502: 2013/02/26(火) 19:39:58 ID:8h53ZHGo
PM8:00

マヤ「それじゃ先に失礼します」

マコト「お疲れ様」ノシ

シゲル「お疲れ」ノシ


PM9:00 マヤ自宅

マヤ「ハァ…疲れた…」(帰宅後夕食準備)

PM9:32
マヤ「よい、しょっと…。いただきます」(ダイニングへ移動、ニュース見ながら食事を開始)

PM10:00
マヤ「ごちそうさまでした」(食事終了、後片付け開始)

AM0:00
マヤ「明日も早いから、さっさと寝よっと…」(入浴後、就寝)


前スレ『リツコ「ミサト、引っ越しして頂戴」 ミサト「え、2回目?」【前編】
503: 2013/02/26(火) 19:41:00 ID:8h53ZHGo
AM5:21
マヤ「」ムク(起床)

AM6:53
マヤ「さて、行きますか」(朝食⇒片付け⇒メイク⇒NERVへ出勤)

AM8:00
マヤ「おはようございます」(発令所到着)

マコト「おはようございます」

シゲル「おはよ」ゲッソリ

マヤ「青葉さん大丈夫ですか? 顔色悪いですけど…」

シゲル「ほぼ徹夜でね…」

マコト「昨日帰る間際にサーバーがトラブったらしくてね」

マヤ「あぁ…それは同情します…」

シゲル「復旧作業が完全に終わったのがつい30分前…」

マコト「呼び出しが多々ある情報局の悲しい所だよな…」

504: 2013/02/26(火) 19:41:50 ID:8h53ZHGo
PM10:00 NERV電算室
マヤ「それじゃ先輩、お先に失礼します」

リツコ「お疲れ様。遅くまでごめんなさいね、こっちの野暮用手伝わせてしまって」カタカタ(PCのキーボード)

マヤ「いえいえ、仕事ですから」

リツコ「今度どこかで埋め合わせしなきゃね」カタカタ

マヤ「そんな気を使わなくてもいいですって! 私と先輩の仲じゃないですか」

リツコ「そうはいかないわ。あなたには私のような女になってほしくないし」カタカタ

マヤ「? どういうことですか」

リツコ「仕事が恋人って意味よ。あなたもいい年なんだからいい人探しなさい」カタカタ

マヤ「あ、あはは…(汗)」

リツコ「…その様子だと、まだいい人はいないみたいね」

マヤ「は、恥ずかしい話ですが…」

505: 2013/02/26(火) 19:42:40 ID:8h53ZHGo
リツコ「明日と明後日はオフなんだから、ゆっくり羽を伸ばすといいわ」

マヤ「そ、そうですね…それじゃ失礼します」

リツコ「ええ」

プシュー(マヤ退室)

リツコ「…あの子、大丈夫かしら?」

プシュー(ミサト入室)

ミサト「リツコ~、ちょっちいい?」

リツコ「何?」

ミサト「この件なんだけど…」

リツコ「ん? ああこれね。これは…」

506: 2013/02/26(火) 19:43:34 ID:8h53ZHGo
3分後
ミサト「ん、アリガト」

リツコ「あなたももう上がり?」

ミサト「この件を報告したらね、後は家に帰っての子供たちの監督よ」

リツコ「食事をシンジ君達に作らせてよく言うわね」

ミサト「グ(汗)」

リツコ「報告書には記載ないけど、あなたの家での素行の悪さは彼らから聞いてるわよ?」

ミサト「げ、あの子たち人の知らないところで…!」

リツコ「"ビール飲みすぎ"、"悪酔いする"、"自室の部屋の掃除もしてほしい"」

ミサト「み、耳が痛い話だわ…」

リツコ「ま、学生時代から変わって無いってことはよくわかったけど」

ミサト「…腐れ縁って怖いわね」

リツコ「それはお互いさまよ」

507: 2013/02/26(火) 19:44:17 ID:8h53ZHGo
リツコ「でもいいじゃない? 家に帰れば暖かい食事と、暖かいお風呂と」

リツコ「暖かい賑やかな場所があるんだから」

リツコ「独身の身でそれらを持ち合わせるなんて、ミサトは恵まれてるわよ」

ミサト「…そうね。なんだかんだ言って、あの子たちはいい子だから」

リツコ「むしろあなたが手を出さないか心配よ」

ミサト「失礼ね! 私がそんなふしだらな女だと思ってるの!?」

リツコ「リョウちゃんと一週間、猿みたいな生活をしてたこと忘れた?」

ミサト「」(絶句)

リツコ「?」

ミサト「ひ、人の黒歴史を掘り起こさないで…」orz

リツコ「はいはい」ヤレヤレ

508: 2013/02/26(火) 19:45:11 ID:8h53ZHGo
リツコ「一人身としては、あなたの今の生活状況はうらやましい限りよ」

ミサト「アンタの場合は仕事が恋人でしょ…」

リツコ「仕事ができる女には、男が寄りつかないのよ」

ミサト「それを理由にしている時点で、自分の努力を放棄してるわね」

ミサト「"奇跡を待つより、地道な努力"なんて言ってたのは、どこの誰だったかしら?」

リツコ「私は私を求めてくれる素敵な男性がいるなら、一緒になりたいという気持ちは持ってるわよ」

ミサト「…ちなみその素敵な男に求める物って何?」

リツコ「そうね、ルックス、少なくとも私よりも高い身長、私よりも良い頭脳、一流の家事実務遂行能力、かしら?」

ミサト「…行き送れた三十路女が言う無茶な要求に聞こえるわ」

リツコ「昔の男を忘れられないあなたに言われたくないわよ」

509: 2013/02/26(火) 19:45:59 ID:8h53ZHGo
PM11:00
マヤ「フゥ…」(帰宅)

マヤ「あ、メール来てる…」

マヤ「…合コンかぁ…って、集合時間もう3時間もオーバーしてる」

マヤ「もうお開きになってるよね…」

マヤ「…ハァ…。みんな最近、私の事付き合い悪いって思ってるだろうなぁ…」

マヤ「………」

マヤ「……いい人かぁ…」

マヤ「…伊吹マヤ、24歳、いい人、なし…」

マヤ「……はたから見たらさみしすぎるよねぇ…」

510: 2013/02/26(火) 19:46:47 ID:8h53ZHGo
翌日 AM11:30 スーパー

マヤ(食料品の買い出し中)

マヤ「日によっては家に帰れないからなぁ…」

マヤ「食材を無駄にしたくないし…」

マヤ「と言って保存のきく冷凍食品やインスタントだけじゃ体に悪いし…」

マヤ(花嫁修業の意味で料理だけは妥協したくないもんねぇ…)

マヤ「あーどうしよう」

???「そういう時は一度にまとめて調理しておいて、冷凍しておけばいい」

マヤ「え?」

カヲル「そうすれば、後は再度火を通すだけで食べられるようになりますよ」

マヤ「な、渚君!?」

511: 2013/02/26(火) 19:47:49 ID:8h53ZHGo
カヲル「失礼、なにやら見知った顔がお悩みの様子だったので」

マヤ「そ、そうなんだ。でも君はいったい何でここに?」

カヲル「あちらを見てただけると助かります」つ

マヤ「あちら?」(視線を移す)


アスカ「何よあんた! これがだめだっていうの!?」
シンジ「あんまり無駄なもの買えないよ…」
マリ「資金の振り込み日は明日だからね…、給料日前日のぎりぎりってやつだニャ」
綾波「………」(商品棚を眺める)


カヲル「…ということです。ま、僕らも細々とした物の買い出し中なんですよ」

マヤ「そ、そうなんだ。いつもあんな感じなの?」

カヲル「いえ、今日は休みでみんな暇だったので。普段はシンジ君が受け持ってます」

マヤ「ふーん」


ギャーギャーギャー

マヤ(なんか、楽しそうだなぁ…)

512: 2013/02/26(火) 19:48:39 ID:8h53ZHGo
カヲル「? どうかされました?」

マヤ「え? あ! いや、なんでもないのよ」

カヲル「そうですか」

マヤ「でもシンジ君も大変ね。聞いた話じゃ、食事は全部彼が作ってるんでしょ?」

カヲル「ええ。料理スキルはシンジ君が一番高いですから」

カヲル「ほかのメンツも全くできないわけではないですけど、全員ドングリの背比べといった感じなので」

マヤ「へえ…」

カヲル「一説によると、料理のできる男性はモテルという話ですが?」

マヤ「う~ん…。普段料理なんかしていないような人が台所に立って」

マヤ「スマートに料理をこなす姿がかっこいいって言う人もいるけど…」

マヤ「私はそうでもないかな?」

カヲル「ふむ…」

513: 2013/02/26(火) 19:49:47 ID:8h53ZHGo
カヲル「なんでしたら、またうちのシェフの料理をごちそうになりますか?」

マヤ「え? い、いやいいよ! やめておきます!」

カヲル「なぜ?」

マヤ「だ、だっていきなりお宅にお邪魔しても困るだけじゃない!」

カヲル「家の掃除は今朝済ませました。家はきれいな状態です」

カヲル「まぁ、葛城さんの部屋に関しては自分でやっていただかないといけませんので」

カヲル「どうなのかは知りませんが」

マヤ「で、でも…食事の材料が」

カヲル「今いろいろと少ない予算でチョイスしている最中です。パイロット5人と葛城さん含めて6人分」

カヲル「6人が7人になったところで大した変化はありませんよ」

514: 2013/02/26(火) 19:50:42 ID:8h53ZHGo
マヤ「や、家主は葛城さんよね? 葛城さんの許可なくそんなことを決めていいの?」

カヲル「ふむ…」

カヲル「」スチャ(スマホ取り出し)

カヲル「」シュルシュル(ライン⇒送信)

マヤ「い、今何を?」

カヲル「30秒程お待ちください」

マヤ「さ、30秒? っていうか、NERV指定の携帯電話はどうしたの!?」

カヲル「持ってますよ? これは僕らが自前で料金支払いしているやつです」

マヤ「し、しかも最新型のスマホだなんて…(私持ってないのに…)」

515: 2013/02/26(火) 19:51:50 ID:8h53ZHGo
カヲル「NERVのやつはあくまで仕事用ですから」

カヲル「それに、プライベートな内容までNERVの支給品なんて」

カヲル「なんか嫌でしょ?」

マヤ「そ、それはそうだけど…」

ピンポーン

カヲル「返信来ましたね。…ふむ、予想通りの回答だ」

マヤ「よ、予想通り?」

カヲル「ええ」つスマホ画面

マヤ「?」ノゾキコミ


カヲル『伊吹マヤさんがさびしそうなので、今晩家に呼んでいいかな?』

シンジ『僕はいいよ?』
アスカ『別に良いんじゃない? 私は気にしない』
マリ『いいとも~♪ 面白ければALLオッケー♪』
綾波『私は構わない』

ミサト『承認します。引きずってでも連れてきなさい』

516: 2013/02/26(火) 19:55:50 ID:8h53ZHGo
マヤ「ええぇぇぇぇ…、みんなこんなにフランクだったけぇ…?」

カヲル「家は掃除済み、家主の了承も得た。後は」

マヤ「や、やっぱり私は」

マリ「ここまで来て」ガシ(右腕を拘束)

アスカ「逃げられると思ってるの?」ガシ(左腕を拘束)

マヤ「!?!?!? い、いつの間に!?」

綾波「私も」

シンジ「綾波が拘束に出る必要はないって…」

綾波「そう?」

シンジ「うん。そ、それはともかく、マヤさんにはテストの時いつもお世話になってますし」

シンジ「たまにはごちそうさせてください」

517: 2013/02/26(火) 19:56:43 ID:8h53ZHGo
マヤ「で、でも急にそんな」

マリ「一食分の食費が浮くと思えばいいニャ」

カヲル「そうですよ。うら若き乙女を一人でアパートに帰すなんて」

カヲル「そんな無粋なまねはできません。紳士として」

アスカ「アンタが紳士?」ジトー

マリ「似合わない言葉だよね、君には」ジトー

綾波「あなたは紳士じゃない」ジトー

カヲル「…だからそんな痛い視線を向けないでくれよ」

カヲル「興奮するだろ♪」

アスカ・マリ「するな!!」

518: 2013/02/26(火) 19:57:38 ID:8h53ZHGo
ギャーギャーギャー

マヤ「…ハハ、ハハハ…」

シンジ「?」

マヤ「あなた達の姿見てて、なんか学生時代を思い出しちゃった」

シンジ「そうですか?」

マヤ「私もあんな風にバカやってた頃があったなぁって」

シンジ「普段のマヤさんの姿からは、その頃の姿は想像できませんよ…」

マヤ「そうかな? まぁいいや。今日はシンジ君達の御言葉に甘えてお邪魔しちゃおうかしら?」

シンジ「そうしてください」

綾波「人の好意は素直に受け入れる。そして感謝の言葉を送る」

マヤ「レイ…」

綾波「あいさつと一緒、と葛城一佐は以前言ってました」

マヤ「…そうね。ありがとう」

519: 2013/02/26(火) 20:01:55 ID:8h53ZHGo
招かれたマヤ

彼女はミサトの家に入り驚愕の事実を知る

それはミサトの独裁か? それとも子供たちの暴走か?

次回『ミサトさん家は非常識?』

さてさて、次回もサービスサービスゥ♪


アスカ「誰が非常識だ!?」

シンジ「誰だって言及してないんだから怒らないでよ…」

525: 2013/02/27(水) 19:23:07 ID:3gvhooho
PM6:32 葛城宅

マヤ(…いろいろあって夕飯ごちそうになったわけですが…)チラ

シンジ(夕食準備中)

カヲル(風呂掃除中)

綾波・アスカ・マリ(洗濯物仕分け&たたみ中)

ミサト(テレビ見ながら晩酌準備中)

マヤ「…って! 子供たちがいろいろやってるのに、葛城さんはなにしてるんですか!!」

ミサト「何って、子供たちの監督よ?」

マヤ「………いやいやいやいやいや!」

マヤ「いくら監督するったって、お酒準備して飲む準備万端ですよ!?」

マヤ「こう言う下宿とか合宿所みたいなところの場合、お酒は子供の前で飲まないのが普通じゃないんですか!?」

アスカ「ほっときなさいよ」

マリ「ぶちょーさんのお酒への執着はすごいよ?」

綾波「止めるの無理」

マヤ(子供たちが匙投げてるぅぅぅ………)

526: 2013/02/27(水) 19:24:44 ID:3gvhooho
シンジ「マヤさんの言うことはもっともですけど、僕と共同生活始めた頃からこんなですから」

シンジ「気にしない方がいいと思います」

マヤ「シ、シンジ君まで…」

シンジ「それに飲んでる最中にお酒のストック切れたら、たとえ未成年者であっても買いに行かせますし」

マヤ「じ、自分じゃ行かないんですか!」

ミサト「………そういや行かないわね、飲んでる時は」

マヤ「えぇぇぇぇ…」

ミサト「ま、いいじゃないの。本人達も気にしてないみたいだし」

マヤ(そんなことあるの…?)チラ

シンジ・綾波・アスカ・マリ「…フゥ」

マヤ(……あれは気にしてないんじゃない)

マヤ(諦めてるんだ)

527: 2013/02/27(水) 19:25:29 ID:3gvhooho
マヤ「…私、葛城さんは家でもしっかりしてると思ってました」

ミサト「それは偏見よ。人間だれしもONとOFFがあるんだから」

カヲル「たしかに、葛城さんのOFFの姿を見た事無いなら」(風呂掃除終わった)

カヲル「ショック受けても仕方ないかもしれませんね」

マヤ「幻滅です」

ミサト「ウワ、アンタ潔癖症ねー」

マヤ「否定はしません」

綾波「潔癖症?」

マリ「少しの不正や穢れも許せない人のことだニャ」

アスカ「要は融通が利かないのよ。いろいろ苦労するタイプよね」

マヤ「」orz

529: 2013/02/27(水) 19:26:32 ID:3gvhooho
ミサト「しっかりなさい。潔癖症って言う人間性は悪いわけではないんだから」

マヤ「葛城さん…」パァァ…

ミサト「あなたは今の真っ白なあなたを貫きなさい」

マヤ「はい!!」

ミサト「んでもって、私が汚いことをいろいろ仕込んでやるからw」

マヤ「え?」

カヲル「なるほど。清廉潔白の物が少しずつ堕ちていく様は、確かに燃えます」

マヤ「ちょ!?」

ミサト「さすが変人のカヲル君、わかってるじゃない♪」

カヲル「お褒めいただき光栄ですよ」

マヤ「今の褒める事柄ですか!?」

530: 2013/02/27(水) 19:27:45 ID:3gvhooho
アスカ「あいつはいつもああだから」

マリ「あたしらは見慣れてるもんねー」

綾波「今更」

マヤ「」

シンジ(職場と家にいる時の姿のギャップに苦しんでる…)

マヤ「…シンジ君。私、人間不信になりそう…」

シンジ「い、家ではあぁですけど職場ではきっちりしてるじゃないですか」

シンジ「どちらもミサトさんの姿ですよ。悪い人じゃないことは間違いないわけですし…」

マヤ「そ、そうね。人間4つの窓(明るい窓、暗い窓、隠され窓、見えない窓)持っているって言うものね!」

マヤ「たまたま今まで見えなかった窓が見え」チラ

ミサト・カヲル「」ニタニタ(男と男がくんずほぐれつしてる表紙の本をマヤに向かって見せる)

マヤ「見たくないィィィ~~!!(涙)」

531: 2013/02/27(水) 19:28:42 ID:3gvhooho
13分後

マヤ「フケツフケツフケツフケツフケツフケt」ガタガタガタガタ…

アスカ「あーあー、ミサトってばなんてことしてくれるのよ…」(洗濯物片付け終わり)

マリ「あたしらまで疑われかねないじゃん」プンプン

綾波「最低」

ミサト「やりすぎました」(土下座)

カヲル「申し訳ない。つい布教活動に熱が入ってしまった」(土下座)

シンジ(布教活動って…(汗))

アスカ「まったく…って言うかこんな本、どっから持ってきたのよ?」

カヲル「僕の秘蔵品♪ BL雑誌"やらないか?"」

マリ「うわぁ…、こう言うの初めてみた…」ペラッペラッ

カヲル「すごいだろう?」ニヤリ


綾波「碇君?」

シンジ「な、なんでもない…(頭痛くなってきた)」orz

532: 2013/02/27(水) 19:29:31 ID:3gvhooho
PM7:17

ミサト「それじゃ気を取り直して、全員合掌!」

一同「いっただきま~す」

ミサト「んぐッ! ッグッ! んぐッ!! ぶっはぁぁぁあぁぁぁ!!! くぅぅぅ! うまい!!」つビール

アスカ「今日はエビフライか」サクサク

マリ「わんこ君の料理はいつもおいしい♪」モクモク

綾波「そうね」モグモグ

カヲル「愛情が詰まってるからね」

シンジ「あ、ありがとう…別に特別な感情を込めてるけじゃないけど」

マヤ「シンジ君が何でこんなに正常なのか不思議でならないわ…」ブツブツ

533: 2013/02/27(水) 19:30:46 ID:3gvhooho
シンジ「マヤさん、料理はお口に合いましたか?」

マヤ「…シンジ君の料理は前に一度食べてるから、心配しなくて大丈夫」

マヤ「むしろ私ももっと料理の腕を磨かないといけないなって思ったところ」

シンジ「そうですか、よかった」ニコ

アスカ「アンタね、料理のハードル挙げてるのわかってるの?」

シンジ「そうなの? 僕はレシピ通りに作っただけなんだけど…」

アスカ「男が女よりも料理がうまいなんて普通あり得な」
マリ「…隙あり!!」(アスカの皿のエビフライを取りにかかる)

パシッ!!(アスカ:箸できっちりガード)

アスカ「…隙なし」ニヤリ

マリ「グゥ…」

ミサト「アスカも箸の使いかたうまくなったわねぇ…」グビグビ

マヤ(えぇぇぇ…? 指摘すべき点はそこじゃないんじゃ…?)

534: 2013/02/27(水) 19:32:04 ID:3gvhooho
カヲル「確かに1対1なら勝ったね」ヒョイ

アスカ「あ」

カヲル「でも漁夫の利は取られる、と」パク

アスカ「あああああ! あぁたぁしぃのエェビィフゥラァイィィィィ!!」

マリ「…君も人が悪いね。漁夫の利なんて」

カヲル「隙を見せる方が悪い」

アスカ「んな泥棒側の理屈が通るかっちゅーのーーーッ!!!」


ギャーギャーギャーギャー


ミサト「また始まったわね」

綾波「ええ…」

マヤ「…またって(汗)」

535: 2013/02/27(水) 19:33:09 ID:3gvhooho
シンジ「しょうがないな…」(台所へ移動)

マヤ「シンジ君?」

シンジ「追加がほしい人は本数言って。まだあるから」(冷凍庫から大きいタッパを取り出す)

(タッパいっぱいにエビフライ(揚げる前))

アスカ「だったら最初からいっぱい揚げなさいよ!!」(追加3)

マリ「残っても仕方ないからじゃない?」(追加1)

カヲル「明日は学校ないし、お弁当にも使えないからね」(追加2)

綾波「考えてるから」(追加0)

ミサト「さすがシンちゃん♪」(追加2 山椒付き)

マヤ「………」

マヤ(…慣れたというか、たくましいというか)

マヤ(…シンジ君も変わったなぁ…)

536: 2013/02/27(水) 19:34:16 ID:3gvhooho
夕食後

マヤ(なんかすっごいあわただしかったなぁ…)

マヤ(一人暮らし始めて以降、飲み会以外であんな馬鹿騒ぎ見たの初めてだっけ)

マヤ(…圧倒されるなぁ)

綾波「…あの」

マヤ「?」

綾波「どうぞ」つティーカップ

マヤ「あ、ありがとう…。紅茶? これ、あなたが?」

綾波「はい」

マヤ「へぇー、しかもティーカップの絵柄はピーター・ラビットだ」

マヤ「かわいいの持ってるじゃない」

綾波「メガネの人に勧められて買いました」

537: 2013/02/27(水) 19:34:58 ID:3gvhooho
マリ「紅茶と言えばUK、UKを代表する世界的キャラクターと言えばピーター・ウサギっしょ?」

綾波「だそうです」

マヤ「そっか、ありがとう」

マヤ「それにしても、なんで紅茶を?」

綾波「碇君は料理担当」

マヤ「そうね」

綾波「私は大きな仕事を持ってない」

マヤ「うん」

綾波「だから、飲み物担当をやろう、って」

538: 2013/02/27(水) 19:35:50 ID:3gvhooho
マヤ「…それは、自分から?」

綾波「………はい」

マヤ「へぇ…、そっかそっか。それじゃまだ修業中なのね?」

綾波「はい」

マヤ「それじゃ、味見させてもらうわね」

綾波「はい」

マヤ「」ゴク…

綾波「」ドキドキ

マヤ「…私にはちょっと苦いかな、でも上出来♪」

綾波「」///

539: 2013/02/27(水) 19:36:43 ID:3gvhooho
PM9:51

マヤ「あ、もうこんな時間なんだ。いい加減帰らなきゃ」

シンジ「送って行きましょうか?」

マヤ「ありがとう。でも大丈夫よ」

ミサト「伊吹二尉! 命令です」

マヤ「え? い、いきなりなんですか?」

ミサト「今日は泊っていきなさい」

マヤ「ええぇぇ!? で、でも」

ミサト「祭りは最後まで楽しみなさい!」

マヤ「祭りって…」

ミサト「一人暮しなんだし、どうせ家に帰っても誰もいないんでしょ?」

ミサト「時間も時間でいろいろトラブルあったらまずいし、ね」

マヤ「しかし…」

540: 2013/02/27(水) 19:39:00 ID:3gvhooho
アスカ「泊めるったって、どこに?」

ミサト「言い出したのは私だから私の部屋に」

アスカ「そう」ガシ(ミサトの右腕を拘束)

マリ「んじゃ部屋の掃除しなきゃね」ガシ(同じく左腕を拘束)

ミサト「あ」

アスカ「ったく、今日は仕事が多いわ…」ズルズル

マリ「この人の部屋掃除するのって毎回大変だもんニャぁぁぁ…」ズルズル

ミサト「アーレー(棒)」ズルズルズルズル

マヤ「え、えーと…」

シンジ「…予備の布団の用意をしよ」

綾波「…予備のパジャマ」

マヤ(言われるまでもなく動いてる…)

カヲル「30分程お待ちください、寝床の準備できると思いますので」

マヤ「そ、そう…」

541: 2013/02/27(水) 19:40:28 ID:3gvhooho
PM11:43 ミサトの部屋

マヤ「な、なんか流れ流されこんな状況に…」

ミサト「いいのいいの、気にしない気にしない」カタカタ(PCのキーボード)

マヤ「ですが…、って、何をされてるんですか?」

ミサト「パイロット達の様子についての報告書」カタカタ

マヤ「こんな時間からですか!?」

ミサト「そんな長々とやらないわよ。よし、終わりっと」

ピンポーン (メール送信)

マヤ「は、速い…」

ミサト「こういうのって、一回でも出し忘れると後々めんどくさくなるからね…」

ミサト「日々やってかないと」

マヤ「そ、そうですか…」

ミサト「リツコが言っている"奇跡を待つより、地道な努力"ってやつよ」

ミサト「努力なんて程の事でもないけど、ね」

マヤ「………」

542: 2013/02/27(水) 19:41:36 ID:3gvhooho
ミサト「? どしたの?」

マヤ「い、いえ何と言うか、さっきと態度が違って真剣だったので」

ミサト「そう?」

マヤ「なんか、いろいろ顔使い分けてずるいです」

ミサト「…ま、これも受け売りなんだけど"大人はずるいくらいが丁度良い"のよ」

マヤ「そういう物ですか…」

ミサト「そういう物よ。でさ、どうだった?」

マヤ「? 何がですか?」

ミサト「うちの子供達と一緒にいて、どうだった?」

マヤ「どうって言われても…」

ミサト「別に取って食おうなんて思ってないから、何言っても大丈夫だってw」

マヤ「………」

543: 2013/02/27(水) 19:43:18 ID:3gvhooho
マヤ「…私は、今一人暮らしなので」

マヤ「家に帰っても誰もいません」

ミサト「うん」

マヤ「だから、家に帰って」

マヤ「今日みたいにみんなで集まって食事したりバカやったりって言うのは」

マヤ「とっても久しぶりでした」

ミサト「そう」

マヤ「…だから、楽しかったです。…ちょっと幻滅したところもありますけど」

ミサト「完璧なことなんてないのよ? "ちょっと"幻滅する程度ならそんなの数えるうちに入らないわ」

マヤ「…そうですね」クス

ミサト「こっちもお客さまには満足してただけたようで、良かった」

マヤ「はい!」

ミサト「また来週から、色々とよろしくね♪」

マヤ「はい! こちらこそ!!」

544: 2013/02/27(水) 19:45:18 ID:3gvhooho
マヤ「次回お邪魔するときは先輩も連れて来ないと」

ミサト「リツコ来るかしらねぇ… あいつなんだかんだでNERVに籠りっきりだし…」

マヤ「その時は私も協力しますから」

ミサト「腹心に裏切られるとは…」

マヤ「かどわかしたのは誰ですか!?」


ミサトの部屋 ドアの廊下側


キャッキャ

アスカ「…とりあえず問題ないみたいね」

マリ「問題を起こすコンビでもないっしょ? 変な化学反応起こすようなタイプじゃないし」

綾波「二人とも大人」

カヲル「いろいろやりすぎたかと心配したけど」

シンジ「取り越し苦労でよかったね」

545: 2013/02/27(水) 19:50:40 ID:3gvhooho
というわけでマヤ来客編完

全体を通して読むとミサトとリツコ(同僚)の関係と
ミサトとマヤ(上司と部下 厳密には違うが)の関係を書いてみた

ミサトさんダラダラしてるわりに仕事はきっちりやってる…のか?
後葛城宅の実情はまぁ…たぶんこんなだったら皆”えー?”て思うと思う

んじゃ次よろしく

後職人さん募集ちゅー♪

560: 2013/03/07(木) 20:48:32 ID:mhJhq9vs
夕方 スーパー(帰宅時に夕食の材料買い出し)

アスカ「ねぇバカシンジ」

シンジ「…こう言う人の多いところでその呼び方はやめてほしんだけど…、何?」

アスカ「この国旗みたいな三色の"これ"はなに?」

シンジ「?」

アスカ「これよこれ!」

シンジ「ああ、菱餅のことか」

アスカ「菱餅?」

シンジ「雛祭りの時に食べる和菓子だよ」

アスカ「へー、これ食べれるんだ」

561: 2013/03/07(木) 20:49:20 ID:mhJhq9vs
アスカ「んで、その"雛祭り"って言うのはなによ?」

シンジ「3月3日に女の子の成長を願ってやる行事なんだ」

シンジ「ちなみに男の子は5月5日だね」

アスカ「男のことなんてどーだっていいわ」

シンジ「…そうだね」

シンジ(…なんか、嫌な予感がする…)

アスカ「ドイツにはそんな行事ないけど?」

シンジ「日本独自の文化なのかな?」

シンジ「中国とかでそういう年中行事をやるって話も聞かないし」

アスカ「そーいう知識は中途半端なのね」イラ

シンジ「僕男だからあんまり知らないよ…」

562: 2013/03/07(木) 20:50:15 ID:mhJhq9vs
アスカ「まぁいいわ。要は、"女の子の成長を願う祭り"なのよね?」

シンジ「そ、そういうことになる…の…かな?」

アスカ「よし、んじゃ3月3日は雛祭りのお祝いよ!!」

シンジ「えぇ!? い、いきなり言われても」

アスカ「何よ! アンタあたしを祝う気ないってーの!?」

シンジ「お祝いするって言ったって、ミサトさんのところにひな人形とかあるのかな?」

アスカ「ひな人形?」

シンジ「雛祭りの時に飾る人形なんだ」

アスカ「そんなのまであるの?」

シンジ「うん。大きい奴だと7段飾りとか」

アスカ「7段…? それどれぐらいの大きさ?」

シンジ「1段当たりアスカのクローゼットの一番下の引き出しぐらいの高さ」

シンジ「それが7段あるのを想像してみて」

アスカ「…ゴージャスね」

563: 2013/03/07(木) 20:50:52 ID:mhJhq9vs
シンジ「うん。そんな大きさだから当然場所も取る関係で」

シンジ「最近は持ってる人も少ないと思う」

アスカ「ふーん…」

シンジ「ま、まぁ食事の点は頑張ってみるよ。菱餅とちらし寿司と…」

アスカ「バカシンジ」

シンジ「?」

アスカ「あたしちょっと寄るところがあるから、先に帰っていいわよ」

シンジ「そ、それは構わないけど、どこに行く気?」

アスカ「男はレディーの行動を詮索するな!」

シンジ「ハイハイ…」


アスカ「」スチャ シュルシュル(スマホ取り出し⇒電話)

アスカ「あ、もしもしヒカリ?」

564: 2013/03/07(木) 20:51:44 ID:mhJhq9vs
葛城宅(アスカの帰宅を待たず夕食開始)

シンジ「…と、言うことがありまして」

ミサト「雛祭りかぁ…懐かしいわねぇ…」グビグビ

マリ「UKにもそんな風習は無いにゃ。ぶちょーさんもやったことあるの?」

ミサト「んーにゃ、私はなかったわ」

ミサト「大体うちの家系はそんな古臭い習慣を守るような家系でもなかったし」

綾波「………」モグモグ

カヲル「ま、男の僕には全く関係ない話ですか」

ミサト「ただアスカがなんかこそこそやってるのは気になるわね…」

マリ「姫の事だからまた好奇心で行動開始しちゃったんじゃニャいの~?」

シンジ「かもしれないね」

綾波「碇君、2号機の人はひな人形を見たの?」

565: 2013/03/07(木) 20:53:00 ID:mhJhq9vs
シンジ「え? 見てないはずだよ。スーパーにそんなの置いてなかったし…」

ミサト「今時ひな人形なんて、どこの家庭にも置いてないわよ」

ミサト「せいぜい、催し物で展示されているのを見るぐらいしか手はないはず」

ミサト「後は昔ながらの家系が持ってるとか、ね」

綾波「貴重なもの、なんですか?」

ミサト「貴重よ。なんせ、生産拠点だった関東地域はほぼ壊滅してるじゃない」

ミサト「細々と生産続けるにしても、今の世代の人間はそれどころじゃないし…」

カヲル「たしかに、日々を生きることに手一杯ですしね」

マリ「…君、もしかして姫はひな人形を探しに行ったと?」

綾波「知らないことを知る。好奇心とはそういう物」

マリ「まぁね…。私の7段飾りってやつを見てみたいわ…」

タダイマー

シンジ「あ、アスカ帰ってきた」

566: 2013/03/07(木) 20:53:49 ID:mhJhq9vs
ミサト「おかえりアスカ、ちなみにどこに行ってきたの?」

アスカ「ヒカリの家。ひな人形があるかどうか見に」

カヲル「電話して持ってるか聞けばよかったのに…」

アスカ「善は急げってやつよ!」

マリ「んで、結局7段飾りは拝めたのかニャ?」

アスカ「…ヒカリのところは持ってなかったわ」

綾波「行くだけ無駄」

アスカ「うるさいわよ!!」

シンジ「まぁまぁ…」

アスカ「ヒカリは三人姉妹だから持ってると思ったのに!」

ミサト「ハイハイ、そんな人ん家の事情に文句言わないの」

567: 2013/03/07(木) 20:54:38 ID:mhJhq9vs
シンジ「でも後ひな人形を持ってそうなところとなると…」チラ

アスカ「」←ドイツ育ち

マリ「」←イギリス育ち

綾波「」←NERV育ち

ミサト「」←日本育ち、だが持ってない

カヲル「」←男なので不要

シンジ「う~ん、誰か持ってるのかなぁ…」


カヲル「………なんか、上の書き方だと僕が不要みたいじゃないか?」

アスカ「今更気づいた?」

マリ「姫、オブラートに包んで!」

カヲル「」

568: 2013/03/07(木) 20:55:54 ID:mhJhq9vs
シンジ「…あ、そうだ」

綾波「?」

アスカ「持ってるやつ思い出した!?」

シンジ「い、いや…」

アスカ「はっきりしなさいよ!!」ガクガク(シンジの肩を掴んで前後に揺らす)

シンジ「あ、明日学校で確認するから!」

マリ「学校?」

カヲル「委員長は持ってないんだろ?」

ミサト「あ、なるほど。新しい彼女かww」

綾波・アスカ・マリ「」ギロ

シンジ「み、ミサトさん変なこと言わないでください!!」

アスカ「じゃあ誰に確認するのよ!!」

569: 2013/03/07(木) 20:57:25 ID:mhJhq9vs
翌日 学校の教室

トウジ「ひな人形? ウチあるで」

アスカ「なんで男のあんたがそんなもの持ってるのよ!!」

トウジ「ワイのやない」

綾波「…どういうこと?」

マリ「君のじゃなかったら誰のかニャ?」

トウジ「ワイの妹、鈴原サクラのや!」バーン!(胸を張る)

カヲル「鈴原君には妹いたんだ。知らなかった」

トウジ「まぁ年も離れとるさかいの」

シンジ「トウジに妹さんがいるのは僕も聞いてたから」

トウジ「それについ一月ほど前まで入院しとったし」

シンジ「その原因は僕だしね…」

570: 2013/03/07(木) 20:58:49 ID:mhJhq9vs
マリ「もしかして、犬よろしくわんこ君妹さんを襲っちゃったとか?」

アスカ「…バカシンジ、アンタまさか」

綾波「碇君…」

カヲル「君もこっち側の人間だったんだね…」ニヤリ

シンジ「おねがい、僕を置いて考えを巡らせないで。お願いだから僕の話を聞いて」

ケンスケ「シンジが初めてエヴァで出撃した時、建物の倒壊に巻き込まれてけがしたんだよ」

綾波「カメラの人?」

ケンスケ「それが原因でトウジはシンジを殴ったんだけど…」

ケンスケ「ま、今のなってはご覧のとおり仲直りしたってわけ」

マリ「な~んだ、要はただ怪我しただけじゃん」

トウジ「ただ怪我しただけ言うけどな、家族からすりゃ大問題やで?」

トウジ「おとんも損害賠償がーだの、保障がーだのそん時はいろいろ言いよったし」

トウジ「娘の体や将来を心配すんのは、親として当然やろ」

571: 2013/03/07(木) 21:00:13 ID:mhJhq9vs
アスカ「フン! 守ってもらっておいてなんて態度よ!」

カヲル「それは守る側の理屈だよ。そもそも巻き込まれた人間からすれば」

カヲル「"こんなところで戦うな"とか"巻き込むな"ってなるだろうし」

アスカ「あたしたちは氏ぬかもしれない戦いをしてるのよ!?」

マリ「でもさ、健康な人が脚一本なくしたり、脊髄損傷して全身マヒになってたらそれ言えないよ?」

マリ「守るんだったら、可能な限り被害を少なくしないと、結局守った側のうちらが非難の対象になるんだからね」

マリ「ま、今までそういうことを言われたことって一度もないけどさ」

マリ「"命があるだけマシ"って考えは、案外危険だと思うよ?」

アスカ「むぅぅぅぅ…」

トウジ「…まぁ、幸いサクラは怪我しただけで、今はぴんぴんしとるわ」

トウジ「…シンジ、あんときは殴って悪かった。守ってくれてありがとな」

シンジ「その話はもうしないって、トウジが言ったんじゃないか」ニコ

トウジ「せやったな、スマンスマン」ニカ

572: 2013/03/07(木) 21:01:30 ID:mhJhq9vs
綾波「…良い話?」

ケンスケ「良い話っつーか…まぁ、仲直りした話」

綾波「そう」

トウジ「それはそうと、ひな人形見るんやったら今日内に来いや。見せたる」

アスカ「…家汚くないわよね?」

トウジ「己は見せてもらう立場でなんつー物言いやねん!」

アスカ「このあたしが、わざわざアンタの家に行くってーのよ! きれいにしとくのは当然でしょ!」

トウジ「見せろっつーたのはお前やないか! それが人にものを頼む態度か!!」

アスカ「ジャージのくせに生意気よ!!」

トウジ「なんやとぉぅ!!」

ギャーギャーギャー

573: 2013/03/07(木) 21:02:13 ID:mhJhq9vs
マリ「アーアーアー、また始まった…」

カヲル「彼女ってなんであぁもけんか腰なんだろうね?」

綾波「ツンデレだから」

マリ「いや、その一言で片づけるのはどうかと…」

シンジ「と、とにかく今日はトウジの家に行ってひな人形を見せてもらおうよ」

アスカ「…良いわ、そんだけ言うんなら相当立派なものだろうし!」

トウジ「あったりまえやないかい! 目に物見せたるわ!!」


カヲル「…はてさて、どうなる事やら…」

574: 2013/03/07(木) 21:03:09 ID:mhJhq9vs
放課後 鈴原宅

サクラ「鈴原サクラです! よろしゅう!」ニカ

マリ「おー♪ お兄ちゃんとは違って教育が行き届いててるね~(笑)」ナデナデ(サクラの頭をなでる)

サクラ「えへへ♪」

トウジ「妹をほめられるンはええが、ワシがけなされとるのが何とも…」

シンジ「でもやっぱり兄妹だね、口元がそっくり」

アスカ「あんた、こんなバカ兄貴みたいに育っちゃだめよ」

サクラ「まったくです、兄ちゃんはズボラでっから」

トウジ「誰がズボラや!」

575: 2013/03/07(木) 21:03:47 ID:mhJhq9vs
マリ「君いくつ?」ナデナデ

サクラ「8歳!」

アスカ「ちっこいくせにしっかりしてるわね~」ナデナデ

キャッキャッ

トウジ「コラー! ワイを置いて話を進めるなー!!」

カヲル「やれやれ」

綾波(…兄妹)

綾波(同じ両親から生まれた遺伝子的にほぼ同じ存在)

綾波(妹)

綾波(自分よりも後に生まれた自分と同じ遺伝子を持つ存在)

綾波(………)

サクラ「あの…、どうかされました?」

綾波(………かわいい)ナデナデ

576: 2013/03/07(木) 21:04:37 ID:mhJhq9vs
シンジ「で、ひな人形はどこにあるの?」

トウジ「おお、せやったせやった。それが目的やった」

カヲル「かわいい妹さんの登場にみんな意識を持っていかれてしまっていたからね」

トウジ「妹はやらんぞ!!」

カヲル「元より興味がないから大丈夫」

トウジ「さ、さよか…(そういやこいつは特殊やった…)」

シンジ「あ、あはは…(とりあえず愛想笑いしとこ…)」

アスカ「んで! その肝心のひな人形はどこにあるのよ!!」

サクラ「こっちです」テクテク

アスカ「いよいよね…」ワクワク

577: 2013/03/07(木) 21:05:39 ID:mhJhq9vs
サクラ「これです!!」

ドーン!!(豪勢な七段飾り)

アスカ「ウワ…」

マリ「ヒュー! こりゃまた…」

綾波「人形がいっぱい…」

トウジ「…どないや」ドヤ

カヲル「なるほど、確かにドヤ顔するほどの価値はありそうだ」

トウジ「当たり前やないかい!」フフン

サクラ「兄ちゃんのじゃあらへんで、これ」

トウジ「んなんわかとるって」

シンジ「すごいねこれ…」

トウジ「準備とかかたづけとかも結構大変やけどな…」

578: 2013/03/07(木) 21:07:13 ID:mhJhq9vs
………

シンジ「準備できたよ」つちらし寿司&吸い物(台所を借りて料理)

アスカ「遅い!」

マリ「だったら姫も手伝えばいいのに…」

綾波「一人でやるより、みんなで準備した方が効率的」

アスカ「…言ってくれるわね」

カヲル「まぁまぁ、出かけた先でまで喧嘩する必要はないだろ?」

マリ「そそ、なんてったって目の前にわんこ君お手製の雛祭り料理があるわけだしwww」

アスカ「フン! 今回は勘弁してあげるわ!」


サクラ「…兄ちゃん」

トウジ「ん?」

サクラ「この人たち、学校でもこんななん?」

トウジ「こんなやな…」

サクラ「さよか…」

579: 2013/03/07(木) 21:08:54 ID:mhJhq9vs
イッタダキマース

サクラ「おいしい! 碇はん料理上手いですね」

シンジ「ありがとう」ニコ

トウジ「センセの料理は相変わらず見事なもんやねぇ…」

マリ「うちらこれ毎食食べてるからね」

カヲル「セカンドが骨抜きにされるのも納得だよ」

アスカ「誰が骨抜きよ!!?」

トウジ「己じゃw」

アスカ「このジャージがぁぁっ!!」

マリ「食べながら叫んでも説得力無いにゃ…」

綾波「」モグモグ

綾波(いつもの料理と味付け違うけど、おいしい…)

580: 2013/03/07(木) 21:09:53 ID:mhJhq9vs
サクラ「でもこのひな人形、明日には片付けないと」

アスカ「? どういうこと」

トウジ「昔から言われとんねん。"ひな人形を片付けるのが遅れると結婚が遅れる"ってな」

マリ「へぇ…」

カヲル「それは初耳だ」

シンジ「その話は僕も聞いたことあるよ。結構有名だよね」

綾波「…葛城一佐は」

シンジ「え?」

綾波「葛城一佐はひな人形を片付けるのが遅れたから、結婚が遅れてる?」

アスカ「ミサトは持ってないんでしょ? それにそんな迷信信じてどうするのよ」

マリ「つかさ、それ言ったら赤城博士だって一緒じゃん」

カヲル「左近の晩婚化の流れをそんな迷信で片づけるのもどうかと思うけどね」

綾波「…そうね」

581: 2013/03/07(木) 21:15:26 ID:mhJhq9vs
アスカ「でもミサト達が結婚しない理由がこれにあるってーのも…」

マリ「笑い話にはなるにゃww」

カヲル「葛城さんの場合、掃除、料理、洗濯まるで駄目じゃないか」

カヲル「あれじゃ嫁の貰い手なんていないよ。いくら美人でも」

シンジ「ミサトさんには加持さんいるし…」

アスカ「そしたらリツコ一人負けじゃないの!」

マリ「わんこ君赤城博士disったww」

綾波「あの人は仕事が恋人って言ってた」

サクラ「…私はそんな大人になりたくない」

トウジ「ワシはお前を嫁に出しとうない!!」

アスカ「このシスコン!」

トウジ「うるさいわい!」

アハハハハハ…

582: 2013/03/07(木) 21:16:19 ID:mhJhq9vs
同時刻 NERV本部

ミサト「へっくし!!」

リツコ「クシュン!!」

ミサト「…何よ? つられてくしゃみなんて聞いたこと無いわよ?」グシグシ(鼻をこすりつつ)

リツコ「私だって一緒よ」チーン!(ティッシュで鼻をかむ)

ミサト「誰かあたしらの噂でもしてるのかしら?」

リツコ「かもね。こう言う時の噂って大抵良い内容ではないけど」

ミサト「結婚できないとか?」

リツコ「…やめてちょうだい」

583: 2013/03/07(木) 21:21:54 ID:mhJhq9vs
つーわけでひな祭り編でした。
ご希望通りになってるかいろいろ不安ですが、自分なりには形にしたつもり

しかし、Qで初めて声が付いたサクラを出すことになるとは思わなかった…

592: 2013/03/17(日) 08:52:11 ID:fJyl.LnI

葛城宅 リビング



シンジ「…………」 ウ~ン…

シンジ「……よし」

シンジ「…………」 サラサラ…

ミサト「んー? シンジくん?」

シンジ「あ、ミサトさん」

ミサト「何してるの?」

シンジ「学校の宿題です」

シンジ「俳句をいくつか考えないといけなくて……」

593: 2013/03/17(日) 08:53:10 ID:fJyl.LnI

ミサト「ほうほう、それでリビングに?」

シンジ「なんて言うか、開放感があっていいかな、と思って」

ミサト「ちなみにどんな句を考えたの?」

シンジ「え!?」

シンジ「ちょ、ちょっと、恥ずかしいので……」 ///

ミサト「いいじゃない、聞かせてよ、シンちゃん」 クス

シンジ「…………」 ///

シンジ「じゃ、じゃあ、ちょっとだけ……」 ///

ミサト(いいビールのアテが出来たわね♪)

594: 2013/03/17(日) 08:54:22 ID:fJyl.LnI

シンジ「それじゃあ、詠みます」

ミサト「うん」


     まどろみの 中で香る 草木かな


シンジ「ど、どうでしょう?」

ミサト「うん、いいんじゃない?」

ミサト「なんとなくだけど、情景が浮かんできたわ」

ミサト「毎日暑くて、ぼーっとしてる中で」

ミサト「夏草の匂いを感じてる……ってトコかしら?」

シンジ「ええ、そんな感じです、ミサトさん」

595: 2013/03/17(日) 08:55:23 ID:fJyl.LnI

綾波「碇くん」

シンジ「綾波?」

綾波「とても上手」

シンジ「……え?」

綾波「俳句」

シンジ「ああ……さっきの聞いてたの」 ///

綾波「私には、かなり難しい」

綾波「考えても考えても」

綾波「言葉のその意味でしか表現できない……」

ミサト「へー、レイも考えたんだ?」

綾波「…………」 コクッ

シンジ「どんな風になったの?」

ミサト「私も聞かせて欲しいなー」

596: 2013/03/17(日) 08:56:09 ID:fJyl.LnI

綾波「じゃあ……」


     炎天下 それでも人は 生きている

     蒸し暑い 汗が吹き出す 止まらない


シンジ「…………」

ミサト「…………」

綾波「どう……かしら? 碇くん」

シンジ「う、うん……ちゃんと季語は入ってるね」

ミサト「そうねー。 わかりやすくて私は好きだなー」

綾波「…………」

綾波(……やっぱり、微妙?)

597: 2013/03/17(日) 08:57:22 ID:fJyl.LnI

マリ「おりょ? ワンコくん、部屋じゃなくて、ここに居ましたか」

シンジ「マリさん」

綾波「メガネの人……もしかして、俳句?」

マリ「ご名答~」

マリ「ワンコくん、助けて~」

シンジ「……とりあえず、どんなのを詠んだの?」

マリ「こんな感じ」


     ひまわりが とっても元気に 咲いている

     朝顔が とっても元気に 咲いている


ミサト「……レイより酷いわね」

シンジ「ミ、ミサトさん……!」

598: 2013/03/17(日) 08:58:32 ID:fJyl.LnI

マリ「しょーがないにゃー」

マリ「言語圏が、全く違う国の言葉遊びなんだしー」

シンジ「…………」

ミサト「……という事は」

綾波「弐号機の人は……もしかしたら、もっと酷い?」

     トコ トコ トコ…

アスカ「あー、喉が渇いた」

アスカ「って、何? リビングに集まって……」

マリ「国語の宿題を相談してたにゃ」

アスカ「ああ……あれね」

599: 2013/03/17(日) 09:00:15 ID:fJyl.LnI

綾波「弐号機の人」

綾波「どんな俳句になったの?」

ミサト「私も興味あるなー」

マリ「あたしもー」

シンジ(僕も、ちょっとだけあるなぁ)

アスカ「えー? ……もう、しょうがないわね」

アスカ「耳の穴をかっぽじって、よぉーく聞きなさいよ?」


     クソ暑い ああクソ暑い クソ暑い

     蒸し暑い ああ蒸し暑い 蒸し暑い


ミサト「ぶふぉっ!?」

シンジ(これは……酷い……) プッ…クッ…

マリ・綾波(二人の反応からして、相当酷いみたいね……)

600: 2013/03/17(日) 09:01:22 ID:fJyl.LnI

アスカ「ちょ!? 何で吹き出してるのよ! ミサト!」

ミサト「だ、だって……アハハ……!」

アスカ「バカシンジも何、笑いをこらえてるのよ!?」

シンジ「イエ、ソンナコト、ナイデスヨ?」 プッ…クッ…

アスカ「ぐっ……! ギギギッ……!」 ///

     テク テク テク…

カヲル「? どうしたんだい? 何だか賑やかだね」

綾波「ホ〇の人」

マリ「今日の宿題の事でねー」

カヲル「ああ……俳句ね」

601: 2013/03/17(日) 09:02:45 ID:fJyl.LnI

アスカ「ホ〇ル! あんたのは、どんな俳句なの!?」

カヲル「な、なんなんだ、いきなり……セカンド?」

アスカ「いいから! あんたの俳句を詠んでよ!」

カヲル「あ、ああ……何だか解らないけど、詠めばいいんだね?」

カヲル「じゃあ……」


     夕立の 雲間に見ゆる 赤き海

     静寂に 移ろい行かぬ 蝉の声


ミサト「へー。 何かそれっぽいわね」

シンジ「うん、凄く上手いと思うよ、カヲルくん」

カヲル「ふふ、ありがとう、シンジくん」

綾波「ホ〇の人、とても上手」

マリ「私には、理解できないにゃ~」

602: 2013/03/17(日) 09:03:43 ID:fJyl.LnI

アスカ「あたしの方が、上手いわよ……」

マリ「さすがに私でも、それはないと思うにゃ」

アスカ「何ですって!?」

シンジ「まあまあ、落ち着いて、アスカ」

シンジ「俳句ってルールこそあるけど……」

シンジ「一番になる事が重要じゃないと思うよ?」

アスカ「じゃあ、なんだって言うのよ?」

シンジ「うーん……その辺は、説明が難しいんだけど」

カヲル「ふふ、セカンド。 僕は、リリ……人に『想像させる』事が、大事な事だと思うな」

603: 2013/03/17(日) 09:05:46 ID:fJyl.LnI

アスカ「想像させる事ぉ?」

カヲル「そうだよ」

カヲル「この五・七・五の短い言葉の中で」

カヲル「俳句を詠んだ情景や気持ち……」

カヲル「そういった、『何か』を想像させるのが、俳句の醍醐味じゃないのかな?」

ミサト「おおー。 何か説得力あるわね……」

綾波「……よくわからない」

マリ「要は、楽しんだ者勝ちって事だにゃ♪」

シンジ「マリさん……ざっくり行き過ぎです」

アスカ「情景や気持ちィ~?」

アスカ「何でそんなに回りくどい事しなきゃならないのよ……」

604: 2013/03/17(日) 09:07:41 ID:fJyl.LnI

カヲル「そうだね、他の表現方法だと……」

カヲル「そういうものは、絵画になったり、音楽になったりしているね」

マリ「ああ! なる程!」

マリ「そういうのを言葉にしたものが、俳句なのね!」

ミサト「そういえば、中世ヨーロッパには」

ミサト「吟遊詩人っていうのが居たわね」

綾波「吟遊詩人?」

605: 2013/03/17(日) 09:08:31 ID:fJyl.LnI

アスカ「今で言う新聞屋みたいなものよ」

アスカ「当時は、情報伝達物と娯楽が極端に少なかったから」

アスカ「遠くで起こった出来事や、誰かの武勇伝を」

アスカ「旅をしながら、面白おかしく音楽や振り付けで表現する人が居たの」

綾波「それが吟遊詩人……」

アスカ「そう」

シンジ「へえ……そういう人達がいたんだね」

606: 2013/03/17(日) 09:09:33 ID:fJyl.LnI

綾波「ホ〇の人」

綾波「参考までに、さっき詠んでくれた俳句」

綾波「どんな気持ちや情景だったのか、教えて欲しい」

マリ「いいね、それ!」

シンジ「うん、僕も聞きたいな」

アスカ「……聞いてあげるわ、ホ〇ル」

カヲル「そんな大した事じゃないけどね」 クス

カヲル「夕立上がりの空や、赤い海」

カヲル「いつまでも無くならない蝉の声の季節感の無さ」

カヲル「そんな、情景を少々ノスタルジックに詠んでみただけだよ」

607: 2013/03/17(日) 09:10:24 ID:fJyl.LnI

綾波「……やっぱり、よくわからない」

カヲル「難しく考えすぎなんじゃないかな?」

カヲル「今まで生きてきた中で」

カヲル「感動した事、ショックだった事、落ち着ける場所や存在……」

カヲル「心で感じた『何か』を、言葉で表現してみればいいんだよ」

綾波「心……」

マリ「ふう~ん……」

アスカ「…………」

シンジ「感じた事、か……」

カヲル「参考になったかな?」

608: 2013/03/17(日) 09:11:17 ID:fJyl.LnI

綾波「まだ、よくわからない」

綾波「けど……」

マリ「創作意欲は、湧いてきたにゃ♪」

アスカ「あたしも方向性は、見えたかな」

シンジ「ありがとう、カヲルくん。 参考になったよ」

カヲル「どういたしまして」 フフッ


ミサト(…………)

ミサト(夕暮れに……)

ミサト(仲間と過ごす 課題かな……)

ミサト(……って、これじゃ川柳ね) テへ

609: 2013/03/17(日) 09:12:03 ID:fJyl.LnI

綾波の部屋



綾波(…………)

綾波(私の心で感じた事……)

綾波(…………)

綾波(ポカポカした事……?)

綾波(…………)

綾波(……碇くんの事?)

綾波(…………)

綾波(この心を、言葉に……?)

綾波(…………)

綾波(やっぱり、難しい……) ///

610: 2013/03/17(日) 09:12:52 ID:fJyl.LnI

アスカの部屋



アスカ「……う~ん」

アスカ「心で感じた事……ねえ」

アスカ「…………」

アスカ「……そうだ」

アスカ「ネットを上手く使えば……」

アスカ「…………」 カタカタ…

アスカ「五・七・五……う~ん」

アスカ「あ――もう!」

アスカ「ややこしいわね!」

611: 2013/03/17(日) 09:13:50 ID:fJyl.LnI

マリの部屋



マリ「んっふっふっ♪」

マリ「楽しく楽しく、ポジティブに~♪」

マリ「ほいっほいっ、てってってっ~♪」

マリ「……あ、季語がいるんだっけ」

マリ「…………」

マリ「んー、やり直しますかー」

マリ「季語、季語っと……」

マリ「ほうほう、なるほどなるほど~ウッウッー」

612: 2013/03/17(日) 09:14:30 ID:fJyl.LnI

シンジの部屋



シンジ「心で、か……」

シンジ「カヲルくんは、やっぱりすごいな」

シンジ「…………」 ウ~ン…

シンジ「あれがいいかな?」

シンジ「でも……あれを言葉に、か……」

シンジ「僕にできるかな?」

613: 2013/03/17(日) 09:15:23 ID:fJyl.LnI

カヲルの部屋



カヲル「…………」

カヲル「思わず講釈してしまったけど……」

カヲル「なんて言うか、自分のハードルを上げてしまった気がする」

カヲル「…………」

カヲル「ま……普通にやればいいか」

カヲル「何をモチーフにするかは」

カヲル「もう決めてあるしね」

カヲル「ふふふ……」

614: 2013/03/17(日) 09:16:19 ID:fJyl.LnI

翌日 学校



トウジ「ほっほー……」

ケンスケ「へえー」


     天の川 きらめく星と 演奏会 (綾波作)

     川の字に 夢見心地の 涼風と (マリ作)

     彦星に 想いを寄せて 願い事 (ヒカリ作)


トウジ「どれも情景が浮かんで和むなぁ」

ケンスケ「女の子らしい作品だね」

615: 2013/03/17(日) 09:17:46 ID:fJyl.LnI

ヒカリ「綾波さんの作品、何だかロマンチックね」

マリ「星の中で聞く、虫たちの演奏会……想像するだけでもホンワカするにゃ」

綾波(……本当は、碇くんと二人だけの)

綾波(秘密の演奏会) ///

シンジ「マリさんのも仲良し感が、凄く伝わってくるね」

マリ「ぬふふ……よくぞ見抜いてくれました!」

マリ「それにしてもー、委員長のは、片思い感がビンビン伝わってくるわねー♪」

ヒカリ「べ、別に自分の事じゃないから!」 ///

一同(いや……もう丸分かりですからー)

トウジ「ふーん。 そうなんか」

一同(お前は、いい加減気づけ!)

616: 2013/03/17(日) 09:18:58 ID:fJyl.LnI

ケンスケ「僕のは今一歩、かぁ……」


     炎天下 無言の活躍 戦自研 (ケンスケ作)

     夏雲の 夕日に映える 日の光 (アスカ作)


アスカ「このあたしが……モブキャラと同列……」

ケンスケ「モブキャラ言うなぁ!!」

マリ「姫……それっぽく聞こえるけど、よくよく考えたら変なんだよね」

シンジ(これでも随分マシになったんだけど……)

トウジ「ケンスケは、もう少しミリオタ心を押さええーや」

ケンスケ「トウジに言われたくない」

617: 2013/03/17(日) 09:20:28 ID:fJyl.LnI

シンジ「それにしても意外なのが……」


     焼きそばや スイカもあるで たい焼きも (トウジ作)

     シンジくん 溢れる想い 美しく (カヲル作)


アスカ「あんたは、どこまで行ってもホ〇ルね!」

綾波「昨日の俳句と全然違う……」

マリ「季語すら入ってないにゃ」

カヲル「やれやれ……僕とした事が、ついうっかりだったよ」

シンジ「そ、そうなんだ……」 ハハハ……

ケンスケ「トウジ……こんな句を詠んで、よく僕のを批判できたよね?」

トウジ「細かい事はええやん。 気にすんなや……」

618: 2013/03/17(日) 09:21:25 ID:fJyl.LnI

トウジ「にしても、優秀賞はセンセか」

カヲル「さすがシンジくん」

シンジ「た、たまたまだよ……」 ///

ケンスケ「ははは、謙遜するなよ、碇」

ヒカリ「私も好きだな……こういうの」

ヒカリ(将来は……私も鈴原と、こんなふうに……えへへ) ///

マリ「んふふ~ほっこりするにゃ~」

アスカ「まあ……ちょっと照れくさいけど……」 ///

綾波「とても……ポカポカする」 ///

619: 2013/03/17(日) 09:22:57 ID:fJyl.LnI



     夕涼み 食卓囲む 笑顔かな (シンジ作)



     おしまい

620: 2013/03/17(日) 09:24:02 ID:fJyl.LnI
という事で短いですが、終了です。
後、俳句ですが……自分は国語の教師でも、俳人でもないので
玄人に見せたら、おそらく失笑ものの俳句ばかりだと思います……。

体はオッサン!中身は中二病!なので
ちょうど中学生レベルの俳句になるのではないかと……。
久しぶりに脳みそ使ったー。お粗末さまでした。

629: 2013/03/21(木) 20:02:36 ID:s5HywLko
…第三新東京市 某公園

三毛猫「ニャー」(もう日が暮れる…)
トラネコ「ニャ~」(ふぁあ~(あくび)、もう眠気が…)
白猫「ニャーニャー」(そろそろうちに帰るか)
黒猫「……」(今日の晩飯、マグロの刺身の俺は勝ち組♪)
カギシッポ猫「ニャー」(今日は縞パン)

マリ「お、そろそろいい時間だニャ」

(マリ:時計確認 17:03)

マリ「さて、猫成分は十分補充できた事だし! 帰るか!」

630: 2013/03/21(木) 20:03:43 ID:s5HywLko
道路沿い(公園⇒葛城宅)

マリ「お? あそこに見えるはわんこ君?」

マリ「お~い!  わ~んこく~ん!!」

シンジ「あ、マリさん」

マリ「今帰り? ってかすごい荷物…」

シンジ「今日の晩御飯と、明日のお弁当用の材料ですよ」(両手に大きなビニール袋)

シンジ「ついでにお米も切れそうなんでリュックの中に」(リュックを見せつつ)

マリ「…重くないの?」

シンジ「もう慣れましたから…」

マリ「そ、そう…」


マリ(わんこ君、君いろいろ感覚狂ってると思うニャ…)

631: 2013/03/21(木) 20:04:43 ID:s5HywLko
シンジ「マリさんは?」

マリ「あたしは猫成分補充に」

シンジ「ホント猫好きですね…」

マリ「…体は猫でできている。体はモフモフの毛で心は肉球」

シンジ「…それ、もう人間じゃないですよね?」

マリ「…そうだね」

シンジ「まぁ、マリさんがとても猫好きなのはわかりました。いっそ猫になりたいぐらいに」

マリ「ニャー♪」

シンジ「…もうなってますね」

マリ「ばれたニャ♪」

632: 2013/03/21(木) 20:05:29 ID:s5HywLko
マリ「でも猫憧れない? 毎日自分のペースでのんびり生きてさ」

シンジ「…確かに。子供の僕らはともかく」

シンジ「大人の時間に追われる生活とはかけ離れた世界にいますよね、猫って」

マリ「昔は人間だってのんびり生活してたんだろうけどね~」

ヒョイ!(マリ:道路沿いに建てられたガードレールに飛び乗る)

マリ「人間が進化して、技術が進歩して、社会が変化したおかげで」トコトコ

マリ「あんなに忙しく動き回るハメになってるんだと思うよ~」トコトコ

シンジ「マリさん危ないですよ」オロオロ

マリ「大丈夫大丈夫、運動神経には自信あるからさ♪」

633: 2013/03/21(木) 20:06:27 ID:s5HywLko
(マリ:ガードレールの上を歩く シンジ:普通に道を歩く)

マリ「きれいな夕焼け…」

シンジ「そうですね、この所天気もよくなかったし」

マリ「ここ盆地だから空気も淀むしね」

シンジ「そうですね」

マリ「…夕焼けを歌った歌って何かあったっけ?」

シンジ「夕焼けの歌ですか…赤とんぼとか?」

マリ「お、また古いやついくねぇ…」

シンジ「すいません」

マリ「でもさ、あれあたし1番しか歌詞知らないんだけど?」

シンジ「…と言うかあの曲2番以降あるんですか?」

マリ「昔の童謡は無駄に長いから、あるはず」

シンジ「僕知りません」

マリ「私も」

シンジ・マリ「………」

634: 2013/03/21(木) 20:07:50 ID:s5HywLko
マリ「………あ、この曲は歌いだしが夕方だ」

シンジ「?」

マリ「夕方丘に登って~♪ い~ち番高~い所に立って♪」


マリ「偶然ばかりで成り立つ物語♪ 少しでも気を抜くな綱渡り♪」クルクル(ガードレールの上で軽くステップ)

シンジ「マリさん危ないですってば!」

マリ「僕らは不純と♪ 矛盾を両手に♪ ひたハッ、ハッ、ハッ!?!?」(バランスを崩す)

シンジ「危ない!」

ガシッ!! (シンジ:咄嗟にマリの両足(ふともも)を両手で抱えて落下を阻止)

635: 2013/03/21(木) 20:08:56 ID:s5HywLko
マリ「…おお…」

シンジ「マリさん大丈夫ですか!?」

マリ「わんこ君に両足を抱えられてる意外は何とも…」

シンジ「良かった…」

マリ「…君もなかなか大胆だね」

シンジ「え?」

マリ「問題、君の顔の前にあるのはあたしの体のどの部位ですか?」

フワ~リ(シンジの目の前で何かが風でめくりあがる)

シンジ「…あ」///

636: 2013/03/21(木) 20:09:53 ID:s5HywLko
マリ「ま、この場合は緊急回避のためだし、仕方ないけど」

シンジ「ごめんなさい…」(土下座)

マリ「助けた君は謝る必要無いよ? あたしも不注意だった。ごめん」

シンジ「いえ…」

マリ「でもわんこ君意外に力持ちだね? 力強すぎてびっくりした」

シンジ「この間トウジにも似たようなこと言われました」

マリ「ま、成長期だからにゃ~」

シンジ「あ、あの…」

マリ「ん?」

シンジ「この件はみんなに内緒に…」

マリ「いいよ~、事故みたいなもんだしね~」

シンジ「ほ…」

637: 2013/03/21(木) 20:11:06 ID:s5HywLko
PM17:29 葛城宅(帰宅)

シンジ「ただいま」

マリ「ただいみゃ~」

カヲル「おかえり。おや、彼女と一緒だったのかい?」

シンジ「帰り道で一緒になって」

マリ「ここへ来るルートは一本道だかんね、そりゃ時間が合えば一緒になるさ」

アスカ「ったく! 遅いわよバカシンジ!!」

シンジ「まだ5時半だよ? 今から夕食準備すれば6時半にはできるけど」

アスカ「そういう意味じゃないわよ!!」

シンジ「じゃあどういう意味?」

アスカ「それくらい察しなさいっての!!」

シンジ「えぇ…」

638: 2013/03/21(木) 20:11:50 ID:s5HywLko
綾波「二号機の人、さびしかった?」

アスカ「なっ!?!?!? ん、ん、んなわけ無いでしょ!!」

マリ「姫顔が赤いよ~ww」ニヤニヤ

アスカ「うっさい!」

カヲル「赤いと言えば」

シンジ「?」

カヲル「シンジ君のズボン、膝頭あたりが赤いのはなんでだい?」

シンジ「え? ホントだ、なんで?」(ズボンの裾を上げる)

ダラー(血まみれ)

アスカ「ウワ…食事前になんつー物を見せるのよ!」

綾波「大丈夫。ただすりむいただけ、骨に異常はない」

マリ「君よくわかるね…」

綾波「怪我することには慣れてるから」

アスカ「イヤ慣れるな…」

639: 2013/03/21(木) 20:12:35 ID:s5HywLko
シンジ「と、とりあえず着替えてお風呂場で洗浄して消毒だね」

カヲル「じゃあその役目はぼ」

アスカ「アンタの出る幕じゃない」

綾波「碇君一人で十分」

マリ「君がかかわると逆に被害が心配なんで却下!」

カヲル「」シュン



マリ「………」

マリ「…つか、傷ができた原因は…」

640: 2013/03/21(木) 20:13:17 ID:s5HywLko
PM22:16 シンジ自室

シンジ「」(宿題中)

コンコンコン(ノック)

シンジ「? どうぞ」

ガチャ(ドアオープン)

マリ「ヤッホー」

シンジ「マリさん?」

マリ「宿題? わんこ君偉いね~」

シンジ「これぐらい普通ですよ…」

マリ「そ? あたし全然やって無いけどww」

シンジ「…ちゃんとやってください」

641: 2013/03/21(木) 20:14:06 ID:s5HywLko
シンジ「それより、どうしたんですか? マリさんが訪ねてくるなんて珍しいですね」

マリ「…いや、その膝の件でちょっとね…」ポリポリ(頬をかく)

シンジ「ああ、これですか」(膝にはガーゼが当てられている)

マリ「うん、まぁ、なんだ、その…」

シンジ「気にしなくていいですよ。 たまたまガードレールのつなぎ目にあたって皮が剥けたですから」

マリ「でもさ」

アスカ『コネメガネー! ちょっと来て~』

マリ「あ、はーい! 今行く~! ゴメン、また後で来るよ!」(退出)

マリ『どうしたの?』
アスカ『ちょっとこれ見てよ』


シンジ「…なんだったんだろ? …考えてもはじまらないし、宿題しよ…」

642: 2013/03/21(木) 20:15:21 ID:s5HywLko
PM23:39 シンジ自室(就寝直前)

シンジ「さて…」

コンコンコン(ノック)

シンジ「? どうぞ?」

マリ「何度もごめん…」(小声)

シンジ「別にかまいませんけど…なんで小声なんですか?」

マリ「姫とファーストとホ〇君の就寝確認したから。起こしたくないし」

シンジ(聞かれちゃまずい内容の話…?)

マリ「えっと、今日はほんとにゴメン寝」(参考画像↓)
http://ecoring591127.files.wordpress.com/2011/12/0415091408a-7276551.jpg" >http://ecoring591127.files.wordpress.com/2011/12/0415091408a-7276551.jpg

シンジ「? え、ええっと、マリさん?」

マリ「いやだから、怪我させてゴメン寝」

シンジ「土下座なんてしなくていいですよ…」

マリ「…そうだった、わんこ君にはこの手の属性なかったね…恥の上塗り…」(姿勢を戻す)

643: 2013/03/21(木) 20:16:35 ID:s5HywLko
シンジ「もしかして、わざわざそれを言いに?」

マリ「そーだよ。私を怪我させないために体張ったせいで君は怪我をした」

マリ「いわば"名誉の負傷"だよ?」

シンジ「言いすぎですよ…。咄嗟に手が出ちゃっただけですし…」

マリ「でも君は怪我をした。私を助けたせいで」

シンジ「気にしなくていいですって…」

マリ「やだ、気にする。姫は言葉にしないかもしれないけど、あたしは言葉にするよ」

マリ「さっきは助けてくれて、ありがとう」ニコ

シンジ「は、はい…」///

644: 2013/03/21(木) 20:17:37 ID:s5HywLko
マリ「………わんこ君ってさ」

シンジ「?」

マリ「あんまり周りに感謝の言葉言われたことないの?」

シンジ「え? …いっぱいありますけど」

マリ「…そりゃ確かにいろいろあるよね。家事しかり、勉強しかり」

マリ「でもさ、な~んか言われ慣れてない感じがするんだよね」

シンジ「僕は、そんな大したことをしてませんから…」

マリ「…それだ」

シンジ「へ?」

マリ「それだよ」

645: 2013/03/21(木) 20:18:53 ID:s5HywLko
マリ「わんこ君は、なんでそんな自信無さげなの? 自分に自信を持てないの?」

シンジ「僕は、いつも逃げてばかりいますから…」

マリ「逃げてる?」

シンジ「…戦うことから、エヴァに乗ることから、父さんと面と向かって話すことから」

シンジ「この間の三号機の時もそうです。マリさん達が背中を押してくれなかったら僕はきっと…」

シンジ「この間の大地震の時だって、口に出した言葉と心の言葉は正反対でしたし」

シンジ「実際のところ、自分の言い聞かせるために言ってましたよ」

マリ「………」

シンジ「ミサトさんと一緒に生活し始めた頃だって、家事はもともと分業でやってましたけど」

シンジ「見るに見かねたってところもありますけど、流れでほとんど僕がやるようになりました」

シンジ「明確な理由があるわけじゃない。ただ役が回ってきたから引き受けた」

シンジ「そうやって、僕は今までいろんなことから逃げてきました」

646: 2013/03/21(木) 20:19:36 ID:s5HywLko
マリ「決断をしなかった…ってこと?」

シンジ「…そう、ですね。僕は何一つ決められないんです」

シンジ「いつも周りに流されて、いつも他人の顔をうかがって…」

シンジ「父さんがぼくを先生のところに預けた時だって、反抗することはできたのに」

シンジ「僕は、駄目なやつなんですよ…」

マリ「………」

シンジ「………」

マリ「………」

シンジ「………」

マリ「………わんこ君、それは違うと思うな」

647: 2013/03/21(木) 20:21:02 ID:s5HywLko
シンジ「…違うって?」

マリ「わんこ君は駄目な奴じゃないと思う」

シンジ「僕は駄目な奴なんですよ…でなかったら」

マリ「わんこ君はあたしにできないことをやってる」

シンジ「…マリさんに、できない事?」

マリ「"役が回ってきたから引き受けた"って言ったね?」

マリ「確かにNOと言わないのはだらしなく見える」

マリ「けど、そのすべての役を引き受けて、それなりの成果を出すってすっごい事なんだよ?」

シンジ「すごくないですよ…」

マリ「すごいよ。気分屋のあたしにしたらすっごい事」

マリ「料理にしたってそうだけど、初めっからそんな上手なわけ無いじゃん?」

シンジ「先生のところで教わってましたから…」

マリ「教わったから何? 小学校1年生の国語や算数じゃないんだよ?」

マリ「君は今までどれだけ料理を作ったの? 何日? 何カ月? 何年? 実際に初めてやった日から数えてみなよ」

648: 2013/03/21(木) 20:21:52 ID:s5HywLko
シンジ「…たとえそうだとしても」

マリ「…君は心から褒められたり、感謝されたことあんまりないんだね」

シンジ「…褒められるわけ無いじゃないですか、大したことやって無いのに!」

マリ「君は大きな成果を残してないかもしれないけど」

マリ「今までの成果を積み上げれば相当なものを持ってるよ」

マリ「何食わぬ顔で日々同じ成果を出すことがどれだけ大変か」

マリ「エヴァのシンクロテストで日々平均点を維持するの大変でしょ? それてと一緒」

シンジ「けど…」

マリ「あーもう、姫が苛立つ理由がわかってきたニャ」ボリボリ(頭をかく)

シンジ「ご、ごめん」

マリ「だからそれだってば!」

649: 2013/03/21(木) 20:23:07 ID:s5HywLko
シンジ「え?」

マリ「君の場合、相手と話をしていて"けど"とか"だって"とか、とにかく否定的な言葉が出る!」

マリ「そんな言葉を言われたら、会話が続かない! 君は一方的に会話を打ち切ってる!」

マリ「これじゃ感謝の言葉を言おうにも、言えないじゃん!」

シンジ「………」

マリ「君のネガティブな性格が一番の要因だよ。そこが変われば、君はもっと良くなる」

マリ「君はもっと高く、もっと遠くへ飛べるよ」

シンジ「けどぼくは」

マリ「ほらまたネガティブ発言! 君はできるやつなんだって!!」

シンジ「いきなりそんなこと言われても…」

650: 2013/03/21(木) 20:24:07 ID:s5HywLko
マリ「…よし、アプローチを変えよう。わんこ君は普段みんなになんて言われてるか知ってる?」

シンジ「し、知りませんけど…」

マリ「ホ〇君は君の料理をいつもほめてる」

シンジ「それはいつものことですよ」

マリ「かもね。けどホ〇君気づいてるよ? 君がいつもみんなの体調を見てメニュー決めてるって」

シンジ「!」

マリ「君のレパートリーがいくつあるかは知らないけど、メニューの組み合わせは毎食違うって」

マリ「わんこ君は栄養と体調を考えてるからすごいって、いつも言ってる」

マリ「本人の口からは、聞いたこと無いかもしれないけど」

シンジ「………」

651: 2013/03/21(木) 20:25:46 ID:s5HywLko
マリ「ファーストは学校生活について。彼女は学校よりもNERVに行ってる時間が長いこともあって」

マリ「成績も正直芳しくないし、クラスで気軽に話せる相手もいない」

マリ「でも君は彼女の話をきちんと聞くし、勉強のことも話しやすいって言ってた」

シンジ「綾波の質問は、難しいことが多くないので」

マリ「正直ね、あの子にとっては勉強のことは二の次だと思う」

シンジ「…どういうことですか?」

マリ「彼女はね、君といて楽しいんだよ。だからここでこうやって共同生活をすることを承諾した」

マリ「ぶちょーさんと、姫とってなるとまた話は変わってきてたと思う」

マリ「もちろん命令であれば従うと思う。でも、"心"ってそんな簡単に割り切れるもんじゃないよ」

シンジ「綾波が…?」

652: 2013/03/21(木) 20:27:04 ID:s5HywLko
マリ「次に姫、あれが一番天の邪鬼だよね」

マリ「バカだ下僕だいってるけど、結局姫もファースト同様、わんこ君のことを気にしてるんだよ」

マリ「だって君は、自分と同じでエヴァに乗る大変さも知っているから」

シンジ「それは綾波やマリさんやカヲル君だって」

マリ「姫が興味を持ったのは君だよ。事の発端がどうだったかはあたしも知らない」

マリ「でも姫は、ユーロからこっちに引っ越してきて、君と言う"同業者"を見つけた」

マリ「そいつが自分とはまったく違うタイプの人間だったもんだから、気になって仕方がない」

マリ「姫はエヴァに乗ることに肯定的、君は逆に否定的だ」

マリ「姫にとって、エヴァに乗ることは自尊心の柱と言ってもいいよ」

マリ「それを君は否定している。だから気に食わないし、気になる」

シンジ「…それって要するに嫌われてるってことじゃ…?」

マリ「"好き"の反対は"嫌い"じゃない。"無関心"だよ」

マリ「"嫌い"ってことは心に引っかかってるってこと、無関心なら興味もわかないしね」

マリ「君と姫は対極的な存在だ。だからこそ気になるんだよ。自分と違うから」

シンジ「………」

653: 2013/03/21(木) 20:28:02 ID:s5HywLko
マリ「んでもってぶちょーさん、三十路前の女がペットと同棲だよ?」

マリ「フツーに考えてさみしいに決まってるじゃん」

マリ「君はね、ぶちょーさんにとって大事な"家族"なんだよ」

シンジ「家族…」

マリ「そ、家族。一緒に生活して当然の存在、苦労を共有する存在」

マリ「んでもって、幸せを共有する存在」

シンジ「僕は、そんな大層な」

マリ「君はそう思ってるかもしれないけど、あの人がどう思ってるかなんて君にわかる?」

マリ「君はそれを本人に聞いた? 聞いてないならその君の考えは正解じゃないよ」

654: 2013/03/21(木) 20:28:58 ID:s5HywLko
マリ「むろん、今まで話をしたことは第三者であるあたしの意見」

マリ「ホ〇君以外は言質をとったわけじゃないから、むろんハズレもあると思う」

マリ「でもさ、そういうのって当事者よりも第三者の方がよく見えるもんなんだ」

シンジ「………」

マリ「…少しは自分が周りに与えている影響を理解できた?」

シンジ「僕は…」

マリ「君は自分をマイナス方向に考えすぎなんだって…」

マリ「人は誰だって、プラスの影響とマイナスの影響を他人に与えてる」

マリ「わんこ君は、プラス面の事をまったく無視して自分の評価をしているもんだから」

マリ「そんな風に自己評価が下がるんだよ」

シンジ「でも…」

マリ「何? まだ納得できない?」

シンジ「僕は、父さんにあまりほめられたことが…」

マリ「…事の発端はそこか………」ガシガシ(強く頭をかく)

655: 2013/03/21(木) 20:29:48 ID:s5HywLko
マリ(ゲンドウ君は親としての責務全うしてないもんねぇ…)

シンジ「父さんは…」

マリ「何? なんか思い当ることある?」

シンジ「父さんは、僕ではなく、もっと別の何かを見ているように思えるんです」

シンジ「僕にとってはそれが何かはわからないけど、父さんにとっては大事な物」

シンジ「息子の僕よりも優先していることが」

マリ「………」

シンジ「父さんにとって、僕はそれを実行するための道具でしかない」

シンジ「だから、アスカの時も」

マリ「ストップ。さっきも言ったけど、ネガティブに考えすぎだって」

シンジ「だけど…」

マリ「まぁ確かに、あのマダオさんがその辺の詳しいことを話してくれるとは私も思わない」

マリ「だからって、全然信用しないのはさすがに駄目じゃない?」

656: 2013/03/21(木) 20:30:43 ID:s5HywLko
シンジ「…僕は父さんを信用できません」

マリ「信用していない相手から信用を勝ち取るなって、土台無理な話だよ?」

マリ「信用してほしいなら、まずこっちが信じてあげないと」

シンジ「………」

マリ「君と指令は親子でしょ? 利害関係とかそんな妙な関係じゃなく、」

マリ「もっと仲良くしたらいいのに。少しずつでもさ」

シンジ「少しずつ…」

マリ「そそ。あたしらだって、最初は多少ギクシャクしたけど、今は仲良くやってるじゃん?」

シンジ「…努力はしてみます」

マリ「うん♪」

シンジ「…保証はできませんけど」

マリ「…今のは減て~ん」ジトー

シンジ「えぇぇ…」

マリ「前向きになっただけでも良しとするか…」

657: 2013/03/21(木) 20:31:38 ID:s5HywLko
シンジ「…なんか人生相談みたいになっちゃいましたね」

マリ「同い年に人生相談するってのも珍しいニャ」

シンジ「…すいまs」

マリ「謝るの駄目、今回君は何もしてないわけだし」

シンジ「…わかりました」

マリ「んじゃ、鼻歌レディーの私からこの歌を贈ろう」

シンジ「普通に歌ってる時点で鼻歌じゃないような…」

マリ「細かいツッコミは無し! 黙って聞く!!」

シンジ「…はい」

マリ「元歌は田村直美、『ゆずれない願い』」

シンジ「ゆずれない、願い…?」

マリ「君にもそういう物を持ってほしいって気持ちを込めて、ね」

658: 2013/03/21(木) 20:32:43 ID:s5HywLko
AM0:41 マリ自室(就寝直後)

マリ(…ゆずれない願い、か)

マリ("飛べないハードルを負けない気持ちでクリアしてきたけど"ってフレーズは)

マリ(わんこ君よりも姫に似合う言葉だよね…)

マリ(わんこ君を表すフレーズの歌ってなると、やっぱ坂本真綾の"ヘミソフィア")

マリ(ファーストなら"翼をください")

マリ(ホ〇君なら…ポルノの"幸せについて本気出して考えてみた"?)
ポルノグラフティー 幸せについて本気出して考えてみた↓


マリ(わんこ君への一途な想いって点ではまぁ…打倒か)

マリ(あたしは…?)

659: 2013/03/21(木) 20:37:50 ID:s5HywLko
マリ(…よくわかんないや)

マリ(なんだかんだ言って、やっぱり自分が一番自分の事わからないんだよね…)

マリ(…変わっていく自分。それが良い方向なのか、悪い方向なのかは今はわかんない)

マリ(今できるのは、今正しいと思ったことをやるだけ)

マリ(幸い一人じゃないし! 間違ったら誰かが止めてくれる…よね?)

マリ(………1人じゃないって~ 不思議なことね~)

660: 2013/03/21(木) 20:39:28 ID:s5HywLko
同時刻 シンジ自室

シンジ(…僕はすごいやつなのかな?)

シンジ(料理なんていつもやってるし、エヴァに乗ることだって…)

シンジ(マリさんは少しずつでいいって言ったけど…)

シンジ(どうやればいいんだろ…?)

シンジ(…困った時は結局、誰も助けてはくれないんだ)

シンジ(いつも…いつも…)

シンジ(………)

シンジ(………)

シンジ(………)

シンジ(僕はいつも、つらい時誰にも相談してなかった…)

シンジ(誰にも言わず、ただ殻に閉じこもってるだけだった)

シンジ(綾波やアスカや、カヲル君達は、僕の問いにどうこたえるんだろう…?)

661: 2013/03/21(木) 20:40:22 ID:s5HywLko

マリ『君はそれを本人に聞いた? 聞いてないならその君の考えは正解じゃないよ』


シンジ(…答えを知るのが怖い)

シンジ(…でも何も言わなきゃ、きっとみんな何も言ってくれない)

シンジ(………)

シンジ(逃げちゃだめだ)

シンジ(逃げちゃだめだ)

シンジ(逃げちゃだめだ)

シンジ(逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ…)

662: 2013/03/21(木) 20:45:02 ID:s5HywLko


次回予告

自らの行動に自信を持てないシンジは
マリの言葉を確かめるべく、自ら行動を開始する

その先にあるものは厚い信頼か、それとも辛辣な言葉の刃か

次回『積み上げた物、積み上げていく物』

さ~て、次回もサ~ビスサ~ビスゥ!!




マリ「毎度即興で次回予告とかよくやるね…」

667: 2013/03/22(金) 19:45:06 ID:r/9arg0s
AM 6:11

シンジ「」ショボショボ(起床)

ミサト「おはよ」

シンジ「…あれ? ミサトさん今日早いですね? 僕より早いなんて」

ミサト「まぁね…。ちょっち呼び出しあって」

シンジ「何かあったんですか?」

ミサト「さぁ? こっちだってさっき叩き起こされたばっかだし…」

シンジ「朝食とお弁当どうします?」

ミサト「ん~、食べたいのは山々なんだけど…」

シンジ「ご飯はもう炊けてますし、御味噌汁ぐらいならすぐできますよ?」

ミサト「そう? んじゃお願いしようかしら? でも6時半にはここ出ないと」

シンジ「ゆっくり食べる時間はなさそうですね、とりあえずミサトさんは自分の準備をしてください」

ミサト「助かるわ」

668: 2013/03/22(金) 19:46:11 ID:r/9arg0s
AM 6:19
シンジ「はいどうぞ」

ミサト「シンちゃん手際が良いからほ~んと助かっちゃう~♪」ガツガツ

シンジ「あんまり急いで食べるとのどに詰まりますよ」

ミサト「これでも味わってるわよ?」

シンジ「そうは見えませんが」

ミサト「そこは心配無用よ♪」

シンジ「そうですか…、と、これを」つ弁当

ミサト「え? あの短時間で?」

シンジ「中身はあまり期待しないでください、簡単にできるやつだけを詰めてますので」

ミサト「…主夫の鏡だわ。女として、こんな自分が情けない…」ウル…

シンジ「人間適材適所ですよ」

ミサト「アリガト! そういうフォローってシンちゃん上手!」

シンジ(…今、良い所を言ってもらえた?)

シンジ(…ほかの皆は、なんていうのかな?)

669: 2013/03/22(金) 19:47:05 ID:r/9arg0s
同日 学校

ケンスケ「へ?」

トウジ「センセの良い所?」

シンジ「う、うん…」

ケンスケ「って改めて聞かれてもなぁ…」

トウジ「つか、なんでいきなりそんなこと聞くん?」

シンジ「ちょっと…、ね。昨日考え事してて」

ケンスケ「そっか…」

トウジ「そうやなぁ…。まず一発目に上がるのは料理の腕やろ」

ケンスケ「後はエヴァのパイロットでみんなを守ってること、か?」

シンジ「そ、そうだよね…」

シンジ(このあたりの回答は予想通りだな…)

670: 2013/03/22(金) 19:48:18 ID:r/9arg0s
トウジ「後は、内心恐くてしゃ―ない事でもヤル時はきっちりヤル所」

シンジ「え?」

ケンスケ「おまえさ、俺達をエヴァに乗せて戦ったことあったじゃん?」

トウジ「ワイらからすれば、あそこで逃げへんとか狂気の沙汰やで」

シンジ「あ、あれは命令違反をしただけで…」

トウジ「せやかて、あそこで逃げとったらさらに被害は広がっとったやろ」

ケンスケ「たしかに。シンジは命令違反で怒られたかもしれないけど、」

ケンスケ「それは大人の都合であって、守られる側からは感謝されることだと思うぜ?」

シンジ「………」

シンジ(ミサトさんには怒られたのに…?)

671: 2013/03/22(金) 19:49:15 ID:r/9arg0s
ヒカリ「碇君のいい所?」

シンジ「うん、委員長はトウジ達と違う視点で物見てると思って」

ヒカリ「う~ん…」

シンジ「」ドキドキ

ヒカリ「よくわかんない」

シンジ「えぇ…」

ヒカリ「だって、私には3馬鹿トリオがつるんでるようにしか見えないもの」

ヒカリ「あ、今は渚君もいるから4馬鹿か」

シンジ「い、委員長も言うことは言うんだね…」

ヒカリ「…胸の奥に秘めてても相手には伝わらないもん」

シンジ「そ、そうだね…」

ヒカリ「でも、碇君は転校してきた当初に比べると笑うようになったよね」

672: 2013/03/22(金) 19:50:33 ID:r/9arg0s
シンジ「笑ってる?」

ヒカリ「うん。当初は環境の変化になじめない事もあったと思うけど」

ヒカリ「いつも周りの目を気にしてビクビクしてた。親とはぐれた子犬みたいに」

シンジ「…自分じゃよくわからないや」

ヒカリ「"この子大丈夫かな?"って心配もしたけど、ほどなく鈴原たちと仲良くなって、」

ヒカリ「クラスにも溶け込んだみたいだし」

ヒカリ「今はアスカ達もいるしね」

シンジ「家じゃ、いろいろ大変だけどね」

ヒカリ「あ、そうだ。碇君って面倒みが良いんじゃないの?」

シンジ「?」

ヒカリ「特にアスカって我が強いから、家でも暴君なんじゃない?」

シンジ「ア、アハハハ…」タジタジ

ヒカリ「エヴァのパイロットって個性強いもんね…。みんなの相手は碇君じゃないと無理だよ」

シンジ「そ、そうなんだ…」

673: 2013/03/22(金) 19:51:53 ID:r/9arg0s
綾波「碇君の良い所?」

シンジ「う、うん…」

綾波「なぜそんなこと聞くの?」

シンジ「な、なんとなく…」

綾波「そう」

シンジ「…で、綾波はどう思う?」

綾波「………」

綾波「………」

綾波「………」

綾波「………」

綾波「…少し、考えさせて」

シンジ(考えなきゃならないほど少ないのかな…?)

674: 2013/03/22(金) 19:55:51 ID:r/9arg0s
綾波(碇君の良い所…)

綾波(料理が上手)

綾波(優しい)

綾波(チェロを上手に弾ける)

綾波(………)

綾波「…よくわからない」

シンジ「…そっか」

綾波「けれど」

シンジ「?」

綾波「碇君といると、みんな笑顔になる」

綾波「二号機の人も、メガネの人も、ホ〇の人も(…私も)」

綾波「碇君はみんなをつないでいる」

綾波「私たちの中心に、碇君がいる」

綾波「碇君がいないと、私の世界は沈んだ色になる」

シンジ(………)

675: 2013/03/22(金) 19:56:57 ID:r/9arg0s
アスカ「アンタの良い所?」

シンジ「う、うん…」

アスカ「んなもん自分で考えなさいよ」

シンジ「わかんないから聞いてるんだよ」

アスカ「愚図ねぇ…」

シンジ「ゴメン…。でもさ」

シンジ「アスカってユーロでいろいろな人と会って、僕よりも世界を知ってるだろ?」

シンジ「そういう人の意見って、参考になるからさ」

アスカ「ふーん…」

シンジ(…やっぱり僕のこと嫌いなのかな…?)

676: 2013/03/22(金) 19:58:06 ID:r/9arg0s
アスカ「あたしの目に見えるアンタの評価でいいのよね?」

シンジ「う、うん」

アスカ「酷い評価でも知らないわよ?」

シンジ「そ、そんなに酷いの?」

アスカ「酷いわ」

シンジ「」

アスカ「エヴァに乗ることが嫌っているし。愚図だし。のろまだし」

アスカ「そのくせ工口ハプニングはよく遭遇するし…」

シンジ(………酷い言われ様…)

アスカ「周りに気を使っていつも損ばっかりしてるし」

アスカ「あ、あと他人の評価気にしすぎ。他人は他人、自分は自分でしょ?」

アスカ「ホント、あたしと正反対」

シンジ(…1つはいい所出た、のかな?)

677: 2013/03/22(金) 19:59:35 ID:r/9arg0s
カヲル「シンジ君のいい所?」

シンジ「うん…」

カヲル「そうだねぇ…。自分でわからないなら、体にわからせてあげようか?」ニヤリ

シンジ「………」(絶句)

カヲル「…冗談だよ」

シンジ「カヲル君の場合冗談に聞こえないよ…」

カヲル「君を思う気持ちに嘘偽りはないんだけどね」ニコ

シンジ(方向性が間違ってる…)

678: 2013/03/22(金) 20:01:34 ID:r/9arg0s
カヲル「君は料理ができて、誰にだって優しくて、気配りができる人間だ」

カヲル「ただ裏を返せば八方美人で、他人の顔をうかがってるだけって言えないことも無い」

カヲル「その辺は程度の差と言うか、相手の感じ方で変わるから一概には言えないけど」

シンジ「そっか…」

カヲル「…なんでそんなことを聞くんだい?」

シンジ「…カヲル君にも言われたけど、僕は他人の顔をうかがって生活してる」

シンジ「みんなが本当はどう僕の事を思ってるのか、気になって」

カヲル「自分に自信が持てないのかい?」

シンジ「…よく、わからない」

カヲル「そうかい…」

シンジ「………」

カヲル「………」

679: 2013/03/22(金) 20:03:36 ID:r/9arg0s
カヲル「君が本当に認めてもらいたい相手って、誰なのかな?」

シンジ「本当に認めてもらいたい相手…?」

カヲル「鈴原君達や委員長、ファースト、セカンド、フォース、そして葛城さんは、」

カヲル「それぞれ君のことを認めていると思う」

カヲル「君がそれで満足できないのは、本当に認めてもらいたい相手に認めてもらえてないからじゃないのかい?」

シンジ「………」

カヲル「それが誰なのかは僕にはわからない」

カヲル「でも、君はきっとわかっているはずだ」

カヲル「いくら外堀を埋めても、肝心の天守閣を落とさない事には、君はきっと、満足できない」

シンジ「………」

カヲル「…一つ忠告をしておくよ」

680: 2013/03/22(金) 20:04:34 ID:r/9arg0s
カヲル「君は自分を変える必要があると思ってる。その事自体は否定しない」

カヲル「でも、急激な変化は周りと軋轢を生む。だから…」

シンジ「…だから?」

カヲル「少しずつ、今のいい所を増やしていけばいいんじゃないかな?」

カヲル「僕みたいな小僧が言うセリフじゃないけど、」

カヲル「自分が歩いてきた道をふと振り返ってみると、どれだけ自分が変わったかわかると思うよ」

カヲル「あせらずに歩いていれば、そのうち結果はついてくるさ」

シンジ「………」

681: 2013/03/22(金) 20:05:38 ID:r/9arg0s
シンジ(みんなはいろんなことを言ってくれたけど)

シンジ(正直あまり実感が無い)

シンジ(カヲル君が言ってた"本当に認めてもらいたい相手"は)

シンジ(父さんだってことは、僕自身もわかってる)

シンジ(…一緒に生活していない父さんが僕を認めることってあるのかな?)

シンジ(父さんが僕を評価する判断材料になることは)

シンジ(エヴァに乗って使徒を倒すこと)

シンジ(僕の人格、特技、そう言う物はおそらく対象にならない)

シンジ(結局、僕はエヴァのパイロットと言う"存在"でしかないのかな…?)

682: 2013/03/22(金) 20:06:18 ID:r/9arg0s
翌日 NERV本部 自販機前

冬月「少年」

シンジ「あ、副司令」

冬月「うかない顔だな」

シンジ「すいません」

冬月「君がそこでしばらく立ち呆けしていたので声をかけた。他意は無い」

シンジ「そうですか」

冬月「…悩み事かね?」

シンジ「…少し」

冬月「そうか」

シンジ「………」

冬月「………」

シンジ「………」

683: 2013/03/22(金) 20:08:33 ID:r/9arg0s
冬月「………答えの無い問いか、堂々巡りか」

シンジ「え?」

冬月「はたまた、答えは出ているが納得できないか。そんなところか?」

シンジ「…お見通し、なんですね」

冬月「経験による推論だ。さしもの私も、君の悩みの内容まではわからん」

シンジ「父さんが、僕の事をどう思ってるのかな、…って」

冬月「碇が?」

シンジ「父さんとは話す機会も無いし、僕との会話はそんなに弾む物でもありません」

シンジ「父さんが、僕の事をどんなふうに想い、感じているのかが気になって…」

冬月「無愛想な男だからな。私も、あいつの本音を聞いたことなど数えるほどしかない」

冬月「まして、息子の話など出た試しも無いな…」

シンジ「そうですか…。…詳しいんですね、父さんの事」

冬月「あいつとはあいつが学生時代からの付き合いだからな」

684: 2013/03/22(金) 20:09:54 ID:r/9arg0s
シンジ「父さんって、どんな学生だったんですか」

冬月「…一言で言うと、できた人間ではなかった」

冬月「今でこそ指令なんぞやっておるが、あの当時を知る者が今のあいつを見たら」

冬月「大成したものだと感心するに違いない」

シンジ「そうなんですか?」

冬月「男はくぐった修羅場の数で変わるものさ」

シンジ「………」

冬月「少年」

シンジ「は、はい」

冬月「結論から言おう」

685: 2013/03/22(金) 20:11:58 ID:r/9arg0s
冬月「この世界には、日本だけ見ても1億を超える人間が存在する」

冬月「それはつまり、それだけ多様な考え方があると言うことだ」

冬月「だから当然、君の事を好意的にみる人間もいるし、そうでない人間もいる」

冬月「全ての人間に認めてもらうことなど、土台無理な話しだと思うわんかね?」

シンジ「それは、父さんは一生僕を認めないってことですか?」

冬月「その可能性もある」

シンジ「」

冬月「だが、変わる可能性も無くは無い。確率の上ではな」

シンジ「…ずいぶんいい加減なんですね」

冬月「人の心など、昔の季節の移ろいよりもはるかに変わりやすいものだ」

冬月「心とは、数式で表すことのできないものだ」

冬月「だからこそ、何かの拍子にころりと変わる」

冬月「一目ぼれもその類いだ」

686: 2013/03/22(金) 20:13:32 ID:r/9arg0s
シンジ「…父さんが、僕を認めてくれる日が来るんでしょうか?」

冬月「それは君次第だ」

シンジ「僕、次第…?」

冬月「君自身があいつを変える、あいつに認めさせるという気持ちで行動すれば」

冬月「まだ見ぬ未来において、変わる可能性は残されている」

冬月「君の場合媚を売るのとは違うのだろう? 正攻法ならなおさらだ」

シンジ「…難しいですね、なんだか」

冬月「雲をつかむような話だからな。そう簡単にはいくまい」

冬月「目標を持った者全てが事を成したとは言わん」

冬月「しかし、目標を持たぬ者がそれを成す道理も、また無い」

シンジ「………」

冬月「…所詮は年寄りのたわごとだ、忘れてくれてかまわんよ」

687: 2013/03/22(金) 20:14:19 ID:r/9arg0s
冬月「そろそろ仕事に戻る」

シンジ「すいません、時間をとらせてしまって」

冬月「かまわんよ。昔の教師としての血が騒いだにすぎん」

シンジ「…ありがとうございました」

冬月「その言葉時期尚早だ」

シンジ「?」

冬月「それは、君が事を成した後に言ってくれ」

シンジ「わ、わかりました…。いつになるかわかりませんけど」

冬月「うむ」

688: 2013/03/22(金) 20:15:13 ID:r/9arg0s
冬月「」カツカツ…

冬月「」カツカツ…

冬月「」カツカツ…

冬月「…盗み聞きとは感心せんな」

???「わぉ、気づいてたんですか?」

冬月「あまり大人を甘く見ない事だ」

マリ「でも残念、あたしがしたのは盗み聞きではなく立ち聞きです!」

マリ「あ、今回話を聞いちゃったのは全くの偶然ですからね?」

冬月「…そういうことにしておこう」

689: 2013/03/22(金) 20:17:06 ID:r/9arg0s
マリ「わんこ君、これからどうなりますかね?」

冬月「碇に認められるよう努力はするに違いないが、」

冬月「認めるつもりが果たしてあやつにあるかどうか…」

マリ「無駄な努力、ってことかニャ?」

冬月「無駄かどうかはわからん、努力の中で何かをつかむのはその人次第だ」

冬月「碇が振り向く時は、"少年"が"成年"になる時であることは間違いないがな」

マリ「なるほど」

冬月「それに」

マリ「それに?」

冬月「子にとって"親"はいつまでたっても"親"だ」

冬月「背中を追い越すことなど、到底できん」

マリ「…親子って難しいニャ」


冬月「それより、お前さんはその口調を何とかした方がいい」

冬月「はっきり言って、目上の者に対して失礼だ」

マリ「…うわ、いきなり駄目だしされたし」

690: 2013/03/22(金) 20:18:51 ID:r/9arg0s
数日後

シンジ「アスカ~、早くしないと遅刻するよ~!」

アスカ「うっさい! そんなことわかってるわよ!!」(寝ぐせ修正中)

ミサト「だったらもう少し早く起きればいいのに…」

カヲル「二度寝の気持ちよさはよくわかりますけど」

綾波「規則正しい生活をしてれば何ら問題ないはず」

マリ「君の場合は髪短いからね、姫みたいな苦労しなくて済むじゃん?」

綾波「そうなの?」

シンジ「…アスカみたいな爆発状態にはならないよね」

アスカ「バカシンジのくせに、最近言うじゃないの!!」

691: 2013/03/22(金) 20:20:55 ID:r/9arg0s
マリ(冬月副司令との話の後、わんこ君は徐々に普段の姿を取り戻しつつある)

マリ(ゲンドウ君との確執は消えたわけではないけれど、悩んでいる様子はない)

マリ(悩み始めると嫌な連鎖に陥るわんこ君にしては、とりあえず連鎖を止めることに成功したようだ)

マリ(何がきっかけで止まったかはわっかんないが、まぁとりあえずは問題ないみたい)

マリ(これが気を使ってなのか、明確な何かを持ってのことなのか…)

マリ(ここは後々答えが出ることだろう)

マリ(とりあえず、あたしもこの日常を楽しむ事にする)

マリ(人生は、楽しんだ者勝ちだしね♪)

シンジ「マリさん行きますよ~!」

マリ「あ、こら待て! 置いてかないで~~~っ!!」

692: 2013/03/22(金) 20:29:23 ID:r/9arg0s

というわけで、今回投下分は終了となります。

もともとはシンジ×マリで絡ませたかったんですが、
なにを間違ったかシンちゃんの人生相談になってしまいました…。

シンジはTV、映画ともにウジウジの病気が発病しまくりだったので
ここで久々に発病してもらって、みんなから元気貰って回復する流れに…

他人って、

『自分が思ってるほど自分のこと見てくれてないし、
                  自分が思ってないところは見てくれている』

ってことを読み取っていただければ幸いです

698: 2013/03/30(土) 21:43:06 ID:dlk3AzJ6

放課後の学校



     ガララ…

アスカ「バカシンジー、ゴミ、捨てて来たわよ」

アスカ「学級日誌、書き終わった?」

シンジ「もう少しだよ、アスカ」

アスカ「早くしてよね」

シンジ「……はい、おしまい」

シンジ「お待たせ、アスカ」

アスカ「じゃあ、さっさと教室のカギ閉めて、職員室に日誌届けて帰るわよ」

シンジ「うん、そうだね」

700: 2013/03/30(土) 21:47:43 ID:dlk3AzJ6

     ウメダ、イキノ、キップカッテ~♪

シンジ「ん?」

アスカ「何? この曲?」

シンジ「ケンスケの机から……かな?」

     ゴソゴソ……

シンジ「あった。 携帯からだね……ケンスケ、忘れ物かな?」 ピッ

シンジ「もしもし?」

701: 2013/03/30(土) 21:48:58 ID:dlk3AzJ6

トウジ『おー、センセ。 出てくれたか』

シンジ「トウジ?」

トウジ『ケンスケの奴が携帯が無いって気がついてな』

トウジ『たぶん、学校やろ、とは思ってたけど……』

トウジ『もしかしたら日直のセンセが出るかも、と、かけてみたんや』

シンジ「ああ……そうなんだ」

トウジ『ケンスケ、どないするー?』

トウジ『…………』

トウジ『ほうか、分かった』

トウジ『あんな、センセ』

シンジ「うん」

702: 2013/03/30(土) 21:49:44 ID:dlk3AzJ6

トウジ『とりあえず、それ持って帰って、明日返してくれへんか?って、言っとるわ』

トウジ『頼めるか?』

シンジ「ああ、構わないよ、それくらい」

トウジ『すまんの~センセ。 ケンスケ、ええって』

トウジ『んじゃ、また明日』

シンジ「うん、また明日」

     ピッ… ツー、ツー…

アスカ「ジャージ?」

シンジ「うん。 やっぱりこれ、ケンスケの忘れ物だって」

アスカ「ふ~ん……」

703: 2013/03/30(土) 21:50:32 ID:dlk3AzJ6

アスカ「ところで、さっきの曲……アレ、なんなのかしら?」

シンジ「着メロってやつだよ」

シンジ「着信音を自分好みの曲に設定出来るんだ」

アスカ「そうなの?」

シンジ「そうなの……って知らなかったの?」

アスカ「携帯の着信音なんて、変える必要性を感じないもの」

シンジ「それは……まあ、そうだけど」

シンジ「でも、そういう設定を個別にしておくと、かかってきた時に」

シンジ「曲を聴いただけで、誰からか、わかる様になるから」

シンジ「結構便利だって、ケンスケ達は言ってた」

アスカ「個別って……電話番号ごとに設定できるの?」

シンジ「そうらしいよ? 僕も詳しくは知らないけど……」

アスカ「…………」

704: 2013/03/30(土) 21:51:30 ID:dlk3AzJ6

葛城宅



     ガチャ

シンジ「ただいまー」

アスカ「待ってたわよ、バカシンジ」

シンジ「うん。 すぐ晩御飯、作るから」

アスカ「……そうね。 その後でいっか」

シンジ「……? 何?」

アスカ「ううん、いいの。 後で話すから」

シンジ「うん……」

シンジ(何か……嫌な予感がする……)

705: 2013/03/30(土) 21:52:13 ID:dlk3AzJ6

ミサト「ごちそうさまー」

ミサト「シンちゃん、いつもありがとう。 美味しかったわ♪」

シンジ「いえ」 ///

カヲル「ごちそうさま」

カヲル「食器、洗うの手伝おうかい? シンジくん」

シンジ「あ、うん。 頼めるかな?」

カヲル「ふふ、わかった」

綾波「……ごちそうさま」

綾波(食器洗い、手伝おうと思ったけど……ホ〇の人に先を越された) クスン…

マリ「ごちそうさまにゃ♪」

アスカ「ごちそうさま」

706: 2013/03/30(土) 21:52:49 ID:dlk3AzJ6

     カチャ カチャ…

マリ「ほいほい、みんなー」

マリ「食後に麦茶はどうですかー?」

綾波「メガネの人、ありがとう」

アスカ「あたしも、もらうわ」

マリ「ホ〇ルとワンコくんの分も入れとくねー」

シンジ「あ、はい、マリさん。 いただきます」

カヲル「すまないね」

マリ「いえいえ」

707: 2013/03/30(土) 21:53:30 ID:dlk3AzJ6


―――――――――――


アスカ「さて……と」

アスカ「バカシンジ」

シンジ「ん? 何?」

アスカ「モブキャラの携帯、持ってきて」

シンジ「……何をする気だよ」

アスカ「別に~? ただ……」

アスカ「モブキャラの着メロ……どんな設定になってるか」

アスカ「知りたいと思わない?」 ニヤリ☆

シンジ「アスカ……」

マリ「なになに~? 何の話~?」

アスカ「えっとね……」

708: 2013/03/30(土) 21:54:22 ID:dlk3AzJ6


―――――――――――


マリ「ほうほう、それは面白そうにゃ」

アスカ「でしょでしょ?」 ニシシ♪

シンジ「二人とも……これは面白がってやる事じゃないよ」

アスカ「いーじゃない、これくらい」

アスカ「携帯忘れるアイツが悪いのよ」

シンジ「アスカ……」

カヲル「まあまあ、シンジくん。 僕もちょっと興味あるし……」

カヲル「彼なら、そんなに変な設定をしないだろう……大丈夫だよ」

シンジ「カヲルくん……」

シンジ「……わかった」

709: 2013/03/30(土) 21:55:38 ID:dlk3AzJ6

シンジ「それにしても……みんな、いつの間にケンスケと番号交換したの?」

マリ「この前、ジャージくんと泊まりに来た時にゃ」

シンジ「ああ……あの時に」

アスカ「その場のノリでね」

綾波「……使ってないけど」

ミサト「実は私も……」 テへへ///

シンジ「綾波にミサトさんまで……」

カヲル「さて……それじゃ、トップバッターは誰から行く?」

アスカ「あたしから行くわ」

アスカ「モブキャラ……変な曲にしてたら、タダじゃ置かないんだから……」 ピッ

711: 2013/03/30(土) 21:58:02 ID:dlk3AzJ6

アスカ「…………」

シンジ「あ……ワーグナーだね」

カヲル「ワルキューレの騎行か……なる程」

マリ「わかりやすいけど……ひねりも何にも無いにゃ」

ミサト「マリ……相田くんは、ウケ狙いで着メロ入れてないわよ」

ミサト「それだけ、ドイツって存在感あるのね~」

綾波「…………」

マリ「そんじゃ次、誰が行く?」

712: 2013/03/30(土) 21:58:59 ID:dlk3AzJ6

ミサト「あたし、行こっかな?」

アスカ「ダメ。 ミサトはオチ担当」

ミサト「ちょ、ちょっとアスカ……オチって……」

アスカ「そうねえ……エコヒイキ、あんた行きなさい」

綾波「私?」

アスカ「深い理由は無いわよ」

アスカ「ただ、予想がつかないから、もの凄く興味あるわ」

シンジ(ある程度は、出来るけど……)

カヲル(相田くんが、どんな曲にするのかは……確かにそうだね)

綾波「……わかったわ」 ピッ

714: 2013/03/30(土) 22:01:58 ID:dlk3AzJ6

マリ「およ!?」

カヲル「アメー○ング・グレイス……」

シンジ「元は、イギリス民謡だっけ?」

ミサト「……うん、いい曲よねー」

アスカ「…………」

アスカ(これをエコヒイキにチョイスって……どういう感性してんのよ、あいつ……)

綾波(…………)

綾波(とても……綺麗な曲……)

715: 2013/03/30(土) 22:02:54 ID:dlk3AzJ6

マリ「ちょっと意表を突かれたけど、合わない事は無いと思うにゃ」

シンジ「僕はいいと思うけど」

カヲル「確かにファーストっぽい曲ではあるかな?」 クス

綾波「……私らしい?」

アスカ「気にする事は無いわよ」

アスカ「あくまでモブキャラの、あんたに対するイメージってだけだから」

綾波「私のイメージ……カメラの人の……」

ミサト「単純に相田くんが、この曲を好きってだけかもしれないしね」 クス

ミサト「さぁーて、お次は?」

マリ「あたしが行ってみるにゃ♪」 ピッ

716: 2013/03/30(土) 22:04:20 ID:dlk3AzJ6

717: 2013/03/30(土) 22:04:58 ID:dlk3AzJ6

     チッ、チッチッチッ、オッパァーイ! ボインボイン~

マリ「…………」

シンジ「…………」 ///

カヲル「…………」

アスカ「…………」

綾波「…………」

ミサト「……まあ、思春期の男の子だし」

マリ「……女性としては、喜ぶべき、かなー」

アスカ「いやぁーね、男って……」

718: 2013/03/30(土) 22:05:56 ID:dlk3AzJ6

シンジ「なんか……すみません」 ///

綾波「碇くん」

シンジ「ん?」

綾波「碇くんも、メガネの人のオッパイ、見てる?」

シンジ「ぶふぉっ!?」 ///

アスカ「な、何言ってるのよ! エコヒイキ!」 ///

アスカ「あんな脂肪の塊! 見てるわけないでしょ!」 ///

綾波「本当? 碇くん?」

シンジ「もももももも、もちろんさ!」 ///

マリ(あら~、ワンコくんもやっぱり男の子なんだにゃ。 知ってたけど♪)

シンジ「じゃ、じゃあ、次! 僕が行くね!」 ///ピッ

720: 2013/03/30(土) 22:08:19 ID:dlk3AzJ6

     ホシクズノウミノナカ~ タダヨウ、ユメ~モトメ~

ミサト「あ……これ知ってる。 夢○年だわ」

シンジ「そうなんですか? ……いい曲ですね」

アスカ(ミサトが知ってるって事は……古い曲?)

マリ「……わぁ。 これ、歌詞がグッとくるね?」

カヲル「うん……シンジくんらしい曲だ」

綾波「…………」

綾波(寂しげで、孤独感があるけど……とても、力強さを感じさせる曲)

綾波(うん……碇くんらしい曲……) ///

721: 2013/03/30(土) 22:09:03 ID:dlk3AzJ6

ミサト「懐かしいわ~、この曲がテレビアニメで流れてた頃」

ミサト「日本は、本当に平和だったわ」

シンジ「セカンドインパクト前の曲ですか……」

ミサト「それにしても相田くん、どうしてこんな曲知っているのかしら?」

カヲル「それについては、謎だね」

アスカ「あ」

マリ「うん? 姫、どうかしたかにゃ?」

アスカ「ちょっと思いついた事があって……」 ピッ ピッ ピッ…

アスカ「あ? ヒカリー? うん、そう」

アスカ「少し変な事聞くけど……ヒカリはモブキ……相田ケンスケと番号交換してる?」

アスカ「うん……うん……」

アスカ「じゃあ、今、かけてくれない? ああ、理由は明日、話すから」

アスカ「お願いね」 ピッ…

723: 2013/03/30(土) 22:11:06 ID:dlk3AzJ6

     コノソラノ~ユクハテニ~ マダミエヌ~ミライノナミ~ガアリ~

アスカ「…………」

シンジ「なんか……切ない曲だね」

マリ「悪いわけじゃなく……重いって感じ?」

ミサト「いい曲だとは思うけど……」

カヲル「相田くん……委員長らしいと言えば、らしいけど……」

綾波(まるで……今の世の中(エヴァ世界)の刹那を歌っているみたい)

綾波(でも……とてもいい曲)

724: 2013/03/30(土) 22:11:47 ID:dlk3AzJ6

カヲル「それじゃあ、次は僕が行ってみるかな?」

アスカ「まあ……あんたの曲は、聞かなくても大体予想つくけどね」

シンジ「ア、アスカ……まだ、わからないだろ?」

マリ「そうは言ってもね~」

綾波「付いたイメージは、なかなか変えられない」

カヲル「ファースト……さらっと酷い事言うね……」

カヲル「元々は君達が勝手に付けたイメージなのに」

アスカ「あんたの行動や言動が、それを全否定してるわよ」

ミサト「それじゃ、行ってみてくれる?」

カヲル「はいはい」 ピッ

726: 2013/03/30(土) 22:14:07 ID:dlk3AzJ6

     ユラリ、ユラリ、ユレテ、イール  オトコ、ゴコロ、ピーンチ☆

カヲル「…………」

綾波「やっぱり……」

マリ「ウホッ!……で」

アスカ「アッー!な、展開の曲だったわね」

シンジ(……ごめん、カヲルくん)

シンジ(擁護できないや……)

ミサト(こんな曲が存在するのね……)

ミサト(恐るべし……くそ○そテ○ニック)

727: 2013/03/30(土) 22:14:59 ID:dlk3AzJ6

アスカ「さ、トリを飾るのは、ミサトよ」

ミサト「こ、この曲の後でやるの……なんか嫌だわ」

マリ「気持ちは分かるけど、聞きたいにゃ」

綾波「カメラの人の、葛城三佐のイメージ曲……」

綾波「興味、ある」

シンジ「だ、大丈夫ですよ、ミサトさん」

シンジ「ケンスケは、ミサトさんの事、尊敬してたし……」

ミサト「……そ、そう?」

シンジ「もちろんです」

カヲル(シンジくん、ナイスアシストだ)

ミサト「じゃあ……行くわよ」 ピッ

729: 2013/03/30(土) 22:17:01 ID:dlk3AzJ6

     サケガノメル サケガノメル サケガノメルゾー♪

アスカ「ブハハハ!」

ミサト「」 チーン…

マリ「まあ……この前のお泊りでも、豪快に飲んでたしねー」

綾波「とても美味しそうだった」

シンジ(……ミサトさん、すみません)

シンジ(期待させる様な事、言って……)

カヲル「まあ……仕方ないよね」

730: 2013/03/30(土) 22:18:01 ID:dlk3AzJ6

翌日の朝

学校



ヒカリ「そういう事だったの……」

アスカ「まあ、いい暇つぶしになったわね」

ヒカリ「ところで私のは、どんな曲だった?」

アスカ「いい曲だったわよ? ヒカリっぽくて」

ヒカリ「ふうん……」


ケンスケ「おはよう、碇ー」

シンジ「! お、おはよう、ケンスケ」

ケンスケ「昨日はごめん、助かったよ」

シンジ「う、うん……はいこれ、携帯」

ケンスケ「おっ、ありがとう、碇」

731: 2013/03/30(土) 22:18:52 ID:dlk3AzJ6

ケンスケ「さてと、今日の一時限目は……と」

綾波「カメラの人」

ケンスケ「ん? 綾波……?」

綾波「ありがとう」

ケンスケ「……はい?」

綾波「じゃ……」

ケンスケ「????」

ケンスケ(何のお礼?)

732: 2013/03/30(土) 22:19:40 ID:dlk3AzJ6

NERV指令所



ミサト「はあ……」

リツコ「どうしたの? ミサト」

リツコ「今日は、ため息が多いわね」

ミサト「ちょっちねー……考えさせられたんだわ、これが……」

リツコ「考えさせられる?」

ミサト「んー」

ミサト「お酒……止めようかなーって」

リツコ「無駄な努力ね」

ミサト「真面目な話だってば……」

733: 2013/03/30(土) 22:21:02 ID:dlk3AzJ6

リツコ「あなたがお酒を? ありえないわ」 クスクス

ミサト「うっ……否定出来無い」

リツコ「くだらない事を言ってないで、予算超過報告書と補充スタッフの選定」

リツコ「それからNERVスタッフの訓練内容や期間・場所の」

ミサト「リツコ……みなまで言わないで……仕事はちゃんとするから……」

リツコ「わかればよろしい」

リツコ「じゃ、私は、パイロットの訓練内容を作成するから」

ミサト「はーい」

ミサト(…………)

ミサト(とは言うものの……)

ミサト(せめて……子供達の目の前で飲むのは止めよう) ハア…

734: 2013/03/30(土) 22:21:33 ID:dlk3AzJ6



     だが、家に戻ってそれを思い出したのは

     みんなの前でビールを1本空けた後だった。

     ……ミサトは、止めるのを止めた。



     おしまい

735: 2013/03/30(土) 22:25:19 ID:dlk3AzJ6
うあちゃー。最初の数レス、コテつけ忘れたー。痛恨のミス。

という事でこれで終わりです。短くてすみません。
本来はシンジの携帯にしようと思ったんですが
シンジはクラッシックに偏りそうだったので、自分には出来無いと思い
ケンスケに出張ってもらいました。

実は同じネタ、ISでもやってるんですけどね。
ヤラ○イカは、一度聞いたら耳について離れませんw
お楽しみいただけたのなら、幸いです。

それでは、ネタを思いついたら、また。

738: 2013/03/31(日) 09:58:32 ID:3upN05ak

引用元: リツコ「ミサト、引っ越しして頂戴」 ミサト「え、2回目?」