1: 19/06/02(日)22:06:17 ID:eEH
――それは某三笠公園で開催されたカレーイベントに参加した、あるお偉いさんの何気ない一言が始まりだった

美城専務「うむ、彼女達にカレーを作らせるという名演技をさせてみようか」

武内P「は?」

今西部長「いいねぇ、実にいい話だ」





――後に聞いた話だと

美城専務「うちには全国からアイドルが集まるから、きっとおいしいカレーが食べられるはず」

――という、思わず首の後ろに手をやりたくなる一言だった

2: 19/06/02(日)22:09:08 ID:eEH
――話は瞬くまに広がり

――アイドル界を震撼させるイベントになると思ったスポンサーや各事務所の意向により、各チームによる選抜勝ち抜きイベントが行われる



――はずだった

3: 19/06/02(日)22:17:12 ID:eEH
――話が急変したのはある事務所所属のアイドルが作成したカレーを食べたお偉いさんが、バタバタ倒れたことだった

海美「あっれー?この『女子力カレー』に変なところがあったかな?」



――残る事務所にも危険があると察した彼等は



ありす「何故ですか!いちごカレーはあるんですよ!」

桃華「ありすさん……勝ち抜きには不向きなカレーを……」



夏葉「冗談じゃないわ。プロテインを入れてはいけないだなんて」

樹里「なぁ……止めるヤツはいなかったのかよ……」



――では……と、各事務所の新人同士の対決になると思われたが

あさひ「ひー!ひー!」

冬優子「おかしいわね?まだ甘口のつもりよ」

――さらに選抜は絞られた

4: 19/06/02(日)22:21:14 ID:eEH
――そして

真乃「むんっ!頑張ります!」

灯織「大丈夫かしら……」

めぐる「調理部の助っ人も頼まれてるからへーきへーき!」



あかり「か、カレーにりんごを入れるんご!」

あきら「#何故このメンツ?」

りあむ「いくらぼくでも、あまくちしか食べられないわけじゃないからね!」

――なお、このりあむの発言は甘口しか食べられない人達からの大炎上を引き起こすこととなる



りあむ「めっちゃやむ!!」

5: 19/06/02(日)22:23:08 ID:eEH
美城専務「私は……ただ、みんなが作ったカレーを食べたかっただけなのに……」

武内P「そうならそうとおっしゃって下さい……」



――後の祭である

6: 19/06/02(日)22:31:59 ID:eEH
――283プロ

真乃「えー!カレー粉のスパイスから作るの?」

めぐる「そ。どうせならしっかりと勝てるようにしないとね」

灯織「でも、私たち素人が市販のカレールー以上のなんてできるの……?」

めぐる「大丈夫だって。スパイスなんて今時専門店にいけば売ってるしさ」



「ああいう店のは、本格的すぎるから手を出さん方がいいばい!」



真乃「ほわっ?!」

灯織「その声は……」



恋鐘「お邪魔するたい!」

結華「やっほー、アドバイスぐらいだけど、手伝いに来たよ」

めぐる「あれー?L'Anticaのみんなだけ?」キョロキョロ

霧子「あ……その……いえ……」

摩美々「アルストロメリアとストレイライトのメンバーは治療ちゅー」

咲耶「激辛カレーを食べてしまったからな……」

7: 19/06/02(日)22:36:20 ID:eEH
めぐる「……で、スパイスってどういうことなの?」

恋鐘「あぁ、それたい!実は……」

摩美々「スパイスは粉にすると香りがもたんたいー」

咲耶「あ、こら!」





恋鐘「どーせ」シクシク

結華「うんうん。あー、こがたんは頑張ったんだよ」



霧子「摩美々ちゃん!」

摩美々「めんごー」

8: 19/06/02(日)22:42:34 ID:eEH
咲耶「おそらくだが、あちらには『ゆるふわ』の力を使える達人がいると聞いている。つまり煮込み等では勝負すべきではない」

霧子「だ、だから攻めるなら、具材で勝負した方がいいって恋鐘ちゃんが……ハッ」





恋鐘「……ウチハイラナイコタイ」チーン

結華「だめーっ!逝っちゃだめー!!」

摩美々「いじめいくないよー」





灯織「あー、あの……ありがとう……お大事に」

めぐる「なるほど具材か……」

真乃「じゃあ、フルーツとかどうかな?桃とかマンゴーとかを交ぜたりして」

ガシッ

真乃「え、え?み、みんな……?」



一同『イチゴは使うなよ』

真乃「は、はい!」

10: 19/06/03(月)07:19:40 ID:0bK
灯織「でも……具材って」

めぐる「やっぱり、松阪牛を入れるとかかな?」

恋鐘「正直、松阪牛とかの高級和牛よりはスジ肉の方がいいと思うたい」

真乃「えっ……でも」

恋鐘「理由は色々あるたい。まず、あちらには財閥級のお嬢様がゴロゴロいるたい……」

灯織「もし、高級食材で対決するなら不利ってことね」

恋鐘「そうたい……あとはスジ肉の方がいいダシが取れるばい」

めぐる「あ、聞いたことがある。トロトロに煮込むとすっごいおいしいんだって」

摩美々「トロトロ……」キュー

一同『あ……』





咲耶「ふふっ、可愛い音色も聞こえたことだし一つ実践してみようじゃないか」

摩美々「……」ポカポカポカ

11: 19/06/03(月)07:24:34 ID:0bK
めぐる「で、結局具材はどうするの?」

恋鐘「二、三種類作ってみんなで味見するばい!」

灯織「シンプルイズベストかな?」

結華「そうすると、肉に人参に玉葱にじゃがいもが必要だね」

摩美々「ところでー」

ギュム

鳩「くるっくー?!」

摩美々「お肉に使えないかなー?」

真乃「ぴ、ぴーちゃぁぁぁぁぁん!」





咲耶「おやおや、照れ隠しかな?」

霧子「摩美々ちゃんってば……お茶目さんです」

12: 19/06/03(月)07:29:15 ID:0bK
――一方、346プロでは



あきら「……駄目。これではりんごカレーでなく、カレー味のりんごスープデス」

あかり「んご……」

りあむ「りんごを使いたいのはわかるけど、ここまで主張してると食べる人もカレーなのかりんごなのかわからなくなって、あかりちゃんもすこらない?」

あきら「# 正論 # どうしたザコメンタル」



りあむ「やむ!!」

13: 19/06/03(月)07:35:06 ID:0bK
あかり「でも……せっかくだからりんごアイドルとしての……」

あきら「まぁ、まだ時間はあるデス」

りあむ「そうそう、次はぼく考案の餃子を入れたのを作ってみようよ」

あきら「# スープカレー餃子入りで検索するとあら不思議」

りあむ「うわーん!スープカレー屋さんも少しはぼくのアイディアを認めろー!!」



あかり「……あはっ」



あきら、りあむ(笑ってくれた……)

あきら「……いい傾向デスね」

りあむ「あかりちゃんはやっぱり笑顔とりんごが似合ってるね」

あかり「(//////)……恥ずかしいんご」

14: 19/06/03(月)07:44:45 ID:0bK
あきら「とはいえ、このままでは……」

コンコン

あかり「はーい」

ガチャ

響子「調子はどうですか?」

葵「出汁の取り方や組合せがわからんかったら遠慮なく聞くっちゃ!」

千枝「ち、千枝もお手伝いします」

クラリス「一人の力は小さくとも」

柚「力を合わせればおっきくなるんだからネ!」





あきら「いい事をいっているようデスが」

りあむ「クラリスさんと柚ちゃんは味見に来ただけだよね?」

クラリス、柚「ひゅーひゅひゅー」



千枝「千枝、ありすちゃんを呼んでくるね」

葵「おしおきにはちょうどいいっちゃ!」

柚「スミマセン……ナンデモイウコトキキマス……ダカラ、イチゴパスタダケハ」



あきら「# 効き目抜群」パシャパシャ

りあむ「これは投稿しないと」パシャパシャ



――が、案の定フリスクシンパによって炎上することになるのは、この時点では誰も知らないことである

15: 19/06/03(月)08:10:35 ID:0bK
響子「とりあえずりんごを使うなら、すり降ろしてフレッシュな状態を使うとか」

千枝「ドライカレーに直接入ってますしね」

葵「それがダメでも」

千枝「今夜の夜食は」ネネ「食べ過ぎ注意ですよ」

「みたいに、加工したりチャツネみたいなのを用意するっちゃ!」

りあむ「なんだ、ぼく達があんなに苦労してたのは全部無駄だったことか」

あきら「# 表現」ベシベシ

りあむ「痛い痛い!……あかりちゃん?」

あかり「…………」グスッ

りあむ「ご、ごめんなさい!決して……」

あきら「そ、そうだよ。思ったことをすぐに口に出す単純なだけで」

りあむ「そう、単細胞だから…………やむ!!」

あかり「違うんご……こんなに、こんなにりんごには色んな道があったのを知らなかったから……」グスッ

「そっか……そのまま食べるだけがりんごが喜ぶ道じゃないんご……」

「あはっ、また一つ。りんごへの愛が増えたんご。努力はそんなに実らないっていうけど、いいことはあったよ」



「……って、一人で喋ってて恥ずかしかぁ」カアァ

16: 19/06/03(月)09:36:48 ID:0bK




あかり「あ、あれ?……みんな引いちゃったんご?」

ジワッ

あかり「ん!?」

ビェェェェェン

あかり「んごっ?!」

あきら「ぐすっ、あかり……頑張ったんだね。りんごを広めるだけじゃなくて……」ウグゥ

りあむ「やむよぅ……ぼくはいいから、あかりちゃんにはめっちゃ優しい世界を……」ビェェェン

千枝「あかりさん、絶対に……絶対に勝ちましょうね」グスッ

柚「今だけ、青森も長野も淵にやって、あかりチャンを応援するよ!」

クラリス「神よ……あなたの忠実なるしもべが、新たなる聖人を見つけました……どうか幸あれ」

響子「頑張りましょうね。今はテクテク歩きでも、きっと目的地には着きます!」



あかり「だ、大丈夫んご……」

(でもこれが……)

(みんなの…人の優しさなんね)





――このあと、みんなでりんごカレーを作っておいしくいただきました

17: 19/06/03(月)09:42:58 ID:0bK
柚「ところで、千枝ちゃん」

千枝「あ、はい?」

柚「昔、作った『伊勢海老カレー』とかは作らないのかな?」

千枝「あ、あれですか……」

あきら「# 伊勢 # 海老!?」

りあむ「なにそれ!なんでぼくを呼んでくれなかったのさ!」

クラリス「あれは……言葉に表せられない……神の領域の食べ物です」ヨダレダラー

響子「味見しかしてませんが、伊勢海老からの出汁がすごいエキスになっていて……」

葵「料理人として、作れなかっただけでも後悔するっちゃ……」

あかり「うわぁ……食べてみたいんご」





千枝「でも、今回はそれは作るのを教えちゃダメってプロデューサーさんが……」

柚「ナンデ?!」

千枝「その……あまりに高級食材とか使うからとか?」

18: 19/06/03(月)09:51:59 ID:0bK
クラリス「おそらく……そういったものを使わず、あくまでアイドルの個性を生かしたカレーでの対決を望まれているのかと」

りあむ「むー、たしかにそれで勝っても『伊勢海老のおかげだ』とかで、ぼく達のことなんか棚にあげられちゃうんだろうな」

あきら「# たまに正論吐く」

りあむ「ちょくちょく突っ込んでくるけど、あきらちゃんはぼくをすこる気はないの!!」

あかり「まぁまぁ……」

柚「そっかぁ……でもそれならよくわかるよ。ありがとう、千枝チャン」

千枝「い、いえ……」





――美城専務の噂

実は伊勢海老カレーを食べたかったらしい

――高木社長の噂

実は伊勢海老の実物を見たことがなかったらしい

――天井社長の噂

実は伊勢海老カレーが食べたくて参加に賛同したらしい

――黒井社長の噂

当日に間に合わせるように注文したが、番組作成中に届いたらしい

20: 19/06/03(月)23:28:32 ID:0bK
――撮影当日

黒井「ええーい、この無能共が!」ガチャ

高木「どうした?そんなに声を荒げて……丸聞こえだぞ」

黒井「高木か……フン!貴様達には関係ないだろうが!」

高木「まぁ……今日のために準備したら到着が遅れるってとこか?」

黒井「そこまでわかっているのであれば、教えてやろう!」

高木「いや、無理には……」

黒井「伊勢海老をだな。この会場の審査員分頼んであったのだよ!」

高木「なん……だと」

黒井「貴様も本日の審査員をやるのであれば、この意味はわからないわけがないだろう!」

高木「なるほど……しかし、来ないわけか」

黒井「ウィ、その通りだ……まったく残念だよ」

高木「まぁ、普通にアイドルが作るカレーを楽しめとの警告なんだろう」

黒井「なんだと……」





「喧嘩はいけませんよ」

21: 19/06/03(月)23:38:01 ID:0bK
高木「その声は……邪を企てるものへは、心を洗わせる鋼鉄の雷となり」

黒井「しかし、弱気ものには正しきを表す慈愛の誓いを示すという」

二人「有唆民様!?」



菜々「いやですよ。ナナの事はウサミンと呼んでください」



黒井「しかし、朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク戦争など、数々の心に病をもったものに対して……」

高木「その女神的愛情の精神でもって、救われた兵士は数百万はくだらないと伝説の……」

菜々「懐かしいですね……」シミジミ

黒井「して、その有唆民様が我々等に……」

高木「もしや……」

菜々「そうですよ、せっかくみんなで一緒にお食事をするのですから、仲良くしましょうね」

高木「ははっ……なんと有り難きお言葉……」

黒井「まさに心、洗れる……」

高木「黒井……」ヒシッ

黒井「高木……」ヒシッ

菜々「うんうん。それが一番です」

22: 19/06/03(月)23:43:35 ID:0bK
…………





乃々「も、もりくぼ……見てはいけないものを見てしまったんですけど……」

「な、菜々さんって、今いったいおいくつなんでしょうか……」

「いえ……おそらく追求すると、もりくぼの生命的危機が」ガクガクブルブル



茄子「懸命な判断だと思います……」

乃々「っ!!」

芳乃「あれこそ……現世に存在する、生きた女神でしてー」

こずえ「すごいのー……」





乃々(う、うちの事務所ってすごい人ばかり……いえ、人ではないのかもしれません)

(だって……)

(今の三人……)



(壁にぴっちりくっつけたはずの、もりくぼの背中から声が聞こえましたから……)

23: 19/06/04(火)07:30:06 ID:k1b
――会場。リハの最中

あかり「♪赤いりんごを知ってるか、青いりんごを知ってるか~」

「♪ライブ開始準備よし、目の前の衣裳を着こなそう~」

「♪辻野あかり1、山形りんご1~」×2

「♪りんGO!りんGO!あかりんごよろしく~」



あきら「# パクリ?」

りあむ「パクリだね」

あかり「んご――――――!」

24: 19/06/05(水)21:42:15 ID:gJF
あきら「で、どうしたんデス?急に歌い出して」

あかり「それなんだけど、あっちのみんなは既にマリネしているお肉とか煮込んだスープとか持ってきてるみたいんご……」

りあむ「ちょっと、Pサマ!?」



モバP「え?持込オーケーだったの?」

スタッフ「さーせん。あちらが持込み云々聞いてきて、知らないのがおーけー出したみたいなんすよ」

モバP「困るな……あとの祭だけど。本番まで時間はないし……」





りあむ「ということらしいよ。まったく……やむよ」

あかり「ど、どうするんご……」

あきら「急いでも……材料だけでも切り始めるぐらいしかできないね」

あかり「諦めるしかないんご……?」



「諦めたらダメですよ」

25: 19/06/05(水)21:45:40 ID:gJF
りあむ「そ、その声は……」

あきら「菜々さんデスか?」

あかり「で、でも姿も形も……」





菜々「今はこずえちゃんの力を借りて、みんなの脳内に直接語りかけてます」

こずえ「なのぉー」



智絵里「アイドルってすごいねー」

千枝「そうですね」

唯「あはははっ☆」

26: 19/06/05(水)21:55:05 ID:gJF
菜々「なので、時短レシピのカレーをお知らせします。あ、ちゃんとすりおろしですが林檎も使いますよ」

あかり「わかりました。お願いします!」



こずえ「でーたーれしぴ、いんすとーるー……」ピロロ



奈緒「まさか、ファイナルアタックは撃たないよな?」

比奈「だといいっス」



あかり「な、なにんご?」ピロロ

あきら「頭に直接……」ピロロ

りあむ「レシピと……作り方が」ピロロ

菜々「では頑張って下さい」

三人「はいっ!」



あかり「じゃあ、まず切り始めるんご!」トントントントントントン

あきら「少し大きめにゴロゴロしている方がいいみたいデスね……」トン…トン…トン

りあむ「じゃあ、カレー粉を溶き始めてるよ!」ネリネリ

あきら「写真を撮りたくなるような色デスね……」

りあむ「ぼくもそう思うよ……でも公私混同している場合じゃないからね!」ネリネリ

あきら「# 恰好いいぞ。どうしたザコメンタル」

りあむ「やむ!!」

28: 19/06/06(木)08:00:10 ID:Twm
――一方

めぐる「ってことみたい……」

真乃「ど、どうしよう……私たち、このままじゃ」

灯織「うん、もし勝ってもハンデがあったとか言われるかもしれないね。でも、ならとここで勝てる戦いを放棄していいわけでもないよね」

めぐる「わかる。わかるよ!漫画とかにもある『お前に勝つのはオレだ。情け無用!』ってヤツでしょ」

灯織「そこまで堂々とは言えないけどね……」

真乃「ほわぁ……つまりここで勝負を放棄しちゃうのは」

灯織「うん。あっちにも屈辱になるかもしれないしね」

真乃「よーし、だったらこてんぱんに叩いちゃうよ!やるよ!灯織ちゃん、めぐるちゃん!」



めぐる「ま、真乃ってこんな性格だっけ」ボソボソ

灯織「勝てる戦いって言ったから精神的に余裕なだけだといいけど」ボソボソ

29: 19/06/06(木)08:17:57 ID:Twm
司会「それでは、アイドルカレー対決を始めさせていただきます。ルールは簡単。こちらで用意した食材を使って調理していただき審査していただく方式です」

「では審査員のご紹介を」

「参加アイドルが所属する283プロより天井社長」

「同じく参加アイドルのが所属する346プロより美城専務」

「765プロより高木社長。961プロより黒井社長」

「あと最後にスポンサー協賛の三島氏に参加していただきます」

天井(三島……?)

美城(鉄拳のキャラ?)

黒井(何故そのようなのが……)



高木(そういえば、『ぷちます』に出てきたな)

30: 19/06/06(木)08:33:41 ID:Twm
司会「それでは、調理開始の準備をしていただきます」

「あと、空いている調理スペースで材料を好きに使っていただいて構いませんので、腕に自信のある方は是非……」

「あ、765プロの高坂さんと346プロの橘さんと283プロの有栖川さんはお控え下さい」

『あははははっ!』

海美「きーっ!」

ありす「いつか……きっと」

夏葉「リベンジしてみせるわ」

智代子「しなくていいってば!!」



静香「えっと……うどんはありますか?」

司会「765プロの最上さんですね。えぇ、カレーうどんを作るのでしたら準備いたします」

美奈子「わっほい!材料無制限かな?」

司会「さ、さすがに……程度を……」

千鶴「私に似て、ゴージャスな食材などは……」

司会「カレーの材料のレベルですが……」

31: 19/06/06(木)08:51:59 ID:Twm
司会「それでは調理始めてください!」

プワァー

真乃「じゃあ、灯織ちゃんはお肉を、めぐるちゃんはお野菜をお願いっ!」

灯織「わかった。……この漬け込んだお肉を炒め始めるから!」

めぐる「じゃあ、野菜は素揚げしておくから、カレーのルーの方をお願い!」

真乃「むんっ!頑張ります!」



司会「283プロの方は、既に肉を漬け込み、ブイヨン等は準備して手際がいいです!」

「一方の346プロはどうでしょうか?」



トントントン……ト……ン

あきら「目が……目がぁ……」グスグス

りあむ「厨二病ごっこしてすこらないでよ。交代するよ!」

あかり「えっと小麦粉とカレー粉を混ぜていれはいいんですか?」

りあむ「うん、お願い。もーっ、普段から調理しないから……こういうときにやむんだよ。先に顔を洗って来て」

あきら「め、面目……ないデス」

りあむ「直接手でやっちゃだめだからねー……スープはないから鳥ガラの元を使うっと」



司会「おーっと、いきなりのアクシデント!慣れない包丁で玉葱を切る時は注意しましょう!」



響子「というより、りあむさんが手慣れてますね」

まゆ「意外なライバル参上でしょうかぁ?……」

32: 19/06/06(木)09:58:18 ID:Twm
…………

りあむ「それじゃあ、すりおろしりんごを入れたらスープに混ぜていくよ」

あきら「# りんご # はちみつ?」

りあむ「はちみつはお肉を軟らかくするけど、今回は豚コマだからその必要ないよ」

「それに、はちみつの成分は小麦粉の成分を分解してカレーを水っぽくしちゃうから」

「それに……」

あかり「それに?」



りあむ「あの独特のえぐみが、ぼくは大嫌いなんだぁ!!」

あきら「# 炎上案件キター」

あかり「何で、最後までかっこよく決めないんご……」



司会「こちらのカレーはあとは煮込み続けるだけの模様です。さて……おや?」

33: 19/06/06(木)10:15:56 ID:Twm
灯織「それじゃあ、飴色になるまで炒めた玉葱も入れるよ」

めぐる「それなら真乃が」

真乃「たしかこのタッパーだったね……むんっ」

パカッ

灯織「…………」

めぐる「…………」

真乃「は、鳩のエサだ……ね。えへ。えへへ……」



二人『まーのーっ!!』クワッ

真乃「ご、ごめんなさい!」ビキッ

灯織「と、とりあえじゅ……」

めぐる「灯織もおちちちゅいて……」

真乃「うわーんっ!」

34: 19/06/06(木)12:32:25 ID:Twm
真乃「た、玉葱を入れないとコクとかが出ないんだよね……」

灯織「助けて……真乃……めぐる」コンラン

めぐる「えっと……玉葱……そうだ!頭を切って十字に切れ目を入れて……」サクサク

灯織「めぐる……?」

めぐる「とりあえず無しは無しでいくから、二人はギリギリまで煮込み続けて」

真乃「ほわっ、りょ、了解しましま!」

灯織「何かはわからないけど……お願い」



めぐる「この玉葱をじゃが芋みたいに、素揚げして」ジュー

真乃「すごい……お花みたい」

灯織「あ、あっちはもう盛り付け始めてる……」



あかり「りんごのフリッターできたんご!」

りあむ「じゃあ、盛りつけるね」カチャカチャ

あきら「しかし……どう見てもノスタルジックな昭和のカレー…デス」

あかり「でも時間には間にあったんご!」

りあむ「うんうん、できたよ!これがぼく達のカレーだよ!」

『おおーっ』

『黄色い!』

『ターメリックのまんまだ!』

『# 手抜き』

『# 予算カット? 』



りあむ「す!こ!れ!よ!!」

35: 19/06/06(木)12:48:14 ID:Twm
めぐる「玉葱三つ目揚がったよ!」ジュージュー

灯織「じゃあ、盛りつけて」カチャカチャ

真乃「あとは……」

ブー

司会「調理タイム終了です!」

真乃「ほわぁ……」

灯織「あともう少しだったのに……」

めぐる「あ、あと5分!…いや、3分だけ伸びないかな?」ペコペコ

司会「では、延長を申込ますか?」

真乃「は、はいっ……モガモガ」

灯織「待って、こういうのってペナルティだから、何かと引き換えだと思うよ」

司会「御名答!ではこちらの5つのパネルなら選んでいただきます!」

めぐる「赤、青、黄、緑に桃色?」

灯織「どれも恐いけど……」

めぐる「じゃ、じゃあ、真乃に引いてもらう?」

真乃「ほわっ!わ、私がですか?」

「……むむむ、じゃあこれをお願いしますっ!」ペシッ

36: 19/06/06(木)19:33:03 ID:Twm
司会「赤を引いてもらいました!さて、何が出るかな?」

真乃「ドキドキ……」

灯織「やっぱり、いちごパスタ完食とかかな……」

めぐる「ありえる……」

ババーン

つ【高度一万からのHALO(高高度降下低高度開傘)】

真乃「え……」

灯織「何それ……」

めぐる「嘘……」





幸子「うわぁ……ヘリからの降下でも大変なのに、よりによってHALOですか……」

小梅「あ、あれって……ジャンプの資格がいるよね……」

輝子「ふひ……しばらくアイドルできないな……」

37: 19/06/06(木)19:35:09 ID:Twm
めぐる「と、とりあえず、二人とも最後まで仕上げるよ!」クルッ

灯織「嘘……」ハイライトオフ

真乃「はとのきもちになります……」ハイライトオフ



めぐる「ちょっとー――っ!」クワー

38: 19/06/06(木)19:41:14 ID:Twm
司会「では先に完成した346プロからの実食とさせていただきます」

カチャカチャ

高木「む……昔なつかしの小麦粉カレーというヤツか」

黒井「はっ!サツマイモがカレーに入っている等邪道な」

美城「まぁ食べてみればわかるか……」

天井「それでは……」

『いただきます』

パクッ



高木「こっ」

黒井「これは!!」

天井「……っ!」





高木「懐かしい……」

黒井「ウィ、あの日食べた……家でよく食べたカレーの味だ」

天井「おばあちゃん……」グスッ



美城「え……?」

39: 19/06/06(木)19:48:40 ID:Twm
高木「もしかして、天井社長の所は……」

天井「……ええ、親が共働きで。よく祖母がご飯を作ってくれまして」

「もう、子供の時にはレトルトカレーやらカレールーやらはあったんですが、祖母の作るカレーはこういった……」グスッ

「……何かすみません」

高木「わかるよ。……懐かしいな。あの頃、カレーの匂いがすると子供心にはしゃいだものだよ」



『ただいまーっ、かあちゃん。今日の晩ご飯は……』クンクン

『わー!カレーだーっ!!』



黒井「昔は牛肉も一般的ではなかったからな。このように豚のコマ切ればかりだったな……」

高木「黒井、最近おふくろさんにあってやったか?」

黒井「あぁ……久々に会いたくなったな……」





美城「そうか……皆さんはそういう家庭に生まれたのか……」

黒井「ウィ、今でこそセレブ気取りができるがな」

天井「もしかして、美城専務殿は……」

40: 19/06/06(木)19:53:40 ID:Twm
美城「…………両親共、忙しくてな。いつも家のものが作る料理ばかりだった」

「おいしいとは思っていたが、それでも親の手料理というものを食してみたかったと、常日頃から……」

「だからかもしれん。一時期、人の心を読めずただ自分の考えのままに進めようとしていたのは……」

三人『……』

美城「申し訳ない……私がこんなノスタルジーになるとはな」





「いえ」

「当然の結果です」

41: 19/06/06(木)19:58:54 ID:Twm
武内P「専務……あなたがプロジェクトを進めた裏で、そのような想いをされていたとは」

美城「……戯れ事だ。忘れろ」

武内P「いえ、忘れません。そしてこれも忘れないで下さい」

「今の346は」

「あなたにとって、我が家そのものだということを」



美城「……私にも帰れる場所があるとはな」フッ

「検討しておこう」

武内P「はっ!」



黒井(破廉恥な……公開プロポーズとは)

高木(まぁまぁ、まだ若いということだろ)

天井(……嫁か)ハァ

42: 19/06/06(木)20:13:06 ID:Twm
司会「えっと……感動に水を差すようですが283プロの方も完成しましたので……」



めぐる「既に敗北モードだよ……」

真乃「じぇ、じぇろにもだよ!」コンラン

灯織「タスケテ、マノ、メグル……」ハイライトオフ



『では、いただきます』

天井「ふむ、玉葱がまるごと入ってるな。なかなかうまい」

美城「完成前に野菜を素揚げして入れほくほく感があるな」

黒井「うむ……その辺のレストランよりも上だと認めよう」

高木「おぉ、黒井が褒めるとは」



『でも……インパクトに欠けてるな』

高木「まぁ、アレの後では仕方がない」

黒井「たしかに。さすがは有唆民様の所属先なだけはある」

天井「なんと……あの有唆民様と」

美城「安部菜々……恐るべき女よ」



菜々「ナナは17歳ですってば!!」

奈緒「でも子供の時はライスカレーを食べたんだよな」

菜々「あ、いえ、まだ給食とか導入前でしたし、ライスカレーは高いレストランでしか食べられませんでした」

比奈「やっぱり国民学校っスか?」

菜々「いえ、尋常小学校ですよ」

由愛「えっと……入学式には桜を見ていましたか?」

菜々「いえ、ナナの頃は入学式は9月でしたので(ry

43: 19/06/06(木)20:23:39 ID:Twm
………………

菜々「どーせ」シクシク

千枝「あ、あ、結果が出るみたいですよ!」



司会「お待たせしました!では審査の結果を」



バタン

「遅れました!黒井様、ご注文の伊勢海老をお届けにまいりました!」

黒井「空気を読まんか、馬鹿者!」

「す、すみません……」

高木「何、伊勢海老とな?」ガタッ

黒井「ウィ、なんでも346では伊勢海老カレーなる最終兵器があるらしいな」

美城「……あぁ」

黒井「ならばと、皆がそれを作れば勝ち負けの均衡を崩せる……と思っていたのだが」

高木「黒井……」

美城「……今回、伊勢海老カレーを出さなかったのは、モバPの提案によるものだ」

黒井「何ぃ!?」

美城「仮に勝っても、アイドルが作ったもの……本人の努力は認められず、ただ伊勢海老ばかりがクローズアップされるだけとな」

高木「ふむ、さすがは346のプロデューサーだ。アイドルを見ている」

黒井「ぐぅぅぅ……まぁよい。すべては後の祭だ。これは好きにするがよい!」

天井「ってこれだけのモノをですか!?」

黒井「ウィ、セレブは気前が良くなればな!ハーッハッハッハッ!!」



司会「あの……結果は?」

44: 19/06/06(木)20:28:32 ID:Twm
高木「結果?うまいまずいなら283の勝ちだが、心を掴んだという意味なら346の勝ちさ」

美城「プロデューサーというパートナーが有利にたるように努力した283プロと」

天井「たとえプロデューサーの力添えがなくても、仲間で助けあった346プロとの差も含めても」



三島「つまり、両者引き分け!!」バーン

ワァァァァァ





えらいひと's(……そういえば、この人いたんだよな)

45: 19/06/06(木)20:37:03 ID:Twm
黒井「では敗者は敗者なりの……」

ガシッ

高木「お前も性格が悪いな。せっかくの伊勢海老の山があるというのに」

美城「食材は有効活用させていただくぞ」



モバP「というわけで、作成に取り掛かってくれるか?」

唯「もち☆」

千枝「頑張りますね!」

葵「うちも手伝うっちゃ!」シャキーン

あかり「うわぁ、じゃあこのりんごを使ってもらえるんご?」

響子「もちろんですよ」

ワイワイガヤガヤ

りあむ「やれやれ、ぼくには優しくない世界だなぁ」テキパキ

あきら「# 文句はいいつつ手伝う」

りあむ「こうなったら楽しんだもの勝ちだよ」サムズアップ





凛世「炒めた玉葱……取ってきました」

めぐる「サンキュー!じゃあ、アタシ達も手伝うよ」

恋鐘「伊勢海老なんて扱うの久々たい!腕がなるよ!」

摩美々「それじゃあ頑張ってー」グテー

霧子「摩美々ちゃん!」

46: 19/06/06(木)20:42:15 ID:Twm
伊勢海老カレーのウワサ

何人か悶絶したり、気絶した人がいたらしい

あと、足の先までチャバチュバとやって、間違っても放送できない案件が多発したらしい



天海春香のウワサ

案の定、カレー鍋を持ったままやらかしたらしい

二階堂千鶴のウワサ

こっそり一匹持って帰ったらしい





安部菜々のウワサ

実は江戸時代生まれとの(ry



菜々「菜々は17歳です!」

おわり?

47: 19/06/06(木)20:46:09 ID:Twm
一応補足説明

あかり、あきら、りあむのカレーは駆逐艦「磯波」カレー参考

イミネのカレーは基本、護衛艦「しまかぜ」カレー参照



なお、作中でりんごを使ったドライカレーは、海軍の潜水艦航海食ないし乾燥野菜レシピ参照

48: 19/06/06(木)20:47:51 ID:Twm
ちょいと長くなりすぎたので、伊勢海老カレーの辺は省略しました。ごめんなさい



では呼んで下さった方には、陸軍のカレーうどんのレシピを後で掲載します

49: 19/06/06(木)21:01:52 ID:Twm
軍隊調理法より、陸軍風カレーうどんの作り方
(肉うどん汁にカレー粉を足しただけとも言います)

材料(一人前)

豚肉50g
うどん250g
玉葱150g
人参15g
醤油30ミリリットル
砂糖2g(嗜好により使用せざるも可)
カレー粉1g

準備
うどんは茹で、冷水に晒し、笊に上げ、水を切り置く
豚肉は細切りとなし置く
玉葱は千切り、人参は銀杏に切り置く

調理

鍋に豚肉と玉葱少量を入れじゅうぶん空炒りし、約270ミリリットルの水と人参を加えて煮立て、残りの玉葱を投じ、砂糖、醤油にて調味して煮上げ、最後にうどんとカレー粉を入れ温める

50: 19/06/06(木)21:49:40 ID:Twm

引用元: 【デレマス】おかんの味、カレー対決!【シャニマス】