2: 2012/04/25(水) 00:36:46.84 ID:V/5JPjlbo
それは、全く予想して無かった事だった。

私達放課後ティータイムは、来月ライブハウスでライブを行うことになっていた。

そのライブの打ち合わせで、驚くべき提案がされた。

梓「私がボーカル?」

唯「うん」

梓「何でですか?いつもみたいに唯先輩と澪先輩で良いじゃないですか?」

律「来年、梓がボーカルやらなくちゃいけなくなるかも知れないんだぞ?」

澪「来年入ってくる部員が、ボーカル希望するとは限らないだろ?」

梓「あ!言われてみればそうですね」

唯「だから、みんなで話し合って決めたんだよ」
けいおん!Shuffle 2巻 (まんがタイムKRコミックス)
3: 2012/04/25(水) 00:38:57.92 ID:V/5JPjlbo
紬「良い機会だから、一回くらいボーカルやっておいた方が良いわよ」

梓「でも私、あんまり歌に自信が…」

唯「大丈夫だよ、特訓すれば」

律「そうだ。それに全曲歌えって訳じゃない。六曲のうち二曲だ」

梓「あ、それなら何とか」

澪「じゃあ決定だな」

こうしてライブで歌う予定の六曲中、唯先輩が二曲、澪先輩が二曲、私が二曲歌うことになった。

紬「ちょっと気が早いかも知れないけど、歌ってみたい曲とかある?」

梓「そうですね…」


4: 2012/04/25(水) 00:40:12.76 ID:V/5JPjlbo
私が歌ってみたい曲と言われて真っ先に思いついたのは「ふわふわ時間」

HTTの代名詞とも言える曲だからかな?

梓「ふわふわ歌ってみたいです」

唯「ちょっと歌ってみる?」

梓「え?」

律「歌詞分かるだろ?」

梓「大丈夫ですけど」

澪「ギターは良いよ。取りあえずボーカルだけ」

紬「聴いてるの私達しか居ないから平気よ」

梓「はい」

6: 2012/04/25(水) 00:42:51.37 ID:V/5JPjlbo
律「じゃ、行くぞ」

律「1・2」

梓「君を見てると いつもハートドキドキ♪」

……

梓「ふわふわターイム♪」

ジャーン♪

律(梓…)

澪(これは…)

紬(何と…)

唯(あずにゃん…)

7: 2012/04/25(水) 00:45:23.01 ID:V/5JPjlbo
梓「ど、どうでした?」

澪「まあ、初めてのボーカルってのもあったし」

律「ライブは来月だから、特訓だ」

紬「そうよ、特訓あるのみ」

唯「特訓だよ!あずにゃん」

梓「…はい」

いきなり特訓の話って。

私の今の歌唱力じゃ駄目駄目って事か…

8: 2012/04/25(水) 00:47:52.97 ID:V/5JPjlbo
次の日

梓「あー、憂鬱だ」ぐだぐだ

憂「どうしたの?」

梓「今度のライブで、私がボーカルやることになっちゃって」

純「へー、そうなんだ」

梓「あんまり歌に自信がないから、正直やりたくないんだよね」

純(そういや梓とカラオケ行った事あるけど、今イチだったな)

梓「ああ、部活ってこんなに憂鬱だったのか」

梓「恐怖の部活が始まる」ずるずる

憂「部活を嫌がる梓ちゃん初めて見たね」

9: 2012/04/25(水) 00:50:30.26 ID:V/5JPjlbo
部室

律「さあ、梓ボーカルでいっちょ練習するか!」

澪「そうだな」

唯「うん、やろう」

紬「梓ちゃん、準備は良い?」

梓「練習の前に、お茶にしません?」

律「おおぉい!!」

唯「お茶にしよ、私もケーキ食べたい」

澪「梓が自分からお茶にしようなんて、珍しいな」

紬「そうね」

お茶なんてしてる場合じゃないのは分かってるんだけど。

つい、逃げてしまった。

11: 2012/04/25(水) 00:52:44.96 ID:V/5JPjlbo
……

律「お茶も終わったし、練習しますか」

梓「私ちょっとトイレ行ってきます」

バタン

澪「なんか、梓あんまり乗り気じゃないみたいだな」

紬「ボーカルに、乗り気じゃないみたいね」

律「よし、こうなったら馬にニンジン作戦だ」

唯「馬にニンジン作戦?」

律「子供の時、『テストで良い点数獲ったらご褒美ね』って、おもちゃ買って貰ったりしたろ?」

唯「うん」

律「それと同じで、ライブが成功したらご褒美って言う約束をするんだ」

唯「なるほど。それであずにゃんに、やる気を出させるんだね」

12: 2012/04/25(水) 00:55:50.05 ID:V/5JPjlbo
律「…と言う訳だ。ライブが成功したら、ご褒美で梓のお願いを聞いてやる」

梓「お願いって何でも良いんですか?」

唯「何でも良いよ」

紬「Hなのは駄目よ」

梓「そんな事お願いしません///」

律「地球にやってくるサイヤ人を倒して欲しい。とかも無理だぞ?」

梓「シェンロンを超える力ですからね」

澪「お前ら、ドラゴンボールと化物語の見過ぎだ」

13: 2012/04/25(水) 00:58:11.61 ID:V/5JPjlbo
紬「もっと現実的なお願いね」

紬「大きなケーキが食べたいとか」

唯「トンちゃんを、もう1匹飼いたいとか」

澪「律をパシリにしたいとか」

律「おい」

律「澪のパンツが見たいとか」

澪「おい///」

梓 ///

唯「今すぐ決めなくても良いよ。ライブが終わってからでも」

梓「分かりました。何か考えておきます」

14: 2012/04/25(水) 01:00:29.08 ID:V/5JPjlbo
今日はこの辺で。
>>10
このSSの音痴な梓は中の人からでなく、原作梓からですww

16: 2012/04/25(水) 19:43:19.92 ID:aBSby4Bio
律「ライブまで日にちも無いし、猛特訓が必要だな」

唯「さわちゃんに特訓してもらえば大丈夫だよ!」

紬「さわ子先生の特訓で、唯ちゃん喉枯らしちゃったじゃない」

律「澪、お前が特訓してやってくれ」

澪「え?私?」

澪「唯は?」

律「唯だと、お菓子の時間ばっかりになる」

唯「ブー!」

澪「分かったよ。私がやるよ」

梓「澪先輩、よろしくお願いします」


17: 2012/04/25(水) 19:46:07.17 ID:aBSby4Bio
澪「えーと、じゃあ基本からやっていこうか」

梓「はい」

澪「まずは、腹式呼吸の練習からだ」

梓「腹式呼吸」

澪「鼻から息を吸い込んで、お腹に空気を入れるのを意識して呼吸してみて」

梓「はい。スーハー、スーハー」

澪「何か肩に力入ってるな?」

梓「そうですか?」

澪 肩もみもみ

梓「にゃぁっ///」

澪「もっとリラックスして」

梓「はい///」

18: 2012/04/25(水) 19:48:56.56 ID:aBSby4Bio
澪「力が入ってると上手くいかないからな」

梓「そうなんですか?」

澪「良し、大分力が抜けたな」

澪「ちょっと良いか?」

梓「え?」

なでなで

梓「うひゃっ///」

澪先輩が私のお腹に手を当て撫でてきたので思わず妙な声を出してしまう。

梓「あの///」

澪「私がお腹に手を当ててるから、さっきの要領で呼吸してみて?」

梓「はい、すーはー///」







19: 2012/04/25(水) 19:51:19.81 ID:aBSby4Bio
澪「もっとお腹に空気入れる感じで」

梓「はい、すーはー、すーはー///」

澪「そうそう、良い感じだ」

梓「何かコツが掴めた気がします///」

唯「あずにゃんの顔が真っ赤だね」

紬「ガチにゃんになってるわね」

律「澪は、教えるのも上手いし面倒見も良いからな」

紬「澪ちゃんに任せておけば大丈夫そうね」

紬「うふふ」

20: 2012/04/25(水) 19:53:39.29 ID:aBSby4Bio
翌日

梓「うきうき」

純「今日はご機嫌だ」

梓「ああ、部活はこんなに楽しかったのか」るんるん

憂「昨日まで、あんなに嫌がってたのにどうしたの?」

梓「嫌がる?バカ言っちゃいけないよ憂」

梓「部活は青春だよ、青春!」

梓「スキップしちゃおう」スキップスキップ

純「梓がアホの子になってる」

憂「よっぽど嬉しいことがあったんだね」

21: 2012/04/25(水) 19:56:22.40 ID:aBSby4Bio
―――――

律「今日、部活休みの日なのに練習してくのか?」

澪「ああ、梓がどうしてもって言うから」

唯「あずにゃんが遂にやる気を出したね」

澪「馬にニンジン作戦が功を奏したな」

紬「じゃあ二人とも頑張ってね」

澪「うん」

唯「バイバイ」

律「梓の事、頼んだぞ」

22: 2012/04/25(水) 19:59:25.44 ID:aBSby4Bio
紬「澪ちゃんと梓ちゃん、二人きりの部室」

律「澪と梓を部室に、二人きりにしたら何か…」

唯「へ?」

律「普段真面目な二人だけにさ、暴走してナニしちゃったり」

紬「ナニ!」

唯「何って、何?」

律「ナニはナニだ///」

紬「ナニはナニよ!」

23: 2012/04/25(水) 20:03:12.27 ID:aBSby4Bio
……

澪「ボーカルの特訓は、この位にして今日は別の特訓をしよう」

梓「別の特訓?」

澪「そうだ、大人の特訓だ」

梓「あっ、駄目ですよ澪先輩」

澪「良いじゃないか梓」

梓「あんっ、そこは」

澪「梓のここは、もうこんなになってるぞ?」

……

24: 2012/04/25(水) 20:05:15.14 ID:aBSby4Bio
律「おいムギ、鼻血出てるぞ」

紬「ハッ!つい妄想してしまったわ」

紬「個人レッスンをする、先輩後輩と言うシチュが良すぎて」拭き拭き

律「ってゆーかさ、梓って澪のこと好きだろ?」

紬「あ、律ちゃんも気付いてた?」拭き拭き

唯「えっ、そうなの?」

律「ああ、態度でバレバレだよ」

唯「じゃあ、牛にピーマン作戦でやる気を出したんじゃなくて?」

律「馬にニンジンだ」

紬「そう、澪ちゃんと特訓できるのが嬉しくてやる気出したのよ」

律「澪は、ニブチンだから気付いてないだろうけどな」

25: 2012/04/25(水) 20:10:22.97 ID:aBSby4Bio
部室

澪「私が出す音に合わせて声出してみて」

梓「はい」

澪「♪」

梓「アー」

澪「ちょっと低いな。もう一回」

澪「♪」

梓「アー」

澪「今度は良い感じだな」

梓「ありがとうございます」

澪「頑張ってるな梓」なでなで

梓「はい」にこにこ

28: 2012/04/25(水) 20:14:45.44 ID:aBSby4Bio
澪「ちょっと休憩してお茶にしよっか?」

梓「はい」

梓「あ痛っ!」

澪「どうしたんだ?」

梓「楽譜のふしで指切っちゃったみたいで」

澪「うわ、痛そうだな。大丈夫か?」

梓「ちょっと血が出てます」

澪「本当は血、見るの苦手なんだけどな。ちょっと見せて」

梓「はい」

澪先輩は私の前に跪くと、切った指をこわごわと見つめてたかと思うと

澪「これくらいなら…」ぱくっ

梓「ええ?///」

温かい口の中で、柔らかい舌で指が舐められる。

30: 2012/04/25(水) 20:16:29.86 ID:aBSby4Bio
澪「いふぁくなひか?」訳:痛くないか?

梓「あの、痛くないですけど、くすぐったいです///」

澪「ふぇ?ふすくっふぁい?」訳:え?くすぐったい?

梓「あふっ///」

澪「ほうひたんら?」訳:どうしたんだ?

梓「あっ、指をくわえたまま喋ると///」

澪「ゆひをふわへたまたひゃへると?」訳:指をくわえたまま喋ると?

梓(これは天然でやってるのでしょうか?///)

梓「あの、もう大丈夫です///」

澪「ほうか?」訳:そうか?




31: 2012/04/25(水) 20:20:52.14 ID:aBSby4Bio
澪「絆創膏持ってくるな」

梓「はい///」

澪先輩の温もりが残ったままの指をしばし、ボーッと見つめる。

梓「澪先輩、意外に大胆な事するんだな///」

澪「お待たせ、手出して」

澪先輩は私の手を取り、絆創膏を貼ってくれた。

澪「これでよし」

梓「ありがとうございました」

33: 2012/04/25(水) 20:24:48.95 ID:aBSby4Bio
部活後

梓「今日は部活休みなのに、練習付き合ってくれてありがとうございました」

澪「せっかく梓がやる気出してくれたんだし、喜んで付き合うよ」

澪「ライブ、成功すると良いな」

梓「はい」

澪「指、大丈夫か?」

梓「お陰様で」

澪「じゃあな、気をつけて帰れよ」

梓「はい」

35: 2012/04/25(水) 20:27:38.05 ID:aBSby4Bio
何時からだろう?澪先輩の事を意識する様になったのは?

ただ最初は、憧れの先輩だったはず。

それが何時しか、一人の女性として意識する様になった。

澪先輩は、私に優しく接してくれる。

でも、それは私にだけじゃない。それは分かってる。

でも、あんな事されたら私だけ特別なんじゃないかなって思っちゃう。

夕飯時、指に貼られた絆創膏を見ながらそんな事を考えていたら

母親に「何をそんなにニヤニヤしてるのよ?」と突っ込まれた。

44: 2012/04/26(木) 20:03:40.40 ID:6gzRS4DRo
―――――

ピンポーン

緊張した面持ちで、澪先輩の家のインターホンを押す。

けいおん部の皆で来たことはあるけど、一人は初めてだから余計だ。

今日私は、澪先輩の家にお呼ばれしていた。

~先日~

澪「梓今度の日曜日、暇か?」

梓「えと、特に予定はないですけど」

澪「友達からボーカル講座のDVD借りたんだけど、良かったら一緒に観ようかなと思って」

梓「あ、それ良さそうですね」

澪「じゃ家おいでよ」

梓「お邪魔させてもらいます」


45: 2012/04/26(木) 20:06:11.24 ID:6gzRS4DRo
しばらくして、ガチャッとドアが開き澪先輩がひょこっと顔を覗かせる。

澪「いらっしゃい」

梓「こんにちは」

梓「あれ?澪先輩が三つ編みにしてる」

澪「え?ああ、プライベートだとたまにしてるんだ」

梓「そうなんですか」

澪「梓は見たこと無いんだっけ?」

梓「初めて見ました」

澪「私が三つ編みすると変かな?」

梓「変じゃないです。とっても可愛いです」

澪「ありがとう///」


46: 2012/04/26(木) 20:10:12.97 ID:6gzRS4DRo
梓「あ、私先輩に向かって可愛いだなんて///」

澪「いや良いんだよ」

梓「でも本当に可愛いんで///」

澪「もう恥ずかしいから///」

梓「ごめんなさい///」

澪「家上がって」

梓「お邪魔します」

澪「私の部屋行こう」

梓「はい」


47: 2012/04/26(木) 20:13:59.35 ID:6gzRS4DRo
澪「そうだ。DVD見る前にちょっと良い?」

梓「何です?」

澪「ちょっと後ろ向いて」

梓「こうですか?」

ふぁさっ

梓「何で、私のヘアゴム外したんですか?」

澪「さっき私の三つ編みを可愛いって言ってくれたから」

梓「言ってくれたから?」

澪「梓もお揃いの三つ編みにして上げる」編み編み

梓「ありがとうございます」

澪「出来たぞ、三つ編み。ほら鏡」

梓「わー、嬉しいです」

澪「可愛いぞ」



48: 2012/04/26(木) 20:17:46.34 ID:6gzRS4DRo
梓「前に、さわ子先生が私と澪先輩の事似てるって言ってましたよね?」

澪「ああ、眼鏡外すと見分けが付かないとか言ってたな」

梓「お揃いの三つ編みしてたら姉妹に思われるかも知れませんね」

澪「ふふ、そうかもな」

澪「じゃ、お待ちかねのDVDを再生っと」

『レッスン1』

『えー、ボーカルという物は…』

『心構えが重要であり…』

『何事も恐れぬ信念で…』

澪(こ、これは予想以上につまらない…)

梓(澪先輩には悪いけどこれは…)

澪梓「……」

澪梓(気まずい…)

49: 2012/04/26(木) 20:21:16.54 ID:6gzRS4DRo
DVD再生終了

梓「くぁ」あくび

澪「眠くなっちゃったか?」

梓「あ、ごめんなさい///」

澪「退屈だったもんな。私も何か眠くなっちゃった。ちょっとお昼寝しよっか?」

梓「あ、大丈夫ですよ」

澪「良いから良いから、毛布敷くな」

梓「すいません」

澪「よいしょ」

澪「梓ここで寝なよ」

50: 2012/04/26(木) 20:24:52.46 ID:6gzRS4DRo
梓「ありがとうございます」もぞもぞ

澪「じゃあ私も」もぞもぞ

梓「え?澪先輩も、一緒の毛布で寝るんですか?///」

澪「駄目?」

梓「駄目じゃないですけど///」

澪「女同士、何の問題も無いだろ?」脱ぎ脱ぎ

梓「って何で上着脱いでるんですか?///」

澪「え?このままだとちょっと寝づらいから一枚脱ごうかなって」

梓「あ///」

梓「私も上一枚脱ぎます///」脱ぎ脱ぎ

澪「そんな端っこじゃなくて、もっとこっちおいでよ」

梓「はい///」寄り寄り


51: 2012/04/26(木) 20:28:31.50 ID:6gzRS4DRo
梓「澪先輩今日は、やけに積極的ですね」

澪「何か嬉しいんだよ。梓と二人きりになるなんて滅多にないし」

澪「それに梓が本当の妹みたいで」

梓「そうですか」

澪「…あのさ、お願いがあるんだけど」

梓「何です?」

澪「私も唯みたいに、梓に抱きついてみたいんだけど良いかな?///」

梓「え?」

澪「普段は、皆見てるから恥ずかしくて出来なかったんだけど、今二人きりだし」

梓「良いですよ///」

52: 2012/04/26(木) 20:30:59.29 ID:6gzRS4DRo
澪「良い?じゃあ」

ぎゅっ

梓「うにゃっ///」

澪「うわー、抱いてて気持ちいい」

梓「そうですか?///」

梓(胸が当たる///)

澪「このまま、梓を抱き枕にして寝ちゃお」

梓「え?///」

澪「暖かくて抱き心地良いんだもん」

澪「クゥークゥー…zzz」

梓「本当に寝ちゃった///」

53: 2012/04/26(木) 20:33:29.20 ID:6gzRS4DRo
―――――

律「買い物ついでに、澪の家の近く通るからついでだ。宿題写させてもらおう」

ピンポーン

ガチャリ

澪ママ「あら、律ちゃん。いらっしゃい」

律「こんちは。澪居ます?」

澪ママ「居るけど今、澪ちゃんのお友達来てるの。多分律ちゃんも知ってる子だと思うけど」

律「そうなんですか」

澪ママ「どうぞ上がって」

律「はい」

54: 2012/04/26(木) 20:37:48.64 ID:6gzRS4DRo
律「友達って誰だろ?こっそり覗き見してみるか」

そーっ

律(あれ?三つ編み姉妹がお昼寝中?)

律(と思ったらあれは澪と梓?友達って梓だったのか)

律(何で一緒の毛布で寝てるんだ?)

律(服脱いであるし、澪が梓抱きしめてるし)

律(どう見ても事後です。本当にありがとうございました)

律「キャー///」

バタン

梓(あれ?今誰か来てた様な?)

梓(気のせいかな?)

梓(澪先輩に抱きしめられてたら、温かくて柔らかくて良い気持ちで眠くなっちゃった)

梓(…zzz)


55: 2012/04/26(木) 20:38:55.27 ID:6gzRS4DRo
今日は、ここまでです。

58: 2012/04/27(金) 20:28:48.14 ID:CrfLRFneo
……

梓「マシュマロ、マシュマロ」揉み揉み

梓「柔らかいマシュマロ」揉み揉み

梓「…ってあれ?」

澪「目覚めた?///」

梓「あ、そうだ私澪先輩と一緒に寝てて」揉み揉み

澪「あ、あのもう良いかな?手///」

梓「へ?」揉み揉み

梓「うわー、ごめんなさい。澪先輩のおっOい触ってた///」揉み揉み

澪「寝ぼけてたみたいだし、起こしちゃ悪いかなと思って///」

梓「マシュマロみたいに柔らかくて気持ち良いと思ってたら澪先輩のおっOいでした///」

澪「ははは///」

59: 2012/04/27(金) 20:30:37.80 ID:CrfLRFneo
梓「ブホッ!!」

澪「鼻血?!」

梓「興奮の余り///」

澪「ティッシュ、ティッシュ」

澪「大丈夫か?」拭き拭き

梓「ずびばぜん」

澪「あー、服にもちょっと血付いちゃったな」

梓「あ、本当だ」

澪「染みになっちゃうから脱いで、洗濯するから」

60: 2012/04/27(金) 20:35:22.10 ID:CrfLRFneo
梓「で、でもこれ脱ぐと下着なんです///」

澪「あ、そうなの?」

澪「梓がさっき脱いだ上着Gジャンだしな」

澪「下着にGジャンじゃ、変だし」

澪「じゃ、さっき私が脱いだパーカーでも着てて」

梓「良いんですか?」

澪「サイズ大きいだろうけど」

梓「お借りします」

梓「やっぱりちょっと大きいですね」

澪「これは洗ってくるな」

バタン

梓「澪先輩の服///」

もう時間は経ってるから、そんな事は無いんだろうけど

服から澪先輩の優しさと温もりが伝わってくる。

そんな気がした。




61: 2012/04/27(金) 20:42:41.46 ID:CrfLRFneo
澪「洗って乾燥機かけるからちょっと待ってて」

梓「お手数かけます」

澪「あ、そうそう。梓がライブで歌うの筆ペンと、ふわふわ時間だろ?」

梓「そうですけど?」

澪「両方とも、私がコーラスやる事になったから」

梓「そうなんですか?」

澪「うん。唯が私にやってくれってさ」

澪「でさ、カラオケに私のコーラス入れたの作ってもらったんだ」

梓「ありがとうございます」

澪「ipodに入れてもらったんだけど、聴いてみる?」

梓「はい」

62: 2012/04/27(金) 20:48:02.18 ID:CrfLRFneo
澪 がさごそ

澪「私もまだ聴いた事無いから一緒に聴こうかと思って、イヤホン半分こで」

梓「あ、はい///」

澪「梓にイヤホン挿入」ぷにゅ

梓「ひゃっ」

澪「ふふっ、あれ?私に届かないな。もっとこっち来て」

梓「はい」

澪「頭、私の肩に乗っけちゃって良いぞ」

梓「失礼します///」ぽふ

澪先輩と一つのイヤホンで繋がる。

身体と身体も密着してるから、二人で時間を共有してるような感覚になる。

63: 2012/04/27(金) 20:52:36.05 ID:CrfLRFneo
~~~♪

澪「こうして聴くと、ふわふわも違った曲に聞こえるよな」

梓「そうですね」

梓「澪先輩のコーラス格好良いですね」

梓「ありがとう」

澪「後で、CDに焼いて渡すな」

梓「はい。それで家で練習します」

梓「澪先輩は、コーラスも上手いからメインの私が負けない様にしなくちゃ」

澪「頑張れよ」

梓「あの、澪先輩に負けないために何かこうアドバイス的な物でも頂ければ」

澪「アドバイスか、うーんそうだな」

澪「梓は、どうも歌う時に一本調子になりがちだからな」

梓「そうなんですか?」

64: 2012/04/27(金) 20:59:24.24 ID:CrfLRFneo
澪「歌詞の意味とかも考えて、感情を込めて歌うようにするんだ」

梓「歌詞の意味…」

澪「そう、例えばふわふわ時間の」

澪「君を見てると いつもはーとドキドキ」

澪「ここを歌う時は、本当に君を見てるとドキドキしてるかの様な感じで歌うとか」

梓「澪先輩は、そういう人が居るんですか?見てるとドキドキする様な人」

澪「残念ながらまだ居ないな。この歌詞も想像だよ」

梓「そう…ですか」

澪「梓は居るのか?そう言う人」

梓「私ですか?」

梓「…居ますよ」

澪「へえ、居るんだ」

65: 2012/04/27(金) 21:03:42.40 ID:CrfLRFneo
澪「誰なのかは、聞いちゃまずいか?」

梓「良いですよ、教えて上げます」

私の口は、もう止まらない。

最近の雰囲気なら絶対良い返事が貰える。

そう確信があったから。

梓「…澪先輩です」

澪「え?」

梓「私が見てるとドキドキするのは澪先輩です」

澪「あの…それって」

梓「私、澪先輩が好きなんです」

澪「!」

66: 2012/04/27(金) 21:08:51.04 ID:CrfLRFneo
梓「澪先輩の気持ちが聞きたいです」

澪「………」

沈黙。

時間にしては2~3分程度だったのだろうけど、私には何時間にも感じられた。

澪先輩は、軽く俯き私から視線を逸らしていた。

しばらくして、澪先輩が口を開く。

澪「ごめん。私は、梓のことをそう言う対象では、まだ見られない」

その言葉が、私の心にズシンと響いた。

頭をガツンと殴られた様な衝撃が走る。


67: 2012/04/27(金) 21:10:11.48 ID:CrfLRFneo
今日は、ここまで

77: 2012/04/28(土) 22:40:24.03 ID:nmlPr/2Uo
梓「そうですか…ごめんなさい。変なこと言っちゃって」

やっとの思いで、そう口にするのが精一杯だった。

澪「違う」

梓「え?」

澪「今は、そう言う対象では見られないってだけなんだ」

澪「梓は私にとって可愛い後輩、妹みたいな存在だったから」

澪「いきなり好きだって言われて正直戸惑ってる」

澪「しばらく、返事は保留にさせてもらって良いかな?」

梓「…はい。良い返事待ってます」

梓「今日は、これで失礼します」

澪「え?あ…うん。服は後で渡すな。私の服も後で良いよ」

梓「はい」

澪「…じゃあな」

梓「今日は、ありがとうございました」

79: 2012/04/28(土) 22:41:58.58 ID:nmlPr/2Uo
梓の部屋

ベッドにダイブし枕に顔を埋め、バタ足の要領で両足をバタつかせる。

バタバタ

妹みたいな存在か…

それはそれで嬉しいけど。

でも私は、妹じゃなくて澪先輩の恋人になりたいんだ。

…気を取り直して、お風呂入ろう。

鏡に映った自分の姿を見てみる。

今にも泣きそうな顔をしていた。

お揃いの三つ編み。

澪先輩に編んでもらったのを解くのは勿体ない気がしたけど仕方ない。

パサリ

あれこれ悩んでも仕方ないよね。

今日は、お風呂出たら寝ちゃおう。




80: 2012/04/28(土) 22:44:05.24 ID:nmlPr/2Uo
澪side

床にゴロンと寝そべり、天井をボンヤリと見つめる。

私、澪先輩が好きなんです。か……

まさか梓が私の事を好きだったとは。

落ち着いて状況を整理してみよう。

……駄目だ、気分が落ち着かない。

そうだ、ハーブティーを飲もう。

ムギに教わったけれど、ジャスミンティーはリラックス効果があるらしい。

ライブの前などは、ムギがジャスミンティーを煎れてくれていたんだっけ。

コポコポ。

ゴクゴク。

81: 2012/04/28(土) 22:46:53.74 ID:nmlPr/2Uo
ふう、ちょっとは落ち着いたかな?

えーと、もう一度状況を整理してみよう。

梓が私を好き。私も梓が好き。

何だ両思いじゃん。

って違ーう!!!!ブンブン

私が梓を好きってのは、LOVEじゃなくてLIKEだ……

確かに今日の私は、妙に大胆だったかも知れない。

一緒の毛布で寝たり、抱きついちゃったり。

おっOい触らせちゃったり///

でもそれは、妹が出来たみたいで嬉しかっただけで…

…そうなのかな?

実は私、梓の事好きだからあんな事しちゃったのか?

あぁもういいや寝ちゃお寝ちゃお寝ちゃおーっ!

お気に入りのうさちゃん抱いて今夜もオヤスミ




82: 2012/04/28(土) 22:48:47.01 ID:nmlPr/2Uo
次の日

澪「あ///」

梓「あ///」

澪(何か気まずい////)

梓(澪先輩の顔まともに見れない///)

律(この二人の反応?やっぱり昨日///)

唯「今日はボーカル特訓やらないの?」

澪「ああ、やるよ。な、梓」ギクシャク

梓「は、はい、やりましょう」ギクシャク

律(Hした後だから気まずいのかな?)

結局今日は、澪先輩とまともな会話が出来ずに終わってしまった。

83: 2012/04/28(土) 22:51:42.84 ID:nmlPr/2Uo
次の日 朝練

梓「おはようございまーす」

部室に入り、澪先輩と目が合う。

しかし、澪先輩に目線を逸らされてしまった…

澪「お、おはよう」

あいさつは返してくれたが、私の顔は見てくれない。

澪(な、何か会話しなくちゃ)

澪(でも何を話せば良いんだ?)

澪「そうだ 京都、行こう」 現実逃避

梓「京都?」

唯「何かあの二人、昨日からおかしいね?」

律「澪の声が、ずっと裏返ってるぞ」

紬「後で探り入れてみるわ」

今日もまた、ちゃんとした会話が出来なかった…




89: 2012/04/29(日) 19:33:33.90 ID:TJzC/oweo
お昼休み

梓「グズグズ…」

純「今日はグズってる」

憂「どうしたの?」

梓「実は…」

純「えー!澪先輩に告白した!?」

梓「声が大きい///」

憂「それで返事は?」

梓「今は、そう言う対象じゃ見られないって…」


90: 2012/04/29(日) 19:36:29.60 ID:TJzC/oweo
純「ふられちゃったの?」

梓「そう言う訳じゃないけど。いきなりで戸惑ってるから返事は保留させてくれって」

梓「それからギクシャクしちゃって上手く話せないんだよね」

憂「澪さん、照れてるだけだよ」

梓「そうかな?」

憂「そうだよ」

梓「我に勝機有り?」

今日は朝練だけで、放課後の練習が無いのが逆に幸いかな?

家でじっくり気持ちの整理をしよう。

91: 2012/04/29(日) 19:42:44.27 ID:TJzC/oweo
―――――

紬「澪ちゃん、梓ちゃんと何かあったの?」

澪「え?えーと、その///」

紬「昨日から、二人とも様子がおかしかったから」

澪(律に相談すると冷やかされそうだけど、ムギになら良いかな?)

澪「…実はこの前、梓に告白されて///」

紬「まあ!」

澪「それでイキナリだったんで戸惑ってるんだ」

澪「梓が私を好きなんて思っても無かった」

紬(やっぱり気付いてなかったのね)

92: 2012/04/29(日) 19:48:15.91 ID:TJzC/oweo
紬「それで澪ちゃんは梓ちゃんの事、どう思ってるの?」

紬「嫌いじゃないんでしょ?梓ちゃんのこと」

澪「嫌いじゃない」

澪「むしろ好きなんだ///」

紬「え?」

澪「でも、この好きって感情が恋愛的な物かどうかが分からなくて」

澪「今はそう言う対象じゃ見られないから、返事は保留って言っちゃって」

澪「それから、何か意識しちゃって上手く喋れないんだ」

澪「おかしいよな。この前まで普通に喋ったり抱きついたり出来てたのに」

93: 2012/04/29(日) 19:52:43.99 ID:TJzC/oweo
紬「…そうね、梓ちゃんと二人でデートとかしてみたらどう?」

澪「ででで、デート?///」

紬「デートって言ってもそんな形式張った物じゃなくて、例えばボーカルの特訓って名目で二人でカラオケとか」

澪「カラオケか…その位なら」

紬「決まりね。明日梓ちゃんをデートに誘うのよ」

澪「明日?」

紬「時間が経てば経つほど気まずくなるわよ」

澪「それもそうだな。良し、明日誘ってみるよ」

紬「頑張ってね」

澪「ありがとうな、ムギ」

94: 2012/04/29(日) 19:58:37.34 ID:TJzC/oweo
その日の夕方

ベッドに倒れ込み、両腕で顔を覆う。

昨日今日と二日間、澪先輩とまともに会話できなかっただけでこんなに胸が苦しいなんて…

告白なんてしなければ良かったのかな?

そうすれば、しばらく澪先輩とボーカル特訓で二人きりになれて。

でもそれじゃあ、いつまで経っても二人の距離は縮まらないし。

もしかしてこのまま澪先輩と、まともに会話できなくなっちゃったりして……

prrrrr

そんな事を思ってると、携帯が鳴り響く。

95: 2012/04/29(日) 20:03:01.33 ID:TJzC/oweo
梓「ムギ先輩からだ。もしもし?」

紬「もしもし」

紬「梓ちゃんと澪ちゃん、最近変だからどうしたのかなと思って」

梓(ムギ先輩に相談してみようかな?)

梓「あ、あのですね///」

梓「実は、この前澪先輩に告白をしまして///」

紬「まあ!それで?」(知ってるけど)

梓「それで、かくかくしかじかで…」

梓「で、どうもそれからギクシャクしちゃって上手く話せないんです」

紬「なるほど」



96: 2012/04/29(日) 20:06:02.13 ID:TJzC/oweo
紬「話を聞く限り、かなり脈有りだわ」

梓「え?そうですか?」

紬「澪ちゃんってあの性格でしょ?」

梓「はい」

紬「好きって言われて照れてるだけなのよ」

梓「そうなんですか?」

紬「梓ちゃんから、どんどん攻めなさい」

梓「私から?」

紬「梓ちゃんからアプローチすればイチコロよ」

梓「そういうもんですかね?」

紬「そう言う物よ」

紬「じゃあ、頑張って」

梓「ありがとうございます」

プツッ

紬「全く、世話の焼ける二人ね」

紬「やれやれだぜ」



97: 2012/04/29(日) 20:09:06.55 ID:TJzC/oweo
私からアプローチか…

良し。何事も動かないと始まらない。

さし当たって、出来そうな事は…

そうだ!明日のお昼に…

電話……メールにしよう。

あんまり、堅苦しい文章も変だよね?

なるべくシンプルに、と

これで良し、メール作成完了。

後は、澪先輩に送るだけ…

うぅ~、送信ボタンが押せない。ジタバタ

ピッ

あ、メール送っちゃった。

98: 2012/04/29(日) 20:13:24.17 ID:TJzC/oweo
澪の部屋

澪「梓からメールだ」

澪「なんだろう?」どきどき


From:梓 あずにゃん
Sub:もし良かったら

明日のお昼ご飯一緒に食べませんか?


澪「こここ、これは梓からの誘い///」

澪「一緒にって事は二人きりって事だよな?」

澪「カラオケデートに誘うチャンスだ」

澪「長々と返信するのも変だよな?シンプルに、と」

99: 2012/04/29(日) 20:18:39.50 ID:TJzC/oweo
―――――

返信来るかな?どきどき

来なかったらどうしよう?

来ても断られちゃったら?

そんな事を思ってると、携帯が鳴り響く。

やった返信来た。


From:純
Sub:お願い

明日、数学の宿題写させて


純かよ!

100: 2012/04/29(日) 20:21:38.12 ID:TJzC/oweo
たまには自分で頑張りなさいと。純に返信。

ま、泣き付かれたら結局写させちゃうんだけどね。

甘いな私も。

prrr

純から、再度お願いのメールかな?


From:澪先輩
Sub:良いよ

一緒に食べよ。


梓「澪先輩からキター!!」

梓「返信返信、と」

101: 2012/04/29(日) 20:24:00.52 ID:TJzC/oweo
―――――

澪「返信だ」


From:梓 あずにゃん
Sub:日頃のお礼にと思って

澪先輩の分もお弁当作っていきますね
昼休み部室に来て下さい


澪「梓がお弁当作ってきてくれるのか」

澪「いかん、落ち着け。ひとまず深呼吸だ」すーはー

澪「あくまで冷静を装い返信、と」


102: 2012/04/29(日) 20:28:45.21 ID:TJzC/oweo
―――――

From:澪先輩
Sub:ありがとう

楽しみにしてるよ。


よっしゃーっ!ガッツポーズ

メールとは言え、澪先輩と自然にやりとりが出来た。

それだけで嬉しかった。

でも、問題はこれから。

明日ちゃんと会話できるかな?

もしすんなり話せればその後は…どうにかなるよね?


110: 2012/04/30(月) 14:42:15.18 ID:eXHSnQT5o
次の日

お昼休みが近づくにつれて、胸が高鳴る。

もはや、先生の話など耳に入らない。

澪『美味しいよ梓』

梓『嬉しいです///』

そんな展開を頭の中で思い描く。

キーンコーンカーンコーン

授業が終わり、真っ先に教室を飛び出し

誰も居ない部室で、一人澪先輩を待つ。

もすこし勇気ふるって自然に話せば 何かが変わるのかな?

そんな気するけど だけどそれが一番難しいのよ

話のきっかけとかどうしよ?

ああ、正に私の今の心境はふわふわ時間。

111: 2012/04/30(月) 14:44:32.89 ID:eXHSnQT5o
そんな想いが頭を巡ってると、

ガチャッ

ドアが開き、澪先輩がやってきた。

澪「や、やあ///」

梓「ど、どうも///」

うー、分かっててもやっぱり顔見ちゃうと緊張しちゃうな。

梓「座りましょう」

澪「うん」

ガタン

梓「サンドウィッチ作ってきたんです」ごそごそ

澪「美味しそうだな」

112: 2012/04/30(月) 14:48:23.84 ID:eXHSnQT5o
梓「食べましょ」

澪「うん」

澪梓「ぱくぱく、もぐもぐ」

澪「うん、美味しいよ」

やった喜んでくれた!

澪(美味しいってだけじゃ、素っ気ないかな?えーと…)

澪「コクがあってそれでいて、まろやかで、かといってしつこくなく」

梓「味王かよ!」

澪「え?」

梓「あ、すいませんつい///」

澪「ふふ、まさか梓に突っ込み入れられるとは」

梓「えへへ///」

きっかけは些細な事だったけれど、澪先輩と笑い合えた。

それだけで嬉しかった。





113: 2012/04/30(月) 14:50:06.75 ID:eXHSnQT5o
澪(梓をデートに誘うなら、今このタイミングしか無い)

澪(頑張れ私)

澪「あのさ、今度の祝日良かったら…」

澪「私とデートしませんか?///」声裏返り

梓「え?///」

澪(言ってしまった///)

梓「あの?デートって?///」

澪(もう引き返せない)

梓「澪先輩?」

澪「はい!」

梓「デートって?」

澪「あ、えーと」

澪「デートって言ってもそんな形式張った物じゃなくて、例えばボーカルの特訓って名目で二人でカラオケとか」

梓「え?」


114: 2012/04/30(月) 14:52:14.99 ID:eXHSnQT5o
澪(しまった。ムギに言われたままの台詞を)

澪「あのほら、祝日で学校休みだから特訓できないだろ?」

梓「はい」

澪「だから、カラオケ行って特訓しない?」

梓「あ!そう言うことですか」

梓「澪先輩がデートとか言うから」

澪「いや、ほら二人でカラオケだからデートっぽいなって」

梓「二人だけですか?」

澪「だ、駄目?」

梓「駄目じゃないです!」

澪「じゃあ、決まりだな」

梓「はい」

115: 2012/04/30(月) 14:55:24.86 ID:eXHSnQT5o
―――――

梓「にへへへ」にやにや

純「何でそんなに嬉しそうなのよ?」

梓「聞きたい?」

純「…いや、いい」

梓「聞きたい?しょうがないな純は」

純「いや、いいって…」

梓「あのね、今度の祝日にね」

純「人の話聞けよ」

梓「澪先輩と二人きりでカラオケ行くんだ」

純「ってえええぇ?」

116: 2012/04/30(月) 14:59:17.92 ID:eXHSnQT5o
純「それってデートじゃない」

梓「え?や、やっぱそうかな?」

憂「そうだよ、立派なデートだよ」

梓「えへへへ///」にやにや

純「くぅー、羨ましい。ジャズ研のライブがなければ乗り込んで行くのに」

梓「来ても入れて上げないから」

憂「このデートで澪先輩との距離縮められると良いね」

梓「うん」

澪先輩とのデート。

想像しただけで、頭が真っ白になりそう。

でも、何で澪先輩が私を誘ってくれたんだろう?

少しは、私の事想ってくれてるのかな?


117: 2012/04/30(月) 15:03:06.84 ID:eXHSnQT5o
―――――

憂「澪さん」

澪「あ、憂ちゃん」

憂「聞きましたよ?」

澪「え?」

憂「梓ちゃんと今度、デートするんですよね?」

澪「デートって言ってもそんな形式張った物じゃなくて、例えばボーカルの特訓って名目で二人でカラオケとか」

憂「え?」

澪「要するに、梓と二人でカラオケに行くんだ」

憂「要するにデートですよね?」

澪「う、うん///」

118: 2012/04/30(月) 15:07:25.34 ID:eXHSnQT5o
憂「梓ちゃん、澪さんの事大好きみたいだから」

澪「恥ずかしい///」

憂「もし、梓ちゃんとデートして澪さんの気持ちに変化があったなら」

憂「梓ちゃんとの事、考えて上げて下さい」

澪「……うん」

澪「あ、そうだ。丁度良かった」

澪「デートって言っても、どうしたら良いのか分からなくてさ」

澪「憂ちゃんなら、梓と同い年だし、どうして欲しいとか分かるかなと思って」

憂「それは、年上の澪さんがリードして上げないと」

澪「そういうものか。分かったありがとう」

憂「頑張って下さい」


119: 2012/04/30(月) 15:12:31.55 ID:eXHSnQT5o
デート当日

澪「せっかくのデートなんだし、ちょっとお洒落していこうかな?」

澪「普段あんまり履かないけど、スカート履いてみよう」

澪「しまむらの福袋買った時、入ってたミニスカートがあったな」

澪「丈が短すぎて恥ずかしくて履いたこと無いけど」

澪「ちょっと大胆かな?///」

澪「いや、デートなんだしこれくらい」

澪「テレビの占いも見ておくか」

澪「ラッキーカラーは青。水族館で初恋の人にバッタリ。ラッキースポットはファンシーショップ」

澪「良し、青いシャツ着ていこう」


128: 2012/05/01(火) 08:56:36.18 ID:HAsy3WFvo
―――――

待ち合わせ場所に、少し早足で向かう。

時間的には、間に合うのは分かってるけど。

先輩を待たせるなんて出来ない。

私が先に待ってるのが礼儀という物。

15分前に到着。

これなら余裕を持って澪先輩を待てる。

澪「やあ、梓」

って、既に澪先輩来てるし!!

梓「すいません、待たせちゃったみたいで」

澪「良いんだよ、私が早く来過ぎちゃったんだ」

129: 2012/05/01(火) 09:00:47.43 ID:HAsy3WFvo
梓「今15分前なのに、何時に来たんですか?」

澪「さ、30分前///」

梓「30分!」

澪「楽しみで、ついつい早く来ちゃった」

可愛い///

楽しみにしてくれてたんだ。私とのデート。

梓「そう言えば、澪先輩が私服でスカート履くのって珍しいですよね」

澪「普段はパンツの方が多いからな」

梓「どういう風の吹き回しですか?」

澪「せっかく梓とデートなんだし、お洒落していこうかなと思って///」

梓「似合ってますよ」

澪「ありがとう///」

制服のスカート姿は、見慣れてるけど私服スカートは新鮮だ。じろじろ

やっぱり脚長くて綺麗だな。じろじろ

黒のニーソックスとの絶対領域が、また……

澪「あんまり、脚じろじろ見ないでくれよ。結構恥ずかしいんだから///」

梓「あぁっ、すいません///」





130: 2012/05/01(火) 09:02:48.63 ID:HAsy3WFvo
澪「もう行こう」

梓「はい」

私からどんどん攻めればいいのか。

手くらい繋いでみようかな?

形的にはデートなんだし、おかしくないよね?

澪(年上の私がリードしなくては…)

澪(一応デートなんだし、手くらい繋いだ方が良いのかな?)

澪梓 もじもじ、もじもじ

澪梓(だ、駄目だ。手が繋げない)

澪梓(カラオケボックスに着いてしまった…)

131: 2012/05/01(火) 09:05:44.15 ID:HAsy3WFvo
カラオケBOX

澪「取りあえず2時間で良い?」

梓「そうですね」

澪「梓、先歌うか?」

梓「あ、澪先輩先にどうぞ」

澪「そうか?じゃ」

澪「花は恥らうもの 鳥はさえずるもの♪」

澪先輩の歌声は、本当に綺麗だ。

聴いていて心地よい。

思わず聞き入ってしまう。

梓「澪先輩やっぱり上手いですね」ぱちぱち

澪「そうか?照れるな///」

132: 2012/05/01(火) 09:11:12.82 ID:HAsy3WFvo
澪「次、梓だぞ」

梓「あ、曲決めてなかったです」

澪先輩の後だと歌いづらいな。

私が先に歌えば良かった。

よし、これにしよう。

梓「Who 求められているのは どんなキャラですか?♪」

澪「梓も上手くなってきたよ」ぱちぱち

梓「そうですか?ありがとうございます」

澪「でもさ、もうちょっと腹式呼吸意識して歌ってみて?もっと良くなると思う」

梓「はい」

133: 2012/05/01(火) 09:14:00.81 ID:HAsy3WFvo
澪「力抜いて、リラックスして」肩揉み揉み

梓「ふにゃっ///」

梓「何か、特訓始めたばかりの頃を思い出しますね」

澪「そうだな」

澪「あ!じゃあ」

なでなで

梓「わ///」

澪「私が後ろからお腹に手を当ててるから、それで歌ってみて」

梓「はい///」

澪「あの時、それで上手くできる様になったからな」

134: 2012/05/01(火) 09:17:12.46 ID:HAsy3WFvo
梓「なんでなんでハグされたら途端にちから抜けちゃうんです♪」

梓「日なたみたいな体温が好きです 柔らかな人肌弱いんです♪」

澪「そうそう、良い感じだ」

いつの間にか、澪先輩と自然に接する事が出来る様になっていた。

告白する前の雰囲気に戻れたかな?

私と澪先輩を繋いでくれるのは、やっぱり音楽。

梓「次、デュエットしません?」

澪「良いね」

澪梓「AH-♪」

澪「上手くハモれたな」

梓「はい」

135: 2012/05/01(火) 09:19:55.92 ID:HAsy3WFvo
―――――

澪「んー、結構歌ったな」

梓「延長して3時間も歌っちゃいましたね」

澪「この後、どうしよっか?」

澪先輩の問いかけにハッとなる。

そうだ、この後どうしよう?

しまった。予定立てておけば良かった。

カラオケ終わってバイバイじゃ、余りにも寂しすぎる。

しばし、二人で佇んでしまう。

澪「!」

澪「そうだ、そこのファンシーショップ行かない?」

梓「あ、良いですね。行きましょう」

澪(今日のラッキースポットだからな)

136: 2012/05/01(火) 09:24:13.72 ID:HAsy3WFvo
ファンシーショップ

澪「うわー、可愛い物がいっぱいある」

澪先輩は、キラキラと目を輝かせている。

オモチャ屋に連れられてきた子供みたい。

普段のクールな澪先輩とは大違いだ。

澪「ほら、梓これとか可愛いよな」

梓「可愛いですね」くすくす

澪「どうしたんだ?」

梓「澪先輩がそんなにはしゃぐなんて珍しいなと思って」

澪「あ…///」

澪「律と一緒に、こういう所来ると冷やかされるんだよ///」

澪「澪に可愛い物は似合わないって」

梓「そうなんですか」

澪「でも、梓とだったら大丈夫だから、ついはしゃいじゃって///」

梓「じゃあ、今日は沢山はしゃいじゃって下さい」

澪「うん///」

137: 2012/05/01(火) 09:28:38.17 ID:HAsy3WFvo
澪「この猫のぬいぐるみ梓みたいだな」

梓「そうですか?」

澪「よーしよし、なでなでゴロゴロ」

梓「ぬいぐるみじゃなくて、私にして欲しいな」ぼそっ

澪「え?」

梓「あ///」

しまった、つい思った事を口に。

澪「して上げようか?///」

梓「あの、その///」

梓「……して欲しいです///」

澪「おいで」

梓「はい///」

澪「よーしよし、なでなでゴロゴロ」

右手で頭なでなでされながら、左手で喉ゴロゴロされる。

138: 2012/05/01(火) 09:31:43.48 ID:HAsy3WFvo
梓「にゃー///」

思わず、猫みたいな鳴き声出しちゃった。

澪先輩の喉ゴロゴロは、ツボを得てると言うか、テクニシャンとでも言うのか

くすぐったい様な気持ちいい様な絶妙な感覚。

梓「にゃあっ///」

また猫みたいな声出しちゃった。

店員 ジー

澪梓「はっ!!///」

澪「こ、このビーズのアクセサリー可愛い。買おうっと」

梓「わ、私、こっちのストラップ買います」

ふう、何とか誤魔化せた?

139: 2012/05/01(火) 09:33:13.36 ID:HAsy3WFvo
澪「このヘアゴム可愛いな」

梓「澪先輩、似合いそうですね」

澪「そうか?梓にも似合いそうだぞ?」

梓「そうですか?」

澪「あ!じゃお揃いで買おうっか?」

梓「お揃い、良いですね。買いましょう」

澪「これ下さい」

梓「あ、お金」

澪「良いんだよ。私の奢り」

梓「良いんですか?ありがとうございます」

140: 2012/05/01(火) 09:35:45.70 ID:HAsy3WFvo
一端ここまで、夜にまた更新します。

144: 2012/05/01(火) 20:04:30.58 ID:HAsy3WFvo
―――――

澪「結構買っちゃったな」

梓「あそこでタイ焼き売ってますよ!」

澪「梓タイ焼き好きだったな」

梓「買って食べましょうよ」

澪「うん」

澪「そこの公園のベンチで食べよ」

梓「はい」

梓「私、何か飲み物買ってきますね。ヘアゴムのお礼です」

澪「悪いな」

梓「紅茶買ってきました」

澪「ありがとう」

パキッ

澪梓 くぴくぴ

145: 2012/05/01(火) 20:06:22.98 ID:HAsy3WFvo
さっきは、手を繋げなかったけどベンチで寄り添うくらいなら…

タイ焼きを食べながらズリズリと、澪先輩の方に身体を寄せる。

寄り添い、寄り添い。

腕と腕が軽く触れあう位まで近づく。

ああ、でも私にはこれが限界。

ずりずり。

あ!澪先輩も身体寄せてきた。

腕と腕、脚と脚が密着する。

澪先輩の体温が伝わってくる。

ベンチでこうやって寄り添ってたら恋人に見られるかな?

146: 2012/05/01(火) 20:10:15.16 ID:HAsy3WFvo
向かいのベンチに座ってる女の子達の会話が聞こえてくる。

女1「あそこのベンチに座ってる二人、姉妹かな?」

女2「似てるし、きっとそうだよ。寄り添ってて微笑ましいね」

梓(似てるって言われたのは嬉しいけど、恋人じゃなくて姉妹に見えるんだ)しゅん

澪「……」

抱きっ

澪先輩は私の肩を抱き寄せてきた。

梓「え?///」

澪「せっかくのデートだし、良いだろ?///」

梓「はい///」

女1「あ、肩抱いてるし姉妹じゃなくて恋人だね」

女2「そうだね、お似合いの二人だね」

梓「えへへ///」

147: 2012/05/01(火) 20:13:43.06 ID:HAsy3WFvo
梓「そう言えば澪先輩は、本当にタイ焼きは、えら蓋から食べるんですね」

澪「う、うん。やっぱ変かな?」

梓「変ですよ」くすくす

澪「笑ったな。梓のタイ焼きのえら蓋も私が食べてやる」ぱくり

梓「じゃあ、私尻尾派なんで澪先輩のタイ焼きの尻尾食べちゃいます」ぱくり

女1「タイ焼き食べさせあいしてる」

女2「イチャ付きすぎだよ」

澪梓 ///

女の子二人組は間もなく居なくなり、公園には私と澪先輩だけになった。

148: 2012/05/01(火) 20:20:25.52 ID:HAsy3WFvo
梓 ブルッ

梓「すいません、私ちょっとトイレ行ってきます」

澪「ああ、行っておいで」

澪先輩が、肩抱いてくるなんて。

ちょっとは、私の事意識してくれてるのかな?

澪「ちょっと大胆すぎたかな?///」

澪「ふー、喉が渇く」くぴくぴ

梓「ただいま…」

梓「あの、澪先輩…」

澪「何だ?」

梓「澪先輩が飲んでるの、私のです///」

澪「え!?」

149: 2012/05/01(火) 20:26:24.47 ID:HAsy3WFvo
梓「私の方、缶が凹んでたんで」

澪「ご、ごめんな。同じのだから間違えちゃった///」

澪「どうしよう?結構飲んじゃったし、私が最初飲んでた方と交換する?」

梓「え?あ、はい///」

梓 くぴくぴ

梓「間接キスですね///」

澪「そうだな///」

梓「イヤじゃないですか?私と」

澪「ううん、イヤじゃないよ」

梓「良かった///」

澪「あ、梓タイ焼きのあんこ付いてるぞ?」

梓「え?どこですか?」

ほっぺたを手でぺたぺたと触る。

澪「取って上げる」

ひょい、ぱくっ

梓「あ、ありがとうございます///」

150: 2012/05/01(火) 20:29:53.31 ID:HAsy3WFvo
澪先輩に寄り添い、話しかける。

梓「今日は楽しかったです」

澪「私もだよ」

澪「梓と二人で過ごす時間が、こんなに楽しかったなんて」

梓「澪先輩…」

梓「う、ふぇぇ…」

澪先輩のその言葉を聞いたら、自然と涙がこみ上げてきた。

澪「どうしたんだ?」

突然泣き始めた私を見て、澪先輩も驚きを隠せない様だ。

梓「ぐすっ、だっで嬉しくて」

澪「え?」

151: 2012/05/01(火) 20:33:49.83 ID:HAsy3WFvo
梓「もう澪先輩と、こうやって普通に話せないんじゃないかって思ったりしてたから」

必氏に堪えようとしても、涙が溢れてくる。涙が止まらない。

泣き顔を見られまいと。顔を伏せる。

澪「梓…」

澪「ごめん、ごめんな」

澪「私が素っ気ない態度取っちゃってたせいで、梓にそんな思いさせてたなんて」ぐす

あれ?澪先輩も泣いてる?

澪「梓、こっち見て」

私が澪先輩の顔を見るとやはり、眼には涙が浮かんでいた。

今にもこぼれ落ちそうなのを堪えてるみたいだ。

澪先輩は、私の涙を指で拭ってくれた。




152: 2012/05/01(火) 20:36:10.37 ID:HAsy3WFvo
澪「ほら、笑って」

そう言い、微笑みかけてくる。自分も泣きそうなのに。

梓「はい」

澪先輩の笑顔を見ると、自然と笑みがこぼれる。

澪「良かった。梓が笑ってくれた」

少しかすれた声で喜びを表した後、ポ口リと澪先輩の眼から涙がこぼれ落ちた。

澪「あれ?おかしいな。今度は私が」ぐす

梓「澪先輩…」

澪「梓…」

ぐいっ

梓「え?」

突然、澪先輩に抱き寄せられる。

153: 2012/05/01(火) 20:40:15.63 ID:HAsy3WFvo
澪「梓に、私の弱い所見られたくないから」

澪「しばらく顔伏せててくれ」

梓「はい///」

少し震えている、澪先輩の身体。

温かくて柔らかい胸に顔を埋めたまま、しばしの時間が過ぎた。

ブルブルブル

澪先輩の携帯が着信を告げ、ブルブルと震えた。

澪「あ、ごめん。ママからだ。ちょっと外すな」

梓「はい」

私が身体を離し顔を見ると、そこにはいつもの澪先輩の顔があった。

澪「もしもし、うん。え?今?」

澪「しょうがない、分かった。今から帰るよ」

澪「ごめん、梓。急に用事が出来ちゃってさ」

梓「そうなんですか。でも仕方ないですね」

澪「今日は、本当に楽しかったぞ」

梓「私もです」




154: 2012/05/01(火) 20:44:54.40 ID:HAsy3WFvo
―――――

今日のデートで、告白した後の気まずい雰囲気は無くなった。

私が告白する前の、自然な関係に戻れた。

澪先輩も、私とのデート楽しかったって言ってくれたし

二人の距離縮まったよね?

後はここから、いかにして距離を詰めていくか。

ああ、でもライブも近いし練習もしなくちゃ。

今は、目の前のライブを成功させる事に専念しよう。

そして、ライブが終わったら……

155: 2012/05/01(火) 20:47:26.41 ID:HAsy3WFvo
澪side

布団に潜り、梓の事を思い浮かべる。

梓は真面目で、練習熱心で、良くできた後輩。

でも、可愛くて守って上げたくなる感じで

私にとって、妹みたいな感じだった。

この前告白された時は、正直ビックリしたけど。

今日一日を振り返ってみて。

凄く楽しかったし。

私、梓の事……

156: 2012/05/01(火) 20:49:43.69 ID:HAsy3WFvo
次の日

今日は、澪先輩とお揃いで買ったヘアゴムしてきたんだ。

私が付けてるの見たら喜んでくれるかな?

ガチャッとドアが開き、先輩達が部室に入ってくる。

あっ!澪先輩がポニーテールにしてる。もしかして……

澪先輩がくるりと振り向き、私に後ろ姿を見せる。

やっぱり!お揃いのヘアゴム付けてくれてる。

わざわざポニーテールにして、付けてきてくれたんだ。

私も、澪先輩に後ろ姿を見せる。

澪先輩がニコリと笑いかけてくれる。

私も、微笑み返す。


157: 2012/05/01(火) 20:52:28.59 ID:HAsy3WFvo
律「お前ら何、アイコンタクト取ってるんだよ?」

梓「な、何でもないです///」

唯「そう言えば、澪ちゃんが普段からポニーテールにしてるのって珍しいね」

澪「え?ああ、ちょっとした気分転換でな」

唯 ジーッ

梓「なんですか唯先輩?私の事ジーッと見つめて」

唯「澪ちゃんとあずにゃんのヘアゴムお揃いだね」

澪梓「あ///」

律「お、本当だ」

紬「あらあら、随分仲が良いわね」

紬(デート上手くいったのね)

澪「ほう!偶然だな梓。同じヘアゴムとは」

梓「そ、そうですね。偶然ですね澪先輩」

澪「それより、練習だ」

梓「そうですよ、練習しましょ」





158: 2012/05/01(火) 20:56:06.44 ID:HAsy3WFvo
次の日

律「さあ、お昼だ!食べようぜ」

澪「私、梓とお昼ご飯食べる約束してるんだ」

律「そうなんだ」

澪「じゃあな」

唯「最近、あの二人仲良いよね」

紬「喜ばしいわね」

律「……」


放課後

律「あのさ、ちょっと話があるんだけど」

澪「何だ?」

律「…ここじゃちょっとな。人目のない所行こうぜ」

澪「ああ、良いけど」

164: 2012/05/02(水) 08:59:19.40 ID:Qia3izneo
………

律「一応聞いておきたいんだけど」

澪「何だ?」

律「梓と(H)したの?///」

澪「ええ?何で梓と(デート)した事知ってるんだよ?///」

律(やっぱHしてたのか)

律「風の噂に聞いてな」

澪「誰かに見られたかな?」

律「で、どうだった?」

澪「何だ、律も興味あるのか?」

律「そりゃ、私も年頃だし///」

165: 2012/05/02(水) 09:04:20.34 ID:Qia3izneo
澪「まあ、最初はお互いぎこちなかったけど」

律「ほう…」

澪「私が年上だからリードしてやろうかと思って」

律「へえ…」

澪「でも、何だかんだ言って梓にリードされてたかも」

律(あの工口猫)

澪「結局三時間くらい(カラオケ)しちゃって」

律「さ、三時間?!」

澪「何だかんだで楽しかったよ」

律「一人でするのとは、やっぱ違う?///」

澪「え?まあ、やっぱり一人で(カラオケ)やるより二人の方が断然気持ちよかったよ」

律「へー、そうなんだ」

澪「小道具とか使うと結構盛り上がるしな」

律「小道具///」

澪「澪先輩、上手いですね。なんて言われると照れちゃうよな」

律(このテクニシャンめ)



166: 2012/05/02(水) 09:06:09.01 ID:Qia3izneo
律「ちなみに、どうやって誘ったんだ?」

澪「何だ律も(デート)したい相手居るのか?」

律「ま、まあな///」

澪「私はストレートに誘ったけど。しませんか?って」

律「うわ、ストレートすぎるだろ///」

澪「そうか?下手に遠回しに誘うより全然良いだろ」

澪「梓もすぐOKしてくれたし」

律「そういうもんか。参考になったぜ」

澪「変な奴」

167: 2012/05/02(水) 09:19:22.32 ID:Qia3izneo
―――――

澪「もうちょっとメリハリ付けて歌ってみて」

梓「はい」



澪「そこは、ビブラート利かせると良いかも」

梓「こうですか?」

梓「~~♪」

澪「そうそう、上手い上手い」

ライブまで、澪先輩との特訓が続いた。

昼休みや、放課後も二人で居る時間が多くなった。

でも、先輩後輩の関係から恋人への壁は越えられずにいた。

もどかしい日々。

もう少しの我慢だ。ライブが成功したら、その後に……






168: 2012/05/02(水) 09:21:34.30 ID:Qia3izneo
―――――

梓「ふわふわターイム♪」

律「どうしたんだ梓の奴?ここ最近、見違える様に上手くなったぞ?」

梓「ふっふっふ。もう律先輩は、超えましたかね?」

律「何を?!」

紬「澪ちゃんとの特訓の成果ね」

唯「明日のライブ大丈夫そうだね」

澪「これなら、安心だな」

梓「はい、頑張ります!」

169: 2012/05/02(水) 09:28:06.64 ID:Qia3izneo
その日の夜

From:澪先輩
Sub:いよいよだな

明日は、頑張れよ。
練習通りやれば絶対成功するから。
おやすみ


頑張りますとも。

澪先輩との特訓の成果を見せて上げます。

170: 2012/05/02(水) 09:32:18.10 ID:Qia3izneo
いよいよ、ライブ当日

澪「おはよう梓」

梓「澪先輩、おはようございます」

澪「昨日は、よく眠れたか?」

梓「はい、澪先輩のメールの後ぐっすりでした」

澪「良かった。緊張して眠れないんじゃないかと思って心配してた」

本当は、気持ちが昂ぶっちゃってほとんど寝られなかったんだけど。

今まで何度もライブ経験したけど、それはギターだったし。

ボーカルやるのとでは、訳が違う。

ぶるぶる

脚が震えてる?

いや、これはきっと武者震い。

そう自分に言い聞かせる。

171: 2012/05/02(水) 09:34:45.53 ID:Qia3izneo
……

律「そろそろ、最後の打ち合わせ始めるぞ」

唯「あずにゃんは?」

紬「さっきトイレ行ったわよ」

澪「ちょっと見てくるよ」



澪「あっ梓、もうすぐ打ち合わせ始まるぞ」

梓「澪先輩…」

澪「どうしたんだ?」

梓「身体の震えが止まらないんです」

澪「私も初めてボーカルやった時は震えてたよ」

梓「ライブ前に、こんな事初めてです」

澪「大丈夫だ、落ち着け」

ぎゅっ

澪先輩が私の手を握ってくれる。

梓「はい」

ぶるぶる、ぶるぶる

それでも私の震えは止まらない。

172: 2012/05/02(水) 09:37:09.85 ID:Qia3izneo
澪「大丈夫、大丈夫だ」

澪先輩は、両腕で私を抱き込んでくれた。

暖かくて、柔らかい澪先輩の身体。

全てを癒してくれる様な優しい温もり。

ブルブル……

震えが、止んだ。

澪「もう大丈夫だな」

身体が離れる。

梓「ありがとうございます」

澪「行こう」

梓「はい」




173: 2012/05/02(水) 09:39:38.04 ID:Qia3izneo
唯「あっ、あずにゃん来たよ」

梓「お待たせしました」

律「随分長いトイレだったな。便秘か?」

梓「違います!///」

唯「キレが悪かっただけだよね?」

梓「それも違います!///」

紬「間違えて男子トイレに入って、出るに出られなくなったのよね?」

梓「ムギ先輩も!」

澪「実は、紙が無かったんだ」

梓「澪先輩まで!」

ふふふ、分かってますよ。

私の緊張をほぐすために、こうやって冗談言ってくれてるんだ。


174: 2012/05/02(水) 09:43:49.74 ID:Qia3izneo
紬「はい、梓ちゃんの分のお茶。ジャスミンティーよ」

梓「ありがとうございます」

ごくごく

このお茶良い香りで、気分が落ち着くな。

律「じゃあ曲目確認しておくぞ」

律「まず、唯ボーカルで、ご飯はおかずと、かれーのちライス」

律「続いて澪ボーカルで、五月雨20ラブと、ときめきシュガー」

律「最後に、梓ボーカルで、筆ペンボールペンと、ふわふわ時間だ」

律「MCは唯がやってくれるから、梓は歌うだけで良い」

律「梓が歌う頃には、客席も温まってるから大丈夫だ」

梓「はい」

唯「そう言えば、ライブが成功した時のご褒美は決まった?」

紬「あ、そう言えば」

梓「ええ、一応決まりましたけど」

澪「何々?」

175: 2012/05/02(水) 09:45:47.64 ID:Qia3izneo
梓「そう言う話は、ライブが成功してからにしましょうよ///」

律「ああ、そうだな」

唯「そうだね」

私が望むライブが成功した時のご褒美、それは…

澪先輩と、もう一回デート。

皆の前では、大きなケーキが食べたいって言う事にしておいて、後でこっそり澪先輩にお願いするんだ。

そして、デートの終わりにもう一度告白する。

今度こそ。

「そろそろスタンバイして下さい」

唯澪梓律紬「はい!」


176: 2012/05/02(水) 09:47:48.95 ID:Qia3izneo
……

ステージ上から客席を見渡す。

うわー、客席一杯だ。

憂に純、和先輩にさわ子先生も居る。

ここで歌うのか。

唯「放課後ティータイムです」

唯先輩のMCを挟み、いよいよライブが始まる。

唯「1・2・3・4・ご飯!!」

唯先輩の煽りで客席が盛り上がる。

既に客席は十分すぎるほどに温まっている。

これだけ、堂々と歌いこなせる度胸が私にもあれば。

177: 2012/05/02(水) 09:50:28.98 ID:Qia3izneo
続いて、澪先輩のボーカル。

客席の一部で黄色い歓声が上がる。

チラホラと見た事有る顔が、ファンクラブの人達だ。

やっぱり澪先輩の人気は凄い。

澪「虹を描く筆は この胸にあるよ♪」

澪先輩は唯先輩と違い、動いたり煽ったりのパフォーマンスはない。

淡々と歌い聞かせる。

正に静と動のボーカル。

178: 2012/05/02(水) 09:52:28.96 ID:Qia3izneo
唯「続いては、後輩のあずにゃんボーカルで、筆ペンボールペンです」

いよいよ、私の番だ。

ドキドキ、ドキドキ

あれ?心臓の音って、こんなにうるさかったっけ?

ぶるぶる

止まったはずの震えがまた…

唯「あずにゃんは、これが初めてのボーカルなんですよ」

唯「今日のために澪ちゃんと色々特訓して」

唯「あ、澪ちゃんって言うのは、さっき歌ったベースの」

律「唯、MCさっさと終わらせろ」

唯「すいません」

客席からドッと笑いが起きたみたいだけど、今の私はそれどころじゃない。


179: 2012/05/02(水) 09:55:01.90 ID:Qia3izneo
唯「では改めまして、筆ペンボールペン」

律「1・2・3」

梓「……」

声が……出ない!

律(おい梓!)

紬(梓ちゃん!)

唯(あずにゃん!)

澪「!」

澪「ふるえる FUFU♪」

澪先輩がとっさにフォローしてくれる。

何とか途中から歌う事が出来たが、練習の時とは程遠いボロボロの内容だった。

私のボーカルデビューは、ほろ苦い物となった。


185: 2012/05/03(木) 09:10:51.68 ID:lk5U7UhBo
筆ペンが終わり、MCは挟まずにラストのふわふわが始まる予定だけど

今の状態じゃ、とてもじゃないがまともに歌えない。

頭の中が真っ白だ。

澪「~~~♪」

梓律唯紬「?」

律「澪のベースソロなんて予定にないぞ?」

予定には無いベースソロを突然弾き始めた澪先輩に、私達は困惑する。

澪先輩が、眼で何か合図を出している。

律「!」

澪先輩の意図に気付いた律先輩が私達をステージから降りる様に誘導する。

186: 2012/05/03(木) 09:12:47.66 ID:lk5U7UhBo
梓「?」

事態が飲み込めないまま、私はステージを降りた。

ただ一人、ベースソロを弾く澪先輩を残して。

梓「あの、何で澪先輩がベースソロを?」

律「澪がベースソロで時間稼ぎしてる間に決めてくれって事だろ」

梓「え?」

律「今の内に気分を落ち着けて、梓がふわふわを歌うのか」

律「それとも澪か唯に変わってもらうのか」

梓「あ!」

187: 2012/05/03(木) 09:15:01.61 ID:lk5U7UhBo
律「澪のベースソロも、そんなにもたないぜ」

律「そろそろ、あいつ沸騰するぞ」

あの恥ずかしがり屋の澪先輩が一人、ステージでベースソロを弾いてくれてるんだ。

重圧は相当なものだろう。

梓「……」

梓「私に歌わせて下さい!」

この歌だけは、ふわふわだけは絶対に歌いたかった。

澪先輩に告白するきっかけになった、この歌。

梓「もう大丈夫です。戻りましょう」


188: 2012/05/03(木) 09:18:06.91 ID:lk5U7UhBo
ステージに戻り、澪先輩と眼が合う。

ペコリと頭を下げる。

澪先輩は、ホッとしたような顔で私に微笑みかけてくれた。

唯「澪ちゃんのベースソロでした」

唯「では最後に、ふわふわ時間」

澪先輩、聴いてて下さい。

貴女の事を想って一生懸命歌いますから。

律「1・2・3」

梓「キミを見てると いつもハートDOKI☆DOKI♪」

澪(梓…これなら大丈夫だな)

梓「揺れる思いは マシュマロみたいにふわ☆ふわ♪」

律(心配かけやがって)

梓「いつもがんばる キミの横顔 ずっと見てても気づかないよね♪」

唯(あずにゃん頑張れ)

梓「夢の中なら 二人の距離縮められるのにな♪」

紬(愛の力ね)

208: 2012/05/03(木) 15:31:08.22 ID:lk5U7UhBo

梓「ふわふわ時間♪」

澪「ふわふわ時間♪」

梓「ふわふわ時間♪」

澪「ふわふわ時間♪」

やった、歌いきった。

客席から拍手が起こる。

何とも言えない、心地良さ。

梓「ありがとうございました」

盛大な拍手に包まれ、私達はステージを降りた。


楽屋

澪「あそこから良く頑張ったな梓」

律「大したもんだぜ」

梓「ありがとうございます」

梓「あれれっ」がくがくっ

澪「おっと大丈夫か?」

梓「何か緊張の糸が解けたのか、急に脚の力が抜けちゃって」

律「脚が生まれたての鹿みたいになってるぞ。そこのソファー座って休んでろ」

紬「澪ちゃん、付き添って上げて」

澪「うん」

唯「私達、他のバンドのライブ観てるからゆっくりしてて良いよ」

バタン

190: 2012/05/03(木) 09:27:26.14 ID:lk5U7UhBo
澪「しばらく私に寄り添ってて良いぞ」

梓「はい///」

梓「フォローしてくれてありがとうございました」

澪「良いんだよ。梓のピンチなら何時でも私が助けてやる」

梓 ///

澪「そうだ、ライブが成功した時のご褒美は何が良いんだ?」

梓「でも、半分は失敗しちゃったから」

澪「頑張ったんだ。特別だ」

梓「じゃ、じゃあ。あの…」

梓「もう一回私とデートして下さい」

梓「一回だけで良いんで」

澪「…駄目だ。そのお願いは聞けないな」

191: 2012/05/03(木) 09:31:45.96 ID:lk5U7UhBo
梓「そう、ですか……」

澪「一回じゃ嫌だから」

梓「え?」

澪「私は、もっともっと梓とデートしたいから一回じゃ嫌なんだ」

梓「それって…」

澪「ずっと返事、保留にしちゃってて。本当は、もっと早く伝えたかった」

澪「梓がライブ頑張ったから、私も頑張って気持ちを伝えるから」

澪「良く聞いててくれ」

梓「はい」

澪「……私が見てるとハートドキドキするのは梓だったみたいだ」

澪先輩、何という気持ちの伝え方。

梓「澪先輩らしい告白ですね」くすくす

澪「そ、そうか?これでも色々考えたんだぞ///」

梓「でも嬉しいですよ」

192: 2012/05/03(木) 09:36:08.48 ID:lk5U7UhBo
澪「そう言う訳で、ご褒美は他のにしてくれ」

梓「…えーとじゃ、甘えさせて下さい///」

澪「そんなので良いのか?」

梓「はい」

澪「甘えるってどうしたい?」

梓「膝枕して欲しいです」

澪「良いよ」

膝をポンポンと叩き、私を招く。

梓「いざ、してもらうとなると結構照れくさいですね///」ごろん

梓「澪先輩の膝枕、気持ち良い」

澪「そうか?」

193: 2012/05/03(木) 09:39:56.90 ID:lk5U7UhBo
梓「ねえ澪先輩?」

澪「なんだ?」

梓「私、素直じゃないって良く言われるんですよ」

澪「そうなのか?そんな風に感じないけどな?」

梓「それは、澪先輩の前だと素直になれるからなんです」

梓「本当の自分がさらけ出せるんです」

梓「こんな風に、素直に自分の気持ちを言えたり、甘えられるのは澪先輩だけです」

梓「ずっと、こうやって澪先輩に甘えたかった」

澪「ごめんな、気持ちに気付かなくって」

梓「良いんですよ。願いが叶ったんだから」

澪「今までの分を取り返すくらい、これから愛し合おう」

梓「澪先輩、恥ずかしい台詞ストレートに言いますね///」

澪「恥ずかしいか?」

194: 2012/05/03(木) 09:42:26.91 ID:lk5U7UhBo
私は膝枕の体勢からずりずりと身体を上方に動かす。

梓「んしょんしょ」ずりずり

澪「?」

澪先輩の膝まで自分の腰が来たら、上体だけ起こす。

いわゆる膝上抱っこの体勢。

梓「ギューッてして下さい」

澪「うん」

ギューッ

梓「澪先輩の身体、温かい」

澪「梓の身体も」

195: 2012/05/03(木) 09:45:26.59 ID:lk5U7UhBo
澪「あの、私からも梓に甘えてみたいんだけど良いかな?///」

梓「え?良いですよ」

澪「普段は皆に頼られる事の方が多いけど、私も誰かに甘えたかったんだ」

梓「今は、存分に甘えて下さい」

澪「うん」

澪「梓っ」

澪先輩は、私のほっぺたにほっぺたをすり寄せてくる。

すりすり

澪「梓~」

すりすり

無邪気な子供みたいに甘えてくる澪先輩は可愛い。

髪からシャンプーの仄かな香りが漂ってくる。

ほっぺたは、ぷにぷにだ。

しばらくして、顔が離れる。

澪「今のことは、絶対みんなには言わない様に///」

梓「言っても信じてもらえないでしょうけどね」

澪「そうかもな///」

196: 2012/05/03(木) 09:46:50.83 ID:lk5U7UhBo
しばし、お互い見つめ合う。

この雰囲気なら、おねだりしたらしてくれるかな?

梓「キスして下さい///」

澪「キス///」

梓「駄目ですか?」

澪「駄目じゃないけど、心の準備が///」

梓「ほっぺたでも良いです」

澪「あ、ほっぺたなら」

梓「じゃあ」

澪「見つめられると照れるから眼つぶってくれ」

梓「はい」ぎゅっ

ちゅっ

ほっぺたに温かくて柔らかい感触。

梓「えへへ」

澪「ふふふ」

197: 2012/05/03(木) 09:48:34.93 ID:lk5U7UhBo
梓「今度はお返しに私がします」

澪「え?あ、うん」

梓「あの、眼つぶって下さい///」

澪「う、うん///」ぎゅっ

澪先輩の肩に手をかけ、顔を近づける。

でも私が目指すのは、ほっぺたじゃなく…

ちゅっ

澪「ふぇっ?」ぱちくり

驚いて眼を開けた澪先輩と眼が合う。

澪「ええ?ほっぺたじゃなかったのか?」

198: 2012/05/03(木) 09:50:58.94 ID:lk5U7UhBo
梓「私は、ほっぺたなんて言ってませんよ///」

澪「もう///」

澪先輩は、真剣な顔で私をジッと見てくる。

あれ?怒っちゃったかな?

突然、私のほっぺたを両手で挟み込んだかと思うと

澪「イタズラ子猫にお仕置きだ」

ちゅっ

梓「んんっ」

温かくて柔らかい舌が、私の口内に入ってきた。

初めてのベロチューに少し戸惑ったけど、私も舌を絡ませた。

澪梓「んん、ちゅっ、ちゅぱっ」

澪梓「ん……ちゅ…ちゅっ……はふ……ちゅむ」

ゆっくりと唇が離れる。

梓「お仕置き、もっとして欲しいです///」

澪「その台詞だけ聞くと変態みたいだぞ」

梓「あはは、そうですね」

梓「もう一回ギューッてして下さい」

澪「何回でもして上げる」

ギューッ

梓「私、今凄く幸せです」

澪「私もだよ」

この日は、私のボーカルデビュー、そして澪先輩と恋人になった忘れられない日となった。


おしまい

199: 2012/05/03(木) 09:53:00.94 ID:lk5U7UhBo
おまけ


その頃、律は

律「あ、あのさ唯。私とHしない?///」

唯「へ?///」

200: 2012/05/03(木) 09:55:03.12 ID:lk5U7UhBo
コメくれた方、ありがとうございました。
律ちゃんは、最後まで勘違いしてましたねww

202: 2012/05/03(木) 11:15:54.41 ID:QIsUoSFzo


何時もこういう話で相談役ばかりのムギも幸せにしてほしい・・

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