1: 2013/03/15(金) 04:17:34.69 ID:zv42VPlF0
雪歩「いぇーい!」ピョンッ

雪歩「えへへ……今日はなんだか調子がいいですぅ!」

雪歩「よーし、もう一回! ゆっきゆきぴょ──」

貴音「……」

雪歩「ぴょ……、ぴょぉお、お……!?」

貴音「……」

雪歩「ひぃぃぃいんっ!!」


雪歩(──萩原雪歩、二十一歳……。
   アイドルになって、五度目の春のことでした)

3: 2013/03/15(金) 04:23:33.89 ID:zv42VPlF0
雪歩「しっ、ししし、四条すぁん!?」

貴音「……」

雪歩「あ、あの……いつからそこにいたんですか……!?」プルプル

貴音「……」

貴音「……ふふっ」

雪歩「せめて『面妖な』とかでいいからなんか言ってくださいぃいぃ!」

貴音「雪歩」

雪歩「は、はい……」

貴音「……もう、五年も経っているのですよ」

雪歩「え……?」

貴音「……そのような昔のキャラのことを思い出させるのは、やめてください」カァァ


雪歩(四条さんにとって、あの頃の自分は、
   なんだかちょっぴり、思い出したくない思い出になってるみたいですぅ)

7: 2013/03/15(金) 04:33:41.37 ID:zv42VPlF0
雪歩「四条さん、ごめんなさい……」

貴音「……雪歩もあれから、随分と変わりましたね」

雪歩「そ、そうですか?」

貴音「ええ。昔のあなたなら、今のような……ゆきぴょんぴょん? うふふっ」

雪歩「あ、えへへ……本当のことを言うと、実はあの頃から、
   ライブの前とかにはこうやって、自分を元気付けていたんですぅ!」

貴音「……」

雪歩「あの、でも……えへ、えへへえへ……」

貴音「な、なにを急に笑っているのですか……?」

雪歩「四条さん、今の、すっごく可愛かったから……、もう一回言ってくれませんか?
   それで一緒に、ゆきぴょんぴょんって……えへへ」

貴音「……雪歩もあれから、随分と変わりましたね」

雪歩「そ、そうですか?」

貴音「本当に……どうしてこうなってしまったのでしょうか……」


雪歩(でも、たしかに……、
   からかわれるのをこんな風にかわせるくらいには、私は強くなりましたぁ! えへへ……)

9: 2013/03/15(金) 04:41:09.61 ID:zv42VPlF0
雪歩「でも、変わったって言えば──」

ガチャッ

響「みんなー! おっはよー!」

貴音「響……おはようございます」

雪歩「おはよう、響ちゃん」

響「おっ、貴音に雪歩っ! えへへ、もう来てたんだねっ!」

雪歩「……」

響「な、なに? なんでそんなに自分のこと、ジロジロ見てるの?」

雪歩「……ううん、なんでもないよ」ニコッ

響「うー……でもなんか気になるよー」

雪歩「ただ最近、はいさーいって聞かないなぁって思っただけ」

響「うぇっ!? そ、そりゃ、もう……こっちに住んで長いし……」モジモジ

響「……ていうか……あんまり昔のこと、思い出させないでよね……」カァァ


雪歩(響ちゃんは今ではほとんど、標準語を話すようになりました)

雪歩(あとなぜか、あの頃に比べて、胸がとても小さくなっていますぅ。えへへ……♪)

12: 2013/03/15(金) 04:50:31.84 ID:zv42VPlF0
 
……

雪歩「……はい、お茶ですぅ」コトッ

響「ありがとっ!」

雪歩「お茶菓子も持ってきたんだ。はい、四条さんも……」

貴音「あっ、おせんべいー! ありがとーございますー」

雪歩・響「えっ?」

貴音「……」

貴音「……な、なにか?」

雪歩「……ねぇ響ちゃん、今……」ヒソヒソ

響「貴音ってもしかして……今でも……」ヒソヒソ

貴音「やめてください! やめてください!」

雪歩「……かわいいね」

響「そーだね。もっと普通にすればいいのに」

貴音「やめてください! やめてください!」

15: 2013/03/15(金) 04:59:20.01 ID:zv42VPlF0
雪歩「こくっ、こく……はふぅ。
   えへへ……、やっぱりいくつになっても、お茶を飲むとホッとしますぅ」

貴音「……ゆ、雪歩こそ」

雪歩「え? な、なんですか……?」

貴音「雪歩こそ、その……自分を偽っているのでは、ありませんか……?」プルプル

響「たっ、貴音ぇっ! それは言っちゃダメだってばぁっ!」

貴音「止めないでください響っ! 今日こそ言わせていただきますっ!」

雪歩「わ、私、偽ってなんかいませんよぉ!」

貴音「それなら、なぜっ! なぜそのように……!」

雪歩「……?」

貴音「庇護欲を、そそるような……言動を……!」

雪歩「ひごよく……?」

貴音「抱きしめたくなるではありませんか……っ! 二十一にもなって……!」

響「たっ、貴音ぇっ! キャラを隠せてないってばぁっ!」

雪歩「……えへへ」

響(コイツ……!)

18: 2013/03/15(金) 05:07:17.73 ID:zv42VPlF0
貴音「……こほん。失礼いたしました」

雪歩「だ、大丈夫ですぅ……ちょっとこわかったけど、
   四条さんだから、本当はこわくありませんでした……えへへ」

貴音「雪歩……」キュン

響(さっきの雪歩の笑顔が忘れられないぞ……)


……


響「……それにしてもさー」

雪歩「どうしたの?」

響「自分達……もう、けっこー有名になったよね」

貴音「そうですね……ありがたいことです」

響「……あれからもう五年だし……そろそろ、こいび

雪歩「響ちゃんっ!!」 貴音「響っ!!」

響「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだぞ!
  そんなんだから、自分達、いつまで経ってもぉ!」

雪歩「で、でも……それは……その話題だけはぁ……!」

19: 2013/03/15(金) 05:14:19.06 ID:zv42VPlF0
 
「「「……はぁ」」」

響「……。……ぷろ──

雪歩「」ピクッ

貴音「」ピククッ

響「……」

響「……野球」

雪歩「う、う、『う』……うま!」

貴音「ま……、『ま』ですか……マラソン! あっ……」

響「あはっ、あはは! 『ん』で終わったから、貴音の負けだぞっ!」

貴音「ふふっ、ふふふ……私としたことが……」

雪歩「えへっ、えへへ……♪」


雪歩(──私達は、こうやって、笑顔でいれさえすれば……)

雪歩(それが一番、平和で、幸せなんだと思いますぅ)

20: 2013/03/15(金) 05:23:22.01 ID:zv42VPlF0
雪歩「詩を書いてきたんだ」

響「突然だな……」

雪歩「えへへ……聞いてくれる?」

貴音「もちろんです。して、詩の題目は?」

雪歩「『1リットルの水』ですぅ!」


~ 1リットルの水 ~

扉を開けば いつでも会えるキミ

ボクの人生に 無くてはならないキミ

いつも ボクを 支えてくれて ありがとぉ ……


響「あー……雪歩、ゆき……、おい雪歩!!」

雪歩「水、水は軟水っ……え、なに?」

響「もうやめて……」

雪歩「え……」

響「なんだか知らないけど、つらくなってきたから……やめて……」

22: 2013/03/15(金) 05:34:04.11 ID:zv42VPlF0
雪歩「──そんなこと言わないでっ! 三人で作っていこうよ!」

響「うぇっ!?」

雪歩「これに曲をつけて、新曲として売り出そうよ!」

貴音「面妖な……」

響「貴音が思わず昔のキャラになっちゃうくらい面妖だぞ……」

雪歩「目指せ、夢の印税生活──」

響「……雪歩!」ガシッ

雪歩「え……?」

貴音「……もう、無理しないでいいのです。泣かなくても、いいのですよ……」

雪歩「わ、私……泣いてなんて……」ツツー…

雪歩「あっ、あれ……? おかしいな……えへへ、なんでだろ……」

響「うん、うん……350ミリリットルでも、500ミリでもなくて、1リットルなんだよな……」

雪歩「うん……」

貴音「大丈夫ですよ、ちゃんとわかっていますから……」

雪歩「……う……、うぅ……!」ポロポロ

24: 2013/03/15(金) 05:40:29.35 ID:zv42VPlF0
雪歩「……」ゴシゴシ

雪歩「ごめんなさい……私、どうかしてましたぁ……」

響「いいんだぞ……」

雪歩「えへへ……つい、千早ちゃんのこと、思い出しちゃって」

響・貴音「!!!!!!」

雪歩「やっぱり……アレかなって……ギャップが、いいのかなって」

響「ゆっ、雪歩っ!」

貴音「なぜここにきてその話題をっ!!」

雪歩「止めないでくださいぃっ! ちっ、ちち、千早ちゃんは──!」


雪歩「ギャップ萌えで!!」

雪歩「プロデューサーの心を……、勝ちとったんだからぁっ!!」


響「あ、あぁあ……!!」

貴音「それを口に出すとは……!!!」

28: 2013/03/15(金) 05:49:01.64 ID:zv42VPlF0
 
ゴォォォ……


雪歩「あ、見て……飛行機、とんでるよ……」

響・貴音「……」

雪歩「……あの日も、こんな風に……千早ちゃん達の出発を、見送ったんだよね……」

貴音「昔からの夢を叶えて……立派なものです」

響「えへへっ……世界って、どんな感じなのかな……」


「「「……」」」


雪歩「……赤ちゃん、結構もう、大きくなってたよね」

響「うん……かわいかった」

貴音「ふふっ、私、携帯電話の壁紙にしているんですよ……」パカッ


「「「……」」」

33: 2013/03/15(金) 05:56:04.33 ID:zv42VPlF0
響「あ、あははっ! 貴音、まだガラケーなのか?」

貴音「はて、がらけー……とは?」

響「い、いまどきは、こういう……すまほ? っていうのが流行ってるんだぞっ!」

雪歩「え、えへへ! 響ちゃん、最近換えたんだよね!」

響「うんっ! 美希にバカにされちゃったからねっ!」

貴音「すまほ……?」

響「ほらほら、画面をつつーってやってみて!」

つつー

貴音「うっ、動きました! 面妖な……」

雪歩「わ、私もそろそろ替えようかなっ! そしたら……、そしたら……」

雪歩「……萩原スマ歩……ですぅ……!」

響・貴音「……」


雪歩(──どうしてでしょう)

雪歩(涙が止まりません……)ポロポロ

34: 2013/03/15(金) 06:05:15.26 ID:zv42VPlF0
雪歩「……」ゴシゴシ

雪歩「み、美希ちゃんと言えば!」

響「え……?」

雪歩「減塩、するって……」

響「そっか……塩むすびの食べすぎだぞ」

貴音「……それに、美希は……、近頃、お肉が──」

響「バカヤロー! それは言うんじゃあない!」

貴音「も、申し訳ありません……失言でした」

響「……中学生のときから食って寝て遊べ~で生活してたら、そりゃあ、しょうがないさ……」


「「「……」」」


雪歩「……真ちゃん、妊娠したって」

響・貴音「!?」

雪歩「なーんちゃって……えへへ」

響「し、心臓に悪い冗談はやめてよね……」

37: 2013/03/15(金) 06:12:42.24 ID:zv42VPlF0
響「……」

貴音「……」

雪歩「……もう私、真ちゃんでも……いいかな」

響「!?」

貴音「ほっ、本気ですか……!?」

雪歩「わりと本気ですぅ……!」

雪歩「というかむしろ……お願いしますって……」

響「あ、あの頃ならともかく……今言うと、ちょっとシャレにならないぞ……」

貴音「雪歩、あなたはまさか、ガチな方だったのですか……!?」プルプル

雪歩「ふふふ……四条さん、どうして震えているんですか……?」

貴音「ふっ、ふふ、ふるえてなど」

響(貴音は昔、雪歩に随分懐かれてたからなー。
  四条さんとイチャイチャしたいですぅ! なんて雪歩言ってたし)

41: 2013/03/15(金) 06:23:06.58 ID:zv42VPlF0
雪歩「えへへ……真ちゃん、今では前にも増してさらにカッコよくなってるし……」

響「そんなこと言ったら、真怒ると思うぞ……」

雪歩「もちろん私は、真ちゃんの可愛いところも大好きだよ?
   真ちゃんったらね、とっても、とーっても……可愛い顔、するんだから」ニコッ

貴音「先程の流れを考えると、恐ろしい発言にしか聞こえないのですが……」

雪歩「そうと決まれば、なんだかわくわくしてきましたぁ!
   えへ、えへへ……電話して、デートにでも誘っちゃおうかな」

響「好きにすればいいさー……」

響(雪歩の瞳が……)

雪歩「ポパピプペー」

プルルル……

ピッ!

雪歩「あ! もしもし、真ちゃ──……あ、う……、うん、そう……、雪歩ですぅ」

響・貴音「……?」

雪歩「……春香ちゃん……、こんにちは……」

響・貴音「……っ!?」

44: 2013/03/15(金) 06:28:15.48 ID:zv42VPlF0
雪歩「ちっ、ちがうの」

雪歩「だからね……うん、そう、そう……間違って真ちゃんの番号にかけちゃっただけで……」

雪歩「えっと……あの……そんな、違うよ! 美希ちゃんも関係ないから!」

雪歩「それじゃあ……うん、うん……また、ね」

ピッ……


雪歩「えへへ……」

貴音「あ、あの……」

雪歩「……聞きたい?」

響「聞きたくない聞きたくない聞きたくないぞ」

46: 2013/03/15(金) 06:35:58.74 ID:zv42VPlF0
雪歩「昔だったら、こういうポジションは、春香ちゃんじゃなくて私だった気がするんだけどな……」

響「何のことを言ってるのかさっぱりわかんないけど、春香もあれから色々あったからね……」

貴音「……覚えていますか? 春香が一度、突然ロスへ飛んでいった日のことを」

響「あー……あれでしょ、プロデューサーを追いかけて……」

貴音「実は……そうではないという説もあるのですよ」

響・雪歩「えっ?」

貴音「……春香は本当は……、千早を

響「聞きたくない聞きたくない聞きたくないぞ」

雪歩「し、しし、四条さん、それ、誰から聞いたんですか?」

貴音「小鳥嬢から……」

雪歩(嘘か本当か妄想か微妙なラインですぅ)

48: 2013/03/15(金) 06:43:21.07 ID:zv42VPlF0
雪歩「……」

貴音「……」

響「……テレビでも、つけよっか」

雪歩「な、ナイスアイデアですぅ! そぉれ、えいっ!」

ピッ

響「なに、今の……そぉれって」

雪歩「もう開き直って、も○ちみたいなキャラでも開拓しよっかなって……」

響「色々謝った方がいいと思うぞ……」

貴音「おや、ちょうどこの時間は……」ピッピッ


『高槻やよいとー!』

『水瀬伊織ちゃんのー!』

『『お料理さしすせそ! いぇーい!』』


雪歩「アイドルだ!」

響「アイドルが出たぞ! 殺せ!!」

50: 2013/03/15(金) 06:51:50.77 ID:zv42VPlF0
貴音「何を物騒なことを言っているのですか」

響「うう……だってぇ~……!」

雪歩「なんだか、ふたりが眩しすぎますぅ……!」


『それでやよい、今日は何を作るわけ?』

『えっへへー、今日はね、愛情たっぷりハンバーグだよっ!』

『ハンバーグ? また庶民的な料理ねぇ』

『そんなこと言っちゃダメだよ伊織ちゃん!
それにね、今日は普通のハンバーグじゃなくて、お豆腐を使ったすっごくヘルシーなハンバーグなんだから!』

『ハンバーグなのにヘルシー?
あんた何言ってんのよ、そんなものがあったら美希にお勧めしてやりたいわ』

\ドッ/


貴音「……あぁ……やよい……」

響・雪歩「……」

貴音「……な、なにか?」

響「もう何も言わないぞ……」

51: 2013/03/15(金) 07:00:17.99 ID:zv42VPlF0
雪歩「この番組も、随分長寿番組ですぅ」

響「そーだねー」

貴音「なんだか、こういった番組を見てるとお腹が空いてきますね」ぐ~

響「あははっ! 貴音ったら、言ってるそばからお腹が鳴ってるぞ」

雪歩「……そういえば、四条さん」

貴音「なんですか?」

雪歩「前から聞きたかったんですけど……スタイルを保つ秘訣、何かあるんですか?」

貴音「……。……体型、ですか」

響「あっ、それは自分も聞きたかったかも。
  貴音、すっごい食べるけど、全然お肉つかないよね~」

貴音「……」

雪歩・響「……?」

貴音「……ふふ。もう……、話しても、いいかもしれませんね」

53: 2013/03/15(金) 07:04:20.40 ID:zv42VPlF0
貴音「もう五年も経った今だから言えることですが……私、実は……」

響「う、うん……」ゴクリ

貴音「……すごいのです」

雪歩「へっ? すごいって……何がですか?」

貴音「……」


貴音「……量が」

響・雪歩「……!!!!!」


貴音「ふふ……何の量か……聞きたいですか?」

響「やめてぇっ!!」

雪歩「腐っても私達はアイドルですぅ!! アイドルの体内からはマシュマロしか出ませぇん!!!」

貴音「ふふふ……」

54: 2013/03/15(金) 07:11:37.90 ID:zv42VPlF0
雪歩「あっ、ち、ちがうよ? 腐ってるって今つい言っちゃったけど、私は別に、腐じゃ……」

響「え? ……『ふ』?」

貴音「一体、なんのことですか?」

雪歩「……なんでもありません」

響「……、……」

貴音「……? 響?」

響「……『バネPは』」

雪歩「『掛け算の右側』!」

雪歩「……ハッ!」

響「ピヨコォォォ!? ピヨコはどこだぁ!!」

響「雪歩に変な知識を与えたのはピヨコだろぉぉぉ!!」

雪歩「ち、ちち、ちがうの! 私は別に、そっちが専門ってわけじゃなくて……百合を……」

貴音(何やらわかりませんが、再び先程のような寒気が)プルッ

55: 2013/03/15(金) 07:20:50.63 ID:zv42VPlF0
雪歩「……それにしても、響ちゃん。響ちゃんはどうして……?」

響「ぎくっ」

雪歩「……ふふ」

響「……だ」

雪歩「だ?」

響「だぞだぞ! あいえなー!」

貴音「おや、それはちびきですね」

響「えへへっ、めちゃくちゃ楽しんだぞ。ちびきのアフレコするの」

雪歩「ねぇ、響ちゃ」

響「ねぇねぇ! 貴音もやってみてよ!」

貴音「しじょっ」

響「あははっ! 思ったより声高いよねー!」

雪歩「ぽぇー……」

響(なんとか話題をそらすことに成功したぞ……)

59: 2013/03/15(金) 07:27:40.14 ID:zv42VPlF0
 
キーンコーンカーンコーン……

雪歩「あ、お昼のチャイムですぅ」

響「ほんとだ……貴音もさっきからお腹なりっぱなしだし、そろそろご飯食べに行く?」

貴音「そうですね……では、たるき亭へと参りましょうか」スック


……


たるき亭

雪歩「鯖味噌煮定食をお願いしますぅ!」

貴音「私も……」

響「じゃ、じゃあ自分も!」

雪歩・貴音「どうぞどうぞ」

響「うぎゃー! なんなのもー!」

雪歩・貴音「ふふっ……」

響「今のやり取り、ほんとになんのためにあったんだ……?」

60: 2013/03/15(金) 07:33:56.92 ID:zv42VPlF0
 
「「「いただきまーす!」」」


響「もぐもぐ……」

貴音「ハムッハフハフッハフ!」

雪歩「……」モムモム

貴音「──萩原雪歩ぉっ!」

雪歩「!? けほっ、こほ……なな、なんですかぁ!?」

貴音「あなたは……どうして、そう……食べるときの擬音まで、可愛らしいのですか……!」

雪歩「そ、そんなこと言われたって……」

貴音「自分の年齢を考えなさい……! 二十一にもなって……!」

響(モムモムって可愛い擬音かな)

雪歩「……えへへ」

響(コイツ……!)

63: 2013/03/15(金) 07:41:03.40 ID:zv42VPlF0
モグモグ……

響「……そーいえばさー」

雪歩「どうしたの、響ちゃん」

響「亜美と真美、どうしてあんなに違いが出たんだろうね」

貴音「……」

雪歩「……」

響「真美がね、泣きながら自分に相談してきたんだー」

雪歩「な、なにを……?」

響「なにをってそりゃ、胸のことさー」

響「あははっ! 真美、中学校のときから1センチも成長してないんだって。
  亜美はあーんなにおっきくなってるのにね!」

響「なんで自分に相談してきたのかは、ゼンゼン、わかんないけどなーえっへっへ」


貴音(響が、泣いています……)

雪歩(真美ちゃんもどうしてよりによって響ちゃんを相談相手に……)

64: 2013/03/15(金) 07:48:51.40 ID:zv42VPlF0
 
「「「ごちそーさまでした」」」


<ありがとーございましたー


雪歩「……響ちゃん、ほら、小川さんが手を振ってくれてるよ」

響「うん……グスッ」

貴音「元気を出してください、響……」

響「ご、ごめん……でも、でも自分、なんで……!
  自分の胸、どこにいっちゃったんだよぉ……! うぅ……!」

貴音「胸の大きさなど、どうでも良いではありませんか」ドプンッ

雪歩「そうですぅ。私だってこんなに、ひんそーでひんにゅーでちんちくりんだし……」プルンッ

響「うぎゃーーーーー!!!! ふたりとも嫌いだぁーーーーー!!!!」

66: 2013/03/15(金) 07:56:45.21 ID:zv42VPlF0
雪歩「……嫌いになっちゃった……?」

響「うぇっ!?」

貴音「……申し訳ございません、響。私達は、あなたを……知らぬ間に、ひどく傷つけてしまったようですね」

響「あっ、あの……」

雪歩「……っ」タッ

貴音「雪歩! 待ってください!」

雪歩「う、うぅ……でも、私……もう、響ちゃんに合わす顔がありません……!」

貴音「……大丈夫です。響ならきっと……許してくれるはずですから」

雪歩「ほ、本当ですかぁ……?」

貴音「ええ……だって、響は……こんなにも、優しい子ではありませんか」

響「だっ、だからぁ! べつに、今のは……つい、言っちゃっただけっていうかっ!」

雪歩「それじゃあ、本当は……?」

響「えぇ!? そ、そりゃあ……」

貴音「本当は?」

響「だ、だから……その……」モジモジ

67: 2013/03/15(金) 08:00:47.40 ID:zv42VPlF0
 
響「……。……す、……す……」

雪歩「す?」

響「──き……」

貴音「ん? なんだって?」

響「うぅぅ~……! も、もうっ!」



響「……ふたりとも、だい好き……、だぞ」



雪歩・貴音「いぇーい!」パチンッ

響「うぎゃーーーーーー!!! やっぱり嫌いだーーーーーー!!!」

雪歩「四条さん、途中でプロデューサーのモノマネをはさみましたね!」

貴音「おや、気付きましたか。ふふっ……毎晩練習したかいがあったというものです」

響「しかもそのあと自分を放置とか……フリーダムすぎるぞ……!!!」

78: 2013/03/15(金) 08:48:36.53 ID:zv42VPlF0
再び765プロ事務所

雪歩「はい、食後のお茶ですよ」コトッ

響「ありがとっ!」

貴音「いただきます……」ズズッ

貴音「……はぁ、美味しい」

響「あっ、なんか今の貴音、素っぽい。
  昔だったら、『真、美味ですね……』みたいな感じで言ってたよね」

雪歩(真、美味って、ちょっぴりいやらしい響きですぅ)

雪歩(あれ? いやらしい響き……いやらしい響……)モンモン

貴音「もうなんだかいいかなって思っちゃいましてー」

響「……や、やっぱりちょっと、違和感があるぞ」

貴音「そーですかー?」

響「うん……自分はやっぱり、いつもの貴音のほうがしっくりくるかも」

雪歩「しっぽり!? ひ、響ちゃん、いやらしい!」

響「なんの話だ」

79: 2013/03/15(金) 08:56:33.75 ID:zv42VPlF0
 
「「「ふぅ……」」」


響「……いやー、でもさぁ」

貴音「出ましたね」

雪歩「出ましたぁ」

響「えっ、な、なに?」

貴音「話題を変えるときは、大体、響がそのように言うのです」

雪歩「さすが響ちゃんですぅ。司会進行もお手の物だね!」

響「そ、そう? いやー、そんなに褒められちゃうと、照れちゃうな……でへへ」

貴音「よ、大統領!」

雪歩「故郷に錦をかざりたがり!」

響「あっはっは! えへ、えへへへ……な、なんか、くすぐったいぞ!
  まぁ自分、これでも結構、完璧だっていうところあ

雪歩「それで、何の話をしようとしてたの?」

響「あ、はい。えーっと……」

81: 2013/03/15(金) 09:07:07.14 ID:zv42VPlF0
響「自分達、なんだかんだ言って、あの頃のメンバーはまだみんな芸能界にいるけどさ、
  ちゃーんと夢を形にしたのって、千早とあずささんだけなのかなって思ったんだ」

雪歩「夢?」

響「うん……」

貴音「……そうかもしれませんね」

響「千早は、世界的な歌手になることでしょ。それと、あずささんは……」

雪歩「運命の人……」

貴音「……ふふっ、とても幸せそうでした」

雪歩「えへへ……結局、あずささんは、
   自分のプロデューサーと、結ばれたんだもんね」

響「……今頃、どうしてるかなー」

雪歩「……」

貴音「……でも、響。私達だって、夢を叶えたではありませんか」

響「え?」

雪歩「……うん、そうだよ」

82: 2013/03/15(金) 09:15:58.72 ID:zv42VPlF0
雪歩「……私の夢は、弱虫だった自分を変えること。
   えへへ、自分で言うのもなんだけど……、私、あの頃により、結構変われた気がしますぅ」

貴音「私は……話すと長くなりますが、最初の目的はどうやら、達成できたようですね」

響「……そっか。うん、そうだねっ!」

響「自分も島に帰って、あんまーにまた会えたし……夢、ちゃんと叶えられたかも」

雪歩「……でも」

貴音「……そうですね。今はまた、私達は、新しい夢の途中にいるようです」

響「新しい、夢……」

雪歩「それは……」


「ずーっと、みんなと仲良く、笑顔で、一緒にいること……」

83: 2013/03/15(金) 09:21:19.90 ID:zv42VPlF0
雪歩「……」

響「……」

貴音「……」

響「う、うわぁ~……な、なんか、恥ずかしくなっちゃった!」

雪歩「わ、私も……えへへ」

貴音「見てください、この鳥肌を……」ゾワワ

響「貴音はちょっともうキャラが行方不明すぎるぞ……」

雪歩「……えへ、えへへ」

貴音「ふふっ、ふふふっ……」

雪歩「あれから、五年かぁ……」

貴音「……本当に、様々なことが、変わっていきましたね」

響「でも、ま……今が楽しいから、なんでもいいよねっ!」

雪歩「うん!」

貴音「ええ!」

85: 2013/03/15(金) 09:29:41.29 ID:zv42VPlF0
響「よーし! それじゃあそれじゃあ、もっと仲良くなるために! これから三人で、どっか遊びに行かないかっ!?」

雪歩「そうだね! えへへ……どこがいいかなぁ」

貴音「でしたら、あの……最近開店したという、すいーつ食べ放題のお店など……」

響「うぇっ!? 貴音、お昼ご飯食べたばっかりなのに、またぁ!?」

貴音「良いではないですか。甘いものは別腹、と言いますし」

雪歩「わっ、私は……その、池袋に、乙女向けの街道があるから、そこもいいんじゃないかなって……」

響「乙女向けの街道? なにそれっ、面白そうだね!」

貴音「ふふっ、それではさっそく……行きましょうか」

雪歩・響「おー!」


 アハハ……
            アハハハ……


小鳥「…………」

小鳥「……あの子達、何のために事務所に来たのかしら」

小鳥「ま、いっか……お、新刊出てるじゃない、ウフフフフ……♪」ポチポチ

おわり

89: 2013/03/15(金) 09:33:30.34 ID:zv42VPlF0
ただグダグダとくっちゃべってるのが書きたかったんです、すみません
一応765プロ全員を話題に出せたので良かった 律っちゃんもちゃんと書いたからね
読んでくれた方、ありがとうございました

引用元: 雪歩「ゆっきゆきぴょんぴょんゆきぴょんぴょんっ!」