1: 2016/04/19(火) 21:50:18.949 ID:72z3KfxF0.net
お兄ちゃんは中学校で部活に励み、
タラちゃんは小学校にあがり、
私は小学六年生になりました。
お父さんもお母さんも、
お姉ちゃんやマスオお兄さんも、
みんな年をとっただけで中身は変わっていません。
でも私は変わりました。
好きな人ができました。
タラちゃんは小学校にあがり、
私は小学六年生になりました。
お父さんもお母さんも、
お姉ちゃんやマスオお兄さんも、
みんな年をとっただけで中身は変わっていません。
でも私は変わりました。
好きな人ができました。
2: 2016/04/19(火) 21:53:49.122 ID:72z3KfxF0.net
私はマスオお兄さんが好きです。
優しくて、格好良くて、とても頼りになる人。
私がみゆきちゃんや堀川君とクラスが離れて中々今のクラスに馴染めなかった時、マスオお兄さんは優しく話を聞いてくれました。
ワカメちゃんなら大丈夫だよ
君はしっかりしている子だから
何も心配することはないさ
自信を持って前を向いて堂々としていればいいよ
と、私に言ってくれました。
頭を撫でられ、手を繋ぎ、パフェをご馳走してくれて。
お兄ちゃんやお姉ちゃんには内緒だよとにっこり微笑んでくれたの。
優しくて、格好良くて、とても頼りになる人。
私がみゆきちゃんや堀川君とクラスが離れて中々今のクラスに馴染めなかった時、マスオお兄さんは優しく話を聞いてくれました。
ワカメちゃんなら大丈夫だよ
君はしっかりしている子だから
何も心配することはないさ
自信を持って前を向いて堂々としていればいいよ
と、私に言ってくれました。
頭を撫でられ、手を繋ぎ、パフェをご馳走してくれて。
お兄ちゃんやお姉ちゃんには内緒だよとにっこり微笑んでくれたの。
4: 2016/04/19(火) 21:57:53.322 ID:72z3KfxF0.net
マスオ兄さんの手が温かかったのを今でも覚えてるわ。
びっくりした時や、怖いものを見た時や、お父さんに叱られた時に感じるドキドキとは違う胸の鼓動を感じたの。
私は病気になったのかな。
頬も熱くて、握ったところからジンと熱くなり、胸の動機も止まらなくて。
みゆきちゃんに相談してみたの。
そうしたらみゆきちゃんは「いやねえ、ワカメちゃん」とにまにましながら言ってきたの。
「それはね、恋よ、恋」
恋。
びっくりした時や、怖いものを見た時や、お父さんに叱られた時に感じるドキドキとは違う胸の鼓動を感じたの。
私は病気になったのかな。
頬も熱くて、握ったところからジンと熱くなり、胸の動機も止まらなくて。
みゆきちゃんに相談してみたの。
そうしたらみゆきちゃんは「いやねえ、ワカメちゃん」とにまにましながら言ってきたの。
「それはね、恋よ、恋」
恋。
6: 2016/04/19(火) 22:01:40.763 ID:72z3KfxF0.net
「恋?」
「そうよ、それはマスオお兄さんに恋をしてるのよ!」
「えっ、やだ、あたしが…?」
頬が更に熱くなったのがわかった。
ああまた病気が悪化したんだわ。
それか今日は一段とお日様が眩しいから、それでほっぺたが熱くなってるの。
「だってドキドキしたんでしょ?きゅんって来たんでしょ?」
「きゅん…だなんて、そんな…!」
「気付いてないだけ!大人の人に恋するなんて大人ね!ワカメちゃん!」
みゆきちゃんは私と同じくらい赤くなりながらきゃあきゃあ騒いでいた。
どこが好きなの?いつから好きなの?って、しつこくきいてくるもんだから、恥ずかしくて逃げちゃったけど。
「そうよ、それはマスオお兄さんに恋をしてるのよ!」
「えっ、やだ、あたしが…?」
頬が更に熱くなったのがわかった。
ああまた病気が悪化したんだわ。
それか今日は一段とお日様が眩しいから、それでほっぺたが熱くなってるの。
「だってドキドキしたんでしょ?きゅんって来たんでしょ?」
「きゅん…だなんて、そんな…!」
「気付いてないだけ!大人の人に恋するなんて大人ね!ワカメちゃん!」
みゆきちゃんは私と同じくらい赤くなりながらきゃあきゃあ騒いでいた。
どこが好きなの?いつから好きなの?って、しつこくきいてくるもんだから、恥ずかしくて逃げちゃったけど。
8: 2016/04/19(火) 22:04:55.731 ID:72z3KfxF0.net
すぐに部屋に入って、お腹が痛いのと嘘を吐いて布団に潜った。
お姉ちゃんとお母さんはお医者さんを呼ぼうとしたけれど、私は大丈夫だって言った。
お兄ちゃんも気を使ってなるべく部屋には近づかないようにって居間でタラちゃんと遊んでた。
ドキドキと胸が高鳴り、ぐるぐると目眩がする感じがして、このまま氏んでしまうんじゃないかという恐怖に襲われた私は神様に「苦しいのを止めてください」とお願いした。
ごめんなさい神様、私まだ氏にたくないの!
お姉ちゃんとお母さんはお医者さんを呼ぼうとしたけれど、私は大丈夫だって言った。
お兄ちゃんも気を使ってなるべく部屋には近づかないようにって居間でタラちゃんと遊んでた。
ドキドキと胸が高鳴り、ぐるぐると目眩がする感じがして、このまま氏んでしまうんじゃないかという恐怖に襲われた私は神様に「苦しいのを止めてください」とお願いした。
ごめんなさい神様、私まだ氏にたくないの!
9: 2016/04/19(火) 22:08:25.777 ID:72z3KfxF0.net
タラちゃんの「おかえりなさいです!」という声にはっとする。
ああ私は神様にお願い事をしている間に寝ちゃったんだわ。
でもさっきのドキドキや目眩はおさまったからきっと神様が叶えてくれたのね。
お腹が空いた気がするから、居間へ行こう。
ゆっくりと立ち上がり、お布団を畳んで、ふすまを開けようとすると、一人出にふすまが開いた。
びっくりした私が声をあげると、目の前に立っている人物もまた声をあげた。
「びっくりした、起きて大丈夫なのかい?ワカメちゃん」
ああ、マスオ兄さんだ
ああ私は神様にお願い事をしている間に寝ちゃったんだわ。
でもさっきのドキドキや目眩はおさまったからきっと神様が叶えてくれたのね。
お腹が空いた気がするから、居間へ行こう。
ゆっくりと立ち上がり、お布団を畳んで、ふすまを開けようとすると、一人出にふすまが開いた。
びっくりした私が声をあげると、目の前に立っている人物もまた声をあげた。
「びっくりした、起きて大丈夫なのかい?ワカメちゃん」
ああ、マスオ兄さんだ
10: 2016/04/19(火) 22:15:47.705 ID:72z3KfxF0.net
「お、おかえりなさい、びっくりしたあ」
「驚かせてごめんね、お腹痛いんだって?」
「ううん、もう平気よ。今からご飯食べようと思って」
「ちょうどいいタイミングだね、今起こしに来ようとしたところだよ」
「そうだったの、ありがとうマスオ兄さん」
「いやいいんだ、ワカメちゃんのために美味しいフルーツも買ってきたからご飯の後にでも食べてね」
また、ドキリとした。
私のため?
わざわざお仕事の帰りに、買ってきてくれたの?
あ、あ、また、まただ。
ドキドキと、心臓が早く動いてる。
いやだ、いたいの、いたいいたい。
きっと私今変な顔してる。
顔が赤くなってるに違いない。
「どうしたんだい?ワカメちゃん」
「っ!な、なんでもないわ…平気よっ」
「顔が赤いけど…熱でもあるんじゃないか?」
私のおでこに触れたマスオ兄さんの手は、さっきまで外に居たせいか少しばかり冷たくて、びっくりして目を閉じてしまった。
目を閉じているのに、目の奥がぐるぐるして、なんだかとってもきもちがわるい。
「うーん、熱はないようだけど…まだ寝てる?」
「へ、へいき…大丈夫…!早く居間に行きましょ!」
マスオ兄さんの背中を押して、私は俯きながら歩いた。
みゆきちゃんが言ってた。
「ワカメちゃん、それは恋よ」
私はその一言を意識しているんだ。
「驚かせてごめんね、お腹痛いんだって?」
「ううん、もう平気よ。今からご飯食べようと思って」
「ちょうどいいタイミングだね、今起こしに来ようとしたところだよ」
「そうだったの、ありがとうマスオ兄さん」
「いやいいんだ、ワカメちゃんのために美味しいフルーツも買ってきたからご飯の後にでも食べてね」
また、ドキリとした。
私のため?
わざわざお仕事の帰りに、買ってきてくれたの?
あ、あ、また、まただ。
ドキドキと、心臓が早く動いてる。
いやだ、いたいの、いたいいたい。
きっと私今変な顔してる。
顔が赤くなってるに違いない。
「どうしたんだい?ワカメちゃん」
「っ!な、なんでもないわ…平気よっ」
「顔が赤いけど…熱でもあるんじゃないか?」
私のおでこに触れたマスオ兄さんの手は、さっきまで外に居たせいか少しばかり冷たくて、びっくりして目を閉じてしまった。
目を閉じているのに、目の奥がぐるぐるして、なんだかとってもきもちがわるい。
「うーん、熱はないようだけど…まだ寝てる?」
「へ、へいき…大丈夫…!早く居間に行きましょ!」
マスオ兄さんの背中を押して、私は俯きながら歩いた。
みゆきちゃんが言ってた。
「ワカメちゃん、それは恋よ」
私はその一言を意識しているんだ。
11: 2016/04/19(火) 22:19:27.870 ID:72z3KfxF0.net
その時のことはあまり覚えてない。
ご飯が何だったかも、味も、会話も。
ただ覚えてるのはマスオ兄さんが買ってきてくれたのが苺だった事だけ。
甘くて、どこか酸っぱくて、真っ赤で。
私はまだ気づいていなかったけど、
いつの間にか本当に好きになってしまったの。
いつかは覚えてないけれど。
私がマスオ兄さんを好きになって、二ヶ月が経った。
ご飯が何だったかも、味も、会話も。
ただ覚えてるのはマスオ兄さんが買ってきてくれたのが苺だった事だけ。
甘くて、どこか酸っぱくて、真っ赤で。
私はまだ気づいていなかったけど、
いつの間にか本当に好きになってしまったの。
いつかは覚えてないけれど。
私がマスオ兄さんを好きになって、二ヶ月が経った。
13: 2016/04/19(火) 22:23:27.916 ID:72z3KfxF0.net
苦しい恋だった。
マスオ兄さんとは年が離れていて、
マスオ兄さんには好きな人がいて、
マスオ兄さんは結婚していて、
マスオ兄さんには子供がいて、
マスオ兄さんの好きな人は私のお姉ちゃんで。
苦しかった。
私が早く生まれていたらマスオ兄さんと結婚するのは私だったのかもしれないのに。
どうしてお姉ちゃんなの。
お姉ちゃんはおっちょこちょいで、子供みたいで、今でもお兄ちゃんと追いかけっこしてるのに。
私はまだ子供だし、お料理も苦手だけど、お姉ちゃんよりは大人よ。
タラちゃんの面倒だって見ることができるわ。
マスオ兄さんとは年が離れていて、
マスオ兄さんには好きな人がいて、
マスオ兄さんは結婚していて、
マスオ兄さんには子供がいて、
マスオ兄さんの好きな人は私のお姉ちゃんで。
苦しかった。
私が早く生まれていたらマスオ兄さんと結婚するのは私だったのかもしれないのに。
どうしてお姉ちゃんなの。
お姉ちゃんはおっちょこちょいで、子供みたいで、今でもお兄ちゃんと追いかけっこしてるのに。
私はまだ子供だし、お料理も苦手だけど、お姉ちゃんよりは大人よ。
タラちゃんの面倒だって見ることができるわ。
15: 2016/04/19(火) 22:29:13.685 ID:72z3KfxF0.net
「マスオ兄さんはどうしてお姉ちゃんと結婚したの?」
「え?それはね、サザエが魅力的な人だったからだよ」
お姉ちゃんは確かに魅力的よ。
お料理も上手で、お裁縫も得意で、人を惹きつける力があって。
ただね、私はお姉ちゃんよりマスオ兄さんのことを好きな自信があるの。
一日中マスオ兄さんの事を考えてるわ。
マスオ兄さんと喧嘩だってきっとしない。
叱ったりもしないもん。
マスオ兄さんがお姉ちゃんの話をする時、いつもにこにこと笑っていた。
それはとても幸せそうに、素敵だ、綺麗だって、たくさん褒めて。
「ふうん、じゃあお姉ちゃんと結婚できて嬉しい?」
「もちろんだよ!愛らしい息子も生まれて、明るい弟ができて、こんなに可愛い妹だっている!僕は幸せモノだ!」
「っ!か、かわいいだ、なんて…そんな…」
馬鹿なマスオ兄さん。
期待させるようなこと言って。
私の気持ちなんか知らないくせに。
ばかね、ばかばか。
「え?それはね、サザエが魅力的な人だったからだよ」
お姉ちゃんは確かに魅力的よ。
お料理も上手で、お裁縫も得意で、人を惹きつける力があって。
ただね、私はお姉ちゃんよりマスオ兄さんのことを好きな自信があるの。
一日中マスオ兄さんの事を考えてるわ。
マスオ兄さんと喧嘩だってきっとしない。
叱ったりもしないもん。
マスオ兄さんがお姉ちゃんの話をする時、いつもにこにこと笑っていた。
それはとても幸せそうに、素敵だ、綺麗だって、たくさん褒めて。
「ふうん、じゃあお姉ちゃんと結婚できて嬉しい?」
「もちろんだよ!愛らしい息子も生まれて、明るい弟ができて、こんなに可愛い妹だっている!僕は幸せモノだ!」
「っ!か、かわいいだ、なんて…そんな…」
馬鹿なマスオ兄さん。
期待させるようなこと言って。
私の気持ちなんか知らないくせに。
ばかね、ばかばか。
16: 2016/04/19(火) 22:34:37.681 ID:72z3KfxF0.net
「え?マスオさんのどこが好きかって?なによワカメ、いきなり」
「突然気になったの、教えてよお姉ちゃん」
「そうねー…」
お姉ちゃんもにこにこと笑っていた。
優しくて、頼りになって、意外と負けず嫌いで、意地っ張りで。
「マスオさんはね、勇気のある人よ」
「へえ、そうなんだ」
お姉ちゃんは嬉しそうに語っていた。
私も嬉しくなった。
だってお姉ちゃんはマスオ兄さんの事何も知らないみたい。
マスオ兄さんが意地っ張りなわけないわ。
いつも優しくしてくれるもの。
お姉ちゃんはマスオ兄さんのこと分かってない。
私がいちばんマスオ兄さんのことを好きなんだ。
誰にも負けない、お姉ちゃんにも、タラちゃんにも。
「突然気になったの、教えてよお姉ちゃん」
「そうねー…」
お姉ちゃんもにこにこと笑っていた。
優しくて、頼りになって、意外と負けず嫌いで、意地っ張りで。
「マスオさんはね、勇気のある人よ」
「へえ、そうなんだ」
お姉ちゃんは嬉しそうに語っていた。
私も嬉しくなった。
だってお姉ちゃんはマスオ兄さんの事何も知らないみたい。
マスオ兄さんが意地っ張りなわけないわ。
いつも優しくしてくれるもの。
お姉ちゃんはマスオ兄さんのこと分かってない。
私がいちばんマスオ兄さんのことを好きなんだ。
誰にも負けない、お姉ちゃんにも、タラちゃんにも。
17: 2016/04/19(火) 22:38:16.977 ID:72z3KfxF0.net
私は短かった髪を伸ばした。
漫画やお人形を買う為に貯めていたお金も、全部お洋服に使った。
勉強だってたくさんしたし、苦手な体育も少しずつ得意になれた。
だって頑張ったらマスオ兄さんが褒めてくれるから。
凄いね、頑張ったね、って。
でも私、ひとつだけいやなことがあるの。
それはね、マスオ兄さんは私を褒めるときに必ず、“流石サザエの妹だ!”って言うのよ。
ばっかみたい!
何も分かってないんだから。
*
漫画やお人形を買う為に貯めていたお金も、全部お洋服に使った。
勉強だってたくさんしたし、苦手な体育も少しずつ得意になれた。
だって頑張ったらマスオ兄さんが褒めてくれるから。
凄いね、頑張ったね、って。
でも私、ひとつだけいやなことがあるの。
それはね、マスオ兄さんは私を褒めるときに必ず、“流石サザエの妹だ!”って言うのよ。
ばっかみたい!
何も分かってないんだから。
*
19: 2016/04/19(火) 22:46:01.439 ID:72z3KfxF0.net
小学六年生の夏、私は他のクラスの男の子に告白された。
「小学三年生の時から、磯野さんのことが好きだったんだ」って。
生まれて初めて告白されて、ドキドキより困惑したわ。
だって私はあなたの名前も知らないもの。
「ごめんなさい、好きな人が居るの」
それだけを言い残して、私はその子の顔も見ずに家に帰った。
興味ないの、ごめんなさい。
家に帰って暫くしたら、マスオ兄さんが居る。
毎日好きな人と同じ家に住める。
それってとっても素敵な事でしょう?
そうでしょう?
「小学三年生の時から、磯野さんのことが好きだったんだ」って。
生まれて初めて告白されて、ドキドキより困惑したわ。
だって私はあなたの名前も知らないもの。
「ごめんなさい、好きな人が居るの」
それだけを言い残して、私はその子の顔も見ずに家に帰った。
興味ないの、ごめんなさい。
家に帰って暫くしたら、マスオ兄さんが居る。
毎日好きな人と同じ家に住める。
それってとっても素敵な事でしょう?
そうでしょう?
20: 2016/04/19(火) 22:52:15.631 ID:72z3KfxF0.net
家に帰ると珍しくお兄ちゃんが私より早く帰って来てた。
泥だらけのエナメルバッグを机の上に置いて、傷の多いバットとグローブはしっかりと立て掛けてあった。
居間に行くとお兄ちゃんとタラちゃんがケーキを頬張りながら「おかえり」と言ってくれた。
お兄ちゃんはどことなく嬉しそう。
「お兄ちゃんどうしたの?」
「なにが?」
「何だかとっても嬉しそう」
お兄ちゃんは鼻の下をこすり、へへへと笑った。
変なお兄ちゃんだなあと思いながら台所に行くと、お姉ちゃんとお母さんもニコニコ笑っていた。
「どうしたの、みんなして笑って」
「あら、ワカメおかえり」
「ふふふ、カツオったらね~、彼女が出来たのよ」
「彼女!?」
居間の方で何か叫び声が聞こえた。
きっとお兄ちゃんが恥ずかしがってる声だわ。
泥だらけのエナメルバッグを机の上に置いて、傷の多いバットとグローブはしっかりと立て掛けてあった。
居間に行くとお兄ちゃんとタラちゃんがケーキを頬張りながら「おかえり」と言ってくれた。
お兄ちゃんはどことなく嬉しそう。
「お兄ちゃんどうしたの?」
「なにが?」
「何だかとっても嬉しそう」
お兄ちゃんは鼻の下をこすり、へへへと笑った。
変なお兄ちゃんだなあと思いながら台所に行くと、お姉ちゃんとお母さんもニコニコ笑っていた。
「どうしたの、みんなして笑って」
「あら、ワカメおかえり」
「ふふふ、カツオったらね~、彼女が出来たのよ」
「彼女!?」
居間の方で何か叫び声が聞こえた。
きっとお兄ちゃんが恥ずかしがってる声だわ。
22: 2016/04/19(火) 22:59:36.436 ID:72z3KfxF0.net
お姉ちゃんからケーキとオレンジジュースを貰って、座る。
お兄ちゃんに彼女の事を聞かせてと言うと、お兄ちゃんは照れながら「仕方ないなあ」と笑った。
テニス部のショートカットの女の子で、お兄ちゃんのことずっと見てたんだって。
普段はおちゃらけててダメダメだけど、面倒見が良くて、明るくて、スポーツに打ち込んでる姿が格好良かったんだって。
いざとなれば頼りになって、勇気もあって、そんなお兄ちゃんをずっとずっと見てたって。
「あ~~、僕は幸せモノだなあ、早川さんと結ばれる運命だったなんて!」
お兄ちゃんに彼女の事を聞かせてと言うと、お兄ちゃんは照れながら「仕方ないなあ」と笑った。
テニス部のショートカットの女の子で、お兄ちゃんのことずっと見てたんだって。
普段はおちゃらけててダメダメだけど、面倒見が良くて、明るくて、スポーツに打ち込んでる姿が格好良かったんだって。
いざとなれば頼りになって、勇気もあって、そんなお兄ちゃんをずっとずっと見てたって。
「あ~~、僕は幸せモノだなあ、早川さんと結ばれる運命だったなんて!」
23: 2016/04/19(火) 23:09:40.237 ID:72z3KfxF0.net
早川さん、お兄ちゃんのお友達。
本当のことを言うと、私はずっと知ってた。
早川さんは小学生の頃からずっとお兄ちゃんのことが好きで、お兄ちゃんはそれに気づいていなかった。
だってわざわざお兄ちゃんの為に家に来たことだってたくさんあるのよ?
それで気づかないなんて、お兄ちゃんって本当に馬鹿ね。
「みんなには言ってなかったけど、実は中島のやつも彼女ができたんだ!」
「えー、だれだれ!」
「花沢さんだよ!」
お兄ちゃんが言うには、中島君が花沢さんに告白したらしい。
花沢さんに励まされる度に惚れていったんだって。
花沢さんはきっと失恋ショックで中島くんにいったんだろうな。
本当のことを言うと、私はずっと知ってた。
早川さんは小学生の頃からずっとお兄ちゃんのことが好きで、お兄ちゃんはそれに気づいていなかった。
だってわざわざお兄ちゃんの為に家に来たことだってたくさんあるのよ?
それで気づかないなんて、お兄ちゃんって本当に馬鹿ね。
「みんなには言ってなかったけど、実は中島のやつも彼女ができたんだ!」
「えー、だれだれ!」
「花沢さんだよ!」
お兄ちゃんが言うには、中島君が花沢さんに告白したらしい。
花沢さんに励まされる度に惚れていったんだって。
花沢さんはきっと失恋ショックで中島くんにいったんだろうな。
26: 2016/04/19(火) 23:16:28.490 ID:72z3KfxF0.net
花沢さんは失恋と同時に新しい恋へ行ったのね。
だって早川さんにはかなわないって思ったんでしょう。
私なんて、失恋してるも同然なのに、弱いなあ。
「そういえばワカメは好きな人居ないのか?」
「!な、なによ、デリカシーがないわね、お兄ちゃん」
「ぼくはリカちゃんがすきです~!」
ああもうやだなあ、お兄ちゃんってば。
ライバルが居るのに言えるわけないじゃないの。
「その反応は居るのね!誰よ教えなさいよワカメ~」
「こら、およしよサザエ」
「どーせ堀川君だろ?」
「ほりかわクンですか?」
「ち、違うわよ!堀川君じゃない!」
だって早川さんにはかなわないって思ったんでしょう。
私なんて、失恋してるも同然なのに、弱いなあ。
「そういえばワカメは好きな人居ないのか?」
「!な、なによ、デリカシーがないわね、お兄ちゃん」
「ぼくはリカちゃんがすきです~!」
ああもうやだなあ、お兄ちゃんってば。
ライバルが居るのに言えるわけないじゃないの。
「その反応は居るのね!誰よ教えなさいよワカメ~」
「こら、およしよサザエ」
「どーせ堀川君だろ?」
「ほりかわクンですか?」
「ち、違うわよ!堀川君じゃない!」
27: 2016/04/19(火) 23:25:07.467 ID:72z3KfxF0.net
堀川君なんか眼中にないもん。
私が好きなのは、優しくて、格好良くて、頼れて、素敵な人で…
「ま、マスオ兄さん…」
しん、とみんなが静まった。
お姉ちゃんは目をぱちくりとさせて、お兄ちゃんはケーキを口に運ぼうとした所で止まってる。
「み、たいなひとよ…あたしの好きなタイプ」
きっと、三秒くらいしか経ってなかったと思う。
でも私にはそれが十分にも二十分にも感じられて、痛いくらいに胸が脈打っている。
「流石あたしの妹ね、好きなタイプは似るもんだわ!」
あはは、という声が今いっぱいに広がった。
どうしてか分からないけど何故かとってもむかついて、私はケーキに手を付けず「遊びに行ってくる」と言って家を出た。
私が好きなのは、優しくて、格好良くて、頼れて、素敵な人で…
「ま、マスオ兄さん…」
しん、とみんなが静まった。
お姉ちゃんは目をぱちくりとさせて、お兄ちゃんはケーキを口に運ぼうとした所で止まってる。
「み、たいなひとよ…あたしの好きなタイプ」
きっと、三秒くらいしか経ってなかったと思う。
でも私にはそれが十分にも二十分にも感じられて、痛いくらいに胸が脈打っている。
「流石あたしの妹ね、好きなタイプは似るもんだわ!」
あはは、という声が今いっぱいに広がった。
どうしてか分からないけど何故かとってもむかついて、私はケーキに手を付けず「遊びに行ってくる」と言って家を出た。
31: 2016/04/19(火) 23:33:46.101 ID:72z3KfxF0.net
私は唯一恋愛話が出来るみゆきちゃんの所に行った。
みゆきちゃんはみんなより少し大人びてて、私の恋愛話に良く頷いてくれた。
「みんなしてデリカシーがないんだから…、普通は聞かないよね?」
「そうね、でもワカメちゃんのお家はみんな仲良しだから隠し事しちゃダメみたいな雰囲気あるじゃない」
「きっと私の恋愛はみんなに邪魔されちゃうんだろうなあ」
「私にいい考えがあるよ、ワカメちゃん」
すこしだけ背丈の伸びた私達は、少しだけ大人の身体になっていた。
みゆきちゃんはみんなより少し大人びてて、私の恋愛話に良く頷いてくれた。
「みんなしてデリカシーがないんだから…、普通は聞かないよね?」
「そうね、でもワカメちゃんのお家はみんな仲良しだから隠し事しちゃダメみたいな雰囲気あるじゃない」
「きっと私の恋愛はみんなに邪魔されちゃうんだろうなあ」
「私にいい考えがあるよ、ワカメちゃん」
すこしだけ背丈の伸びた私達は、少しだけ大人の身体になっていた。
32: 2016/04/19(火) 23:43:15.431 ID:72z3KfxF0.net
私は今日、最低な人間になりました。
子供らしくない、最低な人間に。
子供らしくない、最低な人間に。
34: 2016/04/19(火) 23:57:59.334 ID:72z3KfxF0.net
みゆきちゃんが言った。
マスオお兄さんがお風呂に入ってる時に、ワカメちゃんも隙を見て入ればいいのよ!
私達、もう大人に近づいてるんだから!
きっとマスオお兄さんだって意識するに決まってる!
私はそのみゆきちゃんの言葉を受けて、マスオ兄さんがお風呂に入っているのを確認して、そこに突撃した。
膨らみ掛けの胸と、丸みを帯びた身体。
私はもう子供じゃないんだよ。
私は大人なんだよ。
「!ワカメちゃん」
「マスオ兄さん、一緒にお風呂入っても良い?」
ねえ、わたし、こころもからだもおとなだよ。
マスオお兄さんがお風呂に入ってる時に、ワカメちゃんも隙を見て入ればいいのよ!
私達、もう大人に近づいてるんだから!
きっとマスオお兄さんだって意識するに決まってる!
私はそのみゆきちゃんの言葉を受けて、マスオ兄さんがお風呂に入っているのを確認して、そこに突撃した。
膨らみ掛けの胸と、丸みを帯びた身体。
私はもう子供じゃないんだよ。
私は大人なんだよ。
「!ワカメちゃん」
「マスオ兄さん、一緒にお風呂入っても良い?」
ねえ、わたし、こころもからだもおとなだよ。
35: 2016/04/20(水) 00:06:54.000 ID:A0mqim8s0.net
マスオ兄さんは嫌な顔ひとつせず、私と一緒に入ってくれた。
昔と違ったのはマスオ兄さんが私の背中を洗ってくれなかった事と、私より先にお風呂を上がったこと。
私はそれが悔しくて悔しくて、マスオ兄さんがお風呂を上がったあとすぐに私もお風呂場から出た。
部屋に向かうマスオ兄さんの背中を追って、後ろから抱き着いた。
ぽたりぽたりと長い髪から雫が落ちる。
マスオ兄さんのパジャマが濡れて肌に張り付いている。
ああもう後には引けないだろう。
昔と違ったのはマスオ兄さんが私の背中を洗ってくれなかった事と、私より先にお風呂を上がったこと。
私はそれが悔しくて悔しくて、マスオ兄さんがお風呂を上がったあとすぐに私もお風呂場から出た。
部屋に向かうマスオ兄さんの背中を追って、後ろから抱き着いた。
ぽたりぽたりと長い髪から雫が落ちる。
マスオ兄さんのパジャマが濡れて肌に張り付いている。
ああもう後には引けないだろう。
37: 2016/04/20(水) 00:15:25.836 ID:A0mqim8s0.net
「聞いて、マスオ兄さん」
「ワカメちゃん、風邪引くよ」
「いいの、平気、聞いて」
私は分かっていた。
全部全部分かってた。
これを伝える事でどうなるか、
伝えたところで私はどうなるか。
「あのね、私ね、マスオ兄さんが好きよ」
格好良くて、優しくて、頼りになって。
欠点のないあなたが好き。
お姉ちゃんよりも好きな自信があるの。
大好きよ、好きよ、誰にも負けないくらい。
「ワカメちゃん、風邪引くよ」
「いいの、平気、聞いて」
私は分かっていた。
全部全部分かってた。
これを伝える事でどうなるか、
伝えたところで私はどうなるか。
「あのね、私ね、マスオ兄さんが好きよ」
格好良くて、優しくて、頼りになって。
欠点のないあなたが好き。
お姉ちゃんよりも好きな自信があるの。
大好きよ、好きよ、誰にも負けないくらい。
38: 2016/04/20(水) 00:25:36.079 ID:A0mqim8s0.net
髪から伝う水滴は、全てマスオ兄さんのパジャマが吸い取ってくれた。
一分が、十分が、三十分が、止まっているように思えた。
この家には誰も居ない、そんな感じがする。
「ありがとう、ワカメちゃん」
「ただね、ワカメちゃんは二つほど勘違いをしてる」
「ひとつ、僕は欠点が多い人間だということ
僕は意地っ張りで負けず嫌いで、狡い人間だよ
パチンコだって行くし煙草だって吸うし、サザエに内緒でバーやスナックで飲む事もある
美人がいたら鼻の下を伸ばして見てしまうし、
昔ワカメちゃんと出掛けた時に僕の同級生と会ったろう?その子に対して僕は君のことを“妹の娘”だと紹介した
とても欠点の多い人間だよ、それをワカメちゃんは知らないだけ」
「ふたつ、僕の事を一番愛してくれてるのはサザエだよ
こんな僕と結婚してくれたんだから
こんな僕を支えてくれたんだから
愛想を尽かさず僕の傍にいてくれる
僕の欠点をワカメちゃんが知らない理由は、
サザエが僕の愚痴を君達に吐かなかったから
君達からは頼れる兄さんと見せなければ、って思っていたんだよ」
マスオ兄さんは後ろを振り向かず、そう言った。
一分が、十分が、三十分が、止まっているように思えた。
この家には誰も居ない、そんな感じがする。
「ありがとう、ワカメちゃん」
「ただね、ワカメちゃんは二つほど勘違いをしてる」
「ひとつ、僕は欠点が多い人間だということ
僕は意地っ張りで負けず嫌いで、狡い人間だよ
パチンコだって行くし煙草だって吸うし、サザエに内緒でバーやスナックで飲む事もある
美人がいたら鼻の下を伸ばして見てしまうし、
昔ワカメちゃんと出掛けた時に僕の同級生と会ったろう?その子に対して僕は君のことを“妹の娘”だと紹介した
とても欠点の多い人間だよ、それをワカメちゃんは知らないだけ」
「ふたつ、僕の事を一番愛してくれてるのはサザエだよ
こんな僕と結婚してくれたんだから
こんな僕を支えてくれたんだから
愛想を尽かさず僕の傍にいてくれる
僕の欠点をワカメちゃんが知らない理由は、
サザエが僕の愚痴を君達に吐かなかったから
君達からは頼れる兄さんと見せなければ、って思っていたんだよ」
マスオ兄さんは後ろを振り向かず、そう言った。
39: 2016/04/20(水) 00:31:23.324 ID:A0mqim8s0.net
「僕の大好きな人の妹が、君でよかった
僕は本当に幸せモノだ、この家に居られて本当に幸せだよ」
マスオ兄さんは私の頭をタオル越しにわしゃわしゃと撫でた。
タオルが邪魔で顔が見えないよ、兄さん。
あなたは今どんな顔をしてるの。
あなたは今何を見てるの。
「君はこれからもっと素晴らしい出会いをする、僕とサザエのように、素晴らしい出会いを」
あなたは、いま。
貴方は、私を褒めるときに「流石サザエの妹だ」と褒めていたよね。
貴方は、私を妹としてしか見ていなかったね。
しってたよ、わかってたよ。
分かってたけど、心がごねたよ。
知りたくないって、分かりたくないって。
可能性があるって、あるわけないの。
馬鹿ね、私。
僕は本当に幸せモノだ、この家に居られて本当に幸せだよ」
マスオ兄さんは私の頭をタオル越しにわしゃわしゃと撫でた。
タオルが邪魔で顔が見えないよ、兄さん。
あなたは今どんな顔をしてるの。
あなたは今何を見てるの。
「君はこれからもっと素晴らしい出会いをする、僕とサザエのように、素晴らしい出会いを」
あなたは、いま。
貴方は、私を褒めるときに「流石サザエの妹だ」と褒めていたよね。
貴方は、私を妹としてしか見ていなかったね。
しってたよ、わかってたよ。
分かってたけど、心がごねたよ。
知りたくないって、分かりたくないって。
可能性があるって、あるわけないの。
馬鹿ね、私。
40: 2016/04/20(水) 00:32:00.882 ID:pfGe35oa0.net
マスオさんの大人の対応力すごい
41: 2016/04/20(水) 00:39:46.943 ID:A0mqim8s0.net
秋が過ぎ、冬になった。
お兄ちゃんはもうすぐ中学三年生になる。
私も中学校に入学する。
お姉ちゃんは、今お腹に新しい命を授かってるって。
だから春になったらお姉ちゃんとマスオ兄さんとタラちゃんは、家を出るんだって。
ねえ、寂しくなっちゃうよ。
だって今の部屋は私だけの部屋になって、
お姉ちゃん達の部屋はお兄ちゃんの部屋になるの。
ねえ、寂しいよ、どこにいくの、私も連れてって。
私は、フグ田家とは関係のない人間なのにね。
騒がしかった家は、静まり返った。
偶に父さんの怒鳴り声が響いて、その時だけ「磯野家だ」って改めて確認できる。
卒業式の日に、堀川君に告白された。
ありがとう、でもばいばい、私は新しく生まれ変わるんだ。
ごめんね、好きでいてくれてありがとう。
私が伝えた言葉は、
私が二番目に欲しかった言葉。
まだ寒いですね。
早く暖かくならないかな。
そうしたらこの寂しい気持ちもなくなるのに。
さようなら、初恋。
さようなら、大好きだった人。
さようなら、お兄さん。
おわり
お兄ちゃんはもうすぐ中学三年生になる。
私も中学校に入学する。
お姉ちゃんは、今お腹に新しい命を授かってるって。
だから春になったらお姉ちゃんとマスオ兄さんとタラちゃんは、家を出るんだって。
ねえ、寂しくなっちゃうよ。
だって今の部屋は私だけの部屋になって、
お姉ちゃん達の部屋はお兄ちゃんの部屋になるの。
ねえ、寂しいよ、どこにいくの、私も連れてって。
私は、フグ田家とは関係のない人間なのにね。
騒がしかった家は、静まり返った。
偶に父さんの怒鳴り声が響いて、その時だけ「磯野家だ」って改めて確認できる。
卒業式の日に、堀川君に告白された。
ありがとう、でもばいばい、私は新しく生まれ変わるんだ。
ごめんね、好きでいてくれてありがとう。
私が伝えた言葉は、
私が二番目に欲しかった言葉。
まだ寒いですね。
早く暖かくならないかな。
そうしたらこの寂しい気持ちもなくなるのに。
さようなら、初恋。
さようなら、大好きだった人。
さようなら、お兄さん。
おわり
42: 2016/04/20(水) 00:43:20.227 ID:OxKn9ZX7d.net
乙
43: 2016/04/20(水) 00:47:57.640 ID:A0mqim8s0.net
ありがとうございました
44: 2016/04/20(水) 00:56:58.479 ID:IytYnUpI0.net
乙
引用元: ワカメ「私には好きな人がいます」
コメント
コメント一覧 (1)
私も年上の人が好きになった事あるから。
esusokuhou
がしました
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