1: 2016/12/17(土) 01:50:56.31 ID:vx+r5S9k.net
希「........」

真姫「ねぇ、貴方はそれで幸せなの?」

希「........」コクッ

真姫「本当かしら?」

希「..........」

真姫「はぁ、めんどうな人ね」

2: 2016/12/17(土) 01:55:05.83 ID:89s/tCUu.net
希「..........」キコキコ

真姫「どうするの?時間はもうそんなにないわよ」

希「.........」

真姫「元々、本心を喋らなそうな人だったけど、本当に喋れなくなったら本心が本当にわからないじゃない」

希「..........」

真姫「貴方は大きな代価を払ってこうなっているのよ!貴方はそれでいいの!?」

希「.........」

真姫「はぁ.....」

花陽「真姫ちゃん....」

3: 2016/12/17(土) 01:58:55.08 ID:89s/tCUu.net
真姫「ここが新しい世界ね...今度の物語は人魚姫ね...」

真姫「全く、この旅の終着点はあるかしら」

真姫「それにしてもお腹が空いたわね....」


真姫「喫茶店かよちん....ここでお昼でも食べようかしら」ガチャ


花陽「いらっしゃいませー...開いてるお席にどうぞ」

真姫(お客さんが誰もいない....外れのお店かしら)

花陽「お冷をどうぞ...メニューはこちらです」

真姫(お店の人はこの人だけかしら....ここで帰るのもあれだし...とりあえず注文してみましょう)

真姫「オムライスを一つ」

花陽「はい♪かしこまりました」

4: 2016/12/17(土) 02:03:31.71 ID:89s/tCUu.net
真姫「ここのオムライス美味しいわね」もぐもぐ

花陽「そ、そうですか!?一応この店のおススメなんです」

真姫「....でも、店内はガラガラね、お昼時だってのにお客が私一人なんて」

花陽「あはは.....最近始めたばかりなもので」

真姫「ふーん....」

花陽「世の中そんなに甘くないんです.....」

真姫「.........」もぐもぐ



真姫「ご馳走様でした」

花陽「ありがとうございました、お代は600円です」

真姫「つけで」

花陽「え?」

真姫「私、お金持ってないのよ」

花陽「えぇ!?」

6: 2016/12/17(土) 02:08:58.35 ID:89s/tCUu.net
真姫「そもそも私はこの世界の人間じゃないの、だからこの世界の通貨はもってないの」

花陽「はい?」

真姫「私は色んな世界を回って自分勝手なことをしている人間なの」

花陽「えっと...意味がよく...」

真姫「信じなくてもいいわ、だからこの世界でも自分勝手にやりたいことをやるだけよ」

花陽「それはいいんだけど....お代を...」

真姫「だからつけにしといて」

花陽「えぇ!?困ります!?」

真姫「さて、人魚を探さないと」

花陽「人魚!?」


真姫「じゃあね、オムライス美味しかったわよ」

7: 2016/12/17(土) 02:12:48.86 ID:89s/tCUu.net
真姫「って!なんでついてくるのよ!」

花陽「今日はもう営業はないし、それにお代をいただいてないので」

真姫「だからつけにしといて、やることやったら払うから」

花陽「じゃあ、連絡先を....」

真姫「私、携帯持ってないわ」

花陽「えぇ!?逃げる気満々!?」

真姫「あ...あったわ...この世界では持ってるのね」ゴソゴソ

花陽「もうお巡りさんに突き出そうかな....」

9: 2016/12/17(土) 02:17:00.58 ID:89s/tCUu.net
真姫「じゃあ、この世界での仕事が終わったら貴方のお店で皿洗いでもなんでもするわよ」

花陽「怪しい....」

真姫「はぁ...とにかく人魚を探すのよ、邪魔をしないで」

花陽「ダメです、払うまで離れません」

真姫「じゃあ....好きにしたら」

花陽「じゃあ、好きにします、食い逃げ犯さん♪」

真姫「ちょっと!その呼び方はやめなさい!」

花陽「じゃあ、お名前は?」

真姫「名前?」

花陽「そう、貴方の名前」

真姫「....真姫よ」

12: 2016/12/17(土) 02:23:04.99 ID:89s/tCUu.net
花陽「私は花陽、小泉花陽っていうの」

真姫「ふーん、花陽ね」

花陽「それで?」

真姫「え?」

花陽「人魚って何?」

真姫「何?信じてるの?」

花陽「え!嘘なの?」

真姫「まぁ、嘘ではないけど」

花陽「じゃあ、いるの!?」

真姫「...貴方って、いえ、なんでもないわ」

花陽「?」

13: 2016/12/17(土) 02:28:40.37 ID:89s/tCUu.net
花陽「なーんだ、人魚っていっても本物の人魚がいる訳じゃないんだね」

真姫「そうね、正確に言えば、人魚姫と同じような運命を辿ろうとしている人間を探しているの」

花陽「同じような運命?」

真姫「簡単に言えば、願い事を叶える為に自身を犠牲にして、結局は願い事が叶わなくなるって破滅するってかんじかしら」

花陽「願い事......」

真姫「どうしたのよ」

花陽「いえ、幼馴染のお姉さんがよく占いとか、願い事を叶える方法とか言ってたもので」

真姫「そう...ちなみにその対象者はこの街、音ノ木にいるのよ」

花陽「そうなの?」

真姫「えぇ、自分が行き着く街には必ず対象者がいるから、いつも」

花陽「へぇ~、まぁ、お代払うまではこの街から出しませんけどね」

真姫「しつこいわね....案外、そのお姉さんが対象者だったりしてね」

花陽「じゃあ、会ってみます?」

真姫「そうね....」

14: 2016/12/17(土) 02:33:07.44 ID:89s/tCUu.net
凛「あ、かよちんどうしたの?こんな時間に」

花陽「うん、ちょっとね」

真姫「この人が貴方の幼馴染?」

花陽「はい」

凛「初めて見る人にゃ~かよちんのお知り合いかな?」

真姫「え」

凛「初めまして、星空凛って言います、凛って読んでほしいにゃ」

真姫「はい...真姫、西木野真姫よ」

凛「真姫ちゃんか~よろしくにゃ~」

真姫(人魚姫に猫キャラなんていたっけ?)

15: 2016/12/17(土) 02:37:13.60 ID:89s/tCUu.net
希「う~ん?どうしたん凛ちゃん?」

凛「あ、希ちゃん!かよちんが新しいお友達を連れてきたんだにゃ!」

希「へぇ~...どれどれどんな子?」

真姫「..........」

希「おぉ!ちょっと気が強そうな子だけど、花陽ちゃんが選んだならお友達なら大丈夫そうやね」

凛「名前は真姫ちゃんっていうんだって」

希「へぇ~」

真姫「初めまして、西木野真姫といいます」

希「こちらこそ初めまして、うちは東條希、よろしくね」

真姫「はい、よろしくお願いします」

17: 2016/12/17(土) 02:42:47.99 ID:89s/tCUu.net
花陽「いきなり遅くまでお邪魔してすいませんでした」

希「大丈夫だよ、帰り道気をつけてな~」

凛「かよちんバイバーイ」

希「真姫ちゃんもまた来てなぁ」

真姫「はい、お邪魔しました」

凛「真姫ちゃんもバイバーイ!!」

真姫「えぇ、また会いましょう」

18: 2016/12/17(土) 02:47:10.77 ID:89s/tCUu.net
花陽「どうだった、真姫ちゃん?」

真姫「多分、あの家の誰かがこれから願いを叶えることになるわ」

花陽「そっか、凛ちゃんかな希ちゃんかな?それとも....」

真姫「それともって、他にあの家には誰かいるの?」

花陽「うん、今日はいなかったけど、あと次女の海未ちゃんって人がいるの、あそこのお家は三姉妹なの」

真姫「そう....」

花陽「ねぇ、真姫ちゃん」

真姫「何?」

花陽「そもそも願い事を叶えさなきゃいいんじゃないの?警告をするとか」

真姫「それはできないのよ」

花陽「なんで?」

真姫「.....」

19: 2016/12/17(土) 02:55:25.55 ID:89s/tCUu.net
真姫「物語の起承転結の起はどうしようもないのよ、絶対に起きてしまうの...これは運命なの」

真姫「だから私は起きてしまったことに対して、最善のハッピーエンドを目指さなきゃいけないのよ」

花陽「なんで?なんでそんなことをするの?」

真姫「私がただの子供で我がままなハッピーエンド主義者だからよ」

真姫「それでこじらせた結果がこれよ、色んな世界を回って好き勝手にハッピーエンドにするのが使命とか思っちゃってるのよ」

花陽「そっか.....」

真姫「...私、人魚姫のお話って大嫌いだったのよ」

花陽「え?」

20: 2016/12/17(土) 02:59:27.81 ID:89s/tCUu.net
真姫「好きな人の事思って、声を失って人間になっても苦痛でまともに歩けず、想いも伝えられず、最後は泡となって消えてしまう」

真姫「そんなお話が嫌いだったのよ....ただのひねくれものだけどね」

真姫「もちろん世界は必ずしも、ハッピーエンドで終わるとは限らない...子供のままの私の勝手な考えだけど、こんな結末を変えたい」

花陽「..........」

真姫「ただそれだけ....この世界の人間に情があるとかじゃなくて、自分が嫌だから勝手にやるだけ」

真姫「そんな人間なのよ、私は」

花陽「真姫ちゃん.....」


花陽「暗くなってきちゃったね....」

真姫「あ」

花陽「どうしたの?」

真姫「そういえば、帰る家が私にはないのよね~」ジッー

花陽「本当に自分勝手だね」

21: 2016/12/17(土) 03:06:40.04 ID:89s/tCUu.net
花陽「ここが私のお家です」

真姫「ここって、いつものスタート地点じゃない」

花陽「スタート地点?」

真姫「いつも違う世界に来るとここがスタート地点なのよ」

花陽「ふーん...よくわかんないけどあがってよ」

真姫「えぇ....お邪魔します」

花陽「はーい、どうぞ」

真姫(それにしてもこの子はなんで私にこんなに優しいのかしら)

22: 2016/12/17(土) 03:12:40.97 ID:89s/tCUu.net
花陽「ねぇ、真姫ちゃん」

真姫「何?眠いからもう寝たいんだけど」

花陽「むぅ....ねぇ、前の世界のお話聞いてもいい?」

真姫「いいけど....なんで?」

花陽「もしかしたらこの世界をハッピーエンドにできるヒントになるかなーって思って」

真姫「.....参考にならないわよ」

花陽「結局、一宿一飯したのにそんな態度でいいの?」

真姫「喜んで語らせていただきます」

23: 2016/12/17(土) 03:17:45.24 ID:89s/tCUu.net
真姫「前の世界はマッチ売りの少女だったわ」

花陽「また王道なやつだね」

真姫「売ってたのはラーメンだったけどね」

花陽「ラーメン!?」

真姫「在庫を抱えて震えていたわ」

花陽「でも、震えるくらいの冬ならラーメンが売れそうだよね」

真姫「いえ、違う意味で震えていたわ」

38: 2016/12/17(土) 23:33:50.50 ID:89s/tCUu.net
花陽「違う意味?」

真姫「簡単に言えば騙されてたのよ」

花陽「騙されてた?」

真姫「その世界でハッピーエンドにすべき人物はアイドル?まぁ、芸能人だったのよ、色々とあってね」

花陽「アイドル!?」

真姫「なによ、そのテンションは」

花陽「私、そのアイドルが好きだから」

真姫「へぇ.....その世界では私はその子の臨時マネージャーだったのよ」

39: 2016/12/17(土) 23:50:03.11 ID:89s/tCUu.net
凛「どうしよう...今日も売れなかったよ...在庫がこんなにあるのに....」とぼとぼ

凛「マネージャーさんは夜逃げしちゃうし、もう、凛はどうしたらいいかわかんないよ...」

凛「なんで、なんで凛が...凛はただ皆に美味しいラーメンが食べて欲しかっただけなのに....」


真姫「ちょっといいかしら?」

凛「え、誰?」

真姫「貴方の臨時マネージャーよ」

凛「マネージャーさん?」

真姫「そうよ、お馬鹿なアイドルさん」

凛「馬鹿!?」

40: 2016/12/18(日) 00:02:56.96 ID:vIHALUpo.net
凛「いきなり馬鹿って、ちょっとマネージャーさん、失礼すぎない?」

真姫「契約書もちゃんと見ないで契約する人を馬鹿って言わないでどうするのよ」

凛「うっ...それは」

真姫「それにこのラーメン...商品名は貴方の名前だけど、貴方は全く製作に携わってないんでしょ?」

凛「なんでそれを」

真姫「おまけの設定や、商品の試食や企画にもろくに参加させてもらえず、責任だけは貴方が背負う」

真姫「全く、嫌な世界ね」

凛「っ.........」

41: 2016/12/18(日) 00:17:39.37 ID:vIHALUpo.net
真姫「ねぇ、このままやるよりは、違う方向性を試してみない?」

凛「違う方向性?」

真姫「私に考えがあるのよ、やってみない?」

凛「......凛を騙したりしない?見捨てたりしない?」

真姫「こんなどん底の人間を騙したりしないわよ」

凛「本当?」

真姫「しつこいわね....じゃあ、これを」スッ

凛「カメラ?」

真姫「これを預けるわ、私もろくに何も残ってないのよ」

凛「......わかったよ、信じてみるよ!」

真姫「じゃあ、さっそくこの番組に出て欲しいのよ」

凛「え?この番組って.....」

42: 2016/12/18(日) 00:25:31.09 ID:vIHALUpo.net
凛「はい!」

ツバサ「それでは星空さん、どうぞ」

凛「困ったな~困ったな~」

ツバサ「一体、どうしたのよ?」

凛「皆がまずいまずいって言うから、凛ちゃんラーメンが売れなくて困ってるんです」

ツバサ「あはは....売れるといいわね、西木野さん、星空さんに一枚やって」

真姫「はい.....って、なんで私まで......」スタスタ

44: 2016/12/18(日) 00:40:29.99 ID:vIHALUpo.net
真姫「こんな感じで逆にまずいまずいって、色んなメディアを使って宣伝したのよ」

花陽「ってアイドルって凛ちゃんだったの!?」

真姫「まぁ、正確に言えばこの世界の星空さんとは別次元だから別人みたいなものだから」

花陽「凛ちゃんが....アイドル...」

真姫「それで結果的には注目をあびてラーメンの在庫はなんとかさばけたわ」

真姫「皆、怖い物見たさで買っていったわ、それにやつれた凛を見てファンの人達の同情を買うこともできた」

花陽「そっか...じゃあ、その世界の凛ちゃんは」

真姫「まぁ、結果的にはまずいラーメンのアイドルっていう、世間的にはいじられるキャラになっちゃったけどね」

花陽「でもアイドルは辞めずにすんだんだよね?」

真姫「えぇ...なんとか負債もどうにかなったし、これからはあっちの世界の凛次第ってことよ」

46: 2016/12/18(日) 00:48:41.62 ID:vIHALUpo.net
真姫「で?参考になった?」

花陽「えっと...うん...」

真姫「何が?」

花陽「真姫ちゃんが嘘をついてないってことがわかった」

真姫「は?」

花陽「凛ちゃんのその美味しくないラーメンって、ようはマッチ売りの少女でいうマッチってことでしょ?」

花陽「あのままラーメンが売れてなければ、凛ちゃんは負債を抱えて....」

真姫「いずれはそうなるわね」

花陽「ようは物語のきっかけであるマッチの存在は消せないから無理矢理マッチを売り切って結果を変えたってことだよね?」

真姫「まぁ、そういうことよ」

51: 2016/12/18(日) 02:32:28.60 ID:vIHALUpo.net
真姫「さて、無駄に長く話しちゃったわね...もうこんな時間ね」

花陽「そうだね...もう寝ようか?」

真姫「えぇ、明日からはあの姉妹を見張らないといけないから」

花陽「そっか...ハッピーエンドにできればいいね」

真姫「できればいいねじゃないの、しなくちゃいけないの」


花陽「うん、わかった...おやすみ真姫ちゃん、真姫ちゃんの寝室は隣りの部屋だから」

真姫「えぇ、おやすみなさい、花陽」スタスタ

花陽「.........」


花陽「さて、私も寝ないと....」

花陽「あれ?写真が落ちてる....真姫ちゃんのかな?」

花陽「この写真は......」

52: 2016/12/18(日) 02:44:13.32 ID:vIHALUpo.net
真姫「なんで私がこんなことを....」

にこ「全く、この新人は....初日からバックレるってどういうつもりなのよ!」

真姫「はい、すいません......」

にこ「全く...昨日のことは会社には黙っておくから、今日はしっかり働きなさいよ!」

真姫「はい.....」

真姫(この世界では私は配達の新人配送員なのね....全く、あの姉妹を監視しないといけないのに)

にこ「今日はここが最後だから、ちゃんとやってよね」

真姫「はい」ガチャ

53: 2016/12/18(日) 02:50:18.73 ID:vIHALUpo.net
真姫「さて...仕方ない、真面目にお仕事しますか」

真姫「ここは....お花屋さんかしら?lily White....」

真姫「すいませーん、お荷物のお届けにあがりました」カランカラン


希「はーい」

真姫「あ」

希「あ、真姫ちゃんやん」

真姫「希さん、お花屋さんだったんですね」

希「うん、そうだよ、あと別に呼び捨てでええよ」

真姫「はぁ....」


絵里「お邪魔するわ~」カランカラン

希「いらっしゃいませー...ってエリチか」

絵里「ひどいわね、常連だっていうのに」

希「ふふふ....」

54: 2016/12/18(日) 02:56:16.77 ID:vIHALUpo.net
希「今日も亜里沙ちゃんに?」

絵里「えぇ、少しでも季節を感じられるようにね」

希「そっか、どれにする」

絵里「じゃあ、今日はこれをもらってくわ」

希「はい、ありがとうございます♪包んでくるね」

絵里「えぇ、お願いするわ」


海未「絵里...来てたんですね」

絵里「海未!ちょうどよかった、こっちに来て!」

海未「なんですか?」

絵里「いいから、いいから」

海未「はぁ....」スタスタ


希「........」チラッ

真姫「ふーん.....」

55: 2016/12/18(日) 03:03:07.04 ID:vIHALUpo.net
真姫(成程、あれが花陽の言っていた次女の海未ね...まぁ、違う世界でも姿は見たことあるけど)

真姫(さて...やっぱり希が今回は人魚ってとこかしら、違う世界で知ってても、ここではまだほぼ他人みたいなものだから距離感が中々難しいわね)

真姫(絵里...どうやら貴方も今回の鍵を握ってるみたいね....はぁ、めんどくさいことになりそうだわ)


真姫「..........痛っ!」バシン

にこ「何、またさぼってんのよ!目を離すとすぐこれなんだから」

にこ「ほら、さっさと帰るわよ」

真姫「...........」ずるずる

真姫(この仕事やめたい......)

63: 2016/12/18(日) 23:50:30.34 ID:vIHALUpo.net
海未「やれやれ.....」

希「お疲れ、海未ちゃん、エリチと何を話してたの?」

海未「いえ、いつもの他愛のない話です、亜里沙の事とかです」

希「そっか、海未ちゃんはエリチと仲がいいもんね」

海未「そうでしょうか?希のが仲がいいように見えますが」

希「うちのはただの腐れ縁みたいなもんよ....亜里沙ちゃん早く退院できるといいね」

海未「そうですね、今度また顔を出しに行きますか」

希「そうやね、エリチも亜里沙ちゃんもきっと喜んでくれるよ」

64: 2016/12/19(月) 00:03:46.57 ID:aIwUFV+l.net
海未「そうだ、希も一緒に行きませんか?」

希「うち?」

海未「えぇ、希も最近顔を出してないし、行きましょうよ」

希「でもうちはお店があるし、それにうちより海未ちゃんのが喜んでもらえるよ」

海未「また希はそう言って....私の方がとか、自分と誰かをすぐに勝手に比較しないでください」

希「でもお店があるのは事実やし、今度またね?」

海未「はぁ....今度はちゃんと来てくださいよ?亜里沙だって会いたがってるんですから」

希「はーい」

65: 2016/12/19(月) 00:15:33.99 ID:aIwUFV+l.net
真姫「ふむふむ.....そういうことね」

にこ「AーRISEの生サイン入り写真....えへへ~」

真姫「今日はもうあがっていいですか?」

にこ「いいわよ~♪これ本当にもらっていいの?」

真姫「どうぞ、お好きに」

にこ「妹達にも見せてあげよっと....」

真姫「あ、先輩」

にこ「何?」

真姫「私、今日でこの仕事やめます」

66: 2016/12/19(月) 00:21:09.64 ID:aIwUFV+l.net
真姫「さて、ここが絵里の妹が入院してるっていう病院ね....」

真姫「病院か、なんか懐かしいわね....さて、お仕事、お仕事」

真姫「えっと、絢瀬亜里沙さんにお見舞いなんですが」


真姫「ここの病室ね...どの世界でも名前が基本変わらないからこれだけは便利ね」

真姫「失礼します」コンコン

絵里「どうぞ」

真姫「失礼します、lily Whiteの希さんからお見舞いの品をお届けにあがりました」

67: 2016/12/19(月) 00:32:39.00 ID:aIwUFV+l.net
絵里「あら、珍しい今日はお花じゃなくて、フルーツなのね」

真姫「..........」

絵里「で、貴方は誰?」

真姫「希さんの知り合いです、配達員をしてます」

絵里「あぁ...そういえばさっきお店で見かけたわね」

亜里沙「zzzzzzzzzz」

真姫「.........」チラッ


真姫「自己紹介がまだでしたね、私は西木野真姫って言います」

絵里「私は絢瀬絵里よ、よろしくね西木野さん」

68: 2016/12/19(月) 00:36:53.06 ID:aIwUFV+l.net
真姫「こちらの眠ってる方が、亜里沙さんですか?」

絵里「そうよ、私の妹でね....小さい頃からずっと体が弱くてね、入退院をずっと繰り返してるの」

絵里「今はこうやって落ち着いて眠ってるけどね」

真姫「そう...ですか」

絵里「あ、ごめんね、こんな暗い感じで話をしちゃって」

真姫「いえ、大丈夫です」

絵里「そう、亜里沙はね私の最後の肉親なの、だから私が守ってあげないとね」

真姫「絵里さんは妹さんが大好きなんですね」

絵里「もちろん♪」

69: 2016/12/19(月) 00:43:46.27 ID:aIwUFV+l.net
真姫「じゃあ、私はこれから仕事があるので」

絵里「ありがとう、希達にもよろしくね」

真姫「わかりました」

絵里「よかったらだけど、また顔を出してくれると嬉しいわ」

真姫「はい、それではお邪魔しました」


真姫「成程ね....そういう関係性なのね、なんとなくわかってきたわ」

真姫「....妹ね.....」

真姫「あ、花陽に返すお金使っちゃった...残り480円...足りないわね」

72: 2016/12/19(月) 01:23:50.26 ID:aIwUFV+l.net
希「さて、今日の営業はこれでおしまいやね」

海未「そうですね、夕ご飯どうします?」

希「うーん、これから買い物行きながら考えてくるよ」

海未「わかりました、では片付けは今日は私がやっておきますので、料理当番お願いします」

希「了解♪」



希「さて、買い物の前にいつものとこ行かなきゃ」

73: 2016/12/19(月) 01:32:14.63 ID:aIwUFV+l.net
希「亜里沙ちゃんの病気が治りますように....」

希「うちも信仰深いのかな....毎日お参りするなんて」

希「そういえば、ここってよく考えたら恋愛成就で有名な神社だったっけ」

希「............」

希「エリチはやっぱり海未ちゃんのことが好きなのかな?....」

希「って、うちはなにを考えてるん!今日は亜里沙ちゃんのことでお参りに来たのに!」

希「...........」

希「それにうちじゃ、エリチとは釣り合わないよね.....」

74: 2016/12/19(月) 01:39:01.24 ID:aIwUFV+l.net
希「それに最近は海未ちゃんとばっかいるし....たしかに海未ちゃんはかわいいもんね....」

希「そうだよ、海未ちゃんとエリチならお似合いのカップルだよ」

希「きっとエリチなら海未ちゃんを幸せにしてくれる....うん、妹の将来が安泰でお姉ちゃんは嬉しいよ」

希「うん、エリチと海未ちゃんが幸せなら...亜里沙ちゃんも海未ちゃんにはすっごく懐いてるし、最高の家族やね」

希「そう、それでいいんよ....そう、それで」


ことり「それは本心なのかな?」

希「え!...貴方は誰?さっきまでここには誰もいなかったはずなのに」

ことり「私はことり、ここの神社の神様って言ったところかな?」

75: 2016/12/19(月) 01:51:19.94 ID:aIwUFV+l.net
希「その神様がうちになんの用なの?」

ことり「いやー貴方がね、熱心に毎日通うから願い事を一つ叶えてあげようかなって思って」

希「え、本当?.....って騙されんよ、そういう新手の詐欺なんやろ?」

ことり「信じるも信じないも貴方次第だけど、一つ言っておくね」

希「何?」

ことり「貴方が、毎日お願いしてた亜里沙って女の子、明後日までの命だよ」

希「....え!?」

76: 2016/12/19(月) 01:56:39.44 ID:aIwUFV+l.net
希「そんなに嘘!だって亜里沙ちゃんは最近は発作も起きなくて容態が安定してるってエリチが言ってた!」

ことり「だから信じるも信じないも貴方次第って言ったでしょ」

ことり「とにかく明後日までの命なの、だからそんなお願いをしても意味がないってこと」

希「そんな....だって亜里沙ちゃんは、エリチの...最後の、たった一人の肉親なんだよ?」


ことり「だったら、その開いた隙間を貴方が埋めてあげればいいんじゃない?」

希「え.....何を言って...」

ことり「好きなんだよね?その絵里って子が、妹がいなくなれば一番になれるかもよ?」

希「...なんで神様はそんな意地悪なん....そんなのできる訳ないじゃん....」

77: 2016/12/19(月) 02:01:41.27 ID:aIwUFV+l.net
ことり「でも、貴方は毎日ここに通ってくれたから考える猶予をあげるね」

希「猶予?」

ことり「明日まで待ってあげる、明日、もし願い事が決まったらここに来て教えて」

希「...........」

ことり「じゃあ、また明日」フッ

希「消えた!?.....夢じゃないよね?」


希「うちは...私はどうしたらいいの?....」

78: 2016/12/19(月) 02:04:54.27 ID:aIwUFV+l.net
真姫「ふぅ.....」

花陽「あ、お帰り、真姫ちゃん」

真姫「今日は、絵里の妹を見てきたわ」

花陽「亜里沙ちゃんに会ってきたの?」

真姫「えぇ、今日はずっと眠っていたけどね」

花陽「あれ?でも今日はお仕事があったよね?」

真姫「やめてきたわ」

花陽「やめてきちゃったの!?」

82: 2016/12/19(月) 08:47:49.88 ID:aIwUFV+l.net
希「はぁ......」

海未「どうしたのですか?溜息なんかついて、珍しいですね」

希「あ、なんでもないんよ....ちょっと疲れちゃって」

海未「そうですか、あんまり無理はしないでくださいね、体調が優れないなら休んでいていいですよ?」

希「大丈夫、大丈夫...でも無理ならなったらちゃんと言うから」

海未「そう...ですか」


希(昨日の神様のお願いの期限は今日まで、そもそもあの神様を信用していいのかな?)

希(私の望みは.......)


凛「た、大変にゃ!!!い、一大事だよ!!」カランカラン

83: 2016/12/19(月) 08:56:03.77 ID:aIwUFV+l.net
海未「凛、いきなりどうしたんですか!それに学校は?」

凛「今日は振替えで休み!そんなことより亜里沙ちゃんが!亜里沙ちゃんが!!」

海未「!!」

希「!?....まさか....」



絵里「亜里沙!!!亜里沙!!」ポロポロ

亜里沙「...........」

海未「落ち着いてください!絵里!!」

絵里「だって、亜里沙が!亜里沙が!!」

希「なんで....なんでなん.....なんでそうなるん.....」

88: 2016/12/19(月) 23:01:07.54 ID:aIwUFV+l.net
花陽「凛ちゃん!!」

凛「か、かよちん!亜里沙ちゃんが.....」

真姫「............」

海未「今は容態は少し落ち着きましたが、今日から明日までが峠のようです」

花陽「そんな....」

希「............」

真姫「絵里さんは?」

海未「ずっと亜里沙のそばにいます、今は絵里以外は面会謝絶なんで私達はここで待ってることしかできません」

花陽「それって.....」

海未「はい、覚悟はしておいたほうがいいかもしれません」

89: 2016/12/19(月) 23:15:32.47 ID:aIwUFV+l.net
凛「あんまりだにゃ、亜里沙ちゃんあんなに頑張って病気と闘っていたのに!なんで、なんで.....」ポロポロ

花陽「凛ちゃん.....泣かないでよ、まだ決まった訳じゃないんだから」

海未「私達はここで祈ってるくらいしかできないのが悔しいです....」

真姫「...........」

希「そうやね!うちらがここで諦めたらだめだよ!」

海未「希.....」

希「うちらの願いを神様に届けよ?」

凛「うん、わかったにゃ!」

真姫「........」

90: 2016/12/19(月) 23:24:56.56 ID:aIwUFV+l.net
ことり「結局来たんだね、信じてもらえたってことかな?」

希「今は藁にも縋りたい気持ちなんよ、もう考えてる時間はないよ」

ことり「そう、じゃあ、願い事はどうする?」

希「亜里沙ちゃんの病気を治してほしい!!救ってほしい!」


ことり「ふ~ん....そっか、貴方の答えはそれなんだね」

希「そうだよ!うちは好きな人の悲しい顔を隣りで見たくない!」

ことり「恋人...いや友達思いなのかな?いいよ、でも条件があるよ」

希「条件?....なんでも一つ願いを叶えてくれるんじゃないの?」

ことり「恋愛の神様に人間を氏神から救ってって言ってるもんだからね、氏神に手土産を渡さないと」

希「手土産.....」

91: 2016/12/19(月) 23:29:46.79 ID:aIwUFV+l.net
ことり「大丈夫だよ...命まで取ったりはしないよ、そうだね...その声と足でもいただこうかな」ギロッ

希「...!?」

ことり「どうする?もしかして怖気づいちゃった?」

希「いいよ」

ことり「え?」

希「エリチの為なら、亜里沙ちゃんの為なら!うちは....怖くない!」

ことり「ふ~ん.....人間って不思議な生き物だね、それとも貴方がたまたまそうなのかな」

希「...........」

93: 2016/12/19(月) 23:38:00.20 ID:aIwUFV+l.net
ことり「わかったよ、代価は貴方の声と足ね....じゃあ、その願い叶えてあげるよ」

希「体が!....光ってる?」

ことり「全く、お母さんになんて言えばいいか....」

希(これで....亜里沙ちゃんが....これでエリチが.....)

ことり「後悔はしない?」

希「エリチの幸せはうちの...私の幸せだから!!」

ことり「そう.....」

94: 2016/12/19(月) 23:47:06.77 ID:aIwUFV+l.net
希「.............」

希「.............」パチッ

希(ここはうちの家?......いつ帰ってきたんだろ?)

希(もしかして夢、だったのかな?.....とにかく起きないと)


希「っ!............」バタッ

希(何!?足がとてつもなく痛い......立っていられない!.....)

希「!.........!......」パクパク

希(声が出ない!.....そっか...夢じゃ、なかったんだね)


ブーブーブー

希(...エリチから電話や.....出ないと.....)

希(あ、うちはもう.....喋れないんだった....)

95: 2016/12/19(月) 23:59:08.17 ID:aIwUFV+l.net
希(留守電だけでも聞いておこうかな.....)

絵里『もしもし希!聞いて!亜里沙が!亜里沙が目を覚ましたの!!』

希(よかった...うちの願いは叶ったんだね)

絵里『お医者様もこれは奇跡だって言ってたわ!!これから検査はあるけど来月には退院できるかもって!』

希(エリチ嬉しそう.....本当によかった)

絵里『海未がね、海未が!亜里沙の手をね!握ってたのよ!そしたら亜里沙が急に目を覚ましたの!!』

絵里『海未には感謝しても感謝しきれないわ!神様って本当にいるのね!』

絵里『亜里沙も希に会いたがってるわ!このメッセージを聞いたらすぐに連絡頂戴!じゃあ、またね!』

希(............)

97: 2016/12/20(火) 00:10:43.65 ID:vkqluPDo.net
希(ほらね...やっぱり海未ちゃんなんよ)

希(海未ちゃん....エリチをよろしくね)

希(うちはもうエリチとは一緒にはいられない)

希(こんな声も出せない、一人でまともに立つことすらできないうちが、エリチの隣りにいる資格は.....)

希(資格は....もうないんよ....)ポロポロ

希(エリチ大好きだったよ....どうか海未ちゃんを幸せにしてあげてね...)ポロポロ

98: 2016/12/20(火) 00:17:23.84 ID:vkqluPDo.net
凛「大変にゃーー!!」ガチャ

花陽「どうしたの?凛ちゃん?」

海未「そうですよ、ここは病院なんですから」

亜里沙「ハラショー....」

凛「希ちゃんが、希ちゃんが!!」

絵里「希がどうしたのよ?」

凛「希ちゃんがこんな書置きを残していなくなっちゃったにゃ!」

絵里「!?ちょっと見せて頂戴!」

99: 2016/12/20(火) 00:29:08.71 ID:vkqluPDo.net
希『亜里沙ちゃんの病気がよくなるようにお遍路、ちょっと旅に出てきます』

希『海未ちゃんごめんね、しばらくの間お店を開けるけどよろしくね?凛ちゃんもフォローしてあげてね?喧嘩はしたらだめだよ?』

希『お金とかはいつものところに全部あるから、考えて二人で使ってね』

希『エリチへ、うちは亜里沙ちゃんがよくなるようにいつも祈ってます♪だからエリチも亜里沙ちゃんと仲良くして、支えてあげていってね』

希『もしうちが戻ってきた時は突然いなくなったことは怒らないでね』

希『それじゃ、またね 希』


絵里「何よこれ.....希は、希はどこにいったのよ!!」

凛「わかんないよ....携帯もずっと出ないし....」

海未「とにかくこんなのは無意味とはいいませんが、止めないと!」



花陽「まさか....もしかして真姫ちゃん!」

花陽「......っていないし!!」

100: 2016/12/20(火) 00:39:59.09 ID:vkqluPDo.net
穂乃果「この時期に海に行くなんて珍しいね!お客さん!!」

希「.........」

穂乃果「えっと、あはは.....」

穂乃果(なんでこの人一言も喋らないんだろ?....まさか幽霊!?)ブルブル

希『声が出ないんです』スケッチブック

穂乃果「あ、そうなんですか...話かけてごめんなさい」

希「........」

101: 2016/12/20(火) 00:49:22.98 ID:vkqluPDo.net
希(海に来たのって何年振りだろ....ここなら少しの間だけでも今までの事を忘れられそう...)

希(忘れる...か.....そんなの無理だよ....)ポロポロ

希(寂しいよ.....辛いよ...でもこれはうちが選んだ運命....)

希(そうだ....海で終わりを迎えるっていいかもしれない....)

希(あはは....うちなんか人魚姫みたいやね.....)

希(もう泡になって消えたら楽になれるかな?....)

102: 2016/12/20(火) 00:56:06.50 ID:vkqluPDo.net
希(あはは....地面を這って移動なんて)ずるずる

希(まぁ、人生の最後らしくていいかな.....)ずるずる

希(そういえば、凛ちゃんとよく小さい頃軍隊ごっこしたっけ?)ずるずる

希(あの頃の凛ちゃんはどこにいくにもうちに着いてきて可愛かったなぁ...)ずるずる

希(これが走馬灯?とかいうやつなのかな?)ずるずる

希(さようなら皆......)



真姫「貴方、何やってんのよ」

希「!!」

105: 2016/12/20(火) 01:33:07.68 ID:vkqluPDo.net
花陽「はぁ....街中を探したけど、結局希ちゃんが見つからなかったよ....」とぼとぼ

花陽「真姫ちゃんもいなくなっちゃうし、連絡先聞いておけばよかった」

花陽「凛ちゃん、ずっと泣いてたな.....お姉ちゃん子だったもんね...」

花陽「どこに行っちゃったの?希ちゃん....」ガチャ

花陽「ただいま.....」


真姫「あ、お帰り花陽」

希「........」

花陽「.....連絡してよ!!」

真姫「いや、花陽の連絡先知らないし」

希「.........」

107: 2016/12/20(火) 01:40:34.56 ID:vkqluPDo.net
真姫「さて、どうしましょうか」

花陽「どうするって?」

真姫「このお馬鹿な人魚姫さんをどうするかって話」

希「...........」

花陽「馬鹿って...いいすぎなんじゃ」

真姫「希ってば、思い詰めて海で身投げしようとしたのよ」

花陽「えぇ!?希ちゃん本当!?」

希「..........」

108: 2016/12/20(火) 01:46:44.53 ID:vkqluPDo.net
花陽「そっか、亜里沙ちゃんの容態が急に治った理由は希ちゃんのおかげだったんだね」

真姫「えぇ、おそらくね....希が街で足を引きずって歩いてるのたまたま見つけられてラッキーだったわ」

花陽「これが物語の影響なの?なんで希ちゃんがこんな目に....」

真姫「おそらく何かと人魚姫と同じく契約でも交わしたんでしょう....もしかしてあそこの神社かしら?」

希「!!」

真姫「その反応、やっぱりね....」

希「.............」

109: 2016/12/20(火) 01:52:50.78 ID:vkqluPDo.net
希『うちが好きで選んだ道だから』スケッチブック

真姫「自分も妹達を泣かしても?」

希「............」

真姫「凛は今も泣きながら貴方を探してるはずよ、海未だって、絵里だって.....」

真姫「自分が思った幸せが他人にとって幸せとは限らないのよ!」

真姫「貴方だって...わかってるはずでしょ?」

希「.............」

110: 2016/12/20(火) 01:59:17.22 ID:vkqluPDo.net
真姫「はぁ、喋れないからってだんまり?」

花陽「希ちゃん.....お家に帰ろう?」

希「..........」ブンブンッ

真姫「これじゃあ、埒が明かないわね.....」

花陽「どうするの真姫ちゃん?」

真姫「....ちょっと話をしてくるわ、希を見張ってて」

花陽「え?誰と?」

真姫「さぁ、誰とでしょうね?」

124: 2016/12/20(火) 23:26:55.73 ID:vkqluPDo.net
凛「希ちゃん...どこにいったの?ねぇ?どこ....凛を置いてかないでよ....」

海未「凛....もう今日は遅いです、あとは警察に任せましょう」

凛「嫌だっ!!凛はまだ探すの!」

海未「探すってどこをですか?....あてもなく探したって時間も無駄です!」

凛「でも...でも!!でも!!」

海未「凛......」

凛「だって...あんな手紙おかしいよ、絶対に変だよ!!」

海未「そうですが...手がかりがなさすぎます....」

凛「....海未ちゃんは希ちゃんが心配じゃないの!?」


海未「そんなの心配に決まってるじゃないですか!!」

凛「う、海未ちゃん...?」

海未「...お願いですから...言う事を聞いてください、凛まで何かあったら希に...姉さんに合わす顔がありません」ポロポロ

海未「私は凛のお姉さんなんです、希の分まで凛を守らなけらばいけないんです、だからお願いします...言う事を聞いて....」ポロポロ

凛「海未ちゃん.....ごめんなさい....」

125: 2016/12/20(火) 23:42:46.87 ID:vkqluPDo.net
海未「じゃあ、一旦帰りましょう凛....」

凛「うん.....」


真姫「..........」スタスタ


海未「あれは...花陽の知り合いの西木野さんですね」

凛「あ、本当だ....」


真姫「全く....希ってば手間がかかるんだから...」ぶつぶつ


凛「!!」

海未「今、希って言ってましたよね?凛」

凛「うん、凛もそう聞こえたにゃ」

海未「何か希の手がかりでもあるのでしょうか...」

凛「ねぇ、後をつけてみようよ」

海未「そうですね、手がかりがつかめるかもしれません」

126: 2016/12/20(火) 23:53:33.27 ID:vkqluPDo.net
真姫「ここの神社ね....たしかに得体のしれない感じがするわね」

真姫「まさか、悪霊が憑りついてる神社かしら?」


ことり「悪霊なんてひどいな~」

真姫「出たわね、貴方がこの神社の主かしら?」

ことり「そうだよ、ここは恋愛成就で有名な神社、ことりは恋愛の神様です」

真姫「恋愛の神様ねぇ....」

ことり「....なんでそんな反応するの?」

真姫「貴方の願いで絶賛失恋中の子がいてねぇ....」

ことり「あぁ、あの子のことかな?」

128: 2016/12/21(水) 00:03:44.46 ID:QCj0NN+6.net
真姫「単刀直入に言うわ、希を元に戻して」

ことり「戻す?」

真姫「足と声を返してほしいの」

ことり「...あの子は自分で納得して、願いを叶えたはずだよ?」

真姫「えぇ、でも返してほしいの」

ことり「随分と....自分勝手すぎない?」

真姫「私、自分勝手だから」

129: 2016/12/21(水) 00:11:25.26 ID:QCj0NN+6.net
ことり「戻したら亜里沙って子の命が無くなるよ?それでもいいの?」

真姫「それはだめよ」

ことり「だめって....ふざけてんの?」

真姫「ふざけてないわ....代わりに私の体を好きにしなさい」

ことり「.....貴方の体?」

真姫「えぇ、命でもなんでも持って行きなさい」

ことり「うーん......」

真姫「それならいいでしょ?」

ことり「だめ♪」

130: 2016/12/21(水) 00:23:52.25 ID:QCj0NN+6.net
真姫「だめって...なんでよ!」

ことり「だって、貴方、この世界の人間じゃないでしょ」

真姫「それがなによ」

ことり「私達、この世界の神は違う世界の人間には手を出せないの、だから貴方のそんな言葉も決意もなんの価値もないの」

真姫「そんな.....貴方、神様なんでしょ!」

ことり「うん、恋愛専門の神様ね...でもそっちの世界の専門外だから」

真姫「そんな....なんでよ!じゃあ、一時間でもいい!声だけでも返して!」

真姫「それならそんなに重い代償じゃなくてもいけるでしょ?」

ことり「だから~...貴方じゃ、意味がないの!そもそも貴方からは代価も貰う事ができないの!」

真姫「なんで....希を...希を助けたいのに...なんでなのよ....ハッピーエンドにしなくちゃいけないのに!」


ことり「でも、そこにいる二人なら話は別かな?」

真姫「え?」

海未 凛「...........」

131: 2016/12/21(水) 00:38:58.46 ID:QCj0NN+6.net
真姫「貴方達、なんでここに....」

凛「そんなことはどうでもいいよ」

海未「さっきまでの話は本当ですか」

真姫「隠すのは無理そうね....そうよ、希は願いを叶えた...結果、体も心もボロボロになっている」

凛「そっか....ねぇ、神様」

ことり「何?」

凛「凛の体はどうなってもいいから、希ちゃんをお姉ちゃんを戻して!」

真姫 海未「!?」

ことり「....お姉さん思いの妹さんだね、できなくはないけどお断りします」

凛「え、なんで!?」

132: 2016/12/21(水) 00:52:37.06 ID:QCj0NN+6.net
ことり「無駄なんだよ、このくだりが」

凛「くだり?」

ことり「自分はいいから誰かを救って、代価を払った人を救うためにまた誰かが代価を払う....無駄なんだよ」

凛「凛はそんなこと誰にもさせないにゃ!」

ことり「どうかな?ねぇ、そこのお姉さん」

海未「!?」

凛「海未ちゃん?.....」

海未「私は希も凛もどちらも大切です、私はどっちも守りたいです...自分を犠牲にしてでも」


ことり「ほらね」

真姫「負の無限ループね....だから私がやろうとしたのに....」

134: 2016/12/21(水) 01:05:51.38 ID:QCj0NN+6.net
凛「でも、でも!希ちゃんが!お姉ちゃんが!!」

海未「神様!これが最後です!姉さんを!」

真姫「二人共...。そうね!私も諦めないわ!」

ことり「............」


真姫「人間っていうのはね、自分勝手なのよ!愚かなのよ!自分が望まない結末にあらがおうとするの!」

凛「そうにゃ!」

海未「はい、その通りです!」

真姫「だから人は努力するの、神にも縋っても、自分を犠牲にでも変えようとするの!」

真姫「ここの二人だってそう、それにそれに私だって!」


ことり「そこの二人はともかく、この世界の人間でもない貴方がなんで必氏になるの?一体貴方は何者なの?」

真姫「ただのハッピーエンド主義者よ!」

138: 2016/12/21(水) 01:59:22.47 ID:QCj0NN+6.net
ことり「これを渡して」

海未「これは....飴ですか?」

ことり「それを食べれば一時間だけ彼女に声が戻るから」

凛「わかった!」

真姫「代価は本当にいいの?」

ことり「本当は髪の毛でもいただこうかと思ったけど、今回は本当の特別だよ」

海未「ありがとうございます....これからこの神社には毎日通います!」

凛「凛も!」


ことり「神が人間にあてれられるなんてね....お母さんになんて言えば....」

139: 2016/12/21(水) 02:07:48.36 ID:QCj0NN+6.net
真姫「さて、希のとこに行かないとね」

凛「凛も行くよ!」

海未「私もです!」

真姫「えぇ、貴方達の協力があれば心強いわ、お願いするわ」



真姫「ただいまー」

花陽「真姫ちゃん、お帰り」

希「........」

真姫「花陽、希、ちょっと出かけるわよ」

花陽「え、今から!?どこに?」

真姫「ちょっとね」

140: 2016/12/21(水) 02:19:46.22 ID:QCj0NN+6.net
花陽(真姫ちゃん、希ちゃんを車椅子に乗せて連れ出してどうするんだろ?)

真姫「さっき...凛と海未に会ったわ、こんな時間まで貴方を探していたわ」

希「........」 キコキコ

真姫「とりあえず遅いから家に帰るように言っておいたわ」

真姫「全く、妹に心配かけさせるなんてどっちが姉なんだか」

希「...........」



真姫「ねぇ、貴方はそれで幸せなの?」

希「........」コクッ

真姫「本当かしら?」

希「..........」

真姫「はぁ、めんどうな人ね」

141: 2016/12/21(水) 02:28:07.35 ID:QCj0NN+6.net
真姫「今ならまだ引き返せるかもしれないのよ」

希「..........」キコキコ

真姫「どうするの?時間はもうそんなにないわよ」

希「.........」

真姫「元々、本心を喋らなそうな人だったけど、本当に喋れなくなったら本心が本当にわからないじゃない」

希「..........」

真姫「貴方は大きな代価を払ってこうなっているのよ!貴方はそれでいいの!?」

希「.........」

真姫「はぁ.....」

花陽「真姫ちゃん....」

真姫「仕方ない、そこまで希が頑固だなんて....諦めるか....」


真姫「なんて言うと思った?」

凛「希ちゃん!!」

海未「希!!」

希「!?」

真姫「私、諦めが悪いの」

147: 2016/12/21(水) 22:50:26.41 ID:QCj0NN+6.net
凛「希ちゃん、話は全部真姫ちゃんから聞いたよ」

海未「全く...希は昔から人の為なら、自分が我慢をすればいいって思ってるんですから」

希「........」


凛「凛はね!怒ってるんだからね!!」

海未「はい、私もです!!怒ってます!!」

凛「たしかにあの時は、亜里沙ちゃんを救えたのは希ちゃんだけだったと思う!だからその事については何も言わないよ」

海未「しかし、問題はその後です!もし真実を知って、負い目を感じてしまうかもしれない絵里や亜里沙の前から消えるのはまだ...まだ百歩譲ってまだ納得できます」

海未「でも、なんで私達の前からもいなくなったんですか!」

凛「そうにゃ!凛達は姉妹なんだよ!頼ってよ!」

希「...........」

148: 2016/12/21(水) 23:10:52.51 ID:QCj0NN+6.net
海未「なんで私達からも逃げるんです!!私達の姉妹の絆はそんなものだったんですか!」

凛「そうだよ!!希ちゃんの馬鹿!!」

海未「そうです!希は大馬鹿者です!!」

希「..........」


海未「前々から思っていたんですよ、そもそも希は色々とめんどくさいんですよ!」

凛「え、えっと...海未ちゃん?ちょっと言い過ぎなんじゃ....」

海未「この際だから言います、ささっと絵里に告白でもなんでもしたらどうですか?見ていてイライラするんですよ!」

希「っ........」イライラ


海未「私が気づいてないとでも思っていたんですか?私が絵里と話す度にこっちを寂しそうに見ていたのを!」

海未「おかげで絵里と喋りずらいったらありませんよ!!」

希「っ!.........」カキカキ

海未「そんなものじゃなくて!自分の声で語ってください!!」パシッ

希「!......」

149: 2016/12/21(水) 23:26:59.86 ID:QCj0NN+6.net
花陽「自分の声でって....希ちゃんは喋れないのにどうやって....」

真姫「まぁ、みてなさい」


凛「希ちゃん、この飴を食べて」

希「.......?」

凛「この飴を食べるとちょっとだけ声が出るらしいんだ」

海未「どうしました?妹に口喧嘩じゃ勝てないからって逃げるんですか?」

海未「全く情けない姉ですね、いやーこれじゃあ...どっちが姉かわかりませんねぇ....」

海未「...絵里が振り向かないのも納得ですね」

希「...........」ブチッ


凛「あ.....」パシッ

希「..........」もぐもぐ

海未「...........」

希「さっきから黙ってれば、うちが喋れないのをいい事に好き勝手言ってくれるじゃん!!」


花陽「声が戻った!?」

150: 2016/12/21(水) 23:37:53.85 ID:QCj0NN+6.net
海未「好き勝手?事実じゃないですか」

希「海未ちゃんに...海未ちゃんに私の気持ちの何がわかるっていうの!!」

海未「わかりませんよ、私は希ではないんですから」

海未「言いたいことがあるならはっきり言えばいいじゃないですか」

希「っ!......」

海未「はぁ....不甲斐ない姉ですね」



希「なんなん......」

海未「はい?」

希「うちの....うちの何が悪いの!?」

151: 2016/12/21(水) 23:44:48.46 ID:QCj0NN+6.net
希「こんな体になって!皆の前にどうやって出たらいいの!!」

希「ろくに歩けない!喋れない!こんなうちを見て皆はどう思うの!?」

希「同情して、憐れまれて...皆の負担になって....こんなうちは皆の前からいなくなるべきだったんだよ!」

海未「............」

凛「そんなことないにゃ!!」


希「凛ちゃん...」

凛「いなくなるなんて言わないでよ....凛は...凛は希ちゃんがどうなっても一緒にいたい!」

凛「だから....いなくなるべきなんて言わないでよ....」ポロポロ

凛「っ...うわあぁぁぁん!!お姉ちゃんのばかぁぁぁぁ!!」

152: 2016/12/21(水) 23:58:51.25 ID:QCj0NN+6.net
海未「凛.....そうですよ、希は大馬鹿者です.....」

海未「大馬鹿者です......っく.....」

凛「海未ちゃん......」

海未「凛......」ポロポロ 

凛 海未「うわああああああん!!」


希「凛ちゃん....海未ちゃん......」

真姫「どうする?まだ姉妹喧嘩する?」

希「....はぁ......」

希「全く....本当にお節介さんなんだから...」

153: 2016/12/22(木) 00:14:38.00 ID:DXwuhD0d.net
希「あわわわわ!.....そんなに押さないでよ!」ガタガタ

凛「爆走凛ちゃんトラにゃー!!」

海未「時間がもうそんなにないんです!少し我慢をしてください!」

希「これ、車椅子が出していいスピードじゃないよ!」


真姫「はぁはぁ.....なんであの2人は疲れないのよ...」

花陽「二人共早いよぉ....」

154: 2016/12/22(木) 00:22:50.85 ID:DXwuhD0d.net
絵里「希ったら....どこに行ったのよ....」

絵里「..............」

亜里沙「ZZZZZZZZ」

絵里「なんで私の親しい人は皆いなくなっちゃうのよ.....」

絵里「......希の馬鹿!」



希「ごめんね、エリチ」

絵里「え?」

希「........」

絵里「希?.....」

157: 2016/12/22(木) 00:33:03.41 ID:DXwuhD0d.net
希「........」

絵里「希....どこに行ってたのよ!!」

希「...ごめんなぁ」

絵里「!....その車椅子は何よ?....一体どうしたのよ!!」

亜里沙「う...うーん.....」


希「ここじゃ、亜里沙ちゃんの邪魔になっちゃうから違うとこに行こっか?」キコキコ

158: 2016/12/22(木) 00:45:25.13 ID:DXwuhD0d.net
希「夜だと...屋上からの景色が綺麗やね」

絵里「............」

希「エリチ、そんな怖い顔しないでよ...べっぴんさんなのが台無しだよ?」

絵里「...はぐらかさないで、何があったの?」

希「.........」

絵里「希!!」



希「......ねぇ、人魚姫ってお話知ってる?」

絵里「いきなり....何言ってんのよ」

希「今から話すお話は、とある女の子のお話...最後まで聞いてくれる?」

絵里「.....聞いたら全部説明してもらうからね」

159: 2016/12/22(木) 00:59:10.29 ID:DXwuhD0d.net
希「あるところに1人の女の子がいました、その女の子はとある金髪の女の子の事が好きでした」

希「女の子には、妹が2人いました...女の子は長女でした」

希「その金髪の女の子にも1人だけ妹いました、たった一人の肉親です」

希「ですが、その妹は病を患っていました」

希「女の子はそんな金髪の女の子を少しでも支えられたらと」

希「いつも隣りで彼女を支えていきたいと女の子は思っていました」

希「女の子妹達の金髪の女の子と仲良しで、特に次女の妹は金髪の女の子とその妹と特に仲良しでした」

希「女の子が少し嫉妬してしまうくらいに」


絵里「.........」

160: 2016/12/22(木) 01:07:28.91 ID:DXwuhD0d.net
希「しかし、とある日、妹さんの容態が急変してしまいました」

希「お医者さんは言いました『これからが峠です』と、金髪の女の子は泣き崩れてしまいました」

希「そんな金髪の女の子を見て女の子は思いました、なんで自分はなにもできないのだろうと」

希「大好きな人が隣りで泣いているのに、悲しんでいあるのに、自分は何もできない...そんな自分が嫌になりました」



希「そんな時、女の子の前に神様が現れました」

希「神様は言いました『なんでも一つだけ願いを叶えてやろう』と」

希「女の子は願いました『妹さんの病気を治して』と」

希「そして、無事願いは叶い、妹さんは無事に病から生還しました」

希「しかし、その奇跡には代償があったのです」

161: 2016/12/22(木) 01:18:49.02 ID:DXwuhD0d.net
希「女の子はその代償として、足と声を失ってしまいました」

希「女の子は思いました、このまま自分が金髪の女の子の近くにいても自分はただの足枷になってしまうと」

希「そして女の子は、お別れの言葉を伝えることも好きだという告白も伝えられず旅立ってしまいました」

希「女の子が最後にたどり着いたのは海でした」

希「そして女の子は海の中へと消えていきました....まるで人魚姫が泡となって消えていくように、金髪の女の子への思いと共に」

絵里「希....それって.....」


希「ごめんね、エリチ?」

希「もう、うちには時間がないんよ.....だから言うね」


希「エリチ....大好きでした、この世界の誰よりも....」

162: 2016/12/22(木) 01:23:29.61 ID:DXwuhD0d.net
絵里「待ってよ....じゃあ、希がそうなったのは亜里沙を助ける為にそうなったってこと?」

希「うん、そうやね...でもこれは自分が選んだ道だから」

絵里「で、でも!声出てるじゃない?ほら?いつもの悪戯とかドッキリとかなんでしょ?」

希「本当だよ...今声が出てるのは神様がくれたセカンドチャンスみたいなもの、それにもうそれも終わる」

絵里「そんな....希なんで...なんでそんな事をしたの!」

希「好きな人にはいつも笑顔でいて欲しいやん?」

絵里「...馬鹿っ!そんなんじゃ笑顔になれないわよ!」


希「ご、めん...な。え..リチ」

絵里「希!...声が!!....」

希「そ、ろそロ、時間...みたィや、ネ」

163: 2016/12/22(木) 01:28:20.77 ID:DXwuhD0d.net
希「ねェ、コタ。えを..きカ、せて?」

絵里「希.....」

希「これガ、最初デ。サ、いゴのうちの..告白ダか、ラ」

絵里「.....本当に馬鹿!!」

希「え?」

絵里「そんなの好きに決まってるじゃない!!」

希「!?」

164: 2016/12/22(木) 01:37:50.63 ID:DXwuhD0d.net
絵里「何よ!さっきから黙って聞いてれば!私だって!私だって!!」

絵里「希の事が大好きよ!!」

希「エり、ち?」


絵里「私だってずっと思いを告げたかった!」

絵里「でも、妹がこんな状態で貴方を幸せにできるなんて思わなかった!」

絵里「亜里沙も私の唯一の肉親、一人にはできない!どっちかを選ぶなんてできない!」

絵里「だから悩んだわよ!!海未に希に付き合ってる人や気になってる人とかがいないか会うたびにこっそり聞いてわよ!」

絵里「だから亜里沙が病気が治った時は嬉しかったわよ!!妹も幸せに暮らせる!希にも思いを告げられるって」

絵里「でも、貴方はいなくなった...この気持ちわかる!?」

165: 2016/12/22(木) 01:40:55.83 ID:DXwuhD0d.net
希「........」

絵里「絶対に許さないわ」

希「....ごめ、ンね,エリ。ち」

絵里「........」スタスタ

希「?」


絵里「..........」ぎゅっ

希「へ?」

絵里「もう絶対に離さない....私が許すまで私から離れないこと...」

希「え、エ?」

絵里「これは命令よ、私の隣りにずっといなさい、私は貴方とこれからを共に歩んでいきたい」

希「っ........」ポロポロ

絵里「ずっと私のそばにいなさい.....」ポロポロ

希「.......はい....」ポロポロ

166: 2016/12/22(木) 01:43:04.71 ID:DXwuhD0d.net
海未「どうやら間に合ったみたいですね」

凛「お姉ちゃん.....幸せそうにゃ」

花陽「うん!よかったね!」

真姫「全く、本当に面倒な人達なんだから.....」


花陽「真姫ちゃん!」

真姫「何よ?」

花陽「やったね!」

真姫「....そうね」

167: 2016/12/22(木) 01:47:20.99 ID:DXwuhD0d.net
絵里「希、今日の夕飯はどうする?」

希「う~ん、今日はエリチのボルシチがいいかな」キコキコ

絵里「また!?好きね、希も」

希「うん♪エリチの手料理大好き!」キコキコ

絵里「全く調子がいいんだから」

希「えへへ~」



亜里沙「このお花綺麗です!」

海未「これは紫陽花っていう花です」

亜里沙「ハラショー....」

海未「おや...亜里沙、見てくださいこの紫陽花を」

亜里沙「え?あ!この色は」

海未「二人が帰ってきたら見せましょうか?」

亜里沙「はい!」

168: 2016/12/22(木) 01:51:25.23 ID:DXwuhD0d.net
花陽「ふぅ...今日は珍しくお客さんが来てくれてよかったー」

凛「かよちんお疲れ様」

花陽「凛ちゃん、お手伝いありがとう♪助かったよ」

凛「かよちんの為ならお安い御用にゃ~」

花陽「ありがと....ん?なんだろこの写真?」

凛「ん?あ!凛が写ってるにゃ~でもこんな服は凛は持ってないよ?それに撮った覚えも」

花陽「でもこの凛ちゃん、すっごくいい笑顔をしてるね」

凛「たしかにそうかもしれないにゃ~」

花陽「不思議な写真だね」

169: 2016/12/22(木) 01:56:51.18 ID:DXwuhD0d.net
ことり「本当によかったの?皆のここ何日間の貴方や私に関する記憶とかが消えちゃったけど」

真姫「えぇ...でもまさか貴方がそこまでサービスしてくれるとは思わなかったわ」

ことり「これでも恋愛の神様だからね、あの子の足までは無理だったけど」

真姫「声を返してくれただけども良心的よ...さすが神様」

ことり「全く、調子がいいんだから.....」

真姫「ふふっ」

ことり「だって、こんなに幸せそうな写真を見せられたら心揺らいじゃうよ」

真姫「貴方のおかげよ、これからもあの二人の愛を見守ってあげて」

ことり「はいはい....全く神様使いの荒い人なんだから」

170: 2016/12/22(木) 02:01:18.55 ID:DXwuhD0d.net
にこ「お届け物ですー」カランカラン

絵里「はーい」

にこ「判子お願いしまーす」


絵里「えっと、私と希宛の荷物だわ....何かしら?」

希「開けてみようっか」ガサゴソ

絵里「これは.....」

希「硝子の花?」

絵里「水色と紫色のが一輪ずつ入ってるわ」

希「綺麗.....」

絵里「そうね...でも誰が一体これを?」

171: 2016/12/22(木) 02:04:29.28 ID:DXwuhD0d.net
真姫「.....二人とも、私の贈り物気にいってくれたみたいね」

真姫「いい笑顔ね....」パシャ

真姫「さて...次の世界にはどんな貴方達が待ってるのかしらね」

真姫「..........」スタスタ




真姫「!........」クルッ

真姫「ハッピーエンドね」

172: 2016/12/22(木) 02:06:06.08 ID:DXwuhD0d.net
これでおしまいです
長々と、最後までお付き合いいただきありがとうございました

後、今週は夜更かし投稿できなくてごめんなさい

173: 2016/12/22(木) 02:07:46.11 ID:jqZ+Js2E.net

174: 2016/12/22(木) 02:12:58.61 ID:TlQ1qrVJ.net
おつかれさまです

引用元: 真姫「ただのハッピーエンド主義者よ」