1: 2012/06/03(日) 19:59:46.71 ID:071H+w4M0
☆りつのいえ
律「せっかくの日曜日だから澪を遊びに誘ったのに…断られちまった」

律「『昨日も遊びに行っただろ』だってさ。毎日遊びに行ったっていいじゃないか」

律「暇だぁ…」ゴロゴロ

律「そういえば琴吹さんのメールアドレス教えてもらってたな」

律「これから部活の仲間になる者同士、親睦を深めておくのもいいかも」

律「『よかったら、これから遊びに行かないか』っと」ポチポチ


☆むぎのいえ
ターンターンターン♪タッタッタッタッタッターン♪

紬「あら、田井中さんからメール。ふむふむ、遊びのお誘いだわ」

紬「『お付き合い致します』と」ポチポチ

紬「さて、お出かけの準備をしなくっちゃ」

4: 2012/06/03(日) 20:02:42.95 ID:071H+w4M0
☆駅前
律「あ、琴吹さん」

紬「田井中さん! 本日はお誘い頂きありがとうございました」

律「いやぁ、私は日曜日なのになにもやることなかったからさー。琴吹さんと親交を深めるのもいいかなーなんて」

紬「私も家で暇にしていたんです。誘っていただかなかったら、一日中家でゴロゴロしていたんじゃないかな…」

律「ふーん。琴吹さんも自堕落な生活送ってるんだ。ちょっと意外かなー」

紬「それで、本日はどちらへ向かいましょうか?」

律(琴吹さんっていいところのお嬢様っぽいんだよなー)

律(ゲーセンとか連れてくわけにもいかないし、ショッピングにしても普段どういうところ行ってるのかわからないからなー)

律「お花見なんてどうかな」

紬「まぁ、素敵ですね」

5: 2012/06/03(日) 20:03:59.25 ID:071H+w4M0
☆公園
律「この公園は桜が綺麗なことで有名なんだ。琴吹さんは来たことある?」

紬「ううん。お花見はいつもおうちのお庭でやっておりましたので、外にこういう風にお花見するのは初めてなんです」

律(お庭でお花見って…やっぱり琴吹さんってとんでもないお嬢様なんじゃ…)

紬「あ、綺麗に咲いてますね」

律「まだ散ってなくてよかったよー」

紬「本当に綺麗に咲いていますね。あ、あれは枝垂桜かしら。桜の花びらがアーチみたいになっていますね」

律「この公園の名物なんだ。一緒にくぐろうよ」

紬「うわー、桜のいい匂い……桜の花をこんなに近くで見たのは初めてです」

7: 2012/06/03(日) 20:05:43.27 ID:071H+w4M0
紬「こんなポカポカしたお天気の中、桜並木を歩いてると、なんだかわくわくしてきますね」

律「あー、琴吹さんはいつも家のお庭で桜見してたから、こういう花見は初めてなんだ」

紬「はい。桜の下でわいわい騒ぐのもいいけど、こういうお花見も素敵だと思います」

律「うんうん。わかるわかる。あっちこっち歩き回って桜を見るのって楽しいよね」

紬「こういう桜の楽しみ方があるって、今まで知りませんでした。田井中さんって凄いですね」

律「そんなことないって」

律(…琴吹さんってちょっと変?)

10: 2012/06/03(日) 20:06:38.00 ID:071H+w4M0
紬「……」ジーッ

律「琴吹さん?」

紬「……は、はい?」

律「あー。お団子見てたんだな」

紬「す、すいません。あまりに美味しそうだったから」

律「いいよいいよ。結構歩いたから、一緒に食べよう。琴吹さんはどれがいい?」

紬「それでは。えーっと、三色お花見団子」

律「三色お花見団子ね」

紬「…と、みたらし団子と、こし餡団子と、磯辺焼きをお願いします」

律(多い…)

12: 2012/06/03(日) 20:09:27.42 ID:071H+w4M0
律「じゃあそこに座って待ってて」

◇会計中……
………………
…会計終了◇

律「はい、ぞうど」

紬「あ、お金を払いますね」

律「いいっていって。今日は私が誘ったんだからさ」

紬「そんな…悪いです」

律「いいんだって。それにさ、琴吹さんには部活に入ってもらった恩があるじゃん」

紬「……わかりました。だけど今度お返しさせてくださいね。そうだ。田井中さんって紅茶は飲めますか」

律「飲む飲む」

紬「じゃあ今度紅茶をいれてあげますね」

律「おおっ、それは嬉しいな」

紬「田井中さんはどんな紅茶が好きですか?」

律「ちょっと苦めが好きかなー。あんまり飲んだことないからよくわからないんだけどさ」

13: 2012/06/03(日) 20:10:59.62 ID:071H+w4M0
律「ふー、食べた食べた」

紬「じゃあもう少し歩いて見て回りましょうか」

律「おう」

紬「あ、あの桜とっても綺麗」

律(琴吹さん本当に楽しそうに桜を見てるな)

紬「ねぇ、田井中さん」

律「うん?」

紬「私ね、こういう風に誰かと一緒に桜を見るのが夢だったんです」

律「…………ぷっ、くすくす」

紬「あーっ、笑うなんて酷いです」

律「ごめんごめん。琴吹さんの夢があまりに些細なことだったから思わず笑っちゃったよ」

14: 2012/06/03(日) 20:11:57.21 ID:071H+w4M0
律「ねぇ、琴吹さん」

紬「はい?」

律「これからは私が琴吹さんの友達だから。誘われたらいつでも遊びに行くからさ」

紬「……」

律「琴吹さんの夢を叶えるためにもどんどん遊びに誘ってよ」

紬「田井中さん…」

律「それにさ。澪もいい奴だから誘ってやってよ。きっとあいつも琴吹さんと仲良くしたいと思ってるから」

紬「はいっ!!」

律「あとさあとさ、私達友達同士なんだから名前で呼び合わない?」

17: 2012/06/03(日) 20:12:57.62 ID:071H+w4M0
紬「では、私のことは『ムギ』とお呼び下さい」

律「ムギだな。じゃあ私のことは『律』って呼んでくれ」

紬「りつ…りつ…」

律「それとさ、その敬語もやめないか。なんだか堅苦しくってさ。もっとフランクにいこーぜ」

紬「フランクに……わかりました。……りっちゃんさん」

律「りっちゃんさん? りっちゃんはいいけど、『さん』はいらないだろ『さん』は」

紬「はいっ、りっちゃん」

19: 2012/06/03(日) 20:14:45.77 ID:071H+w4M0
唯「ふんふん。そんなことがあったんだねー」

律「うん。その次の日に紬が食器棚とティーセット担いで持ってきたのには、流石に度肝を抜かれたけどなー」

唯「でもこれで一つ謎が解けたよ」

律「なんだ?」

唯「私が初めてけいおん部に来たとき、りっちゃん、ムギちゃんの紅茶を飲んで「にがっ!」て言ってたじゃん」

律「あぁ…あれか」

唯「あんなに美味しいお茶だったのに不思議だと思ってたんだよー。りっちゃんのお茶だけ苦めにいれてたんだね」

律「今となっては懐かしいなー」

唯「ムギちゃんがけいおん部にティーセットを持ち込んだのは、りっちゃんがきっかけだったんだね。グッジョブだよ!」

20: 2012/06/03(日) 20:15:35.57 ID:071H+w4M0
紬「みんなー紅茶が入ったわよ」

唯「待ってました!」


律「うん。ムギの紅茶はいつ飲んでも美味しいなー」

紬「りっちゃんたら、突然どうしたの?」

律「なんでないって」

紬「……? 変なりっちゃん」


律(ムギの言葉遣いは今でも丁寧なところが多いけど、昔みたいな堅苦しさはなくなった)

律(あのお花見がムギが私達と打ち解けるきっかけになったとしたら少しだけ嬉しい)

律(春がきたらまたムギを誘ってお花見に行くのもいいかもしれない)

律(二人で)

おしまいっ!

24: 2012/06/03(日) 20:17:41.04 ID:CIHFjR1zO

引用元: 律「そうだ。琴吹さんにメールでもしてみるか」