1: 2012/02/22(水) 21:10:18.02 ID:4T0N6fwe0
憂「それじゃ行ってきまーす」

憂「って誰もいないんだけどね」

平沢憂の一日は始まる

マンボウが向かい合った柄のマフラーを巻いて、誰もいない家をあとにする

86: 2012/02/23(木) 00:58:16.93 ID:cw683RQk0
前作です
5: 2012/02/22(水) 21:15:32.65 ID:4T0N6fwe0
憂「おはよう」

梓「おはよ憂」

純「今日も寒いね~」

憂「うん、でもマフラーあったかいから」

梓「そのマフラーかわいいよね」

7: 2012/02/22(水) 21:20:58.85 ID:4T0N6fwe0
憂「そろそろHR始まるよ」

純「は~い」

梓「それじゃね」

憂「うん」

憂(今日は一段と寒いなあ)

10: 2012/02/22(水) 21:27:31.05 ID:4T0N6fwe0
昼休み

梓「ねえ憂、今日暇?」

憂「暇だけど、どうして?」

梓「いや別に、聞いただけだよ」

憂「そっか」

梓「気にしないでね」

憂「うん」

11: 2012/02/22(水) 21:32:29.19 ID:4T0N6fwe0
純「どうだった?」

梓「特に用事はないみたい」

純「じゃあ準備しなきゃね」

梓「うん、ぱーっとお祝いしよう!」

純「あ、憂って自分の誕生日忘れてそうな感じしない?」

梓「するする、最近ぼーっとしてる事多いし」

純「きっと驚くぞー」

梓「楽しみだね」

13: 2012/02/22(水) 21:39:20.55 ID:4T0N6fwe0
梓「場所は私の家でいいよね」

純「うん、さすがに憂の家でやるのはちょっとね」

梓「私たちで憂をおもてなし出来るのか心配だけど」

純「それは・・・たしかに」

純「あ、梓のお父さんとお母さんは今日いないの?」

梓「出かけるって言ってた」

純「料理とかどうしよっか」

梓「う~ん」

梓「出前でもいいけど、きっと私たちが作った方が喜んでくれるよ!」

梓「・・・多分」

純「・・・頑張ろう」

17: 2012/02/22(水) 21:49:44.99 ID:4T0N6fwe0
梓「憂」

憂「なあに?」

梓「今日私の家に来ない?」

憂「いいの?」

梓「うん、たまには私の家で遊ぼうよ」

憂「わ~ありがとう梓ちゃん、楽しみだよ!」

梓「うんうん、楽しみにしててね」

憂「うん!純ちゃんも来るんでしょ?」

梓「うん」

純「私も居て嬉しい?」

梓「あ、純」

憂「とっても嬉しいよ!」

純「そうかそうか、可愛い奴め」

19: 2012/02/22(水) 21:58:00.23 ID:4T0N6fwe0
憂「あ、そろそろ昼休み終わるよ」

梓「そうだね、それじゃまた」

純「今夜は寝かさないぞ子猫ちゃん」

憂「あはは」

梓「何言ってるんだか」

21: 2012/02/22(水) 22:07:00.20 ID:4T0N6fwe0
放課後

梓「ちょっと部屋が散らかってるから、片付いたら連絡するね」

憂「うん」

純「何が散らかってるのやら」

梓「ちょ、変なこと言わないでよ」

憂「変なこと?」

純「何何?パンツとか散らかってたりして」

梓「もう純やめてよ!」

純「冗談冗談」

憂「ふふ」

梓(パーティーの準備って言えないから仕方なくごまかしてるんでしょ!)コソコソ

純(わかってるけどさ)コソコソ

23: 2012/02/22(水) 22:13:51.11 ID:4T0N6fwe0
梓「それじゃあ準備出来たら呼ぶからね、二人とも」

憂「はーい」

純「早く準備するんだよ」

梓「何か言った?」

純「いえ別に」

梓「あとご飯も用意するからね」

憂「そんな、迷惑じゃないかな」

梓「全然迷惑じゃないから!とにかく今日はご飯支度しなくていいからね、分かった憂?」

憂「う~ん、分かったよ」

梓「ほんとに気にしなくていいからね」

憂「うん」

25: 2012/02/22(水) 22:18:21.88 ID:4T0N6fwe0
梓「それじゃとりあえず」

純「ばいばーい」

憂「うん、それじゃ」

梓「・・・」

純「・・・」

梓「さて、準備にとりかかろうか」

純「何からやればいいのかさっぱりだよ」

梓「とりあえず料理とケーキだよね」

純「難易度高そう」

梓「・・・」

純「あ、憂に手伝ってもらえば」

梓「それじゃ意味無いでしょ!」

純「そっか」

27: 2012/02/22(水) 22:27:34.16 ID:4T0N6fwe0
梓「買い出しにも行かなきゃ」

純「私一回帰って着替えてきていい?」

梓「いいよ」

純「着替えたら梓の家に行く?」

梓「うん、じゃあ家で待ってる」

純「じゃ急いで着替えてくるから」

梓「早くねー」

純「はいはい」

梓「・・・ちょっと部室に顔出してこよ」

28: 2012/02/22(水) 22:35:50.48 ID:4T0N6fwe0
部室

梓「・・・というわけで今日はお休みさせてください」

澪「そっか、楽しんでこいよ」

梓「はい!」

律「今日はせっかく真面目に練習しようと思ったのになー」

梓「す、すいません」

澪「さっきまでずっとお茶してただろ!」ゴツン

律「痛って!」

律「・・・仕方ない、今日だけだぞ」

紬「何か困ったことがあったら連絡してね」

梓「はい、ありがとうございます」

30: 2012/02/22(水) 22:37:34.18 ID:4T0N6fwe0
梓「それじゃ失礼します」ガチャ

澪「また明日な」

梓「はい、さようなら」バタン

梓「・・・さて、帰ろう」

梓「何作ろっかな」

32: 2012/02/22(水) 22:40:03.91 ID:4T0N6fwe0
梓「ケーキってどうやって作ればいいんだろう」テクテク

梓「ん?純からメールだ」

梓「『まだ帰ってきてないの?』って・・・」

梓「純もう来てるの!?早すぎでしょ!」タタタ

梓「なんでこういう時だけ早いのー!?」タタタ

梓「純の馬鹿ー!」タタタ

35: 2012/02/22(水) 22:45:14.26 ID:4T0N6fwe0
純「あ、梓遅いよ」

梓「なんでこんなに早いの・・・」ハァハァ

純「ん?送ってもらったんだ」

梓「そんな、聞いてない・・・」ハァハァ

純「まあ走ってきたみたいだし許してあげよう」

梓「どうも・・・」ハァ

純「じゃあ買い物に行こっか」

梓「ちょっと待って、私も着替えてくる」

純「早くねー」

梓「うん」

36: 2012/02/22(水) 22:51:30.51 ID:4T0N6fwe0
スーパー

梓「着いた」

純「さて、何を買うの?」

純「いや、その前に何を作るかだよね」

梓「家に料理とかお菓子作りの本があったから持ってきたんだ」

純「おお」

梓「これを見ながら買っていこう」

純「用意が良いね」

梓「私にまかせて!」

純「まかせた!」

純(私は何も考えなくていいから楽できて助かるなあ)

梓「・・・とか思ってないよね」

純「え?ぜ、全然思ってないよ!」

37: 2012/02/22(水) 22:55:32.05 ID:4T0N6fwe0
梓「とりあえずこんなもんかな」

純「結構買うんだね」

梓「失敗した時用だよ」

純「・・・」

梓「?」

純「いや、なんでもない」

梓「ならいいけど」

38: 2012/02/22(水) 23:00:46.79 ID:4T0N6fwe0
梓の家

梓「じゃあ作っていくよ」

純「まかせた!」

梓「これは純もやるの!」

純「くそう、やっぱりか」

梓「本の通りに作ればきっと出来るって」

純「まあ失敗しても予備があるしね」

梓「そういうこと」

純「よし、一丁やりますか!」

40: 2012/02/22(水) 23:10:51.70 ID:4T0N6fwe0
梓「いい感じじゃない?」

純「そうだね、失敗とかもしてないし」

梓「じゃあそろそろ憂呼ぼっか」

純「私メールするよ」

梓「うん・・・あ、待って」

純「?」

梓「誕生日パーティーの事を悟られちゃまずいからね、私が送るよ」

純「それもそうだね」

梓「『もう来ても大丈夫だよ、待ってるね』と」

純「あれ?私にも来たよ」

梓「純も同時に呼んだって事にするためだよ、送信者一覧とか見るかも知れないし」

純「なるほど」

41: 2012/02/22(水) 23:12:26.60 ID:4T0N6fwe0
梓「あ、返信来たよ」

純「なんて?」

梓「今から来るって」

純「じゃあ早く仕上げないと」

梓「そうだね」

純「憂どんな顔するかな?」

梓「きっと喜んでくれるよ」

43: 2012/02/22(水) 23:14:07.11 ID:4T0N6fwe0
平沢家

憂「さて、行こうかな」

憂「じゃあ行ってきまーす」

憂「・・・」

憂「あったかいな~・・・このマフラー・・・」

憂「・・・」

47: 2012/02/22(水) 23:24:00.77 ID:4T0N6fwe0
憂「・・・」テクテク

憂「楽しみだな」テクテク

憂「梓ちゃんがご飯作ってくれてるのかな」テクテク

憂「・・・」

憂「なんだろう」

憂「なんなんだろう、この気持ち」

憂「・・・考えてもわかんないや」

49: 2012/02/22(水) 23:29:26.32 ID:4T0N6fwe0
ピンポーン

梓「あ、憂来たかな」

純「私出るよ」

梓「うん」

純「いらっしゃい」ガチャ

憂「あ、純ちゃんの方が早かったんだ」

純「え?あー・・・うん私も今着いた所だよ」

憂「そっか」

純「ほら、中入って」

憂「おじゃましまーす」

50: 2012/02/22(水) 23:32:23.62 ID:4T0N6fwe0
梓「いらっしゃい」

憂「おじゃまします」

純「・・・」

憂「?」

純(どのタイミングで言うの?)コソコソ

梓(あ、えっと)コソコソ

純(じゃあいっせーのーでで言おう)コソコソ

梓(うん)コソコソ

憂「?」

梓純(いっせーのーで)

53: 2012/02/22(水) 23:39:29.41 ID:4T0N6fwe0
梓純「憂誕生日おめでとう!」

憂「えっ?」

梓「今日は憂の誕生日パーティーです!」

純「サプライズだよサプライズ!」

憂「あ、今日って2月22日・・・」

純「やっぱり忘れてたんだ」

梓「憂らしいと言えば憂らしいね」

憂「そっか、今日私の誕生日だったんだ」

憂「・・・」


―――うい、誕生日おめでとう!

57: 2012/02/22(水) 23:44:08.48 ID:4T0N6fwe0
憂「!?」

梓「どうしたの?」

憂「え?」

純「?」

憂「あ、ううん何でもないよ」

憂(今何か聴こえたような気が・・・)

憂(気のせい・・・だよね)

梓「ほらほら座って!」

純「今日の主役は憂なんだから!」

憂「あ、ありがとう」

憂「本当にありがとう、梓ちゃん。純ちゃん」

59: 2012/02/22(水) 23:49:41.89 ID:4T0N6fwe0
梓「ほら、憂のために色々作ったんだよ!」

純「憂には敵わないけどね」

憂「ううん、とっても美味しそう!」

梓「料理だけじゃなくケーキも作ったんだよ!」

純「すごいでしょ!」

憂「うん!すごいよ二人とも!」

梓「ほらほらコート脱いで、マフラーも取って」

純「前から思ってたんだけどさ、そのマフラー可愛いけど憂が買いそうな柄じゃないよね」

憂「そんなことないよ~これ気にいってるんだよ?」

憂「・・・」

憂「うん、このマフラー気にいってるんだ」

梓「?」

純(なんで2回言ったの?)

62: 2012/02/22(水) 23:53:29.52 ID:4T0N6fwe0
梓「さ、どんどん食べて!」

憂「ありがとう梓ちゃん」

純「今日はとことん付き合ってあげる!」

憂「ありがとう純ちゃん」

憂「・・・」

憂(なんでだろう)

憂(嬉しいはずなのに)

憂(・・・感情が心に留まらない)

憂(・・・心の中に風穴が開いてるみたい)

憂(口から出る言葉も本心のはずなのに)

憂(心の底から声が出ない・・・)

憂(どうして・・・?)

63: 2012/02/22(水) 23:59:14.12 ID:4T0N6fwe0
梓「それでね・・・」

純「うそー?・・・」

憂「あはは・・・」

憂(話が頭に入ってこない・・・)

憂(なんで?梓ちゃんと純ちゃんと一緒に誕生日パーティーしてるんだよ?)

憂(楽しいはずなのに、嬉しいはずなのに)

憂(どうしちゃったんだろ、私)

梓「あ、もうこんな時間」

純「明日も学校だしそろそろ片付けよっか」

憂「・・・」

梓「憂?」

憂「・・・あ、そうだね」

65: 2012/02/23(木) 00:01:25.80 ID:cw683RQk0
純「楽しくて時間忘れちゃった?」

憂「う、うん。ごめんね」

梓「いいのいいの」

純「それじゃ梓片付けよろしく」

梓「純もやるの!」

純「やっぱり?」

憂「私やるよ」

梓「駄目!憂はゆっくりしてて」

純「そうそう、誕生日くらい休んでてよ」

68: 2012/02/23(木) 00:07:12.41 ID:4T0N6fwe0
憂「それじゃお言葉に甘えて・・・」

梓「うん」

純「私もお言葉に甘えたいんだけど」

梓「駄目」

純「この扱いの差は何?」

梓「ほら早く」

純「はいはい」

憂「・・・」

憂(ごめんね梓ちゃん純ちゃん)

憂(せっかくお祝いしてくれたのに、私全然楽しんでなかった)

憂(楽しみたかったな・・・)

憂(・・・)

70: 2012/02/23(木) 00:12:22.20 ID:cw683RQk0
梓「ふう、終わったね」

純「じゃあそろそろ帰ろっか」

憂「・・・うん」

梓「憂、今日は来てくれてありがとね」

憂「え?そんなお礼を言うのはこっちだよ」

純「そんなことないよ、いつもお世話になってるし」

梓「そうそう」

憂「・・・ありがとう」

梓「謙虚だね憂は」チラッ

純「なんで私の方を見るの」

梓「いや別に」

憂(ほんとはごめんなさいって言わなきゃ駄目なのに)

憂(ごめんね・・・)

74: 2012/02/23(木) 00:22:26.17 ID:cw683RQk0
純「それじゃあね」

梓「うん」

憂「・・・今日はとっても楽しかったよ」

梓「こっちこそ、すごく楽しかったよ」

純「またやろうね!」

梓「そうだね」

憂「じゃあおやすみ」

梓「おやすみー」

純「ばいばーい」

76: 2012/02/23(木) 00:25:04.04 ID:cw683RQk0
純「それじゃまた明日ね」

憂「うん、気をつけてね」

純「憂もねー」

憂「・・・」

憂「・・・」テクテク

憂「なんなんだろう、この気持ち」

77: 2012/02/23(木) 00:29:58.84 ID:cw683RQk0
憂「悲しい訳じゃないんだよね」

憂「何だろう」

憂「体の一部分が無くなっちゃったみたいな感覚」

憂「・・・」

憂「どうして・・・」

憂「どうして泣いてるんだろう私・・・」ポロポロ

憂「悲しくも嬉しくもないのにどうして・・・」ポロポロ

79: 2012/02/23(木) 00:37:44.30 ID:cw683RQk0

―――憂、大好きだよ


憂「・・・」

憂「・・・帰ろう」

誰かの声が聴こえたような気がしたが、憂にはそれが誰の声か分からなかった

自分はどうしてしまったのか

何故こんな気持ちになるのか

いくら考えても分かる事はない

この世界に平沢唯はいないのだから

81: 2012/02/23(木) 00:49:48.76 ID:cw683RQk0
私の名前は平沢憂です

桜が丘高校に通う2年生で、部活には入っていません

仲のいい友達と毎日楽しく過ごしています

でもどんなに笑いあっても、語らいあっても

私は何も感じないのです

そうしていつしか私はこう思うようになりました

私は世界でひとりきり、と

82: 2012/02/23(木) 00:50:09.55 ID:cw683RQk0
おしまい

83: 2012/02/23(木) 00:51:40.67 ID:+cp3DV9T0

90: 2012/02/23(木) 01:17:29.26 ID:cw683RQk0

それから

93: 2012/02/23(木) 01:22:51.71 ID:cw683RQk0
平沢家

憂「う~ん、よく寝た」

憂「さてとご飯支度しなくちゃ」

憂「~♪」

94: 2012/02/23(木) 01:25:13.33 ID:cw683RQk0
憂「よし、出来た」

憂「お弁当もよし、と」

憂「さてと」

憂「入るよー?」コンコン

憂「・・・」

憂「ほら起きて!お姉ちゃん!」ガチャ

96: 2012/02/23(木) 01:26:34.41 ID:cw683RQk0
今日も平沢憂の一日が始まる

97: 2012/02/23(木) 01:26:59.42 ID:cw683RQk0
おしまい

99: 2012/02/23(木) 01:36:11.68 ID:+cp3DV9T0

引用元: 憂「私は世界でひとりきり」