2: みほ「二人の軽井沢」 2013/03/11(月) 21:31:33.29 ID:sleDNvNi0
『……台風16号は……時速15kmの速さで……ガガッ……』

『……三河湾に上陸ザッ……今後の台風情報……』

ブチッ

まほ「……今更ニュース聞いたって、意味がないわ」

みほ「お姉ちゃんらしくないね」

まほ「だから。今更って言ってるでしょ」

3: 2013/03/11(月) 21:34:07.03 ID:sleDNvNi0
まほ「今からじゃ台風の中を突っ切っていくしか手はないもの」

みほ「戻ろうか」

まほ「戻る? 西住の辞書に戻るという言葉は無いわ、前進あるのみよ」

まほ「それに西住は今日中に東京に行きます、って他流派の人たちの前で言ってるのよ」

まほ「懇親会を断って出てきた以上戻れないわ」

みほ「散々な戦車道の研修会になっちゃったね」

4: 2013/03/11(月) 21:35:48.94 ID:sleDNvNi0
まほ「電装系が弱いのは、今も変わってないわ」

まほ「……夜、しかも雨。ただでさえ電気系統に負荷かかってるってこと」

まほ「なんでこんな代車なのかしら?」

まほ「……ま、渋滞にさえ捕まらなければ、車がダダ捏ねる事もないと思うけど」

まほ「……早速捕まったわ」

5: 2013/03/11(月) 21:37:48.56 ID:sleDNvNi0
みほ「お姉ちゃん、あれ……」

まほ「……この道路は、一日の雨量が130mmを越えると通行止めになります?」

まほ「さて……みほ、貴方ならどうする?」

みほ「うーん……ここから戻って、小諸、上田、松本経由で、長野自動車道に」

まほ「合格ね」

6: 2013/03/11(月) 21:40:24.43 ID:sleDNvNi0
まほ「……振り出しに戻ったわね」

みほ「…」

まほ「おみあげにと思って下仁田のこんにゃくなんか探さなければ良かった」

まほ「おかげで、長野を出る時間が遅くなって」

まほ「すっぱり諦めて居れば、今頃とっくに関越に乗っていたのに」

8: 2013/03/11(月) 21:42:19.05 ID:sleDNvNi0
ザァー……

まほ「小諸バイパス、雨のため全線通行止め……」

まほ「他のルートは……」ペラッ

まほ「えぇっと、戻って北軽井沢から渋川にそこから関越に……か」

みほ「でも、そのルートだと鬼押出しを越えていく訳でしょ?そっちも封鎖
   されてるんじゃないかな?」

9: 2013/03/11(月) 21:46:15.74 ID:sleDNvNi0
まほ「可能性は高いけど、行ってみなきゃ分からないでしょう?」

みほ「そうだね」  

まほ「関越に乗ったら、とりあえず何か食べようか?」

みほ「うん」

10: 2013/03/11(月) 21:48:18.50 ID:sleDNvNi0
まほ「で、ここも通行止め……」

まほ「……当面の選択肢は二つ。1、この道を諦める」

まほ「2、柵をこっそりどかして、先に進む」

みほ「2は問題外だね」

まほ「とすると。第三の選択肢が……」

まほ「ねぇ。ヘッドライト、暗くなってるような気がしない?」

みほ「気のせいじゃない?」

まほ「気のせいかな?」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 21:51:53.60 ID:sleDNvNi0
みほ「……で、第三の選択肢って?」

まほ「主な幹線道路は、全て封鎖されてて出口なし。道は他にもまだあるかもしれないけど」

まほ「幹線道路がこの有様では、旧道や林道に毛が生えた程度の抜け道にも期待できそうにない」

まほ「かと言って?台風が通過するまでここでじっとしてる訳にも、いかないわね?」

みほ「そうだね」

まほ「寝たくない?」

14: 2013/03/11(月) 21:55:19.19 ID:sleDNvNi0
みほ「寝る?」

まほ「一晩中この辺りをウロウロ走り回るなんてのは無駄だわ」

まほ「西住流、過労運転で事故!なんて、新聞沙汰にはなりたくないでしょ?」

みほ「うん」

15: 2013/03/11(月) 21:58:37.64 ID:sleDNvNi0
まほ「だから、どうせなら手足伸ばしてゆっくり休んだ方が得策だわ」

みほ「私もそうしたほうがいいと思う」

まほ「じゃ、決まりね」

17: 2013/03/11(月) 22:03:18.49 ID:sleDNvNi0
HOTEL SINNDERERA

みほ「お姉ちゃん?……どこへ行くの?」

まほ「どこって、ホテルよ」

みほ「これ、ホテルだったんだ、西洋のお城みたいな形だからなんだろうって思ってた」

まほ「みほ」

みほ「えっ?」

19: 2013/03/11(月) 22:07:25.91 ID:sleDNvNi0
まほ「部屋、選んでくれる?」←左ハンドル車

みほ「うわぁ~このホテル、部屋選べるんだぁ」

みほ「お姉ちゃんはどの部屋がいい?」

まほ「みほの好きな所にすればいいわ」

みほ「じゃあ、これかな」カチッ

カラン

みほ「202号室!」

20: 2013/03/11(月) 22:11:18.39 ID:sleDNvNi0
まほ「ぬいぐるみだらけ……」

みほ「かわいいなって思って、嫌だった?」

まほ「別にどこでもいいと言ったのは私」

みほ「お茶でも、入れようか?」

まほ「……別にいいわ、何だったら、先にシャワーだけでも使ったら?」

22: 2013/03/11(月) 22:14:20.92 ID:sleDNvNi0
みほ「シャワー……?」チラッ

みほ「お姉ちゃん、これガラス張りだよ、こっちから脱衣所まで、丸見え!!」

まほ「変な間取りね……」

みほ「お風呂場……滑り台にベンチまである」

みほ「………」

23: 2013/03/11(月) 22:17:20.07 ID:sleDNvNi0
まほ「……入りたいの?」

みほ「どうしようかな」

まほ「それなら一緒に入る?」

みほ「それなら恥ずかしくないね、あ、着替え持ってくるの忘れてた、とってくるね」

まほ「お湯入れておくわ」

みほ「ありがとう」パタン

24: 2013/03/11(月) 22:20:16.62 ID:sleDNvNi0
まほ「……」

まほ「……くふっ……ぐふふっ」

まほ「こ、ここまで完璧だ、台風を利用した足止めに、遅滞戦術で……つ、ついに
   みほをホテルに連れ込んだ」

まほ「ち、違うわ邪な気持ちなんて微塵もない、姉妹で同じ部屋に泊まって、一緒に……
   むふっ……お風呂……なんて普通よ普通」

27: 2013/03/11(月) 22:24:00.45 ID:sleDNvNi0
まほ「動悸が早くなってきた、何か飲み物を……冷蔵庫」ガチャ

まほ「缶ビールは飲めないし……ん?」

まほ(黒マムシドリンク?)

まほ「こういうの効くのかしら」

28: 2013/03/11(月) 22:26:43.53 ID:sleDNvNi0
かぽーん

みほ「は~、あったまる~」

まほ(みほの裸みほの裸みほの裸みほの裸みほの裸みほの裸みほの裸)

みほ「?お姉ちゃんどうかしたの」

まほ「育ったなぁ」(歓喜)

29: 2013/03/11(月) 22:29:40.13 ID:sleDNvNi0
みほ「えっ?」

まほ(しまった、声に出た……ええいこうなったら)

まほ「しばらく、こうして一緒にお風呂に入ったこともなかったわね、しばらく見なかった
   うちに成長してるのね」

みほ「あ、そうだね久しぶりだね、こういうの」

まほ「体は鍛えてる? 最後にものをいうのは体力よ」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 22:33:17.02 ID:sleDNvNi0
みほ「うん、ランニングとかしてるよ」

まほ「どれどれ」プニッ

まほ「まだまだね、ほら触ってみなさい」

みほ「わぁ、すごいね」グニッ

まほ「みほもがんばりなさい」

32: 2013/03/11(月) 22:35:30.06 ID:sleDNvNi0
まほ(……待て私、そんなこと言ったらこのすべすべでぷにぷにの肌が無くなってしまう
   いえ、一緒にトレーニングをすれば、運動着姿で髪が汗で張り付いたみほを見ながら
   ほんのりと漂う汗の匂いをかぐことも――
   いや、だからといって、そこまで鍛える必要はない、適度に――
   しかし、常に一緒にトレーニング出来るとも限らない、がんばり屋なみほのことだから
   隠れてでも努力してしまう可能性が――

33: 2013/03/11(月) 22:39:59.96 ID:sleDNvNi0
みほ「お姉ちゃん、どうかしたの?」

まほ「いえ、なんでもないわ」

みほ「そうだ、お姉ちゃん、洗いっこしようよ」

まほ「まったく、みほは甘えん坊だな」キリッ

34: 2013/03/11(月) 22:41:49.49 ID:sleDNvNi0
まほ(一瞬耳が腐ったかと思ったわ、顔が緩まないように気をつけないと)

みほ「かゆい所はございませんか」ゴシゴシ

まほ(天国だぁ~)

まほ「それは、頭を洗うときに聞くものよ」キリッ

みほ「あ、そうだったね」

36: 2013/03/11(月) 22:44:19.19 ID:sleDNvNi0
まほ(可愛いなぁ)

まほ「じゃあ、変わろうか」

みほ「うん」

まほ(はぁ~~みほの背中、真っ白ですべすべでやわらかそうだなぁ、吸い付きたい
  抱きしめたい)ゴシゴシ

まほ「わきの下洗うから、万歳して」

みほ「うん」

37: 2013/03/11(月) 22:48:54.23 ID:sleDNvNi0
まほ(と、見せかけて)サッ

みほ「ひゃあっ」サワッ

まほ「ごめん、手が滑った」

みほ「も~やだぁ」

まほ(うへへっ、おっOい触ったった)

みほ「えいっ、お返しだよ」サワッ

まほ(天国だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~)

39: 2013/03/11(月) 22:51:46.04 ID:sleDNvNi0
ガラララッ ピシャッ

みほ「ふ~良いお湯だった」

まほ「そろそろ寝ようか」

みほ「ベットひとつしかないけど、どうしよう」

まほ「私がソファーを使う、みほはベットを使え」

みほ「え、でも掛け布団ないよ」

40: 2013/03/11(月) 22:54:03.08 ID:sleDNvNi0
まほ「なくてもいい」

みほ「ダメだよ風邪引いちゃうよ」

まほ「お腹だけバスタオル掛けとけば大丈夫だ」

みほ「……あの」

まほ「何?」

みほ「一緒に寝るってのはどうかな?」

まほ(キタァァァ、流石天使、困ってる人を見捨てない)

まほ「そうね、そうしましょうか」

41: 2013/03/11(月) 22:55:45.78 ID:sleDNvNi0
まほ(き、緊張して寝付けない)

みほ「お姉ちゃん、まだ起きてる?」

まほ「起きている」

みほ「こういうこと言うと怒られるかもしれないけど、今日は楽しかったよ」
   
まほ「どういうこと?」

43: 2013/03/11(月) 22:58:20.88 ID:sleDNvNi0
みほ「こんな風にお姉ちゃんと出かけて、お泊りとかしたことなかったら」

みほ「家族で旅行とかしたいなっていつも思ってたから」

まほ「……そうね、私も楽しかったわ」

まほ「みほは、戦車道の家元に生まれたのが嫌?」

みほ「そう思ったこともあるけど、友達も作れたし、貴重な経験も出来たから
   今は思ってないけど、普通の家族みたいなことしたいなっては今も
   思ってるよ」

44: 2013/03/11(月) 22:59:50.44 ID:sleDNvNi0
まほ「そうね、湯布院とか別府とか指宿とか泊りがけで」

みほ「それ良いね」

まほ「帰ったらお母様に聞いてみるわ」

みほ「本当?」

まほ「今日の罪滅ぼしよ」


おしまい

46: まほとエリカならこうなる 2013/03/11(月) 23:02:41.64 ID:sleDNvNi0
まほ「私がソファーを使う、エリカはベットを使え」

エリカ「掛け布団ないですよ」

まほ「ないのか」

エリカ「布団、ベッドのだけです」

まほ「……なくてもいい」

エリカ「そういう訳にもいきません」

47: 2013/03/11(月) 23:05:22.29 ID:sleDNvNi0
まほ「お腹だけバスタオル掛けとけば大丈夫だ」

エリカ「……あの」

まほ「何?」

エリカ「例えば。私がソファーで、隊長がベッドでも、別に良いのでは?」

まほ「そうだな」

まほ「……いやだめだ」

48: 2013/03/11(月) 23:08:48.12 ID:sleDNvNi0
エリカ「でも、それでは基本的な問題の解決にはならないのでは」

まほ「エリカの言う基本的な問題の解決って、何?」

エリカ「ですから~……」

エリカ「何でしょうね」

まほ「さぁ?」



118:  2013/03/12(火) 01:22:16.97 ID:ruY80nXH0
乙でした

引用元: みほ「二人の軽井沢」