1: 2015/11/10(火) 01:29:10.17 ID:dgdyVD3s0
二〇〇五年
プロデューサー達の休日は意外な形で終幕を迎えた
「961プロ」の出現。
それに続く、Pの天敵の出現である。
Pの天敵、これをアイドルと言う。
確固たる理由や信念を各々持ち、ファンを魅了する、Pの天敵。
Pは、存続のためにアイドルをプロデュースすることを余儀なくされた。
それから十年、アイマスはまだ続いている。
2: 2015/11/10(火) 01:31:05.21 ID:dgdyVD3s0
……早朝
-駅前
厚志「ふぅ……ついた」
「……お前が速水厚志か」
厚志「? そうだけど、きみは?」
舞「わたしは芝村舞。覚えておくがいい、我らはいずれ、世界を征服する」
厚志「あ、迎えをよこしてくれたのか。征服ってつまり、業界のトップってことだよね」
舞「そうだ。トップアイドル……それを生み出すことこそ、芝村の目的だ」
厚志「きみもアイドルなの?」
舞「たわけ! わたしがアイドルなわけがなかろう。そなたと同じ、プロデューサーだ」
厚志「ふぅん……こんなに可愛いのに、もったいない」
舞「な、な、な、ななななにを」
厚志「あれ? 早く事務所行こうよ」
舞「…………そなたは、残酷な男だっ」
3: 2015/11/10(火) 01:31:51.24 ID:dgdyVD3s0
もっと楽しく! もっとエンターテイメント!
みんなのTHE iDOL March 5121プロの日常
4: 2015/11/10(火) 01:32:31.26 ID:dgdyVD3s0
……
-味のれん前
厚志「あれ? ……ここ?」
舞「そうだ。我が5121プロの事務所は、この味のれん東京支店ビルの上階を間借りしている」
厚志「そう、なんだ……まぁ、大事なのは事務所の見てくれじゃないよね」
舞「そうだ。立派なアイドルというのは、事務所が立派だから立派なのではない。アイドル自身が立派だから、立派なのだ」
厚志「芝村さんは難しいことを言うね」
舞「難しくはない。気難しくはあるがな。……入るぞ」
5: 2015/11/10(火) 01:33:11.84 ID:dgdyVD3s0
……
-5121プロ、事務所内
舞「喜べ、新人プロデューサーを連れてきた」
厚志「速水厚志です。よろしくお願いします」
瀬戸口「ほほぉう、これはまた可愛いぼうやだ。仲良くしようぜ」
厚志「わっ!? な、なんで抱き着くんですか!」
瀬戸口「いーじゃないの、お前さん抱き心地いいぜ?」
壬生屋「不潔です!」
ののみ「ふぇ? みおちゃん、たかちゃんはきれいなのよ」
厚志「確かに綺麗な人だけど……」
瀬戸口「なんだい、俺に惚れたかい?」
壬生屋「やっぱり不潔です!!」
舞「……いい加減、夫婦漫才はやめよ。速水が困惑している」
壬生屋「だ、誰が夫婦ですかっ!」
瀬戸口「俺と、このぼうやだろう?」
舞「違う!!!」
壬生屋「違いますっ!!!」
6: 2015/11/10(火) 01:34:06.86 ID:dgdyVD3s0
善行「やれやれ……困ったものだ」
厚志「あなたは……?」
善行「わたしは、善行忠孝。わたしも一応、プロデューサーということになっています」
原「元アイドルの、ね」
善行「やめてください」
厚志「元アイドル?」
舞「善行は八代会場のフェスで、大人数のアイドルグループを引き連れて戦った優秀なアイドルだった」
善行「……グループは解散。わたし自身も引退。……ま、昔の話ですよ。今は、原さん、石津さん、ヨーコさんなどのプロデュースを担当しています」
原「わたしはどちらかと言えば、アイドルより女優志望なんだけど。あぁ、わたし原素子。よろしくね、新人さん」
厚志「あ、はい。よろしくお願いします」
瀬戸口「俺は瀬戸口隆之。この5121プロの事務員をやっている。とはいえ、実質的な事務業務は加藤がやってるからな。俺もプロデューサー業務の、補佐的な立ち位置になる。よろしくな」
壬生屋「わたくし、壬生屋未央と申します。故郷の民のため、壬生屋家のため、日々トップアイドルを目指し精進しております」
ののみ「ののみはね、じゅにああいどる? おうたもおしばいも、ばらえてぃもやるの」
厚志「へぇ、すごいんだね。ののみちゃんは」
ののみ「えへへ、タレントなのよ。しんぱしー? がつかえるの」
厚志「しん、ぱしー?」
瀬戸口「気にするな。人の心に敏感。ただそれだけのことさ」
厚志「は、はぁ……」
7: 2015/11/10(火) 01:35:07.16 ID:dgdyVD3s0
……午後
厚志「ええと、これが所属アイドルの資料で……こっちがテレビの……それから」
舞「やりながら覚えていけばいい。それに、まずは実戦の前に訓練……もとい、レッスンだ」
厚志「そっか。それもそうだね」
舞「くんれ……レッスンは、ダンス、ボーカル、ビジュアルと主に三つに分類されるが、まずは体力がなければ話にならん。とりあえず最初は走り込みでもさせるがよかろう」
厚志「……そうなの?」
舞「そうだ。アイドルに必要なのは一に体力、二に体力」
厚志「そうなのかな……。ところで、僕の担当するアイドルって」
ガチャッ
滝川「たっだいまー! 滝川陽平、帰還しましたー」
茜「ふん、全く。ガキの相手は疲れるよ。元気すぎて、こっちまで楽しくなっちゃうじゃないか」
滝川「ヒーローショーもいいけどさー、いつになったらロボットに乗れるんだ?」
舞「たわけ。アイドルはロボットになど乗らん」
滝川「そんなぁ! iDOLつったら巨大ロボだろ!?」
舞「そんな話は知らん」
厚志「えっと……でも、アイドルのお仕事してたら、特撮とかアニメで、ロボットものに出る機会はあるんじゃ」
滝川「そう! それだよそれ! ってあんたは」
舞「新人プロデューサーの速水だ。わたしと共に、お前達の面倒を見る予定だ。仲良くするがいい」
滝川「へぇ……よろしくな!」
厚志「こちらこそ、よろしく」
茜「また社長の気まぐれか。いつまでもつか知らないけど、一応よろしく」
厚志「ははは……お手柔らかに」
8: 2015/11/10(火) 01:36:34.04 ID:dgdyVD3s0
厚志「……男性アイドルかぁ」
舞「不満か?」
厚志「僕は、きみをプロデュースしたかったな」
舞「ま、またそんなことをっ……」
厚志「可愛いし、いいと思うんだけどなぁ」
舞「……そこまで言うなら、わたしも言わせてもらう」
厚志「なに?」
舞「速水、お前こそアイドルになれ」
厚志「え……えぇっ!?」
舞「茜、滝川と三人でユニットを組ませる」
厚志「そんないきなり」
舞「全員半ズボンでな」
厚志「」
9: 2015/11/10(火) 01:37:43.95 ID:dgdyVD3s0
厚志「待って! 待ってよ!」
舞「待たぬ」
厚志「なんで半ズボンなのさ」
舞「わたしが好きだからだ。ぴちぴちの半ズボンと美少年の生足が」
厚志「…………」
舞「引くな。そなたが好き勝手言うから、反撃したまでだ」
厚志「……だいたい、茜のはかなり短い半ズボンだけど、滝川のはハーフパンツでしょ?」
舞「そなたには茜以上にぴちぴちの半ズボンをはかせる」
厚志「そんなぁ!」
坂上「仲良くやっていますね」
舞「む……坂上社長」
厚志「社長、ひどいんですよ! 芝村が僕に無理矢理半ズボンをはかせようと!」
舞「なっ、なにを言う! わたしはただ」
坂上「半ズボン…………うむ、ティンときた!」
厚志「こないで下さい!!!」
10: 2015/11/10(火) 01:38:51.92 ID:dgdyVD3s0
ガチャッ
来須「……今、戻った」
若宮「若宮康光、ただ今戻りました!」
坂上「ご苦労様です」
厚志「この人達は……?」
舞「スカウトだ。ボディーガードなども兼任している」
坂上「それで、成果の方は」
来須「……」
若宮「あー、めぼしい成果はなかったのだが、それが……」
新井木「やっほーー!! あたし、新井木勇美でーすっ! 来須先輩に一目ぼれして、ついてきちゃいました!」
来須「俺は……アイドルでは、ない。……先輩と、呼ぶな」
舞「こんなへちゃむくれをスカウトしてきたのか?」
若宮「本人も言っているだろう。勝手についてきただけだ」
厚志「……いさみちゃん?」
新井木「え? ……あーー!! 厚志くん! どーしてここに!? あ!! そっかそっか、厚志くんもアイドルになるんだね。厚志くんカワイイもんなぁ、昔っから。フリフリのスカートとかドレスとか着せられて」
厚志「わー!! わーー!!」
新井木「どしたの?」
厚志「やめてよ……人の黒歴史を晒すのは」
舞「ふむ……スカートにドレス、か」
舞「それもありだな」
厚志「なしだよ!!!」
11: 2015/11/10(火) 01:39:25.43 ID:dgdyVD3s0
……
厚志(疲れた……あいさつが済んで、仕事やレッスンの内容を教えてもらってたら、一日が終わっちゃった)
厚志(なんだか、個性の強い人達だったなぁ……)
厚志(坂上社長に突然ティンとこられてプロデューサーになったけど……ここで大丈夫かなぁ)
12: 2015/11/10(火) 01:40:13.57 ID:dgdyVD3s0
……翌日
-5121プロ事務所内
壬生屋「や、やっぱりこんな水着、着れません! 破廉恥すぎます……!」
瀬戸口「なにが破廉恥なもんか。普通のビキニじゃないか。」
壬生屋「それがっ……わたくしにとっては破廉恥だと」
瀬戸口「んなこと言ってるとセーラーミズギ着せるぞ?」
壬生屋「なっ……ひ、卑怯者!」
ののみ「たかちゃん、みおちゃん、けんかはめーなのよ」
善行「セーラーの何がいけないんですかね……海兵の古式ゆかしい制服ですよ」
原「水着と組み合わせたのがマズイんじゃないかしら」
善行「海兵ですよ? 水着でもおかしくはないでしょう」
原「……もしかして善行、セーラーミズギ好きなの? わたしにも着せたいとか?」
善行「もちろんです」
原「……バカ」
壬生屋「わたくし、アイドルやめます!」
ののみ「みおちゃん……それはめーなのよ」
13: 2015/11/10(火) 01:41:08.94 ID:dgdyVD3s0
瀬戸口「やれやれ……聞き分けのないお嬢さんだ」ガチャ
壬生屋「どちらに行かれるのです」
瀬戸口「俺はもう上がるよ。ヤボ用でね」
厚志「もう帰るんですか?」
瀬戸口「あぁ、ちゃんと午前いっぱいは仕事したろう?」
厚志(半分は遊んでるようにも見えたけど……)
ののみ「たかちゃん、でーと?」
瀬戸口「ま、そんなところ。じゃーな、お嬢さん方」
厚志「……僕、ちょっと営業かけてきますね」
舞「む、ならばわたしも同行する」
厚志「平気だよ、子供じゃないんだから。それとも、舞も僕とデートしたい?」
舞「なっ、なななな」
厚志「それじゃ、いってきます」ガチャッ
ののみ「いってらっしゃーい」フリフリ
舞「このっ……大たわけめが!!」
14: 2015/11/10(火) 01:41:58.39 ID:dgdyVD3s0
……
瀬戸口「それから、殺陣もできるんですよ。今時珍しいでしょう、殺陣のできるアイドル。まぁ、演技の方はこれからですが」
準竜師「ふはは。それは真、面妖な。というやつだな?」
瀬戸口「……というわけで、うちの壬生屋、使ってみませんか。きっと面白くなりますよ」
準竜師「随分と熱心だな。業界でも悪名高い、芝村の元にまで営業に来るとは」
瀬戸口「うちの今最も期待度の高いアイドルですから。もちろん、ののみも最高ですけどね。……それに、悪名高いからこそ、味方につけておきたい」
準竜師「ふ、ふふ、ふはははは! 久しぶりに砂時計の必要ない客だな。いいだろう。5121と言ったか? こき使ってやるから覚悟しておけ」
瀬戸口「有難うございます」
準竜師「覚えておけ…………そなたらはとかげのしっぽだ。そして私は、とかげのしっぽのファンでもあるのだぞ」
15: 2015/11/10(火) 01:42:39.11 ID:dgdyVD3s0
……
本田「……この346プロのアイドルと、お前んとこの弱小事務所のアイドルが共演……? はっ! 笑わせるな」
瀬戸口「面白いと思うんですがね……お互い、クセの強いのを抱えてますし、アイドル達にもいい刺激になると」
本田「おい瀬戸口、美しい城には、それにふさわしいお姫様っつーもんがあるんだよ。うちの所属アイドルを色物扱いすんな!」
瀬戸口「……パンクファッションでモデルガン持った常務は、美しい城にふさわしいのか?」
本田「なんか言ったか?」
瀬戸口「いえ、なにも」
本田「だいたい、オレのこれはヘヴィメタだ。うちはロックアイドルも多数所属してっから、いーんだよ! 分かったらとっとと帰れこのナンパ男! うちのアイドルに声かけたらタダじゃ済まねーからな!」
瀬戸口「おーこわ。それじゃ、また来ますよ」
16: 2015/11/10(火) 01:43:23.36 ID:dgdyVD3s0
……
瀬戸口「はー……2勝3敗ってとこか。ま、こんなもんだろ」
「マーオ」
瀬戸口「! ヌマ。……おっさんもこっちに来てたのか」
「マーオ」
瀬戸口「ははは、俺はアイドルには向いてないからな。すぐにスキャンダルになっちまう」
「マオナーオ」
瀬戸口「…………いいんだよ、これで。あの人は俺に魔法をかけた。だが……その魔法ももうない。プロデューサーとして、できることをやるさ。……多分、人間でも、一人二人ぐらいはトップアイドルにできるだろ」
「ナーオ……」
瀬戸口「おっさん? どこへ」
厚志「瀬戸口さん……?」
瀬戸口「……速水か」
17: 2015/11/10(火) 01:44:03.12 ID:dgdyVD3s0
瀬戸口「ほれ、メロンパン。俺のおごりだ」
厚志「どうも。……瀬戸口さんって、動物としゃべれるんですか?」
瀬戸口「ん? ははは、見られてたか。いやまぁ、愚痴を聞いてもらってただけさ。古馴染みなもんでね」
厚志「……営業、大変ですもんね」
瀬戸口「そっちも見られてたか……いいか、速水。このことは壬生屋の譲さんには、決して言うなよ」
厚志「どうしてですか?」
瀬戸口「そりゃあ、まぁ……俺のイメージに関わるからな」
厚志「はぁ……」
瀬戸口「さて、お前はそろそろ戻れ。芝村の姫さんが心配してるだろう。そうだ、みやげ用にもう一個メロンパンやろう」
厚志「は、はぁ……どうも」
18: 2015/11/10(火) 01:44:50.52 ID:dgdyVD3s0
……翌日
舞「今日はまずダンスレッスンから始める。アイドルに最も必要なのは体力だからな」
滝川「任せろ! 体力と運動力は、けっこう身についてきたぜ!」
茜「ま、僕にはもうこんなレッスンなんて必要ないけど……せいぜい僕と一緒にレッスンすることで、天才技能が習得できることを期待するんだね。見て盗め、というやつさ」
厚志「……なんで結局、僕もアイドルになってるんだろう」
舞「そなたを自由にさせておくと、どこかへフラフラと消えていきそうだからな。プロデューサーの務めとして、常時監視させてもらう」
厚志「それって横暴だ! 委員長! この部署替え陳情は陰謀です!」
善行「異議を却下します」
厚志「そんな!」
善行「いいじゃないですか。半ズボンアイドルユニット。ねぇ?」
厚志(…………そういえば、この人もなぜか半ズボンだった……)
19: 2015/11/10(火) 01:45:26.10 ID:dgdyVD3s0
舞「というわけで、レッスンを開始する。講師を雇う余裕はないので、わたしがトレーナー代わりだ」
厚志「全部のレッスンがそうなの?」
舞「わたしがかろうじて教えられるのはダンスだけだ。魅力訓練……もといビジュアルレッスンは瀬戸口。軍楽……ボーカルレッスンは瀬戸口に加え、来須、若宮がいる」
厚志「あのスカウトの二人が?」
滝川「来須先輩は昔バンドやってたんだってさ! 本人が歌ってくれたことはないけど、指導は的確だぜ」
厚志「へぇ……」
茜「おしゃべりはそこまでにしろよ。早く始めよう」
厚志「あ、うん」
20: 2015/11/10(火) 01:46:03.85 ID:dgdyVD3s0
~♪
舞「右! 左! そこでターン!」
厚志「っ、はっ」
滝川「よっ、ほいっと」
茜「ふっ、楽勝っ」
舞「ステップだ! ワンツースリーフォー! ファイブシックスセブンエイッ……速水! 最後のワンステップが踏めてないぞ!」
厚志「ご、ごめんっ」
滝川「ジャージ脱いで軽装甲になればステップ数増えるぜ」
舞「ジャンプ! ステップ! ミサイル!!」
厚志「ミサイル!?」
舞「ミサイルを撃ったら即ステップで移動しろ!」
厚志「なに言ってるの!?」
21: 2015/11/10(火) 01:46:40.78 ID:dgdyVD3s0
……
厚志「ふぅ……疲れた」
来須「……水だ」ポイッ
厚志「わっ、あ、ありがとうございます」
来須「……水分は、……こまめに補給しろ」
厚志「はい。……あの、一つ聞いていいですか?」
来須「…………なんだ」
厚志「……アイドルをスカウトするときに、何を見て決めてるんですか?」
来須「なぜ……聞く」
厚志「なんだか、なし崩しにアイドルにされちゃったけど……僕なんかに、本当にできるのかな……って」
来須「……そうか。……俺が見る、アイドルの条件は…………」
来須「……笑顔だ」
厚志「……」
22: 2015/11/10(火) 01:47:17.15 ID:dgdyVD3s0
厚志(……笑顔かぁ)
厚志(確かにそれなら得意かも。……芝村さんには、へらへらするなって怒られそうだけど)
厚志(少しだけ、頑張ってみようかな……!)
23: 2015/11/10(火) 01:48:12.41 ID:dgdyVD3s0
……数週間後
厚志(あれから、いろんなことがあった)
厚志(レッスンも、仕事も……そして日常も)
厚志(バックダンサーをして、地方のイベントに出て、みんなで海に行ってくすぐり大王して)
厚志(新井木さんとラーメン二十郎でロケ……うっぷ)
厚志(芸能レポーターの桜沢レイさんに取材されて、家事が得意な草食系ぽややんアイドルとして紹介されたり)
厚志(961プロのカーミラさん、緑子ちゃん、木下さん達と、ライブバトルしたり)
厚志(なぜか舞に胸を揉まれたり。そのあとすぐ「……タッチコミュではこうしろと…………騙したなやつめ!」とか言いながら真っ赤になって走って行っちゃったけど)
厚志(順調に人気を集め、ファンも増え、どうにか、5121プロ全体が盛り上がってきた。……けど僕は、いまだにアイドルとしての自分に戸惑ってる。笑顔……それだけでいいのだろうか。みんなそれぞれ個性を発揮する中、僕は……これから、どうすれば……)
24: 2015/11/10(火) 01:53:27.95 ID:dgdyVD3s0
……
-ライブ会場、ステージ袖
原『雨上ーがりのSUNDAY 街はロマンティックなトキメキ♪ めぐりーあいは』
厚志「……はぁー」
舞「どうした。緊張しているのか?」
厚志「舞……」
舞「そんな顔をするな。自信を持て。胸を張れ。しょぼくれていても、ファンは喜ばんぞ」
厚志「うん……分かってるんだけど。……本当に、僕でよかったのかな、って。僕がユニットリーダーで。僕が……アイドルで」
舞「…………厚志よ、聞け。……竜は、あれはただのとかげだが、飛ばねばならぬから飛ぶのだ。火を吹かねばならんから火を吹くのだ。誰にも負けられないから、強いのだ」
厚志「……はじめから、アイドルな人なんていない。ってこと?」
舞「そうだ。我らはただの人だが、ファンのために輝きたいと思った瞬間から、ただの人であることをやめるのだ。……厚志、お前はどうだ」
厚志「……うん。ありがとう、舞」
舞「礼などいらぬ。ただファンの前で、絢爛たる舞踏を舞ってこい。それがこの……5121プロ大絢爛舞踏祭での、お前の役割だ」
厚志「うん。行ってくる……! 舞」
舞「なんだ」
厚志「……きみが僕の最初のファンだ。だから、一番にきみを想って歌い、踊るよ」
舞「……たわけ」
茜「なにやってんだ! 僕らの出番だぞ! 早く来い速水!」
厚志「ごめん! すぐ行く!」
タッタッタッタ……
舞「わたしがお前のファンなら、そなたは……わたしのカダヤだ。その輝き、しっかりと見せてもらうぞ」
25: 2015/11/10(火) 01:54:36.53 ID:dgdyVD3s0
……
~♪
滝川『絶望と悲しみの海から、それは生まれ出ーるー』
茜『地に希望を、天に夢を、取り戻すために生まれ出る』
厚志『闇をはらう、銀の剣を、持つ少年ー』
新井木「キャー! 厚志くーん!」
田代「うぉー! 速水ぃー! こっち向けおらぁ!」
善行「芝村さんプロデュースのユニット、なかなかの人気ですね」
瀬戸口「ははは。本当は、茜の代わりに俺が入って「竜宮男児」なんて案もあったんですがね」
善行「……全員水に関係した名前で、竜宮。それと九州男児をかけたわけですか」
瀬戸口「ひどいネーミングでしょう? だから断りましたけどね。結果として、よかったと思ってますよ。あいつら三人、リューンを纏ってやがる」
善行「ただのサイリウムの光ですよ……まぁ、わたしも同意見ですが」
今ならわたしは信じられる あなたのつくる未来が見える
あなたの差し出す手をとって わたしも一緒に駆け上がろう
幾千万の わたしとあなたで あの運命に打ち勝とう
はるかなる未来への 階段を駆け上がる わたしは今 一人じゃない
三人『アールハンドゥ、ガンパレード。未来のために、マーチを歌おう。ガンパレード・マーチ……!』
『ガンパレード・マーチ……! ガンパレード・マーチ……!』
26: 2015/11/10(火) 01:58:27.07 ID:dgdyVD3s0
……翌日
舞「芝村にあいさつはない。事務所へ行くのだろう?」
厚志「業界的には、あいさつは必要だと思うけどなぁ」
舞「む、むむむ……!」
舞「お、おはよう……あ、あつ、し」
厚志「うん、おはよう。それじゃ行こうか」
厚志(大規模なライブイベントを越えて……僕達の日常は続いていく)
厚志(遠い空から歌を聞いてくれた、どこかの誰かの、未来のために…………)
舞「ところで、お前のセーラーミズギの件だが」
厚志「着ないよ」
舞「くっ……!」
END
28: 2015/11/10(火) 02:03:47.63 ID:dgdyVD3s0
ここまで読んで下さった方は、本当に有難うございました。
よろしければ
天海春香「0765小隊の日常」
もどうぞ。
速水厚志「ハッピーエンドを取り戻す」
もよろしく。
では。
29: 2015/11/10(火) 02:48:04.61 ID:saXAlBD30
乙
引用元: 速水厚志「5121プロの日常」
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります