1: 2016/02/03(水) 12:15:33.99 ID:LcGrK6Fc0
錦山「殺っちまった…東城会の大幹部を…!」

桐生「錦…由美を連れて逃げろ…」

錦山「何言ってるんだよ…お前こそ由美を連れて逃げろ!」

桐生「次の手術が最後なんだろう?お前がそばにいてやらないで誰が…」

錦山「桐生!…俺もヤクザの端くれだ…自分のケジメぐらい自分でつけさせろ!」

桐生「錦…」

錦山「妹の事を頼んだ…あいつのことを何としても助けてくれ!」

桐生「分かった…心配するな。必ず、妹を助けてみせる…」

錦山「そろそろサツが来る!桐生頼んだぞ!行けっ!」

3: 2016/02/03(水) 12:24:35.94 ID:LcGrK6Fc0
一週間後 堂島組本部

ヤクザ「ったく錦山の野郎!無能な癖して組引っ掻き回しやがって!」

ヤクザB「本当っすねぇ…流石の風間の親父も弁護のしようがないですね…あの桐生だったらまだしも…錦山じゃ助ける価値すらないですもんね。」

幹部「まぁ…錦山はシャバから出たとしても元堂島組の連中に刺されてしまいだろう…」

ヤクザ「いやいや…あんな奴、すぐに忘れられますって…?風間の親父だって桐生さえいればどうでもいいんじゃないですかね?」

ヤクザB「違いねぇな…」

幹部「でもよぉ堂島の親父が襲った女は桐生の馴染みなんだろう?もしかしたら桐生が殺った可能性もあったんじゃねぇか?」

ヤクザ「だとしても桐生の事ですから、どうにかなるでしょう…まぁ錦山の場合、ムショで掘られて自殺が関の山かもしれないですね。」

幹部「おう桐生いたのか…丁度お前と錦山の事話してたんだよ…!」

桐生「錦山の事を随分悪く言っていた様だが、アンタらだって大差ないぜ?」

幹部「あぁ?テメェ今、何て言いやがった!?」

4: 2016/02/03(水) 12:33:15.59 ID:LcGrK6Fc0
桐生「言葉の通りだ。アンタらの言う錦山と同じ外道だって事だ。」

幹部「テメェ、風間の親父の子飼いだと思って下手に出てりゃ!」

桐生「丁度いい機会だ…この先、アンタらに好き勝手させない様に少し痛い目にあってもらうぜ!」

10分後

幹部「こ、こいつ…」

桐生「どんな外道だろうが、俺にとって錦山は兄弟分だ…その兄弟分をバカにされて黙ってられる程、俺は大人じゃねぇ」

幹部「くっ!」

桐生「次はねぇぞ?俺の前で錦山の事をバカにするんじゃねぇ。」


6: 2016/02/03(水) 12:43:31.90 ID:LcGrK6Fc0
セレナ

麗奈「そんな錦山くん逮捕されちゃったの!?」

桐生「すまん…俺がもっと早く行っていればこんな事には…」

麗奈「錦山くんはどのぐらいで出てこれるの?」

桐生「早くても10年だ…長ければ15年だ。」

麗奈「桐生ちゃん、錦山くんの事どうにかして助けてあげられなかったの!?」

桐生「すまない…」

麗奈「由美ちゃんは…今どうしてるの?」

桐生「親っさんの信頼出来る人間に預けている。心配はいらない。」

麗奈「そう…ねぇ桐生ちゃん、私は何時まででも錦山くんを待つつもりでいるよ。」

桐生「俺もだ…あいつが娑婆に出た時の居場所を作るために俺も頑張るつもりだ。」

麗奈「また4人で笑える日は来るよね?」

桐生「来るさ…きっとな。」

9: 2016/02/03(水) 16:59:21.36 ID:LcGrK6Fc0
風間組事務所

桐生「柏木さん…本当に俺が組を持つんですか?」

柏木「今更何を言ってる。親父はもうそのつもりで動いている。何を迷っているんだ?」

桐生「いえ…ただ自分は本当に組長の器なんでしょうか?」

柏木「フッ、当たり前じゃねぇか。お前にその器がねぇって言うなら親父だってお前に組を任せる訳がない。それに俺だって反対していたはずだ。」

桐生「ありがとうございます。」

柏木「お前は少し自分を小さく評価し過ぎている。お前が小さい男なら堂島の龍だなんて到底言われるはずがねぇ。」

桐生「柏木さん、ひとつ聞きたい事があります。」

柏木「何だ?言ってみろ。」

桐生「錦の奴が出所して来たら、俺の組に迎え入れてもいいんでしょうか?」

柏木「フッ、やはりそう来たか…親頃しを堂島組が主体として出来ている風間組で引き取るわけには行かねぇ。となると…あとは分かるな?」

桐生「もしかして親っさんはそれを見越していたんですか?」

柏木「さぁな…ただ親父は錦山に手出し出来ない様に三代目に掛け合っている所だ。」

10: 2016/02/03(水) 17:05:56.45 ID:LcGrK6Fc0
柏木「ただなぁ桐生…少し厳しい事を言うがお前はシノギに関しては錦山やほかの奴に劣っている…」

桐生「はい…重々承知しています。」

柏木「だが今の時代の極道は金を稼いでナンボだ。そこでウチから腕利きの奴を何人かお前に預ける。それでシノギについて勉強してくれ。」

桐生「分かりました…」

同時刻 刑務所

錦山「親っさん…本当にすんません…」

風間「錦山…お前が一人が抱え込む必要はねぇ。手回しが遅れた俺にも責任はある。」

錦山「いえ全て俺の責任です…」

風間「今日はお前にこれを渡しに来た。」

錦山「破門状…俺は自分の親を…なのに絶縁じゃないんですか?」

風間「三代目がそう決めたんだ。錦山、お前顔が傷だらけだな。」

錦山「ここ最近、色々と揉め事に巻き込まれまして…でも心配には及びません。」


12: 2016/02/03(水) 17:13:50.96 ID:LcGrK6Fc0
それから一ヶ月後 桐生組事務所

松重「組長さんよぉ…俺の話、聞いてたのか?」

桐生「すまん…もう一度説明してもらっても構わないか?」

松重「ったく堂島の龍なんて言っても結局は腕っ節だけか…」

桐生「組長に向かって随分な言い様だな。」

松重「正直、俺はアンタが過大評価されてる気がしてならねかったんだよ。」

桐生「何だと?」

松重「今の時代、金を稼げるヤクザが生き残れる…アンタみたいな喧嘩や義理人情で生きている人間に未来はねぇって事よ」

桐生「フッ、本当にそうか試してみるか?」

松重「おっと…悪い癖ですよ…組長さん。すぐに手を出そうとするのは…そんなんじゃすぐに錦山の所に行っちまいますよ?」

桐生「じゃあ、アンタのやり方とやらを見せてもらおうか…」

松重「始めからそう言えばいいんだよ。」

桐生「但し…組の看板に泥を塗るような事をしたら容赦はしねぇぞ…?」


13: 2016/02/03(水) 17:20:34.44 ID:LcGrK6Fc0
病院

桐生「先生、錦山の妹はどうなんですか…?」

日吉「正直、大変な状態です。臓器移植をしなければ未来はありませんね。」

桐生「じゃあ、臓器移植をしてもらえないか?」

日吉「ただ臓器移植をするのにもドナーが必要でして、今は順番待ちでいっぱいいっぱいなんです。」

桐生「そうか…じゃあ他に方法はないのか?」

日吉「臓器ブローカーをご存知ですか?」

桐生「まぁな…」

日吉「私からそういう人間に連絡を取る事は可能ですが…手術代とは別にお金が要ります。」

桐生「なぁ先生、悪いが俺はアンタの言う事がどうにも信用出来ねぇんだ。」

日吉「何を言ってるんですか?」

桐生「俺は多少なりともそういう世界には精通しているつもりだ。そんな話を持ちかけてくる医者は信用できねぇ…別の病院に移させて貰う。」

19: 2016/02/03(水) 22:41:51.99 ID:LcGrK6Fc0
一週間後 刑務所

錦山「桐生、面会に来てくれたんだな。」

桐生「遅くなってすまない。今日はお前に報告があって来た。」

錦山「報告…一体何だ?」

桐生「お前の妹の事なんだが…来月、海外で手術をする事になった。」

錦山「本当か!?」

桐生「あぁ…だから妹の事は心配するな。」

錦山「桐生!お前って奴は!」

桐生「礼なら親っさんに言うんだな。手術費用は親っさんが工面してくれるらしい。」

錦山「マジか!なら俺も模範囚になって早く刑務所から出ないとな!」

刑務官「時間だ…」


20: 2016/02/03(水) 22:47:19.20 ID:LcGrK6Fc0
それから一ヶ月後~桐生組事務所

松重「組長さん…裏カジノを潰すって話本当なんですか?」

桐生「あぁ…」

松重「正気ですか?」

桐生「何度、同じ質問されようとも答えは同じだ。」

松重「あのカジノが無くなればシノギの3割が減るんですよ?」

桐生「その分、別のシノギを考えればいいだけの話だ。」

松重「組長さんよぉ…お人好しなのも結構だが、ヤクザはどんなシノギをしようと所詮汚い金なんだ。なら汚い金を多く稼いだ方が得だろう?」

桐生「これは組長の俺が決定した事だ。」

松重「ったくアンタにはついていけねぇぜ…」

桐生「今週中にはあのカジノを撤去しておいてくれ。」




21: 2016/02/03(水) 22:52:23.43 ID:LcGrK6Fc0
病院

風間「一馬、明日で由美は退院出来るそうだ。」

桐生「そうですか…由美はこれからどうするんですか?」

風間「セレナに戻るそうだ。」

桐生「親っさん、本当に色々とありがとうございます。」

風間「そう堅くなるな。」

桐生「はい。」

翌日~セレナ

麗奈「由美ちゃん!退院おめでとう!」

桐生「思ったより回復が早くて安心した。だがあまり無茶はするんじゃねぇぞ?」

由美「その言葉、そっくり一馬に返すよ。でも…私のせいで錦山くんが…」

麗奈「・・・」

桐生「その事は気にすんな。あいつはお前を守った事に後悔なんかしてねぇはずだ。」

柏木「桐生…ここにいたのか!お前に話がある。事務所へ来い」

22: 2016/02/03(水) 22:57:50.68 ID:LcGrK6Fc0
風間組事務所

柏木「お前の所の松重がウチの組が経営する店からみかじめを取ってな…今、落とし前をつける所だ。」

桐生「松重…その話、本当なのか…?」

松重「アンタが金を稼げかないかな俺が稼いでやっただけの話だ…」

柏木「桐生、こいつの落とし前どうつけるつもりだ?」

桐生「申し訳ありませんでした…」土下座

松重「組長さん…何やってんだ?」

桐生「松重は俺の部下です。こいつが勝手にやった事とは言え、組長である俺の管理不足が原因です。」

松重「!」

桐生「こいつにつける落とし前、俺も受けるつもりです。」

柏木「幸いな事に風間の親父の耳に入る前で良かった。今回は不問に付す、だが桐生、いくらお前だとしても次はねぇぞ?」

桐生「はい。肝に銘じておきます。」

柏木「松重、お前には桐生を助けられる力を持っている。この意味が分かるな?」

松重「はい…」

23: 2016/02/03(水) 23:00:33.29 ID:LcGrK6Fc0
松重「ったくよぉ…アンタはどんだけお人好しなんだよ…組長さん…いや桐生の兄貴。」

桐生「フッ、まさかお前に兄貴と呼ばれる日が来るとはな…」

松重「だが俺はアンタを認めたわけじゃねぇぞ…」

桐生「相変わらずプライドが高いんだな。」

松重「でも一応、礼は言っておいてやるよ…桐生の兄貴、ありがとうございました!」土下座

桐生「おい、道端で土下座なんてするな…注目されるだろう。」


24: 2016/02/03(水) 23:04:29.23 ID:LcGrK6Fc0
三ヶ月後

風間「一馬、今月のシノギ凄いじゃねぇか?」

桐生「えぇ…松重の奴に色々と教えてもらいました。」

風間「あの松重が…?」

桐生「はい。それであいつを若頭補佐に就任させようと思うんですが…」

風間「若頭はどうした?」

桐生「若頭は錦にすると前々から決めていたんです。ただあいつは…」

風間「桐生組は錦山が出所すると同時に東城会と風間組から独立してもらう」

桐生「親っさん…ありがとうございます。」


26: 2016/02/03(水) 23:12:47.76 ID:LcGrK6Fc0
そして10年後…

桐生「久しぶりだな…錦!」

錦山「あぁ…でも俺のいない10年でお前は随分と出世したもんだな…関東桐生会~構成員1000人の大組織にまでなっちまうなんてな…」

桐生「その事なんだが…錦…お前に頼みたい事がある。」

錦山「俺に頼みたいこと?ムショから出たばかりの俺に何が出来るって言うんだ?」

桐生「お前に関東桐生会の若頭を任せたいんだ。」

錦山「俺が若頭?冗談はよしてくれよ…東城会の大幹部やった俺が…若頭なんてほかの人間が納得しねぇだろう。」

桐生「心配するな。お前のために10年間、若頭は不在にしておいたんだ。それに組員たちにお前の話は聞かせてある。」

錦山「まぁ!お前と一緒に極道やれるなら何でもいいや!」

桐生「だが俺はそろそろ極道から足を洗おうと思っている…」

錦山「はっ!?どういう事だよ?」

桐生「由美に遥…二人を守っていくにはカタギとして生きていかないといけないと思ってな。」

錦山「遥…?あぁ…由美とお前の子供か…でもお前にヤクザ以外の仕事が出来んのか?」

桐生「あぁ…ひとつだけ宛はあるさ。」

錦山「何だよ?」

桐生「ひまわりの園長をやってみようと思う。」

おしまい



27: 2016/02/03(水) 23:17:58.04 ID:hNQpiLPf0
平和すぎる…

引用元: 桐生一馬「もしもあの時…」