥がれ落ちてくれないみたい」
32: 2015/04/08(水) 14:43:06.93 ID:Fxpubhq+0
P「私の前だと、加蓮ちゃん笑顔だと思うけどなぁ」
加蓮「アンタの…プロデューサーの前では、ね。 気が抜けるっていうか…
変に気を使ったりとか、ないからじゃないかな」
P「そっか…。 って、なんか微妙に失礼じゃなかったかい」
加蓮「そうだっけ? あ、次の角、左ね」
P「へいへーい」
ーーーーーーー
ーそれからしばらくして、学校で加蓮ちゃんが倒れた、と連絡が入った。ー
加蓮「アンタの…プロデューサーの前では、ね。 気が抜けるっていうか…
変に気を使ったりとか、ないからじゃないかな」
P「そっか…。 って、なんか微妙に失礼じゃなかったかい」
加蓮「そうだっけ? あ、次の角、左ね」
P「へいへーい」
ーーーーーーー
ーそれからしばらくして、学校で加蓮ちゃんが倒れた、と連絡が入った。ー
33: 2015/04/08(水) 14:43:36.12 ID:Fxpubhq+0
ー加蓮宅ー
P「加蓮ちゃんは…」
加蓮母「ぐっすり眠ってます。…あなたが、加蓮のプロデューサーの方?」
P「え、ええ、まあ」
加蓮母「そうかしこまらないでいいのよ。そうね…せっかくだし、少しお話しましょうか」
加蓮母「加蓮ね、今までは授業とか、休みがちだったの。
だから、色々な面で遅れが出ていて…」
P「…………」
P「加蓮ちゃんは…」
加蓮母「ぐっすり眠ってます。…あなたが、加蓮のプロデューサーの方?」
P「え、ええ、まあ」
加蓮母「そうかしこまらないでいいのよ。そうね…せっかくだし、少しお話しましょうか」
加蓮母「加蓮ね、今までは授業とか、休みがちだったの。
だから、色々な面で遅れが出ていて…」
P「…………」
34: 2015/04/08(水) 14:44:08.88 ID:Fxpubhq+0
加蓮母「それ自体はね、私は気にしてないの。
あの子、勉強なんてやる必要感じない、とか言ってきかないし…
成績より、もっと大切なことってあると思うから」
P「けど…私もそれはそう、思いますけど、やっぱり…」
加蓮母「それが、この前までの話。」
P「……へ?」
加蓮母「最近、あの子すごいのよ。 アイドルのレッスンだってあるはずなのに、授業もしっかり出て…見学続きだった体育にも、自分から出してくださいって頼んだんですって」
P「加蓮ちゃんが…」
加蓮「誰かさんのせいでね…逃げてる自分がバカらしくなってさ」ふら…
あの子、勉強なんてやる必要感じない、とか言ってきかないし…
成績より、もっと大切なことってあると思うから」
P「けど…私もそれはそう、思いますけど、やっぱり…」
加蓮母「それが、この前までの話。」
P「……へ?」
加蓮母「最近、あの子すごいのよ。 アイドルのレッスンだってあるはずなのに、授業もしっかり出て…見学続きだった体育にも、自分から出してくださいって頼んだんですって」
P「加蓮ちゃんが…」
加蓮「誰かさんのせいでね…逃げてる自分がバカらしくなってさ」ふら…
35: 2015/04/08(水) 14:44:47.34 ID:Fxpubhq+0
P「加蓮ちゃん! ダメでしょ起きてきちゃ…」
加蓮「お母さんペラペラしゃべりすぎるから…けほ、けほっ」
加蓮母「アンタに任せてたらいつまで経っても話さないでしょ。
いいから、大人しくして、寝てなさい」
加蓮「うう…あとでひどいからね…」ふらふら…
加蓮母「まったく、あの子ったら…昔からああなんですよ。
素直過ぎると言いますか…」
P「素直? 加蓮ちゃんが?」
加蓮母「ええ、わりと顔や行動に出ちゃうんですよ。
本人は隠してるつもりなんでしょうけどね。」
P「へえ…加蓮ちゃんが、ねえ」
P(なんか、イマイチピンとこないなあ…)
P「あ、そうだ…お見舞いに、ゼリーとかプリン、買って来たんだった…車に置きっぱだ」
加蓮母「あら…それでしたら」
ーーーーーーー
加蓮「お母さんペラペラしゃべりすぎるから…けほ、けほっ」
加蓮母「アンタに任せてたらいつまで経っても話さないでしょ。
いいから、大人しくして、寝てなさい」
加蓮「うう…あとでひどいからね…」ふらふら…
加蓮母「まったく、あの子ったら…昔からああなんですよ。
素直過ぎると言いますか…」
P「素直? 加蓮ちゃんが?」
加蓮母「ええ、わりと顔や行動に出ちゃうんですよ。
本人は隠してるつもりなんでしょうけどね。」
P「へえ…加蓮ちゃんが、ねえ」
P(なんか、イマイチピンとこないなあ…)
P「あ、そうだ…お見舞いに、ゼリーとかプリン、買って来たんだった…車に置きっぱだ」
加蓮母「あら…それでしたら」
ーーーーーーー
36: 2015/04/08(水) 14:45:18.47 ID:Fxpubhq+0
ー加蓮の部屋ー
加蓮「はあ…お母さん…変なこととか喋ってないといいけど…」
加蓮「…こんな風に倒れるの、どれくらいぶりだろ」
加蓮「ちょっとは丈夫になったと思ったんだけどな…あーあ」
P「入るよー」がちゃっ
加蓮「ちょ、プロデューサー⁉︎」
P「ん?」
加蓮「ノックくらいしようよ…」
P「あ、ごめん、寝てるかなって思って…」
加蓮「もう…っていうか、その袋…」
P「これ? 私からのプレゼントフォーユー…っと」どさっ!
加蓮「はあ…お母さん…変なこととか喋ってないといいけど…」
加蓮「…こんな風に倒れるの、どれくらいぶりだろ」
加蓮「ちょっとは丈夫になったと思ったんだけどな…あーあ」
P「入るよー」がちゃっ
加蓮「ちょ、プロデューサー⁉︎」
P「ん?」
加蓮「ノックくらいしようよ…」
P「あ、ごめん、寝てるかなって思って…」
加蓮「もう…っていうか、その袋…」
P「これ? 私からのプレゼントフォーユー…っと」どさっ!
37: 2015/04/08(水) 14:45:46.82 ID:Fxpubhq+0
加蓮「そ、それはわかるんだけど…」
P「えーっと、ゼリーとかプリンとか…あと、バナナでしょ、栄養ドリンクに…」
加蓮「ぷっ…」
P「なにさ、なんかおかしい?」
加蓮「だって、バナナに栄養ドリンクはないでしょ~、
女の子のお見舞いでさ、ふふ、あはは!」
P「ふむ…普通に美味しいよ、バナナ」もぐもぐ
加蓮「アンタが食べるんかい…」
P「加蓮ちゃんの分もあるってば。お見舞いなんだしさ」
加蓮「そういう問題じゃ…はあ…なんか余計疲れたかも」
P「えーっと、ゼリーとかプリンとか…あと、バナナでしょ、栄養ドリンクに…」
加蓮「ぷっ…」
P「なにさ、なんかおかしい?」
加蓮「だって、バナナに栄養ドリンクはないでしょ~、
女の子のお見舞いでさ、ふふ、あはは!」
P「ふむ…普通に美味しいよ、バナナ」もぐもぐ
加蓮「アンタが食べるんかい…」
P「加蓮ちゃんの分もあるってば。お見舞いなんだしさ」
加蓮「そういう問題じゃ…はあ…なんか余計疲れたかも」
38: 2015/04/08(水) 14:46:15.56 ID:Fxpubhq+0
P「加蓮ちゃんもいる?バナナ」
加蓮「さすがにそこまで重いのは無理かな…あ、プリンもらってもいい?」
P「プリンね。 はい、ジャンボサイズ」ことっ
加蓮「プロデューサー…?」じろー
P「冗談だって、睨むな睨むな。 ほら、普通サイズ」
加蓮「うん…あのさ」
P「うん?」
加蓮「プロデューサー…いままでレッスン休んだことなかったのに…ごめんね」
P「!」
加蓮「さすがにそこまで重いのは無理かな…あ、プリンもらってもいい?」
P「プリンね。 はい、ジャンボサイズ」ことっ
加蓮「プロデューサー…?」じろー
P「冗談だって、睨むな睨むな。 ほら、普通サイズ」
加蓮「うん…あのさ」
P「うん?」
加蓮「プロデューサー…いままでレッスン休んだことなかったのに…ごめんね」
P「!」
39: 2015/04/08(水) 14:47:11.27 ID:Fxpubhq+0
加蓮「みっともないよね…まだ、まともなステージだって立ててないってのにさ。
逃げない、って決めた途端、これなんだもん」
P「…逃げる?」
加蓮「そ。 自分から、夢から、親から、周りから…プロデューサーからも。
結局私って、逃げてばっかりだったからさ」
加蓮「だから、逃げないって決めたの。
もう一度、夢だったアイドル、目指したいって思ったから」
P「加蓮ちゃん…うん、頑張ろ。一緒に、頑張ろうね」
加蓮「プロデューサー…ううん、プロデューサーさん。」
加蓮「…見ててね、きっと、私…あなたの期待に応えてみせるから」
ーーーーー
逃げない、って決めた途端、これなんだもん」
P「…逃げる?」
加蓮「そ。 自分から、夢から、親から、周りから…プロデューサーからも。
結局私って、逃げてばっかりだったからさ」
加蓮「だから、逃げないって決めたの。
もう一度、夢だったアイドル、目指したいって思ったから」
P「加蓮ちゃん…うん、頑張ろ。一緒に、頑張ろうね」
加蓮「プロデューサー…ううん、プロデューサーさん。」
加蓮「…見ててね、きっと、私…あなたの期待に応えてみせるから」
ーーーーー
40: 2015/04/08(水) 14:47:48.03 ID:Fxpubhq+0
ーそれから一月ほど経ったある日。
加蓮「…えっ、ラジオ…? 私が?」
P「うん。うちのアイドルはみんなデビューする時にやるんだけどね。
そろそろ加蓮ちゃんも挑戦してみないかなって。…どう?」
加蓮「やりたい! せっかくプロデューサーさんがくれたチャンスなんだもん…
絶対私、完璧にやってみせるから!」
P「あはは…うん、その意気。よし、じゃあ今日は特別レッスンね。
話し方の基本とか、みっちり仕込んであげる」
加蓮「…! うん! よろしくお願いします、プロデューサーさん♪」
P「おうよ、どんとこーい!」
ーーーーー
加蓮「…えっ、ラジオ…? 私が?」
P「うん。うちのアイドルはみんなデビューする時にやるんだけどね。
そろそろ加蓮ちゃんも挑戦してみないかなって。…どう?」
加蓮「やりたい! せっかくプロデューサーさんがくれたチャンスなんだもん…
絶対私、完璧にやってみせるから!」
P「あはは…うん、その意気。よし、じゃあ今日は特別レッスンね。
話し方の基本とか、みっちり仕込んであげる」
加蓮「…! うん! よろしくお願いします、プロデューサーさん♪」
P「おうよ、どんとこーい!」
ーーーーー
41: 2015/04/08(水) 14:48:16.48 ID:Fxpubhq+0
ーそんなこんなで紆余曲折あってラジオの収録も無事に終わった。
途中、加蓮ちゃんが倒れそうになるアクシデントもあったんだけど。
加蓮『大丈夫…! これくらいで、諦めたりしないんだから…』
加蓮『もう一度、頭からお願いします!』
強くなったね。本当に…。
ーーーーーー
途中、加蓮ちゃんが倒れそうになるアクシデントもあったんだけど。
加蓮『大丈夫…! これくらいで、諦めたりしないんだから…』
加蓮『もう一度、頭からお願いします!』
強くなったね。本当に…。
ーーーーーー
42: 2015/04/08(水) 14:48:56.03 ID:Fxpubhq+0
そして。
とうとうその時が来た。
ーLIVE会場ー舞台袖ー
加蓮「………」
P(緊張してるのかな…ほぐしたげないと…)
加蓮「プロデューサーさん。」
P「なんだい」
加蓮「さっき、ここからお客さん、見たんだけどさ」
加蓮「私を応援してくれる人…いるんだね」
P「…当たり前でしょ。 …私も、そうなんだから」
加蓮「……! うん!」
とうとうその時が来た。
ーLIVE会場ー舞台袖ー
加蓮「………」
P(緊張してるのかな…ほぐしたげないと…)
加蓮「プロデューサーさん。」
P「なんだい」
加蓮「さっき、ここからお客さん、見たんだけどさ」
加蓮「私を応援してくれる人…いるんだね」
P「…当たり前でしょ。 …私も、そうなんだから」
加蓮「……! うん!」
43: 2015/04/08(水) 14:49:35.78 ID:Fxpubhq+0
「お待たせいたしました。それでは大きな拍手でお迎えください。」
アナウンス。始まろうとしている。
一世一代、二人の初めてのステージ。
P「…加蓮ちゃん…」
加蓮「大丈夫。」にこっ
P「え…」
加蓮「あなたの育てたアイドルだよ?プロデューサーさん」
P「………!」じわっ
加蓮「行ってくるね…夢を、叶えてくるから」たたたっ
P「行ってらっしゃい! ここから、見てるからね…!」
加蓮「………」こくん
「歌い手は、北条加蓮さん。曲のタイトルはー」
加蓮「…薄荷-ハッカ-」
ーーーーー
アナウンス。始まろうとしている。
一世一代、二人の初めてのステージ。
P「…加蓮ちゃん…」
加蓮「大丈夫。」にこっ
P「え…」
加蓮「あなたの育てたアイドルだよ?プロデューサーさん」
P「………!」じわっ
加蓮「行ってくるね…夢を、叶えてくるから」たたたっ
P「行ってらっしゃい! ここから、見てるからね…!」
加蓮「………」こくん
「歌い手は、北条加蓮さん。曲のタイトルはー」
加蓮「…薄荷-ハッカ-」
ーーーーー
44: 2015/04/08(水) 14:50:03.12 ID:Fxpubhq+0
ーLIVE後、公園のブランコー
P「…終わったね」
加蓮「うん、始まったね」
P「…神様がくれたー時間はー溢れる…♪」
加蓮「…なに、突然。」
P「あと…どれくらいかな」
加蓮「…ずっと一緒だよ。 諦めるにはまだ早いって、
神様のワガママに振り回されてきたんだもん」
加蓮「それくらいは、大目に見てもらわなくちゃ」
P「…終わったね」
加蓮「うん、始まったね」
P「…神様がくれたー時間はー溢れる…♪」
加蓮「…なに、突然。」
P「あと…どれくらいかな」
加蓮「…ずっと一緒だよ。 諦めるにはまだ早いって、
神様のワガママに振り回されてきたんだもん」
加蓮「それくらいは、大目に見てもらわなくちゃ」
45: 2015/04/08(水) 14:50:31.68 ID:Fxpubhq+0
P「そっか…ふふ…嬉しいな」
加蓮「私さ。プロデューサーさんに出会わなかったら…きっと変われなかった。」
加蓮「だから、これからはさ、いっぱい恩返し、しなくちゃいけないし。」
P「うん、どんどん返してくれていいよ」
加蓮「ふふっ、じゃあ今度、ネイルやったげよっか。私、そういうの得意だからさ」
P「へえ…じゃあ、そのネイルも自分でやったの?」
加蓮「うん、って言っても、今日のはライブもあったから抑えめなんだけど。
それしかやることなかったからねー病院。私って健気~♪」
P「健気…? 健気ってなんだっけ」
加蓮「うわー、そんな事言う人にはやってあげたくなくなっちゃうかもよー?」
P「嘘ですごめんなさい、加蓮ちゃんは大変健気でいい子だと思いますですはい」
加蓮「よろしい♪」
加蓮「私さ。プロデューサーさんに出会わなかったら…きっと変われなかった。」
加蓮「だから、これからはさ、いっぱい恩返し、しなくちゃいけないし。」
P「うん、どんどん返してくれていいよ」
加蓮「ふふっ、じゃあ今度、ネイルやったげよっか。私、そういうの得意だからさ」
P「へえ…じゃあ、そのネイルも自分でやったの?」
加蓮「うん、って言っても、今日のはライブもあったから抑えめなんだけど。
それしかやることなかったからねー病院。私って健気~♪」
P「健気…? 健気ってなんだっけ」
加蓮「うわー、そんな事言う人にはやってあげたくなくなっちゃうかもよー?」
P「嘘ですごめんなさい、加蓮ちゃんは大変健気でいい子だと思いますですはい」
加蓮「よろしい♪」
46: 2015/04/08(水) 14:51:27.09 ID:Fxpubhq+0
P「ふう…なんか、変わんないね、私たちって。」
加蓮「案外、ちょっとずつ変わってるかもしれないけどね。
でも…うん。 これぐらいが、私たちらしいかも、ね。」
P「いこっか。次のステージが、私たちを待ってるよ」すくっ
加蓮「きっとすぐそこで、だよね。…じゃあ、プロデューサーさん」
差し出された手。私はそれを強く握りしめた。
加蓮「ぎゅっ…ふふ、あったかい」
彼女の夢が遠くへ行ってしまわないように。
P「よし、走るよ、全速力!」
加蓮「わわ、早いって、もう、プロデューサーさんってば」にこにこ
彼女と、これから先もずっと一緒にいられるように。
ーおしまいー
加蓮「案外、ちょっとずつ変わってるかもしれないけどね。
でも…うん。 これぐらいが、私たちらしいかも、ね。」
P「いこっか。次のステージが、私たちを待ってるよ」すくっ
加蓮「きっとすぐそこで、だよね。…じゃあ、プロデューサーさん」
差し出された手。私はそれを強く握りしめた。
加蓮「ぎゅっ…ふふ、あったかい」
彼女の夢が遠くへ行ってしまわないように。
P「よし、走るよ、全速力!」
加蓮「わわ、早いって、もう、プロデューサーさんってば」にこにこ
彼女と、これから先もずっと一緒にいられるように。
ーおしまいー
48: 2015/04/08(水) 14:56:38.86 ID:Fxpubhq+0
はい、ここまでになります。
思えばモバマスを始めたきっかけは、彼女だったりします、僕の場合。
とある方のSSモバP「加蓮の親愛度がMAXになった」を読んで、ですね。
無課金ですけど。おまけに浮気性で…
夕美ちゃんも加蓮もいい位置にいますよね。それがすごく嬉しくて…
それでは、前回言い忘れていた言葉を添えまして依頼とさせていただきます。
どうもありがとうございました!
思えばモバマスを始めたきっかけは、彼女だったりします、僕の場合。
とある方のSSモバP「加蓮の親愛度がMAXになった」を読んで、ですね。
無課金ですけど。おまけに浮気性で…
夕美ちゃんも加蓮もいい位置にいますよね。それがすごく嬉しくて…
それでは、前回言い忘れていた言葉を添えまして依頼とさせていただきます。
どうもありがとうございました!
引用元: 北条加蓮「もう一度だけ、夢を見て」
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