1: 2017/07/08(土) 14:45:50.40 ID:6CnA9hre0

-ヴィーネ宅-


ヴィーネ「それではただいまより、七夕の飾り付けを始めまーす!」

サターニャ「おー!」

ラフィ「わー♪」パチパチ

ガヴ「ふわぁぁ……」



ヴィーネ「ほらガヴ! もっとテンション上げて!」

ガヴ「えー、だるい」

ヴィーネ「そんなこと言わずに! せっかくの七夕なんだから!」

ガヴ「いや、七夕って別にそんな盛り上がるイベントでもないし……」

ガヴ「短冊書いて飾るだけだろ?」

ヴィーネ「そんなことないわよ。 七夕って言うのはとってもロマンチックな行事なんだから」

ガヴ「はあ」



2: 2017/07/08(土) 14:46:33.67 ID:6CnA9hre0

ヴィーネ「1年に1度、たった一晩だけ会うことの許される織姫と彦星。そんな2人の逢瀬は儚くも愛おしくて……」ウットリ



サターニャ「ねー。これどうやって飾るの?」ガサッ

ガヴ「さあ? 適当にその辺巻いとけばいいんじゃね」

ヴィーネ「聞けよ話を!!」

ラフィ「ふふっ」



サターニャ「なんかどの飾りも地味ねー。もっとキラキラしたのは無いの?」ガサガサッ

ヴィーネ「無いわよ。クリスマスツリーじゃないんだし……」

ラフィ「これらの七夕飾りにはそれぞれ、色々な願いが込められているんですよ」

サターニャ「願い?」


3: 2017/07/08(土) 14:47:50.99 ID:6CnA9hre0

ラフィ「はい。例えばこの吹き流しは織姫の織糸を表していて、お裁縫が上達するように、との願いが込められています」

サターニャ「へー……じゃあこれは?」ヒョイ

ラフィ「それは巾着ですね。金運上昇や商売繁盛を願うものです」

サターニャ「ほーほー」



ガヴ「……」ジーッ

ヴィーネ「ガヴ? どうしたの?」

ガヴ「……いや、なんでラフィがここまで七夕に詳しいのかなって。ヴィーネならまだ分かるけどさ」

ヴィーネ「ああ、それは……」

ラフィ「ヴィーネさんに教えて頂いたんですよ」

ガヴ「ヴィーネに?」


4: 2017/07/08(土) 14:49:28.30 ID:6CnA9hre0

ヴィーネ「うん。今回はラフィにも飾り作りを手伝って貰ったから、そのときにね」

ガヴ「あーなるほど」

ラフィ「ヴィーネさんは初心者の私にも手取り足取り優しく教えてくれて……」ポッ

ヴィーネ「七夕の話よね!?」

ラフィ「うふふ♪ さてどうでしょう」

ヴィーネ「もー! ラフィってば!」



サターニャ「ねーねー。この伸びるやつは何ー?」ビョインビョイン

ヴィーネ「それは投網ね。大漁祈願の飾りよ」

サターニャ「へー」ビョインビョイン

ヴィーネ「あんまり引っ張ると破けちゃうから気を付けてよ」

サターニャ「平気よ平気」ビリッ

サターニャ「あ」

ヴィーネ「って、言ったそばから!」


5: 2017/07/08(土) 14:50:41.74 ID:6CnA9hre0


サターニャ「……」ダラダラ

ヴィーネ「あーもう、だから気を付けてって言ったのに……」

ガヴ「飾る前に壊してどうすんだよ」

サターニャ「ふ、ふん! この程度で壊れるやわな紙がいけないのよ!」

ヴィーネ「ごめんなさいは?」

サターニャ「ごめんなさい」

ヴィーネ「はぁ……仕方ないわね。予備の折り紙がまだあったはずだから、それで作り直しましょう」

ラフィ「あ、それでしたら、せっかくですから、サターニャさんとガヴちゃんにも何か飾りを作って貰いませんか?」

ヴィーネ「え?」


6: 2017/07/08(土) 14:51:53.42 ID:6CnA9hre0

ラフィ「自分で作って飾った方が、きっとありがたみがよく分かると思うんです」

ヴィーネ「なるほど……でも飾りはもう十分にあるし……」

ラフィ「1人1つずつくらいなら大丈夫だと思いますよー」

ヴィーネ「それもそうね。じゃあ持ってくるわ」スタスタ

ラフィ「お願いします♪」

ガヴ「いや、なんで私もなんだよ。サターニャだけでいいだろ」

ラフィ「まあまあそう言わずにー」ムニッ

ガヴ「胸のせんな」

サターニャ「クックック……腕が鳴るわね。私の悪魔的装飾(デビルズデコレーション)を見せてあげるわ!」

ガヴ「お前はまた壊すなよ」

サターニャ「こ、今度は大丈夫よ! 今度は!」



7: 2017/07/08(土) 14:53:09.06 ID:6CnA9hre0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



ヴィーネ「それじゃ、まずは壊れた分の投網を作っちゃいましょうか」

サターニャ「どうやって作るの?」

ヴィーネ「えっと、まずはこうやって紙を何回か折りたたんで……」スッスッ


ヴィーネ「それからこうやってハサミで交互に切れ込みを入れていくの」チョキチョキ

サターニャ「ふんふん」


ヴィーネ「切れ込みを入れたらまた開けば……ほら、完成!」パラッ

サターニャ「おおー!」キラキラ

ヴィーネ「どう? 簡単でしょ?」

サターニャ「ヴィネット! 私これ作りたい!」

ヴィーネ「いいわよ。じゃあもう一回作り方を教えてあげるわね」


8: 2017/07/08(土) 14:54:05.74 ID:6CnA9hre0


ラフィ「ガヴちゃんは何を作りますか?」

ガヴ「だから私はやらないって言ってるだろ」

ラフィ「それなら、こちらの提灯なんてどうでしょう」

ガヴ「おい」

ラフィ「大丈夫です。ぶきっちょなガヴちゃんでも作れるように、優しく教えてあげます!」

ガヴ「だからやらないって。めんどいし」

ラフィ「いいんですか?」

ガヴ「え?」

ラフィ「サターニャさんはたぶん、作った飾りをすごく自慢してきますよ」

ラフィ「ガヴちゃんが一つも飾りを作らなかったら、絶対に調子に乗っちゃいます」

ガヴ「あー、なるほど……」


9: 2017/07/08(土) 14:54:49.64 ID:6CnA9hre0


サターニャ『無様ねガヴリール。まさかひとつも飾りを作れていないの?』

サターニャ『まあ仮に作ってたとしても、私のこの飾りの完成度には到底及ばなかったでしょうけどね! なーはっはっはー!』



ガヴ「それはウザいな」

ラフィ「でしょう?」



ガヴ「仕方ない。ひとつだけ作っておくか……」

ガヴ「ラフィ、やり方を教えてくれ」

ラフィ「はい、お任せください♪」











10: 2017/07/08(土) 14:56:24.63 ID:6CnA9hre0


-数分後-


サターニャ「クックック……ついに完成したわ。悪魔的投網(デビルズネット)!」バッ


サターニャ「見なさい! この細かい目、美しいバランス! まさに至高の投網と言っても過言ではないわ!」


サターニャ「こんな素晴らしい飾りを作ってしまうなんて……我ながら、自分の才能が恐ろしいわね」

ヴィーネ「すごいじゃないサターニャ! こんなに綺麗な投網、初めて見たわよ」

サターニャ「ふふん、そうでしょう? もはや私は投網を極めたと言っても過言ではないわ!」

ヴィーネ「そうね。ただ……」




大量の投網「……」ドーン




ヴィーネ「これは流石に作りすぎでしょ」

サターニャ「ちょっと張り切り過ぎちゃったかしらね」

ヴィーネ「こんなに沢山の投網どうするのよ……」

サターニャ「え? 全部飾っちゃえばいいじゃない」

ヴィーネ「そうしたら投網ばっかりの笹になっちゃうでしょうが!」

サターニャ「あ、そっか」


11: 2017/07/08(土) 14:57:03.40 ID:6CnA9hre0


ヴィーネ「まったく……だから私は最初のひとつだけでいいって言ったのに」

サターニャ「ダメよ。あの程度で満足するなんて、私の職人としてのプライドが許さないわ!」

ヴィーネ「あんたいつから職人になったのよ」

サターニャ「ふふん、大悪魔はいつだって全力なのよ!」

ヴィーネ「はいはい……そう言えば、ガヴとラフィの方は上手く行ったのかしら」チラッ



ガヴ「よし、出来た」

ラフィ「お疲れ様です。ガヴちゃん♪」

ヴィーネ「あ、丁度終わったみたいね。……って」



謎の物体「……」ゴゴゴ…



ヴィーネ「何その物体!?」


12: 2017/07/08(土) 14:58:04.07 ID:6CnA9hre0

ガヴ「これは私の自信作……クトゥルフ的な何かだ」

ヴィーネ「いや、七夕はどこへ行ったのよ!」

ガヴ「何を言う。これは歴とした七夕飾りのひとつだぞ」

ガヴ「何かこう、混沌を願うとかそんな感じの……」

ヴィーネ「いや、そんな飾り無いから! 真面目に作りなさいよ!」

ガヴ「うっさいな。真面目にやってこれなんだよ」

ヴィーネ「真面目でこれって……だいたいガヴだけならまだしも、ラフィが居るのにどうしてこうなったのよ」

ラフィ「すみませんヴィーネさん。私も最初はガヴちゃんのぶきっちょを直そうと思ったんですけど……」

ヴィーネ「けど?」

ラフィ「ガヴちゃんの個性を活かす為に、やっぱりそのままにしました!」グッ

ヴィーネ「いや、そこは直してよ!」

ラフィ「うふふ♪」


13: 2017/07/08(土) 14:58:53.58 ID:6CnA9hre0


サターニャ「あら。なーにガヴリール、そのクシャクシャな飾りは?」

ガヴ「あ?」

サターニャ「まったく、あんたも大したことないわねー。それに比べて見なさい、私の投網を!」

サターニャ「この美しいフォルム、バランス……どうやらこの勝負、私の勝ちのようね!」

ガヴ「ハッ」

サターニャ「な、何よその顔は!?」

ガヴ「いや? 大悪魔様のセンスは随分と古臭いんだなって思っただけだ」

サターニャ「はあ? あんた、負け惜しみも大概に……」

ガヴ「いいかサターニャ。飾り作りは、何も小綺麗に作ればいいってもんじゃない」

サターニャ「え?」


14: 2017/07/08(土) 14:59:48.40 ID:6CnA9hre0

ガヴ「私のこの飾りのように、あえて形を崩すことでより芸術性を高める事も出来る」

ガヴ「まあ古臭い大悪魔様にはこんなモダンなセンス、理解出来ないだろうけどな」フッ

サターニャ「なっ……ば、バカにすんじゃないわよ! 私にだってそれくらい分かるんだから!」

ガヴ「へえ?」

サターニャ「むむむ……」ジーッ



サターニャ「……そうね。確かにこの辺の曲がってる部分が、ちょっと芸術的ね!」

ガヴ「分かってるじゃないか」ニヤニヤ

ヴィーネ「いや、適当に折っただけでしょ」

ラフィ(サターニャさん、騙されてます!)プフー



15: 2017/07/08(土) 15:00:28.94 ID:6CnA9hre0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



ヴィーネ「それじゃあ今度は、短冊に願い事を書いていきまーす!」

サターニャ「いよっ、待ってましたー!」

ラフィ「短冊の色は色々あるので、お好きなものを選んでくださいね」

ガヴ「これ色に意味あるの?」

ヴィーネ「あるわよ。例えば赤い短冊は両親やご先祖様への感謝を表していて……」

ガヴ「いや、そう言うのいいから。金運上がるやつを頼む」

ヴィーネ「お前……」

ラフィ「金運でしたら、黄色い短冊ですね」

ガヴ「よし。じゃあ黄色で」ピラッ

ラフィ「さすがガヴちゃん。迷いがありませんね」

ヴィーネ「まったく、現金なんだから……」


16: 2017/07/08(土) 15:02:42.24 ID:6CnA9hre0


ヴィーネ「あら? サターニャ、その黒い短冊は何?」

サターニャ「ふふふ……気付いちゃった? この『デビル短冊』に!」ズォオ…

ヴィーネ「デ、デビル短冊……?」

ラフィ「何やら禍々しいオーラが出ていますねー」

サターニャ「クックック……このデビル短冊に書いた願いは、悪魔の力で強制的に叶える事が出来るわ!」

ガヴ「チートじゃねーか」

サターニャ「正に悪魔的七夕に相応しい短冊! さーて、どんな願い事を……」

ヴィーネ「これは没収します」バッ

サターニャ「そんなぁ!?」



17: 2017/07/08(土) 15:04:43.85 ID:6CnA9hre0


ヴィーネ「ズルは駄目よ。普通の短冊を使いなさい」

サターニャ「うぅぅ……高かったのに」グスッ

ヴィーネ「やっぱり魔界通販か……あんたもいい加減凝りなさいよ」

ラフィ「私は退屈しないで良いですけどね♪」

ヴィーネ「ラフィはいちいち黒いわね……」



サターニャ「くっそー! こうなったら、書けるだけたくさん願い事を書いてやるんだから!」ガガガガ

ガヴ「たくさん書いても叶うとは限らないけどな」

サターニャ「いいのよ! 数打てば当たるって言うでしょ!」

ガヴ「むしろ多過ぎると叶う確率が下がるらしいぞ」

サターニャ「え、そうなの!?」


18: 2017/07/08(土) 15:05:40.04 ID:6CnA9hre0

ヴィーネ「いや、別にそういうルールは無かったと思うけど……」

ラフィ「でも確かに、あまりたくさん書くとありがたみが薄れる気がしますねー」

ガヴ「ほら、言われてるぞ」

サターニャ「ぐぬぬ……そ、そういうあんたの短冊はどうなのよ!」

ガヴ「私か? 私はこれだ」ピラッ





【 金 】





サターニャ「1文字!?」

ガヴ「シンプルイズベスト。私の勝ちだな」

サターニャ「くっそー! またガヴリールに負けたー!」

ヴィーネ「いや何の勝負よ」


19: 2017/07/08(土) 15:06:53.96 ID:6CnA9hre0











ヴィーネ「みんな、自分の短冊は書けた?」

サターニャ「はーい!」

ラフィ「私も書けました」

ガヴ「私もー」

ヴィーネ「それじゃ、笹に飾っていきましょうか」



ヴィーネ「えーっと、この辺でいいかなー……」ガサガサ

サターニャ「ねーねー。ヴィネットは何をお願いしたのよ」

ヴィーネ「え、私? そんなにすごいことは書いてないわよ」

サターニャ「いいからいいから。見せてみなさいって」

ヴィーネ「分かったわよ。ほら」ピラッ


20: 2017/07/08(土) 15:10:08.06 ID:6CnA9hre0





【これからもずっと、健康で幸せな日々を送れますように──ヴィネット】





3人「……」





サターニャ「……普通ね」

ガヴ「普通だな」

ラフィ「面白みに欠けますねー」

ヴィーネ「酷くない!?」


21: 2017/07/08(土) 15:12:48.23 ID:6CnA9hre0


ガヴ「あまりに普通過ぎてコメントに困るな」

サターニャ「ヴィネット、あんたも悪魔ならもっとこう、『世界征服』とか書きなさいよ」

ヴィーネ「書く訳ないでしょうが! アホか!」

サターニャ「何よ、みみっちいわねー。だから普通って言われるのよ」

ラフィ「まあ、ヴィーネさんらしいお願いではありますね」

ガヴ「仕方ないな。ヴィーネだし」

ヴィーネ「ものすごく腑に落ちない……」

サターニャ「どんまいヴィネット……来年は頑張りましょう」ポン

ヴィーネ「何その顔!?」


22: 2017/07/08(土) 15:13:36.38 ID:6CnA9hre0


ガヴ「そう言えば、ラフィは何を書いたの?」

ラフィ「あ、私ですか?」

ガヴ「うん」

サターニャ「ラフィエルの願い事って何か怖いわね……」

ラフィ「そんなことないですよー。私もヴィーネさんと同じで、平凡なお願いです」

ヴィーネ「平凡って」

サターニャ「ま、何でもいいわ。早く見せなさい」

ラフィ「はい、どうぞ♪」ピラッ


23: 2017/07/08(土) 15:14:19.87 ID:6CnA9hre0





【たくさんの方々を導けますように──ラフィエル】





サターニャ「……これは」

ガヴ「普通……だな」

ヴィーネ「確かに天使っぽいお願いではあるけど、でも……」




ラフィ「……」ニコニコ

3人(何かただならぬ気配を感じる……)





24: 2017/07/08(土) 15:15:10.73 ID:6CnA9hre0

ヴィーネ「あの、ラフィ」

ラフィ「何ですか?」

ヴィーネ「一応聞くけど、これ、文字通りの意味って捉えて良いのよね?」

ラフィ「……」ニコッ

ヴィーネ「何か言ってよ! 怖いから!」

ラフィ「ふふっ、ご想像にお任せします♪」

サターニャ「ねえガヴリール、なんか寒気がするんだけど……」ブルッ

ガヴ「奇遇だな。私もだ」

ラフィ「うふふ……♪」ニコニコ


25: 2017/07/08(土) 15:16:04.38 ID:6CnA9hre0


ヴィーネ「それじゃ、次はガヴのを……」

ガヴ「いや、私のはさっき見せたし飛ばしていいだろ」

ヴィーネ「それもそうね。じゃあサターニャのを見ましょうか」

サターニャ「うぇっ、私!?」

ガヴ「なんだ。見られたら困るのか?」

サターニャ「い、いや、そう言う訳じゃないけど……」

ガヴ「なら見ても問題ないな」

ラフィ「サターニャさんのはこれですねー」ピラッ

サターニャ「あっ、ちょっ、いつの間に!」

ヴィーネ「えーっと、サターニャのお願いは……」


26: 2017/07/08(土) 15:16:47.01 ID:6CnA9hre0





【メロンパンをたくさん食べたい──サタニキア】





3人「……」





3人「」プッ

サターニャ「笑うなーーー!!」ウガー!




27: 2017/07/08(土) 15:17:56.91 ID:6CnA9hre0

ガヴ「メ、メロンパンってお前……小学生かよ……」プルプル

サターニャ「うっさいわね!! いいでしょ何書いたって!!」

ヴィーネ「だ、大丈夫よサターニャ。私は、その……素敵な願い事だと思うわ……」プルプル

サターニャ「じゃあ笑うのやめなさいよ!!」

ラフィ「サ、サターニャさ、んふっ、サターニャさんらしンフフッ……良いと思ンフフフッ……!」プルプルプルプル

サターニャ「あんたは何言ってんだか全然分かんないわよ!!」



28: 2017/07/08(土) 15:18:55.80 ID:6CnA9hre0

ヴィーネ「……でも意外ね。サターニャの事だからてっきり『大悪魔になりたい』って書くと思ってたんだけど」

ラフィ「あ、それは私も思いました。サターニャさん、どうして大悪魔って書かなかったんですか?」

サターニャ「ふん、愚問ね。私が大悪魔になるというのは既に決められた運命……なら、わざわざ短冊に書く必要はないでしょう?」

ラフィ「なるほどー。流石サターニャさんです」

ヴィーネ「その自信はいっそ羨ましいわね……」

サターニャ「ふふん、そうでしょう? もっと崇めなさい!」

ガヴ「それで、短冊にメロンパンって書いたのか」

2人「」プッ

サターニャ「だから笑うなっつってんでしょうがーーーっ!!」



29: 2017/07/08(土) 15:20:00.92 ID:6CnA9hre0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-数分後-


ガヴ「さて、短冊も飾り終わったし、これでもうやること無くなったな」

サターニャ「そうねー。やっぱりちょっと盛り上がりに欠けるわね」ムシャムシャ

ヴィーネ「いや、何食べてんのよあんた」

サターニャ「笹の葉」ムシャムシャ

ヴィーネ「なんで!?」



サターニャ「ラフィがさっき教えてくれたのよ。七夕の飾り付けが終わったら、こうやって葉っぱを食べるんだって」ムシャムシャ

ヴィーネ「どう考えても嘘でしょそんなの! 信じるな!」

サターニャ「え? 味はあんまり無いけど、歯応えは割とあってイケるわよ」ムシャムシャ

ヴィーネ「いや、そういう問題じゃなくてね……」

ラフィ「大丈夫です。素敵ですよ、サターニャさん♪」ツヤツヤ

ヴィーネ「ラフィも変な事教えないの!」


30: 2017/07/08(土) 15:20:56.92 ID:6CnA9hre0


ガヴ「なーヴィーネ。もう七夕終わったし帰っていい?」

ヴィーネ「あんたはとことんマイペースね……」

ガヴ「さっさと帰ってネトゲしたいんだけど」

ヴィーネ「ダメよ。まだ最後のイベントが残ってるんだから」

ガヴ「え? まだ何かあるの?」

ヴィーネ「ふふふ……」

ガヴ「な、なんだよその顔は……」



ヴィーネ「知りたい? ねぇ、知りたい?」ウズウズ

ガヴ「言いたいんだろ。早く言えよ」


31: 2017/07/08(土) 15:22:09.86 ID:6CnA9hre0

ヴィーネ「ふふふ、分かったわ……ラフィ?」

ラフィ「はい、ヴィーネさん。準備はバッチリです♪」

サターニャ「え、何? まだ何かやるの?」

ラフィ「はい。今日最後のビッグイベントです♪」

ヴィーネ「確かに七夕の飾り付けは終わったけど、まだ肝心なものを見ていないでしょう?」

ガヴ「肝心なもの……?」

ヴィーネ「七夕は織姫と彦星の物語。なら、見るべきものはただ1つ……」



ヴィーネ「そう! あまの……!」

サターニャ「分かった! 天の川でしょ!」

ヴィーネ「私のセリフ!!」




32: 2017/07/08(土) 15:23:01.59 ID:6CnA9hre0

ガヴ「あーなるほど。天の川か」

サターニャ「確かにまだ見てなかったわね」

ヴィーネ「私が言おうとしてたのに……」ズーン

ラフィ「今日はせっかくの七夕ですから、最後に天の川も見ようという話になっていたんですよ」

ガヴ「ふーん……でもこの辺りは住宅街だし、星はあまり見えないんじゃないか?」

ラフィ「はい。ですから、その為の『準備』です」

ガヴ「……?」

ヴィーネ「星が見えないなら、星がよく見える所まで行けばいいじゃない、ってことよ」

ガヴ「! まさか……」


33: 2017/07/08(土) 15:23:55.55 ID:6CnA9hre0


ラフィ「さあ、サターニャさん。私の手を握ってください」パァァ

サターニャ「え? なんで?」

ラフィ「いいですから、ほら」スッ

サターニャ「わ、分かったわよ。はい」ギュッ



ヴィーネ「ガヴは私の方ね」ギュッ

ガヴ「ちょっ、ヴィーネ! 私をどこに……!」ジタバタ

ヴィーネ「それじゃ、行くわよ。我、月乃瀬=ヴィネット=エイプリルの名において──」





ヴィーネ「──開けゲートよ!」

ラフィ「──神足通!」






34: 2017/07/08(土) 15:25:01.58 ID:6CnA9hre0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-山奥-





パァァ…





ドサッ




サターニャ「ふぎゃっ!!」

ヴィーネ「ふぅ……どうやら無事に着いたようね」

ラフィ「上手くいって良かったです♪」

ガヴ「……真っ暗で何も見えん」ジーッ

サターニャ「ちょっと! 踏んでる! 踏んでるからー!!」ジタバタ


35: 2017/07/08(土) 15:25:50.85 ID:6CnA9hre0


ヴィーネ「ラフィ、道は分かる?」

ラフィ「大丈夫です。暗視ゴーグルがあるので」スチャッ

ガヴ「つーか何処だよここ。山?」

ヴィーネ「まあ、そんな所ね」

サターニャ「あーもー、服が汚れちゃったじゃない……」パッパッ

ラフィ「皆さん、こっちです。付いてきてください」











36: 2017/07/08(土) 15:26:44.04 ID:6CnA9hre0




ザッザッザ…




ガヴ「なあ、まだ着かないのか?」

ヴィーネ「まあまあ、もうちょっとだから」

サターニャ「というか本当に星見えるの? 今のところ木しか見えないんだけど」

ヴィーネ「この先に開けた場所があるから、そこでね」

ガヴ「ここまで来てショボかったら承知しないぞ」

ヴィーネ「大丈夫よ。きっとみんなびっくりするわ」

ガヴ「びっくりねー……」

ラフィ「あ、皆さん! 見えてきましたよ!」


37: 2017/07/08(土) 15:27:33.44 ID:6CnA9hre0




サァァ…




サターニャ「おー!」

ガヴ「……!」





キラキラキラ…





サターニャ「すごーい! めっちゃ綺麗!」ピョンピョン

ヴィーネ「ふふっ、でしょ? 今日のために頑張って探したんだから」


38: 2017/07/08(土) 15:28:30.38 ID:6CnA9hre0

サターニャ「やるじゃないヴィネット! 見直したわ!」

ヴィーネ「それはどうも」

ラフィ「本当に綺麗ですねー……満天の星空とは、まさにこういうことを言うんでしょうか」

ヴィーネ「そうね。どこを見ても沢山の星が輝いてて……」

ガヴ「……」

ヴィーネ「ガヴもそう思うでしょ?」



ガヴ「……」

ヴィーネ「……ガヴ?」

ガヴ「んぇっ!? な、なに?」ビクッ


39: 2017/07/08(土) 15:32:04.03 ID:6CnA9hre0

ヴィーネ「いや、綺麗だと思わない? って」

ガヴ「あー……うん。そうだな」

ヴィーネ「……もしかしてガヴ、見惚れちゃってた?」

ガヴ「……別に、そんなんじゃないし」

ヴィーネ「ふーん?」ニコニコ

ガヴ「な、何だよその顔は」

ヴィーネ「ガヴが喜んでくれて良かったなーって♪」

ガヴ「……」プイッ

ヴィーネ「もう、素直じゃないんだから」

ガヴ「うっせ」


40: 2017/07/08(土) 15:32:49.72 ID:6CnA9hre0




サターニャ「ねーラフィエル。織姫と彦星はどこ?」

ラフィ「そうですねー、あそこの明るい星でしょうか」

サターニャ「あの赤いの?」

ラフィ「白い星ですよ」

サターニャ「うーん、分かんないわね……」

ラフィ「星が沢山ありますからねー」

サターニャ「でもきっと、織姫と彦星はお互いの場所がすぐ分かるのよね。それってすごいと思わない?」

ラフィ「私も、サターニャさんの場所ならすぐに分かりますよ」

サターニャ「なんで張り合うのよ」

ラフィ「これだけは誰にも負けない自信がありますから」

サターニャ「自信って……」


41: 2017/07/08(土) 15:34:04.32 ID:6CnA9hre0

ラフィ「サターニャさんは、私の場所は分かりますか?」

サターニャ「いや、分かんないけど」

ラフィ「そうですか……」

サターニャ「だいたい、探さなくてもあんたの方から来るでしよ? だったらそんなの関係ないじゃない」

ラフィ「……ふふっ、それもそうですね♪」






ヴィーネ「……ねぇ、ガヴ」

ガヴ「なに」

ヴィーネ「来年もまた、みんなで一緒に天の川を見れるといいわね」

ガヴ「……そうだな」

ヴィーネ「ふふっ、どうしたの? やけに素直じゃない」

ガヴ「ヴィーネが言わせたんだろ!」

ヴィーネ「ごめんごめん」

ガヴ「ったく……」


42: 2017/07/08(土) 15:35:13.95 ID:6CnA9hre0

ヴィーネ「そうね、来年はの七夕はこの4人と……あと、タプちゃんも誘いましょうか」

ヴィーネ「きっと今年に負けないくらい、楽しい七夕になるわよ」

ガヴ「来年の事を言うと鬼が笑うぞ」

ヴィーネ「いいじゃない。楽しそうで」

ガヴ「……ま、何でもいいか」



ラフィ「ガヴちゃん、ヴィーネさん! 一緒に写真を撮りませんか?」

ガヴ「写真?」

ヴィーネ「いいわね。じゃああっちの方へ行きましょう」

ガヴ「この暗さで撮るのは無理があると思うけど……」

サターニャ「バカね! こういうのは撮ったって事実が大事なのよ!」

ガヴ「はいはい」


43: 2017/07/08(土) 15:36:18.38 ID:6CnA9hre0


ヴィーネ「ガヴとサターニャはそっちで、私はここ。ラフィの場所はそこでいいわね」

ガヴ「……」サッ

サターニャ「ちょっと! ガヴリールが被ってくるんだけど!?」サッ

ガヴ「気のせいだろ」スッ

サターニャ「ほらまた! どきなさいよ!」サッ

ヴィーネ「こらこら、2人とも喧嘩しないの」

ラフィ「ヴィーネさーん! タイマーの準備、OKです!」

ヴィーネ「あ、うん! 分かったー!」

サターニャ「ガヴリール! どいてってばー!」

ガヴ「ったく、仕方ないな……ちゃんと大人しく立ってろよ」スッ

サターニャ「なんで私が駄々こねてるみたいになってんのよ!」


44: 2017/07/08(土) 15:38:54.14 ID:6CnA9hre0


ラフィ「タイマーセットしましたー。あと10秒です」ザッザッ

ヴィーネ「それじゃあみんな、カメラの方を向いて」

サターニャ「ふふふ……悪魔的ポーズを決めてやるわ!」ビシッ

ガヴ「普通にしてろ」

サターニャ「なんでよ! 私の自由でしょうが!」

ガヴ「だってうっとおしいし」

ラフィ「私は少しくらいはっちゃけても良いと思いますよ♪」

ヴィーネ「ああもう、シャッター下りるから早く……!」





パシャッ





45: 2017/07/08(土) 15:40:18.39 ID:6CnA9hre0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-ヴィーネ宅-



ヴィーネ「それでは、七夕飾りの片付けを始めます!」

ガヴ&サターニャ「え~~~~~」



ヴィーネ「文句言わないの。七夕が終わったらちゃんと片付けないと」

サターニャ「いいじゃない。ずっと飾りっぱなしで!」

ガヴ「ヴィーネそういうの好きそうだし、後は全部任せても……」

ヴィーネ「いいからやれ」

ガヴ&サターニャ「はい」


46: 2017/07/08(土) 15:41:04.67 ID:6CnA9hre0


ラフィ「短冊以外の飾りはこちらの袋に集めてくださいねー」ガサッ

サターニャ「まったく、なんでこんなことまでしなきゃいけないのよ……」ガサガサ

ヴィーネ「あんた達は準備してないんだから、これくらいは頑張りなさいよ」ガサガサ

サターニャ「はーい……」

ヴィーネ「……あら?」ガサ



ヴィーネ「ガヴの短冊、裏にも何か……」ピラッ

ガヴ「!」バッ

ヴィーネ「えっ?」



ガヴ「……」

ヴィーネ「ガ、ガヴ?」


47: 2017/07/08(土) 15:42:05.43 ID:6CnA9hre0

ガヴ「……見た?」

ヴィーネ「え?」

ガヴ「見たかって聞いてんの」

ヴィーネ「えっと……」





ヴィーネ「ううん、何も見てない」プイッ

ガヴ「いや見ただろお前!」




ヴィーネ「ごめんごめん。つい目に入っちゃって……」

ガヴ「あー、くっそ最悪だ……ヴィーネに見られるとか」

ヴィーネ「いいじゃない。私は素敵な願い事だと思うわよ」

ガヴ「うっさい黙れ!!」カァァ


48: 2017/07/08(土) 15:43:12.91 ID:6CnA9hre0

サターニャ「え、なになに? あんた裏にも何か書いてたの?」ズイッ

ラフィ「私達にも見せて頂けませんか?」ズイッ

ガヴ「いやだ!! 絶対見せないからな!!」

ラフィ「まあまあ、そう言わずに……」ガシッ

サターニャ「いいから見せなさいよ!」ガシッ

ガヴ「いやだ!! 離せー!!」ドゴォッ

サターニャ「ぶっ!? 何すんのよバカ!」



ギャーギャー



ヴィーネ「……まったくもう、やっぱり素直じゃないんだから」






【みんなとずっと一緒にいられますように──ガヴリール】





-おしまい-


49: 2017/07/08(土) 15:45:07.83 ID:6CnA9hre0
という訳で、ガヴドロの七夕SS(大遅刻)でした。

HTML化依頼出してきます。

50: 2017/07/08(土) 16:00:34.47 ID:DGvuNKBO0
おつおつ
ほのぼのしてていいな

引用元: 【ガヴドロ】天使と悪魔と7月7日