1: 2013/03/17(日) 12:58:46.75 ID:IbVERw1w0
P「ちょっ、誰か! 誰か助けて!」

蘭子「友の慟哭が聞こえる……」(どうかされましたか?)

P「らっ、蘭子! ちょっと来てくれ、インターネットが壊れた!」

蘭子「……遂に電脳海への扉が閉ざされたか」(インターネットに繋がらないってことですか?)

P「そうなんだよ。助けてくれ!」

3: 2013/03/17(日) 13:01:48.13 ID:IbVERw1w0
蘭子「一刻も早く、電脳の海への回帰を」(早く使えるようにしないと大変なことに……)

P「うん……営業先の人にメール送れないし、調べ物もできないし。ちひろさんも今日に限って休みだし」

蘭子「ふむ、良かろう。我ここに、彼奴の復活を宣言せん!」(それなら私が直してみせます!)

P「おお、心強いな。頼むぞ蘭子!」

蘭子「…………」


蘭子(ぷ、プロデューサーにいいとこ見せたくて、思わず見栄張っちゃった……大丈夫かな……)

5: 2013/03/17(日) 13:06:40.86 ID:IbVERw1w0
蘭子「転移陣の再構築を試みるわ」(まずネットワーク接続をいったんリセットしますね)

P「よし! よくわからんけどやってくれ!」


蘭子(確か、前に杏がコレをやって直してたはず……)

カチカチ...


P「直った? 直った?」

蘭子「その息吹は感じられん」(繋がりませんね……)

P「そっか。他に原因は?」

蘭子「もしや、物理の法則が乱れている?」(案外ケーブルが抜けてるとか?)

P「いや、ケーブルはちゃんとささってるぞ」

蘭子「…………」

6: 2013/03/17(日) 13:10:20.30 ID:IbVERw1w0
蘭子「こうなれば、もはや一度氏に至らしめるしか」(パソコン自体を再起動してみますか?)

P「よく分からないから任せる」

蘭子「懸命な判断ね」(じゃあ、やってみますね)


カチカチ

ウィーン...


P「再起動したな。で、どうだ?」

蘭子「……ダメですね……あっ」

P「え?」

蘭子「ぎっ、儀式は失敗したと見えるな!」(やっぱり繋がりませんね!)

7: 2013/03/17(日) 13:13:37.06 ID:IbVERw1w0
P「おいおい、ほんと頼むぞ蘭子」

蘭子「我が叡智に不可能はない」(ま、任せてください)

P「蘭子が直せなかったら、今日の仕事が全部ストップするんだ。蘭子だけが頼りなんだよ」

蘭子「……対象の詳細を要求するわ」(ね、ネットワークの設定を確認してみます)

P「あー、やばいよやばいよー」

蘭子「うう……」

8: 2013/03/17(日) 13:19:03.87 ID:IbVERw1w0
蘭子(確認してみるって言っても、よくわかんないよ……このDHCPやDNSって何だろう……)


P「あ……そうだ! 解決法をケータイで調べるのはどうだ?」

蘭子「ま、魔力を以て解決する!」(そ、その手がありましたね!)

P「俺のスマホを使ってくれ。ただ何で検索したらいいかも分からないから、一緒に見てくれないか?」

蘭子「フ……我が友の言葉とあれば仕方あるまい」(分かりました!)

11: 2013/03/17(日) 13:24:53.00 ID:IbVERw1w0
P「検索ワードは、まず『インターネット』だよな」

蘭子「あとは『繋がらない』とか……」


ポチポチ...


蘭子(Wi-Fi繋がってない。プロデューサー、事務所の無線LANくらい設定しようよ……)

蘭子(私もみんなに言われるがままやっただけだから、人のこと言えないけど)

蘭子(……そ、そんなことより、スマホの壁紙が私の写真なの、どうしてだろう……)

蘭子(うぅ……なんだか、恥ずかしい……)

12: 2013/03/17(日) 13:28:46.61 ID:IbVERw1w0
15分後――


蘭子「……むっ! 栄光の頂、今見えたり!」(解決法を書いたサイトを見つけました!)

P「マジか! どうすれば直るんだ?」

蘭子「これより魔法陣『コマンドプロンプト』にて『format c:』なる呪文を詠唱する!」

P「やったー! カッコイイー!」

蘭子「闇に飲まれよ!」(なんとかなりそうですね。お疲れ様でした!)

18: 2013/03/17(日) 13:33:47.30 ID:IbVERw1w0
カタカタ... ッターン!


蘭子「フ……安寧の時が来た」(画面の表示はよくわからないけれど、直ったみたいです)

P「良かった良かった。一時はどうなることかと」

蘭子「……花でも摘んで休息を」(あの、安心したら急にお手洗いに行きたく……)

P「ああ、ありがとな。さーて、俺はメールを送らないと」

21: 2013/03/17(日) 13:37:41.48 ID:IbVERw1w0
ガチャ


蘭子「ふぅ……」

P「おっ、おい、蘭子!」

蘭子「ククク……如何した、我が下僕よ」

P「笑ってる場合じゃねぇ! なんか重要なファイルとかが全部消えてるんだけど!?」

蘭子「!?」

蘭子(う、ウソ……あれだけごちゃごちゃしてたデスクトップが、綺麗さっぱり……)

P「しかもインターネットにも繋がってないし! なんだよこれ!」

蘭子「え……あ、あのっ……」

22: 2013/03/17(日) 13:42:01.82 ID:IbVERw1w0
P「これ、シャレにならないって……ウチの事務所のデータ全部吹っ飛んだっぽいぞ」

蘭子「そ、そんな……わ、私は……」


prrrr... prrrr...


P「あ、俺の電話だ。明日仕事が入ってる営業先からだ」

蘭子「私……そんな、つもり……」

P「はい、こちら○○プロの…………え!? そちらのデータも全部消えたんですか!?」

蘭子「!?」

24: 2013/03/17(日) 13:45:02.06 ID:IbVERw1w0
P「はい、はい……ええ、ウチもそんな状況で、明日の仕事どころでは……はい……」

蘭子「…………」

P「え、アクセスログからするとウチに原因が?」チラッ

蘭子「ひ……」

P「……わ、私です。私がパソコンの操作を誤ってしまって」

蘭子「えっ……?」

P「大変、大変申し訳ありません! 謝って済む問題ではないことは重々承知しております!」

蘭子「……プロデューサー」

P「それでも申し訳ありませんとしか! はい、はい! 急いで対応策を検討いたしますので!」

26: 2013/03/17(日) 13:48:23.88 ID:IbVERw1w0
ピッ


蘭子「…………」

P「……聞いてたと思うけど。さっきの『呪文』で、営業先のデータも全部消えたらしい」

蘭子「……っ!!」

P「被害総額、ヤバいだろうな。何十億か、何百億か……ウチの事務所が賠償させられるんだろうけど」

蘭子「う……うぅ……!」

29: 2013/03/17(日) 13:51:43.46 ID:IbVERw1w0
蘭子「あっ! で、でもプロデューサー、対応策って……」

P「そんなものある訳ないだろ? そうでも言わないと殺されんばかりの勢いだったんだよ」

蘭子「えっ……そ、それじゃあ、どうしたら……」

P「どうしようもない。事務所は倒産だ。百人以上のアイドルが全員失業だな……」

蘭子「…………う」

P「蘭子?」

蘭子「……ひっく……ぐすっ……わっ、私の、せいでっ……!」

P「泣いても解決しないぞ。それに元はと言えば、お前に任せた俺が悪いんだし」

蘭子「……っ!!」

37: 2013/03/17(日) 13:54:47.95 ID:IbVERw1w0
P「俺も再就職先を探さないとな。ただ、もう若くないしやり直しがきくかどうか」

蘭子「…………」

P「ああ、蘭子は心配するな。ちゃんと俺が原因だって言っといたから、蘭子はいくらでもやり直せる」

蘭子「……違う。そうじゃない!」

P「違う?」

蘭子「私は……みんなが……プロデューサーがいないと、やだっ……!」

41: 2013/03/17(日) 13:57:42.72 ID:IbVERw1w0
P「そう言ってくれるのは嬉しいけどな。こんなことやらかしちゃ、もうプロデューサーもできないよ」

蘭子「それでも……一緒がいい!」

P「え?」

蘭子「つっ、罪も罰も乗り越え、悠久の刻を共に過ごそう。我が友……」

P「蘭子……」

42: 2013/03/17(日) 14:00:49.38 ID:IbVERw1w0
ガチャッ


ちひろ「はい、終了ー! 二人ともお疲れ様でした!」

P「あ、終わりですか?」

ちひろ「なんか蘭子ちゃんがとんでもないこと口走りそうだったので、強制終了です!」



蘭子「…………えっ」

51: 2013/03/17(日) 14:03:17.09 ID:IbVERw1w0
P「はぁ~、疲れた。やっぱり純真な蘭子を騙すのは気が引けますよ」

ちひろ「それにしては随分、堂に入ってましたけどね。それにしてもこんなに上手くいくなんて」

P「演技の方、どうでした?」

ちひろ「Good! 本当に焦ってる感が出てて良かったです!」

P「PCについてよく分かってない頃は、不具合が出るとメチャ焦りましたからねー」

ちひろ「あれって、心臓に悪いんですよねー」

P「そうなんですよ。あの頃の気持ちを思い出してやってみました、ははは」

52: 2013/03/17(日) 14:07:26.52 ID:IbVERw1w0
ちひろ「まず、蘭子ちゃんがお手洗いに行った隙に、デスクトップからファイルを消したのがNice!」

P「デスクトップで右して、表示設定でアイコンを見えなくしただけです。ファイル自体は残ってますよ」

ちひろ「初見だと真っ青になりますよね。次に、営業先と見せかけた私からの電話!」

P「タイミングは完璧でした。ただネット繋がってない上に、format c:で他所様のデータが消えるとかありえませんけど」

ちひろ「しかもCドライブは今使ってるボリュームだから、エラーが出て、自端末すらフォーマットできませんよね」

P「ええ。ほら、コマンドプロンプトの表示も『ボリューム使用中』のエラーで止まってますし」

56: 2013/03/17(日) 14:10:28.58 ID:IbVERw1w0
P「……そもそもの話、最初ネットに繋がらなかったのは、単純にルータの電源を落としてたからなんですけどね」

ちひろ「スマホを使った時、無線が拾えなかったことをもう少し不思議に思っていれば……」

P「その時点でルータが原因だって分かったと思いますよ。泉なら一瞬で看破したでしょうね」

ちひろ「……という具合に、気付くためのヒントは散りばめておいたんですけど」

P「残念ながら、蘭子はすべてスルーしてしまったと」

57: 2013/03/17(日) 14:14:45.50 ID:IbVERw1w0
P「という訳で、ドッキリでし……」


蘭子「…………」ウルウル


P「……アレッ……が、ガチ泣き?」

蘭子「…………」

P「ら、蘭子さん?」

蘭子「……下僕が」ギロッ

P「ひぃ! こ、怖ぇぇ!」

ちひろ「あっ、私スタドリ販売のお仕事があるんで」ガチャッ

P「ちょ……置いてかないで!」

59: 2013/03/17(日) 14:18:42.04 ID:IbVERw1w0
蘭子「わっ、我が下僕!」

P「はい!? な、なんでしょう……?」

蘭子「我魂魄百万回生まれ変わろうとも、恨み晴らすからな!」(絶対に許しません!)

P「す、すみませんでした! まさかそこまでショックだったとは……」

蘭子「闇の炎に抱かれて消えろ!」(もうプロデューサーなんて、顔も見たくありません!)

P「本当に悪かった! ごめんなさい、この通り!」

65: 2013/03/17(日) 14:23:13.21 ID:IbVERw1w0
蘭子「…………」

P「なあ……許してくれ、蘭子」

蘭子「……だっこ」

P「は?」

蘭子「お姫様だっこ」

P「え……今ここで? 事務所なんだけど……」

蘭子「これは古よりの盟約、拒否など不可能」

P「もし断ったら?」

蘭子「地獄への片道切符をくれてやる」(あなたに辱められたって皆に言いふらします)

P「えげつなっ……完全に堕天モードだぞこれ」

72: 2013/03/17(日) 14:30:06.74 ID:IbVERw1w0
蘭子「……ふふ」

P「蘭子、軽いな……こんな感じでいいか?」

蘭子「ええ。これより癒しの風が永久に吹こう……」(しょうがないので、今回は許してあげます)

P「で、これいつまで?」

蘭子「盟に従い、我と友の乖離を禁ずる!」(一日中ですよ?)

P「いやいや。俺の腕がもたないんだけど」

蘭子「フ……我が友、今こそ旅立ちの時よ」(まだまだ、頑張ってくださいね!)

P「……しょうがないヤツだな」

74: 2013/03/17(日) 14:35:27.75 ID:IbVERw1w0
ちひろ「…………」

ちひろ「……そういうわけで、今回はコンピュータに弱そうな人へのドッキリ企画でした」

ちひろ「クールな顔が涙と共に歪むのは実にいいですね。Sな人間にはたまりません」

ちひろ「次は凛ちゃんや楓さんをターゲットにしてみましょうか。ワクワクしますね!」


おわり。

76: 2013/03/17(日) 14:37:20.45 ID:01zfsllcO
おつ

引用元: モバP「インターネットが壊れた!」