1: 2015/05/03(日) 16:16:11.44 ID:7tqA9xdZ0

 奉仕部

八幡「……うす」ガラガラ

結衣「あーっ、ヒッキーのバカ!」

八幡「お、おう……(まさかこいつに馬鹿と呼ばれる日が来るとは……)」

結衣「一緒に奉仕部行こうって約束したじゃん!」

八幡「そ、そうだったか?」

結衣「昼休みに“今日奉仕部に行こうね”って言ったじゃん!」

八幡「そ、そうだったな……(分かる訳ねぇだろ……)」

雪乃「比企谷君……」スッ

八幡「えっ……?」ドキッ

結衣「ゆきのん?」

雪乃「………」スタスタ

八幡「ちょ、え、ゆきのんさん?」

八幡(何で無言で近づいてくるのこの人!? 怖さ倍増じゃないかしらん!?)

結衣「ちょ……ちょっと…」アセアセ


2: 2015/05/03(日) 16:18:28.88 ID:7tqA9xdZ0


雪乃「襟が曲がってるのだけれど」スッスッ


八幡「」

結衣「」

雪乃「ネクタイも……」クイッ

八幡「お、おう……」

結衣(ど、どういう事……)ボウゼン

雪乃「………」スタスタスタ

八幡「戻っていった……」

結衣「ゆきのん……」


雪乃「ブレザーは襟を正している方がカッコ良く見えるのよ」ファサッ


八幡「」

結衣「」

4: 2015/05/03(日) 16:20:06.76 ID:7tqA9xdZ0
廊下

結衣「た、耐えられなくなって廊下に出て来ちゃった」ハァハァ

八幡「……おい、逃げんなよ」ガラガラ

結衣「だ、だってひっきぃ……」グスッ

八幡「いやまぁ、俺も驚いたんだが……」

結衣「でしょ!? だって――」ムグッ

八幡「中に聞こえる。ジュース買いに行ってくると言ったから、離れるぞ」

結衣「……(ヒッキーの手が口に……)」コクコク///


5: 2015/05/03(日) 16:24:21.57 ID:7tqA9xdZ0
中庭

結衣「絶対おかしいよ!! ヒッキー!」ゴクゴクプハーッ

八幡(お前の酒飲むような飲み方も変わってるが……袖で口を拭うな。親父か)ハァ…

結衣「だってゆきのんだよ!? ヒッキーの事を触るどころか視界に入れるのも嫌がるようなゆきのんだよ!?」

八幡「お、おう……、そこまでは思ってなかったけど、まぁいいけど」

結衣「しかも後の言葉って、あれヒッキーに言ってるのかな!?」

八幡「カッコ良く見えるってとこか? あれ一般論だろ、たぶん……」

結衣「絶対違うよ! だってあたし少女マンガで見たことあるもん!」

八幡「ソースは少女マンガかよ」

結衣「きっと熱が――「あなた達」


二人「「………」」ギギギ


雪乃「何故早く戻ってきてくれないのかしら。1人は寂しいのだけれど」

結衣「」

八幡「」

7: 2015/05/03(日) 16:28:31.20 ID:7tqA9xdZ0
保健室

雪乃「熱なんてないわ」つ【35.7】

結衣「ほんとだ……」

八幡「いや、漫画じゃねぇんだから、熱で人格が変わる訳ねぇだろ」

雪乃「それじゃあ、奉仕部に戻りましょう。ここは落ちつかないわ」スッ

結衣「え、なんで? 保健室って居心地良くない?」

八幡「そうだな。リア充共の雑音が耳に入る事もないしな」ヘッ

結衣「ヒッキー発想が卑屈すぎ……」

雪乃「保健室の問題じゃないわ」ファサッ

結衣「え?」



雪乃「奉仕部で三人一緒にいる事が心地よすぎて問題なのよ」ニコッ



結衣「ゆきのん……///」キュン…

八幡「………///」

8: 2015/05/03(日) 16:31:02.02 ID:7tqA9xdZ0
階段

雪乃「………」ピタッ

八幡「……?」

結衣「どうしたのゆきのん?」

雪乃「……比企谷君先に行ってもらって良いかしら」ジッ///

八幡「お、おう?」

結衣「何かあったのゆきのん!?」ガシッ

雪乃「い、痛いわ由比ヶ浜さん」

結衣「だって心配だよ! ゆきのん!」ユサユサ

八幡(心配してるなら揺さぶるなよ……)

雪乃「だって……」

二人「「……?」」

9: 2015/05/03(日) 16:35:02.84 ID:7tqA9xdZ0


雪乃「男の人に階段を登る姿を後ろから見られるのは……少し恥ずかしいもの…///」モジモジ


結衣「ゆきのん可愛い……」キュン///

八幡(何があったんだこいつ……キャトルミューティレーションやられた奴ぐらい変だぞ!?)

雪乃「ダメかしら?」ジッ

八幡「い、いや、いくらでも昇るけどよ」タッタッタッ

雪乃「二段飛ばしで昇るなんて男らしい所あるのね」ニコッ

八幡「」

結衣「違う……絶対おかしいよ……」アワワ…


10: 2015/05/03(日) 16:39:01.25 ID:7tqA9xdZ0
翌日 食堂

戸部「やべぇ、それナニタニ君だよー」アハハ

雪乃「戸部君」

戸部「ふぁっ!?」

戸部(ゆ、雪ノ下さんが俺に話しかけてきた!?)

戸部「い、今のは悪口じゃなくて」アワワワッ

戸部(修学旅行の件を話に言った時、ヒキタニ君をないがしろにしたらめっさ怒ってったっしょ!)


雪乃「そんな硬いカチューシャしてたら頭皮に傷がつくわ。今日は下ろして、もう少し柔らかいの買ったらどう?」スッ


戸部「」

葉山「ゆ、雪ノ下…さん?」

雪乃「あら隼人君、昔みたいに雪乃ちゃんと呼んでくれないかしら?」ジッ///

葉山「」



八幡(戸部と葉山が骨抜きにされてる……)

11: 2015/05/03(日) 16:42:47.88 ID:7tqA9xdZ0
エントランス

戸部「ヒキタニ君おかしーっしょ!?」

葉山「一体君は何をしたんだ!!」ガンッ

八幡(こんな理不尽な壁ドンは嫌だ……)ドンッ

葉山「雪乃ちゃ……雪ノ下さんが俺にあんな事を言うなんて絶対に何かあったんだ!」

八幡「しらねぇよ、お前とあいつの過去なんて」

戸部「……でもまぁ、考えようによっちゃ、以前より可愛いし良いっしょ」

二人「「!!」」

戸部「俺なんか惚れそうだったし」ハハハ

葉山「……隼人君か…」ワルクナイ…

八幡(おいおい、人がそんな簡単に変わって良いと思ってんのかこいつら……)

12: 2015/05/03(日) 16:46:35.65 ID:7tqA9xdZ0
放課後 エントランス

平塚「雪ノ下が変わった?」

八幡「はい、何か知ってるかと思って」

平塚「後頭部が伸びたか?」

八幡「戦闘力53万じゃねぇよ。それはどちらかと言ったらあんっ!?」ゴフッ

平塚「ナメック星ごと消し飛ばすぞ?」メリメリ

八幡「お、俺のドラゴンボールが消し飛びそう……」

平塚「まぁ変わるというのは、本当にそれくらいを持って変わるというんだ。若いうちは性格の一つや二つすぐに曲がるものさ」

八幡「曲がる……」

平塚「かくいう私だって本当の姿は可愛い猫ちゃんだしなっ」ハハハっ

八幡「ハハ「笑えよ」グイッ

八幡(この教師絶対にいつか訴える……)

13: 2015/05/03(日) 16:52:04.86 ID:7tqA9xdZ0
廊下

八幡(人の性格が一つや二つすぐに曲がる?)テクテク

八幡(可愛いから良い?)テクテク

八幡(ふざけんな。あいつはそんな奴じゃねぇだろ……)テクテク

八幡(あいつはいつだって芯があって、誰よりも強くて、俺の……)

八幡「……あ…」ピタッ



八幡「そう……か…」



八幡(俺は……あいつが変わってしまったのを認めたくないんだ)

八幡(本当は分かっている。言動は変わったとしても――)


雪乃『襟が――』

雪乃『カチューシャが――』


八幡「あいつは今だって、正しい事の為に自身の力を使おうとしてるじゃねぇか……」

八幡(変わったのは俺だ……)

八幡(いつの間にか、“あの”雪ノ下以外は雪ノ下だと認めなくなってたんだ……)プルプル


雪乃「比企谷君?」


八幡「! ゆ、ゆきの……」

八幡(やべ、泣きそうな顔を見られ――)

14: 2015/05/03(日) 16:58:32.95 ID:7tqA9xdZ0


雪乃「雪乃? あなたもそう呼んでくれるのかしら?」ニコッ


八幡「……っ!」カァ///

雪乃「どうしたの? 顔が赤いのだけれど」アセアセ

八幡「い、いや、何でもねーっての」アセアセ

雪乃「……もしかして照れたのかしら?」ツンツンッ


八幡(なんっ……だとっ…)///


雪乃「私も八幡と呼ぶなら、恥ずかしくないかしら?」クスクス

八幡(こ、この感じは……姉のんっ!!)ゾクッ

雪乃「さ、奉仕部に行きましょ」テクテク

八幡「おう……」テクテク

15: 2015/05/03(日) 17:03:30.25 ID:7tqA9xdZ0
奉仕部

結衣「やっはろー」ガラッ

雪乃「はい、クッキーよ。口を開けなさい比企谷君」グイグイ

八幡「やめろって///」

結衣「」

雪乃「早くしないと零れちゃうわ」グイグイ

八幡「良いって」

結衣(ゆきのんがヒッキーの隣に座ってヒッキーにクッキーを突っ込もうとしてる)アゼン

雪乃「由比ヶ浜さん、遅かったのね」ニコッ

結衣「う、うん、ちょっと優美子と話してて……」

雪乃「そう、良かったらクッキー食べるかしら?」ニコッ

結衣「あ、ありがと……」パク

結衣(おいひぃ……)モグモグ

雪乃「比企谷君、この通り食べても大丈夫だから」グイグイ

八幡「そういう問題じゃ……ねぇ…」

結衣(もうなんか……どうでもいいや…)アハハ

16: 2015/05/03(日) 17:09:03.89 ID:7tqA9xdZ0
翌日

八幡「……校門の前に人だかりが?」

雪乃(ポニーテール)「………」

<カワイー
<アイドルミタイ
<シャシントッテイイデスカ

八幡(ポニテの雪ノ下がアイドルみたいな扱い受けてる!?)

雪乃「あ、八幡君」

八幡「っ!?」

<ダレダ!?
<モシカシテカレシ!?
<ウソッアイツヒキタニジャンッ

雪乃「おはよう」ニコッ

八幡「お、おう……てか今、八幡って……」

雪乃「昨日は勇気出なかったけど、今日は言えたわ」フフッ

八幡(やばい鼻血でそう)///

雪乃「さ、途中まで一緒に行きましょう?」テクテク

八幡「途中って、すぐそこまでじゃねぇか……」

八幡「……はぁ」テクテク

17: 2015/05/03(日) 17:13:35.95 ID:7tqA9xdZ0
教室

戸部「今日雪乃ちゃんにカチューシャ誉められっちったー♪」ヘヘッ

大岡「俺なんて野球頑張ってねって言われたぜ」

大和「俺は筋肉誉められた」

八幡「………」

葉山「……ヒキタニ君、ちょっと良いかな」

八幡「……ああ」


エントランス


葉山「雪乃ちゃんが皆の雪乃ちゃんになっていくのが辛いんだが」

八幡「」

18: 2015/05/03(日) 17:18:06.52 ID:7tqA9xdZ0
葉山「昔みたいに、誰も受け付けず、孤高で、至高で、唯一無二の存在に戻って欲しいんだ」

八幡「お前の中でよほどだったみたいだな」

葉山「君はそう思わないのか!?」

八幡「……雪ノ下が選択したんだ。間違いじゃねぇだろ」

葉山「……君はそうやって…」プルプル

八幡「なんだよ……」

葉山「後悔しても……知らないからな」テクテク

八幡「……誰が…」



 葉山隼人の背中を見送りながら、窓ガラス越しに中庭を覗く。

 そこでは知らない笑顔を振りまく雪ノ下の姿があった。

 外の世界が冬なのか春なのか、ここからは分からなかった。



19: 2015/05/03(日) 17:24:31.91 ID:7tqA9xdZ0

 奉仕部から逃げるように帰宅すると、リビングには小町がいた。

大志「あ、お兄さん」

 ……知らない奴もいた。

八幡「誰だお前」

大志「相変わらずひでーっすね。別に良いっすけど」

八幡「二人は何だ、その……あれか?」

小町「何そのお父さんみたいな反応、キモいんですけど」

八幡「……付き合ってるのか?」

大志「お兄さんって、ほんと……」ハァ…

小町「バカ兄を許してあげて」ジトーッ

八幡「ど、どういうことだ?」

小町「仮に付き合ってたとしたら無粋な質問だし、付き合ってなかったとしても無粋だよ」

八幡(そんなブスブス言うなって、お前は天使だよ……とか言えねぇ)



20: 2015/05/03(日) 17:27:12.83 ID:7tqA9xdZ0
小町「あーもう、せっかく気分乗ってたのにやる気なくなっちゃったよぉ」

大志「まぁ仕方ないって」

八幡(あ、あれ……俺って家の中でもお邪魔虫? 俺のベストプレイスは?)アセアセ

小町「お兄ちゃん、一つだけ言っておくけど」ゴゴゴ

八幡(あ、これ不機嫌な小町さんだ……)



小町「小町がお嫁に行ったら、お兄ちゃん完全にボッチだからね?」



八幡「」

大志(目が氏んでる……。あ、いつもの事だった……)

21: 2015/05/03(日) 17:29:40.47 ID:7tqA9xdZ0
八幡の自室

八幡「……はは、この頃の小町も可愛いな…」ペラッ

八幡「………は、はは……」ペラッ

八幡「………」ペラッ

八幡(いや何で俺、自分の部屋で泣きながら小町とのアルバム見てるの!? 悲劇の主人公!?)


『小町がお嫁に行ったら、お兄ちゃん完全にボッチだからね?』


八幡「い、いや違う……俺には…」

八幡(俺には……何が…)


 prrrrrr!


八幡「ひぃ!?」ビクッ

22: 2015/05/03(日) 17:33:44.19 ID:7tqA9xdZ0

【着信:由比ヶ浜結衣】

八幡「はい、比企谷ですけど」

<ザッしもしザザッタニクンザザッ

八幡(何だこれ? ゲームセンターか? 雑音すごいぞ)

戸部『あー、ヒキタニ君!? ごめんごめん、カラオケ来ててさぁ!』

八幡「えっと……誰?」

戸部『酷くない!? 戸部だよぉ!』

八幡「あ、ああ……そう」

戸部『今、結衣と雪乃ちゃんとカラオケ来てんだけどさぁ、ヒキタニ君もどうよ!?』

八幡「!!」

八幡(雪ノ下が……カラオケに…?)ドクンドクン

戸部『あ、雪乃ちゃん! ヒキタニ君! ちょっと雪乃ちゃんに代わ――』ブツッ


八幡「……はぁ、はぁ、はぁ……」


prrrrrr!


八幡「ひぃっ!?」ビクッ

23: 2015/05/03(日) 17:37:00.68 ID:7tqA9xdZ0
翌日 校門前

八幡「………」

雪乃(ツインテール)「八幡君、おはよう」ニコッ

八幡「………」テクテクテク

雪乃「今日の髪形はどうかしら?」テクテク

八幡「………」テクテクテク

雪乃「はち…「おっはよー雪乃ちゃん!」

八幡「……っ」チラッ

雪乃「あら、翔君、おはよう。もう部活は終わったの?」

戸部「もちのろんっしょ! 今日も汗かきまくり!」ウェーイ

雪乃「そうかしら、一生懸命頑張った証拠しか残ってないけれど?」スンスン

戸部「っ///」カァ///

八幡「!!」テクテクテク

雪乃「あ……」

戸部「ヒキタニ君?」

24: 2015/05/03(日) 17:41:04.23 ID:7tqA9xdZ0
男子トイレ 個室

八幡「はぁっ、はぁっ、はぁっ」ドクンドクンドクン

八幡(なんっ、だよ……あれっ)

『汗かきまくりうぇーい♪』
『そうかしら?』スンスン

八幡(雪ノ下が……戸部の服の臭いをかぐ? ありえねぇだろ!)クソッ

八幡(違う……雪ノ下だって、誰かと仲良くなる。それがたまたま戸部だっただけだ……)

<デサー
<ウソマジデ

八幡(誰かきた?)

男子「最近雪ノ下さん超可愛くね?」

男子「それなw めっちゃ優しいし、明るいし、ちょっとエOチだし、天使すぎるだろ」

八幡(ちょっとエOチ!?)グッ

男子「お前っ、雪乃ちゃんをそんな風に!?」グイッ

男子「お、お前だって雪乃ちゃんとか言っちゃってんじゃん!」

八幡「………」バタンッ!!

男子「!?」

八幡「………」テクテクテク

男子「……?」

25: 2015/05/03(日) 17:44:38.88 ID:7tqA9xdZ0
エントランス


八幡「くそ……」ガンッ

八幡(なんなんだよ……これ…)ハァハァ

八幡「俺は……」


葉山「苦しいのかい?」


八幡「葉山……」

葉山「分かるよ。君の気持ち」

八幡「……分かってたまるか」

葉山「いいや、分かる」

八幡「……どうでもいいよ、クソが」

葉山「で、どうするんだい?」

八幡「どうする?」

葉山「“そのまま鬼のような形相で我慢するのか”どうかってことさ」

八幡「……俺は…」

葉山「まぁ俺としては君のそんな顔が見れて嬉しいよ」テクテク

八幡「……………くそっ」ガンッ

八幡(俺は一体……どうしたってんだ…)

26: 2015/05/03(日) 17:48:34.37 ID:7tqA9xdZ0
放課後 教室

八幡「………」スクッ

結衣「あ、ヒッキー!」タタタッ

八幡「……何だよ」

結衣「……行くよね。奉仕部」

八幡「………」

結衣「行こう?」ジッ

八幡「………………分かった」コクリ

結衣「良かった!」ニコッ

八幡(そうだ。奉仕部へ行けば、いつものあの空気が――)



結衣「ゆきのんは別の組の男子達と遊びに行ったから今日来ないんだー」



八幡「っ!!?」キュゥッ


 心臓が締め付けられる音と言うのは、存外はっきりと聞こえるモノで。

 由比ヶ浜の声が耳に届く前に、俺はその場に倒れこんだ。

27: 2015/05/03(日) 17:52:37.45 ID:7tqA9xdZ0
八幡「……ここは?」スッ

結衣「あ、ダメだよ。すぐに起きたら立ちくらみするから」グイッ

八幡(ひ、膝枕!?)カァ///

結衣「えへへ、ヒッキー倒れちゃったからびっくりしちゃった!」ナデナデ

八幡「俺が……倒れた?」

結衣「うん、本当なら救急車呼ばなきゃいけないんだろうけど、たまたま平塚先生が来てくれて、様子が変わらなければ寝てるだけで良いって」

八幡「そうか……悪かったな」

結衣「ううん、大丈夫だよ」エヘヘ

八幡「………」

結衣「……ゆきのんの事?」

八幡「……ああ」

結衣「ゆきのん変わったよね。何でだろ?」

八幡「違う。あいつは変わってない」

結衣「えっ?」

八幡「あいつは方法を変えただけだ。本質は変わらない」

結衣「よくわから……」



雪乃「八幡君!!」ガラッ



結衣「ゆきのん!!」

八幡(ああ、そうだ。やっぱりな)

28: 2015/05/03(日) 17:54:39.31 ID:7tqA9xdZ0
雪乃「大丈夫!?」ギュッ

八幡「ちょっ///」

結衣「ちょっとゆきのん!?」カァ///

雪乃「心配……したんだからっ」ギューッ

八幡「……わりぃ」

雪乃「良いのよ。あなたが無事なら……」ニコッ

結衣「……ゆき………カ…」

二人「「え?」」


結衣「ゆきのんのバカ!」


八幡「由比ヶ浜……?」

雪乃「………」

29: 2015/05/03(日) 17:57:38.42 ID:7tqA9xdZ0
結衣「何でこうなっちゃったか分かんないの!?」

雪乃「……それは…」

八幡「由比ヶ浜、俺は「ヒッキーは黙ってて!」

結衣「前に言ったじゃん! 奉仕部で三人いることが心地いいって!」

雪乃「ええ、言ったわ」

結衣「私達だって同じだよ! それなのにゆきのんだけ変わっちゃって、あたし嫌だよ!」

八幡「……由比ヶ浜…」

雪乃「………」

結衣「ゆきのんの方が頭良いし、色んな事経験してるのかもしんないけどさぁ!」



結衣「ちょっとは人の気持ち考えてよ!!」ポロポロ



八幡「……っ」

雪乃「………」

結衣「………」ハァハァ



30: 2015/05/03(日) 18:00:23.64 ID:7tqA9xdZ0
雪乃「……ごめんなさい…」ギュッ

結衣「ゆきのん?」

八幡「?」

雪乃「……ごめん…なさ…いっ」ポロポロ


 雪ノ下は何も言えず、何も言わず、ただ泣き続けた。

 教室にいても仕方ないので、俺達は奉仕部へと移動する。

 窓を開け放った廊下では、少しだけ温かい風が、俺達の頬を乾かした。


奉仕部

雪乃「………」

結衣「………」

八幡「………」

31: 2015/05/03(日) 18:04:03.36 ID:7tqA9xdZ0
結衣「うらや……」

八幡(……ましかった?)

雪乃「………」コクリ///

結衣「誰が?」

雪乃「あなたも、姉さんも……一色さんも」カァ///

八幡(え、どどど、どういうことだ!?)

結衣「ゆきのんは明るく振る舞いたかったって事?」

雪乃「………」フルフル///

結衣「友達が欲しかった?」

雪乃「………」フルフル///

結衣「……その三人…………あ」

八幡「?」




結衣「ヒッキーと……仲良く…?」




雪乃「……っ」カァ//////

32: 2015/05/03(日) 18:04:57.90 ID:7tqA9xdZ0
八幡「こ、こんなの雪ノ下じゃ……ない…」カァ///

雪乃「……ばか///」プイッ



おわり。

33: 2015/05/03(日) 18:11:04.10 ID:kIHTkoQJo

引用元: 八幡「こんなの雪ノ下じゃない」雪乃「・・・・・・」