2: 2010/07/21(水) 00:27:15.32 ID:B8TUEAp10
少女「……」
男「いや、黙っていてもね?」
少女「……この間、上げてくれたし!」
男「そりゃ、夜中にドアの前に座ってたら気にもなるさ」
少女「じゃあ、鍵忘れたから母さん帰ってくるまで置いて」
男(じゃあ、って……)
少女「……だめ?」
男「あー……」 ポリポリ
 ~~♪ ← 炊飯器のメロディ
少女 グゥゥ~~
少女「!!」 ///
男「……ああー、あ゙ー、もう! …………仕方ない、入って」
少女「!!」 パァァ
男「……今日だけだからな?」
少女「うんっ!」

3: 2010/07/21(水) 00:27:25.83 ID:B8TUEAp10
  ----

男「……という夢を見たんだ」
友「疲れてるんじゃね?」
男「だろうなぁ」

4: 2010/07/21(水) 00:27:41.82 ID:B8TUEAp10
 ----

男「ただいまー……」
少女「お帰り。雨降ったから洗濯物入れておいたけど生乾きだったし部屋干しにしちゃった」
男「…………」
少女「どったん?」
男「いや、ありがとう。助かった」
少女「にしーwwww」

男(言えないよなぁ……そのままこの子居ついたとか) ハァ

少女「……どったん?」
男「……なんでも。炊飯器は?」
少女「これからスイッチ入れるー」
男「おっけ、んじゃこれ、盛り付けて」
少女「あいおー。 ……お、カニクリームコロッケじゃん」
男「……つまみ食いすんなよ?」
少女「しないよっ!」

5: 2010/07/21(水) 00:27:53.26 ID:B8TUEAp10
 ----

男・少女「「ごちそーさまでした」」
少女「んじゃ食器洗うね」
男「いや、俺がやるよ」
少女「でも……」
男「……なんか、お前にやらせるのが当たり前になるのが怖い」
少女「……?」
男「ああ、うん。たまにやらないと勘が鈍りそうってこと」
少女「そーゆーもん?」
男「そーゆーもん」

6: 2010/07/21(水) 00:28:05.15 ID:B8TUEAp10
 ジャー ガチャガチャ

男(……。
  隣の人、水商売の人らしいって話は聞いてたけど。
  あんまり家に居ないみたいだし……でもなぁ、何か突っ込んだ話するのもなぁ。
  ……ああ゙ー、流されてんなぁ俺)

少女「……なー」
男「ん、どした?」
少女「めいわく……か?」
男「……ぶっちゃけ」
少女「そか」
男「……まぁ、なんというかアレだよ」
少女「?」
男「子供なんて大人に迷惑かけてナンボだ。それにホラ、洗濯物とか助かったし」
少女「……」
男「……だからまぁ、気にするならせめて子供らしくしててくれ。でもちょっと自重してくれ」
少女「……おとこの話はむずかしい」
男「ああー……うん、ごめん」
少女「……ごめん」

7: 2010/07/21(水) 00:28:17.08 ID:B8TUEAp10
男「……」
少女「……」
男「……」
少女「ふきん、かして。拭く」
男「ん」 ポン
少女「ん」 キュッキュ
男「……」 ジャー ジャバジャバ カチャ
少女「……」 キュッキュッキュ

8: 2010/07/21(水) 00:28:28.25 ID:B8TUEAp10
 ----

男「……お母さんは?」
少女「今日も帰ってきてない」
男「そうか…………あー……ああ゙ー……」 ポリポリ
少女「……んなー」
男「うん?」
少女「『ああ゙ー』ってよく言ってるけど、困ってる?」
男「……割と」
少女「…………居ない方が良い?」
男「意外と居てくれる方が落ち着く」
少女「うーん……おとこはよくわからんね」
男「俺もわかってない」
少女「そーゆーもん?」
男「そーゆーもん」
少女「居ても良い、の?」
男「……いいよ」
少女「そか」
男「そうだ」
少女「にへへーwwwww」

9: 2010/07/21(水) 00:28:39.54 ID:B8TUEAp10
 ----

男「……ふぃー」 カパッ
友「なんだ、彼女でもできたのか? その弁当、どう見ても手作りだろう卵焼きよこせ」
男「ところがぎっちょん卵焼きとごはん以外はレンジでチンチンチンな主婦の助っ人様詰め合わせだ」
友「……mjd?」
男「マジだ」
友「ときめきを返せ」
男「伝説の木の下に埋めておけ。良い養分になるだろ」
友「伝説の木は桜なのか。というか俺のときめきは氏体なのかよ!?」
男「……こんなねじくれたボケに付き合ってくれるお前を割と尊敬してるぞ」
友「そりゃどーも。で、どういう心境の変化だ?」
男「まぁ、色々」
友「口リコンをこじらせたか」
男「……否定できないのが辛いところだな」
友「うわ、マジで引いた。どっ引き」
男「だよなぁ」
友「しかも黄昏てる。きめぇ」
男「……ここぞとばかりに全開だな」
友「アイニネンレイハカンケイナイヨ」
男「あー、それはそれで面倒だからパス」
友「どないやねん」

10: 2010/07/21(水) 00:29:01.35 ID:B8TUEAp10
友「で、まずは詳しく話を聞かせてもらおうか」
男「……食い終わったらな」
友「んじゃお茶取って来るわ」
男「サンキュ」

 ----

男(なんであいつはお茶持ったままナンパしてるんだろう……?)

 ----

友「……悪い悪い」
男「ゆっくり食えたからそれはそれで」 ゴッソーサン

11: 2010/07/21(水) 00:29:16.89 ID:B8TUEAp10
 カクカクシカジカ

友「……つまりこの間の夢の話は現実でしたとこの口リコンめ」
男「大まかな線では」
友「光源氏計画か美味しく育てて食べちゃおう作戦かこの口リコンめ」
男「……その、口リって言ってもだな」
友「おう」
男「あー、ああ゙ー…………」
友「何故そこで困るんだ」
男「えーとだな……お前と身長そう変わらん」 >>160cmぐらい
友「……えっ?」
男「そのくせ言動はモロ小学生だ」
友「……よし、いいこと思いついた」
男「おう、聞こうじゃないか」
友「もげろ」 ニッコリ
男「断る」 ニッコリ

12: 2010/07/21(水) 00:29:29.14 ID:B8TUEAp10
男「で、目下の問題は食費だな。割と食うんだこれが」
友「一気に所帯臭くなったな。てっきり良く育った身体で無防備にくっついてくるとか自慢されるのかと思ったぞ」
男「それはないな」
友「ないのか」
男「微妙にがっかりしているのが気になるが、どーも人に触られるのが嫌いらしい」
友「つまり開発し放題の未開の地なわけだ」
男「……なんだかだんだんお前の方がよっぽど危ないんじゃないかという気がしてきた」
友「」
男「どうした?」
友「口リコンに口リコン指摘されるとは……」
男「……お前との友情を少し考え直さないといけないような気がしてきた」
友「冗談だ。……あー、じゃあ俺のバイト先に話通してみるわ」
男「……mjd?」
友「こんなことで嘘を言っても締まらんだろ。まぁ、確実じゃないからそっちでも探しておいてくれ」
男「悪い、頼む」
友「いいってことよ。だから今度紹介してくれ」
男「……」 ジト
友「あらやだ男の嫉妬は醜いわよ?」 クネクネ
男「小学生相手にマジセクハラしそうで不安なんだよ」
友「安心しろ、彼女にするなら俺より背が低い子がいい」 キリッ
男(あんまり安心できない……)

13: 2010/07/21(水) 00:29:44.43 ID:B8TUEAp10
ここまでコピペ。

15: 2010/07/21(水) 00:36:38.36 ID:B8TUEAp10

 ----

男「ただいま」
少女「おかえり。……今日は新聞の勧誘撃退しておいた」
男「……こじれると面倒だから居留守使っていいぞ」
少女「ん。だから無視した」
男「えらいえらい」
少女「ばんごはんは?」
男「魚」
少女「ええー……」
男「好き嫌いは許しません」
少女「……がんばる」
男「がんばれ」 ニッ
少女「……」
男「炊飯器は?」
少女「あ、セットしてるよっ! スイッチオーンっ!」 ピッ
男「うし、網はどこだっけな……と」

16: 2010/07/21(水) 00:43:33.73 ID:B8TUEAp10

 ----

男「どうよ?」
少女「骨も皮も取りやすい……っ!」
男「俺も小さい頃は魚苦手だったんだけどな。食べやすいのから慣らしていって今じゃ好物だ」
少女「おおー……」
男(やっぱり店屋物ばっかりとかだったんだろうなぁ……)
男「ま、冷めないうちにな」
少女「うんっ!」 パクッ モグモグ
男「……ん、やっぱ旬の魚は美味しいわ」 モグモグ
少女「んめー……」 キラキラ
男「はは、ヤギみたいだ」
少女「……おいしい、です」
男「……ククッ」
少女「わ、わらうなぁ!」
男「ごめんごめん」

17: 2010/07/21(水) 00:48:57.39 ID:B8TUEAp10

 ----

男「そいでさ、ちょっと悪いお知らせ」
少女「なにー?」
男「バイト始めるから、家に居る時間は少なくなると思う」
少女「……んと」
男「鍵、失くすなよ?」
少女「もしかして、しょくひ?」
男「まぁ、ぶっちゃけ」
少女「お母さんから通帳預かってるから……出すよ?」
男「そこはそれ、男の沽券というか甲斐性というかね」
少女「カイショーナシ……?」
男「どこで覚えるんだそういう言葉」
少女「クラスのみっちゃんがよく言ってるの」
男「ああー……まぁ、その内分かるよ」
少女「わかった、あとでかんがえる」
男「そうしてくれ」

18: 2010/07/21(水) 00:57:57.83 ID:B8TUEAp10

 ----

チーフ「……というわけで、新入りの男君だ」
男「よろしくお願いします」
友「ま、すぐに慣れるって」
女「……前に言ってた友君のツレって君かぁ」
男「あ、はい」
女「そんなかしこまらんでも。同い年やし……えっと、同じ大学なんよね?」
友「おう」
女「せやったら同学年っつーことで、硬いのはナシ! ね?」
男「あー……うん、改めてよろしく」
女「ん、よろしゅう!」


女「――で、ペットの子猫ちゃんてホンマに可愛いん?」
男「!?!?」

19: 2010/07/21(水) 01:05:26.44 ID:B8TUEAp10
男「ちょ、待てやコラ」 ガシッ
女「ごめんごめん。ウチが無理やり聞きだしたんやからそう怒らんといたって!」
男「それは……」
友「そうそう、ワイは姐さんに逆らえへんねや……勘弁しとくれやす……」
男「お前が言うな」
友「サーセン」
男「……ハァ。 とりあえず、他言無用でお願いします」
女「んー……」 ニヨニヨ
男「いや本当、色々と拙いのは分かってるんですけど見捨てるに忍びなくて……」
女「……ふーん、女難の相? 話より面白そうやん、気に入ったわ」 ニコー
男「えっと……」
友(話し合わせとけ、姐さんに気に入られたら色々お仕舞いだけどなんかもうそれも天命ってことで) ボソボソ
男(……分かった) ボソボソ
女「悪口の予感!」 ビシッ
友「あいたぁ!」
男(高速デコピン!?)
女「ま、男君は今日が初日やから勘弁しといたろ」

チーフ「……君たち、仲良くね?」 ハラハラ
女「ばっちり親睦は深まりましたから大丈夫ですー」
チーフ「そ、そう……かな……?」

男(力関係が謎だ……)

21: 2010/07/21(水) 01:09:50.84 ID:B8TUEAp10
えっ 時々は休憩させてくださいよ

23: 2010/07/21(水) 01:16:27.98 ID:B8TUEAp10

 ----

男「……あ゙ー」
少女「おつかれさま」
男「……た、ただいま」
少女「あい、おかえりなさいっ! えっと……カレー! 作ってみたんだけど……」
男「うん、いい匂いだ。ありがとう」
少女「えへへー」 ニコッ
男「怪我……とか、しなかったか?」
少女「だいじょうぶ、調理実習とかあったし、おとこが作ってるの見てたしっ!」
男「そっか」 にへら
少女「……」
男「?」
少女「!! えっと、座ってて! 疲れてるでしょ?」
男「あー、うん。ちょっとボケてる」
 (……主に女さんの超テンションのせいで)
少女「おつかれさまー」

25: 2010/07/21(水) 01:27:25.80 ID:B8TUEAp10

 ----

男・少女「「いただきまーす」」
男「……うまっ」
少女「お母さんが、ルゥは混ぜるものだって言ってたの思い出して」
男「ああうん、ウチのも……なんだっけ、ジャワと熟混ぜてたな」
少女「家にあったの、バーモントとこくまろだったので、それで」
男「へぇー……やっぱ家カレー最強だなぁ」 モグモグ
少女「……うん」 モグモグ
男「……ごめん、無神経だった。お母さんまだ帰ってきてないんだね」
少女「でもね、あの……通帳なんだけど、振込みあったから」
男「……」
少女「元気にしてるってことだと思う」
男「……よかったな」
少女「うん」 モグモグ

26: 2010/07/21(水) 01:33:00.10 ID:B8TUEAp10
男「……」 モグモグ
少女「……」 モグモグ
男(……んー、まずったな。頭回ってない)
少女「……でも、あの」
男「うん?」 モグモグ
少女「おとこ、居るから。……さびしくない」
男「……」 ゴクン
少女「……ハクジョウ、かな?」
男「いや、うん。帰って来たら一杯甘えればいいんじゃないか」
少女「そ、だね」
男「あと、アレだ」
少女「うん」
男「疲れて帰ってきて、おかえりって言ってもらうの、嬉しいから」
少女「……うん」
男「お母さんが帰ってきたら、ちゃんと言おうな」
少女「…………うん」

27: 2010/07/21(水) 01:39:47.14 ID:B8TUEAp10

 ----

男・少女「「ごちそうさま」」
男(……やばい、寝そう)
少女「ねむい?」
男「……結構。いや、かなり」
少女「おふとんひいとくから、はみがき先にして」
男「あ゙ー、うん」
少女「ね?」
男「……わかった」
少女「そうと決まったら立った立った!」 バシバシ

 ----

男(……あー、疲れてるとはいえ相当駄目になってるなあー)
少女「おやすみ」
男「……おやすみ」

 ギィイ バタン ガチャ

男(……もしかして。
 …………。
 もしかして、もしかしなくても、あいつが居ないと駄目になってるのか?)

29: 2010/07/21(水) 01:53:02.31 ID:B8TUEAp10

 ----

男「おつかれさまでしたー」
チーフ「お疲れ様でした」

 ----

女「あ、ちょいちょい待って! 待ってってば!!」
男「……なんでしょう?」
女「送ってって」 ニッコリ
男「え゙」
女「あ、何その嫌そうな顔! ちょっと傷ついたー?」
男「女さんでかいんですもん。友がちょっと拗ねるぐらい」
女「でも君よりか低いし。というか身長での差別は良くないよ? これでも女の子だもん」
男「」
女「うわ、『そんな台詞聞きたくないわ』って顔してた今」
男「……いや、だって」
女「向こう町よね? 方向一緒じゃん。んでさ、これまで時間合わなかったし? ちょっとお話したいなーって」 キラキラ
男「好奇心一杯の顔してますよ?」
女「あ、分かる?」
男「分かりますよ」
女「それにホラ、君って安牌やし」
男「」
女「ホント考えてること顔によー出るなぁ!」 ケラケラケラ

30: 2010/07/21(水) 01:59:59.58 ID:B8TUEAp10

 ----

女「あ、ウチここの辻向こうやわ」
男「んじゃ前まで送りますよ」
女「何言ってんの?」
男「……」
女「子猫ちゃん見してもらうにきまっとるやん」
男「やっぱり」 ハァ
女「そんな大切にしとるんやしさぞかし可愛いんやろなぁ……」
男「……家猫というより子猫というより、立派な野良猫って感じですよ」
女「それとさ、なんで敬語なん?」
男「ああ゙ー……」
女「ウザイって思ってる、距離を取りたい?」
男「分かってるなら勘弁してください」
女「んー、ま、多分空気読んでるし。それにアレや、一人やったらよー面倒見きれんこともあるやろし、
  面通しぐらいしてもええんちゃうの?」
男「!」
女「な?」
男「……分かりましたよ。でも、その、あんまり脅かさないでくださいね?」
女「ん、ちゃんと猫被っとく。子猫だけにwwwww」 ケラケラケラ
男(……大丈夫か?)

31: 2010/07/21(水) 02:08:36.57 ID:B8TUEAp10
男「……ただいま」
女「おじゃましますー」

少女「……おかえりなさい」

女「おっ」
男「えーっと……」
女「ああ、自己紹介なら自分でするわ。
  はじめまして。ウチ男君のバイト先の同僚で女いいます。よろしくー」
少女「少女……えと、よろしく」

女(……なぁ)
男(なんですか?)
女(まさか思うけど、監禁とか?)
男(合鍵渡してるんですよ。寝る時には帰ります)
女(隣やろ? ほぼ同棲やん。聞いてないで)
男(言えるわけがないでしょう)
女(それもそか)

32: 2010/07/21(水) 02:21:31.06 ID:B8TUEAp10
少女「あの……」
女「あ、悪い悪い。上がらしてもらいますー」
男「近くに住んでるって言うから寄ってくって……」
女「そうそ、二人より三人で食べた方が賑やかだしさ。
  それにウチ、少女ちゃんと友達になりにきてん」
少女「……えっ?」
女「別にとって食う訳ちゃうって。
  ちょっとしか話聞いてないけど、困った時に手を貸せる人が一人から二人になる……そう思ってくれへん?」
男(……胡散臭ぇー)
少女「あの、えと……」 オロオロ
男「見ず知らずの他人でも、ま、ちょっとは気にしてくれる人も居るってこと」
少女「やだ……おとこだけでいい」 ボソッ
女「お……?」
男「えっ」
少女「かえって」
女「あー……なるほど」
少女「……帰って!」
男「おいおい、いきなりそれは……」
女「いや、いきなり寄ってくゆーたのウチやし、おとなしく帰るわ。
  ウチの名前は『女』。よー覚えとき」
少女「帰って!!」
女「ごめんな、男君。また今度~」

34: 2010/07/21(水) 02:31:07.63 ID:B8TUEAp10
女(……フォローしたって。もうわかっとるやろ?) ポソッ
男「! ……また今度」
女「ほな!」

 バタン

少女「……」 フーッ フーッ フーッ...
男「あー、ごめん。急だったから」
少女「……」 ジッ
男「…………夕飯、今日は俺の当番だよな。炊飯器のスイッチ入れてくれるか?」
少女「…………うん」 ピッ
男「さて、今日の晩御飯は格安牛肉を使ったうまうま牛丼だぞ、と」
少女「……」
男「テーブル拭いて」
少女「わかった」


少女「…………ごめん、なさい」 ボソッ


男(さて、どうしたもんかな……)

35: 2010/07/21(水) 02:39:52.94 ID:B8TUEAp10

 ----

友「……なーんか」
男「うん?」
友「姐さんと男の間に微妙な空気。もしかして二股か! この俺というものがありながら!!」
男「よし伝説の木の下に埋まって来い。奈良梨取考貸してやる」
友「持ってるのかよ! てか借りたのお前の方じゃねーか!」
男「もう読んだって話。あいつ、勝手に読んだみたいでトイレ行くときちょっとプルプルしてた。鏡が怖いみたいだ」
友「うわ見てぇ」
男「いや見せられないから」
友「ということは貸した奴にはその子の手垢が……」
男「新品買って返せばいいんだな? ああ、手垢がいいなら古本でいいよな!」 ニッコリ
友「おお……男が虫けらを見るような目で……!」

チーフ「えっと……働いてね?」 オロオロ

女「……」

36: 2010/07/21(水) 02:49:25.97 ID:B8TUEAp10
休憩がてらメモ

男:多分大学生 身長はここまでの話を総合すると170ぐらいの模様 ボケが婉曲
少女:多分小学校高学年 身長は160ぐらいで多分アメンボみたいに細い
少女の母:まだ出てきてない。水商売の人。

女:似非関西弁 大体少女と同じぐらいの背 押しが強い
友:変態 自称160だがギリギリで届いていない悲しい低身長
チーフ:空気 マネージャーでも良かったかもしれない何処かのファミレス漫画みたいに

37: 2010/07/21(水) 02:57:19.51 ID:B8TUEAp10
女「……よしっ!」
友「お」
男「?」
女「男君! 上がったらちょっと付き合って!!」
男「あ、はい。いいですよ」
友「あらやだ情熱的!」
女「友ぁ! あとでシバく!!」
友「ひゃあ! 勘弁ですよ姐さん!!」
女「……ふんっ!」

チーフ「だから……ああ……」 オロオロ

 ----

女「男くーん! 待ったぁ?」 ニッコリ
男「待ってません。えっと、スーパー閉まる前に特売拾っときたいんで、手短に」
女「……所帯じみとるなぁ」
男「実際そんなもんですよ」

38: 2010/07/21(水) 03:06:47.04 ID:B8TUEAp10

 ----

女「で、あの子はどんな様子?」
男「割と普通ですね。だけど上手くフォローはできませんでした」
女「あー……でも、落ち着いとるんやろ?」
男「……却って距離を取るようになってしまった感じですね」
女「そりゃ、難しいなぁ」
男「変に優しくしてもお互いにとって良くないでしょうし、かといって今更離れられるほど……
  あの子も、俺も、お互いが居るのに当たり前になりすぎてる」
女「……そっかぁ」
男「…………」
女「なに、あたしの顔になんか付いてる?」
男「いや、そういう表情もできるんだなって……失礼しました」
女「あー……ま多少作ってる部分、あるからね。多分、あの子も」
男「……」
女「帰るとき、あんた気付かへんかったみたいやけど、あの子、しまったって顔してた」
男「それは……」
女「察するに、碌に叱らへんかったやろ?」
男「………………はい」
女「せやから遠慮しとんねん。女の子は成長早いからなぁ……分かってないように見えて、
  色々ちゃあんと分かってたりするから……だからな、ちゃんと話し?」
男「はい」

39: 2010/07/21(水) 03:22:13.60 ID:B8TUEAp10
女「そ・れ・と!」
男「?」
女「いまいちわからへんのはあんたの気持ちや。
  ……あの子が居るのが当たり前、言うたなぁ?」
男「……」
女「せやけど、ちょっと、態度に出さなさすぎてるんちゃう?」
男「それは……」
女「そりゃ、外聞悪いで? せやけど……なんつーたらいいんかな」
男「俺も、良く分かってないんですけど……」
女「……言うてみ?」
男「妹、というか、家族……でも、血は繋がってなくて、そういうこと、あるんだろうって。
  ……割り切って、期待するのは……何か違うんじゃないかって」
女「それは……」
男「あの子が、同じように……そうじゃなくて、えっと……」
女「……がんばり。待つから」
男「家族みたいで居るために、恋人になるって……お互いに期待してたら、多分それは間違ってる」
女「……」
男「だから、自信が持てないんだと思います」
女「……アホらし」
男「えっ」
女「○玉が反応せんかったら家族、反応するなら恋人やん。おんなじように女だって肚で判断するわ。
  あんたの糞真面目さ自体が多分間違っとる」
男「でも、そんなの……!」
女「もう一度言うで? 女の子は成長早い。だから、今言ったようなことをちゃんと話しなさい。以上」
男「……」
女「ここの払いは姐さんが持ったるから、はよスウィートホームに帰れ」
男「………………わかりました」

43: 2010/07/21(水) 03:32:30.75 ID:B8TUEAp10

 ----

男(あれ、隣に電気が点いてる……。
  ということは、お母さんが帰ってきたのか?
  色々あったけど……うーん、なんというか、さっきは勢いで言ってしまった気がするから
  冷却期間があるのはいいことだな。
  ほら、ラブレターは一晩寝かせろって先人も言ってるし。

  ……。

  いやラブレターって! ラブレター……)

 カン、カン、カン...チャリッ

男(電気……やっぱり点いてないな。隣なのか……)

 ガチャ

男「ただいまー……って、習慣は怖いな」








少女「……あの、お帰りなさい」
男「!?」

45: 2010/07/21(水) 03:44:51.30 ID:B8TUEAp10
男「え、ちょ、どうして……?」
少女(しっ) コソッ
男(……どういう、こと?)
少女(…………お母さん、帰ってきてない。隣に居るの、お母さんの彼氏とかいう人)
男(えっ)
少女(いきなり部屋に入ってきて……びっくりして、それで)
男(逃げた……のか)
少女(うん……)

隣の男「くそっ、何もないじゃねえか!」

男(! そうか、壁薄いから……)
少女(……ごめん)
男(…………)

 なでなで

少女(!?)
男(えっと、結構最初に言ったから覚えてないかもしれないけどさ。
  ……ああ、違うな)
少女(……?)
男(俺は、お前に、ここに居て欲しいと思ってる。だから、迷惑じゃない)
少女(……居ても良い、の?)
男(ああ)
少女(…………)
男(?)
少女(にへへーwwwwww) ニッコリ

46: 2010/07/21(水) 03:51:25.05 ID:B8TUEAp10
男(……と、そうだ)

 ~~♪

男「テレビ付ければこそこそしなくてもちょっとは紛れるだろ」
少女「おお……おとこ、あたまいい」
男「だろ?」 ニッ
少女「でも、今日、当番だったのにごはんつくってない」
男「ま、それは今からやるよ。ずっと気を張ってて疲れただろ? 座ってテレビ見てな」
少女「……うん」

男(さて……冷蔵庫の中身は、と。ご飯残ってる……なら、そんなに待たせずに済みそうだな)

50: 2010/07/21(水) 04:12:28.49 ID:B8TUEAp10

 ----

 ガサッ ガサガサッ

男・少女「「ごちそうさまでした」」
男「……隣、まだ居るみたいだね」
少女「…………うん」
男「仕方ない……か。泊まってく?」
少女「……いいの?」
男「いいの」
少女「……ごめん」
男「……着替えは俺のでも入るよね」
少女「えっと、多分……」
男「ま、念のために割と小さいの選べばいいか……」
少女「……」
男「ま、なんとでもなるよ。心配すんな」
少女「あの……ね?」
男「ん?」
少女「ありがとう」
男「ん。どういたしまして」
少女「……うん」

51: 2010/07/21(水) 04:18:24.43 ID:B8TUEAp10

 ----

男「……あー、結局朝までがさがさ言ってたなぁー」 ショボショボ
少女「…………学校」 ショボショボ
男「うあー、そうだ。それがあった」
少女「……帰った感じ、した?」
男「いや、ドアが開く音はしてないから……多分中で寝てるはず」
少女「………………」
男「休んでいいと思うぞ、風邪とかなんとか言って」
少女「でも、お母さんとの約束……」
男「そんな寝不足で行っても本当に体調壊すだけだと思うぞ」
少女「そう……かな」
男「なんなら俺も居ようか? 自主休講ってことで」
少女「……だめだよ、学校には行かないと」
男「うぐっ……ごめん」
少女「……えへ」
男「ま、寝るにしても何か食べよう」
少女「そだね」

52: 2010/07/21(水) 04:28:36.65 ID:B8TUEAp10

 ----

女「おっ、昨晩はお楽しみでしたね? このこのー」
男「あ、そういえば大学で女さんに会ったのは初めてかもしれませんね」 ショボショボ
女「スルー力の衰えないたった一つのボケ頃し! きっついなー自分」
男「あふぅ……まぁ、色々とそれ所じゃなかったので」
女「んー? んー……焚き付けた側としてはちょっと詳しく話を聞きたいところだけど?」
男「……あー、次の講義……出席足りてる……か?」
女「どの道その様子やったら頭に入らへんて。ほら、カフェテリア行こ?」
男「カフェ……コーヒー入れないと」
女「はいはいそれぐらいおごったるから。フラッフラやん」
男「ううっ……心配……」
女「何がやねん。というか着くまでは起きといてよめんどいなぁ!」

友「……そんな、私というものがありながらその泥棒猫を選ぶのね!?」

女「居たの?」
友「酷いッッッ!!」

53: 2010/07/21(水) 04:41:49.25 ID:B8TUEAp10

 カクカクシカジカ

女「なるほどねー」
友「というか、そもそも少女ちゃんと姐さんが会ったことがあるってのが初耳なんだけど」
男「ううっ……カフェインが効かない……」
友「まぁ順調に光源氏計画は進んでいるとして……」
女「あ、あの子、私と同じかそれより高いからあんたより確実に背ぇ高いよ?」
友「クリティカルヒット! 友の冒険は、ここで終わってしまった……」 ガクッ
女「何か、探し物……というか着替えとかどーしてんの。
  何日も居座るようやったら男君の貸すだけじゃ足りないでしょ」
男「あー……考えてなかった」
女「ったく役に立たないなぁ……友君!」
友「……アイマム」 スチャッ
女「男君をアパートまで送ってって。私は買い物してく」
友「アイマム!」
女「で、男君」
男「……はい」
女「あの子に、私たちが行くってこと納得させて」
男「あ、でも……」
女「なに?」
男「どうしてそこまで……?」
女「義を見てせざるは勇なきなり? ま、乗りかかった船ってやつよ」
友「俺は一目でいいから、こいつがぞっこんっていう子猫ちゃん見てみたい」
女「表現が古い」
友「姉さんキツイっす」
女「立て替えとくから、ちゃんと払いなさいよ?」
男「……ありがとう、二人とも」

55: 2010/07/21(水) 04:51:59.32 ID:B8TUEAp10

 ----

男「えっと……ただいま」
友「おじゃましますー」
少女「……!」 ビクビク
友「……男、自首しろ」
男「いや、合鍵渡してるから」
友「知らないのか? 未成年者誘拐ってのは『保護者から見えないところに置く』時点で成立するんだぜ」
男「ラノベ知識か?」
友「Exactly.(その通りでございます)」
少女「えっと……」
男「あー、何度か話題に出したと思うけど、友だ。事情聞いて、お前の手助けがしたいってさ」
友「うっす。こいつの悪友の『友』だ。ま、コンゴトモヨロシクってことで」
少女「よ、よろしく?」
男「それと……女さんも、あとで合流する」
少女「!!」
友「……ああ、姐さんは俺のいわゆるカノジョだからこいつとは何の関係もないぞ?」
男「!?」
友(いや、話合わせろよ)
男「だから……えっと、友達になりたいっていうのもきっと本心だから」
少女「……わかった」

56: 2010/07/21(水) 05:03:02.96 ID:B8TUEAp10
男「それで、何か変わったことはあるか?」
少女「多分……もう帰ったと思う。そんな音がした」
男「そう……か」
友「なんだ、俺の出番無しか?」
男「いや、結構派手に散らかしてたみたいだから、どの道片付けないと」
友「それもそうだな」
女「……なんや、入り口詰まっとるなぁ」
少女「!!」
女「お、久しぶり。元気にしとったか?」
少女「……この間は、ごめんなさい」
女「ええってええって。ホラ男どもとっとと入れ!」 ゲシッゲシッ
友「いてっ」
男「おう」
女「おじゃましまーす」
少女「えっと……いらっしゃいませ?」



友(……しかし)
少女「?」
友(凹むわぁ……) ズーン

57: 2010/07/21(水) 05:09:49.89 ID:B8TUEAp10

 ----

女「……なるほどな。んじゃみんなで突撃となりのおへ家捜しやな」
男「何か今すごい間違ったこと言いませんでした?」
女「そんなん気のせいやって」
友「ま、姐さん一流のジョークはともかく行こうか」
男「……だな」
女「そういや聞き忘れとったけど、相手は一人なんやな?」
少女(……) こくり
女「じゃ、全員で行けばなんとかなるやろ」

 ----

58: 2010/07/21(水) 05:30:21.95 ID:B8TUEAp10
女「――なんというか」
男「元通りにするのは楽だったけど」
友「こんだけ引っ掻き回して結局下着ドロて」
少女「!!」 ビクッ
女「イ工口ーカード」
友「ええっ!?」
女「ん、そらショックやわな。よしよし」
少女「……」
女「しばらくウチ来る?」
少女「それは、悪いから」
女「……じゃ、男君、指名だって」
少女「!」

男「……あー、ああ゙ー……」 ポリポリ
少女「……」
男「ウチ、来るか?」
少女「……うん」

72: 2010/07/21(水) 13:46:44.68 ID:B8TUEAp10

 ----

男「……ところで」
少女「なに?」
男「このアパート、風呂ないけど……どうしてるんだ?」
少女「………………えOち」
男「ううっ、だから聞きにくかったんだ……」
少女「銭湯、お金かかるから……頭は、流しで洗って……身体は、拭いてる」
男「あー……」
少女「ちゃんとしたほうがいい?」
男「……銭湯、行こうか」 プイッ
少女「……照れてる?」
男「聞くな」
少女「……えへへ」 ニコニコ

73: 2010/07/21(水) 13:52:59.76 ID:B8TUEAp10

 ----

女「あれ、お二人さんやないの。奇遇やなー……神田川?」
男「うあー……」
少女「えっと、こんばんは……」
女「ま、あのあたりのアパートみんな風呂ないからなぁ……いつかは会うやろ思ってたけど!
  で、男君。『こんばんは』は?」
男「……こんばんわ」
女「心こもってない! だがそこがいい!!
  あ、少女ちゃんは一緒に流しっこしよなー」
少女「……」 こくり
男「えっと……お願いします?」
女「任された!」

74: 2010/07/21(水) 14:07:58.32 ID:B8TUEAp10

 ----

女「ふぃー……やっぱ湯船に浸かると変な声出るなぁ」
少女「……」
女「なんや、姉さんのことまだ嫌いか?」
少女「そんなことは、ない」
女「んじゃ人見知り?」
少女「……」
女「うーん……ごめんな、騒がしくて」
少女「それは……別に」
女「あ、でもホラ、ウチは少女ちゃんの応援しとるし?」
少女「応援?」
女「惚れとるんやろ? 向こうの飯炊き王子様に」
少女「……」 ブクブクブク
女「ああもうかぁいいなぁ! 肌すべすべやし! 若いし! いやウチも全然若いけど!!」 カイグリカイグリ
少女「……かわいい、かな」
女「~~~!!」 ぎゅうう
少女「く、るしい」
女「ああ、ごめんごめん!」

 ----

 カポーン

男「あー……」
男(声でかい……丸聞こえ……)
男「あああ゙ー…………」 ブクブクブク

76: 2010/07/21(水) 14:29:48.45 ID:B8TUEAp10
女「いやー、ホンマお肌すべすべやなー」 ゴシゴシ
少女「……」 ピクピク
女「結構、くすぐったがり?」
少女「……かも」
女「なるほどー。背中全部弱いんかな?」 ツイー
少女「ひゃっ!」 ビクッ
女「あっはは、いい反応!」
少女「うー……」 ジト
女「ごめんごめん。ほな交代な!」 クルッ
少女「……」 ジー
女「ん、どしたん?」
少女「……きれい」
女「ははっ、ありがと」
少女「ん」 ゴシゴシ
女「おー……上手上手」
少女「……」 ゴシゴシ
女「……少女ちゃん、いくつやっけ?」
少女「今度、じゅういちになる」 ゴシゴシ
女「そっかー……まぁ、10年経てば気にならん歳の差やね」
少女「…………うん」 ゴシゴシ
女「よし、流そか!」

 ----

男「ああ゙ー……」
男(……)
男「ワ・レ・ワ・レ・ハ・ウ・チュ・ウ・ジ・ン・ダ……」
男「…………何やってんだ俺」

77: 2010/07/21(水) 14:42:24.75 ID:B8TUEAp10
女「かゆいところはございませんかー」 ワシワシタユタユ
少女「……だいじょうぶ」 ジー
女「んじゃ満遍なくー」 ワシワシタユタユ
少女「……」 ジー
女「…………目にシャンプー入るよ?」 ワシワシタユタユ
少女「……うん」 ジー
女「んじゃ流すから、目ぇつぶってー」
少女「ん」

 ざぱー

少女「……んー」 ゴシゴシ
女「ああほら、言わんこっちゃない」
少女「へいき……」
女「……」
少女「?」
女「歳の割には大きい方やと思うで?」
少女「!!」
女「ま、時間が解決してくれるって」
少女「……そう、かな」
女「ああもうかぁいいなぁ!」 カイグリカイグリ

 ----

男「あ゙ー、コーヒー牛乳うめぇ」

78: 2010/07/21(水) 14:55:19.79 ID:B8TUEAp10

 ----

女「なんや、待ちくたびれたみたいな顔してこの神田川」
少女「……ごめん」
男「いや、湯当たりしたっぽいからぼんやりしてただけ」
女「せやったらええねんけど。
  ……あ、少女ちゃんコーヒー牛乳買うてきて? ウチの分もなー」 チャリン
少女「わかった」 とてとて

女「――で、結局なんも進展ないんか」
男「あったら困ります」
女「そうかも知れんけど……じゃなくて、あの子のお母さんの彼氏ってのの続報の話」
男「そっちも、何も」
女「もう2週間、か?」
男「うん」
女「変な感じやな」
男「……うん」

少女「……はい」
女「ありがと。やっぱ風呂上りはこれやないとな!」
男「全くだ」

79: 2010/07/21(水) 15:12:13.32 ID:B8TUEAp10

 ----

友「――風邪?」
女『そ。少女ちゃんから泣きそうな声で電話かかってきたんよ。そんなわけで様子見にいってくる。
  チーフには適当に言っておいて』
友「マジすか。というかいつの間に電話番号とか……」
女『男君の携帯からに決まってるでしょ』
友「……あ、それもそうすね」
女『んじゃねー』 プッ

友「……って姐さん、自分でチーフに電話すりゃいいじゃん」
チーフ「どうかしましたか?」
友「えと、男が風邪でダウンして、姐さん……じゃないや女さんがちょっと様子見てから来るそうです」
チーフ「……もしかして、しばらく君一人?」
友「もしかしなくても。まぁ、姐さんが来るまでの辛抱です」
チーフ「………………はぁ」 ズーン
友(あ、確かにコレ聞いたら巻き添えでテンション下がりそう)

80: 2010/07/21(水) 15:28:30.11 ID:B8TUEAp10

 ----

少女「レトルトだけど、おかゆ……」
男「……悪い、なんか……」
少女「……めいわく、かけてるから、これぐらいしないと」
男「…………ありがとう」
少女「ううん、ありがとう」
女「……うおお」 ガリガリガリガリ
少女「あ、女さん」
女「むず痒さで氏ぬところやったわ」
少女「……」 ///
女「で、一応コレ、うちから持ってきた常備薬……と、なんや、おかゆさんもうあるやん」
少女「あ、はい」
女「これじゃどっちが保護者か分からへんなぁ?」
男「……面目ない」
少女「あの……」
女「で、少女ちゃんはちゃんと食べたん?」
少女「……まだ」
女「うし、んじゃーこの姐さんにまーかしとき。今からでも学校行く?」
少女「…………」
男「行って」
少女「……わかった、行く」
女「その前に軽く食べて行き。今日暑いから着くまでにへばるで」
少女「うん」

81: 2010/07/21(水) 15:37:56.74 ID:B8TUEAp10

 ----

女「うし! 少女ちゃんは学校へ、枕元にポカリと薬、おかゆ完食! そして時間はまだ昼前!
  ……我ながら完璧やね」
男「ありがとう」
女「んじゃバイト行くわー。鍵はドアポスト入れとくから」
男「ん」
女「ほななー」

 バタン カチッ カラン

 カン カン カン...





男(……)
男(…………静かだ、な)

82: 2010/07/21(水) 15:42:30.43 ID:B8TUEAp10

 ****

おとこ「……ただいまー」

 シーン...

おとこ「かーちゃん、またしごとかぁ……」

 シーン...

おとこ「ごはん……作ったら、喜んでくれるよね」

 ----

おとこ「ごはん……びちゃびちゃしてる……おかゆだ…………」

 ****

83: 2010/07/21(水) 15:46:25.52 ID:B8TUEAp10

 ****

おとこ「スーパーのレシピチラシ……」

 ----

おとこ「できた」
おとこ「でも……」
おとこ「……からい」

 ****

男母「いい子だから、余計なことしないで頂戴」
おとこ「……かーちゃん」

 ****

85: 2010/07/21(水) 15:57:06.05 ID:B8TUEAp10

 ----

男「喉……乾いた……」
少女「……はい」 スッ
男「!?」 ガバッ
少女「!?」 ビクッ
男「……おかえり」
少女「……ただいま」
男「ありがとね」 グビグビ
少女「ん」



男(……ああ、そうか)

少女「……?」

男(俺は、あの頃の俺を助けたかったんだな……)

92: 2010/07/21(水) 16:46:44.76 ID:B8TUEAp10

 ----

男「ご心配をおかけしました」
チーフ「いえいえ。身体には気をつけてください」
男「はい」

女「愛情たっぷりの看病のおかげやね」
友「高熱で金○腐れ」
女「……」 ビシッ
友「あうっ」
男「二人ともありがとうな」
友「困った時はお互い様ってな。ノートとかノートとかノートとか」
男「貸しっぱなしで帰ってきてない奴あるけどな」
友「マジで!? 全部返したと思ってたのに……」
女「うわ、それは引くわ」
男「今度家捜しするか」
友「らめぇ」

93: 2010/07/21(水) 16:55:41.76 ID:B8TUEAp10

 ----

少女(うなされて……)
少女(……かあちゃんって)
少女(…………マザコン?)

クラスメイト「どうしたのー?」
少女「うーん、むずかしい問題があるんだ」
クラスメイト「ほうほう……恋の悩みですな! ならばこのみっちゃんにまっかせなさい!!」
少女「えええっ!?」
クラスメイト「で、誰が好きなの? C組のたけしくん!?」
少女「えーっと……」
クラスメイト「わかった! 隣のお兄さんね!?」
少女「!!?」 カァァ
クラスメイト「さすが……進んでるのね」
少女「そ、そんなんじゃないよう!」
クラスメイト「でもでも、なんか最近大人っぽくなったよ?」
少女「そう……かな?」
クラスメイト「そうだよ!」

94: 2010/07/21(水) 17:02:48.15 ID:B8TUEAp10

 ----

少女(……みっちゃんはそう言うけど)
  (……)
  (ときどき、すっごく優しい目をしてて)
  (……どきどきする)
  (身体、大きいから)
  (大体の男の人、いやな目で見るの)

  (あのとき、なくなってた下着……私のだった)

  (だけど……あのひとは……)
  (どうして、かな)

   きゅうん

  (おなかすいた)
  (わかんない、ことは、あとでかんがえる)
  (……)

少女「えへへ、今日のごはんは何かな?」

97: 2010/07/21(水) 17:23:04.09 ID:B8TUEAp10

 ----

少女「ただいま」
男「おかえり」
少女「……カレー?」
男「おう。今日はちょっと早く帰れたし、前に家カレーの話で盛り上がったしな。今回は我が家の味だ」
少女「うん……うんっ!」
男「あとは夕飯の時間まで寝かしておくだけ。ここテストに出るぞー」
少女「おお……!」
男「少女は食いしん坊だな」
少女「そんなことないもん!」 カァァ
男「いやいや、やっぱり良く食べないと。初めてうちに来た頃なんか折れそうなぐらい細かったしな」
少女「……わたし、太った?」
男「いやいや、そうじゃなくて……やせすぎてると何か怖いし」
少女「……女さん、みたいに、たゆたゆな方がいい?」
男(たゆたゆ?)
  「そうじゃなくて……えーっと」
少女「……」 ジー
男「……元気なのが一番ってこと」
少女「……」 ショボーン
男(ううっ、まずった)

104: 2010/07/21(水) 18:44:27.31 ID:B8TUEAp10

 ----

男・少女「「いただきまーす」」
少女「……」 パクッ
男「……」 ジー
少女「ん、めー……」 ホワホワ
男「久々にヤギが出た……」 ニッ
少女「お、おとこの作るのはなんでもいしい! けど、これは……」 フルフル
男「これは?」
少女「……ひ、ひょうなほどおいしい」 カァァ
男「なるほど、そりゃあいい」 ニカッ
少女「うん……」 ヒョイパクヒョイパクヒョイパク
男(……機嫌、直ったかな?) モグモグ ン、ヤッパウメェ
少女「ひ、ひきょうだ……」 ウルウル
男「……おかわりは?」
少女「よんぶんのいち!」
男「あいよー」

少女(……なんだろ。おなかいっぱいだけどきゅうってするし……ぽかぽかする)
   (カレーだからかな?)

男「ほいおかわり一丁」 コトッ
少女「わぁい!」

105: 2010/07/21(水) 18:50:44.33 ID:B8TUEAp10

 ----

男・少女「「ごちそーさまでした」」
男「残りは1食分ずつ冷凍しておくから、遅くなる時は食べてていいぞ」
少女「うんっ! ……それじゃ洗いもの……」
男「いやいや、今日は俺がやるよ。ゆっくりしてて」
少女「でも……」
男「見事な食べっぷりに満足したの! だから洗いものしたいの!」
少女「そーゆーもん?」
男「そーゆーもん」
少女「んじゃ、ゆっくりしてるー」
男「おう、してろしてろ」

 ~~♪

男(……) ジャバジャバ
 (……) カチャ
 (ちょっとこの、にやけてるのは見せられないよなぁ) ジャバジャナ
 (だってあんなに美味そうに食うんだ) カチャカチャ
 (……嬉しくも、なるよ) キュッキュッ

106: 2010/07/21(水) 18:52:20.61 ID:B8TUEAp10
ジャバジャナwww orz

107: 2010/07/21(水) 18:58:00.01 ID:B8TUEAp10

 ドン! ガチャン!!

男「!?」
少女「……来た?」
男「みたいだ、な」
少女「…………ぶすい」
男「えっ?」
少女「せっかく、しあわせなきもちだったのに」 ブスー
男「……あー、余裕出てきたな」
少女「そっかな?」
男「そうだろ」
少女「おとこも、おちついてる」
男「ま、二度目だしね」

 ガチャ

男「……あれ、今度は出てくるの早いな」

 ピンポーン♪

男・少女「「!!?」」

108: 2010/07/21(水) 19:14:42.68 ID:B8TUEAp10
男「……」 スッ
少女「……」 コクリ

 トテテ...パタン

男(流石にトイレの中までは探さないだろ)
男「はいはーい」

 カチャ、キィィ...

男「どちら様ですか?」
彼氏「あの、夜分遅くにすみません。となりに住んでるものの知人なんですけれど」
男(案外優男だな)
彼氏「……あの、お子さんがどこに行ったかご存知ありませんか?」
男「さぁ……最近帰ってきてないみたいですけど、それが?」
彼氏「そうですか……すみません、ありがとうございました……」 スッ
男「!!」 ゾクッ

 パタン

男「……」 ブルッ

109: 2010/07/21(水) 19:36:24.81 ID:B8TUEAp10

 カチャ

少女(……行った?) ボソボソ
男(……うん) ボソボソ
少女(…………あのひと、きらい)
男(いや、なんというか……)
少女(目が、こわい)
男(ああ。一見普通っぽいのがまた……)

少女(……ちがう)

男(?)
少女(あの人が見てると、嫌な感じがする)
男(……)
少女(…………こわい) カタカタ
男(……) スッ ←頭を撫でようとした
少女(!) ビクッ
男「あ、ああ゙ー……」 ポリポリ
少女「おとこは、こわくない……よ」
男「……ありがと」

110: 2010/07/21(水) 19:45:48.73 ID:B8TUEAp10

 ----

 ガシャン、バタン

男(……やっぱり)
  (発育いいし、そういう悩みもあるんだろうな)
  (今もだけど、微妙に距離を取ってるのは……そういうことか)
  (まぁ、正直助かってるけど)
  (……男なんて、とか)

少女「……」 ニジニジ
男「……ん?」
少女「一緒に、寝ていい?」
男(……)

 ****

少女「おとこは、こわくない……よ」

 ****

男「……おいで」 スッ
少女「ん」

男(一緒って言っても、10cmぐらい開けてる)
  (……ま、そんなもんか)

111: 2010/07/21(水) 19:53:36.88 ID:B8TUEAp10
少女「……あのね」
男「うん」
少女「前にもね、……何人か、お母さんの付き合ってる人に会ったことがあるんだ」
男「……うん」
少女「でも……みんな、わたしを、嫌な目で見る」
男「……」
少女「お母さん……その人のこと、本当に、好きみたいだから……がまん、して。
   でも、いやだなぁって、思ってた。
   お母さんは、私のこと、いい子だって言うんだけど。
   本当は、ずっと、いやな子。
   だけど、お母さんがそう言うから。
   ……約束、学校行くって。
   クラスの男の子、わたしの……胸、触ろうとしたりして……
   ほんとうは、行きたくなくて。
   でも、がまんして。
   先生も、よくがまんしたねって、いい子だねっていうけど。
   それも、いやだなって。
   ほめられて……いやだなって、思うのは、わるい子だなって。
   なんだか、よくわかんなかった」

114: 2010/07/21(水) 20:05:07.50 ID:B8TUEAp10
男「……今は、どうなんだ?」
少女「いまも、わかんない」
男「そっか」
少女「だけど、おとこは……わたしを見て、困ってた。
   嫌な目で見るんじゃなくて、心配して、でもどうすればいいのかわかんなくて。
   きっと、私のこと、拾った猫……みたいに思ってるのかなってわかった。
   だけど、それだけじゃだめだから……いい子にしてたらいいかなって。
   いやなのに、そうしたら気に入られるって知ってたから。だから、いやな子だなって。
   ……思いながら、お手伝いとか、してて」
男「……うん」
少女「……でも、おとこは、むずかしいことをすぐ言うけど。
   わたしを、子供じゃなくて、猫でもなくて……すごく、まじめにしてくれて。
   ……『いい子』って言わないから。
   ありがとう、とか、ごめん、とか、ちゃんと……言ってくれるから。
   すごくうれしい。
   ……だから、こわくない……よ」 じわぁ
男「……ああ゙ー……」
少女「……こんなこと言って、困った?」
男「あー……うん。なんというか……」
少女「?」 ぽろっ
男「俺も、嬉しくて泣きそう」 じわっ
少女「……あれ、泣いてる? わたし」
男「俺たち、もう大きいのにな」 ニッ
少女「……そう、だね」 ニッ

115: 2010/07/21(水) 20:05:33.54 ID:B8TUEAp10
ここでハイパー夕飯タイム 21時には戻る

120: 2010/07/21(水) 21:01:26.46 ID:B8TUEAp10

 ----

 チュン...チュン、チュン....

男(……) ボー...
 (なんか、泣いたらすっきりしたな)
 (…………)
 (小学生の女の子前にしてマジ泣きとか俺氏んだほうがいいんじゃね?)
少女「……おはよ」
男「おはよ」
少女「……あさごはん、どうする?」
男「カレー……は、朝からもたれるよな。なんか作る」
少女「……ん」
男「顔、洗っとけよ」
少女「おとこだって、ひどいかお」
男「……んじゃ、先に顔洗う」
少女「ん」

121: 2010/07/21(水) 21:17:04.18 ID:B8TUEAp10

男(……なんというか) バシャバシャ
 (見捨てられなくて、それが救いになったなら……) バシャバシャ
 (うん、これでいいんだよな) キュッ
男「洗面所空いたぞー」
少女「あーい」
男(……ひとまずは、朝ごはんだな) キリッ

 ----

男・少女「「ごちそうさまでした」」
少女「……あのな」
男「ん?」
少女「昨日……いえなかったことがある」
男「なに?」
少女「……あの、うれしかったって! こわくないって、えっとそれが、大切になっちゃって。
   でも、えっと、こっちのが大変なんだと思う」
男「うん」
少女「あの……となりの人が探してるの。たぶん、私の通帳」

122: 2010/07/21(水) 21:21:08.20 ID:B8TUEAp10
男「……えっと」
少女「ほんとうはこの間……おとこが、帰ってくる前……大声で、そんなこと言ってたの、聞いてた」
男「……」
少女「でも……あの、うまく……言えなくて。いろいろ、こわくって。
   でもおとこはこわくないって思うから……だから、言うの」
男「また、探しに来たってことは……見つかってないんだよな?」
少女「うん」
男「まさかとは思うけど……」
少女「ずっと前から、この部屋に隠してた」
男「あー……」
少女「見つけたら……その、勝手に使ってもいいって思ったし」
男「いや、そんなことはしないけど」
少女「うん。……持ってくるね」


男「……えーっと」
 「……」
 「えーっと?」

123: 2010/07/21(水) 21:29:22.70 ID:B8TUEAp10
少女「……はい」
男「いや、保険証と印鑑までって……」
少女「お母さんが、一緒に持っておきなさいって」
男(かといって全部渡されても……)
少女「ちゃんと、中まで見て?」
男「わかった……って!?!?」
少女「お母さん、給料から、必要なの以外……ほとんど入れてるみたいだから」
男「うわぁ……」
少女「だから、その」
男「あー、あのな?」
少女「うん」
男「これはお前のお母さんの気持ちだから、お前のものなの」
少女「……」 こくり
男「俺が預かるにはちょっと重すぎる……ってのも無責任か。あー、ああ゙ー……!」
少女「……」 オロオロ
男「ああうん、色々と難しいっつーか、大体、話が見えてきた。別に困って……
  いや困ってるけど、怒ってるわけじゃない。
  なんにせよ、これは俺たちだけの問題には絶対にならない」
少女「……」 こくり
男「あー……ごめん、ちょっと、1分だけ考えさせて」
少女「……ご……ううん、ありがとう」
男「……ん」

125: 2010/07/21(水) 21:40:30.52 ID:B8TUEAp10
男「……あー、うん。よし、方針は……決まった」
少女「どう……するの?」
男「とりあえず、お母さんがどこに居るか、探そう。それと……」
少女「それと?」
男「ウチのお袋にも手伝ってもらう」
少女「オフクロ?」
男「俺の……母親だよ」
少女「えーっと……」
男「ん?」



少女「かーちゃん、じゃないの?」



男「」

126: 2010/07/21(水) 21:45:11.07 ID:B8TUEAp10
男「いや待て落ち着けどってことはない格好つけたら格好つかなかったなんてよくあることだ
  BE KOOL クールになるんだ よし俺は大丈夫何があってもオーライ無敵だ」
少女「えっと……」
男「寝言?」
少女「……ごめんなさい」
男「マザコンとか思ってる?」
少女「ちょっと、思ったけど……」
男「うん、まぁ、たぶん、ひてい、しないよ?」
少女「……あの、でも、まざこんでも、好きだもん!」
男「」



男(マザコンで口リコン? あれ、俺マジで氏ぬべきじゃね? むしろ赤いノースリーブ着てサングラスか?)



男「おーけい、色々と怖いものがなくなったぞ氏なば諸共」

129: 2010/07/21(水) 21:57:45.00 ID:B8TUEAp10
少女「えっと……」
男「あー、うん。かーちゃんな、民生委員ってのやってんだ」
少女「みんせいいいん?」
男「んーと、仕事の内容は色々あるんだけどな。
  お前みたいに、ちょっと親の居ない子供の生活状態とか調べたりだとか……」
少女「あ、ときどきそういう人が来た……かな?」
男「あー、多分違う仕事の人だと思うけど、似たような感じ」
少女「ああいう人……あんまり好きじゃない……」
男「んー……まぁ、そう、ひとくくりにされても、ね?」
少女「あっ……その、おとこのかーちゃんさんのことを悪く言ったわけじゃ……!」
男「あー、うん。まぁ……なんというか、多分あんまり好きになれないかもしれないけど。
  ……俺も協力するからさ、お前一人よりか……まぁ、少しはマシにできると思う」
少女「……う、うん」
男「で、つきまして……しばらく、女さんの所に居たほうがいいと思う」
少女「えっ」
男「やっぱりここに帰ってくるんじゃさ、鉢合わせするかもしれないし」
少女「はち……?」
男「ばったりその辺で会っちゃうかもしれないってこと」
少女「あっ……」
男「女さんのところ、ここからすぐ近くだけど、まぁ隣よりはマシだと思うからさ」
少女「……」
男「しばらく……行ってくれるか?」
少女「…………うん」

130: 2010/07/21(水) 22:09:10.59 ID:B8TUEAp10

 ----

男「と、いうわけでしばらく置いてください」 ふかぶか
女「……いいの?」
少女「よろしくお願いします」 ぺこりっ
女「んー……少女ちゃんがその気になったんならえーよ!」 にかっ
男「ありがとう……ございます!」 ふかぶか
女「ついにうちの子になってくれる気になったんやなぁ」 ぐりぐり
少女「わふっ」
男「えっと、それで、荷物なんですけど……」
女「かさばるもん運んでも目立つやろ? 服は貸したるわ。ほとんど体格同じやし」
少女「……」 ジー
女「大丈夫やて。……せやから、教科書とランドセル……あと肌着類は流石に嫌やろうし持ってきたって」
男「アイマム」
女「無理に友君の真似せんでええのに」
男「いやぁ、なんとなく」
女「友君も似たようなことゆーとったな。ま、任しとき」
少女「……おじゃまします」
女「ん、ようこそ我が城へ!」

131: 2010/07/21(水) 22:17:54.71 ID:B8TUEAp10
女「で、これからどうするん?」
男「とりあえず、ウチの母親が民生委員やってるんで相談しようかと。
  警察に行って捜索願い書いて……あとはまぁ、なりゆきで」
女「……んー、よーわからんけど民生委員って確かこういうののプロなんやろ?
  コネがあるならまぁなんとかなるやろ」
男「……ええ、まぁ」
女「………………っはーん?」 ピーン
男「えーっと、多分その想像は大体当たってるので聞かないでください」
女「了解」
少女「?」 きょとん
女「せやけど、電話の一つも遣しといたほうがええんちゃうの?」
男「……あ゙ー、はい。がんばります。
  ………………ベランダ、出ますね」
女「ほいほいいってらっしゃーい」

133: 2010/07/21(水) 22:29:33.82 ID:B8TUEAp10
女「……で」
少女「はい」
女「なんや、嬉しそうやないの?」
少女「えっと……」
女「なんや、相思相愛にでもなったんか?」
少女「そういうわけじゃなくて」 ショボン
女「ありゃ」
少女「さっき……その、好きって言ったけど……流されちゃって」 ショボボーン
女「あんにゃろ、あとでデコピンだ」
少女「でも、やっぱり……私のことで、真剣になってくれてるから」
女「あー……前向きやね」
少女「あ、あと……」
女「お、他にもあるんか?」 ずずい
少女「初めて一緒のお布団でおやすみして……いっぱいお話したから」
女(で、手は出さなかったと……) フゥ
少女「えっと……」
女「よー考えたら少女ちゃん、小学生やもんなぁ」
少女「?」
女「ああ、ええねんええねん。色々と鍛え甲斐があるってことで」
少女「……がんばる」
女「ん、その意気!」

134: 2010/07/21(水) 22:37:23.52 ID:B8TUEAp10

 ----

男(……) ジーッ
  「……ふぅ」

 ピッ
 プルルルルルル...

男(……通話ボタン押すのにたっぷり1分。怖いものばっかりだな)

カーチャン『もしもし?』
男「もしもし? かーちゃん俺だよ俺」
カーチャン『冗談にしてはちょっと詰まらないねぇ』
男「相変わらず手厳しいですね」
カーチャン『まぁ、そんなとってつけた敬語の方が気味悪いけどね。なんか用?』
男「……あー、うん」
カーチャン『仕送りの催促ならお断りだよ。自分で頑張んな』
男「そうじゃなくてさ……ちょっと、相談したいことがあって……」
カーチャン『彼女孕ませたんか? 大人しく年貢でも小指でも収めんさい』
男(話が進まない……)

137: 2010/07/21(水) 22:58:11.01 ID:B8TUEAp10

 カクカクシカジカ

カーチャン『あたしゃあんたを口リコンに育てた覚えはないんだけどね。じゃ、金輪際縁を切らせてもらうよ』
男「……真面目な話なんだよ。あの子、本気で怖がってる。
  ううん、男全体が苦手って思うぐらい……苦しんでるんだよ」
カーチャン『……』
男「頼むよ。かーちゃんの仕事だろ」
カーチャン『あんたが安請け合いした事だろ。自分で尻拭きな』
男「……俺にそんな力はないよ。それぐらい、分かってるから電話したんじゃないか」
カーチャン『……今更かもしれないけどね』
男「なんだよ」
カーチャン『“いい子”で居たいためにその子と関わってるならやめときなさい』
男「なんで……」
カーチャン『……』
男「なんで今更そんな事言うんだよ! 関係ないだろ!?」
カーチャン『じゃあどうしてその子にそうまでして肩入れするんだい?』
男「それは……」
カーチャン『何をそんなに思いつめてるんだい?』
男「……信じてくれてる。だから、頑張るんだよ」
カーチャン『……ふぅん? なるほど、ね。ま、息子いじめはこの辺でよしとくかね』
男「は?」
カーチャン『今からそっち車回すから。今どこに居る?』
男「えっと、二つとなりのアパート……」
カーチャン『面倒だね、大通りまで出ておいて。その子も連れてね』
男「えっ?」
カーチャン『四十秒で支度しな、ってことさ』

 プッ プーップーップー...

138: 2010/07/21(水) 23:09:43.32 ID:B8TUEAp10

男(で、気が付いたらカーテン閉まってるしベランダのクレセント錠もロックされてるわけだけど)

 コンコン

 ……シャッ

女『ああ、悪い悪い。もう少しだけ我慢しててくれるか?』
男「なんのイジメですかこれ。泣きますよ割とマジで」
女『いやー、あたしの服着せてみてるんやけど素材ええなぁ! 磨けば光るで?』
男「あー、そうですか。……えと、母と連絡つきました。すぐ来るみたいなんで支度させてください」

女『……やって、聞いたー? ってあ゙ー! 脱いだらあかん折角お母様と会うんやから綺麗にしとかな!』
少女『……はずかしぃ』
女『いやいや可愛いから! ウチにできん着こなしやから!』




男「どうでもいいから早く中に入れてください。日差しが暑いです」

少女・女『『どうでもよくない!!』』

147: 2010/07/22(木) 00:12:38.95 ID:qDNKCD1h0

 ----

男(……)
少女「……変、だよね?」
男(……かわいい) カァッ
少女「うー……」 じわっ
男「えっと……かわいい、から、その……あんまり、じっと見ちゃいそうで……」
少女「見てもいーのに」 じぃっ
男(……うううっ) たじっ

 ブロロロ...キッ カチャ

カーチャン「元気そうね馬鹿息子」
男「お蔭様で。で、こっちが……」
少女「あの、はじめまして」
カーチャン「そうとう貢いでるのね。ブランド物よ、これ?」
少女「そうなの!?」
男「あー、女友達が着せたから……普段着じゃないです」
カーチャン「……ま、確かにあんたのセンスじゃない、か」
男「分かってて弄るの勘弁してください本当に」
カーチャン「それだけ息子が可愛いの。さ、乗って」
男「あいよ」


カーチャン(……一丁前にエスコートして……変なところで父ちゃんに似て……)

149: 2010/07/22(木) 00:23:22.78 ID:qDNKCD1h0

 ブロロロロ...

カーチャン「……で、まずは警察署ね」
少女「……」 コクリ
カーチャン「居なくなってどれぐらい?」
男「えーっと、俺の気付いた範囲では2ヶ月ちょっと……かな」
少女「うん。それぐらい」
カーチャン「で、その間はあんたが面倒を見てたと」
男「この子ある程度家事できたし、持ちつ持たれつで」
カーチャン「……未成年者誘拐、って知ってる?」
男「保護者の承諾なしにどっかに連れて行くこと、だろ? 前に友達に言われた」
カーチャン「分かっててやったの?」
男「かといって放っておくことの方が最悪だし」
少女「私が! あの……児童相談所とか、嫌だって言ったから……
   それに、前にも何週間か居ないことあったし……」
カーチャン「あー、ああ゙ー、もう! あの地区の担当誰よ? 全くザルじゃないの……!」
男「どこにも相談しなかったの、本当に悪かったと思ってる」
カーチャン「んー……ま、それはいいでしょ。
     確かに最初にあたしに相談してたらもうちょっと違う結末になってたかもしれないしね」
少女「……」
男「な、大丈夫だろ?」
少女「……うん」 ニコッ

152: 2010/07/22(木) 00:31:33.53 ID:qDNKCD1h0
カーチャン「あ、先に言っとくけど警察署入ったらあんたは適当なところで時間潰してて」
男「分かった」
少女「!?」
男「かーちゃんはまだ仕事だから、で済むけど俺が一緒に行く理由はないからな」
少女「……」 オロオロ
カーチャン「で、少女ちゃん……だっけ?」
少女「あ、はい」
カーチャン「男と寝たの?」
少女「1回だけ」

 キィィーー!!

カーチャン「おぉ――とぉ――こぉ――?」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
男「スリープの方だよ。性的な意味じゃない」
カーチャン「だろうと思った。……なんだい、ヘタレだね!」

 ブロロロ...

少女「? ……??」 オロオロ
男「口リコンかヘタレかどっちなんだよ」
カーチャン「どっちもに決まってるだろ?」
少女「まざこんは?」
男「」
カーチャン「アッハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! こりゃいい!!」
少女「??」
男(ああ゙ー……別な意味で氏にそう) ゲッソリ

156: 2010/07/22(木) 00:47:44.95 ID:qDNKCD1h0

 ----

友「一気に話が進んで置いてきぼりなわけだが」
男「……まぁ、うん」 ゲッソリ
友「それにしてもお前のかーちゃんはパネェな」
男「…………うん」 グッタリ
友「で、結局どうなったのよ?」
男「えーっと、警察の方は捜索願を受理。児童相談所の方は受け入れ先……は、あるけど
  本人に資産があるのと泊めてくれる親切な同性の友人が居るってことで現状維持。
  謎の男は行方をくらませたから一応パトロール強化って方針……下着ドロってのがアレだけど」
友「1分で考えたっつってた割には収まるところ収まってるじゃねーか」
男「女さんのご両親にまで身元照会行って……まぁ、分かってちゃいたけど俺自体が迷惑だよな」
友「まぁ姐さんは面白ければ何でもいいみたいな感じだし気にするだけ無駄だと思うぞ」
男「だといいけどな」

 ~~♪

友「出ろよ」
男「いや、メールだな」
友「ほー?」
男「ああ゙ー……」 デロン
友「なんだ、見ていいか?」
男「……いいぞ」
友「…………誰、これ?」
男「女さんが持ってる服で着せ替え人形してるらしい」
友「……ということは」
男「そう、これが今のあの子」

男(まぁ、パッと見ただの女子高生だからあの男に見つかる可能性も低くなる……よな?)

165: 2010/07/22(木) 02:02:36.87 ID:qDNKCD1h0

 ----

女「よーし。送信完了、と」
少女「あの……」
女「服のこと? 気にせんとき、面白かったらそれでええねん。
  最悪男君に請求するけどまだ新しいのも買うてないし、リサイクルリサイクル」
少女(結構……数あったのに……)
女「ま、これで男君も少女ちゃんをオンナとして見るやろ」
少女「……?」
女「んー、大人の女ってことやな。性的対象。の相手。
  ……性教育はもう済んどるやろ?」
少女「……えっと、はい」
女「んー?」
少女「でも……おとこは、そういうのじゃない、よ?」
女「でも、好きなんやろ?」
少女「うん」
女「男君のために、ちょっと身奇麗にしよとか、思ってたやろ?」
少女「……うん」
女「銭湯、ほとんど行ってないって話やのに……初めて会った時、ちゃんと石鹸の匂いしとったで?
  どうせあれやろ、ガッコから帰ってすぐ着替えて身体拭いてー、とかやってたんやろ?」
少女「それ、は!!」 カアアアッ
女「……いじらしいやん」 にこっ

166: 2010/07/22(木) 02:12:14.50 ID:qDNKCD1h0
少女「でも、あの……」
女「男君に、そんな気がないって?」
少女「……」
女「んー、少女ちゃん、友君からも微妙に距離置いとったし、まぁ、多分やけど……
  初めてあの男が来た時も、アレやったし。ま、大体何があったんかは分かる――」
少女「……」 キッ
女「――とか、言われたくないわな」
少女「……」
女「あー、ウチこんな性格やから。真面目に付き合うてくれる人少ないねん」
少女「……」
女「だから、そのまんまのウチを、『姐さん』とか言って受け入れてくれるん……
  結構嬉しかったりするんよ? 本人は『彼女作るなら自分より背の低いのが!』
  とかゆーてるけどな!」
少女「……友、さんのこと?」
女「そんな気がないって辛いな!」 ニヤッ
少女「よく……わかんない」
女「そうか? たぶん、分かってるけど知識がないだけやと思うで?」
少女「…………」

168: 2010/07/22(木) 02:23:49.94 ID:qDNKCD1h0
女「胸がな、ぽかぽかあったかかったり……」
少女「……」 こくり
女「おなかがきゅうん、ってして……思わずくっつきたくなったり……」
少女「……」 こくこく
女「そういうの。肌が触れ合っていたいって思う感じ。分かるやろ?」
少女「……うん」
女「男君の他に、そうしたい人おるか?」
少女「……お母さん」
女「あー……せやな。せやったな。近いかもしれんな」
少女「おかあさぁん……」
女「……」
少女「会いたいよぅ……」 じわっ
女「……ん」 ギュッ
少女「……」 ポロポロ
女「悪いなぁ、代わりにはなれへんけど、勘弁したって」 ポンポン
少女「…………」 ポロポロポロポロ


女(今度11……まだ、10歳…………か。
  男君の糞真面目さは……案外正しいのかもしれんなぁ)

169: 2010/07/22(木) 02:30:47.45 ID:qDNKCD1h0

 ----

クラスメイト「あれ、少女ちゃんその服新しいの?
    すっごい似合ってる! モデルみたい!!」
少女「うん。最近知り合いになった人に……もらったの」
クラスメイト「へぇー……いいなぁ!」
少女「なんだか悪いって思うんだけど、着ないと拗ねるから」
クラスメイト「……んー、もしかして隣のお兄さん?
    さっそくミツがせてるとはやるわね!」 ニヤッ
少女「ううん、違う人だよ」
クラスメイト「ううん、残念……」
少女「……なにがー? もう……」
クラスメイト「でも、本当……似合ってるよ!」
少女「えへへ……ありがと」 フワッ
クラスメイト「……」 ドキッ
少女「どったん?」
クラスメイト「えっ、なに今の」
少女「?」 キョトン
クラスメイト「すっごい素敵な笑顔! すごい! よくわかんないけどすごい!!」
少女「みっちゃん、声が大きいよ……」

170: 2010/07/22(木) 02:46:15.58 ID:qDNKCD1h0

 ----

 センセーサヨーナラー サヨウナラ

クラスメイト「あ、一緒に帰ろ!」
少女「うん」
クラスメイト「でさ、……その、服くれた人とは……よく会うの?」
少女「えっ? えっとー……」
クラスメイト「ちょっと、どうしてそこで詰まるの?」
少女(一緒に住んでるって……最近知り合いになったって……変、だよね?) オロオロ
クラスメイト「あー、こりゃ完璧に固まってるわ」
少女「――!!?」 ビクッ
クラスメイト「えっ、なになに? うわ、かっこいい……!」






彼氏「――やあ」

173: 2010/07/22(木) 03:01:42.79 ID:qDNKCD1h0
クラスメイト「え、もしかして少女ちゃんの知り合い?」
少女(い……やだ)
クラスメイト「あ……もしかして、例の彼氏?」
少女(こわい……こわい!!)
クラスメイト「少女……ちゃん?」
少女「みっちゃん……逃げて」
クラスメイト「……えっ」
少女「はやく、逃げて!!」


彼氏「酷いなぁ、逃げてだなんて」 ヌゥ


少女「ひっ」 ゾワッ
クラスメイト「うあ……っ!」 タタタタタッ
彼氏「……ホラ、君がそんな事を言うから、逃げちゃったじゃないか」 ニコニコ

175: 2010/07/22(木) 03:06:21.71 ID:qDNKCD1h0
少女「なにしに……来たの?」 キッ
彼氏「君が、お母さんから預かったものを貰いに」 ニコニコ
少女「ここに……あるわけない、でしょ?」
彼氏「……でも、ここに来ないと君に会えない」
少女「…………」
彼氏「…………」

クラスメイト「先生、早く!!」
教師「こらぁー!! 貴様、何をしている!!」


彼氏「……へぇ、気が回るね『みっちゃん』は」 ニィィ


少女・クラスメイト・教師「「「!!」」」 ゾワワッ
彼氏「ま、今日のところは帰りますよ。それでは、また」

教師「……一体、なんだったんだ……?」
少女「…………」
クラスメイト「……大丈夫?」
少女「……ありがとう」
クラスメイト「ううん……怖かったねえ……」
少女「………………うん」

177: 2010/07/22(木) 03:22:19.78 ID:qDNKCD1h0

 ----

校長「本日はこちらのセキュリティの甘さが問題を引き起こしてしまい本当に申し訳ありませんでした」
カーチャン「いえ、こちらこそご迷惑をおかけして……少女ちゃん、よくがんばったね」
少女「かーちゃん……」
カーチャン「みっちゃんも、ありがとうね」
クラスメイト「えへへ……」
校長「それで、今後の対策なんですが……」
カーチャン「そのことなんですけど、しばらくこの子は休ませようかと思うんです」
校長「はぁ……」
カーチャン「警察も絡む話なので詳しい事はそちらから聞いていただきたいのですけど、
     少女ちゃん個人を狙ったものであるのは間違いありませんから……」
校長「それで済めばよろしいのですが……」
カーチャン「……多分、それほど時間はかからないと思います」
校長「……わかりました」
カーチャン「それでは、今日は連れて帰ります……復帰する場合は連絡いたしますので。
     みっちゃんも、車に乗ってく?」
クラスメイト「……うんっ!」

178: 2010/07/22(木) 03:24:18.63 ID:qDNKCD1h0
やべぇ男が空気過ぎる

179: 2010/07/22(木) 03:31:22.79 ID:qDNKCD1h0

 ----

クラスメイト「じゃあ、またね!」
少女「……またね」
カーチャン「ちゃんと勉強するのよ?」
クラスメイト「……はーい!」 ブスー

 ブロロロロ...

カーチャン「んー、やっぱり女の子はいいわねぇ……華やかで」
少女「えっと……」
カーチャン「ん?」
少女「……何か、あったんですよね?」
カーチャン「学校に変質者が来たこと?」 シレッ
少女「……」
カーチャン(……敏い子) フゥ
    「おうちに着いてから、ね」
少女「うん……」

180: 2010/07/22(木) 03:46:03.68 ID:qDNKCD1h0

 ----

男「少女! 大丈夫……だったんだ、な」
女「ん、おかえりー」
少女「ただいま」
カーチャン「おじゃましますね」
女「ども」

男「……で、俺たちを集めたってことは」
カーチャン「そう、事件に進展があったの」
男「……」
少女「……」
女「……」
カーチャン「どっちかっていうと……終わっていた、という事なのかもしれないけど」
男「回りくどくして……そんなに、話しにくいのか?」
少女「かーちゃん……」
女「……」
カーチャン「息子にまで見透かされちゃ、世話はないわね」
男「大体、予想はできてるからな」
少女「おと……こ?」
女「カーチャンさん、はよ、言うた方がええて」
カーチャン「そうね――」

181: 2010/07/22(木) 03:52:27.59 ID:qDNKCD1h0

カーチャン「――先月見つかった身元不明の変氏体と、少女ちゃんのお母さんの条件が一致したの」
少女「?」
男「あー……」
女「……」
カーチャン「例の……お母さんの彼氏、を名乗った男は指名手配されたわ。容疑者として」
男「ああ゙ー……」
女「……つまりな、少女ちゃんのお母さん。もう氏んではるって……そういうこと」
少女「う……そ……?」
カーチャン「…………ごめんなさい」
少女「…………そんな……おかあさん?」

少女「う……あ……」




   「うああああぁぁあああああぁぁああああああああああ!!!」




208: 2010/07/22(木) 13:06:43.12 ID:qDNKCD1h0

 ----

女「叫ぶだけ叫んで気絶……か。泣かへんかったな?」
男「……そう、だな」
カーチャン「……じゃ、そろそろあたしは行くわね」
女「あれ、もう行きはりますん?」
男「民生委員って、一人当たりに抱えてる案件がアホみたいに多いんだよ。
  むしろここまで車回したりしてる時点でそうとうな身贔屓だ」
カーチャン「そゆこと! 理解ある息子で助かるわー。んじゃーねーん」

 ...パタン

女「……それにしたって軽いノリやなぁ」
男「こういうこと、多いみたいだから……明るくしてないとやっていけないんだろ」
女「あー……」
男「なんだよ」
女「自分、ホンマにマザコンなんやなぁ」 しみじみ
男「ほっとけ」

209: 2010/07/22(木) 13:12:17.64 ID:qDNKCD1h0
女「そいで、どうするん?」
男「どうもこうも、打つ手ナシだろ」
女「うわぁ……」
男「だってな? 使えるコネは全部使った。警察も動いてる。
  あるとするならここにあいつが直接乗り付けるパターンだけど……
  この近くはパトカーが巡回来るようになってるから可能性としては低い。
  ついでに言えば、印鑑と通帳はかーちゃん名義の貸金庫に突っ込んだから
  あいつが強盗でもやらかさない限り目的は果たせない」
女「……詰まらんなぁ、自分」
男「むしろ詰めていってるんだよ。打てる手は全部打った」
女「誰が上手いことを言えと」
男「あとは……せめて、美味い飯作ってやらないと、かな」
女「あ、それ期待していいんやな? なんやえらい自慢されたで?」
男「そうか?」
女「男の作る料理はあったかくて美味しいって」
男「あー……」
女「せやけど、食べれるやろか?」
男「……悲しくても、腹は減るんだよ。それがまた、悲しいんだ」
女「詩人やなぁ」
男「……」
女「なんよ?」
男「いや、言い方がウチのかーちゃんに似てるなぁって思って」
女「なんやマザコン。ウチに惚れたら火傷じゃ済まへんで?」
男「何言ってんだ。友なんて面倒くさい奴に惚れてるくせに」
女「」
男「お、初めて一本取った気がする」
女「ちょちょちょ、えええええ!?」
男「はは、台所借りるぞー」

211: 2010/07/22(木) 13:18:33.66 ID:qDNKCD1h0


 ****

少女「……お母さん!」
母「……」
少女「行かないでよ! お金じゃないよ、お母さんが居てほしいんだよう!」
母「……」
少女「お母さん! おかあさん!」

 ****

少女「……おかあ、さん?」

  (……) クンクン


  (ごはんの、におい)



  (――おとこの、においだ)



212: 2010/07/22(木) 13:24:26.05 ID:qDNKCD1h0

 カチャ...

男「お、ちゃんとメシの時間には起きたな? いいことだ」
少女「おと……こ?」
男「女さんは買出しに行ってるよ。俺は……見ての通り、夕飯作ってる。
  まだしんどいだろ? 座ってな」 トントントン...
少女「……」 きゅうん

 ****

女「そういうの。肌が触れ合っていたいって思う感じ。分かるやろ?」

 ****

少女(……触れ合いたい) とてとて
男「ん?」 タパパッ
少女「……」 ぎゅっ
男「おう、包丁持ってる時にそれはやめてくれ」
少女「ごめん、でも、すこしだけ……」
男「……ん、わかった」

213: 2010/07/22(木) 13:29:15.76 ID:qDNKCD1h0
少女「――お母さん、氏んじゃったの?」
男「ああ」 トントン...
少女「……知ってた?」
男「予想はしてた。外れてたらいいとも思ってたけど」 タパパッ
少女「おとこは……いなくならない?」
男「……むしろアレだ」
少女「?」
男「たった2ヶ月かもしれないけど……お前が居る家に帰りたいって思うようになった」
少女「うん」
男「全部片付いたら……元通りの生活、って訳にはいかないだろうけど……
  いや、全然、元通りなんかじゃないんだけどさ。
  二人で……当たり前みたいに暮らしたいって思ってる」
少女「……うん」
男「だから、そうできるように、考えてるから」
少女「……おとこが、そう言うなら……たぶん、大丈夫なんだ」
男「そう、きっと大丈夫だな」
少女「ん」

 ...ガチャ

女「ただいまー」
少女「おかえりなさい」
女「お、起きたんか。男君は?」
男「……おかえり」 ブスッ
女「フwリwルwのエプロンwwwww マジうけるwwwwwww」 ケラケラケラ
男「くっそ、少女はスルーしてくれてたのに……っ!」
少女「えっと……かわいい、よ?」 てれっ
男「」
女「ぶはははははははははは!!!」

247: 2010/07/22(木) 21:06:37.29 ID:qDNKCD1h0

 ----

男(あー、誰も居ない家に帰るのって心が貧しい……)

ピリリリ...

男(あれ、かーちゃん? また何かあったのかな?)
男「もしもし、何かあったの?」


??『ああ、声に聞き覚えがあるな』


男「えっ」
彼氏『……確か、アパートで隣の人だったよね』
男「!?!?」 ゾワワッ
彼氏『やぁっぱり君が糸を引いてたんだぁ!
   おかしいと思ったんだよね。いつの間にか指名手配されてるし』
男「あんた……」
彼氏『おかげで逃げも隠れもできなくなったじゃないか。どうしてくれるんだい?』
男「……知るかよ、そんなこと!
  それよりなんであんたがその携帯を持ってるんだよ!!」
彼氏『んー、少し遠くから見てたんだ。車が学校に入るところ。
   ……それから、この携帯の持ち主が少女ちゃんを連れて帰るところ、全部』
男「……」 ゴクリ
彼氏『だからまぁ、そこから先は簡単な推理だろう?』

248: 2010/07/22(木) 21:11:51.44 ID:qDNKCD1h0
男「その携帯の……持ち主は、どうしたんだよ」
彼氏『ちょっと切りつけたらすぐ逃げちゃって。手に入ったのは鞄だけ』
男(……と、いう事は無事か……なら、通話を引き伸ばす?
  かーちゃんが警察駆け込んでるなら基地局検索は……
  駄目だ、都合よく行くか分からない)
彼氏『あの人、きみの母親なんだよね?
   いやぁ、その歳で母親に泣きつくとはね……』
男「……ほっといてくれ」
彼氏『まぁ、興味は無いよ、実際』
男「……少女のお母さんを……頃したのか?」
彼氏『うん? ――ああ、そんなこともあったね』
男「そんな……って!」
彼氏『だって、ちょっと無茶したら氏んじゃうんだもん。詰まんないよ』
男「………………」 ギリッ
彼氏『それにしてもあの子、いい身体してたろ? もう味見はしたのかな?』 クスクス
男「てめぇ!!」
彼氏『その様子だとまだみたいだね。いや、勿体無い。
   まぁ、オレも逃げられちゃったからまだ味見できてないんだけど……』
男「……」
彼氏『なんだ、もうだんまりかい?』
男「……今、どこに居る」
彼氏『なんだ、そんなこと』


   「『
      きみのうしろ、だよ
                   」』


男「!!?」 

250: 2010/07/22(木) 21:17:50.75 ID:qDNKCD1h0
男「……」 バッ
彼氏「そんなに警戒しなくてもいいじゃないかぁ」 ポイッ
男「……」 ...ピッ
彼氏「ただの八つ当たりに来ただけ、なんだからさぁ!」 スゥ...
男(! ナイフ!?) じりっ

 ヒュッ

彼氏「おぉー、綺麗に避けるね!」 ニコニコ
男「……ここは法治国家だっての! 銃刀法!」 じりっ
彼氏「そうだね、じゃあ、ルールを設けよう。
   警察が来るまでに君が氏んだらゲームオーバー。
   それまできみが逃げ切ればゲームクリア、だ。
   シンプルでいいじゃないか」
男「……何が、ゲームだよ!」 ギリッ
彼氏「女を落とすのも、食っちまうのも……面白いだろ?
   さらにボーナスが入るならもーっと嬉しいじゃないか!」
男「意味、わかんねぇ!」
彼氏「オレはきみが思うよりか賢いってことさ!」 ダッ
男「くっ」

 ヒュバッ

彼氏「はは、本当に運動神経いいねぇ!」
男「……痛ってぇ」 ツー

251: 2010/07/22(木) 21:21:21.55 ID:qDNKCD1h0
男(くそ、考えろ……!)

 ヒュッ、ヒュバッ

男(携帯はある……110番? いや、話す余裕をくれるとは思えない)

彼氏「あっはあ、逃げるの上手いねぇホント、嫌になるよ」

男(交番はどっちだっけ……つっても警邏に回ってるなら行くだけ無駄?)

彼氏「でも、ナイフは1本きりじゃない……よ!」 ヒュッ

 ザクッ ...ポタタッ

男「……くうっ」 ギリリッ
彼氏「おお、当た、りー!」 ヘラヘラ
男(なら、確実にパトカーが巡回してるルートまで出る!) ダッ




彼氏「――走って逃げるなら、このままあの子の居るアパートに押しかけるよー?」 ニィィ
男「……くそっ!」

253: 2010/07/22(木) 21:23:52.91 ID:qDNKCD1h0
彼氏「だけど足を狙ったのに咄嗟に手で庇うなんて……ちょっと、ムカつくよ?」
男「当たり前だ、走れなくなったら最悪だろうが」
彼氏「まぁ……ね!」 ダッ

 ひゅっ ザリッ

男(今度こそ足かよ!)
 「くぉ……っ!」 ブンッ
彼氏「おっと」 サッ
男(目潰し……かわされた!) ドサッ ...ポタタッ
彼氏「危ない危ない。窮鼠猫を噛むってね」 ニコニコ
男「く……そぉ!」


                        ?「――確保ォ!」


男「……えっ」

254: 2010/07/22(木) 21:26:22.97 ID:qDNKCD1h0

 驚く俺の目の前で、人影があいつに体当たりをする。
 壁に押さえつけられたあいつが……無理な姿勢でナイフを振るい、人影が怯む。
 浅く切りつけられたのか、また新しい血痕がアスファルトに広がった。
 その隙に、咆哮を上げてあいつが俺に飛びかかってくる。
 しかし、すぐにまた別の人影が現れ、すばやく腕を取りねじり上げた。
 そうして今度こそあいつは身動きが取れなくなり……ついに、ナイフを取り落とす。
 ……カラン、と。
 軽い金属音が事件の終わりを告げた。


 結局、俺は殺人鬼を倒すことなんてことはできず――
 ――警官たちに取り押さえられる一部始終を、ただ見ているだけだった。

255: 2010/07/22(木) 21:29:07.31 ID:qDNKCD1h0

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少女「……おとこぉ!」 タタタッ...
看護師「ああ、走らないで!」
カーチャン「まぁまぁ」
男「わぷっ」
少女「よかったよぅ……」 ぎゅう
男「警察の人に聞いた。……女さんが通報してくれたんだってな」
女「少女ちゃん、ベランダから男君が帰るの見送ってたんよ?
  そったら急に大騒ぎしだして……」
少女「……こわかった……おとこ、まで、いなくなったらって!」
男「ん、まぁ……大丈夫だったろ?」 なでなで
少女「…………ぅぅっ」 ぎゅううう
男(……痛い痛い傷開く)
カーチャン「しっかしまぁ……男の勲章だねぇ」
男「かーちゃんも……顔」
カーチャン「なに、たいしたことはないよ。これぐらいはよくあることさ」
男「……ごめん。ありがとう」
カーチャン「んふ、いい顔だ」 にかっ
女「……あー、友君から乗り換えようかな?」 にやっ
少女「だめっ!」 きっ
女「ふふっ、冗談やて」
少女「じょうだんでも、だめ!」
男(……ははっ、看護師さんの視線が痛い)

257: 2010/07/22(木) 21:30:55.03 ID:qDNKCD1h0

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住職「もう少し遅かった場合……その、無縁仏として供養されることになっていました」
カーチャン「結構ギリギリだったのね」
男「……ごめんな、少女」
少女「ううん。おとこがいなかったら……たぶんなにもわからなかったから」
カーチャン「ま、結果オーライでしょ」
住職「では、今ここでお経をあげて……故人を連れて帰るということで」
カーチャン「お願いします」 ぺこっ
男「……」 ぺこっ
少女「……」 ふかぶか

住職「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……
    ~~……
      ……~~……」




少女「――おかえり、おかあさん」
男(……)




259: 2010/07/22(木) 21:35:59.72 ID:qDNKCD1h0

 ブロロロロ...

カーチャン「そうそう、ちょっと聞いて」
男「うん」
少女「……なんですか?」
カーチャン「少女ちゃんのこと、一応私が保護者ってことで……書類、用意しておいたから。
   ドアポケットの封筒に入れてあるからあとで目を通すのよ?」
男「……ありがとう、母さん」
少女「えっと……」
男「つまり、これまで通り暮らせるってこと」
少女「本当!?」
カーチャン「流石に今のアパートからは引っ越すことになるけどね。色々と問題あるし。
   ……全く、変なところまで父ちゃんに似たもんだ」
男「……だから、民生委員なんてやってるんだろ?」
カーチャン「まぁ、ね。……あんたもこの道に入るの?」
男「どうだろう。まだ……分からない」
カーチャン「……そう。ま、悩みなさい。まだ時間はあるんだし」
少女「わからないことは、あとで考えるんだよ」
男「うん……そうだな」
カーチャン「ああ、それと分かってると思うけど」
男「なに?」
カーチャン「もしそういうことになっても、避妊ぐらいしなさいよ」
男「ちょ、かーちゃん!!」
少女「……」 カァァ
男「うわぁー、あああ゙ー……、もう」
カーチャン(この様子じゃまだまだ先みたいだけどねぇ……)

260: 2010/07/22(木) 21:39:22.69 ID:qDNKCD1h0
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 キィィ ...パタン

少女「……ただいま」
男「おかえり」
少女「……おかえりなさい」
男「ん。……ただいま」
少女「なんだか、すごく帰ってきたって気がする」
男「まだ一週間しか経ってないんだけどなぁ。
  それにすぐ引っ越さないとだし」
少女「でも、なんだか……ここにいないあいだ、すごく、遠かった」
男「そうだな」
少女「女さんと居るのが、嫌ってわけじゃないんだけど」
男「うん」
少女「当たり前、じゃないなって」
男「……うん」
少女「変かな」
男「変だろ」
少女「でも、変でいいかな」
男「そうだな。
  ……夕飯、どうする?」





男・少女「「――カレー!!」」

261: 2010/07/22(木) 21:47:05.60 ID:qDNKCD1h0

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 ...カチャ

少女「……」
男「……どした? 今日ぐらい、お母さんと一緒に寝るんだろ?」
少女「そのつもり……だったんだけど。
   ……そっち、行っていい?」
男「ん」 スッ
少女「……えへへ」

 ...ぴとっ

男(……あー、やっぱり気のせいじゃない……よな。
  こんなにくっついてくる子じゃなかったのに……)
少女「ねぇ……私が……くっつくの、嫌?」
男「むしろうれしい……けど、困る。
  怖くないって言ってたけど……いつか、嫌な目、で見そうだから」
少女「おとこなら……いいよ?」
男「」




男(みんなして変な事吹き込むから……)


263: 2010/07/22(木) 21:50:44.76 ID:qDNKCD1h0
少女「あのね。
   おとこのことを考えると、おなかがね、きゅうってして……
   さいしょは、ごはんが美味しいから……おなか、すいてるのかなって
   思ってたんだけど……女さんが言うんだ」
男「……」
少女「お腹がきゅうってするのは、胸がぽかぽかするのは……
   こうやってくっついていたいのは……その」
男「……うん」
少女「いやな目、とかじゃない……んだと思う。
   お母さんが、その時の好きな人と、はだかでくっついてたの……知ってる。
   その時のお母さんは幸せそうだった。きっとそういうことなんだよ。
   私は、おとこのことが好き。大好き。
   おとこは、私といて……ぽかぽかする?」
男「…………するよ」
少女「じゃあ」
男「……でも、だめ」
少女「……どうして?」
男「……」
少女「……かーちゃんが、言ったから?」

264: 2010/07/22(木) 21:55:30.25 ID:qDNKCD1h0
少女「おとこは、私が、くっついていたいって思う人で、男の人では初めてで、
   お母さんがもう氏んじゃったら……私には、おとこしかいないの」 じわぁ
男(……)
少女「……おとこが、ぎゅってしてくれないと……私……」 ぎゅううう
男「……違うよ」
少女「なに……が?」
男「少女は……お母さんが氏んでから、お母さんのことを考えてちゃんと泣いたか?」
少女「…………」
男「じゃあ、今は泣いて。無理に……大人とか、そんな何かになろうとしないでくれ。
  ただの子供として、お母さんが居なくなったこと、今泣かないと……
  きっとずっと後悔するから」
少女「お母、さん」
男「そう」
少女「お母さん……おかぁさぁん!」


  「どうして……しんじゃったのよぅ……」

  「うわ……ぁ……」


  「うわぁぁああぁああああああああああん!!!!」



男(……そう、これでいいんだ) ポンポン

265: 2010/07/22(木) 21:59:16.25 ID:qDNKCD1h0

 ----

少女「……」 ヒック、ヒック
男「――もう、一人で寝れるな?」
少女「……うん」 グスッ
男「」 ずきゅうん
少女「……」 ウルウル
男(……いやいや、泣き顔に欲情とかもう俺氏ねばいいのに)
 (……)
 「でも、そうだな……うん」
少女「……?」
男(……結局、流されっぱなしか)

       ちゅっ

少女「……えっ?」
男「みんなには秘密、な?」
少女「!!」 カアアアッ
男「……5年、経ってさ。
  まだ……その、好きでいてくれたら。そのときは……てことで。
  なんというか俺も……うん、好きだよ」
少女「うん……うんっ!」 ポロポロポロ



男(……さようならまともな性癖 こんにちは口リコン)
 (つーかこの子が帰ったあと一人でハッスルしない自信ないぞ)

266: 2010/07/22(木) 22:03:13.26 ID:qDNKCD1h0










 --5年後--

??「たーだいまー。おなかすいたーおなかすいたー!」
?「おう、夕飯ならできてるぞー」
??「やりっ! 夏大近いからさーもう練習量ぱないからさぁ」
?「ああ、コラつまみ食いすんな!」
??「だって美味しいんだもん!」
?「お前の分のおかず削るからなー?」
??「なーにさ、私のこともつまみ食いする気満々なくせにぃ?」
?「ちょ、おま、蒸し返すなよ!!」
??「忘れてあげませーん」
?「ああ゙ー、もう……というか、だな」
??「うん?」



男「……君のウチは隣だと思うんだが」
少女「にししwwww 気にすんな!!」

                                   おわれ

267: 2010/07/22(木) 22:05:06.74 ID:mBep6PbS0
乙。楽しかった

269: 2010/07/22(木) 22:05:33.17 ID:zOVR91dU0
乙でした。
こころあたたまった

273: 2010/07/22(木) 22:14:16.95 ID:0PIhFDEG0
大層乙であった

276: 2010/07/22(木) 22:16:52.55 ID:qDNKCD1h0
終わりついでのメモ

当初の予定:「口リコンとヤンデレな口リが絡んだら」というコンセプト
最終的なところ:ハートフルサスペンスのような何か 迷走しすぎ

キャラ解説:
・男:マザコンにして口リコン。不治の病を患っているがわりと幸せそうなのはきっと糞真面目だから。
・男の父:実は若かりしカーチャンをまさしく光源氏計画よろしく育てて食べちゃった駄目人間。遺伝って怖い。故人。
・カーチャン:色々と最強。作中(エピローグ除く)ではまだ30代という恐怖。

・少女:当初の予定がヤンデレだったので微妙に病んでるけど男のおかげか明るく素直に育つことに。
・少女の母:出そうかどうか迷って結局故人になった。合掌。

・友:変態かつ空気。色々とゴメン。
・女:少女に女の道を説く役割として必須だった。ウザキャラなのは仕様。というか、口調が不安定。少女もだけど。

・クラスメイト:みっちゃん。出番少ないけどキャラが濃い。書いてる人の脳内小学生イメージそのまま。

・彼氏:イメージはうざやさん。ナイフ使いなのも同じ理由。少女のパンツは彼の懐にいくつか納まっている。



ではまたいつかどこかで。

引用元: 男「君のウチは隣だと思うんだが」