1: 2017/01/01(日) 21:23:00.87 ID:y7w+txwO.net
善子「ねえ、ずら丸」

花丸(幼稚園以来、全く会うことがなかった善子ちゃん)

花丸(その善子ちゃんと、この高校で再会した)

花丸(最初はなんとも思ってなかったけど……)

花丸(マルは徐々に、善子ちゃんに惹かれていった……)

善子「ちょっと! ずら丸! 聞いてんの!?」

花丸「ああ、ごめん、善子ちゃん! 何だっけ?」

2: 2017/01/01(日) 21:23:55.37 ID:y7w+txwO.net
花丸(「ずら丸」というのは、高校生になった善子ちゃんから貰ったあだ名)

花丸(最初は戸惑ったけど、善子ちゃんにあだ名を付けて貰ったという事がすごく嬉しかった)

善子「まったく! えっとさぁ、ギルキスの集会の時のリリーとマリーがね……!」

花丸(善子ちゃんは、同じ3人組ユニットメンバーの梨子さんと鞠莉さんにもあだ名を付けてるけど……)

善子「でね、マリーがやらかして……! もう信じらんない!」

花丸(それに、善子ちゃんは梨子さんや鞠莉さんととっても仲がいいみたい)

善子「……リリー、冷静にツッコミながらも、めっちゃ怒ってわねアレ……」

花丸(でも、同じユニットのメンバー同士、仲がいいことはとてもいいことだよね)

3: 2017/01/01(日) 21:34:14.63 ID:y7w+txwO.net
~夜、国木田家~

花丸「オラも、もっと善子ちゃんと仲良くなりたい……」

花丸「手紙でも書いてみようかな……」ガサッ

花丸「ラブレターと言うよりも、もっと曖昧な感じにして……」カキカキ

花丸「あくまで何かのキッカケになったらいいなくらいの感じで」カキカキ

花丸「差出人も、不確定な感じにして……」カキカキ

花丸「差出人の名前……善子ちゃんの感性に合うかな、これ……」ピラッ

花丸「まあ、思いっきり短くて曖昧な表現だけど、とりあえずこれだけ伝えられればいいや」

花丸「これで善子ちゃんに何の変化が見られなくても、別に構わないずら」

花丸「この内容じゃ全く期待できないし、行動を開始したという事実に意味があるずら」

花丸「あくまでマルが、善子ちゃんに対しての行動を初めて実践してみた、ということで」

4: 2017/01/01(日) 21:36:06.45 ID:y7w+txwO.net
~翌日、昼休み~

花丸「図書委員の仕事の前に、善子ちゃんの靴箱に……」キョロキョロ

花丸「誰もいない今がチャンス!」ガチャッ サッ

花丸「よし、図書室へ行こうっと」タッタッタッタッ


ルビィ「…………」コソッ

ルビィ「へえ……」

ルビィ(花丸ちゃんの挙動が怪しかったから、後を付けてみたら……)

ルビィ(やっぱりね。ルビィはその想い、とっくに気付いてたよ)

ルビィ(ついに行動を開始する気になったんだねっ!)

ルビィ(これは、どうなるか楽しみだなぁ……♡)

6: 2017/01/01(日) 21:46:10.13 ID:y7w+txwO.net
~放課後の練習後、玄関~

善子「さて、帰ろっと……」パカッ

善子「……? 何、これ……」ピラッ

善子「!? まさかラブ……!?」

花丸「よ、善子ちゃん、どうしたの?」

ルビィ「靴、履き替えないの?」

善子「え……えっと……」サッ

善子(ど、どうしよう……)

7: 2017/01/01(日) 21:47:01.65 ID:y7w+txwO.net
善子(本当なら家に帰ってからじっくり読みたい……でも)

善子(この放課後の間に、誰かが私を待ってるかもしれないし……)

善子(だとしたら、今すぐ内容を確認しなきゃ……)

善子「ごめん、ずら丸、ルビィ。先帰ってて」

善子「私、用事あるの思い出したから」

花丸「う、うん分かった」

ルビィ「分かった! じゃあね、善子ちゃん!」

花丸「じゃあね、善子ちゃん……」

善子「じゃ、じゃあね……」

9: 2017/01/01(日) 21:53:33.33 ID:y7w+txwO.net
善子(さて……では読みますか……)

善子「い、いたずらとか、私への悪口だったらどうしよう……」ドキドキ

善子(えーい、まずは読まないことには……!)ピラッ

善子「なになに……」


『あなたのことを考えると、気持ちがとても高揚します』

『あなたといると、心が温かくなります。胸が熱くなります』

『ただこれだけを伝えたくて、この手紙を書きました』

『~あなたから、大切なあだ名を授かりし者より~』


善子「…………」

10: 2017/01/01(日) 21:54:25.22 ID:y7w+txwO.net
善子「一応、嬉しいことを書いてくれてるわね……高揚、温かく、熱く……か」

善子「ラブレターと言うより、照れ屋さんのファンレターだったりして……」

善子「だって、ラブレターならきっと、もっとドストレートに想いを書き記すはずだもの」

善子「ま、まあ、私の悪口とかじゃなくて良かったわ……」

善子「きっと、私のリトルデーモン志望の子に違いないわっ!」

善子(……この差出人の名前……)

善子「私から、大切な……あだ名……を……授かりし者……」

善子「あだ名……二つ名……」

11: 2017/01/01(日) 22:00:54.59 ID:y7w+txwO.net
善子(この学校において、私が二つ名を与えた人間は2人……いえ、3人、か……)

善子(ということはリリーかマリー……)

善子(ま、あいつはないでしょ……どうせ……)

善子「とにかく! フフフ……ついに、ついに!」

善子「私のリトルデーモンになりたい者が現れたのね……!」


~翌日の昼休み~

善子(さっそく、2年生の教室に来てしまった……)

善子「す、すみませーん」

千歌「あ! 善子ちゃん!」

善子「千歌さん……リ、リリーはいますか……?」

12: 2017/01/01(日) 22:02:03.45 ID:y7w+txwO.net
千歌「梨子ちゃん! お~い、梨子ちゃ~ん! 善子ちゃんが呼んでるよー!!」

梨子「はいはい」タタッ

梨子「どうしたの? 善子ちゃん」

善子「リリー……、クククク……」

善子「ずばり! あなた、私のリトルデーモンになりたいと思ってるでしょ!」

梨子「はぁ?」ジトー

善子「え……」

14: 2017/01/01(日) 22:08:03.09 ID:y7w+txwO.net
梨子「はあ……もう、善子ちゃん、冗談はよしてよ」

梨子「リトルデーモンになる気はないって何回言ったら分かるのよ……」

善子「そ、そう……」

梨子「まさか、これを言うために、わざわざ……」ジトー

善子「も、もう用は済みました! 失礼しますっ!」ダッ


~~~~~~

善子「3年生教室……」

善子(リリーじゃなかったら、マリーでしょ!)

善子「し、失礼します。鞠莉さんいますか?」

15: 2017/01/01(日) 22:09:24.09 ID:y7w+txwO.net
鞠莉「オウ、善子! 私たちのクラスへようこそ♪」タタッ

善子「マリー、話があるんだけど……」

鞠莉「なになに? なんでも言って♡」

善子「マ、マリー! あなた、ついに……」

善子「ついに、私のリトルデーモンになる気になったでしょ!」

鞠莉「ホワイ? なぜ?」

善子「な、なぜって……」

16: 2017/01/01(日) 22:14:47.88 ID:y7w+txwO.net
鞠莉「うーん、誘ってくれるのは嬉しいんだけどね♡」

鞠莉「でもごめんね、善子! それはオコトワリでーす♪」

善子「ガーン……」

善子「わ、分かりました……失礼します……」


~~~~~~

善子「……はぁ……き、来てしまった……」

善子「図書室……」

善子(リリーもマリーも違った……)

善子(なら…………残る1人は……)

17: 2017/01/01(日) 22:15:36.25 ID:y7w+txwO.net
善子(ありえないと思うけど……でも……っ!)

善子(も、もしかしたら……! もしかしたらっ……!!)ガラッ

花丸「あ! 善子ちゃん」

善子「…………」キョロキョロ

善子「だ、誰もいないわね……」

花丸「そ、そうだね……」

善子(チャ、チャンス!)

18: 2017/01/01(日) 22:16:23.82 ID:y7w+txwO.net
善子「……ず! ずら丸!」

花丸「な、何?」

善子「あなた、ひょっとして……」

花丸「うん……」

善子「私の……」

善子「わっ、私の! リ……リトルデーモンに……」

善子「なって……くれる、とか……」

花丸「……え?」

19: 2017/01/01(日) 22:26:31.10 ID:y7w+txwO.net
善子「な、なってくれるんでしょう!?」ズイッ

善子「私の! リトルデーモンにっ!!」

花丸「わぁっ!? ///」

花丸(ち、近い!! /////)

花丸「うう…………ごめん、善子ちゃん……」

善子「え……」

花丸「何度も、このやりとりしてきたけど……」

善子「…………」

20: 2017/01/01(日) 22:27:27.24 ID:y7w+txwO.net
花丸「答えは、同じだよ……」

花丸「オラは、善子ちゃんのリトルデーモンにはならない」

善子「……っ」

善子「……そ、そう……」

花丸(あああ……善子ちゃんがガッカリしてる……)

善子(知ってた……知ってたわよ……)

善子(誰も私のリトルデーモンになんかなりたがらないなんてことはっ……)

花丸(ごめん善子ちゃん……でも、だって……)

21: 2017/01/01(日) 22:37:33.51 ID:y7w+txwO.net
善子(でも……だったらなんなのよ!! なによ、あの手紙は!! どういうこと!?)

花丸(だって、リトルデーモンを名乗ったら……)

善子(私のファンと言ったら、それすなわちリトルデーモンってことでしょ!?)

花丸(善子ちゃんと、対等で居られなくなる気がするから……)

善子(リトルデーモンを称したいってことでしょ!? そうなんじゃないの!?)

花丸「…………」

善子(くぅっ……こ、こうなったら、3人に直接、誰が手紙を書いたかを問い詰めるしか……!)

善子「ねえ……花丸」

花丸「!!」

22: 2017/01/01(日) 22:38:48.74 ID:y7w+txwO.net
善子「ちょっと……真剣な話があるんだけど……」

花丸(な……名前で呼ばれた……!?)

花丸(あ、あだ名は!? あだ名はどうしたの!?)

善子「ちょっと……聞いてる? 花丸」

花丸(! また……っ! どうしてずら丸って呼んでくれないの……?)

花丸(……ああ……そうか……嫌われたんだ……)

花丸(マルが、リトルデーモンになるのを断ったから……)

善子「花丸ってば!!」

23: 2017/01/01(日) 22:40:30.68 ID:y7w+txwO.net
花丸「……ごめん、善子ちゃん……ちょっと具合悪くなってきた……」ウルッ

善子「え!? だ、大丈夫なの!?」

花丸「う……ううっ……ぅ……くっ……」グスッ

善子「な、泣いてる……!? どこか痛いの!?」

善子「ほ、保健室に行きましょう!? 一緒に行ってあげるから!」

花丸「だ、大丈夫だから……1人になれば平気だから……」ポロポロ

善子「へ、平気って……! そんなわけ……!」

花丸「お願い善子ちゃん! 1人にさせて!! ……出てって!!!」ゴシゴシ

善子「……!!」ビクッ

善子「わ、分かったわよ……」

35: 2017/01/02(月) 18:03:53.88 ID:Ka8X38PT.net
~翌朝、玄関~

花丸(昨日……あれから、善子ちゃんは1度もあだ名で呼んでくれなかった……)

花丸(ずっと心配してくれてたけど……オラの名前を、花丸花丸って、連呼して……)

花丸(やっぱり、内心は、マルのこと嫌って……)ガチャッ

花丸「! 靴箱の中に……手紙……?」

花丸「…………」ピラッ

花丸「よ、善子ちゃん!?」

36: 2017/01/02(月) 18:04:48.63 ID:Ka8X38PT.net
『堕天使ヨハネに与えられし二つ名を持つ者よ……』

『今日中に私への好意を思う存分書き綴って、』

『その手紙を放課後までに、私の靴箱に入れておきなさい』

『ただし! このヨハネとどうしても直接話したい人は、』

『昼休みにプール付近の校舎裏に来なさい』

『……待っててあげるから』

『~あなたへ二つ名を与えし堕天使ヨハネより~』

37: 2017/01/02(月) 18:10:14.95 ID:Ka8X38PT.net
花丸「…………善子ちゃん…………」

花丸(ど、どうしよう……放課後までに、善子ちゃんへの想いを、手紙に……?)

花丸「でも、これってもしかして……嫌われては……いない……?」ドキドキ


~~~~~~

梨子「何これ……ま、まさか!?」ピラッ

梨子「……なーんだ、善子ちゃんかぁ……」

梨子「もう……善子ちゃん、また変なことを考えて……」

梨子「はぁ……どうしようかしら……」

38: 2017/01/02(月) 18:11:49.57 ID:Ka8X38PT.net
~~~~~~

鞠莉「手紙……! わ、私へのラブレターとか……!?」ピラッ

鞠莉「……善子……、これは、ゲーム……?」

鞠莉「……んー? 二つ名って何のことかしら……?」

鞠莉「もしかして、『マリー』、のこと?」

鞠莉「これ、善子に付けられたんじゃなくて……」

鞠莉「私が、自分で『マリーって呼んでね♡』って言ったと思うんだけど……」

鞠莉「ま、いっか♪ 細かいことは気にしなーい♡」

鞠莉「ラブレターじゃなくて残念だけど、善子のゲーム、乗ってあげるわ♪」

39: 2017/01/02(月) 18:22:44.20 ID:Ka8X38PT.net
~教室~

善子「…………」

ルビィ「あ! 花丸ちゃん、おはよう!」

花丸「おはよう、ルビィちゃん」

花丸(善子ちゃんに昨日のことを謝らないと……)

花丸「よ、善子ちゃん、おはよう」

善子「!」ドキッ

善子「お、おはよう……」

善子(まずい、手紙のこと……)

40: 2017/01/02(月) 18:25:09.49 ID:Ka8X38PT.net
花丸「善子ちゃん、昨日はごめんね……」

善子「あ、本当に具合大丈夫だったの?」

花丸「うん、大丈夫。今は元気だから……」

善子(よかった……なんともなかったみたいね)

花丸(とはいえ、さっきの善子ちゃんの手紙には非常に困ってるけど……)

花丸「善子ちゃん、昨日はたくさん心配してくれたのに、キツく当たっちゃってごめんなさい……」

善子「い、いいのいいの! 具合悪かったんだからしょうがないわよ!」

善子「あんたが元気になってよかったわ。はい、この話はこれでおしまい!」

花丸「うん……ありがとう……」

41: 2017/01/02(月) 18:29:17.87 ID:Ka8X38PT.net
花丸(やっぱり、善子ちゃんはとっても優しいずら……)

花丸「…………」

善子「…………」

善子(まずいまずい……手紙のこと訊いてこないで……恥ずかしいから……)

ルビィ「…………」

花丸「あっ、ルビィちゃん!」

ルビィ「えっ?」

花丸「昨日のテレビ見た? 7時からの……」

ルビィ「あ、もしかしてあれ?」

善子(良かった、訊かれなかった……)ホッ

42: 2017/01/02(月) 18:42:24.10 ID:Ka8X38PT.net
~昼休み、プール付近の校舎裏~

善子「ここなら、少なくとも昼休み中はめったに人が来ないはず……」

善子「秘密の待ち合わせには持って来いの場所ね」

善子「それから、今日はずら丸は図書委員の仕事は休みだし……」

善子「……来るかしら……リリー、マリー、…………ずら丸…………」

善子「…………」

善子(暇ね……)


鞠莉「…………」ザッザッ

梨子「…………」ザッザッ 

花丸「…………」ザッザッ  


善子「!?」

43: 2017/01/02(月) 18:43:58.23 ID:Ka8X38PT.net
善子(ぜ、全員来たーーーーーーー!!!) 


鞠莉「ふふ、ギルキス内でのゲームだと思ってたけど……」ザッ

鞠莉「花丸にも手紙が来てたとはね♪」ニコッ 

花丸「あ、あはは…………」ザッ

花丸「まさか、鞠莉さんや梨子さんと同時に鉢合わせるとは思いませんでした……」

梨子「……善子ちゃん? 一体どういうつもり?」ザッ 

善子「ど……どういうつもりですって? 私は、3人の気持ちを確かめたいだけよ!」 

善子「さあ! 各々、このヨハネに想いの丈をぶつけてみなさい!!」

44: 2017/01/02(月) 18:53:28.54 ID:Ka8X38PT.net
鞠莉「……私たちのあなたへの好意がどんなものか、あなたに伝えればいいんでしょ?」

善子「そ……、そうよ」

鞠莉「なら私から。単刀直入に言うわね」

善子「……」ゴクリ

鞠莉「大好きよ、善子」

善子「!!」

鞠莉「友達として、ね♡」ニコッ

善子「……ありがとう、マリー……!」ホッ

45: 2017/01/02(月) 18:54:56.95 ID:Ka8X38PT.net
梨子「同じく」

善子「!」

梨子「善子ちゃんのことが大好きですっ! 友達として」ニコッ

善子「……ありがとう、リリー……!」 

花丸「…………」ガクガクガク

花丸(まずい……震える……どうしよう……!)ブルブルブル

善子「…………」

善子「ず……ずら丸はどうなの……?」

花丸「! …………」 

花丸(あ、あだ名呼び……!)

46: 2017/01/02(月) 18:56:06.80 ID:Ka8X38PT.net
善子「黙ってないで、何か言ったらどう……? ず……いや、花丸……」

花丸(! 今、わざわざ名前呼びに戻した……!?)

花丸「オラは……オラは、善子ちゃんのことは……」ブルブル

善子「…………」

花丸「と、友達……」 

善子「!!!」

善子(や、やっぱり……)

花丸「……い、以上に!! 友達、以上にっ!!」

善子「!?」

47: 2017/01/02(月) 19:09:25.34 ID:Ka8X38PT.net
花丸「れ……恋愛感情を持ってて……」

花丸「オラは! オラは善子ちゃんに……恋をしています……」

花丸「そ、そういう意味で!! 好きです……! 大好きです!!!」

善子「……………………」ポカーーーン

梨子「…………」

鞠莉「ヒュウ♡」

梨子「……私たち、お邪魔みたいですね」

鞠莉「そうね。もう行きましょ、梨子っ!」ダッ タッタッタッタッ  

梨子「はい!」ダッ タッタッタッタッ  

48: 2017/01/02(月) 19:10:34.15 ID:Ka8X38PT.net
タッタッタッタッタッタッ……



善子「…………」

花丸「…………」

善子「は、花丸……」

花丸「……っ」

善子「ほ、ほんとに?」

花丸「う……うん……」

善子「本当の本当に? 冗談とか、いたずらとか、嘘とか……!」

花丸「本当ずら……! 嘘じゃないずら……!!」ウルッ

49: 2017/01/02(月) 19:22:27.12 ID:Ka8X38PT.net
花丸「今伝えなきゃダメって思ったから……!」ウルウル

花丸「マルは……! マルは……! オラはっ…………!!」グスッ

花丸「ふ、振るならさっさと……っ」ポロポロ

善子「嬉しい……」

花丸「……え?」ポロポロ

善子「嬉しい……!」

善子「嬉しいわ花丸……っ!!」タタタッ ダキッ

花丸「え……」ギュウッ

善子「花丸ううっ……!!」ギュウウウ

50: 2017/01/02(月) 19:23:26.08 ID:Ka8X38PT.net
花丸「なんで……どうして……」

善子「私は……ずっとあんたのことが好きだった……」

善子「でも! あんたが私に気があるなんてちっとも思ってなかったから……」

善子「ずっと……ずっと私の片想いだって……決めつけて、諦めて……」

善子「だからっ……!」

花丸「…………」

善子「私も……私も、大好きよ……花丸……」

51: 2017/01/02(月) 19:24:18.65 ID:Ka8X38PT.net
花丸「あ、あだ名は……」

善子「え?」

花丸「ど、どうしてあだ名で呼んでくれないの……?」

善子「どうしてって……あたりまえじゃない」

善子「だって私は、本当に真剣な時は、相手を名前で呼ぶもの」

花丸「し、真剣な時は……」

花丸「名前で……」

善子「そうよ……」

52: 2017/01/02(月) 19:26:08.12 ID:Ka8X38PT.net
花丸「オ、オラ……嫌われたかと思って……」ウルッ 

善子「そんなことあるわけないでしょ」ナデナデ 

善子「馬鹿ね……もしかして、ずっとそれで悩んでたの?」ナデナデ

花丸「うう……ひっく……ぐすっ……」ポロポロ 

花丸「うわああああああん!!」ポロポロポロ

善子「ふふっ……何泣いてんのよ、まったく……」ナデナデ

善子「幼稚園の時と変わってないわね……この泣き虫」ウルッ

善子(よかった……本当に良かった……あんたに好きって言ってもらえて……)ウルウル

善子(あの手紙を書いてくれたのはあんただったのね……花丸……)ウルウル

善子(あ……私も泣きそう……)グスッ

53: 2017/01/02(月) 19:31:21.98 ID:Ka8X38PT.net
~1か月後~

善子「ねえ、ずら丸」

花丸「何? 善子ちゃん」

善子「ギルキス集会のたびにマリーとリリーにからかわれるんですけど」

花丸「マルも……ダイヤさんと果南さんに微笑ましい目で見られるずら……」

善子「そしてシャロン組ぃぃぃぃぃ!!」

花丸「毎日毎日、オラたちの進捗状況を聞いてこないでほしいずらああああ!!」 

善子「千歌さん、曜さん……、特に筆頭のルビィィィィィ!!」 

花丸「オラと善子ちゃんが付き合い始めてからずっと……」

花丸「いつもルビィちゃんに生暖かい目で見られるね……」

54: 2017/01/02(月) 19:32:58.47 ID:Ka8X38PT.net
善子「そうね……今日なんて、『ええっ!? まだ手も繋いでないの!?』って言われたし……」

花丸「それ、前も言われたよね……」

善子「そうね……」

花丸「…………」

善子「…………」

花丸「つ、繋ぐ? ///」

善子「え?」

花丸「今、周りに誰もいないし……チャンスだよ」

善子「チャ、チャンス……確かに」 

55: 2017/01/02(月) 19:35:59.82 ID:Ka8X38PT.net
花丸「……ほ、ほらっ///」サッ  

善子「! え、ええ……///」ギュッ  

花丸(で、できた……///) 

善子(繋げた……///) 

花丸「ふふっ」

善子「な、何よ」

花丸「オラたち、まだまだ先は長そうだね」

善子「あ、あったりまえでしょ!」

56: 2017/01/02(月) 19:36:49.24 ID:Ka8X38PT.net
善子「まだまだこれからよ……あなたを私のリトルデーモンにするまでは!!」 

花丸「だから、リトルデーモンなる気はないって繰り返し断ってるでしょ」 

善子「私は諦めないんだから! 絶対ずら丸をリトルデーモンに……!」

花丸「あ! 善子ちゃん、本当の本気じゃないずら~♪」 

善子「うっ、うるさい! ///」 

善子「…………ねえ」ギュウ 

花丸「何? 善子ちゃん」ギュウ 

善子「好きよ……花丸」 

花丸「ありがとう……オラも善子ちゃんのこと、大好きだよ」 



おしまい

引用元: 花丸「あなたからあだ名を授かりし者」