1: 2012/12/31(月) 14:29:00.26 ID:4CnwiP20O
カヲル「歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ」

カヲル 「そう感じないか?惣流・アスカ・ラングレーさん」

アスカ「何で、私の名前…」

カヲル「知らないモノはいないさ。失礼だが君は自分の立場をもう少し知った方がいいと思うよ」

アスカ「ムッ!余計なお世話よ。一般庶民がこの私に説教する気?アンタ誰なのよ。」

カヲル「僕はカヲル、渚カヲル。君と同じ仕組まれた子供フィフスチルドレンさ」

アスカ「フィフス?じゃあアンタもエヴァパイロット…」

アスカ「渚カヲル…」

カヲル「カヲルでいいよ、惣流さん」

アスカ「いいわ。特別にアスカって呼ばせてあげる」

カヲル「(笑顔)」

6: 2012/12/31(月) 14:37:04.45 ID:4CnwiP20O
カヲル「やあ僕を待っててくれたのかい?」

アスカ「違うわよ!シンクロテスト終わって疲れたから休んでただけ。勘違いしないでよね。」

カヲル「ふふ、今日は?」

アスカ「後は…帰るだけよ。あんな家、帰りたくないけどね。」

カヲル「帰る家、ホームがあるという事実は幸せに繋がる。よいことだよ」

アスカ「うるさい…何も知らないくせに。」


カヲル「僕は君ともっと話がしたいな。一緒に行ってもいいかかい?」

アスカ「え?」

カヲル「水分補給だよ…これからなんだろ?」

カヲル「…ダメなのかい?」

アスカ「別に……いいけど…」

8: 2012/12/31(月) 14:45:19.40 ID:4CnwiP20O
カヲル「はい、どうぞ」

アスカ「!」(手が触れ反射的に手を引っ込めた為ジュースが落ちる)

カヲル「…」(片付ける)

カヲル「一次的接触を極端に避けるね。君は。恐いのかい?人と触れあうのが。」

アスカ「…」

カヲル「他人を知らなければ裏切られることも、互いに傷付くこともない。でも寂しさを永久になくすことはできない。人は一人だからね。ただ忘れることができるから人は生きていけるのさ」(新しいジュースを渡す)

アスカ「…私は…」


(電源が落ちる)


カヲル 「もう…終わりなのかい?」

アスカ「そうね。もう帰れってこと。寝ろってことよ。」

カヲル「…君と?」

アスカ「なっ、違うわよ!この変態!アンタにはアンタの部屋があるでしょ!?」

9: 2012/12/31(月) 14:48:11.23 ID:4CnwiP20O
カヲル「…そう。」(アスカの手に自分の手を重ねる)

アスカ「…!」(ドキ)

カヲル「常に人間は心に痛みを感じている」

カヲル「心が痛がりだから生きるのも辛いと感じる」

カヲル「ガラスのように繊細だね…特に君の心は。」

アスカ「繊細…この私が…?」

カヲル「そう、好意に値するよ」

アスカ「好意…」

カヲル「好きってことさ」

アスカ「加持さん…」(ポロッ)

11: 2012/12/31(月) 14:51:25.59 ID:4CnwiP20O
アスカ「ねぇ」

アスカ「今日、泊めて」

カヲル「泊める?」

アスカ「そうよ、泊めて」

アスカ「でも変なことしたら頃すわよ」

カヲル「変なこと?」

アスカ「いいの?ダメなの?」

カヲル「ふふ、どうぞ」

アスカ「…」(ホッ)

12: 2012/12/31(月) 14:58:58.13 ID:4CnwiP20O
アスカ「ベッド、半分使っていいわよ。」

カヲル「そう、ありがとう」

アスカ「でもこっちは向かないで」

カヲル「…君は何を話したいんだい?」

カヲル「僕に聞いて欲しい事があるんだろ?」

アスカ「もう嫌になったのよ。どいつもこいつも低脳で足手まとい。人のプライベートにズケズケ入ってきて…(私の心を覗こうとするの)」

カヲル 「人間が嫌いなのかい?」

アスカ「嫌い。大っ嫌い。みんな大嫌い。」

アスカ「…」(チラ)

カヲル「…」(間近で見つめる)

アスカ「!」(ドキ)

カヲル「僕は君に会うために生まれて来たのかも知れない」

アスカ「やめてよ…もう…何も言わないで。」

13: 2012/12/31(月) 15:04:00.28 ID:4CnwiP20O
アスカ「カヲル」

カヲル「…」

アスカ「待ちなさいよ。どこに行くのよ」

カヲル「おいで。君に伝えたいことがある」

アスカ「な、何よ」(ドキドキ)

カヲル「」(ニコ)

16: 2012/12/31(月) 15:11:10.74 ID:4CnwiP20O
アスカ「エントリープラグ?」

アスカ「こんな所に何の用が…」

カヲル「大切な話をしてあげよう」

カヲル「アスカ。君はとても扱いやすかったよ」

アスカ「え…」

カヲル「心の操作の話さ。ひとたび優しい声をかければすぐに人を信じる、君の単純さ…」

カヲル「知恵の実を宿したリリンの心もそんなものか」

カヲル「見損なったよ」

アスカ「何、言ってるのよ…」

アスカ「私…、…冗談じゃないわ。私がいつアンタに心を許したってのよ!」

カヲル「では、なぜ泣いているんだい?」

アスカ「私が…」

カヲル「君に幸せは似合わないよ」

21: 2012/12/31(月) 15:20:31.36 ID:4CnwiP20O
カヲル「エヴァシリーズ。アダムより生まれし人間にとって忌むべき存在。それを利用してまで生き延びようとするリリン。…僕には分からないよ」

カヲル「アダムと使徒の融合…それまでに心を取り戻すことができるかな、アスカは…」

アスカ「……こ」

アスカ「…コロ、シテ…ヤル……コロシテ、ヤル…コロシテヤル……」

(弐号機、徐々に鈍い抵抗を見せる)

カヲル「待っていたよ…」

22: 2012/12/31(月) 15:26:34.30 ID:4CnwiP20O
アスカ「…何よ…、まともに動かないじゃない!!頃したいのに!!頃したいのにぃ!!!」(ダンダンッ)

カヲル「エヴァは僕と同じ体でできている。僕もアダムより生まれしものだからね。魂さえ無ければ同化できるさ。君の魂は今、自ら閉じ籠っているから」

アスカ「うるさい!!氏ね!!!喋るな!!!」(ダガーナイフで突き刺そうとするもフィールドに弾かれる)

アスカ「ATフィールド…!?」

カヲル「そう…君達リリンはそう呼んでるね」

カヲル「何人にも犯されざる聖なる領域。心の光」

カヲル「リリンもわかっているんだろう。ATフィールドは誰もが持っている心の壁だということを」

アスカ「何言ってるのよ……渚カヲル…何を言ってるのか、全然わかんないわよ」

アスカ「何で…私に構ったりしたのよ……」

24: 2012/12/31(月) 15:34:25.73 ID:4CnwiP20O
アスカ「パターン、青!?」

アスカ「あいつが使徒…!?」

カヲル「…」

アスカ「待て!逃げるな!!?」(再び機動性が鈍る)

アスカ「動け!動きなさいよ!!!」

カヲル「…」

アスカ「待て!!!」

カヲル「人の運命か。人の希望は悲しみに綴られているね」

カヲル「アダム。我等の母たる存在。アダムに生まれしものはアダムに還られねばならないのか?人を滅ぼしてまで」

カヲル「……違う。これはリリス?」

カヲル 「そうか、そういうことか。リリン」


(弐号機の手がカヲルを握り確保する)

25: 2012/12/31(月) 15:41:05.04 ID:4CnwiP20O
アスカ「何で裏切ったの」

アスカ「何で使徒のくせに近寄ってきたのよ!」

アスカ「何でサードインパクトを起こそうとするのよ!!」

カヲル「僕が生き続けることが僕の運命だからだよ。結果、人が滅びてもね」

カヲル「だがこのまま氏ぬこともできる。生と氏は等価値なんだ。僕にとってはね。自らの氏、それが唯一の絶対的自由なんだよ」

アスカ「何を言ってるのか全然わかんないわよ…ちゃんと、質問に答えなさいよ…」

カヲル「遺言だよ」


カヲル「さあ僕を消してくれ。そうしなければ君らが消えることになる。滅びの時を免れ未来を与えられる生命体は一つしか選ばれないんだ」

カヲル「そして君は氏すべき存在ではない」

カヲル「君達には未来が必要だ」

アスカ「…ねぇ、答えなさいよ……なんであんなことしたの?」

カヲル「(微笑)」

カヲル「ありがとう……君に会えて嬉しかったよ」

26: 2012/12/31(月) 15:42:43.50 ID:4CnwiP20O
(ブシュッ)




(ポチャン)

30: 2012/12/31(月) 15:45:49.69 ID:4CnwiP20O
アスカ「許せない…あいつは氏んで逃げたのよ…」

アスカ「責任も取らずに…何がありがとうよ…」

アスカ「何が好きよ」

アスカ「嘘つき…みんな嘘ばっかり…」

アスカ「私も、もう氏にたい……」


ミサト「ダメよ。アナタにはまだやるべきことがある。彼にはそれがなかった。それだけよ。」



アスカ「冷たいのね…ミサト。」

おわり

32: 2012/12/31(月) 15:47:59.13 ID:4CnwiP20O
アスカとシンジってポジ変えても根幹で似たような行動しそうだね
精神的に似てるのかな

引用元: カヲル「歌はいいねぇ」アスカ「誰よ?」