1: 2014/05/15(木) 00:13:30.06 ID:3dy7yFVAO
医師「典型的なワーカーホリックですね。環境が変わった事で不安がストレスに繋がっているのでしょう」

医師「不眠症はスタミナドリンクの飲み過ぎもあると思います。モバPさんが普段口にしているスタミナドリンクには、通常よりも多くのカフェインが含まれていました。大変でしょうけど、これ以上は控えるように」

モバP「はい」

医師「抗鬱剤と不眠症のお薬出しておきますね」

モバP「よろしくお願いします」


2: 2014/05/15(木) 00:14:18.09 ID:3dy7yFVAO
医師「今モバPさんに必要なのは精神を休ませること。スケジュール関連もあるのでしょうけど、気を張りすぎです。休暇を取って一日何もしないで過ごすというのも大事なんですよ?」

モバP「わかってはいるんですけどね……はは」

医師「まずは一日だらだら過ごして、気が向いたら釣りやハイキングでも積極的に行なってみましょう。趣味を持つことがモバPさんには一番の薬かもしれません」

モバP「明日は久しぶりの休日なので、酒でも飲んでだらだら過ごしますよ」

医師「いいですね。携帯スマホの電源はオフにして、外のことは忘れましょう」

モバP「それが仕事柄難しいんですよね……。常に仕事のことしか考えていませんでしたし」

医師「まずは実践です。次回のカウンセリングは来週の水曜でいいですか?」

モバP「夕方なら大丈夫です」

3: 2014/05/15(木) 00:17:13.60 ID:3dy7yFVAO
モバP「今晩は飲むか」

使用済みの手頃なマグカップに息を吹き掛ける。埃を飛ばし、ウイスキーを注いだ。
人目もなければグラスや氷など必要ない。

バスローブに着替え、窓からの眺めを視界に収める。

トップアイドルを多く輩出し、有名になるにつれて自然と面子を気にする必要が生まれた。
住む場所は豪華になっていく。

ここまで来るのには、多くの困難があり、思い返して見ても自分一人では到底辿り着けない道程であった。

アイドルの知名度と比例して、仕事量は増え、自分一人では事務所は回らない状態が続いた。

しかし、資金面では既に余裕があったので、自分が厳選した新米の女性プロデューサーを何人か雇った。
ちひろさんはスタドリ片手に満面の笑みを浮かべていた。

4: 2014/05/15(木) 00:18:23.59 ID:3dy7yFVAO
俺が今でも直接担当しているのは、渋谷凛、島村卯月、佐久間まゆ、神谷奈緒、北条加蓮、双葉杏の6人だけ。

最近まで本田未央も担当していたのだが、彼女は今フランスで活躍している。
杏はただ新米の手には負えなかった。

本当は全員を担当したいのが本音だ。
しかし今の仕事量では到底無理なのである。
なので、年長組とは飲みに行ったり、雪美など年少組とはできるだけコミュニケーションを取るようにしている。


この夢が覚めないで欲しい。
いつまでも皆と共に光の道を歩いていきたい。

長かった。
冷蔵庫にある千本近いスタドリ。

モバP「趣味か……」

そういえばないな。
どれほど考えてみても、自分にプライベートなどなかった。

ただ精一杯、我武者羅にプロデュースを続けてきたのだ。

酒の力で何もかも忘れ、意識は遠ざかっていった。

5: 2014/05/15(木) 00:19:01.44 ID:3dy7yFVAO
ちひろ「モバPさんの住所?」

卯月「私と凛ちゃんも今日休みだから、プロデューサーさんのおうちに遊びに行こうって話していたんです」

凛「そういうことなんだ。やっぱり迷惑かな?」

ちひろ「うーん、アイドルが休日に男性の部屋に遊びに行くのは……あまりお勧めはできないんですけどねぇ」

卯月「そう……ですよね。残念だけど諦めよう、凛ちゃん」

凛「プロデューサーに悪いもんね」

ちひろ「あ、いや!ダメとは言ってません。休日にわざわざ事務所に顔を出してくれたんだもんね」

ちひろ「そうですね、ならこの書類を届けて貰えますか?私のお使いのついでなら、多少寄り道しても問題ないでしょう。……戻ってこなくていいからね」ニコ

卯月「ちひろさん!ありがとうございます!」

凛「ありがとう。今度お礼するから」

ちひろ「期待して待ってますね」

6: 2014/05/15(木) 00:19:58.45 ID:3dy7yFVAO
凛「ここが、プロデューサーのいるマンション」

卯月「大きい!凄いハウスですね!」

凛「……なんからしくない感じだよ」

卯月「プロデューサーさんも立場があるから」

凛「わかってる。別に嫌なんじゃないよ」

卯月「さあ、オートロックを外してもらお」

モバP『ふぁい……』

卯月「プロデューサーさんのお部屋ですか?卯月です!開けて下さい」

モバP『はあ!?え?なんで?』ガチャ

凛「これからプロデューサーの部屋行くから」

卯月「上のほうですね」

モバP『おい!』

7: 2014/05/15(木) 00:21:06.70 ID:3dy7yFVAO
卯月「エレベーター大きい」

凛「プロデューサーっぽくないよね」

卯月「たしかにね」

凛「あ、この部屋だ」

卯月「プロデューサーさん!来ちゃいました!」

モバP「……頭痛い」

凛「失礼だよ、プロデューサー」

モバP「あ、違う違う。昨晩飲み過ぎてさ……」

凛「お酒臭い……」

8: 2014/05/15(木) 00:24:33.76 ID:3dy7yFVAO
卯月「こんなこともあろうかと!ファブ〇ーズ!」シュッシュッ

凛「用意周到」

モバP「何しに来たんだ」

凛「あー、プロデューサー。こんなにお酒飲んで……体壊すよ」

モバP「医者には飲めって言われたけどな」

凛「言い訳無用。卯月!」

卯月「はい!」ジョォォォ

モバP「おぃぃぃ!人のウイスキー勝手に流しに捨てるんじゃない!」

凛「プロデューサーを想う私たちの愛の鞭だよ」

卯月「顔洗ってきてください」

凛「ご飯は?」

モバP「まだだけど……」

凛「食材は買ってきたから私と卯月で何か作るよ」

モバP「お、おう」

9: 2014/05/15(木) 00:25:40.48 ID:3dy7yFVAO
卯月「……抗鬱剤?こっちの紙には不眠症予防薬処方って……」

凛「……プロデューサー、どういうこと?」

モバP「あ…………。いや、言わないぞ?余計な心配掛けたくないし。自分のアイドルに相談するプロデューサーなんかいな……」

凛「もう掛けてるよね?心配。私たちに遠慮なんかしないで相談くらいしなよ」

卯月「そうですよ!私たちの絆はそんなヤワじゃありません!プロデューサーさんは、たまには私たちに甘えてください」

凛「どんな悩みでも受け止めてあげるからさ」

モバP(二人の愛が重い……)

10: 2014/05/15(木) 00:27:01.23 ID:3dy7yFVAO
モバP「俺、最近前線から退いただろ?プロデューサー業をさ」

凛「担当アイドルは減ったけど、トップアイドルをプロデュースしてるんだから退いてはいないんじゃ……」

卯月「なんか私たち老兵みたいでイヤです」

モバP「言い方が悪かった。俺は何事も全て一人でこなしたいんだ。事務所のアイドル全員をプロデュースしたい。でも、限界がきた」

モバP「二百の夢が6の夢になり、それがどんなに頑張っても俺の限界なんだって。いや、それは甘えであって、今でも100人くらいならプロデュースはできるはずなんだ」

モバP「慕ってくれるのは有難い。でも、これ以上担当を増やせば、アイドルたちのモチベーションは下がる」

凛「そうかな?」

11: 2014/05/15(木) 00:28:54.78 ID:3dy7yFVAO
モバP「今でも俺のワガママで6人を特別扱いしてるようなものだ。これ以上増えたら、「どうして私はプロデュースしてくれないの?」って不満が募るだろ?いや、既に不満を抱えているだろうさ。口にしないだけでな」

凛「まあね。私も担当アイドルから外されていたらそう思ったかも。…………人数は関係ないけどさ」

モバP「年少組は誰かをプロデュースすれば贔屓になる。みんな仲間外れは嫌なんだ」

凛「なら全員プロデュースすればいい。酷なこと言うけど、プロデューサーなら私はできると思う」

モバP「俺もそう思っていた。しかし限界だ。スケジュールが頭から抜けてしまうんだよ」

凛「そんなに私たちが信用できない?スケジュール管理くらい自分たちでできるよ」

モバP「そうだ。わかってんだよ。俺のワガママだって。お前たちが自分を完璧に管理できたら、俺はもう必要ない存在になっちまう。アイドルの仕事を取ってきてくれる便利なお兄さんだな!」

12: 2014/05/15(木) 00:31:57.47 ID:3dy7yFVAO
卯月「なんですかそれ?必要ないなんて誰が言ったんですか?私たちに仕事を取ってきてくれることが、プロデューサーさんのお仕事じゃないんですか?それは大事な事じゃないんですか?」

凛「今のプロデューサーはおかしいよ。支離滅裂で何か焦ってるみたい」

モバP「トップアイドルのスケジュールにミスは許されない。俺は完璧でなくてはならないんだ」

13: 2014/05/15(木) 00:32:38.68 ID:3dy7yFVAO
卯月「……プロデューサーさんは何を恐れているんですか?」

凛「私は最後までプロデューサーじゃなきゃ嫌だ。他の人が担当についたらアイドル辞める」

モバP「子供っぽいとこあるよな、凛は」

凛「いいよ、子供でもさ。それでプロデューサーといられるなら」

卯月「私のプロデューサーも一人だけです。それはきっと皆も同じ。でも、プロデューサーさんに迷惑を掛けたくないから」

卯月「だから、皆は何も言わないんだと思います。それはプロデューサーさんのことが大切だから」

凛「皆大人だね。私より全然大人だ」

15: 2014/05/15(木) 00:35:31.56 ID:3dy7yFVAO
モバP「……はぁ、俺もまだまだ未熟ってことか……。情緒不安定気味なのかもしれないな……。悪かった……今までのは全部失言だ、忘れてくれ……」

凛「卯月、ご飯よろしく」

卯月「うん。凛ちゃんはプロデューサーさんをお願い」

凛「ねえ、プロデューサー?今から膝枕してあげる」

モバP「は?」

凛「はい!寝る!」パンパン

モバP「あ……ああ」

凛「気持ちいい?」

モバP「……最高だ」

凛「ゆっくりおやすみ」ナデナデ

モバP「…………」Zzz

16: 2014/05/15(木) 00:36:04.38 ID:3dy7yFVAO
凛「もう寝たみたい。何が不眠症よ」

卯月「やっぱりプロデューサーさん、疲れていたんだね」

凛「こんなに追い詰められるくらい悩んじゃって。ほんと、らしくないよ」ナデナデ

卯月「今でも全員のプロデュースしてるのにね」

凛「本人は6人しか担当してないつもりなんだよ」

卯月「新しいプロデューサーさんにいっつも口出してるの皆知ってる」

凛「それが皆が大好きなプロデューサーなんだよ」

卯月「うん」

18: 2014/05/15(木) 00:36:49.35 ID:3dy7yFVAO
卯月「……え?……凛ちゃん、冷蔵庫のなか……」

凛「スタドリでいっぱい……」


凛「こんなものに頼ってまで……いつもありがとう」チュッ

卯月「あーっ!凛ちゃんずるい!」

凛「私は正妻だからいいんだよ」

卯月「なら、私は愛人で!」ニコッ

凛「浮気だめ絶対」

卯月「英雄色を好むだよ、凛ちゃん」

凛「ぐぬぬ……」

卯月「私は側室ね?」

凛「仕方ない。三人で幸せになろう。あとでプロデューサー襲おうか」

卯月「いきなり3人はちょっと……」

凛「物は試しだよ」

卯月「……初めてだけど頑張るよ」

モバP(愛が……重い……)

19: 2014/05/15(木) 00:37:53.00 ID:3dy7yFVAO
こんな苦労をしている全国のプロデューサー諸君に朗報だ。

なんと13人同時プロデュース体験が可能なアイドルマスターワンフォーオールが、本日バンダイナムコさんから発売されるぞ!

これであなたのプロデュース能力をシミュレーション!

みんなが君を待っている。

PS3で、プロデューサーをしてみないか?


凛「私は予約したよ」

卯月「私もです!」

医師「カウンセラーもイチオシさ!」

モバP「くぅぅ~疲れた……」

凛「あ、起きたんだ」

卯月「プロデューサーさん!3Pですよ!3P!」

モバP「PS3だけにな」

おしまい

26: 2014/05/15(木) 02:37:40.65 ID:nRtbxNgg0
抗鬱剤と酒はアカン


引用元: モバP「……今日は休みか」