1: ◆eCiylz7cJ3E4 2019/04/12(金) 01:08:11.58 ID:zdsBfepiO

アベンジャーズ(というよりキャプテン・アメリカ)とラブライブ !のクロスSSになります。内容は短めです。

バトルシーンなどはなし。

拙い内容ですが、それでもという方は読んでいただけると幸いです。
2: 2019/04/12(金) 01:45:06.03
◇◇◇◇



これは、秘密の物語。


あの日ニューヨークであった、凛ちゃんですら知らない、私とあの人との出会い。


こうして少し大人になって、思い出す。


あの人は、今どうしているんだろう―――。







~6年前・ニューヨーク~



花陽「うぅ……どうしよう、皆とはぐれちゃったよぉ……」


花陽「ライブが終わって気が抜けてたのかなぁ……これじゃあ穂乃果ちゃんのこと言えないよぉ……」


花陽(地図見てもチンプンカンプンだし、誰かに聞こうにも英語なんて話せないし……)


花陽(ど、どうしよう……)


NY不良1「おい、見てみろよ! あの子、昨日ライブしてた子じゃねえか?(英語)」


NY不良2「あー、あのイケてるライブした子達だな。スクールアイドルって言ったか……(英語)」


NY不良1「キョロキョロしてんなぁ。もしかして道に迷ったか?(英語)」


NY不良2「μ’sとかいう仲間もいないようだしな。そうかもしれねぇ(英語)」


花陽(な、何だか怖そうな人達がこっち見てるよぅ……)


花陽(し、視線を合わせないようにして、離れよう……!)


NY不良1「おい、待ちな!(英語)」


花陽「ピィ!!」


NY不良2「迷子なんだろ? 仲間んとこまで案内するぜ(英語)」


花陽「ア、アイ、キャントスピークイングリッシュ、ですぅ」ボソボソ


NY不良1「ホワッツ? ボソボソ話してても、なんて言ってるか分からねーぜ(英語)」


NY不良2「あのライブしてたのってあっちだろ? ほら、こっち来な(英語)」グイグイ


花陽(そ、袖引っ張られてるよぅ……どこかに連れてかれちゃう……!)


花陽「ダ、ダレカタスケ―――」


???「―――待て!」


花陽「―――テ?」



3: 2019/04/12(金) 01:50:04.24


???「お前達、その手を離すんだ(英語)」


NY不良1「だ、誰だ、てめぇは(英語)」


NY不良2「おれらはこの子を(彼女の)仲間の所に連れてかなきゃいけねぇんだよ(英語)」


???「彼女が嫌がっているだろう」


???「あと一度しか言わないぞ。その手を、離せ(英語)」


NY不良1「いきなりしゃしゃり出てきて、うるせぇんだよ!(英語)」ブン!


NY不良2「やっちまえ!(英語)」ブン!


花陽「きゃああ!!」


花陽(ふ、二人して殴りかかって……)


花陽(だ、だめ……!)


???「―――警告はしたぞ」



4: 2019/04/12(金) 01:55:31.49


花陽(―――それは、ほんの一瞬の出来事でした)


花陽(私は必氏に不良さんの手を引っ張るけど、少しも止まらなくて)


花陽(アメリカの不良さんが二人がかりで、男の人に殴りかかって)


花陽(次の瞬間には、不良さんが後ろの歩道まで吹き飛んでいました)


花陽「へ……」ポカーン


???「大丈夫? 怪我はないか?(英語)」


花陽「あ、えっと……」


???「あー、日本人、かな? これならどうだ(英語)」


???「僕はスティーブ・ロジャース。怪我はないかい、お嬢さん?」


花陽(に、日本語だ……)


花陽「だ、大丈夫です。ありがとうございます」


スティーブ「それは良かった」


スティーブ「ここら辺はどうやら治安が悪いみたいだ。あっちの大通りに行こう」


花陽「は、はい……!」



5: 2019/04/12(金) 02:10:45.97

スティーブ「ハナヨ・コイズミ、か。可愛らしい名前だ」


花陽「あ、ありがとうございます……えと、その、スティーブ、さん……」


スティーブ「そう、硬くならないでくれ、ハナヨ」


花陽「は、はい……!」カチコチ


花陽(男の人と一対一で話すなんて、あまり経験ないから緊張するよぅ……)


スティーブ(ははは……緊張しっぱなしだな)


スティーブ(それにしても案内を買って出たのは良いが……)


スティーブ「っと、こっちは行き止まりだな。すまない、まだ今のニューヨークに慣れてなくて」


花陽「だ、大丈夫です! むしろ大助かりです!」カチコチ


スティーブ「はは……」


スティーブ(七十年後のニューヨーク、か……)


スティーブ(……まるで別世界のようだな)

6: 2019/04/12(金) 02:11:33.14


スティーブ(あの日、あの時……)


スティーブ(鳴り響く警報……吹きすさぶ寒風……徐々に近づいてくる氷原……)


スティーブ(……約束があった。彼女との大切な約束が)


スティーブ(戦争が終わった後、全てが終わった後、共にダンスをしようと……)


スティーブ(だが……約束は果たせなかった)


スティーブ(僕が目を覚ました時、世界は既に変わってしまっていた)


スティーブ(七十年の時が過ぎた世界……僕は何もかもに取り残された古い人間だった)


スティーブ(知識も、力も……『今』の者達には遠く及ばない……)


スティーブ(フューリーから聞かされたアベンジャーズ計画……)


スティーブ(超人と呼ばれる存在は僕だけじゃなくなっていて……僕を遥かに越える、本物の『超人』が何人も存在していた)


スティーブ(鋼鉄の機械を身に纏ったハワードの息子……超人血清を再開発する中で事故的に生まれた緑色の暴れ者……雷のハンマーを操る神話の男……)


スティーブ(……果たして、僕なんかが参加しても良いのだろうか)


スティーブ(七十年前の骨董品のような兵士がいても、足を引っ張るだけじゃないのか……)


スティーブ(僕は……どうすれば、いいのか……)



7: 2019/04/12(金) 02:12:01.35


花陽(うぅ……スティーブさん、黙り込んじゃったよぅ……)


花陽(しかも、すごく深刻そうな顔をしてる……)


花陽(わ、私がオドオドしてばかりだから、きっと気まずいんだ……! ううう、な、何か話さないと……!)


花陽「あ、あの!」


スティーブ「な、なんだい?」


スティーブ(っと、考え込んでしまっていたな。いけない、いけない)


花陽(うう、緊張して大声になっちゃった……スティーブさん、びっくりしてるよぉ……)


花陽「そ、その……スティーブさん、一つ聞いてもいいですか?」


スティーブ「ああ、いいよ」


花陽(って、何話そうか考えてないよぉ……)


花陽(ええと、ええと……)


花陽「あ、あの……」


花陽「さっき今のニューヨークに慣れてないって言ってましたけど、昔ニューヨークに住んでたんですか?」


スティーブ「……そんなこと言ってたかな?」


花陽「は、はい。確か……」




8: 2019/04/12(金) 02:12:38.58

スティーブ「そう、だな。遠い昔に暮らしていたんだ」


スティーブ「本当に……本当に遠い昔に」


花陽(……そう答えた時、スティーブさんの表情は今までと全然違っていた)


花陽(それまではきりっとしていて、常に頼もしい雰囲気が溢れ出ている感じだったけど)


花陽(その時だけは、痛みを堪えるような、痛みを耐えるような、)


花陽(とても……とても、辛そうな表情をしていた……)


花陽「スティーブ……さん?」


スティーブ「っと、すまない。何でもないんだ」


スティーブ「それよりも申し訳ないな。案内役を買って出たのに頼りにならなくて」


スティーブ「だが、安心してくれ。必ず君を仲間たちの元まで送り届けるよ」


花陽「………」




9: 2019/04/12(金) 02:13:49.55


スティーブ「さて、多分こっちであってると思うが……」


花陽「あ、あの……」


スティーブ「ああ、どうやらあの建物だな。あそこが君達の宿泊しているホテルだろう」


スティーブ「大分遠回りになってしまったな。すまない」


花陽「あの!」


スティーブ「? どうした、ハナヨ」


花陽「す、少し、そこのカフェでお茶でもしませんか? 助けていただいたお礼もしたいですし」


スティーブ「いや、礼なんてそんな気を使わなくても良いさ。それに仲間たちも心配してるだろう? 早く会ってあげると―――」


花陽「お茶を! しましょう!」ズズイ!!


スティーブ「あ、ああ、そうだな。そうするか」


花陽(……私は、スティーブさんが困惑するのを押し切って、おしゃれなカフェへと入っていった)


花陽(何でか、彼を放ってはおけなかったのだ)


花陽(とても辛そうな顔をしたスティーブさんを……その辛そうな表情を、直ぐに押し隠したスティーブさんを……)


花陽(……何故だか、放ってはおけなかった)




12: 2019/04/12(金) 17:37:33.45
~カフェ内にて~



スティーブ(なし崩しにカフェに来てしまったが……うぅむ、現代の若い子は何を考えているか分からないな)


スティーブ(現代の話題も分からないし、さて……)


花陽(うぅ、勢い込んでカフェに入ったのは良いですけど……)


花陽(ど、どう話を切り出したらいいのか……)


TV『昨日、日本のスクールアイドルチャンピオンがニューヨークにてライブを行いました』


アーモシモハー♪

ホシクナイノサ、モットガスキエンジェル♪



スティーブ(ん、あれは?)


花陽(あ……。あれ、昨日のライブだ。ま、まさかテレビで放送されてるなんて)


スティーブ「あれ、ハナヨじゃないか?」


花陽「へ? あ、そ、そうなんです! 私、スクールアイドルをしてまして……」


スティーブ「スクールアイドル?」


花陽「は、はい! 学生が結成したアイドルグループで―――」


スティーブ「へえ、今はそういうものもあるのか」


スティーブ「しかも、その日本チャンプなんだろう? 凄いな」


花陽「い、いえ、凄いのは私じゃなくて皆というか」


スティーブ「謙遜する事はないさ。素人目に見ても分かる。ハナヨだってメンバーの誰にも劣っていない」


スティーブ「それにあのパフォーマンスだ」


スティーブ「相当に努力を積んで来たんだろう。誇って良い。凄いさ」


花陽「あ、ありがとうございます……」


花陽(そんな正面切って褒められると、少し恥ずかしいです……///)




13: 2019/04/12(金) 17:38:42.94



スティーブ「……僕も、昔はあるチームに所属していたんだ」


花陽「そうなんですか?」


スティーブ「ああ、仕事上のね。……だが、そのチームも今や解散してしまった」


スティーブ「仲間も……遠い所へ行ってしまった。再び集まる事はないだろう」


花陽「そう、ですか……。少し寂しいですね」


スティーブ「ああ、本当に……」


花陽(……そういうスティーブさんは、やっぱり遠い目をしていて……)


花陽(……何だか、とても儚げで……)




14: 2019/04/12(金) 17:40:23.45

花陽「あ、あの……」


花陽「スティーブさん、何か悩んだり……してませんか?」


スティーブ「……そう、思うかい?」


花陽「えっと……はい……」


花陽「時々、すごく悲しそうな顔をしてます……」


スティーブ「……そうか」


花陽「あの、私で良ければ話を聞きますよ……?」


スティーブ(……そういう彼女は、とても悲しそうな瞳をしていた)


スティーブ(何故、彼女が悲しんでいるのか……少し考えて、分かった)


スティーブ(僕が悲しんでいる事に、悲しんでいるのだ)


スティーブ(他人の悲しさを、己の事のように思い、受け止めている)


スティーブ(……優しい少女だ。とても、とても)


スティーブ「そう、だな。……これも何かの縁、なんだろう」


スティーブ「少し……話を聞いて貰おうかな」


スティーブ(だから、だろうか? 気付けば、僕も語り出していた)


スティーブ(かつて居た場所から、とても遠い所に来てしまった事)


スティーブ(仲間を失い、そして今はまた別のチームに誘われている事)


スティーブ(……力不足の自分が、果たしてそのチームに入って役に立てるのか悩んでいる事)


スティーブ(言葉を濁して、彼女に伝えた)



15: 2019/04/12(金) 17:41:30.07



花陽「………」


スティーブ(彼女はただ黙って聞いていてくれた)


スティーブ(温かな瞳で、時折涙すら浮かべて)


スティーブ(僕の話を、まるで自分の事のように受け止めて、聞き入れてくれた)


スティーブ「……これが、僕の悩みさ」


スティーブ「笑えるだろう? 大の大人が、こんな事でうじうじと悩んで」


花陽「そんな事、ないです……とっても、とっても辛らそうで……」ウルウル


スティーブ「……君は、優しい子だな」


花陽「……そんな事……ただ話を聞くしかできなくて……」ウルウル


スティーブ「いや、幾らか気分が晴れたよ。此処には僕の話をゆっくり聞いてくれる人もいなかったからね」


スティーブ「それに、君のような子がいる世界だと分かれば、僕も全力で戦えると思う」




16: 2019/04/12(金) 17:42:16.63


スティーブ(……気付けば、決意は固まっていた)


スティーブ(世界との戦いではなく、世界を守る為の戦い)


スティーブ(力の有無は関係ない。……ああ、そうだ)


スティーブ(もやし小僧だった頃の自分だって、そうだったじゃないか)


スティーブ(貧弱な身体であろうと、戦うための力が無かろうと、関係ない)


スティーブ(守るべき何かの為に戦うと―――)


スティーブ(世界が変わろうと、僕の心は変わらない)


花陽「あの……一つだけ、良いですか?」


スティーブ「? 何だい?」




17: 2019/04/12(金) 17:43:20.89


花陽「友達を亡くした事も……生活環境が一変したような事も……私なくて……」


花陽「でも! 一つだけ、今のスティーブさんの気持ちで分かる事があります!」


花陽「私も……そうだったんです」


花陽「スクールアイドルに憧れていて……でも、運動も出来なくて、どんくさくて、取り柄もなくて……」


花陽「穂乃果ちゃん達から誘われた時もずっと悩んでいて……大好きな親友達に背中を押されて、やっと決意ができて……」


花陽「やりたいのなら、やった方が良いって、言ってくれて……」


花陽「だから、私思うんです……」


花陽「力が足りてなくたって……うまく出来なくたって……それでも……」


花陽「チームの脚を引っ張ってしまうと考えちゃっても……」


花陽「スティーブさんがやりたいと思うなら―――絶対に、やった方が良いです」




スティーブ(そう言った一瞬―――それまで俯きがちに話していた彼女が、頭を上げた)


スティーブ(力強い瞳で、迷いのない瞳で、真っ直ぐにこちらを見詰めてくる)


スティーブ(陰りのない、光の灯った瞳)


スティーブ(その瞬間……そのほんの一言の間だけ)


スティーブ(何故だか、ハナヨがペギーと被って見えた)


スティーブ(似ても似つかない二人なのに、その信念の灯った瞳だけが瓜二つの見えたんだ)


スティーブ「……そうか。ああ、そうだな」


スティーブ「分かったよ、ハナヨ」


スティーブ「やってみるさ。自分の出来る限りの事を、そのチームでやってみせるさ」


花陽「スティーブさん……!」



18: 2019/04/12(金) 17:44:03.83


スティーブ「ありがとう、ハナヨ。本当に勇気づけられた」


スティーブ「そうだな。事態が落ち着いたら、チームの皆を君に紹介するよ」


花陽「な、なら、私も皆を紹介します! 私を支えてくれた仲間の皆を!」


スティーブ「それは楽しみだな」


花陽「はい、私も楽しみにしてます!」



携帯『ピーピー!!』


スティーブ「っ、どうやらチームからの呼び出しのようだ」


花陽「そうですか……。あの、頑張って下さい、スティーブさん」


スティーブ「ああ、やってみせるさ」


スティーブ「―――と、最後に一ついいかな」


スティーブ「君のスクールアイドルグループの名前を教えてくれないか」


花陽「あはは、そういえば紹介してませんでしたね」


花陽「μ’s―――です」



19: 2019/04/12(金) 17:45:25.59



スティーブ「μ’s……音楽の女神か。良い名前だ」


スティーブ「ハナヨ、君との出会いは忘れない」


花陽(そう言って、右手を差し出すスティーブさん)


花陽(私もその手を握り返して、にっこりと笑う)


花陽「はい、私も忘れません。スティーブさん」


スティーブ「―――また何時か」


花陽「はい―――また何時か」



花陽(……そうして私とスティーブさんは別れました)


花陽(皆と合流した後はてんやわんやでした)


花陽(凛ちゃんと真姫ちゃんに泣き付かれ、海未ちゃんとにこちゃんには怒られて、ことりちゃんと希ちゃんは励ましてくれて)


花陽(穂乃果ちゃんは優しく見守ってくれて―――)


花陽(そして、帰国の日になって)


花陽(帰国してからも沢山大変な事があって……)


花陽(ニューヨークのライブを経て爆発的に人気が上昇したμ’s)


花陽(人々の期待を受ける中、再びの解散問題が突付けられて……)


花陽(それでも、私達は終わりを選択して……)


花陽(最後に、スクールアイドルの輝きを皆に知って貰いたくて……)


花陽(秋葉原での全スクールアイドル合同でのライブを行う事を決めて……)


花陽(……その準備の最中に、私は知りました―――)



20: 2019/04/12(金) 17:46:10.82


~~~数日後、音ノ木坂にて~~~


穂乃果「知ってる!? ニューヨークが宇宙人に襲われたんだって!?」


海未「何を笑えない冗談を……」


穂乃果「本当だって! ほら、ニュースでもやってるもん!」


TV『数時間前、アメリカ・ニューヨークが突如地球外生命体の襲撃を受けました―――』


ことり「ほ、本当だ」


花陽「そんな……」


真姫「何よ、これ……」


凛「ひどい……」


希「……そ、それでニューヨークは?」


絵里「そうよ。これは少し前の映像なんでしょう? 今は……」


にこ「だ、大丈夫でしょう? アメリカだって凄い軍隊を持ってるんだから……」


海未「で、ですが、こんな怪物を相手には……」


TV『―――これを、トニー・スターク率いるヒーロー軍団【アベンジャーズ】が宇宙人を撃退』


TV『ニューヨークの被害は最小限に抑えられたとの事です』



21: 2019/04/12(金) 17:46:46.68

穂乃果「とにー・すたーく?」


海未「確かアメリカの大会社の社長だったかと思います」


穂乃果「へぇえ。でも、良かったね。宇宙人を倒しちゃったって―――って、すごい! ロボットだよ、ロボット!」


希「最近は、確かアイアンマンとかいう名前でヒーロー活動してるって聞いたけど……これがそうなんかな」


絵里「宇宙人を倒しちゃうなんて、すごいわね」


凛「わ、すごいよ! 緑の巨人さんに雷を出すおじさんにゃ!」


ことり「緑の巨人さん、可愛いね~」


にこ「あ、あれが可愛い……?」


真姫「……これ本当にあった事なの? 何だか現実離れし過ぎて、映画のワンシーンみたいだけど……」


海未「本当ですね……」





花陽(皆がアベンジャーズの活躍に息を呑んでいる中、私はTVが映し出すあるワンシーンにずっと目を奪われていました)


花陽(破壊された街並みに立ち尽くす、一人の男の人)


花陽(青色のスーツはボロボロに汚れていて、その人も傷だらけの身体で、それでも自らを気に掛ける様子は一切なくて)


花陽(ただ沈痛な表情で、破壊された街並みを見詰めている―――)


穂乃果「この人は、えーっとキャプテン・アメリカっていうみたいだね」


海未「第二次世界大戦で秘密裏に活躍したヒーローとの事ですが」


絵里「南極の氷河から発見され、ここ最近目を覚ましたようよ……ファンタジーね」


花陽(被っていたマスクが地面に転がる……)


花陽(その表情が、画面に映し出される)


花陽(忘れる訳がない。あの人が―――)


花陽「―――あの人が、キャプテン・アメリカ―――」






22: 2019/04/12(金) 17:47:44.71


~~~2年後・ワシントンDC~~~



スティーブ「衛生兵を呼ぶか?」


サム「ハハ、肺を交換してくれよ。あんた20キロを30分で走ってたな」


スティーブ「そうか? 遅すぎるな」


サム「ハハ、マジか」


サム「俺はサム・ウィルソン」


スティーブ「スティーブ・ロジャースだ」


サム「だと思った。……大変だろう、何十年もたって目覚めたんじゃ」


スティーブ「そうだな。色々慣れなくて」


サム「昔が懐かしいか?」


スティーブ「まぁ、今も悪くない。食べ物が美味い。ポリオもなくなったし、ネットも便利だ」


サム「……トラブルマンってサントラ。あんたがいない間の事が、あれに詰まってる」


スティーブ「リストに書いとくよ」


スティーブ「……そうだな、僕からも一つお返しだ―――」





スティーブ「―――μ’sのAngelic Angel」






スティーブ「スクールアイドルの素晴らしさが、これに詰まっている」






23: 2019/04/12(金) 17:48:37.94

~~~現在~~~



花陽(……そしてスティーブさんとの出会いから、数年の時が流れました)


花陽(μ’sも解散して、私達のスクールアイドル活動も終わりを迎えて……)


花陽(アベンジャーズも、沢山の大変な事があったみたいで……)


花陽(ソコヴィアであったウルトロン事件……そして、ソコヴィア協定を引き金としたアベンジャーズの分裂……)


花陽(……結局、スティーブさんが落ち着く事はなく、あの時の約束は果たせずにいます)


花陽(こうして少し大人になって、思い出す)


花陽(あの人は、今どうしているんだろう)


花陽(……でも、あの人ならと、私は思います)


花陽(例えどんな逆境にあっても、信じた道を突き進んでくれるのだと、私は信じられます)


花陽(そう―――世界が、こんな風になっても)





絵里「……まさか、こんな形で集まる事になるなんてね」


にこ「こんな事がなければ有り得なかったわよ」


穂乃果「こうしてみると、皆老けたねえ」アハハ


にこ「はぁ!? 現役の伝説アイドルにこにーに、面と向かってそんな事いう!?」


絵里「最近はバラエティとかで、体張って企画ばかりしてたじゃない」


にこ「お仕事はお仕事よ! あれも若い頃の下積みがあったから、映えて見えるのよ!」


花陽「20台半ばでこの衣裳を着るとは思いませんでした……」


絵里「普段から気にしてる私やにこはまだしも、穂乃果と花陽は体型戻すの大変だったものね……」


花陽「本当です! お米抜きの生活なんて……!」


穂乃果「でも、これで―――μ’s再結集、だね」


穂乃果「ここにいない皆の分まで……頑張ろう」


絵里「……ええ」


にこ「……そうね」


花陽「……頑張りましょう」


穂乃果「行くよ――――」





24: 2019/04/12(金) 17:51:06.33




花陽(―――突然起こった、謎の現象……)


花陽(周りの人達がいきなり塵となって消えてしまって……世界中で同じ現象が起こっていて……)


花陽(世界の半分の人口が消滅してしまったと、ニュースで言っていました……)


花陽(μ’sの皆も、半分が消えてしまって……)


花陽(凛ちゃん、真姫ちゃん、ことりちゃん、海未ちゃん、希ちゃん……)


花陽(もう、どうしようもないという絶望の中で、連絡がありました)


花陽(それは、穂乃果ちゃんからでした)


花陽(久し振りに皆で集まって、ライブをしないかという内容で)


花陽(私は心の底からびっくりしてしまいました)




花陽(こんな状況だからこそ何かをしなくちゃと、穂乃果ちゃんは言いました)


花陽(自分も海未ちゃんやことりちゃんを失っていて……最初はあんなに泣いて、ずっとずっと泣いていて、普通の生活すら出来ないくらいに落ち込んでいたのに……)


花陽(それでも、穂乃果ちゃんは立ち上がって―――あの時のように道を示してくれた)


花陽(もうμ’sを知る人が少なくても、もう世界の皆が絶望していたとしても)


花陽(もうスクールアイドルなんていう年齢じゃなくても、μ’sが半分しか残っていなくても)


花陽(私達に出来る事を―――やりたいと思う事を、やる)


花陽(それが少しでも、人々の心を支える事に繋がるのなら―――やるんだ)


花陽(……スティーブさんだって、きっとそうだ)


花陽(七十年後の世界で目覚めて、それでも世界の為に戦う事を選択したあの人)


花陽(彼だって、生きていれば絶対に現状に抗っている筈だ)


花陽(だから、私達も―――)




25: 2019/04/12(金) 17:52:26.01








穂乃果「1!」




花陽「2!」




にこ「3!」




絵里「4!」






花陽(続く言葉はない―――それでも)








全員「「「「―――μ’s、ミュージック、スタート!!!!」」」」








花陽(―――私達は、諦めない)







26: 2019/04/12(金) 17:53:26.87



スティーブ(……それは、サノスとの敗北から数週間の日にちが経った頃だった)


スティーブ(失ったヒーローも判明し、今だ自分達も立ち直れぬ中で耳に届いたニュースだった)


スティーブ(途切れ途切れのTVから聞こえてくる声……それは―――)




TV『三十五億の人々が突如消え去った悪夢から数週間―――残された人々はそれぞれの生活をしています』


TV『身を寄り添い、生活する者。神に祈りを続ける者。自らの命を絶つ者……』


TV『そんな中、前を向く者達がいました―――』


TV『―――μ’s』


TV『かつてのスクールアイドル・チャンプにして、スクールアイドル人気の火付け役であった彼女達が再結集し、ライブを行ったそうです―――』


TV『彼女達もまた半分のメンバーを失い、ボロボロの機材と衣裳で―――それでも彼女達の活動はネット上にて話題となっています』


TV『彼女達のライブに、希望を貰えたという人々が沢山現れています』




スティーブ(……それは、彼女達の歌だった)


スティーブ(大人になった彼女が、不明瞭な画面の中で歌っている)


スティーブ(こんな世界だというのに―――笑顔で)


スティーブ(あの時、別れ際に見せた時と同じような、誰かを励ますような笑顔で)


スティーブ(彼女は、彼女達は、唄い、踊っている)


スティーブ(ああ、そうだ……)


スティーブ(諦める訳にはいかない。全てを事実を受け入れる訳にはいかない)


スティーブ(彼女達が諦めなかったように―――)





スティーブ「―――アベンジャーズは、諦めない」





27: 2019/04/12(金) 17:54:36.96






そして、戦いが始まる。


失われた仲間達を取り戻すために、失われた人々をを取り戻すために。


最強のヒーローチームが、最後の希望を胸に―――、







―――――最強の逆襲(アベンジ)へ―――――









28: 2019/04/12(金) 17:57:20.40
以上で終了です。
アベンジャーズ/エンドゲームが待ちきれず書いてしまいました。
若干キャラ氏にネタも入ってしまい、申し訳ありません。


少ししたらHTML依頼出してきます

29: 2019/04/12(金) 20:52:47.79
好きなもの同士のコラボで面白かった、乙
DCの方になるけど果南とアクアマンでも何か書けそうだな

30: 2019/04/18(木) 13:47:49.10
最高だった、乙

引用元: 【アベンジャーズ】花陽「あの人が、キャプテン・アメリカ」【ラブライブ !】