2: 2016/12/30(金) 21:37:40.52 ID:SDaa6uYS.net
真姫「お父様、おはよ」

王様「おはようございます、真姫」

王様「真姫、今日はその…」

真姫「ああ…わかってるわ、ちゃんとするわよ」

王様「……」

昔、ある国に1人のお姫様がいました
お姫様はとても美しく王様からも愛され幸せに暮らしていました
ですが王様はお姫様の事で悩み事がありました…

3: 2016/12/30(金) 21:38:15.45 ID:SDaa6uYS.net
真姫「だから…私と結婚したいのならドラゴンの尻尾、持ってきなさいよ」

穂の王子「ほぇ?!そ、それは流石に……」

真姫「私への愛なんてその程度って事かしら?」

穂の王子「だってドラゴンなんてこの世にいないし…、それにやっつけるなんて私に到底できるわけ…」

真姫「言い訳は聞きたくないわ、じゃあ結婚の話はもうおしまいね」

穂の王子「そ、そんなぁ…」

真姫「どうしたの?もう用はないはずだけど」

穂の王子「……」シュン

王様(真姫…)

4: 2016/12/30(金) 21:38:48.56 ID:SDaa6uYS.net
お姫様は生まれた時からずっと皆から甘やかされて育ちました、だからとてもワガママで、王様は頭を悩ませていました


王様(このままではこの国は…)

王様は決断しました、この国の未来の為、真姫の将来の為に…

5: 2016/12/30(金) 21:39:29.15 ID:SDaa6uYS.net
それから

真姫「どうしたの?話があるって」

王様「コホンッ……真姫、貴方に……試練を与えます」

真姫「はぁ?」

王様「これを…」ジャラ

王様が真姫に渡したのは袋に入った10枚の金貨でした

真姫「お金?何よ急に…」

王様「真姫、貴方はこれからその金貨10枚を使って金貨を100枚にしてくる迄、この国に戻ってきてはいけません。」

6: 2016/12/30(金) 21:40:09.08 ID:SDaa6uYS.net
真姫「はぁ?!いきなり意味わかんないわよ!」

王様「真姫!!パパは本気ですっ!!!」

王様は真姫に声を荒げました
それは真姫にとって生まれて初めての事で、真姫はとても驚き戸惑いました

真姫「な、何よ……いきなりそんな怒らなくたって」

王様「もう1度言います…パパは本気です!」

真姫「そんな……それにこんな金貨だけ渡されて、どうしろっていうのよ」

7: 2016/12/30(金) 21:40:43.52 ID:SDaa6uYS.net
王様「それは真姫、貴方が自分で考えるのです」

真姫「考えろって……私、お金なんて稼いだことないし」

真姫は戸惑います、今まで何不自由なく与えられてきた自分がそんなこと出来るわけない、なんで自分がそんな事を、と

真姫「うぅ…」ポロポロ

王様(ううっ…泣きたいのはパパの方ですっ……こらえろ私ぃ!)

8: 2016/12/30(金) 21:41:20.36 ID:SDaa6uYS.net
真姫は泣きじゃくります、それを見かねて王様は少しだけ真姫に力を貸します

真姫「うっ…ひっ…」ポロポロ

王様「せめてもの情けです……1人だけ旅のお供をつけましょう……にこ」

にこ「はい」

やって来たのは小柄な女の子、つい最近お城の使用人になったばかりのにこでした

王様「にこ、娘の旅の世話どうかよろしくお願いします」

にこ「はい王様、このにこにお任せを」

9: 2016/12/30(金) 21:42:21.04 ID:SDaa6uYS.net
そして真姫とにこは町の外に
お見送りはありません、渡された金貨の袋を脇にしまい、真姫は立ち尽くします

にこ「何してんのよ、早くいくわよ」

真姫「ヴェェ?!何であんたいきなりタメ口なのよ!」

にこ「は?王様の話聞いてなかったの?」

王様は言いました、この町を1歩出た時からおまえはお姫様でも何でもない、だから助けてもらうにこの言う事は素直に聞きなさい…と

10: 2016/12/30(金) 21:42:49.21 ID:SDaa6uYS.net
真姫「い、一応私はお姫様なのよ!それをーー」

にこ「ごちゃごちゃうっさいのよ、王様の命令は絶対よ……それに」

真姫「……?」

にこ「私の方が年上なんだから!せめてにこちゃん……ちゃんつけなさい」

真姫「……ったい」

真姫「ぜっええったい!い や っ!!」


こうして元お姫様と使用人の旅は始まるのでした

11: 2016/12/30(金) 21:43:38.17 ID:SDaa6uYS.net
真姫「ねぇ…」

にこ「どうしたの」

真姫「喉…渇いた」

にこ「あっそう…」


真姫「喉っ……渇いたっ!!」

にこ「あっそう…早く歩きなさい」

真姫「……」

街を出て1時間程、真姫はその場にへたりこみました

12: 2016/12/30(金) 21:44:21.67 ID:SDaa6uYS.net
にこ「何やってんの…ほら、もう1時間も歩けばとなり街につくわよ!」

真姫「無理」

にこ「…」イラッ

にこ「一応励ましてあげてるんだけど、元お姫様にはわからないかな?」

真姫「誰が元お姫様よ!……はぁ、一々怒るのも疲れたわ」

にこ(こっちの台詞だってーの!何なのこいつは…)

真姫「…近くに水はないわけ?私はもう動けないから汲んできてよ」

にこ「だったら私もここで休憩するわ」

真姫「はぁ?使用人の癖に生意気なのよ!」

にこは王様から幾つかお願いをされていました
そのうちの一つ、絶対に娘を甘やかさないでくれ…と

にこ「よいしょっと」

にこは怒るでもなく真姫の隣に寝転がりました

15: 2016/12/30(金) 21:45:13.85 ID:SDaa6uYS.net
真姫「ちょ…あんた何してんのよ」

にこ「…zz」

真姫「寝てる……」

真姫(私だって、絶対にもう動かないんだから!)

真姫も意地になりその場から立ち上がろうとしません、それから1時間…2時間…

にこ「…zz」

16: 2016/12/30(金) 21:45:49.80 ID:SDaa6uYS.net
真姫「ね、ねぇ…」ユサユサ

真姫「ねえってば」

にこ「ん………」

真姫「喉………っ」

にこ「はいオヤスミ……zz」

真姫「ちょっ…………」

真姫「っ……!」

真姫「起きてよ……次の町……」

にこ「あぁ、やっと行く気になった?……ふぁぁ」

それから2人は歩きはじめます


真姫「…本当に1時間なのよね」

にこ「多分ね……私もここら辺あんま詳しくないし」

真姫「嘘だったら許さないんだから」

にこ「あっそう…」

18: 2016/12/30(金) 21:46:42.85 ID:SDaa6uYS.net
にこ「見えてきたわよ、ほらもう少し頑張りなさい」

真姫「本当だ!……やっと」


やっと隣の町に着きました、出発したのはお昼すぎだったのにもう日が暮れる頃になってました

真姫「とにかくお腹すいた…喉渇いた…」

にこ「ちょっと待ってて、えっと……」

真姫「ねぇ、まだ?何してんの…」

にこ「何って、先に宿屋探してんのよ、安っすいとこ」

19: 2016/12/30(金) 21:47:19.26 ID:SDaa6uYS.net
真姫「そんな事どうでもいーから、早く晩ごはん!」

にこ(はぁ…)

にこ「いーい?夕方に街に着いた時は食事より何より宿探しが最優先よ!覚えときなさい!」

にこは半ば呆れ気味に言いました、城のお姫様とはここまで世間知らずなのかと、王様が自分をお供につけなかったらこの元お姫様はどうなっていたんだろうと


にこ「あったわ、いい感じにボロいわね…入るわよ」

20: 2016/12/30(金) 21:47:49.40 ID:SDaa6uYS.net
宿屋の店主「いらっしゃい」

にこ「2人で2日…いくら?」

店主「銀貨4枚だよ」

真姫「あるわ、4枚ね!」ジャラ

にこ「で…………?本当は?」

真姫「へ?」

真姫は戸惑います、何をやってるんだろうと

21: 2016/12/30(金) 21:48:25.30 ID:SDaa6uYS.net
店主「銀貨3枚だよ、これ以上は…」

にこ「わかったわ、2枚ね…真姫、2枚だして」

真姫「え……あ、はい」ジャラ

店主「はは…お嬢ちゃん中々しっかり者だね、かなわないよ!」

にこ「ありがとにこー♡ 鍵、もらってくわ!夜には戻るから」

真姫(4枚じゃなかったの!?)

それから町の小さな食堂へ向かいます
ここもお世話にも綺麗とは言えないボロボロのお店

22: 2016/12/30(金) 21:49:08.77 ID:SDaa6uYS.net
にこ「まぁ旅立ち初日ってことだから、食事くらいは好きなだけ楽しまないとね」

真姫「どこがよ!こんな汚い椅子にテーブル…とても食事するとこなんて」

にこ「ほら……でてきたわよ」

まずテーブルにパンと水が置かれました
ですが真姫はじっと眺めるだけ

にこ「うまっ!」モグモグ

真姫「……」

にこ「何…食べないの?」

真姫「何なのこれ……」

23: 2016/12/30(金) 21:49:38.88 ID:SDaa6uYS.net
にこ「え………?何ってパンと水でしょ」

真姫「要らない……こんな汚いモノ」

にこ「……あっそう、おばちゃん!じゃんじゃん持ってきて!」

店主「はいはい!」

それからテーブルに並べられる料理
真姫には初めて見る様なモノも沢山ありました

真姫「……」

にこ「お姫様だか何だか知らないけど、食べれる時に沢山食べときなさい」

真姫「……」ぐうぅ

24: 2016/12/30(金) 21:50:19.97 ID:SDaa6uYS.net
にこ「何よ、お腹鳴ってんじゃない……ほらパン」

ですが、いくらプライドの高い真姫といえど、空腹には勝てません

真姫(何で私がこんな家畜のエサみたいなもの…)

にこ「ほら…」

真姫「っ……!」パクッ

真姫「何よこのパン……パッサパサじゃない」

25: 2016/12/30(金) 21:51:00.07 ID:SDaa6uYS.net
にこ「贅沢言える立場じゃないでしょ」

真姫「……」モグモグ

黙って出された料理を食べる真姫、その顔はちっとも嬉しそうではありません


にこ「あ~♡もう無理無理!久しぶりに食べ過ぎちゃったわ…たまにはいいか」

真姫「ご馳走様…」

にこ「ご馳走様!おばちゃんまたくるわ」

店主「うん、ありがとう!」


それから宿に帰り、部屋を案内されました
安いだけあってボロボロのところです
真姫には信じられない様な光景でした

26: 2016/12/30(金) 21:51:38.91 ID:SDaa6uYS.net
真姫「これが……宿?家畜小屋の間違いじゃなくて?」

にこ「寝るとこがあれば何でもいいのよ!」


真姫「……もうイヤ」

にこ「はい……?」

真姫「1日中歩きっぱなしで!せっかく着いたと思えば豚のエサが出てきて!最後は家畜小屋!」

真姫「ふざけないでよっ!!」

我慢していた真姫も限界、怒って部屋を飛び出していきました

にこ「ちょと!………あのバカ姫!」

にこは呆れながら真姫を追いかけます

27: 2016/12/30(金) 21:52:55.52 ID:SDaa6uYS.net
真姫(今からでもお城に帰るんだから……!)

街の外へ出て真っ暗な夜道をただ走り続けました

真姫「はぁ、はぁ、はぁ……っていうか、ここは」

真姫(真っ暗で全然分からない……)


真姫(何で私がこんな目に……)ポロポロ

ガサガサ…

真姫「何っ…?」

ガサガサ…ガサガサ…

真姫「何なの?!」

グルルと唸る声、草むらから光る瞳、それは野生の狼でした

28: 2016/12/30(金) 21:53:25.52 ID:SDaa6uYS.net
真姫「や……うそ……?!」

その場に固まる真姫、狼は真姫を睨みながらのそのそとゆっくり近づいてきます

真姫「あ……ああ…」


真姫(……誰か……誰かっ……!!)


その時です、真姫の後ろから走ってくる足音がしました

真姫「だ、誰?!」

にこ「はぁ……ったく、こんなとこいたのね!」

それは息を切らしながら真姫を探しまわっていたにこでした

29: 2016/12/30(金) 21:53:53.82 ID:SDaa6uYS.net
真姫「にこ……!」

にこ「ぬわぁにやってんのよ!あっちいけぇっ!」


手に持っている松明で狼を振り払うにこ、狼も驚き怯みます

にこ「逃げるわよ!まさかと思ったら最悪な事になってるじゃない!」

真姫の手を引き一目散に街へと走る

30: 2016/12/30(金) 21:54:23.84 ID:SDaa6uYS.net
にこ「はぁ、はぁ……たまたま逃げきれたから良かったけど……」

真姫「ううっ……」

にこ「あんたねぇ!馬鹿の癖にプライドばっかり高くてーー」

真姫「うぐっ……んんっ……」ポロポロ

にこ(はぁ……)

にこ「もういいわ…とにかく宿に帰るわよ」


それから宿屋に戻りました、流石の真姫も怖かったのでしょう
部屋のベットに潜りこむなり黙ってすすり泣き、そのまま寝てしまいました

31: 2016/12/30(金) 21:54:59.40 ID:SDaa6uYS.net
それから朝になり

にこ「いつまで寝てんのよ!ほれっ!」バサッ

真姫「んん……っ」

真姫「ここ……どこぉ……」

にこ「何寝ぼけてんのよ!早く支度しなさい」

顔を洗い歯を磨き、髪を整える…のだけはどうにか頼みこんでにこにやってもらい準備完了です

32: 2016/12/30(金) 21:55:33.57 ID:SDaa6uYS.net
真姫「…」ムスッ

昨日の件もあり大人しく従う事になった真姫
ですがまだ少し不服気味

にこ「いい?金貨10枚なんてちょっと贅沢してたら一瞬でなくなるわ」

にこ「でもお城に戻る迄に金貨を100枚…十倍に増やさなきゃなんないわけよ」

真姫「そのくらいわかるわよ」

にこ「わかってないじゃない、つまりこの金貨には極力手をつけちゃいけないって事なの」

33: 2016/12/30(金) 21:56:09.80 ID:SDaa6uYS.net
真姫「じゃあ、どうやってこれから宿屋に泊まったり食事したりするのよ?」

真姫「まさか……タダにできる裏技でも!?」

にこ「アホかっ!」

にこ「この金貨を元に商売すんのよ!」

真姫「…商売?売ったり買ったりってこと」

にこ「そうよ、で…それで出た利益でこれからはやりくりしなきゃなんないって事」

真姫「でも私、商売なんて……」

にこ「1口に商売といってもまぁ色々あるのよ」

35: 2016/12/30(金) 21:56:51.47 ID:SDaa6uYS.net
にこ「まずは基本、店を構えて品物を売る」

真姫「お店をやるわけね!」

にこ「だけどこれは現時点では却下。軍資金が足りなすぎるわ」

真姫「よくわかんないけどお店って高いのね…」

にこ「で、こっからは現実的なプラン」

にこ「ある街で品物を安く買い漁って、別の街で高値で売り捌く」

真姫「ふむふむ…」

にこ「あとは別の国で流通してる硬貨を安いうちに換金して、値上がりした所で再度換金して利益を出したり」

真姫「ちょっと難しくなってきたわね」

36: 2016/12/30(金) 21:57:27.74 ID:SDaa6uYS.net
にこ「簡単なのでいくと、芸人になって稼ぐって手もあるわ」

真姫「芸人……?歌や踊りとかね、それなら私にも出来そうね」

にこ「甘いわよ……もし芸で稼ぐんならそれこそぶっちぎりで人を惹きつけるくらい上手くないとまともな稼ぎになんないわ」

真姫「そこまではまだ……じゃどーするのよ」

にこ「幸い纏まった軍資金が今は多少あるわけだから、無難に行商としてちまちま稼いでいくのが一番まともかしらね」

37: 2016/12/30(金) 21:58:13.95 ID:SDaa6uYS.net
真姫「つまり……この街で買い物をして、次の街で売るってことよね」

にこ「察しが良いわね、そういうことよ」

真姫「それで、一体何を買うの??」


にこ「そこよ!まずはこの街で何を仕入れるか、そして高値で売れそうな街を探す、その為に情報収集よ」

にこ「と、その前に…これずっと被ってなさい」

真姫「マント?やだ…ちょっと汚いじゃない!」

にこ「いーから黙って着なさいってぇ」グイッ

2人はマントを羽織りフードも被って街の酒場へ

38: 2016/12/30(金) 21:58:57.70 ID:SDaa6uYS.net
にこ「着いたわね…おじちゃんとりあえずミルク2つ」

店主「はいよ」

真姫「何でこんなとこに…また食事?」

にこ「情報収集の基本は酒場よ、まぁ最初が肝心だから舐められないように…と、こうして身を隠す訳よ」

真姫もにこも城をでた時のままの格好です、確かに商人らしくはありませんでした

真姫「それでフードまで被ってるわけね」

にこは店内を見渡す、奥のテーブルで仲間と話す1人の女性を見つけました


にこ「それっぽいわね、行くわよ…」

真姫「あ、ちょっと待って…」

40: 2016/12/30(金) 21:59:37.76 ID:SDaa6uYS.net
にこ「隣失礼するわよ」

曜「おっ!見ない顔だねっ旅の人達かな?」

にこ「色々回って商売しててね」

曜「行商の人かぁ!どうしたの?」

にこ「まずはこの街の人達に挨拶しとこうと思ってね、1杯奢らせてもらうわ」

曜「おっ、ありがとー」

そんな2人のやり取りを横目に、黙ってミルクを飲む真姫、何の話をしているのか分からないのでとりあえず大人しく聞いています

41: 2016/12/30(金) 22:00:19.31 ID:SDaa6uYS.net
にこ「ありがと!また今度ね」

曜「うん!全速前進…?」

にこ「ヨーソロー!」拳コツン

親しげな謎の挨拶を交わした後、真姫を連れて酒場を出ました


真姫「やたら仲良くなってたわね」

にこ「商売の基本は明るくフレンドリーよ、覚えときなさい」

真姫「はいはい…ところで、何かわかったの」

にこ「一応ね、この街は胡椒が有名らしいわ、これは手堅くいけそうよ」

真姫「それじゃ買いに行きましょ!」

42: 2016/12/30(金) 22:00:50.83 ID:SDaa6uYS.net
にこ「そうなんだけど…今日は丸一日掛けて最安値で卸してくれるとこを探し回るわよ」

真姫「へ………?そ、そんなのさっさと決めて早く売りに行きましょ」

にこ「はぁ!?何言ってんのよ!ここでガッツリ安く仕入れとかなきゃ…売上に響くわよ」

真姫「そ、そんなに?」

にこ「当たり前じゃない、買うって言っても1個や2個じゃないのよ」

にこ「さ、行くわよ…めぼしいとこはさっき教えてもらったから」

それから2人は酒場で聞いた商人のとこを1日掛けて回りました

43: 2016/12/30(金) 22:01:31.78 ID:SDaa6uYS.net
真姫「も、もう無理……。」

にこ「何言ってんの、今から回った店のリストを作って売り捌く街を決めてーー」

真姫「……zz」

にこ「って寝てるじゃない」

にこ「……」

にこ「しょーがない姫様ね、ったく」

にこは寝ている真姫に毛布を掛け、そこから夜中まで起きていました

44: 2016/12/30(金) 22:02:03.71 ID:SDaa6uYS.net
それから

にこ「行くわよ、買い付け」

真姫「決まったの?」

にこ「ええ、当分は胡椒で凌ぐだろうし今日は重要よ」

それから2人は卸売りの商人の店へ向かいます


にこ「昨日きたにこだけど」

花丸「あ、いらっしゃい、そっちのお姉さんもこんにちわ」

真姫「どうも…」

にこ「早速だけど、金貨8枚分…どのくらいになる?」

45: 2016/12/30(金) 22:02:45.17 ID:SDaa6uYS.net
真姫「8枚!?」

花丸「いきなりそんな沢山いいの?」

にこ「まぁ長い付き合いになるだろうからね、それなりに頼むわよ」

にこはお得意の値切りもせず金貨を差し出しました、花丸は少し驚いた様子の後で裏へと向いました

花丸「よいしょ…8枚ならこんなものかな」

真姫「あれ、意外と少ないのね、もっとこう…ドサッとくるものかと」

にこ「香辛料は中々の貴重品よ、それに私達は馬車もないしあんまりかさばるとかえって面倒なのよ」

47: 2016/12/30(金) 22:03:38.42 ID:SDaa6uYS.net
真姫「なるほど…理にかなってるわね」

にこ「ありがと、また来るわね」

花丸「はーい、お待ちしてます!」

それから2人は街の港へ向かいます

にこ「確かこの辺って言ってたわよね…」

曜「あ!にこちゃん!それに美人のお姉さん!」

にこ「あ、居たわね」

真姫「真姫よ!貴方は…酒場にいた暇人じゃない」

48: 2016/12/30(金) 22:04:20.31 ID:SDaa6uYS.net
曜「暇人は言い過ぎだよぉ!まぁ船乗りは街に居る間は暇なんだけどさ、あはは!」

曜「そういえば品は手に入ったかな?」

にこ「バッチリよ、んじゃ穂の国まで頼むわよ」

曜「了解であります!さあ乗って乗って!」

真姫(穂の国って…あ、この前の王子の!)

それから2人を乗せ船は穂の国へと向かいます

49: 2016/12/30(金) 22:05:02.34 ID:SDaa6uYS.net
真姫「ねぇ…」

にこ「どうしたの?」

真姫「もう船代と2、3日の宿泊代しか残ってないけど大丈夫なの?」

にこ「大丈夫じゃないわ、でもズルズルやってる時間も余裕もないしね」

真姫「もし売れなかったらどうなるの?」

にこ「当然……浮浪者コースね」

真姫「ヴェェ!?絶対いやよそんなの!」

にこ「まぁ手堅くいってるから大丈夫だと思うけど、あんたも手伝いなさいよ」

真姫「うう…やるだけやるわ!」

お金が無くなるって、こんなに恐ろしい事だとは…にこの言う事には従うしかないと諦めます
それから数時間で船は穂の国に到着しました

50: 2016/12/30(金) 22:05:34.68 ID:SDaa6uYS.net
曜「着いたよ!」

真姫「は、吐きそ…」

曜「大丈夫かな真姫ちゃん?」

真姫「はぁ、はぁ……大丈夫。」

にこ「ありがと曜、ところであんたはいつまでこっちにいるわけ?」

曜「ここへは定期便だし、すぐに帰るよ!あ、明明後日にはまた来るから」

にこ「わかったわ、じゃまた」

曜「2人とも気をつけてね!」


にこ「さ、行くわよ」

真姫「まずは宿屋や酒場よね、何でもいいから早く水を…」

それから宿を取り、酒場に向かいます

51: 2016/12/30(金) 22:06:30.38 ID:SDaa6uYS.net
酒場の店主「いらっしゃいお2人さん」

真姫「ミルク2つ!」

酒場に着いたらミルク2つを注文、あのわがままお姫様の小さな成長ですが、にこは少しだけ嬉しそうでした

それからいつものように にこは酒場に来ていたお客や店主に話しかけすぐに打ち解けました

真姫「本当に慣れてるわね、前も何かやってたの?」

にこ「まあね、とりあえず色々聞けたわ今日は宿にもどるわよ」

それから宿に戻り明日の予定を立てます

にこ「ちょっとだけ遠いんだけどもう少し先の街まで明日は売りにいくわよ」

真姫「えっと…この街じゃダメなの?」

52: 2016/12/30(金) 22:07:08.51 ID:SDaa6uYS.net
にこ「考えてもみなさい、私達は園の国で胡椒を買って、ただ穂の国の港街に持ってきただけよ」

にこ「これなら誰でもできるわ、曜の仕事の片手間にもできるわよ」

真姫「確かに…」

にこ「だから少し先の街まで売りに行くのよ、一応めぼしいとこも聞いたし」

真姫「ついに売れるのね!」

にこ「まぁ、有難い事にこの国は割りと自由に商売しても良いみたいだし」

にこ「明日が勝負よ、真姫…あんたには期待してるわよ」

真姫「……? まぁ、任せて…」

53: 2016/12/30(金) 22:09:00.52 ID:SDaa6uYS.net
早朝、荷馬車に乗せてもらい離れた街へ向かう、それから向かった先は

真姫「貴族のお屋敷?」

にこ「ええ、私達は捌ける数に限りもあるし大量に仕入れて捌いてる連中には値段競争じゃ敵いっこないわ…」

真姫「確かにそうよね、色々あるのね商売って…」

にこ「だから高級志向でいくの、金持ちのバカども相手に毟り取るわよ」


真姫「あ……っ!」

真姫「だからあの卸売り屋で買い付けたの?最安値って言う割にリストの中ではそこそこ高めだったから疑問に思ってたの」

54: 2016/12/30(金) 22:09:38.41 ID:SDaa6uYS.net
にこ「鋭いじゃない、正解よ。それなりに良いものじゃないとまず相手にしてもらえないしね」

それから2人は少し清潔感のある服に着替え貴族の屋敷の門を叩きます

メイド「はい、どちら様でしょう?」

真姫「私達は園の国から来ました行商です、この度は大変貴重な品物を入荷したので是非お話を、と」

メイドも真姫の身なりや振る舞いを見てスグに気づきます、ただの街の商人ではないのだろうと

メイド「では、こちらで少々お待ち下さいませ、主人に確認して参ります」

55: 2016/12/30(金) 22:11:19.32 ID:SDaa6uYS.net
少ししてこの屋敷の主人が出てきました

鞠莉「あらあら♪こんにちわ、わざわざこんなとこまでどういった用かしら?」

にこ(よっし!見るからにお金持ってそうね……真姫!頼むわよ!)

真姫「はい、この度はこちらの胡椒をお持ちしたのですが…」

鞠莉「あら、香辛料ね!」

にこ(そこそこ食いついてるわね)

ここまではにこの予想通りです、そして真姫も勝負に出ました

真姫「ええ、こちらは元々 園の国の王室御用達の品物だったのですが、特別に私達だけ卸して貰う許可を頂きまして…」

鞠莉「oh!?それ本当に!?」

にこ(まぁ、元姫様が買い付けたわけだし嘘はついてないわ…)

56: 2016/12/30(金) 22:12:07.12 ID:SDaa6uYS.net
真姫「その……希少な品物でしたので、この街で最もご立派なこのお屋敷にまず最初にお持ちしようと思いまして…」

鞠莉「うんうん♪当然よ!!ちょっと見てもいいかしら?!」

主人はご機嫌でした、貴族のプライドと好奇心くすぐる真姫の作戦は大成功です
そして


真姫「この度はありがとうございました」

鞠莉「また面白い品物があったら頼むわよ!チャオ!」

それから2人はまた荷馬車に乗せてもらい元の街へ帰る途中

57: 2016/12/30(金) 22:12:42.56 ID:SDaa6uYS.net
真姫「………」

にこ「……ふふ!」

真姫「ふふふ!」

にこまき「やったあ!!!」

抱き合い声を上げて喜びます、何と…8枚で買った胡椒は13枚で売れたのです

にこ「いやぁ!予想以上に上手くいったわ、やっぱり金持ち相手にふっかけるのは誰もやってなかったみたいね」

真姫「こんなに簡単に売れるなんて!」

にこ「良くやったわ真姫!」

真姫「ありがとう!……にこ……ちゃん…//」

にこ「……何照れてんのよ」

真姫「う、うるさいわね!今日こそはご馳走とふかふかのベッドがある宿屋に泊まるわよ」

にこ「だから調子にのるなってーの」

こうして2人の初めての仕事は大成功に終わりました

58: 2016/12/30(金) 22:13:31.24 ID:SDaa6uYS.net
一旦ここまでです

68: 2016/12/31(土) 08:15:56.29 ID:HGsV/509.net
あれから一ヶ月が経ちました、そして今は穂の国から街へ帰る船の中

真姫「僅か一ヶ月で金貨が25枚、私ってば商売の才能があるわ…」

にこ「金持ちは足元すくわれるわよ…覚えときなさい」

真姫「…本当につまらない人ね、にこちゃんって」

にこ「あんたに言われたくないわよ!」

曜「ほらほら、喧嘩してるうちに見えてきたよー」

船旅にも慣れた真姫、港に着くまではいつもにことお喋りに夢中です、そして船は港に到着しました、それから2人は花丸の元へ

69: 2016/12/31(土) 08:17:03.34 ID:HGsV/509.net
花丸「おかえりなさい、どうだった?」

真姫「あっさり買ってくれたわ、本当…貴族様様ね」

花丸「それは良かったずら!」

にこ「ところで花丸…」

花丸「はい?」

にこ「あんたの知り合いに南の国の商人とかいない?」

南の国は、園の国と陸続きの隣国です、園、穂、南の3国は友好関係にある為、貿易が盛んでした

70: 2016/12/31(土) 08:18:02.18 ID:HGsV/509.net
花丸「いるには居るけど…南でも商売するの?」

にこ「まぁ、おいおいね…」

真姫「にこちゃん、そろそろ…」

にこ「はいはい、邪魔したわね、また来るわ」

花丸「はーい、ご贔屓に」

まず宿を取り、やっと本日の食事にありつきます

真姫「ねぇ…南の国ってあれ何の話?」

にこ「ああ…花丸に言ったままよ、近隣の国の事もちょくちょく調べとかないとね」

真姫「そんな必要あるわけ?このまま続けてたら半年もかからずに金貨100枚超えるわよ」

にこ「万が一よ…」

にこは少し不安な予感がしていました、こうも上手いことが続くわけない…と、それが商売です
そしてその不安は的中してしまいます

71: 2016/12/31(土) 08:19:08.41 ID:HGsV/509.net
にこ「ちょっと行って来るから、大人しく宿に居なさいよ」

その日、にこは先日の南の商人を紹介してもらいに花丸と出かけました
そして

真姫「って事は今日は1人で留守番ね…」

真姫「てゆーか何で宿に居なくちゃ行けないのよ!私も出かけるわ!」

真姫は街へ出かけました、お買い物に…ではなく自分で新しい品物がないか見て回る為です

72: 2016/12/31(土) 08:20:03.72 ID:HGsV/509.net
真姫(まぁ、この街の事は多少は分かってきたし、少しは勉強も兼ねて…ね)

それから街の卸売りや露天商を観てまわります、胡椒の他にどんな物が並んでいるんだろうと
そして、そんな真姫をずっと観ている者が1人…

凛「お姉さんって商人の方かな?」

真姫「あんた…誰」

凛「ちょっと待って!凛は怪しい者じゃないよ!」


真姫「何か用なの?」

73: 2016/12/31(土) 08:20:53.03 ID:HGsV/509.net
凛「いや…さっきから色々な露天商や卸売りを観て回ってたから同業の人かなって」

真姫「あんたも商人なの?」

凛「うん!少し離れた街から来たんだけどね、今日は色々街を観て回ってたらお姉さんも似たような感じだったからさ」

74: 2016/12/31(土) 08:21:46.56 ID:HGsV/509.net
凛「お姉さんはいつも何を捌いてるの?」

真姫「秘密よ、あんたはどうなの」

凛「凛?凛はね、ちょっと高級な香辛料だよ」

真姫「え?!あんたもなの?」

ここまで同じだと、用心深く構えていた真姫も、凛の事が気になります

真姫「私は…胡椒を扱ってるわ」

凛「あ、ちょっと違うね、凛の回る国では唐辛子っていうのが凄く人気でね」

75: 2016/12/31(土) 08:22:46.41 ID:HGsV/509.net
真姫「聞いたことあるわ、赤くて辛いとかいう…」

凛「そうそう!あ…ここだけの話ね、もう毎月の稼ぎがとんでもない事になってて…」

真姫「っ……!」

凛(わかりやすい鴨だにゃ…)

凛「あ、そうだ…1つ食べてみる?」

真姫「いいの?!」

凛「もちろんだよ、えっと…これ」

真姫「ん~、まずっ…てゆーか辛い」

凛「そうなんだよ!何か寒い地方なんかではそのピリピリが人気でね」

76: 2016/12/31(土) 08:23:38.84 ID:HGsV/509.net
そしてついに…真姫は一番気になってる事に触れてみます

真姫「ちなみにこb黶Aいくらで捌b「てるわけ?」

凛「んとね、大体この量で………金貨1枚かな」

真姫「…………!!」

真姫(嘘でしょ!胡椒の何倍の希少価値なのよこれ!)

77: 2016/12/31(土) 08:24:35.37 ID:HGsV/509.net
動揺する真姫、勿論そこを見逃す訳がありません

凛「まぁこれは内緒だよ、まだこっちの商人さんは手つけてないみたいだし」

真姫「…………ねぇ」

凛「どうしたの」

真姫「因みにあんた…月にいくら売り捌いてるの?」

凛「そ、それは流石に言えないかなぁ…お姉さんはいくらなの?」

78: 2016/12/31(土) 08:25:25.70 ID:HGsV/509.net
真姫「………」

真姫「………金貨で20枚…くらい」

わがままお姫様のプライドか、少しだけ見栄をはって答えます

凛「凄いね!!」

真姫「こっちも言ったんだから、素直に教えなさいよ!」

凛「ええ………しょーがないにゃ…」

凛「大体ねぇーー」

真姫「………!!!」

それからは、あっという間に話が進み、今はご機嫌で にこの帰りを待つ真姫でした

79: 2016/12/31(土) 08:26:40.70 ID:HGsV/509.net
にこ「ごめん、遅くなったわ…って、何でにやにやしてんのよ」

真姫「ふふ…にこちゃん」

にこ「は、はい?」

真姫「唐辛子って知ってるかしら?」

にこ「あの赤くて辛いとかいうのよね…」

真姫「それだけじゃないわよ…あれがね、幾らになるかご存知かしら」


にこ「…話が見えないんだけど、何なの?」

80: 2016/12/31(土) 08:27:38.61 ID:HGsV/509.net
それから真姫は自慢げに、事の発端から語りはじめました
そしてどんどん青ざめた顔になっていくにこ…

にこ「………いくら……いくら分買ったの…」

真姫「金貨で15枚分よ♪」


にこ「…急いで花丸のとこにいくわよ」

真姫「はい?」

にこ「いいから…早く!」

真姫を連れて花丸の元へと全力で走るにこでした
そして

82: 2016/12/31(土) 08:28:39.97 ID:HGsV/509.net
花丸「確かに唐辛子だけど、これはかなりの粗悪品だね…売り物としては…う~ん。」

花丸「こんなものどうしたずら?」

真姫「あの……え………?」

にこ「はぁ…………。」

花丸「まさか…。」


にこ「真姫…あんた……」

にこ「何やってんのよぉおお!!!!」

そこからにこの怒鳴り声が響き渡ります

83: 2016/12/31(土) 08:29:46.00 ID:HGsV/509.net
真姫「な、なんで!?…だって……!?」

にこ「あのね……あんた目付けられてたのよ、多分少し前から」

にこ「はぁ………迂闊だったわ……。」

真姫「そんな……なら、スグに探しにっ……!」

花丸「無駄だよ…そんな簡単に捕まる奴なら、こんな事にはなってないずら」

真姫「……」

それからしばらくして、真姫の瞳から涙がポロポロこぼれます、にこは真姫の頭を撫でながら話はじめました

84: 2016/12/31(土) 08:30:44.40 ID:HGsV/509.net
にこ「例えば、花丸みたいに店を構えてる商人は、街での信用が第一だから下手な真似はできない」

にこ「だけど私達みたいな行商は信用も何もあったもんじゃないの、悔しいけど…真姫、騙されたあんたが悪いわ」

騙された方が悪い
それは、穂の国で貴族達に胡椒を売り捌いていた真姫が一番よく分かっているはずの事でした

にこ「良い勉強になったと思って次に活かしなさい…幸い元金は無事なわけだし」

真姫「…ううっ……ん……ご……なさ……っ」ポロポロ

にこ「帰るわよ、ほら!立って」


それから真姫を連れて宿に帰りました、真姫が泣き止むまでにこはずっと頭を撫でてあげました

89: 2016/12/31(土) 09:05:31.77 ID:HGsV/509.net
4ヶ月が経ちました
今は園の国の街の宿屋でにこが頭を抱えているところです

にこ「思ってたより少ないわ…」

真姫「え?もう金貨も70枚よ、どうしたの?」

にこ「いや……貴族よ、そろそろ潮時かもしれないわ。」

真姫「はい?だってあと30枚よ!?」

真姫はにこの意図する事がいまいち飲み込めていません

にこ「もし貴族の1人があんたの王室に確かめようとしたらどうなると思う?」

90: 2016/12/31(土) 09:06:36.90 ID:HGsV/509.net
真姫「そうね…ああ、まだお父様に話を通してないから…」

にこ「そうよ、詐欺になってしまって即噂が広まるわ」

真姫「でも、その時はその時でしょ」

にこ「あのねぇ…貴族を敵に回したらどんだけ厄介か分かってんの?スグにこっちの国でも犯人探しよ」

真姫「……捕まるの?捕まったらどうなるのよ!?」

にこ「そりゃもちろん……氏刑とか?」

真姫「うそでしょ!?」

にこ(まぁ、あんたは王様が庇ってなんとかしてくれるだろうけど)

にこ「私の予定ではサクッと100枚貯めてあんたが王室に戻り、花丸を正式に認める…これで詐欺も無かった事になって、平和に解決って話だったのよ」

91: 2016/12/31(土) 09:20:57.61 ID:HGsV/509.net
真姫「ごめんなさい…私のせいで」

にこ「あんたのせいじゃないわ、そもそも半年で100枚いってたかも怪しいし」

にこ「最初に港の近くから攻め過ぎたせい後残すは国の端っこの田舎の貴族ばっか」

にこ「あっちに居る間はリスクも増すし、更に滞在時間も増える……それでよ!」

にこ「こっからはどーする?真姫…あんたに任せるわ」

真姫も悩みます、後30枚だけど…ここから先、詐欺が発覚したら、でも後30枚…

真姫「やめましょ、氏ぬのはごめんよ」

にこ「そうよねぇ!命あっての商売だからねぇ…ほっとしたわ」

真姫「それじゃこれからどーするの?」

97: 2017/01/01(日) 02:16:24.99 ID:ToWJwThZ.net
にこ「穂の国では、いや、ここでも…当分は店仕舞いよ」

真姫「そんな…」

にこ「下手に細々やってもしょーがないわ、何処で繋がるかわからないしね」

真姫も肩を落とします、ここ最近は順調にいっていたから余計に落胆しました

にこ「とりあえず花丸に話つけてみるわ、行きましょ」

そして花丸の元へと向かいました

98: 2017/01/01(日) 02:17:31.02 ID:ToWJwThZ.net
花丸「なるほどね、詳しい事情は詮索しないけど」

花丸には少しだけ嘘をつきました、真姫が城に戻る迄は事の全容は言えるわけがありません

にこ「悪いわね、それで…当分は食い繋げる話とか、何かないかなってね」

花丸「この前の南の…覚えてるかな?」

にこ「はいはい、ちゃんと覚えてるわ」

花丸「明日か明後日に会う事になってるから、ちょっと相談してみるね」

99: 2017/01/01(日) 02:19:00.39 ID:ToWJwThZ.net
にこ「はなまるぅ…ほんと頼りになるわねあんた」ウルウル

花丸「まぁ…にこちゃんや真姫ちゃんにはお世話になってるからね」

にこ「ありがとう!やっぱ持つべき者は友達よね!」抱きっ

花丸「は、離すずら!そういう胡散臭い台詞が一番怖いずら!」

真姫(にこちゃんて…ほんと世渡り上手っていうか)

真姫は呆れた顔をしながらも、その人当たりの良さには毎回惚れ惚れします

100: 2017/01/01(日) 02:20:52.47 ID:ToWJwThZ.net
そして今は南の国へ向かう馬車の中です

真姫「南なんて久しぶりね」

にこ「何?あんた行ったことあるの?」

真姫「まぁ隣の国だしね」

にこ「じゃあ頼りにしてるわよ」

そして例の商人の元へと向かいました

希「やっほー!久しぶりやね、えーと」

希「何だっけ…」

101: 2017/01/01(日) 02:22:17.92 ID:ToWJwThZ.net
にこ「にこよ!に ・こ ! 」

希「そうそう!にこっちね!話はまるちゃんから聞いてるよ」

希「何かやらかしたの…かな?」

にこ「そうよ、だからほとぼりが冷めるまでは…ってね」

真姫「あの、真姫です…よろしくお願いします」

希「うわっ、可愛い子やね!よろしく真姫ちゃん」

希「じゃ立ち話もあれだし、奥へ行こっか」

店の奥へ案内されました、2人が棚に並ぶ商品を眺めている間に、希はお茶を入れてきてくれました

102: 2017/01/01(日) 02:23:23.32 ID:ToWJwThZ.net
希「これが南の特産品の紅茶なんやけど、どう?」

真姫「結構良いやつよね、これ」

希「あら、真姫ちゃんて詳しいん?」

真姫「南の紅茶は好きだったから」


にこ「それで…本題というか…」


希「ああ、あのね…こっちで仕事はないんだよね」


にこまき「はいっ!?」

103: 2017/01/01(日) 02:24:48.39 ID:ToWJwThZ.net
希「いや、違うんよ!うちも少ししたら、遠くの国に品物おろしに行く事になっててね、今は色々準備してて」

希「で、良かったらその手伝いをお願いしたいんよ」


真姫「どういうこと?」


希「…簡単に言うと、ちょっと上手い話があるから良かったら2人もどうかなって」

104: 2017/01/01(日) 02:26:03.42 ID:ToWJwThZ.net
希「…桜の国って知ってる?」

真姫「あの、だいぶ遠いとこよね!?」

希「そう、そこ!それでここら辺の嗜好品をうちが掻き集めててーー」

それから希の話は続き、やっと一区切りついたところです

希「と、いうわけなんやけど」

真姫「…にこちゃんはどう思う?」

にこ「悪くない…というか1枚噛みたい……」

真姫「決まりね……のったわ!その話!」

105: 2017/01/01(日) 02:27:15.51 ID:ToWJwThZ.net
希「何か悪いね、2人まで手出ししてもらう事になって」

にこ「まぁ、細かい事は希、あんたに任せといていいんでしょ?」

希「うん、だからにこっち達はそれまでは自由にしてもらってていーから」

真姫「つまり…無職ってこと?」

希「そうだね、たまには悪くないんやないかな♪」

真姫「は、はぁ…なんか拍子抜けね」


そして南の国での物語は始まります

106: 2017/01/01(日) 02:28:27.42 ID:ToWJwThZ.net
ーー


真姫「ミルク2つ」

店主「はいよ」

真姫「あの……」

にこ「分かってるわ…」

真姫「私達、何やってるのかしら…」

にこ「昼間から酒場に入り浸る…立派な暇人よ…」

真姫「曜の事を言える立場じゃなくなってきたわね…」

南の国に来て3日目…2人はだらだらと毎日を過ごしていました

107: 2017/01/01(日) 02:32:33.58 ID:ToWJwThZ.net
にこ「いい加減まずいわよね、分かってるわ!分かってるけど!」

にこ「やる事ないのよ…。」

真姫「南は音楽や芸術なんかも有名でね、せっかくだから私達も観に行ってみない?」

にこ「くだらないのよそんなもん、お金の無駄よ無駄」

真姫「はぁ…貧乏暮らしが長いと心まで貧しくなるのね、可哀想…。」

にこ「うっさいわね!気取ってんじゃないわよ」

いつものように退屈しのぎにお喋りをしていると、それを見ていたのか、1人の女性が声をかけてきました

108: 2017/01/01(日) 02:34:17.12 ID:ToWJwThZ.net
一旦ここまでで、もしかしたら更新遅れます

113: 2017/01/01(日) 20:25:20.68 ID:ToWJwThZ.net
絵里「あなた達、最近いつも居るわね…昼間から」


真姫「昼間からは余計よ」

絵里「ああ、ごめんなさい…こっちの人かしら?」

にこ「っていう事は、あなたこそ他所から来た人?」

絵里「絵里よ、私は踊り子をしながら1人旅してるの♪」

真姫「踊り子?そう言われたら確かにスタイル良いわね」

絵里「ありがと、あと歌も歌うわ」


にこ「にしても…1人旅とかよくそんな物騒な真似するわね」

114: 2017/01/01(日) 20:26:10.75 ID:ToWJwThZ.net
絵里「よく言われるわ、だから危ないとこにはあんまり立ち寄らないようにはしてるけど」

真姫「それで南に来たのね、確かに平和なとこだしね」

絵里「まぁそれもあるけど…ちょっと用があってね」

真姫「何よそれ?妙に思わせぶりね」

絵里「もうすぐ年に一度の大きな歌や踊りの催しがあるのよ、それに私も出ようと思ってね」

真姫「ああ…南の音楽祭ね」

にこ「何?知ってるの?」

真姫「南はお祭り好きだからね、私も前はよく招待されて見に行ってたわ」

その時です、にこは急に黙り込んで俯いてしまいました
それから……2人に恐る恐る尋ねます…

115: 2017/01/01(日) 20:27:08.54 ID:ToWJwThZ.net
ーー


にこ「ねぇ………それってさ……」


にこ「……貴族とかも………見にくるわけ?」

絵里「当たり前じゃない♪穂と園からも沢山来るわよ!」


真姫「あっ…………。」

絵里「はい?どうしたの急に」

見る見る顔色が悪くなる2人…絵里も不思議そうに見ています

絵里「何なの?怪し過ぎるわよ…」

にこ「絵里だっけ…ちょっと待って!ちょっと!」


にこ「真姫!ちょと…」

まさかの事態に慌てながらも2人の会議が始まりました

116: 2017/01/01(日) 20:28:05.70 ID:ToWJwThZ.net
真姫「ど、どーするのよ!?これ…マズいわよね?だいぶマズいわよね!?」

にこ「待って…頭が真っ白なのよ今。えーと…整理するわよ…」

にこ「あんたんとこの王様は来るのよね?」

真姫「毎年来るわ!」

にこ「で、穂の国からも色々来るのよね?」

真姫「そうよ、たしか来てたわ!」

にこ「顔見知りがもし久々に会ったらどうなる?」

真姫「世間話が始まるわ!!」

にこ「って、どう考えてもアウトじゃない!!」

真姫「やっぱりっ……」グスン

117: 2017/01/01(日) 20:29:05.39 ID:ToWJwThZ.net
万事休すです、こうなるともう2人には逃げ道はありません…
残る手段は1つです

にこ「あんたの王様に素直に事情を話すしかないわ」

真姫「そうよね…」

にこ「どうする?今からでも話つけに行く?」

真姫「いや、多分…城の前で追払われるわ、金貨100枚を持ってくるまでは絶対に耳を貸すなって門番に言ってたし」


絵里「ねえ…さっきから何コソコソ話してるのよ、貴方達…ひょっとしてお尋ね者なの?」

絵里の一言をきっかけに店内に居たお客の視線がチラチラと集まります

118: 2017/01/01(日) 20:30:07.21 ID:ToWJwThZ.net
にこ「いやぁ!絵里ったら冗談でもそんな事言わないでよもぉ!あはは…」バシバシッ

絵里「痛っ!何よ…急に馴れ馴れしくなったわね…」

真姫「そ、そうよ!まぁ、エリーもほらミルクでも!ね!」

絵里「ね、ねぇ……貴方達って本当にーー」

真姫「分かったからぁ!!話しますから聞いて!」

咄嗟の事だったので上手い言い訳なんて思いつく暇もありません、真姫は素直に絵里に事情を話しました


絵里「なるほど……園のお姫様がそんな事になっていたなんて」

119: 2017/01/01(日) 20:31:10.40 ID:ToWJwThZ.net
真姫「まぁ……つまり詐欺じゃないの、正確には詐欺(仮)の状態なの」

絵里「事情は察したわ、騒ぎたてて悪かったわね」

にこ「だから私達はなるべく早めに王様に会って話をつけなくちゃいけないわけよ」

絵里「ねぇ、手紙は?」

真姫「無理無理、パパまで届けるにはそれなりのツテがないと…」

真姫「あ!そうよ!南の王室にも知り合いがいたわ…あいつに話せば!」

絵里「お姫様の事かしら?残念ながら今は居ないわよ」

真姫「え……」

絵里「他の国の式典に出てて今は留守らしいわ、戻ってくるのは催しの当日よ」

にこ「はぁ…どうするにしても当日になるわけね」

120: 2017/01/01(日) 20:32:21.76 ID:ToWJwThZ.net
真姫「パパも多分こっちに来る迄は厳重な警備だろうし、今の私じゃ近ずく事すらできない…そもそも毎回通るルート変えてたし…」

にこ「私も王室に入ったばっかですぐに旅に出たから多分誰も知らないだろうし…」

深いため息をつきうなだれる2人でした、すると絵里から思わぬ一言が飛び出します

絵里「ねぇ…つまり一瞬でも王様と話す事さえできればいいのよね?」

にこ「まあ…そうだけど…」


絵里「良かったら一緒に音楽祭に参加してみない?」

121: 2017/01/01(日) 20:33:19.80 ID:ToWJwThZ.net
真姫「……はあ!?」

にこ「バカじゃないの?!この状況でどこにそんな事やってる暇があんのよ!」


絵里「まぁ聞いて…毎年ね、女王とお姫様に気に入られた参加者はその場で表彰されるのよ、直々に」

絵里「その際に上手く話をつけることは出来ないかしら?知り合いなんでしょ?」

真姫「私が歌ってるとこを見たらスグにパパもあいつも気づくはずだけど、でも貴族達にも気づかれるわ」

にこ「ええ…真姫が話をつけるよりも先に、王様の耳に噂が入った時点でアウトよ、少しでも順序が前後するだけで大事になるわ」

122: 2017/01/01(日) 20:34:16.93 ID:ToWJwThZ.net
絵里「ならこれを着て歌えばどうかしら?」

絵里が取り出したのは踊り子の衣装です

にこ「それ、口元が隠れるピラピラのやつじゃない!!」

絵里「これなら一度会ったくらいの貴族には気づかれない、でも王様やお姫様は貴方達の声ですぐにわかる、どうかしらこの案?」

真姫「突拍子もないけど…確かにそれが最速で会う方法かもしれないわね…」

絵里「まぁ万が一、声だけじゃ気づかないかもしれないから本気で入賞目指すに越した事はないけど」

123: 2017/01/01(日) 20:35:20.15 ID:ToWJwThZ.net
真姫「有り得るわ…まさか私がこんなとこで歌ってるなんて思いもしないだろうし」

長い沈黙が続きます、ですが思いつく限りではこれしか方法はありません、2人は覚悟を決めます


にこ「なら……やるしかないわね…。」

真姫「ええ、決まりね…。」


絵里「ふふ、楽しくなりそうね♪」


こうして3人は南の音楽祭に向けて走り出すのでした

124: 2017/01/01(日) 20:36:36.29 ID:ToWJwThZ.net
ーー


絵里「ワン、ツー、スリー、フォー……」

絵里「真姫…いい感じよ、にこはもう少しーー」

にこ「だぁあ!!何で私が踊りまで練習しなきゃなんないのよ!畑違いにも程があるわよ!」

真姫「にこちゃん……私もよ…」

絵里「いいから早く覚えなさい、せっかく暇なんだから!」

人目につかない路地の裏で厳しい叱咤が響きます、あれからというもの…朝から晩まで絵里による猛特訓の日々です

125: 2017/01/01(日) 20:37:28.23 ID:ToWJwThZ.net
真姫「はぁ、はぁ……これなら…酒場で暇してる方が」

にこ「どれだけ幸せだったか…希の言う通りね…」

絵里「今日はここまでよ、2人共お疲れ様♪」

真姫「ねぇエリー」

絵里「どうしたの?」

真姫「何で私達にこんなに協力してくれるの?その…貴方に何もメリットなんてないはずでしょ」


絵里「そうでもないわよ」

真姫「………?」

126: 2017/01/01(日) 20:38:14.14 ID:ToWJwThZ.net
絵里「未来の園の女王様に恩を売っておく絶好の機会だしね!」

にこ「まぁ、確かにこの借りはデカいわね、上手くいけばだけど」

絵里「私がついてるんだし上手くいくに決まってるわよ、じゃあそろそろ宿に戻るわ、またね」


にこ「何であんなに余裕なのかしら?」

真姫「さぁ…しかも、こっちに来てから働いてないみたいだし、踊り子ってそんなに稼げるのかしら」

にこ「はん!どーせあいつも悪さの一つや二つやってるわよ!ほら私達も帰るわよ」

それから2人は希の家へ、南に来てからはずっと希のところでお世話になっているのでした

134: 2017/01/02(月) 17:17:09.40 ID:hWLBo+th.net
にこまき「ただいまー」

希「おかえり、今日も遅かったね」

にこ「もうクタクタよ…」

希「お疲れ様♪ さぁ食べよっ」

家に帰るといつもテーブルには料理が並んでいました、希には感謝しつつもついつい甘えてしまう2人です

真姫「いただきます!」

にこ「なんかいつも悪いわね、無職の癖に全部やってもらっちゃって」

135: 2017/01/02(月) 17:18:13.36 ID:hWLBo+th.net
希「2人はお客なんだから全部うちに任せてよ♪それより今日はどうやったん?」

にこ「だいぶ覚えたわよ、素人相手に厳しすぎんのよあいつ!」

希「あはは!それにしても にこっちと真姫ちゃんが音楽祭に出るとはね」

真姫「おかげ様で暇だけは有り余ってるからね 」

希「…まさか危ない事に首突っ込んだりしてないよね?大丈夫なん…その絵里って人」

にこ「さぁ…ただ今は素直に従うしかないわ、私も今は音楽祭に人生賭けてるからね」

希「にこっちてそんな熱い子やったん?ちょっと意外やね、うちも観に行こうかな」

真姫「まぁそれはそれで嬉しいけど、希こそ仕事はどうなの?」

136: 2017/01/02(月) 17:18:56.47 ID:hWLBo+th.net
希「うちも順調よ、音楽祭のスグ後くらいには出発かな」

にこ(こんだけ世話になってんだし、希の為にも…)

真姫(絶対に成功させなきゃいけないわね…)

希「どうしたん?険しい顔して」

こうしてあっという間に時は過ぎ、今日は音楽祭の前日です

137: 2017/01/02(月) 17:20:11.16 ID:hWLBo+th.net
絵里「まだまだ全然ダメだけど、まぁ及第点ね」

にこ「プロと比べるのは流石に酷ってもんでしょーが…」

絵里「やるからには優勝って言ってたのはどなたかしら♪」

にこ「ふぬぬっ……!」

真姫「ねぇエリー、たまには夕食くらい付き合いなさいよ」

にこ「そうよ、あんたいつもスグ帰っちゃうでしょ」

絵里「あらあら、ひょっとして奢ってくれるの♪」

真姫「ええ…そのくらいはさせてもらわなきゃね、今日は私達も遅れて帰るって家には伝えてあるし」

138: 2017/01/02(月) 17:20:59.14 ID:hWLBo+th.net
にこ「早く行くわよ!あんまり帰りが遅いと明日に響くわ」

それからいつもの酒場へと向かいます

真姫「とりあえずミルク3つ」

にこ「あと色々持ってきて」

店主「はいよ」

絵里「ここに来るのもあれ以来ね、久しぶり」

にこ「まぁ、明日も優勝して乾杯しにくるけどね」

真姫「本当にこちゃんて自信だけは凄いわね」

にこ「だけって何よ!あんたも絵里も一言多いのよ!」

139: 2017/01/02(月) 17:22:12.89 ID:hWLBo+th.net
絵里「ねぇ…無粋な話だけど」


絵里「2人って……そういう関係だったりするの?」


にこまき「はあ!?」

にこまき「そんなわけないでしょ!」

絵里「ふふ、やっぱり仲良しじゃない…2人旅とか正直、少し憧れるわ」

真姫「絵里こそ、そういう相手はいないわけ?」

絵里「いるわよ」

140: 2017/01/02(月) 17:23:04.70 ID:hWLBo+th.net
にこ「いるのっ!?えっ!?」

絵里「いるわよ、どうしたの?」

真姫「いやいや…じゃ何で1人旅なんかしてるのよ!」

絵里「凄く忙しい人でね…それに比べて私はこんな感じだから、わがまま言って好きにさせてもらってるのよ」

にこ「あんた…大丈夫なのそれ?」

真姫「いや、大丈夫なわけないでしょ…これは触れちゃいけない話題だったわ」

にこ「そうよね…」

絵里「ちょっとあんた達!何で勝手に察してるのよ失礼ね!」

141: 2017/01/02(月) 17:24:03.96 ID:hWLBo+th.net
この日は珍しく絵里は自分の話をしてくれました、どうやら冷めきっているとかではないらしいです
寧ろ愛が重いとか何とか


絵里「ご馳走様!じゃあまた明日ね」

真姫「頼んだわよエリー」

にこ「真姫、あんたこそ寝坊しないでよ」

真姫「分かってるわよ!自分で起きるわ…多分」

にこ「ったく、どうだか…帰るわよ」

絵里「あはは!じゃあお休みなさい」

それから絵里は宿の方へ帰っていきました、それを見送った後、2人も家へ帰ります

142: 2017/01/02(月) 17:25:27.66 ID:hWLBo+th.net
真姫「ねぇ、にこちゃん…」

にこ「何よ…早く寝なさい」

真姫「うん…」

真姫は明日の事を考えると眠れるわけもありませんでした

にこ「……心配しなくても何とかなるわ」

真姫「…本当、にこちゃんて自信だけは凄いわね」

にこ「…次言ったらグーで殴るわよ」

真姫「ふふ…悪かったわね、おやすみなさい」


にこは相変わらずの様子でした…不思議と真姫も少しほっとします
そして

143: 2017/01/02(月) 17:26:19.18 ID:hWLBo+th.net
ーー

絵里「じゃあ、エントリーしてくるわね」

にこ「よろしくね」

絵里「あ……」

真姫「どうしたの?」

絵里「そういえば名前とか決めてなかったわね」

にこ「テキトーでいいわよ、そんなもん」

絵里「分かったわ、適当に付けとくわね」

144: 2017/01/02(月) 17:26:54.39 ID:hWLBo+th.net
にこ「それにしても…」

真姫「ええ…」

朝から街は凄い人の数です、色んなところから楽器の演奏や露店で賑わう声が行き交い、お祭りムード1色です

受付を済ませて3人は控え室に通されました

絵里「よし、衣装もばっちりね」

にこ「どう、似合う!?」

絵里「ええ、可愛いわよにこ!」

真姫「私は?」

絵里「何というか…似合いすぎて違和感ないわ」

真姫「やる気出てきたわ」

145: 2017/01/02(月) 17:27:30.64 ID:hWLBo+th.net
もう既にステージでは最初の組が踊りを披露しています、勿論観客はステージをぐるりと囲んで埋め尽くされています



絵里「ちなみに出番…そろそろよ…」

にこ「早すぎるわよ!」

絵里「あら、早めの方が都合が良いかと思って」

真姫「まぁ、大丈夫よね…普通にやって普通に声をかけるだけ…」

3人は舞台袖から少しだけ顔を出し様子を伺います

146: 2017/01/02(月) 17:31:28.54 ID:hWLBo+th.net
そこには見た事ある顔がちらほら

南の女王様「この度はわざわざお越し頂きーー」

園の王様「いえこちらこそ、それにしても毎年凄い盛り上がりですね」

ことり姫「あっ!王様ぁ~♡お久しぶりですっ♡」

真姫(いたわね…ことりとパパ、今日は頼むわよぉ…)

園の王「ことり姫//相変わらずお美しいですね//」

ことり「ありがとうございますっ♡」

真姫(何言ってるのか聴きとれないけどデレデレじゃない…サイテーね。)

そしてことり姫のすぐ隣にも見た事ある顔が……


鞠莉「やっぱりVery cuteね♪♪ことり姫様♡」

147: 2017/01/02(月) 17:32:07.25 ID:hWLBo+th.net
ことり「えへへ、ありがとうございますっ♡」



にこ「あ………」

真姫「あ………」


そう、あの時の貴族です


真姫「最悪よ…」

にこ「まさかあのとなりのがあんたの知り合いとか?」

真姫「はい……そうです」

にこ「いきなりピンチじゃない!ああ……っ」

148: 2017/01/02(月) 17:33:06.66 ID:hWLBo+th.net
そんな2人を尻目に絵里はウォームアップを淡々とこなします、その顔は眉毛がいつにも増してピンと釣り上がり緊張と本気が伺えます

絵里「そろそろ行くわよ」

にこ「ええ、もうやるだけやるわ!」

そして3人は舞台に登場し、観客から歓声が湧きます

司会「続いては謎の踊り子3人組…えと…BiBi?の登場です!」

にこ「ぷっ!本当テキトーね中々のセンスだわ」

絵里「それはどうも」

それから3人は一礼した後、演奏に合わせ踊りと歌を披露します

149: 2017/01/02(月) 17:34:11.88 ID:hWLBo+th.net
ーー


王様(中々キレのある踊り子達ですね…悪くないです、特にあの金髪の子なんか)

ことり(何かこの声…まぁ気のせいだよねっ)


案の定、王様達は真姫に気づいていません

150: 2017/01/02(月) 17:35:10.18 ID:hWLBo+th.net
絵里「…………ありがとうございますっ!」

歌が終わり観客から更に大きな拍手と歓声が湧きます、間違いなく今日一番の盛り上がりです

にこ(さぁ…)

真姫(ことりぃ!)


その時です、ことり姫から3人へと声がかかりました

南の王室の側近「3人とも、ことり姫の前へ…」

にこ(き、きたぁあ!!!)

151: 2017/01/02(月) 17:36:08.02 ID:hWLBo+th.net
ゆっくりとことりの元へ向かう3人…そしてことり姫も立ち上がりました

ことり「3人共…とってもお上手ですねっ!宜しければ顔を見せて頂けますかっ?」


真姫「は………?」

にこ「え………?」

ことり「ん…??」

2人は凍りつきます、だってことりの隣にはあの時の貴族がいるんです

152: 2017/01/02(月) 17:37:32.54 ID:hWLBo+th.net
側近「どうした?はやくそれを取れ……姫様の前であるぞ」

にこ(…取れって言われても……)

真姫(このパターンは考えて無かった…しまった)

ことり「どうしたのですかっ?」

不穏な空気に包まれます、このままでは……
そしてついに

真姫「………はい」

にこ(もう、どうにでもなれ…)

ーーー

鞠莉「ん………あれ……あ!」


鞠莉「 あ あ あっ!!!……貴方っ!!」

153: 2017/01/02(月) 17:39:57.46 ID:hWLBo+th.net
「……エリーチカ様だ…。」



にこまき「……へ!?」


鞠莉「ほ、本物ぉ!!あのエリーチカ様じゃない!!」


会場がざわめきはじめます、それもその筈です
真姫達の隣にいるのは世界一の大国の姫君にして、世界一の歌声とも称される"妖精エリーチカ"その人だったのです

154: 2017/01/02(月) 17:40:58.93 ID:hWLBo+th.net
ーー


真姫「えーと、誰……」

にこ「噂には聞いてたけど…あんた……」


絵里「あら?嘘はついてないわよ?今は踊り子として一人旅してるわ♪」


にこまき「は ぁ あ あ あ !!?」

160: 2017/01/02(月) 23:11:04.45 ID:hWLBo+th.net
少し更新します

161: 2017/01/02(月) 23:12:19.52 ID:hWLBo+th.net
会場の視線は一気に絵里に集まっています、呆気にとられている2人に絵里はアイコンタクトで伝えます

絵里(にこ、真姫!)


にこ「今のうちにってことね…」

真姫「分かったわ」

真姫はことりの前で一瞬だけ顔を晒し、静かに話しを続けます

真姫「ことり!……私よ!」

ことり「へ………真姫ちゃん?」

真姫「事情は後で話すから、パパ…お父様の所に連れてって」

ことり「う、うん」

162: 2017/01/02(月) 23:13:11.31 ID:hWLBo+th.net
そして2人は園の王様の前に

真姫「久しぶり、パパ」

王様「はい?」

真姫「私よ!何なのそれ!」

王様「真姫…?え、え!?」

エリーチカに続いて娘まで出てくるなんて…普段は聡明な王様も、理解が追いつかず固まってしまいます

真姫「単刀直入に言うわ、もし胡椒の事を尋ねられたら必ずはいと答えて」

王様「胡椒?……胡椒!?」

真姫「いいから!別にはいって言うだけなら何も問題ないでしょ、それで丸く収まるのよ」

王様「待ちなさい真姫!一体何の事を…」

にこと真姫は王達に一礼した後に絵里の元へ、そのまま3人は舞台裏へと帰って行きました

163: 2017/01/02(月) 23:14:09.00 ID:hWLBo+th.net
絵里「ふぅ、何とかなったみたいね」

にこ「色々あり過ぎて何処から手をつけていいか」


真姫「とりあえず……」

真姫「面倒になる前に急いで出るわよ!!」

それから3人は急いでいつもの酒場へ向かいます

164: 2017/01/02(月) 23:14:50.20 ID:hWLBo+th.net
BiBi「カンパーイ!!!」

にこ「いやぁ、解決解決!」

絵里「それは良かったわ♪」

真姫「って、良くないわよ!」バン!

真姫「何なのよエリー!まさかお姫様だったなんて」

絵里「いや、でも貴方も変わらないでしょ」

にこ「確かに…」

真姫「そうだけどぉ!……こう…あぁ!」

にこ「何で大国の姫様がこんなとこウロウロしてんのよ」

真姫「そう、それよ!」

165: 2017/01/02(月) 23:15:46.45 ID:hWLBo+th.net
絵里「だからぁ……楽しいじゃない?旅してると色々な事があって♪」

流石は大国のお姫様です、2人もただただ唖然とします

絵里「…身元が割れちゃったからここにはもう居られないけどねっ」

にこ「まぁ、そうなるわよね…なんか悪かったわね」

絵里「いいのよ、また旅してたら会う事もあるわよ」

真姫「エリー……」

絵里「ご馳走様!少し早いけど先にいくわね」

166: 2017/01/02(月) 23:16:37.34 ID:hWLBo+th.net
にこ「あの…」


絵里「ん……?」


にこ「ありがと…」

真姫「色々助かったわ…」


絵里「………じゃあ元気でね、可愛い妹達 ♪」

2人の頭をポンポンと叩いた後、絵里は酒場を後にしました

167: 2017/01/02(月) 23:17:24.18 ID:hWLBo+th.net
にこ「…世の中にはぶっとんだお姫様もいるのね」

真姫「ふふ…本当ね」


にこ「最後まであいつのペースだったのが癪に触るけど」


真姫「…本当ね」


ーーー

168: 2017/01/02(月) 23:18:18.47 ID:hWLBo+th.net
そして今は園の王室に絵里は来ています

園の王様「まさか娘がそんな事になっていたなんて…」

絵里「元気そうで何よりかと、面白い2人でしたよ」

園の王様「その…色々ご迷惑を……」

絵里「王様…顔を上げてください、私も今は旅の踊り子ですから」

園の王「はい、後……少しお伺いしても」

絵里「真姫達の事ですか?」

園の王「ええ…エリーチカ姫が一声掛ければ、今回の一件などどうとでもなった筈ですが…」

園の王「何故、わざわざ娘達にお付き合いを?」


絵里「それは………」

169: 2017/01/02(月) 23:19:29.19 ID:hWLBo+th.net
絵里「あの2人が自分達の力で何とかしようと頑張っていましたので ♪ 」


園の王「そこまでの配慮…大変感謝致します」

絵里「いえ、私も凄く楽しかったですから ♪ 」


ーーー

そして話は戻り、ここは音楽祭から一夜明けた南の街の酒場です

真姫(にこちゃんは打ち合わせとかで希とどっか行っちゃうし…)

真姫はにこから留守を任されますが、そこは聞く耳もたず、1人で酒場に来ていました
すると

ことり「真姫ちゃんっ♡探したよぉ」

真姫「ん………ことりっ!」

現れたのは、町娘に変装したことり姫でした

175: 2017/01/04(水) 00:54:39.73 ID:bzIuY+4z.net
真姫「あぁ…この前は助かったわ、ありがと」

ことり「そんだけっ!?わざわざ会いに来たのにぃ…」

真姫「冗談よ、こんなとこに顔出したりして平気なの?」

ことり「意外と気づかれないものだよっ、それに」

真姫「それに?」

ことり「街の酒場なんて初めて来るからちょっと新鮮かな!」

真姫「はは…物好きね、なら……」

ことり「んっ?」

176: 2017/01/04(水) 00:55:36.62 ID:bzIuY+4z.net
真姫「ミルク1つ」

店主「はいよ」

真姫はいつものようにミルクを頼み、ことりに差し出します

真姫「酒場に来たらこれよ、まぁ口に合うか知らないけど…」

ことり「わぁ、ありがとう!いただきますっ」

嬉しそうにミルクを飲んでいることりを見ながら真姫は思います

真姫「しかし…ほんと酒場が似合わないわね…」

ことり「え?そうかなぁ」

自分も最初はこんなだったのかな…と真姫も苦笑い

177: 2017/01/04(水) 00:56:20.46 ID:bzIuY+4z.net
ことり「ねぇ、この後は時間ある?」

真姫「今日は1日空いてるわ…何?」

ことり「私もね、空いてるんだ!」

真姫「どうせ勝手に出てきたんでしょ、すぐわかるわよ」

ことり「流石は真姫ちゃん、お見通しだねっ」

ことり「だからね、せっかくだし街に出てみない?」

真姫「ふふ、久しぶりね!行きましょ」

それから2人は街に出かけました

178: 2017/01/04(水) 00:58:01.96 ID:bzIuY+4z.net
酒場を出て少しすると雑貨屋が並んでいます、それを歩きながら眺めていると、ふと ことりが話し始めました

ことり「ねぇ、真姫ちゃんはこんな所で何してるの?」

真姫「いきなりくるわね…」

ことり「だってずっと気になってたんだよ?」

ことり「何でエリーチカ姫と一緒にいたんだろ、とか」

当然ですが、ことりも最初から気になって気になって仕方がなかったのでした

179: 2017/01/04(水) 00:58:30.80 ID:bzIuY+4z.net
真姫「う~ん…どこから説明したらいいのか…」

ことり「最初からだよ♡」

ことりはお得意の上目遣いで、じーっと真姫を見つめています、これには堪らず真姫も話しはじめます

真姫「相変わらずそのウルウルは卑怯よ…えっと」

真姫「最初はね、お父様から金貨を10枚渡されたの…いきなりよ」

真姫「それからーー」

それからこの半年であった事を話しました

180: 2017/01/04(水) 00:59:11.53 ID:bzIuY+4z.net
ことり「なんか本で読んだお話みたいだねっ」

真姫「確かにそうよね…旅してる方は大変だったけどね」

ことり「金貨100枚くらいなら私に相談してくれたら良かったのに」

真姫「最初はそれも思ってたんだけど…」

ことり「んん?最初は?」

真姫「今はね、もう後少しなんだし…自分で何とかしたいの」

ことり「真姫ちゃんも逞しくなったね」

真姫「こんな生活してたら嫌でもそうなっちゃうわよ」

181: 2017/01/04(水) 01:00:00.63 ID:bzIuY+4z.net
ことり「でも、ちょっと楽しそうだねっ」

真姫「いやいや…特に最初は辛かったわよ、パンは不味いし泊まる部屋は汚いしベッドは固いし」

ことり「うわぁ、やっぱりやだね…」

ことり「でも、一緒に旅してるにこさんも中々凄いよね」

真姫「にこちゃん?」

ことり「真姫ちゃんって結構気が強いから、普通の人だったら泣いちゃうよ」

真姫「そこまではないでしょ!」

真姫「いや……あるわね、分かってる」

ことり「でしょ!だから凄いなって」


真姫「今思えばね…少しだけ感謝してたりもする…かな」

真姫「あ、そういえば…」

182: 2017/01/04(水) 01:00:56.36 ID:bzIuY+4z.net
ことり「どうしたの?」

真姫「にこちゃんてさ、稼いだ金貨には宿と食事位しか手を付けないのよね」

真姫「だからお洋服とかもずっと同じので」

ことり「なんで?2人で集めたお金なのに?」

真姫「うん…これはあんたのだから!私は王様から支給されるからって」

ことり「ふ~ん…色々あるのかなぁ」

183: 2017/01/04(水) 01:02:14.71 ID:bzIuY+4z.net
ことり「ああっ、じゃあさ!真姫ちゃんが選んでプレゼントしてあげたら?」

真姫「ヴェェ!?私がぁ?」

ことり「えぇ…嫌なの?」


真姫「嫌じゃないけど…何ていうか、今更っていうか」

2人は小さい時からの付き合いです、顔が真っ赤になった真姫を見てことりもスグにわかりました

ことり「ね!今から探しにいこーよ!絶対嬉しいはずだよ、行こっ!」グイッ

真姫「ちょっ!ことり!」


ことり「 あっ……。」


ことり「そういえば…街のお洋服屋さんて何処にあるんだっけ?」

真姫(はぁ………。)

184: 2017/01/04(水) 01:04:00.20 ID:bzIuY+4z.net
それから街で一番大きなお店へと向かいます

ことり「うんうん、これだけあればきっと似合うのがあるはずだよ」

しばらく店内を見て周り、真姫は洋服を手に取り眺めます

真姫「うぅ…」

ことり「それ可愛い♡ふりふりぃ♡」

真姫「こういうの絶対似合うのに、多分…商人がこんな派手でどーすんのよ!とか…」

ことり「随分詳しいね…なら、こっちのは?」

真姫「それも良いわね!」

ことり「どっちも買っちゃおうよっ!ね!」

185: 2017/01/04(水) 01:16:15.67 ID:bzIuY+4z.net
言い回しで煮詰まり中で、時間下さい!

189: 2017/01/04(水) 03:43:07.32 ID:bzIuY+4z.net
それから店主を呼び支払いを尋ねます、金貨2枚…まぁ服の値段としては妥当です…ことりもそれを眺めていました
すると

真姫「ちょっと、何でそんなにするのよ…あんたふっかけてるわけ?!」


店主「えぇ…?」

真姫「いや、銀貨6枚ってとこでしょ!」


ことりも呆気にとられます、何をやっているんだろうと

190: 2017/01/04(水) 03:44:03.35 ID:bzIuY+4z.net
店主「そ、それは流石にっ……」

真姫「分かったわよ…じゃあ金貨1枚ね、はい!」ジャラ

店主「あ……は、はい」


強気の真姫に店主もたじろぎます、にこを真似た交渉術ですが真姫がやると物凄い威圧感です


ことり「凄い迫力だったよ…」

真姫「にこちゃんからも言われるわ…あんたは押すばっかでタチが悪いとか…失礼しちゃうわ」

ことり「そういうとこはやっぱり真姫ちゃんらしいよね!」

真姫「もぉ、ことりまで…」

191: 2017/01/04(水) 03:45:21.46 ID:bzIuY+4z.net
それからしばらく街を歩いて、今は城の近くまで着いたところです

ことり「今日は色々案内してくれてありがとう!」

真姫「おかしな話よ、何であなたの国を私が案内してるのよ」

ことり「あはは!本当だねっ」


真姫「じゃあ…また寄るわね」

ことり「うん!早く旅が終わるといいね」

真姫「そうね、ありがとうことり!」

城へと帰ることりを見送った後、真姫も家へと向かいました、帰り着くと希とにこがお出迎えです

192: 2017/01/04(水) 03:46:13.29 ID:bzIuY+4z.net
希「おかえり真姫ちゃん!」

にこ「あんたねぇ…まぁた勝手にうろうろしてぇ!」

真姫(あ!そうだった…私もことりの事言えないわね)

真姫「ねぇ、にこちゃん」

にこ「何よ、また何か変なもん買ってきたんじゃないでしょーね」

真姫「いいから、はい」

にこ「はいって…私に?」

にこ「これ………」

希(あらあら、真姫ちゃんも中々やるね)

いつも以上に口数の少ない2人のやり取りを見て、にやけ顔の希です

にこ「………着てくる」


真姫「うん」


にこ「………ありがと」


真姫「いいえ♪」


こうして南の国での物語は終わり
ーー

194: 2017/01/04(水) 05:38:54.45 ID:bzIuY+4z.net
南の国を出発して半月になります、今は桜の国へと向かう荷馬車の後ろで真姫とにこは喧嘩しているところです

真姫「いい加減どきなさいよ!」

にこ「あんたが我慢しなさいよ!これだからお子様は疲れんのよ…」

真姫「はあ!?誰がお子様よ!」


希「ねぇ…毎日喧嘩して飽きないんかな君達?」

真姫「だってにこちゃんがふかふかの上にいつも陣取って!」

にこ「あんたが藁の上は嫌だって最初に言い出したんでしょ!知らないわよ!」

希(はぁ………)

195: 2017/01/04(水) 05:40:14.08 ID:bzIuY+4z.net
桜の国は国を二つ跨いだ先にあり、馬車でも片道で1ヶ月以上かかります

希「あ、街が見えてきたよ、結構早く着いたね」

真姫「えーと、地図で……あった、ここね」

にこ「やっと次の国に入ったと思ったらまだまだ長いわね」

希「じゃあ、今日の宿探しに行こっか」

真姫「待ってて、ちょっと見てくるわ」

196: 2017/01/04(水) 05:41:16.26 ID:bzIuY+4z.net
希「あ……そういえばね」

希「まだ大丈夫とは思うけど、この国も少しだけ治安が悪いらしいから」

にこ「だから気をつけなさいよ、私も一緒に行くわ」

にこと真姫は馬車を降り先に街を見に行きます

真姫「ねぇ、治安が悪いって…この国でもなんかあったの?」

にこ「この国じゃないわ、桜の国よ…そっから難民なり盗っ人なりがチョロチョロしてるらしいわ」

197: 2017/01/04(水) 05:42:21.30 ID:bzIuY+4z.net
真姫「一体…どうなってるのかしらね」


にこ「さぁ…希が言うには陸路で決まった道を進めばとりあえずは安全らしいけど」

にこ「あ、あったわ宿、行きましょ」


それから荷馬車を宿の小屋に止め3人は一休みです

198: 2017/01/04(水) 05:43:19.93 ID:bzIuY+4z.net
真姫「何か疲れが溜まってきたわね…にこちゃんのせいで」

にこ「まだ言うかっ」

希「うちも腰が……ずっと座ってるとねぇ」

真姫「今日も何か食べ物買ってくるわね、行こにこちゃん」

希「あ、うちも行くよ」

3人は街の少し外れの市場へ買い出しに出かけます

199: 2017/01/04(水) 05:44:30.41 ID:bzIuY+4z.net
真姫「色々あるわねここ」

希「うんうん!やっぱり国が変わると食べる物も違うんやね」

にこ「あ、これ美味しそう」

にこは林檎を手に取り値段を尋ねます、それからいつもの様にあれが始まります

にこ「は?高すぎじゃない?!」

花陽「えぇ…そんな事ないですよぉ…。」

にこ「いや、隣の国ではこの半分だったわよ」

真姫(嘘つきなさいよ、林檎なんて売ってなかったでしょ)

200: 2017/01/04(水) 05:45:55.64 ID:bzIuY+4z.net
花陽「うぅ……。」

困り果てる店主、そこへ1人の少女が駆け寄ります

凛「どうしたのかよちん?あ、いらっしゃ!」


凛「いらっしゃ……あれ…?」

真姫「あ………。」


少女も真姫も固まります、そして…


真姫「…あんたぁ!!こんなとこにぃい!!!」

210: 2017/01/05(木) 04:45:47.68 ID:dyjROGnJ.net
今は市場から少し離れた静かな酒場に来ています

希「ねぇ…何があったんか知らんけどさ、土下座はマズいんやない?」

真姫「ふん!」

にこ「今すぐにでも頭を踏んづけてやりたいくらいよ!」

市場で真姫とにこは少女に掴みかかり大騒ぎになりました、慌てて希が仲裁に入り今に至ります


花陽「あの……えぇと……?」

凛「かよちん………」

211: 2017/01/05(木) 04:46:47.02 ID:dyjROGnJ.net
真姫「ほら、何とか言いなさいよ!この泥棒猫!」

にこ「あんたのせいでこっちは予定が台無しになったのよ!」

花陽「凛ちゃん…?どういう事…?」

凛「……」

にこ「こいつもグルなんでしょ!何シラきってんのよこの眼鏡!」

花陽「ひっ…ごめんなさぃ。」

凛「待って…かよちんは関係ないの!私が全部勝手に!」

212: 2017/01/05(木) 04:48:58.06 ID:dyjROGnJ.net
花陽「へ…?凛…ちゃん…?」


希「……何があったん?」


真姫「こいつに…騙されて…ああ!イライラしてきたわ!」

真姫は事の一部始終を話し始めました
あの時 にこを喜ばせようと部屋で待っていた事…それから怒鳴られた事…悔しさのあまり泣いてしまった事…
思い返していると怒りが更にこみ上げてきます


花陽「凛ちゃん……それ……本当なの…?」


凛「……ごめんなさい」

にこ「ふざけんじゃないわよ!」

花陽「凛……ちゃん……」

それから花陽はずっと俯いたまま、床には涙がポタポタとこぼれ落ちます

213: 2017/01/05(木) 04:50:43.36 ID:dyjROGnJ.net
にこ「あんた達…今すぐ騙し盗ったお金工面しなさい。」

真姫「それだけじゃ済まないわ、役人に突き出してやるんだから。」


凛「……」

花陽「……」


余りの光景に酒場中の視線は真姫達に釘付けになっていました、それを見かねた希はまた仲裁にはいります

希「待って2人共。 せめて理由だけでも聞いてあげたら…ね?」

214: 2017/01/05(木) 04:51:42.25 ID:dyjROGnJ.net
にこ「希っ、あんた一々甘過ぎんのよ!」

希「凛ちゃんだっけ…何でこんな事したん?そんなにお金が必要やったん?」

凛「……」

花陽「私のせいです…。」

真姫「はい?どういう事よ」

花陽「……私達は、この国の者じゃありません…。」


花陽「私達は桜の国に住んでいました、ですがここ数年で国はとても貧しくなりまともに生活する事も困難になりました…」

にこ「ふん……それでここにいるわけね、でぇ…?」

花陽「はぃ…ですが、元々体が弱い私が病気にかかってしまって…市場での稼ぎでは薬代までは手が回ず困っていました」

215: 2017/01/05(木) 04:53:09.95 ID:dyjROGnJ.net
花陽「そしたら凛ちゃんが出稼ぎに行くと言い始めて…」

凛「お薬には…沢山お金が必要で…凛は馬鹿だから悪い事しないと稼げなくって…」

凛「ごめんなさい……」

凛「だから、悪いのは私だけなんです…。」


希「なるほどね……」

事情を察して頷く希と酒場のお客達でした

216: 2017/01/05(木) 04:55:46.02 ID:dyjROGnJ.net
しばらくにこと真姫は顔を見合わせました


真姫「にこちゃん…」


にこ「ええ、あんたと同じ意見よ…」

ーー

にこまき「…そんなの知ったことじゃないわよ!」

217: 2017/01/05(木) 04:56:58.41 ID:dyjROGnJ.net
希「……はい?」

にこ「あんた達の都合なんかこっちにはこれっぽっちも関係ないのよぉお!!」

真姫「そうよ!今すぐお金返して2人まとめて捕まりなさい!ふん!」

希「ちょ…いくら何でも酷いよ2人共っ!」

にこと真姫の怒りは収まる訳もなく、話は騙しとられたお金の回収する算段へと移ります

真姫「今すぐ用意できないのなら貴族に売り渡すなり何なり幾らでもーー」

にこ「そもそも慰謝料も貰わなきゃ割りに合ってないわよ、すぐ借用書作るわ!金貨30枚ってとこね」

泣き崩れる凛と花陽を尻目に2人は淡々と話を進めます

と、その時です…酒場にまた怒鳴り声が響き渡りました


希「2人とも……いい加減にしなさいっ!!」

224: 2017/01/05(木) 22:08:00.93 ID:dyjROGnJ.net
にこ「な…何よっ…… 」

希「街の酒場でこんな事して、これじゃどっちが悪者かわからんよ」

真姫「そうだけど…だって…」

希「2人が許せない気持ちもわかるけど、流石にこれはやりすぎやないん?」

にこ「でも……こいつらは真姫を騙して」

真姫「そうよ!それに今の話だってまた嘘ついてるかもしれないじゃない」

希「うちにはそんな風には見えんけど、それに…」

希「悪いと分かってても仕方なくやってしまったって事は誰にでもあると思うんよ…2人もわかるやろ」

225: 2017/01/05(木) 22:09:10.12 ID:dyjROGnJ.net
これには2人も返す言葉がありません

真姫「う……」

にこ「……じゃあ、どうしろって言うのよ!このま黙って見逃せってわけ?」

希「ううん、そうじゃない…これから考えるんよ」

希「にこちゃん達にも凛ちゃん達にも折り合いがつくような案をね…どうかな?」

にこ「何で私達がそこまで譲らなきゃいけないのよ…」


希「…じゃあうちが騙された分はひとまず立て替える、そのかわり凛ちゃん達にはうちの元で暫く働いてもらうっていうのはどうかな?」

226: 2017/01/05(木) 22:10:09.84 ID:dyjROGnJ.net
真姫「立て替えるって、本気なの?!」

にこ「てゆーか何であんたがそこまですんのよ!」



希「ほっとけないんよ…」

そう言って希は凛と花陽を抱き締めました

凛「え…」

花陽「っ…!」

227: 2017/01/05(木) 22:11:05.89 ID:dyjROGnJ.net
希「うちもね、昔はそれなりにやんちゃしてた時期があってね」

真姫「希が?嘘…?」

希「だけど凛ちゃん達みたいに最後は捕まっちゃって…もう終わりかと思ってた」

希「でもね…ある人はそんなうちの事を見捨てず助けてくれたんよ」

希「それがあって今うちはこうして暮らすことができてるんよね…だから、ほっとけないん」

にこ「希……」

228: 2017/01/05(木) 22:12:02.91 ID:dyjROGnJ.net
希「凛ちゃんも花陽ちゃんもそれでいいよね?悪いようにはしないからさ」

凛「うぅ……私達の為に……」

花陽「本当にすいません……。」



希「うん!じゃあこれで真姫ちゃん達も一旦手打ちにしてもらってもいいかな?」


真姫「希がそこまで言うんなら…」

にこ「分かったわよ…何かスッキリしないけど」


それから希は凛達と話をして3人は宿に戻りました

229: 2017/01/05(木) 22:12:53.39 ID:dyjROGnJ.net
真姫「ねぇ希…あのまま帰しちゃって本当に良かったの?」

希「うん、今回の仕事が終わり次第、新しくやりたい仕事もあったしね」

にこ「そんな事言って…もし逃げられたらどーすんのよ」

希「うちもプロだよ、あの2人は嘘はついてないかくらいすぐにわかった…それにほら」ピラッ

真姫(何のプロよ…)

にこ「契約書…あの2人と希の?」


希「ここ、よく読んでみて」

230: 2017/01/05(木) 22:13:48.45 ID:dyjROGnJ.net
にこ「ええと…」

にこ「利子のとこね…何よ、あんた意外とちゃっかりしてるわね。」

にこ「1、2、……ん………あれ……」

真姫「にこちゃん?」


にこは震え上がりました


にこ「……希……あんたこれっ………!」

231: 2017/01/05(木) 22:14:41.35 ID:dyjROGnJ.net
真姫「どうしたの?」


にこ「借金返済する頃には、支払いが金貨50…3倍近くまで跳ね上がるじゃない!!」

希「そうやね」

真姫「はぁああ!?」

にこ「そうやね…じゃなくて!あんた何やってんのよ!!」


希「いや、あのまま2人に任せてたら回収出来そうになかったから…」

232: 2017/01/05(木) 22:15:38.75 ID:dyjROGnJ.net
希「さしでがましいとは思いましたが私、希が完璧な回収プランを提案させてもらいました」

にこ「あ、あんたっ……!」


希「いやぁ、あの2人ちょっとおバカで助かったよ…しかもうちとの契約書もろくに確認せずにサインしてくれたし」

233: 2017/01/05(木) 22:16:28.35 ID:dyjROGnJ.net
真姫「なっ……えっ?…?」

希「いや、別におかしくはないはずよ、真姫ちゃんは騙しとられたお金が即戻って来る」

真姫「まぁ…」

希「凛ちゃん達は真っ当な仕事につけて生活も保証される、勿論お薬代もちゃんと用意するから安心、知り合いを通せば幾らでも安く手に入るだろうし」

希「これで皆幸せに解決、ついでにうちも幸せで めでたしやん?」


にこまき「は ぁ あ あ あ !?」

234: 2017/01/05(木) 22:17:30.89 ID:dyjROGnJ.net
希「なんてね、ちゃんと2人にも色つけるから、ね」

真姫「はぁ……希…」

にこ「これが南の商人ってわけね…はは」

希「さぁ、買ってきたご飯食べよ!」

にこ「当分は旅費もあんた持ちね…」

いつもの優しい笑顔で振る舞う希を見て、にこも真姫も希にだけは敵わないと思い知るのでした

245: 2017/01/07(土) 00:31:52.09 ID:Vz7n4d/6.net
真姫「壁…それに大きな門…」

にこ「やっと到着ね」


希「うん……ここが"桜の国"や」

あれから半月が経ちました、今は桜の国の国境線まで来ている所です


真姫「どういう事なのこれ…」

希「この国は元々閉鎖的でね、あまり人の行き来も無かったんよ」

にこ「まぁ、お国柄ってやつかしらね」

246: 2017/01/07(土) 00:32:50.20 ID:Vz7n4d/6.net
希「でも、前女王様が政治から何から上手い具合に舵をとってて小国ながらも豊かな国だったみたいで」

真姫「前女王……?」

希「そう……3年前に亡くなってしまって、今は女王様の1人娘が即位してるんやけどね」

真姫「ふぅん…」

希「で、女王が変わったのはいいが国の体制なんかは未だにずるずる引き継いだまんまになっちゃって」

真姫「それで目の前の壁と門番ってわけね」

247: 2017/01/07(土) 00:34:08.83 ID:Vz7n4d/6.net
希「そう、まぁそんな国だから中に入るのにはそれなりにツテがいるわけなんよ」

真姫「ふむ…」

希「そしてうちの手元には…何故か紹介状があると!そういう事です」ピラッ

にこ「あんたなら何もってても驚かないわもう」

希「えぇ?!それはそれで寂しいなぁ…」

真姫「桜の国か……」

希は門番に紹介状と身元を説明しました
そして桜の国へと門は開かれます


希「さっ、行こっか」

真姫「ええ…」

ーー

248: 2017/01/07(土) 03:01:05.19 ID:Vz7n4d/6.net
真姫「さっきから全然誰も居ないわね…」

にこ「一体どんなとこと思ってたのよ」

真姫「最初はもっと活気があるとこかと思ってたわ、だから希もここに目をつけてたんでしょ」

希「まぁ、そうやね」

真姫「それで城までは後どの位かかるわけ?」

希「ここからなら半日もかからずに着くかなぁ、多分」

真姫「割と近いのね、今から向かえば夜には…」

にこ「無理があるわよ、もう遅いし宿探して休みましょ」

249: 2017/01/07(土) 03:02:00.72 ID:Vz7n4d/6.net
それからにこと真姫はいつもの様に宿を探しに街を歩き回っていました

にこ「ない……そもそも灯がついてないわ」

真姫「お、おかしいわね…」

にこ「いくら人の行き来が少ないからってさ」

真姫「あっ!あれ!」

にこ「宿屋……?いやいや…いくらなんでもヤバ過ぎるわよっ」

真姫「でも、あそこに宿屋って…」

にこ「真姫…あんた随分と逞しくなったわね、どうみても幽霊屋敷じゃない、うぅ」

250: 2017/01/07(土) 03:03:03.52 ID:Vz7n4d/6.net
真姫「ねぇ、ひょっとして…にこちゃん?」

にこ「違うわよ!別にビビってるわけじゃ!ほら、いくわよ!」

真姫「ぷっ……はいはい」

真姫の袖を掴み後ろから恐る恐るついてくるにこ、真姫はそんなにこの様子を楽しみながら宿屋のドアを開きます

真姫「すいませーん」

真姫「本当にやってないのかしら、でも開いてるし」

251: 2017/01/07(土) 03:04:12.44 ID:Vz7n4d/6.net
にこ「誰かぁ?居ないのー?」

真姫「ちょっと奥まで見にいきましょ」


にこ「はぁ!?ばっかじゃないの!?あんたねぇ!」

真姫「泊まるとこ探そうってにこちゃんが言い出したんでしょ」


にこ「うう……ちょっと待ってよ…」


真姫「はぁ……これだからお子様は疲れるのよ」

252: 2017/01/07(土) 03:04:58.50 ID:Vz7n4d/6.net
にこ「だれがお子様よっ!あんたにだけはーー」

「あの……」トントン


にこ「はい!?今取り込み中なんだけど!」


真姫「え…………」


にこ「ん?…………はっ…………!!」

にこはゆっくりゆっくり後ろを振り返ります

「あのぉ……」


にこ「あ"、あ"がァ…で、デタぁああ━━!!!」


千歌「ほ、ほぇ?」

257: 2017/01/08(日) 03:16:21.70 ID:VejlF/UW.net
にこ「ヒィィ!ごめなさいごめなさい!」

真姫「にこちゃん落ち着いて、ただの女の子よ」

にこ「へ……」

千歌「えへ、何か驚かせちゃったみたいですいません」

にこ「何よ!びっくりさせんじゃないわよ!」

千歌「は、はぁ…」

真姫「宿を探してるんだけど、ここは開いてるわけ?」

千歌「すいません、うちはもうだいぶ前に店を畳んじゃって」

258: 2017/01/08(日) 03:17:12.16 ID:VejlF/UW.net
にこ「ええ…そんな…」

真姫「あの、ここらへんに他に開いてる宿ってないのかしら?」

千歌「残念ながら…」

それを聞いて肩を落とすにこと真姫でした、まさか旅先で宿がないなんて…もっとも恐れていた事だったからです


千歌「あの…良かったら家に来ませんか?このスグ近くなんで」


にこ「いいの?!」

千歌「はい!と言ってもそんな立派なとこじゃないですが…」

真姫「助かるわ!」

259: 2017/01/08(日) 03:17:58.91 ID:VejlF/UW.net
千歌「どうぞ上がって」

それから千歌の住む家に3人は案内してもらい、更に食事までご馳走になる事に


希「何か色々ごめんね」

千歌「いえ♪…大勢で食事なんて久しぶりなんで♪皆さんは旅の方ですか?」

真姫「そうよ、この国に商売にきたとこよ」

千歌「やはり商人の方でしたか」

千歌「あ、私は千歌っていいます!」

にこ「にこよ、で…こっちが真姫と希」

希「宜しくね、千歌ちゃん!」

真姫「宜しく!」

千歌「はい!宜しくお願いしますっ!」

260: 2017/01/08(日) 03:18:49.09 ID:VejlF/UW.net
にこ「それにしても、この街は殺風景というか…」

千歌「昔はとても賑わってたんですけどね…」

真姫「ねぇ、何故こんな風になったの?女王様が変わったのと何か関係が…?」

千歌「……」

千歌「新しい女王様はあまりこの国の事には興味がないみたいで…」

真姫「どういうこと?」

千歌「詳しくは分からないのですが、国の事は今は前女王に仕えていた大臣様が変わりにやっているとかで…」

真姫「イマイチ見えてこないわね」

にこ「どうせ明日いくんだし、その時に見ればわかるわよ」


千歌「あの、私も聞いていいですか?!」

261: 2017/01/08(日) 03:20:19.00 ID:VejlF/UW.net
真姫「へ……?」

千歌「皆さんはどこから来られたのですか!?私あまり遠くに行った事がなくて」

千歌「良かったら旅のお話とか、その……」

千歌は3人の事に興味津々です、このきらきらとした瞳、真姫はどこかで見た事がある気がします

真姫(ことり………)

この瞳に見つめられたらやはり真姫は敵いません


真姫「そうね、泊めて貰った上に食事まで用意してもらったんだしね」


にこ「えっと…まず私と真姫はーー」

希「園の国のお姫様と使用人でね…」

にこ「そうそう、でぇ…それから」

262: 2017/01/08(日) 03:22:24.19 ID:VejlF/UW.net
にこ「え……?」


真姫「希!何でその事を!!」

希「まぁ色々耳に入ってくるんよ、噂とかがね」


千歌「え、ええ!!お姫様なんですか!?」ガタッ

にこ「あんたどれだけ知ってんのよ!ああ…」

希「なんかごめんね、うちの事はいいからどうぞ続けて」

千歌「はい!何でお姫様と使用人さんがこんなところまで来たんですか!?商売って!?」

真姫「千歌、落ち着きなさい…ゆっくり話すわね」


真姫は旅の事を正直に話しました、希が横でそれをにやにやと聞いています…
にこも真姫も希への謎は深まるばかり、本当にこの人は何者なのだろうと

263: 2017/01/08(日) 03:22:58.44 ID:VejlF/UW.net
一旦ここで、すいません!

265: 2017/01/08(日) 06:02:39.90 ID:VejlF/UW.net
>>264
はい、すいません! あと少し更新遅くなります

272: 2017/01/09(月) 23:50:44.43 ID:3tHNZWjy.net
千歌「うわぁ、まるで本で読んだお話みたい!」

真姫(やっぱりそっくり)


にこ「あんた話聞いてた?どこがよ!」

千歌「だって、お姫様と一緒に旅するとか憧れちゃいますよ!」


にこ「言っとくけど姫様なんてまともな奴いないわよ」

真姫「どーゆー意味よ」

にこ「まんまでしょ、あんたといい絵里といい…」

希「千歌ちゃんもどこか他の国へ出かけてみたらいいのに」

273: 2017/01/09(月) 23:51:38.61 ID:3tHNZWjy.net
千歌「う~ん、行ってみたいけど…きっかけというかなんていうか」

真姫「まぁこういうのってなりゆきで始まってるもんよ」

にこ「そうね、気づけばあんたも誰かと旅してるかもね」

千歌「えへへ、そうだといいなぁ…」

千歌「あ、だいぶ遅くなってしまいましたね、旅でお疲れのとこをごめんなさい」

希「いいんよ、うちもたまにはこういう話とか聞きたかったしね」


にこ「ふん、いいから寝るわよ」

千歌は3人のやり取りを見ながらずっとにこにこ嬉しそう、それから部屋へと案内し今日はここでおやすみです

274: 2017/01/09(月) 23:52:27.92 ID:3tHNZWjy.net
希「朝だよ、そろそろ起きて!」

真姫「ん……」

にこ「まだ……」

希「そう……早く起きないんならぁ」ワシワシ

にこ「い"ぃ!!何で私ぃぃ!!」

ーー

千歌「それではお気をつけて!」

真姫「ありがとう千歌」

希「ばいばーい!」

にこ「また、いつかね」


千歌「はい、またいつか!」

3人が見えなくなるまでずっと見送りながらふと千歌は思いました、きっと自分もいつかは…と


それから半日

3人は今、城へ到着した所です

275: 2017/01/09(月) 23:55:12.27 ID:GOzieizb.net
真姫「やっと到着ね、それにしても街は酷い有様だったわね…本当にどうなってるのかしら」

にこ「でもさ、何でこんだけ貧しい国なのに嗜好品なんて欲しがるわけ?えらい余裕よね」

希「ん~貧しい国、だからかなぁ」

真姫「全然わからないわ…」


希「あ、開いたよ」

276: 2017/01/09(月) 23:56:19.57 ID:3tHNZWjy.net
そこには忙しく走り回る役人達の姿がありました、聞き耳を立てていると税金やら盗賊やらと物騒な言葉もちらほらと

にこ「って何か忙しそうね、タイミング悪かったかしら」


真姫「あの、すいません」

役人「申し訳ない…すぐに案内する」

真姫「は、はぁ…」


真姫(大丈夫なのこれ…)

それから3人は女王のもとへ案内されました、商人が王に会う事なんて本来は有り得ない筈なのに…と真姫は首をかしげます

277: 2017/01/09(月) 23:57:08.79 ID:3tHNZWjy.net
ーー

梨子「ごきげんよう、貴方達が南の商人ね」


目の前に現れたのはとても美しい少女でした

希「お初にお目にかかります。」

先程とはうってかわり希の表情は真剣そのものでした、膝を着き頭を下げる希に合わせて2人もそうします


梨子「ねぇ、早速だけど何もってきたの?見てもいい?」

278: 2017/01/09(月) 23:58:05.80 ID:3tHNZWjy.net
真姫(なんか……)

にこ(拍子抜けね…)


女王は真姫の予想より遥かに若く、恐らく同い年くらいかと思われます

梨子「色々もってきたのね、この国って何もなくて退屈でね」

梨子「見た事ない品もあるわね!ちょっと説明してよ」

希「かしこまりました」

それから品物を手に取り説明をしていきます


希「と、言った感じですが…」


梨子「うん、ありがと…とりあえず全部貰うわ」

女王は何も言わず側近に金貨を用意させすぐに良い値で引き取りました

279: 2017/01/10(火) 00:00:46.61 ID:QqOBe4uc.net
梨子「あ、そうだ!せっかくだし貴方達も今日は宴に参加していきなさいよ」

希「はい?私達がですか?」

梨子「うん、いいでしょ…それまで適当にくつろいでていいから」

希「ありがとうございます」

真姫(何だろう……)


3人は通された客室のソファに腰を掛け、ひと息つきます

にこ「疲れたわね…」

希「女王様って意外とあっさりしてたね」

真姫「もっとこう、凄いのが来るかと思ってたわ」

希「それにしても、本当に羽振りが良いね…流石は王室やね♪」

280: 2017/01/10(火) 00:01:41.44 ID:QqOBe4uc.net
真姫(何なんだろう、この違和感…)


真姫は園の国にいた頃を思い出していました、王様の元で大臣達も忙しく働いていましたが、その表情はとても活き活きとしていたのに、この国ではまるでそれが感じられなかったからです




それから少ししていると宴の準備が整い、3人は呼ばれました
そこは豪華なご馳走や踊り子、奏者が女王を囲みとても賑やかなものでした

281: 2017/01/10(火) 00:02:36.95 ID:QqOBe4uc.net
にこ「一応女王の前だからね、少しは振る舞いに気をつけなさいよ」

真姫「にこちゃんには言われたくないわよ」

希「ここまで来ても喧嘩するとか、もう何かね…」


と、ここで……まさかの一声がかかります

梨子「貴方達…せっかくなんだし何かやってよ」


真姫「私達ですか?!」


梨子「早く、できるでしょ?」

希(だいぶ無茶振りやねぇ…)

282: 2017/01/10(火) 00:03:40.43 ID:QqOBe4uc.net
にこ「…とりあえず、音楽祭でやったのやるわよ」

真姫「分かった、希は楽器でも叩いてて」


希「了解、頼むよ!」

それから3人は歌と踊りを披露しました
絵里直伝の歌に踊りに女王もご満悦の様でした

梨子「流石は南の商人達は芸達者ね!」


真姫(何なのこいつ…)

にこ(でも、何とか乗り切ったわね…)


ほっと胸を撫で下ろしていると、そこへ何やら困り顔の大臣が早足で女王の元へやってきました

283: 2017/01/10(火) 00:04:31.39 ID:QqOBe4uc.net
大臣「女王様…少しだけお時間を」

梨子「はぁ…何なの…」

大臣「この場では申し上げにくい事なのですが…」


真姫(あいつ、さっきの……)

梨子「あんたに任せるから…もういいでしょ。」

そう言い放って女王は大臣を追い返し、席へと戻り楽しそうにしていました


真姫(いいの?そこそこマズいから来たんでしょ……)

しばらく真姫は女王の事を眺めていました、すると女王も真姫の視線に気づきます

284: 2017/01/10(火) 00:05:22.38 ID:QqOBe4uc.net
梨子「なーに?」

真姫「ああ、えっと…この宴はいつも行われているのでしょうか?」

梨子「ふふ!当たり前でしょ、その位しか楽しみもないしね」

梨子「それがどうしたの?」

真姫「いえ…毎日賑やかなんですね」


梨子「それが女王の務めってとこかしら」


真姫「はい……?」

285: 2017/01/10(火) 00:06:07.83 ID:QqOBe4uc.net
梨子「好きな様に振る舞いずっとこうして生きてきたからね、難しい事は全て誰かに任せてればいいのよ」


真姫「そう……ですね」

にこ(……)

そして宴は朝まで行われました、次の日にはすぐに城を出て、今は帰り道を馬車に揺られながら、真姫は物思いにふけっていました

286: 2017/01/10(火) 00:06:57.66 ID:QqOBe4uc.net
にこ「あんたの考えてる事はわかるわよ」


真姫「うん………」

にこ「旅に出る前の誰かさんにそっくりだったわね」

真姫「色々と考えさせられたわ…」


真姫「ねぇ…」

にこ「ん?」


真姫「この国って……これからどうなるの」

287: 2017/01/10(火) 00:07:45.59 ID:QqOBe4uc.net
真姫「あいつは多分、自分の事くらいしか考えてないみたいだったから」

にこ「まぁ、根っからの悪者とかでもなさそうだけどね……」


しばらく2人は言葉に詰まります
手元には金貨が150枚…これで2人の旅は終わりの筈なのに、真姫は少しも嬉しくないのです


希「まぁ、それだけ分かる様なら真姫ちゃんは十分に来た意味あったんやない?それに…」

288: 2017/01/10(火) 00:09:05.63 ID:QqOBe4uc.net
希「この国がこれからどうなるかなんて……もう分かるやろ」


真姫「次期に内乱が起きるか…」

にこ「その前に他所の国に食い潰されるか…」

希「どっちにしても………ね」



2人が旅の終わりに見たものは

未来のない国でした

297: 2017/01/11(水) 05:06:15.11 ID:gll++P5n.net
ーー


にこ「姫様、失礼致します」

真姫「……はい」

「それでは姫様の事、頼みましたよにこ」

にこ「かしこまりました」

バタン


にこ「ふぃぃ…」

真姫「ねぇ…」

298: 2017/01/11(水) 05:07:06.47 ID:gll++P5n.net
にこ「はい?」


真姫「その…姫様っていうのやめてくれる?あと敬語も」

真姫「一々むず痒いって言うか、気持ち悪いんだけど」

にこ「そういうわけにもいかないのよ、私にも立場ってもんがあるんだから」

真姫(はぁ…)

にこ「ほら、ちゃんとまっすぐ向いて」グイッ

真姫「痛っ!ちょっと引っ張らないでよ!」


あれから3ヶ月が経ちました、今は真姫の部屋でにこが真姫の髪を整えているところです

299: 2017/01/11(水) 05:08:10.95 ID:gll++P5n.net
にこ「にしても随分伸びたわね、髪」

真姫「何だかんだで1年近く経ってるからね」


にこ「よし、できたわよ」

真姫「うん、ありがと」

にこ「じゃ行ってきなさい」


真姫「……」


真姫「…にこちゃんは…どう思う?」

300: 2017/01/11(水) 05:09:50.52 ID:gll++P5n.net
にこ「何がよ、私は綺麗ですかってやつ?」

真姫「ち、違うわよ!……結婚の話よ」



にこ「……良いんじゃない。」


にこ「近隣国同士で親睦を深める為にもーー」

真姫「そういう事じゃなくて」


にこ「分かるでしょ」

にこ「あんたにはあんたのやるべき事があるのも、自分がどうするべきなのかも」

真姫「そうだけど…」

にこ「ほら早くしなさい、王子も待ってるわよ」


真姫(……分かってるわよ)

301: 2017/01/11(水) 05:11:12.90 ID:gll++P5n.net
ーー


真姫「大変お待たせしました」

穂の王子「お久しぶりです、姫様」


真姫「お久しぶりです、あの…王子」

王子「は、はい…?」ビクッ


真姫「以前は私の未熟さ故に王子に大変な失礼な真似を…」

真姫「本当に…申し訳ありませんでした」


王子「いえいえ、私は気にしてませんから!」

王子「顔を上げて下さい、それより…」

302: 2017/01/11(水) 05:13:06.97 ID:gll++P5n.net
王子「結婚式についてなんですが、姫様はご希望などはありますか?」


真姫「私は………」


王子「あはは、まだ考え中でしたか」

王子「私はいつでも良いので、考えがまとまったら」


真姫「はい………」

303: 2017/01/11(水) 05:14:21.19 ID:gll++P5n.net
ーーー


園の王「どうでしたか真姫」

真姫「どうって、予定通りに進んでるわよ」

王「ううっ……本当に……んぐ……」グスン

王「よがっだ……んん……ひぐっ……」


真姫(パパ……ちょっと大袈裟過ぎでしょ……)


王「あの時は断腸の思いで貴方を送り出しましたが……」

王「本当に良かったです……にこには感謝してもしきれません」

王「これからは貴方もこの国を、いえ…近隣国共々しっかり王子とーー」


真姫(……分かってる、それが私のやるべき事)


真姫(……分かってるわよ…)

304: 2017/01/11(水) 05:15:42.15 ID:gll++P5n.net
それから数日が経ちました
真姫が朝起きると決まってにこが真姫のお世話にきます
しかし…今日はにこは来ませんでした


真姫「辞めた?にこちゃんが?」

真姫「………どこ?」

真姫「今にこちゃんは何処にいるのっ!?」


真姫は城の門へと裸足のまま走りました、そしてそこには荷物をまとめ旅支度を済ませたにこの姿がありました

305: 2017/01/11(水) 05:16:29.88 ID:gll++P5n.net
真姫「はぁ、はぁ、はぁ……にこちゃん!」

にこ「ああ、やっと起きたの」

真姫「何で!?」


にこ「いやぁ、やっぱり私は使用人て柄に合わないわ!」

にこ「だから私も思い切って自分の店でも始めようかなって」

にこ「あんたの旅のお守りしてたおかげで給料も結構入ったし、退職金も王様が奮発してくれてね」

306: 2017/01/11(水) 05:17:31.73 ID:gll++P5n.net
真姫「そう…なんだ…。」

真姫「……良かったわね…。」


にこ「なーに辛気臭い顔してんのよ、しかも裸足で出てくるなんて」


真姫「……」


にこ「……楽しかったわ、あんたとの旅も」


にこ「ってわけで、これからは頑張りなさいよ…お姫様」

にこ「じゃあね!」


そう言い放つと、にこは城を去っていきました
1度も振り返る事はありません
真姫はその遠くなっていく背中を、ただずっと眺めていました

313: 2017/01/12(木) 01:17:27.19 ID:OrUe3/uf.net
それからにこは花丸の元へと向かいました

花丸「ありがとうございました…ふう…」

にこ「相変わらず繁盛してるわね」

花丸「あっ、にこちゃん!」

にこ「花丸!あんた夜は空いてる?」

花丸「どうしたずら?」

にこ「たまには付き合いなさいよ」

花丸「んん?」

ーー

314: 2017/01/12(木) 01:18:14.16 ID:OrUe3/uf.net
にこ「ミルク2つ、あと色々持ってきて」

店主「はいよ」

花丸「今日はどうしたの?お休み?」


にこ「もう辞めたわ使用人」

花丸「え!?辞めちゃったの?」

にこ「ええ、それで近いうちにこの国を出るから、その前にお世話になった人に挨拶回ってんのよ」

花丸「なるほどね、これからどうするずら?」


にこ「私も自分の店を持つわ」

花丸「ずらっ……!?」

315: 2017/01/12(木) 01:18:50.47 ID:OrUe3/uf.net
にこ「あんたや希の事見てたらちょっと羨ましくってね」

花丸「そっかぁ…真姫ちゃんは何か言ってたの?」



にこ「あいつにはあんまり話してないわ、急に辞めてきたからね」

花丸「どうかしたの?」


にこ「別に、ただあいつも身を固めてこれからは真面目にやらなきゃだろうし」

にこ「私も自分の道を進まなきゃってね…」

316: 2017/01/12(木) 01:19:55.49 ID:OrUe3/uf.net
花丸「にこちゃんは独立で真姫ちゃんも結婚かぁ…」

花丸「式は…いつ頃なの?」

にこ「ぼちぼち決めてるんじゃないの」

花丸「その時はにこちゃんも参加するんだよね?」


にこ「……」


花丸「…いかないの?」


にこ「あいつの花嫁姿とか見たら…笑っちゃいそうだからね…」


花丸「そう…だね」

317: 2017/01/12(木) 01:21:07.48 ID:OrUe3/uf.net
にこ「そんな事はいいのよ、今日は私の前祝いでもあるんだから!」

花丸「うん、にこちゃんの奢りなんてこの先一生なさそうだしね」

にこ「うっさい!黙って食べなさいよ!」

にこ「じゃんじゃん料理もってきて!」

花丸「じゃあついでに…たまにはお酒でもどうずら?」


にこ「おっ!いーわね!真姫が居る前じゃ中々呑む機会無かったのよ!」

にこ「テキーラショットで!」

花丸「いきなり調子に乗りすぎずらぁ!」

こうして2人は朝まで呑み明かすことになりました、花丸は次の日も仕事だったのですが結局帰らせてもらえませんでした

318: 2017/01/12(木) 01:22:35.32 ID:OrUe3/uf.net
真姫「…」

穂の王子「どうしたんですか!最近元気がないみたいですね」

真姫「あ…そんな事ありませんよ!」

王子「それならいいんですが…あの姫」

真姫「はい?」

王子「これ……その……//」

真姫「なんでしょう…」

王子「開けてみてください!」

王子から渡されたのは指輪でした、いきなりの事に真姫はどうする事もできずただ笑顔を作ろうとします

319: 2017/01/12(木) 01:23:11.52 ID:OrUe3/uf.net
王子「私からの気持ちです」


真姫「ありがとう…ございます…」


王子「あはは……その、私もこういうのは初めてで」


真姫「……」


王子「今日はこれで、また伺いますね」


真姫「ええ…お待ちしております」


真姫は指輪を眺めていました、もう決めた筈なのに…指輪をはめる事ができずにただ眺めていました

ーー

320: 2017/01/12(木) 01:23:43.98 ID:OrUe3/uf.net
園の王「真姫、どうでしたか」


真姫「指輪、貰ったわ…」

王「そうですか!もうすぐという事ですね」

真姫「うん……じゃあ、部屋に戻るわね」

王(……真姫)

王様もそれ以上は真姫に声をかけませんでした、ずっと昔から真姫を育ててきたのです、真姫の気持ちももう分かっていました

321: 2017/01/12(木) 01:24:21.56 ID:OrUe3/uf.net
数日後、今はにこが街の港へと着いたところです


曜「にこちゃん!待ってたよ」

にこ「久しぶりね」

曜「あれ?今日は1人かな?」

にこ「当たり前でしょ、真姫は城にいるわ」

曜「あはは!!その顔はフラれちゃったのかな?!」

いつもより元気のないにこを見て、曜は相変わらずの陽気さでにこをからかいます、曜なりの優しさです

322: 2017/01/12(木) 01:25:13.24 ID:OrUe3/uf.net
にこ「うっさいわよ、あんたって本当バカな癖に察しはいいのよね」

曜「バカは余計だよ!にこちゃんも変わらず口が悪いね!ところでさ、お店やるんだってね」

にこ「何で知ってんのよ」

曜「まるちゃんからチラッと聞いたよ」


にこ「はぁ、暇人は噂好きね」

曜「だから暇人はやめてよぉ!」

にこ「まぁあんたも花丸も、これから先も世話になると思うから頼むわよ」

曜「了解であります!」

にこ「で、早速なんだけど……あんた暇でしょ」

曜「……そうだけど…??」


ーー

323: 2017/01/12(木) 01:26:12.72 ID:OrUe3/uf.net
その頃、お城ではドレス姿の真姫がいました
今日は王様と王子と真姫の3人での食事が開かれる事になっているのです

王様「では、真姫」

真姫「はい」

王様「もう少ししたら王子もこちらへ来る頃ですので」

真姫「分かってる」

真姫「ちょっと部屋に戻るわね」


真姫(これでいいんだよね…)


真姫が部屋へと向かう際に丁度街の商人が城へと品を卸しにきていました、その中には見た事のある姿が

324: 2017/01/12(木) 01:26:44.98 ID:OrUe3/uf.net
真姫「花丸?」


真姫「花丸っ!!」


花丸「あ、まきち……姫様ぁ!!」

真姫「久しぶり!調子はどうなの?」


花丸「はい、おかげ様で!」

真姫「その姫と敬語はやめてってば」

花丸「あぅぅ……じゃ、今だけ失礼して」

325: 2017/01/12(木) 01:27:41.64 ID:OrUe3/uf.net
花丸「そう言えばもうすぐ結婚するんだってね」

真姫「…何で知ってるの?」

花丸「この前にこちゃんと酒場で少し話をしたんだ」

真姫「にこちゃんに会ったの?」

花丸「うん、でも…今日辺りには出発するみたいだよ」

真姫「……そう」


真姫「…にこちゃん…何か言ってた?」

326: 2017/01/12(木) 01:28:13.49 ID:OrUe3/uf.net
花丸「真姫ちゃんの花嫁姿は見たくないって、笑っちゃうからって」

真姫「ふふ……言いそうね、にこちゃんらしいわ」


花丸「あ、あとね…」


花丸「もし真姫ちゃんにあったら渡して欲しいって頼まれてたものがあるずら」

真姫「にこちゃんが?」

花丸は荷台から袋を取り出し、真姫に渡します

327: 2017/01/12(木) 01:29:08.40 ID:OrUe3/uf.net
真姫「これ……服?」


花丸「前に真姫ちゃんに貰ったからお返しに買ってたらしいんだけどね」

花丸「結局渡しそびれたから良い機会だって、まぁクローゼットの肥やしにでもって」

真姫「にこちゃん…」

花丸「本当に分かり易いずら、真姫ちゃんもにこちゃんもね」

真姫「……」


花丸「じゃあまるはそろそろ行くね」

真姫「……花丸、またね」

花丸「うん、また」

328: 2017/01/12(木) 01:44:11.10 ID:OrUe3/uf.net
真姫(にこちゃんは自分の決めた道に進んで、私は私の道に)

……分かってる

……分かってるけど……やっぱり私は


真姫はしばらくして王様と王子の元へと向かいました、ですがその姿はドレスではありません


王様「真姫?!どうしたのですかその服装は?」

王子「姫様??」

329: 2017/01/12(木) 01:45:21.49 ID:OrUe3/uf.net
しばらく真姫は立ち尽くします、それから2人をしっかりと見つめ話を始めました

真姫「これから私のすべき事も分かっているつもりです…
そしてそれが1番平和で幸せな事なのも良く分かっています…
ですが…私はまだ迷っているんです…本当にこのままでいいのかって」


王様「真姫……」


真姫「私はこの世界の事をまだまだ何も知りませんだから……
もう少しだけ旅をさせて下さい!自分の進むべき道は自分の目で見て、自分で決めたいんです」

王様「しかし…」

王子「……」

真姫「分かっています、こんな都合の良い話を今頃するなんて、王子には謝っても謝りきれません」

真姫「だからせめて……!」


王様「何を…?!」

王子「姫様…!」

ーー

330: 2017/01/12(木) 01:46:45.68 ID:OrUe3/uf.net
曜「よーし!じゃそろそろ出るよ!」

にこ「悪いわね、いきなりお願いしちゃって」

曜「いいよ!ちゃんと割増で料金も貰ったしね、私お金持ちには優しいんだ、あはは!」

にこ「はん!まぁいいわよ…ところで」

にこ「あんた、あっちに着いたら暇でしょ…1杯付き合いなさいよ」

曜「ごめん!別の要件もあるからすぐ帰らなきゃなんだ!」

にこ「何よ…付き合い悪いわね」


曜「それに………」

曜「相手ならいるみたいだよ」

にこ「へ………?」

331: 2017/01/12(木) 01:57:27.85 ID:OrUe3/uf.net
「にこちゃん!!」

聞き覚えのある声ににこは後ろを振り返ります


にこ「真姫………?」

真姫「曜にまでフラれて可哀想だから、私が1杯付き合ってあげるわ」

にこ「あんた………その髪……」


ーー

332: 2017/01/12(木) 01:58:31.25 ID:OrUe3/uf.net
王様「本当に申し訳ない……うちの娘が……」


王子「あは、大丈夫です………それにあのお姫様にあそこまでされたらですね」


そうです、真姫は2人の前で自分の長い髪を切ったのです
赤い髪はさらさらと舞い床に落ちていき、真姫は少年の様に短い髪になり涙を浮かべていました
あのプライドの高いお姫様を知っている2人には、これがどういう意味か、どれほどの決意かはスグにわかりました

333: 2017/01/12(木) 02:15:38.87 ID:OrUe3/uf.net
にこ「あんた…何やってんのよ」

にこは俯きながら言いました、顔は髪に隠れて良く見えません

真姫「毎回にこちゃんに髪を溶かされる時に引っ張られて痛いのよ、これなら楽でしょ」

にこ「…ばか」

真姫「それにお店始めるんだってね、にこちゃんだけじゃすぐに潰れちゃいそうだし私が手伝ってあげるわよ、感謝しなさい」

にこ「…大口叩くようになったわね」



曜「じゃあ出発するよ!」

いつもの様に喧嘩をする2人を尻目に、曜は舵をとり次の国へと船は向かいます


こうしてお姫様と元使用人の旅は始まるのでした

375: 2017/01/15(日) 18:35:00.74 ID:rKP9cdLa.net
ここは園の国の城から離れた街、今はそこでとある商人達が世間話をしていたところです


希「また来るね」

花丸「うん、また」


希(これは面白い話を聞いてしまったなぁ…あの2人にも今度教えてあげようかな)


「こちらに来ている時は顔くらい出す様に言った筈ですよ、希」


希「……あら…久しぶりやね♪こんなとこうろついてて大丈夫なんかな」

376: 2017/01/15(日) 18:36:18.37 ID:rKP9cdLa.net
「全く貴方は…まぁ変わらず元気な様で安心しました」

希「ほら、海未ちゃん忙しそうだから、うちも一応は気を遣ってるつもりなんよ」

「その名で呼ぶのは止めてください、というか希…今となっては貴方くらいのものですよ…」


希「これは失礼しました♪じゃあ…パパ…?」

「…やっぱり貴方はあの時に処刑しておくべきでしたね…」

希「海未ちゃんも相変わらず冗談通じないんだから」

「はぁ……そういえば聞きましたよ、以前に娘達の旅にも同行してくれたそうですね」

377: 2017/01/15(日) 18:53:29.36 ID:rKP9cdLa.net
希「たまたまだよ、まぁ真姫ちゃんが姫様と知った時は驚いたけどね」

「これも何かの縁なのでしょうね…かつて私を困らせた悪党が今度は娘に力を貸してくれるなんて」

希「ちょっと…悪党は言い過ぎやないん?」


「言い過ぎどころか言い足りない位ですよ、所で……今 あの2人は…? 」


希「ああ、丁度うちの子達が品を卸しに行ってるとこなんよ♪」


ーー

378: 2017/01/15(日) 18:56:09.09 ID:rKP9cdLa.net
凛「にこちゃーん?これどこに置いたら?」

にこ「あー?奥まで運んどいてぇ」


花陽「あの…」

真姫「あぁ、いいのいいの…力仕事は凛に任せて私達はお茶しましょ」

花陽「うん…!頂きます…!」

凛「何で凛だけ扱いが違うにゃー!!」


あれから1年が経ちました、今はにこのお店で3人はひと息ついているところです

379: 2017/01/15(日) 18:58:17.22 ID:rKP9cdLa.net
にこ「そういえば、あんた達そろそろ借金返済も終わるんじゃないの?」

花陽「うん…やっと完済だよ…」

凛「あの悪魔に目を付けられたせいで凛達の人生は…」

凛はあの時の希の優しい顔を思い出し涙を浮かべます
自分達を助けてくれたあの人は、何よりも悪人だったんだと

にこ「ふん、騙されるあんた達が悪いのよ」

真姫「返済が終わったら2人はどーするの?」

380: 2017/01/15(日) 18:59:05.43 ID:rKP9cdLa.net
凛「…う~ん。」


花陽「特に決まってないから、もうちょっと希ちゃんの所お世話になるかなぁ…」


凛「えっ?かよちん本気で言ってるの?」

花陽「だって、色々お世話になったのは事実だしね、それに…」

花陽「凛ちゃんも、本当に嫌だったら逃げる機会はいくらでもあったはずだよ…?」

凛「うぅ…。そうだけど…。」

にこ(いい感じに飼い慣らされてるわね…)

381: 2017/01/15(日) 18:59:39.14 ID:rKP9cdLa.net
真姫「2人は今日はこっちに泊まってくわけ?」


凛「ううん、最後の便で戻るつもりだよ」

花陽「じゃあそろそろ帰ろっか…!」


にこ「また頼むわよー」

真姫「希に宜しくね」

凛「ばいばーい!」

382: 2017/01/15(日) 19:00:20.85 ID:rKP9cdLa.net
真姫「ここもだいぶ軌道に乗ったわね」

にこ「まあね、これでやっと私達も認めてもらえたのよね…」

真姫「そうね…」


にこ「ほら、やっと手紙も届いたわけだし」

真姫「うん…」


にこ「もうそろそろ色々準備も始めなくちゃね」


真姫「にこちゃんのそういう慎重なとこ、尊敬するわ」

383: 2017/01/15(日) 19:01:09.66 ID:rKP9cdLa.net
真姫「所で…」

にこ「……?」


真姫「黒の国ってどこら辺なの?」

にこ「 は あ あ あ !?」


にこ「そこから?!あんた馬鹿じゃないの?!てゆーか馬鹿でしょ!」

真姫「行った事ないんだから仕方ないでしょ!素直に聞いてんのに何なのよ!」


そうです、2人が次に目指すのは、世界一の大国
黒の国なのでした

398: 2017/01/16(月) 21:35:49.81 ID:X2O/UZve.net
にこ「いい?黒の国はここら辺一帯の国々を取り仕切ってる大国よ」

にこ「流通してる硬貨だって黒の国が作ってんの、ならどんだけデカい市場かも少しは検討つくでしょ」

真姫「それはわかるけど…」

にこ「まぁ行けばわかるわ」


真姫「ねぇ…」

にこ「ん…」


真姫「ひょっとしてにこちゃんもまだ行ったことないの?」

399: 2017/01/16(月) 21:37:01.93 ID:X2O/UZve.net
にこ「ばーか!あるに決まってんでしょ、何やるにしてもあの国が発信地みたいなもんだからね」


真姫「本当に…?」

にこ「本当に!とにかく金持ちが沢山いんのよ」

にこ(昔、ちょっと通っただけだけど…こいつも段々鋭くなってきたわね)


真姫「…じゃ、頼りにしてるわ」

にこ「ま、任せときなさいっ」


ーー

400: 2017/01/16(月) 21:37:53.79 ID:X2O/UZve.net
曜「黒の国?少ししたら行く予定あるけど」


にこ「じゃそん時にここにも寄んなさいよ、私達も乗るわ」

曜「了解!」

真姫「せっかく国を出て店を開いたの、頼りにしてる連中は変わらないっていうね…」

にこ「今更訳わかんないやつに頼むのもね」

曜「結局、人は信用が第一だからね!私のように真面目な船乗りはいつも仕事が回って来る訳なのだよ!」

401: 2017/01/16(月) 21:40:42.01 ID:X2O/UZve.net
にこ「そういうのいーから、じゃまた今度ね」


曜「うぅ…良い事言ってる筈なのにぃ」

真姫「それ酒場でも前に言ってたわよ、まぁ皆笑ってたけどさ、暇人も出世したなって」

にこと真姫は鼻で笑います、曜も少しだけむくれ顔になりました

曜「人をいつも玩具にしてぇ…いつか罰が当たるよ君達は…!」

にこ「ちょ、やめなさいよそういう縁起でもないの!」



そして1ヶ月が経ちました

今は黒の国です、3人はというと…

402: 2017/01/16(月) 21:41:57.32 ID:X2O/UZve.net
にこ「……」

真姫「……」

曜「……」


にこ「曜……」


曜「ん………」


にこ「あんたが行く前にあんな事言ってたからよ…」

曜「ちょっと待ってよ!!私なんて完全にとばっちりだよ!」

403: 2017/01/16(月) 21:44:57.83 ID:X2O/UZve.net
にこ「うっさいわ!ああ…どーすんのよ…」


曜「分かんないよぉ…てゆーか何したんだよ2人共…」


真姫「はぁ………」

真姫「何でこんな事に……」


黒の国で捕まっているところでした

404: 2017/01/16(月) 21:46:16.57 ID:X2O/UZve.net
話は10日近くまで戻ります


曜「もうすぐだよ~」

真姫「船でも1週間以上かかるって…エリーも随分遠くから来てたのね」

にこ「もう3日もお風呂入ってないわ…限界…」

曜「着いたらとりあえず宿探しだね」


にこ「ああ、それならもう決まってるわ」

405: 2017/01/16(月) 21:48:11.06 ID:X2O/UZve.net
そして港に船は着き、宿へと向かいました

にこ「3人で!2人はとりあえず1週間…曜、あんたはどーする?」

曜「私は今日だけ、明日に一旦出るよ」

にこ「じゃ、それで……あと知り合いからここ紹介されたんだけど」

にこ「何か話とか聞いてない?」


善子「勿論聞いてるわ、待ってたわよ」

406: 2017/01/16(月) 21:49:08.71 ID:X2O/UZve.net
にこ「早速なんだけどお風呂どこ?部屋にあるの?」

善子「うちは共同浴場なの、こっから奥にいったらあるわ」

曜「入ろ入ろ、もうクタクタだよ…。」


ーー

407: 2017/01/16(月) 21:50:07.27 ID:X2O/UZve.net
にこ「ふぃぃ~♪」

曜「あ"あ"~♡」

真姫(ゔぇぇ…おっさんくさいわね…)

お風呂は丁度3人の貸切でした、にこと曜の声が響き渡ります

真姫「ねぇにこちゃん」

にこ「は~い?」

真姫「何で宿まで知り合いのとこなの?」

にこ「こっちは田舎もんにはとことん冷たいらしいからね…」

にこ「少し長めに居る事になるし、身内のとこが安心って聞いてたからね」

408: 2017/01/16(月) 21:58:47.25 ID:X2O/UZve.net
真姫「おっきな国は何かと大変なのね」

曜「うんうん…大国ってなるとそれだけ事件や問題も多いんだろうねぇ」

にこ「どっちかというと真姫、あんたの国ら辺が緩すぎなんじゃないの」

にこ「あんたを含めて王族がそこら辺歩いてる国なんて早々ないわよ」

曜「あははは!確かに!」


真姫(やっぱりパパって凄い人なのかな…)


真姫「……それで、明日からはどーするわけ?」

415: 2017/01/17(火) 03:42:47.81 ID:xxkJWCby.net
にこ「とりあえずは貴族の屋敷を調べて捌きにいくわ、まぁ今回はダメかもしれないけどね…」

真姫(……?)


ーー

次の日、2人は曜を港まで見送ります

416: 2017/01/17(火) 03:43:35.59 ID:xxkJWCby.net
曜「じゃあね~!」

にこ「ねぇ、次は?」

曜「10日後には来るよ!忘れずにね」

真姫「分かった、じゃあね!」


にこ「さぁ~てと…」

にこ「まずはここら辺の屋敷から試しにやってみますかね」

真姫(……なんだろう…)

417: 2017/01/17(火) 03:44:28.17 ID:xxkJWCby.net
いつも強気なにこが珍しく自信がなさそうです、真姫も少し気になります、だってこういう場合は大抵…


真姫「ダメだ…」

真姫「もう半日回って見たけど、まず話すら聞いてもらえない…」

にこ「やっぱり……」


真姫「どういう事なの…?」

にこ「都会はそんだけ警戒心が強いのよ…」

にこ「こっちの業者とかを仲介に挟まないと、まともに相手されないだろうと思ってたわ…」


真姫「はぁ…お国柄ってやつね。」

418: 2017/01/17(火) 03:45:11.69 ID:xxkJWCby.net
にこ「大体さ…」


真姫「へ……??」

にこ「何で穂の国で胡椒売ったらダメなのよ!?あんたがやたら釘を刺すから思ってたけど」

にこ「もうダメな理由もないはずよね…?」


真姫「ヴェェ?!それは…」

真姫(あんだけ王子にやらかしたのに商売の時だけ穂に売りに行くとか流石に図々しいわよ…)

419: 2017/01/17(火) 03:46:04.33 ID:xxkJWCby.net
にこ「……?」


真姫(そういうとこはにこちゃん鈍いというか、空気読めないというか…)

真姫「い……色々あるのよ!国家間の力関係とかね…」

にこ「まぁ、一応あんたがそこまで言うんなら事情があるのかと思うけどさ…」

真姫「とにかくよ、これからどーするわけ?」


にこ「……とりあえず酒場ね」

420: 2017/01/17(火) 03:47:00.80 ID:xxkJWCby.net
困った時の酒場に向かいました、それにしても黒の国の酒場は少し様子が違います


にこ「ちょっとあっちの連中に話にいってくるわ」

真姫「うん、待ってるね」

真姫(それにしても…)

真姫は酒場を見渡します、すると酒場中から噂話が聞こえてきます…黒の姫様が…と


真姫(何なの?事件かしら…)

421: 2017/01/17(火) 03:48:37.58 ID:xxkJWCby.net
にこ「くっふっふっ…」

真姫「何……?」

にこ「ちょっと面白い事聞いちゃったわ」

にこ「早めに胡椒を街の店に売り捌くわよ…」

真姫「まぁ……」

にこ「そしてその後は……」


にこ「 黒の姫様探しよ!! 」


真姫「はい……??」

422: 2017/01/17(火) 06:18:13.04 ID:xxkJWCby.net
にこ「どうやら黒の国の姫様ってのが行方を眩ませてるらしいのよ」


真姫「えっ……大変じゃない!」

にこ「そうよねぇ!私も心配でさぁ!」

真姫「だから何でそんな嬉しそうなの……」


にこ「それがさ、姫の姉の黒の王ってのが大慌てで探し回ってるらしくってね……」


にこ「出るのよ……賞金が……!」

真姫「そんなことだろうと思った…。」

423: 2017/01/17(火) 06:19:53.95 ID:xxkJWCby.net
にこ「有力な情報や、もし捕まえて連れてきたら…」

にこ「金貨5000枚だって!!」


真姫「うそっ!!?」ガタッ


にこ「何よ、あんたも食いついてんじゃない…」


真姫「わ、私は人助けがしたいだけよ!にこちゃんと一緒にしないで!」

にこ「そーですねぇ、私みたいな守銭奴とは違いますよねぇ」

真姫「当たり前よ!」

424: 2017/01/17(火) 06:21:08.40 ID:xxkJWCby.net
にこ「じゃあもし捕まえてもご立派な真姫ちゃんは賞金は要らないって事なんですよねぇ?」


真姫「ぐっ……それは……!」


にこ「やっぱり王室育ちは人間ができてるわねぇ!」

真姫「ぐぬぬ……!」

にこ「ん~?どうちたのかな~?」


真姫「それはそれ!これはこれよ!独り占めなんてズルいわよ!」

425: 2017/01/17(火) 06:22:12.72 ID:xxkJWCby.net
にこ「あははは!!素直にそう言えばいいのに、カッコつけてんじゃないわよ!」

にこ「とりあえず宿に戻って作戦会議よ…」

真姫「分かったわ!必ず見つけだして賞金を…」


にこ「いや…胡椒の話なんだけど…」


真姫「あっ……はい……。」

ーー

426: 2017/01/17(火) 06:35:01.82 ID:xxkJWCby.net
にこ「戻ったわー」

善子「ああ、おかえりなさい」

真姫「にこちゃん…部屋に!」

にこ「はいはい…何やる気だしてんのよ…ったく」

宿に戻るとすぐに2人は部屋へと上がって行きました、それをずっと影から眺める者が1人…

善子「行ったみたいよ…」


「うん…。」


善子「今の内にお風呂行っちゃいなさい」


「…ありがとぅ…善子ちゃん…♡」

445: 2017/01/20(金) 00:02:31.08 ID:SrfDnCi1.net
次の日から2人はすぐに各地の街を周り花丸印の胡椒を取り扱ってもらえる商人を探しにいきました

真姫「不思議ね、大きな商店はちゃんと話も聞いてくれるのに」

にこ「物も悪くないし、実際に王室直々の認定証ももってるからね」

真姫「この調子なら後3日も回れば全部捌ききれそうね」

にこ「ええ、まぁ来た分くらいの利益は出そうだし何とか赤は免れたわね…いやぁ、危なかった」

446: 2017/01/20(金) 00:03:32.02 ID:SrfDnCi1.net
ここにきてクスクスと真姫は笑いました、商売ではいつも頼りにしていたにこが焦る姿が、とても可愛いかったみたいです


にこ「何笑ってんのよ、こっちは氏活問題だってーの」

真姫「ふふ、だってにこちゃんでも読み間違える時ってあるんだなって」


にこ「あるにきまってるでしょ、普段は上手い事理由つけて誤魔化してたけどね…!」


真姫(こんな話もしてくれるなんて、少しは私の事も認めてくれたのかな)

にこ「とりあえず今日はもう引き上げましょ、こんな時こそこっちの国の名物を食べてーー」

447: 2017/01/20(金) 00:04:30.05 ID:SrfDnCi1.net
真姫「黒の国は何が有名なの?」


にこ「……わかんない。酒とか…?」

真姫「いいわよ、たまには私も付き合うわ」


そして4日が過ぎようとしていました

にこ「うぃぃぃ…ひっく…//」


真姫「……にこちゃん…」


にこ「何……//」

真姫「あれから毎日飲んでるじゃない…まぁ全部捌けたから良かったけど」

448: 2017/01/20(金) 00:05:33.41 ID:SrfDnCi1.net
にこ「たまにはいーでしょ!あんたはミルクで満足だろうけどさ」

真姫「好きな割に酔うの早いのね…」

にこ「安上がりで良いでしょ……あははは//」


真姫(はぁ……)

それから真姫はにこを抱え宿へと帰ります、途中に何度もにこの背中をさすり、帰りついたのはだいぶ遅い時間でした


真姫「ただいま……って善子もいないか」

449: 2017/01/20(金) 00:06:18.66 ID:SrfDnCi1.net
にこ「う"う"……」


真姫「ほら、もう少しだから頑張って」


にこ「む……り……」

真姫「ちょ!嘘でしょ!にこちゃん!?」


真姫「にこちゃあ あ ん !?」

ーー

450: 2017/01/20(金) 00:07:13.13 ID:SrfDnCi1.net
にこ「……zz」スーッ


真姫「はぁ、疲れた……」

真姫(早くお風呂入って寝よ……)

1人で浴場に向かう真姫、ですが…こんな時間の筈なのに、脱衣所には衣服が脱ぎ捨ててありました


真姫(誰かしら…てゆーかいくらこの時間でも服くらい畳みなさいよ…)


真姫「よいしょ……っと、いや何で私が畳んでるのよ」


真姫(早く入ろ……)

451: 2017/01/20(金) 00:08:44.78 ID:SrfDnCi1.net
「~~♪」

真姫(何か歌が聞こえる…ちょっとだけ近づいてみよう)

「だから静かにしなさいってば」

「だって…誰もいないょ……」


真姫「え……。」

真姫は思わず固まります、そこには店主の善子と赤い髪の少女が湯船に浸かり2人仲良く抱き合って話しているところだったのです

善子「あ……」

ルビィ「………」


真姫「あの……その……」


ルビィ「………ぴ…///」


真姫「ぴ……?」


ルビィ「ぴ ぎ ゃ あ あ あ !!!」

ーー

463: 2017/01/20(金) 23:01:24.89 ID:SL0WIBON.net
今は店の奥にある善子の寝室です、薄暗い蝋燭の灯の中、3人はただ黙ったまま、もう数分が経ちます


真姫「あの……すいません……。」

真姫(いや…でもよく考えたら私、何も悪くないじゃない)


善子「………」

ルビィ「………//」


真姫「何か言いなさいよ…。気マズいのはお互い様でしょ!」

464: 2017/01/20(金) 23:02:16.09 ID:SL0WIBON.net
善子「見ての通りよ…」


ルビィ「善子ちゃん…。」


善子「私が最初に一目惚れしたの…」

善子「たまたま城へ用事で行った時に、この子は…ルビィが城を抜け出しして外へ出ようとしてたから…」


真姫(城?何言ってるの…?)


善子の言葉に首を傾げました、真姫はまだよくわかっていません。

465: 2017/01/20(金) 23:03:03.53 ID:SL0WIBON.net
善子「最初はルビィが誰なのか分からなかったから軽い気持ちで外へ出る手助けをしたわ…」

善子「でも…」

ルビィ「お姉ちゃんが…慌てて街中を探し回って、その時は、スグ私だけ見つかっちゃって…。」


真姫(お姉ちゃん?……なんか聞いた事ある話ね)


善子「それから…もう会えないと分かってたけど、ひょっとしたらとか期待しちゃって…城へ、また用事を無理に見つけて行ったの」


ルビィ「そしたらまた会ったんだ…。」


善子「その時に初めて気づいたの…ルビィがお姫様で、そして私はこの子に恋してしまったんだって…」

466: 2017/01/20(金) 23:03:55.64 ID:SL0WIBON.net
真姫「お姫様……?お姫様………?」


真姫「あっ! !」

ここでやっと…やっと気づきます、全てが頭の中で繋がり真姫も思わずうんうんと頷きました


ルビィ「それからね…2人で毎日のように、夜に城の秘密の抜け道を使って少しだけ会ってたんだ…本当に少しだけ…。」

ルビィ「それでね…ある日、ルビィが言ってみたの…」


ルビィ「もっと一緒に居たいって…。」

善子「私も馬鹿だから…でも、ルビィの事が…どうしても諦めきれなくって…」

善子「一緒に逃げようって…」


真姫「……!」

真姫「本当にバカじゃないの!!考えなしにも程があるわよ!現に見つかってるじゃない!私に!」

467: 2017/01/20(金) 23:04:47.91 ID:SL0WIBON.net
ルビィ「う…。」


真姫「で、どーすんのよ…。」


真姫は少しほっとしました、もしこの場ににこがいたら多分、問答無用で役人に突き出していたのだろうなと…

善子「船で外へ出ようにも…一旦港を出る際には貨物のチェックが入るし…」

善子「それに、私達の事を匿って助けてくれる味方なんて…もうこの国には…」


真姫「まぁ、それはそうでしょうね…金貨5000枚には誰だって勝てないわよ」

真姫(私も……。何とかこの2人を説得できないかしら…。)

真姫(上手くやればとんでもない大金が転がりこんでくる…。いや、最悪このまま突き出しちゃえば…!)

468: 2017/01/20(金) 23:05:33.70 ID:SL0WIBON.net
ルビィ「私はお金なんて、地位なんて要らないのに…何で誰も、お姉ちゃんも絶対に分かってくれないだろうし…。」

真姫「……」

真姫「あんた……何言ってんの…」

ルビィ「え…」

真姫「地位もお金もって…あんたが自分で手に入れたものじゃないくせに」


ルビィ「えっ…。だ、だって…。」


真姫「悪いけど私があんたの姉さんでも…いや、誰だって同じ事をするわよ、立場を考えなさい…。」

469: 2017/01/20(金) 23:06:26.39 ID:SL0WIBON.net
真姫(何でだろう…何でこんなに……)

まるで昔の自分を、あの国で見たお姫様を見ている様なもどかしさに、真姫はつい口調を荒げてしまいました

善子「分かってるわよ…。」

善子「でも、今更…易々とルビィを渡すなんて私はできない。」

真姫「はぁ、じゃどーすんのよ…。いつまでもここに居るわけ?」

善子「あなたこそどーする気?」


真姫「私!?え~と………」


真姫「…………」

真姫「相方に話してみる…だから少なくてもまだ言いふらしたりはしないから安心して」


善子「ありがとう…その言葉、信じるわよ」

真姫(下手すると泊まるとこもなくなっちゃうしね…)

470: 2017/01/20(金) 23:07:22.50 ID:SL0WIBON.net
次の日

真姫「にこちゃん、起きて」


にこ「いや……むり………」


真姫「それどころじゃないんだってば!ねぇ!」バサッ

にこ「こっちもそれどころじゃないくらい吐きそうなのよ!うぅ…。」


真姫「黒の姫……見つけたの」

にこ「ぬわんですってぇ!?」


これにはにこも飛び起きます、にこは慌てて真姫の元へ駆け寄りました

471: 2017/01/20(金) 23:07:57.60 ID:SL0WIBON.net
真姫「だから、見つけたのよ…いや、一緒に今も居るって言った方が正しいかしら」


にこ「ちょ!早く!早くぅ!!!」


真姫「待ってて……。」

ーー

472: 2017/01/20(金) 23:08:48.36 ID:SL0WIBON.net
善子「……」

ルビィ「……」


真姫「だそうです…。」

にこ「………。」

にこ「あんた達……本当によく考えてみなさい」


真姫(にこちゃん……?)

にこ「人生棒にふるどころか下手したら氏ぬわよ…まずお姫様の方」


ルビィ「ルビィ…ですか?」


にこ「あんた…自分が全てを捨ててまでこの阿呆に付いていく覚悟はあんの?一生よ…?」

473: 2017/01/20(金) 23:09:45.54 ID:SL0WIBON.net
ルビィ「あるもん…。だって善子ちゃんは私の為にここまでしてくれたんだよ…、大好きにきまってるよ…。」

真姫(あぁ…なんかイライラする子ね…。)

にこ「そう…。じゃ、次に善子…あんたよ」


善子「私…?」


にこ「あんたは姫様を今迄通りとまではいかなくても、せめてこいつの姉さんが安心できるくらいには幸せにしてやれるの?自信は?」


善子「何だってするわよ…自信は正直言って今は分からないけど…」


善子「でも、幸せにする!嘘じゃない」

474: 2017/01/20(金) 23:11:15.29 ID:SL0WIBON.net
真姫(はぁ……舞い上がってるわね…)

真姫「ね、にこちゃん…」


にこ「ええ…仕方ないわね、何とかするわよ」

真姫「そう、何とか………え??」


にこ「何とかするわよ…」


そう、真姫と同じ様に2人に自分の姿を重ねている者がもう1人いるのです
ですがにこは…この2人の境遇が他人事にはどうしても思えなかったのでした

490: 2017/01/23(月) 00:35:21.36 ID:30MvNCNs.net
真姫「でも、何とかってどーするわけ?!」

真姫(いや、そもそも…にこちゃんがこんな事言い出すなんて……)

にこ「う~ん……真姫、あんた何か良い案ない?」

真姫「私ぃ!?………やっぱり逃げるなら船じゃないの…。」

にこ「まぁ、1度出航してしまえば確実よね」


ルビィ「でも…!」


にこ「ええ……積荷のチェックがあるわ」

491: 2017/01/23(月) 00:36:32.03 ID:30MvNCNs.net
善子「例えばだけど…積荷の中に隠れるっていうのは?流石にそこまではチェックされないわよね」

ルビィ「あ!小麦粉は…!?」

善子「それ良いわね、あれが大量に荷台に積んであれば精精最初の1つ2つくらいしかーー」

真姫「却下よ…。」

にこ「そうね…。」


ルビィ「ええ……だめなのぉ?」

492: 2017/01/23(月) 00:37:29.05 ID:30MvNCNs.net
にこ「まず……怪し過ぎるわ!仮に姫様が居なかったとしても大量の小麦なんて積んでる奴は」

真姫「余計厳しいチェックが待ってるわ」

善子「それもそうね……」

にこ「はぁ…何かないわけ!?…ん~。」

真姫「積荷さえパスできれば………あっ!」


にこ「何!?」

真姫「そうよ!先に積荷のチェックをパスした後にこっそり積荷に忍び込むっていうのは!?」

493: 2017/01/23(月) 00:38:12.50 ID:30MvNCNs.net
にこ「はあ??…それこそ一体どーすんのよ!」

真姫「それは……少しはにこちゃんも考えてよ!」

にこ「考えてるわよ!私は商売専門だからこんな事詳しくないのよ!」

真姫「それじゃまるで私が詳しいみたいじゃない!」


善子「っ……!」

善子「それだわ…。」


真姫「はい……?!」

494: 2017/01/23(月) 00:39:06.52 ID:30MvNCNs.net
善子「積荷をチェックする際に2人で喧嘩して騒ぎを起こすっていうのは?」

ルビィ「その隙に忍び込むんだねっ!うんうん!」

にこ「いやいや……何よそれ、じゃあ港でこいつと突然喧嘩始めろってわけ?」

善子「得意でしょ、既に言い合いになってたし」


真姫「まぁ、言われたらそーだけど……えぇ…本当に??」


にこ「…………ありかもしれないわ。」

真姫「にこちゃんまで!?」

495: 2017/01/23(月) 00:40:08.26 ID:30MvNCNs.net
にこ「積荷のチェックなんて多くても3人ってとこでしょ、3人くらいの目を盗むくらいなら…」

真姫「だ、だけど……」

にこ「いけるはずよ……ただ私達は喧嘩をすれば
良いだけ」


真姫「そう言われたら簡単そうな気もするけどさ…」


善子「よぉーし!決まりね!うちの荷馬車もそのまま搬入してしまうと!うん…完璧だわ!」

ルビィ「2人共……本当にありがとぅ!」

496: 2017/01/23(月) 00:41:13.60 ID:30MvNCNs.net
にこ「礼はあんた達が船に乗ってからよ…。もう何日かで曜もこっちにつくし」


真姫「………やるしかないわけね。」

こうして、長い話し合いの末黒のお姫様と宿屋の店主の逃亡計画が決まったのでした

そしていまはその当日、曜の待つ港まで荷馬車で向かう所です


にこ「生きた心地がしないとは正にこの事ね…」


真姫「大丈夫かしら…にこちゃん」


にこ「そん時はそん時よ…」

497: 2017/01/23(月) 00:42:20.37 ID:30MvNCNs.net
にこ「もう付くわよ、後ろの2人…適当な路地で下ろすから様子見ながら近づいて来なさい」

よしるび「……了解。」

そして最大の難関、黒の国の検問へと到着した2人でした


果南「そこの2人…止まって」

にこ「はい?私達の事?」

果南「そうよ、少し事情があって積荷を改めさせてもらってるの、協力を」


真姫「はぁ…どうぞ」

508: 2017/01/25(水) 02:10:49.88 ID:kMpREZxj.net
果南「貴方達は旅の商人か何かかな?」


にこ「そうそう……で、船も待たせてるから早いとこ済ませちゃって」


果南「勿論時間はとらせないよ……では」

そう言うと役人は積荷を改めはじめました、幸い検問は1人1人が別々に複数の荷を担当していました、2人ははその様子を何食わぬ顔で眺めていました

果南「大丈夫みたい……手間を取らせて悪かったね」


にこ「行っていいの?」


果南「はい、どうぞ」

509: 2017/01/25(水) 02:11:55.16 ID:kMpREZxj.net
真姫(にこちゃん…!)


にこ(いくわよ…。)


馬車が役人を通り過ぎて少し進んだ頃に突然罵声が飛びます、役人は何事かと振り返りました


真姫「ふざけないでよ!!」


にこ「ちょっと!待ちなさいよ……ここでいきなり!?」

真姫「はあ!?ここでも何もないじゃない!」

果南「え……何!?」

510: 2017/01/25(水) 02:12:50.36 ID:kMpREZxj.net
真姫「もう終わりよ!!今すぐ降りなさいよ!」

にこ「無理に決まってんでしょ!」


果南「いや………え………大丈夫ですか?」

真姫「もういいわ!だったら私が降りるわよ!」


そう言うと真姫は馬車を降り役人の元へ駆け寄りました

果南「はい……?!」

真姫「はいじゃないわよ!!元はと言えばあんたのせいで」


果南「はい!??」

511: 2017/01/25(水) 02:13:29.34 ID:kMpREZxj.net
にこ「そいつは関係ないでしょうが!!」


ついににこも馬車から降り役人の元へ駆け寄ります、そこからは役人を間に挟んで罵りあいが始まりました


果南「え……え……あの、落ち着いて…」

真姫「誰のせいだと思ってんのよ!」


果南「私?!」

にこ「だからぁ!!」

512: 2017/01/25(水) 02:18:05.53 ID:kMpREZxj.net
にこはちらりと通りを確認しました、そこには物陰からちらりとこちらを覗く2人の姿が見えました


ルビィ「あれ……」


善子「どうしたの?」


ルビィ「果南ちゃんだ……。」

善子「はい?ルビィの知り合い?!」


ルビィ「ずっとルビィのお世話をしてくれた使用人の果南ちゃん…。」

あの役人は城で王と姫君が小さな頃からずっと仕えてきた使用人なのでした

513: 2017/01/25(水) 02:19:14.61 ID:kMpREZxj.net
ルビィ「でも何でこんなところに……。」

善子「さあね…。でも流石はルビィの世話係ね、あんたがどう出るかもよくわかってるじゃない」

ルビィ「うう……」


善子「迷ってる場合じゃないわ、今のうちに行くわよ…」


ルビィ「うん…。」

そう、果南もルビィの事が心配でいてもたってもいられず、黒の王に打診し城を出て日々ルビィを探し回っていたのでした

514: 2017/01/25(水) 02:20:01.81 ID:kMpREZxj.net
果南「ええっと……あの……聞きますから…ね?」

真姫「だいたい何様なのよあんた!」

果南(何なのこれ……とんでもない連中にあたってしまった…。)

にこ「そのくらいにしときなさいよ!」

果南を十分に引き付け完全に注意は2人に向いていました、そしてその脇から馬車の荷台に忍び込む2人をにこは確認し、合図を送ります


にこ「もう、いいわ!とにかく一旦船に乗るわよ!」


真姫「………わかった。」

515: 2017/01/25(水) 02:21:39.74 ID:kMpREZxj.net
果南「もういいんですよね!?では私はこれで…」


曜「おーい!お待たせぇ!」

にこ「居た…おっし!行くわよ!」


真姫「うん!」


馬車ごと船に運びこみ全てが予定通りでした、真姫もにこもここでやっと笑顔が出ます

真姫「勝ったわね…!」


にこ「案外チョロいじゃない、ビビって損したわ…」

516: 2017/01/25(水) 02:22:19.39 ID:kMpREZxj.net
と、その時でした…。


曜「ん?荷台に誰か隠れてる……」

にこまき「………!?」

曜「おいっ!!何やってんだお前達っ!!」


果南「………!!?」


そして冒頭へと続きます

517: 2017/01/25(水) 02:24:43.30 ID:kMpREZxj.net
曜「私……どうなるのかな…」

にこ「普通に考えて氏刑でしょ…」

真姫「とりあえず最初に氏ぬのは曜…あんたからね」

曜「この悪魔っ!!絶対にもう船には乗せてあげないからねっ!」


果南「お前達…何を騒いでる…!」


にこ「何でもないでーす……」

518: 2017/01/25(水) 02:25:23.39 ID:kMpREZxj.net
真姫「ていうか、善子とルビィは?」


果南「お前達には関係ない……!」


にこ「まぁ、姫は今頃 王に詰められて、善子は即拷問か氏刑ってとこじゃないの…」


真姫(いよいよまずいわね…)


ーー

519: 2017/01/25(水) 02:26:08.87 ID:kMpREZxj.net
そしてここは王の間です、黒の王は妹の姫君を呼び2人は話をしています

ルビィ「………」


ダイヤ「ルビィ……。貴方は自分が何をしたのか分かっていますか?」


ルビィ「………」


ダイヤ「ここは黒の国、そしてあなたはその姫なんです……私達がこの国を、いや世界を牽引していかなくてはならないのですよ」


ルビィ「………」

520: 2017/01/25(水) 02:26:57.37 ID:kMpREZxj.net
ダイヤ「はぁ……。ルビィ、あなたは自覚がまるで足りない様ですね…ならまずあの者に罰を与えなければいけません」


ルビィ「善子ちゃん……?!」

ダイヤ「ええ、あなたは事の重大さが分かっていない様ですので…」

ルビィ「善子ちゃんはどこ?!お姉ちゃん…!」


ダイヤ「どうやら完全に良い様にそそのかされてしまっているみたいですね…なら尚更です」


ルビィ「お姉ちゃん!悪いのは私だって同じだよ!何で善子ちゃんだけ!?」

521: 2017/01/25(水) 02:27:41.73 ID:kMpREZxj.net
ダイヤ「………同じではありません。」


ルビィ「………えっ……」


ダイヤ「貴方はこの国の姫……そして相手はただの街の店主……」


ダイヤ「違うんですよ…何もかもが…。」


黒の王の言う事にルビィは何も言い返す事ができませんでした、小さな頃から我が子の様に王に可愛いがられて育ってきたルビィには分かっていたからです
王は何時も、何より自分の事を一番に思って言ってくれているのだと


ーー

522: 2017/01/25(水) 02:28:54.70 ID:kMpREZxj.net
曜「ちょっと!私は関係ないでしょ!出してよぉ~!」


にこ「往生際が悪いわよ…」


曜「はぁあ!?何で私まで共犯扱いなんだよっ!酷いよっ!」


曜「出してよぉ!!ねえ!私は無実だぁ!!」

果南「うるさい…!いい加減にしろ…」


曜「うう……なんて日なんだよぉ…。」

523: 2017/01/25(水) 02:29:53.80 ID:kMpREZxj.net
真姫「………仕方ないわね」

曜「ん……?」

にこ「真姫……?」


真姫はそういうと胸元に手を入れ、首にかけてある飾りを取り出し果南を呼びます


真姫「私は………園の国の姫よ!」


果南「はい……?!」

524: 2017/01/25(水) 02:30:46.14 ID:kMpREZxj.net
真姫「これ……王室の紋章。鑑定でも何でもしていいから」

果南「デタラメを……」


真姫「いいの……?」


果南「え…」


真姫「あんたの判断でそんな事決めちゃって…もしこれが本物なら……流石にどうなるかわかるわよね?」


真姫の言葉に果南は顔色を変えました
そうです、いくら罪人といえど他国の姫君を罪に問い勝手に処罰するなど、使用人には手に負える問題ではないのです

531: 2017/01/26(木) 02:58:54.76 ID:PI6GvQ4s.net
果南「………わかった、少し時間をもらうよ」

真姫「待ちなさい…!」

果南「………?」


にこ「この際なんだし黒の王に会わせてもらえない?」


果南「はい……!?」

真姫「にこちゃん?!」

曜「いきなり過ぎだよっ!」


にこ「だらだらやって善子に何かあってからじゃ遅いのよ…!」

532: 2017/01/26(木) 02:59:38.89 ID:PI6GvQ4s.net
にこ「それに、こっちだって黒の姫様に頼まれて動いたのよ…なら姉に、黒の王に話をつけるのは当然でしょ…。」

果南「はっ………苦しい理屈だね」


真姫「……でも筋は通ってるわ」


果南「………………。」


果南「無理だとは思うけど、話だけは伝えてみる」


そういって果南は王の元へと向かいました

533: 2017/01/26(木) 03:00:37.39 ID:PI6GvQ4s.net
曜「た、助かった…!はぁぁぁ……」


真姫「妙に聞き分け良かったわねあいつ」


にこ「さぁ、あんたのそれ見て少しはビビったんじゃないの?」

曜「いやいや……そういう便利なモノがあるんなら最初から言ってよ真姫ちゃん…!」


真姫「あんまり使いたくないんだけど、パパからいざって時にってね…」

にこ「流石は王様ね、よくわかってんじゃないの」


真姫「うん…でも、こっちの王は……」

にこ「どんな人なのかしらね…」

ーー

534: 2017/01/26(木) 03:01:38.60 ID:PI6GvQ4s.net
それから果南は黒の王に事情を説明したところです

ダイヤ「……本当なのですか、ルビィ?」

ルビィ「真姫ちゃんがお姫様とは知らなかったけど、お願いしたのは本当だよ!」


果南「まぁ、無理にあちらに合わせる義理もないかと……」


ダイヤ「まぁ、そうですわね…。園の国ですか…」


ルビィ「お姉ちゃん…!少しだけでもいいから!」

535: 2017/01/26(木) 03:03:03.26 ID:PI6GvQ4s.net
ダイヤ「…………」


ダイヤ「一応何かあった時の為に、私があちらの要求に応え話を聞きにいった…という事実は作っておいた方がいいですわね…。」

果南「ダイヤ様……?!」


ルビィ「お姉ちゃん…!」


ダイヤ「果南さん、案内を……。」

536: 2017/01/26(木) 03:03:57.56 ID:PI6GvQ4s.net
そして真姫達は黒の王と対面する事になります、世界一の大国の王とはどんな人物なのか…と真姫も緊張が走ります


ダイヤ「私は黒の国の王……ダイヤです。」

真姫「真姫よ……信じてくれてひとまず感謝するわ」


にこ(こいつが……妹とはえらい違いね…)


現れた黒の王はとても丁寧な言葉遣いで話はじめます、しかしこちらを見るその目はとても力強く正に大国の王という威厳に満ちていました

537: 2017/01/26(木) 03:04:52.99 ID:PI6GvQ4s.net
ダイヤ「貴方が園の国と姫君と名乗る者ですか…」

真姫「そうよ…今は城を出て商人としてこの2人と一緒に暮らしてる」

ダイヤ「そうですか…まぁ、貴方が本物でも偽物でも……いや、本物だったとして」

ダイヤ「私の考えはお分かりになりますよね?なら…何故ルビィに加勢をしたのでしょうか?」


真姫「それは……」

にこ「簡単な事よ…。本人達が決めたんならそれを優先させるのが普通でしょ」


ダイヤ「はい……?あなたは何をおっしゃっているのでしょうか…」

538: 2017/01/26(木) 03:05:46.09 ID:PI6GvQ4s.net
にこ「そのままよ……王族の立場を、国の事を大切に思うのも当然だし、それが当たり前だと思う…」

果南「なら……!」

にこ「でもね…それよりも大切なのは本人達の気持ちじゃないの?」


ダイヤ「ふん………子供の我儘と変わらぬ理屈ですね。」


にこ「大体さ、王様……あんたの嫁だって好き勝手に旅してたじゃないの、何で妹にはそんなに厳しいわけ?」

ダイヤ「………!?」

これには黒の王も驚きを隠せません、にこに近寄り聞き返します

539: 2017/01/26(木) 03:07:10.37 ID:PI6GvQ4s.net
ダイヤ「あ、あなた……?!エリーチカ姫に会った事があるのですか?!」

にこ「会ったも何も………」

真姫「前に南の国にエリーが来てて、で……色々あって一緒に催しに出る事になったのよ」

にこ「で、ちょっとだけあんたの話になったのよ…忙しい人だって心配してたわ」


ダイヤ「……まさか、そんな事が……」


曜「いや本当に、いつの間にそんな事があったんだよっ!?」


にこ「とにかく、そこはどうなのよ?これで妹はダメな理由もない筈よね…?」

540: 2017/01/26(木) 03:08:20.76 ID:PI6GvQ4s.net
ダイヤ「………それとは!」


真姫(ん………?)

ダイヤ「それとは……訳が違うのです!」


にこ「はあ?!どう違うってのよ!?」


ダイヤ「妹は……ルビィは何処の誰かも分からぬ者と一緒になろうとしているそうではないですか」

果南「ダイヤ様……」


ダイヤ「そんな事は尚更許される理由がありません!」

にこ「そっちこそ滅茶苦茶な事いってるわよ」

541: 2017/01/26(木) 03:09:33.64 ID:PI6GvQ4s.net
ダイヤ「っ………。」


ダイヤ「果南さん……戻りますわよ」

にこ「待ちなさいよ……!」


ダイヤ「…………………。」


にこ「あんたも姉なら少しは妹の事を信じてやってもいいんじゃないの」

果南「………ダイヤ様」


ダイヤ「………行きますわよ。」


そう言って2人は行ってしまいました、にこは聞く耳を貸そうとしない黒の王に苛立ちます、ただ…
真姫は少し考えていました


真姫(ひょっとして……)

542: 2017/01/26(木) 03:10:24.84 ID:PI6GvQ4s.net
ーー

ダイヤ「果南さんは……」

果南「はい?」


ダイヤ「今は使用人としてではなく昔からの友人として答えて欲しいのです…。」

果南「………。」


ダイヤ「果南さんはどう思いますか…」


果南「ダイヤの気持ちも、ルビィの気持ちも良く分かるよ…てゆーか、昔から2人共ちっとも変わらないね…。」

ダイヤ「果南さん…」

543: 2017/01/26(木) 03:11:33.27 ID:PI6GvQ4s.net
果南「素直に伝えてみたらどうかな?貴方が居ないと辛いって……お姉ちゃんの傍から離れて欲しくないってさ」


ダイヤ「ふふ………本当に果南さんは何でもお見通しなんですね」


果南「まぁ、どっちかと言うとダイヤの方がわかりやすい性格だからね…!」


ダイヤ「ありがとうございます…私も、自分なりにルビィに話をしてみようと決めました…」


果南(変わらないね……昔から……)


ーー

544: 2017/01/26(木) 03:12:58.65 ID:PI6GvQ4s.net
ーー

にこ「さっきからどうしたのよ真姫」


真姫「いや……ちょっとだけ私も分かった気がする」


曜「はい!?あの王様の事?ずっとムスってしてたじゃん」

真姫「ううん……妹の、最後にルビィの話をしている時はちょっとだけ本音が見えたというか…」


にこ「何それ……?」


真姫「案外さ……黒の王も寂しいんじゃないのかなって……。」

545: 2017/01/26(木) 03:13:53.49 ID:PI6GvQ4s.net
にこ「あの堅物が!?」


真姫「うん……エリーもどこかに行って、その上妹まで離れちゃうのが耐えられなかったのかなって」


にこ「……………」


そう、世界一の大国の王も実はただの人間だったのです。

王は小さな頃からずっと将来を期待され大人達に囲まれて育ってきました、真姫や絵里の様に我儘に生きる事が出来ない不器用な王、それは、厳格な父を見て育った真姫には伝わったのでした

546: 2017/01/26(木) 03:18:24.06 ID:PI6GvQ4s.net
そして黒の王はルビィの元へとまた向かいました、それは…お別れを告げにです。


ルビィ「あのね…お姉ちゃん……。」

ダイヤ「話はあの者達から伺いました……。」

ルビィ「うん………」


ダイヤ「ルビィ……。あなたはもう黒の姫でも何でもありません。」

ルビィ「へっ………??」


ダイヤ「そのままの意味です、国の事を蔑ろにし、恋だ愛だと自分の立場を忘れ無責任な行いの限りを尽くす……。」


ダイヤ「そんな人間にこの国の未来を任せる訳にはいきません」

547: 2017/01/26(木) 03:21:26.45 ID:PI6GvQ4s.net
ルビィ「お姉ちゃ……?」


ダイヤ「もはや貴方とは姉妹でも何でもありません!」

ダイヤ「あの者と連れて今すぐにでもこの国を出ていきなさい!」


ルビィ「…………………。」


果南(本当に………………不器用なんだから)


それからルビィは無言で支度をはじめ、地下に監禁されていた善子を連れ、城を出て行きました

548: 2017/01/26(木) 03:22:53.12 ID:PI6GvQ4s.net
ダイヤ「これでもうルビィと会う事も、この国に関わる事もないですわね…。」


果南「そうですね…。」


ダイヤ「さてと………仕事に戻りますわよ」


果南「はい、ダイヤ様…」

黒の王はいつもの様に凛とした姿でまた公務に戻りました
そしてそれに果南は優しく付き添います


果南(でもね…ダイヤ…………)


果南(伝わってるよ………ルビィには十分に……)


ーー

549: 2017/01/26(木) 03:30:14.25 ID:PI6GvQ4s.net
あれから数日がたちました
今は港ににこと真姫は居ます、ルビィ達を見送る為に船が着くのを待っている所です

曜「いやぁ!生きてるって素晴らしい事だね!」


真姫「あんたは発言が馬鹿っぽいのよ」

曜「いいんだよっ!馬鹿でも何でも助かったんだからさぁ♪」

にこ「……てゆーかあんた達も一緒に乗ってけばいいのに」


善子「大丈夫よ、ここからは自分達で何とかするわ」

ルビィ「それにお見送りまでしてくれてありがとう…♡」

550: 2017/01/26(木) 03:31:00.84 ID:PI6GvQ4s.net
曜「まぁ、私達も帰るんだけどねー!」

善子「色々お世話になったわね…何と言っていいか…」

にこ「お礼ならいつでも待ってるわ、お金でも品物でも」

真姫「にこちゃんたら…はしたないわよ!」

善子「分かってるわ、期待してて!」


ルビィ「あ………来たよ!あの船だよね…!」


善子「じゃあ、またいつか」


にこ「元気でね…善子!ちゃんと幸せにしてやんなさいよ!」

551: 2017/01/26(木) 03:32:12.59 ID:PI6GvQ4s.net
ルビィは善子の手を引き船へと向かいます、それを見ていた曜がにやにやと…

曜「あれ……なんかいいよね!最初の頃のにこちゃんと真姫ちゃんもあんな感じだったのかな?」

にこ「知らないわよ……てゆーか曜、あんたって最初は何処にいたんだっけ」

真姫「港でしょ…当たり前じゃない」

曜「酒場だってば!いきなり寄ってきたにこちゃんがーー」

にこ「あ~、そうだっけ……それにしてもあの2人、よく認めてもらえたわね」


曜「そうだよねぇ……あの流れは無理かと諦めてたもん」


真姫「まぁ、黒の王も中々話のわかる人間だったって訳よね…」


こうして、黒の国での物語は幕を閉じます

552: 2017/01/26(木) 03:33:30.04 ID:PI6GvQ4s.net
今は他の国へ向かう船の上です、2人はいつもの様に海を眺めながら話をしていました


にこ「いつもとんでもない目に合ってきたけど、この前は特に危なかったわね…。」


真姫「本当にね…それにしてもあの2人ってどうしてるのかしら…」


にこ「何…?気になるわけ…?」

553: 2017/01/26(木) 03:34:20.50 ID:PI6GvQ4s.net
真姫「だってどっちも頼りなさそうじゃない…!」


にこ「はっ…あんたも随分まるくなったじゃない、人の心配なんてしちゃって」

真姫「もぉ!すぐに茶化すんだから…!」


にこ「きっと大丈夫よ…2人もいればなるようになるわ」

真姫とにこは振り返ります、最初に城を出た日の事を、あれからの旅の事を…


真姫「確かに………そうかもね」

554: 2017/01/26(木) 03:35:03.88 ID:PI6GvQ4s.net
にこ「………」


にこ「ねぇ……真姫…………。」


真姫「どうしたの……」


にこ「もしさ……あんたがあのお姫様だったらどーしてた?」


真姫「ルビィの事……?」


にこ「国や地位を守るのか、それとも全部捨てて好きな奴に付いてったのか…」


にこ「真姫なら………結局どっちを選ぶのかなって…」

555: 2017/01/26(木) 03:39:30.11 ID:PI6GvQ4s.net
……………………………………。


真姫「………そうね………。」


真姫「どっちもかな……」

にこ「え…………?」


真姫「どっちもよ、国も地位も金貨も……それに好きな人だってね…!」

真姫「私なら全部を手に入れるわ……」


真姫「そうでしょ……………?」


それは………聞くまでもない事でした


にこ「そうだった……あんたはそういう奴だったわね」

にこ「わがまま姫は全てを手に入れる………か…」


真姫「次の国でも頼りにしてるわよ…にこちゃん」



わがまま姫と金貨

556: 2017/01/26(木) 03:40:15.94 ID:PI6GvQ4s.net
以上です、長々とご清聴ありがとうございました!

557: 2017/01/26(木) 03:45:29.54 ID:h1NiIx5r.net
乙です~。長い事楽しませて頂きましたっ!
好きなSSでございました

558: 2017/01/26(木) 03:54:49.12 ID:sNxv8mv+.net
すごく面白い話でした。乙

560: 2017/01/26(木) 05:01:49.79 ID:ZJkAFBik.net

561: 2017/01/26(木) 05:05:04.37 ID:nDMxCexB.net
おもしろかった

引用元: 【SS】わがまま姫と金貨