ホバー船


ビューーーーン!


春香「安全運転、安全運転…」ボソボソ

やよい「春香さんが、こわいですー!」

春香「ミラー、合図、目視…ミラー、合図、目視…」ボソボソ

雪歩「は、春香ちゃん…」

雪歩「行きの失敗が、悔しかったのかな…?」

春香「制動距離プラス空走距離イコール停止距離…」ボソボソ

やよい「春香さんが何を言ってるのかさっぱりですー」

雪歩「うーん、何かのおまじないじゃないかな…」


ビューーーーン!



春香「…あ、見えてきた!」




カイポの村 宿屋

店主「フンフフーン…」トントン

ドサッ

店主「よし!仕込み終了!と」

店主「あとは…」


ガチャ…


ものまね士「店主さん、薪割り終わりましたよ?」

店主「お、ありがとう。悪いな、手伝ってもらっちゃって」

ものまね士「居候の身ですから、これくらいは…」

店主「うーん、でもなぁ…」

店主「普通薪割りって、男の仕事じゃないかな」

ものまね士「私は好きですけどね、薪割り」

店主「そうか…じゃあ、明日の分も頼んでいいか?」

ものまね士「はい!わかりました」


スタスタ…

384: 2014/08/03(日) 00:43:51.00 ID:CebcNEWoO
カイポの村

春香「あー!やっと帰ってきたよー!」

やよい「ですねー!」

雪歩「なんだか、のどかな村だね…」

やよい「村の人も、みなさんとーってもいい人達ですよー?」

春香「そうそう!宿屋の店主さんも…」



パカーン…



春香「?」

雪歩「何の音だろ…?」



パカーン…



やよい「やどやの方から聞こえますねー」

春香「行ってみようか」


スタスタ…




カイポの村 宿屋

ものまね士「フンッ!」


パカーン!


ものまね士「フンッ!」


パカーン!



やよい「ものまねのおねーさんですね…」ヒソヒソ

春香「そ、そうみたいだね…」ヒソヒソ

春香(なんか、声かけづらいなぁ…)

385: 2014/08/03(日) 00:56:51.21 ID:CebcNEWoO
ものまね士「やっぱり、薪割りはいいわね…フンッ!」


パカーン!



春香「あ、あのー」

ものまね士「……え?」

やよい「うっうー!ただいまもどりましたー!」

ものまね士「あ…!ハルカ様と、天使ちゃん!」タッタッタッタッ

ものまね士「お帰りなさいませ!よく、ご無事で…」ペコリ

春香「すみません、長い間、看病してもらっちゃって…」

ものまね士「いえ、当然の事ですよ?」

ものまね士(…美希さんのお世話するの、楽しいし)

ものまね士(…って、何言ってるの私は……///)

雪歩「うぅ…」

ものまね士「あら?」チラ

ものまね士「ハルカ様、こちらの方は?」

春香「あ、まだ紹介してませんでしたね」

春香「この子は、765プロの…」

春香「じゃなくて、ダムシアン国の王女、雪歩ちゃんですよ!」

ものまね士「まあ、そうでしたか!」

ものまね士「ユキホ様、ご機嫌よう?」

雪歩「あ、ど、どうも…」


ものまね士「…それで、ハルカ様。目的のものは…?」



春香「…バッチリです!」ニコッ


386: 2014/08/03(日) 01:06:18.91 ID:CebcNEWoO
カイポの村 宿屋 1号室

美希「zzz…」

店主「…じゃあ、砂漠の光を店主」

春香「あ、はい…」スッ



ピカーーー!



ものまね士「う、まぶしい…」

店主「まあ、そりゃな」



ピカーーー!



美希「……」

春香(あー、手が辛くなってきた…)

春香「あ、あのー」

店主「ん?どうした」

春香「このまま、照らしてればいいんですか?」

店主「ああ、じきに効果がでてくるはずだ」



ピカーーー!



美希「…う…ん」

ものまね士「あっ、ミキさんの顔色が…!」



ピカーーー!」



ものまね士「…どんどん、悪くなってく…」

美希「うーん、うーん…」モゾモゾ




春香(そりゃあ、つばだもんね)

やよい(つばだからかなーって)

雪歩(汚いですぅ)



388: 2014/08/03(日) 08:08:53.06 ID:CebcNEWoO
ものまね士「ちょ、ちょっと!大丈夫なんですか?」

店主「ああ、大丈夫だよ」

店主「砂漠の光は…」

店主「身体に溜まった悪いものを、全部外に出してくれるんだ」

店主「だから、今は辛いかもしれないが…」

店主「まあ、明日にはきれいさっぱり治ってるはずだ」

ものまね士「そ、そうですか…」

ものまね士(ミキさん…頑張って…!)



店主「ま、そういう事だからさ、一晩泊まってけよ」

店主「部屋は用意するからさ」

やよい「ありがとうございますー!」

雪歩「あ…ありがとう、ございます…」

春香「お世話になります!」



春香(よし、とりあえず、これで美希はひと安心…)

春香(あとは、他の皆を探さなきゃね…)

春香(……この村とも、明日でお別れかぁ…)

春香(ちょっと…さみしいかな…)




夜、客室

雪歩「……」ムクッ

雪歩「……」チラ

春香「……」

やよい「……」スヤスヤ

雪歩「……」スッ


スタスタ…

ガチャ…バタン



春香「……」パチリ

春香「……雪歩?」

389: 2014/08/03(日) 08:18:26.22 ID:CebcNEWoO
カイポの村 オアシス

雪歩「……」

雪歩(春香ちゃんも、やよいちゃんも…)

雪歩(すっごく頑張ってる…)

雪歩(私なんて…)

雪歩(穴掘って、埋まってるばっかりで…)

雪歩(……)

雪歩(…私も、皆の役に立ちたいよ…)

雪歩(勇気……かぁ)

雪歩(アンナさん…)



ガサッ



雪歩「ひゃっ…!」ビクッ


ネコ「…にゃ~ん」ヒョコッ


雪歩「…なんだ、ネコちゃんかぁ…」

ネコ「にゃ~ん…ゴロゴロ…」スリスリ

雪歩「ふふっ…くすぐったいよ…」



ズズ…



ネコ「!」バッ

雪歩「ん?どうしたの?」

ネコ「フシャー!」



ズズズズ…



ザバァー!



雪歩「み、湖から…魔物が…!」

390: 2014/08/03(日) 08:27:21.44 ID:CebcNEWoO
魔物「ゲゲッ!」ヌッ



雪歩「あ、あぅ…」ガクガク

ネコ「フシャー!」


雪歩「あ、穴…」

雪歩(…掘って、また埋まってるの…?)

雪歩(……)

雪歩(……ダメ、変わらなきゃ)

ネコ「フー!フー!」

雪歩(ネコちゃんを…守らなきゃ!)

雪歩「……」チャキ


魔物「ゲェー!」バッ



ガキィン!



雪歩「うっ!」ヨロッ

雪歩(手が…しびれる)

雪歩「……」グッ


雪歩(アンナさん……力を、かしてください!)



タッタッタッタッ…



雪歩「えいっ!」ブン



バキィ!



魔物「ゲ、ゲェ…!」ヨロッ

魔物「ゲェー…」クルッ



タッタッタッタッ…



391: 2014/08/03(日) 08:41:05.28 ID:CebcNEWoO
雪歩「あ……行っちゃった…」

雪歩「ホッ…」


雪歩「…そうだ、ネコちゃん!」ガバッ

雪歩「…」キョロキョロ

雪歩(……ネコちゃんも、行っちゃったみたいだね)フゥ

雪歩(……)

雪歩(アンナさん…私、変われるかな…?)




春香「雪歩…」





カイポの村 宿屋

美希「むしゃむしゃ…」

美希「ごっくん」

美希「……」




美希「完!全!復!活!なの!」バーン




春香「美希…」

やよい「美希さん…」

雪歩「美希ちゃん…」

店主「そりゃあ、そうだろうよ…」



店主「店の米、全部ひとりで食っちまいやがって…」ズーン



ものまね士「もう、いいじゃないですか」

ものまね士「美希さんの、回帰祝いって事で、ね?」


392: 2014/08/03(日) 09:57:28.45 ID:CebcNEWoO
美希「だって、ミキ、信じられないくらいお腹空いてたの!」

店主「まあ…丸2日くらいなんも食ってなかったからな」

店主「それにしても…全部握り飯にして食うことないだろうに…」

店主「オレに言ってくれりゃ、いろいろ作ってやったのに」

美希「おにぎりを笑う者は、おにぎりに泣くの!」ビシッ

店主「いや…そういうつもりはないんだが…」


春香「ふふっ…いつも通りの美希だね?」

やよい「美希さんといえば、おにぎりですー!」

雪歩「美希ちゃん…良かったね」

ものまね士「……」




春香「……さて、と」

店主「…そろそろ、行くのか?」

春香「ええ、他の皆も、きっと待ってますし…」


ものまね士「……」


春香「店主さん、本当に、お世話になりました!」ペコリ

店主「よせよ…そういうの」

店主「…オレも、結構楽しかったしなぁ…」

春香「店主さん…」ウルッ

やよい「ほんとーに、お世話になりましたー!」ペコリ

やよい「わたし、店主さんのこと、ぜったい忘れません!」

店主「ヤヨイ…」

雪歩「あ、あの!」

雪歩「あ、ありがとうございましたっ!」ペコリ

店主「はは…あんた、やっと普通に話してくれたな」




ものまね士「……」

ものまね士「ミキさん…」

396: 2014/08/03(日) 21:15:32.32 ID:CebcNEWoO
ものまね士「うっ…」ウルッ

ものまね士「ミキさん…皆さん…」ポロポロ


ものまね士「わ、わだじ…みなざんの事…ぜっだい、わずれまぜん…うっ」グスン

春香「ものまね士さん…」グスッ



美希「ファンの人」

美希「いろいろ、ありがとうなの!」

ものまね士「ミキさん…うぅぅ…」ポロポロ

美希「ミキね…」



美希「あなたの事、3番目に好きなの」



春香「3番目…?」

雪歩「ちょっと、微妙だね…」

やよい「2番目が気になるかなーって」



美希「1番は、ハニー!」


美希「2番は、事務所の皆!」


美希「3番は…ファンの人なの!」


ものまね士「ぅう…えぐっ…」ポロポロ

ものまね士「う、うわぁぁーん!」ポロポロ

店主(3番で、満足なのか…)

397: 2014/08/03(日) 21:30:37.91 ID:CebcNEWoO
春香「……じゃあ、行きますね…?」

店主「…ああ!」




春香「さようならぁー!」

やよい「お元気でー!」

雪歩「あ、ありがとうございましたっ!」

美希「ばいばーい!」




スタスタ…




店主「…行ったか…」

店主「…さびしくなるな」

ものまね士「うっ…ひっく…」グスッ

店主「…なあ」クルッ

ものまね「え…は、はい」グスッ

店主「あんたは、これからどうするんだ?」

ものまね士「え?」

ものまね士「あ……」

ものまね士(私、すっかり忘れてたけど…)

ものまね士(勝手に研究所を飛び出しちゃったのよね…)

ものまね士(今さら戻れないし…)

ものまね士(ど、どうしよう…)

店主「……薪割り役がさ、欲しいと思ってたんだ」

店主「どう思う?」

ものまね士「えっ…?い、いいんですか?」

店主「ひとりじゃキツイかな、って…思ってたとこなんだ」

ものまね士「あ、私で…良ければ…」

ものまね士「じゃあ、よろしくお願いしますね!」

店主「ああ、よろしく頼むよ!」





398: 2014/08/03(日) 21:39:23.87 ID:CebcNEWoO
ホブス山 西側入口

春香「うわ……」

やよい「高いですねー」

雪歩「ほ、ホントに登るの…?」

春香「うん…この山を越えれば、隣の国へ行けるって…」

春香「店主さんに教えてもらったんだ」

雪歩(だ、大丈夫かな…)

美希「あふう」




スタスタ…




ゴンッ!




春香「痛っ!」ヨロッ

やよい「は、春香さん、だいじょうぶですかー?」

春香「う、うん…」

春香「お、おかしいな…」

春香「何もなかったのに…」

雪歩「道があるのに…進めない?」

美希「……」コンコン




美希「これ…氷なの」




3人「えっ?」

399: 2014/08/03(日) 21:49:17.39 ID:CebcNEWoO
春香「氷……?」

やよい「これじゃ…すすめないです」




ガキィン!




雪歩「か、硬い…」




雪歩「ダメ、この氷も、この辺りの地面も…硬くて掘れないよ…」

春香「雪歩でもダメかぁ…」

春香(正面も下もダメ…)

春香(…じゃあ、上から?)

春香(…って、足がかりもないし、滑っちゃって登れる訳ないよね)


美希「ねぇやよい?」

やよい「なんですか?」

美希「さっき、まほう、使ってたよね?」

やよい「あ、はい…なんだか、ふしぎな力です…」





美希「ミキ、やよいの力ならどうにかできるって思うな」




やよい「うぇ?」

春香「やよいの、魔法か…」

雪歩「他に、方法はなさそうだよね」



春香「やよい、ちょっとお願いしてもいい?」

やよい「わかりましたー」






400: 2014/08/03(日) 22:00:08.84 ID:CebcNEWoO
やよい「……」ポゥ…




やよい「……えいっ!」バッ




パキパキィッ!




カツンッ!




やよい「ダメでしたぁー」

春香「やよいでもダメなの…?」

春香「こうなったら、地道に削っていくしか…」

雪歩「ムリだと思うよ…」

雪歩「私のスコップでも、傷ひとつつかなかったから…」

美希「……」

美希「ねぇ、やよいって…氷のまほうしか使えないの?」

やよい「え?あ…試した事ないですけど…どうでしょう?」

美希「氷は…火で溶かしちゃうのが、1番だって思うな」

やよい「火の、まほう…」




やよい「うーんと、えーっと…」

やよい「火、火、火…」




やよい「……っ!」ボッ




やよい「あ…でた…」

春香「やった…」

雪歩「やよいちゃん、頑張って!」

やよい「……」




やよい「溶けてくださいっ!」バッ




ボオォォー!



ジュゥゥゥ…

402: 2014/08/03(日) 22:11:48.70 ID:CebcNEWoO
春香「あ…氷が…」

雪歩「溶けてく…!」

美希「やよい、やったの!」


やよい「うっうー!やりましたー!」


雪歩「やよいちゃん、すごい!」

春香「うん、やよいもすごいけど…」

春香「美希、火で溶かすなんて、よく思いついたね…?」

美希「氷があるなら、火もあるかなーって思ったの」

春香「なるほど…」

春香「美希も、魔法が使えるんだよね?」

美希「ミキのまほうは…怪我を治すやつだから…」

美希「やよいみたいなのは、できないの」

春香「ふーん…」

春香(怪我を治すって…結構便利じゃない?)



春香「……じゃ、行こうか」




スタスタ…

406: 2014/08/04(月) 19:09:23.91 ID:sc0o2n/uO
飛空艇 千早の部屋

千早「……で、話ってなんですか?」

P「話の前に、ひとつ確認させてくれ」

P「千早は、その…律子に操られてるんだよな?」

千早「……」

千早「律子の命令には逆らえないみたいなので…」

千早「そういう事になりますね」

P「その割には、いつもとあまり変わらないな…」

千早「?」

千早「変わりませんよ?」

P「え?」

千早「律子の『命令』には、逆らえないだけで、それ以外は特に変わりません」

P「そうなのか…」

P(よし、それなら行けそうだな)

P「わかった、ありがとう」

P「それで、本題だが…」



P「次の戦場に、俺も連れてってくれ」


P「俺は、春香に会わなければならないんだ」



千早「……?」

407: 2014/08/04(月) 19:25:05.26 ID:sc0o2n/uO
千早「説明を、お願いします」

P「ああ…」

P「まず、次の戦場になるであろうファブール城には…」

P「春香達も向かっているはずだ」

千早「……!」

千早(そうか、プロデューサーは…)

千早(このゲームを…いえ、この物語を知っている)

千早(やはり、この人が頼りね…)

P「ゲーム通りなら、春香達と鉢合わせ…いや」

P「戦う事になるだろうな…」

千早「な……!」

千早(そ…んな…私が春香と…いえ、皆と戦うなんて…)

千早(でも…律子には、逆らえない…)

千早(今、私にできるのは…律子を信じる事)

千早「……」

P「そこで、だ」

P「そのタイミングで、俺を春香に引き渡してほしい」

千早「……なぜ、ですか?」

P(千早…あとで必ず…!)

P「春香とともに行動する事で、最終的には、皆を救う事になるからだ」

P「千早、お前も…」

P「もちろん、律子もな」

千早「……」

P「皆には、本当にすまないと思ってる」

P「俺に、力が無いばっかりに…」

P「だが、それでも俺は、今自分ができる事をしたい」


408: 2014/08/04(月) 19:34:26.47 ID:sc0o2n/uO
P「何もせずに、皆が苦しむのを見るのは、もう嫌なんだ!」

千早「……」

千早「エゴ…ですね」ボソッ

P「ん?」

千早「いえ、なんでもありません」

千早(たとえエゴでも…今の私には、それを信じるしかないみたいね)

千早(それに、この人なら…)

千早「わかりました」

千早「私があなたを、春香のところに届けます」

P「そ、そうか!ありがとう、千早!」

千早「ただ、律子の目もありますので…」

P「あ…そうだったな」

P(そこが…問題だな)


千早「あ、あの…」

P「ん?」

千早(は、恥ずかしい…でも、他に方法はない…)

千早(…覚悟を決めるのよ、千早!)

千早「当日は…」




千早「わ、私の…服のな、中に…かっ隠れていて、ください…///」




P「……え?」

411: 2014/08/04(月) 21:10:05.96 ID:sc0o2n/uO
ホブス山 5合目

雪歩「…そういえば」スタスタ

雪歩「私達が向かっている国って、どんな国なのかな?」

雪歩(男の人が少ないといいな…)


春香「店主さんの話だと…」スタスタ

春香「『もんくそう』っていう、お坊さん?の国らしいよ?」

雪歩「お、お坊さん?」

雪歩(ああ…行きたくなくなってきちゃった…)

やよい「もんく…?」

美希「きっと、文句ばっか言ってる人達なの」

やよい「わがままなんですかね…?」

春香「わがままなお坊さん…なんか、嫌だな」

春香(でも、お坊さんって…悟りを開いたりするよね?)

春香(皆、まだ修行中なのかな…?)




春香(プロデューサーさん、文句ばっかり言うお坊さんって…)

春香(想像すると、かなり怖いです…)

412: 2014/08/04(月) 21:21:04.06 ID:sc0o2n/uO
ホブス山 8合目

やよい「うわぁ!すごいけしきですねー!」スタスタ

春香「ハァ…ハァ…」トボトボ

美希「あ、足が…パンパンなの…」トボトボ

春香「あれ?雪歩は…?」クルッ




雪歩「……み、皆…待って…」トボトボ


春香「雪歩!大丈夫?」スタスタ

雪歩「だ、大丈夫…」

雪歩(じゃ、ないかも…)


春香(いくら、レッスンとかで鍛えてるからって…)

春香(素人が、なんの準備も無しに…)

春香(…ちょっと、無謀だったかなぁ…)




美希「春香ー、ちょっと休憩した方がいいって思うな!」

春香「そうだね…」

雪歩「ホッ……」

春香「やよいー、ちょっと休憩…」クルッ




春香「……あれ?」


春香「や、やよいー?」キョロキョロ




413: 2014/08/04(月) 21:29:09.63 ID:sc0o2n/uO
ホブス山 山頂

やよい「さかのうーえのー」スタスタ


マザーボム「……!」


やよい「おしろみたいなーぼくのいえっ」


マザーボム「……」スーッ


やよい「くものーうえーのーよぉなーひーのあたりぐあいーっ」


マザーボム「……」ヌッ


やよい「はわわっ!」ビクッ


マザーボム「……」


やよい「……」


やよい「こ、こんにちはー!」ペコリ


マザーボム「……?」


やよい「いいお天気ですねっ?」


マザーボム「……」


やよい「……」


やよい「ねっ?」


マザーボム「……」コクッ

415: 2014/08/04(月) 21:40:41.07 ID:sc0o2n/uO
ホブス山 山頂 東側

真「セイッ!」ドゴッ!


魔物1「ゴァ!」


真「やぁ!」バキッ!


魔物2「グァ!」


真「破っ!」ドンッ!


魔物3「ギャァ!」




ドサドサッ!



魔物1「」

魔物2「」

魔物3「」




真「ふぅ……」


真「んー、悪くはないけど…」

真「もっと強いやつはいないのかなぁ?」キョロキョロ

真「今のボクが、どこまでやれるか知りたいしね!」

真「……」



真「……ん?」

真「あんなところに、人が…」

真「…魔物に襲われてるみたいだ!」バッ



真「助けなきゃ!」


ダダダダダダ…

416: 2014/08/04(月) 21:54:15.52 ID:sc0o2n/uO
ホブス山 山頂 西側

ダダダダダダ…




真「魔物め!そこまでだ!」ビシッ



マザーボム「……?」

やよい「う……?」クルッ



真「ボクが来たからには、もう悪さはさせないぞ!」

マザーボム「……?」

真「その人をはな…せ?」



やよい「真さん!」



真「やよい?」



マザーボム「……!」スッ


やよい「あ…ぼむちゃん、めっ!」

マザーボム「……」チラ


真「ぼむちゃん…?」


やよい「真さん、無事だったんですね!」

真「うん!あー、やーっと知ってる人に会えたよ…」



418: 2014/08/04(月) 22:07:28.40 ID:sc0o2n/uO
真「で、何してたのさ?」

やよい「ぼむちゃんと、おはなししてましたー!」

マザーボム「……」コクッ


真(魔物と…?)

真(うーん、まあゲームだし、そんな事もあるのかな?)

真「そっか、ボクはてっきり…」

真「やよいが襲われてるのかと思ったよ…」

やよい「いーえ、おそわれてるのはむしろ…ぼむちゃんの方なんですよ?」

真「え?どういう事?」




やよい「ぼむちゃんは、子ども達を魔物から守ってるんです!」




真(魔物が、魔物を襲う…?)

真(そういうのも、アリなの?)


マザーボム「……!」

やよい「ふむふむ…」

マザーボム「……!」

やよい「そうなんですかぁー」


真(あれで、会話できてるんだ…)

真(しゃべってるの、やよいだけじゃないか…?)




やよい「でも、だいじょーぶです!」

やよい「ぼむちゃんと子ども達は、わたし達が守りますから!」エヘッ




真(ん?私…達?)


419: 2014/08/04(月) 22:25:28.59 ID:sc0o2n/uO
やよい「小さいおじさんが…」

真「小さいおじさん?」

やよい「はい、いつも、小さいおじさんがおそってくるそーです」


マザーボム「……!」チラ


やよい「えっ?あ……」クルッ

真「ん…?」チラ


ワラワラ…


真(…あれか)

真(さっきボクが倒したやつらと、そっくりだ)

真(ぷっ…確かに、小さいおじさんだね)

真(ま、あれなら楽勝だよ)



魔物達「ガァーー!」


ワラワラ…


真「え…?」


ワラワラ…


真「ちょ、ちょっと…!」


ワラワラ…


やよい「はわっ、どんどんふえていきます!」


ワラワラ…


真「何体出て来るんだよっ!」

真(50…いや、もっといるな)

真(ちょっと…ヤバい?)

真(こんな時は…)

真(少しでも早めに、数を減らす!)スッ

真「やよい!できたら援護して!」バッ



ダダダダダダ…




やよい「あっ…いっちゃいました…」

マザーボム「……!」

やよい「だいじょうぶ、わたし達がまもります!」ニコッ



タッタッタッタッ…

420: 2014/08/04(月) 22:43:40.27 ID:sc0o2n/uO
真「でやぁ!」バキッ!



真「はっ!」ドゴッ!



真「とりゃ!」ベギッ!



ドサドサッ!



真(ひい、ふう…10体は倒したかなぁ)

真(このペースじゃ、追いつかない…)

真(…よし!)

真「はぁぁぁぁーー!」グッ



真「虎煌拳!」バッ



ゴオォォォーー!



魔物達「ギャァー!」



ドサドサッ



真「やーりぃ!20は倒したよね!」


魔物「ガァーー!」ブン



真「えっ?」クルッ



やよい「真さん、あぶないっ!」

タッタッタッタッ…

やよい「そんな事しちゃ…」



やよい「めっ!です!」バッ




パリパリ…パキィン!



ドサッ



魔物「」

真「やよい!助かったよ!」

やよい「はい!でも…まだまだきます!」


429: 2014/08/05(火) 21:26:54.52 ID:2tm/PArmO
ワラワラ…



真(やよいは、魔法が使えるみたいだけど…)

真(使いこなすって程じゃ、ないみたいだ)

真(…ここは、ボクが道を切り拓く!)

真「おおぉぉぉーー!」


ダダダダダダ…


真「だあー!」バッ


バキッ! ドサッ


魔物「」




やよい「こ、こないでください!」バッ


パリパリ…パキィン!


魔物「」カチコチーン





魔物「ガァァー!」ブン


真「やよい、危ない!」バッ


やよい「…え?」クルッ


真「間に合えぇぇーー!」


ダダダダダダ…

ドガッ!


真「っぐぅ……!」ヨロッ

やよい「ま、真さん!」ガシッ


魔物「ガァァー!」ブン


真(ま…まずい!)




シューン…

ズバババァーー!


魔物達「ギャァーー!」


ドサドサッ


431: 2014/08/05(火) 21:38:01.54 ID:2tm/PArmO
真「え?」

真(な、なんだ?黒い…オーラが…)

やよい「………あ!」




春香「私が…皆を守る!」バーン

春香「やよい、真、大丈夫?」


やよい「春香さん!」

真「は、春香なの…?」




雪歩「皆、一旦こっちに!」バッ


真「雪歩…!」

春香「わかった!」

やよい「りょーかいです!」

春香「真、大丈夫?」

真「あ、うん…痛てて…!」


美希「真クンは、ミキに任せるの!」ガシッ

真「美希…!」

真「み、みんな…!」

春香「美希、真をお願い!皆、一旦雪歩のところへ!」




タッタッタッタッ…




魔物達「ガァァァーー!」


ゾロゾロ…




ガバッ! ガラガラ…


魔物達「!!!」


ヒューー… ドサドサッ グシャ!




雪歩「特大の、落とし穴ですぅ!」





432: 2014/08/05(火) 21:48:31.17 ID:2tm/PArmO
魔物達「ガァァ……」クルッ


ゾロゾロ…


……




春香「行った…みたいだね」ホッ

やよい「よかったです!これでぼむちゃん達も…」



シャララーーン! キラキラ…



真「す、すごい…傷が治ってく…!」


美希「……ふぅ」

美希「はい、終わりなの!」

真「ありがとう、美希!」



雪歩「真ちゃーん!」ダキッ

真「わっ…と…」ガシッ

雪歩「会いたかったよぅ!」ギュ

真「はは…」

真(雪歩…ボクも会いたかった…)

真(けど…)


雪歩「私…真ちゃんに、何かあったら…って…」

雪歩「思う…と…」ガクン

真「おっと…」ガシッ


雪歩「zzz…」






433: 2014/08/05(火) 21:59:38.00 ID:2tm/PArmO
真「なんだ…寝ちゃったのか…」ナデナデ

春香「雪歩…頑張ったもんね」フフ


やよい「うぅ…みなさん、ひとりで先に行っちゃって、すみません…」ペコリ

春香「ううん、気にしないで?」

春香「そのお陰で、真とも無事に会えたし…」


マザーボム「……!」スッ


やよい「あ、ぼむちゃん…!」


コボム1「……」

コボム2「……」

コボム3「……」


やよい「子ども達…かな?」

やよい「みんなぶじで、よかったですー!」

春香「う、うん…」

春香(目つき悪いのが、ちょっとなぁ…)


美希「ねぇ、雪歩も寝ちゃったし、早く山を降りた方がいいって思うな!」

春香「そうだね」

真「じゃあ、雪歩はボクがおぶっていくよ!」

美希「彼氏が彼女の面倒を見るのは、当たり前なの!」

真「いや、ボク、女の子だからね?」




やよい「ぼむちゃん達…さようなら…」チラ


マザーボム「……!」ペコリ

コボム「……?」チラ


コボム1「……」ペコリ

コボム2「……」ペコリ

コボム3「……」ペコリ




やよい「ふふっ…ばいばい」クルッ



スタスタ…

434: 2014/08/05(火) 22:11:28.46 ID:2tm/PArmO
ホブス山 東側登山口

春香「へぇー、真も隊長さんなんだねー」スタスタ

真「うん、僧長って、呼ばれてたけど」


やよい「あのー…」スタスタ


真「ん?どうしたの?」




やよい「へいしのみなさんは、わがままなんですか?」




真「え?い、いや…そんな事はないと思うけど…」

春香(よかった…)

美希(よかったの!)



真「あ…でも」

真「ちょっとタイミングが悪いかもね」

春香「?」

真「王様が言ってたんだけどさ…」

真「近いうちに、悪者が攻めてくるかもって…」

真「クリスタルがどうのって言ってたけど…」

真「ははは、あんまり覚えてないや」

春香(クリスタル……!)



『あの者が、このダムシアンを滅ぼし、クリスタルを奪ったのです!』



春香(律子さん……何を考えてるんだろう?)

春香(そういえば、あずささんも律子さんを追いかけて行ったっきり…)

春香(律子さんに会えたら、あずささんの事を聞かなきゃ…)





435: 2014/08/05(火) 22:18:55.37 ID:2tm/PArmO
ファブール城付近の山道

真「あ、あのさ…」


春香「どうしたの?」

真「えっと…みんなに……」ゴニョゴニョ

春香「?」

真(紹介しなきゃいけない人が、いるんだけど…)

真(気が進まないなぁ…)

真(特に、雪歩は、いろいろ勘違いしそうで恐い)


美希「真クンにしては、歯切れ悪いって思うな」

真「えっと…はは、なんでもない」

真(後で……いいか)

春香(真…何か隠してる?)




スタスタ…




真「あれが、ファブール城だよ」スッ

436: 2014/08/05(火) 22:28:13.54 ID:2tm/PArmO
ファブール城 マコトの家

真「……」ドキドキ


真「た、ただいま~?」



シーン…




真「ホッ……」

やよい「どうかしたんですかー?」

真「あ?い、いや、なんでもないよ、なんでもない…」

やよい「?」


美希(あやしいの)

美希(絶対何か隠してるの)

春香(明らかに態度がおかしい…)

春香(何か…大変な事が起こらなきゃいいけど)


ガチャ…




マコトの家 寝室

真「よっ…と」ソッ


ドサッ


雪歩「zzz…」

真「雪歩…心配かけてゴメンね」ナデナデ


春香「真ぉー!ちょっと来てー!」


真「……」

真「ゆっくり、お休み…」

雪歩「…ん…むにゃ…」


スタスタ…

437: 2014/08/05(火) 22:39:52.52 ID:2tm/PArmO
ファブール城 市場中央

美希「ミキ、夕飯の買い物なんてしないから…」スタスタ

美希「何買っていいかわからないの」

美希「だから、やよいに全部任せるの」

やよい「うっうー!お任せです!」スタスタ

美希「あっ、でも…」

美希「お米だけは、絶対欲しいの!」

やよい「わかりました!」

やよい「でも…」

やよい「なるべく少ないしゅっぴで、いかにいいものを買うか」

やよい「これが、とーってもたいせつなんですよ?」

美希「よく、わからないの」


美希「あ、イチゴババロア、あるかな?」

やよい「うーん、どうでしょうねー」

やよい(もやし、あるかなー?)




美希「……あれ?」ピタ

やよい「美希さん、どうしたんですかー?」

美希「今、あっちに雪歩がいたの」スッ

やよい「……」キョロキョロ

やよい「いないですよー?」

美希「うーん、確かにいたハズなの…」

やよい「じゃあ、もう帰ったんじゃないでしょうか?」

美希「そうなのかな…?」

やよい「さぁ、行きましょー!」

美希「……」

438: 2014/08/05(火) 22:53:21.70 ID:2tm/PArmO
ファブール城 市場南

春香「…ここを、曲がるんだっけ?」チラ

春香(あーあ、私も夕飯の買い出しが良かったなぁ…)

春香(ひとりで、井戸に水汲みって…)

春香(桶が、地味に重い…)

春香(ま、じゃんけんで負けたから、仕方ないか…)

春香「なんか、お店がいろいろあるけど…」キョロキョロ

春香「こんなとこに、井戸なんてあるのかなぁ?」




「あ…井戸なら、こっちですぅ」




春香「ん?」クルッ

春香(雪歩…)

春香「起きたんだね?よかった…」

??「?」

??「井戸に…行くんですよね?」

春香「あ、そうだった」

??「それなら、こっちですぅ」スタスタ

春香「あっ、待ってー!」スタスタ




ファブール城 井戸

ザブザブ…

春香「ふぅ…」

春香「辿り着けて、よかった…」

春香「それにしても、詳しいんだね?雪歩」

??「ユキ…ホ?」

春香「あれ?どうかした?」

??「いえ、私、これから買い物があるので…」

春香「なんだー、雪歩も買い出し組かぁー」

??「そ、それでは、失礼しますぅ!」


タッタッタッタッ…


春香「行っちゃった…」

春香「雪歩…少し、雰囲気変わった?」

439: 2014/08/05(火) 23:05:38.72 ID:2tm/PArmO
ファブール城 マコトの家

美希「ただいまなのー!」

やよい「ただいまなのー!」



美希「あ、やよいがミキのマネしたの!」

やよい「えへっ、似てました?」

美希「うーん…ファンの人の方が、うまいの」

やよい「うー、あっちは、ほんしょくですから!」



美希「……」

美希「真クンも春香もいないの」

やよい「真さん、おーさまに呼ばれたーって、言ってましたね」

美希「あっ、そうだ、雪歩…」


スタスタ…


やよい「あっ、美希さん待ってくださーい!」


スタスタ…




マコトの家 寝室

雪歩「……」スヤスヤ


美希「…寝てるの」

やよい「寝てますね」

やよい「美希さん、見間違えじゃないですか?」

美希「ううん、あれは絶対…」




春香「た、ただいま~!」

春香「よっこら…しょ!」


ドスン!

440: 2014/08/05(火) 23:21:30.09 ID:2tm/PArmO
春香「あ~、疲れた…」


やよい「春香さん、お帰りなさい!」スタスタ

春香「ただいま、やよい」

美希「…絶対…おかしいの…」ブツブツ

春香「ん?美希、どうかしたの?」

やよい「それが……」




春香「買い出しの途中で、雪歩を見た?」

美希「うん、ちょっとだけど、あれは絶対雪歩なの!」

やよい「わたしは、見なかったんですけど…」



春香「私は、会ったよ?雪歩に」

美希、やよい「えっ!?」



美希「ど、どこで見たの?」ユサユサ

春香「え?えっと…あれは、市場?の近くだったと思うけど…」グラグラ

美希「ミキが見たのも、市場だったの!」ユサユサ

春香「あ…だ、だって…雪歩は、ふ、2人と一緒に、買い出しだったんでしょ?」グラグラ

春香「美希、揺らすのやめて…?」クラクラ

美希「揺らさずには、いられないの!」ユサユサ

春香(なぜ…)



美希「ミキとやよいは、2人で買い出ししたの!」

やよい「わたし達、雪歩さんには、会ってないんです」



春香「え……?」

春香(ひとりで、帰ったのかな…?)



やよい「でも雪歩さん、今はぐっすり寝てるんですよ」

美希(あ、ミキのセリフ、取られたの!)

441: 2014/08/05(火) 23:31:48.99 ID:2tm/PArmO
春香「ちょ、ちょっと待って!」

春香「私、雪歩と会話もしたよ?」

春香「井戸の場所を教えてもらった後…」

春香「買い出しに行くって…」

春香(な、何…コレ?)


美希「ま…まさか……!」

やよい「は、春香さん…?」

春香「な、なに…?」

やよい「春香さんが見た雪歩さんって…」





やよい「…足は、ありましたよね…?」





春香「なななな何言ってるのよやよいいいい!」ガクガク

春香「ちゃんと…!」

春香(……あったっけ…?)

春香(私……確認、した?)

美希「ああああありえないの!」ブルブル

美希「そそそそんなの…!」




??「……ただいまですぅ」




3人「いやああああぁぁぁぁぁーーー!!!」




445: 2014/08/06(水) 20:39:02.69 ID:oybavfd9O
ヒタ… ヒタ…



春香「あ…足音が…!」



ヒタ… ヒタ…



やよい「ち…ちかづいて…!」



ヒタ… ヒタ…



美希「悪霊退散悪霊退散南無阿弥陀仏…!」



ガチャ…



3人「っ……!」



??「……?」



春香「ゆ、雪歩…?」



??「ひぃ……!」ビクッ



??「え…えっと…」

??「ひ、人違いですぅ!」



春香(どう見ても雪歩だけど…)

美希(や、やっぱりユーレイなの!)

やよい(雪歩さんが…2人?)




446: 2014/08/06(水) 20:47:48.45 ID:oybavfd9O
??「あ、あの…?」



春香「は、はい…?」



??「あ、あなた達は……泥棒さん、ですか?」


春香「えっ?い、いや…あの…」


??「……」チャキッ


春香(ど、どこからフライパンを…?)


春香「ち、違います!私達は…真の友達で…」


??「マコトさん…の?」


??「しっ、失礼しましたっ!」


??「マコトさんのお友達だったなんて…!」

??「うぅ……」

??「私なんて…」


春香(うん?)


??「ひんそーで…」


やよい(あれ?)


??「ちんちくりんで…」


美希(これは!)


??「あ…」


3人「あ…?」



447: 2014/08/06(水) 21:10:11.73 ID:oybavfd9O
??「あ…油敷いて、炒めてますぅ!」


ジャー! ジュー!


3人「」




ガチャ…


雪歩「んん…なんか、いい匂い…」



春香「あれ?あっちが本物?」

やよい「見分けがつかないかなーって」

美希「雪歩が増えたの!」



??「あれ…?」ピタ


雪歩「あ…」チラ


「「わ、私……?」」




ガチャ…


真「たっだいま~!」


雪歩「あ…!」

??「あ!」



??「お帰りなさい、『あなた』」



雪歩「」




448: 2014/08/06(水) 21:30:21.69 ID:oybavfd9O
真「えっと…」チラ


春香「……」ジロ

美希「……」ジロ

やよい「はわわっ」オロオロ

??「うふふ…」

雪歩「」グッタリ



真「しょ…紹介するね…」

真「こ、この人は…ユキコさん」

真「ボクの………奥さんらしい」

ユキコ「『夫』が、いつもお世話になってますぅ!」

雪歩「」グサァ

春香「雪歩、しっかり!」ガシッ



真「で、ユキコ、ボクの友達の…春香、美希、やよい…雪歩」

ユキコ「よろしくお願いしますぅ」

雪歩「嘘だよ…こんなの、何かの間違いだよぉ…」グスン

雪歩「これは…きっと、ただの悪夢なんだよね…?」


雪歩「真ちゃん…ひどいよ…私達、あんなに『愛し合った仲』なのに……!」

ユキコ「……!」ピク


ユキコ「マコトさん、どういう…」

真「あああ!ち、違う!ただ、他の皆より仲がいいってだけで…!」

雪歩「そ、そんな…!ひ、ひどいよ、真ちゃん…」ポロポロ

真「あああ!ゴメン、雪歩!結婚したって言っても、架空の世界の話だから…!」

ユキコ「架空の…世界?」

ユキコ「わ、私の愛が、作り物だって言うんですかっ?」ウルウル

真「ち、違うって…!」

雪歩「真ちゃんひどい!」

ユキコ「マコトさんひどい!」

やよい「わ、わたし、夕飯つくってきまーす…」ソソクサ

春香(あ!やよいが逃げた…)

美希「や、やよい、手伝うの!」ササッ

春香(美希まで…!)

春香「あ…私も…」

真「ちょっと春香フォローしてよ~!」

春香「あっ、えっと、あの…」

春香(ゴメン、無理)

449: 2014/08/06(水) 21:45:04.55 ID:oybavfd9O
真「ゼーゼー…」

雪歩「ガルル…」

ユキコ「キシャー!」

春香(恐いよぉ~)




やよい「うっうー!お待たせしました~!」スタスタ

美希「エサなのー!」スタスタ

春香(美希…シャレにならないって…)



ドッサリ!



雪歩「すごい…!これ、2人で作ったの?」

美希「もっちろんなの!」ドヤァ

やよい(美希さんは、いない方がはかどったかなーって)


春香「ホント、美味しそう!ねっ、真?」

真「あっ…ああ、うん!はは、お腹空いたー!」


ユキコ「あれ?これは…」

やよい「あ、すみません」

やよい「さっきユキコさんが炒めてたもやしも、温め直しましたー!」

やよい「かってに、すみません…」

ユキコ「いえ、こちらこそ、お客様に料理させるなんて…」

ユキコ「こんな私なんて…」チャキ

真「あ、あーユキコ、美味しそうだね?」

真「さあ食べよう!すぐ食べよう!」



450: 2014/08/06(水) 22:01:19.15 ID:oybavfd9O
6人「いただきまーす!」




真「ぱくっ…」

真「……!」

真「…美味しい!このもやし炒め」

やよい「ユキコさんのおかげですー!」

ユキコ「そ、そんな事、ありますぅ!」

雪歩「……!」カチン

春香(やよい…火に油だよ…美味しいけど)パクパク


真「ところで、美希はどれを作ったの?」

美希「あは!これなの!」ズイ

真「あ……おにぎりね、うん…いいんじゃないかな」

美希「召し上がれなの!」ズイ

真「え、えっと…」

美希「召し上がれなのー!」ガシッ

真「んぐっ…モガモガ…!」

雪歩「!」

ササッ

ジャー!

トン

雪歩「真ちゃん、お茶、どうぞ?」

真「もぐもぐ…あ、ありがと…」

真「ゴクゴク…」

真「ふぅ…やっぱ、雪歩のお茶は落ち着くね…」

雪歩「うふふ、そんな事、あるかも~?」

ユキコ「……!」イラッ


春香(うーん…)

春香(料理はおいしいけど…空気がおいしくない…)

春香(話題、変えなきゃ)

春香「あのさ…」

451: 2014/08/06(水) 22:16:29.00 ID:oybavfd9O
春香「真は、王様に会ってきたんだよね?」

真「あ…うん」

真(すっかり忘れてたよ)

春香「どんな話だったの?」

真「それがさ、明日には攻めてくるんじゃないかって…」

真「ボク、一応隊長だからさ、防衛線を仕切ってくれって言われたよ…」

春香「そっか…」

春香「……」

春香「あのね、皆に話しておかなきゃならない事があるんだけど…」

雪歩「……」

やよい(律子さんのゴクかなーって)

真「どんな話?」

春香「実は…」




美希「律子…さんが?」

真「雪歩の国を…滅ぼしたって?」

真「ほ、ホントなの?それ」

春香「うん…私とやよい、雪歩はその場にいて…」チラ

雪歩「……」

やよい「……」

春香「あずささんも、その場にいたんだけど…律子さんを追いかけて行っちゃって…」

真「……」

美希「みんな、バラバラなの」

452: 2014/08/06(水) 22:31:16.35 ID:oybavfd9O
真「……」

真「ボクは…」

真「律子に会って、話をしたい」

春香「うん…」

真「でも、この国が滅びるのを、黙って見てるつもりもない」

ユキコ「マコトさん…!」

真「みんな、ボクに良くしてくれるし…」

真「隊長のボクが、戦わない訳にはいかないからね」

雪歩「うん…もう、人が氏ぬのは…見たくないよ…」

雪歩(アンナさん…)


美希「それって、律子…さんと戦うって事?」

やよい「み、みなさん仲良くする方法は…ないんですか…?」

真「律子が仕掛けてくるなら…ボクは戦うつもり」

真「もちろん…これはボクのわがままだから…」

真「みんなは、付き合う必要はないからね?」ニコッ


ユキコ「…私は、妻です」

ユキコ「私は、マコトさんについて行きますぅ!」

雪歩「わ、私もっ…!」

雪歩(アンナさんみたいな人をこれ以上…)

真「2人とも……いいの?」

雪歩、ユキコ「」コクン

453: 2014/08/06(水) 23:05:25.74 ID:oybavfd9O
真「へへっ、2人がいれば、心強いよ!」



春香「私も……行くよ」

やよい「春香さん?」

美希「春香…」

美希(春香なら、そう言うと思ったの)


真「仲間だった人と…戦う事になるかもしれないよ?」

春香「それは、違うよ」

真「?」

春香「今も…仲間だよ?」

真「……!」

春香「仲間だから、たとえ戦う事になっても…話をしたい」

春香「だから…話をしに行くつもり」

真「そ、それは…!」

春香「わかってるよ?もちろん、氏にに行くつもりはない」

春香「みんなが傷つかなくていいように、戦うの!」

真「春香…!」



美希「単なる、理想論なの」

春香「え…?」

真「み、美希…!」

美希「そんなに、何もかもうまくいく訳ないって…思うな」


美希「春香はおっちょこちょいだし、真クンは短絡的だし、雪歩は…埋まっちゃうし」


美希「…だから、ミキっていうブレーンが必要だって思うな!」

春香「美希…!」

雪歩「美希ちゃん…」

真「……そうだね!」

真「やよいは…どうする?」

やよい「……」

真「安全なところに隠れてても、いいよ?」

やよい「っ……!」

真「一緒に戦わないから、仲間じゃない、なんて言うつもりはもちろん無いし」

やよい「……!」フルフル


454: 2014/08/06(水) 23:38:47.03 ID:oybavfd9O
春香(これは…やよいが決める事、だよ?)

やよい「うぅ……」


やよい「……っ!」グッ


やよい「わ、わたし…!」

やよい「わたしも、みなさんと一緒に…いきたいです!」

やよい「わたし、頭よくないから、どうすればいい…とか、わからないけれどっ…」

やよい「わたしも、つれてってください!」

春香「やよい…!」

真「もちろん!」



美希「でね?ブレーンのミキが、考えたんだけど…」

美希「真クンは、やっぱり大将なの!」

春香「うん…真が最後の砦かもね…」

真「ちょっと春香、不吉な事言わないでよ!」

春香「あ…ゴメン…」

雪歩「でも…」

雪歩「律子さんも、相当、強いよ…」

雪歩「私、ちょっとだけど、戦ったからわかる…」

春香「え!?雪歩、律子さんと戦ったの?」

やよい「す、すごいです…!」

美希「だから、真クンは、律子…さんの相手をするの」

真「え?」

美希「春香と雪歩と2号が前衛で…やよいとミキが後方支援」

ユキコ(2号って、私の事かな…うぅ)

春香「なるほど…理に適ってるね」

春香「みんなで真を守って、律子さんの相手をしてもらう…いい作戦だと思う」

真「で、でも…みんなに悪いよ…」

雪歩「真ちゃん、律子さんは…真ちゃんしか相手できないんだよ?だから…」

真「…わかったよ。でも、危なくなったら、ボクも出るからね?」

美希「大丈夫、ミキにいい考えがあるの!」チラ

雪歩、ユキコ「…?」

459: 2014/08/07(木) 21:01:44.59 ID:F+TWo1MnO
すっごい誤変換が多くてすみません…


今のところ致命傷はないっぽいので、以後、気をつけます


あと、ファブール城攻防戦が思いの他難航してるので、投下ペースが落ちるかも…

460: 2014/08/07(木) 21:14:12.51 ID:F+TWo1MnO
夜、マコトの家 寝室

やよい「……」

やよい「……」ゴロン

やよい「……」

やよい(眠れない…)

やよい「……」

やよい(春香さん達は、すごいなー…)

やよい「……」

やよい(わたしは、何をすればいいんだろう…)

やよい(…何が、できるんだろう…)

やよい(……わたしにも…春香さん達みたいな…)

やよい(みなさんを守る力があれば…)



パァーーー!


キラキラ…


やよい「!?」ガバッ

やよい(何か光って…?)キョロキョロ

やよい(あ…髪留めが、光ってる)


「ヤヨイ……」


やよい「……!」


「私のかわいいヤヨイ…」


やよい「お、お母さん…?」


ミストドラゴン「あなたは…あなたが思うほど、非力ではありません…」

やよい「え…?」

ミストドラゴン「あなたが望めば、私はあなたの力になります…」

461: 2014/08/07(木) 21:19:01.70 ID:F+TWo1MnO
やよい「お母さん…」

ミストドラゴン「あなたの願いを…強く、想うのです…」

やよい「強く…想う」


ミストドラゴン「私は、いつでもあなたのそばにいますよ…」

ミストドラゴン「それを…忘れないで…」



シューー…


やよい「お、お母さん…!」

やよい「光が…消えちゃった…」


やよい「お母さん…」


やよい「……」グッ



462: 2014/08/07(木) 21:27:12.99 ID:F+TWo1MnO
マコトの家 リビング

雪歩「ゴク…ゴク…」

雪歩「ふぅ……」


ガチャ…


雪歩「?」チラ


ユキコ「あ……」


雪歩「あ……」


雪歩(ユキコさん…)


雪歩(ど、どうしよう…)


ユキコ「……」


雪歩「あ……」


雪歩「お、お茶…飲みます?」


ユキコ「えっ……?」


ユキコ「……」


ユキコ「あ……」


ユキコ「じゃあ、お願いしますぅ…」


雪歩「ちょっと待っててくださいね…?」


スタスタ…


ユキコ(ユキホさん…)



雪歩「お、お待たせしました…」


スタスタ…


トン


ユキホ「いただき…ます…」



463: 2014/08/07(木) 21:39:27.28 ID:F+TWo1MnO
ユキコ「ゴク…ゴク…」

ユキコ「!」



ユキコ「お…おいしい…!」



雪歩「ホッ…」


雪歩「よ、良かったですぅ!」


ユキコ「……」


雪歩「……」


ユキコ「あ、あの…」


雪歩「は、はい…?」


ユキコ「私達って…何もかも…同じですよね?」


ユキコ「顔も、声も、身体も…」


ユキコ「…す、好きな人も…」


雪歩「ユキコさん…」


ユキコ「ユキホさん…あなたがマコトさんの大切な人だって事…」


ユキコ「私、はじめから…気づいてたんです」


雪歩「……」


ユキコ「だって、私達は…同じ、でしょ?」


雪歩「そう…だね」


ユキコ「私達が争う事で、マコトさんが困るのは…」

ユキコ「あなたも…望む所じゃないはず…」

ユキコ「だから」

ユキコ「今は、停戦しよう?」


雪歩「あ……」


雪歩「う、うん…!」


ユキコ「お茶、おいしかったよ?」

ユキコ「おやすみ、ユキホさん…」


スタスタ…

464: 2014/08/07(木) 21:53:17.69 ID:F+TWo1MnO
雪歩(亜美ちゃんと真美ちゃんも…)

雪歩(こんな気持ちなのかな…?)

雪歩(ユキコさん、おやすみ)


スタスタ…



マコトの家 外

春香(…みんなには、カッコいい事言っちゃったけど…)

春香(大丈夫かな…?)

春香(美希の言うように、失敗しないようにしないとね)

春香「……」

春香(美希、プロデューサーさんの事、聞いてこないけど、どうしたんだろう…)

春香(美希なら、ハニーをどこに隠したの?とか、言いそうだよね」




美希「言って欲しいの?」



春香「わっ!美希…き、聞いてたの?」


美希「言って、欲しいの?」


春香「……」

春香「えっ…と…」

美希「じゃあ、言うね?」



美希「ハニーを…どこに隠したの?」



春香(いつもの、気だるそうな美希じゃない)

春香(すごく…真剣な表情…)

春香「……」

春香「ごめん、はぐれちゃった…」

美希「……」


美希「春香だから…任せたのに…!」グッ

春香「ホントに、ごめん…」

美希「春香のバカ!」


ブンッ


春香「っ……!」グッ


465: 2014/08/07(木) 22:02:26.29 ID:F+TWo1MnO

コツン…



春香「……?」

美希「春香がハニーとはぐれた事くらい、わかったの」

美希「あの村で目が覚めて…ハニーの気配がなかったから」

春香「美希…ホントに…」


美希「謝って欲しい訳じゃないの!」


春香「……」


美希「春香の辛さは…ちょっとわかるの」

美希「ミキも…いきなりハニーと離ればなれになって、辛かったから…」

美希「だから…なーんにも聞けなかったの」


春香「み、美希…!」グスッ

美希「ライバルの前で弱みを見せるなんて…春香らしいの」クスッ

春香「ライバル、の前に…仲間、だよ…?」ギュ

美希「そーだね…」ナデナデ



美希(ハニー……元気かな?)

468: 2014/08/08(金) 20:41:14.99 ID:6pgS5XD4O
マコトの家 トレーニングルーム

真「945…!946…!」グッ




真「998…!999……っ!」グッ


真「せ…ん……っ!」ググッ


バタッ


真「ハァ、ハァ……!」


真(律子は、やっぱり魔法も使うのかな…?)

真(…こっちも、技のバリエーションを増やさないとな…)

真(最大の必殺技、覇王翔吼拳は…タメがないと使えない…)

真(虎煌拳じゃ…威嚇くらいにしかならないかもしれないし…)

真(やっぱこう、『ザ・空手』っていう技も欲しいよね)

真(魔法対策と………いや)

真(全部、使えればいいんだ…!)



真「よお~し!」ガバッ

470: 2014/08/08(金) 20:52:28.75 ID:6pgS5XD4O
翌日、ファブール城 王の間

春香(…ここの王様は、操られてたり…しないよね?)

やよい「雪歩さんのお城の方が、かわいらしかったかなーって!」キョロキョロ

美希「あふう」

王「……」



王「マコトよ、この者達は?」

真「はい!ボクの…頼もしい仲間達です!」

真「きっと、力になってくれます!」

王「…そうか」

王(あの娘…暗黒騎士か…?)

王「…今は、少しでも戦力が欲しい。力になってくれるか?」

春香「はい!」

やよい「がんばりまーす!」

美希「zzz…」

真「こら美希、起きなよー!」ユサユサ

王(不安…)

王「…敵はすでに、ホブス山上空を越えたようじゃ…」

王「間も無く、ここへ来る」

真「……」グッ



472: 2014/08/08(金) 21:13:05.67 ID:6pgS5XD4O
王「…時にそこの娘、名はなんと申す?」


春香「……」

春香「…え?私?」キョロキョロ

春香「あ、天海春香、16歳ですっ!」

王(ハ…ルカ…?)

王(ハルカ……暗黒騎士……)

王(まさか、クルーヤ殿の……?)

王「……」

王「マコトよ、戦の準備をせよ!」バッ

王「今より、軍の全指揮権は、そなたに与える!ゆけ!」

真「わっかりましたー!」

真「じゃ、みんな、行こうか!」


スタスタ…


王「ハルカよ!」

春香「…え?」クルッ

王「そなたは残るのじゃ」

春香「あ、はい…」

春香(私…何かした…?)ドキドキ


真「春香、後でね」


スタスタ…

473: 2014/08/08(金) 21:21:05.99 ID:6pgS5XD4O
王「ハルカよ…」

春香「あ、はい」

王「お主に、受け取ってもらいたい物がある…」ゴソゴソ

春香「は、はぁ…」

春香(なんだろう…?)



カチャカチャ… スウッ…



王「…これじゃ」スッ



キラーン!



春香(剣……かな?)


王「さあ……」ズイッ


春香「はい…」スッ


ズッシリ


春香(なんだか、すごい威圧感だけど…)

春香(どことなく、懐かしい感じ…)

春香(不思議と、手に馴染む…)グッ

春香(こんな剣、知らないのに…)

474: 2014/08/08(金) 21:32:26.95 ID:6pgS5XD4O
王「暗黒剣デスブリンガーと言ってな…」

春香「で、です……!」

春香(嫌な感じだなぁ…)

王「昔、この国の危機を救ってくれた暗黒騎士が、置いて行ったものじゃ…」

春香「あ、あの…」

春香「そんな物を…もらっちゃっていいんですか?」

王「うむ、どうやら、そなたに渡すために、ここにあったようじゃ…」

王「どうじゃ、感想は…?」

春香「え…っと、使いやすい、です」

春香(使いたくはないけどね)

王「見たところ、お主も暗黒騎士…」

王「暗黒剣では、真の悪は打ち破れんやもしれんが…」

王「そなたの力には、なってくれるはずじゃ」

春香「はぁ…」

春香(暗黒騎士って…響きが好きじゃないんだよね…)

春香「あ、ありがとうございます…」ペコリ


王「…では、春香よ!どうか、この国を救ってくれ!」

春香「が、頑張ります…」



スタスタ…

475: 2014/08/08(金) 21:48:12.15 ID:6pgS5XD4O
飛空艇 千早の部屋

千早「……」

千早「……っ!」ビクッ

千早「じっとしててください!」

P「す、すまん…」

千早「あっ……しゃ、しゃべるのも、ダメです!」

P(……ひょっとして)

P(大きな勘違いをしていたのかもしれないな…)

P(俺は…………巨乳より、貧n…)

P(ああ、ついに俺も変態さんの仲間入りか…)


千早「……あ」

千早「い、いかなきゃ…!」スッ



スタスタ…



飛空艇 船長室

律子「…そろそろ目的地に着くわ」

律子「…そしておそらく、春香達が待ち構えているでしょうね」

P(……!)モゾ

千早「んっ……!」ビクッ

律子「千早、どうしたの?」

千早「…なんでもないわ」

千早「……!」

P(ホント、すまん)




476: 2014/08/08(金) 21:58:57.41 ID:6pgS5XD4O
律子「最初に言っておくけど…」

律子「目的のためなら、多少の犠牲は厭わない」

あずさ「……!」

千早(春香…)


律子「2人とも、そのつもりでね?」

あずさ「は~い」

千早「わかったわ」

あずさ(律子さん、私が、必ず…!)


律子「最初は、兵達で城を攻める」

律子「ある程度攻めたところで、私がクリスタルを取りに出るから…」

律子「あなた達は…私に着いてきてね」

千早、あずさ「…」コクン


律子「大丈夫よ。あなた達が、向こうの兵士に遅れを取るとは思えない…」

律子「問題は、春香達ね…」

律子(雪歩は…今までにない力を発揮した…)

律子(他の子達も、見くびらない方がいいわね)



兵士「リツコ様、目的地に到着しました!」



律子「……さあ、行くわよ!」

479: 2014/08/08(金) 22:20:43.19 ID:6pgS5XD4O
ファブール城 1F広間

雪歩「……」ドキドキ



タッタッタッタッ…



ユキコ「ユキホさんっ、そ、そろそろ…来るみたいだよ…」

雪歩「う、うん!わかったよ…」

ユキコ「じゃ、私は隠れてるから…頑張って!」

雪歩「……うんっ!」




バァン!



ゾロゾロ…



バロン兵1「ん?」

バロン兵1「なんだ?女が、ひとりだけ…?」

バロン兵1「おいおい、モンク僧は腰抜けの集まりか?」

バロン兵1「おい女、降参するなら…可愛がってやるぞ…ゲヘヘ」

バロン兵2「あっ、隊長だけずるい!」

バロン兵3「オレもオレも!」


雪歩「い、いやですぅ!」グッ

雪歩「わ、私には、心に決めた人が……!」

バロン兵1「ふん、つまらん…」


バロン兵1「突撃ぃ~!」

バロン兵2、3「おおぉぉーー!」


ダダダダダダ…


ガラガラッ…


バロン兵1「あ…足場が…!」グラッ


バロン兵達「うわぁーー!」


ドサドサッ!


雪歩「や、やった……!」



ゾロゾロ…


雪歩「ひっ!まだ…来るっ!」

481: 2014/08/08(金) 22:35:26.07 ID:6pgS5XD4O
バロン兵4「…うわっ…と」

バロン兵5「な、なんだ?いきなりでっかい穴が…」

バロン兵6「おい、女がひとりいるだけだぞ?」



スタスタ…



雪歩(ひぃ…穴をよけて、こっちに来るよ…!)



バロン兵4「仲間が何人かやられたようだが…」

バロン兵5「ここは、通らせてもらうぞ?」


スタスタ…


雪歩「ひーん、埋まってますぅ!」チャキ


ザクザクザクザクザク…


バロン兵6「穴に…入っちまった」

バロン兵4「バカめ、袋のネズミだ…」




ユキコ「……後ろですぅ!」ヌッ




バロン兵5「えっ?」クルッ



ガコン! ドカッ! バキッ!


ドサドサッ



バロン兵4「」

バロン兵5「」

バロン兵6「」



雪歩「ユキコさん…!」ガサガサ


雪歩「助かったよ~!」



ドタドタ…



ユキコ「また、来ますぅ!」



やよい「雪歩さーん!ユキコさーん!」

やよい「早く、こっちへ!」フリフリ

482: 2014/08/08(金) 22:52:25.80 ID:6pgS5XD4O
ファブール城1F 大階段

やよい「ここは、わたしにまかせてください!」

雪歩・ユキコ「…」コクン


雪歩「やよいちゃん、危なくなったら…下がってね?」

ユキコ「ヤヨイさん、無事で…!」


タッタッタッタッ…


やよい「……」

やよい(わたしだって…)

やよい(みなさんの役にたって、みせますっ!)


やよい「……!」ポゥ


やよい「……ぶりざどっ!」バッ


カチコチーン!



ゾロゾロ…


バロン兵7「…なんだ、子供がいるだけじゃないか…」

バロン兵8「先行隊は、落とし穴にやられたみたいだが…」

バロン兵9「ここは楽勝だな!」


スタスタ…


ツルッ ドテッ


バロン兵7「痛てて…なんだ?」


やよい「あのー!」

やよい「このかいだん、すべりやすいので、気をつけてくださいねー?」


バロン兵8「あ…この階段、凍ってる!」

バロン兵9「…うわ…とっ…と…」ツルッ

バロン兵8「ば、バカッ!こっち来るなっ!」ズサッ


ツルッ…ゴチーン!


ドサドサッ


バロン兵8「」

バロン兵9「」


バロン兵7「くそー!こんな子供だましに…!」



ゾロゾロ…


483: 2014/08/08(金) 23:06:12.61 ID:6pgS5XD4O
バロン兵10「なんだなんだ…?」

バロン兵11「どうした…?」



やよい「はわわっ!たくさん来ました!」

やよい(少しは、じかんかせぎできるかなーって!)

やよい「じゃーみなさん、頑張ってくださいねー!」


タッタッタッタッ…


バロン兵7「くっそー!」

バロン兵10「あっ…!」ツルッ

ドテッ

バロン兵11「す、滑る…!」




スタスタ…


律子「……まったく、こんなところで手こずってたの?」

バロン兵7「あ、リツコ様!す、すみません…!」

律子(ふーん…少しは頭を使ったのね…)

律子(やるじゃない、みんな)


律子「……あずささん?」

あずさ「は~い」


あずさ「……」ボッ


あずさ「…ファイア!」バッ


ボオォー! ジュウゥゥ…


バロン兵7「氷が…溶けた!」

律子「さあ…行きなさい?」


バロン兵達「はい!」


タッタッタッタッ…

484: 2014/08/08(金) 23:19:32.34 ID:6pgS5XD4O
ファブール城 2F 広間

春香「……」じーっ

春香(不思議な剣だなぁ…)

春香(…あれ?)

春香(柄のところに、何か書いてある…)

春香「えっ…と…」

春香「わが…さ…あ…い…の、む…す…め…」

春香「…ル…カ…?」

春香(ルカさん?っていう人のもの、なのかな…?)

春香(やっぱり、私が持っていていいモノじゃないよね…)


タッタッタッタッ…


やよい「春香さぁーん!」


春香「やよい!」

春香「無事で良かった…!」

やよい「はい!」

やよい「でも…まだまだ来ると思います!」

春香「わかった!やよいは、みんなのところへ…」

やよい「あ…これ!使ってください!」スッ

春香「…ポーション?ありがと!」


やよい「春香さん、待ってますから!」

春香「…うん!」



タッタッタッタッ…



春香「………………よし!」グッ


ゾロゾロ…


バロン兵達「……!」


春香「…天海春香、行きますっ!」

485: 2014/08/08(金) 23:35:38.78 ID:6pgS5XD4O
バロン兵7「また…女…!」

バロン兵10「なめやがって!」

バロン兵11「おい、さっさと倒して、先行くぞ!」

バロン兵7「いやまて…また罠があるかもしれん…」


春香「罠なんて、ありませんよ?」

バロン兵達「?」

春香「みなさんがこのまま帰ってくれるなら…」

春香「こちらからは、何もしません」

バロン兵7「そんなの、信じられるか!」

バロン兵10「調子に乗ってんじゃねーぞ!」

バロン兵11「お仕置きだ、嬢ちゃん…!」


バロン兵10・11「でやぁぁーー!」


ダダダダ…


春香「…気が進まないけど」グッ


春香「…ごめんなさいっ!」バッ


ズバババァーーー!


バロン兵10「ぐあっ!」

バロン兵11「ぎえっ!」


ドサドサッ


バロン兵10「」

バロン兵11「」


バロン兵7「なっ……!?」

バロン兵7「リツコ様と同じ…暗黒剣…?」

春香「お願いします、帰ってくださいっ!」ペコリ

バロン兵7「そ、そんな事…!」



律子「……それは、できない相談ね」

486: 2014/08/08(金) 23:49:48.44 ID:6pgS5XD4O
律子「春香…やっぱりいたのね」


春香「律子さん…!」グッ


千早「春香…!」

あずさ「あら~春香ちゃん、久しぶりね~?」

春香「千早ちゃん?あずささんも…!」

春香「な、なんで……!?」


千早「……」

律子「なんで、も何も、見ての通り」

律子「この2人は、『こちら側』という事よ…」

春香「そ…んな……!」

律子「さあ、どうする?戦う?それとも…」


律子「私も、暇じゃないのよね」

春香「……っ!」

春香(こんな事に…なるなんて…!)

春香(ど、どうしよう…!)


千早「律子、ここは私が…」

律子「……」

律子「…そうね。最後の時間くらい、親友同士で過ごすといいわ」


春香「千早…ちゃん…」

律子「あずささん、行きましょう」

あずさ「ええ…」


スタスタ…


あずさ「千早ちゃんを、お願いね…?」ヒソヒソ

春香「……え?」クルッ

春香(あずささん…?)



488: 2014/08/09(土) 00:09:23.34 ID:hzZdTcLPO
千早「…春香………ごめんなさい」

春香「千早ちゃん…」

千早「どうやら私、律子の命令には、逆らえないみたいなの」

春香「そ、そんな……!」

千早「だから、どうか…私を頃して欲しい…!」

千早「あなたの手で…!」

春香「な、何言ってるの…?」ウルッ

春香「そ…んな事、できる訳っ……!」ポロポロ


千早「ダメ…!じゃないと…私、がっ…グスッ」

千早「は、春香…を…頃し…ちゃ…!」ポロポロ

千早「ううっ…ひっ……グスッ…!」ポロポロ


千早「あ……いや、いや!やめて!」ググッ

春香「ち、千早ちゃ…ど、どうしたの?」

千早「いやぁ!やだよぉ!」ググッ

春香「千早ちゃん!大丈夫…?」

千早「は…はる…に…げ…!」


ブンッ!


ザシュッ!


春香「うあっ…!」ガクン


春香(か…体が…熱い…!)


春香(わた…し…千早…ちゃ…に…)


春香(それ…でも…い…か…)


春香(わた…し…が…ころ…す…よ…り…)



ドサッ



千早「あ……!」ガクガク


千早「…るか…はる、かっ…!」ガシッ



千早「いやあぁぁぁーーー!!」




489: 2014/08/09(土) 00:27:15.71 ID:hzZdTcLPO
ファブール城 3F 王の間

美希「zzz…」

美希「……ん」モゾッ

美希「……はっ」ガバッ

美希「……」キョロキョロ

美希「まだ、誰も来ないの」

美希「あふう」


タッタッタッタッ…


バロン兵7「ハァ、ハァ…!」

バロン兵7「また…ガキか…!」


美希「やっほー!」

バロン兵7「この…!」ブチッ

バロン兵7「……大人の恐ろしさ、見せてやらぁぁーー!!」


ダダダダダダ…


美希「んふっ」


美希「…………みにまむ」クイッ



ボンッ!



バロン兵7「……!」キョロキョロ

バロン兵7「……!」ピョンピョン


美希「あはっ!ホントにちっちゃくなったの!」


バロン兵7「……!」ピョコピョコ


美希「んー、何言ってるか、わからないの」


スタスタ…


律子「あら、今度は美希?」

律子「みんなに会えて、嬉しいわ」

美希「律子……!」

律子「……さん、でしょ?」

美希「……ワザとなの」

律子「……」


スタスタ…プチッ


あずさ「あら~美希ちゃん、久しぶりね~?」

あずさ(…今、何か踏んだかしら…?)

491: 2014/08/09(土) 00:50:21.55 ID:hzZdTcLPO
美希「あずさ…!」

美希(あずさが人頃しなの)


律子「美希、通してもらえるかしら?」

美希「律子…さんは、いいよ?」

律子「?」

あずさ「あら~、私はダメなの?」

美希「うん!律子…さんは、うちの大将と、勝負なの!」

律子(大将…)

あずさ(誰かしらね…?)


美希「男なら、正々堂々、勝負するの!」ビシッ

律子「私、女だけど…?」

美希「だって、真クンは…!」

美希「あ!」

律子(真が大将…妥当な選択ね)

律子「じゃ、通らせてもらうわ」

律子「あずささん、お願いしますね?」

あずさ「は~い」


スタスタ…


あずさ(まずいわ…私は、律子さんのそばにいないといけないのに…)

あずさ(美希ちゃんを、どうにかしないと…ね)


あずさ「美希ちゃん、どうしても、通してもらえないの?」

美希「ダメ!作戦だから!」


あずさ「…仕方ないわね~」

あずさ「少し、手荒になっちゃうけど…ごめんね?」バリッ


あずさ「…サンダー!」


ピシャァーン!


美希「…おっと!」ヒョイ


美希「そっちがその気なら…!」


美希「あずさ、勝負なの!」ビシィ


492: 2014/08/09(土) 01:04:23.92 ID:hzZdTcLPO
ファブール城 4F クリスタルルーム

真「……」



ガチャ…



真「……」


真「…待ってたよ」


真「…律子!」


律子「……」

律子(へえ…)

律子(弱い者いじめには、ならなくて済みそうね…?)


律子「真…あなたって、意外に人望が厚いのね…」


真「そんな事ないよ」


真「みんな、頑張ってる…」


真「だからボクも…」


真「全力を尽くすだけだっ!」バッ



ゴオオォォー!



律子「……!」

律子(これは…予想外…っ!)


律子「……楽しみましょう!」バッ




真・律子「はあぁぁーーー!!」



ダダダダダダ…




ドゴオオォォォーーン!!

494: 2014/08/09(土) 01:22:07.91 ID:hzZdTcLPO
ファブール城 3F王の間

あずさ「加減は、してあげるからね?」バッ


あずさ「…ファイア!」ボッ


ボオォーー!


美希「あちちっ!」ヨロッ


美希「…けある!」スッ


キラリーン!


あずさ「あら~回復できるのね?」

あずさ「なら、もう一段階…」

あずさ「……!」ボッ


あずさ「ファイラ!」バッ


ボオオォォーー!


美希「でかっ!」


タタタタ…


美希「速さなら、負けないの!」

美希「…こんふゅ!」バッ


あずさ「きゃっ!」スッ


あずさ「あ、危なかったわ…!」

あずさ(体力差を考えてなかったわ…)

あずさ(それにしても…)


美希「どーしたの?まだまだこれからなの!」


あずさ「なら……!」ブゥン


あずさ「…バイオ!」バッ

495: 2014/08/09(土) 01:33:27.27 ID:hzZdTcLPO
ブニューーン!


美希「ひぃ!き、キモいの!」


タタタタ…


美希「あ、そうだ!」


美希「…ぶりんく」


シュパパッ


パシュッ


あずさ「分身…?考えたわね」

あずさ(あと1回は防がれる訳ね…)


美希「すごいでしょっ?」

美希「ミキが増えたの!」


あずさ「ミキちゃん…あなた、白魔道士ね?」


美希「えっ?うん」

美希「よくわかったね、あずさ」


あずさ「白魔道士には、攻撃魔法がほとんどない…」


あずさ「ある魔法を、除いて」


美希「……」


あずさ「そして、美希ちゃん…あなた、その魔法が使えるわね?」


美希「!」


あずさ「自分がどこまでやれるか、試してみたくない?」


美希「……」


美希「…誘いに、乗ってあげるの!」スッ


シューーン…

497: 2014/08/09(土) 01:47:10.61 ID:hzZdTcLPO
あずさ(やっぱり…)

あずさ(さっき、正々堂々…なんて言ってたから…)

あずさ(こうやって勝負を申し込めば、分身を消してくれると思ったわ)

あずさ(…ちょっと、ズルかったかしらね)


美希「さっ!勝負なの!」バッ


あずさ「楽しいわね~」バッ


あずさ「…滅びゆく肉体に、暗黒神の名を刻め…」スッ


美希「…汚れなきなんちゃらの光よ、血にまみれしうんたらかんたら…」スッ


あずさ「フレア!」バッ

美希「ほーりー!」バッ




ブゥーーーーン…


ババババババババ!


キラキラキラ…


ドドドドドドドドド!



ーードガァァァァ…ンーー




499: 2014/08/09(土) 01:56:27.43 ID:hzZdTcLPO
美希「ハァ、ハァ…」ヨロッ


美希「あ、あずさ…」キョロキョロ


あずさ「……」


美希「あ、あずさ…大丈夫?」ガシッ


あずさ「う…ん…」


あずさ「私は、平気よ…?」


美希「良かった…」


美希「じゃ…遠慮なく勝たせてもらうの!」


あずさ「?」


美希「…すりぷる!」ナノ


あずさ「リフレク」ウフフ


美希「あ…」


ドサッ


美希「スヤスヤ…」


あずさ「最後まで卑怯で、ごめんなさいね~?」


あずさ「……律子さん」



515: 2014/08/10(日) 00:52:39.16 ID:pf0hfyviO
ファブール城 2F 広間


『目をそらすな』


春香「……っ!」ピク


『敗北とは、氏に非ず』


春香(あ……れ……?)


『敗北とは、目を閉ざす事』


春香(わた…し…生き…て…る…?)


『全てを見据えよ』


春香(この…声…は…?)


『世界を、友を見据えよ』


春香(と…も……っ!)


『さすれば、道は拓かれよう…』


春香(千早…ちゃん…!)


春香(ダメだ…私が…諦めたら…!)


春香「……っ!」グッ


春香(千早ちゃんが…みんなが…待ってる…!)


春香「……!」ヨロッ


千早「…は、春香っ!?」ガシッ


春香「…ちは…や、ちゃ…っ!」ググッ


千早「春香…良かった…!」グスッ


春香「ハァ、ハァ……!」


春香「千早ちゃん…私、諦めないよ…!」

517: 2014/08/10(日) 01:02:06.27 ID:pf0hfyviO
千早「は、春香…ダメ!」


千早「私を、頃して…!」


春香「ダメだよ…!」


春香「みんな揃って、帰るんだから…!」


千早「で、でも…わ、私は…!」


春香「これは…私の、わがままだけど」


春香「誰かひとりでも、欠けてたら嫌なんだ」


千早「春香…」


春香「ちょっと、ゴメン」スッ


春香「ゴク…ゴク…」


春香「ふぅ……」


千早「私は、律子の命令には逆らえないの…」


春香「うん」


千早「だから…」


春香「…じゃあ、他の方法を考えようよ?」


千早「え……?」


春香「簡単に、殺せ、なんて言わないで?」

518: 2014/08/10(日) 01:16:01.77 ID:pf0hfyviO
春香「…そうだ、律子さんに頼んでみよう!」


千早「無理よ…律子も誰かに操られてるみたいだから」


千早「…それに、私、止まらないの…!」グッ


千早「今は抑えているけれど…」


千早「春香を…こ、殺そうと…!」グッ



春香「…いいよ」



春香「辛そうな千早ちゃんを見てるのは、私も辛いから」


千早「え……?」


春香「でも、私…氏ぬつもり…ない」


春香「私は、千早ちゃんに殺されないし」


春香「私は、千早ちゃんを殺さない」


春香「…だから、千早ちゃんの思うように、ぶつかって来て欲しい」


春香「私も、全力で受け止めるから!」


千早「春香…」


千早(…強く、なったのね)


千早(運命を呪ったところで…前に進める訳じゃない…)


千早「何もしなくても、氏は訪れるなら…」


千早「精いっぱい、足掻いてみてからでも…遅くはないわね」


春香「…うん!」


春香「じゃあ…」チャキ


千早「ええ…!」チャキ



春香・千早「……いざ!」


タタタタ…



ガキィーン!

519: 2014/08/10(日) 01:25:52.87 ID:pf0hfyviO

グググッ…


千早(くっ……春香、なかなか…!)


春香(不思議…)


キィーン!


スタッ


千早(やるわね!)


千早(でも、私の間合いに持ち込めれば…)スッ


ブンッ


春香(千早ちゃんは…)スッ


ガキィン!


春香(自分の間合いで戦うつもりだね…)


バッ!


スタッ


千早(え……後ろへ飛んで、さらに間合いを広げた…?)


春香(千早ちゃんが考えてる事…)


ユラ…


千早(……?そんなゆっくりとした動きじゃ…)


ピタ


春香(大体、わかっちゃう)バッ


ビュン!


千早(は、速いっ!)


スタタタタ…

520: 2014/08/10(日) 01:36:47.71 ID:pf0hfyviO
春香(こんな、チャンバラみたいな事…)


ドゴッ


千早「くっ……!」ヨロッ

千早(間合いを詰めての、当て身…!)


ガッ


千早「あっ…!」グラッ


ドサッ


千早(あ、足払い…?)

千早(春香がこんなに、格闘技に精通していたなんて…)


春香(私、お芝居ですら、経験ないのにね…)

春香(この剣が…導いてくれてる…そんな気がする)チラ



春香「千早ちゃん、ホラ、立って?」スッ


千早「え、ええ…」グッ


スタッ


春香「ふふ、なんか新鮮だね?こういうの」


千早「…そうね。親友同士で頃し合いだなんて…」


千早「まるで、映画の世界ね……クスッ」

521: 2014/08/10(日) 01:51:06.13 ID:pf0hfyviO
春香「千早ちゃん、どうせなら…楽しもうね!」


千早「…ええ!」


千早(…負けたく、ない)


千早(…春香に、楽しんでもらいたい!)


千早「……!」グッ


春香(ん……?)


千早「……くっ!」


タンッ


フワッ


春香(…そうか、ジャンプ力を生かして…)


春香(でも、いくら千早ちゃんでも…)


春香(空中で身動き取れないよね?)


春香(…格好の、餌食だよ?)チャキ


ダンッ!


春香「なっ!!」


ヒュン!


ドカッ


春香「う……!」ヨロッ


春香(…天井を蹴って、落下スピードを変えたのか…)


スタッ


千早「……」


春香(さっきの私のフェイントと同じ…)


千早「…一矢、報いたわ」


春香「ふふっ!」チャキ


春香「千早ちゃん、楽しいね!」


千早「ええ!」チャキ


522: 2014/08/10(日) 02:08:08.46 ID:pf0hfyviO
千早「……」ジリ


春香「……」


千早(春香は…何を狙ってるの?)


千早(例の…必殺技…かしら)


千早(さすがにあれは…槍の間合いの比じゃない)


千早(今度は、こっちが間合いを詰める番ね!)バッ


タタタタ…


春香「…させないよ!」ググッ


ズババァーー!


ダンッ


フワッ


春香(…やっぱり翔ぶよね)


春香(天井を蹴った時のスピードは、もう覚えた)


春香(どうするの…?)チラ


千早「春香、こういうのは…」グッ


千早「…どうかしらっ!」バッ


ビュン!


春香(く、空中から槍投げ!?)


春香(躱せない!けど…!)


ザシュッ!


春香(っ…左肩に…!)ガクン


春香「…お返しだよっ!」バッ


シュッ!


ドカッ


千早「うっ…!」


ドサッ


千早(あ、あの一瞬で鞘を投げるなんて…たいした反射神経ね…!)

524: 2014/08/10(日) 02:17:14.15 ID:pf0hfyviO
春香「千早ちゃん、平気?」


千早「ええ…でも…」


千早「足を…痛めたみたいね…!」


春香「そっか…」


千早「…私の負け、ね」


春香「ううん、違うよ」


春香「これは、私の力じゃない…」


春香「この剣に…導かれただけだから…」スッ


キラーン


千早「…剣に?」


春香「不思議な剣なんだ…」


春香「見た目は不気味なのに…持ってると、安心するの」


春香「見守ってくれてる、っていうか…」


千早「見守って……?」


千早(あ……!)


千早「すっかり忘れてたわ」


千早「春香、私の服の中、見てくれる?」


春香「え!?どどどどういう事?」

529: 2014/08/11(月) 23:09:33.90 ID:7ZRku0CXO
春香「……え?プロデューサーさんが?」


千早「ええ」

千早「あの地震の後、どうやら私とプロデューサーは…」

千早「律子に連れて行かれたみたいなの」

千早「だから今回、プロデューサーを連れて来たの」

春香「…そうだったんだ…」

春香(律子さんの意図が…読めないな)


千早「だ、だから…春香」モジモジ

春香「で、でも……」モジモジ

千早「もう、腕も上がらないの…」




春香「わ、わかった……」


春香「……」ドキドキ

千早「……」ドキドキ

春香「し、失礼しまーす……」ガバッ


千早「あ……///」


春香「わぁ……!」

春香(ち、千早ちゃんの…!)

春香「……」じーっ

千早「は、春香…あんまり見ないで…恥ずかしいから…」

春香「で、でも、すっごくキレイだよ……ゴクッ」

千早「そ、そんな事……///」

530: 2014/08/11(月) 23:19:10.03 ID:7ZRku0CXO
春香「……」ゴソゴソ


千早「あっ……!」ピクッ


春香「千早ちゃん、少し、我慢してね?」

春香(千早ちゃんの肌、スベスベだぁ…)


ゴソゴソ


千早「ひっ……あっ……ん…!」ビクン


春香(あ…あった…)

春香(で、でも……もう少しだけ…)


ゴソゴソ


千早「んっ……は、春香…あっ…///」


春香「あ、うん……見つかったよ?」

春香(千早ちゃん、あんまりかわいいから…つい)

千早(わ、悪い気は…しなかった……かも)



P「……」グッタリ

春香「プロデューサーさん…?」

春香「千早ちゃん、プロデューサーさん、どうしたの?」


千早「大丈夫よ。きぜ…寝てるだけだから」

531: 2014/08/11(月) 23:36:32.05 ID:7ZRku0CXO
ファブール城 4F クリスタルルーム

律子「ふっ…!」バッ


ブンッ


真「…おっと!」ヒョイ

真「はっ!」


ドゴッ!


律子「……何か、したかしら?」


タンッ スタッ


真「さすが…あんな突きじゃ、ビクともしないか…」


律子「がっかりさせないでね?」ボッ

真(……魔法!)


律子「…ファイラ」バッ


ボオオォォーー!


真「……!」ジリッ

律子(まさか、まともに受ける気…?)


ボオオォォーー!


真「ぐっ……!」ググッ


ジュウゥゥ…


真「……よし!」


律子「…ふぅん」

律子「じゃあ…これはどうかしら?」

律子「…地の底に眠る、星の火よ…」ボッ


真(呪文を唱え出した…?)

真(さっきのとは、段違いだ…!)


律子「古の眠り覚まし、裁きの手を翳せ!」


律子「ファイガ!」バッ


ボオオオオォォォーー!


真「……!」ググッ

真「…砕破っ!」バッ


ブォン!

532: 2014/08/11(月) 23:49:30.35 ID:7ZRku0CXO
真「ぐぐぐっ…!」


真「はっ!」バッ


ボオオオォォーー!


律子「は、跳ね返した?」

律子「…ちっ!」ダッ


ゴロン


ドゴオォー…


真「へへっ!どう?ビックリした?」


律子「…やるわね」


律子「なら……光の速さには、反応できるかしら?」


真「え?」


律子「…天空を満たす光、一条に集いて…」バリバリッ


真(雷…?)


真「…させるかっ!」ググッ


真「……飛燕!」ダンッ


ビュンッ


律子(は、速いっ!)


真「疾風脚!」


ドゴォ!


律子「ぐ……!」ヨロッ


スタッ


真「…幻影脚っ!」


ズダダダダダダダ…


律子「がっ…ぐぅ……!」


真「せいっ!」バッ


ドゴォン!


律子「かはっ!」ガクン


真「…どうだっ!」

533: 2014/08/12(火) 00:05:56.48 ID:VfvEgJHXO
律子「…調子に…!」グッ


律子「乗るなぁ!」


ドゴォ!


真「ぐあっ!」


ドサッ


真(くっ…ただの足刀が…こんなに重いのか…)


律子「…少し、本気を出すわ!」チャキ


律子「はぁぁぁ…!」ググッ


真(剣を…?あれは…まずい!)


真(なら…!)


真「はぁぁぁーー!」グッ


ゴオオォォーー!


律子(今までに無い威圧感…!)


律子(…でも、私の暗黒剣に勝てるかしら…?)


真「……覇王!」バッ


律子「…喰らいなさいっ!」スッ


真「翔吼拳っ!」バッ


ズバババババァーー!


ゴオオオオォォーー!




ーーズドオオォ…ンーー

534: 2014/08/12(火) 00:22:05.36 ID:VfvEgJHXO
ファブール城 3F 王の寝室

やよい「みなさん、無事ですかねー?」

雪歩「うん…」

ユキコ(マコトさん……)



ユキコ「……」

ユキコ「…やっぱり…マコトさんが気になるよ…」

ユキコ「様子を見に行かない?」

雪歩「で、でも…足手まといにならないかな…?」

ユキコ「そ、そうかもしれないけどっ…!」



やよい「いえ!そんな事ありません!」

やよい「わたしたちだって、力になれる事はきっとあるはずですっ!」



ユキコ「ヤヨイさん…!」

雪歩「……っ!」

雪歩「…そうだね、やよいちゃんの言う通りだ…」

雪歩「私、また勇気を失うところだったよ…!」

ユキコ「ユキホさん…」


やよい「だいじょーぶですよ!」

やよい「わたし、雪歩さんがすっごく強い人だって、知ってますから!」



535: 2014/08/12(火) 00:33:34.46 ID:VfvEgJHXO
雪歩「ありがとう、やよいちゃん」


雪歩「じゃ…真ちゃんのところへ、行こう!」スッ



ゴトン!



雪歩「あっ…何か、落としちゃった…」

やよい「これは…」スッ

やよい「時計?ですかねー?」


ユキコ「あ…それは、目覚まし時計ですぅ」

雪歩「へぇ…でもここ、王様の部屋だよね…?」

やよい「きっとおーさまも、お寝坊さんなんですよ!」

雪歩「ふふっ…」

雪歩(美希ちゃんみたい…)

雪歩「………あ」


雪歩「これ、持って行こうよ」

雪歩「もし美希ちゃんが寝ちゃってたら、厄介だから…」

やよい「なるほどー!さすが雪歩さん!」

ユキコ「?」


雪歩「じゃ…行こうか」



スタスタ…

537: 2014/08/12(火) 00:43:23.65 ID:VfvEgJHXO
ファブール城 4F クリスタルルーム前

あずさ「…よいしょっと」

あずさ(美希ちゃん…起きないわねぇ)

あずさ(背負って歩くのも、しんどいわ~)


スタスタ…


あずさ「ここに、律子さんと真ちゃんが…」



ガチャ…



あずさ「!」


あずさ(地震か何か、あったのかしら…?)キョロキョロ

あずさ(壁がボロボロ…)

あずさ(それに、粉塵がすごくて…中の様子がわからないわ…)


あずさ(…とりあえず、もう少し中へ行ってみましょ…)

あずさ「美希ちゃん、ちょっとここにいてね…?」


ドサッ


スタスタ…

538: 2014/08/12(火) 00:55:22.00 ID:VfvEgJHXO
ファブール城 4F クリスタルルーム

真「ハァ、ハァ…!」ガク


律子「真…あなたはよくやったわ」


律子「…だから、そろそろ休みなさい?」チャキ


真「く…そ…!」




あずさ「律子さん!」



律子「あずささん…?」

律子(美希…それほど足止めできなかったのね…)


真「えっ?あずささん?ど、どういう事…?」


あずさ「律子さん、あなたが道を間違えたら…」

あずさ「それを止めるのは、私の役目です…!」


律子「そう…ですか…」

律子(迷ってるヒマはないわ…)

律子(さすがにこの2人をいっぺんに相手にしたら…)

律子(私も無事じゃすまない)


律子「……」グッ


スタスタ…


あずさ「律子…さん?」


真「律子!何をする気だ!」

539: 2014/08/12(火) 01:05:31.38 ID:VfvEgJHXO
律子「あずささん………ごめんなさい」ギロッ


あずさ「え……?」ドクン


あずさ「あ……」グラッ


ドサッ


真「くそっ!」


タタタタタタ…


真「あ、あずささん、しっかり!」ガシッ


あずさ「……」グッタリ


真「律子!何をした!」


律子「大丈夫よ。氏ぬ訳じゃない」


律子「今は…眠ってもらっただけ…」


律子「それより……決着を、着けましょう」


真「……」


真(どうする…?)


真(覇王翔吼拳が負けたのは…計算外だった…)


真(…まだだ。まだ、できる事はあるはず…!)


真「……」ヨロッ


律子「お祈りは、済んだかしら?」


律子「……さよなら、真」バッ




ーージリリリリリリリ…ーー

540: 2014/08/12(火) 01:15:44.13 ID:VfvEgJHXO
律子「え!?」


律子「な、何の音!?」キョロキョロ


真(…チャンスだっ!)


ダンッ


律子「あ…しまっ…!」


真「……覇王…!」バッ


律子「…させないわ!」グッ




真「……やっぱやーめた!」




律子「え?」


真「飛燕…疾風脚っ!」バッ


ビュン!


ドゴォ!


律子「ぐぅ……!」ヨロッ


スタッ


真「ハァ、ハァ…!」ガクッ


律子「そ、そんな技じゃ…致命傷には、ならないわ…!」


真「へへ…!でも…ち、ちょっとは、効いた…みたいだね…?」


律子「ちっ…!」


律子「…次で、本当にお別れよ…!」スッ


真「……くっ!」

541: 2014/08/12(火) 01:25:29.47 ID:VfvEgJHXO
クリスタルルーム 入口付近


美希「……ん」

美希「んんっ…」

美希「あふう」

美希「朝……?」モゾモゾ

美希「はっ!あずさ!」ガバッ

雪歩「よかったぁ…起きた…」

美希「ぐぬぬ…ミキ、あずさに負けちゃったの…」


雪歩「そんな事より…今、真ちゃんが…」

ユキコ「押されてますぅ!」オロオロ

美希「真クン!美希が回復してあげるの!」スタッ

やよい「美希さん、わたしも行きますっ!」



タタタタ…



雪歩「わ、私達も…!」

ユキコ「うん!行こう!」



タタタタ…

542: 2014/08/12(火) 01:36:37.64 ID:VfvEgJHXO
律子「これで…最後よ…!」ボッ


律子「……ファイガッ!」バッ


ボオオオォォーー!


真(くっ……!)


真(もう、打つ手は…ないのか…?)




やよい「真さんがっ!」


やよい「……!」ギュッ


やよい(……お母さん、助けて!)


パァーーー!


スゥーー…


ミストドラゴン「……ヤヨイ…任せてください」


シュウゥゥゥーー!


キラキラキラ…!



律子「なっ!何よこれ!?」キョロキョロ


真「き、霧……?」


ボオオォー…


ジュウゥー…



雪歩「やよいちゃん、すごい!」


やよい「えへっ!やりましたー!」


やよい(お母さん、ありがとうございます…!)


543: 2014/08/12(火) 01:46:46.45 ID:VfvEgJHXO
シュウゥゥー…



律子(…これじゃ、何も見えない…!)

律子(今のは、やよいが…?)


律子(いつの間にか、みんな集まってる…)

律子(全員を相手になんか、してられないわ)

律子(ならせめて、今のうちに目的を…)


スタスタ…




美希「真クン、平気?」

真「美希…みんな!」


美希「…けあるら!」


シャララーン!


真「ありがと、美希!」

雪歩「真ちゃん…よかったぁ…」グスン

ユキコ「ホッとしました…!」

真「ごめん、心配かけたね」


真「やよい、さっきのは、やよいが…?」

やよい「なんとか、間に合いましたー!」

真「ありがと、助かったよ!」

やよい「えへっ」


真「でも、律子がまだ…」





ガチャ…

544: 2014/08/12(火) 01:57:24.32 ID:VfvEgJHXO
春香「あれ…?真っ白…?」

千早「…どうなっているの?」



やよい「あっ…この声は!」

雪歩「春香ちゃんに……千早ちゃん…かな?」



春香「ん…?みんなの声が…」

春香「みんなぁー!無事ー?」



真「うん!」

美希「平気なの!」

やよい「大丈夫です!」

雪歩「なんとか…」

ユキコ「無事ですぅ」



春香「うん、みんな無事みたいだね…」

千早(みんな…)

千早(ん?ひとり、多くないかしら…?)



スゥゥーー…



春香「あ…霧が、晴れてく…」

春香「千早ちゃん、美希に手当てしてもらおう?」


スタスタ…


美希「あはっ!千早さん、また足を怪我してるの!」


シャララーン!


千早「美希、ありがとう」

千早(律子とあずささんはどこかしら…?)キョロキョロ




律子「……千早、引き上げるわよ」

545: 2014/08/12(火) 02:09:34.45 ID:VfvEgJHXO
千早「律子……」

春香「律子さん…」



律子「目的のモノは、もう手に入れたわ…」キラーン


真「律子…行かせるか……ぐっ!」

美希「真クン、まだ動いちゃダメなの!」ガシッ


律子(美希が…治療を…?)

律子(……)

律子(敵に回すと、厄介ね…)



律子「千早……美希も、連れて行くわ」


千早「律子…!」

律子「…………命令よ」

千早「くっ……」

春香「千早ちゃん…」


千早「美希…ごめんね…?」

美希「?」


ドスッ


美希「」ドサッ


真「ち、千早!なんで…!?」


千早「………………ごめんなさい」ボソッ

ダキッ


スタスタ…



春香「千早ちゃん…」




律子「あずささん…」ダキッ

律子(申し訳ない…?)

律子(…そんな気持ちは、もう持ってないわ)

律子(…じゃあ、なぜ、私は…?)ポロッ

律子「……」



スタスタ…

546: 2014/08/12(火) 02:20:19.45 ID:VfvEgJHXO
律子「また…会いましょう」クルッ



スタスタ…






春香「……」

真「くそっ!ボクの…せいだ!」

真「ボクがしっかりしてれば、あずささんも…美希も…!」ガンッ

雪歩「真ちゃん!」ギュッ

真「雪…歩?」

ユキコ(ユキホさん…)

雪歩「ひとりで、背負わないで…?」

雪歩「みんな、いるよ…?」

やよい「そうですよ…真さんだけの責任じゃないと思います」

春香「……」


やよい「春香さん、これからどうしましょう?」

春香(誰のせいでも、ないよ…)

やよい「春香さん…?」


春香「…へっ?あ、ごめんね…?」


春香「……なんか、疲れちゃって…」



春香「とりあえず…真の……い…え…」フラッ


ドサッ


やよい「は、春香さん!?」

547: 2014/08/12(火) 02:26:03.09 ID:VfvEgJHXO
ファブール攻防戦がようやく決着したので、今日はこれにて



なんか、だんだん暗い話になってきたなぁ…

553: 2014/08/12(火) 21:58:50.26 ID:dIk06AleO
マコトの家 リビング

真「うーん、やっぱり…」

真「美希が連れて行かれたのは…ちょっと痛いね」

雪歩「そうだね…美希ちゃん、回復魔法が使えるんだよね…」

雪歩(…あれ?それが律子さんの狙いなのかな…)



真「で、春香の具合は?」

雪歩「私はお医者さんじゃないから、詳しい事はわからないけど…」

雪歩「…ひどい怪我、だと思う」

雪歩「……しばらくは、安静にしてた方がいいんじゃないかなぁ…」

雪歩「今は…寝てるよ」


真「……そっか」

真「ボクも何か…」ガタッ

真「…つっ…!」


雪歩「真ちゃん!」ガシッ

雪歩「ダメ、真ちゃんも、しっかり休んで?」

雪歩「真ちゃんだって、怪我人なんだからね?」

真「う、うん…」

真(こういう時の雪歩って、なんかキビキビしてるよね…)


雪歩「私が春香ちゃんの面倒をみるから!」

雪歩「…今、ユキコさんとやよいちゃんが買い物に行ってるから…」

雪歩「2人が帰ったら、ご飯にしよう?」

真「わかった、頼むよ」



雪歩「…ちょっと、春香ちゃんの包帯替えて来るね?」


スタスタ…

ガチャ…バタン

554: 2014/08/12(火) 22:09:24.21 ID:dIk06AleO
マコトの家 寝室

ガバッ…


雪歩「……うわ、もう真っ赤になっちゃってる」

雪歩「とりあえず、服を脱がせて…」


ゴソゴソ…


雪歩(……千早ちゃんと、何があったのかな…)


ジャブジャブ…


雪歩(こんなにひどい怪我って事は、やっぱり…)


ギューッ


雪歩(……千早ちゃんの様子、おかしかったもんね…)


フキフキ…


雪歩(仲のよかった、春香ちゃんと千早ちゃんが…)


フキフキ…


雪歩(……もし私が、真ちゃんと争う事になったら…)


フキフキ…


雪歩(……ううん、そんなの考えたくないよ…)


フキフキ…



雪歩「……うん、キレイになったね」


雪歩「……よし、新しい包帯を…」


グルグル…

555: 2014/08/12(火) 22:17:52.54 ID:dIk06AleO
雪歩(左肩の傷もひどいけど…)


グルグル…


雪歩(右の脇腹…すごく痛々しい…)


グルグル…


雪歩(……春香ちゃんが生きててくれて…)


グルグル…


雪歩(ホントに、よかったよ…)



雪歩「……うん、とりあえずは、これでいいかな」


雪歩(後は……)チラ


雪歩(あのポシェットにも、少し血がついちゃってるね)

雪歩(洗ってあげなきゃね)

雪歩(でも、あれって確か、やよいちゃんの…)




春香「…う……」モゾモゾ


雪歩「あ……」


春香「んっ……あ…れ?」

春香「ここは…?」キョロキョロ

556: 2014/08/12(火) 22:28:52.80 ID:dIk06AleO
雪歩「おはよう、春香ちゃん」ニコッ


春香「雪歩…?私…」


雪歩「気を失っちゃったんだよ?覚えてない?」


春香「……」

春香(あれ?何があったんだっけ…)

春香(お城に、律子さんが攻めてきて…)

春香(……そうだ、私、千早ちゃんと…)



春香(あ、あれ…?私、服着てない…?)バッ

春香「あ…包帯…」


春香「ひょっとして、雪歩が?」

雪歩「うん、勝手にやってゴメンね…?」

春香「そんな…!助かったよ、ありがとう、雪歩」

雪歩「…うん」



雪歩「あ、春香ちゃん…」

雪歩「このポシェットって…」スッ


春香「あ…それは…」


P「う……」


雪歩「ひっ……!」

557: 2014/08/12(火) 22:41:50.91 ID:dIk06AleO
春香「雪歩、信じられないかもしれないけど…」

春香「今は『これ』がプロデューサーさんなんだよ」


雪歩「え?……ええっ?」


P「あれ…ここは…?」


春香「プロデューサーさん、おはようございます」


P「春香…と、雪歩か…?」


雪歩「ほ、ホントに、プロデューサーなんですか…?」


雪歩「ビックリですぅ」


P「久しぶりだな、雪歩」

P「ん……?」チラ


P「えっ?ちょっと待って…」

P「あのー、春香さん…」



P「なんで、裸…?」



春香「え?」

春香「あ……!」チラ


春香「わ、忘れてたー!」アタフタ


春香「ちょ、ちょっと、見ないでください!」バッ

春香「雪歩、服、服ー!」アセアセ


雪歩「あ、えっと…!」キョロキョロ

雪歩「……は、はい!」スッ


春香(えーん!恥ずかしいよー!)


雪歩(あれ?これって…私のせいかな?)

雪歩(春香ちゃん…なんか、ゴメンね)

558: 2014/08/12(火) 22:55:44.87 ID:dIk06AleO
雪歩「あ、あのぅ、プロデューサー?」


P「ん?どうした?」


雪歩「ちょっと血がついちゃってるので、私が洗ってあげますよ」

春香(あ…私の血か…なんか、申し訳ないなぁ)



P「……」

P「……いや、いいよ」

雪歩「えっ、でも…」

春香「そうですよ。汚いです」


P(洗わないと、やよいに悪いんだけど…)

P(これは…この血は…俺自身への戒めと、誓い…)

P(そして、春香が頑張った、証だから…)

P(ま、恥ずかしいから言わないけど)


P「大丈夫だよ。そんなに目立たないしな」


雪歩「そ、そうですか…」

春香(なんか、罪悪感…)




ガチャ…




ユキコ「ただいまですぅ」

やよい「戻りましたー!」


雪歩「あ、やよいちゃん達、戻って来たみたい」

春香「じゃあ…とりあえず、みんなに説明しましょうか」

P「そうだな」

559: 2014/08/12(火) 23:07:47.51 ID:dIk06AleO
マコトの家 リビング

真「え?これが…プロデューサー?」

やよい「ほんとーにべろちょろになっちゃったんですねー?」

P「うん、まあ…そういう事だから、よろしくな」



ユキコ「あ、あの…」

ユキコ「みなさんは、誰と話してるんですか…?」

P「ゆ、雪歩が2人…?」



真「えっ!ユキコ、見えないの?」

雪歩「ユキコさん、ほら…ここに…」

やよい「べろちょろが…」

ユキコ「??」



春香「あ……」

春香「えっと…みんな」

春香「プロデューサーさんは多分、私達にしか、見えないよ?」


真・雪歩・やよい「えっ!?」


春香「ユキコさん、ごめんなさい」

春香「少しだけ、私達だけで話をさせてもらってもいいかな?」


ユキコ「は、はい、わかりました…」



スタスタ…

ガチャ…バタン

560: 2014/08/13(水) 06:07:14.50 ID:CaykIMHBO
P「……という訳だ」




真「なんか…妙な事になってますね」

雪歩「なんでプロデューサーだけ…?」

やよい「えっと、うーんと…」

やよい「プロデューサーは、誰にも見えないんですね?」


P「うん、そうだ」

P「俺は…こんな体だから、戦えない」

P「俺は…みんなに指示を出すくらいしか、できない」

P「すまん…」ペコリ


真「なーに言ってるんですかー!」

真「普段とあんまり変わらないですよ!」

雪歩「うん…そうだね」フフッ

やよい「プロデューサーは、わたしが守りますっ!」

P「みんな…」



P(それじゃまるで、俺が普段何もしてないみたいじゃないか…)

P(普段は、営業とかもしてるんだけどな…)

P(ん?営業…?)

561: 2014/08/13(水) 06:24:13.15 ID:CaykIMHBO
P(そうか…)

P(俺からは、何もできないが…)

P(みんなを介して、ゲームのキャラに干渉する事はできるな…)

P(…やるべき事が、なんとなく見えてきた)




春香「プロデューサーさん、これからどうしますか?」

P「うん、それなんだが…」

P「今、美希が捕らえられている場所は…」

P「飛空艇じゃないと行けない場所なんだ」

やよい「ひくうてい?」

真「あ…ひょっとして、あの空飛ぶ船ですか?」

P「その通り。だが、飛空艇は、バロンにしかない」

春香「バロン…」


P「だから、一度バロンへ向かう必要がある」

雪歩「あの…バロン…へは、どうやって行くんですか?」

P「うん。陸路でも行けない事はないが、時間がかかり過ぎる」

春香「じゃあ…」



P「海から行く」

P(……そうしないと、先に進まないしな)

P(……)


562: 2014/08/13(水) 06:35:36.47 ID:CaykIMHBO
雪歩「海から…?という事は…」

真「船ですか?」

P「うん」

春香「でも、私達、船なんて持ってないですよ?」

P「大丈夫。ファブール王に頼めば、貸してくれるはずだ」



真「じゃあ、明日にでも、お城へ行きますか?あいさつも兼ねて…」

P「うん、そうだな」





やよい「わたし、そろそろご飯作ってきますね?」

雪歩「あ…もうそんな時間か…」

春香「私も手伝いたいところだけど…」

やよい「だいじょーぶですよ!春香さんは、ゆっくり休んでてくださいね?」



スタスタ…

ガチャ…バタン



563: 2014/08/14(木) 01:41:55.12 ID:y72Exx9QO
マコトの家 リビング

やよい「お待たせしましたー!」


ドッサリ!


やよい「まだまだありますから、たくさん食べてくださいねー!」


真「……」

真(もやし、おいしいんだけど…)

真(ちょっと、飽きたかなーって…)


雪歩「あ、今日は…お肉も入ってるんだね」

真「あ…ホントだ」


ユキコ「あ、それは…」



ユキコ「チョコボの肝臓ですぅ」




真「ちょこぼ?」

P(チョコボを…食べるのか?)


やよい「ユキコさんが、みなさんのために栄養がつくものをって…」

ユキコ「チョコボの肝臓は、とっても栄養価が高いんですぅ」

ユキコ「それに…臭みも少なくて、食べやすいんですよ?」

真「ユキコ、ありがとね!」

ユキコ「うぅ…マコトさんのためなら…」モジモジ


P(この子、まんま雪歩だなぁ)

564: 2014/08/14(木) 01:48:20.36 ID:y72Exx9QO
雪歩「レバーには鉄分が多く含まれてるから…」

雪歩「たくさん血を流した真ちゃんや春香ちゃんには、うってつけだね」


春香「ぱくっ…」

春香「あ…おいしい!」


ユキコ「よかったですぅ!」



やよい「ユキコさん、このタレはどうやって…?」

ユキコ「うふふ、秘密ですぅ!」

真「おかわり!」

雪歩「あ、ちょっと待ってね?」ガタッ

春香「この食感、クセになりそう…!」



P(なんだかんだで、みんなうまくやってるな…)

565: 2014/08/14(木) 01:56:08.02 ID:y72Exx9QO
ユキコ「あ、そうだ」

ユキコ「みなさんに、お土産があるんですよ?」

春香「お土産?」


ユキコ「ちょっと待ってくださいね…」ゴソゴソ


ユキコ「はい、どうぞ?」スッ


春香「これは…?」


ユキコ「ハイポーションですぅ」


春香「ハイポーション…?」


ユキコ「マコトさんやハルカさんの怪我は、ポーションでは治りきらないみたいなので…」

ユキコ「ハイポーションなら、効くかと思って…」

ユキコ「……」




ユキコ「みなさん、すぐにでも旅立つんですよね…?」




春香「……」

真「ユキコ…」

やよい「ユキコさん…」

雪歩「……」

566: 2014/08/14(木) 02:06:58.26 ID:y72Exx9QO
ユキコ「マコトさんが、みなさんを連れて来た時から…」

ユキコ「なんとなく、そんな気がしてました…」


真「ユキコ…黙ってて、ゴメン?」

ユキコ「いいんですよ…?」

ユキコ「もう、覚悟はできてますから…」グッ



真「……」



真「……必ず、帰ってくるよ!」グッ


ユキコ「……!」


真「いつになるかわからないけど、絶対、帰ってくる!」


真「だってここは…」


真「ボクの帰る場所だから…!」


春香「真……」


ユキコ「マコトさん…!」

ユキコ(…嘘でも…嬉しいですぅ)


雪歩「ユキコさん、真ちゃんは、私達が必ず守るよ…」


ユキコ「ユキホさん…お願いね…?」ウルッ

ユキコ(ありがとう…もうひとりの私…)



567: 2014/08/14(木) 02:17:05.81 ID:y72Exx9QO
春香「ユキコさん…」グスッ



やよい「……」

やよい「みなさん、笑いましょう?」

春香「やよい…?」


やよい「かなしい時って、きっとかなしい顔してるから、かなしいんだと思います」

やよい「だから、もしかなしくても…笑っていれば、かなしくなくなるんです!」


雪歩「やよいちゃん…」

春香「うん…そうだね」

真「やよいの、言うとおりだ…」

真「ユキコ、最後の夜くらい、笑って過ごそう?」


ユキコ「グスッ…はい、わかりました」ゴシゴシ

ユキコ「ヤヨイちゃん、ありがとう」

ユキコ「お礼に、秘密のタレの作り方、教えてあげるね?」


やよい「ほ、ほんとーですか?」


やよい「これで、きゅーきょくのタレに、また一歩近づきます!」


春香「やよいってば…」

真「ははっ…」

雪歩「うふふ」


P(やよいは偉いなぁ)

572: 2014/08/14(木) 22:26:32.37 ID:y72Exx9QO
翌日、ファブール城 王の間

王「……そうか、マコトよ…行くか」

真「はい!お世話になりました!」

王「本当なら、引き止めたいところじゃが…」

王「お主は…いや、お主らは、何か大きな運命の渦中にいるようじゃな」

王「城の事は、案ずるな。皆、復興に奮起しておる」


王「そして…」

王「ハルカ殿、ユキホ殿、ヤヨイ殿…」


王「本当に、感謝する!」

王「我が国のために戦ってくれた礼と思って…」

王「船は、自由に使ってもらいたい」


春香「王様、ありがとうございます!」ペコリ



王「…時に、春香殿」

春香「はい」

王「そなたに、話さなければならない事がある」

春香「?」

573: 2014/08/14(木) 22:37:43.75 ID:y72Exx9QO
王「お主に渡した剣じゃが…」

春香「あ、はい…」

春香(まさか、返せとか言われるんじゃ…)



王「…もともとは、そなたの父上のものじゃった…」


春香「あ、はい…」


春香「……」


春香「……」


春香「……ええっ!?」

春香「い、今、なんて…?」


王「じゃから、その剣は、そなたの父上の剣じゃった」


春香「父…上?」

春香(私のお父さんなら、家に…って、そういう話じゃないよね…)

P(クルーヤの剣か…)


春香(なんか、複雑…)

春香(響ちゃんや真の気持ちが、わかった気がするよ…)

574: 2014/08/14(木) 22:49:31.68 ID:y72Exx9QO
春香「そう…ですか…」

春香(なんとなく…納得)

春香(だから、懐かしいような…不思議な気持ちになるんだね)


王「まさか、親子二代で国を救ってもらう事になるとは…」

王「本当に、感謝している」


春香(お父さん…か)

春香(…どんな人だろう?)


王「…ところで、クリスタルじゃが…」

真「……!」

王「4つあるうちの3つが、あのリツコなる者の手に渡ってしまった」


春香「あ、あのー…」

春香「クリスタルって、なんなんですか?」


王「ふむ、わしが知っているのは…」

王「全てのクリスタルを手にした者は…」

王「神のごとき力を手にするという事」

王「そして、その力は…」

王「持つ者の魂によって、吉とも凶ともなりうる、という事じゃ」

576: 2014/08/14(木) 22:57:13.10 ID:y72Exx9QO
春香「神のごとき、力…?」


王「もはや、無事なのは、トロイアの土のクリスタルのみとなってしまった」

王「あのリツコという者が、何を考えているのかはわからんが…」

王「世界に危機が迫っているのは、確かなようじゃ」


王「どうか、あのリツコなる者の野望を止めてくれ!」


春香(なんか、いきなり話が大きくなった気が…)


王「船はもう用意してある。整備もすぐに終わるじゃろう」

王「さあ、行け!この世界を頼んだぞ!」



春香(世界…かぁ)

春香(私に、何ができるんだろう…?)

577: 2014/08/14(木) 23:08:37.15 ID:y72Exx9QO
船着場

春香「あのー…」


船長「ん…?」

春香「船を、使わせてもらいたいんですが…」

船長「あんた、ひょっとしてハルカさんかい?」

春香「はい!」

春香「これ、王様の書状です!」スッ

船長「…うん、確かに」




船長「しかし…」

船長「国のために戦った戦士っていうぐらいだから、オレはもっとゴツい女を想像してたんだが…」

船長「なんだ、結構かわいいじゃないか」


春香「えっ?そ、そんな事、ないですよぅ!」ニコニコ

P(春香、嬉しそうだな)


船長「じゃああんたら、船でくつろいでいてくれよ!」

船長「すぐに出港するからなっ!」



船長「野郎ども!出港の準備だぁー!」




船員達「アイアイサー!」

578: 2014/08/14(木) 23:20:15.52 ID:y72Exx9QO
船の上

雪歩「だ、大丈夫かな…沈んだりしないかな…?」ガクガク

真「大丈夫だよ、雪歩」

真「結構しっかりした船みたいだしさ」


P(……)


やよい「だれもがっきーづっけーばっ!そのてをーふっていたー!」

やよい「おーーごんのーうなばらーをーはっしーるっ!ふーねーにーむーけーてぇ!」


春香「やよい、ご機嫌だね」

P(あの歌って、最後、嵐に巻き込まれるんじゃなかったか…?)

P(なんだかなあ…)


P「なあ、春香」

春香「なんですか?」

P「ちょっと、船長に頼んでもらいたいんだが…」

P(一応、備えがあった方がいいよな…)




春香「……救命具?」

P「ホラ、ライフジャケットとか浮き輪とか…もしあれば、何かあった時に…」

春香「…いいですけど、ありますかねぇ?」

P(まあ、なかったら……仕方ないよ)

579: 2014/08/14(木) 23:33:11.24 ID:y72Exx9QO
???

黒井「王者とは…」


黒井「常に、孤独なのだ…!」バーン





冬馬「いや、ていうか…」


冬馬「…普通に散歩に行くだけだろ?」


黒井「……」


翔太「変にカッコつけた言い方するよねー、黒ちゃんって」アハハ


冬馬「俺らだって、心細いんだ…」

冬馬「…その、なるべく早く帰って来いよな」ボソボソ


黒井「ん?なんか言ったか?」


冬馬「うるせー!なんでもねー!」

冬馬「とっとと行っちまえっ!」プイ


黒井「フッ…反抗期か」


北斗「やれやれ…」

北斗(…こんな妙な事になったのに、みんな、緊張感がないなぁ…)

北斗(まあ…らしいと言えば、らしいのかな…?)




黒井「では、行ってくる…」

580: 2014/08/14(木) 23:41:21.70 ID:y72Exx9QO
律子さんへ

激闘、お疲れ様でした!

みんな…すごく頑張ってて、私…

とっても感動しました!

でも…指示にない事をされるのは、

困ります。

あずささんを操るなんて…。

ホントなら、あずささんは…。

いえ、なんでもありませんよ?

そうだ、いい事教えてあげます。

春香ちゃん達、飛空艇を求めてバロンに

向かうみたいですよ?

お城を奪還されないように、気をつけて

くださいね。

次の指示は…少し、難易度高めです。

でも、律子さんなら、やってくれるって信じてます!


音無小鳥

581: 2014/08/14(木) 23:50:53.23 ID:y72Exx9QO
バロン城

カイナッツォ「フフフ…観念するんだな…」


高木「……」

高木「本当に、私を頃すつもりかね…?」


ベイガン「カイナッツォ様、ここは私が…」スッ

ベイガン「心配いりませんよ」

ベイガン「苦しまないよう、一撃で首を落としてあげますから…」チャキ


高木「ふむ……」


ベイガン「氏ねぇ!」バッ


ズバッ!


ドサッ ゴロン…


ベイガン「……あっけないですね」

カイナッツォ「フフフ、これで私は、この国の王だ…!」

カイナッツォ「はーっはっはっは…!」





高木「……これが、不思議なもので…」ムクッ


カイナッツォ「……は?」

582: 2014/08/15(金) 00:01:00.60 ID:ZRPVqJt0O
高木「首を落とされたように見えて…」


スタスタ…


高木「……実は、斬られていないんだよ」ニコッ


ベイガン「な……!」


高木「それより、君…左腕は、どうしたね?」


ベイガン「……っ!」ボタボタ

ベイガン「私の左腕が…ない!?」


高木「タネも仕掛けもあるんだが…聞きたいかね?」


ベイガン「なかなかやりますね…」

ベイガン「だがっ!」


ズボッ!


ベイガン「私の腕は、再生可能なのですよ…!」グッ


高木「……」


カイナッツォ「…ベイガン、どけ!」バッ


ザァァァァ…


高木「む?水が…集まっていく…?」


カイナッツォ「溺氏するがいい…!」

カイナッツォ「津波よ!」


ザバアァァァーーン!



583: 2014/08/15(金) 00:07:34.02 ID:ZRPVqJt0O
高木「ぐ……!」ジタバタ


ゴボゴボ…


高木「……がぼっ!」


ゴボゴボ…


高木(……息…が…!)


ゴボゴボ…


カイナッツォ「フフフ、終わりだな!」


ゴボゴボ…


高木(ま…ず…い…)





パァーーーー!


高木(な…んだ…?ひか…り…が…)

584: 2014/08/15(金) 00:17:02.56 ID:ZRPVqJt0O
『まこと、おもしろい力を持つ者よ…』


高木(……?)


『そなたの様な者を探していた…』


高木(あ……いし…き…が…)


『我の魂、そなたに託そう』


キラーン!


スゥーー…





カイナッツォ「……ん?」

カイナッツォ「奴が、いない…?」キョロキョロ

カイナッツォ「どこへ消えた?」

ベイガン「どちらにしろ、あの状態では、生きてはいないでしょう」

カイナッツォ「ふむ、それもそうだな…」




スタスタ…


律子「…王位継承は、終わったかしら?」

585: 2014/08/15(金) 00:24:32.08 ID:ZRPVqJt0O
カイナッツォ「…リツコ様」

カイナッツォ「ご覧の通り、奴は消え去りました」ニヤリ


律子「……」キョロキョロ

律子(社長の事だから、万が一があると思うんだけどね)

律子(こいつは…詰めが甘いタイプなのね…ま、始めから期待はしてないけど)


律子「この城は、あなたに任せるわね?」

カイナッツォ「はっ!命に替えても!」

律子「じゃ、そういう事で…」クルッ


スタスタ…

586: 2014/08/15(金) 00:42:46.05 ID:ZRPVqJt0O
飛空艇

千早「律子、本当にあんな化け物に任せていいの…?」

律子「私も嫌いなタイプだけど…上からの指示だから、仕方ないのよ」

千早(上からの…?)


律子「ま、別に春香達に城を奪還されようと、私は知ったことじゃないけどね」

千早「なんだか、投げやりね」

律子「ええ。別に私は、世界征服しようなんて考えてないし」

千早「じゃあ、なんのために…」


律子「……」

律子「千早、あなたが本当に信頼できる、と私が確信した時…」

律子「私の目的を教えてあげるわ」

千早「……」



律子「それより、四天王…だったかしら。どいつも曲者だから、扱いにくそうなのよね…」

律子「美希の様子も気になるし、一度アジトに戻らなきゃね」

律子「あのおばさんの相手は…あまりしたくないけど」

千早「同感だわ」



千早(律子の目的…か)

千早(ぜひ、知りたいわね)

千早(そのためには…)

587: 2014/08/15(金) 00:56:45.73 ID:ZRPVqJt0O
ゾットの塔

バルバリシア「ご飯よ、お嬢ちゃん?」


コトッ


美希「ミキ、おにぎりが食べたいの!」

バルバリシア「わがまま言うんじゃないわよ!人質のクセにっ!」プンスカ


美希「あー、怒ったら、シワが増えちゃうよ?」

バルバリシア「きーっ!余計なお世話よ!」

美希「せっかくキレイな顔してるのに、もったいないって思うな!」


バルバリシア「えっ…?」


バルバリシア「そ、そう…かしら?」モジモジ


美希「うん!」

バルバリシア「な、なかなか…わかってるじゃない、あなた」


美希「でも、顔もスタイルもいいけど…」

美希「髪が長過ぎるの!」

美希「お手入れが大変そうなの」


バルバリシア「髪は、女の命なのよ?そう簡単に切らないわよ」


バルバリシア「…それに」


バルバリシア「この髪は、私の自慢の武器だから」


美希「?」

594: 2014/08/15(金) 13:55:41.32 ID:ZRPVqJt0O
ミシディアの村の外

真美「慈悲に満ちた大地よ、繋ぎとめる手を緩めたまえ…!」ポワ


真美「…レビテト!」



……フワッ



亜美「おわっ!?」

亜美「すげー!亜美達、浮いてるよ!」プカプカ

真美「んっふっふ~!すごいっしょ?」プカプカ





魔物「ガアァ!」ヌッ


真美「あっ、魔物!」

亜美「よっし!」

亜美「じゃあ次は、亜美の番ね?」


亜美「カ~エ~ル~の~き~も~ち~!」ポワ


亜美「……トードッ!」バッ



ボンッ!




カエル「ゲロッ!」ピョコ


真美「……!」

真美「あはははははは!ホントにカエルになっちゃったよ!」

亜美「ね?ね?ウケるっしょ~?」


真美「いいな~!それ、楽しそう~!」

595: 2014/08/15(金) 14:05:27.42 ID:ZRPVqJt0O
魔物「ギャア!」ヌッ


真美「あっ!また魔物だ!」

真美「先生、お願いします!」


亜美「任せたまえ!」ニヤリ


亜美「トード!」バッ



ボンッ!



カエル「ゲロゲロッ!」ピョンピョン


亜美「よ~っし!乗ってきたぜぇ~!」





ミシディアの村

白魔道士「最近、カエルが増えたよねー」

黒魔道士「というか、村の外に出ても、カエルしか見ない気がするよ」

白魔道士「やっぱり…何か悪い事が起きようとしてるのかな…?」

黒魔道士「…カエルに世界を滅ぼされるのだけは、嫌だなぁ」




真美「亜美…ちっと、やり過ぎたんぢゃね?」ヒソヒソ

亜美「別に平気っしょ~?カエルは何もしないよ?」ヒソヒソ

真美「うーん、それもそっか」


亜美(…今度は、人間をカエルに変えてみたいな~)

596: 2014/08/15(金) 14:16:06.26 ID:ZRPVqJt0O
海上

黒井「……」プカプカ

黒井「ふむ……」


黒井「やはり、雄大な自然は…良いものだな…」




パカラッパカラッ…




黒井「……ん?」チラ

黒井「あれは…!」



黒井「高木!なぜここに…?」



高木「やあ、黒井じゃあないか!

高木「奇遇だねぇ」


黒井「貴様…なんだ、その姿は…?」

黒井(空を飛ぶ馬…だと?)


高木「ははは…気がついたら、こんな姿になっていてね」

高木「でも、君こそ、なんだか妙な姿になっているじゃないか」

高木(ふむ…信じられないくらい大きな…海蛇だねぇ)


黒井「……」


高木「……」

597: 2014/08/15(金) 14:24:16.15 ID:ZRPVqJt0O
黒井「……そういえば」

黒井「貴様とは、まだ決着がついていなかったな」


高木「……」

高木「黒井…本気かね?」


黒井「怖気づいたのか?」


高木「……」


黒井「我々は、争う運命なのだよ!」


高木「……やるしか、ないようだねぇ」


黒井「ふっふっふ…楽しませてくれよ?高木」


高木「…微力を尽くそう」


黒井「……」ゴゴゴゴ…


高木「……」チャキッ

598: 2014/08/15(金) 14:28:26.07 ID:ZRPVqJt0O
黒井「……大海衝!」


ゴゴゴゴゴゴ…


ザバァァァーー!



高木「……斬鉄剣!」


ヒュンッ!


パキィン!




ーーザッパァァァァン…ーー

599: 2014/08/15(金) 14:38:55.93 ID:ZRPVqJt0O
船の上

グラグラ…


船員1「な、なんだ…?」

船員2「船が…!」

船員3「揺れて…?」


雪歩「いやぁ…!」ガクガク

真「雪歩、落ち着いて!」ガシッ


やよい「あっ!」

やよい「あっちに、何かいますよ?」スッ


船長「あれは…!」

船長「ホントにいたのか…!?」ワナワナ


船長「大海原の主、リヴァイアサンだ…!」


P(やはり、逃れられないのか…?)

P「春香、浮き輪をみんなに!」

春香「は、はいっ!」


グラグラ…


春香「わっ…とっと!」ヨロッ


ドテッ



船長「てめーら!なんとかやり過ごさんかいっ!」


船員達「あ、アイアイサー!」




真「や、やよい、そんなに身を乗り出したら…!」

600: 2014/08/15(金) 14:48:34.15 ID:ZRPVqJt0O
やよい(なんだろう…?)ドキドキ

やよい(なんだか、胸がドキドキします…!)

やよい(わたし、あのへびさんのところへ行かなきゃいけないような気が…)


グラッ…


やよい「あっ……」ヨロッ


ヒュー…ザバァン!


真「や、やよいっ!」バッ

真「くそっ!」


タタタタ…タンッ!


ザバァン!


雪歩「やよいちゃん!真ちゃん!」ガバッ

春香「雪歩!」ガシッ

春香(やよい!真!)

春香(そんな…せっかく会えたのに…!)



船員1「海が…!」

船員2「渦巻いてやがるっ!」

船員「す、吸い寄せられてるっ!」


船長「くそっ!ここまでか…!」




ゴゴゴゴ…



ザッパァァァーーン!

602: 2014/08/15(金) 15:01:18.86 ID:ZRPVqJt0O
ゾットの塔

美希「でね?このコスメが…」

バルバリシア「へぇ…そうなの…?」

美希「アクセとかも、可愛いのいっぱいあるよっ?」


バルバリシア「ふ、ふんっ!」

バルバリシア「この私の美しさは、世界一なのよっ!」

バルバリシア「これ以上美しくなれる訳、ないじゃない!」



美希「……ガッカリなの」シュン



バルバリシア「……」チラ


バルバリシア「……ま、まあ…す、少しくらいなら…その、使ってみてあげても、いいけどっ」



美希「!」パァー

美希「ホント!?」ガシッ


美希「じゃあじゃあ、早速やってみるの!」


バルバリシア「で…私はどうすれば…?」



美希「…全部、ミキに任せるの!」バーン

603: 2014/08/15(金) 15:13:37.71 ID:ZRPVqJt0O
ガチャ…


律子「美希、お土産持ってき…」


バルバリシア「お帰りなさいませっ!リツコ様!」キラリーン


律子「ひっ!」ビクッ

千早「……?」

あずさ「あらあら~」



美希「あっ!律子…さんと千早さん、あずさもお帰りなの!」


律子「え、えっと…美希、こちらの方は…?」


美希「ミキの友達の、シアちゃんだよっ!」


律子「……しあちゃん?」

あずさ「律子さん、四天王の方じゃないかしら?」


律子「え?あなた、バルバリシア…?」


バルバリシア「そうでございますわ!リツコ様!」キラリーン



あずさ「美希ちゃん、これは…美希ちゃんがやったのよね?」


美希「んふっ!可愛いでしょっ?」



律子(これは…年甲斐もなく、ケバいわね)

千早(全体的に、目がチカチカするわ)

あずさ(美希ちゃん、頑張ったのねぇ)



606: 2014/08/15(金) 22:09:08.50 ID:ZRPVqJt0O
ミシディア西の海岸

春香「……」

春香「……」ピクッ

春香「ん……」

春香「あ…れ…?」

春香「……!」ガバッ

春香「……」キョロキョロ


春香「……ここは…?」


春香「…そうだ、みんな!」スクッ



春香「やよいー!雪歩ー!真ー!」



スタスタ…



春香「みんなぁー!どこー!」



春香「……」

春香「そんな…」


春香(また…みんなとはぐれちゃった…)

春香(せっかく…仲間が…集まったのに…!)

春香(また、私…みんなを守れなかった…)グッ



キラーン!



春香(ん?剣が…光って…?)

607: 2014/08/15(金) 22:22:07.24 ID:ZRPVqJt0O
春香「……」

春香(なんか、落ち着きなさいって、たしなめられてるみたい…)

春香「……クスッ」

春香(…うん、わかったよ…お父さん)

春香(みんな…きっと無事だよね…?)



春香(……どうしようかな?)キョロキョロ


春香(あっそうだ、プロデューサーさんの事、忘れてたよ…)


ガバッ チラ


春香(……ホッ、よかったぁ…今度はちゃんといるみたい)


春香「プロデューサーさん!」


シーン…


春香「プロデューサーさん?」


シーン…


春香「…気を失ってるのかな?」

春香(どうしようかな…)


春香(見たところ、どこかの海岸みたいだけど…)キョロキョロ


春香(とりあえず、陸の方へ行ってみようかな)チラ

春香「……」グッ



スタスタ…


608: 2014/08/15(金) 22:34:42.37 ID:ZRPVqJt0O
月の民の館 図書室

貴音「……」

貴音「……ふむふむ」

貴音「……なるほど」

貴音「……」パタン


貴音「ふぅ……」

貴音「暇なので、ここにある本は、あらかた読んでしまいました…」


貴音(しかし、どうやら…)

貴音(わたくしひとりの力でも、なんとかなりそうな気がしてきましたね…)

貴音(一度、小鳥嬢に会いに行くべきでしょう…)


貴音(月の…地下へ)



ガチャ…



月の民「タカネ様ー」


貴音「おや……?」


月の民「手紙が届いてるッスよー」スッ

貴音「ありがとうございます」

貴音(どなたからでしょうか…?)


貴音「……」ピラッ



貴音「……茶を飲みに来い…」



貴音「……ばはむーと」


貴音(ばはむーと…先ほど読んだ本に、載ってましたね…)

貴音(確か…)


月の民「あー、バハムートさんからの手紙ッスかー」


貴音「あの…ばはむーと…殿とわたくしは、どういう関係で…?」

610: 2014/08/15(金) 22:48:44.03 ID:ZRPVqJt0O
月の民「タカネ様とバハムートさんは、大親友ッスよ!」

貴音「そうなのですか?」

貴音(わたくしと響…みたいなものでしょうか?)


貴音「ならば、ご挨拶に伺った方が良いですね」スクッ


月の民「あっタカネ様、ちょっと待ってくださいッス」

貴音「?」


ゴソゴソ…


月の民「行くなら、お土産を持って行くッス!」スッ

貴音「なるほど、確かにそれが礼儀というものですね」

貴音「ありがとうございます」スッ


貴音「では…行って来ます」


スタスタ…

ガチャ…バタン


611: 2014/08/15(金) 23:03:34.48 ID:ZRPVqJt0O
バハムートの住処

貴音「こんにちは」ニコッ


男の子「あっ……お前は!」

女の子「もしかして…タカネちゃん?」


貴音「はい、そうですが」


男の子「タカネー久しぶりだなー!」ダキッ

女の子「タカネちゃん、会いたかったよー!」ダキッ


貴音(はて…?確か、ばはむーと殿は龍の姿をしていると、あの本に…)

貴音(…なるほど、お忍びの姿、という訳ですね…?)



貴音「…ところで、どちらがばはむーと殿ですか?」


男の子「え……?」

女の子「タカネちゃん?」


男の子「お前、ボケてるのか?」

女の子「バハムート様なら、中にいるよ?」



貴音「そ、そうでしたか…」

貴音(恥をかいてしまいましたね…)


貴音「それでは、お邪魔しま…」


ビュンッ!


貴音「む?」ヒョイッ


スタッ


男の子「…うん、やっぱいい反応してるな」

女の子「だから、本物だって言ったじゃない」


612: 2014/08/15(金) 23:14:37.37 ID:ZRPVqJt0O
貴音「いきなり、何を……?」


男の子「なんかとぼけた事言ってたから…」

男の子「ニセモノの可能性もあると思ってね!」


女の子「バハムート様は、すごい力を持っているから…」

女の子「その力を利用しようっていう悪い人達が、たくさん来るんだよ?」

女の子「私達、そんな悪い人達から、バハムート様を守ってるのよ」



貴音「なるほど、そうでしたか…」

貴音「わたくし、実は目覚めたばかりで、記憶が曖昧で…」


男の子「うん、そーみたいだなっ!」

女の子「バハムート様と話をすれば、何か思い出すかもね?」

貴音「そうですね…」



貴音「それでは、今度こそ…」チラ


男の子「もう何もしねーよっ!」


貴音「クスッ…」

貴音「では、お邪魔します」



スタスタ…



614: 2014/08/15(金) 23:34:30.09 ID:ZRPVqJt0O
バハムートの住処 客間

バハムート「久しいな…タカネよ」ゴゴゴゴ…


貴音「こ、これは…!」

貴音(龍、を間近で見るのも初めての事ですが…)

貴音(何やらにじみ出るおーらが…人間のそれとは全く別物ですね)

貴音(この方が、幻獣神であり、わたくしの親友…ですか…)



貴音「あの…ご無沙汰しております?」

バハムート「ふむ、そう堅くなるでない…我とそなたの仲ではないか…」


貴音「ええと、お土産をどうぞ」スッ


バハムート「ほう、気がきくな…ならば、茶を淹れよう…」


スタスタ…


コトッ


バハムート「…こ、これは!」

バハムート「『プリンプリンセス・プリン』ではないか…!」

バハムート「我の好物を、覚えていてくれたのだな?」ニコッ


貴音「はあ…」


バハムート「…チョルンッ」

バハムート「うむ、美味じゃ…!」

バハムート「タカネ、そなたもどうだ?」


貴音「では…お言葉に甘えて」


貴音「……ぱくっ」



615: 2014/08/15(金) 23:48:52.80 ID:ZRPVqJt0O
貴音「……!」

貴音(こ、これは…!)

貴音(ぷりんの様な、ぜりーの様な…ましゅまろの様な…はたまたばばろあの様な…)

貴音(まこと、面妖な食感ですが…)

貴音「まこと、美味ですね…!」


バハムート「そうであろう?」ニヤッ




バハムート「で…本題だが」

バハムート「タカネよ、青き星で起きている事は、理解しているな?」

貴音「ええ、一応」

バハムート「ならば、その原因も…?」

貴音「はい」

貴音(身内です、と答えたら、はたしてどうなるのでしょうか…?)


バハムート「ふむ…ならば、話は早い」




バハムート「では…行くぞ」


貴音「え…?」

貴音「どこへ…?」

バハムート「決まっておろう?コトリのところだ」


バハムート「案ずるな、我とそなたが組めば、敵などいない様なものだ」


貴音「……」

貴音(まあ、もともと小鳥嬢には会いに行く予定でしたし…)

貴音(幻獣神殿のお力を拝借できるのは、とても心強いです)

貴音(断る理由は、ありませんね)


貴音「…わかりました。頼りにしています、バハムート殿」ニコッ

バハムート「ふふ…久々に腕が鳴るぞ…!」ニヤリ

617: 2014/08/16(土) 00:05:46.83 ID:I5B42XxFO
ミシディア西

春香(もしも魔物が出たら…)

春香(お父さんの剣で…!)


スタスタ…


カエル「ゲロッ!」ピョコン


春香「わっ……!」ビクッ

春香「…なんだ、カエルかぁ…」ホッ


カエル「ゲロゲロッ!」


春香「えっ?」ビクッ

春香「こ、こっちにも…?」クルッ


春香(カエルばっかり…)

春香(あんまり得意じゃないんだよなぁ…)

春香(どっかに行ってくれないかなぁ…)


カエル「ゲロッ!」ピョン


春香(…ついてくるよぉ…)ビクビク


春香(…………よし!)

春香「さよならっ!」バッ


タタタタタタ…





春香「ハァ、ハァ……!」

春香「こ、ここまで…来れば…」クルッ


春香(……よかった、追ってこないみたい)



カエル「……ゲロッ!」ピョコン


春香「ひっ!」ビクッ





618: 2014/08/16(土) 00:14:33.32 ID:I5B42XxFO
カエル1「ゲロッ!」

カエル2「ゲロゲロッ!」

カエル3「……ゲロッ!」

カエル4「ゲロゲーロ!」

カエル5「ゲロゲロッ!ゲロゲロッ!」

……


春香「ぎゃー!カエルがたくさん…!」ブルブル


カエル達「ゲロゲロゲロゲロッ!」


ピョンピョンピョン!


ピョンピョンピョン!


春香「いやぁーー!来ないでぇーー!」


ダダダダダダ…




619: 2014/08/16(土) 00:24:26.11 ID:I5B42XxFO
ミシディアの村 入口

春香「ハァ、ハァ……!」

春香「あー…悪夢だった…」

春香「なんであんなにカエルばっかり…」



春香「……ん?」キョロキョロ

春香「あれ?私…いつの間にか、村みたいなとこに…」


春香「あ…人がいる!」




春香「あのー、すみません!」




黒魔道士「……ん?」チラ


黒魔道士「あ……お前は!」

黒魔道士「いつぞやの、暗黒騎士っ!」

黒魔道士「な、何しに来たんだっ!」


春香「え?え?」

春香(あれ…?なんか、好意的じゃ…ない?)





「なんだなんだ…」

「あ、あいつは…!」

「お前のせいで、この村はっ!」

「クリスタルを返せ!」

「この村から、出てけー!」




620: 2014/08/16(土) 00:37:28.07 ID:I5B42XxFO
春香(え?私、ひどい嫌われよう…?)

春香(なんで…?この村に来るのは、初めてのハズなのに…?)





黒魔道士「……出てってくれよ!」


ドンッ!


ドサッ


春香「痛たた…」


黒魔道士「オレ達の仲間は、お前達にもっと痛い思いをさせられたんだ!」


黒魔道士「もう、二度と顔を見せるなっ!」


ギィ…バタン



春香「……」

春香(…閉め出されちゃった…)

春香(訳がわからない…)


春香(あれ…でも、さっきクリスタルを返せ、とか言われたよね…?)

春香(雪歩の国と真の国のクリスタルは、律子さんが持って行ったはず…)

春香「あ……!」


『…罪もない人々から、クリスタルを!』


春香(そうだ、私がこの世界に来てすぐに…飛空艇の兵士さん達が、言ってた…)




春香(この村のクリスタルを奪ったのは、私なんだ…)

621: 2014/08/16(土) 00:48:48.79 ID:I5B42XxFO
春香(村の門は…閉められちゃった)

春香(今日は…野宿かぁ…)


トボトボ…


春香「……」グゥ

春香(……お腹空いたな)

春香(確か……)ゴソゴソ



春香「あ、あった、ユキコさんにもらった果物」

春香(でも…潰れちゃってる…)



春香「いただきまーす…」

春香「……ぱくっ」

春香「……!」

春香「うぇぇ…しょっぱい…」


春香(海水に浸かったから、仕方ないか…)




春香(これから、どうしよう…?)

春香(とりあえず、プロデューサーさんが起きるのを待って…)

春香(それからだよね…)



春香「……」

春香(……シャワー、浴びたい)

春香(寝るところも、探さなきゃ…)




春香(……みんなは、無事かなぁ?)


622: 2014/08/16(土) 01:04:28.04 ID:I5B42XxFO
ミシディアの村 長老の家

バタン!


黒魔道士「長老、大変です!」


長老「どうしたのじゃ?」

黒魔道士「バロンの暗黒騎士が、攻めて来ました!」


長老「何っ!?人数は?」ガタッ

黒魔道士「あ、えっと…ひとり、でした」

長老「ひとりで…?」

長老(一体どういうつもりじゃ…?)


長老「で、今はどこに?」

黒魔道士「はい、村の外に追い出しました」

長老「そうか…わかった」

長老「一応村の者に、気をつけるよう言っておいてくれ」


黒魔道士「はい!」ペコリ


スタスタ…

ガチャ…バタン



長老(暗黒騎士…)

長老(ひとりで、村を滅ぼせるとでも…?)

長老(いや、あの者は…クリスタルを奪った時も、どこか、気が進まなそうじゃった…)

長老(村への被害は、ほぼ無いと見ていいか…)

長老(…それに、あの暗黒騎士の方も…)

長老(亜美のいたずらのおかげで、魔物がほとんどカエルになっとる)

長老(放っておいても、氏ぬ事はないか)



長老(しかし、なぜひとりで…?)

623: 2014/08/16(土) 01:14:36.38 ID:I5B42XxFO
長老の家 扉の外

亜美「……」チラ

真美「……」コクッ



ガチャ…



亜美「長老っち~!」


長老「アミ、マミ…どうした?」

真美「真美達、これから少ししゅぎょーしてくるYo!」

長老「今から…?もう、すぐに暗くなるぞ?」


亜美「だーいじょーぶ!ちょこっとだけだからさっ!」


長老「……」

長老「すぐに、帰ってくるのじゃぞ?」


真美「りょ~かい!さっ、亜美、行こっ!」

亜美「おっけ~!」



タタタタタタ…




長老「あやつら…何か、企んでおるな…?」

長老「…まったく、困ったものじゃ」

624: 2014/08/16(土) 01:26:29.82 ID:I5B42XxFO
ミシディアの村の外

春香「はぁ……」

春香「……」

春香「もう、日も沈むね…」チラ


春香(…少し、寒くなってきたかも…)ブルッ

春香「……」


春香(私、何してるんだろう…?)

春香(みんなと離ればなれになって、村にも入れてもらえなくて…)

春香(…周りはカエルばっかりだし…)チラ


カエル「ゲロッ!」


春香「……グスッ」

春香(あ……涙出てきた)



春香「……」ブンブン

春香(ダメ、弱気になっちゃ…)

春香(……私が、頑張らないと)

春香(みんなで…帰るんだから…)ポロッ


春香(あ…ダメだ、止まらない…)ポロポロ


春香「ひっぐ…うぇ…グスッ」ポロポロ





「「はるるん見~っけ!!」」


春香「……え?」

626: 2014/08/17(日) 00:52:25.66 ID:n/rmkEN3O
亜美「姫、お怪我はありませんか?」スタッ

真美「我々が来たからには、もう安心ですぞ?」スタッ


春香「ひっ…く…」グスッ

春香「亜美…真美…」


亜美「あり?はるるん…泣いてるの?」

亜美(まあ…ここまで、いろいろあっただろうから…ね)


真美「真美達に会えて、嬉しいのかな?」

真美(はるるんの事だから…きっとここまで、ちょー頑張ったんだよね?)


春香「……」ゴシゴシ

春香「ふ、2人共…無事だったんだね…!」


亜美「んっふっふ~!はーるるんっ!」ギュッ

真美「はるるんこそ、無事で良かったよん!」ギュッ


春香「よかった…2人に会えてよかったよ…!」ガシッ


春香(……ありがと、2人共)

627: 2014/08/17(日) 01:05:05.70 ID:n/rmkEN3O
長老の家

長老「…どういう事じゃ?」


亜美「だーかーらー!はるるんは、亜美達の大切な仲間なのさ!」

真美「真美達は、はるるんと一緒に行くかんねっ!」


長老「……」

長老「……お主、ハルカと申したか…」

春香「はっ、はい!」

長老「…お主の目的は…なんじゃ?」


春香「えっと…友達を、探してるんです」

春香「…大切な、仲間なんです!」グッ


長老「……」

長老(クリスタルを奪いに来た者と同一人物とは…到底思えんな…)

長老(…嘘を言ってるようにも見えん)

長老(……それに、どこか不思議な雰囲気を持つ娘じゃな…)

長老(知らぬ間に、周りのものを味方に引き込む、というか…)

長老(まあ、狙ってやってる訳ではなさそうじゃが)


長老「……ハルカよ、話しを聞こう」


春香「はい…」

628: 2014/08/17(日) 01:17:30.64 ID:n/rmkEN3O
春香「……で、私はここへ来ました」


長老「なるほど…リヴァイアサンに遭遇したか…」

長老「それも、そなたに与えられた試練じゃろうな…」

春香(試練……)


長老「ハルカよ…お主はこのまま、暗黒剣に身を捧げるつもりか?」

春香「え……?」


亜美(……ついに)

真美(この時が来た!)


春香「えっと…どういう…?」


長老「暗黒剣は、悪しき者には通用せん。それどころか、お主自身が悪に染まってしまう事も、あるやも知れん」

春香「じゃあ…どうすれば…?」


長老「うむ。もしもそなたが、光に満ちた剣を欲するならば…」

長老「…この村の東にある、『試練の山』へ向かうのじゃ」

春香「試練の…山」


春香「……」

春香(光に満ちた剣か…暗黒剣よりは、イメージいいよね…?)

春香(……よし!)


春香「……わかりました」

春香「私、行きます!」


629: 2014/08/17(日) 01:28:04.42 ID:n/rmkEN3O
長老「そうか……」

長老(よい目をしておる…)

長老「……」チラ


亜美「……」ソワソワ

真美「……」ソワソワ


長老(まったく…)

長老(ま、あの山は、ゾンビ共の巣窟…)

長老(暗黒剣だけでは辛かろうな)

長老(…それに、見届ける役目は、必要じゃ)


長老「……アミ、マミ」


亜美「はい、よろこんで!」

真美「がってん承知!」


長老「……まだ何も言っておらん」


亜美「長老っちのいじわる~!亜美達も一緒に行っていいんでしょ?」

真美「『米付け役』ってやつっしょ?」


長老「うむ。お主らも、ハルカと共に行くのじゃ」

長老「くれぐれも、気をつけるのじゃぞ?」


亜美・真美「やたー!」


春香「頑張ろうね、2人共!」

631: 2014/08/17(日) 01:36:49.62 ID:n/rmkEN3O
長老「今日はもう遅い…泊まっていくがよい」


春香「あ、ありがとうございます!」ペコリ


亜美「よかったね~はるるん」

真美「野宿は回避だね~?」


春香「あぅ……///」


長老「そなたの事、村の者達にも話しておく」

長老「もう、村から追い出される事もないじゃろう」


春香「どうもすみません…」



亜美「……さ~て、はるるん?」チラ

真美「今夜は寝かせないよ~?」ワキワキ


春香「ダメだよ、明日出発なんだから」

亜美「い~じゃん、少しくらい!」

真美「みんなの事、聞かせてよ!」



春香「んーじゃあ、少しだけだよ?」


632: 2014/08/17(日) 01:52:07.94 ID:n/rmkEN3O
長老の家 客室

春香「……で、私はここに辿り着いたんだよ」


亜美「いいな~みんな!亜美も、早くボウケンしたいよ~!」ウズウズ


春香「でも、いろいろと大変だけどねー?」

亜美「……村から追い出されたり?」ニヤリ

春香「う……そ、それは、もう終わった事だからいいのっ」

亜美(…はるるん、結構ダメージ受けてたっぽいもんね~)


亜美「…それにしても、ゆきぴょんもまこちんも、ハマり役だよね~?」

亜美「ね、真美?」


真美「……」ボーッ


亜美「おーい、真美ー帰ってこーい」

春香「真美、ボーッとして、眠いの?」



真美「……はっ!」

真美「な、なんでもないよ?」アセアセ



真美「に、兄ちゃんの事なんて、全然気にならないもんね!」



真美「あ……」

真美「……っ///」


亜美(やっぱ、兄ちゃんの事考えてたのか…)

春香「そっか…真美は、プロデューサーさんの事が心配なんだね…?」

春香(ライバルが…増えた…)



真美「うあうあ~、ち、違うってば~!」

633: 2014/08/17(日) 02:03:02.42 ID:n/rmkEN3O
真美「そういえばさ、兄ちゃんって、寝てるの?」

春香「うーん…津波に飲まれた後だから…気を失ってると思うよ?」


真美「ふ~ん…」


真美「でも兄ちゃん、こんな姿じゃあ戦力にならないね~」

亜美「カエルのポシェットだもんね~」



亜美「……ん?」



亜美「あーーっ!!」ガタッ



真美「亜美が壊れた…」

春香「亜美、どうしたの?」




亜美「……ねえ2人共」


亜美「亜美、ティンと来たっぽいよ…!」


春香・真美「?」

634: 2014/08/17(日) 02:17:06.87 ID:n/rmkEN3O
春香「カエルの姿に変える魔法…?」


亜美「うん。その魔法ってさ、人間とかをカエルに変えちゃうだけじゃなくてさ…」

亜美「カエルに変えられた人を、元に戻す事も、できるんだよ…!」


春香「そんな魔法が…?」

春香「じゃ、じゃあ…その魔法をプロデューサーさんに使えば…!」


亜美「…人間の姿に戻るって事!」


真美「亜美ってば天才!ちょー天才!」

亜美「んっふっふ~!もっと褒めてもいいんだよ?」

春香(まさか、こんな解決法があったなんて…)



真美「ね、ね!さっそくやってみようよ~!」

春香「亜美…お願い!」


亜美「任せんしゃい!」バッ


亜美「……」

亜美「……!」ポワ…


亜美「…トードッ!」


…ボンッ!


P「……」


3人「え……?」

635: 2014/08/17(日) 02:30:28.54 ID:n/rmkEN3O
3人「いやあぁぁぁーーー!!!」



P「ん……」モゾモゾ

P「…うるさいなぁ…」

P「もう…朝か…?」キョロキョロ


P「あれ……?春香…と、亜美、真美…?」



春香「ぷっ…プロデューサーさんっ!セクハラですよっ!セクハラ!」ドキドキ


P「春香…?何言ってるんだ…?」


亜美「つ、ツチノコは、ホントにいたんだ……!」ワナワナ

真美「に、兄ちゃん…か、身体…!」


P「……?」

P「何だ…?身体?ちゃんとあるぞ?手も…足も……」グッ



P「………………手も足も、ある!」ガバッ

P「も、戻ったんだ…!元の身体に!」グッ


真美「そ、それもそうだけどっ!」



真美「ふ、ふ、服っ!着てよー!」カァーッ




P「………あ」


P(…………素っ裸だ)

636: 2014/08/17(日) 02:38:27.48 ID:n/rmkEN3O
P「………とりあえず、すまん」ペコリ



春香「あ、あははは…もう、いいですよ…」

真美「う、うんうん…真美達、気にしてないから…」

亜美「に、兄ちゃん、元に戻ってよかったね!」



P「あ、ああ…」

P(とりあえず、タンスに入っていた服を、勝手に拝借したが…)

P(俺にはもう…何が何やら……)




春香(み、見ちゃった……///)

真美(兄ちゃんの……///)

亜美(ツチノコ……///)

638: 2014/08/17(日) 15:06:25.36 ID:n/rmkEN3O
P「え…トードを?」


亜美「うん、兄ちゃん、カエルだったっしょ?」


P「ま、まあ、そうだが…」

P(そういう考え方もあったのか…)

P(…亜美の柔軟な発想力に、感謝だな)


P「本当に助かったよ、ありがとう!」ペコリ


亜美「んっふっふ~、お礼、期待してるかんね?」

P「はは…何か、考えとくよ」




真美「ねぇねぇ、兄ちゃんってさ、他の人には見えないし、さわれない、声も聞こえないんでしょ?」


P「うん、そうだな。身体はもとに戻ったが…声とかは、聞こえないままだろうな」


真美「そっか…」


P「どうかしたのか?」


真美「んーん、なんでも」

639: 2014/08/17(日) 15:17:35.79 ID:n/rmkEN3O
P「さて……そろそろ寝るか?」


春香「そうですね」

春香「あ……」

春香「プロデューサーさんは、どこで寝るんですか?」


P「俺は、適当にどこかの部屋を借りるよ。どうせ誰にも見えやしないしな」


春香「そ、それはダメですよ!そんなの、泥棒と同じですよ?」

真美「そーだよ!兄ちゃんもこの部屋で寝ればいーじゃん!」


P「いや……」


亜美(これは…真美とはるるんの間に、火花が見えるねぇ)


P「それこそ、まずいだろ…」


真美「真美は、別にいいよ?」ズイッ

春香「わ、私も!気にしないですよ?」ズイッ

亜美「亜美もいいよん!」

亜美(その方が面白いからね~♪)



P(……ま、俺がしっかりしてればいい話か)

P「……わかった。じゃあ、俺は床で寝るよ」

640: 2014/08/17(日) 15:36:57.36 ID:n/rmkEN3O
夜中、ミシディアの村 広場

スタスタ…


P「……」

P「よっこらしょ」ストッ

P「とりあえず、元には戻ったが…」グッ

P(『俺がゲーム内のキャラに干渉できない』というルールが、変わった訳じゃない)

P(戦闘とかでは、相変わらず役立たずかもな)

P(でも、べろちょろの時よりはマシなはず…)

P(こうして、自分で歩ける訳だし…身体さえあれば、大抵の事は……あ)

P(そっか…敵を攻撃できなくても、味方を回復したりはできるはずだよな?)

P(なんとなく、やるべき事が見えてきたな…)



真美「……兄ちゃん」



P「うわっ!」ビクッ

P「ま、真美か…おどかすなよ…」ドキドキ


真美「あはは、ごめんね?」

真美「……となり、座ってもいい?」

P「ああ、どうぞ」


真美「えへへ…」チョコン


真美「ねえ、兄ちゃんはさ…この世界の人には、さわれないんでしょ?」

P「そうだな。でも、自分なりに、できる事を探すつもりだ」




真美「じゃあ…さ、真美達にも…さわれないの?」

641: 2014/08/17(日) 15:48:50.65 ID:n/rmkEN3O
P「あ…えっと、どうだろうな…」

P「多分、さわる事はできると思うけど…」



真美「……真美で、試してみる?」ドキドキ



P「え?あ……その、いいのか?」


真美「う、うん……で、でも、変なトコさわっちゃ、ヤだよ?」

P「ああ…わかったよ」


P「じゃあ……いくぞ?」


真美「う、うん……!」ドキドキ





………ポンッ




真美「あ……」

真美(兄ちゃんのおっきな手が…真美の頭に…)


P「あーよかった。ちゃんと触れる事もできるみたいだ」ナデナデ


真美「そ、そだね……///」モジモジ

真美(兄ちゃんに撫でられると…不思議な気持ちになる…)

真美(よく、わかんないけど……ホッとする…)

642: 2014/08/17(日) 16:04:49.83 ID:n/rmkEN3O
P「なあ、真美は……このゲーム、やった事あるんだったよな?」


真美「え?うん。ていうか、何回もクリアしたよ!」

真美「ひょっとしたら、真美達の方が詳しいかもね?」


P「そっか……」

P「……」

P(じゃあ……2人とも…)



P「なら…パロムとポロムが…その、どうなるかも……知ってるんだよな…?」


真美「……!」



P「このゲームには、犠牲になる味方キャラがたくさんいる…」

P「……俺な、ずっと考えてるんだ」

P「みんなが犠牲にならずに、クリアする方法を…」


真美「兄ちゃん…」


P「情けないが、まだその方法は思いついてない…」

P「だけど、絶対にみんなで帰るからな!」

P「俺は、そのためだったら、なんでもする!から

P「もちろん、俺ひとりの力じゃ、たかが知れてる」

P「だから、みんなの力を…」



真美「兄ちゃんっ!」ダキッ


P「ま、真美…?」


真美(はるるん……ヌケガケして、ごめんね?)

真美(今だけ、許して…)

643: 2014/08/17(日) 16:40:01.34 ID:n/rmkEN3O
真美「絶対、とか…失敗したら、とか…」

真美「これからの事は、よくわかんないけどさ」


真美「真美は…信じてるよ?兄ちゃんの事」ニコッ



P「……!」ドキッ



真美「真美だけじゃなくて、亜美もはるるんも……みんな、兄ちゃんの事、信じてるよ、きっと!」ギュッ


真美「……だからさ」

真美「兄ちゃんも、ちゃんと真美達の事、信じてね?」


P「真美…」


P(俺は……ちゃんとみんなを信頼していただろうか?)

P(……ただの、ひとりよがりだったのかも、しれないな)

P(信頼という言葉の意味なんて、深く考えた事はなかった…)

P(……まさか、中学生にそれを教わるとはな…)

P(いや、違うぞ。亜美も真美も、もう子供じゃない…)

P(……子供は…俺だ…)


P「真美、ありがとな…」ナデナデ


真美「んっふっふ~、よきにはからえ」



真美「ね、兄ちゃん」

P「なんだ?」

真美「もう少し、このままでいても、いい?」

P「ああ、いいよ」

真美「ありがと…」ギュッ



真美(兄ちゃん、真美達、ちょー頑張るかんね!)

644: 2014/08/17(日) 20:46:08.42 ID:n/rmkEN3O
明日から仕事なので、今日は早めに投下

645: 2014/08/17(日) 20:57:43.91 ID:n/rmkEN3O
ゾットの塔

あずさ「……封印された魔法、ですか?」


律子「ええ」

律子「この世界でも、使える人はほとんどいない、とても強力な魔法らしいんです」


あずさ「……それを、私が…?」

律子「あずささんは魔道士だから、多分使えると思うんです」

あずさ「そうですか~」


律子「……試練の山へ、向かってもらえますか?」


あずさ「は~い、わかりました~」ウフフ


律子「それとどうやら…」

律子「春香達も、試練の山へ向かっているみたいなんです」

あずさ(春香ちゃん達が…)

律子「いくらあずささんといえど、複数相手にするのは厳しいと思うので…」

律子「お供を付けます」



律子「……出てきなさい!」



スゥゥーー…



スカルミリョーネ「……よ、呼んだ…か…?」


あずさ(あらあら~)

あずさ(なんだか、大人しそうな人ね~)

646: 2014/08/17(日) 21:07:43.27 ID:n/rmkEN3O
律子「…話は聞いていたわね?」


スカルミリョーネ「……」コクッ


律子「なら、さっそくあずささんと一緒に向かってちょうだい」


あずさ「よろしくお願いしますね?」ペコリ


スカルミリョーネ「……こ、こちらこ…そ…」ペコリ

スカルミリョーネ「……せ、背中、乗っ…て…」


あずさ「失礼しま~す」


ガシッ


律子「あずささん……くれぐれも油断しないでくださいね?」

あずさ「心配いりませんよ~?私、こう見えても、用心深いんですよ?」

律子(…とてもそうは見えないけどね)


あずさ「じゃあ、行ってきますね~?」


スカルミリョーネ「……し、しっかり、捕まっ…て…」


ブワッ……


ビューーーーン!





律子「……………さて」


律子「私達は、4つ目のクリスタルへ向かうわよ?」

千早「わかったわ」

647: 2014/08/17(日) 21:24:25.47 ID:n/rmkEN3O
翌日、長老の家 客室

春香「ふわぁ……」

春香「んーっ……」ノビッ


春香「……」

春香(昨日の夜…プロデューサーさんと真美が、どこかに行ってたみたい…)

春香(真美、意外に積極的なんだね…)




春香「さてと、そろそろみんなを起こそうかな…?」チラ


亜美「ん……」モゾッ

亜美「んあ……?」パチリ

亜美「ん~……」ゴシゴシ


春香「亜美、おはよ」


亜美「あー…はるるん、おはよー…」ボーッ


亜美「…………よしっ!」ガバッ



亜美「昨日は、真美に先手を打たれたみたいだね~?」


春香「うっ……!」

春香「べ、別に……気にしてないよ?」


亜美「ほ~う?はるるんはよゆ~ですな~」

亜美「でも…うかうかしてると、真美に兄ちゃん取られちゃうかもしんないよ~?」


春香「えっ?」ガンッ

春香「あっ…とっと…」ヨロッ


ドテッ


春香「痛たた……」

亜美「……やっぱ、内心は焦ってるんだね…」


春香「もー!からかわないのっ!」プンスカ

648: 2014/08/17(日) 21:40:47.68 ID:n/rmkEN3O

ガチャ…


真美「あり?2人とも、起きてたんだね?」


亜美「真美おはよ~」

春香「お、おはよ…」




亜美「…………夕べは、お楽しみでしたね?」




真美「……!」ギクッ

真美「ななななに言ってるのさ?に、兄ちゃんとは、別に何もなかったもんっ!」カァーッ


春香「!」

亜美「へぇ~?やっぱ兄ちゃんと一緒にいたんだね~?」


真美「あ……」

真美「え、えっと……///」


春香(むぅ……!)


亜美(ん…煽りすぎたかな…?)


亜美「こんなにシュラバなのは…」

亜美「ぜ~んぶ兄ちゃんが悪いっ!こ~なったら、くすぐりの刑だ~!」ガバッ


真美「そ、そうだそうだ!ようしゃしないかんねっ!」ガバッ


春香「あ、なんだかよくわからないけどっ……私もっ!」ガバッ

649: 2014/08/17(日) 21:50:08.37 ID:n/rmkEN3O

コチョコチョ…


P「ん…ひっ…」モゾモゾ


コチョコチョ…


P「ひゃっ!や、やめ……!」ジタバタ


亜美「カンネンしろ~!」コチョコチョ


真美「に、兄ちゃんごめんね?」コチョコチョ


春香「ぷ、プロデューサーさんの…身体……///」コチョコチョ




P「ひっ…!マジでっ…!くるし……!」ジタバタ


P「あひゃひゃ…!し、しぬっ…!」ジタバタ

650: 2014/08/17(日) 22:03:38.73 ID:n/rmkEN3O
P「ゼェ、ゼェ……!」グッタリ

P(氏ぬかと思った……!)



亜美「いや~、清々しい朝だねぇ!絶好のボウケン日和じゃないかね?」

真美「そ、そうだね~?に、兄ちゃん、そろそろ支度しないとね?」

春香「プロデューサーさん!試練ですよ、試練!」



P「あ、ああ…」

P(その前に、なぜあんな起こし方なのか、誰か説明してくれ…)



P「んじゃあ、そろそろ支度を……」

P「…っと、そうだ春香、お金…持ってるか?」


春香「え?少しなら、ありますけど…」


P「ちょっと、買いたい物があるんだ」

P(しかし…年下の女の子にたかるって……どうなんだ、俺)



コンコンッ…

651: 2014/08/17(日) 22:13:43.28 ID:n/rmkEN3O
春香「……はい?」



ガチャ…



長老「朝食ができておるが、食べるか?」


春香「あ、いいんですか?」

長老「構わんよ」

春香「あ、じゃあ…いただきますっ!」


亜美「よ~し!メシじゃメシじゃ~!」ドタドタ

真美「長老っち、気がきくね~!」ドタドタ



長老「……まったく、もう少し淑やかにできんのか…」


長老「ん……?」チラ


P「……!」ギクッ


長老「……」じーっ


長老「……気のせいか?」


クルッ スタスタ…



P(あの人、ミシディアの長老だよな)

P(俺の気配を感じたのか…?)

P(あの人、やっぱり只者じゃないな…)

652: 2014/08/17(日) 22:30:33.30 ID:n/rmkEN3O
長老の家 食堂

3人「」



長老「……どうした、食べないのか?」


春香「え、えっと……」

亜美「ねぇ、長老っち……」

真美「これって……」



長老「……カエル料理じゃ」


亜美「やっぱり…」

長老「誰かさんのおかげで、カエルには困らんのでな」チラ

亜美「うっ……!」


ヒョイッ

長老「むしゃむしゃ…ごっくん」

長老「意外といけるぞ?」



春香「……」

春香(出されたものに手を付けないのは……失礼だよね?)

春香「……よし!」

真美「はるるん、まさか…」


春香「……せっかくなので、いただきますっ!」

亜美「うえぇ…はるるん、マジ?」


春香「……ぱくっ」

春香「……!」

春香「もぐもぐ……ごっくん」


真美「は、はるるん、平気?」

春香「うん…意外といけるかも?」

春香(食感が……ちょっとアレだけどね)


真美「真美も、食べてみよっかな…?」

亜美「じゃ、じゃあ…亜美も…」


653: 2014/08/17(日) 22:51:03.45 ID:n/rmkEN3O
真美「もぐもぐ…」

亜美「ごっくん…」


真美「うーん…まずくはないっぽいけど…」

亜美「食感が…キモいよぉ…」

長老「残さず食べるのじゃぞ?」


真美「うえぇっ!?」

亜美「そ、そんなの、無理っしょ~!」

春香(うーん、この量は…キツイかも…)

P(カエルの素揚げか…。さすがにこんなに食べたら飽きるよな…)


長老「魔法で遊んだバツじゃ」

長老「残したら、外出禁止じゃぞ?」


亜美「ええ~!そんなぁ~!」

真美「長老っちの鬼!悪魔!カエルっ!」


長老「よいか、魔法はオモチャではない…それをよく考えるのじゃ」

亜美「……」

真美「……」


長老「……では、わしは出かけてくるからな」


スタスタ…

ガチャ…バタン

654: 2014/08/17(日) 23:15:43.32 ID:n/rmkEN3O
亜美「いじめだよ~!」

真美「長老っち、昨日ははるるんについていってもいいって言ってたのに……!」



P「なあ……2人が何をしたか知らんが、長老は、別にいじめのつもりでやったんじゃないと思うぞ?」


亜美・真美「えっ?」


P「だって、長老がいないんだから、外出禁止も何もないじゃないか」

亜美「あ!確かに…」

P「食べたくなかったら、残して、さっさと出発すればいい…」

P「多分長老は、2人に考える余地を残したんじゃないかな?」

春香「魔法で遊ぶ事……について、ですか?」

真美「……」


P「うーん……さっきの会話から考えると、多分そうじゃないかな?」


亜美「長老っち……ごめん!」

真美「真美達、ちょっとふざけすぎたよ…」


春香「でも、これ…どうしますか?残して行くのも、気が引けますよね……」


P「ああ、俺が食べるよ」

真美「兄ちゃん…?」

P「こういうの、子供の頃によく食べたもんだ」スッ

P「ぱくぱくもぐもぐ……ごっくん」

P「…懐かしい味だな」

亜美「に、兄ちゃんすごい…!」


ムシャムシャ モグモグ…


P「ふぅ…ごちそうさま」


P「さて、行こうか!」ガタッ


3人(頼もしい……!)





660: 2014/08/18(月) 20:45:13.52 ID:xy5ezXhFO
ミシディアの村 入口

黒魔道士「……ん?」チラ


黒魔道士「あ……お前は!」


春香「あ……どうも…」ペコリ


亜美「ん?はるるん、知り合い?」

春香「あはは……ちょっと、ね」


黒魔道士「……」

黒魔道士「……あんた、試練の山へ行くんだってな…」

春香「あ、はい」

黒魔道士「パラディンになるつもりか?」

春香「あ、えっと…」

春香(パラディンって…なんだろ…)

真美「そうだよ~!イマドキ暗黒騎士なんて、流行らないもんね~」

黒魔道士「そうか……」


黒魔道士「……長老はどう思ってるかしらんが、オレはあんたの事、認めたわけじゃない」

春香「……」

P(春香…苦労したよな、きっと)


黒魔道士「……」

黒魔道士「……だけど」

黒魔道士「もしあんたが、試練を乗り越えて、この村に戻ってくる事ができたら…」

黒魔道士「その時は、あんたを認めてやるよ…」


春香「……」

春香「……わかりました」

春香「私、必ず試練を乗り越えてみせます!」グッ


黒魔道士「そうか……」

黒魔道士「ま…せいぜい頑張るんだな…」クルッ


スタスタ…


ピタッ

黒魔道士「……そうだ」クルッ

黒魔道士「……持ってけ」ヒュッ


春香「え?…あっ…とっと…」アタフタ


黒魔道士「じゃあな」


スタスタ…

661: 2014/08/18(月) 20:57:46.90 ID:xy5ezXhFO
春香「……」


P「春香、何をもらったんだ?」


春香「えっと…砂時計?ですかね…?」スッ


亜美「ん?茶色…って事は…」

真美「『銅の砂時計』っぽいね~」


P「銅の砂時計……どんなアイテムだっけなぁ…?」


亜美「えっとね、確か、時間を止める事ができるんだYo!」

真美「でも、止められる時間は短いんだよ~」

P「あー、ストップと同じって事か」

P(使いどころを見極めれば、充分戦力になりそうだな)



春香「……」

春香(ありがとうございます…!)ペコリ

662: 2014/08/18(月) 21:15:29.82 ID:xy5ezXhFO
海上

ユラユラ…


真「もぐもぐ…」

真「はぁ……」

真「……」ボーッ





真(……やよいを助けられなかった…)

真(みんなを助けられなかった…)


真(…こんな板切れにしがみ付いて、自分だけ生き残って…)

真(一体…何のための力?)

真(何のための修行だったんだ…?)

真(ボクは…何のために今まで…)


真「……」

真(……お師匠様は、今のボクを見て、なんて言うかな?)

真(ははっ…今にも、『修行が足りんっ!!』って怒鳴り声が聞こえて来そう…)


真(……魚も、食べ飽きたなぁ…)チラ


真(あー……)






真(…………また、やよいのもやし炒めが、食べたいなぁ……)

664: 2014/08/18(月) 21:24:08.62 ID:xy5ezXhFO

パンッ!


真「…………よし!反省終わりっ!」


真「んーーっ!」ノビッ

真「……」



真(お師匠様、ボクは、自分の信念を貫き通します)

真(みんなを信じる事をやめない、という信念を……!)





真「……ん?」チラ


真「……陸地が見える!」


真「うーん、丸一日くらい修行サボっちゃったから…」コキッ

真「まずは、肩慣らししなきゃね」


真「すぅーー…」


タンッ


ザパァン!



バシャバシャバシャ…

666: 2014/08/18(月) 21:36:16.35 ID:xy5ezXhFO
バロンの町

真「ずぶ濡れになっちゃったな」ヒタヒタ

真「一応、服は絞ったけど、どこかで乾かさなきゃ…」


真「それにしても……」キョロキョロ


真「なんだか、辛気臭い町だなぁ…」

真「みんな暗い顔して歩いてる…」


真「あーもうっ!こっちまで暗くなっちゃうよ」

真「とりあえず、ここがどこだか確かめなきゃな」




真「あ、あの人に聞いてみよう!」


タタタタ…


真「あの!すみません!」

真「ここはなんて町でしょうか?」






「………はいさい…ここはバロンの町だぞ…」


真「!」

真「ありがとうございました!」ペコリ


「……なんくるないさー…」



真「……そうか、ここはハイサイバロンの町…」ブツブツ

真「……えっ?」

667: 2014/08/18(月) 21:49:25.05 ID:xy5ezXhFO
真「ちょ、ちょっと待って!」

真「こんなとこで何してんのさ!」



真「響!」



響「………え?」クルッ


響「あ……!」

響「ま……!」ウルッ


響「真ぉーーーー!!」ガバッ


真「…とっと」ガシッ


響「?わあああぁぁぁーーーん!!あいだがっだぞー!」ポロポロ

真「響……」


真「よしよし…」ナデナデ





響「ひっく……グスッ…」

真「……少しは、落ち着いた?」

響「う、うん……」グスッ


響「真……いきなり泣いたりして、ごめんね…?」

真「ううん、いいよ」


響「響の泣き顔、可愛いかったし…クスッ」



響「う……///」

響「うがー!からかうのは無しだぞー!」ポカポカ


真「あはは、ごめんごめん!」

668: 2014/08/18(月) 22:08:57.27 ID:xy5ezXhFO
ヒビキの家

響「でも、真に会えて、自分、元気出たぞー!」

響「ありがとな、真」


真「うーん…」

響「ど、どうしたんだー?」


真「お礼を言うのは、こっちの方かもなーって思ってね」

響「な、なんでさー?」


真「実は、さっきボクも、ちょっぴり心が折れそうだったんだ」

響「真……」

真「でも、響に会って、『ああ、ボクはお姉さんだからしっかりしなきゃな』って思えた」


響「そ、そうだったのかー…」

響(おにーさんの間違いじゃ…とか言ったら、真に殺されるな、うん)




真「それにしても、最初は響ってわからなかったよー」

真「あまりにも暗かったからさ」


響「……」

響「……ちょっと、いろいろあったんだ」


真「……何があったか、話してよ?ボクも話すからさ?」




真(……今は、誰かのために、戦いたい!)

669: 2014/08/18(月) 22:42:16.56 ID:xy5ezXhFO
トロイアの城 救護室

ユイット「ねえ、あのおねーちゃん、起きないの…?」ギュッ

シス「大丈夫、お姉様達が、きっとなんとかしてくれるよ…?」ナデナデ



ドゥ「なんだい、この怪我は…!?いったい何をしたらこんな…」

サンク「……私達は、やれる事をやるしかないようです」

キャトル「じゃあ、さっそく始めましょ~」ポワ


パァーーー!


シャララーン!


キラキラキラ…


雪歩「……」




サンク「……これで、命の心配はないはずですが…」

ドゥ「あとは、この子の体力次第か…」




バタン!



セット「お姉達!大変だよ!」


ドゥ「どうしたんだい?そんなに慌てて…?」



セット「クリスタルが…!」



ドゥ「!!」



670: 2014/08/18(月) 22:52:06.81 ID:xy5ezXhFO
キャトル「え?あのリツコさんという方、もういらっしゃるの…?」


セット「んーん、攻めて来たのは、人間じゃないみたいなの!」

ドゥ「アン姉とトロワが心配だ…!行くぞ!」

ドゥ「……シス、ここは任せたぞ?」


シス「は、はい、お姉様方!」


ドタドタ…





ユイット「……!」ブルブル

シス「ユイット、心配しなくても大丈夫よ…?」ダキッ


ユイット「シスおねーちゃん…!」ギュッ



雪歩「う……」



シス「!」

シス「意識が戻りかけてるのね…!」


シス「ユイット、お姉ちゃん、ちょっと離れるから、あの人の事…看ててね?」


ユイット「うん!ユイット、見てる!」



タタタタ…

671: 2014/08/18(月) 23:02:35.83 ID:xy5ezXhFO
ユイット「じーっ…」


雪歩「……ん…」モゾモゾ


ユイット「じーっ…」


雪歩「…………はっ!」ガバッ


ユイット「あっ!」


雪歩「痛っ……!」ズキッ


ユイット「……おねーちゃん、だいじょーぶ?」


雪歩「え……?」チラ

雪歩「えっと……」


ユイット「おはよう!」


雪歩「あ……」


ユイット「じーっ…」


雪歩「お、おはよう…?」


ユイット「えへっ」ニコッ


ユイット「はじめまして!ユイットです!8番目のしんかんです!」ペコリ


雪歩「は…はじめまして…」ペコリ


雪歩(この子は、いったい…?)

雪歩(8番目の新刊って、なんだろ…?)



ガチャ…

673: 2014/08/18(月) 23:13:51.95 ID:xy5ezXhFO
シス「あ……」

シス「目が覚めたんですね…?」


雪歩「は、はい…」

雪歩(ユイットちゃん?と、同じ服…)


ユイット「シスおねーちゃん!」ダキッ


シス「ちゃんと看ててくれたのね?ありがとう」ナデナデ

ユイット「うん!ちゃんと、見てたよ?」



シス「……お水です、どうぞ」スッ


雪歩「あ、ありがとうございますぅ…」

雪歩「ゴク…ゴク…」

雪歩「……ふぅ」


雪歩「……あ、あの、私…」


シス「……はじめまして、ダムシアン国第1王女、ユキホ様」

シス「トロイア国第6の神官、シスと申します」ペコリ


雪歩「あ…どうも」ペコリ


シス「この子は、第8の神官、ユイットです」


ユイット「さっき、じこしょーかいしたよ?」

シス「あ、そうなの、ごめんね?」




雪歩「あの…なんで、私の事を……?」

674: 2014/08/18(月) 23:28:26.27 ID:xy5ezXhFO
シス「ユキホ様…」

シス「あなたの国、ダムシアンが滅ぼされたとの噂は、この国にも聞こえています」


雪歩(……そうなんだね…)


シス「先日、この近くの海岸であなたを救助し、勝手ながら、手当てさせてもらいました」


雪歩「あ…すみません…助かりました…」ペコリ


シス「いいえ、どうやらご無事なようで、なによりです」


雪歩(あれ……トロイアって、どこかで聞いた気が…)


雪歩(あ……!)


『もはや、トロイアの土のクリスタルを残すのみとなった…』


雪歩(そ、そうだ!真ちゃんの国の王様が…言ってたよ…)

雪歩(全部…律子さんに奪われたら、ダメなんだよね、確か…)



雪歩「あ、あの…!」


シス「はい」



雪歩「く、クリスタルは、無事ですか?」

683: 2014/08/19(火) 21:30:18.71 ID:bLL9J+BYO
幻獣界

黒井「……帰ったぞ」


冬馬「おっさん!遅かったじゃ……」



やよい「うわぁ…!ふしぎなとこですねー…!」キョロキョロ


冬馬「!?」

北斗(765プロの……高槻やよい…?なんで社長と一緒に…?)



やよい「あっ……!」

やよい「えっと…」

やよい「じゅぴたぁの…」


冬馬「おい、おっさん!これはどういう事だ?」


黒井「知らん」

黒井「いつの間にか、くっついてた」


グルンッ


翔太「…まさか、黒ちゃんが捨てネコを拾って来るとはね~」


やよい「はわわっ」

やよい「あ、頭が…まわりました…」




北斗(この子がいるって事は、他にも…)

北斗(ひょっとして、俺達は巻き込まれたんじゃ…?)





684: 2014/08/19(火) 21:42:46.38 ID:bLL9J+BYO
やよい「みなさん、とーっても仲良しなんですねー!」



北斗(まあ、異常だよな…)

北斗(ひとつの身体に顔が3つもくっついてるんだから…)

北斗(しかしこの子は、物怖じしないんだなぁ)

冬馬「う、うるせー!誰が好きでこんな…」

翔太「まあ、冬馬がちょっと暑苦しいけどね~」




黒井「フン……考え様によっては、これほど完成されたアイドルユニットもいない、とも言える」

黒井(究極のアイドルとは、あるいはこういうものなのかもな……)



黒井「ともあれ…」

黒井「…大切な人質だ。丁寧に持てなせ……」


やよい「?」

冬馬「おっさん…またバカな事を…?」

翔太「こんな世界に来てまで黒いんだね~」

北斗(社長……)



黒井(今日は、うまい事逃げられた……)

黒井(フッフッフ…待っていろ、高木!)

685: 2014/08/19(火) 21:57:51.13 ID:bLL9J+BYO
幻獣王の館

やよい「うっうー!できましたよ~!」


ドサッ



北斗「もやし炒めか…」

翔太「あ~あ、僕、もっといいもの食べたかったなぁ~」

冬馬(お、女の子の…手料理!)

黒井「フン…庶民の料理か…」


やよい「まだ、塩こしょうをふっただけですっ」


やよい「これに…高槻家自慢のタレをかけま~す」


ジュー!


北斗「ん?不思議な香りが……」

翔太「お~?ちょっとおいしそうかも?」

冬馬(女の子の……手料理!!)

黒井「フン…庶民の浅知恵か…」




やよい「それじゃあ、いただきまーす!」


冬馬「ガツガツモグモグ……!」

北斗「冬馬…がっつき過ぎだ…」


黒井「もぐもぐ…」

黒井(フン、庶民にしては、上出来じゃないか…)


冬馬「ガツガツモグモグ…!」

翔太「冬馬~、そろそろ交代してよ~」

北斗(食事は3人で交代しなきゃならないのは、不便だな…)


やよい「まだまだたくさんありますから、おかわりしてくださいね~?」




黒井「騒がしいやつらだ…」


黒井(高槻やよい…)

黒井(……召使いとしてなら、雇ってやってもいいぞ…?)

686: 2014/08/19(火) 22:13:19.09 ID:bLL9J+BYO
翌日、幻獣王の館

やよい「うっうー!こんどは自信ありですっ!」


ドサッ


北斗「昨日と同じじゃないか…?」

翔太「確かにおいしかったけど…2日連続は、ちょっとな~」

冬馬(昨日は、醜態を晒してしまった……落ち着け、俺!)

黒井「……芸の無い事だ」

黒井(しかし…自信ありと言うからには、何か策があるのか…?)


やよい「かるーく塩こしょうをふったあと…」


パラッ…パラッ…


やよい「ユキコさんのタレのれしぴを参考にした…」

やよい「この、きゅーきょくのタレ『高槻改』をかけますっ!」


ジュー!


やよい「最後に、ギザ……ギザ……」


翔太「ギザギザ?」


やよい「ギザ…なんとかの、野菜を乗せますっ!」



北斗(これは…!)

北斗(臭い…?いや、その臭さが心地いい…)

北斗(もう、この香りの虜になってしまった…)

翔太「……ぱくっ」

翔太「………う」

翔太「うまいっ!何だコレ?何だコレ?」ガツガツモグモグ…


冬馬「お、おい…俺の分も残して…」

北斗「冬馬、次は俺の番だ」

北斗「お前は昨日、散々食べたろ?」

冬馬「くそ~!」



黒井(何だ…この香りは…)

黒井「……ぱくっ」

黒井「………!!」

687: 2014/08/19(火) 22:23:26.86 ID:bLL9J+BYO
黒井「フ、フン…!まあまあだな……」


やよい「ありがとーございますっ!」ペコリ


黒井「ぱくぱく…」

黒井(ば、バカな…!この私の箸が…止まらない…だと!?)

黒井(大抵のものは、食べ尽くした…)

黒井(しかしこれは、今まで食べたどんな高級料理も凌駕する……!)



黒井「モグモグ…」

黒井(くそっ!完敗だ…高槻やよい…)


黒井(……コックとして、雇ってやってもいいぞ…?)




冬馬「くそぉ、俺も食べたい…!」

翔太「冬馬は昨日、一人で食べたじゃんか~!」

北斗「今日は俺達の番だぞ?ぱくぱく…」

冬馬「うぅ……」



やよい「……」

688: 2014/08/19(火) 22:41:50.85 ID:bLL9J+BYO
やよい「あの…」

やよい「鬼ヶ島…さん?」


冬馬「天ヶ瀬だっ!」



やよい「はい、あーん…」スッ


冬馬「え?え?」オドオド


やよい「鬼ヶ島さんにも、食べてもらいたいかなーって!」ニコッ


冬馬(こ、これって…カップルがやるやつじゃないのか…?)

冬馬(い、いいのか、俺?)

冬馬(いいのか…高槻?)チラ


やよい「じーっ…」


冬馬(うっ!天使……)

冬馬(ここで引いたら…男じゃねぇっ!)

冬馬「し、仕方ねえな…た、食べてやるよ…」ドキドキ



やよい「ありがとーございますっ!」

やよい「はい、あーん…」スッ


冬馬「あ、あーん……ぱくっ」

冬馬「モグモグ…」


やよい「どーですかっ?」ズイッ


冬馬「う……」


やよい「う……?」


冬馬(うまい!こんなうまいもの、今まで食った事ないぞ…?)

冬馬(ていうか、高槻、顔近いっ!)ドキドキ


冬馬「う、うん…まあ、いけるんじゃねーか…?」

冬馬(女の子に、あーんしてもらった…こ、これって…こっ恋人になったって事か…?)


やよい「えへっ、よかったぁ!」ニコッ



翔太「なーんか、いつの間にか、ラブコメしてるし…」

北斗(冬馬…まんざらでもなさそうだな…)



黒井(……高槻やよい…どうやら、侮っていたようだ)

黒井(いい駒を手に入れたぞ…)

黒井「フッフッフ……!」

689: 2014/08/19(火) 22:59:13.11 ID:bLL9J+BYO
試練の山 入口

ボオオォーー!


春香「ぷ、プロデューサーさん、炎ですよ!炎!」

春香(なんか、前にもこんな事あったなぁ)


P「ああ。……亜美、頼んだぞ?」


亜美「おっけ~!」


亜美「……」パリパリッ


亜美「…ブリザドッ!」バッ


パリパリッ…シャキーン!


ジュゥゥ…


真美「お~!炎が消えた」

亜美「んっふっふ~、よゆーよゆー!」

春香(そうだ。あの時は、やよいの魔法だったね…)

春香(………やよい、元気かな)


真美「いいな~、黒魔道士は出番多くて~」


P「ちゃんと、真美にも出番はあるぞ?」

真美「えっ?」

P「忘れたのか?この山は…」

真美「……あ!」

真美「そっかぁ…確か、ゾンビがたくさん出てくるんだよね?」

P「そうだ。だから、心配するな」


真美「えへへ…兄ちゃん、ありがと」

P「ああ」

P(むしろ、出番が減るのは、春香じゃないかな…)チラ



春香「行きましょう、プロデューサーさん!」

690: 2014/08/19(火) 23:23:09.58 ID:bLL9J+BYO
スタスタ…


春香「それにしても…」

春香「すごい荷物ですねー」

亜美「兄ちゃん、そんなにたくさん、何買ったのさ?」



P「…いろいろ入ってるぞ?毒消し、目薬、金の針……」ゴソゴソ

P「十字架、やまびこ草、うちでの小槌……あと、エーテルをいくつか」

P(ホントは、万能薬があればいいんだが…あれは高いからな)


亜美「兄ちゃん…心配性だねぇ…」

真美「真美知ってるよ?『備えあれば売れイワシ』ってやつっしょ?」


P「憂い無し、な」

P「でも、一番の買い物は、この杖だ…!」スッ


春香「その杖は?」

亜美「ひょっとして、いやしの杖?」


P「うん。これで俺も、回復くらいはしてやれるからな」

春香「頼りにしてますよ!」

P「ああ!特に、春香は暗黒剣を使うからな…」


真美「兄ちゃん、真美とカブってるよ~」


P「回復役が2人いても、いいじゃないか」

P「まあ、真美の魔力が尽きた時の保険の意味が大きいかな」

真美「うーん、フォローになってない気がするよ~」


695: 2014/08/20(水) 21:12:56.77 ID:a2pc4ZqIO
試練の山 3合目

スタスタ…


亜美「そろそろかな…」

真美「だね…」キョロキョロ


春香「ん?どうしたの?2人とも…」

亜美「うん、この辺りに…」

真美「あずさお姉ちゃんがいるはずなんだけど…」


P「あー…」

P「2人にはまだ、話してなかったか…」

亜美・真美「?」





亜美「ええ~っ!あずさお姉ちゃん、りっちゃん側に付いたの~?」

P「うん…どうやら、そうらしい…」

P「本来の話から、少しずつズレてきてるみたいだな」

真美「…じゃあじゃあ、この先、よそ~がいの事が起きるかも?…って事?」


P「……そう思っていた方が、いいだろうな」


春香(何が起きても…私のやる事は、変わらないですよ…)


696: 2014/08/20(水) 21:29:31.07 ID:a2pc4ZqIO
グール「オォォ…!」

レブナント「アァァァァー!」

ソウル1「メラメラ…!」

ソウル2「メラメラ…!」


春香「わわっ…ま、魔物ですよ!」

P「おっと、お出ましか…!」


P「よし!亜美、真美でゾンビ達を!春香は、あの魂みたいなやつを攻撃だ!」


亜美「よしきた!」

亜美「……」ボッ

亜美「…ファイラッ!」バッ


ボオオォー!


レブナント「ガアァァ…!」


ドサッ


ソウル1「メラメラ…!」スーッ


亜美「うわっ!魂が、こっち来た!」



春香「……えいっ!」チャキッ


ズババァーー!


ジュゥゥ…


亜美「はるるん、助かったよ!」



真美「…ケアルラッ!」バッ


シャララーン!キラキラ…


春香「え?それって、怪我を治す魔法じゃ…?」


グール「オォォォ…!」ボロボロ


ドサッ


真美「回復魔法が効くやつもいるんだよっ!」

春香「へぇ…そうなんだね」

『目覚めの時は、近い…』

春香「えっ…?」キョロキョロ


ソウル2「メラメラ…!」スーッ


真美「あ!はるるん、危ないっ!」バッ

697: 2014/08/20(水) 21:42:37.96 ID:a2pc4ZqIO
ソウル2「メラメラ…!」


ボォッ!


真美「あっつ!」ヨロッ


亜美「真美!」タタタタ…


亜美「平気?」ガシッ


真美「う、うん…」


亜美「おのれ~!よくも真美をっ!」

亜美「……!」バッ


P「亜美、ダメだ!そいつには、魔法がきかない!………春香!」


春香「……は、はいっ!」チャキッ


春香「たぁーっ!」


ズババァー!


ジュゥゥ…



春香「真美…ごめんね?」

真美「ドンマイ、はるるん」


春香(また…聞こえた)

春香(……目覚めの、時?)




P「真美、今回復してやるからな?」

P「……」スッ


シャララーン!


真美「あ……」

真美「火傷が、治った…」

亜美「さっすがいやしの杖!」


P「あ…うん、杖のおかげだな…」

P(……うーん、何もできなかった頃よりは、マシだよな…?)




P「みんな、さっきの魂は、アンデッドじゃないからな。間違えるなよ?」

亜美・真美「は~い!」



春香「あのー、あんでっどって…何ですか?」

698: 2014/08/20(水) 21:54:13.44 ID:a2pc4ZqIO
P「んーと…」

P「さっき、ゾンビが出てきたろ?」

春香「はい…」

P「ゾンビみたいに、一度氏んでから蘇った魔物の事をまとめて、アンデッドって言うんだ」



春香「なるほど……で、そのアンデッド、には、回復魔法が通用するんですね?」

P「うん、その通りだ」


P「でも、さっき出てきた魂みたいなやつは、アンデッドじゃない…」


春香「じゃあ、さっきみたいに、ゾンビと魂が一緒に出てきた時は…」

春香「相手によって、攻撃を使い分けなければいけない…って事ですね?」


P「その通りだ!春香もだんだんわかってきたなぁ…」ナデナデ


春香「えへへ……///」

春香(プロデューサーさんに頭撫でてもらうの、すっごく久しぶりかも…)




亜美「お~い、2人とも~!」

真美「早く行こうよ~!」



P「おっと…じゃ、行こうか」

春香「はい!」



スタスタ…

699: 2014/08/20(水) 22:12:24.76 ID:a2pc4ZqIO
試練の山 5合目

P「ハァ、ハァ……」ヨロッ


P「なあ……」

P「少し、休まないか…?」


亜美「え~!まだ全然進んでないよ~?」

真美「まったく、兄ちゃんはだらしないな~」

春香「まあまあ、プロデューサーさん、元の身体に戻ったばっかりだし…」


亜美「ん~、ちかたないね」

真美「はるるんに免じて、休憩にしますか」

P「ホッ……」




P「ゴクゴク…」

P「…ぷはぁ!……あー生きかえる…」

亜美「兄ちゃん、もう少し鍛えた方が、いいんでない?」

P「そんなヒマないよ。毎日、遅くまで仕事だしな」

真美「筋トレとかは~?」

P「うーん…やろうとは思ってるんだが…気づいたら寝てるんだよな」

春香(あ、なんとなくわかるかも…)


亜美「でもやっぱり、男の人はがっしりしてた方がいいよね~?」

真美「そ~そ~、せめて、腹筋が7個に割れてないとね~」

P(おいおい、7個目はどこに来るんだ…?)

亜美「いやいや、この際、13個くらいに割れてて欲しいね」

春香「えっ?」

真美「じゃあ、真美は37個っ」

亜美「61個っ!」

真美「なにおう!」

亜美「やるってのか!」


P(そんな細かい腹筋、気持ち悪いだろ…)

700: 2014/08/20(水) 22:24:40.90 ID:a2pc4ZqIO
試練の山 8合目

P「亜美、右だ!」


亜美「りょ~かいっ!」

亜美「ファイラッ!」バッ


ボオォォー!


グール1「」



P「真美は、左のやつを!」


真美「がってん!」

真美「ケアルラッ!」バッ


シャララーン!


グール2「」



P「春香!」


春香「はいっ!」



P「……呼んだだけだ」


春香「」ズルッ


ドテッ


春香「痛たた……」

春香「プロデューサーさん、落ちに使わないでくださいよぅ…」


P「すまん、ノリで、つい…」

P(ちゃんとコケてくれるところが、さすがだ)





亜美「ねえねえ兄ちゃん、あと、どのくらいかなぁ?」

P「そうだなぁ…あと少しだとは思うんだが…」

P「そろそろ、アイテムを使っておくか」



P「亜美と真美には……」ゴソゴソ

P「ほいっ」スッ


真美「これって…?」

P「エーテルだ」

701: 2014/08/20(水) 22:38:03.23 ID:a2pc4ZqIO
P「春香、回復するから、ちょっと来てくれ」


春香「はーい」タタタ


P「……」スッ


シャララーン!


春香「ふぅ……」




…ビュゥゥーーー!



P「ん?」

真美「なんか、空飛んでるよ?」

春香「あれは……!」

亜美「頂上に降りたっぽいね」


P「頂上に……?」

P(このタイミング……まさか…)


真美「スプリミリョーネ、かなぁ?」


P(スプリミリョーネ…最初の四天王か……)

P(ん?なんか、名前が違う気が…)



春香「プロデューサーさん…」

P「どうした?」

春香「私の見間違えかもしれないんですけど…」



春香「さっき、一緒にあずささんもいた気がするんです…」



P「ええっ!?」

亜美「なんでっ!?」

真美「いきなり、よそ~がいだよ~!」



P(テラがこの山に登る目的は…)

P(ひとつしかない!)

P(ダメだ、あずささん…!)



P「みんな、急ぐぞ!」

702: 2014/08/20(水) 22:53:38.78 ID:a2pc4ZqIO
試練の山 頂上

あずさ「あら~みんな、元気だった~?」


春香「あずささん…」

亜美「あずさお姉ちゃん…」

真美「なんで……?」


P「あずささん…なぜ、律子の元へ…?」


あずさ「あら?プロデューサーさん、元の姿に戻ったんですね~?」

あずさ「やっぱり、プロデューサーさんはその姿の方が、ステキですよ?」


P「あずささん!話を…」


あずさ「……」

あずさ「律子さんには、律子さんの考えがあるんですよ?」

あずさ「私は、それに賛同しただけです」

あずさ「それに…律子さんに味方が少ないのは、不公平じゃありません?」



P(言ってる事はわかるが…これじゃ宣戦布告じゃないか…!)


春香「あずささんは、なぜここへ来たんですか…?」


あずさ「私は、ここに封印されている魔法を求めて、ここへ来たのよ~?」



亜美「兄ちゃん…!」

真美「まずいっしょ…!」

P「……」

P(メテオさえ覚えなきゃ、あずささんが氏ぬ事はないと思っていたんだが…)

P(なんとしても、阻止しなきゃ…!)


P「あずささん、あの魔法は危険です!大人しく帰ってください!」


あずさ「……」

703: 2014/08/20(水) 23:04:19.60 ID:a2pc4ZqIO
あずさ「ごめんなさいね?プロデューサーさん。そういう訳には、いかないんです」


P「………」

亜美「に、兄ちゃん、どうするの…?」

P「なら……!」



春香「行かせませんっ!」バッ


あずさ「春香ちゃん…」


P「春香…」

春香「あずささんが危険な目に遭うのを、黙って見過ごす訳には、いかないんです!」

春香「だから……」




春香「力ずくでも、あなたを止めますっ!」チャキッ


真美「はるるん…!」

真美「そうだよっ!あずさお姉ちゃんが氏んじゃったら、みんな悲しいよっ?」



あずさ「…………大丈夫、私は氏なないわ?」ニコッ



あずさ「スーさん?」



スゥーーー…



スカルミリョーネ「……よ、呼んだ…か…?」

712: 2014/08/21(木) 20:46:31.11 ID:S1g5PkhdO
あずさ「…ここを、お願いしますね?」


スカルミリョーネ「……わ、わかっ…た…」ズイッ


あずさ「……」クルッ


スタスタ…



春香「あずささんっ!」ガバッ

亜美「は、はるるん、落ち着いて!」ガシッ


P「そうだ、今はこいつをどうにかしないと…!」


スカルミリョーネ「……お、お前達、足止め、す…る…」バッ


P「みんな、気をつけろ!」


スカルミリョーネ「……!」ダッ


P「真美っ!」


真美「うわわっ!」ヒョイッ


ドゴォ!


真美「あっぶな~!」


亜美「…ファイラ!」バッ


ボオオォーー!


スカルミリョーネ「……お、遅…い…」ヒョイッ


亜美「よ、よけるなんて、ズルいっしょ~!」

714: 2014/08/21(木) 21:05:29.53 ID:S1g5PkhdO
P「春香、あいつを引き付けてくれ!亜美と真美は、魔法で援護だ!」


春香「わかりました!」

亜美・真美「おっけ~!」


春香「……」チャキッ

春香(……お父さん、力を貸してください!)


タタタタ…


スカルミリョーネ「……!」


ガキィン!


春香「……っ!」ググッ


スカルミリョーネ「……と、遠さな…い…!」ブンッ


春香「!」


ゴロンッ


春香「あ、危なかったぁ…!」


スカルミリョーネ「……!」ブンッ


春香「ぐっ!」ガキィン!


春香「うぅ……っ!」

春香(す、すごい…力!)


スカルミリョーネ「……や、やる…な…!」ギリギリ



亜美「はるるんって、あんな風に戦えるんだね…!」

P「ああ…」

P(最初は、ゴブリン相手に手こずってたのにな…)


真美「真美達も、負けてらんないっしょ!」


真美「亜美、あっち!」ビシッ

亜美「わかったっ!」

P「気をつけるんだぞ!」


タタタタ…

715: 2014/08/21(木) 21:22:01.14 ID:S1g5PkhdO
スカルミリョーネ「……!」グイッ


春香「あっ……!」ヨロッ


ドサッ


スカルミリョーネ「……し、氏は、恐くな…い…」ブンッ


ザシュッ!


春香「うぐっ…!」

春香(……もう一撃、来るっ!)


スカルミリョーネ「……し、氏とは、安ら…ぎ…!」ブンッ


春香(ダメ……!)




真美「……ケアルラ!」


シャララーン!


ジュゥゥ…


スカルミリョーネ「……うっ……!」ヨロッ

スカルミリョーネ「……こ、小癪…な…!」


亜美「ファイラッ!」


ボオオォー!


スカルミリョーネ「……がぁっ……!」

スカルミリョーネ「……ぎ、逆か…ら…?」


亜美「…へへっ、燃えたろ?」


真美「765プロ最強の双子を!」

亜美「忘れてもらっちゃあ、困るぜ!」


春香「亜美!真美!」



スカルミリョーネ「……こ、これでも、くら…え…!」ガバッ


ブワッ…


亜美「うっわ、何?……ケホッ」

真美「く、臭いよ~!……ゴホッ」


スカルミリョーネ「……と、とど…め…!」ブンッ

716: 2014/08/21(木) 21:32:38.36 ID:S1g5PkhdO
春香「……させないっ!」ダッ


ガキィン!


スカルミリョーネ「……ま、まだ、うごけた…か…?」ググッ


春香「プロデューサーさんっ!2人をっ!」


P「わかったっ!」ダッ


タタタタ…


P「2人とも、大丈夫か?」ダキッ


亜美「…に、兄ちゃん…なんだか…」

真美「…か、身体が…重いよ…」


P「ちょっと待ってろ?今、助けてやるからな?」ゴソゴソ

P(2人の顔色が、悪い…)

P(マヒでも、盲目でもない。なら…)


P「さ、2人とも、飲むんだ…」ダキッ

真美「うっ…ゴクッ…ゴクッ…」

亜美「んくっ…ゴクッゴクッ…」


真美「ん……治った…?」

亜美「兄ちゃん、あんがと!」


P「よかった…」サッ

P「2人とも、俺は、春香の援護をして来る。……ここで少し、休むんだぞ」


タッタッタッタッ…

717: 2014/08/21(木) 21:44:41.33 ID:S1g5PkhdO
真美「……中ボスって、結構強いんだね…」

亜美「うん……でも」

亜美「これで終わりじゃ、ないもんねっ!」

真美「もちろんっ!」



真美「真美達も、行かなきゃ…!」


亜美「…しばし待たれい!」

真美「ん…?」




亜美「真美、今日の朝ご飯、何食べた?」

真美「へ?」

真美「カエル…?」

真美「てか、亜美もおんなじの、食べたっしょ?」

亜美「うん、そだね」


亜美「じゃあ……」




亜美「…今日のパンツは、何色?」



真美「ぶっ!」

亜美「パンツの色。忘れてちゃったの?」

真美「わ、忘れて…ないけど…」

亜美「じゃあ、何色?」

真美「えっ…と」





真美「……………………ろ」ボソッ


亜美「ん~?聞こえないよ~?」

718: 2014/08/21(木) 21:58:14.38 ID:S1g5PkhdO
真美「くーーろーーーー!!」


亜美「お~?ずいぶんせくち~なのを履いてるんだね~?」


真美「……///」ボッ

真美「い、いやいや!」

真美「『今日は何があってもいいように、勝負パンツ履いてこう』って言い出したの、亜美じゃんかー!!」

亜美「あり?そうだっけ?」



亜美「……っていうのはじょ~だんで」

亜美「亜美達は、今日もシンクロ率バツグンなのでありますっ!」

亜美「…まだ、気づかない?」

真美「シンクロ率……って…」

真美「そっかぁ、その手があったか!」パン

亜美「…や~っと気づいたか…」

亜美(まあ、シンクロしてない部分もあるけど…)

亜美(今は、そんな事言ってる場合じゃないもんね)



亜美「じゃ、行くよ、真美…!」ギュッ

真美「おっけ~、亜美…!」ギュッ




亜美・真美「はあぁぁぁ……!!」ゴゴゴゴ…

719: 2014/08/21(木) 22:11:32.51 ID:S1g5PkhdO
山頂の祠

スタスタ…


あずさ(…よくわからないけど)

あずさ(誰か…いえ、何か、がいるわね~?)キョロキョロ



??「……?」

??「…あれっ?」


あずさ「えっ?」ビクッ

あずさ(姿は見えないけど…確かに、声がしたわ…!)


あずさ「だ、誰か…いるんですか~?」



??「あ…えっと」

??「…コホン」

??「…神聖なる祠に、何用だ?」


あずさ「あ……」

あずさ「あの~、あなたは、この祠の主様ですか~?」


??「……いかにも」


あずさ「私、『封印された魔法』を求めて来たのですが…」


??「ほう…?メテオを欲するか……」

??「……」

??「……ならば、お前がメテオにふさわしいかどうか、見極めてやろう」


あずさ「よろしくお願いしますね~?」

あずさ(…何を見極めるのかしらね~?)

720: 2014/08/21(木) 22:23:13.28 ID:S1g5PkhdO
??「じーっ…」


??「……」

??「……」

??「……」

??「……」



??(うん。すごい『モノ』を持ってるなぁ……!)


??(ハルカのも、ちゃんと成長してくれてればいいんだが…)



あずさ「あの~、どうでしょうか…」


??「あ、ああ…」


??(うーん…どうしようか…)

??(いい人そうだよな…)

??(まあ…巨乳に悪い人はいないっていうし……)

??(……よし)



??「うむ、合格だ…!」

あずさ「えっ?じゃあ……」

??「封印されし魔法、メテオを授けよう!」

あずさ「ウフフ、ありがとうございます」ペコリ


??「……!」



パァーーーー!


あずさ(眩しい…!)

721: 2014/08/21(木) 22:31:33.54 ID:S1g5PkhdO
春香「……っ!」ブンッ


ザシュッ!


スカルミリョーネ「……がぁ……!」ズサッ


春香「はあぁぁーー!」ダッ


スカルミリョーネ「……あ、甘…い…!」ヒョイッ


春香「あっ……!」


ドゴォ!


春香「あぅっ!」ヨロッ


ドサッ


春香「う……!」ガクッ

春香(こ、この人…強い!)


スカルミリョーネ「……お、終わり…だ…!」ブンッ




シャララーン!


キラキラキラ…


春香「あ……!」


P「春香、大丈夫か?」


春香「プロデューサーさんっ!」


スカルミリョーネ「……?」

722: 2014/08/21(木) 22:39:57.68 ID:S1g5PkhdO
春香「元気100倍ですよっ!」ダッ


スカルミリョーネ「……は、速…い…!」


ザシュッ!


スカルミリョーネ「……ぐはぁ……!」ヨロッ


ドサッ


P「春香、ここは任せても平気か?」

春香「プロデューサーさんは、どうするんですか?」

P「…ちょっと、あずささんのところへ行ってくる」

春香「あ……わかりました!ここは任せてください!」ニコッ


P(春香…頼もしくなったな…)


P「頼んだぞっ!」クルッ


タッタッタッタッ…



723: 2014/08/21(木) 22:50:06.92 ID:S1g5PkhdO
春香「……」チラ


スカルミリョーネ「……ぐ……」ガクッ


春香「お願いします、そこをどいてください!」


スカルミリョーネ「……そ、それは、できな…い…!」フラフラ


春香「……」


スカルミリョーネ「……あ、アズサの、めいれ…い…」


春香「……!」

春香(この人、千早ちゃんと同じ…)

春香(命令に従ってるだけ…?)


スカルミリョーネ「……と、通さな…い…!」ガバッ


春香「……っ!」ガキィン!






亜美・真美「はるる~ん!!よけるんだ~!!」ポワ…


春香「え?」


キラキラキラ…


スカルミリョーネ「……あ、あの、光…は…」


亜美・真美「いっっけぇーーー!!」


春香「あっ!ちょ、ちょっとまっt」



亜美・真美「ホーリー!!」

736: 2014/08/22(金) 22:34:09.68 ID:3+6lz2jEO
山頂の祠付近

P「あずささんっ!」


あずさ「え?」クルッ


あずさ「プロデューサーさん?なぜ…」

P「早まらないでください!あの魔法は……!」


あずさ「……」

あずさ「もう、魔法は手に入れました」

P「な!」

P「そ、そんな…!」


あずさ「プロデューサーさん、心配してくれるのは嬉しいんですけど…」

あずさ「私、そんなに簡単に氏んだりしませんよ?」

P「あずささん…」


あずさ「危険な魔法なんですよね?」

P「はい!だから、絶対に…!」




あずさ「……」

あずさ「私、プロデューサーさんに信用ないのね~」

あずさ「……ちょっと、悲しいです」

P「あ、いや…べ、別にそういう訳じゃ……」


あずさ「なら、信じてもらえませんか?私の事も…」



P「!!」

P(信じる……)

P(そうだ、俺は……)

P(真美に教わったばかりじゃないか……!)



あずさ「プロデューサーさん…」

あずさ「私や律子さん、千早ちゃんが……変わってしまったと思いますか…?」

737: 2014/08/22(金) 22:48:06.84 ID:3+6lz2jEO
P「え…?」


あずさ「私達は、何も変わってなんかいませんよ?」

あずさ「みんなで笑い合ってた…あの頃のまま…」

あずさ「……何も、変わってません」


あずさ「だから、私達の事も、信じてもらえませんか?」


P「あずささん…」




P「……すみません!」ペコリ


P「俺…ゲームの内容に、囚われ過ぎていたみたいです…」

P(これが……ゲーム脳ってやつなのかな?)



P「あずささん…俺達と一緒に…」

あずさ「どうせなら…」

あずさ「楽しくやりましょう?」


P「楽しく…」


あずさ「せっかく、不思議な体験してるんですから……ね?」


P「……そう、ですね…」

P(あずささん…芯の強いビックリだとは思っていたけど…)


P(みんなに…教わってばかりだな、俺)

P(俺も…もっと強い男にならないと……!)



……ズドドドドドドドドド……


グラグラ…

738: 2014/08/22(金) 22:52:58.56 ID:3+6lz2jEO
P「な、なんだ…?」キョロキョロ


あずさ「きゃ……!」ヨロッ


P「……おっと」ダキッ


あずさ「あ……!」ドキドキ

あずさ「す、すみません……///」


P「……向こうで、何かあったのかも……」


P「あずささん、行ってみましょう!」

あずさ「は~い」


スタスタ…

740: 2014/08/22(金) 23:18:09.80 ID:3+6lz2jEO
スカルミリョーネ「……か、身体…が…」


スカルミリョーネ「……く、くず…れ…!」


ボロボロ…


スゥゥゥー…



亜美「……やった?」

真美「倒したっぽいよ~!」



ガラガラ…ドサッ


春香「うっ……けほっけほっ…」ヨロッ

春香「はぁー…氏ぬかと思ったぁ…」


亜美「あ~!はるるん、無事だったんだね?」


春香「ふたりとも……ひどいよ…」

真美「まあまあ、無事だったんだから、血管お~らいって事で…」



春香「あ、そうだ…」

春香「あの魔物は……?」キョロキョロ


亜美「亜美達の、大勝利だよん!」ブイッ

春香「そっかぁ…」


真美「ねぇねぇはるるん、兄ちゃんは?」


春香「プロデューサーさんなら、あずささんのところへ…」

春香「あ!」

741: 2014/08/22(金) 23:28:34.51 ID:3+6lz2jEO
春香「わ、忘れてたぁー!」

春香「は、早く追いかけないと…!」アセアセ


亜美(うん。やっぱ、戦ってるはるるんより、こっちの方がはるるんらしいよね!)


春香「2人とも、プロデューサーさんのところへ行こう?」


スタスタ…






「……フシュルルル…」


真美「ん?」

真美「亜美、なんか言った?」

亜美「ううん、なんも」

真美「?」



「…フシュルルル…」


真美「あ!ほら、また何か言ったっしょ~?」

亜美「言ってないってば~!」



「フシュルルル……」


春香「あ…確かに、何か聞こえるね…」

真美「でしょ~?まったく、亜美ってばイタズラっ子なんだから~」

亜美「だから違うって……!」




ズズズズ…


ズサァァッ!

742: 2014/08/22(金) 23:40:07.45 ID:3+6lz2jEO
スカルミリョーネ「フシュルルル…!」



真美「で、出たぁ~!」

亜美「ほらぁ!亜美じゃなかったじゃんか~!」

春香「亜美、そんな事言ってる場合じゃ…!」



スカルミリョーネ「……よくぞ私を頃してくれた…!」

スカルミリョーネ「……氏してなお恐ろしい、土のスカルミリョーネの力…」

スカルミリョーネ「……ゆっくりと味わいながら氏ねえ!」


亜美「す、スーさんが、まるで別人だよぉ…!」

真美「スーさん、見逃してちょ~!」

スカルミリョーネ「……それは、出来ない相談だ」



亜美「や、ヤバいよはるるん…!亜美達、もう魔力がスッカラカンなんだよ~!」

春香「わかった。ここは私が……!」チャキッ




あずさ「……スーさん?」


スカルミリョーネ「……アズサ?」クルッ


スカルミリョーネ「……目的のものは…」

743: 2014/08/22(金) 23:48:33.71 ID:3+6lz2jEO
あずさ「ええ…手に入れたわ?」


春香「あ、あずささん、ダメ…!」


P「……いいんだ、春香」


春香「プロデューサーさん?だって、あずささんが…!」

P「大丈夫だから…」



春香「プロデューサーさんが、そう言うなら…」

真美「うん、兄ちゃんを信じるよ!」


P「ありがとう」


P「……あずささん」クルッ


あずさ「……また、会いましょう」ニコッ


春香「……」

春香(……いつもの、あずささんの笑顔)

春香(うん……大丈夫!)


スカルミリョーネ「……あずさ、帰ろう…」

あずさ「ええ…そうね」

744: 2014/08/22(金) 23:57:29.55 ID:3+6lz2jEO
春香「必ず、また会いに行きます!」

亜美「りっちゃんと千早お姉ちゃんによろしくね~!」

真美「スーさん、あずさお姉ちゃんの事、頼んだよ?」


スカルミリョーネ「……言われなくとも、アズサは無事にリツコさまの元へ送り届ける…」

スカルミリョーネ「……お前達とは…いずれまた、決着を付けよう…」




あずさ「プロデューサーさん」

P「はい」

あずさ「ちゃんと、みんなを導いてあげてくださいね?」


P「もちろんです!」



ブワッ…




あずさ「またね~~!」




ビューーーン!


……

745: 2014/08/23(土) 00:09:04.66 ID:4/z6eRibO
春香「……行っちゃいましたね」

P「また、会えるさ」

亜美「…でも、物語がズレてるんでしょ?」


P「大丈夫だ」

P「そんな物語、俺が捻じ曲げてやる」


真美「お~?いつになく強気だね~?」

P「今は…そんな気分だからな」



春香「さて……」

春香「村へ、帰りますか…」


P「何言ってるんだ」

亜美「そうだよ~」

真美「本日のメインイベントが、まだ残ってるんだよ~?」


春香「え……?」


P「春香、この山に来た目的は?」


春香「えっと、試練を乗り越えに…」

春香「あれ?さっきのは試練じゃなかったんですか?」

亜美「まったく関係ないYo!」


P「この先にある祠…おそらくそこで、試練が待っているだろうな」

春香「………ゴクッ」


P「春香、覚悟はいいか?」


春香「はい!」

春香「行きましょう!」

755: 2014/08/23(土) 22:16:27.30 ID:4/z6eRibO
山頂の祠

??「……」

??「待っていたよ…」


春香「いやいや…」



春香「なんでここにいるんですか?プロデューサーさん」

春香「も~、ちゃんと入口で待っててくださいね?って、言ったじゃないですかぁ~!」



??「ふーん…」

??「それがハルカの……」


春香「え?何ですか?」


??「…なんでもないよ」


??「それより…」チラ

??「ちゃんと成長してるみたいで、嬉しいよ!」じーっ


春香「うん?」

春香(プロデューサーさんの視線が…私の胸に…?)


春香「…って、ちょ、ちょっと!どこ見てるんですかぁ~!」バチン!


??「痛てて……」



春香「あ……」

春香「ご、ごめんなさいっ!つ、つい…」ペコリ


??「……いや、いいんだ」

??「…今までハルカに辛い思いをさせてしまった、報いだから…」

春香「??……どういう…?」


??「……」ダキッ


春香「こっ……」

春香「……えっ?」

春香(ぷぷぷ、プロデューサーさん、いきなり何を……///)


756: 2014/08/23(土) 22:27:45.12 ID:4/z6eRibO
??「もう、安心していいよ…」

??「これからは、ずっと一緒だ…」ナデナデ



春香「ぷ、プロデューサー…さん…」ドキドキ

春香(プロデューサーさん、どうしたんだろう…?)

春香(いきなり、こんな…だ、大胆な…)

春香(あ…!ひょっとして、やっと私の気持ちに気づいて…?)



春香(あったかい…)


春香(プロデューサーさんの…温もりが…匂いが…)



春香(愛おしい……)ギュッ



??「ねえ、ハルカ」

春香「はい…」ボーッ

??「…一緒に、暮らそうか」

春香「え……そ、それって…!?」

??「2人の家を建てて…ずーっと、一緒にいよう」

春香「……!」

春香「う…嬉しい…です!」グスッ


春香(ああ、これからは、ずっとプロデューサーさんと一緒…)ウットリ


春香(あ…でも、たまにはみんなに会いたいなぁ…)

757: 2014/08/23(土) 22:37:03.23 ID:4/z6eRibO
春香「プロデューサーさん、たまにはみんなに会いに行きましょうね?」


??「…何を言ってるんだ?」

??「僕達2人以外は、何もいらない」

春香「え…?」

??「他の事は、忘れていいんだよ?」

??「ハルカが傷つくだけだから」


春香「な、何を言ってるんですか?」ガバッ

春香「そりゃあ、たまにはケンカもしますけど…」

春香「みんな、大切な仲間じゃないですか!」



??「じゃあ…」

??「みんなと、俺。どっちが大切なんだ?」


春香「ぷ、プロデューサー…さん…?」

春香(そんなの、答えられるワケ…)

??「まさか、ハルカを傷つけるあんなやつらの方が、僕より大切なのか…?」



春香「……!」



ドンッ!

758: 2014/08/23(土) 22:49:37.11 ID:4/z6eRibO
春香「あなた、誰ですか?」


??「……」


春香「プロデューサーさんは、みんなの事を、『あんなやつら』なんて、絶対に言いません!」


春香「あなたは、プロデューサーさんじゃありませんよね…?」


??「うーん、さすがにバレたか…」


春香「あ……」


シュゥゥー…



??「はじめまして」

??「僕はクルーヤ」

クルーヤ「君の…父親だよ」


春香「お父…さん?」


春香「あなたが…!」

春香(この剣の…持ち主…)



春香「じゃあ、今のは……」


クルーヤ「あ、ごめんね?」

クルーヤ「こういうのって、試練ぽいかなーと思って、やってみたんだけど…」

クルーヤ「『お前の心を試したのだー!はっはっはー』なーんて…」


春香「は、はぁ…」

春香(想像してた感じと…だいぶ違うなぁ…)

春香(お父さん…こんなキャラだったんだ…)

759: 2014/08/23(土) 23:09:25.83 ID:4/z6eRibO
山頂の祠 入口

真美「ねえ、兄ちゃん。はるるん、大丈夫かなぁ~?」

P「大丈夫だよ。春香を信じよう」

亜美「でもさぁ~、せっかくのイベントなのに…」

P「まあ、亜美の言いたい事もわかるが…」

P「春香がひとりで行くって、決めたんだ。尊重してやろう」

P(まあ、どちらにしろ、入口は開かないみたいだけどな)


亜美・真美「……」




亜美「そういえば…」

亜美「兄ちゃん、あずさお姉ちゃんと何があったのさ?」

真美「!」ドキッ

P「いや…普通に話をしただけだぞ?」

真美「ホッ…」


亜美「それにしちゃ~、あずさお姉ちゃんと会ってから、ずいぶん自信マンマンだよねぇ?」


亜美「ひょっとして、男女の一線を…」

真美「!!」



P「越えてない!越えてないからな?」

亜美「ホントかなぁ~?」

真美「……」ソワソワ

P「ほ、ホントだって!し、信じてくれないのか?」

亜美「なんだかんだ言っても、兄ちゃんも男だかんね~?」


P「か、考えてみろ?そんな事したら、俺はとっくにあずささんに殺されてるって!」

亜美「いや、むしろ逆だと思うけどね~」

亜美(って言っても、このニブチンは、気づかないんだろうけどねぇ…)


P「ば、バカ!俺があずささんを頃すワケないだろ!?」


亜美「兄ちゃん…そういう意味じゃないって…」

亜美(やっぱ、兄ちゃんはいじり甲斐がないとね~!)

亜美(自信マンマンな兄ちゃんなんて、兄ちゃんじゃないもんね!)ニヤリ


真美(亜美…わっるい顔してるなぁ…)

760: 2014/08/23(土) 23:25:21.56 ID:4/z6eRibO
春香「えっと…私、試された…んですかね…?」


クルーヤ「うん。いきなりで、すまなかったねー」


クルーヤ「でも、弱い心では、この先の試練には、耐えられない…」

クルーヤ「これはホントだよ?」


春香「はぁ…」

春香(なんだ…そっか…)

春香(そうだよね…プロデューサーさんが、あんなに積極的なワケ、ないよねぇ…)



春香(……ちょっとだけ期待した自分が、恥ずかしい……///)



クルーヤ「この先の、本当の試練を受ける気は…あるかい?」


春香「……」

春香(…どんな試練かな?)

春香(できれば、簡単なのが…)

春香(…って、それじゃ、試練の意味がないか)

春香(もう、前に進むしかないよね…!)


春香「はいっ!」


クルーヤ「…うん、いい返事だ」ニコッ


クルーヤ「……」バッ


パアァァーーー!


スゥゥゥー…



闇春香「……」


春香「え……!?」

春香(私……!?)

春香(顔も、髪型も……)

春香(何もかも、同じ…)



クルーヤ「そう、この子は…ハルカ、君自身の、『闇』だ」


春香「私の……闇?」

762: 2014/08/23(土) 23:42:02.02 ID:4/z6eRibO
クルーヤ「ハルカ…君はこれから、この…自分自身の闇に、打ち勝たなければならない」


闇春香「……」


春香「闇に……」

春香(私の闇…って事は、あの子も、私…なのかな?)



クルーヤ「ハルカ。見事、試練を乗り越える事を、祈ってるよ」



闇春香「……」チャキッ


ブンッ!


春香「わっ…と」ゴロン


春香「……」チャキッ


闇春香「……」ゴゴゴゴ…


春香「あ、あれは…!」


闇春香「……!」バッ


ズバババァー!


ドガッ!


春香「うぁっ…!」


ドサッ


春香「あ、あの技……」ヨロッ

春香「ホントに、私なんだね…」


春香(自分に…打ち勝つ!)

春香「……!」チャキッ


763: 2014/08/23(土) 23:59:37.38 ID:4/z6eRibO
春香「やーっ!」ブンッ


闇春香「……」ヒョイッ


春香「あっ……」ズサッ

春香「……なら!」チャキッ

春香「……!」バッ


ズババァー!


シュゥゥー…


闇春香「……」


春香「え……効いてない?」


クルーヤ「ハルカ、暗黒剣を使ってはいけない。闇に、暗黒剣は通用しないんだ」


春香(暗黒剣が、通用しない…?)


闇春香「……!」バッ


ズバババァー!


春香「ぐ……!」

春香(あの子の暗黒剣は、私に通用するのに…)

春香(どうやって戦えば…)



闇春香「……で……しが…」


春香「え…?」


闇春香「なんで私が、みんなを探さなきゃいけないの?」バッ


ズバババァー!


春香「うっ…!」ガクッ

春香「な、何言って……?」フラフラ


闇春香「……プロデューサーさんさえいてくれれば…」バッ


ズバババァー!


春香「あ……」ヨロッ


ドサッ


闇春香「……みんなの事なんて、ホントはどうでもいいんだ」ニコッ


春香(ち…がう…っ)

春香(わた…し、は…)

764: 2014/08/24(日) 00:12:17.68 ID:uDFR+yxgO
クルーヤ(ハルカ…やはり、まだ早かったのかな…?)

クルーヤ(僕は、『干渉』できない)

クルーヤ(……自分を、信じるんだ!)



闇春香「……邪魔なんだよ、みんな…」


スタスタ…


闇春香「せっかくプロデューサーさんと2人きりだったのに…」


ドカッ!


春香「うぐ…!」

春香(……違…う!違う…のに…っ)

春香(か、から…だ……う…ごか…な…)


闇春香「美希も…やよいも…」

闇春香「千早ちゃんも……」

闇春香「みんな、いなくなっちゃえばいいんだ!」


春香「やめ……て…!」グッ


闇春香「……そうだ」ニヤッ


闇春香「今から、みんなを…」クルッ


スタスタ…


春香(…だ…め……ダメ…っ)ググッ



クルーヤ(……)

クルーヤ(限界……か)

765: 2014/08/24(日) 00:21:59.00 ID:uDFR+yxgO
春香「ダメ……!」ポゥ


春香「ダメェーーーーー!!」


パァーー!


シャララーン!


キラキラキラ…


クルーヤ(治癒魔法の光!)

クルーヤ(ハルカ……目覚めたんだね?)


春香「みんなはっ…!」ググッ


春香「大切な……っ!」ヨロッ


春香「私の……大切な、仲間なんだ!」スタッ


春香「ハァ、ハァ…!」



闇春香「……」クルッ


闇春香「ううん…」


スタスタ…


闇春香「ちっとも、大切なんかじゃないよ?」チャキッ


闇春香「……うっとおしいだけ!」バッ


ズバババァー!


ドゴォ!


春香「あ…ぅ…!」ヨロッ


春香「……っ!」ズサッ


春香「確かに……」


春香「うっとおしい…って、思う事もあるかもしれないよ」

766: 2014/08/24(日) 00:30:29.50 ID:uDFR+yxgO
春香「…ケンカだってするし…最初の頃なんて、全然まとまりがなかった…」


春香「でもね……?」


スタスタ…


闇春香「……!」ズサッ


春香「みんながそばにいて……」


スタスタ…


闇春香「こっ、来ないで!」チャキッ


春香「一緒に、笑い合える……」


スタスタ…


闇春香「うあああああ!」バッ


ズバババァー!


春香「……」ヒョイッ


闇春香「あ……!」スッ


カランカラン…





春香「…それが、私の1番の宝物なんだよ?」ニコッ


闇春香「あ…あ…!」ガクガク


春香「ゴメンね…?」ダキッ

767: 2014/08/24(日) 00:41:27.32 ID:uDFR+yxgO
闇春香「え……?」


春香「私は、知ってる」


春香「あなたも、私だって事」


闇春香「……」


春香「暗い事、嫌な事を考える私も…私だから」ギュッ






春香「私は、あなたを捨てないよ?」




クルーヤ(自分の闇と決別するんじゃなくて…)

クルーヤ(闇と向き合って生きる道を選んだのか…)

クルーヤ(ハルカ…僕は、君の成長を、もう少しだけ見ていたかったなぁ…)




パァァーーーー!


闇春香「……ふふ」


闇春香「……ありがとう」ニコッ


春香「あ……」


闇春香「ありがとう、私」


闇春香「……」ギュッ


闇春香「……これからも、よろしくね?」


スゥゥー…


……

768: 2014/08/24(日) 00:57:49.57 ID:uDFR+yxgO
春香「……」

春香(……こちらこそ、私)




クルーヤ「ハルカ、」

クルーヤ「よく…頑張ったね…」


春香「あ…お父さん」


クルーヤ「ハルカ…君は、無事に試練を乗り越えた」

春香「ほ、ホントですか?」

春香「よ、よかったぁ…」ヘナヘナ


クルーヤ「それにしても、自分の闇を切り捨てない、か…」

春香「…誰でも、嫌な部分ってあると思うんです」

春香「でも、悪いから捨てる…って、なんか、しっくりこなくて…」

クルーヤ「うん。偉かったよ…」ナデナデ

クルーヤ(善と悪が同居する、か…。こりゃ…前代未聞の聖騎士様だな…)

春香「えへへ……///」


クルーヤ「…そうだ。ハルカはもう、パラディンになったんだから、衣装も替えなきゃだね」

春香「ぱらでぃん…?」

クルーヤ「うん。暗黒騎士とは対極にある…聖騎士だよ」

春香「聖騎士…」

春香(うん。暗黒騎士より、全然響きがいいよね)

春香(でも……)

春香(ちょっとだけ、さみしいかな…)



春香(…ばいばい、暗黒騎士)



774: 2014/08/24(日) 16:32:23.57 ID:uDFR+yxgO
春香「らいとぶりんがー?」


クルーヤ「うん」

クルーヤ「暗黒剣『デスブリンガー』は、その役目を終えた」

クルーヤ「ハルカがパラディンになった事で、伝説の剣『ライトブリンガー』に変化したんだよ」


春香「そうなんですか…」チラ


キラーン!


春香(まぶしい…ってほどじゃないけど…)

春香(…神秘的、というか…不思議な輝きだなぁ…)

春香(伝説の剣…か。私に、使いこなせるかな?)



クルーヤ「さっ、次は衣装だね!」

クルーヤ「とびっきり可愛い衣装にしてあげるからねー!」


春香「ホントですか?」

春香(よかった~…暗黒騎士の鎧って、真っ黒で、可愛さからほど遠かったからなぁ…)

春香(どんな衣装かなぁ?)ワクワク


クルーヤ「そうだ、衣装を着替えたら、君の仲間達にも、お披露目しなきゃね!」


春香「あ、そうですね!」

春香(みんな、待ちくたびれちゃってるよね…?)


春香「それじゃあ、着替えてきますね?」

775: 2014/08/24(日) 16:46:58.80 ID:uDFR+yxgO



春香「……着替えました…けど…」

春香「…こ、これは……」ヒラヒラ

春香(ちょっと…恥ずかしいなぁ…)

春香(いろんなところが、風通しいいし…)



クルーヤ「可愛いよ~、ハルカ!」ダキッ

春香「あ、ちょ、ちょっと…」ジタバタ




スタスタ…


P「入口が開いたって事は…」

P「入って来いって事だよな…?」


亜美「あっ、兄ちゃん!はるるんが…」

真美「何者かに、襲われてるYo~!」

P「は、春香!?」ダッ


タタタタ…


P「おい、あんた!その娘を離すんだ!」グイッ

真美「!?」


クルーヤ「おっと…」

春香「…プロデューサーさん!」パァァ

クルーヤ(ん?この人が、ハルカの……?)

クルーヤ(でも、この人……?)


P「春香、平気か?」ダキッ

春香「あ……」

春香(本物の…温もりだぁ…)ギュッ


P「あんた、いったいどういうつもり…?」

真美「ね、ねぇ、兄ちゃん!それより……」




真美「その人には、さわれるんだね…?」

776: 2014/08/24(日) 17:02:48.93 ID:uDFR+yxgO
P「あ…!」

P「そういえば、そうだ…!」チラ

P(俺は、ゲームのキャラには触れられないんじゃ……?)



クルーヤ「あなたが、ハルカの『大切な人』ですね?」ニコッ

P「え?」

真美「!」

亜美「お~?」

春香「あ、あああああのっ!た、大切な、仲間ですよ、仲間っ!」アセアセ

真美(な、何があったのさ~!)オロオロ

亜美「はるる~ん?あとで詳しく聞かせてもらうからね~?」



クルーヤ「…あなたは、不思議な人ですね…?」

P「あ、ああ、そうかもな…」

P(そりゃあ、本来いるはずのない人間だからなぁ)


P「それより、なぜあんたは…」

クルーヤ「ハルカの父、クルーヤです」ペコリ

P「あ……そうか」

P(そうだよ、セシルに試練を課すのは、父親だった…)


P「で、クルーヤ。説明してもらえないかな?」

クルーヤ「うーん、説明と言っても…僕も、よくわからないんですけどねー」

クルーヤ「一つ、言えるとしたら…」



クルーヤ「僕が、『月の民』だからではないでしょうか…?」

P「!」

春香「つきの、たみ…?」

777: 2014/08/24(日) 17:31:57.20 ID:uDFR+yxgO
クルーヤ「あなたからは、不思議と、膨大な生命エネルギーを感じる…」

クルーヤ「この世界の存在とは、思えないほどの、ね」


クルーヤ「我々月の民は、青き星の民とは、違った進化の道を歩んできました」

クルーヤ「青き星の民が科学の力に長けているのに対して…」

クルーヤ「我々月の民は、生物の持つ生命エネルギーを、深く研究して来たのです」

クルーヤ「もし、青き星の民があなたを見ても、膨大な生命エネルギーに対して防衛本能が働き、結果、認識できない」

クルーヤ「おそらく、こういう事じゃないかと思う…」


P「は、はぁ…」

P(なんだか難しい話をしてるが…)

P(要は、青き星の民には気づかれないが、月の民には気づいてもらえる…って事か)

P(これは…収穫だな!)

P(あ……ひょっとして…)


P「なあ、クルーヤ。ミシディアの長老を知ってるか?」

クルーヤ「ええ。彼は、僕の…叔父ですよ」

P(やっぱり……!)


亜美「えっ?長老っちは、月の民なの?」

P「ああ、そうみたいだな」

P(あの時の反応…やっぱり、俺を認識していたんだ…!)


P「…そうか、ありがとう」ペコリ

クルーヤ「いやいや、ハルカの未来のおむk」

春香「わあああああああ!」ガシッ

P「?」



真美(ぬぅ…はるるんめ…一歩どころか、百歩くらいリードされちゃってるよ~!)

779: 2014/08/24(日) 17:40:51.38 ID:uDFR+yxgO
P「それじゃあ、そろそろ…」

春香「あ…はい」


春香「お世話になりました」

春香「お父さん!」ペコリ



クルーヤ「ハルカ、気をつけて行くんだよ?」

春香「……」コクリ

クルーヤ「試練を乗り越えた君には、もうわかりきった事かもしれないけど…」



クルーヤ「この世界には、『正義よりも、正しい事よりも、大切な事』がある」


クルーヤ「それを、忘れないようにね?」


春香(正義よりも…正しい事よりも…)

春香(……)


春香「はいっ!」




クルーヤ「さよなら…ハルカ…」


スゥゥゥー…


……



春香「……」

春香「……」チャキッ


キラーン!


春香「お父さん…私、頑張りますっ!」


754: 2014/08/23(土) 22:02:34.44 ID:58xV94IOo
このペースだと次スレ行っちゃってもいいかもしんないぜ?

そして次は「アフター」・・・は無理だな、さすがにww
【アイマス×FF4】P「ゲームの世界に飛ばされた」【後編】

引用元: P「ゲームの世界に飛ばされた」