1: 2009/11/21(土) 21:23:24.46 ID:OFU8JrnuO

梓「雪が降って来たなぁ……」

梓「今年は例年より早いんだなぁ……」

梓「唯先輩は……いつまで此処にいられるんだろう…?」

梓「私では……傍に居る事は出来ないのかなぁ……?」

梓「唯先輩……」


梓「はぁ~………」

3: 2009/11/21(土) 21:27:25.30 ID:OFU8JrnuO

― 昨日…


『あずにゃん、あずにゃん、見て見てっ!!』



梓「…唯先輩はそう言って、沢山の花々を私に見せて来た」

梓「…とても色美しく、キラキラと華やかな沢山の花…」

梓「私には、それがどんな名前の花なのか分からないけれど…」


―『あずにゃん、これあずにゃんにあげるねっ!』


梓「唯先輩は、私にそれを渡してくれた……」

梓「とても、嬉しそうに………」

4: 2009/11/21(土) 21:28:40.66 ID:OFU8JrnuO

梓「後で調べたら…ただの花屋さんでは手に入らない貴重な花だった……」

梓「花言葉は……かけがえのない絆人」


梓「唯先輩……」

梓「私に……それは当て嵌まるのでしょうか…?」

梓「私と唯先輩は……確かにお互いを信じ合っていますけど……」

梓「私は……特に、唯先輩の事を…」

梓「だけど、それは同じ部活動の仲間として…」

梓「同じ学校の仲間として…」

梓「………」

梓「絆、か………」

梓「そんな大層なもの、私には不釣り合いだと思いません……?」

5: 2009/11/21(土) 21:30:00.64 ID:OFU8JrnuO

― 平沢家 ―


唯「ねぇねぇ、うぃ~」

憂「なあに?お姉ちゃん」

唯「あずにゃんって、何であんなに可愛いのかな~?」

憂「ふふっ、お姉ちゃんったら、また梓ちゃんの話ばっかり」

唯「うぅ、だって~!!あずにゃんが可愛いすぎるんだもんっ!!」

憂「はいはい、お姉ちゃんの目には特にそう見えるんだよね~?」

唯「あぅ…///そんなんじゃないもん…っ!!」

憂「あはは、お姉ちゃん顔真っ赤だよっ♪」

6: 2009/11/21(土) 21:30:50.41 ID:OFU8JrnuO

憂「まあ、でも…梓ちゃんは本当に可愛いと思うよ」

唯「あの猫耳が似合いそうな感じが堪らないよねぇ…♪」

憂「またぁ…お姉ちゃんったら」

憂「………」



憂(本当に…梓ちゃんじゃなきゃ私は許せなかったんだから…)

憂(私の…最愛のお姉ちゃんを……誰かに譲るなんて……)

憂(……お姉ちゃん………)


ぎゅうぅ…

8: 2009/11/21(土) 21:32:05.43 ID:OFU8JrnuO

唯「憂ぃ?どうしたの~?…」

憂「うぅん、ただちょっと…悔しくて」

唯「憂……」


憂「梓ちゃんは良い子だもんね…」

憂「私にとっても、大切な大切な親友だもん……」

憂「反対なんて…できるわけ、ないよね……」

唯「憂……」

唯「私、憂の事も大切だよ?」

唯「憂と毎日一緒に生きていられて、私すっごく幸せだよ!」

憂「お姉ちゃん……」


憂「これからも……ぎゅってしてね?……」

11: 2009/11/21(土) 21:34:07.23 ID:OFU8JrnuO

― 学校 ―


唯「あずにぁああんっ♪」

梓「わわっ、唯先輩~っ!///」

唯「スゥスゥ…はぁ~、今日もあずにゃんは可愛いくて良い匂い…」ギュウ♪

梓「……///先輩…っ!最近スキンシップが激しすぎますっ!!」

唯「えぇ~?そんな事ないんじゃない~?」

梓「ありますよっ!///…前は匂いなんて嗅いでこなかったのに…」

梓「それに……」

梓(唯先輩の方が、いい匂いしますって……///)

唯「あずにゃあああん♪あずにゃあああん♪」ぎゅうう~!!

13: 2009/11/21(土) 21:35:21.91 ID:OFU8JrnuO

― 部室 ―


紬「唯ちゃん……」

唯「うん、わかってる…」

唯「私は、もう長くは此処に居られない……」

紬「………」

唯「でもっ……せめて、あの子にもう一度会うまでは……っ!」

紬「………唯ちゃん」

紬「期限はもう、迫っているわ……」

紬「それに、唯ちゃんの探し物なら…きっとすぐ傍に………」

紬「唯ちゃんが今、1番大切にしているものと共に…」

唯「ムギちゃん……」

15: 2009/11/21(土) 21:36:08.84 ID:OFU8JrnuO

――ガチャッ!



律「おぃ~す!今日も練習がんばるぞー!」

澪「…すまない、少し遅れてしまったな」

唯「……ううん。待ってたよ、さあ早速始めようっ♪」

紬「ふふ、そうね」




梓「…………」

梓(今の会話は、一体……)

16: 2009/11/21(土) 21:37:00.22 ID:OFU8JrnuO

梓「私は特に耳がいい…」

梓「普通の人よりも、些細な会話を聞き取れてしまう…」

梓「今の会話は…」

梓「先輩が、何処かに行ってしまう……?」


ヒュゥゥゥ……



梓「………ヒッグ、グスッ…」

梓「…うぅ……うわわああ……」

梓「…唯先輩……」

梓「…どこかに、行っちゃうなんて、ヤダ……」

梓「いやだよおおおっ…………」

17: 2009/11/21(土) 21:38:05.45 ID:OFU8JrnuO

ヒラヒラ…‥


梓「雪が…降って来たんだなぁ…」

梓「今年は…早いんだなぁ…」

梓「あの時も、雪が降っていたっけ…」

梓「懐かしいなぁ……」

梓「唯先輩は……覚えてないだろうなぁ……」

梓「絆、か………」


梓「唯先輩………」

18: 2009/11/21(土) 21:39:15.68 ID:OFU8JrnuO

憂「あっ、雪だ……」

憂「今年は早いなぁ……」

憂「………」

憂「ねぇ…お姉ちゃんは、どうして私のお姉ちゃんになってくれたの?」

唯「ふえ?憂が『お姉ちゃんが欲しい~!!』って言ってなかったっけ?」

憂「お姉ちゃん……」

憂「お姉ちゃんは、優しいんだね……」

唯「もうっ、何言ってんのよ憂ぃ~!」

憂「えへへっ…」


憂「……お姉ちゃん」



憂(私は本当は、お姉ちゃんを手放したくないの…)

憂(何処かへ飛び立つ前に、翼を折ってしまいたい程に…)

19: 2009/11/21(土) 21:40:19.16 ID:OFU8JrnuO

― 学校 ―


紬「あとの事は全部任せて…」

唯「うん……」

紬「唯ちゃん…これも決まり事なのよ」

唯「でもっ……!」

紬「探し物は……向こうから近付いて来てるわ」

唯「え?……」

紬「きっと向こうも…唯ちゃんの事が大好きなのね……」

唯「うぅ……うわあああん!!」

紬「よしよし…」ナデナデ

紬「早く、見付けてあげてね……?」

唯「うん………」


………

20: 2009/11/21(土) 21:41:51.62 ID:OFU8JrnuO

バサッ…バサッ…

唯「此処にもいない…」

唯「何処にもいない…」

唯「ムギちゃんは、近くにいるって言ってた…」

唯「どうして見付からないんだろう…?」

唯「おかしいなぁ……」

唯「ムギちゃんが嘘付くわけないし……」


唯「あっ…あずにゃんだ!」

スルスル…しゅたっ!!


唯「やっほーい!あずにゃん♪」

梓「え?……唯先輩?…」

21: 2009/11/21(土) 21:42:41.06 ID:OFU8JrnuO

梓「どうして此処に、唯先輩が……?」

唯「いや~、ちょっと通り掛かってさ~……」

唯「たまたまあずにゃん見付けちゃった♪」

梓「あはは…そうだったんですか」

梓「………」

梓「星が、綺麗ですね…」

唯「そうだね……」

梓「………」

梓「………唯先輩」

唯「なに?あずにゃん?」

梓「………いえ、何でもないです」

唯「………そっか」

唯「………」

唯「……あずにゃんってさ…」

22: 2009/11/21(土) 21:43:41.50 ID:OFU8JrnuO

唯「まるで野良猫さんみたいだね…」

梓「………」

唯「こんな所にボーッと座っててさ…」

唯「風邪引いちゃうよ……?」

梓「いえ……私は大丈夫です……」

梓「私は……本当に……」


ぎゅうぅ…


梓「ひゃうっ……///」

唯「えへへ~、こうすればあったまるよ~…」

梓「唯先輩っ……///」

唯「あんまり独りぼっちになっちゃ駄目だよ…?」

梓「………唯先輩……」

23: 2009/11/21(土) 21:44:37.48 ID:OFU8JrnuO

梓(唯先輩はあったかいなぁ……)

梓(唯先輩はいつも優しいなぁ……)

梓(唯先輩……)


唯「ねえ…?今度デートしよっか!」

梓「………え?」

唯「だ・か・らっ!デートだよデートっ!!」

梓「えっ?えっ?……唯先輩と私がっ…!?」

唯「もぅ~、そうだよぅ………私とじゃイヤ?…」

梓「いえっ!?嫌なんて事…何一つ無いです!むしろ喜んでっ…!!」

唯「ふふっ、やったぁ!!」

梓(唯先輩とデート……ほんとに?やったぁ!!……)ドキドキ

24: 2009/11/21(土) 21:45:56.75 ID:OFU8JrnuO

憂「お姉ちゃん…近頃帰りが遅いなぁ…」

憂「きっとまた…探しに行ってるんだろうな…」

憂「お姉ちゃん……」


憂「私達にも、絆はあるって思っていいよね…?」

憂「私の事…置いていかないよね……?」

憂「私……もう独りぼっちじゃ……堪えられないよぅ……」ぽろぽろ


憂「お姉ちゃん…………」

25: 2009/11/21(土) 21:46:49.42 ID:OFU8JrnuO

律「よーし、今日も練習再開するぞ~!」

梓「はいっ!」

澪「おっ、今日は梓がやけにやる気あるなー」

紬「あらあら、うふふっ♪」

唯「私もがんばるよーっ!!」


ジジャーン!!…


梓「みんないいかんじですね!」

澪「この分だと今度の発表会はいい出来になりそうだなっ!」

紬「ええ、…そうね……」

唯「うんっ…………」

26: 2009/11/21(土) 21:47:51.01 ID:OFU8JrnuO

― 帰り道 ―


唯「あずにゃん……」

梓「唯先輩………」

唯「そろそろ…ペロペロさせてくれてもいいんじゃない?」

梓「良くないですよっ!!だんだんエスカレートして来てるじゃないですかっ!」

唯「えぇ~?!だってぇ…あずにゃんが可愛いすぎるんだもんっ!!」

梓「だからって……っ!!」

梓(唯先輩にそんな事されたら……)

梓(私っ……///)


唯「……まぁペロペロは今度させてもらうとして…」

梓「…結局するんですかっ!?(…うわー、うわー///)」

唯「明日はデートだねっ、あずにゃん♪」

梓「そ、そうですね……///」

唯「ふふっ、楽しみだなぁ♪」

28: 2009/11/21(土) 21:48:55.31 ID:OFU8JrnuO

シーン…‥シーン…‥


梓「唯先輩は優しいなぁ…」

梓「明日は唯先輩とデートかぁ…」

梓「夢が一つ叶っちゃったなぁ…」

梓「唯先輩………」

梓「どうして、私にそんなに優しくしてくれるんですか…?」

梓「私は……本当は……ただの猫なのに」

梓「唯先輩………」


梓「絆なら…憂のが適任でしょう…?」

31: 2009/11/21(土) 21:58:55.00 ID:OFU8JrnuO

― デート当日 ―


梓「ひゃあっ///……な、なんで手を…つ、繋いでいるんですかぁ!?」

唯「だぁって~…デートだよ?手ぐらい繋ぐに決まってるじゃんっ♪」

梓「はは、恥ずかしいですよ…///」

唯「ん~、私達のラヴラヴっぷりを見せ付けてやろうよっ♪」

梓「うぅ……もぅ///」

唯「あっ、やっぱ止めた」パッ

梓「え?……ヤダ‥」

唯「やっぱり腕組みにしよう♪」

梓「ひゃああぅ!?唯先輩……!??」ドキッ

唯「~~~♪」

梓「…ぁぅぅ……///」ドキドキ

32: 2009/11/21(土) 22:09:16.20 ID:OFU8JrnuO

― 服屋 ―

唯「あずにゃん、あずにゃん!これ着て~♪」

梓「ちょ、ちょっと!何ですかこの白黒フリフリな服はっ!?」

唯「メイド服だよ、あずにゃん♪」

唯「あずにゃん、あずにゃん!これも着て~♪」

梓「にぁああ!?何ですかこの白赤の着物みたいな服はっ!?」

唯「巫女服だよ、あずにゃん♪」

唯「あずにゃん、あずにゃん!これも着て~♪」

梓「ちょ、ちょっと待って下さい!これはバニーガールじゃないですかっ!?」

唯「うん、そうだよっ♪」

梓「着ませんよ、こんな服!っていうか何なんですかこの店はっ!?」

唯「ただの服屋さんだよ?」

梓「明らかに普通の服屋さんじゃないぃぃ!!?」

唯「着ないのなら着せてあげるっ♪」

梓「にぁああ!?やめてっ?脱がさないでっ!!唯先輩ぃ~!!?」

33: 2009/11/21(土) 22:11:00.52 ID:OFU8JrnuO

………

梓「はぁはぁ……」

唯「はぁはぁ……」

梓「ふぅ……」

唯「うぅ……あずにゃんのいけず……」

梓「いやいや、ありえませよアレは……」

唯「……まぁ、いっか…」

梓「え……?」

唯「そろそろ本命のメインディッシュにいってみようか♪」

梓「え…?ええっ…??」

唯「じゃじゃーん!!ネコちゃんのコスプレ、フルセットぉー♪」

梓「………」

唯「この可愛い尻尾を付けてぇ♪首輪には、鈴も付けてね!あずにゃんっ♪」

梓「………」

唯「あずにゃん??」

34: 2009/11/21(土) 22:13:36.20 ID:OFU8JrnuO

梓「にゃ………」

唯「にゃ…??」


梓「にゃあああああ!!!っ」

梓「唯先輩ばっかりズルいっ!!ズルいですよっ!!」

梓「唯先輩もコレ着て下さいッ!!」

唯「え…?何これ…白いドレス??」

梓「ウェディングドレスですっ!!」

唯「えーとっ……コレ着たら、あずにゃんも猫耳になってくれる…??」

梓「なりますっ!なりますともっ!!だから是非っ…!!」

唯「…うん、わかった♪じゃあ、ちょっと待っててね?」

梓「はいっ!!」


梓「………」

梓「………ふぅ」ドキドキ

35: 2009/11/21(土) 22:14:46.90 ID:OFU8JrnuO
― 数分後 ―

唯「……っと。えへへ…」

唯「あずにゃーん、どう…かな?」

梓「……っ!!」ドキッ

梓「唯先輩………キレイっ……」

唯「えへへー……何だか花嫁さんになった気分…」

梓「……」ポーッ

唯「あずにゃんも可愛いよ?」

梓「……」

唯「……こっちおいで」

梓「………コク」‥‥

唯「えへへ~…っ♪」ぎゅ~っ!!


唯「あずにゃん可愛い…」

唯「私、ネコさんのお嫁さんになったみたい………」

………

36: 2009/11/21(土) 22:15:38.75 ID:OFU8JrnuO

― お食事中 ―


唯「はい、あ~ん…♪」

梓「あ~ん…って!何やってるですか、先輩はっ!!」

唯「ん~?……だってぇ…」

唯「あずにゃんが可愛いすぎるんだもんっ…♪」

梓「理由になってないですよそれっ?!」

唯「まあまあ…♪」

唯「ほら、ジュースでも飲もうっ♪」

梓「はいっ……ズズッ…ってぇぇえ!?なんで一緒にストロー差して飲んでるんですかっ!!」

唯「まあまあ…気にしない、気にしない♪」

梓「いや、気にしますよコレっ!!?」

37: 2009/11/21(土) 22:16:32.70 ID:OFU8JrnuO

唯「ここに1本のポッキーがあります」

梓「パフェに付いてたあれですね…」

唯「あずにゃんっ♪」

梓「やりませんよっ!?」

唯「え~?やろうよ、ポッキーゲームぅ…」

梓「こんな人前で…そんな事、できませんよっ!?」




唯「…………人前じゃなきゃいいの??」

梓「…………えっ?」

唯「だーっかーっらーっ!人前じゃなきゃいいの??」

梓「え、えぇぇぇっ!??」

唯「良いの?悪いの?どっち!?」

梓「え、えーとぉ!?…あのー……そのぉ…??…」

38: 2009/11/21(土) 22:17:19.45 ID:OFU8JrnuO

唯「………」ジーッ

梓「あの……だからっ………!!」

唯「………」ジーッ

梓「えーとぉ……あの、ですね……!?」

唯「………」ジーッ

梓「そ、そのー……わ、悪くは……ないです、けど…///」

唯「………♪」ニコッ


唯「あずにゃん、このパフェ一緒に食べようっ♪」

梓「………はい///」

39: 2009/11/21(土) 22:18:11.74 ID:OFU8JrnuO

― 映画館 ―


唯「………」

梓「…………(ラブストーリー、か…)」


――…………~~


唯「………うぅ…」グスッ

梓「………唯先輩……」


――ぎゅっ…


唯「あずにゃん……?」

梓「手を…繋いでいましょう……?」


唯「うんっ………!」



………………

40: 2009/11/21(土) 22:19:08.10 ID:OFU8JrnuO

………サラサラ…‥サラサラ…‥

唯「えへへー、あずにゃんっ♪」

梓「何ですか、もう…」

唯「ううーん、何でもなーい…♪」

梓「まったく……」

唯「あ、アイス売ってる!一緒に食べようっ!」

梓「いやさっきパフェ……あー、私はこっちの鯛焼きの方にします」

唯「ふふふっ……」

梓「もう…さっきからニヤニヤして……何ですか」

唯「なんでもなーい…♪」

唯「あ、ちょっと交換しようよ!」

梓「え…いや私は……」

唯「ほらっ、こっちのアイス食べていいからっ♪」

唯「……~♪」

梓(コレって………///)

42: 2009/11/21(土) 22:30:35.24 ID:OFU8JrnuO

………サラサラ…‥サラサラ…‥


梓(………幸せだなぁ…)

梓(………唯先輩……)


唯「…………」


梓(本当に……何処かに行っちゃうんだろうか…)

梓(嫌だよ……せっかく私は……此処まで来たのに!…)


唯「…………」


梓(唯先輩………)

梓(私はっ…………)




唯「ねぇ、あずにゃん…?」

43: 2009/11/21(土) 22:31:46.94 ID:OFU8JrnuO


唯「あのね………」

唯「私は…………」

唯「もう、此処には長くいられないの……」



――ヒュォォォ……


梓「………っ」

梓「ヤダ……イヤだっ……!」

梓「唯先輩……行っちゃやだーーっっ……!!」


唯「あずにゃん………」

梓「うわああああん……!っ」ぽろぽろ

44: 2009/11/21(土) 22:32:37.53 ID:OFU8JrnuO

唯「…………」

唯「………ごめんね?」


梓「唯先輩ぃ………」




梓「私は………あの時の…猫なんですっ…!」

45: 2009/11/21(土) 22:33:32.42 ID:OFU8JrnuO

―『わあ、可愛い猫さんだねっ!』

――にゃあ…

―『どうしたの?独りぼっち?』

――……

―『凍えているの…?』

――……

―――ぎゅうぅ…

―『もう、大丈夫だよ?』

―『暖めて、あげるから…』

――にゃあ……



梓「私は、あの時…唯先輩が抱きしめてくれた、猫なんです……っ」

46: 2009/11/21(土) 22:34:38.27 ID:OFU8JrnuO

梓「寒い、冬の日だった…」

梓「雪が降り積もってて…私は凍えそうになってて…」

梓「真っ暗で…独りぼっちで……」

梓「……ここで、私はこのまま冷たくなってしまうんだと思いました…」


梓「唯先輩……」

梓「私は、あれからずっと…唯先輩を探していて…」

梓「もう一度、会いたくて…」

梓「ずっと……ッ!」



唯「あずにゃん……」

47: 2009/11/21(土) 22:35:27.34 ID:OFU8JrnuO

唯「そっか…あの時の猫さん、あずにゃんだったんだ……」

唯「どおりで…探してても見付からなかったわけだ…」

梓「唯先輩…?」

唯「私も…探していたんだよっ?」

唯「ずっとずっと…あの時の猫さんが心配でっ…」

梓「唯先輩っ……!」ギュッ

唯「あずにゃんっ!……」ギュウッ


唯「もう……いいよね?」

梓「え?…………」


――チュッ…


梓「唯先輩………」

唯「あずにゃん………」


――チュッ……

49: 2009/11/21(土) 22:42:50.87 ID:OFU8JrnuO

憂「………」

憂「私はもう、1番にはなれないのかなぁ…?」

憂「お姉ちゃん…」

憂「今頃、梓ちゃんと仲良くデートしてるんだろな…」

憂「お姉ちゃん……」

憂「うぅ………」


――ガチャッ!


唯「憂ぃ~、ただいまー!」

憂「お姉ちゃんっ!!」ガシッ

憂「お姉ちゃん……お姉ちゃん……っ!」ぎゅう~

憂「お姉ちゃん………っ」

唯「憂ぃ………?」

唯「…………」ナデナデ

唯「大丈夫だよ……私は憂の事も大事なんだから、ね……?」

52: 2009/11/21(土) 22:44:03.83 ID:OFU8JrnuO

― 学校 ―


唯「ムギちゃん…」

紬「ふふっ、なあに?」

唯「私、あずにゃんの可愛さは異常だと思うの…」

紬「あらあら…♪」

唯「そして私はついにっ…!その秘密を解き明かしたのだよっ!!」

紬「まあ…凄いわ♪」

唯「あずにゃんは…なんとっ! 本当に猫さんだったのだーっ!!」

紬「ふふふっ、あらあらまあ♪」

唯「……ってもうーっ!!ムギちゃん、やっぱり最初から知ってたでしょー!?」

紬「ふふっ、ようやく気付いたのね?」

53: 2009/11/21(土) 22:45:20.49 ID:OFU8JrnuO

唯「もうっ、知ってたんなら教えてくれても良かったじゃん!」

紬「唯ちゃん…これは二人の問題だもの」

紬「梓ちゃんが何も言わないのに、私が勝手に教えるわけにはいかないでしょう…?」

唯「ぶーっ、ぶーっ……」

紬「うふふっ…♪」



唯「………」

唯「………」

唯「………ねぇ」

紬「……ダメよ?」

唯「でもっ!! 私…このまま何も言えずにお別れするのが辛くて……」

紬「唯ちゃん……」

紬「これもルールなのよ……」

54: 2009/11/21(土) 22:48:08.45 ID:OFU8JrnuO

…………


律「よーし、今日も練習すっかぁ!」

梓「発表会も間近に迫ってますしね!」

澪「今度のはいい出来になりそうだなっ!」

唯「私も頑張っちゃうよーっ!」

紬「うふふっ…♪」


ジジャーン!!…


澪「よし、バッチリだな……!」

律「おお、こりゃあ楽しみになって来たぞっ…!」

紬「そうねっ……」

唯「うんっ!………」

梓「はいっ………!」

55: 2009/11/21(土) 22:49:07.29 ID:OFU8JrnuO

― 帰り道 ―


唯「あずにゃん……」

梓「唯先輩っ………」


――チュ…


唯「えへへっ……」

梓「………///」

梓「唯先輩………」

梓「どうして…行ってしまうんですか……?」

唯「…………」

唯「ごめんね、何も答えられないの……」

梓「唯先輩………」

梓(――こんなに、近くにいるのに………)

梓(――行かないでよ、唯先輩っ………)

56: 2009/11/21(土) 22:50:28.26 ID:OFU8JrnuO

――ぎゅうぅ…


梓「唯先輩……」

唯「あずにゃん……」


……ペロッ!


梓「ひゃうっ!!?」

唯「あずにゃんの耳、可愛い…」


……ペロペロッ!


梓「ひゃあっ!? み、耳を舐めないで下さいっ!…///」

唯「あずにゃんっ……!」


……ペロペロペロッ!

57: 2009/11/21(土) 22:51:37.64 ID:OFU8JrnuO

唯「首も…舐めさせてね?」

梓「ひゃうっ!? ゆ、唯先輩……それ以上やられたら、私…っ」


唯「あずにゃん……」

唯「あずにゃん可愛い………」


――ぎゅうぅ…


唯「あずにゃん……」

梓「…………」

唯「ごめんね……ごめんね……」ぽろぽろ


梓「……、唯先輩………」


…………

58: 2009/11/21(土) 22:52:31.25 ID:OFU8JrnuO

シーン…‥シーン…‥


梓「唯先輩も、私の事を探していてくれた…」

梓「あの時の温もりを忘れずに、覚えていてくれた…」

梓「ずっと探していて、やっと会えて……」

梓「ようやく、想いを伝えられたのにッ……」

梓「どうしてっ……!」


梓「唯先輩……っ」ぽろぽろ


ブロロオォ……キキキーッ!!!


梓「えっ……?」



――ガシャンッ!……

59: 2009/11/21(土) 23:00:04.98 ID:OFU8JrnuO

―『………ぃ』

―『………憂…』

―『………平沢 憂よ……』

―(なに……?)


―『全てに恵まれし子供よ…』

―『お前は、誰よりも優れ…何よりも強く…』

―『思うもの全てを為し、何よりも美しく……』


―(……違う。私は、何かがしたいわけではない……)

―(……何かがやりたいわけではないよ……)


―『平沢 憂………』

―『祝福を……才気溢れる子供に祝福を……』

―『望むものを与えよう…輝しき子供に、祝福をっ……』


―(だったらっ!私に――……)

60: 2009/11/21(土) 23:00:54.23 ID:OFU8JrnuO

…………


憂「あの時以来か…」

憂「お姉ちゃん………」

憂「…………」


――RRRRR…


憂「はい、もしもし?」

憂「え…?梓ちゃんが…?」


…………

61: 2009/11/21(土) 23:01:46.58 ID:OFU8JrnuO

―ヒュュォォォ……


紬「風が冷たいわね……」

唯「うん……」

紬「まるで肌に突き刺さるような寒さだわ……」

唯「…………」

唯「私は……いつ、帰って来れるんだろう……?」


――バタバタッ…


憂「お姉ちゃんっ!…」

唯「憂、どうしたの? そんなに慌てて…」

憂「梓ちゃんが………」

唯「えっ……?」

62: 2009/11/21(土) 23:02:48.56 ID:OFU8JrnuO

憂「車に跳ねられて…」

憂「今、病院に運ばれたんだけど…なんだか様子がおかしいの!」

憂「薬が効かなくて…痛みも止まらないみたいで…」

憂「どうしたらいいのかわからず、お医者さんも頭を抱えているって……」

唯「………っ!」


バッ…!


紬「唯ちゃん、待って!」

唯「ムギちゃん、私…行かなくちゃっ!」

紬「唯ちゃん……」

唯「お願い、行かせてっ! ムギちゃん…!」

63: 2009/11/21(土) 23:03:36.60 ID:OFU8JrnuO

紬「………」

紬「私は…いつでも唯ちゃんの味方よ…?」

紬「誰よりも…何よりも…神様よりも…… 唯ちゃんの事を大切にしているわ……」


紬「……いってらっしゃい………あとの事は任せてっ!!」


唯「……ムギちゃんっ……ありがとっ!……」


――バサッ……



紬「ふふっ…」

紬「仕方無いわねぇ…」


…………

65: 2009/11/21(土) 23:32:22.61 ID:OFU8JrnuO

バサッ…バサッ…


唯「あずにゃんっ… あずにゃんっ…」


スルスル…しゅたっ!!


唯「…あずにゃんッ!!」

梓「………ぅぅ」


唯「………、あずにゃん……」

梓「……唯…先輩…?」

唯「……あずにゃんっ!!」

梓「唯先輩っ……私……」

唯「もう、大丈夫だから………!」ぽろぽろ

66: 2009/11/21(土) 23:33:54.07 ID:OFU8JrnuO

――ぎゅうぅ……


唯「あずにゃん……」

梓「唯先輩………」



梓(あたたかい……)

梓(なんだろう……傷が癒えていくような……)


――ポワッ…


梓(痛みが消えていく……)

梓(唯先輩……)

67: 2009/11/21(土) 23:34:43.96 ID:OFU8JrnuO

梓「……っ!?」

梓「唯先輩、羽がっ…!?」

唯「あっ……えへへー…」



梓「………」

梓「………」

梓「………、私――…」

梓「唯先輩が、何者なのか………わかった気がします……‥‥」


…………

68: 2009/11/21(土) 23:35:38.15 ID:OFU8JrnuO

梓「――ええ、もう大丈夫です」

梓「――はい、ありがとうございました…」

バタンッ…


唯「どうだった?」

梓「お医者さん、ビックリしてました…」

唯「あははっ…♪」

梓「何より、私自身がビックリなんですけどね…」

梓「唯先輩………」

梓「先輩に、命を救われるのは、これで2度目ですね……」

唯「あずにゃん……」

梓「本当に、感謝しています……言葉では言い表せないぐらいに――」

69: 2009/11/21(土) 23:36:36.45 ID:OFU8JrnuO

フラッ…

梓「……っと、」

唯「あずにゃん、まだ無理しちゃダメだよ?」

唯「しばらく…元の姿に戻っていた方がいいね……」

梓「え……?」


――ポワッ……


唯「今日一日だけは、その姿でいてね…?」

猫梓「にゃあ………」

70: 2009/11/21(土) 23:37:37.16 ID:OFU8JrnuO

唯「ふふ、猫のあずにゃんも可愛い…」

梓猫「にゃあ……」

唯「おいで…!」

梓猫「にゃあっ…♪」


……♪


唯「るんるんっ♪…」

梓猫「にゃあっ……」

唯「猫さんとお散歩~♪ 猫さんとお散歩~♪」

梓猫「にゃあ………」

唯「あずにゃん、可愛い~っ♪」


唯「あっ、りっちゃんだ!」

唯「おーい、りっちゃーん!」

71: 2009/11/21(土) 23:38:31.11 ID:OFU8JrnuO

律「よお、唯! …って何だその猫!?」

澪「唯!…って、肩に猫が乗っかってるし……」

唯「やっほーい!りっちゃん、澪ちゃんっ!」

唯「ふたりとも、どうしたのー?」


律「いや、なんか梓が事故ったみたいで…」

澪「それでお見舞いに行こうかと思ったんだが…」

唯「あずにゃんなら大丈夫だよ~っ!!」

梓猫「にゃあっ!」


律「…みたいだな。なんだかもう、病院にもいないみたいだし」

澪「まったく、人騒がせな…って本当になんだその猫っ!?」

梓猫「にゃあっ♪」

72: 2009/11/21(土) 23:39:26.61 ID:OFU8JrnuO

律「唯にベッタリ懐いているぞ……」

澪「スゴイ……まるで唯に心を拠せているかのようだ…」


唯「えへへー…、この猫さんは私の大事な想い人なの!」

梓猫「にゃあっ!?…///」

律(えっ……猫が、照れている…??!)

澪(いや、猫が想い人って……)


唯「ふふふっ♪」

梓猫「にゃあっ♪…」

73: 2009/11/21(土) 23:40:39.41 ID:OFU8JrnuO

……テクテクッ…


唯「ふふっ、あーずにゃんっ♪」

梓猫「にゃあっ……」

唯「二人とも、あずにゃんには気付かなかったね」

梓猫「にゃあにゃあっ…!」

唯「まあ猫さんだもんね、今は……」

梓猫「にゃあ………」


唯「…………」

唯「りっちゃんと澪ちゃんは仲が良いよねー…」

梓猫「にゃあ………」

唯「……あずにゃん、知ってる?」

梓「にゃ?……」

唯「あの二人、実は付き合っているんだよっ!」

梓「にゃ、にゃあぁっ!?……」

74: 2009/11/21(土) 23:41:25.21 ID:OFU8JrnuO

唯「2人とも、子供の頃からの幼なじみでさー…」

唯「お互いに気持ちが通じ合ってるんだって」

唯「いいよねー、なんだかうらやましい…」

梓猫「にゃあ………」



唯「……でも、」

唯「私とあずにゃんの間にも負けないくらいの絆があるよねっ!」

梓猫「にゃあっ!……」

唯「あずにゃーんっ…♪」

梓猫「にゃあ、にゃあっ……!!」

75: 2009/11/21(土) 23:42:15.20 ID:OFU8JrnuO

……テクテクッ…


唯「あっ、さわちゃんだ!」

さわ子「あら、唯ちゃん。こんばんわ!」

梓猫「にゃあっ!…」

さわ子「可愛い猫ちゃんね! 毛並みがとってもキレイ…!」

梓猫「にゃあ~…」

さわ子「……あんまり遅くならない内に帰るのよ?」

唯「は~いっ!……」


唯「…………」


トテトテッ………

76: 2009/11/21(土) 23:43:11.82 ID:OFU8JrnuO

唯「さわちゃんも、昔はとっても美人さんだったみたいだね…」

梓猫「にゃあ……」

唯「いっぱいモテてたみたいだけど、結局今は独り身なんだって…」

梓猫「にゃあ~……」

唯「どこかで後悔とかしてるのかな……」

梓猫「にゃあ……」


唯「早く、良い人が見付かるといいね?…」

梓猫「にゃあっ!………」

78: 2009/11/21(土) 23:44:00.61 ID:OFU8JrnuO

……テクテクッ…


唯「和ちゃん、やっほーい!」

和「唯っ!あんたこんな時間にまで……って、なにこの猫?」

梓猫「にゃあ!…」

和「わわっ、すごく懐いてるっ!…」

唯「ふふ、可愛いでしょ~?」

梓猫「にゃあっ♪…」

和「はぁ~、まったくもぅ……。発表会が近いんでしょ? 早く家に帰りなさいっ!」

唯「ほいほ~いっ♪」



……トテトテッ…

79: 2009/11/21(土) 23:45:02.98 ID:OFU8JrnuO

唯「和ちゃんは厳しいけれど、本当は私達の事ちゃんと心配してくれてるんだよ…?」

梓猫「にゃあ………」

唯「もうちょっと素直に、応援してくれてもいいのにな~」

梓猫「にゃあ~……」


唯「和ちゃんとも、結構長い付き合いだったなぁ…」

梓猫「にゃあ………」


唯「お別れするのは、辛いなぁ…」

梓猫「……。にゃあ~…」


……………

80: 2009/11/21(土) 23:46:24.01 ID:OFU8JrnuO

― 桜の木 ―


唯「えいっ。」ドゴォッ!!


バサバサッ!…

ヒラヒラ…‥ヒラヒラ…‥


梓猫(……っ!!)

梓猫(すごい…桜の花々が一瞬で………)

梓猫(…って、こんな事したらかなりマズイんじゃ??!)

梓猫「にゃあっ!!……」




唯「いいんだよ‥」

唯「私はもう、あずにゃんを助けた時点でルールを破ってるからね……」

81: 2009/11/21(土) 23:47:12.47 ID:OFU8JrnuO


梓猫「…………」

唯「そんな顔しないで?」


唯「大丈夫だよ…、私にはとっても力強い味方がいるんだからっ♪」

梓猫「にゃ、にゃあ…?」

唯「神様なんて怖くないよっ」

梓猫「にゃあ~…」


……………

82: 2009/11/21(土) 23:56:29.53 ID:OFU8JrnuO

ヒラヒラ…‥ヒラヒラ…‥


唯「綺麗だね……」

梓猫「にゃあっ………」



ヒラヒラ…‥ヒラヒラ…‥



唯「このまま…時間が止まってしまえばいいのに……」

梓猫「にゃあ~………」


ヒラヒラ…‥ヒラヒラ…‥


唯「あずにゃん、ごめんね……」

唯「私はもうすぐ、行かなきゃ――………」



ヒラヒラ…… ヒラヒラ‥‥‥

83: 2009/11/22(日) 00:03:06.91 ID:AHjyOSU+O

梓猫「にゃあ……っ、」

梓猫「にゃああ~!!………っ にゃあああ~っ………!!」

梓猫「にゃああ~………‥」


唯「あずにゃん………」




唯「……。あのね、あずにゃんに、お願いがあるの…」

梓猫「にゃぁ……?」

唯「憂の事、なんだけど…」

梓猫「にゃあ………」


唯「憂はきっと、独りでは耐えられないと思うの…」

唯「だからあずにゃんに、憂の事を支えててもらいたいの」

唯「私が帰るまでの間… 憂の事、見ててくれないかな?」

梓猫「………、、にゃあ~……」

84: 2009/11/22(日) 00:04:17.56 ID:AHjyOSU+O

唯「あずにゃん……」ギュッ

梓猫「にゃあ~………」

唯「私はちゃんと帰ってくるから……」

梓猫「にゃあ……」


唯「………ねぇ、しっかり掴まっててね?」

梓猫「にゃ?……」


………っ

………バサッ..


梓猫「……っ!(翼がっ…!?)」

唯「行っくよ~?……」



タンッ!…

バサッ……バサッ………

85: 2009/11/22(日) 00:05:06.57 ID:AHjyOSU+O

…………~~


梓猫(飛んでいる....)

梓猫(雲を… 突き抜けてゆくっ………!!)


――――………~ッ


唯「そぉ~れっ……!」

梓猫「………っ!!」



梓猫(これがっ……空の世界ッ………)



バサッ……バサッ……

86: 2009/11/22(日) 00:06:22.88 ID:AHjyOSU+O

………

梓猫(青白く光る満月…)

梓猫(どこまでも透き通った彼方の空…)

梓猫(雲の海が泳いでいる…)

梓猫(静かで……ただ、風が強く鳴いている………)


バサッ……バサッ……



梓猫(星も、月も……)

梓猫(何も無いと……こんなにハッキリと輝いてるんだ…)




唯「…………」

唯「あずにゃん、私ね…」

唯「私は……半人前の天使なの…」

87: 2009/11/22(日) 00:07:50.16 ID:AHjyOSU+O

梓猫「にゃあ?……」


唯「私は、一度帰らなくちゃいけないの……」

梓猫「………」

唯「ちゃんと、一人前になって帰ってくるから…」

梓猫「にゃあ………」

唯「しばらく、待っててね?……」

梓猫「にゃあ!………」


唯「ふふっ……」

唯「私、この世界に来れてよかった……」

唯「みんなに、出会えて……良かった!………」


……………

96: 2009/11/22(日) 01:23:37.88 ID:AHjyOSU+O

憂「…………」

憂「お姉ちゃん………」



――ガチャッ..


唯「憂ぃ、ただいまー!」

梓猫「にゃあ!………」


憂「お姉ちゃん、おかえり~…って、どうしたの??その猫…」

憂「…………えっ?」

憂「…………」

憂「…………嘘っ…」

憂「………、梓ちゃん…なの?」

梓猫「にゃあ……っ!」


唯「……、憂には分かるんだね……」

97: 2009/11/22(日) 01:24:55.96 ID:AHjyOSU+O

唯「憂は、本当に凄いなぁ……」

唯「なんでも出来て、とっても優秀で……」

唯「こんな事にも、気付くなんて………」


唯「私、憂にはいつもビックリだよ?……」



憂「……違う。そんなんじゃないよ!………」

憂「だって……梓ちゃんは!」

憂「私の、一番の親友だからっ!……」ぽろぽろ


唯「憂ぃ…」

唯「…………」

唯「私ね、もうすぐ行かなくちゃいけないの……」

98: 2009/11/22(日) 01:26:11.23 ID:AHjyOSU+O

憂「………っ、ヤダ!」

憂「お姉ちゃん、行っちゃやだーっ!!」

唯「憂ぃ……」


唯「憂は、優秀だから…私が居なかったら、きっと…何でも出来るよ?…」


憂「…………っ」

憂「やめてよっ……!そんな言い方しないでよっ……!」

憂「私は、いつも言ってるでしょ…?」

憂「私は何もいらない…何も望まない…」

憂「ただ、お姉ちゃんが居てくれたらそれでいいって……!」

唯「憂ぃ………」


憂「初めて会った、あの時から――…!!」

99: 2009/11/22(日) 01:26:56.93 ID:AHjyOSU+O

―『…以上が神様からの伝言です。』

―『あなたの望むものを叶えて差し上げろ、との事…。』

―『ねえ、何で君はそんなに恵まれるのに、泣いているの?』

―『そんなに才能に溢れているのに、どうしてそんなに悲しい顔をしているの…?』


――私は、何かがしたいわけじゃないよ……


―『…望むものを与えろ、との事。何か欲しいものはないの…?』



――だったら、天使さんが欲しいなっ!


―『ほえ……?』

――うんっ!!


―『――わ、私ぃ…?!』

100: 2009/11/22(日) 01:27:49.07 ID:AHjyOSU+O

――ダメかなぁ…?


―『…む、無理だよぅ。』


――私はべつに何もいらないから、天使さんが欲しいな…。


―『で、でも私…この世界の事よく分からないし……』


――私が全部面倒見てあげるから!

――だから天使さん、私のお姉ちゃんになってください!!


―『う、う~ん……』

―『わ、わかったよぅ……』

101: 2009/11/22(日) 01:29:40.74 ID:AHjyOSU+O

――天使さんっ、天使さんっ!!

――これ作ったの、食べてみてっ!

―『わぁ~、憂の作ってくれるご飯は美味しいなぁ~』


――天使さんっ、天使さんっ! コレ一緒に食べようっ!

―『わっ!何これ、冷たくて美味しい~!!』


――天使さんっ!天使さんっ!

――あのねっ、あのねっ!……

―『もぅ、憂ったら…』

―『私たち、姉妹になったんだから…これからはお姉ちゃんって呼んで…?』

――うんっ、お姉ちゃん…?

――お姉ちゃんっ……!お姉ちゃんっ……!





憂「お姉ちゃんっ…!」ぽろぽろ

102: 2009/11/22(日) 01:30:56.57 ID:AHjyOSU+O
憂「お願い…………」

憂「何処にも行かないで………」


憂「お姉ちゃん……っ!!」ぽろぽろ


唯「……憂ぃ」


唯(こんなに何でも出来る子が…)

唯(こんなに才能に溢れた子が…)

唯(望んだものが…ただ、人の温もりだったなんて………)


唯「憂ぃ…っ!」ギュッ

唯「今日は一緒に眠ろう…?」

唯「朝まで……ぎゅってしてあげるからっ!」ぽろぽろ


梓猫「にゃあ……!」

唯「うん…、あずにゃんも一緒に、ね…?」

……

103: 2009/11/22(日) 01:31:57.81 ID:AHjyOSU+O

………


唯「憂ぃ……」

唯「私、ちゃんと帰ってくるから…」

憂「お姉ちゃん……」

唯「あずにゃんと、一緒に待っててくれる…?」

憂「えっ………」

唯「一人じゃない………、二人で……帰りを待っててほしいの……」

憂「お姉ちゃん………」

唯「大丈夫、私は必ず帰って来るから――」

憂「うん………」

唯「帰って来たら、3人で暮らそうよ?…」

憂「うんっ………」

唯「約束、だからね?……」


………

142: 2009/11/22(日) 15:13:29.71 ID:AHjyOSU+O

― 発表会 …


律「よ~し、行くぞ!みんなっ」

梓「はいっ……!」

澪「絶対に成功させようなっ…!」

紬「あれだけ練習したんだもの…ね、唯ちゃん?」

唯「うん、いっくよ~!!」


――タンッ♪


――♪♪―――♪♪♪


――♪♪♪…

143: 2009/11/22(日) 15:16:51.30 ID:AHjyOSU+O

……沢山の事があった...

……色んな事を知った...


――♪♪♪――♪♪



……音が混じり合う...

……みんなの音が重なり合う...

……様々な想い出が溢れてくる...



――♪♪♪―――♪♪



……私、この世界に来れて良かったよ...

……みんなに出会えて良かったよ...

……けいおん部に入れて、良かったよ...


唯「みんな……ありがとう………っ!!」

144: 2009/11/22(日) 15:17:47.90 ID:AHjyOSU+O

………


律「みんなお疲れーっ」

澪「大成功だったなっ!」

唯「………」

和「あんたたち凄いじゃない、観客も騒いでたわよ!」

憂「………」

紬「そろそろ、か………」


さわ子「いやー、私も聞いててなんだか感動しちゃって……ってあれ?どうしたの??」


梓「………」


唯「……、私……」

唯「そろそろ行かなくちゃいけないの…」

145: 2009/11/22(日) 15:18:45.51 ID:AHjyOSU+O

律「行くってドコにだ…?」

澪「何か寄る処でもあるのか…?」


唯「ううん……」

唯「私は、帰らなくちゃいけないの……」


さわ子「どういう事…?」


憂「お姉ちゃん!!」ガバッ

憂「必ず、帰ってきて…」


梓「……先輩…」

梓「私…、ずっと待ってますから…」

梓「ずっと、ずっと…待ってますから……!」ぽろぽろ


唯「憂……、あずにゃん………」

唯「みんな、ありがとぅ………!」

146: 2009/11/22(日) 15:19:55.09 ID:AHjyOSU+O

和「……ッ! 唯…あんた、翼がっ?!」

律「……えっ、どういう事?」

澪「……唯、本当に行ってしまうのか……?」




紬「唯ちゃん……私はここで待ってるわ」

紬「みんなと一緒に、此処で唯ちゃんの帰りを待ってるからっ…」


唯「うん……!」

唯「みんな…私、けいおん部に入れて良かったよ!」

唯「また、一緒に演奏しようねっ!」



唯「バイバイっ……!」


憂「………っ」

憂「お姉ちゃんーーっっ…………!!!」

147: 2009/11/22(日) 15:20:45.79 ID:AHjyOSU+O

梓「…………先輩…」

律「……行ってしまった……」

澪「唯って、天使だったのか……?」


憂「………うぅ…グスッ」


梓「………、憂…」

梓「一緒に、唯先輩の帰りを待ってよう…?」

梓「先輩は……必ず帰って来るから……」


紬「………憂ちゃん…」

紬「一緒に、けいおん部に入らない?」

律「おぅ、唯の残していったギー太もあるぜっ!」

澪「………みんなで唯のために一曲、作ろうか」


憂「紬さん、律さん、澪さん……」

憂「……はいっ……」

148: 2009/11/22(日) 15:21:31.19 ID:AHjyOSU+O


梓「唯先輩………」


梓「ありがとう………」


梓「私、待ってますからね…………?」

梓「ずっと、ずっと……………」




おしまいっ!

151: 2009/11/22(日) 15:25:44.22 ID:AHjyOSU+O
保守すまんかった
あと前回の事は本当にごめんなさい
これからはちゃんと時間ある時にスレ立てるようにします
ありがとうです

158: 2009/11/22(日) 17:29:14.67 ID:NCsopwcfO
おつつ

引用元: 梓「唯先輩………」