1: ◆m03zzdT6fs 2014/01/01(水) 06:08:35.02 ID:EfrQsPtno
鷹富士茄子さんのSSです。特にオチや山場はない、のんびりとしたものです。
以前書いた作品である”モバP「七人目の正直」”の設定を少し引き継いでいます。
都合上、茄子さんのPに対する呼び方が『Pさん』になっておりますので、その点ご注意ください。
モバP「七人目の正直」
以前書いた作品である”モバP「七人目の正直」”の設定を少し引き継いでいます。
都合上、茄子さんのPに対する呼び方が『Pさん』になっておりますので、その点ご注意ください。
モバP「七人目の正直」
2: 2014/01/01(水) 06:09:54.58 ID:EfrQsPtno
静寂。もう、枯葉一枚さえない、冬の装いの木々を見上げながら、小さく息を吐きます。
そうして吐いたゆっくりと広がる白い吐息は、ふわり、ふわりと舞う粉雪に溶け込み、消えてしまいます。
辺りにはじじ、と明滅する電燈が一本立っているだけで、他に人はいません。まあ、それも仕方のないことだと思います。
きっと皆さん、ご自宅のおこたに入っているか、あるいはお蕎麦をゆでている頃でしょう。
そんな中、なぜ私はここに居るのか。ええ、もちろん、私だっておこたに入って、ぬくぬくしたいです。でも、そういうわけにはいきません。
『……遅い、なあ』
思わず、言葉が零れてしまいます。こんなに待ち遠しいなんて、本当に久しぶり。このところ、ずっとずっと忙しかったのですから。
まだかな、まだかな。自分でも、子供っぽいとは思います。それでも、楽しみで仕方がないのは、止めることはできません。
なぜって?
単純なことです。だって――。
そうして吐いたゆっくりと広がる白い吐息は、ふわり、ふわりと舞う粉雪に溶け込み、消えてしまいます。
辺りにはじじ、と明滅する電燈が一本立っているだけで、他に人はいません。まあ、それも仕方のないことだと思います。
きっと皆さん、ご自宅のおこたに入っているか、あるいはお蕎麦をゆでている頃でしょう。
そんな中、なぜ私はここに居るのか。ええ、もちろん、私だっておこたに入って、ぬくぬくしたいです。でも、そういうわけにはいきません。
『……遅い、なあ』
思わず、言葉が零れてしまいます。こんなに待ち遠しいなんて、本当に久しぶり。このところ、ずっとずっと忙しかったのですから。
まだかな、まだかな。自分でも、子供っぽいとは思います。それでも、楽しみで仕方がないのは、止めることはできません。
なぜって?
単純なことです。だって――。
3: 2014/01/01(水) 06:10:50.68 ID:EfrQsPtno
「ぜっ、はっ……。済まない、茄子っ! 遅れた……っ!」
刹那、私の耳に声と、足音が聞こえます。一気に、心が、体が温かくなります。頬が緩み、駆け寄りたくなります。
ですが、そこはぐっとこらえ、私は少し不機嫌そうな顔を作ると、口をとがらせ、
『遅いですよ、Pさんっ』
と、少し拗ねてみせます。同時に、電燈の下に人影が走り込んできては、その身を照らしました。
そこにいたのは、紛れもなく私のプロデューサーで、私の大好きな人。ぷい、とそっぽを向いた私に、Pさんは、
「済まない、茄子さん。抜けて来るのに、少し手間取った。他の子たちがなかなか解放してくれなくてね」
と、少しマフラーに積もった雪を払いながら言います。
刹那、私の耳に声と、足音が聞こえます。一気に、心が、体が温かくなります。頬が緩み、駆け寄りたくなります。
ですが、そこはぐっとこらえ、私は少し不機嫌そうな顔を作ると、口をとがらせ、
『遅いですよ、Pさんっ』
と、少し拗ねてみせます。同時に、電燈の下に人影が走り込んできては、その身を照らしました。
そこにいたのは、紛れもなく私のプロデューサーで、私の大好きな人。ぷい、とそっぽを向いた私に、Pさんは、
「済まない、茄子さん。抜けて来るのに、少し手間取った。他の子たちがなかなか解放してくれなくてね」
と、少しマフラーに積もった雪を払いながら言います。
4: 2014/01/01(水) 06:11:29.99 ID:EfrQsPtno
『つまり、Pさんは私よりも、他の子の方が大事だったんですね?』
「いや、そういうわけじゃないが……。ああ、もう。そんなこと言わずに、機嫌直してくれ、茄子さん」
少し意地悪が過ぎたかな? そう思って、ちょっとだけPさんの方を見ます。彼は、少し困った表情で私を見ていました。
『……えへへ、冗談ですよっ! 怒ってなんていません♪』
私は笑顔を浮かべると、Pさんへと抱きつきます。外は寒いけれど、じんわりと心があったかくなって、そして嬉しくなりました。
「あっ、こらっ! だ、誰かに見られたらどうするんだっ」
『平気ですよっ! みなさんきっと、家の中でおこたに包まって、ぬくぬくしている頃ですから』
そのまま、私はPさんの腕を取り、早く早く、と急かします。私たちの目の前には、寂れた雰囲気を醸し出す、一つの石段。
それが、ぽつ、ぽつとぼんやり光る灯篭に導かれ、奥の方へと延びています。
「いや、そういうわけじゃないが……。ああ、もう。そんなこと言わずに、機嫌直してくれ、茄子さん」
少し意地悪が過ぎたかな? そう思って、ちょっとだけPさんの方を見ます。彼は、少し困った表情で私を見ていました。
『……えへへ、冗談ですよっ! 怒ってなんていません♪』
私は笑顔を浮かべると、Pさんへと抱きつきます。外は寒いけれど、じんわりと心があったかくなって、そして嬉しくなりました。
「あっ、こらっ! だ、誰かに見られたらどうするんだっ」
『平気ですよっ! みなさんきっと、家の中でおこたに包まって、ぬくぬくしている頃ですから』
そのまま、私はPさんの腕を取り、早く早く、と急かします。私たちの目の前には、寂れた雰囲気を醸し出す、一つの石段。
それが、ぽつ、ぽつとぼんやり光る灯篭に導かれ、奥の方へと延びています。
5: 2014/01/01(水) 06:12:48.50 ID:EfrQsPtno
「結構久しぶりだ、ここも。夏祭りの、帰り道に寄った時が最後かな」
『そう、ですね。あの時のPさん、可愛かったですよー?』
「まったく、そうやってすぐ人をからかう。その……、茄子さんの方が可愛いに決まってるだろ」
そんな風に、少し照れながら言ってくれるPさんの横顔は、この夜の中でもはっきり分かるほど真っ赤でした。
まあ、その。私も、なのですが……。
『う、そっ、そんなこと言っても、誤魔化されませんよーっ!』
「はは、いや、その、なんだ。早く茄子さんをトップアイドルにしたくてたまらないんだよ」
俺のみ込んだ人が、トップアイドルになれないわけがない。そんな風にPさんは言ってくれます。
こんな、Pさんの正直者なところが、私は大好きです。そして、私を気遣って自分の巻いていたマフラーを巻いてくれる、優しい所も。
『そう、ですね。あの時のPさん、可愛かったですよー?』
「まったく、そうやってすぐ人をからかう。その……、茄子さんの方が可愛いに決まってるだろ」
そんな風に、少し照れながら言ってくれるPさんの横顔は、この夜の中でもはっきり分かるほど真っ赤でした。
まあ、その。私も、なのですが……。
『う、そっ、そんなこと言っても、誤魔化されませんよーっ!』
「はは、いや、その、なんだ。早く茄子さんをトップアイドルにしたくてたまらないんだよ」
俺のみ込んだ人が、トップアイドルになれないわけがない。そんな風にPさんは言ってくれます。
こんな、Pさんの正直者なところが、私は大好きです。そして、私を気遣って自分の巻いていたマフラーを巻いてくれる、優しい所も。
6: 2014/01/01(水) 06:13:55.75 ID:EfrQsPtno
「それに、いい加減俺の理性も持ちそうにないしな」
『理性、ですか?』
「ああ、いや。こっちの話」
そういうと、Pさんは少しばつの悪そうな顔をして、苦笑します。また、社長さんに何か言われたのかな、と思いますが、あまり深くは追及はしません。
きっと、アイドルとプロデューサーでの恋愛なんて、ご法度なのでしょう。……まあ、それでも私は、Pさんのことが大好きです。それは変わりませんねっ♪
「とりあえず、行こう。もうすぐ日付も変わる」
『そうですねっ』
私とPさんは、顔を見合わせると少し笑い、そのまま石段を登り始めます。合わせて二十段もない、小さな石段ですが、Pさんと登るとその段数以上に、とても短く感じます。
やはり好きな人と一緒に何かをすると、時間は短く感じます。出会ってから二度目の冬を迎えていますが、今までの時間はとても、とても早く過ぎたように思います。
『理性、ですか?』
「ああ、いや。こっちの話」
そういうと、Pさんは少しばつの悪そうな顔をして、苦笑します。また、社長さんに何か言われたのかな、と思いますが、あまり深くは追及はしません。
きっと、アイドルとプロデューサーでの恋愛なんて、ご法度なのでしょう。……まあ、それでも私は、Pさんのことが大好きです。それは変わりませんねっ♪
「とりあえず、行こう。もうすぐ日付も変わる」
『そうですねっ』
私とPさんは、顔を見合わせると少し笑い、そのまま石段を登り始めます。合わせて二十段もない、小さな石段ですが、Pさんと登るとその段数以上に、とても短く感じます。
やはり好きな人と一緒に何かをすると、時間は短く感じます。出会ってから二度目の冬を迎えていますが、今までの時間はとても、とても早く過ぎたように思います。
7: 2014/01/01(水) 06:14:36.23 ID:EfrQsPtno
今ではそれなりに名前の売れたアイドルにはなりましたが、やはりまだまだトップアイドルとは言えません。
きっと、Pさんもトップアイドルになることを期待してくれています。だから、私は頑張ります。Pさんが、私を信じてくれていますから。
だから私は、いくらでも頑張れるんですっ♪
「足元が暗い、茄子さん。気を付けて」
『はいっ♪』
しっかりと、Pさんの腕を掴んだまま、ゆっくりと登り切りました。ざり、という玉砂利を踏みしめる音が、梢を通り抜ける風の音に混ざります。
そして、その先にあるのは、ぽう、と微かな光に照らされた――神社の本殿でした。
きっと、Pさんもトップアイドルになることを期待してくれています。だから、私は頑張ります。Pさんが、私を信じてくれていますから。
だから私は、いくらでも頑張れるんですっ♪
「足元が暗い、茄子さん。気を付けて」
『はいっ♪』
しっかりと、Pさんの腕を掴んだまま、ゆっくりと登り切りました。ざり、という玉砂利を踏みしめる音が、梢を通り抜ける風の音に混ざります。
そして、その先にあるのは、ぽう、と微かな光に照らされた――神社の本殿でした。
11: 2014/01/01(水) 17:58:53.11 ID:EfrQsPtno
相変らず、寂れた神社だ。罰当たりなことではあるが、そう思う。だが、俺と茄子さんの思い出の場所だ。
二年前の、ある日。ここで俺と茄子さんは出会った。本当に奇跡だった。初めて会った時から、きっと惚れていたのだろう。
その場でスカウトし、でも俺の身勝手で彼女を傷つけ、それでも彼女は俺を許してくれた。もちろん、今の社長にも頭は上がらない。
(ぶっ飛んでる人だけど、基本的にはいい人なんだよな……)
俺を含め、他のプロデューサーたちに関しても、効率重視、実利重視の姿勢を貫いているが、それらの関わらないところではだいぶ、というよりとんでもなく自由な人だ。何せ――。
(半分、俺らの仲を認めてるんだから、ホント頭が上がらねえよ)
そう、内心呟く。もちろん実際に公認しているわけじゃないのだろうが、それにつけても早くくっつけと言わんばかりにせっついてくる。
二年前の、ある日。ここで俺と茄子さんは出会った。本当に奇跡だった。初めて会った時から、きっと惚れていたのだろう。
その場でスカウトし、でも俺の身勝手で彼女を傷つけ、それでも彼女は俺を許してくれた。もちろん、今の社長にも頭は上がらない。
(ぶっ飛んでる人だけど、基本的にはいい人なんだよな……)
俺を含め、他のプロデューサーたちに関しても、効率重視、実利重視の姿勢を貫いているが、それらの関わらないところではだいぶ、というよりとんでもなく自由な人だ。何せ――。
(半分、俺らの仲を認めてるんだから、ホント頭が上がらねえよ)
そう、内心呟く。もちろん実際に公認しているわけじゃないのだろうが、それにつけても早くくっつけと言わんばかりにせっついてくる。
12: 2014/01/01(水) 17:59:38.67 ID:EfrQsPtno
それを躱しつつ、茄子さんにはプロデューサーとして接するように努力はしているが、実際のところそれも限界が来てたりする。
俺も男だ。こんな可愛くて、思いやりがあって、しかも俺なんかを立ててくれる女性が傍にいて、しかも好いてくれている。
もし耐えられる男が居るなら、そいつは間違いなく同性愛者か、悟りを開いた釈迦か何かだろう。あるいは全身合金でできたサイボーグかもしれない。
「どうか、したんですか、Pさん?」
『ああ、いや。なんでもない。……そろそろ時間だな』
俺は内心抱き寄せたい衝動にかられながらも、そうするわけにはいかない葛藤を抱きつつ、彼女を導く。石畳の上を歩き、そして全く変わらない、寂れた本殿の前へと立つ。
そういえば、ここの管理は誰がしているのだろうか。結構きれいにされているし、灯篭には火が燈っている。
まあ、それにしてもこんな日にもかかわらず、誰もいないのは少し驚いた。何組かぐらいは居るものだと思ってはいたのだが……。
俺も男だ。こんな可愛くて、思いやりがあって、しかも俺なんかを立ててくれる女性が傍にいて、しかも好いてくれている。
もし耐えられる男が居るなら、そいつは間違いなく同性愛者か、悟りを開いた釈迦か何かだろう。あるいは全身合金でできたサイボーグかもしれない。
「どうか、したんですか、Pさん?」
『ああ、いや。なんでもない。……そろそろ時間だな』
俺は内心抱き寄せたい衝動にかられながらも、そうするわけにはいかない葛藤を抱きつつ、彼女を導く。石畳の上を歩き、そして全く変わらない、寂れた本殿の前へと立つ。
そういえば、ここの管理は誰がしているのだろうか。結構きれいにされているし、灯篭には火が燈っている。
まあ、それにしてもこんな日にもかかわらず、誰もいないのは少し驚いた。何組かぐらいは居るものだと思ってはいたのだが……。
13: 2014/01/01(水) 18:00:12.75 ID:EfrQsPtno
「Pさん、あと何分ですか?」
『ええと……』
俺は、腕時計を見る。時間は十一時と五十七分。もう、間もなくだ。
『あと、三分だ』
「わあっ、もうすぐですねっ♪」
そんな調子で、とても楽しそうに、そして嬉しそうに笑う茄子さんは、少し子供っぽくもあり、そして純粋無垢だった。
こんな子が、俺の隣に居ても良い物だろうか、と思ってしまうときがある。それは、やましいことがあると言う事ではない。
単純に、幸せすぎる。それに尽きていた。この幸せを失うのが怖い。彼女に見限られるのが怖い。それはどうしても抱いてしまう。
『ええと……』
俺は、腕時計を見る。時間は十一時と五十七分。もう、間もなくだ。
『あと、三分だ』
「わあっ、もうすぐですねっ♪」
そんな調子で、とても楽しそうに、そして嬉しそうに笑う茄子さんは、少し子供っぽくもあり、そして純粋無垢だった。
こんな子が、俺の隣に居ても良い物だろうか、と思ってしまうときがある。それは、やましいことがあると言う事ではない。
単純に、幸せすぎる。それに尽きていた。この幸せを失うのが怖い。彼女に見限られるのが怖い。それはどうしても抱いてしまう。
14: 2014/01/01(水) 18:00:50.67 ID:EfrQsPtno
(惚れた弱みってやつかな)
内心苦笑すると、また腕時計を見る。後、一分と少しだった。そうして、そのまましばらく静寂が辺りを包む。
はらり、はらりと僅かに舞う粉雪が、地面を薄く彩り始める。彼女の着ている、ベージュのコートには良く映える、純白の粉雪だ。
やがて、時間が迫る。あと、十秒。九、八、七、六。
『あと、五秒』
「よん、さんっ」
『二、一……』
次の瞬間、同時に俺たちは声を出す。
内心苦笑すると、また腕時計を見る。後、一分と少しだった。そうして、そのまましばらく静寂が辺りを包む。
はらり、はらりと僅かに舞う粉雪が、地面を薄く彩り始める。彼女の着ている、ベージュのコートには良く映える、純白の粉雪だ。
やがて、時間が迫る。あと、十秒。九、八、七、六。
『あと、五秒』
「よん、さんっ」
『二、一……』
次の瞬間、同時に俺たちは声を出す。
15: 2014/01/01(水) 18:01:20.46 ID:EfrQsPtno
“あけまして、おめでとうございます!”
そんなハーモニーが、神社の境内に響く。そして二人して顔を見合わせると、どちらからでもなくはにかみ、そして笑い声を上げて笑います。
「ピッタリでしたねっ♪」
『ああ、完璧だった』
俺はそう言って、歯を見せて笑った。彼女の笑顔を見て、尋常じゃなく胸が高まる。こうして、今年も一年彼女と過ごせる。それが、何よりも嬉しかった。
『お賽銭は、用意してきたか?』
「もちろんですよっ」
茄子さんは、コートのポケットに手を入れると、小さな小銭入れを取り出す。それを頑張って開けようとしているが、どうも手袋をつけたままなので、開けられないらしい。
そんなハーモニーが、神社の境内に響く。そして二人して顔を見合わせると、どちらからでもなくはにかみ、そして笑い声を上げて笑います。
「ピッタリでしたねっ♪」
『ああ、完璧だった』
俺はそう言って、歯を見せて笑った。彼女の笑顔を見て、尋常じゃなく胸が高まる。こうして、今年も一年彼女と過ごせる。それが、何よりも嬉しかった。
『お賽銭は、用意してきたか?』
「もちろんですよっ」
茄子さんは、コートのポケットに手を入れると、小さな小銭入れを取り出す。それを頑張って開けようとしているが、どうも手袋をつけたままなので、開けられないらしい。
16: 2014/01/01(水) 18:01:47.18 ID:EfrQsPtno
『こら、横着はしない』
「えへ、ごめんなさいっ」
小銭入れの口を、俺が開けてやると、彼女は嬉しそうに笑う。ああもう、可愛いったらありゃしない。こう、愛でたくて仕方がなくなる。
そうして、俺もポケットから小銭を取り出す。もちろん、五円玉だ。後で札を突っ込むつもりではあるが、最初のお賽銭はこれ、と相場が決まっている。
『よし、じゃあ行くぞ?』
「はいっ」
二人同時に、五円玉を賽銭箱へ投げ入れる。ちゃりん、ちゃりん、ことん。賽銭箱の中へと五円玉が落ちて行く音が響く。
そして、どちらから言うわけでもなく、境内に提げられた大きな本坪鈴の綱を手に取り、そして同時に揺らす。
がらん、ごろん。
がらん、ごろん。
少しくぐもった、鈴の音が境内に響く。そして、俺は二度、手を叩いた。ほとんど同じタイミングで、茄子さんも手を叩く。
また、しばらく静寂が辺りを包む。その静寂さえ、俺の中から消えていく。願うのは、一心に茄子さんの栄達だ。
「えへ、ごめんなさいっ」
小銭入れの口を、俺が開けてやると、彼女は嬉しそうに笑う。ああもう、可愛いったらありゃしない。こう、愛でたくて仕方がなくなる。
そうして、俺もポケットから小銭を取り出す。もちろん、五円玉だ。後で札を突っ込むつもりではあるが、最初のお賽銭はこれ、と相場が決まっている。
『よし、じゃあ行くぞ?』
「はいっ」
二人同時に、五円玉を賽銭箱へ投げ入れる。ちゃりん、ちゃりん、ことん。賽銭箱の中へと五円玉が落ちて行く音が響く。
そして、どちらから言うわけでもなく、境内に提げられた大きな本坪鈴の綱を手に取り、そして同時に揺らす。
がらん、ごろん。
がらん、ごろん。
少しくぐもった、鈴の音が境内に響く。そして、俺は二度、手を叩いた。ほとんど同じタイミングで、茄子さんも手を叩く。
また、しばらく静寂が辺りを包む。その静寂さえ、俺の中から消えていく。願うのは、一心に茄子さんの栄達だ。
17: 2014/01/01(水) 18:02:56.24 ID:EfrQsPtno
彼女がトップアイドルになれますように。きっと、そうなるだろう確信を持った願いではあるが、幸運な彼女に神のご加護とやらが付けば鬼に金棒だ。
普段から神様の存在を信じてない俺が願うのは、都合がいいことかもしれないが、それでも願う。ついでに、彼女がトップに立つまで俺の理性が持つことも願っておく。
彼女は俺の好意に気づいているだろう。その上で、好意をぶつけてくれている、と信じているし、信じたい。だからこそ、その好意に甘んじるわけにはいけない。
俺はプロデューサーなのだ。ただでさえ業界のタブーを犯している。それについて一切の後ろめたさはないが、責務を放り出して私情を優先することは……したくない。
「……Pさん?」
『……え? あ、ああ、すまん。ちょっと考え事してたよ』
茄子さんに言われて、ふと我に返る。どうも、とっくに茄子さんは願い事を終えていたらしい。それで、いつまでも目を閉じている俺を不思議に見ていたようだ。
俺は、財布の中から札を別に取出し、それを賽銭箱の中に入れると、財布をポケットに仕舞い込む。
普段から神様の存在を信じてない俺が願うのは、都合がいいことかもしれないが、それでも願う。ついでに、彼女がトップに立つまで俺の理性が持つことも願っておく。
彼女は俺の好意に気づいているだろう。その上で、好意をぶつけてくれている、と信じているし、信じたい。だからこそ、その好意に甘んじるわけにはいけない。
俺はプロデューサーなのだ。ただでさえ業界のタブーを犯している。それについて一切の後ろめたさはないが、責務を放り出して私情を優先することは……したくない。
「……Pさん?」
『……え? あ、ああ、すまん。ちょっと考え事してたよ』
茄子さんに言われて、ふと我に返る。どうも、とっくに茄子さんは願い事を終えていたらしい。それで、いつまでも目を閉じている俺を不思議に見ていたようだ。
俺は、財布の中から札を別に取出し、それを賽銭箱の中に入れると、財布をポケットに仕舞い込む。
18: 2014/01/01(水) 18:03:23.01 ID:EfrQsPtno
「何をお願いしてたんですか、Pさん?」
『ん? まあ、茄子さんがトップアイドルになれますように、かな』
「それだけ、ですか?」
『……それに付いてコメントは、差し控えさせてもらおうかな』
「……ふふっ、そうですね♪」
茄子さんは少し嬉しそうに、そして満足したように笑う。ちくしょう、こいつ分かってて聞いてやがる。少し癪なので、
『そういう茄子さんは何を願ったんだ?』
と尋ねる。
「もちろん、トップアイドルになれますように、ですよっ」
『それだけか?』
と、予想していた通りの答えに、彼女が俺にしたように意地の悪い質問を投げかける。だが――。
『ん? まあ、茄子さんがトップアイドルになれますように、かな』
「それだけ、ですか?」
『……それに付いてコメントは、差し控えさせてもらおうかな』
「……ふふっ、そうですね♪」
茄子さんは少し嬉しそうに、そして満足したように笑う。ちくしょう、こいつ分かってて聞いてやがる。少し癪なので、
『そういう茄子さんは何を願ったんだ?』
と尋ねる。
「もちろん、トップアイドルになれますように、ですよっ」
『それだけか?』
と、予想していた通りの答えに、彼女が俺にしたように意地の悪い質問を投げかける。だが――。
19: 2014/01/01(水) 18:03:51.38 ID:EfrQsPtno
「えっとですね」
少し彼女は恥ずかしそうにすると、ちょっと小声で、
「……いつか、Pさんと一緒になれますように、です♪」
なんて言って来るではないか。
『あ、う……』
クリティカルヒットどころの話じゃない。一撃必殺だった。ああもう、可愛いなあ、もう、くそ。愛おしさが一気にあふれる。
「えへへ、二本とったり、ですねっ」
『やられたな、ほんと。敵わないよ、全く』
極力平常心でそう答えるが、俺のメンタルはいい意味でボロボロだ。一生彼女には勝てないのではないだろうか。まあ、それでもいい。そう思った。
少し彼女は恥ずかしそうにすると、ちょっと小声で、
「……いつか、Pさんと一緒になれますように、です♪」
なんて言って来るではないか。
『あ、う……』
クリティカルヒットどころの話じゃない。一撃必殺だった。ああもう、可愛いなあ、もう、くそ。愛おしさが一気にあふれる。
「えへへ、二本とったり、ですねっ」
『やられたな、ほんと。敵わないよ、全く』
極力平常心でそう答えるが、俺のメンタルはいい意味でボロボロだ。一生彼女には勝てないのではないだろうか。まあ、それでもいい。そう思った。
20: 2014/01/01(水) 18:04:28.22 ID:EfrQsPtno
『……ああ、そうだ。すっかり忘れてた、茄子さん』
彼女の可愛さにすっかり虜になって、今日のもう一つの目的を忘れるところだった。茄子さんは、少し首を傾げて頭に疑問符を浮かべていた。
『今日は、初詣のためだけじゃないんだ』
俺は、着ていたコートの中に手を突っ込むと、内ポケットから小さな包みを取り出す。ホントに小さな、掌に収まってしまうような長方形の包み。
そして、少しだけ笑うと、俺は言う。
『誕生日、おめでとう。茄子さん』
彼女の可愛さにすっかり虜になって、今日のもう一つの目的を忘れるところだった。茄子さんは、少し首を傾げて頭に疑問符を浮かべていた。
『今日は、初詣のためだけじゃないんだ』
俺は、着ていたコートの中に手を突っ込むと、内ポケットから小さな包みを取り出す。ホントに小さな、掌に収まってしまうような長方形の包み。
そして、少しだけ笑うと、俺は言う。
『誕生日、おめでとう。茄子さん』
21: 2014/01/01(水) 18:05:30.34 ID:EfrQsPtno
茄子さんはすぐに理解できなかったようだが、次の瞬間には満面の笑顔になる。そして、
「Pさんっ、嬉しいですっ♪」
と、抱きついてくる。ああ、もう。勘弁してくれ、俺の理性が持たないから。そう思いつつも、思わず抱きとめ、そして抱き返してしまう。
「覚えていてくれたんですねっ」
『馬鹿いうな、担当アイドルだから当然だ。それに……』
「それに……?」
『……や、なんでもない』
好きな人の誕生日を忘れるわけがない。そこまで言ってしまいそうになる。が、そこはぐっと堪えてお茶を濁しておく。まあ、ばれているのかも知れないが……。
「Pさんっ、嬉しいですっ♪」
と、抱きついてくる。ああ、もう。勘弁してくれ、俺の理性が持たないから。そう思いつつも、思わず抱きとめ、そして抱き返してしまう。
「覚えていてくれたんですねっ」
『馬鹿いうな、担当アイドルだから当然だ。それに……』
「それに……?」
『……や、なんでもない』
好きな人の誕生日を忘れるわけがない。そこまで言ってしまいそうになる。が、そこはぐっと堪えてお茶を濁しておく。まあ、ばれているのかも知れないが……。
22: 2014/01/01(水) 18:05:56.61 ID:EfrQsPtno
「うふふ、ありがとうございます、Pさん♪ 開けても大丈夫ですか?」
『ああ、大丈夫だ』
彼女は丁寧に包み紙を開けると、中からは質素でシンプルな箱が出てくる。その蓋を開けると――。
「わあ……」
彼女は、目を輝かせて中を見ていた。小さな琥珀のついた、銀のネックレス。意外と値が張ったが、そんなものは些細なことだ。
俺は、彼女のこの顔が見られただけで満足だ。心から、そう思った。
「Pさん、Pさんっ」
『ん、どうした?』
彼女が嬉しそうに、箱の中からネックレスを取り出す。そして、
「私に、つけてもらえませんか?」
そういった。
『ああ、大丈夫だ』
彼女は丁寧に包み紙を開けると、中からは質素でシンプルな箱が出てくる。その蓋を開けると――。
「わあ……」
彼女は、目を輝かせて中を見ていた。小さな琥珀のついた、銀のネックレス。意外と値が張ったが、そんなものは些細なことだ。
俺は、彼女のこの顔が見られただけで満足だ。心から、そう思った。
「Pさん、Pさんっ」
『ん、どうした?』
彼女が嬉しそうに、箱の中からネックレスを取り出す。そして、
「私に、つけてもらえませんか?」
そういった。
23: 2014/01/01(水) 18:06:32.24 ID:EfrQsPtno
『構わないが、いいのか?』
「Pさんがいいんですっ」
彼女は、俺の手にネックレスを渡してくると、髪をかきあげる。少し上気した、白い肌のすらっとした首が、ちらりと見える。思わず、胸が弾む。
極力平常心を装って、彼女の首にネックレスを巻く。少し緊張で手が震える。まあ、なんというか、男としては許してほしい所だ。
「んっ……」
『……つけたよ、茄子さん』
「どうですか、Pさん?」
『ああ、良く似合ってる。本当に……』
掻き上げた彼女の髪が降ろされると、首元に微かに、琥珀色が覗く。まるで彼女の瞳と同期したように、それが輝いて見えた。
(本当、何というか、俺にはもったいないくらいに思える)
それでも、この至宝を俺は、手放す気など毛頭ない。彼女に愛想をつかれない様に、彼女を大切にし続ける。ちょっと格好つけすぎかな、と思うけれど、これが俺の願い。
「Pさんがいいんですっ」
彼女は、俺の手にネックレスを渡してくると、髪をかきあげる。少し上気した、白い肌のすらっとした首が、ちらりと見える。思わず、胸が弾む。
極力平常心を装って、彼女の首にネックレスを巻く。少し緊張で手が震える。まあ、なんというか、男としては許してほしい所だ。
「んっ……」
『……つけたよ、茄子さん』
「どうですか、Pさん?」
『ああ、良く似合ってる。本当に……』
掻き上げた彼女の髪が降ろされると、首元に微かに、琥珀色が覗く。まるで彼女の瞳と同期したように、それが輝いて見えた。
(本当、何というか、俺にはもったいないくらいに思える)
それでも、この至宝を俺は、手放す気など毛頭ない。彼女に愛想をつかれない様に、彼女を大切にし続ける。ちょっと格好つけすぎかな、と思うけれど、これが俺の願い。
24: 2014/01/01(水) 18:07:31.87 ID:EfrQsPtno
「Pさん?」
『……え、あ、ああ。すまん、ちょっと見惚れていた』
「も、もう……。お上手なんですからっ」
少しはにかんだ彼女の姿も、またなかなか乙なものである。また朝になれば、きっと彼女の着物姿も見られるだろう。
もっとも、その時は『プロデューサーとアイドル』だ。独占できないのは、少しさびしい気もするが――。
「Pさん、Pさん」
『ん、どうしたんだ?』
茄子さんが寄ってきて、俺の耳に言葉を投げかける。
『……え、あ、ああ。すまん、ちょっと見惚れていた』
「も、もう……。お上手なんですからっ」
少しはにかんだ彼女の姿も、またなかなか乙なものである。また朝になれば、きっと彼女の着物姿も見られるだろう。
もっとも、その時は『プロデューサーとアイドル』だ。独占できないのは、少しさびしい気もするが――。
「Pさん、Pさん」
『ん、どうしたんだ?』
茄子さんが寄ってきて、俺の耳に言葉を投げかける。
25: 2014/01/01(水) 18:07:58.25 ID:EfrQsPtno
「実は、もうおせち、作ってあるんです。……あの、だから、寄って行きませんか?」
一瞬、言葉の意味が理解できなかったが、すぐそれを咀嚼すると、ぼっと頭の中が沸騰しそうになる。
まあ、冷静沈着が俺の売りと思ってはいたが、なかなか彼女の前ではそうはいかないようだ。
『ば、馬鹿言うんじゃない。誰かに見られたら――』
「大丈夫ですよっ、私は運が良いですから♪ それに、ご飯を食べるだけですし、一年の初めからPさんと一緒に居られたら、とても嬉しいですから」
そこまで言われてしまうと、俺としてもなかなか言葉を言い返しづらい物がある。俺だって彼女と一緒に過ごしたいから、まあ、当然だ。
『……しょうがないな』
「そういってくれると思いました♪」
やはり最近は、彼女に上手くやり込められている気がする。まあ、悪い気分ではない。しかし、やっぱりやられっぱなしは癪だと思う。
一瞬、言葉の意味が理解できなかったが、すぐそれを咀嚼すると、ぼっと頭の中が沸騰しそうになる。
まあ、冷静沈着が俺の売りと思ってはいたが、なかなか彼女の前ではそうはいかないようだ。
『ば、馬鹿言うんじゃない。誰かに見られたら――』
「大丈夫ですよっ、私は運が良いですから♪ それに、ご飯を食べるだけですし、一年の初めからPさんと一緒に居られたら、とても嬉しいですから」
そこまで言われてしまうと、俺としてもなかなか言葉を言い返しづらい物がある。俺だって彼女と一緒に過ごしたいから、まあ、当然だ。
『……しょうがないな』
「そういってくれると思いました♪」
やはり最近は、彼女に上手くやり込められている気がする。まあ、悪い気分ではない。しかし、やっぱりやられっぱなしは癪だと思う。
26: 2014/01/01(水) 18:08:37.02 ID:EfrQsPtno
『じゃあ、行こう』
俺は、ちょっとした仕返し半分、願望半分で彼女の前に手を差し出す。それを見た茄子さんは、大好きなお菓子を貰った子供のように顔を輝かさせると、
「はいっ♪」
ぎゅっと、俺の手を握ってくる。冷たい手だ。俺の手で温めてあげなければならない。……自分へ、そう言い聞かせつつ、俺は彼女の手を握る。
『茄子さん』
「Pさん」
ゆっくりと、同時に踵を返すと、また同時にお互いの名を呼ぶ。そして、一瞬見合わせた後、ほとんど同時に、言葉を紡ぐ。
『これからも、宜しくお願いするよ、茄子さん』
「これからも、宜しくお願いします、Pさんっ」
体が、熱くなる。同じ言葉、同じ思い。お互いが全く同じことを思っていることを、再びひしひしと感じる。嬉しいこと、この上ない。
俺は、ちょっとした仕返し半分、願望半分で彼女の前に手を差し出す。それを見た茄子さんは、大好きなお菓子を貰った子供のように顔を輝かさせると、
「はいっ♪」
ぎゅっと、俺の手を握ってくる。冷たい手だ。俺の手で温めてあげなければならない。……自分へ、そう言い聞かせつつ、俺は彼女の手を握る。
『茄子さん』
「Pさん」
ゆっくりと、同時に踵を返すと、また同時にお互いの名を呼ぶ。そして、一瞬見合わせた後、ほとんど同時に、言葉を紡ぐ。
『これからも、宜しくお願いするよ、茄子さん』
「これからも、宜しくお願いします、Pさんっ」
体が、熱くなる。同じ言葉、同じ思い。お互いが全く同じことを思っていることを、再びひしひしと感じる。嬉しいこと、この上ない。
27: 2014/01/01(水) 18:09:03.83 ID:EfrQsPtno
「えへへ、また一緒ですね」
『ああ、びっくりするほど、ぴったりだ』
「もちろんですよっ♪ だって私とPさんですからっ」
茄子さんは満面の笑顔で、俺の手をつないだまま腕に抱き着く。その心地よい重みと、人のぬくもりを俺は感じている。
玉砂利の踏みしめる音が、俺たちを結び付けてくれた神社の闇に溶けていく。
ああ、今俺は幸せだ。そして、この幸せは彼女のもたらしてくれたものだ。愛おしさが、溢れる。
「これからも、ずっと、ずーっと幸せにしてあげますからね、Pさんっ」
ああ。きっと茄子さんのその言葉は、実現するだろう。茄子さんが隣にいてくれるだけで、俺は幸せなのだ。
だから――。
『ああ、びっくりするほど、ぴったりだ』
「もちろんですよっ♪ だって私とPさんですからっ」
茄子さんは満面の笑顔で、俺の手をつないだまま腕に抱き着く。その心地よい重みと、人のぬくもりを俺は感じている。
玉砂利の踏みしめる音が、俺たちを結び付けてくれた神社の闇に溶けていく。
ああ、今俺は幸せだ。そして、この幸せは彼女のもたらしてくれたものだ。愛おしさが、溢れる。
「これからも、ずっと、ずーっと幸せにしてあげますからね、Pさんっ」
ああ。きっと茄子さんのその言葉は、実現するだろう。茄子さんが隣にいてくれるだけで、俺は幸せなのだ。
だから――。
28: 2014/01/01(水) 18:09:32.88 ID:EfrQsPtno
『――来年には』
俺は俺なりの決意を彼女に伝える。彼女を支えるようにして、石段を一歩、一歩下っていく。
『茄子さんを幸せにしてみせるからな』
その言葉に茄子さんは、その琥珀色の瞳と、琥珀色のネックレスを少し揺らして微笑んだ。
「はいっ、きっときっと、私を幸せにしてくださいねっ♪」
俺は俺なりの決意を彼女に伝える。彼女を支えるようにして、石段を一歩、一歩下っていく。
『茄子さんを幸せにしてみせるからな』
その言葉に茄子さんは、その琥珀色の瞳と、琥珀色のネックレスを少し揺らして微笑んだ。
「はいっ、きっときっと、私を幸せにしてくださいねっ♪」
29: 2014/01/01(水) 18:12:21.25 ID:EfrQsPtno
短い作品ですが、以上で完結となります。
12%17枚使って引けなかった悲しみの中書き上げましたが、お付き合いいただきありがとうございました。
また、何かの機会に投稿させていただくこともありますので、本年もよろしくお願いいたします。
それでは、このスレはHTML申請を出しておきます。ありがとうございました。
12%17枚使って引けなかった悲しみの中書き上げましたが、お付き合いいただきありがとうございました。
また、何かの機会に投稿させていただくこともありますので、本年もよろしくお願いいたします。
それでは、このスレはHTML申請を出しておきます。ありがとうございました。
30: 2014/01/01(水) 20:22:14.73 ID:xVUfyMAm0
乙
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