1: 2013/03/18(月) 01:08:20 ID:mrrNAreM
謁見の間にて
王「勇者よ」
勇者「はい」
王「近頃、魔物が活発に動き、人々も不安な日々を過ごしている」
王「そこで、勇者には元凶となる魔王を討ってもらいたい」
勇者「なるほど、わかりました」
王「そこで、旅の助けになる物を用意した。大臣!」
大臣「はっ」サッ
2: 2013/03/18(月) 01:12:29 ID:mrrNAreM
勇者「これは…?」
大臣「ピストルです、勇者殿」
勇者「えっ、剣くれるかと思った」
王「これは、隣国の機密情報をもとに造られた、最新兵器…」
王「そして、その武器と、大臣!」
大臣「はっ!…私めが、勇者殿の旅のサポートを致します」
勇者「えっ、ついてくるの?」
大臣「ピストルです、勇者殿」
勇者「えっ、剣くれるかと思った」
王「これは、隣国の機密情報をもとに造られた、最新兵器…」
王「そして、その武器と、大臣!」
大臣「はっ!…私めが、勇者殿の旅のサポートを致します」
勇者「えっ、ついてくるの?」
3: 2013/03/18(月) 01:14:56 ID:mrrNAreM
大臣「ご不満ですかな?」
勇者「いえ、とんでもない」
王「大臣は案内兼補給役…その武器の使用法も教わるとよい」
王「では、行くがよい勇者よ」
4: 2013/03/18(月) 01:23:10 ID:mrrNAreM
城下町にて
勇者「さあ、まずは酒場だ」
大臣「なりません、勇者殿」
勇者「どうして」
大臣「勇者殿はまだ未成年です」
勇者「何も頼まないよ、仲間探しだけだって」
大臣「私めがいるではありませんか」
勇者「いや僧侶とか必要…」
大臣「私、これでも魔法、剣術、素手格闘をマスターしていますので」
勇者「そ、そう、じゃあいいかな」
5: 2013/03/18(月) 01:29:05 ID:mrrNAreM
勇者「じゃあ、よろず屋に」
大臣「なりません」
勇者「僕泣いちゃうよ?」
大臣「補給すべきものは揃えてありますので」
勇者「そう…わかったよ」グスッ
8: 2013/03/18(月) 01:47:27 ID:mrrNAreM
フィールドにて
勇者「久々に街の外だ、草のにおいと風がいい気持ち」
大臣「それでは勇者殿…」
勇者「うん」
大臣「武器の使い方をお教えしましょう」
勇者「そうだった、剣の方が良かったんだけどね」
10分後…
大臣「そして、トリガーを引きます」
勇者「えいっ」
パァァン
勇者「~~~!!」ビリビリ
大臣「だから言ったではありませんか」
大臣「気を取り直して…おお、手頃な怪物が」
ゴブリン「」キョロキョロ
9: 2013/03/18(月) 01:53:27 ID:mrrNAreM
大臣「さあ、勇者殿、さっきのやり方で」
勇者「手が痛いよ…」
大臣「平和のためです。経験を積んで下さい」
勇者「わかったよもう…」チャキッ パァン
ゴブリン「カッ」バッシャア
勇者「うえぇっ、頭砕けた!エグぅ!」
大臣「なるほど…少しの時間で会得でき、充分な威力、と」メモメモ
勇者「ねえ、大臣、ヤバいよ、オーバーキルどころじゃないよ!やっぱり剣がいいよ!」オロオロ
10: 2013/03/18(月) 01:57:17 ID:mrrNAreM
大臣「こほん…勇者殿。魔王討伐の道中、苦悩や困難はつき物…」
大臣「この程度でうろたえてどうします」
勇者「ご、ごめん」
大臣「さあ、村に着くまで装填のやり方を教えましょうかね」
11: 2013/03/18(月) 02:03:55 ID:mrrNAreM
村にて
大臣「着きましたよ」
勇者「街からあんまりでないから、初めて来たよ」
大臣「ここは我々の生活用品を作る職人の村です」
大臣「あなたの服や武器、食品、雑多なものを作り…」
勇者「それぐらい知ってるよ、学校で教わったから」
大臣「そうそう、そのピストルですが、他人に見せないで下さい」
勇者「わかった、危ないからね」サッ
大臣「では、宿をとって参りますので、後はご自由に」
勇者「うん」
12: 2013/03/18(月) 02:11:27 ID:mrrNAreM
宿にて
勇者「大臣!情報を集めたんだ!聞いて!」
大臣「左様ですか」
勇者「どうやら、鉱山に」
大臣「山賊が出たんでしょう?」
勇者「なっ、なんで知ってるの」
大臣「ここは王国の領土内」
大臣「配属している兵に聞けば分かります」
勇者「そんな、結構聞いてまわったのに」
大臣「まあ、その行動力やよし」
大臣「明日、すぐに討伐に向かいましょう」
勇者「わかった」グス
13: 2013/03/18(月) 02:14:46 ID:mrrNAreM
フィールドにて
勇者「ふわぁ~」
大臣「まだ寝たりないのですか」
勇者「うん、だって日も登ってないよ」
大臣「山賊の不意を突くためです」
勇者「ふわぁ~…」
14: 2013/03/18(月) 02:20:42 ID:mrrNAreM
鉱山にて
勇者「この洞穴にいそうだね」
大臣「間違い無いでしょう、この生臭さといい…不潔な」
勇者「で、どうするの?」
大臣「これをピストルに装着して下さい」ゴソッ
勇者「筒?」
大臣「発射時の音を抑制するはずです」
勇者「どれどれ」バスッ
勇者「本当だ」
大臣「無駄撃ちはご遠慮を」
勇者「ごめんごめん」
大臣「随分と手慣れたものです」
勇者「怒ってる?」
15: 2013/03/18(月) 02:26:20 ID:mrrNAreM
大臣「いいえ…では、お好きな様に攻め込んで下さい」
勇者「あれ、来てくれないの」
大臣「ええ、勇者殿の旅ですから。戦闘には参加しません」
勇者「ええー…わかったよ、行くよ」ザッザッザッ
オマエタチ、セイバイシテクレル!
ワー、ナンダ
ゾクノシュウライカ
パァンパァン
イテェヨー
大臣「奇襲するために早く来たんですが…やれやれ」
勇者「終わったよ、悪は滅びた!」
大臣「悪は魔王です」
勇者「そっか」
16: 2013/03/18(月) 02:31:29 ID:mrrNAreM
大臣「ふむ…数人の完全武装者も瞬殺…」メモメモ
勇者「なにか言った?」
大臣「いいえ…。勇者殿、村に戻り、報告しましょう」
勇者「うっし」
17: 2013/03/18(月) 02:36:01 ID:mrrNAreM
村長に報告し…
フィールドにて
勇者「良いことすると気持ちがいいね」
大臣「ええ、まあ」
勇者「お礼ももらったし」チャリンチャリン
大臣「勇者殿、次は山登りですよ」
勇者「わ、ハイキング?」
大臣「竜の棲む山ですから、バーベキューなるとよろしいですよ」
勇者「そんなに怒らないで」シュン
18: 2013/03/18(月) 02:39:08 ID:mrrNAreM
竜の巣、山頂にて
竜「グルル…」
勇者「わっ竜だ!絵本で見た竜だ、本物の竜だー!」
大臣「はしゃぐと絵本の村人Aのように襲われますよ」
勇者「うっ…じゃあ、そーっと歩いて…」
大臣「いいえ、討伐します」
勇者「えっ」
19: 2013/03/18(月) 02:42:00 ID:mrrNAreM
大臣「これを」サッ
勇者「これは?」カチャッ
大臣「ライフル、という物です」
勇者「ピストルに似てるね」
大臣「ええ、造りはほぼ同じです」
大臣「では、やってください」
勇者「なんで!!」
竜「ゴアアァァア!」
20: 2013/03/18(月) 02:47:11 ID:mrrNAreM
大臣「ほら見なさい、竜の逆鱗に触れてしまいました」
竜「ガァッ」ドシッドシッ
勇者「うわっこっち来た」ガクガク
大臣「さあ、ライフルを構えて」
勇者「こ、こうかな」スチャッ
大臣「違います。まあ、後で教えるので、トリガーを」
ドンッ
竜「ゴァッ…」ドシャア
勇者「はあ、はあ、もう一丁!」ドンッ
竜「」
大臣「勇者殿、すでに息絶えております」
勇者「」ヘナヘナ
21: 2013/03/18(月) 02:53:37 ID:mrrNAreM
下山後、港にて
大臣「勇者殿」
勇者「はぃ」
大臣「元気がありませんね」
勇者「はぃ」
大臣「だいぶお疲れでしょうから宿をとりました」
勇者「はぃ」
大臣「まずは休みましょう」
勇者「はぃ」フラフラ
23: 2013/03/18(月) 03:03:57 ID:mrrNAreM
宿にて
勇者「すやすや」
大臣「ライフルは竜にも効果あり、と」メモメモ
大臣「…これでいいのだろうか」
大臣「……勇者殿…いや、勇者…」
大臣「君は純粋過ぎる…」
大臣「私は……」ギリッ
24: 2013/03/18(月) 03:15:02 ID:mrrNAreM
早朝、船上にて
勇者「すやすや」
大臣「おぶると重いですねー…」ポイッ
勇者「ぐえっ」ドサッゴロゴロ
大臣「ああ、申し訳ございません」
勇者「ら、乱暴な…」
大臣「いつまでも起きないので」ニコ
勇者「ここは?」
大臣「船です、魔王城のある辺境の島まであと5分といったとこでしょう」
勇者「早っ」
25: 2013/03/18(月) 03:17:47 ID:mrrNAreM
辺境の島
勇者「ここに魔王城が…」
大臣「ええ、行きましょう」
勇者「あっ魔物」
大臣「ふむ、この距離ならばピストルで充分でしょう」
パァン
魔物「ギャッ」パタッ
勇者「上手い鉄砲数撃たず!」エッヘン
大臣「何を言っているのでしょう」
26: 2013/03/18(月) 03:19:38 ID:mrrNAreM
魔王城にて
勇者「着いたね」
大臣「ええ」
勇者「結構早かったね」
大臣「そうですね」
勇者「門…開けるよ」
ゴゴォォン
勇者「いざ!覚悟!」
大臣「…」
27: 2013/03/18(月) 03:22:01 ID:mrrNAreM
魔王城内部にて
勇者「誰もいないね」
大臣「そのようです」
勇者「まあ好都合かな」
勇者「この扉…!奥にいるなっ」
ギィィッ・・・
魔王「誰だ?来客か」
勇者「やい、魔王!成敗してくれる!」
勇者「くらえっ」パァンパァン
28: 2013/03/18(月) 03:26:02 ID:mrrNAreM
魔王「ひどいよいきなり」ゴフ
勇者「まだまだ!ライフルとピストル同時攻撃!」パァンパァンドパァン
魔王「」バタッ
勇者「あれっ」
大臣「お見事」
大臣「結果的に、魔王も3発で絶命」メモメモ
大臣「さあ帰りましょう、王が待っています」
勇者「あれっ」
29: 2013/03/18(月) 03:35:11 ID:mrrNAreM
謁見の間にて
勇者「戻りました」ザッ
大臣「」スタスタ
王「勇者、大臣。この度は御苦労であった」
王「して、勇者よ、魔王討伐の褒美は何を望む」
勇者「えと、お金!家はスラムにあるんだ、だから、家族と、友達の生活に困らないくらいの…」
パァン
勇者「お、か…」ドサッ
大臣「勇者殿、すまない…」カチャッ
王「大臣、御苦労であった」
大臣「…はい。一般人が銃を使った際の戦闘データも充分に」パラッ
王「うむ、ではそのデータを活用し、兵を訓練するのだ」
大臣「御意のままに」
王「フフッ…隣国より先に銃を造り、戦闘の情報も充分に得てから攻め込む」
王「これで世界は我が手に…フフッ、フハハハッ」
30: 2013/03/18(月) 03:43:27 ID:mrrNAreM
スラム生まれの勇者は、学校に数日しか通えず、魔王が世界を滅ぼすことが嘘という事実を教わらなかった
王はスラムの一般人である勇者を、勇者に仕立て上げ、銃の威力を確かめる役として、大臣と旅をさせた。充分に情報を得て、事実を悟られないうちに勇者を殺害。そして隣国を攻め、次々に国を落とし、やがて王は、魔王として世界中から畏怖される存在となった……
終
31: 2013/03/18(月) 03:47:01 ID:mrrNAreM
大臣ルート書きます
32: 2013/03/18(月) 03:49:09 ID:mrrNAreM
宿にて
勇者「すやすや」
大臣「ライフルは竜にも効果あり、と」メモメモ
大臣「…これでいいのだろうか」
大臣「……勇者殿…いや、勇者…」
大臣「君は純粋過ぎる…」
大臣「私は……」ギリッ
勇者「すやすや」
大臣「ライフルは竜にも効果あり、と」メモメモ
大臣「…これでいいのだろうか」
大臣「……勇者殿…いや、勇者…」
大臣「君は純粋過ぎる…」
大臣「私は……」ギリッ
34: 2013/03/18(月) 03:51:48 ID:mrrNAreM
大臣「勇者殿、起きてください」
勇者「ふえっ」
大臣「勇者殿に伝えなければならないことがあります」
勇者「なーにー」ボー
大臣「それは…」
大臣は、王の策略を全て話した
35: 2013/03/18(月) 03:56:19 ID:mrrNAreM
勇者「そんな…」
大臣「今まで…申し訳ない事を」
勇者「いいんだよ」ニコ
大臣「えっ」
勇者「正直に言ってくれて嬉しいよ、大臣」
大臣「勇者殿…」
勇者「それで、どうするの?」
大臣「秘密を語ってしまった以上、大臣ではいられん…」
大臣「今をもって、勇者を護衛するただの傭兵だ!」
勇者「カッコいい…」
36: 2013/03/18(月) 04:01:27 ID:mrrNAreM
傭兵「さあ、勇者、真の魔王を討ちに行こう」
勇者「う、うん。随分雰囲気変わったね」
謁見の間にて
王「勇者、大臣、御苦労であった」
傭兵「すまない、私はただの傭兵だ」
王「なっ、なにを…」
傭兵「王よ、貴様の他国侵略は、民にも大きな負担となる」
傭兵「それにより重税、重労働、民のことなぞ考えずに」
傭兵「何が王だ!笑わせる!貴様なぞ勇者にも劣るクソッタレだ!!」
王「貴様、血迷ったか」
傭兵「覚悟しろ」チャッ
37: 2013/03/18(月) 04:08:44 ID:mrrNAreM
勇者「僕より劣るって、僕は下に見られてたんだ」
傭兵「氏ねっ」
パァン
傭兵「がっはぁ」ドサッ
王「ふん、呆気ない」カチャッ
傭兵「なぜ…っ」
王「防弾服だよ、大臣…いや、傭兵くずれのカスが…」パァン
王「こうなると思い用意したのだ」パァン
傭兵「」
勇者「やめろぉぉぉ!」ダッ
王「ふん」パァンパァン
勇者「うおおぉおお!!」ダダダダダ
王「なぜ倒れん!」パァンパァンパァン
バキッ
王「ごふっ」
勇者「許さない、許さない!」フーッフーッ
王「待て、よせ!」
38: 2013/03/18(月) 04:13:01 ID:mrrNAreM
パァン
一発の銃声が響き、しばらくは泣き咽ぶ声だけが城内に響いた…
しばらくし、スラム生まれの人間が王になったと、全世界に知れ渡った…その国は、どの国よりも栄え、民、そして竜を含む魔物も保護する、慈愛に満ちた国となった…
39: 2013/03/18(月) 04:15:27 ID:mrrNAreM
「勇者」
王「やめてよ、今は王だ」
「フッ、そうでした」
王「さて、大臣、今日も頑張ろうか…平和のために」
終
41: 2013/03/18(月) 04:24:55 ID:mrrNAreM
途中疲れて急ピッチで終わらせたのを反省
細かい描写や設定がないのも反省しつつ
見てくださった方に、感謝します
それではまた
42: 2013/03/18(月) 06:12:46 ID:LpIupKUo
乙
43: 2013/03/18(月) 14:12:29 ID:asv1k0d6
乙、乙
引用元: 王「勇者よ、これを使い魔王を倒して参れ」
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