1: 2013/05/14(火) 23:29:04.86 ID:mw1/n75n0
春香「プロデューサー、いる?」

P「いるぞー、庭だ」

春香「お邪魔します」ゴソゴソ

2: 2013/05/14(火) 23:29:49.90 ID:mw1/n75n0
P「おう、久し振りだな春香」パチ

P「学校はどうだ?うまくやってるか?」

春香「別に……普通」

春香「また詰め将棋?」

P「この問題がどうしても解けなくてなー」ペラ

春香「じじくさい……」

P「いいだろ別に」パチン

4: 2013/05/14(火) 23:32:20.56 ID:mw1/n75n0
春香「そう言えば入口で水瀬の使用人とすれ違ったけど」

P「ああ、なんか名誉会長になってくれとか言われた」

春香「で、断ったのね」

P「当たり前だ、そんな堅苦しい肩書きいらん」

P「大体、伊織もいないのに所縁も何もないだろ」

春香「でも当主・水瀬伊織の意向だったんでしょ?」

P「俺は氏ぬまでアイドルのプロデューサーでいいんだよ」

春香「頑固者」

5: 2013/05/14(火) 23:33:34.88 ID:mw1/n75n0
ピンポーン

P「春香、出てくれ」パチ

春香「もう……」スッ

春香「はい、どちら様ですか?」

冬馬「よう春香ちゃん久し振り。プロデューサーいる?」

春香「いますよ。こちらです」

冬馬「おっす、まだ生きてるか?」ドタドタ

P「なんだ、珍しい奴が来たな」パチン

P「しかも開口一番それかよ」

冬馬「まぁ気にすんなよ」ドカッ

6: 2013/05/14(火) 23:35:01.83 ID:mw1/n75n0
春香「お茶です」コト

冬馬「おっ、ありがとな」

P「で、何の用だ?」

冬馬「まだるっこしい駆け引きは嫌いだから簡潔に言うぜ」ズズ

冬馬「961プロと765プロ、1つにしてみねえか」

P「……」パチン4

冬馬「今はアイドル業界も下火だ……そこで、俺はプロダクションを統合して体力をつけようと思う」

冬馬「悪い話じゃねえだろ?」

7: 2013/05/14(火) 23:37:51.91 ID:mw1/n75n0
P「お断りだ」パチ

冬馬「即答かよ」

P「ああ」

冬馬「……せめて理由を聞かせろよ」

P「あれ?ジュピターって765プロの敵じゃなかったっけ?」

冬馬「まだ根に持ってんのかよ、しつけえな」

冬馬「ありゃ黒井のおっさんの命令だったし、大体おっさんとそっちの社長も和解しただろうが!」

P「ギルティ……!」ドヤァ

冬馬「こンの……」ワナワナ

9: 2013/05/14(火) 23:39:26.60 ID:mw1/n75n0
P「冗談だよ」パチ

P「まぁ、冬馬の言いたいこともわかるが……」

P「正直言って上手く行くとは思えん」

冬馬「何でだよ」

P「それに何より」パチン

冬馬「あ?」

P「俺はお前とずっとライバルでいたいんだよ」

冬馬「……言うと思ったぜ」

P「そう言う訳だ、諦めろ」ズズズ

冬馬「まぁいいや、どうせ断るとは思ってたしな」

10: 2013/05/14(火) 23:41:40.09 ID:mw1/n75n0
冬馬「まぁいいや、どうせ断るとは思ってたしな」

冬馬「北斗と翔太も嫌だって言うだろうし」

P「じゃあなんで来たんだよ」

冬馬「ま、役職上、建前だけな」

冬馬「会社の意向っつーめんどくせぇもんがあるんでね」

P「本当に何しに来たんだお前……」

冬馬「ダチに会いに来ちゃいけねえのか?」

P「そうか」パチン

冬馬「あっやべっ、今日重役会議だった」

P「もう絶対間に合わないだろ……」

冬馬「いいんだよ待たせとけば」

冬馬「じゃーな、またヘラ釣りでも行こうぜ」

P「おう」パチン

11: 2013/05/14(火) 23:44:55.31 ID:mw1/n75n0
冬馬「春香ちゃん、お茶ごちそうさま。うまかったよ」

春香「お粗末さまです」

冬馬「俺のところでアイドルにならない?」

P「……おい、ピピンこのやろう」

春香「お誘いありがとうございます」

春香「でも、私はアイドルになる気はありませんから」

冬馬「あーあ、フラれちまったな」

冬馬「んじゃ」

P「気を付けろよ」パチ

春香「お気を付けて」

13: 2013/05/14(火) 23:47:10.74 ID:mw1/n75n0
春香「……」

春香「プロデューサーは、私がアイドルになるのは反対なの?」

P「いんや?やりたきゃやればいいだろ、反対する理由なんてないよ」

春香「……ばか」

P「それより春香、もう一回お茶淹れてくれよ」

春香「今飲んだじゃない」

P「クッキー、俺に作ってきてくれたんだろ?」

春香「!?」

春香「な、なんで」

P「さっきから懐を気にしてるからな」

春香「……いじわる」

14: 2013/05/14(火) 23:49:04.63 ID:mw1/n75n0
prrrrr

P「おっ、貴音だ。珍しいな」ピッ

春香「お茶淹れてくるね」スッ

P「もしもーし」

貴音『お久しゅうございます、あなた様』

P「本当に久し振りだな。どうしたんだ?」ペラ

貴音『いえ、ふとあなた様の事が気になりまして』

P「こっちは全然健康で元気してるよ」パチ

貴音『それは重畳です』

15: 2013/05/14(火) 23:51:10.06 ID:mw1/n75n0
P「……なんかあったんだろ、話せよ」

貴音『……何でもお見通しですね、あなた様は』

P「当たり前だ、俺はお前らのプロデューサーだぞ」

貴音『そうですね……では』

P「なんだ?」パチン

貴音『おさらばにございます』

16: 2013/05/14(火) 23:54:30.31 ID:mw1/n75n0
P「……そっか」パチ

貴音『ええ、あなた様一人を残して行くのは少々……気が重うございますが……』

P「気にするなよ」

P「ゆっくり休め」パチン

貴音『ありがとうございます……』

P「ああ、またな」

貴音『ええ、必ずやまたお逢いしましょう』

P「……おやすみ、貴音」

貴音『おやすみなさいませ……あなた様』

プツッ

ツー…ツー…ツー

19: 2013/05/14(火) 23:57:06.56 ID:mw1/n75n0
P「……」ピッ

春香「はい、お茶とクッキー」

P「……あぁ、ありがとう」

春香「どうしたの?元気ないけど」

P「貴音が逝ったよ」

春香「え……っ!?」

P「末期の癌だったからな……いつ逝ってもおかしくなかった」

P「よく頑張ったな、貴音」パチ

24: 2013/05/15(水) 00:01:17.78 ID:mw1/n75n0
P「春香、千早、真、雪歩」

P「伊織、やよい、亜美に真美」パチン

P「律子にあずささん、美希に響に小鳥さん……」

P「そして……貴音」パチ

P「あの時のメンバーはみんな、逝っちまったな」

P「……王手」パチン

P「皮肉なもんだな、一番早氏にしそうだった俺が一番長生きしてる」

26: 2013/05/15(水) 00:02:46.26 ID:JNxIQrrG0
春香「プロ……ひいおじいちゃん」

P「今まで通りプロデューサーって呼んでくれよ」

春香「……」

P「春香」

春香「ん……」

P「お前の名前は、俺がお前のひいおばあちゃんからつけた」

P「お前は若い頃のひいおばあちゃんにそっくりだよ」

春香「……うん」

P「天海春香……俺の生涯で、一番輝いてたアイドルだった」

P「元気いっぱいで、可愛くて、でもちょっとドジで」

春香「……のろけ?」

P「はは、間違っちゃいないな」

27: 2013/05/15(水) 00:05:08.57 ID:JNxIQrrG0
P「春香、お前は世界で一番だったアイドルの名前だけじゃなく、心も受け継いでる」

春香「心?」

P「お前は誰よりも優しくて、他人を幸せにできる数少ない人間だ」

P「アイドルで成功するためには、かわいいってだけじゃ駄目なんだ」

P「他人の幸せを願う……それは簡単なようで、実は一番難しい」

P「春香がアイドルやりたいって言うんなら、百戦錬磨のプロデューサーである俺が保証してやるよ」

P「春香はみんなを幸せにする素晴らしいアイドルになれる」

春香「プロデューサー、どうしたのいきなり……」

P「だから、春香は春香の好きなようにやればいい」

春香「……私、アイドルやってみたい」

28: 2013/05/15(水) 00:07:51.78 ID:JNxIQrrG0
P「そうか」

春香「昔の春香おばあちゃんの映像を見て、ずっと思ってたんだ」

春香「でも、なかなかお母さんやお父さんにも言い出せなくて……」

春香「でも、プロデューサーの太鼓判つきなら二人とも反対しないよね!」

P「なぁ、春香」

春香「なに?」

P「うまいな、このクッキー」モグ

春香「あ、ありがと」

カチャン

パリン

30: 2013/05/15(水) 00:10:13.55 ID:JNxIQrrG0
春香「うわっ!あ、危ないなぁ」

春香「もう、気を付けてよ」

春香「……プロデューサー?」

春香「ねえ、ちょっと……どうしたの?」

春香「プロデューサー?」

32: 2013/05/15(水) 00:13:58.76 ID:JNxIQrrG0
P『……ん』

春香『プロデューサー!』

P『……春香?』

P『なんで若い頃の春香が……』

春香『プロデューサーと出会った頃の春香さんですよ!』

春香『女子高生ですよ女子高生!』

P『あぁ……そうか、俺……』

P『立ち会わせちゃってごめんな、春香』

春香『本当にお疲れ様でした、プロデューサー』

春香『プロデューサーより先にいっちゃって、ごめんなさい』

33: 2013/05/15(水) 00:16:43.75 ID:JNxIQrrG0
P『いいよ、気にするな。春香に寂しい想いさせなくて済んだと思えば』

P『で、なんで制服着てるの』

春香『い、いいじゃないですか』

P『あざとさは変わらんな』

春香『そ、それよりみんな首を長くして待ってますよ!』

P『みんな?』

35: 2013/05/15(水) 00:18:34.42 ID:JNxIQrrG0
P『本当か!』

春香『はい!』

P『千早は相変わらず歌を?』

春香『毎日休まずボイトレしてます!』

P『真は?』

春香『カワイイ服をとっかえひっかえ着まくってます!』

P『雪歩のお茶が飲みたいな!』

春香『雪歩ちゃんも同じ事言ってました!』

P『伊織は変わらずのおでこか?』

春香『キュートなオデコとツンデレは永久に不滅です!』

36: 2013/05/15(水) 00:20:11.58 ID:JNxIQrrG0
P『やよいは元気か?』

春香『超うっうーです!』

P『律子は鬼軍曹のままか?』

春香『変わらずずっと私たちのお目付け役です!』

P『あずささんはまだ方向音痴か?』

春香『この間迷って現世に降臨しそうでした!』

P『亜美と真美はイタズラ好きのままか?』

春香『神様と天使ちゃん相手に毎日イタズラしてます!』

P『美希も少しは真面目になったか?』

春香『毎日お昼寝してますよ!』

P『響はなんくるないか?』

春香『でーじなんくるないです!』

37: 2013/05/15(水) 00:21:56.32 ID:JNxIQrrG0
P『貴音はまだラーメン食ってるのか?』

春香『天国大食い記録を樹立しました!』

P『小鳥さんは?』

春香『相変わらず薄い本描いてます!』

P『そっか……みんな変わってないんだな』

P『それじゃ俺は、みんなをプロデュースするとするか!』

春香『はい!みんな待ってますよ!』

春香『行きましょうプロデューサーさん!』

春香『これからはずっと一緒です!』

38: 2013/05/15(水) 00:24:03.31 ID:JNxIQrrG0
◆告別式会場

冬馬「『芸能界首領・大御所プロデューサー逝去、享年96歳……』」

冬馬「大往生じゃねぇか」

冬馬「……ったく、氏んじまったらライバルも何もねえだろ」パサ

冬馬「人の気も知らず、安らかな氏に顔しやがって……くそっ」グス

春香「冬馬さん」

冬馬「春香ちゃん……」グイ

冬馬「御愁傷様です」

春香「今日は曾祖父のためにありがとうございます」

冬馬「……春香ちゃんのひいじいちゃんは、地位とか名誉に一切目もくれず」

冬馬「アイドルのことを第一に考えてた、プロデューサーの鏡だったよ」

40: 2013/05/15(水) 00:25:33.22 ID:JNxIQrrG0
春香「はい……冬馬さん、お願いがあるんです」

冬馬「なんだ?」

春香「私、アイドルになりたいんです」

春香「プロデューサーと、約束したんです」

春香「世界一の、アイドルになるって」

冬馬「そうか……わかった」

冬馬「出来る限りのバックアップはするよ」

春香「ありがとうございます」

冬馬「なに、あの天海春香と敏腕プロデューサーの血を引くサラブレッドだ」

冬馬「あっという間にトップアイドルに仕上げてやる」

冬馬「その代わり、氏ぬほどキツいから覚悟しろよな」

春香「はい!」

43: 2013/05/15(水) 00:27:44.93 ID:JNxIQrrG0
冬馬「これが俺の最後の仕事だな……」

冬馬「北斗、翔太……もうちょっとだけ待っててくれよな」

冬馬「やり残したことが終わったら、俺も行くから」

冬馬「そしたら、ジュピター再結成しような」

春香「プロデューサー」

45: 2013/05/15(水) 00:30:03.26 ID:JNxIQrrG0
春香「私、世界一のアイドルになるから」

春香「天国まで名前が届くくらいのトップアイドルになるから」

春香「だから、見ててね」

春香「おやすみなさい、プロデューサー」

END

46: 2013/05/15(水) 00:30:35.10 ID:yi/YGvLb0
イイハナシダナー!!!!

47: 2013/05/15(水) 00:30:56.24 ID:+e2QpTwL0
おつ

引用元: 春香「アイドルマスター・フィナーレ」