1: 2015/02/28(土) 18:11:54.66 ID:oSCU++Rao

茄子「むぅ、ツイてないですねー」

P「どうかしましたか、茄子さん」

茄子「ヒールのかかとが折れちゃいまして……」

P「参りましたね。事務所までタクシーを呼びましょうか」

茄子「そうですねー」

P「……あれ」

茄子「どうしました?」

P「向こうに見える鍵屋、確か靴の修理とかもやってませんでしたっけ」

茄子「あ、そういえば」

P「あの店まで歩けそうですか?」

茄子「うーん、腕を貸して頂ければ」

P「ああ、すみません。気が利きませんで」

茄子「いえいえ♪」

P「ツイてないですね」

茄子「ふふっ、そうですねー♪」



4: 2015/02/28(土) 18:28:17.07 ID:oSCU++Rao

P「この季節は温かい飲み物が身体に沁みますね」

茄子「もうすっかり冬ですもんね……あら?」

P「どうしました?」

茄子「違う飲み物が出て来てしまって……」

P「……温かいポカリスエットですか。業者さんが入れ間違えたのかな」

茄子「むぅ、ツイてないですねー」

P「こっちのお汁粉と代えますか?」

茄子「え?」

P「ああ、すみません。もう口、付けちゃいましたしね」

茄子「そっちで……いえっ、そっちが良いです」

P「そうですか? どうぞ」

茄子「……ふふっ。甘いですね♪」

P「それは良かった」

茄子「……あの、そちらは大丈夫ですか?」

P「まぁ、飲めますよ。それに」

茄子「?」

P「慣れてますから」

茄子「慣れて……?」

P「ええ。何度も」

6: 2015/02/28(土) 18:49:42.79 ID:oSCU++Rao

P「ツイてないなぁ……」

茄子「どうかしましたか?」

P「いえ、また携帯電話をどこかに落としてしまいまして……」

茄子「あ。帰り道で拾ったんですけど、ひょっとしてこれですか?」

P「ああ、私のですね。流石は茄子さん、ありがとうございます」

茄子「見覚えのある二つ折りだったので、プロデューサーに確かめてから届けようと思って♪」

P「あれ、中を確認しなかったんですか」

茄子「ちょっと失礼な気もしますし。見てもいいんですか?」

P「まぁ茄子さんですし、やましい物も入ってませんので……確か」

茄子「では、ちょっと失礼して……どんなメールしてるんでしょう♪」

P「普通ですよ」

茄子「ディレクターさん、愛梨ちゃん、アーニャちゃん、課長、蘭子ちゃん、美嘉ちゃん、アーニャちゃん」

P「ね?」

茄子「蘭子ちゃん、アーニャちゃん、ちひろさん、蘭子ちゃん、蘭子ちゃん……あの、プロデューサー」

P「どうしました?」

茄子「確か落とし物って、届けると1割もらえるんですよね?」

P「金銭的な価値があればですが、そうですね」

茄子「わ、私とも、もっとメールしてくださいっ!」

P「へっ?」

茄子「みんなと合わせての1割ぶんくらいでいいので!」

P「は、はぁ。分かりました」

茄子「えへへ……約束ですよ♪」

7: 2015/02/28(土) 19:22:53.70 ID:oSCU++Rao

アーニャ「…………」

茄子「あら。何か困り事ですか、アーニャちゃん?」

アーニャ「茄子。明日の七夕が、ちょっと心配で」

茄子「流星群が降るんでしたよね? 楽しみです♪」

アーニャ「でも、天気予報だと スィムナーッツァチ アー……雨も降るかもしれないと」

茄子「なるほど。でも、だからアーニャちゃんは私へお願いしたんでしょう?」

アーニャ「はい……」

茄子「ふふ……では、アーニャちゃんの為に予報をしてあげましょう」

アーニャ「?」

茄子「明日、七夕のCGプロのお天気は雲一つ無い快晴。穏やかな風も吹き、絶好の星見日和になるでしょう♪」

アーニャ「……茄子」

茄子「ふふっ。安心出来ましたか?」

アーニャ「ダー。私も、茄子のカゴを信じます」

茄子「…………」

アーニャ「……ニェート。何でも、無いです」

茄子「アーニャちゃんの冗談、珍しいですね?」

アーニャ「何も、言ってないです」

茄子「もー、嘘ついちゃって♪」

アーニャ「つ、ついてないですっ」

茄子「ふふっ、可愛いですねぇ♪」

8: 2015/02/28(土) 20:07:43.18 ID:oSCU++Rao

茄子「むぅ、ツイてないですねー」

P「どうかしましたか」

茄子「お気に入りの口紅を落としてしまったみたいで」

P「茄子さんも化粧をしていたんですね」

茄子「む、どういう意味ですか」

P「ああいえ、化粧に頼らずともとてもお綺麗なので」

茄子「もう、お上手なんですから♪ 私だっておめかしぐらいしますよ」

P「どこで落としたか心当たりはありませんか?」

茄子「いえ……外で落としていたら、残念ですが諦めるしかありませんね」

P「そうですか……茄子さん、この後時間はありますか?」

茄子「えっ? はい、大丈夫ですけど……」

P「良かった。では出掛ける準備をしておいてくださいね」

茄子「どこへお出掛けですか?」

P「化粧品店へ」

茄子「!」

P「買い直すか他の物を選ぶか、行きましょう」

茄子「あ、あの。もし無かったら、プロデューサーが選んでもらえませんか?」

P「私が選んでしまっていいんでしょうか」

茄子「はい♪ 是非お願いしますっ」

P「分かりました。お気に入りのが置いてあるといいですね」

茄子「うーん、何となくですけど、無い気がします」

P「そうですか……茄子さんの勘はよく当たりますからね」

茄子「当たってないといいですね♪」

9: 2015/02/28(土) 20:38:06.01 ID:oSCU++Rao

P「どうでしょうか」

受付「申し訳ありません。調べてみましたが、やはりシングルの方はキャンセルも無く」

茄子「むぅ、ツイてないですねぇ」

P「そうですか……分かりました。ツインに空きはありますか」

受付「少々お待ちください……すみません、ツインの客室も残念ながら満室となっておりまして」

P「参ったな……」

茄子「シーズン中ですし、仕方無いかもしれませんねー」

受付「あの、お客様」

P「はい」

受付「ダブルでしたらご用意可能ですが」

P「…………いえ」

受付「ですが、先ほど近辺のホテルも満室だと伺いましたが……どうされますか?」

P「…………」

茄子「私は、大丈夫ですよ?」

P「……茄子さん」

茄子「野宿は、ちょっと遠慮したいですね」

P「…………分かりました。ダブルを一部屋、お願いします」

受付「かしこまりました。では、こちらにお客様の……」

10: 2015/02/28(土) 20:45:34.82 ID:oSCU++Rao

茄子「あら、良いお部屋ですねー。ツイてたかも♪」

P「…………」

茄子「プロデューサー?」

P「茄子さん」

茄子「何でしょう?」

P「今回は緊急事態でした。変装しているとはいえ、良い事とは言えません」

茄子「そうですね、ちょっとしたスキャンダルになるかもしれませんし」

P「はい。ですから私はロビーにでも」

茄子「プロデューサー」

P「どうかしましたか」

茄子「私、ツイてますから」

P「そうですね」

茄子「ちょっと、変な事、したくらいじゃ……バレないと思いますよ?」

P「…………」

茄子「プロデューサー」

P「茄子さん。俺は、プロデューサーです」

茄子「…………」

P「そして、茄子さんはアイドルです。そこは、譲れません」

茄子「……もう。プロデューサーったら真面目なんですから」

P「それだけが取り柄だと思っています」

茄子「でも、だから、そういうところが大好きなんです」

P「ありがとう、ございます」

11: 2015/02/28(土) 21:04:31.44 ID:oSCU++Rao

茄子「ただいま戻りましたー」

P「お帰りなさい、茄子さん」

茄子「むぅ、ツイて……あーっ!」

P「ごふっ! ……ど、どうしたんです」

茄子「そのたい焼きは……」

P「ああ、最近話題に上るから気になってて。ようやく買えたんですよ」

茄子「さっき行ってみたらちょうど売り切れだって言われて」

P「……あ。そういえばラスト1個だ、ツイてるねって言われてました。嬉しかったなぁ」

茄子「そんなぁ」

P「えーと、どうしましょうか。もう囓っちゃいましたし、しっぽの方を半分こに」

茄子「あーん」

P「……?」

茄子「あ、あーん」

P「…………」

茄子「あーんっ!」

P「……えい」

茄子「む、もぐ」

P「…………」

茄子「…………ふふっ、甘いですね♪」

P「そうですか、それは良か」

茄子「あーん」

P「…………」

茄子「あーん♪」

P「……えい」

茄子「~♪」

13: 2015/02/28(土) 21:24:37.96 ID:oSCU++Rao

茄子「むぅ、ツイてないですねー」

P「どうしました」

茄子「さっき商店街でくじ引きをやってて、1等のお洒落なティーセットが欲しかったんですけど……」

P「なるほど。外れでしたか」

茄子「いえ、特等のハワイペア旅行のチケットが当たってしまって」

P「それはツイてないんでしょうか」

茄子「小さい頃から何度も当ててるので」

P「すごい」

茄子「両親にあげようにも、二人とも流石に行き飽きてしまったようで」

P「なるほど」

茄子「誰か良い相手は居ないものでしょうか」

P「…………」

茄子「…………」

P「…………」

茄子「……ちらっ」

P「…………」

茄子「……ちら、ちらっ」

P「……ええと、手帳は……それ、何日からでしょうか」

茄子「松の内が明けてすぐです!」

P「……都合良くぽっかりと空いていますね」

茄子「ちらっ、ちらっ」

P「…………お供させてもらっても、良いでしょうか」

茄子「はいっ♪」

14: 2015/02/28(土) 21:50:02.64 ID:oSCU++Rao

蘭子「我が友よ!」
  (プロデューサーさんっ)

P「蘭子ちゃん、久しぶりですね」

蘭子「ラグナロクの刻は近いか?」
  (いま、お話出来る時間はありますか?)

P「ええ、大丈夫ですよ」

蘭子「なれば良い。あれは移し身の儀を執り行いし凍える大地にて――」
  (よかったー! この前、撮影で北海道に行ったんですけど)

P「それは遠くまで――」

茄子「…………」


蘭子「――む、目覚めの刻は近いか。幾星霜も瞬く間よ」
  (あ、もうお仕事の時間! ごめんなさい、すっかり話し込んじゃいました)

P「いえ、楽しいお話でしたよ。いってらっしゃい、蘭子ちゃん」

蘭子「再び相見えん!」
  (いってきまーすっ)

P「相変わらず絶好調みたいですね」

茄子「…………」

P「茄子さん? 先程からずいぶん静かなようですが」

茄子「……わ、我が友よっ!」

P「…………」

茄子「…………」

P「…………」

茄子「……に、ニヤついてないで何か言ってください」

P「ニヤついてないですよ」

茄子「ニヤついてました」

P「ついてないです」

茄子「ついてましたー!」

P「ははは」

茄子「もうっ!」

15: 2015/02/28(土) 22:05:04.19 ID:oSCU++Rao

茄子「結局、一日降ってましたね」

P「そうですね。遅くまで連れ回してすみません」

茄子「いえいえ、お仕事がいっぱいなのは良い事じゃないですか♪」

P「そう言ってもらえると助かります」

茄子「早く事務所に戻って温か、きゃっ!」

P「突風? ……茄子さん、傘が」

茄子「あ……むぅ、ツイてないですねー」

P「濡れるといけません、この傘を」

茄子「でも、それじゃプロデューサーが」

P「平気ですよ、これでも男ですしね」

茄子「ダメですよ! ほら、一緒に入りましょう?」

P「いえ、しかし……」

茄子「イヤ……ですか?」

P「……分かりました。では失礼して」

茄子「ふふっ。そうそう♪」

P「雨、当たってませんか?」

茄子「ちょっと肩が当たってて……もう少し寄ってもいいですか?」

P「はい」

茄子「ふふっ」

P「ツイてないですね」

茄子「そうですねー♪」

17: 2015/02/28(土) 22:23:24.22 ID:oSCU++Rao

P「……あ」

茄子「どう……しましたか?」

P「すみません、ゴムを切らしてしまっていて」

茄子「…………」

P「ちょっと今日は」

茄子「Pさん」

P「はい?」

茄子「つけなくても、いいですよ?」

P「……それは」

茄子「Pさん」

P「…………」

茄子「私は、こうしてPさんと二人で居るのが好きです」

P「私も、好きですよ」

茄子「でも」

18: 2015/02/28(土) 22:23:59.30 ID:oSCU++Rao



 「賑やかなのも、大好きですから」


20: 2015/02/28(土) 22:32:46.83 ID:oSCU++Rao
 ― = ― ≡ ― = ―

 「ぐわああぁぁぁっ! ちくしょうっ!」

 「一日になんどころべば気がすむのあなたは」

 「ヒザが……オレだってすきでころんでるわけじゃないッ!」

 「ほら。ちょうどバンソーコー買ったかえりでよかったね」

 「ねーちゃんにはわからないだろう。オレのこの『いたみ』が!」

 「うん、ぜんぜん」


 「正月早々から元気だなぁあいつらも」

 「ふふ。子供は風の子って言うじゃないですか」

 「まるで台風だよ」

 「私達も走り回りましょうか? 台風一家という事で♪」

 「うーん、今日は冷えるなぁ」

 「あー、ひどいっ!」

 「風邪引かないように……って言う必要も無いか」

 「ふふっ。今年も健康に、良い一年になるといいですね♪」

 「うん、今年もよろしく」

 「はい♪」

 「わ。どうしたんだい、急に腕なんて組んで」

 「いいじゃないですかー。今年もラブラブの一年にしましょ?」

 「はは。分かった分かった」

21: 2015/02/28(土) 22:33:28.07 ID:oSCU++Rao



 「――これからも、ずっとついていきますからね、あなた♪」


22: 2015/02/28(土) 22:34:10.63 ID:oSCU++Rao

おしまい。


茄子さんだって人の子だもんね、ちょっとくらいツイてない日だってあるよね
着いてないので突いてるってやかましいわ

前作とか

速水奏「どこ見てるの、Pさん?」
アナスタシア「シンパチーチナ、です」 モバP「え?」
神谷奈緒「魔法使いの弟子」


年末ジャンボの1等前後賞が欲しかったです

引用元: 鷹富士茄子「むぅ、ツイてないですねー」