1: 2022/04/17(日) 23:06:01.22 ID:JYcv5pT+.net
※一部変えてはいますが、マイクなどの設定はヒプノシスマイクからの流用です

※一部キャラディス要素を含みます。キャラディスが苦手な方、キャラ同士のディスが苦手な人にはおすすめできません

※作中の設定はユルユルです。アニメ、スクスタの設定が混在しており、過去作との整合性とかも考えていません

※この話における「スイス」はスイス連邦のことではありません。スイス連邦を誹謗中傷する意図はまったくありません

※ラップ部分は各自いい感じのリズムで読んでもらえると助かります

4: 2022/04/17(日) 23:14:11.36 ID:JYcv5pT+.net

6: 2022/04/17(日) 23:16:33.79 ID:JYcv5pT+.net
〜4月17日・虹ヶ咲学園講堂〜

姫乃「みなさん!今日は私たちのためにお越しいただきありがとうございます」

姫乃「いきなりではありましたが、こんなにも多くの方々に来ていただけたことを嬉しく思います」

姫乃「本日はこの嬉しさを伝えられるライブになればと思います」

姫乃「では、藤黄・ニジガク合同ライブを心ゆくまでお楽しみください」


姫乃「ふぅ…」

エマ「ひ、め、の、ちゃーーーん!」

果林「ふふっ、さすがは藤黄のエースね」

8: 2022/04/17(日) 23:18:12.71 ID:JYcv5pT+.net
姫乃「…こんなことになるとは思いませんでした」

姫乃「まったく、ニジガクの方々には驚かされますよ」

果林「あら?それを私に言われてもね」

エマ「そうそう、一番の首謀者に言ってよ」

姫乃「そうですね…」

「あら?首謀者ってアタシのことかしら?」

姫乃(ま、来ますよね)

姫乃(この事態を引き起こした首謀者さん)

9: 2022/04/17(日) 23:21:25.87 ID:JYcv5pT+.net
姫乃「何が『誕生日ならアタシが盛大に祝ってあげるわ!そうだ記念ライブよ!』ですか」

ランジュ「あらあら、パフォーマーならお祝いはステージの上でするのが一番じゃない?」

姫乃「それでこちらのメンバーも巻き込んで藤黄・ニジガク合同ライブって…」

姫乃「噂に違わぬ破天荒ぶりですね、ショウ・ランジュさん」

ランジュ「ええ、もっと褒めていいわよ!」

果林「褒めてはいないわね…」

ランジュ「さあ、姫乃…最高の誕生日にするわよ」

ランジュ「ライブの後はビュッフェをご馳走するわ」

12: 2022/04/17(日) 23:23:33.49 ID:JYcv5pT+.net
姫乃(さて、今回はいきなりこのような場面から始ままってしまったわけですが)

姫乃(なぜこんなことになったか、その説明が必要になってきたころかと思います)

姫乃(話は少し遡ります)

13: 2022/04/17(日) 23:31:09.53 ID:JYcv5pT+.net
4月初め
〜藤黄学園〜

姫乃「平和、ですね〜」

美咲「おっ、今日の姫乃はまったりモードだね」

姫乃「春ですからね〜」

姫乃「ああ、果林のお写真を眺めながらいただくお茶は美味です〜」

隼「そういえば、もうすぐ姫乃ちゃんの誕生日なんだよね」

姫乃「はい、そうですね〜」

14: 2022/04/17(日) 23:36:15.04 ID:JYcv5pT+.net
優香「あら?今年は『どうせ私の誕生日なんか渡辺曜のおまけです』とか言わないのかしら?」

姫乃「その件につきましては吹っ切れましたので」

姫乃(去年の誕生日は色々ありました)

姫乃(何度も気持ちが折れそうになりながらも雨の中で果林さんを待っていたあの日、ようやく来てくれた果林さんとのラップバトルを通じて私は果林さんの愛の深さを知ったのです)

姫乃(果林さんは淡島で一世一代の大立ち回りを演じていたとか)

姫乃(それでも駆けつけてくれた果林さん、かっこよかったです…ふふ)

姫乃(渡辺曜や澁谷かのんさんとの奇妙な縁によって思いもよらぬ形で幕を閉じたあの事件からもうすぐ一年)

15: 2022/04/17(日) 23:38:19.96 ID:JYcv5pT+.net
姫乃「平和って、いいですね〜」

ふみ「フラグにしか、聞こえないです…」

アツクモエタギルツバーサニー♪

小雪「言った側から…」



姫乃「これは…果林さんからのお電話!!?」

姫乃「はい、綾小路姫乃でございまひゅ!!」

18: 2022/04/17(日) 23:41:03.11 ID:JYcv5pT+.net
優香「噛んだ」

ふみ「噛みましたね」

剣「さっきまで、平和とか言ってたのに」

涼「こういう一面もまた、姫乃の良ささ」


『おっ!いいねイイネ!チャオっ!エマちゃんだよ〜』

『どう?╰*( ..>ᴗ<..)*╯久しぶりに1ヴァースかまさない?』

19: 2022/04/17(日) 23:42:59.27 ID:JYcv5pT+.net
姫乃「……ちっ!!!」

『あ、そういうの良くないんだ〜果林ちゃんにホウレンソウしちゃうよ』

姫乃「ホウレンソウだか小松菜だか知りませんが、なぜあなたが果林さんのスマホからかけているのですか?」

『なんかね〜私のスマホからだと姫乃ちゃんにかからないんだよ〜』

『私のスマホ、壊れちゃったのかな?』

姫乃「…それは大変ですね。一度国に帰って修理をした方がよろしいかと」

21: 2022/04/17(日) 23:52:13.88 ID:JYcv5pT+.net
『ははっ、姫乃ちゃんはおもしろいね〜』

『で、なんで着信拒否してるのかな?(低音)』

姫乃「もう、鈍いですね。言わなくても察してくださいよ。私の平和な日常を守るためです」

姫乃「現に私はついさっきまで平和を噛み締めていましたからね。どっかの誰かがぶち壊しましたが」

『あれ?私が悪いみたいな話になってない?』

『なんか果林ちゃんからの電話じゃなくてイライラしてるけど、それだって姫乃ちゃんが着信拒否したからだよ?』

22: 2022/04/17(日) 23:55:21.89 ID:JYcv5pT+.net
姫乃「今まであなたが私に何をしてきたか胸に手を当てて思い出しなさい、スイス!」

『胸に手を…』

『んんん…………』

『…………おお!』

姫乃「思い出しましたか」

『ぽよんぽよんしてるよおお!これは想像を超えた感触だよ!』

『果林ちゃんが夢中になっちゃうのもわかるね』

23: 2022/04/17(日) 23:58:11.51 ID:JYcv5pT+.net
『よくぞここまで育ったもんだ!』

姫乃「爆ぜろや肉塊がああああ!」

ちょんちょん

風「その、姫乃さん…」

姫乃「風さん、今は悪と戦っている最中です!また後で…」

風「いや、でも…その…」

エマ(風さんが窓の外を指さします…そこには…)

24: 2022/04/17(日) 23:59:34.48 ID:JYcv5pT+.net
エマ「やっほー!きちゃった」

姫乃「はい…?」

エマ「藤黄のみんな〜、会いたかったよ〜」

藤黄一同「……………」

姫乃「…………」

エマ「お、これはわかってるね」

姫乃「ス……」


姫乃「スイスううううううううう!!」

25: 2022/04/18(月) 00:01:25.18 ID:ZLyx+0di.net
〜間〜

エマ「ということで、やってきてしまいました」

エマ「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会3年、エマ・ヴェルデです」

美咲「ようこそ、歓迎するよエマさん」

エマ「いきなり押しかけちゃってごめんね」

涼「いやいや気にすることはないよ」

剣「うちの姫乃がお世話になっております」

26: 2022/04/18(月) 00:39:00 ID:ZLyx+0di.net
姫乃「なぜ、みなさんスイスと打ち解けているのですか?」

エマ「なんでだろうね〜」

優香「エマさんとは何年も前から知り合いだったみたいってみんな言ってるんですよ」

隼「しずくちゃんと彼方さんもだよね」

エマ「私もみんなのことはずーっと前から知ってた気がするよ」

27: 2022/04/18(月) 00:40:34 ID:ZLyx+0di.net
姫乃「くっ…よくわかりませんが、私もなんとなくこの状況を納得してしまいます」

姫乃「ですが…わかっているんですよね?藤黄に踏み込んだということは」

エマ「姫乃ちゃんとしては追い出したいよね」

姫乃「ええ、ですから」ヒューン

エマ「いつもの、いこうか」ヒューン

28: 2022/04/18(月) 00:50:49.70 ID:ZLyx+0di.net
【姫乃】
ここは藤黄、アポ無し訪問
そんなのoh No スイスはgo home
接待するかよにやけた暴徒
絶対ルールの姫乃が登場

私が生きてくa peaceful nation
踏み荒らす異分子はelimination
さっさと run away to ニジガク
猶予なんかねえ急にしばく

29: 2022/04/18(月) 00:52:46.79 ID:ZLyx+0di.net
ドォオオオオオン!

エマ「ぐっ、なかなか」

姫乃「あなたに藤黄に立ち入る資格などない」

姫乃「他の誰が許したとしても、ここはあなたの居ていい場所ではないのです!」

エマ「ひっどいなあ」

エマ「だけど、そういうところ嫌いじゃないよ」

30: 2022/04/18(月) 00:55:26.92 ID:ZLyx+0di.net
>>28
【エマ】
いつもどおりだね血の気が多い
そういう態度じゃ雪溶けは遠い
暴力行為で労力浪費
てか、聞こえますかねおーいおーい

番犬気取りできゃんきゃん吠える
姫乃を私はワンパンで止める
だいたいもともと誤解と私怨
仲良くしたいなと再度ぴえん🥺

31: 2022/04/18(月) 01:01:09.10 ID:ZLyx+0di.net
ドォオオオオオオオオン!

姫乃「ぐっ!!!」

姫乃「ですが…まだまだ」

美咲「はーい、ストップストップ!」

姫乃「美咲さん、ですが」

美咲「姫乃、エマさんとじゃれ合いたいのはわかるけど、少しは相手の話をききなさい」

32: 2022/04/18(月) 01:04:18.72 ID:ZLyx+0di.net
美咲「それで、今日はどうしたのエマさん?姫乃に会うためだけにここまで来たわけじゃないでしょ」

エマ「そうだね、さっさと本題に入っちゃおうか」

姫乃「本題?」

エマ「姫乃ちゃん、私と果林ちゃんとチームを組んでくれないかな?」

エマ「共に勝ち取ろうよ。最強のチームの座を」

エマ「オダイバ・スクールアイドルラップフェスで」

姫乃「お断りします」

33: 2022/04/18(月) 01:09:30.63 ID:ZLyx+0di.net
姫乃「先ほど私と何をやっていたのか忘れたんですか?」

姫乃「それになんですか?その奇妙な名前のイベントは」

エマ「ふっふっふ、よくもきいてくれた」

姫乃(『よくぞ』ですが面倒なので触れないでおきましょう)

エマ「オダイバ・スクールアイドルラップフェスとは、真の最強ラッパーチームを決める大会なのだ」

姫乃「そのようなイベントがあること自体が初耳なのですが」

34: 2022/04/18(月) 01:11:25.15 ID:ZLyx+0di.net
エマ「まだ公には発表してないからね」

姫乃「…ん?」

エマ「ちなみにこれが、大会の企画書だよ」

姫乃「どれどれ、会場はニジガク…主催者の名前は」

姫乃「…ショウ…ランジュ…」

エマ「」オチャゴクゴク

35: 2022/04/18(月) 01:17:56.60 ID:ZLyx+0di.net
姫乃「チームは3人一組、トーナメントで勝ち抜き頂点を目指す」

エマ「」オカシモグモグ

姫乃「あの、これはこれで良い企画だとは思います」

エマ「おお!話がわかるね」

姫乃「なんで私がスイスとチームを組んで出ることになるのですか?」

エマ「私が姫乃ちゃんとチームを組みたいと思ったからだよ?」

姫乃「いえ、参加するにしても私は藤黄の一員として…」

36: 2022/04/18(月) 01:19:36.39 ID:ZLyx+0di.net
エマ「………」

姫乃「………」

姫乃「あの、つかぬことを聞きますが」

エマ「いいよ、なんでもきいて」

姫乃「もし、私がスイスの誘いを断った場合はどうなるのでしょうか?」

エマ「ははっ、最悪、藤黄学園が跡形もなく吹き飛ぶかな?」

エマ「……ランジュちゃんのラップで」

37: 2022/04/18(月) 01:23:29.50 ID:ZLyx+0di.net
美咲「え!?」

美咲「ちょっと、どういうこと!?」

姫乃「美咲さん、落ち着きましょう」

美咲「待って、なんでうちがそんなことになるの!?」

姫乃「…」

姫乃「スイス…」

姫乃「これから私が話すのは推測です。できれば的外れであることを祈ります」

38: 2022/04/18(月) 01:26:41.73 ID:ZLyx+0di.net
スイス「勘のいい姫乃ちゃんは嫌いじゃないよ」

姫乃「覚えてますか?あなたの誕生日にラップバトルをしたことを」

エマ「うん、あれは燃えたねー」

姫乃「その時に、スイスが私をどなたかの部屋に思いっきり叩きつけてくださいましたよね」

エマ「くださったねー」

姫乃「たしかその部屋は」

エマ「ランジュちゃんの部屋だったねー」

39: 2022/04/18(月) 01:30:17.28 ID:ZLyx+0di.net
姫乃「その部屋はあの後、どうなったのですか?」

エマ「……」

エマ「………修理中だよ、へへっ」

姫乃「そろそろふざけるのはやめてもらいたいのですが」

エマ「ごめん…」

姫乃「何があったのか、洗いざらい吐いてくれますか?」

エマ「ここまできたらもう全部言っちゃった方がいいか」

エマ「はじまりは私の誕生日の次の日だったんだ」

42: 2022/04/18(月) 08:25:06.17 ID:ZLyx+0di.net
〜2月6日・虹ヶ咲学園学生寮〜

姫乃「では、私はそろそろ帰ります」

果林「エマのために、いつもありがとう」

姫乃「いえいえ、果林さんが喜んでくださるならこれくらいはお安い御用ですよ」

姫乃「果林さんと楽しいひとときを過ごせて、むしろ私が礼を言いたいくらいです」

エマ「一応、私の誕生日だったんだけどなぁ」

43: 2022/04/18(月) 08:37:30.23 ID:ZLyx+0di.net
姫乃「果林さん、また会いましょう!」

果林「そうね、楽しみにしてるわ」

エマ「じゃあね〜またバトルしようね!」


エマ「行っちゃったね」

果林「また会えるわよ」


「きゃあああああああっ!!」

44: 2022/04/18(月) 08:39:21.01 ID:ZLyx+0di.net
果林「今のは…」

エマ「ランジュちゃんの声、かな?」

ドタドタドタドタ

エマ「こっちに来てる?」

ドンドンドンドンドン!!!

果南「ものすごいノックね」

45: 2022/04/18(月) 20:56:38.05 ID:ZLyx+0di.net
果南「はーい」

ガチャ!

ランジュ「果林、エマ!たいへんなのよー!」

ランジュ「アタシの、アタシの部屋が…」

ランジュ「ぐっちゃぐちゃなの!!」

ランジュ「みんなで片付けたのに、ぐちゃぐちゃになってるの!」

果林「ぐちゃぐちゃって、また大げさな」

エマ「とりあえず見に行ってみようよ」

46: 2022/04/18(月) 20:57:55.24 ID:ZLyx+0di.net
〜虹ヶ咲学園学生寮・ランジュの部屋〜


果南「……あらら」

エマ「これは、ひどいね」

果林「棚の中身なんかぜんぶ床にぶちまけられてるじゃない」

エマ「それになんか…」

ミシッ…ミシミシッ…

エマ「おかしな音がしてる」

47: 2022/04/18(月) 21:05:18.00 ID:ZLyx+0di.net
ランジュ「これはなに?日本ではよくあるの?」

果林「ねえ、早くここを離れた方がいいんじゃ…」

ドゴォオォオオオオオオ!

ランジュ「きゃあっ!」

果林「天井が…」

エマ「落ちてきたぁ!?」

48: 2022/04/18(月) 21:07:22.85 ID:ZLyx+0di.net
〜回想中断〜

姫乃「……ストップ!」

エマ「はい…なんでしょうか?」

姫乃「え?…あれってそんなことになってたんですか?」

姫乃「ただ壁にぶつけられたくらいの認識だったのですが」

エマ「当たりどころが良すぎたみたいだね」

姫乃「私の負ったダメージと建物のダメージが釣り合ってないのですが」

49: 2022/04/18(月) 21:08:33.21 ID:ZLyx+0di.net
エマ「姫乃ちゃんは丈夫だからね」

姫乃「スイスに物理学は無いんですかね!?」

エマ「ほらあの後お互いに本気出してたし、そのダメージもなんやかんやで」

エマ「そこらへんはあれだ!"制作者の都合"ってやつで納得してほしいかな」

姫乃「ショウ・ランジュの部屋がすごいことになってたという状況が大切であり、その原因は大した問題ではないと」

エマ「そうそう!思いっきりティアラ飛ばしていこうよ!」

エマ「では、天井が落ちてきたところから回想の続きを」

50: 2022/04/18(月) 21:12:22.70 ID:ZLyx+0di.net
〜虹ヶ咲学園学生寮前〜

果林「はあ…はあ…なんとかここまでこれたわ」

果林「エマ!ランジュ!ケガはない!?」

エマ「うん…大丈夫だよ」

ランジュ「アタシも…無問題ラ」

52: 2022/04/18(月) 21:23:32.41 ID:ZLyx+0di.net
「何?すごい音しなかった?」

「うわああ、何あれ?」

果林「さすがに、このままってわけにもいかないわね」

♪ゴールデンタイ!ハージマルヨーカン!

ランジュ「あ、栞子からだわ」

ランジュ「ハイ、ランジュよ。うん…そう…」

果林「一旦、私の部屋に行きましょう」

54: 2022/04/19(火) 06:30:59.45 ID:dKnejr52.net
〜回想中断〜

エマ「思いの外大騒ぎになっちゃってね」

エマ「ふこうちゅうのさいわい、だっけ?誰もケガとかしてなかったし、どういうわけかランジュちゃんの部屋とその上以外は問題なかったんだよね」

姫乃「一応ききますが、ショウ・ランジュの上の部屋は?」

エマ「たまたま空き部屋だったよ」

エマ「それと、これまた偶然なんだけどタイミングよく寮を出て行く子がいたからランジュちゃんの新しい部屋もすぐ見つかったんだ」

姫乃「制作者の都合ってすごいですね」

エマ「とはいえ、大変だったのはここからなんだよ」

55: 2022/04/19(火) 06:32:10.24 ID:dKnejr52.net
〜果林の自室〜

ランジュ「うん…そうね、なんでかはわからないけど………うん、お願いするわ」

ランジュ「………」

ランジュ「アタシの、アタシの部屋が…」

果林「ランジュ…」

エマ「……」

エマ「ランジュちゃん、ごめんなさい!」

56: 2022/04/19(火) 06:33:36.00 ID:dKnejr52.net
エマ「あのね、これは…」

ランジュ「……?」

エマ「これは私たちのせいなんだ」

〜間〜

ランジュ「つまり、エマとヒメノって子がバトルをしたせいでアタシの部屋があんなことに?」

エマ「はい…そのとおりです」

57: 2022/04/19(火) 23:04:42.07 ID:CQzk8e8Y.net
ランジュ「エマと果林とヒメノはその、仲がいいの?お友達…なの?」

エマ「諸説あるけど、たぶん」

果林「そ、そうね…友達と言って差し支えないはずよ」

ランジュ「もし、アタシがヒメノとラップバトルしたいって言ったら…」

エマ「もちろん協力するよ!」

果林「そうね、私も二人のバトルを見てみたいもの」

58: 2022/04/19(火) 23:06:46.98 ID:CQzk8e8Y.net
ランジュ「えーっと、あと、…」

ランジュ「ヒメノは…その、ラップバトル強いのかしら?」

エマ「うーん、強いっていうか…おもしろいかな?」

ランジュ「おもしろい?」

エマ「ランジュちゃん、その…お部屋のことは本当に」

ランジュ「いいわ!いいわ!」

ランジュ「こんな気持ち生まれて初めてよ!」キラキラ

ランジュ「決めた!アタシ、ヒメノとバトルする!」

59: 2022/04/20(水) 06:54:01.80 ID:GTvO9sPV.net
果林「ランジュ、わかってる?あなたの部屋…」

ランジュ「そうね!もう跡形もないわ!」

ランジュ「でも、誰もケガしなかったし、被害があったのはアタシだけ、そして…」

ランジュ「ヒメノというまだ見ぬ強敵が現れたのよ!こんなにワクワクすることないわ!」

果林「まあ…これはこれでまるく収まったのかしら?」

エマ「やっぱりラップバトルはみんなの心をポカポカにするんだね」

果林「…そういえば、ランジュはどうなのかしら?」

60: 2022/04/20(水) 06:54:49.39 ID:GTvO9sPV.net
ランジュ「アタシが、なに?」

果林「いえ、ちょっとランジュの実力が気になったもので」

エマ「ん?言われてみればソロとかR3BIRTHでラップパートあるけどバトルしてるところはみたことないね」

ランジュ「そうね…日本に来てからはラップバトルしたことなかったわ」

ランジュ「久しぶりだし、ウォーミングアップの相手してもらえるかしら?」ヒューン

エマ「おっ、やる気だね!いいよランジュちゃん」



エマ(そのあとのことはおぼえていません)

62: 2022/04/21(木) 03:07:18.79 ID:GnVrWs+i.net
〜回想中断〜


姫乃「え?中断ですか?」

エマ「ここから少し時間が飛ぶんだよね」

エマ「30分くらいかな?バトルの時の記憶が真っ白なんだよね」

エマ「ということでバトル後からの再開」

63: 2022/04/21(木) 03:13:38.84 ID:GnVrWs+i.net
〜回想再開〜
〜学生寮前〜

エマ「……ん?」

ランジュ「ようやく終わったわね」

ランジュ「なかなか強いじゃないのエマ」

エマ「……あれ?私、負けちゃったの?」

ランジュ「ありがとう。ナイスファイトだったわ」

64: 2022/04/21(木) 03:21:05.88 ID:GnVrWs+i.net
エマ「お、おう!」

ランジュ「…どうしたの?」

エマ「それが…記憶が真っ白で…ははは」

ランジュ「覚えてないの…そう」

ランジュ「ごめんなさい。手加減してる余裕はなかったの」

果林「ランジュ、久しぶりのバトルはどうだった?」

65: 2022/04/21(木) 03:23:08.81 ID:rHjvy7i6.net
ランジュ「感触は戻せたと思うわ」

ランジュ「では、ヒメノと戦いに藤黄へレッツゴーよ!!」



「ちょおおおおっと待ったあああ!」



ランジュ「誰!」

愛「その殴り込み、一旦愛さんが預からせてもらうよ」

ランジュ「愛、なによぉ…ランジュはヒメノと」

66: 2022/04/21(木) 03:25:01.21 ID:rHjvy7i6.net
愛「その殴り込み、果たして最高のバトルとなるかな?」

ランジュ「……最高の、バトル?」

愛「いきなり押しかけて相手のコンディションも最高じゃないかもしれない」

愛「そんな形でするバトルが果たして満足のいくものになるか…いや、ならないだろう!」

ランジュ「はっ…!!!」

愛「エマっちはちゃんと姫乃ちゃんにバトルを覚悟してここまで来てもらって、互いに最高のコンディションでぶつかった」

愛「だから…熱いバトルができたんじゃないかな!」

ランジュ「……!!!」

67: 2022/04/21(木) 03:27:40.01 ID:rHjvy7i6.net
愛「それにさ、さっきのバトル…ランジュとしても思うところがあるんじゃない?」

ランジュ「愛、あなた…」

愛「うん、全部見させてもらったよ」

愛「ランジュが最高のバトルを望むならさ、よく考え直した方がいいと、愛さんは思うよ」

愛「再考(さいこう)だけに!!」

ランジュ「!!!!」

68: 2022/04/21(木) 03:33:52.91 ID:rHjvy7i6.net
愛「どうだい?ランジュ」

ランジュ「…アタシはいつだってフルパワーのパフォーマンスをできるようにしてるわ」

ランジュ「そして、相手にもそうであってほしいと考えている」

ランジュ「さっきは噛み合わないところもあったけど、まあ問題ないわよ」

愛「本当にそう思ってる?」

ランジュ「………」

愛「この話、愛さんに任せてくれればランジュが求めるバトルをさせてあげるよ」

69: 2022/04/21(木) 03:35:27.99 ID:rHjvy7i6.net
ランジュ「アタシの求めるバトル?」

愛「名付けて、オダイバ・スクールアイドルラップフェス!」

愛「ここ、虹ヶ咲学園を舞台に最強のスクールアイドルラップチームを決めるイベントをやろう」

ランジュ「チーム?」

愛「そう、チームだよ。ランジュはチーム戦は嫌いかい?」

愛「準備をした最高のコンディションのラッパーが互いに刺激しあい、己の限界を超えた力を発揮する、それがチーム戦の醍醐味」

愛「これなら、最高を超えた戦いができるんじゃないかな?」

70: 2022/04/21(木) 03:37:34.39 ID:rHjvy7i6.net
ランジュ「さ、さすがよ愛!」

愛「ふふっ、愛さんといえばイベント開催みたいなところあるからね」

愛「最高を超えるイベントを催行してあげよう!なんつって!」

ランジュ「いいわ!いいわね!高まってきたわ!」

愛「そうと決まれば、最高の計画を練るため部室へ…次はわかるよね、ランジュ!」

ランジュ「さあ、いこう!かしら!」

愛「大正解!」

71: 2022/04/21(木) 03:40:27.36 ID:rHjvy7i6.net
愛「あ、愛さんはまだやることあるからランジュは先に行ってて」

ランジュ「了解よ!」



愛「………ふう」

果林「助かったわ、愛」

愛「ランジュがさっきのバトルでフルパワーだったら、愛さんでも止められなかったと思う」

愛「カリン、エマっち…ここからは愛さんがなるべく
イベント開催延期にもっていかせるよ」

72: 2022/04/21(木) 03:41:17.44 ID:rHjvy7i6.net
愛「イベントで姫乃ちゃんと戦うってのがあれば、ランジュも藤黄に殴り込みはしないはず」

愛「それでできるだけ姫乃ちゃんとのバトルそのものに興味がなくなるようにしてみる」

愛「だけど、もしそれがダメそうだったら」

果林「ええ、やるしかないわね」

エマ「…オダイバ・スクールアイドルラップフェス」

75: 2022/04/21(木) 21:51:07.48 ID:rHjvy7i6.net
〜回想終了〜

エマ「そして、先日…ついに延期の限界がきてしまいました、というわけだよ」

エマ「姫乃ちゃんとバトルできないと分かれば、ランジュちゃんは確実に藤黄にくるね」

姫乃「…もはやどこからツッコミを入れるべきか悩みます」

姫乃「というか、説明してもらって恐縮ですが、私は辞退します」

エマ「お願い!断れば藤黄のみんなの安全は保証できないよ。藤黄のみんなの命が大事なら参加して」

姫乃「頼むていで脅迫をするな!」

76: 2022/04/21(木) 21:53:05.35 ID:rHjvy7i6.net
姫乃「やれやれ、選択肢などはじめからないじゃないですか」

エマ「姫乃ちゃんに損なことばかりじゃないと思うけどな。最後のところ見て」

姫乃「『優勝チームはランジュがなんでも一つ願いを叶えてあげるわ』ですか」

エマ「優勝して、藤黄に来ないでって言えばもう安心じゃないかな」

姫乃「まったく…いつもいつも、わかりましたよ。出ればよいのでしょう」

姫乃「元凶はスイスとはいえ、私にも責任の一旦はありますし、受けますよ」

77: 2022/04/21(木) 21:54:34.33 ID:rHjvy7i6.net
エマ「私とチームを組むのもオーケーだよね」

姫乃「あなたと組むなど虫唾がはしりますが、それも仕方ないでしょう」

姫乃「万が一にも途中敗退などせずに、最終戦でフルパワーを超えた力でショウ・ランジュとぶつかる…そのためにはあなたと組むのが最適解です」

美咲「姫乃…」

姫乃「足を引っ張るのは許しませんよ、スイス」

姫乃「となると、あと一人はもちろん」

エマ「そりゃ、きくまでもないよね」

78: 2022/04/21(木) 21:55:56.25 ID:rHjvy7i6.net
エマ「私と姫乃ちゃんと果林ちゃん、これ以上のチームなんてないんじゃないかな?」

エマ「ま、姫乃ちゃんがどうしても出ようとしなかった時の保険も兼ねてたんだけどね」

姫乃「ふふ…ならば、今回をもって証明しましょう」

姫乃「私、綾小路姫乃こそが、朝香果林にとって最良のパートナーであることを!」

エマ「あくまでも目的はランジュちゃんに勝つことだからね」

姫乃「わかってますよ。ついでにショウ・ランジュをぶちのめして平和を勝ち取るとしましょう」

79: 2022/04/21(木) 21:57:10.23 ID:rHjvy7i6.net
姫乃「それで、オダイバスクールアイドルラップフェスとやらはいつなのですか?」

エマ「4月16日だよ!」

姫乃「……」

エマ「姫乃ちゃん?」

姫乃「また、ですか…?いえ今回は厳密には前日なのですが」

エマ「あー、うん!今年も大変な誕生日になりそうだね!」

姫乃(やはり、私は平和とは無縁なようです)

姫乃(ショウ・ランジュ…あなたは気にしないと言ってくれたようですが、不始末の借りもあります…最高のラップをもってあなたに応えなければですね)

81: 2022/04/22(金) 07:26:41.06 ID:Tzg/Nyt3.net
〜4月17日〜
〜虹ヶ咲学園〜

姫乃「見送りはここまででいいです」

姫乃「あとは客席で見ていてください。私たち藤黄の勝利を」

美咲「頼んだよ。私たちの魂は姫乃にすべて託したから」

隼「やっぱり、私たちも出た方がよかったんじゃ」

姫乃「いえ、それはできません」

姫乃「もし、ランジュとバトルになったら…」

82: 2022/04/22(金) 07:29:41.43 ID:PiGlCZHl.net
優香「話をきいた限りじゃ安全は保証されないわね」

姫乃「スイスでも太刀打ちできなかったらしいですからね」

姫乃「覚えてすらいないとか、どんな体験をしたのやら」

姫乃「ですが、やりますよ…私は綾小路姫乃ですから」

ふみ「姫乃さん…」

小雪「帰ってきてくれますよね?」

姫乃「はい、絶対に帰ります」

83: 2022/04/22(金) 07:31:05.29 ID:PiGlCZHl.net
姫乃「今回のバトル、私は限界を出し切ります。…ですから」

姫乃「全部終わったら、みなさんが藤黄まで運んでくださいね」

涼「了解したよ」

風「藤黄の力、見せてやりましょう」

剣「存分に出し切ってね、姫乃」

姫乃「綾小路姫乃!藤黄の未来のため、出陣します!」

84: 2022/04/22(金) 07:35:28.90 ID:PiGlCZHl.net
姫乃「さて、仲間からの熱いエールを受け取りましたし、そろそろですかね」
       

???「姫乃ちゃあああああああん!待ってたよおおおおおおお!」

姫乃(あれ?なんでしょう、そこはかとなく嫌な予感が)

ドグオオオオッ!!

姫乃「ぐはっ!」

姫乃(突然の…ハグタックル!いえ、やっている本人は単に抱きついてきただけなんでしょうけどっ!)

姫乃(恵まれた体格と全力疾走の勢いから繰り出される、それは…まさに)

ドオオオオオオオオオン!!!

姫乃(中 欧 の 殺 人 奥 義 !)

85: 2022/04/22(金) 07:36:13.93 ID:PiGlCZHl.net
エマ「ああ!もう!こんなことになっちゃったけど、姫乃ちゃんありがとおおおお!」

エマ「私ね!今日はいつもよりもちゃんとちゃんとラップがんばるよ!姫乃ちゃんとラップするよおおおおお!!」

エマ「では、行こうか!!!」

美咲「あの、エマさん……」

美咲「姫乃、気絶してますよ」

86: 2022/04/22(金) 23:09:12.23 ID:8eQyi41y.net
〜間〜

姫乃「ん…んん…」

エマ「姫乃ち゛ゃぁぁん!生きててよかったぁ!」

果林「あら?目が覚めたみたいね」

姫乃「へ、か、果林さん!?」

果林「ごめんなさいね。エマったら、姫乃ちゃんを待ちきれないから探してくるって飛び出したと思ったら…」

姫乃「いえ、慣れてますから…」

エマ「ごめんね。つい、うっかり…」

87: 2022/04/22(金) 23:10:20.47 ID:8eQyi41y.net
姫乃「つい、うっかりで殺さないでほしいところです」

エマ「えへへ…反省反省」

果林「舞い上がりすぎよエマ」

姫乃「あの、果林さん…」

姫乃「すみません。私とスイスの不始末に巻き込んで」

果林「あー、いいわよ。見ていた私も同罪だし」

果林「それに…9割がたエマのせいだしね」

88: 2022/04/22(金) 23:11:22.11 ID:8eQyi41y.net
『運営本部より連絡です。参加チームの方々は受付をただちに済ませてください』

『繰り返します。運営本部より連絡です。参加チームの方々は受付をただちに済ませてください』

果林「あら、ゆっくりもしてられなさそうね」

姫乃「では、行きましょう」

エマ「うん!」

姫乃(私と果林さんとスイス、どことなく歪ながらも強い絆で結ばれた三人の戦いがはじまりました)

89: 2022/04/22(金) 23:12:42.70 ID:8eQyi41y.net
姫乃(そして…)


ドォオオオオオン

かすみ「ぎゃああああっ!!」

『おーっと、これは!』

姫乃「かすみさんを、後ろからしずくさんが…!同じチームなのに!」

しずく「ごめんね、かすみさん。これは私たちが勝つためなの」

90: 2022/04/22(金) 23:13:22.83 ID:8eQyi41y.net
璃奈「璃奈ちゃんボード『勝てばよかろうなのだ』」

かすみ「なん…で…」ガクッ

姫乃「…どういうことです」

果林「あらあら」

エマ「あいかわらずだね。しずくちゃん」

姫乃「あいかわらずとは!?」

91: 2022/04/22(金) 23:15:19.90 ID:8eQyi41y.net
姫乃(私たちはバトルを勝ち抜いていきました)


遥「ははっ…私、ここまでか」

彼方「遥ちゃん!目を開けて!ねえ!」

遥「ごめんね、おねえちゃん…私、なんの役にも立てなかった」

彼方「そんなことないよ!だから笑ってよ、遥ちゃん!」

遥「そうだね…最後くらいは、笑わないとだね…へへっ」

遥「………」ガクッ

92: 2022/04/22(金) 23:16:25.97 ID:8eQyi41y.net
彼方「遥ちゃん!?ねえ!遥ちゃん!」

彼方「遥ちゃん…」

エマ「…彼方ちゃん…あのね」

果林「彼方、遥ちゃんは立派に戦ったわ」



彼方「き……」

彼方「きさまらの血は何色だああ!?」


姫乃(数々のドラマがうまれ…そして)

94: 2022/04/22(金) 23:42:53.47 ID:8eQyi41y.net
姫乃「次で決勝ですね」

果林「まったく、愛ったら決勝までランジュと当たらない組み合わせにするなんて」

エマ「ランジュちゃんの性格からしてそうでもしないと納得しないとか言ってたね」

『これより、決勝戦を開始します』

『決勝参加チームはバトルステージに集合してください』

『繰り返します…』

95: 2022/04/22(金) 23:45:06.41 ID:8eQyi41y.net
姫乃「行きましょう」

果林「ええ」

エマ「この3人ならランジュちゃんたちにも負けないよ」


姫乃(さあ…どのような怪物が出ようと切り捨ててあげますよ)

姫乃(決着をつけましょう、ショウ・ランジュ)

姫乃(あなたの部屋を潰した非礼は、あなたを潰すことで返してあげます)

96: 2022/04/22(金) 23:49:31.17 ID:8eQyi41y.net
〜バトルステージ〜

姫乃(長い長い戦いの果て、やっと辿り着いたステージに彼女はいました)


ランジュ「きたわね、ヒメノ」

姫乃「こうして話すのは初めてですね。ショウ・ランジュ」

ランジュ「ええ!2ヶ月も待ったわ」

姫乃「聞いたところによると、私のせいで部屋が大変なことになったそうで」

ランジュ「それはもういいわ、失ったものよりも得たものを見るべきだと思わない?」

97: 2022/04/22(金) 23:50:17.46 ID:8eQyi41y.net
ランジュ「ヒメノ、あなたと戦うという目標をアタシは手に入れた。そして、今それが叶う」

姫乃「目標にしていただいて光栄です。全身全霊で答えたいですよ」

ランジュ「そう、ならばその気持ち証明してみせてくれる?」

ランジュ「スクールアイドルなら、やり方はわかるわよね」

姫乃「ええ!」

99: 2022/04/23(土) 19:04:08.10 ID:6fnRVn8/.net
栞子「…そろそろいいですか」

ミア「オーディエンスもボクたちもこれ以上のおしゃべりは望んでないよ」

栞子「姫乃さん、ランジュのわがままに付き合っていただきありがとうございます」

栞子「いつもいつも、ランジュはなぜこうも…」

姫乃「はは、心中お察しします」

栞子「チーム戦をやると決まった途端に当たり前のように私をミアとエントリーしてたみたいですし」

ミア「事後承諾はやめてほしいね」

100: 2022/04/23(土) 19:05:21.30 ID:6fnRVn8/.net
ランジュ「なによぉ、アタシのチームといったら栞子とミアでしょ?」

栞子「それは…まあ」

ミア「あっさり言いくるめられてるし」


『これより、オダイバスクールアイドルフェスティバル決勝戦を始めます』

愛「はいはーい、決勝戦は愛さんが審判だよ」

愛「さてさてー先攻後攻は…」

101: 2022/04/23(土) 21:34:26.48 ID:6fnRVn8/.net
愛「じゃーん!チームNS8の先攻だね」

姫乃(今更ですが、このチーム名はなんなのでしょうか)

ランジュ「ふふっ、きなさい」

姫乃「随分余裕ですね」

ランジュ「ええ、今日のためにずっと準備してきたもの」

ランジュ「チーム戦でちゃんとやれるように練習もしてきたわ」

ランジュ「さてと、見せてよヒメノ!あなたの力を」


姫乃「ええ、見せてあげましょう!」ヒューン

姫乃「さあ、行きますよ!ショウ・ランジュ!」

102: 2022/04/23(土) 21:35:36.13 ID:6fnRVn8/.net
【姫乃】
蹴り飛ばされろ邪魔する石ころ
地元の火の粉を払うため氏闘
さっさとケリつけhere we GO
姫乃が進むは勝利ロード

止めるの不可能だ名前つきモブ
鍛えた技にはみな吹き飛ぶ
藤黄の脅威がここに到来だ
踏み出すぞ勝利はすでにもう前だ

103: 2022/04/23(土) 21:36:37.07 ID:6fnRVn8/.net
ドオオオオオオン!

姫乃「初対面の相手だろうとバトルであれば手加減しませんよ」

姫乃「さてと、ここからどうしましょう」

ランジュ「ふーん、こんなもんなのね」

姫乃「無傷?ですが、まだバトルは始まったばかり」

ランジュ「いえ……もういいわ」

姫乃「もういい?」

104: 2022/04/23(土) 21:37:16.26 ID:6fnRVn8/.net
ランジュ「なんかね、いざ戦ってみたらそうでもないみたい」

姫乃「は?」

ランジュ「だから、もういいわ。さようなら」

姫乃(あ…あれ…?)

姫乃(おかしいです…さっきまでと)

ランジュ「じゃあね、ヒメノ」ヒューン

姫乃(まるで、別人、じゃないです、か)

105: 2022/04/23(土) 21:38:16.97 ID:6fnRVn8/.net
>>102
【ランジュ】
モブってたしか端役の意味ね
早くもあなたの馬脚が丸見え
ランジュは常に真正的寶石(ツェンツィンタパオシー)
対してあなたは見かけ倒し

あなたの名前は刻まれないの
記憶の中にも留まれないの
じゃあね誰かさん、ここで拜拜(バイバイ)
あわれな結果は戻せないない

106: 2022/04/23(土) 21:39:09.22 ID:6fnRVn8/.net
ゴゴゴゴゴ…

ランジュ「さてと…」

ランジュ「さようなら」

姫乃「くっ…」

姫乃(恐らく来るであろう強大な一撃、それに身構え)

姫乃(身構…え)

姫乃「何も、こない?」

107: 2022/04/23(土) 21:43:18.10 ID:6fnRVn8/.net
姫乃「攻撃をやめたんですか!そんな情けなど」

ランジュ「…何言ってるの?そんなに後退りして」

姫乃「後退り?」

姫乃「……あ、れ?」

姫乃(ゆっくりと、辺りを見渡すと)

姫乃「う…そ…」

姫乃「私、いつの間にか動いていた」

108: 2022/04/23(土) 21:47:45.76 ID:6fnRVn8/.net
姫乃「それに……ゔっ…!」

姫乃(それを見た瞬間、全身の毛が逆立つのを感じました)

姫乃(ショウ・ランジュの攻撃はすでに終わっていたのです)

姫乃(先ほどまで私がいた場所に、とても…とても…大きなクレーターが…)

ランジュ「せめて、ちゃんと受けてくれると思ったんだけど…あーあ、大っきい穴、これじゃまた栞子に怒られちゃうわね」

栞子「わかっているなら制御くらいしてほしいものです」

栞子「…部屋の件もあるんですから…」

110: 2022/04/24(日) 12:31:42.02 ID:CayiS1uN.net
エマ「あれは、ランジュちゃんのせいではないんだけどね」

ランジュ「とはいえ、避けちゃうのはあなただけじゃないし、当たったら当たったで終わりなんだけどね」

ランジュ「今日はここまでずっとこんな感じ…」

ランジュ「みんな避けて棄権しちゃうか、三人まとめて一撃で終わっちゃうか。つまらない」

ミア「ま、そのくらいランジュのパワーが強いってことだろ」

姫乃「あ…ああ…」

果林「姫乃ちゃん!」

111: 2022/04/24(日) 12:39:13.86 ID:CayiS1uN.net
果林「しっかりしなさい!」

姫乃「!!…果林さん!すみません私」

果林「無理もないわ」

果林「…あんなの耐えられるのエマくらいよ」

ランジュ「ま、前に戦った時はアタシの勝ちだったからエマも耐えることができるってだけよ」

エマ「あー、私あれ耐えられたんだ…覚えてないんだよね」

栞子「ランジュのを耐えられる人なんて初めて見ましたよ」

ミア「まさにモンスターガールだね」

112: 2022/04/24(日) 12:43:54.28 ID:CayiS1uN.net
エマ「よせやーい」

姫乃「敵と馴れ合わないでください」

エマ「はいはーい」

姫乃「さて…バトル再開です」

姫乃「見苦しい真似をしましたが、ショウ・ランジュ次はあなたの攻撃を受け切ると宣言します」

ランジュ「いいわよ。アタシとまともにバトルできる人なんて会ったことないもの」

ランジュ「エマに対してもアタシの方にアドがあるわ」

113: 2022/04/24(日) 12:45:08.22 ID:CayiS1uN.net
ランジュ「アタシはエマがどういうことするかわかってるけど、エマはアタシとのバトル覚えてないんでしょ?」

姫乃(そうなんですよね。覚えていてくれたら少しは対策の立てようもあったんですが)

エマ「むむむむむむむむむ」

姫乃「……何やってるんですか?」

エマ「思い出してみる」

姫乃「そんな都合よく…」

114: 2022/04/24(日) 12:48:41.83 ID:CayiS1uN.net
エマ「あ…」

エマ「思い出した!」

姫乃「…いくんですね」

エマ「あ…そうか」

エマ「…そうだったんだ」

115: 2022/04/24(日) 12:50:27.74 ID:CayiS1uN.net
姫乃「…スイス?」

エマ「そうだよ。だからランジュちゃんは…」

エマ「……姫乃ちゃん、次は私でいいかな?」

姫乃「いいですが、何をするつもりです?」

エマ「うまく行けば、全部まるくおさまるはず!」

116: 2022/04/24(日) 12:54:14.95 ID:CayiS1uN.net
【エマ】
昨日の敵は今日の友
わかってますとも共に行こう
製作都合のこじつけだとも
頭の中の害虫は取ろう

感動ショウからR3BIRTH新生
これからは一緒だフォロー返し
だけどこの場じゃreverse申請
手のひら返しシラミに仕返し

117: 2022/04/24(日) 12:55:44.69 ID:CayiS1uN.net
ゴゴゴゴゴ…

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

栞子「え……」

ミア「what?」

ランジュ「まとめて、ね…」

118: 2022/04/24(日) 12:56:40.30 ID:CayiS1uN.net
姫乃「スイス、あなた…それは」

エマ「意外でもないでしょ?この3人を相手にするなら私は迷わずこの手を使うよ」


ランジュ「ふーん、思い出してこれ」

ランジュ「この3人を相手にするなら…か」

ランジュ「つまり、そういうことよねエマ」

119: 2022/04/24(日) 12:57:44.03 ID:CayiS1uN.net
エマ「ごめんね、でもね」

エマ「思い出したからにはこうしなきゃなって思ったんだ」

グググ………

エマ「私が3人まとめて相手するよ」

エマ「吹き飛ばしてあげる、シラミ三人組」

120: 2022/04/24(日) 12:58:53.95 ID:CayiS1uN.net
ランジュ「そのセリフ、本当に思い出したみたいね」

ランジュ「でも無問題ラ、アタシたちなら…」

ランジュ「でしょ?栞子!ミア!」

ランジュ「前も見たからこれの攻略法はもうわかってる!2人ともアタシにつかまりなさい!」

121: 2022/04/24(日) 12:59:50.28 ID:CayiS1uN.net
姫乃「前も見た…?」

エマ「そうだよ。あの時も私はこうしたんだ」


ミア「…栞子、提案があるんだけど」

栞子「ええ…私も同じですよ」

ランジュ「…何やってるの!早く、私につかまって」


ドン…


ランジュ「え…?なんで…逆に押すのよ」

122: 2022/04/24(日) 13:01:00.51 ID:CayiS1uN.net
姫乃(捕まってと手を差し出したショウ・ランジュを逆に突き飛ばした栞子さんとミアさん、これは)

果林「二人が、ランジュを逃した?」

エマ「なんで…」


栞子「予想外でしたか?エマさん」

ミア「これはさ、R3BIRTHへの攻撃なんだろ」

栞子「ですが、もし3人のうち2人が接近し、残り一人が遠くにいた場合、一体これは誰を攻撃するんですかね」

123: 2022/04/24(日) 13:02:43.07 ID:CayiS1uN.net
ランジュ「なんで?アタシは3人とも」

栞子「ランジュは勝ちたいんですよね、姫乃さんに」

ランジュ「え?それはもう…」

栞子「何人もの人を巻き込んでここまでやったんです。ならばその責任を果たしてください」

栞子「それが…ランジュのやるべきことだと私は思いますよ」

ミア「ま、そういうことさ。最初からボクらはランジュが姫乃を倒すために最善をつくすつもりだった」

124: 2022/04/24(日) 13:04:43.65 ID:CayiS1uN.net
ミア「ボクらを助けるためにランジュを消耗させる、なんてのは選択肢にも入らないんだよ」

栞子「走ってくださいランジュ、すぐさま!なるべく私たちから離れるように」

ランジュ「………」

ランジュ「そう…アタシの責任…よね」


姫乃(ショウ・ランジュはその場を動きませんでした)


ドォオオオオオン!


栞子「」

ミア「」

125: 2022/04/24(日) 13:06:10.46 ID:CayiS1uN.net
愛「しおってぃー、ミアち、揃ってリングアウト&ダウンだーー!」


姫乃「ショウ・ランジュも巻き込まれはしましたが、でもこれじゃ」


ランジュ「…なによ、これ」

ランジュ「…どういうつもり?エマ」

エマ「こうなるとは思わなかった」

エマ「…こんなつもりじゃなかったんだ」

126: 2022/04/24(日) 13:07:50.92 ID:CayiS1uN.net
エマ「こんな、最悪なことになるなんて」

姫乃「何わけわからないこと言ってるんですスイス!」

エマ「……」

姫乃「何を思い出したか知りませんが、これはバトルで相手は2人リタイア、なら最悪ではないでしょう」

ランジュ「あなたたちにとっては最悪よ?…アタシはソロの方が得意だもの」

ランジュ「アタシの力はもう実証済みよね」

ランジュ「このままあなたたちを倒して勝ち」

128: 2022/04/25(月) 01:14:56.54 ID:9N2Uqknt.net
エマ「ランジュちゃん、それはやめた方がいいよ」

エマ「ランジュちゃんは私たちを倒せば勝ちだと思ってるみたいだけど」

エマ「もう、ランジュちゃんの勝ちは無くなった」

ランジュ「話を聞いてなかったの?ここからだって」

エマ「ランジュちゃんの願いは叶わない。少なくともこのままじゃね」

エマ「これは私のせいだから、いくらでも私を責めていいよ。でも、まだ戦いをやめないなら」

エマ「多分、ここからランジュちゃんにとってつらい戦いがはじまる」

129: 2022/04/25(月) 01:21:16.58 ID:9N2Uqknt.net
エマ「ごめんね。私がもっと早く思い出してたら」

姫乃(私にはスイスが言ってることを理解する方がつらいですけどね)

姫乃(あれ、そういえば)

果林「……」

姫乃(果林さん、さっきから黙ってる気が)

果林「思い出したらって…前にエマとランジュがバトルした時のことよね?」

果林「…なんかあったかしら?」

130: 2022/04/25(月) 01:24:03.25 ID:9N2Uqknt.net
エマ「うん、あったんだよ。私もこんなことになるとは思わなかった」

果林「あ、もしかして」

果林「たしかに…やっちゃったわね…」

姫乃「…あの、私だけ置いていかれてるのですが」

エマ「これから姫乃ちゃんもわかるよ」

エマ「今私がやっちゃったことの意味が」

ランジュ「意味不明ね」

ランジュ「エマのことは好きだけど、たまに何を言ってるかわからないわ」

ランジュ「ま、そんなことを気にしても意味ないわね、いくわよ」

131: 2022/04/25(月) 01:27:22.62 ID:9N2Uqknt.net
【ランジュ】
見えない真意はただの妄執
アタシにとっては勝ちこそ報酬
吐き捨て処理して破棄して強襲
三日と持たぬ呉越同舟

一対三でも無問題ラ
鐘が響けば狂乱災禍
嵐の前ではNo one tie-up
珠玉の凱歌でもう断罪ラ

132: 2022/04/25(月) 01:31:01.42 ID:9N2Uqknt.net
ゴゴゴゴゴ…

ランジュ「今度は逃さないわよ」

ランジュ「さっさと終わらせましょうか」

果林「どうするの?まずはランジュの攻撃を何とかしないとだと思うのだけど」

姫乃「あー、もうなんでこんな面倒なこと引き受けたんですかね…」

エマ「…そうだよ、まだなんとかなるかも」

133: 2022/04/25(月) 01:39:03.88 ID:9N2Uqknt.net
エマ「うん、だとしたら適役は私でもなく、果林ちゃんでもなく姫乃ちゃんだよね…」

エマ「そして、ここで体を張るのは、私か」

姫乃「ぶつくさとわけわからないこと言ってないで…」

エマ「後は任せるからちゃんとやってね、果林ちゃん!姫乃ちゃん!」

姫乃「へ…」

エマ「忘れないで、これはチーム戦なんだよ」

エマ「だから、このバトルは絶対にランジュちゃんを勝たせちゃいけない」

134: 2022/04/25(月) 01:40:55.08 ID:9N2Uqknt.net
エマ「ランジュちゃんを勝たせなければ、なんとかなるかもしれないから、ここは私が行ってくるよ」

姫乃「ですから、ちゃんとわかるように話してください!」

エマ「果林ちゃんと姫乃ちゃんなら、できるって信じてるから」

エマ「では、エマ・ヴェルデ突貫します!」

ダッ!

果林「え?」

姫乃「スイ…ス?」

135: 2022/04/25(月) 01:42:38.73 ID:9N2Uqknt.net
エマ「ランジュちゃん!」

ガシっっっ!

ランジュ「な!?」



姫乃「スイスが…ショウ・ランジュに組み付いた」

エマ「あはは…私っていっつも余計なお世話ばっかりしちゃうよ」

エマ「せめて、その埋め合わせくらいはしないとね」

136: 2022/04/25(月) 01:44:08.76 ID:9N2Uqknt.net
エマ「これで倒せるとは思ってないけどさ…」

エマ「ダメージくらいは与えさせてもらうよ!ランジュちゃーーん!!!」


果林「そのままランジュの攻撃に突っ込んで…」


ドグオオオオオオオオオオオオオオン!


姫乃「スイスうううううううう!!!」


エマ「」


愛「おーっと、まさかの事態!エマっちが特攻、一撃で沈んだー!」

137: 2022/04/25(月) 01:48:17.92 ID:9N2Uqknt.net
ランジュ「ふう…ギリギリだったけどエマを盾にできてよかった」

ランジュ「さすがはアタシの攻撃、盾があってもなかなかの衝撃だっだわ」

姫乃「なんなんですか!意味わからないですよ」

果林「……」

ランジュ「それにしても、やっぱりエマは手強いわね」


果林「エマ、そういうことね…」

果林「うん…そうするしかないもの」

ランジュ「果林はエマが言いたかったことがわかるのね」

139: 2022/04/25(月) 19:05:13.21 ID:9N2Uqknt.net
果林「わかるというか…」

果林「ごめんなさいね。私も謝っておくわ」

ランジュ「まったく、心当たりがないのだけど」

果林「私ね、ランジュは強くて少しのことじゃめげないんだって思ってた」

果林「そんな思い込みをして、気付けたかもしれないものを見過ごした。そういう意味での謝罪よ」

140: 2022/04/25(月) 19:12:28.86 ID:9N2Uqknt.net
果林「こんなんじゃ先輩失格よね」

ランジュ「エマも果林もさっきから変よ」

果林「…たしかに、このバトルでランジュを勝たせるわけにはいかないわ」

果林「次はこっちのターンよね。姫乃ちゃん、次は私でいいかしら?」

姫乃「は、はい!どうぞ!」

果林「ちょっとは先輩らしいことさせてね!ランジュ!」ヒューン

141: 2022/04/25(月) 19:33:03.60 ID:9N2Uqknt.net
【果林】
違う色でも同じ虹
だから辿るの同じ道
先を歩いたバックダンサーの
迷いのプロから貴重なアンサー

いっそ捨てなさいつまらぬ体裁
出口は地図にも未掲載
傷ついたサインに気づきなさい
強がるガールが一番ダサい

142: 2022/04/25(月) 19:34:38.07 ID:9N2Uqknt.net
ドオオオオオオン!

ランジュ「くっっ……」

果林「安心したわ。あなたは途方もなく強いけど、だけど無敵じゃなかった」

果林「さてと、いつまで立ってられるかわからないから、言えるうちに言っておくわね」

果林「迷ってる最中は不安でたまらないとおもうけど、案外なんとかなるものよ」

果林「だから、ちゃんと自分の足で迷いなさいランジュ。迷子になるのも悪くないわよ」

143: 2022/04/25(月) 19:42:31.32 ID:9N2Uqknt.net
ランジュ「…果林、今日はずいぶん調子…がいいじゃない。それでも…アタシとの差は大きいけど」

果林「あら?私はいつも通りよ」

姫乃(さすが果林さん、ショウ・ランジュにも負けていませんね!)

果林「どうなるかわからないけど、せめて最悪の結末だけは防がせてもらう」

果林「私、あなたのバックダンサーじゃなくて先輩だから」

ランジュ「なによ…ぉ…!エマも果林も二人して」

ランジュ「まあ、いいわ…エマの次は果林を消してあげる!」

144: 2022/04/25(月) 19:43:43.02 ID:9N2Uqknt.net
【ランジュ】
嵐珠は不惑、決してひるまず
鋼の意志で岩をも砕く
この場で見透かす果林のブラフ
策略も下すわ難攻不落

いつでも心はチョー平静
規律乱れぬ徴兵制
ステージに立てば頂点へ
果林の言葉は妄言ね

145: 2022/04/25(月) 19:45:46.01 ID:9N2Uqknt.net
ランジュ「もう…言いたいことはないわよね!?果林」

果林「あらあら、さっきのが効いちゃったかしら?姫乃ちゃんじゃなくて私でいいの?」

ランジュ「ヒメノはそれほどでもないってわかったから、先に果林から倒すだけよ」

ランジュ「拜拜、果林」

果林「いいわよ、受け止めてあげる!」


姫乃「いいえ、その攻撃は私が引き受けます!」

果林「へ?」

ドドドトドオオオオオオンっ!!

146: 2022/04/25(月) 19:48:33.75 ID:9N2Uqknt.net
姫乃「ぐっ!!」

果林「えっと…大見得きった私の立場は」

姫乃「すみません!ですが…」

姫乃「やはり、果林さんが苦しむ顔は見たくないので」

ランジュ「耐えたの?ランジュの攻撃を」

姫乃「私の前で果林さんを攻撃できるとは思わないでほしいですね!」

姫乃「果林さんへのあらゆる攻撃は、この綾小路姫乃が引き受けましょう!」

147: 2022/04/26(火) 08:19:56 ID:CfNktGYW.net
果林「姫乃ちゃん、こんな時まで…」

姫乃「こんな時だからこそです」

姫乃「果林さんには傷ひとつ付けさせません」

姫乃「安心してください、私…倒れる気なんてありませんから」

姫乃「だって、ここで倒れたら、一番かっこいい果林さんの姿を見逃してしまうじゃないですか」

果林「そうね…ファンの厚意は受け止めないと」

果林「ありがとう、姫乃ちゃん」ナデナデ

148: 2022/04/26(火) 08:22:45 ID:0/r1hS9G.net
姫乃「へ?ちょっといきなりですか!」

果林「いいじゃない、ごほうびよ」ナデナデナデ

姫乃「え、えと!それは後でゆっくりしていただきたく、ってそうではなく!」

姫乃「…ショウ・ランジュ、今のを受けて確信しました」

姫乃「…あなた、弱くなってません?」

ランジュ「ボロボロでいうセリフかしら?」

姫乃「はい、最初のあなたの攻撃なら私は跡形もなく吹き飛んでいたと思います」

150: 2022/04/26(火) 23:45:00.60 ID:b92YD4iQ.net
果林「ランジュの攻撃はどんどんパワーを無くしてる。それがどういうことか、もう気づいてるんじゃない?」

姫乃「ショウ・ランジュ、私は果林さんやスイスと比べたらあなたを知らない。ですが、今のあなたが本調子でないことくらいはわかります」

ランジュ「だから?それでもアタシの方が断然上よね?たしかにパワーの低下はしてるけど、あなたたちを倒すくらいはできそうよ」

ランジュ「このまま時間切れされたらアタシの負けだけど、それは無理でしょ?愛」

愛「まあね、それを防ぐためにも一定時間攻撃しなかったら失格ってことにしてるよ」

姫乃「ご心配なく。そんなずるい手は使いません」

151: 2022/04/26(火) 23:46:30.62 ID:b92YD4iQ.net
果林「…バトルをやめる気はないのね。ランジュ」

ランジュ「勝てる勝負をわざわざ捨てるわけがないでしょ」

果林「そう…ならこっちの最大威力を打たせてもらうわ」

果林「一緒にやりましょう。姫乃ちゃん」

姫乃「一緒!?それは嬉しいのですが…いきなりとなると…その…心の準備とか」

果林「心配ないわ。私の見立てが正しければ二人の攻撃は確実にランジュに届く」

姫乃「で…ではその…不束者ですが…」ヒューン

果林「ええ!行きましょう!」ヒューン

152: 2022/04/26(火) 23:47:35.39 ID:b92YD4iQ.net
【果林】
意地っぱりな後輩ちゃん
ああ漂うマジな荒廃感
果林と姫乃をご覧なさいな
バシッと決めよう土壇場サイファー

【姫乃】
なんかサイファーできちゃいそう
軽々超えましょう期待像
いわば二人は月と太陽
いっそやりますか組体操を

153: 2022/04/26(火) 23:49:31.75 ID:b92YD4iQ.net
果林「さあ!決めるわよ姫乃ちゃん!」

姫乃「…あの、果林さん」

果林「なに?」

姫乃「そ…その、こんなのでいいのですか?」

果林「大丈夫よ。いける!」

姫乃「は、はい!」

ドオオオオオオオオオオオオオオン!!!

154: 2022/04/26(火) 23:51:55.89 ID:b92YD4iQ.net
果林「さあ、やったかしら!?」

姫乃「…あの、さっきのですけど、おおよそバトル向きとは思えないんですが」

果林「これだからいいのよ。見て」


ランジュ「ぐっ…はぁはぁ…」ガクッ

ランジュ「なによ、なんなのよぉ」


姫乃「ショウ・ランジュが…」

愛「膝を…ついたっ!あんなラップで!」

155: 2022/04/26(火) 23:52:57.84 ID:b92YD4iQ.net
果林「ランジュ、もうやめましょう」

果林「わかったでしょ?私たち個々の力はランジュに及ばないけど、二人ならこんなふざけたラップでもあなたにこれほどのダメージを与えられる」


ランジュ「まだよ…次はこっちのターン」

ランジュ「これで、アタシの勝ち!」

ランジュ「…………アタシの、勝ち…」

ランジュ「はあ…はあ…ラップすれば」

156: 2022/04/26(火) 23:56:28.37 ID:b92YD4iQ.net
姫乃「やはり手強いですね」

果林「いいえ、もう終わりよ」

果林「ランジュを見なさい」


ランジュ「見てなさい!これで、アタシの!」

ランジュ「…!」

ランジュ「……………」

ランジュ「……なに?これ……」

157: 2022/04/27(水) 00:01:33.84 ID:WjHRTzI0.net
ランジュ「ラップが…出てこない…」

ランジュ「……はあ…はあ…アタシ…は」

姫乃(異様な光景でした)

姫乃(ショウ・ランジュはラップをしようとしている、それはわかるのですが…)

ランジュ「なんでよ!…できるはずなのに」

ランジュ「…なんで!」

姫乃(何というか、口をぱくぱくさせたり、なんでどうしてと繰り返すだけで)

158: 2022/04/27(水) 00:02:16.56 ID:WjHRTzI0.net
愛「ランジュ?」

ランジュ「…………なんで…なの」

ランジュ「アタシ、勝たないとなのに」

ランジュ「ラップしないと、なのに…」

ランジュ「なんで……できないの?」

ザワザワザワザワザワ

愛「ランジュ?次はランジュのターンだよ?」

159: 2022/04/27(水) 00:05:27.76 ID:WjHRTzI0.net
ランジュ「ランジュの…ターン…」

ランジュ「そうよ、あと1回、あと1回でも攻撃できれば…勝てるの」

ランジュ「なのに…なんでなの…」


姫乃「ショウ・ランジュの様子が…」

姫乃「何かしたんですか?果林さん」

果林「何もしてないわよ。姫乃ちゃんだってそうでしょ?」

姫乃「はい」

160: 2022/04/27(水) 00:07:15.55 ID:WjHRTzI0.net
果林「あれが今のランジュの本当の姿なのよ」

果林「虚勢と嘘で塗り固めて、必氏に隠そうとしようとしてきたみたいだけど…」

果林「そんなのいつまでも持つわけない、ましてやここまでの私たち三人を見たらね」

姫乃「あのふざけたラップがクリティカルヒットですか」

姫乃「…ずっと気になっていたことがあるんです」

姫乃「多分それは果林さんとスイスが気づいたことに関係していて…」

姫乃「ショウ・ランジュがああなってしまったことの原因にも関係してるんじゃないかと私は考えてます」

161: 2022/04/27(水) 00:15:49.07 ID:WjHRTzI0.net
果林「そう…」

姫乃「果林さん、聞きたいことがあります」

果林「オーケー、答えるわ」

姫乃「果林さんは崩落事件の日のスイスとショウ・ランジュのバトルを見ていたんですよね」

果林「まあ、見てたわよ」

姫乃「何があったんですか?その時に」

果林「何…ね…うーんどう答えればいいのかしら」

162: 2022/04/27(水) 00:19:14.77 ID:WjHRTzI0.net
姫乃「すみません。でしたら、ポイントを絞って」

姫乃「その時、スイスは何をしましたか?」

果林「…さっきエマがやったのだいたい同じことよ」

果林「バトル相手はランジュだけだったけど、それ意外はラップした内容も攻撃方法もほぼ同じ」

果林「まあ、結果は少し違ったようだけど」

姫乃「R3BIRTH関連でショウ・ランジュに攻撃したってことですよね」

163: 2022/04/27(水) 00:24:06.48 ID:WjHRTzI0.net
姫乃「そこまではいけたんです。でも、そこから先がつながらないんです」

姫乃「R3BIRTHのことに触れたからってあんなことになりますかね」

果林「そうよね。あの時といい今といい、なんでランジュだけR3BIRTHネタで取り乱すのかしら?」

姫乃「…え?」

果林「どうしたの?」

姫乃「待ってください。ショウ・ランジュ"だけ"?」

果林「さっきだって栞子ちゃんとミアはそんなに気にしてなかったでしょ?」

164: 2022/04/27(水) 00:34:03.15 ID:WjHRTzI0.net
姫乃「それはつまり…えーっと」

姫乃「前のバトルの時にもいたんですか?栞子さんとミアさんが」

果林「いたはずよ?まあ、バトルに参加はしてないだろうけど、その場にいたのは本人たちから聞いたから間違いないわ」

果林「エマから聞いてると思ってたんだけど…ってエマはその時の記憶なくなってたのよね」

姫乃「たしかにスイスは記憶が欠落してましたけど、覚えていた部分の話からしてミアさんはともかく栞子さんがいるはずがないですよ」

166: 2022/04/27(水) 12:12:15.85 ID:/vrmUzEN.net
姫乃「スイスの話では早朝にショウ・ランジュの部屋が崩落、崩落してすぐ果林さんの部屋に行った。果林さんの部屋に行く時に栞子さんからショウ・ランジュに電話があった」

果林「そうよ」

姫乃「そして、果林さんの部屋での話からスイスとショウ・ランジュのバトル…」

姫乃「スイスの話ではバトルは30分くらい…だから一連の出来事は早朝、栞子さんとショウ・ランジュの電話から長くても40分程度で終わってるはずです」

果林「ん?んーーと」

姫乃「果林さん?」

果林「なんとなく姫乃ちゃんが何を勘違いしてるかわかってきたけど、続けてちょうだい」

167: 2022/04/27(水) 21:51:07.80 ID:WjHRTzI0.net
姫乃「事態が事態ですし、栞子さんは崩落事故の話をきいてからすぐにショウ・ランジュに電話をかけていると思うんです」

果林「まあ、そうよね。ランジュの部屋と知っていたかはともかく、下手をしたら生徒の命に関わる事故が起きたわけだし」

果林「栞子ちゃんなら、ほぼ崩落事故を知ったと同時にかけてるんじゃないかしら」

姫乃「電話をしてから出発したのか、出発しながら電話したのか、どちらにせよ栞子さんが出発してからバトル終了までは長くても40分程度」

姫乃「スイスの誕生日の翌日、日曜日の早朝に栞子さんが学生寮の近くにいるとは思えませんし、家にいたと考えるのが妥当だと思うんです」

168: 2022/04/27(水) 21:52:38.78 ID:WjHRTzI0.net
姫乃「栞子さんの家は別に学生寮の近くというわけでもないんですよね?」

果林「そうね。詳しくは知らないけど」

果林「それに多分、姫乃ちゃんの勘違いしてることに比べたら電話した時に栞子ちゃんがどこにいたかなんて些細な問題よ」

姫乃「仮にちょうどいい電車が走っていたり家族の方に送ってもらったとしても、崩落事故からバトル終了まで40分と少し」

姫乃「来ること自体は不可能ではないかもしれません。ですが、来たところで何か起こるほどの時間の猶予はないのでは?」

169: 2022/04/27(水) 21:55:32.49 ID:WjHRTzI0.net
姫乃「第一、スイスのバトル終了後の回想には栞子さんもミアさんもいませんでしたよ?」

姫乃「スイスの回想を信じるなら栞子さんやミアさんは……」


姫乃(そうは口にしたものの、私はやっと自分の思い込みに気づきました)

姫乃(そう…スイスは崩落事故があったのは早朝だとは言っていましたが)

姫乃(それから先、時間について語ったのはバトル開始から終了まで30分くらいということだけ)

姫乃(つまり…)

170: 2022/04/27(水) 21:58:15.68 ID:WjHRTzI0.net
姫乃「スイスに騙されました」

姫乃「…果林さん、もしかして崩落事故からバトルの終了まではかなりの時間があったのですか?」

果林「エマがどう言ってたかは知らないけど、私の部屋から出てバトルした時はもう昼くらいになってたわよ」

姫乃「少し、整理したいのでよろしいですか?」

姫乃(迂闊でした)

姫乃(あの回想は何回か切れていたんです)

姫乃(そして、致命的なまでの誤解を生んだ原因はここ)

171: 2022/04/27(水) 22:02:24.83 ID:WjHRTzI0.net
姫乃(ショウ・ランジュの部屋が崩落し、果林さんたちが寮から脱出した直後です)

=========
果林「エマ!ランジュ!ケガはない!?」

エマ「うん…大丈夫だよ」

ランジュ「アタシも…無問題ラ」

「何?すごい音しなかった?」

「うわああ、何あれ?」

果林「さすがに、このままってわけにもいかないわね」

♪ゴールデンタイ!ハージマルヨーカン!

ランジュ「あ、栞子から」

ランジュ「ハイ、ランジュよ。うん…そう…」

果林「一旦、私の部屋に行きましょう」

(中断)

〜果林の自室〜

ランジュ「うん…そうね、なんでかはわからないけど………うん、お願いするわ」

ランジュ「………」

ランジュ「アタシの、アタシの部屋が…」

果林「ランジュ…」

エマ「……」

エマ「ランジュちゃん、ごめんなさい!」

エマ「あのね、これは…」

========

姫乃(ここからスイスの自白を経てラップバトルになりました)

172: 2022/04/27(水) 22:04:59.76 ID:WjHRTzI0.net
姫乃(果林さんの部屋の部屋に行くと言った後の果林さんの部屋のシーン、どちらもショウ・ランジュが電話をしていた)

姫乃(だから、つながっていると思い込んでいました)

姫乃(ショウ・ランジュとの電話の後に栞子さんが、急いで学生寮まで来たところでこの話には関係ない)

姫乃(当たり前のようにそう思っていた)

173: 2022/04/27(水) 22:13:07.19 ID:WjHRTzI0.net
姫乃「バトルが終わったのは朝、だからミアさんはともかく栞子さんがいるはずないと思ってました」

姫乃「逆だったんです。早朝、崩落事故を知って電話をかけたのであれば、生徒会長でショウ・ランジュと関わりのある栞子さんが現場に来ないはずがない」

姫乃「そして、バトル前には昼になっていたなら、バトルに居合わせることだってできる。スイスがR3BIRTHのことに触れたのなら、栞子さんは真っ先に疑うべき関係者です」

姫乃(ああ、それに…今思い返せば二つの場面がノータイムでつながってたはずがないんですよ)

174: 2022/04/27(水) 22:16:26.44 ID:WjHRTzI0.net
姫乃(ショウ・ランジュが言ってたじゃないですか)

『でも、誰もケガしなかったし、アタシの部屋以外は無事』

姫乃(こんなの、時間が経ってなきゃわかりっこないんです)

姫乃「…スイスには後で思う存分文句を言うとして」

姫乃「いたんですね。栞子さんもミアさんも」

果林「いたわよ。私が証人」

175: 2022/04/27(水) 22:18:08.30 ID:WjHRTzI0.net
姫乃「おかげでつながってきました」

果林「それは良かったわ。ただ…」

果林「そろそろ時間みたいよ」


姫乃(もう、今となっては気の毒でしかないです)

姫乃(まだ全てがわかってはいないですが、少なくともショウ・ランジュは被害者なんですから)

姫乃(あの、悪辣外道たるスイスのやらかしに振り回された哀れな被害者なんですから)

176: 2022/04/28(木) 07:45:59 ID:oe8S8r2b.net
愛「ランジュ、ごめん…そろそろ時間切れになる」

愛「このままだとランジュの負けだよ」

ランジュ「ランジュの…負け…」

愛「時間切れってだけじゃない。今の両チームの状況からしても…」

ランジュ「残り人数が少ないこっちの負けでしょ、わかってる」

ランジュ「でも、出ないの…いつもはスラスラ出てくる言葉が、まったく…」



姫乃(ショウ・ランジュの異変に観客のどよめきが大きくなっていきます)

姫乃(その中には痛切な面持ちでステージを見守る同好会の方々もいました)

178: 2022/04/28(木) 23:00:15.35 ID:3J/s3oVy.net
姫乃「これからどうするんですか?」

果林「私たちにはどうしようもないと思う」

姫乃「私たちには、ですか…」

果林「薄情だなんて言わないでね」

姫乃「さっきの果林さんとの話で一連の出来事の鍵となるであろう人に見当はつきました」

姫乃「ただ、その人たちがここに来たとしてそれだけでどうにかなるとは思えないんですよね」

姫乃「スイスが忘れていた例のバトルとやらで何があったか知らないことには…お手上げだと思います」

179: 2022/04/28(木) 23:01:28.26 ID:3J/s3oVy.net
姫乃「果林さん、もう少し詳しく聞かせていただいてよろしいですか?」

果林「……」

姫乃「あの…」

果林「ごめんなさい。実は…」

果林「私ね、全部を見てはいないの」

姫乃「……え」

果林「というかその、ほとんど見てないのよ」

180: 2022/04/28(木) 23:04:23.05 ID:3J/s3oVy.net
果林「私が二人のバトルを見たのはもう終わりの方、お互いに息も絶え絶えでなんとかランジュがエマを倒したところ」

果林「ランジュ、最後の最後でフルパワー出したみたいなんだけどね、力加減ができなくて…」

姫乃「それでスイスの記憶が飛んだと」

姫乃(そう言われてみれば、果林さんはショウ・ランジュのラップについてほぼ初見のような反応でしたし…あの日のバトルを見てない方がしっくり来ますね)

果林「その、崩落事故とかあったじゃない?だから人が多くてエマたちとはぐれちゃって」

果林「だいたいの場所はきいてたから行こうとしたんだけど、色々あってほとんど終わりの方だったの」

181: 2022/04/28(木) 23:09:02.56 ID:3J/s3oVy.net
果林「ごめんなさい、こんな大事なところで」

姫乃「……あれ?」

姫乃「でも、果林さんは栞子さんとミアさんがいたのは知ってるんですよね」

果林「会ったのよ。エマとランジュがバトルしてるところに行く途中で」

果林「おかげで道を教えてもらえ…じゃなくて、まあとにかく二人のおかげでバトル終了に間に合ったの」

姫乃「よくわかりませんが……何やら大変なことがあったらしいというのはわかりました」

姫乃「ですが、困りましたね。果林さんが見ていないのだとしたらあとはスイスくらいしか」

182: 2022/04/28(木) 23:13:01.19 ID:3J/s3oVy.net
姫乃「もう脱落してから随分経つのに何をやっているのでしょうかスイスは」

果林「あら?目撃者ならまだいるわよ」

姫乃「…?どこにです?」

果林「いるでしょ?ステージにもう一人、全部見ていたのが」

姫乃「ステージにって…」

姫乃「あ…」

姫乃「いました。もう一人」

姫乃(全部見ていたとショウ・ランジュに話し、この大会を提案した目撃者が)

183: 2022/04/28(木) 23:14:02.42 ID:3J/s3oVy.net
果林「この際だから言っちゃうと、ここまで姫乃ちゃんに話したことってほぼ愛からのまた聞きなのよね」

果林「愛は全部見てたんじゃないかしらね」

姫乃「あ…あああ!」

姫乃(どこぞの漫画で衝撃走るというのがありましたが、まさにこういうことなんでしょう)

姫乃「果林さん、もしかしてなんですけど」

姫乃「愛さんはスイスとショウ・ランジュのバトルを見ていたから、この大会をチームバトルにしたのでは?」

184: 2022/04/28(木) 23:15:52.49 ID:3J/s3oVy.net
姫乃「そして、ソロの方が得意なはずのショウ・ランジュがチームバトルを承諾した理由も、今こうして苦しんでる理由も、愛さんは知っているのでは?」

果林「奇遇ね。私もそう思うの」

姫乃「だとしたら、話していただかないとですね。重要参考人さんに何があったかを」

果林「そうね、まあ、私からアドバイスするなら」

果林「愛は結構手強いけど、話さないといけなくなったらあっさり落ちるわよ」

果林「どう?いけそう?」

姫乃「どうでしょうね…」

185: 2022/04/28(木) 23:17:46.27 ID:3J/s3oVy.net
姫乃「それに全部わかったところで、この事態がどうにかなるとは思えません」

姫乃「私が観客だったらブーイングものですよ。どう考えてもこれはニジガクの内輪の事情なんですから」

姫乃「…………」

果林「どうしたの、黙って」

姫乃「ああ、そういうことですか。だからスイスは私を残そうとしたんですね」

姫乃「………内輪揉めを責めるなら、ニジガクの外部の人が適任ですから」

186: 2022/04/28(木) 23:22:23.29 ID:3J/s3oVy.net
果林「そう…それはひどい役回りね」

姫乃「はい、ですが虹ヶ咲にはお世話になってますから引き受けますよ」

姫乃「全力を尽くして、この吐き気を催すシナリオを終わらせてきます」

果林「ふふっ、ぜひとも終わらせて頂戴」

姫乃「では、いってきます」

果林「いってらっしゃい」

188: 2022/04/29(金) 18:47:07 ID:fc2Y3345.net
姫乃(さて、ここからどうしましょうか)

姫乃(まだ明らかになってない諸々は然るべき方々に話してもらうとして)

姫乃(正直な話、そんな御大層なドラマが裏にあるとは思えないんですよね)

姫乃(そんな取るに足らないであろう話を私はなんでここまでして引き出そうとしてるのか)

姫乃(まあ、考えるだけ無駄でしょう)

189: 2022/04/29(金) 18:47:49 ID:fc2Y3345.net
姫乃(ショウ・ランジュ、あなたはここまでとても頑張りました)

姫乃(ですが、あなたが抱えたものがあなたにとってどんな重大なものであっても私はそれをくだらないと笑い飛ばす自信があります)

姫乃(あなたの努力をと見当違いと切り捨てて、尊い覚悟も握り潰してあげます)

姫乃(まあ、なんというかニジガクらしいですよね。たったひとりの30分そこらで一喜一憂してここまでのおおごとにするのは)

姫乃(まあ、まずはここまでの答えあわせからいきましょうか)

190: 2022/04/29(金) 18:48:59 ID:fc2Y3345.net
ランジュ「………できるわ、アタシは…アタシは…」

姫乃「あら、どうしました?」

ランジュ「ヒメノ…」

ランジュ「何をしたの?さっきアタシが膝をついた時に」

姫乃「何もしてませんよ?私も果林さんも」

ランジュ「そんなはず…」

191: 2022/04/29(金) 18:51:03 ID:fc2Y3345.net
姫乃「そんなことよりさっさとはじめてくださいよ」

姫乃「あなた、これがバトルだってこと忘れてませんか?」


ランジュ「あら?いいのかしら?ランジュが本気を出せばあなたたちなんて一撃」

姫乃「その本気とやらを出せるなら出していただきたいですね」

姫乃「こんな退屈な待ち時間を過ごすよりもさっさとバトルを終わらせてネットでレスバでもしてた方がまだ有意義ですよ」

ランジュ「………なに、言ってるの」

姫乃「まあ、私も果林さんもダメージは大きい」

192: 2022/04/29(金) 18:52:19 ID:fc2Y3345.net
姫乃「どうやらあなたの力は弱くなってるようですが、それでも桁違い。あと何回かでもあなたのターンが来れば、あなたは勝てるでしょう」

姫乃「チーム戦でありながら、ソロで戦ったあなたの勝ちです」

ランジュ「……」

姫乃「大したものですよ。たった一人でこの戦いを勝利したなんて」

ランジュ「たった、一人で…」

姫乃「そうでしょう?この決勝戦、実質あなただけの力で戦ってるんですよ?私たち3人を相手に」

193: 2022/04/29(金) 18:53:07 ID:fc2Y3345.net
姫乃「お仲間さん二人はずいぶんとカッコ良く退場しましたが、そのおかげであなたの活躍が際立ちましたね」

愛「えっと、姫乃ちゃん!これはラップバトルだから…」

姫乃「そうでしたね。と言ってもこのまま待つのも退屈ですし」

姫乃「そうです!この雑談タイムは試合時間のカウント外としましょう。それならば問題はないですよね」

愛「カウント外…」

姫乃「どうでしょう?」

194: 2022/04/29(金) 18:56:38 ID:fc2Y3345.net
愛「んー、その雑談タイムとやらは何のためにやるのかな?」

姫乃「このトラブルで混乱してる方も多いですし、落ち着いていただくためというのは?」

愛「ま、いっか。うん、許可するよ」

愛「ランジュがラップし始めたら雑談タイムは強制終了、愛さんが雑談とか意味なくね?って思っても強制終了」

愛「そこらへんの匙加減は愛さん次第、雑談タイムはランジュのターンでカウントストップ、ってことでいいよね」

姫乃「はい、それでいいです」

愛「お願いするよ。姫乃ちゃん」

姫乃「ありがとうございます」

195: 2022/04/29(金) 18:58:04 ID:fc2Y3345.net
姫乃「さて、せっかく許可も降りたのですが」

姫乃「ラップします?ショウ・ランジュ」

ランジュ「……できるものなら、したいわよ」

ランジュ「だけど、言葉がでてこないの」

姫乃「では、雑談ということで」

姫乃「スイス…あ、エマ・ヴェルデさんのことなんですけど」

姫乃「彼女に話を聞いた時、おかしいなとは思ったんですよ」

196: 2022/04/29(金) 18:59:05 ID:fc2Y3345.net
姫乃「まあ、スイスには記憶が欠落してる箇所もありましたし、いきなり時間を飛ばすなどというガバガバ回想をされたことは一旦置きましょう」

姫乃「ニジガクなら普通なのかもしれないんですが…私に勝ちたいのが目的ならここまでする必要はないんですよね」

姫乃「私とバトルして勝ちたいなら、こんな回りくどいことをしないで藤黄に来て私にバトルを挑めばよかったんです」

姫乃「しかし、あなたは愛さんの企画を飲んだ」

姫乃「それもあなたの最も力を発揮できるソロではなく、チームでバトルする企画を」

197: 2022/04/29(金) 18:59:57 ID:fc2Y3345.net
ランジュ「それは愛がヒメノと最高を超えたバトルをさせてくれるって…」

姫乃「いえ、違うと思いますよ」

姫乃「というか、愛さんが原因ではないですよね?」

姫乃「あなたにここまでのことをさせたきっかけは、別のところにあったと私は考えてます」

姫乃「そもそもこのイベントの目的なんですが…」

姫乃「本当に私と戦うためだったのかなって」

198: 2022/04/29(金) 19:02:19 ID:fc2Y3345.net
愛「えーっと、ちょっといいいかな?」

愛「本当に、ちょっとだけだからさ」


姫乃(そうしますよね。だって、多分…)

姫乃(この先を言われたら愛さんが一番困りますからね)

姫乃(嘘の企画で人を集めたことになるわけですし)

姫乃「止めるんですね」

愛「そうじゃない。別に雑談をするのは構わないんだけど、企画の意図を否定されちゃかなわない」

199: 2022/04/29(金) 19:03:44 ID:fc2Y3345.net
愛「それぞれが刺激しあうことで力を高め合っていき、ランジュと姫乃ちゃんがぶつかる」

愛「そこからはじまった企画だって、エマっちも話したはずだよ」

愛「まあ、他の人を呼ぶ以上は優勝が別のチームになる可能性はあったけど、そうなったらエキシビジョンでランジュたちと姫乃ちゃんたちをバトルさせる構想もあった」

愛「これは紛れもなく、ランジュと姫乃ちゃんにバトルをさせるための企画だよ」

姫乃「そうでしょうか?」

姫乃「ショウ・ランジュが私とバトルしたいというのは1対1の話ですよね?

姫乃「現にその前のスイスとのバトルは1対1だったわけですし」

200: 2022/04/29(金) 19:06:00 ID:fc2Y3345.net
姫乃「刺激し合う、などとそれっぽい言葉を使ってますが、それはソロでのバトルイベントでも可能ですよ」

姫乃「それにら初めの段階でチームバトルになってたのはなんでなのかなと」

愛「あー、愛さんさ、ここ数ヶ月チームバトルにはまっててさ…どうせイベントやるならチームがいいかなって」

姫乃「愛さんがそうなら、まあ愛さん視点では問題ないんですが」

姫乃「でもね、おかしいのはそこではない」

201: 2022/04/29(金) 19:08:41 ID:fc2Y3345.net
姫乃「それらに対してショウ・ランジュは言われた初めの段階でむしろ受け入れているんです」

姫乃「人を集めてトーナメントをすれば本来の目的とは違うバトルが増える、その途中でショウ・ランジュ…はまあ無いとして私が消耗するかもしれない」

姫乃「私と戦うことを目的ととしたら何ヶ月もかけたわりにガバガバな想定です」

姫乃「スイスと1対1で戦い、私と1対1で戦うつもりだったことになっているのに、ショウ・ランジュは目的遂行にそぐわないイベントを喜んでいた」

愛「そんなにそぐわないかな?」

姫乃「はい、だってこの企画のゴールにあるのは私たちのチームとランジュのチームのバトルですよ」

202: 2022/04/29(金) 19:18:22 ID:fc2Y3345.net
姫乃「こう言っては何なのですが、互いのチームの残り2名は必要ですかね?」

姫乃「私とショウ・ランジュの戦いにはノイズでしかないと思いますよ」

姫乃「そんなのをなぜショウ・ランジュが許したか、私は不思議でなりません」

愛「ははっ、まあそこはさ、愛さんの要望にランジュが折れたというか」

愛「だよね、ランジュ?」

ランジュ「そうよ。アタシもソロの方がいいとはおもった。人数だって少なくしたかったわ」

203: 2022/04/29(金) 19:20:03 ID:fc2Y3345.net
ランジュ「エマたちの前では喜んだけど、愛と話をしたときにそこは指摘したわ。でも愛の話を聞いて考え直したの」

姫乃「そうですか、愛さんは頑張ったんですね説得を」

姫乃「…もしかしたら、意見の対立から企画自体が決裂してしまうかもしれないのに」

愛「……あ」

姫乃「そうなんですよ。スイスから聞いた愛さんの本当の目的を考えたら、愛さんがショウ・ランジュと対立するメリットなんてないんです」

204: 2022/04/29(金) 19:21:18 ID:fc2Y3345.net
姫乃(ランジュの意見を適度に取り入れつつ、開催時期を延ばせば藤黄にショウ・ランジュが来るのは止められるんです)

姫乃(ソロイベントをなるべく少人数で行うイベントにしたいとショウ・ランジュが言ったなら愛さんはそれを取り入れておくはずなんです)

愛「本当の目的か…ははっ、まあそうだよね」

愛「にしてもガバガバ企画か、姫乃ちゃんは厳しいなあ」

姫乃「あ、いえ、ガバガバ企画と言ったのはあくまでも私とのバトルが目的だった場合です」

姫乃「もし、このイベントの目的が私の思い当たるものなら、理にかなった良い企画だと思います」

205: 2022/04/29(金) 19:22:10 ID:fc2Y3345.net
姫乃「いくつものチームを集めることでチームの多様性をショウ・ランジュに見せ、ショウ・ランジュ自身がチームでバトルする機会を何度も用意する」

姫乃「"私のチーム"とバトルする機会もちゃんと用意する」

姫乃「まるでこのイベントは…」

愛「ストップ!そこまでにして」

姫乃「まだ、なにか反論が?」

愛「違うよ。このイベントの企画をしたのはさ…宮下愛、私なんだ」

206: 2022/04/29(金) 19:23:30 ID:fc2Y3345.net
愛「だからせめてさ、このイベントの本当の目的くらいは愛さんに言わせてほしいかな」

ランジュ「愛、あなた…」

愛「さすがにもう隠せないよ。それに、愛さん的にはバラす機会が来て好都合ですらある」

愛「そうだよ。このイベントはランジュと姫乃ちゃんのためのイベントじゃない」

愛「ランジュとしおってぃーとミアち3人のためのイベントだよ」

207: 2022/04/29(金) 19:34:35 ID:fc2Y3345.net
姫乃「そうですか、やはり3人のためですか」

愛「うん、3人のためだよ」

愛「で、姫乃ちゃんはどこまで知ってるのかな」

愛「全部は知らないよね?だから愛さんに話してほしいことがあるんじゃないかな」

姫乃「ショウ・ランジュの部屋崩落事故があった日に行ったスイスとランジュのバトルで何ががあったということは知ってます」

姫乃「ただ、何があったかまでは」

208: 2022/04/30(土) 14:41:17.12 ID:IM+HHU20.net
愛「なるほどね、カリンはあいかわらず道に迷って見てなかったみたいだし、エマっちは記憶戻ったのにリタイアしちゃったし」

愛「愛さんが話すしかなさそうだね」

愛「ランジュ、もういいよね?話しちゃうよ」

ランジュ「…好きになさい」


愛「じゃあ、好きにさせてもらうよ」

愛「あ、そうだランジュ」

209: 2022/04/30(土) 14:44:25.44 ID:IM+HHU20.net
ランジュ「なに?」

愛「愛さん的にはね、あの日のバトルであったことってそこまで気にするようなもんじゃないと思うよ?」

愛「このイベントでそれを伝えたかったんだけど、どうもうまくいかなかったみたいで残念だよ」

愛「では、今明かされる衝撃の事実!」

愛「…なんてね、本当に大したことじゃないんだ」

愛「あの日、学生寮で事故が起こったって聞いて愛さんは学生寮に行ったんだ」

愛「学生寮に着いた時にはもうお昼だった」

210: 2022/04/30(土) 14:51:30.00 ID:IM+HHU20.net
〜回想〜
〜2月6日・昼・学生寮付近〜

ザワザワザワザワ

愛「おー、こりゃ見事にランジュのとこだけいかれちゃってるね」

愛「昨日エマっちの誕生日で姫乃ちゃんが来てたらしいけど…まさかね…」

愛「………」

愛「んー、とりあえず1枚撮っとくか」カシャ

愛「さてと、これからどうしよう」

211: 2022/04/30(土) 14:53:22.44 ID:IM+HHU20.net
栞子「そうですか、ランジュには心あたりがないと」

栞子「新しい部屋が見つかったようですので、とりあえずはそちらの部屋に移動してください」

栞子「転居の手続きは私の方でしておきますので」ピッ

栞子「はぁ〜」

栞子「ランジュのしわざではないとすると、姉さん?いやまさか…」

愛「お仕事お疲れしおってぃー」

栞子「愛さん、まったく…ランジュには手を焼かせされます」

212: 2022/04/30(土) 15:01:30.04 ID:IM+HHU20.net
栞子「愛さん、まったく…ランジュには手を焼かせされます」

愛「とかなんとか言って、心配でいてもたってもいられなかったんじゃない?」

栞子「心配はしていましたが、それはランジュというよりランジュの巻き添えになる人に対してです」

ミア「あー、それはちょっと違うよ」

ミア「今回に関しては巻き込まれたのはランジュの方かな」

愛「おー、ミアち」

213: 2022/04/30(土) 15:11:30 ID:IM+HHU20.net
ミア「まったく…おちおち寝てもいられない」

栞子「何か知ってるんですか?ミア」

ミア「昨日の夜なんだけどさ、ちょっと曲作りの合間に散歩がてら外を歩いてたんだよ」

ミア「そしたらエマと誰かがバトルしてたのさ」

ミア「で、その結果がこれってとこかな」

214: 2022/04/30(土) 15:12:18 ID:IM+HHU20.net
ミア「ドッカンドッカンひどかったよ。なんだいあの下品なバトルは?」

ミア「耳に染み付いてしばらく曲作りはおろか眠ることさえできなかった。なんとか寝て起きたらこんな時間。エマには後でクレームを入れておくよ」

愛「あー…ってことはこれはやっぱり」

栞子「……まさかの、エマさんでしたか」

愛「あらら」

215: 2022/04/30(土) 22:31:59.25 ID:IM+HHU20.net
「ねーねー、バトルはじまるみたい」

「エマさんとランジュちゃんだって」


栞子「バトル?ランジュが?」

栞子「…ちょっと、行ってきます」

ミア「あ、待てって!」

ミア「あー!もう、揃いも揃って」



愛「………」

愛「んー、これは愛さんも行った方が良さげか」

216: 2022/04/30(土) 22:33:42.59 ID:IM+HHU20.net
〜学生寮付近〜

愛「さて…来たはいいんだけど」

ザワザワザワザワザワ

キャーキャーキャー

愛「これは、出遅れたなー」

愛「こっからだとまともに見れそうもないし…そうだ!」

217: 2022/04/30(土) 22:36:02.81 ID:IM+HHU20.net
愛(よいしょっと、誰の部屋か知らないけどちょっくらベランダ入らせてもらうよ…そして)

愛「りなりー特製集音器『ききとるくーん』(ダミ声)」

愛(ふふふ、これはただの集音器じゃないのさ、マイクは軍にも使用されるほどの高性能指向性マイク、そして録音機能付き、録音は最長6時間可能でWi-Fi経由で愛さんの自宅のネットワーク対応ハードディスクへの送信も可能なのだ)

愛「さらに、りなりー特製眼鏡『みえーるくーん』(ダミ声)」

愛(こっちはぱっと見はただの眼鏡だけど拡大機能付きなのさ、さらに録画機能付きでこちらは最長1時間録画!赤外線フィルター(あくまでも夜間使用のため)は却下されたが…粘りに粘ってサーモフィルターは搭載してもらった!)

218: 2022/04/30(土) 22:37:12.10 ID:IM+HHU20.net
愛(なんでこんなものを持ち歩いているかは秘密さ!だが、断じて不純な目的でないことは言わせてもらいたい)

愛「さてと、ではでは」


ランジュ「さあ、アタシの力はどう?エマ!?」

エマ「はあはあ…」

エマ「まさか、ここまでやるとはね」

愛(おし、良好良好)

220: 2022/05/01(日) 10:54:59.50 ID:sWvKYaJ0.net
ランジュ「やっぱり、アタシは最強ね!」

エマ「こうなったら、やり方は選んでられないよね」

エマ「…………ふぅ」

エマ(低音)「……ちょっとばかり痛い目見てもらおうか」ゴゴゴゴゴ…

ランジュ「好、まだ力を隠してたのねエマ!」

221: 2022/05/01(日) 10:55:29.88 ID:sWvKYaJ0.net
エマ(低音)「まあ…私もランジュちゃんには言いたいことあったし……」

エマ(低音)「むごたらしく潰してあげるよ、シラミの親玉ちゃん」

ランジュ「ふふっ、そういうエマも素敵よ」

エマ(低音)「残念だなー、ランジュちゃんとは仲良くできそうだったのに」

エマ(低音)「いっくよー、遺灰はオダイバの海に雑に撒いてあげるねー」

222: 2022/05/01(日) 10:56:14.18 ID:sWvKYaJ0.net
【エマ(低音)】
アイドル9人と一人の後輩
みんなで作った同好会
後から現れ活動妨害
害虫シラミに吐きそうだい

ゲロ以下の匂いぷんぷんしてる
みんなも本音はぷんぷんしてる
モンスター倒そう潰せダンジョン
ゲロR3BIRTHは許せないよ

223: 2022/05/01(日) 10:57:15.77 ID:sWvKYaJ0.net
愛(………うわー)

愛(そこ触れるんだ…エマっち容赦ないね)


ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

エマ「ははははははははっ!!」

ランジュ「勝つためには手段を選ばないってことね」

224: 2022/05/01(日) 10:59:16.43 ID:sWvKYaJ0.net
栞子「なにやってるんです!ランジュ」

ミア「おい、話きけって栞子!」

ランジュ「あ、栞子!あのね、アタシとエマでバトルしてるのよ」

エマ(低音)「バトル中におしゃべりとは余裕だね」

ゴゴゴゴゴ…

栞子「え……」

ミア「what?」

225: 2022/05/01(日) 11:01:25.67 ID:sWvKYaJ0.net
エマ(低音)「あれ…」

エマ「これ、もしかして…」

ランジュ「させないわよ!!」

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

愛「ランジュ…!」

シュウウウウウウ……


ランジュ「ぐっ………はあ……はあ……」

226: 2022/05/01(日) 11:03:16.80 ID:sWvKYaJ0.net
栞子「ランジュ、あなた…」

ミア「おい、ランジュ…」

ランジュ「二人とも大丈夫よね?」

栞子「私はなんとも…」

ミア「ボクも、でもそれって………」

エマ「ランジュちゃんが二人の盾になって、全部受け止めたの?」

ランジュ「何を驚いてるの?これはエマとアタシのバトル……でしょ?」

227: 2022/05/01(日) 11:05:19.35 ID:sWvKYaJ0.net
エマ「ごめん、まさか栞子ちゃんとミアちゃんを巻き込んじゃうなんて」

エマ「またいつかやり直そう。こんなので決着をつけたらダメだよ」

ランジュ「何を言ってるのかしら?こんなの平気よ」

ランジュ「なんだったら…このまま栞子とミアを守ったままでも…アタシが勝つわよ」

ランジュ「さあ…バトル続行…よ!!」

228: 2022/05/01(日) 11:14:12 ID:sWvKYaJ0.net
ランジュ「さあ…バトル続行…よ!!」

栞子「…まともにガードすらできない状態で受けたそんなダメージを引きずってですか?」

ランジュ「ええ…あなたたち二人がいても、アタシは勝ってみせるわ」

ミア「どう見たって今のは想定外のアクシデントなんだ。エマだってやり直しでいいと言ってるんだぞ」

ランジュ「アタシの強さはよく知ってるでしょ?やり直してもこのままでもアタシの勝ちよ」

ランジュ「見ててよ!アタシここから余裕で勝つから!」

229: 2022/05/01(日) 11:15:12 ID:sWvKYaJ0.net
栞子「……ミア、この場を離れましょう」

栞子「この場に私たちがいてはいけない」

ミア「ああ、そのようだ」

ランジュ「…どういうこと?」

ランジュ「アタシ、二人がいても勝てるって言ったのよ?なんで、ここを離れるの?」

栞子「それが最善と判断したからです」

栞子「ランジュが勝利を望むなら私たちはいない方がいい」

230: 2022/05/01(日) 11:16:14 ID:sWvKYaJ0.net
ミア「この一撃を見てもエマの力は強大だ。ボクたちをかばいながら勝てる相手じゃない」

ミア「だからボクたちは去る、簡単なロジックだ」

ランジュ「…なによ」

ランジュ「アタシの言ってること信じられないの?」

ランジュ「信じてよ、アタシはこのままだって勝てるんだから」

栞子「行きますよ、ミア」

ミア「ちゃんと勝てよランジュ」

231: 2022/05/01(日) 11:16:45 ID:sWvKYaJ0.net
ランジュ「なによ、なによぉ…」

ランジュ「どうして、信じてくれないの」

エマ「…」

ランジュ「バトル再開よ。アタシは勝たないといけないみたいだから」

エマ「うん、そうだね…」

232: 2022/05/01(日) 11:25:34.45 ID:sWvKYaJ0.net
〜回想終了〜

愛「で、バトル再開、ランジュは苦戦しながらも最後の最後にフルパワーを出してエマっちに勝ちました」

愛「あまりのパワーにエマっちの記憶が消えるというおまけつきでね」

愛「そこから先は知ってるだろうからいいよね」

姫乃「情報提供ありがとうございます…」

姫乃(完全にスイスのやらかしじゃないですか)

233: 2022/05/01(日) 15:46:23.69 ID:sWvKYaJ0.net
愛「おっ、ふむふむ」

愛「ん?あー、そういうことか」

姫乃「あの、いきなりスマホを取り出して何を?」

愛「ちょっと、耳貸してくんない?」

姫乃「はい…」

愛『エマっちから朗報だよ。リアイアしたしおってぃーとミアち』

愛『復活してこっちに向かってるって』

愛『バトルの状況がわかるように、3人にはこの会場の音声が聞こえるイヤモニを装着してもらってるよ』

234: 2022/05/01(日) 15:48:13.66 ID:sWvKYaJ0.net
愛「ってことなんで、よろしく!」

姫乃「そうですか…スイスが関わると事態が悪化するだけとしか思えませんが」

愛「まあまあ、エマっちだって悪気はなかったんだろうし、せめてもの罪滅ぼしってことで」

姫乃「悪気がないのにここまでできるのは才能ですね」

愛「だからもう、時間稼ぎは必要ないよね。私も姫乃ちゃんもさ」

姫乃「愛さん…あなたは」

235: 2022/05/01(日) 15:49:35.91 ID:sWvKYaJ0.net
愛「うん、姫乃ちゃんと一緒だよ。愛さんもね、あの二人が戻って来るまでなんとしてもこのバトルを続けたかった」

愛「わざわざイベントまで企画したんだ。絶対に成功させないとだぞってね」

姫乃「ええ、そうですね。成功させましょう」

姫乃(ここからが本番、ピースはあと少しで全て揃う。そして…ここからが綾小路姫乃の本領発揮です)

姫乃(覚悟してくださいね。ショウ・ランジュ!)

236: 2022/05/01(日) 15:51:33.21 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃「……ふう」

姫乃「さて、そろそろ雑談の再開です」

姫乃「今の話は事実ってことでよろしいですよね?ショウ・ランジュ」

ランジュ「ええ、そうね」

姫乃「あなたはこの後、愛さんが提案したチームバトルにどういうわけか乗り気だったわけですが」

姫乃「ここまで聞けば誰だってその理由がわかります」

姫乃「"チームバトルでもよかった"んじゃない、互いに高め合うなんて口上は最初から聞いていない」

237: 2022/05/01(日) 15:52:51.74 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃「チームバトルだから、あなたは愛さんの提案に乗ったんですよね」

姫乃「栞子さんとミアさんがいても、その二人のダメージをあなたがすべて引き受けたとしても、ショウ・ランジュは勝てるんだと証明するために」

ランジュ「そうよ、だから何?」

姫乃「そうですね…なんと言いますか…」

姫乃「もの凄く下らなくて馬鹿馬鹿しい、心の底からどうでもいいって思います」

ランジュ「は?」

姫乃「こんな寒い理由でよくもまあここまでしたなって逆に感心します」

238: 2022/05/01(日) 15:59:01.73 ID:sWvKYaJ0.net
ランジュ「あのね、アタシは…」

姫乃「お友達に自分の力を信じてもらえなくて悲しかった。お友達に自分の力を見せつけてすごいって認めてほしかった…要はそういうことでしょう?」

姫乃「それを栞子さんとミアさんに直接言うでもなく、私と戦うためだなんて嘘で隠してイベント開催とか」

姫乃「私も、このイベントのために集まった人も、イベントの実行に協力した人も、いい迷惑ですよ」

姫乃「しかも、その結果!見せつけるお友達が最後にはいなくて、ラップひとつまともにできない醜態を晒している……」

239: 2022/05/01(日) 16:00:19.93 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃「傑作ですよ、ショウ・ランジュ!くだらない動機にはこのようなくだらない結末がお似合いです!」

ランジュ「…アタシの気持ちも知らないで、好き勝手言わないでよ」

姫乃「好き勝手したのはどちらですかね?」

ランジュ「呣?」

姫乃「この大会はチームバトルだったんですよ?それはわかってますよね?」

ランジュ「わかってるわよ」

姫乃「あなたは、果たしてチームで戦っていましたかね?」

240: 2022/05/01(日) 16:01:44.13 ID:sWvKYaJ0.net
ランジュ「……」

姫乃「あなた…もう薄々気づいてるんじゃないですか?」

姫乃「このイベントでのあなたチームのバトル結果は、"みんな避けて棄権しちゃうか、三人まとめて一撃で終わっちゃうか"だったみたいですが」

姫乃「一応、確認しますね…これだとショウ・ランジュ、あなただけラップして終わりだったんじゃないですか?」

ランジュ「………」

ランジュ「そうよ。先攻にしろ後攻にしろ、アタシのチームのターンになったらアタシがラップして終わり」

241: 2022/05/01(日) 16:03:35.01 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃「でしょうね。あなたは自分の力を見せつけるためにイベントを始めたんですから、可能な限り自分がラップできるようにするでしょう」

姫乃「…だけど、それってチームで戦ってるんですか?」

姫乃「ターンが来たらあなたがラップして終わり、他の二人は何もしない」

姫乃「そんなの一人で戦ってるのと同じですよ。決勝戦だけじゃない、あなたはずっと一人で戦ってるのを見せつけてただけなんです」

姫乃「ずーーーーーっと、一対三のバトルを見せつけてたんです」

姫乃「私と戦うため、なんていう嘘をついて栞子さんとミアさんをステージに上げてね」

242: 2022/05/01(日) 16:04:44.98 ID:sWvKYaJ0.net
ランジュ「それがなんなのよ?」

姫乃「いや、あまりにも滑稽だなって」

姫乃「考えなかったんですか?栞子さんとミアさんがそれを見てどう思うか」

ランジュ「栞子とミアがどう思うか…?」

姫乃「私と戦うためといって誘われて、いざイベントが始まればあなた一人でバトルをしているだけ」

姫乃「思いますよね。『あ、ランジュは一人で戦いたかったんだ。私たちは人数あわせなんだ』と」

243: 2022/05/01(日) 16:05:52.86 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃「そして、迎えた決勝戦…強敵スイスがR3BIRTHを攻撃した」

姫乃「このイベントは私とあなたが万全に戦うためのイベントであると聞かされていた二人は…」

ランジュ「!!」

姫乃「あなたのために、"最善の行動"をした」

ランジュ「あ、ああ…」

姫乃「ふふ…笑っちゃいますよ。本当に、本当に…」

姫乃「良かったですねえええ!おかげであなたはダメージを受けなくてもよくなった…あのスイスとのバトルとは大違い!!!」

244: 2022/05/01(日) 16:07:53.21 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃「あのまま二人を見捨てて逃げればあなたは無傷だったんですよ?なんで逃げなかったんですか、お二人の厚意を無駄にしちゃダメですよ」

姫乃「"私と戦うために"2ヶ月もかけたんですから」

ランジュ「……」

姫乃「ま、実際は最善どころか最悪の行動だったわけです。あなたが勝つところを見てほしかった人はいなくなりましたし」

姫乃「勝ったところで、あなたはお二人を犠牲にしなければ勝てなかったショウ・ランジュです」

姫乃「そんなの嫌ですよね。お二人のダメージまで背負ってスイスに勝ったあの日が無駄になる」

245: 2022/05/01(日) 16:09:41.33 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃「あの日、見てもらえなかった姿をあなたは見てもらいたかったのに、これはあまりにも残酷です」

ランジュ「………」

姫乃「せめて、バトルに勝とうと奮起したものの目的を失ったあなたにはそれも空虚」

姫乃「さらに目の前では私と果林さんの超絶即興コンビネーションまで繰り広げられた」

姫乃「ラップできない?まあ、無理もないかなって思います」

姫乃「勝ったところで栞子さんもミアさんも見ていない。もう、あなた自身が勝つことの意味を見失っているのですから」

246: 2022/05/01(日) 16:17:21.83 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃「私のことが気に入らないなら反論なり誹謗中傷なり、ラップなり好きにどうぞ」

姫乃「あ、でもラップして私と果林さんが倒れたらあなたの勝ちになってしまうので気をつけてくださいね」

姫乃「チームメンバーを人柱にしてようやく勝ちに漕ぎ着けた、ソロプレイがお得意なショウ・ランジュ…なんて栞子さんとミアさんに思われたくはないでしょう」

ランジュ「……」

姫乃「まあ、無理でしょうね。ラップはおろか、今のあなたは私と口論すら無理です」

姫乃(こう言っちゃなんですが、自分に非があると認めたまま誤魔化してレスバできるほど器用じゃなさそうですからね)

247: 2022/05/01(日) 16:41:54.35 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃「ショウ・ランジュ…これはあなた自身が招いた結末です」

ランジュ「アタシの…なにが、なにがいけなかったのよ!」

ランジュ「どこで、間違えたっていうのよ!」

姫乃「あえて言わせてもらうなら最初からですよ」

ランジュ「最初から?」

姫乃「もう少し具体的な回答をするなら」

姫乃「ショウ・ランジュにチームなんか必要なかったんです」

248: 2022/05/01(日) 16:42:57.56 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃「あなたの頭の中にあるのはあなた一人だけだ。栞子さんとミアさんはあなたの力を証明するための存在でしかない」

ランジュ「そんなこと…」

姫乃「一人きりで勝って、栞子さんミアさんには観客席から自分を褒め称える置き物になってもらう、それを肯定すればよかったんです」

姫乃「だって、そうでしょ?R3BIRTHというチームにさえならなければ、栞子さんとミアさんに危害が及ぶことはなかった」

ランジュ「……」

姫乃(ああ…今の私、最低ですね)

249: 2022/05/01(日) 16:45:41.24 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃(こんなことなら、藤黄のみんなに客席にいてなんていうんじゃなかった)

姫乃「だから、間違えたのがどこからと聞かれたらチームを組んだ時点からなんですが…」

姫乃「そこからなんとかなる道もあったんじゃないかと思います」

姫乃「仮にチームとしてのあり方に目を向けて、メンバーお二人と協力しあうことができればあるいは変われたのかもしれない」

姫乃「…でも、あなたはどうでした?」

姫乃「自分の限界から目を逸らして、楽な勝ち方を選んだだけじゃないですか」

250: 2022/05/01(日) 16:53:14.27 ID:sWvKYaJ0.net
ランジュ「楽な、勝ち方?」

姫乃「たとえ一人だけの時よりもやりにくくても、お二人とともに新しい道を模索する道もあっただろうに」

姫乃「今日あなたがやったことはあなたひとりで相手を蹴散らしただけ」

姫乃「ソロプレイでどんなに桁違いな力を発揮しようと、あなたはそこまでなんですよ」

姫乃「チーム戦であっても、お得意のソロプレイで勝つしかない、それがあなたの限界です」

姫乃「同じニジガクメンバーの果林さんとスイスは、他の学校の私とでさえチームとして戦っているのにあなたはチームから目を逸らした」

251: 2022/05/01(日) 16:55:19.44 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃「いえ、そもそも…チームですらなかった」

姫乃「アタシの最強のチーム?笑わせないでください」

姫乃「そんなものどこにもありはしない!」

姫乃「最悪のチームですよ。あなたのちっぽけな自尊心を満たすためにわざわざステージに上げられる栞子さんとミアさんには同情すら覚えます」

姫乃「あなたのためにお二人が感動の退場をしようとした時に言ってあげればよかったではないですか」

252: 2022/05/01(日) 17:00:26.55 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃「今日のイベントはあなたたちにアタシの力を見せつけるためのイベントで、姫乃とのバトルなんてどうでもいい」

姫乃「だから、大人しくなにもせずに立っていろ、ステージに立っていればそれでいい、そう言ってあげればこんなことにはならなかったのに」

ランジュ「……うっ、ぐぅ…」

姫乃「おや?あれだけアタシは強いだの迷いはないだのおっしゃっていたのに…」

ランジュ「ぐ…ゔっ…はあはあ」

姫乃「随分と苦しそうじゃないですか。もしかして精神的にきちゃってます?」

253: 2022/05/01(日) 17:01:28.12 ID:sWvKYaJ0.net
ランジュ「そんなわけない…でしょ」

姫乃「…そうですね。素人が決めつけてはいけないですね。きっと、体調が悪いんですね」

姫乃「だめですよ、大切なイベントの日なんですから、体調管理はしっかりしないと」

姫乃「あ、それと…」

姫乃「間違ってもこんなところで吐かないでくださいね」

ランジュ「……なに言ってるの?」

254: 2022/05/01(日) 17:03:00.48 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃「私、あなたたちのゲロ以下のお友達ごっこにはもう吐き気がしてるんです」

姫乃「それなのにここで吐かれたら、果林さんの前でもらいゲロしちゃうかもしれないじゃないですか?」

姫乃「本当…なにから何まで…気持ち悪いです」

姫乃「…あ、だからそういうチーム名なんですね!」

姫乃「お似合いですよ。3人そろって吐瀉物まみれのゲロR3BIRTHさん!!」

ランジュ「あなた…言わせて、おけば……」

255: 2022/05/01(日) 17:03:57.19 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃「それともあっちの方がいいですかね、ほら…スイスも使ってた…」

姫乃「虹ヶ咲の害虫、シラミ三人組さん?」

ランジュ「やめなさいよ…!アタシのことはともかく」

ランジュ「栞子とミアまでゲロとか害虫とか」

姫乃「なら、そのお気持ちをラップでどうぞ」

ランジュ「……ぐっ」

256: 2022/05/01(日) 17:05:54.13 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃「……」

姫乃(…正直にいいます)

姫乃(みなさんの視線が痛いです…特にニジガクの方々の視線と)

美咲etc.「………」

姫乃(藤黄のみなさんの視線が)

ランジュ「なによ…」

ランジュ「なによ゛…ぉ゛…」

257: 2022/05/01(日) 17:07:19.71 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃(なんといいますか、このショウ・ランジュという女、思った以上に素直で叩くと予想以上に響いてくれるんですよね)

姫乃(自信満々な様子からの落差も相まって歯止めが効かなくなりそうです)

姫乃(確実にそっち方面の適性があります!)

姫乃(とはいえ、潰れられてはかなわないのでこの辺にしておきますか)

姫乃「これ以上は時間の無駄ですね。もうあなたを糾弾するのすら馬鹿馬鹿しい」

ランジュ「……わ゛かっ゛たわ゛よ」

258: 2022/05/01(日) 17:09:04.54 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃(ん?)

ランジュ「ア゛タシ゛の…負…ぅゔっ!」

姫乃(んんんんんん??)

ランジュ「……負け」

姫乃(やばいです、これは…)


栞子「いいえ!まだ負けではありません!」

ミア「ああ!異議あり、だ!!」


姫乃「はは…」

259: 2022/05/01(日) 17:12:28.50 ID:sWvKYaJ0.net
姫乃(よかったです。危うく、ここまでのがんばりを無駄にするところでした)

姫乃(やっと、やっと揃いましたよ。この事件の本当の全体像を明らかにするためのピースが)


ランジュ「栞子、ミア…なんで」

栞子「ランジュ…あなたは、どこまで愚かなのですか!」

ミア「まったくだよ。これは口出しせざるを得ないね」

261: 2022/05/02(月) 05:36:27 ID:07Xokbda.net
栞子「だいたいの事情は把握しました。このイベントは私とミアにランジュの力を見せるためのものだった…そういうことですよね」

ランジュ「その通りよ…」

ミア「そんなことのために」

ランジュ「そうよ!そんなことよ!」

ランジュ「あの日、栞子とミアに見てもらいたかった、信じてもらいたかった…それが今日叶うはずだった」

262: 2022/05/02(月) 23:40:48.39 ID:07Xokbda.net
ランジュ「だけど、ようやくわかったの。そんなことしても意味なんてなかった」

栞子「意味なかった…そう、ですか」

ランジュ「アタシが見ていたのはアタシのことだけ。ショウ・ランジュをいかに二人に見せつけるかしか考えてなかった」

ランジュ「…私はずっとソロしかしていなかった」

ランジュ「果林もエマも栞子もミアもちゃんと他の人を見ていたのに、アタシは!結局一人で戦って」

ランジュ「栞子とミアに二人が一緒でも勝てるって言いたかったのに、それすらできない」

ランジュ「そんなアタシじゃ信じてもらえなくて当然だった」

263: 2022/05/02(月) 23:43:51.18 ID:07Xokbda.net
栞子「なるほど…」

栞子「ランジュの言いたいことはわかりました」

栞子「ですが、どうにも誤解があるようです」

ランジュ「誤解?」

栞子「はい、なのでこの場を借りてその誤解を解かせてもらいます」

栞子「ランジュ、あの日なぜ私たちがあの場を去ることを選んだと思いますか?」

264: 2022/05/02(月) 23:44:33.63 ID:07Xokbda.net
ランジュ「それは、アタシが二人に見てもらうことしか考えてなかったから…信じてもらえなくて」

ランジュ「アタシが二人をかばって戦って、それでも勝てるなんて思われてなかったから…」

栞子「それは違います」

栞子「私たちはランジュを信じているから去ったのです」

栞子「私たちが去ることで、ランジュは勝利できると信じていたから、あの場を去ったのです」

ランジュ「なによ、そんなの言い方を変えただけ」

266: 2022/05/02(月) 23:50:19.12 ID:07Xokbda.net
ミア「違うね。ボクらが見ていたのは敗北じゃなくて勝利だ」

ミア「ボクと栞子とランジュの3人が最善を尽くした結果の勝利だよ」

栞子「ランジュはなにやら私たちに証明したいものがあったようですが、ランジュが証明したかったものはすでに証明されているんです」

栞子「あの日、私たちを迷いなく庇ってくれたあの一瞬だけで、あなたの強さも思いも私たちには伝わっているんです」

栞子「ランジュは最強の矛であり、最硬の盾であり、最良の友である…そんなのは私もミアもとっくにわかっているんです」

ランジュ「わかってるなら、なんであの時いなくなったのよ」

ランジュ「なんで、今日のバトルでアタシの手を取ってくれなかったの」

267: 2022/05/02(月) 23:51:45.04 ID:07Xokbda.net
栞子「私たちにもあったからです。証明したいものが、ランジュに言わせたい言葉が」

栞子「ランジュの言う『栞子とミアがいても勝てる』が私とミアを軽んじる発言ではないことはわかります」

栞子「むしろ大切だからこそ、あの日も今日も私たちと共に勝つことを望んでくれたのでしょう」

栞子「ですが、それを承知で言わせてもらいます」

栞子「私たちはもっと別の言葉のために、あの時ランジュの前を去った、今日のバトルでランジュの手を払った」

栞子「いいですか?私たちはあなたにこう言わせたかったんですよ」

栞子「『栞子とミアと一緒だから勝てる』と」

268: 2022/05/02(月) 23:53:08.26 ID:07Xokbda.net
ランジュ「なによ、それ…全く意味がわからない」

ランジュ「一緒だから勝てるというなら…一緒に戦いましょうよ。アタシの前からいなくなるとかむしろ逆じゃないの」

栞子「私は一緒に"戦いたい"んです」

栞子「たとえランジュが強くても、私とミアをかばってでも勝てるとしても、私もミアもそんな勝ち方はしなくないんです」

栞子「ランジュの力に頼るだけじゃない、私とミアの力も合わせて勝利する。そういう勝利を目指してきたんです」

ランジュ「……その結果が、この前と今日なの?」

269: 2022/05/02(月) 23:54:10.37 ID:07Xokbda.net
ランジュ「栞子の言いたいことはわかる。でも、それでアタシの言葉も気持ちも無視して」

ランジュ「そんなのどこが一緒なのよ!」

栞子「ランジュの勝利のために、できることがあるならやりたい。ランジュの力を一番発揮できる選択をしたい、そうやって共に戦いたい」

栞子「そのために選んだのが結果的にああなったなけじゃないですか」

ランジュ「そんな言い訳ききたくない!」

270: 2022/05/03(火) 00:02:17.15 ID:2cgqqgT0.net
ランジュ「栞子はいつもそう!」

ランジュ「アタシがやりたいことなんてお構いなし、自分が正しいと思ったらアタシの話なんて聞いてもくれない」

ランジュ「それで力を合わせて勝利とか、一番力を発揮できる選択とか、調子いいことばっかり言わないで!」

栞子「話を聞かないどころか、周りすら見ようとしないランジュに言われたくありません!」

栞子「少なくとも私とミアはあの日も今日もずっとランジュと一緒に戦おうとしていましたし、今だってランジュと一緒に戦うことを諦めるつもりはありません!」

ランジュ「だいたい、アタシの強さも思いもわかってるなら、それに賭けてくれたってよかったでしょ!」

271: 2022/05/03(火) 00:04:08.57 ID:2cgqqgT0.net
ランジュ「あの日のバトルはアタシとエマの戦いなんだから、栞子とミアがなにかする必要なんてなかったじゃない!」

栞子「そんなの、ランジュの強さに甘えてるだけじゃないですか!」

栞子「私たちはランジュと一緒に戦いたいんです!」

ランジュ「それでアタシの言葉も気持ちも無視して、どこが一緒なのよ!!」

ランジュ「アタシの言葉を無視していなくなって、それでも一緒なんて言われたくない!」



ミア「ああ…えっと!!ストップ!!」

ミア「二人とも熱くなってるとこいいかな!!」

272: 2022/05/03(火) 00:05:14.80 ID:2cgqqgT0.net
ランジュ「なによ」

栞子「…なんですか」

ミア「ちょっと落ち着こう。二人とも」

ミア「…ランジュ、ごめん」

ミア「栞子もボクもさ、ここまでランジュが悩んでたなんて思わなかったんだ」

ミア「でもね、ランジュの力だけに頼りたくないってのは譲れないんだ」

273: 2022/05/03(火) 00:06:45.43 ID:2cgqqgT0.net
ミア「エマとのバトルが一対一だって言ってもさ、栞子とボクは意図せずとはいえ巻き込まれたわけだし、だったらチームとして動かなきゃと思ったわけなんだ」

ミア「チームとして動くならランジュだけが頑張ればいいわけじゃないってのは、そちらの姫乃さんがさんざん指摘してくれたし、ランジュもわかってるんじゃないのかい」

ミア「栞子もさ、ランジュの気持ちがわからないわけじゃないだろ?」

ミア「ボクと栞子をかばってでもボクらにそばにいてほしかったランジュの願いがボクらには見えてなかった」

274: 2022/05/03(火) 00:08:30.64 ID:2cgqqgT0.net
ミア「ボクらがどう思ってようと、ランジュが信じてらえなかったって思ったのは事実なわけだから。そこはやっぱり…いけなかったんだと思う」

ミア「多分さ…ボクと栞子の考える一緒とランジュの一緒は違ったんだ」

ミア「ボクたちの考えた策が、取った行動がランジュの勝利に結びつくならそれはランジュと一緒に戦っていることになる」

ミア「それが、ボクと栞子の考える一緒だったけど、それをランジュに伝えきれてなかった」

ミア「…そういうことだろ」

栞子「……そうですね」

275: 2022/05/03(火) 00:10:09.74 ID:2cgqqgT0.net
ミア「ま、そういうすれ違いは遅かれ早かれ起こっただろうさ。ボクは今こそステージに出てるけど本業は作曲者だし、栞子は生徒会長だろ?」

ミア「裏方特有の感覚ってのかな?栞子風に言うなら僕らの適性はむしろバックアップで、表に出なくても一緒に戦ってるって信じたい」

ミア「だから、あの日の行動にしろ今日の行動にしろ、ランジュがそこまで傷つくだなんて思わなかった」

ミア「というかさ、これはボクも含めて互いに反省していく事柄だと思うし、これから直していくべきだと思う」

ミア「それでやり直していけばいいとボクは思う」

276: 2022/05/03(火) 00:11:14.13 ID:2cgqqgT0.net
栞子「……」

ランジュ「………」

姫乃(うーん、これは予想外です)

姫乃(高2のショウ・ランジュが高1の栞子さんにマジギレしてるのもありますが)

姫乃(まさかこの場で一番大人な意見を出すのがミア・テイラー14歳とは)

277: 2022/05/03(火) 00:12:51.13 ID:2cgqqgT0.net
ミア「ていうかさ!ボクからしたら今更なわけ!ランジュと栞子の価値観が違うなんてのは!」

ミア「それでも今までやってこれたんだし、こっからまたやり直していこう」

栞子「やり直すですか。そうですね」

ランジュ「そうね、やり直してみるのもいいかもしれないわ」

ランジュ「結局ソロで空回りして、こんな終わり方になったけど、アタシは栞子とミアと一緒に勝ちたいもの」

姫乃「どうやら丸くおさまったようですね」

姫乃「………とても退屈な時間でした」

278: 2022/05/03(火) 00:13:33.76 ID:2cgqqgT0.net
ランジュ「愛、ごめんなさいね。せっかく開いてもらったイベント無駄になっちゃったわ」

愛「あはは、それは気にしないで…」

姫乃「それでは、このバトルは終わりにしましょう」

ランジュ「そうね。これ以上は意味ないもの」

愛「では、これにて……」



栞子「いいえ、そういうわけにはいきません!!」

ミア「ああそうさ!ボクらにはまだやることが残ってるんでね」

279: 2022/05/03(火) 00:15:23.10 ID:2cgqqgT0.net
栞子「ランジュ、今日のイベントは無駄になっていませんよ」

愛「あ、そうだね。R3BIRTHのやり直しってことで」

ミア「そうじゃなくてさ」

ミア「愛、まだ試合は終わってないんだろ?」

愛「え?うん、まだランジュ…というかR3BIRTHのターンだよ」

280: 2022/05/03(火) 00:16:59.44 ID:2cgqqgT0.net
ミア「ナイス!だったらこっからこのバトルに勝とう。R3BIRTHで」

栞子「そうですね。ここまで来たんですから勝ちましょう」

ランジュ「R3BIRTHで、勝つ?」

姫乃「……はい?」

姫乃(なにを、する気ですかこの二人は)

姫乃(二人の到着と三人の対話を経て、このバトルは終了…それでいいんですよ!!)

281: 2022/05/03(火) 00:20:46.90 ID:2cgqqgT0.net
姫乃「あ、えっと…栞子さんとミアさんはリタイアしてるのにそれは」

姫乃「何をするかは知りませんが、バトルに介入するのは…ルール違反では?」

栞子「おや、聞いた話によるとこれは雑談なんですね?」

栞子「私たちはただ雑談をするだけですよ?これまでと同じく楽しい楽しい雑談です」

栞子「とはいえ、雑談を経てランジュがラップをしたくなったらラップをするかもしれませんね」

栞子「愛さん、そのような場合はルール違反なのですか?」

愛「いーや!まったく問題ないよ」

282: 2022/05/03(火) 00:25:39.11 ID:2cgqqgT0.net
姫乃「本当に、雑談なんですかね…」

ミア「おいおい、姫乃がそれを言うか?」

栞子「それに、どこまでが雑談かの線引きをするのは姫乃さんではないはずです」

栞子「…そうですよね?愛さん」

愛「そう!愛さんの匙加減だねー」

姫乃「まさか…ここにきて」

愛「姫乃ちゃん、雑談を始める時に了解はとったはずだよ?雑談を止める権利は愛さんにあるけどそれでいいのかって」

愛「つまりね、止めない権利も愛さんにはあるわけだ…それは姫乃ちゃんもよくわかってるでしょ?」

283: 2022/05/03(火) 00:34:31.21 ID:2cgqqgT0.net
愛「それに愛さんはここからの雑談に興味深々なのさ」

果林「姫乃ちゃん…」

姫乃「果林さん!」

果林「時には引き下がる潔さも必要よ」ニコッ

エマ「はいはーい、私も聞きたいなー」

姫乃「スイス…!いつの間に?」

284: 2022/05/03(火) 00:35:55.90 ID:2cgqqgT0.net
エマ「いやー、私もさ?今回はさすがにやらかしすぎたなって思って目立たないようにしてたんだけど、抑えきれないものもあってね」

エマ「間を取って出てきちゃった!」

姫乃「何と何の間を取ったらそうなるんですか!」

愛「なんなら多数決でもとる?」

姫乃「………くっ」

姫乃「なるほど、そう来るんですか」

果林「そうね。姫乃ちゃんには悪いけど」

果林「これがニジガクなのよ。わかったかしら?」

285: 2022/05/03(火) 13:34:56.47 ID:2cgqqgT0.net
姫乃「わかりましたよ!はいはい、雑談でもなんでもお好きにどうぞ」

ミア「では、はじめるよ」

栞子「実は今日のイベントがこのような形ではなく、ちゃんと終わったらランジュに話そうと思っていたことがあるんですよ」

ミア「ランジュが浮かれてる陰でボクと栞子がちょこちょこ話し合ってたことなんだけどね…まっ、この場を借りて言うのもいいだろう」

栞子「ランジュ、このイベントで見つかったんですよ。私たちR3BIRTHなら実現できる、いえR3BIRTHでしか実現できないであろう最高のチームプレイが」

286: 2022/05/03(火) 13:35:55.86 ID:2cgqqgT0.net
ランジュ「最高のチームプレイ?」

栞子「そうです…聞きたいですか?」

ランジュ「ええ!聞かせてちょうだい」

ミア「オーケー」

ミア「ランジュ、聞いて驚くなよ…このチームプレイはもう実現されてるんだ」

ミア「というか、今日の決勝戦までの戦いこそがボクらのチームプレイだったんだ」

287: 2022/05/03(火) 13:36:56.72 ID:2cgqqgT0.net
ランジュ「え?」

ランジュ「そんなはずない、だってアタシがやってきたのは…」

栞子「ランジュ一人のソロプレイ、ランジュはそう思ってるんですよね」

栞子「……姫乃さんに言われたせいで」

姫乃「?」

姫乃「いえ、あれは…」

288: 2022/05/03(火) 13:37:59.60 ID:2cgqqgT0.net
ミア「姫乃さあ…さんざん偉そうなこと言ってくれたけど、君はボクらの何を見てたんだい?」

ミア「いや、あえて見ないふりをしてた…ってとこか」

栞子「ラップをしていたのはランジュだけ、それは事実ですよ?」

栞子「ですが、姫乃さん。それを以って私たちは何もしていないなどと言うのは暴論です」

姫乃「……」

姫乃「そうですね」

289: 2022/05/03(火) 13:39:24.98 ID:2cgqqgT0.net
ミア「もう言わなくてもわかると思うんだけどさ、うちのランジュはパワーこそすごいがムラがある」

ミア「ムラとは言っても、そんじょそこらのやつは一撃にできる範囲のムラだけどね」

栞子「その不安定さゆえに、真の強敵との戦いでは苦戦を強いられることもある」

エマ「私とのバトルみたいにってことかな?」

姫乃「……スイス」

栞子「エマさんとのバトルはイレギュラーもあったとはいえ、それでもランジュにとって不安定さは明確な弱点です」

290: 2022/05/03(火) 13:40:18.18 ID:2cgqqgT0.net
ランジュ「それでもアタシは勝てるわよ」

栞子「そうですね…はい、だからこそ対策など考える必要もなかったんでしょう」

栞子「ですが、その弱点がなくなるとしたら?」

ランジュ「どういうこと?」

栞子「鍵となるのは私たち3人の適性です」

姫乃「適…性?」

291: 2022/05/03(火) 13:41:55.57 ID:2cgqqgT0.net
栞子「はい、先ほどミアも言いましたが、私の本分は裏方…表に立ち活躍する人がその力を最大限発揮する場を用意することです」

栞子「加えて私はランジュとの付き合いも長い」

栞子「私ほどランジュの扱いに長けた人もいないでしょう…ふふっ」

ランジュ「…ついさっき、とてつもないすれ違いがあったばかりだと思うけど?」

栞子「あれはあれです!」

栞子「いえ、むしろそこがポイントですね…」

292: 2022/05/03(火) 13:43:24.22 ID:2cgqqgT0.net
栞子「感情を優先するランジュと理論を重視する私、その間に溝があることは否定できない」

栞子「ですが、私とランジュの間を埋められる関係性、感情と理論の間を埋める才能を持った人がいればその溝は埋まる」

ランジュ「ミア…」

ミア「そうさ、ボクだ。図らずも先ほどのやりとりでボクの手腕は証明された」

ミア「ランジュの感情と栞子の理論をボクがつなぐ、そのくらいのミッションならわけなくこなしてみせるさ」

ミア「栞子とボク、二人がかりでランジュという最強の砲台を最上のコンディションにして最高の一撃を放つ!」

293: 2022/05/03(火) 13:44:31.46 ID:2cgqqgT0.net
栞子「どうですか?これは私たちにしかできないと思います」

栞子「ランジュを超える攻撃手はいない、私たちを超えるサポーターもいない、ゆえにこれはR3BIRTHのみが実現できるチームプレイです」

ミア「これを否定するやつがいるかもしれないが、だったらボクはこう問いたい」

ミア「9人全員がピッチャーをするチームなんてあるのかい?全員がスラッガーのチームがあるのかい?」

ミア「ランジュ一人が攻撃するのはおかしいことじゃない、チームプレイってのは適材適所なのさ」

栞子「その通り。ランジュにありあまる攻撃の適性があるというならそれを最大限に活かせばいいんです」

294: 2022/05/04(水) 00:34:38 ID:STHS7f4T.net
栞子「今日私たちはあなたを最大限に活かす方法を模索して、決勝戦まで勝ち進みました」

栞子「それを通じて、私はこの作戦の有効性を実感しましたよ」

栞子「私たちだからこそできるチームプレイの有効性を!」

ランジュ「今日の私たちの戦いが、チームプレイ…」

ミア「そうだよ。やれお腹がすいただの、なんだかんだと…それ以外にもさ、ボクらは見えないところでいろいろやってきてたんだ」

ミア「決勝戦だってさ、リタイアするまで同じだったはずだよ。姫乃はそこを認めないようだけど」

295: 2022/05/04(水) 00:36:29 ID:STHS7f4T.net
姫乃「うっ…」

ランジュ「アタシからもいいかしら」

栞子「ええ、いいですよ」

ランジュ「今の話、いいと思う」

ランジュ「だけどね、一つだけ…アタシは二人にアタシが勝つところを見ていてほしいの」

ランジュ「だから、今日みたいなわざと犠牲になるみたいなのはやめて。そこは譲らないわよ」

栞子「はい、どうやらランジュは私たちが欠けただけで随分と弱体化することがあるようですから、もうあのような行動は控えます」

ミア「まさかランジュのために良かれと思ってとった行動が逆効果になるとはね」

296: 2022/05/04(水) 00:38:08 ID:STHS7f4T.net
ミア「あの日、ボクら無しでエマに勝てたこともあってさ、ランジュへの被害を減らせるならそれもいいかなって思ったんだよね」

栞子「それでランジュの気持ちを無視するなど、愚かにもほどがありました」

栞子「約束しましょう。もう今回のような安易な犠牲行為はしないと」

ランジュ「約束よ。絶対に守ってね」

栞子「はい、3人で勝ちましょう」

ランジュ「それと、栞子とミアが考えた作戦がどれだけ凄くてもアタシが嫌なものは従わない」

ランジュ「守るなって言われてもアタシは二人を守るわよ」

297: 2022/05/04(水) 00:39:26 ID:STHS7f4T.net
栞子「どうぞ、そこも含めての作戦です」

栞子「あ、それと保険もかけておきましょう」

ランジュ「保険?」

栞子「はい、私は用心深いので…万が一にでも脱落するたびに今日のような事態を引き起こされないように保険をかけさせてもらいます」

栞子「ランジュ、これから私が話すことを忘れないでください」

ランジュ「わかった」

298: 2022/05/04(水) 00:48:53 ID:STHS7f4T.net
栞子「ランジュの一撃に私とミアは全力をかけます」

栞子「今までもこれからもこれは変わらない真実です」

栞子「ランジュの攻撃には、私とミアの気持ちが乗っているのです。ランジュの攻撃はいつだって私たちR3BIRTHの想いの結晶なんです」

栞子「だから、何があろうと前を向き胸を張ってください」

栞子「ランジュが私たちの想いを覚えていてくれる限り、ランジュが託された想いをぶつけてくれるだけで、私たちは3人一緒に勝てるんですから」

栞子「……どうです?こういう保険は」

299: 2022/05/04(水) 00:49:46 ID:STHS7f4T.net
ミア「栞子、いいところ持ってくなよ」

ミア「えーっと、言いたいことは栞子が言ってくれたからボクからは一言」

ミア「さっさと勝て!以上!」

ランジュ「栞子、ミア…」

ランジュ「……そうね。勝ちましょう!まずはこのバトルを!」

ランジュ「愛、このバトルはまだ続いてるのよね」

301: 2022/05/04(水) 18:55:56.90 ID:STHS7f4T.net
愛「うん、カウントは雑談を終わらすかランジュがラップするまで止まってるからね」

愛「残り時間は充分にあるよ」

ランジュ「そう、なら私たちの勝ちは確定ね」

ランジュ「待たせたわね、ヒメノ!」

姫乃「…そうですか、終わりそうで安心しました」

姫乃「これ以上退屈な茶番を見せられるのは勘弁なので」

ランジュ「あら、ごめんなさい。だけどね、その茶番がアタシを最高にしてくれたの」

302: 2022/05/04(水) 23:05:45 ID:STHS7f4T.net
ランジュ「最後くらいは退屈させないであげる!」

ランジュ「逃げないでね!アタシも、もう逃げないから」

姫乃「ええ、どうぞ」

ランジュ「叩き込むわよ、アタシと栞子とミアの今のぜんぶを!」

303: 2022/05/04(水) 23:07:14 ID:STHS7f4T.net
【ランジュ】
まずは姫乃を足蹴で突破
そしたら走吧!ここから踏破
みんなの手のひら返させるわよ
今日から評価を変えさせるわよ

悪役(ヒール)評価は踵で蹴飛ばす
首位(トップ)をめざして頭をこらす
吹き出す3文字ムシして踏み出す
打ち勝つ復活これで幕R3BIRTH

304: 2022/05/04(水) 23:10:22 ID:STHS7f4T.net
ランジュ「さあ、味わいなさい」

ゴゴゴゴゴ…

ランジュ「今まで以上にアタシは強いわよ」

ゴゴゴゴゴ…ゴゴゴゴゴ…

姫乃「なにやら、不穏な雰囲気が」

果林「姫乃ちゃん…あれ…見て…」

姫乃「あれとは?」

305: 2022/05/04(水) 23:10:58 ID:STHS7f4T.net
姫乃(果林さんの指差した先)

姫乃(バトルステージ上空から何やらメカメカしいものが登場してきてますね)

姫乃「あれは…」

姫乃(そうですね…私の知る中で近いものを挙げるなら)

姫乃「コロニー…レーザー?」

306: 2022/05/04(水) 23:14:37 ID:STHS7f4T.net
姫乃(コロニーレーザーとは…)

姫乃(機動戦士なんちゃらとかいうロボットもののシリーズに出てくる…)

姫乃(人が住むことを目的としたスペースコロニーを、兵器に改造するという悪魔のようなコンセプトのもと…)

姫乃(巨大なそれをひとつの砲台とし、威力を出すことを純粋に突き詰めたシンプルな造形に…)

姫乃(とにかくめちゃくちゃエネルギーを貯めて、一気に放出するというこれまたシンプルな仕組みを搭載した…)

姫乃(宇宙にそびえる大量殺戮兵器です!)

307: 2022/05/04(水) 23:17:42 ID:STHS7f4T.net
姫乃(あ、宇宙は"そら"って読んでください)

姫乃(ま、燃費悪すぎますし、ちょっと照準ずらされただけで大惨事なんで兵器としては図体と威力が大きいだけのゴミです)

姫乃(でも…めっちゃ燃えるゴミです!!!)

姫乃(何人もの男の子がこのロマン溢れる存在に心を躍らせた…偉大なめっちゃ燃えるゴミです!!!)

308: 2022/05/04(水) 23:21:27 ID:STHS7f4T.net
姫乃「…というか」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

姫乃(コロニーレーザーそのものですねはい)

姫乃「ショウ・ランジュ?これはその」

姫乃「…セーフなのでしょうか?」

ランジュ「ねえ…何かしらこれ?」

姫乃「……はい?」

309: 2022/05/04(水) 23:44:13.61 ID:STHS7f4T.net
姫乃「……はい?」

ランジュ「んー、まあ…」

ランジュ「ぶちかませ、ってことよね?」

ギュオオオオオオオオオオオオン

姫乃(おそらくエネルギー充填音なんでしょう。ものすごく物騒な唸り声が聞こえてきます)

姫乃「あー、これは詰みましたかね」

果林「さすがにこれはもうお手上げよね」

姫乃「……あ…その…果林さん…」

310: 2022/05/04(水) 23:45:16.43 ID:STHS7f4T.net
果林「姫乃ちゃん、私のこと忘れてない?一応、私もまだ残ってるのよ」

姫乃「いえ…忘れていたとかでは」

果林「私も付き合うわよ。最後まで」ギュッ

姫乃「ありがとうございます…」

エマ「では、私も!」

姫乃「スイスはもう脱落してるのでいいですよ。安心して避難してください」

311: 2022/05/04(水) 23:47:20.60 ID:STHS7f4T.net
姫乃「私と果林さんを狙ってるかと思うので、近くにいなければ大丈夫かと」

姫乃「さっさと私たちから離れてください。ほら早く!しっ、しっ!」

エマ「えー、そんなのいやだよ。それにこのままじゃ私はただみんなに迷惑かけた人だよ」

エマ「最後にやったことをせーさん?しないと。いんがおーほーってやつだよ」

姫乃「微妙に使い方がおかしいですね」

エマ「ま、それにランジュちゃんの最高の一撃を受けてみたいからね」ギュッ

姫乃「はいはい…ショウ・ランジュ!さっさと一気にぶちかましてください!」

312: 2022/05/05(木) 00:00:40.11 ID:nKil3yFK.net
ランジュ「そう、じゃあ…」

姫乃(果林さんとスイスと手を繋ぎ、目を閉じます)

ギュウオオオオオオオオオオオオオ…

姫乃(疲れました…もう、ゴールしてもいいですよね)

グウゥゥオオオオオオオオオオオオオン!

ランジュ「謝謝」

ランジュ「再見、姫乃」

313: 2022/05/05(木) 00:01:20.16 ID:nKil3yFK.net
ドグゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

姫乃(発射、されたんでしょう…目を閉じていてもわかるほどの眩い光が、体を押し流していきます)

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

314: 2022/05/05(木) 00:02:04.87 ID:nKil3yFK.net
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

姫乃(思ったより痛くない…細胞が一瞬で焼き切れて体の感覚が氏んでしまったんでしょうか)

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

315: 2022/05/05(木) 00:02:41.57 ID:nKil3yFK.net
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

姫乃(いや、蒸発というのが正しいのかもしれません)

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

316: 2022/05/05(木) 00:04:27.87 ID:nKil3yFK.net
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

姫乃(ま、どっちにしろ即氏ものですね…これは)

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

317: 2022/05/05(木) 00:07:48.73 ID:nKil3yFK.net
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオᶘイ^⇁^ナ川オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
オオオオオオオオオオオオ@cメ*◉ _ ◉リオオオオオオオオオオオオオΣjミイ˶º ᴗº˶リオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
オオオオオオノレcイ´=ω=)オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ⁄/*イ`^ᗜ^リオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

318: 2022/05/05(木) 00:10:16.93 ID:nKil3yFK.net
〜間〜

319: 2022/05/05(木) 00:11:35.62 ID:nKil3yFK.net
姫乃「……」

姫乃「………ん」

姫乃「ん…ああ……」

栞子「ようやく、目が覚めたみたいですね」

姫乃「栞子さん、ミアさん」

ミア「どうだい?これがボクたちの、R3BIRTHの戦い方だよ」

321: 2022/05/05(木) 00:44:09.03 ID:nKil3yFK.net
姫乃「結局はこうなるんですね」

栞子「身をもってご理解いただけましたか?私とミアがいるR3BIRTHに論戦を挑むことの無謀さが」

姫乃「…やられました。見事にひっくり返されました」

姫乃「一人で戦おうとするのはチームに対して身勝手、ソロとしか思えないような戦い方をして事態を悪化させてしまっている」

姫乃「そういう切り口からショウ・ランジュを崩せると思ったんですがね」

322: 2022/05/05(木) 00:48:19.90 ID:nKil3yFK.net
姫乃「多少の無理はあるにしろ、ショウ・ランジュ自身に負い目があるなら通る…栞子さんとミアさんが来てケアをしても、まあ今回のバトルは流すだろうと踏んでいました」

姫乃「ですが、どうです?」

姫乃「私の言ったことを利用して、ソロに見えた戦いこそが信頼の証だのR3BIRTHとしてはあれがチームワークの正解だからいいだの」

姫乃「さらに、ショウ・ランジュが胸を張って攻撃してくれればそれがR3BIRTHの勝利だの」

姫乃「そんな奇人変人のスタンドプレイをカバーできる前提の話をされたら困ります。こちらは一般人の価値観でやっているのですから」

323: 2022/05/05(木) 00:49:59.23 ID:nKil3yFK.net
姫乃「あー、もう本当にしてやられました。結局ニジガクのチームを強くしただけじゃないですか」

姫乃「わかってましたけどね!私がどれだけひどい言葉で何百回罵倒しようと、あなたたちが一回励ましただけで立ち直るんですよ」

姫乃「あの純粋無垢な単純幼児は!!」

栞子「そうですね。手がかかることこの上ない」

栞子「ですが、それでも共にいたいと思わせてくれるのがランジュなのです」

姫乃「はいはい、そのために私は拙い論戦をさせていただきましたよ」

324: 2022/05/05(木) 01:07:58.60 ID:nKil3yFK.net
ミア「だいたいさ、指摘させてもらうけど、姫乃は藤黄から一人で出てるんだよね」

ミア「ランジュ一人がラップしてるのを、ランジュだけで戦ってるとか言ってたけど」

ミア「ランジュに言ったことを姫乃に当てはめるなら今回のバトル、姫乃は藤黄の誰の力も借りていないことになる」

ミア「それは違うよね?」

姫乃「…はい、違うと思います」

姫乃「今日に向けて藤黄のみなさんが私をサポートしてきたこと、客席から見守っていてくれたこと、それを無視してはいけない」

姫乃「…話の流れとはいえ、暴論でした」

325: 2022/05/05(木) 01:10:21.16 ID:nKil3yFK.net
ミア「そうだろ?表立って活躍してないから何もしてないなんてのは支える側への侮辱だ」

ミア「てわけで、とりあえずボクと栞子への謝罪を要求したい」

姫乃「……誠に申し訳ありませんでした」

ミア「でも、そういう穴があるにしてもなかなかの展開だったよ」

ミア「ボクらを引っ張り出すための悪役って一点にかけてはスタンディングオベーションものだ」

栞子「はい、姫乃さんの適性が存分に発揮されていました」

姫乃「気づいてましたか」

326: 2022/05/05(木) 11:04:12.64 ID:nKil3yFK.net
ドタドタドタドタ……

ランジュ「姫乃の目が覚めたって!!?」

姫乃「ああ、はいおかげさまで」

姫乃「まさか、氏を体験するとは思いませんでした」

姫乃「というか、コロニーレーザーとか出さないでくださいよ」

姫乃「いくらなんでも張り切りすぎです」

ランジュ「コロニーレーザーっていうのあれ?」

327: 2022/05/05(木) 11:05:38.42 ID:nKil3yFK.net
ランジュ「もの凄い高いところから一気にバーーッともの凄い攻撃をしたいと思ったら…出てきたの」

姫乃「……ははっ」

姫乃「なるほど、知らないで出しちゃいましたか」

姫乃「あまりにも強大で、扱いが難しくて、ちょっとでも狙いが逸れたら手がつけられない…たしかにあなたにぴったりです」

ランジュ「そう…」

姫乃「詳しく知りたいなら後でせつ菜さんとか璃奈さんにでも聞いてください。親切に教えてくれますよ」

ランジュ「うん、聞いてみるわ」

328: 2022/05/05(木) 11:07:08.44 ID:nKil3yFK.net
姫乃「で、イベントの目的は達成したということでいいですよね」

ランジュ「達成したわ。でも、アタシにはまだやることがあるみたい」

ランジュ「それが全部終わったら、改めてチームで戦いましょう姫乃」

姫乃「それは、100年くらい待ってればいいですかね?」

ランジュ「ぷっ、なにそれ…」

ランジュ「エマがおもしろいって言ってた意味がわかったわ」

329: 2022/05/05(木) 11:08:20.91 ID:nKil3yFK.net
果林「ふふっ、私が寝ている間に何やら楽しそうね」

姫乃「果林さん!」

ランジュ「果林、アナタにも迷惑をかけたわね」

果林「はは…まったく恐ろしい後輩がきたものよ」

果林「今回はランジュたちに持ってかれたわね。なんか途中で色々言ったけど、思い返すと恥ずかしくいわ…」

姫乃「いえ!カッコ良かったです!果林さんはやはり私の理想の人です!」

果林「そう、ファンにそう言ってもらえるなら私の努力も報われそうね」

330: 2022/05/05(木) 11:12:00.46 ID:nKil3yFK.net
果林「改めて言うわ。姫乃ちゃん、ありがとう」

姫乃「…なぜお礼を?」

果林「だって、R3BIRTHがもっと強くなるきっかけを作ってくれたってことでしょ」

ランジュ「そうね。アタシたちには問題が山積みだけど、それをクリアしていけばそのたびR3BIRTHは強くれなるわ」

ミア「そのための時間はまだまだある、ボクらの意志も固まった…こんなに嬉しいことはない」

栞子「この三人でさらに上の戦いを実現しましょう」

331: 2022/05/05(木) 11:14:58.94 ID:nKil3yFK.net
ランジュ「これから始めるわよ。栞子、ミア」

ミア「ま、そんなことするならそれに全力をかけないといけないとだし、他の学校の誰かさんとどうこうってのは後回しになるだろうけどね」

栞子「つまり、"そういうこと"でいいですよね?姫乃さん」

姫乃「…察していただけて、助かります」

姫乃「私はやはり、平和に生きていたいので」

332: 2022/05/05(木) 11:20:21.17 ID:nKil3yFK.net
愛「えーっと、そろそろ愛さんも入っていいかな?なんて」

ランジュ「愛、アナタの伝えたかったこと…今ならわかるわ」

ランジュ「アタシは間違いなくチームをハンデと見ていた」

ランジュ「だけどそうじゃなかった。栞子とミア、二人がいるからアタシはチームとして戦えていた。アタシ自身も気づかないうちに」

ランジュ「愛、アナタはランジュにこれを気づかせようとしたのね」

愛「そういってもらえて良かったよ。なんだかんだイベントは成功したし、愛さんとしては万々歳だね」

333: 2022/05/05(木) 11:23:23.90 ID:nKil3yFK.net
ランジュ「姫乃のおかげでアタシにはまだまだ先があるとこのバトルで気づけた」

ランジュ「アタシの部屋をめちゃくちゃにしたのをチャラにしてもおつりがくるくらいよ」

姫乃「それは良かったです」

姫乃「これで今年は何の憂いもなく誕生日を迎えられそうですよ」

果林「もしかして、愛はそれも狙って今日にしたのかしら?」

愛「……」

愛「そ、その通りだよ!これで明日は何の心配もなく誕生日だね」

334: 2022/05/05(木) 11:25:55.43 ID:nKil3yFK.net
姫乃「意外と愛さんはわかりやすいですね」

ランジュ「あら?姫乃は明日が誕生日なの?」

姫乃「そうですよ。あ、果林さんこの場を借りまして明日の…」

美咲「姫乃!迎えにきたよ」

姫乃「美咲さん!」

姫乃「私…やりとげましたよ」

美咲「何やってるのさ。本当心配したんだよ?」

335: 2022/05/05(木) 11:33:05.42 ID:nKil3yFK.net
姫乃「はは、今回は危なかったです。では、帰りますか」

美咲「うん、みんなで帰ろう。私たちの藤黄へ」

美咲「明日からはまたみっちりしごいてあげるから覚悟してね」

姫乃「はい、えいえいおーです」

ランジュ「……いいことを思いついたわ!!」

姫乃「へ?」

336: 2022/05/05(木) 11:34:14.36 ID:nKil3yFK.net
ランジュ「あなた、藤黄の人よね!ちょうどいいわ!」

美咲「えっと…」

ランジュ「ライブをしましょう!誕生日ならアタシが盛大に祝ってあげるわ!そう、記念ライブよ!」

姫乃「はい?」


エマ「……はっ!ここはどこ?」

エマ「ん?なんか私、乗り遅れたような…」

337: 2022/05/05(木) 11:36:24.53 ID:nKil3yFK.net
〜4月17日・虹ヶ咲藤黄合同ライブ会場〜

姫乃(これが本日に至るまでのあらましです)

♪モンスターガー!サイソクデアジワウ〜

ランジュ「あら、失礼」

ランジュ「はーい、え?彼方のベッドが見つからないから順番変更?…わかったわ!1分待ってて」

ランジュ「じゃあね!終わったらビュッフェよー!」

姫乃「あの人はブレませんね」

果林「…いえ、そうでもないんじゃないかしら?」

338: 2022/05/05(木) 11:37:55.75 ID:nKil3yFK.net
エマ「あ、そういえば姫乃ちゃん」

エマ「こんな映像があるんだけど…」

姫乃(スイスがスマホを取り出して何やら再生を…)


姫乃『だって、ここで倒れたら、一番かっこいい果林さんの姿を見逃してしまうじゃないですか』

果林『そうね…ファンの厚意は受け止めないと』

果林『ありがとう、姫乃ちゃん』ナデナデ

姫乃『へ?ちょっといきなりですか!』

果林『いいじゃない、ごほうびよ』ナデナデナデ


姫乃「…………っ!!」

339: 2022/05/05(木) 11:39:20.13 ID:nKil3yFK.net
果林「これ、撮ってたの?」

エマ「璃奈ちゃんがばっちり撮ってたみたい」

エマ「で、ものは相談なんだけど…姫乃ちゃん、これ欲しくないかい?」

姫乃「どのような…条件を…」

エマ「んー、色々考えたんだけど」

エマ「別になにもしないでいいよ?誕生日だし」

340: 2022/05/05(木) 11:41:53.88 ID:nKil3yFK.net
姫乃「……はい?」

エマ「私からの誕生日プレゼントってことで、はい!」

エマ「このUSBメモリに今の映像をはじめとした璃奈ちゃん編集の見どころシーンがたくさん入ってるよ」

姫乃「そ、それはどうも」

エマ「さてと、では…っ、おおっと!」

姫乃(スイスがつまづいたせいでUSBメモリが…)

341: 2022/05/05(木) 11:43:22.61 ID:nKil3yFK.net
姫乃「って、うわっ!」

姫乃「……ふう、USBメモリはキャッチしました」

エマ「あちゃー、少し戻っちゃった」



エマ『これから姫乃ちゃんもわかるよ』

エマ『今私がやっちゃったことの意味が』

ランジュ『意味不明ね』

ランジュ『エマのことは好きだけど、たまに何を言ってるかわからないわ』

ランジュ『ま、そんなことを気にしても意味ないわね、いくわよ』

342: 2022/05/05(木) 11:45:15.99 ID:nKil3yFK.net
果林「これ、ランジュがエマをリアイアさせる直前ね」

エマ「みたいだね」

姫乃「あの状態のショウ・ランジュにやられるとは、スイスもまだまだですね」

エマ「あー、あれは仕方ないと思うよ?」

エマ「私を倒したあの1回にはね、ランジュちゃんの本当の気持ちが入ってたから」

姫乃「そうですか?」

エマ「聴いてみればわかるよ」

343: 2022/05/05(木) 11:48:37.04 ID:nKil3yFK.net
姫乃「聴いてって…ん?」

果林「あ、そういうことね…」

エマ「ランジュちゃんも無意識だったんだろうね」

美咲「おーい!姫乃、そろそろウチの出番だよ!」

姫乃「あ!はい、わかりました!」

姫乃(さてと、では始めましょう)

姫乃(藤黄のステージの開幕、私たちの戦いはこれからです!)

姫乃(えい、えい、おー!)

〜完〜

344: 2022/05/05(木) 11:52:16.48 ID:nKil3yFK.net
〜あとがき〜

ここまで読んでいただきありがとうございます
長くなりましたが、やっと終わりました

アニメ2期を見てランジュとチームをネタに何か書けないかなと思ったのがスタートなので姫乃誕と言いながら実質ランジュとR3BIRTHの話になってます

最初に考えていたのと大枠は変わってないのですが、書いてる途中に思いついたのを足したり引いたりあれこれしながらやった結果、思わぬものが出来ました

電話からの勘違いネタとかは実は書いてる途中におかしなところが見つかって苦肉の策で入れたものです
なので、最初から思いついてればもっと前後に伏線張れたのにとか思ってます

最後のひめエマかりの会話が何のことかはそれぞれで考えていただきたいので答えは伏せます
該当のラップは
>>131
です…少々無理やりなところはありますが

345: 2022/05/05(木) 12:46:00 ID:2lxpiYHe.net
乙!

引用元: 【姫乃誕記念SS】姫乃「またですかスイス」エマ「えっと、今回は私じゃなくて」ランジュ「あなたがヒメノね!」【ラップ注意】