1: 2022/04/05(火) 15:08:09.08 ID:vgAqwCfV.net
すみれ「はぁ……なんで私が生徒会の仕事を手伝わないといけないったらいけないのよ……」

かのん「まあまあ。恋ちゃんが忙しくて部活にこれないからみんなで手伝おうって話になったんだから」

すみれ「それはそうだけど……まさかこんな力仕事だったとはね。えーと、あと持っていくものは……あれね」

かのん「あれかー。あの棚の上、手が届かないけど……」

すみれ「ここに脚立があるわね。じゃ、かのんどうぞ」

かのん「うえぇ!? 私がやるの? こういう時は身長が高いすみれちゃんがやるべきでしょ」

すみれ「嫌よ。疲れるもの」

かのん「仕方ないなー。じゃあじゃんけんね? いくよ! 最初はグー! またまたグー! いかりや長介……」

すみれ「はやくしなさいよ……」

かのん「じゃーんけーん……」

2: 2022/04/05(火) 15:10:08.18 ID:vgAqwCfV.net
すみれ「私の勝ちね。脚立支えててあげるからさっさと上りなさい」

かのん「わかったよー……。あ! どさくさに紛れてパンツ見ないでね?」

すみれ「見るわけないでしょ!? さっさと上りなさい!」

かのん「はーい……んーと、これかな……あ、もうちょっと右……」

すみれ「いったん脚立動かしましょうか。とりあえず降りて……って! 何身を乗り出してるのよ!?」

グラァ

かのん「あれ……? 脚立が倒れて……」

すみれ「あ、あぶな――」

ゴッチ――ン!!

3: 2022/04/05(火) 15:12:09.44 ID:vgAqwCfV.net
かのん「……ん、あれ? 私寝てたのかしら……うっ、頭いたぁ……」

すみれ「う、ううん……あれ? さっきまで何して……そうだ、棚の上の物を取ろうとしてバランス崩して……頭痛い……」

すみれ「……って! うえぇぇえっ!? わ、私がいる!?」

かのん「はぁ? 何言って……って! 何で目の前に私がいるのよ!? 何!? ドッペルゲンガー!?」

すみれ「それはこっちのセリフだよ! あなたは誰? 私の恰好をして……趣味悪いよ……」

かのん「ちょっと待って……冷静になりましょう。あなたは誰?」

すみれ「誰って……かのんだよ。渋谷かのん」

かのん「そう。私はすみれよ。平安名すみれ」

すみれ「ってことは……まさか……」

かのん・すみれ「私たち……入れ替わってる――――っ!?」

4: 2022/04/05(火) 15:14:05.83 ID:vgAqwCfV.net
かのん「何よこれどういうこと!? マンガでよくあるぶつかったら中身が入れ替わっちゃったってやつよね!? 意味わかんない! ギャラクシ――――!?」

すみれ「まぁまぁ……とりあえず落ち着こうよ」

かのん「落ち着いていられるもんですか! これからどうすんのよまたぶつかれば元にもどるわけ!?」

すみれ「わぁ……すみれちゃんっておっOい大きいんだねぇ……」

かのん「って! 勝手に人の胸を許可なく揉んでるんじゃないわよ! はっ倒すわよ!?」

すみれ「でもこれ、すみれちゃんの身体だよ?」

かのん「そ、そうだったー!? つまり私はあんたの人質ってわけね!?」

すみれ「その理屈で言えば私もすみれちゃんの人質なんだけどな……」

「――見つけた! まさか本当にうまくいくなんて……」

かのん「誰!? そこにいるのは……」

5: 2022/04/05(火) 15:16:03.48 ID:vgAqwCfV.net
「こんにちは。入れ替わったのはあなたたちだよね?」

すみれ「そうだけど……あなたは誰? うちの制服じゃないみたいだけど」

侑「私は侑。わけあって身元は明かせないけど安心して? 私はあなたたちの味方だよ?」

かのん「はいそうですか、って簡単に信じれるわけないでしょ!? これは何? あんたの仕業ってわけ!?」

侑「うーん、まぁ璃奈ちゃんの実験の成果といえばそれまでだけど……私にも責任が無いわけじゃないかな」

かのん「よくわかんないけど、さっさと元に戻しなさいよっ!」

侑「今すぐには無理だよ。でも安心して? 璃奈ちゃんが言うには満月の夜になれば戻る事ができるみたいだから」

すみれ「満月の夜? だってすみれちゃん。とりあえずそれまで待てばいいみたいだね?」

かのん「だーかーらー! なんであんたはそんなに呑気なのよ! このっ! このっ!」

すみれ「うひゃあ、い、いはい! ほっぺつねらないで~!」

6: 2022/04/05(火) 15:18:03.43 ID:vgAqwCfV.net
かのん「しまった! これは私の身体だったのよね……」

侑「ふふっ。とにかく今すぐには戻れないから、今は入れ替わりを楽しんでよ。あ、そうそう。ちなみに私以外の人にバレたら戻れなくなるかもしれないから、それだけは気を付けてね」

かのん「楽しめるわけないでしょ!? っていうかそれどういう意味……」

侑「じゃあ、また満月の夜に……」

かのん「あ、待ちなさいったら待ちなさい!」

すみれ「消えちゃった……なんだったんだろう」

かのん「なんだったんだろうじゃないわよ! どうすんのよこれ~……。私はかのんとして生きていかなくちゃいけないわけ……?」

すみれ「うーん。なんかごめんね?」

かのん「あんたに謝られても何も解決しないんだけど? はぁ……なんか興奮が冷めてきたわ……」

すみれ「そうだね……。とりあえず荷物を運んだらもう帰ろっか? 下校時刻だし」

かのん「そうね。とりあえず恋の前ではバレないようにうまくやりなさいよ」

すみれ「うん。戻れなくなったら本当に困るもんね?」

7: 2022/04/05(火) 15:20:06.33 ID:vgAqwCfV.net
その後、荷物を生徒会疾まで運んで、私たちは早々に生徒会疾を後にした。

すみれ「なんとか恋ちゃんにバレずにすんだね。じゃあ、私はこっちだから、また明日……」

かのん「ちょっと! 待ちなさいったら待ちなさい! あんた、このまま家に帰る気? かのんの家に?」

すみれ「だって、そこが私の家だし」

かのん「あんたは今、平安名すみれなのよ? 帰れるわけないでしょ」

すみれ「あ、そうだった……どうしよう」

かのん「とりあえず、今日はホテルにでも泊まりましょ。電話貸して。私の母親に電話するから」

すみれ「いいけど、すみれちゃんは今、渋谷かのんだよ?」

かのん「そ、そうだったァ~~~ッ! 私がかのんの親に電話しないといけないわけね……」

すみれ「逆もまた然りだね」

かのん「そうね……」

8: 2022/04/05(火) 15:22:03.53 ID:vgAqwCfV.net
かのん「とりあえず、二人で入れるホテルを探すわよ……。あ、ここなんて安くていいわね。さっそくいきましょう」

すみれ「うん! すみれちゃんに任せるよ」

かのん「……ついたわね。受付してくるからそこで座ってて」

すみれ「わかった。なんかお城みたいなホテルだね」

かのん「かのん。部屋が決まったからさっさと行きましょう」

10: 2022/04/05(火) 15:22:59.89 ID:vgAqwCfV.net
すみれ「…………着いた! うわぁ、大きいベッド。でも一つしか無いんだね?」

かのん「仕方ないでしょ。ラブホテルなんだから」

すみれ「ら、ラブホテル!? ここがラブホテルかぁ……初めて来たよ」

かのん「私だって初めてよ。私、先にシャワー浴びてきてもいい?」

すみれ「いいよ。もしかして、これからエOチな事するんじゃ……」

かのん「しないわよっ! さっさとシャワー浴びて寝るのよ!」

すみれ「だ、だよねー……」

11: 2022/04/05(火) 15:24:04.05 ID:vgAqwCfV.net
かのん「はぁ……まったく今日は疲れたわ……他人と入れ代わるなんて嘘みたい……」

かのん「でも、シャワーが気持ちいい……」

かのん「しかし、かのんも結構、胸あるわね……。私ほどじゃないけど……」

かのん「鏡の中に移るかのん……。私今、かのんなのよね……。かのんってこういう身体してるんだ……。お股は……って! なにやってんのよ私!?」

かのん「なに自分の身体に欲情してるのよ……いや、自分の身体じゃないんだけど……」

かのん「さっさと上がって寝よ……」

12: 2022/04/05(火) 15:25:00.45 ID:vgAqwCfV.net
翌朝

かのん「ん、ううっ……。ここは……そっか。私昨日はホテルに泊まって……」

すみれ「あ、おはようすみれちゃん……」

かのん「ん、おはよ……って! なんであんた全裸なのよ!?」

すみれ「んー? ああ、そういえば昨日はお風呂から上がってそのまま布団に入っちゃったんだった。まぁすみれちゃんの身体だからいっか」

かのん「よくない! あんた、私の身体を大事に扱わなかったら許さないわよ!」

すみれ「分かったよぅ。あ、朝ご飯はルームサービスあるんだって。すみれちゃんはどれにする?」

かのん「はぁ……お気楽ね。とりあえず、入れ替わったことは夢ではないみたいね」

13: 2022/04/05(火) 15:26:18.96 ID:vgAqwCfV.net
ホテルを出た私たちは、普段通りに登校する。
ただし、私はかのんとして、かのんはすみれとして。

「おはよ、かのんちゃん」

「かのんちゃん! 今日も元気だねー」

かのん「お、おはよう……。今日もいい日ね」

かのん(かのんってば、友達多いのね。朝から結構な数の生徒からあいさつされたわ。それに引き換え私は……)

すみれ「……」ポケー

かのん(独りぼっち。ああ、もう。そんな間抜けな顔してないで、もっとシャキッとしなさい!)

千砂都「うぃっすー! かのんちゃん!」

かのん「ち、千砂都!? お、おはよう……」

千砂都「うん、おはよう……?」

14: 2022/04/05(火) 15:28:05.95 ID:vgAqwCfV.net
かのん(しまった。今は私はかのんだったわ。かのんらしく振舞わないと……)

かのん「ち、ちぃちゃん、うぃっすー!」

千砂都「うん。おはよう。かのんちゃん今日はなんか元気ないね?」

かのん「そ、そんなことないわよ?」

千砂都「昨日は家に帰らなかったってきいたけど……」

かのん「え!? そ、そうね。友達の家に泊まってたの……」

千砂都「ふーん、そうなんだ。あんまり無理はしないでね。何かあったら相談に乗るから」

かのん「ありがとね……」

千砂都「あ、HR始まるね。またね」

かのん「うん。またね」

かのん(かのん……あんたはいい友人に恵まれてるわね。それ比べて私は……)チラッ

すみれ「……」ポケー

かのん(その開いた口を閉じなさいってば!)

15: 2022/04/05(火) 15:30:04.18 ID:vgAqwCfV.net
とりあえず一日どうにかやり過ごして放課後になった。私はかのんと一緒に廊下を歩いている。

かのん「終わったわね……一日」

すみれ「そうだね。まだ部活があるけどね」

かのん「あんたのフリをするのが疲れたわよ。主に千砂都関係だけど……」

すみれ「私は楽だったよ。基本、スクールアイドル部以外の子からは話かけられないし」

かのん「私が友達少なくて悪かったわね……」

すみれ「あ、教室に忘れ物してきちゃった」

かのん「そう? じゃあ私は先に部室に行ってるわね」

すみれ「うん。じゃあまた部室でね?」

16: 2022/04/05(火) 15:32:04.88 ID:vgAqwCfV.net
かのん「部室についたけど……まだ誰もいないようね」

かのん「とりあえず読書でもして待とうかしら……」

千砂都「うぃっす――!!」ガラッ

千砂都「あれ? かのんちゃん以外まだ誰も来てないんだね?」

かのん「そうね」

千砂都「そっかー……。それならさ、今日もまた、アレしない?」

かのん「アレってなによ」

千砂都「またまたー。かのんちゃんてば照れちゃって」

かのん(だからアレってなによ!? いや、ここは知らないとやばい流れよね。二人だけの秘密ってわけよね?)

かのん「分かったわ……やりましょう。千砂都に任せていいかしら?」

千砂都「うん。いいよ。じゃあするね……?」

かのん(いったい何をして……)

かのん「んむっ!?」

千砂都「かのんちゃ……れろ、んちゅ……」

17: 2022/04/05(火) 15:34:04.98 ID:vgAqwCfV.net
かのん(な、なにこれキス!? や、やだ……千砂都の舌が絡んで……)

千砂都「ん……ふふっ……今日はあまり積極的じゃないんだね? 全部私任せでいいのかな……?」

かのん(だから、なんなのよこれぇ~~~~!!!!)

千砂都「んむっ……ふふ、ごちそうさま。またやろうね?」

かのん「ひゃ……ひゃい……」

かのん(かのんってば、千砂都と裏でこんなことやってたの!?)

かのん「ちょっと……トイレ……」

千砂都「うん。ごゆっくり」

18: 2022/04/05(火) 15:36:09.42 ID:vgAqwCfV.net
かのん「勢いで部室を出てきちゃったけど、気まずくて戻れないわ……。ん、あれはかのんと……可可?」

すみれ「あ、可可ちゃん! 一緒に部室行こうよ」

可可「む、でやがりましたねすみれ! 今日はやけに機嫌がいいデスね!?」

すみれ「そう? いつも通りだと思うけど……」

可可「さては、なにかたくらんでやがりマスね、このグソクムシ!」

すみれ「別に何も企んでないよ?」

可可「そうデスか……なんか調子くるいマスね……」

すみれ「まあまあ、すみれちゃんはいつもこんなだから」

可可「すみれが言いマスか……」

すみれ「そ。すみれちゃんが言うのっ」

かのん「かのんがうまく可可をたしなめてるわね……。さすがだわ」

19: 2022/04/05(火) 15:38:08.70 ID:vgAqwCfV.net
部室に戻ると、千砂都と可可、そしてかのんがいた。そこへ遅れて恋がやってくる。

恋「遅れてすみません。生徒会の仕事が入っていまして」

千砂都「全然大丈夫だよ。じゃあ始めようか。新しい曲のダンスだけど……」

そうしていつも通りの部活が始まる。
以前から作っていた曲についてのミーティングが行われていた。

恋「やはり落ちサビの部分は大胆なパフォーマンスが欲しいですね」

可可「こう、ぐわーっと、ばーっとした感じのがいいデス」

すみれ「すごく抽象的だね……」

可可「むっ、なんデスと! ならすみれも考えてクダサイ!」

すみれ「わ、私!? うーん、そう言われるとパッと浮かばないなぁ……」

かのん「あ、それならこんなのはどう?」

ダン!ダンダン!キュッキュッ!ターン!

かのん「こんな感じの振り付けとか」

可可「す、すごいデス!!」

20: 2022/04/05(火) 15:40:08.65 ID:vgAqwCfV.net
かのん「……え?」

可可「すばらしいデス! ククの思っていた通りのダンスデス! これでいきまショウ!」

すみれ「そうだね! すみ……かのんのやつ、私もいいと思うよ!」

恋「私もいいと思います。でも驚きました。かのんさんにそんなダンスができたなんて。腕を上げましたね」

千砂都「うん。かのんちゃんダンスうまくなったね。私に上達が見抜けなかったなんて……すごいよ」

かのん「いや、こ、これは……たまたま……たまたまよ! 前にすみれがやってたダンスを真似たのよ、ねっ!?」

すみれ「ん、そうだっけ?」

かのん「話合わせなさいよっ」

千砂都「そうなんだ。すみれちゃんなら確かにできそうだよね」

可可「すみれの案デシタか……。まぁいいものはいいと認めマスが」

恋「私もがんばらないといけませんねっ」

かのん(危なかったー……。危うくバレるところだったわ……気を付けないと)

21: 2022/04/05(火) 15:42:04.62 ID:vgAqwCfV.net
部活が終わり、帰路につく。
一度散会した後、学校から離れたところでかのんと落ち合った。

すみれ「今日も無事に終わったねー」

かのん「まったくよ。一時はどうなるかと思ったことやら」

すみれ「すみれちゃんが悪いんじゃん。ダメだよ、私はすみれちゃんほどスペック高くないんだから。能ある鷹は尻を隠すってやつだよ?」

かのん「それを言うなら爪ね。とりあえず今夜はどうしようかしら……」

「あ、そこのキミ。キミだよキミ。今時間大丈夫?」

突然、見知らぬ男性に話しかけられた。30代くらいのスーツを着た男性だった。

かのん「ん? 誰よあんた。ナンパ? 今それどころじゃないんだけど」

「違うよ。俺はこういうものだけど……」

かのん「なによこれ名刺? ……って、あなたもしかしてプロダクションの!?」

スカウト「そう。スカウトやってるんだけど、今時間大丈夫かな」

かのん「めちゃくちゃ有名なプロダクションじゃない! はいっ! いつでも大丈夫ですっ!」

スカウト「あー、いや、キミじゃなくて、隣の金髪のキミだよ」

すみれ「え、私……?」

22: 2022/04/05(火) 15:42:58.32 ID:vgAqwCfV.net
スカウト「そう。整った顔立ち、程よく肉がついて出るところは出てるボディライン、腰まである綺麗な髪、佇まい、何より内からあふれ出るカリスマ的オーラ! キミこそ10年に1人の逸材だ! ぜひうちに来ないか!?」

かのん「ギャラクシ――――ッ!?」

すみれ「ええ、私ですか……困ったなぁ」

かのん「私じゃないんかい! でも、スカウトされてるのは私の身体か……」

かのん「かのん、あんた受けなさい! またとないチャンスよ! あんたは私になってトップアイドルになるの! そして元の身体に戻ったら私がトップアイドルだわ!」

すみれ「無理だよぉ~!」

スカウト「キミは光る原石だ。しっかり育成コースから育ててトップアイドルへの道を進ませてあげる! だからさあ、行こう! うちの会社とともに!」

すみれ「ご、ごめんなさ~~~~い!……」ダッシュ

かのん「あ、待ちなさいってば! あのー……もしよければ私でも……どうですか?」

スカウト「いや、キミはいいわ。平凡だし、なによりオーラがないし」

かのん「ギャラクシ――――!?」

23: 2022/04/05(火) 15:44:03.61 ID:vgAqwCfV.net
かのん「はぁ、はぁ……ま、待ちなさいってば……」

すみれ「あ、すみれちゃん。ごめんね? 私スカウトとかそういうのは……」

かのん「まったく、惜しいことをしたわね……」

すみれ「でも今は私の身体じゃないし……すみれちゃんの身体に戻ったらまたスカウトが来るよ、きっと」

かのん「来ないから困ってんのよっ」

かのん(スカウトの人、内なるオーラとか言ってたわね……。確かに、かのんには人を惹きつけるカリスマ性があることは認めるわ)

かのん(つまり私のパーフェクトボディとかのんのカリスマ性があれば最強ってことじゃない。それに引き換え今の私は……平凡なボディにオーラの無い中身……)

かのん「はぁ……」

すみれ「大きなため息ついて、大丈夫?」

かのん「大丈夫じゃないけど……もういいわ。私たちももう帰りましょう」

すみれ「またホテル借りないとね」

かのん「いえ、私たちの家によ」

24: 2022/04/05(火) 15:44:48.95 ID:vgAqwCfV.net
すみれ「ええ!? 私たちの家に!?」

かのん「そうよ。ずっと帰らない訳にはいかないでしょう。連泊するお金もないし」

すみれ「それはそうだけど、私がすみれちゃんの家に帰って、すみれちゃんが私の家に帰るってことだよね?」

かのん「そうするしかないでしょう。お互い、バレない事を願うわ」

すみれ「そうだね。分かった。それとありあには気を付けてね? あの子色々と鋭いところあるから」

かのん「分かったわ。私の家は……まぁ、大丈夫でしょうね」

すみれ「じゃあ、また明日ね」

かのん「ええ。また明日」

25: 2022/04/05(火) 15:46:04.16 ID:vgAqwCfV.net
そうして私は、かのんの家にたどり着いた。意を決して中に入る。

かのん「た、ただいま……」

母「おかえり。今日は帰ってきたのね」

かのん「うん。まあね……自分の部屋に行くね……?」

母「? うん、どうぞ。ご飯もうすぐできるから、早くお風呂に入りなさい」

かのん「うん、わかった……ははは」

ありあ「あ、お姉ちゃん帰ってたの。おかえり」

かのん「ただいまー……。えと、ありあ。今日もかわいいね?」

ありあ「は? 何それ……なにか変なものでも食べたんじゃないの?」

かのん「そうかもね……ははは」

26: 2022/04/05(火) 15:48:04.31 ID:vgAqwCfV.net
かのんの部屋につくと、上着をハンガーにかけてベッドに倒れこんだ。

かのん「はぁ……他人の家って気を遣うわ……。ここがかのんの部屋か……そういえば来たのは初めてね」

かのん「ギターあるけど、今弾けるかしら……」

かのん「いいや。お風呂入ろ」

27: 2022/04/05(火) 15:50:07.04 ID:vgAqwCfV.net
かのん「~♪」

かのん「どこにいてもシャワーは気持ちいいわね……私の心が許される唯一の時間だわ……」

コンコン

ありあ「お姉ちゃん……」

かのん「あ、ありあ!? なに、どうしたの?」

ありあ「その、あのさ……一緒に、入っても、いい……?」

かのん「い、一緒に!? いいけど……」

ガラッ

ありあ「……」

かのん(こ、これは!? 一紙を纏わないありあの姿が眼前に……!?)

ありあ「はいるね……」

かのん「え、ええ……」

28: 2022/04/05(火) 15:52:04.39 ID:vgAqwCfV.net
ありあ「……」

かのん「……」

ありあ「……」

かのん「……」

ありあ「……あのさ」

かのん「な、なに?」

ありあ「理由、きかないの」

かのん「お風呂に入ってきた理由?」

ありあ「そう」

かのん「話したくないなら話さなくてもいいけど……」

ありあ「そう」

29: 2022/04/05(火) 15:54:03.44 ID:vgAqwCfV.net
ありあ「怖い映画を観たの」

かのん「怖い映画……? まさかそれで一人でお風呂入れなくなったとか」

ありあ「……」コクッ

かのん「ぷっ……あははっ」

ありあ「わ、笑わないでよっ!」

かのん「ごめん、ごめん。ありあもかわいいところあるんだなって思って」

ありあ「……バカにされるかと思った」

かのん「そんなことしないわよ。だって私はあなたのお姉ちゃんよ?」

ありあ「ん……ありがと」

かのん「どういたしまして」

30: 2022/04/05(火) 15:56:04.14 ID:vgAqwCfV.net
かのん(私の妹が同じことを言ってきても多分そうする。多分かのんだってそう。だって妹をかわいがるのは姉として当然の事なんだから)

かのん「湯加減はどう?」

ありあ「ちょっと熱いかな……身体洗うから湯舟と交代する?」

かのん「ちょうどいいわ。背中洗ってあげるわよ」

ありあ「はああ!? い、いいよ……恥ずかしいし……」

かのん「まあまあ。たまにはお姉ちゃんに甘えなさい?」

ありあ「分かった。じゃあ、お願い……」

かのん「素直でよろしい。後ろ向いて座って?」

ありあ「うん……」

31: 2022/04/05(火) 15:58:15.92 ID:vgAqwCfV.net
お風呂から上がると、私は再びベッドに倒れこむ。

かのん「かのん、何してるかしら……電話してみよ」

プルルルルル……

すみれ『もしもし……』

かのん「すみれよ。あんたのとこ大丈夫?」

すみれ『すみれちゃん。大丈夫だよ。むしろエンジョイしてるかな』

かのん「エンジョイってなによ。あんた、変なことやらかしてないでしょうね」

すみれ『してないよー。ただ妹ちゃんと遊んでただけ』

かのん「あの子が、私と!? 信じられない……」

すみれ『そうなの?』

かのん「だって、あの子私の事露骨に嫌ってるとこあるし……」

すみれ『そんなことないよー。ぎゅーっとしたら懐いてくれたよ?』

かのん「私の妹は動物か」

すみれ『そっちはどう?』

かのん「あー、こっちは……」

32: 2022/04/05(火) 16:00:04.61 ID:vgAqwCfV.net
かのん「ありあと一緒にお風呂に入ったわ」

すみれ『!? ゲホッゲホッ……』

かのん「大丈夫?」

すみれ『あ、あのありあが私とお風呂に……!? ほんとう?』

かのん「本当よ。あの子から入ってきたんだけど。どうやらホラー映画を見て怖くなっちゃったそうよ?」

すみれ『へぇー、あのありあがねぇ……そっか、ありあを可愛がってくれてありがとね?』

かのん「こちらこそ、妹が世話になったわね」

すみれ『ふふっ、そうだね』

かのん「もう寝ましょうか」

すみれ『うん。おやすみ』

かのん「おやすみ……」

33: 2022/04/05(火) 16:02:09.42 ID:vgAqwCfV.net
翌日。昨日と同じように登校し、お昼休みになってかのんと昼食を取っていた。

すみれ「なんかこの生活も慣れてきたね。私、これからすみれちゃんとして生きていこうかな……」

かのん「バカ言わないでよ。私は私じゃなきゃ嫌なんだからね」

すみれ「そうだよね。すみれちゃんスタイルいいし、胸大きいし顔もいいし、誰だってすみれちゃんの身体欲しいよね」

かのん「何よそれ。褒めてんの」

すみれ「褒めてるつもりだよ?」

かのん「あっそ……。ん、誰かからメールだわ……って、これって!」

すみれ「どうしたの?」

かのん「知らないアドレスからだわ。『今夜は満月の夜 元に戻りたければお台場の虹ヶ咲学園に来られたし 侑』ですって……」

すみれ「侑って、入れ替わった日に会ったあの子だよね?」

かのん「そのようね。これは行くしかないわね」

すみれ「うん!」

34: 2022/04/05(火) 16:04:11.41 ID:vgAqwCfV.net
放課後。私とかのんは電車に乗ってお台場に向かった。

すみれ「ついた! 海の香りがするね……さすがお台場」

かのん「そうね。虹ヶ咲学園は……ここね」

すみれ「うわ……大きいね」

かのん「名前は知っていたけれど、噂通りのマンモス校だわ。とりあえず侑って子を探さないとね」

すみれ「でも苗字もわからないしどうやって探そう……とりあえずあそこにいる生徒に聞いてみよっか。あのー……」

「はい?」

すみれ「侑っていう名前の子を探しているんですけど、ご存じですか?」

かのん「そんなので分かるわけないでしょ……」

「え? もしかして侑ちゃんの知り合いですか? 私も侑ちゃんを探しているんですけど……」

すみれ「ほら、あたったよすみれちゃん!」

かのん「ギャラクシー……」

35: 2022/04/05(火) 16:06:05.07 ID:vgAqwCfV.net
右側頭部にお団子を作った女生徒は困ったようにしている。

「困ったなあ……今日は侑ちゃん、同好会も休むって言ってたし、変なことしてなきゃいいけど……」

すみれ「あなたお名前は? 私はかの……じゃなくて、すみれです」

歩夢「私は歩夢です。二人とも侑ちゃんのお知り合いですか?」

かのん「私は……かのんよ。知り合いじゃないけど、侑って子に呼ばれて来たのよ」

歩夢「そっかあ……。侑ちゃんってば、人を呼んでおきながら自分がいなくなっちゃうなんて……まったくもう」ポムポム

すみれ「あはは……とりあえず私たちも探してみます」

歩夢「うん。私も探してみるね。それと気になったんだけど……あなた、幼馴染っていたりする?」

かのん「えっ、私!? まぁ一応いるけど……」

かのん(かのんがだけど)

歩夢「やっぱりそうだよね? 幼馴染がいる匂いがしたからそうじゃないかなって。幼馴染は大事にしないとダメだよ?」

かのん「ええ……覚えておくわ」

歩夢「じゃあ、私は行くね」

すみれ「うん、またね」

36: 2022/04/05(火) 16:08:04.01 ID:vgAqwCfV.net
すみれ「優しそうな子だったね。なんか不思議と似たような境遇を感じた気がする……」

かのん「とりあえず私たちも侑を探すわよ」

すみれ「そうだね!」

その後、学校の中を彷徨ってみたけど侑という子は見当たらなかった。
気が付けば下校時刻を過ぎていて、一面が夜空で覆われていた。生徒の姿もほとんどない。

かのん「結局見当たらなかったわね……もうそろそろ帰ろうかしら」

すみれ「あ、すみれちゃん! 見て!」

かのん「見てって何を……」

すみれ「空だよ、空!」

かのん「あ……満月……」

ブーッ!ブーッ!

かのん「携帯が……!」

37: 2022/04/05(火) 16:10:04.12 ID:vgAqwCfV.net
すみれ「メール来たの!?」

かのん「そうね……えと『スクールアイドル同好会の部室にきて』だって」

すみれ「どこだろう……」

かのん「そういえばさっき入口の前を通りかかった気がするわね……行きましょう」

すみれ「う、うん!」

38: 2022/04/05(火) 16:12:32.11 ID:vgAqwCfV.net
私たち二人は「スクールアイドル同好会」と書かれた扉の前にたどり着いた。

かのん「ここね。開けるわよ……」

ギイィ……

すみれ「真っ暗……。誰かいる?」

「よく来たね! 歓迎するよ!」

かのん「その声は……侑!」

侑「こんばんは。今日は月が綺麗だね? 再び二人に会えて嬉しいよ」

かのん「あんたね、誘ったのなら自分から出てきなさいよっ!」

侑「ごめん、ごめん。ちょっと色々と準備が必要でね? でも安心して。概ね儀式は終わってるから。あとは仕上げだけ」

かのん「儀式って、私たちを元に戻すためのものよね?」

侑「その通り。これから二人にはあることをやってもらうんだけど、それが終われば二人は元の姿に戻れるよ?」

すみれ「私たちは何をすればいいの?」

侑「それはね…………貝合わせだよ」

かのん「は……はぁあああ!?」

39: 2022/04/05(火) 16:14:11.72 ID:vgAqwCfV.net
かのん「あんた正気!? 何さらっと変なこと言ってんのよっ!」

すみれ「すみれちゃん、貝合わせってなに?」

かのん「あんたにはまだ早い!」

侑「ふふっ、知ってるなら話が早いね。でも安心してよ。相手は自分の身体なんだから恥ずかしがることないでしょ?」

かのん「自分の身体だから嫌なのよ!」

すみれ「ねぇ、貝合わせって……」

かのん「うるさいっ!」

侑「まあ心の準備もあるだろうし、雰囲気も大事だから私は消えるね? がんばってね? あー、それと今を逃したらもう元に戻るチャンスは無いから」

かのん「ちょ、待ちなさいよっ!」

すみれ「わ、本当に消えた……」

かのん「はぁあ……まったく……最悪よ。なんで私がこんなこと……しかも相手はかのんで……」

すみれ「とりあえずすみれちゃんが知ってるなら教えてよ。私は何をすればいいの?」

かのん「……パンツ」

すみれ「え?」

かのん「かのん、パンツを脱ぎなさい」

40: 2022/04/05(火) 16:18:12.42 ID:vgAqwCfV.net
すみれ「え、えええええ!!? なんで、意味分からないんだけど!」

かのん「貝合わせの貝っていうのは女性器の隠語で、つまり……私とあんたの女性器を合わせるってことよ」

すみれ「ええええ……それは確かに躊躇するね」

かのん「当たり前でしょ。しかも相手が自分の身体となっちゃ尚更……って! 脱ぐんかいっ!」

すみれ「だって、やらないと元に戻れないんでしょ? 私、やっぱりこのままだと困るもん」

かのん「かのん。あんたのそういう思い切りのいいところ、憧れるわ……」

すみれ「そう?」

41: 2022/04/05(火) 16:20:05.63 ID:vgAqwCfV.net
かのん「お互いパンツは脱いだわね……行くわよ」

すみれ「うん……」ドキドキ

かのん「まずは座って股を開いて……」

すみれ「こ、こうかな……」

かのん「自分の身体を他人目線で見るの、すごく嫌な気分ね……」

すみれ「大丈夫。私も同じ気持ちだから。でも、中身は私なんだよ……?」

かのん「どういう意味よ」

すみれ「いくら元に戻るためだからって、本当に嫌な相手とだったらこんなことしないよ……」

かのん「それって……」

すみれ「じゃあ、付けるね……」

かのん「まって、心の準備が……ひゃあっ!? つ、付いちゃった……」

43: 2022/04/05(火) 16:24:04.01 ID:vgAqwCfV.net
すみれ「……」

かのん「……」

すみれ「こ、ここは……私たち、もしかして気を失ってた……?」

かのん「ん……そのようだね?」

すみれ「隣にかのんがいるってことは……ようやく元の姿に戻れたのね!!」

かのん「そうみたいだね!」

すみれ「やったわ!! あはははははっ!」

かのん「あははははは!」

かのん「……とりあえず、パンツ履こっか」

すみれ「……そうね。それと……ティッシュ、持ってる?」

かのん「うん。お股濡れちゃってるもんね」

すみれ「いちいち言わなくていいっ」

44: 2022/04/05(火) 16:26:05.49 ID:vgAqwCfV.net
すみれ「さて、と……用も済んだし帰りましょうか。その前にあの侑って子に文句の一つでもいいたいところだけど……」

かのん「見当たらないねぇ。でも疲れたし帰ろっか」

すみれ「そうね」

かのん「あ、そうだ。すみれちゃん。さっきのなんだけど……」

すみれ「さっきのは事故よ。忘れなさい」

かのん「そう? 私は楽しかったけどな? 気持ちよかったし……またやる?」

すみれ「絶対にやらないっ!!」

45: 2022/04/05(火) 16:28:04.08 ID:vgAqwCfV.net
侑「……行ったみたいだね。もう大丈夫だよ、璃奈ちゃん」

璃奈「うん。二人ともすごかった。璃奈ちゃんボード『ムラムラ』」

侑「でも、璃奈ちゃんは本当にすごいね。今度は入れ替わりの実験、私にも試させてよ?」

璃奈「だめ。これは発動したら誰にあたるか分からないランダム儀式だから危険。だから封印する」

侑「そっかぁ~……残念」

璃奈「ところで、侑さんはこれを使って誰と入れ替わりたかったの?」

侑「そんなの決まってるじゃーん。歩夢だよ」

璃奈「え、歩夢さん? どうして……」

侑「だってそうすれば歩夢の身体は私の好きにできるんだよ? それに歩夢の美貌で可愛い女の子をいっぱい食えちゃうじゃん! 考えただけでときめいちゃう~!」

璃奈「……侑さんに当たらなくて本当によかった」

璃奈(でも歩夢さんが侑さんの身体を手にいれた方がよっぽどヤバい気がするけど……そこまで考えるのはやめよう)

侑「んじゃ、私たちも帰ろうか。夜も遅いし、このまま二人でホテルでも行く?」

璃奈「だめ。今は生理中」

侑「そっか、ざんね~ん!」

おわり

引用元: かのん・すみれ「私たち……入れ替わってる――――っ!?」