1: 2012/10/03(水) 20:59:11.14 ID:OB1mctyDO
ほのぼの


2: 2012/10/03(水) 21:00:07.87 ID:OB1mctyDO


菫(おはようございます。ドラム初心者の斉藤菫です)


菫(夏休みが終わって新学期が始まりました。だけど夏の暑さは終わってくれません……先日も庭でカブトムシを見かけました)


菫(今年は去年までより充実した長期休みでした。イタズラに増えるお仕事を夜に回したりして、ドラムの自主練を精一杯楽しめました)


菫(これは直ちゃんが練習に付き合ってくれたおかげです)


菫(その直ちゃんは まだお家でおやすみでしょう)


菫(なにせ今は早朝。登校の許されたギリギリの時間帯)


菫(つまり わたし一人で登校してきたわけです)


菫(同時にチャンスですっ)


菫(たまたま見かけて以来も、貴女はほぼ毎日部室に通い続けておられますね。だから今日も、いつものアレを期待して来ました)


菫(ぬき足 さし足 しのび足)


菫(音を立てず階段を上るなんてメイドなら基本中の基本ですっ)


菫(決して貴女のジャマはしません。わたしはただ眺めて…いえ、見守っていたいだけ)


菫(部室の扉に窓があってよかった。おかげで室内の様子をしっかり確認できるから)



梓「~.~・"~."~・"~」


梓「…………」首プルプルプル


梓「~.~・~.~・"~♪」



菫「はぁ~ 梓センパイの発生練習 カワイイなぁ~♪」ハゥ

3: 2012/10/03(水) 21:02:40.41 ID:OB1mctyDO

菫「あいかわらずみなさんに隠して練習してるんですね こんな早い時間に」

菫「フフ、ドア越しでもよく聞こえますよ先輩の声」


梓「~.~・~.~・~♪」


梓「…」ガッツポーズ!


菫「うまくいったみたい。仕草がいちいちカワイイな」


梓「ゴクン ゴクン」


菫「あぁ のど渇いて持参の水筒飲んでる…。こういうときお茶を入れてあげたいのに 私は見てるしかできない……」


梓「……」トテトテ トテトテ


ラジカセ「 」


菫「音合わせ用のテープ巻き戻し中。始めからもう一回発声するっぽい」

菫「クスクス、梓センパイが動くとツインテがぴょんぴょこ跳ねて まるで生きてるみたい」

菫「あっ! 片足で立ってバランスとりはじめた。ひろげた両腕が可愛いらしい…これはレアなセンパイ!」

菫「なのにラジカセの方を向いてて顔が見れない! こっち振り向いてくださいセンパイ! お顔を見せてください!」

4: 2012/10/03(水) 21:05:56.14 ID:OB1mctyDO


ラジカセ「~・~・~・~――」


梓「~・~・"~」


梓「…!」


梓「……コホンッ」


梓「~・~・"~・"……」


梓「~・! ~・!」


梓「……~・~・"…」


梓「~~~~~~!!」


菫「あぁ… またうまく発声できなくていらだってる……カワイイけど。全体的に」

菫「がんばってください先輩!」

菫「えっと… いつもならあと15分で自主練終える」

菫「そしたら先輩はラジカセとか片付け始めるから、わたしはここを離れる。先輩が戸締まり終えて部室の鍵を返したら、」

菫「こんどは私が部室でくつろいで、朝の先輩を思い出しながら癒される!! 完璧!!」

菫「フフフフフフフフフフ」


梓「うぅ寒い……冷房入ってるのこの部屋?」

5: 2012/10/03(水) 21:09:36.14 ID:OB1mctyDO


梓「~・~・~・~゚"~♪」


菫「こうして見てると合宿を思い出すなぁ」

菫「誰もボーカルに乗り気じゃないから、梓センパイがむりやり持ち上げられて、なりゆきでピアノの音に声を合わせるレッスンしたんだよね」

菫「はぁ… ちょっと音痴で苦労してるセンパイいじらしくて~♪」

菫「それにきれいに焼けたお肌に、肩紐で日焼けてない線が目立ってチャームポイント♪ あんなにこんがり焼けた子 近場では見ないな~」

菫「あっ…」

菫「あぅぅ………」

菫「……日焼けの話から合宿のおふろの梓先輩を思い出したらドキドキしてきた…///」

菫「見た目どおりなんだもん…わたしと違って、いろんなところがつるつる……お肌とか…うん…///」

菫「露を転がすような肌ってあんな感じだろうな…。お肌だけでなくて、髪の一本一本もつるつるさらさらしてた。髪下ろすと梓先輩ストレートでくせっ毛ないしで驚いちゃった」

菫「…あの綺麗な髪を毎日お世話してみたい」

菫「あぁぅ またさわってみたい……櫛でとかしたい…お嬢様の髪とどんな風にとかし心地ちがうかな……匂いも堂々と嗅ぎたい…お世話したあとにうれしそうな顔で振り向いてお礼言ってほしい…ハァハァ…///」

憂「へぇ このところ梓ちゃんが朝早いのは こういうことだったんだ♪」

菫「うひゃーーっ!?///」

6: 2012/10/03(水) 21:11:12.11 ID:OB1mctyDO

憂「おはよースミーレちゃん」

菫「憂センパイ!? なんでここに!」

憂「奥田さんもいるよ」

直「……」ホクホク

菫「お、おはよう直ちゃん…なんで嬉しそうなの?」

菫「ってそうじゃなくて! いまのひとり言聞いてました?!」

憂「ううん? ブツブツとしか」

菫「ホッ よかった……(バレたら軽音部に居られない…)」

憂「やけに楽しそうなのは伝わってきたけど♪ なに考えてたの?」

菫「うああ……ぜったいに言いません!///」

菫「あ゛っ声潜めないと! 梓センパイのジャマしちゃいます!」

憂「さわいでるのスミーレちゃんだけだよ…?」

菫「あうっ いけない…」

菫「とにかく、静かにしましょう。梓センパイに気づかれちゃいますから!」

梓「ええ おかげさまでッ!!///」

菫「ヒャーーーーーーーッ!!」

7: 2012/10/03(水) 21:14:16.62 ID:OB1mctyDO

梓「いつから見てたー!!」

菫「ヒィッ! 四十分くらい前ですぅ…」

梓「ほとんど最初っからじゃん!! ウガァーーーーッ///」

菫「ごめんなさーい!!」

憂「スミーレちゃんを怒っちゃダメだよ梓ちゃん!」

梓「ちがう! 自己嫌悪!」

梓「アーーもうッ!! 一人きりだと思って油断してた! 発声練習ミスってばっかだし! 恥ずかしいとこ見られまくりじゃん!」

憂「恥ずかしくなんてないよ!」

梓「なっ」

憂「ほらスミーレちゃんの腕、抱いたらこんなに震えてる」ギュッ

菫「あ…その……」ブルブル

憂「梓ちゃんがおかしくなったらスミーレちゃんは自分を責めるよ? 部長の梓ちゃんが頑張ってるとこ見て、自分を奮い起こしたかっただけなのに!」

梓「ぐっ…部長の……」

憂(効いてる効いてる)

憂「ね? スミーレちゃん」ニコッ

菫「は…はい……」

菫(すいません、やましい気持ちでいっぱいでした)

梓「…コホンッ」

梓「ま、まぁそーゆーことなら? 楽器経験者のわたしだって菫みたいに地道な努力を重ねてきたんだし? 今日見たことは……そうだ! 今はヘタでもいつか努力は実る、て信じるキッカケになればいいんじゃないかなあ?」

菫「は…はい! これからも頑張ります先輩!」

直「でも覗いてたの今日だけじゃないでしょ菫」ホクホク

梓「いつから見てたーーーーッ!!///」

菫「せっかく治まりかけてたのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」

8: 2012/10/03(水) 21:18:13.02 ID:OB1mctyDO

梓「うわあ……もうダメだ。一人になるのがこわい…無防備なわたしを誰かに見られてるかもと思うと……ぁぁ…」

憂「おおげさだなぁ」

菫「ごめんなさい…」

梓「もう自主練なんてしないッ!!」

菫「えぇー!?」

唯「梓ちゃんこっち向いて!」

梓「こんどは何! …ってまた唯センパイの真似かーッ!!」

唯(憂)「ほらほらだいすきな唯センパイだよー!」

梓「こっちくんな! 抱きつき禁止!」

憂「ひどいよぉ 一人はイヤだっていうからお姉ちゃんになってすぐ傍で見守ろうと思ったのに(はあと」

梓「背後霊かッ……」ゾゾゾッ

憂「わがままだなぁ」

憂「じゃ 梓ちゃんの自主練にスミーレちゃんが付き添ってあげて? これなら一人じゃないよ」

菫「へっ…?」

直「あ それなら私もお手伝いします」

梓「えっ えぇ!? いいよしなくて! 菫たちは菫たちで頑張ってよ! わたしが自主練やめるってだけだし!」

憂「ほんとうにやめちゃうの…?」

9: 2012/10/03(水) 21:19:07.03 ID:OB1mctyDO

憂「あずさちゃん見てると心配になっちゃう…」

梓「なにがよ…」

憂「去年のお姉ちゃんたちも今のあずさちゃんみたいにすぐ挫折してたのかなって……」グスン

梓「ッ!!」

梓「先輩たちはそんなことしないッ…!」

梓「あーもう! わかったよ! 自主練! やればいいんでしょ やれば!」

菫「せんぱぁい……!」

直「全力でサポートしますよ」

梓「待って それは一旦保留で…」

菫直「……」ショボン

梓「も、もうすこしだけ一人でやらせて……自分が納得できるところまで出来るようになったら、ね?」

菫「はい、いつでも言ってください」

梓「あと覗き禁止っ!」

菫「は…はいっ(ギクッ)」

梓「よーっし! ごたごたしたけど 放課後はしっかり練習しよう!!」

菫直「おーっ!」

憂「おー!」


梓 < 自主練中に見てきたことは内緒にしてネ?

菫 < 目がマジですぅーっ!!


憂(お姉ちゃんたちの影響力すごいなぁ)

憂(すこし引き合いに出すだけで梓ちゃんが立ち直った。なんだかお姉ちゃんに妬いちゃいそう、なんてね♪)

憂(だけど…。んー……スミーレちゃんたちと距離をひらいてるように見えるなあ…。自主練に付き合ってもらえばいいのに)

憂(梓ちゃんは自覚なさそう)

10: 2012/10/03(水) 21:22:26.55 ID:OB1mctyDO

昼休みの教室


菫「あぁー また食事中に本読もうとする」

直「……・・・」ジッ

菫「目で抗議しないで。ごはん落として本汚したらどうするの」

直「・・・・・・」イソイソ…

菫「本しまう最中までこっち見続けないで…」

直「…今日も私とお昼食べるの?」

菫「えー! さっきの注意でそこまで傷つく!?」

直「いや そうじゃなくて…」

直「なんでもない」ホクホク

菫「ちょっとなにその悪そうな顔ー! 言ってよぅ!」



クラスメイト一同(奥田さんの表情よく読めるなあ菫ちゃん……悪そうな顔…?)



菫「ねっねっ 直ちゃんのきんぴらと私のおかず交換しよ」

直「肉」

菫「やった♪ いただきっ」

直「それはそうと菫さ、実際いつから中野先輩の朝練見てたの」

菫「ゴフォオッ!」

直「いい噴きっぷり」ホクホク

菫「な、なんで蒸し返すのその話題!」

直「気になる」

直「ただ自主練してるだけなら、菫に見られてたからって普通あんなに荒まないでしょ」

菫「不良みたいに言わないであげてよぅ」

11: 2012/10/03(水) 21:23:16.47 ID:OB1mctyDO

菫(話すな、て梓センパイに念押されてるしごまかさないと……)

菫「直ちゃんが聞いてもつまんないよ? うん、きっとそう! まちがいなし! もしかしたら私たちにはなんでもないことでも、梓センパイにとっては恥ずかしいことなのかも?」

直「そのなんでもないことの詳細を聞かせて。なんでもないんだし」ゴソゴソ

菫「おもむろにパソコン取り出そうとしなーいっ。なにする気」

12: 2012/10/03(水) 21:25:24.41 ID:OB1mctyDO

菫「とにかく! 誰にだってプライベートがあるんだよ直ちゃん!」

直「…なのに菫は中野センパイのプライベートの練習を覗き見てたと」

菫「うっ…」

直「多分たまたま練習してるとこを目撃して手伝いたかったけど、ジャマにならないか心配で今日まで声かけられなかったんだろうけど」

菫(半分合ってる…)

直「見方を変えれば ストーカー」ホクホク

菫「ストー…人聞きわるいこと言わないでよぅ!」

菫「私そんなんじゃ…………ハッ」

菫(アレ そうだよね? 物陰から気づかれないように女の子をこっそり覗いて 楽しんだり興奮したり…… これってストーカー以外のなにものでもないんじゃ!? でもわたしも女の娘だから… 待って 男のひとと女の人で差別しちゃいけないって言うし、やっぱり犯罪!? でもでも わたし やましい気持ちはあっても お姉ちゃんの好きなソッチの気はないから犯罪にならないよ!! そりゃ ながめたり抱きしめたりしたいけどそこまでだし!! アッ わたしが女の子にそういうことするとお姉ちゃん眼が怪しくなってた!! ソッチ系ってキ、キスとかタイが曲がっるのを直すやつで ながめたり抱きしめたり程度は ってだからそれがストーカーだって直ちゃん言ったじゃん!! じゃ わたし ストーカーなの!? ううん そんなはずはないよ ないよね ないない お姉ちゃんに賭けて言える ってそのお姉ちゃんが信用できな」


直「ごめん言い過ぎt」

菫「ちがうも゛ーーーーーーーーーんッッ!!///」

直「おぉっ!?」

クラス「!?」

13: 2012/10/03(水) 21:28:49.46 ID:OB1mctyDO

菫「    」←一つ前の記憶データを復元します…しばらくお待ち――

直「おいっ起きて」

菫「ハッ それを言ったら直ちゃんはどうなのッ!」

直「な なにっ?」

菫「かばんの中のパソコン! 部活中ずーっといじってるよね!」

直「うん 部活中だし」

菫「わたし気になってたの! 横から画面覗こうとすると ときどきサッて画面切り換えるよね! あのとき何してるの?!」

直「あぁ あれのこと? ただ部活中のみんなの様子を記録してるだけだよ」

菫「へっ・・・・・・?」

直「会話とか仕草とか。わかりやすく言えば軽音部の活動記録をつけてる」

菫「あのっ・・・・・・」

直「このことは中野先輩に話してあるよ。中身は見せてないけど」

菫「・・・・・・」

水筒「キュッキュッ カパッ チョロチョロチョロ…」

直「ゴクリ」


菫「ちょーーっとパソコン見せてくれるかなーー抵抗しないでさーーッ」グギギ

直「こ これは選ばれし者だけが見れる 呪いの文書であって…ッ」ギギギギ

菫「なんのゲームよぅッ!!」

14: 2012/10/03(水) 21:29:50.02 ID:OB1mctyDO

水筒「トポトポトポ ポ」

菫「ン…、」

菫「はあ…つかれた……」

直「おなじく…」

菫「んもぅ 変なこと書いてないよねー?」

直「それは心配ない。わたしにとっては変じゃないから」ホクホク

菫「うわぁ信用できない」

直「……」

直「さすがにそろそろ時間がマズイ」

菫「えっ なにが?」

直「やっぱり聞いてなかったんだ…。四限のホームルームで決めたじゃん」

菫「ごめん ちょっと考え事してて……」

菫(あの時間は学園祭での出し物をうちのクラスはどうしようか、て話が持ち上がってて)


菫『お化け屋敷に投票しようかな? こわいの苦手だけど こわがらせる側なら…』

菫『梓センパイを怖がらせてみたいし! 怪談に強いみたいだけど やっぱり見たいな、怖くて泣きそうな顔♪』

菫『誘えるといいなぁ。ちょっとかわいそうだけど かわいいだろうな~フフッ』

菫(でも友達から手紙が回ってきて 読んだら)

 "スミレってメイド好きでしょ? 軽音部でメイドのコスプレしてるし。わたしもやってみたいからメイド喫茶に票いれといてね。こっちでも何人か誘っとくv"

菫『わたしの意思はどこー!?』


菫(…でお化け屋敷とメイド喫茶の二択に迷ってるうちに 多数票でメイド喫茶に決定してて呆然としたんだ……)

菫「えっと 何決めたっけ…」

直「学園祭実行委員。職員室に行ってプリントを貰ったり渡したりする係で、この昼休みにプリント取りに来るよう言ってた」

直「その係は菫が担当することに」

菫「えっ もっと早く言ってよぅー! 昼休み終わりそうじゃん!!」

直「ちなみに推薦したのはわたし」ホクホク

菫「なんで!? っていうか最初に言いかけてたのそのことでしょーッ!!」

15: 2012/10/03(水) 21:31:48.18 ID:OB1mctyDO

菫「直ちゃんのいじわるっ! わー急いで行かないとー!」

直「………」

直「……」

直「…行った」

直「モグモグ」ごそごそ

直「……」カタカタ

直「モグモグ…」カタッ カタカタッ

菫「あー! やっぱり食べながらパソコンいじってる!!」

直「グフゥッ!! ゴホゴホッ!!」

16: 2012/10/03(水) 21:33:58.71 ID:OB1mctyDO

部活後の部室


直「…………」カタカタカタ

菫「・・・・・・」

直「…………」カタタッカタタ

菫「・・・・・・」

菫(……どうしたんだろう 今日の梓先輩)


部活の様子の回想


梓『学祭前の貴重な部活動なのになぁ…』


梓『今日はゆっくりみんなとお茶しながら おしゃべりすることに決めたの!』


梓『えへへ、部室でおしゃべりするのと可愛い後輩に抱きつくのは軽音部の伝統なの♪』


回想終了


菫(ひゃーー微笑えんだよ! ニコッて微笑んだよ! わたしの心キュンてなっちゃったよ!! カワイイーーーーッ///)

菫(って ちがくて!)

菫(部室に来た時練習する気満々だったのに、短時間でやめるなんておかしい!)

菫「ねえ直ちゃん、今日の梓センパイ…」

直「……」カタタタタタタタタ!

菫「…のあだ名ネタは記録しないであげようよ…猛烈にイヤがってたし…」

直「菫、"あずにゃん"について詳しく教えてッ」キランッ

菫「やっぱりそうなの! ムダにイイ顔するねムダに…」

菫「このタイミングじゃ教えられないよーっだ」

直「じゃ 山中先生!」

菫「そうか!! お嬢様が知ってるんだから先生も知ってて当たり前じゃん!!」

さわ子「おなか空いた~~~~あなたたちが帰らないと部室を施錠できないのよ~~~~~」プンプンッ

直「・・・・・・」

菫「ごめんなさい…」

17: 2012/10/03(水) 21:38:19.39 ID:OB1mctyDO

翌日


菫(結局昨日の梓センパイはなんだったんだろう……直ちゃんもわからないって言うし)

菫(朝から部室で待っててもセンパイ来なかったし…)

菫(自主練は続けるって言ってたのになあ)

直「菫、昼休みになったけど練習する? 付き合えるよ」


菫「ハッ やっぱり覗いてたことでわたし嫌われたんじゃぁ…!」

直「無視…」


菫(それはないよね…可愛い後輩って言ってくれたし……)

菫(可愛いのは梓センパイの方ですよぅ もー♪)ンフーッ

直「あのー もしもし…?」

18: 2012/10/03(水) 21:39:17.02 ID:OB1mctyDO

菫「ありがとう。練習行こうと思ってたんだぁ…」/////

直「顔紅い…風邪? 風邪なら寝てなきゃ」

菫「なんでもないッ!」

菫「じゃ ご飯食べたら部室行こう!」

直「とっくに食べたけど。菫待ち」つ メロンパン袋 ジャムパン袋 ブッセ袋

菫「甘いものばっかり……」

直「安くて つい」ホクホク


菫 < もっとオカズ食べようよ はい、お肉

直 < 肉!

直 < うん未知の味。おいしい

菫 < よかった♪


菫「とりあえず 梓センパイが言ってた最低限の奏法はすべて完璧にしないとっ!」

直「おぉ 菫が燃えてる」

菫「学園祭ライブ成功させないと!! 梓センパイのためにも!!」

直「学園祭ライブ・・・・・・」

菫「う うん、ライブ……」

直「録画で観た去年のアレ・・・・・・?」

菫「うん…… アレ・・・・・・」

直「菫・・・・・・」

菫「言わないで直ちゃん・・・・・・」

菫直(放課後ティータイムみたいに上手くやれる気がしない・・・・・・)

19: 2012/10/03(水) 21:40:54.81 ID:OB1mctyDO

菫「で、でもやれるだけやってみる…… だから今こうやって自主練しようと部室に向かってるんだし……」

直「私も曲を加筆修正しないと… あの数の人に聴いてもらうなんて…」

菫「お互いがんばろうね……」

直「あれ 部室の方から中野先輩の声が…?」

菫「ほんとだ…! 行こう行こう!」

菫「――梓センパイ!」

梓「…ほんとうに二人とも来た……」

20: 2012/10/03(水) 21:42:14.80 ID:OB1mctyDO

菫「もう ビックリしましたよー。朝ここに来ても居なかったので、やっぱり自主練やめてしまったと思って心配になりました」

梓「あはは 今日も来てたんだ…」

菫「でも そっかぁ お昼休みに変えたんですね。安心しました。外の廊下までよく聞こえてましたよ」

梓「えっ そんなに声響いてた!?」

菫「部室のドア全開でしたから」

直「わざとだと思ってましたけど」

梓「菫たちが来たら足音ですぐわかるようにしてたんだよ……なにやってんだ私…」ズーン

菫「うなだれるほどショックですか…」

梓「うぁぁ…新歓ライブの悪夢が……人に聴かせられるレベルじゃないのに……」

菫「あのー…私のドラムも外にバシバシ響きますよ…」

梓「そういえばっ」

菫「落ちついてください先輩…」

梓「ゴメンありがと…」

21: 2012/10/03(水) 21:44:01.89 ID:OB1mctyDO

菫「先輩はこれからも昼休みにするんですか自主練?」

梓「あっ そう! そのことなんだけど!」

梓「コホンっ」

梓「二人とも、わたしの自主練に付き合ってもらっていい? 私一人じゃなんかダメなんだ…」

菫「わあ…! はい! 私たちでよかったら!」

直「昨日言ったとおりです。やらせてください」

梓「ありがとう…。菫たちの練習時間を削っちゃうことになってわるいね」

直「ぜんぜん気にしないでください」

菫「梓先輩と、もっと練習したいと思ってたんですっ!」

梓「ふたりとも……!」

菫「初心者同士だといっしょにいて安心しますし」

直「お互いの弱みを見つけて つつき合える」ホクホク

菫「そんなことしないよぅ!!」

梓「やっぱり直はおことわりしようかな…………」


部活中


菫「えと… もっと息を切ってください! まだ語尾が間延びしてます!」

梓「――――たにんの目ばかりッ!」

直「力まないでください。自然に」

梓「あーッ! 最初からお願い!」

憂「……」

憂「ますます親睦深めたみたい、梓ちゃんと直ちゃんたち♪」

純「人を操るの上手すぎッ」

憂「梓ちゃんのことを考えてくれる人だけだよー?」

純「でもさー もう休み時間も部活動すればよくない? 三人といわず五人で」

憂「ダメだよ~梓ちゃんの問題だもん」

憂「もう答えは出したっぽいけどね。梓ちゃんが自主練から帰ってきたとき言ってたの覚えてない? "わかばガールズ"のライブを頑張ろう!って♪」

純「うん…? ま、面白ければなんでも良いけど」

憂「それに純ちゃんがいるとお茶の時間が増えるだけだよ、絶対」

純「失礼なッ!」

憂「ふふっ 楽しみだなあ皆でセッション」

22: 2012/10/03(水) 21:44:56.61 ID:OB1mctyDO

それから数日後直の部屋


直 < ふとん敷く?

菫 < うん。眠たくなるまでおしゃべりしたい

直 < 明かりは点けっぱなしでいっか


直「変わったよね 中野センパイ」

菫「うんうん 憂センパイも驚いてた。変わりすぎて誰かと思った、て顔だった」

菫「スキンシップ大好きならもっと前からしてくれていいのに~♪」

菫「ああーいいなぁ直ちゃん! 先輩に抱きつかれて」

直「アレ最初 首にへんな力かかったのがキツい……」

菫「そうなの? おかしいなぁ 苦しくないはずだけど…」

菫「どうやってたの? やってみるよ」

直「うしろから首に腕をまわして…」

菫「うんうん こうして」

直「首の右側からぶら下がるように体重をかけて…」

菫「あっ こう」

直「うん で、これを飛びかかりながらやると」

菫「あー そういうことかぁ」

菫「梓センパイの体重なら首折れないよ」ニコニコ

直「うちの弟で試してみようか? 菫が」

23: 2012/10/03(水) 21:47:13.69 ID:OB1mctyDO

菫「良いよ! ぜんぜんOKっ!」

直「いや冗談なのに…」

直「…でも、ああいう先輩も良いと思ってる。このごろ私たちに親身になって接してくれて、うれしい」

菫「ね! 無邪気な梓センパイもっと見たいね~♪」

直「・・・・・・菫、熱でもあるの?」

菫「えっ なんで?」

直「いや…………」

直「ここに来てから言ってることが キモい 」

菫「えっ……!?」

菫「……ほんとだ。ごめん///」

直「菫の意外な一面も明らかに……」

菫「ち ちがうよ!! お泊りだからテンションおかしくなってるだけ!!///」

直「ふぅん」ホクホク

菫「ほんとうだから!!」

直「うん わかってる。弟たちも泊まりがけの旅行すると、家よりうるさくて…。四人で騒ぎ放題」

直「そうでしょ? そこッ こっちからもドアの隙間から見えるんだよッ」

 「 」「 」「 」「 」

菫「頭が四つ並んで串団子みたいになってる…」キューン

24: 2012/10/03(水) 21:49:55.90 ID:OB1mctyDO





菫(――そんなこんなで 私たち五人は学祭ライブを迎えました)


菫(舞台袖では 梓先輩が再び歌唱力に自信を失くすハプニングがありましたが…)


菫(恥ずかしながら、私の頼りない言葉でどうにか勇気づけることができ、無事ライブに臨めました)


菫(舞台上から見渡すとひたすら人ばかりで、去年の学祭ライブもこれだけ居たんだと驚きました)


菫(舞台が開幕した頃から頭が真っ白になってしまい、ライブ中のことはほとんど覚えてません…。録画で観たのとはまるで迫力が違い、ひたすら圧倒されたからです)


菫(だけど 楽しかったことは憶えています)


菫(それは私だけではなかったようです)

25: 2012/10/03(水) 21:52:35.17 ID:OB1mctyDO



憂『いつも通りやれば大丈夫だよー』


純『あー楽しかったー!!』



菫(憂先輩と純先輩。二人は終始爽やかな笑顔を浮かべていた、とさわ子先生は言ってました)



直『先輩方お疲れ様でした!!』



菫(楽器パートのない直ちゃんはPAという、弾いた音を大きくしたり小さくしたり調節して幾つものスピーカーに送る、ミキシングの機材を操りました)


菫(また今日という日までに、自分の曲を聴かれる緊張も解けたらしく自信満々でした。自信のついた直ちゃんは凄いですよ?)


菫(ライブには満足できたと、本人から聞きました)



梓『ありがと!!』



菫(一番 一生懸命だったのは梓先輩だと思います。ドラム初心者のわたしがドラムパートを無我夢中で叩くように、梓先輩はボーカルに尽力を注ぎ、しかもギターパートをこなさなければなりません)


菫(そんな梓先輩の勇姿は真っ白な私の頭にくっきりと焼き付きました)


菫(必氏な歌声、勇敢で小さな背中、汗ばんだうなじ、頬をつたい滴る汗露…………どれも魅力的でした)


菫(ただアンコールの時、練習したことのない"ふわふわ時間"を振ってくるたのは勘弁してください……もちろんグダグダ時間になりました。観客の皆さんにウケたのは幸いです)

26: 2012/10/03(水) 21:55:16.46 ID:OB1mctyDO



菫(こうして私たちの学園祭ライブは幕を閉じました)


菫(直ちゃんたちや先輩方の様子から察するに大成功のようです)


菫(さきほど言ったように私は、ライブの最中のことをほとんど覚えていません。なので大成功を修めた実感が湧きません)


菫(それはもったいないことと思われるかもしれません。でも私はこう思うことにします。記憶が流れて空くことも含めて思い出なのです、と)


菫(そう、すべて思い出。わたしの頭でこぼさず覚えてられなくても、ライブは録画してもらってるからこれで良いのですっ)


菫(音楽に触れるようになって数ヶ月。短い期間でたくさんのことを教わりました)


菫(楽しい時間を与えてくださって、ありがとうございました)



菫『先輩方お疲れ様でした!!』



梓「それじゃ 今日は解散!!」

菫「はあ疲れた~身体動かしたくない……」

直「家に着くまでがライブだよ」

純「それは遠足じゃん…」

27: 2012/10/03(水) 21:57:07.22 ID:OB1mctyDO

憂「あっ 梓ちゃん。部員だけで話したいことあるから部長は先帰ってて」

梓「えーっなにそれ!?」

憂「いいから いいから ほら早くっ」グイグイ

梓「ちょっ 私だけのけ者は酷くない? ってか押し出そうとするなーっ!」

憂「ばいばーい♪」

梓「もうなんなのよーー!!」

菫直「    」

純「やれやれ」

28: 2012/10/03(水) 21:59:48.35 ID:OB1mctyDO

憂「さてと♪」

純「どーせテキトーにダベるんでしょ」

憂「うん!」

菫「あの…話が見えないです……」

直「じつは梓先輩はハブの対象なんですね」

菫「ダメですよぅ仲間外れは!!」

憂「ちがうよー!?」

純「梓を一人で帰らせる……いや行かせる……」

純「アンタってやつは…」

憂「仲間外れじゃないよー…?」ウルウル

純「お人よしの憂がそんなことするわけないじゃん」

憂「ありがとー♪」

29: 2012/10/03(水) 22:01:53.68 ID:OB1mctyDO

純「ズバリッ 泣くね。梓のやつ」

憂「うん、きっと♪」

純「あー羨ましい。周りに恵まれすぎでしょ」

菫「結局どういうこと…」

直「さあ……」

憂「うふふっ とっても良いことがあるの、梓ちゃんにとって」

菫直「?」

憂「わたしたちがジャマしちゃわるいでしょ?」
















次の日


菫(お おはようございます…わかばガールズのドラムパート担当、斉藤菫です……)


菫(突然ですが事件です。私にとって一大事な光景が目の前に在ります)

30: 2012/10/03(水) 22:04:16.33 ID:OB1mctyDO


菫(昨日ライブのあと梓センパイは言いました。明日、つまり今日からまたドラムパートの特訓を私にしてくれると…)


菫(残念ですが今日は不可能です。私にはとても解決できません…ッ)


菫(わたしは 唯 見守るしか…!!)



梓「Zzz……」

菫「ほわぁぁ、、、」

梓「Zzz……」

菫「(あ、あずさセンパイが机に伏せておやすみになってて こっちに向けた寝顔が 、寝顔が、超)か、か、かわ、かわ、かかか、」

梓「Zzz……nya…」

直「梓先輩が昼寝するなんて珍しいですね」

憂「一晩中寝つけなかったらしいよ♪ 朝からずっと眠そうにしてて、休み時間は寝て授業は起きるのを繰り返してたの」

31: 2012/10/03(水) 22:06:13.73 ID:OB1mctyDO

憂「放課後になって部室着いたらとうとう限界きちゃったみたい。よく頑張ったよ~」

直「頑張りましたね。逆に菫は授業中ガッツリ寝てました」

憂「あははっ」

直「梓先輩 学園祭が終わってイメチェンするんでしょうか。今みたいに後ろ髪を一つに束ねて。アリですね」

憂「明日には戻ってるよ」

直「即答っ? ……ところで、」

直「…さっきから私たちの顔を覗き込んで何したいんですか純先輩…」

純「  !」

憂「純ちゃんはね、梓ちゃんのお昼寝をジャマしすぎて罰ゲーム課されちゃったの」

憂「今日一日おしゃべり禁止なんだよね? 周りにも伝わるようにバッテンマスクもセットで」

純「  !  !」

直「それは自業自得ですね…」

32: 2012/10/03(水) 22:07:19.27 ID:OB1mctyDO

直「でもコミュニケーションとるの大変じゃないですか これだと…」

憂「だいじょうぶっ 見てたら言いたいことわかるから」

直「おおっ」

憂「ちなみに ついさっき言いたそうだったのは『そんなことより! 早く勉強したい!』だよ」

〇「  !!」首プルプル

憂「ほら合ってた」

直「首横に振ってますよ……」

菫「直ちゃん! 見て見て! センパイのほっぺを指で凹ませてたら擦り寄ってきたの!!///」

梓「Zzz…fuu……」

直「ひとりで何やってるの…騒ぐと梓先輩起きるでしょスミレ。あとキモい」

憂「スミーレちゃんってあんなキャラだっけ…」

菫「ハーッ!! すいません! 珍しいセンパイを見れてつい観察…じゃなくて感極まって…///」

憂「あはは…寝顔かわいいよね。でも寝かせてあげて?」

直「あんまりちょっかい出してるとこうなる」

純「   !」

菫「うわぁ……」

直(もしかして菫って、アレが本性……?)



梓「Zzz……みたかぁ…これがわかばの…わ…たし………zzz」


おしまい

33: 2012/10/03(水) 22:24:01.51 ID:OB1mctyDO

おまけ


菫「お姉ちゃんにはライブ見に来てほしかったなぁ」

紬「あら ちゃんとスミレのこと観てたのよ?」

菫「居たの!?」

紬「わたし変装するのが夢だったの~♪」

菫「普通に来てよぉ 気づかなかった…」

菫「ハッ まさかライブの録画してくれた人って」

紬「わたし! あっ録画したビデオ観たかったらお父さんにもらって。観たいって言うから渡したの」

菫「旦那様が!?!?///」

紬「うん 斉藤といっしょに観るって」

菫「お祖父さまと…。わあああ! わたしが先に観るべきでしょふつう!!///」

紬「ごめんね~♪」

38: 2012/10/04(木) 13:38:05.73 ID:2kXSwekH0

引用元: 菫「あずかん!」