1: 2008/05/06(火) 00:13:03.83 ID:HvUF7cl90
冬。コタツの中。
対面には長門さん。
私が作ってきた鍋料理をハフハフ言いながら食べている。
朝倉「おいしい?」
一瞬、動きを止めてこくり。
また口を動かす作業に戻る。
ほぼ同じ時間に作り出された私たちだけど、彼女はどことなく妹のように感じる。
まあ、私の勝手な妄想なのだけど。
対面には長門さん。
私が作ってきた鍋料理をハフハフ言いながら食べている。
朝倉「おいしい?」
一瞬、動きを止めてこくり。
また口を動かす作業に戻る。
ほぼ同じ時間に作り出された私たちだけど、彼女はどことなく妹のように感じる。
まあ、私の勝手な妄想なのだけど。
2: 2008/05/06(火) 00:13:54.90 ID:HvUF7cl90
長門さんの食事風景はとても可愛い。
それはいいのだけれど、おかしい所がある。
彼女はいつもスプーンで食事を取るのだ。
朝はいい。パン食だから。
昼は長門さんが自分で作ると言い張っていつもインスタントだからどうしてるかは知らない。
それで夜は、バックアップである私が料理を作って持っていくのだが、この三日間長門さんが箸を使っているところを見たことがない。
それはいいのだけれど、おかしい所がある。
彼女はいつもスプーンで食事を取るのだ。
朝はいい。パン食だから。
昼は長門さんが自分で作ると言い張っていつもインスタントだからどうしてるかは知らない。
それで夜は、バックアップである私が料理を作って持っていくのだが、この三日間長門さんが箸を使っているところを見たことがない。
4: 2008/05/06(火) 00:14:29.14 ID:HvUF7cl90
朝倉「ねえ、長門さん。ちょっと聞いていい?」
長門「どうぞ……」
朝倉「もしかしてお箸使えない? 気のせいかな……私の」
長門「…………そんな筈ない。気のせい」
朝倉「そうよね。気のせいよね」
長門「そう」
朝倉「ところで今日、パパ達からお米が大量に送られてきたんだけど、明日から朝のパン食をやめない? ご飯は私が炊いて持ってくるから」
長門「……だめ」
長門「どうぞ……」
朝倉「もしかしてお箸使えない? 気のせいかな……私の」
長門「…………そんな筈ない。気のせい」
朝倉「そうよね。気のせいよね」
長門「そう」
朝倉「ところで今日、パパ達からお米が大量に送られてきたんだけど、明日から朝のパン食をやめない? ご飯は私が炊いて持ってくるから」
長門「……だめ」
6: 2008/05/06(火) 00:16:25.85 ID:HvUF7cl90
朝倉「どうして?」
長門「パンは焼けば食べられる。しかし、米は時間がかかる。
あなたにそこまで手間はかけさせられない」
朝倉「でもほら、パパ達にも悪いし」
長門「私は気にしない。パ……情報統合思念体には美味しかったといっておけばいい」
長門「パンは焼けば食べられる。しかし、米は時間がかかる。
あなたにそこまで手間はかけさせられない」
朝倉「でもほら、パパ達にも悪いし」
長門「私は気にしない。パ……情報統合思念体には美味しかったといっておけばいい」
8: 2008/05/06(火) 00:17:08.38 ID:HvUF7cl90
朝倉「ところで、何で長門さんは私の鍋料理を全部スプーンで食べるているのかしら?」
長門「…………なんとなく」
朝倉「まあ、たくさん食べてくれるから私は嬉しいんだけどね」
長門「そう」
朝倉「そうそう今日ね、魚料理の本を買ってきたんだけど、この中で明日何食べたい?」
朝倉「今まではカレーとかシチューとか割と簡単な料理ばかりだったけどお魚にも挑戦してみようかなと思って。まあ初めてだし焼き魚とかいいかなと思うんだけど」
長門「……むやみに魚を頃すのは良くない。魚がかわいそう」
長門「…………なんとなく」
朝倉「まあ、たくさん食べてくれるから私は嬉しいんだけどね」
長門「そう」
朝倉「そうそう今日ね、魚料理の本を買ってきたんだけど、この中で明日何食べたい?」
朝倉「今まではカレーとかシチューとか割と簡単な料理ばかりだったけどお魚にも挑戦してみようかなと思って。まあ初めてだし焼き魚とかいいかなと思うんだけど」
長門「……むやみに魚を頃すのは良くない。魚がかわいそう」
10: 2008/05/06(火) 00:18:36.80 ID:HvUF7cl90
朝倉「むやみにじゃないわ。有機生命体にとって食事は必要な行為だし、
その鍋のスープのダシは魚からとってるしね」
長門「魚を食べて骨が喉に刺さるかもしれない。危険が伴う食事は推奨できない。
食事は会話を楽しむべき。私の喉に骨が刺さるとあなたと会話できなくなる。
対有機生命体とのコミュニケーションに備え会話の練習をしておくべき」
朝倉「鮭とかなら骨も大きいし、すぐに見つけられるでしょ。
それにあなたは監視する時は無口キャラになるように言われてるでしょ?
まああなたはそのままでも無口だけど」
その鍋のスープのダシは魚からとってるしね」
長門「魚を食べて骨が喉に刺さるかもしれない。危険が伴う食事は推奨できない。
食事は会話を楽しむべき。私の喉に骨が刺さるとあなたと会話できなくなる。
対有機生命体とのコミュニケーションに備え会話の練習をしておくべき」
朝倉「鮭とかなら骨も大きいし、すぐに見つけられるでしょ。
それにあなたは監視する時は無口キャラになるように言われてるでしょ?
まああなたはそのままでも無口だけど」
11: 2008/05/06(火) 00:19:08.03 ID:HvUF7cl90
長門「……明日の夕食にはあなたのカレーが食べたいと感じている。この前のはおいしかった」
朝倉「え、そう? うれしいな。じゃあやっぱり今日はカレーにしようかな」
長門「それがいい」
朝倉「じゃあ明日の昼食さぁ、私に作らせて欲しいな。焼き魚」
長門「…………それはだめ」
朝倉「え、そう? うれしいな。じゃあやっぱり今日はカレーにしようかな」
長門「それがいい」
朝倉「じゃあ明日の昼食さぁ、私に作らせて欲しいな。焼き魚」
長門「…………それはだめ」
12: 2008/05/06(火) 00:20:01.19 ID:HvUF7cl90
朝倉「あら、どうして」
長門「明日の昼は用事がある。だから私の分の昼食は必要ない」
朝倉「そう? じゃあ明日は私も明日は外出しようかな。
待機モードだからって部屋に籠もってたら、ひきこもりになっちゃうし」
長門「それがいい」
朝倉「ちょっと遠くのデパートまで行ってくるね。食材の買いだめとかしたいし」
長門「買い……だめ?」
朝倉「うん、もう三日分くらい献立決めちゃったし」
長門「何?」
朝倉「明日がカレーでしょ。長門さんの希望通り。
明後日はうどんにしようかな。カレーも余るだろうし、カレーうどんとかいいかも。
あ、そういえばうどんも初めてだなぁ。
あとは有り合わせで野菜炒めとかそのへんかな」
長門「うどんは……困る」
長門「明日の昼は用事がある。だから私の分の昼食は必要ない」
朝倉「そう? じゃあ明日は私も明日は外出しようかな。
待機モードだからって部屋に籠もってたら、ひきこもりになっちゃうし」
長門「それがいい」
朝倉「ちょっと遠くのデパートまで行ってくるね。食材の買いだめとかしたいし」
長門「買い……だめ?」
朝倉「うん、もう三日分くらい献立決めちゃったし」
長門「何?」
朝倉「明日がカレーでしょ。長門さんの希望通り。
明後日はうどんにしようかな。カレーも余るだろうし、カレーうどんとかいいかも。
あ、そういえばうどんも初めてだなぁ。
あとは有り合わせで野菜炒めとかそのへんかな」
長門「うどんは……困る」
14: 2008/05/06(火) 00:21:33.09 ID:HvUF7cl90
朝倉「もう一度聞くけど長門さん、箸使えないの?」
長門「……使える。でも、うどんは駄目」
朝倉「まあうどんが嫌ならそれはそれでいいけど、もうすぐ年も明けるし、年越しそばも送られてくるって。
うん、それを考えると麺類は避けたほうがいいのかも」
長門「年越しそば?」
朝倉「うん。私たち造られてからまだ数日しかたってないから、
一応待機モード一年目は日本に住む有機生命体の習慣くらい実践して報告しろってパパ達が。
ここにそばが届くように手配してあるって」
長門「……」
長門「……使える。でも、うどんは駄目」
朝倉「まあうどんが嫌ならそれはそれでいいけど、もうすぐ年も明けるし、年越しそばも送られてくるって。
うん、それを考えると麺類は避けたほうがいいのかも」
長門「年越しそば?」
朝倉「うん。私たち造られてからまだ数日しかたってないから、
一応待機モード一年目は日本に住む有機生命体の習慣くらい実践して報告しろってパパ達が。
ここにそばが届くように手配してあるって」
長門「……」
16: 2008/05/06(火) 00:22:56.91 ID:HvUF7cl90
朝倉「あーあ。どうせならクリスマスの前に造って欲しかったなぁ。
素敵じゃない? サンタクロースとか。
年齢から言えば全然子どもだしね。私たち」
長門「まだ0歳だから子どもとは呼べない」
朝倉「まあ確かにね。でも見た目は中学生くらいなのよねぇ。
このくらいの年代の有機生命体はどんな事してるのかしらね。
学校に行っておしゃべりかなー」
長門「……さみしい?」
朝倉「んー。よくわかんないなー。有機生命体の概念だし。どうなんだろ?
どちらかといえば退屈かな。待機なんて。とりあえず料理は楽しいけどね。
体のわりにたくさん食べる人もいるし」
長門「私?」
朝倉「そっ。ところで長門さんは何か趣味とか見つけられた?」
素敵じゃない? サンタクロースとか。
年齢から言えば全然子どもだしね。私たち」
長門「まだ0歳だから子どもとは呼べない」
朝倉「まあ確かにね。でも見た目は中学生くらいなのよねぇ。
このくらいの年代の有機生命体はどんな事してるのかしらね。
学校に行っておしゃべりかなー」
長門「……さみしい?」
朝倉「んー。よくわかんないなー。有機生命体の概念だし。どうなんだろ?
どちらかといえば退屈かな。待機なんて。とりあえず料理は楽しいけどね。
体のわりにたくさん食べる人もいるし」
長門「私?」
朝倉「そっ。ところで長門さんは何か趣味とか見つけられた?」
17: 2008/05/06(火) 00:23:23.00 ID:H3p2zp/EO
スレタイの古泉なんだよ
19: 2008/05/06(火) 00:24:23.08 ID:HvUF7cl90
長門「特にない。しかし、パ……情報統合思念体には文芸部に入るよう指示をされているから本を読むことにしようと思う」
朝倉「それで、まだ本は読んでないの?」
長門「まだ」
朝倉「なんで?」
長門「本が沢山ありすぎてどんな本からよめばいいのかがわからない。
困っている」
朝倉「料理の本でよければ貸すけど?」
長門「いい。自分で探してみる」
朝倉「そう? 探すのも読書のうちらしいし、いいんじゃない。
いい暇つぶしになるといいわね」
長門「いい」
朝倉「それで、まだ本は読んでないの?」
長門「まだ」
朝倉「なんで?」
長門「本が沢山ありすぎてどんな本からよめばいいのかがわからない。
困っている」
朝倉「料理の本でよければ貸すけど?」
長門「いい。自分で探してみる」
朝倉「そう? 探すのも読書のうちらしいし、いいんじゃない。
いい暇つぶしになるといいわね」
長門「いい」
23: 2008/05/06(火) 00:27:12.38 ID:HvUF7cl90
朝倉「それで、話は変わるんだけどパパ達からデジカメで写真を撮れって言われてるのよね」
長門「写真?」
朝倉「そう。ちゃんと有機生命体の習慣を実践してるかチェックするからって。本当は娘の顔見たいだけなんだろうけどね。あと私たちが仲良くやれてるか心配なんじゃない?」
長門「心配?」
朝倉「なんだかんだで私たち派閥は違うしね」
長門「私はあなたと争うつもりは無い」
朝倉「私だって無いわ。一人で待機なんてやってられないしね」
長門「写真?」
朝倉「そう。ちゃんと有機生命体の習慣を実践してるかチェックするからって。本当は娘の顔見たいだけなんだろうけどね。あと私たちが仲良くやれてるか心配なんじゃない?」
長門「心配?」
朝倉「なんだかんだで私たち派閥は違うしね」
長門「私はあなたと争うつもりは無い」
朝倉「私だって無いわ。一人で待機なんてやってられないしね」
26: 2008/05/06(火) 00:28:49.05 ID:HvUF7cl90
朝倉「まあいいわ、年越しそばの前に一枚撮ってみよっ」
カメラを構える朝倉に対し、カメラを不思議そうに見つめ顔を近づけていく長門。
ウィーン。カメラの中央部のレンズが伸び、長門の顔にレンズが直撃する。
長門「――!」
朝倉「長門さん。大丈夫?」
長門「レンズがはえてくるとは予測していなかった」
朝倉「予測ってカメラについての情報はあなたも持ってるでしょ」
長門「カメラという物一般的な使用法は理解していた。
写真を撮るものだと。しかし、実物がレンズを伸ばしてから撮る物だとは知らなかった」
朝倉「やっぱり、百聞は一見にしかずってことかしら。情報操作は一年目は許可なしで使っちゃいけないことになってるしね」
カメラを構える朝倉に対し、カメラを不思議そうに見つめ顔を近づけていく長門。
ウィーン。カメラの中央部のレンズが伸び、長門の顔にレンズが直撃する。
長門「――!」
朝倉「長門さん。大丈夫?」
長門「レンズがはえてくるとは予測していなかった」
朝倉「予測ってカメラについての情報はあなたも持ってるでしょ」
長門「カメラという物一般的な使用法は理解していた。
写真を撮るものだと。しかし、実物がレンズを伸ばしてから撮る物だとは知らなかった」
朝倉「やっぱり、百聞は一見にしかずってことかしら。情報操作は一年目は許可なしで使っちゃいけないことになってるしね」
27: 2008/05/06(火) 00:29:39.91 ID:HvUF7cl90
私たちはやろうと思えばある程度の事はできる。
それこそ、有機生命体の言う「魔法」とかいうのに近い事が。
でもパパ達――つまりは情報統合思念体は今の私たちに能力の使用を禁止している。
まあ禁止と言っても破ったからと言ってペナルティがあるわけでもないし、
娘を溺愛している彼らが課すペナルティなどあったとしても肩たたきくらいではないだろうか?
まぁ、早い話が能力を使わない今の私たちはその辺の中学生と大差が無いのだ。
それこそ、有機生命体の言う「魔法」とかいうのに近い事が。
でもパパ達――つまりは情報統合思念体は今の私たちに能力の使用を禁止している。
まあ禁止と言っても破ったからと言ってペナルティがあるわけでもないし、
娘を溺愛している彼らが課すペナルティなどあったとしても肩たたきくらいではないだろうか?
まぁ、早い話が能力を使わない今の私たちはその辺の中学生と大差が無いのだ。
28: 2008/05/06(火) 00:30:26.36 ID:HvUF7cl90
朝倉「まあとりあえず一枚撮ろ。長門さん私の隣ね」
長門「分かった」
朝倉「タイマーセットして十秒くらいかな」
タイマーをセットしコタツ机の上にデジカメを置く
PiPiPi
朝倉「長門さん、ちょっとくらい笑ったら」
長門「笑っている」
PiPiPiPiPi
朝倉「あ、そーだ。年越しそばの時は一緒に食べてるとことろうね」
長門「分かった」
朝倉「タイマーセットして十秒くらいかな」
タイマーをセットしコタツ机の上にデジカメを置く
PiPiPi
朝倉「長門さん、ちょっとくらい笑ったら」
長門「笑っている」
PiPiPiPiPi
朝倉「あ、そーだ。年越しそばの時は一緒に食べてるとことろうね」
29: 2008/05/06(火) 00:31:06.71 ID:HvUF7cl90
長門「それは困――」
PiPiカシャ――
シャッターが下りる。
コタツ机の上のカメラを取る朝倉。
朝倉「あれ? 長門さん。今何か言った」
長門「言っていない」
朝倉「そう? じゃあ、気のせいかな」
長門「そう」
さっき撮った写真を見る。
……そっか。これが長門さんの困った顔か。
PiPiカシャ――
シャッターが下りる。
コタツ机の上のカメラを取る朝倉。
朝倉「あれ? 長門さん。今何か言った」
長門「言っていない」
朝倉「そう? じゃあ、気のせいかな」
長門「そう」
さっき撮った写真を見る。
……そっか。これが長門さんの困った顔か。
30: 2008/05/06(火) 00:31:52.70 ID:HvUF7cl90
この娘は何をそんなに恥ずかしがってるんだろう?
まだ生まれたばっかりだし、許可が無いと情報操作が出来ない今は出来ない事なんて沢山あって当然なのに
朝倉「長門さん。明日からやっぱり箸の練習しよっか」
長門「……箸は使える」
朝倉「あなたじゃなくて私。練習するのは」
長門「あなた?」
まだ生まれたばっかりだし、許可が無いと情報操作が出来ない今は出来ない事なんて沢山あって当然なのに
朝倉「長門さん。明日からやっぱり箸の練習しよっか」
長門「……箸は使える」
朝倉「あなたじゃなくて私。練習するのは」
長門「あなた?」
32: 2008/05/06(火) 00:32:33.35 ID:HvUF7cl90
朝倉「そう。箸を持つとどうしてもXの形になっちゃうの。
気付かなかった? さっき鍋食べてる時」
長門「あなたは自然に食べられていたように見えた」
朝倉「気のせいじゃない? 鍋の具は割と大きいものばかりだったし」
長門「……そう?」
朝倉「ということで明日の昼食は私に付き合って箸の練習!」
長門「私は用事が……」
朝倉「じゃあ、朝でも昼でも、夜でもいいから」
長門「分かった」
気付かなかった? さっき鍋食べてる時」
長門「あなたは自然に食べられていたように見えた」
朝倉「気のせいじゃない? 鍋の具は割と大きいものばかりだったし」
長門「……そう?」
朝倉「ということで明日の昼食は私に付き合って箸の練習!」
長門「私は用事が……」
朝倉「じゃあ、朝でも昼でも、夜でもいいから」
長門「分かった」
33: 2008/05/06(火) 00:34:36.38 ID:HvUF7cl90
朝倉「じゃあ、今日は帰るわね。
鍋はそのままでいいから。それとコタツでは寝ないように」
長門「私は風邪など引かないからコタツで寝ても問題な――」
朝倉「だーめ。ここの費用だって私たちじゃないインターフェースが有機生命体に混じって働いて出してるんだから無駄使いは許しません」
長門「……布団つめたい」
朝倉「すぐに温かくな……あ、あのさ、一緒に――」
長門「何?」
朝倉「ううん。なんでもない」
鍋はそのままでいいから。それとコタツでは寝ないように」
長門「私は風邪など引かないからコタツで寝ても問題な――」
朝倉「だーめ。ここの費用だって私たちじゃないインターフェースが有機生命体に混じって働いて出してるんだから無駄使いは許しません」
長門「……布団つめたい」
朝倉「すぐに温かくな……あ、あのさ、一緒に――」
長門「何?」
朝倉「ううん。なんでもない」
35: 2008/05/06(火) 00:36:29.55 ID:HvUF7cl90
――言える訳が無い
「一緒に寝る? なんて」
冷たさが苦手じゃないインターフェースなんて多分いない。
最初はみんな繋がってた私たち。
その私たちが今はてんでばらばらに行動している。
私は多分運がいい方だ。
長門さんというインターフェースと同じマンションに住んでいる。
一人じゃないから。
長門さんが私に依存してると考えているのはなんとなく分かる。
でも、本当は逆だ。彼女に何かをしてやることで、
バックアップと言う仕事を行う事で、私は彼女に甘えている。
「一緒に寝る? なんて」
冷たさが苦手じゃないインターフェースなんて多分いない。
最初はみんな繋がってた私たち。
その私たちが今はてんでばらばらに行動している。
私は多分運がいい方だ。
長門さんというインターフェースと同じマンションに住んでいる。
一人じゃないから。
長門さんが私に依存してると考えているのはなんとなく分かる。
でも、本当は逆だ。彼女に何かをしてやることで、
バックアップと言う仕事を行う事で、私は彼女に甘えている。
38: 2008/05/06(火) 00:38:37.85 ID:HvUF7cl90
次の日
朝倉「ということでいただきます」
長門「いただきます」
眼前にはカレー。右手に持つのはスプーンではなく箸。
長門「カレーはスプーンで食べればいいと思う」
朝倉「味は同じだから問題ないでしょ。他に問題ある?」
長門「……ない」
朝倉「じゃあ食べましょうか」
とりあえず箸をXの形に握って食べてみる。
非常に食べにくい。
長門さんのほうを見るとグーの形で二本の箸を握り締め、ジャガイモに突き刺して食べている。
朝倉「ということでいただきます」
長門「いただきます」
眼前にはカレー。右手に持つのはスプーンではなく箸。
長門「カレーはスプーンで食べればいいと思う」
朝倉「味は同じだから問題ないでしょ。他に問題ある?」
長門「……ない」
朝倉「じゃあ食べましょうか」
とりあえず箸をXの形に握って食べてみる。
非常に食べにくい。
長門さんのほうを見るとグーの形で二本の箸を握り締め、ジャガイモに突き刺して食べている。
40: 2008/05/06(火) 00:41:41.26 ID:HvUF7cl90
口に食べ物を入れるとき、物凄く不恰好だが妙に可愛らしい。
長門さんのこういうところは割と好きだ。
案外負けず嫌いなところと、意地っ張りなところが無表情と差があって保護欲をそそる。
私はと言えば、Xの形にした箸で無理やりジャガイモを掴んでいる。
正直、頑張ればVの形にできなくも無いが、実際のところ私もそこまで箸が使えるわけじゃない。
箸の性能に関しては日本の有機生命体は異常だ。
使いにくいとしかいいようがない。
しかし、今回の事に関しては良しとしか言えない。
長門さんのこういうところは割と好きだ。
案外負けず嫌いなところと、意地っ張りなところが無表情と差があって保護欲をそそる。
私はと言えば、Xの形にした箸で無理やりジャガイモを掴んでいる。
正直、頑張ればVの形にできなくも無いが、実際のところ私もそこまで箸が使えるわけじゃない。
箸の性能に関しては日本の有機生命体は異常だ。
使いにくいとしかいいようがない。
しかし、今回の事に関しては良しとしか言えない。
41: 2008/05/06(火) 00:42:21.56 ID:HvUF7cl90
ふと長門さんのほうを見ると……困っていた。
彼女の食べるスピードは無駄にスペックを使っていると言ってもいい。
彼女はすでに具を全部食べてしまっていた。
ご飯とルーだけになったカレーを、箸を握り締めたままで食べられるはずが無い。
朝倉「……」
長門「……」
朝倉「……箸って難しいなぁ」
なぁーんて言ってみたりして……今かけるべき言葉が見つからない。
彼女の食べるスピードは無駄にスペックを使っていると言ってもいい。
彼女はすでに具を全部食べてしまっていた。
ご飯とルーだけになったカレーを、箸を握り締めたままで食べられるはずが無い。
朝倉「……」
長門「……」
朝倉「……箸って難しいなぁ」
なぁーんて言ってみたりして……今かけるべき言葉が見つからない。
42: 2008/05/06(火) 00:44:43.04 ID:HvUF7cl90
スプーンを出すべきだろうか。
いや、それは色々とまずい。
計画倒れとか言うやつなんじゃないだろうか。
しかし、可哀想な気がする。
朝倉「持ち方を変えてみたら? グーは突き刺すのにはいいけど挟むのにはむかないと思う」
長門「……」
こくりと頷き長門さんはゆっくりと箸の握り方を変え始めた。
いや、それは色々とまずい。
計画倒れとか言うやつなんじゃないだろうか。
しかし、可哀想な気がする。
朝倉「持ち方を変えてみたら? グーは突き刺すのにはいいけど挟むのにはむかないと思う」
長門「……」
こくりと頷き長門さんはゆっくりと箸の握り方を変え始めた。
43: 2008/05/06(火) 00:45:42.42 ID:HvUF7cl90
それから一時間がたった。
私たちの皿は何とか空になっていた。
まだ綺麗なVを描けないままだがXより多分進歩したと思う。
物凄く指が疲れた。
長門「私たちに有機生命――……人間と同じ事が可能だと思う?」
朝倉「何? 哲学?」
長門「自分にできないことばかりの中でできる事を増やしていくのは他の生命体には不可能」
朝倉「そうね」
私たちの皿は何とか空になっていた。
まだ綺麗なVを描けないままだがXより多分進歩したと思う。
物凄く指が疲れた。
長門「私たちに有機生命――……人間と同じ事が可能だと思う?」
朝倉「何? 哲学?」
長門「自分にできないことばかりの中でできる事を増やしていくのは他の生命体には不可能」
朝倉「そうね」
44: 2008/05/06(火) 00:47:03.67 ID:HvUF7cl90
朝倉「私たちはいざというときはイレギュラーに対応できるけど人間はそうも行かないものね」
長門「私たちは情報統合思念体がいれば人間よりはるかなスピードで不可能を可能にする事ができる。
しかし、我々インターフェース個体だけでは出来る事は限りなく少ない」
朝倉「そうかな? 私はそうは思わないけど」
長門「?」
朝倉「今私たちがここにいる理由は何?
パパ達にも分からない事があるからでしょう?
パパ達に出来ない事で、私たちにできる事だってあるわ」
長門「……」
長門「私たちは情報統合思念体がいれば人間よりはるかなスピードで不可能を可能にする事ができる。
しかし、我々インターフェース個体だけでは出来る事は限りなく少ない」
朝倉「そうかな? 私はそうは思わないけど」
長門「?」
朝倉「今私たちがここにいる理由は何?
パパ達にも分からない事があるからでしょう?
パパ達に出来ない事で、私たちにできる事だってあるわ」
長門「……」
45: 2008/05/06(火) 00:48:45.94 ID:HvUF7cl90
朝倉「今、私たちは人間と同じ世界で生活してるわ。
人間と同じように。だから、私たちだって、同じことが出来るかもしれないじゃない。」
長門「そうかもしれない」
朝倉「ねぇ、長門さん。もし箸が上手になったら何を食べたい?
私頑張って作ってみる。何でもいいわよ? 麺類でも中華でも魚、肉、野菜……」
言葉を切り、長門さんの答えを待つと数秒後にひどい答えが返ってきた。
長門「何でもいい」
少しだけムッときてつい言い返す。
朝倉「何でもいいはちょっとひどいなぁ。そりゃぁ私は何でもいいよって言ったけど――」
人間と同じように。だから、私たちだって、同じことが出来るかもしれないじゃない。」
長門「そうかもしれない」
朝倉「ねぇ、長門さん。もし箸が上手になったら何を食べたい?
私頑張って作ってみる。何でもいいわよ? 麺類でも中華でも魚、肉、野菜……」
言葉を切り、長門さんの答えを待つと数秒後にひどい答えが返ってきた。
長門「何でもいい」
少しだけムッときてつい言い返す。
朝倉「何でもいいはちょっとひどいなぁ。そりゃぁ私は何でもいいよって言ったけど――」
46: 2008/05/06(火) 00:51:30.85 ID:HvUF7cl90
長門「私の不手際により情報の伝達に齟齬が発生した模様」
朝倉「え?」
長門「あなたが私のために作ってくれる料理なら何でもいい」
物凄く自然体で、そんな恥ずかしい台詞を口にする。
自分で料理のハードルを上げてしまった気がしないでもない。
こんなうれしい事を言われてしまったら美味しいものを作るしかない。
朝倉「ひどいなぁ」
長門「……今の私には、私の伝えたい情報をこれ以上の言葉では表現できない。しかし――」
朝倉「……違うよ。今のは違うの」
長門「?」
朝倉「ちゃんと伝わったから。だから、大丈夫」
長門「そう」
朝倉「え?」
長門「あなたが私のために作ってくれる料理なら何でもいい」
物凄く自然体で、そんな恥ずかしい台詞を口にする。
自分で料理のハードルを上げてしまった気がしないでもない。
こんなうれしい事を言われてしまったら美味しいものを作るしかない。
朝倉「ひどいなぁ」
長門「……今の私には、私の伝えたい情報をこれ以上の言葉では表現できない。しかし――」
朝倉「……違うよ。今のは違うの」
長門「?」
朝倉「ちゃんと伝わったから。だから、大丈夫」
長門「そう」
49: 2008/05/06(火) 00:53:04.65 ID:HvUF7cl90
12月31日。
この日は大晦日と言うらしい。
コタツしかない長門さんの部屋にテレビを持ち込んで、二人でなんとなく鑑賞中だ。
朝倉「うーん。音楽はよく分からないかな…… 何か気に入った曲ある?」
長門「特に……ない」
今見ているのは性別べつに分けられたチームの歌合戦だ。
赤と白に分かれて歌を歌い最終的に勝敗を決めるのだが今どちらが優勢なのか全く分からない。
歌に興味があるわけではないので、特に面白い要素は無い。
この日は大晦日と言うらしい。
コタツしかない長門さんの部屋にテレビを持ち込んで、二人でなんとなく鑑賞中だ。
朝倉「うーん。音楽はよく分からないかな…… 何か気に入った曲ある?」
長門「特に……ない」
今見ているのは性別べつに分けられたチームの歌合戦だ。
赤と白に分かれて歌を歌い最終的に勝敗を決めるのだが今どちらが優勢なのか全く分からない。
歌に興味があるわけではないので、特に面白い要素は無い。
50: 2008/05/06(火) 00:55:28.31 ID:HvUF7cl90
朝倉「番組変えてみる?」
長門「このままでもいい」
長門さんはこくりと首を動かし、またテレビに視線を戻す。
どこか虚空を見ているような、何を考えているのか分からない、そんな目だ。
朝倉「長門さん。えっとお風呂借りてもいい?」
長門「どうぞ」
朝倉「一緒に入る?」
長門「いい」
朝倉「着替えは?」
長門「その箱」
朝倉「あーあ。長門さんに振られちゃったかなぁ」
長門「このままでもいい」
長門さんはこくりと首を動かし、またテレビに視線を戻す。
どこか虚空を見ているような、何を考えているのか分からない、そんな目だ。
朝倉「長門さん。えっとお風呂借りてもいい?」
長門「どうぞ」
朝倉「一緒に入る?」
長門「いい」
朝倉「着替えは?」
長門「その箱」
朝倉「あーあ。長門さんに振られちゃったかなぁ」
52: 2008/05/06(火) 00:58:32.64 ID:HvUF7cl90
なんて、冗談めかして逃げる。
まぁ、とりあえず着替えというか衣類は毎日新品が情報統合思念体から送られてくる。
まだ入学してもいない北高の制服なんて脱いで箱の中に入れれば次にみた時には、新品の状態で戻ってくる。
いっそ食料品も同じように毎日家に送ってきてくれればいいのだけれど、
生ものはそうもいかないらしく、たまにローカルな配達という形でお米などが送られてくる程度だ。
まぁ、とりあえず着替えというか衣類は毎日新品が情報統合思念体から送られてくる。
まだ入学してもいない北高の制服なんて脱いで箱の中に入れれば次にみた時には、新品の状態で戻ってくる。
いっそ食料品も同じように毎日家に送ってきてくれればいいのだけれど、
生ものはそうもいかないらしく、たまにローカルな配達という形でお米などが送られてくる程度だ。
53: 2008/05/06(火) 00:59:38.69 ID:HvUF7cl90
ところで、長門さんは毎日セーラー服を着ている。
セーラーが気に入っているか、服を選ぶのがめんどくさいのか。
多分後者なのだろうけれど。
おしゃれをすれば可愛いと思うのだが、どうだろう。
主流派はおしゃれをさせたいんだろうけど、長門さんはあまり好きじゃないのかもしれない。
もったいないなぁ可愛いのに。そんなことを思いながらバスルームに入り、
シャワーを浴びようと思い蛇口をひねろうとしてあるものに気が付いた。
……シャンプーハット?
セーラーが気に入っているか、服を選ぶのがめんどくさいのか。
多分後者なのだろうけれど。
おしゃれをすれば可愛いと思うのだが、どうだろう。
主流派はおしゃれをさせたいんだろうけど、長門さんはあまり好きじゃないのかもしれない。
もったいないなぁ可愛いのに。そんなことを思いながらバスルームに入り、
シャワーを浴びようと思い蛇口をひねろうとしてあるものに気が付いた。
……シャンプーハット?
54: 2008/05/06(火) 01:01:03.59 ID:HvUF7cl90
シャンプーハットが蛇口のところにかけられている。
もしかして、長門さんはこれがないと髪を洗えないとかいうそんな可愛い弱て――
――ドタバタトタ
長門さんにしては珍しい足音がバスルームの方に近づいてくる。
しかし、急いでいるわりにどこか遠慮がちな急ぎ方で
――ガラッ
ドアが開く。
頭から身を乗り出すように長門さんが入ってくる。
朝倉「……」
長門「……」
もしかして、長門さんはこれがないと髪を洗えないとかいうそんな可愛い弱て――
――ドタバタトタ
長門さんにしては珍しい足音がバスルームの方に近づいてくる。
しかし、急いでいるわりにどこか遠慮がちな急ぎ方で
――ガラッ
ドアが開く。
頭から身を乗り出すように長門さんが入ってくる。
朝倉「……」
長門「……」
56: 2008/05/06(火) 01:01:47.96 ID:HvUF7cl90
長門さんの視線の先はシャンプーハットに固定されている。
朝倉「……」
長門「……」
照れているのだろうか?
なら、フォローしてあげないといけない。
朝倉「一緒に入る? やっぱり」
長門「……入る」
朝倉「……」
長門「……」
照れているのだろうか?
なら、フォローしてあげないといけない。
朝倉「一緒に入る? やっぱり」
長門「……入る」
59: 2008/05/06(火) 01:02:58.91 ID:HvUF7cl90
二人で浴槽に入ると少し狭い。
朝倉「22時くらいかなぁ」
長門「?」
朝倉「ああ、年越しそばが届く時間」
長門「情報統合思念体がそういうならそう」
朝倉「そうね」
朝倉「22時くらいかなぁ」
長門「?」
朝倉「ああ、年越しそばが届く時間」
長門「情報統合思念体がそういうならそう」
朝倉「そうね」
60: 2008/05/06(火) 01:04:11.08 ID:HvUF7cl90
朝倉「誰が届けてくれるのかしら? 一般人か、インターフェイスか」
長門「情報統合思念体自身が来るかもしれない」
朝倉「まさか……とか言えないあたりが怖いわね。あのさ、長門さん」
長門「何?」
朝倉「髪、洗ったげよっか?」
少しだけ、勇気を出して踏み込んだ。
一歩だけ。
長門「……お願いする」
長門「情報統合思念体自身が来るかもしれない」
朝倉「まさか……とか言えないあたりが怖いわね。あのさ、長門さん」
長門「何?」
朝倉「髪、洗ったげよっか?」
少しだけ、勇気を出して踏み込んだ。
一歩だけ。
長門「……お願いする」
62: 2008/05/06(火) 01:06:28.59 ID:HvUF7cl90
朝倉「長門さんさぁ?」
長門「何?」
朝倉「トリートメントとか使わないの?」
長門「使わない」
朝倉「どうして?」
長門「私には必要ない」
長門「何?」
朝倉「トリートメントとか使わないの?」
長門「使わない」
朝倉「どうして?」
長門「私には必要ない」
64: 2008/05/06(火) 01:07:21.05 ID:HvUF7cl90
セーラー服にしてもそうだが長門さんは外見に対する興味が薄すぎる。
それは、まぁ、誰が長門さんをみるのかって言えば、私とか私とかパパとかなんだけど。
これを着ろといわれればそのまますんなり受け入れてしまうだろう。
それこそ、今日本の一部で流行っているメイド服やら何やらを。
妙に似合いそうだが……パパ達が送ってきたりしたらクーデターの一つでも起こしてやろうと思う。
それは、まぁ、誰が長門さんをみるのかって言えば、私とか私とかパパとかなんだけど。
これを着ろといわれればそのまますんなり受け入れてしまうだろう。
それこそ、今日本の一部で流行っているメイド服やら何やらを。
妙に似合いそうだが……パパ達が送ってきたりしたらクーデターの一つでも起こしてやろうと思う。
65: 2008/05/06(火) 01:11:08.87 ID:HvUF7cl90
体を洗い終わったあと。
いよいよ髪を洗う作業になった。
朝倉「じゃあ髪あらおっか。はい目を瞑って」
長門「……瞑った」
適温に設定したシャワーを長門さんに近づけてゆく。
長門「シャワーをかけるときに時に……合図をして欲しい」
多分、目に水がかかるのが嫌なんだろうな。
大丈夫。なるべくかからない様にするから。
いよいよ髪を洗う作業になった。
朝倉「じゃあ髪あらおっか。はい目を瞑って」
長門「……瞑った」
適温に設定したシャワーを長門さんに近づけてゆく。
長門「シャワーをかけるときに時に……合図をして欲しい」
多分、目に水がかかるのが嫌なんだろうな。
大丈夫。なるべくかからない様にするから。
66: 2008/05/06(火) 01:14:08.07 ID:HvUF7cl90
朝倉「ん。分かった。じゃあかけるよ」
長門さんはこれでもかと言うぐらいに目を瞑っている。
じわじわと、長門さんの髪が濡れていき、髪が顔にぺたぺたとくっついていく。
朝倉「じゃあ、泡立てるからね」
シャンプーのポンプを押し、髪につけ、泡を立てていく。
朝倉「かゆい所とかない?」
長門「……背中」
長門さんはこれでもかと言うぐらいに目を瞑っている。
じわじわと、長門さんの髪が濡れていき、髪が顔にぺたぺたとくっついていく。
朝倉「じゃあ、泡立てるからね」
シャンプーのポンプを押し、髪につけ、泡を立てていく。
朝倉「かゆい所とかない?」
長門「……背中」
68: 2008/05/06(火) 01:17:33.18 ID:HvUF7cl90
……長門さんなりのジョークだったのか。
それともただ単に本当に背中がかゆいのか。
朝倉「じゃあ、髪を洗ったらもう一回背中流そうね」
長門さんは頷きながら、顔に付いた泡をぬぐった。
朝倉「じゃあ、泡流すね。目は大丈夫?」
長門「平気」
それともただ単に本当に背中がかゆいのか。
朝倉「じゃあ、髪を洗ったらもう一回背中流そうね」
長門さんは頷きながら、顔に付いた泡をぬぐった。
朝倉「じゃあ、泡流すね。目は大丈夫?」
長門「平気」
70: 2008/05/06(火) 01:19:37.33 ID:HvUF7cl90
二度目の背中流しを終え、最後にもう一度湯船につかり、温まっていた時だ。
鳴るはずの無いインターホンがお風呂場に届いた。
朝倉「誰かしら? まだ時間には早いはずだけど……」
長門「イレギュラーが発生した模様」
朝倉「どうする?」
長門「ここは私の家。私が出る」
朝倉「待った。私が行く。長門さんはここで待ってて」
長門「なぜ?」
朝倉「長門さんに手早く着替えるなんて無理」
長門「タオルを巻いて、インターホンに出るだけ。」
朝倉「だめだってば。私が行くからじっとしてるの」
鳴るはずの無いインターホンがお風呂場に届いた。
朝倉「誰かしら? まだ時間には早いはずだけど……」
長門「イレギュラーが発生した模様」
朝倉「どうする?」
長門「ここは私の家。私が出る」
朝倉「待った。私が行く。長門さんはここで待ってて」
長門「なぜ?」
朝倉「長門さんに手早く着替えるなんて無理」
長門「タオルを巻いて、インターホンに出るだけ。」
朝倉「だめだってば。私が行くからじっとしてるの」
71: 2008/05/06(火) 01:27:20.22 ID:HvUF7cl90
長門宅でインターホンがなったちょうどその頃。
まだ、小学生の古泉宅。
古泉「父さん、今年もお世話になりました」
古父「一樹も大きくなったな。中学では部活はどうするんだ?」
古母「この子、サッカー部かバレー部に入るんですって。勉強は大丈夫かしら」
古父「一樹は大丈夫さ。なあ一樹」
古泉「はい、父さん。僕は文武両道で頑張る予定です」
このとき古泉一樹に異変の兆候が置き始めている事は誰も知らなかった
まだ、小学生の古泉宅。
古泉「父さん、今年もお世話になりました」
古父「一樹も大きくなったな。中学では部活はどうするんだ?」
古母「この子、サッカー部かバレー部に入るんですって。勉強は大丈夫かしら」
古父「一樹は大丈夫さ。なあ一樹」
古泉「はい、父さん。僕は文武両道で頑張る予定です」
このとき古泉一樹に異変の兆候が置き始めている事は誰も知らなかった
73: 2008/05/06(火) 01:28:53.78 ID:HvUF7cl90
戻り長門宅
浴槽から出たところで二度目のインターホンが鳴る。
今行くってば。もう
タオルを巻きつけ、廊下を濡らさない程度に水気を取り
廊下を走り、インターホンに出るべく受話器をとる。
朝倉「はいもしもし」
??「そばを持ってきました」
朝倉「今、玄関開けますから」
??「いいえ。その必要はありません」
浴槽から出たところで二度目のインターホンが鳴る。
今行くってば。もう
タオルを巻きつけ、廊下を濡らさない程度に水気を取り
廊下を走り、インターホンに出るべく受話器をとる。
朝倉「はいもしもし」
??「そばを持ってきました」
朝倉「今、玄関開けますから」
??「いいえ。その必要はありません」
74: 2008/05/06(火) 01:29:46.35 ID:HvUF7cl90
――ブッ
空間にノイズが走る。
まるで、カーテンが開けられるように目の前の景色が横に波打ってズレにゅっと、手、お盆、腕といった感じにそいつが姿を現してゆく。
??「空間転移は久しぶりに行いました」
そんなことをいいながらそいつはテーブルに三人分のソバを並べていく。
空間にノイズが走る。
まるで、カーテンが開けられるように目の前の景色が横に波打ってズレにゅっと、手、お盆、腕といった感じにそいつが姿を現してゆく。
??「空間転移は久しぶりに行いました」
そんなことをいいながらそいつはテーブルに三人分のソバを並べていく。
78: 2008/05/06(火) 01:33:45.54 ID:HvUF7cl90
朝倉「あなたは?」
喜緑「私は穏健派のヒューマノイドインターフェース喜緑江美里と申します。お父様の言いつけでそばを持ってきました」
朝倉「見ればわかるわ。ご苦労様」
どうしてこんな乱暴な言い方をしたのか言った後に後悔する。
……そう言えば、長門さん以外のインターフェースと私、話したことないんだ。
喜緑「私は穏健派のヒューマノイドインターフェース喜緑江美里と申します。お父様の言いつけでそばを持ってきました」
朝倉「見ればわかるわ。ご苦労様」
どうしてこんな乱暴な言い方をしたのか言った後に後悔する。
……そう言えば、長門さん以外のインターフェースと私、話したことないんだ。
79: 2008/05/06(火) 01:38:41.36 ID:HvUF7cl90
見ればわかるって……我ながらひどい言い方だ。
喜緑「長門さんはどちらに?」
朝倉「今お風呂に入ってるけど」
喜緑「一緒に入ってたんですか?」
朝倉「え、あ、どうしてそう思うの?」
喜緑「体が濡れていらっしゃるし、インターホンに出るのが遅かったから」
長門さんとは逆に、どこか張り付いたような笑顔でそんなことを言う。
喜緑「長門さんはどちらに?」
朝倉「今お風呂に入ってるけど」
喜緑「一緒に入ってたんですか?」
朝倉「え、あ、どうしてそう思うの?」
喜緑「体が濡れていらっしゃるし、インターホンに出るのが遅かったから」
長門さんとは逆に、どこか張り付いたような笑顔でそんなことを言う。
80: 2008/05/06(火) 01:43:18.23 ID:HvUF7cl90
どう答えればいいのだろう?
一緒に入っていたと答えて、長門さんは嫌じゃないだろうか?
喜緑「どうかしました?」
朝倉「え、いや、なんでもな――」
長門「彼女には背中を流してもらい、髪を洗ってもらっていた」
後ろから長門さんの声がした。
見ると、長門さんは殆ど濡れたまま、タオルを巻いて後ろに立っていた
一緒に入っていたと答えて、長門さんは嫌じゃないだろうか?
喜緑「どうかしました?」
朝倉「え、いや、なんでもな――」
長門「彼女には背中を流してもらい、髪を洗ってもらっていた」
後ろから長門さんの声がした。
見ると、長門さんは殆ど濡れたまま、タオルを巻いて後ろに立っていた
82: 2008/05/06(火) 01:53:11.99 ID:HvUF7cl90
喜緑「派閥が違うのに仲がよろしいんですね」
長門「派閥は関係ない。
情報統合思念体と私たちはある意味では別の考えを持っていてしかるべき。
そのことをあなたにとやかく言われる必要はない」
朝倉「長門さん……」
長門「派閥は関係ない。
情報統合思念体と私たちはある意味では別の考えを持っていてしかるべき。
そのことをあなたにとやかく言われる必要はない」
朝倉「長門さん……」
83: 2008/05/06(火) 01:56:47.83 ID:HvUF7cl90
喜緑「ごめんなさい。意地悪で言ったんじゃないんです。
でも良かった。二人は仲良くやれてるんですね。
急にお邪魔してすいません。お父様達が急に行って様子を見てこいって言うもので……
私は反対したんですけど」
朝倉「お父様達? 今、達って言った? 」
喜緑「ええ。主流派の方と、強硬派の方々か、それぞれ虐められてないか心配だからって」
朝倉「あなた、待機モードじゃないわよね?」
喜緑「ええ、今は違いますけど」
朝倉「帰ったら 」「@p:お;いぅkyjthrげf(都合により書けません)って伝えておいてくれる?」
喜緑「分かりました。では着替えてきてください。せっかくのソバがのびてしまいます」
でも良かった。二人は仲良くやれてるんですね。
急にお邪魔してすいません。お父様達が急に行って様子を見てこいって言うもので……
私は反対したんですけど」
朝倉「お父様達? 今、達って言った? 」
喜緑「ええ。主流派の方と、強硬派の方々か、それぞれ虐められてないか心配だからって」
朝倉「あなた、待機モードじゃないわよね?」
喜緑「ええ、今は違いますけど」
朝倉「帰ったら 」「@p:お;いぅkyjthrげf(都合により書けません)って伝えておいてくれる?」
喜緑「分かりました。では着替えてきてください。せっかくのソバがのびてしまいます」
84: 2008/05/06(火) 02:00:30.84 ID:HvUF7cl90
着替え終わり、食卓に三人が着いた。
右手に持つのはもちろん箸。
長門「写真は撮る必要はないと思う。そんなことをしていては麺がのびてしまう」
喜緑「……どうかなさったんですか?」
朝倉「長門さん。諦めなさい。私が撮ってあげるから、ポーズとって」
長門さんは箸で必氏にソバを掴もうとしているがなかなか上手くいかないようだ。
右手に持つのはもちろん箸。
長門「写真は撮る必要はないと思う。そんなことをしていては麺がのびてしまう」
喜緑「……どうかなさったんですか?」
朝倉「長門さん。諦めなさい。私が撮ってあげるから、ポーズとって」
長門さんは箸で必氏にソバを掴もうとしているがなかなか上手くいかないようだ。
85: 2008/05/06(火) 02:05:04.47 ID:HvUF7cl90
喜緑「もしかして箸が使えないんですか?」
長門「そんなはずがない……気のせい」
朝倉「じゃあ撮るね。長門さん構えて」
長門「構えた」
PiPiカシャ――
シャッターが下りる。
麺がおちる。
デジカメに残る麺が落ちて驚いた長門さんの顔。
長門「……ソバ嫌い」
長門「そんなはずがない……気のせい」
朝倉「じゃあ撮るね。長門さん構えて」
長門「構えた」
PiPiカシャ――
シャッターが下りる。
麺がおちる。
デジカメに残る麺が落ちて驚いた長門さんの顔。
長門「……ソバ嫌い」
86: 2008/05/06(火) 02:11:01.92 ID:HvUF7cl90
朝倉「長門さんもう一回頑張ろう」
喜緑「朝倉さん。あの、カメラを貸していただけますか?」
朝倉「いいけど、どうするの? 情報操作は駄目よ。念写とかそういうのは」
喜緑「念写には情報操作は使いません」
朝倉「念写には……?」
喜緑「長門さん、朝倉さん。もう少し近くに」
長門「これでいい?」
喜緑「朝倉さん麺を箸で掴んでください」
喜緑「朝倉さん。あの、カメラを貸していただけますか?」
朝倉「いいけど、どうするの? 情報操作は駄目よ。念写とかそういうのは」
喜緑「念写には情報操作は使いません」
朝倉「念写には……?」
喜緑「長門さん、朝倉さん。もう少し近くに」
長門「これでいい?」
喜緑「朝倉さん麺を箸で掴んでください」
87: 2008/05/06(火) 02:17:23.36 ID:HvUF7cl90
朝倉「いいけど……どうするの?」
喜緑「長門さん。そのまま、朝倉さんのそばを食べちゃってください」
長門「……わかった」
PiPiカシャ――
喜緑「情報操作。デジタルカメラをポラロイドカメラモードに情報変更」
――シャッ
一枚の写真が喜緑さんの手元に現れる。
私のソバを長門さんが食べているところの写真――
写真には吹き出しが書かれていた。
すなわち
朝倉「あーん」
長門「わーい」
喜緑「長門さん。そのまま、朝倉さんのそばを食べちゃってください」
長門「……わかった」
PiPiカシャ――
喜緑「情報操作。デジタルカメラをポラロイドカメラモードに情報変更」
――シャッ
一枚の写真が喜緑さんの手元に現れる。
私のソバを長門さんが食べているところの写真――
写真には吹き出しが書かれていた。
すなわち
朝倉「あーん」
長門「わーい」
89: 2008/05/06(火) 02:23:58.30 ID:HvUF7cl90
朝倉「ちょっと!」
喜緑「大丈夫です、情報操作は写真のプリントアウトとコメントの書き足し西か使っていません。
お父様への報告ならば問題はありません」
朝倉「そっちじゃないわ」
長門「……私は嫌じゃない。あなたは嫌だった?」
朝倉「……嫌じゃなかったけど」
長門「ソバが伸びる前に食べさせて欲しい。私がもっと上手く箸を使えるようになるまで」
喜緑「大丈夫です、情報操作は写真のプリントアウトとコメントの書き足し西か使っていません。
お父様への報告ならば問題はありません」
朝倉「そっちじゃないわ」
長門「……私は嫌じゃない。あなたは嫌だった?」
朝倉「……嫌じゃなかったけど」
長門「ソバが伸びる前に食べさせて欲しい。私がもっと上手く箸を使えるようになるまで」
92: 2008/05/06(火) 02:31:31.87 ID:HvUF7cl90
食べさせる!?
え、それってあーんってやるの?
喜緑「本当に仲がよろしいんですね」
長門「いい」
朝倉「じゃあ、その長門さん口あけて」
――あーんなんて言えるわけない。
でも、いつかきっと……
え、それってあーんってやるの?
喜緑「本当に仲がよろしいんですね」
長門「いい」
朝倉「じゃあ、その長門さん口あけて」
――あーんなんて言えるわけない。
でも、いつかきっと……
94: 2008/05/06(火) 02:35:50.59 ID:HvUF7cl90
古泉父の日記抜粋
3月14日
最近一樹の様子がおかしい。
本人は眠れないんです。大丈夫です。と平静を装うがうなされ方が尋常ではない。
悪い夢を見ているようだ。
寝言もいつも決まって「巨人が……巨人が……」と呟いている。
一樹は野球に興味はなかったはずだが……心配だ。
3月14日
最近一樹の様子がおかしい。
本人は眠れないんです。大丈夫です。と平静を装うがうなされ方が尋常ではない。
悪い夢を見ているようだ。
寝言もいつも決まって「巨人が……巨人が……」と呟いている。
一樹は野球に興味はなかったはずだが……心配だ。
97: 2008/05/06(火) 02:40:37.73 ID:HvUF7cl90
4月7日
古父「一樹……巨人がどうかしたのか?」
一樹「巨人? 何のことです?」
古父「お前。毎晩うなされてるだろう?」
一樹「……知ってたんですか。父さん。実は……最近」
古父「まあ、待て。最近野球が好きになったんだろ?」
一樹「え?」
古父「父さん野球部も悪くないと思うぞ?」
古父「一樹……巨人がどうかしたのか?」
一樹「巨人? 何のことです?」
古父「お前。毎晩うなされてるだろう?」
一樹「……知ってたんですか。父さん。実は……最近」
古父「まあ、待て。最近野球が好きになったんだろ?」
一樹「え?」
古父「父さん野球部も悪くないと思うぞ?」
98: 2008/05/06(火) 02:44:13.34 ID:HvUF7cl90
古父「最近負けっぱなしだもんなぁ。巨人」
一樹「ええ……(そうなんだ、野球なんてやった事ないしなぁ」
古父「今度一緒に応援にでも行くか? 父さん仕事くらい休んでいいんだから」
一樹「父さん……」
古父「いつでもいいぞ。チケットとってやるから一緒に行こう。母さんと」
一樹「ありがとうございます」
一樹「ええ……(そうなんだ、野球なんてやった事ないしなぁ」
古父「今度一緒に応援にでも行くか? 父さん仕事くらい休んでいいんだから」
一樹「父さん……」
古父「いつでもいいぞ。チケットとってやるから一緒に行こう。母さんと」
一樹「ありがとうございます」
99: 2008/05/06(火) 02:53:22.55 ID:HvUF7cl90
古泉の部屋にて
古泉「困ったなぁ。野球の事なんて何にも知らないし。というか4月って試合やってるのかな?(やってるの?1は興味ないからしらね)
まあテキトーな日取りを見つけて一緒に言ってもらおう」
試合の日(7月七日じゃなきゃ何時でもいいわ)
古父「ああ、ここだここだ。さあ座ろうか」
古泉(あれ、ここって対戦相手の応援席じゃないかな……まぁいいか遠出させちゃったし)
古母「一樹。あなた野球部に入るの?」
古泉「入りませんよ。見るだけです」
古泉「困ったなぁ。野球の事なんて何にも知らないし。というか4月って試合やってるのかな?(やってるの?1は興味ないからしらね)
まあテキトーな日取りを見つけて一緒に言ってもらおう」
試合の日(7月七日じゃなきゃ何時でもいいわ)
古父「ああ、ここだここだ。さあ座ろうか」
古泉(あれ、ここって対戦相手の応援席じゃないかな……まぁいいか遠出させちゃったし)
古母「一樹。あなた野球部に入るの?」
古泉「入りませんよ。見るだけです」
100: 2008/05/06(火) 02:58:28.55 ID:HvUF7cl90
試合が始まりそれなりに時間がたって
古父「父さん。なんか食べ物買ってくるな」
古樹「僕も――」
古父「いいって。試合見てなさい」
息子を制止し、すぐに売店に向かう(あるの?)自分のバカさ加減が嫌になる。
今の今まで巨人の応援席だと思っていたところが敵軍の応援席だったなんて。
一樹は多分すぐに気が付いただろう。
あの子は優しいから――
――だからっ!! そっちがぶつかって来たんでしょ。その子にあやまりなさいよっ!
威勢のいい女の子の声で私はハッとした。
古父「父さん。なんか食べ物買ってくるな」
古樹「僕も――」
古父「いいって。試合見てなさい」
息子を制止し、すぐに売店に向かう(あるの?)自分のバカさ加減が嫌になる。
今の今まで巨人の応援席だと思っていたところが敵軍の応援席だったなんて。
一樹は多分すぐに気が付いただろう。
あの子は優しいから――
――だからっ!! そっちがぶつかって来たんでしょ。その子にあやまりなさいよっ!
威勢のいい女の子の声で私はハッとした。
103: 2008/05/06(火) 03:03:53.12 ID:HvUF7cl90
声がしたほうを見ると小学生か中学生位の女の子が若い男にタンカを切っていた。
女の子「私見てたんだからね! ぶつかってきたのはアンタのほうよ! その子に謝りなさいって言ってるの!!」
若い男「なんだと! ガキがしゃしゃり出て来やがって!」
女の子のそばには5歳くらいの男の子がヒックヒックと泣いている。
全く……情けない。
古父「何をしとるのかね君は?」
私もしゃしゃりださせてもらうことにした。
女の子「私見てたんだからね! ぶつかってきたのはアンタのほうよ! その子に謝りなさいって言ってるの!!」
若い男「なんだと! ガキがしゃしゃり出て来やがって!」
女の子のそばには5歳くらいの男の子がヒックヒックと泣いている。
全く……情けない。
古父「何をしとるのかね君は?」
私もしゃしゃりださせてもらうことにした。
104: 2008/05/06(火) 03:10:10.70 ID:HvUF7cl90
(まあとにかく古泉覚醒前なら何月でもいいんだ)
若い男「なんだ? アンタ?」
古父 「誰でもいい。いい加減そのだみ声を黙らせてくれないか? 」
若い男「ああ? 事情もしらねえのにしゃしゃりでてくんじゃねーよ。なぐんぞおっさん」
古父 「殴るといい。殴って困るのは私ではないからね」
周りで見ていた大人たちの空気がが私の方についてくれたのがわかったのか男は罰が悪そうな顔をした。
若い男「糞ガキがっ!」
男は吐き捨ててその場を去っていった。
古父「大丈夫かい? お譲ちゃん」
女の子「事情も知らないのにしゃしゃり出てこないでよっ!おじさん」
若い男「なんだ? アンタ?」
古父 「誰でもいい。いい加減そのだみ声を黙らせてくれないか? 」
若い男「ああ? 事情もしらねえのにしゃしゃりでてくんじゃねーよ。なぐんぞおっさん」
古父 「殴るといい。殴って困るのは私ではないからね」
周りで見ていた大人たちの空気がが私の方についてくれたのがわかったのか男は罰が悪そうな顔をした。
若い男「糞ガキがっ!」
男は吐き捨ててその場を去っていった。
古父「大丈夫かい? お譲ちゃん」
女の子「事情も知らないのにしゃしゃり出てこないでよっ!おじさん」
105: 2008/05/06(火) 03:13:59.88 ID:HvUF7cl90
古父「あ、えっと、ゴメンよ」
私は、つい反射的に謝ってしまった。
女の子「あーもー。何でそこで謝るのよっ!!! ちょっとこっちにきてっ!」
女の子は私の袖をグイと掴むと予想以上の力で私を引っ張った。
女の子「あ、ちょっと待ってて!わたしその子送っていかなきゃいけないから! 逃げたら氏刑だからね!」
私は、つい反射的に謝ってしまった。
女の子「あーもー。何でそこで謝るのよっ!!! ちょっとこっちにきてっ!」
女の子は私の袖をグイと掴むと予想以上の力で私を引っ張った。
女の子「あ、ちょっと待ってて!わたしその子送っていかなきゃいけないから! 逃げたら氏刑だからね!」
109: 2008/05/06(火) 03:17:34.44 ID:HvUF7cl90
三分ほどたった後だった。女の子が戻ってきたのは。
女の子「何でじっとしてるのよ」
古父 「お譲ちゃんが待てって言うからだろう?」
女の子「そのお譲ちゃんって言うのもやめて」
古父 「だって名前を知らないんだから」
ハルヒ「……ハルヒ」
古父 「え?」
ハルヒ「涼宮ハルヒよ!」
女の子「何でじっとしてるのよ」
古父 「お譲ちゃんが待てって言うからだろう?」
女の子「そのお譲ちゃんって言うのもやめて」
古父 「だって名前を知らないんだから」
ハルヒ「……ハルヒ」
古父 「え?」
ハルヒ「涼宮ハルヒよ!」
111: 2008/05/06(火) 03:25:10.14 ID:HvUF7cl90
ハルヒ「アンタ、名前は?」
古父 「正義の味方改めバカな父親一号にでもしておいてくれ」
ハルヒ「……バカじゃないの?」
古父 「ハハハ。厳しいなぁ。まあバカなんだけどね。巨人の応援にきたら敵軍の応援席に座っちゃうし……」
ハルヒ「バッカじゃないの」
さっきとはニュアンスの違う言い方だった。
古父 「ところで君は一人かい?」
ハルヒ「なに、アンタ? ナンパ?」
古父 「生憎愛する妻と子どもがいるよ」
ハルヒ「ふーんその子どもも大変ね」
古父 「正義の味方改めバカな父親一号にでもしておいてくれ」
ハルヒ「……バカじゃないの?」
古父 「ハハハ。厳しいなぁ。まあバカなんだけどね。巨人の応援にきたら敵軍の応援席に座っちゃうし……」
ハルヒ「バッカじゃないの」
さっきとはニュアンスの違う言い方だった。
古父 「ところで君は一人かい?」
ハルヒ「なに、アンタ? ナンパ?」
古父 「生憎愛する妻と子どもがいるよ」
ハルヒ「ふーんその子どもも大変ね」
113: 2008/05/06(火) 03:32:18.29 ID:HvUF7cl90
ハルヒ「まぁいいわ。私は一人よ。たまにねここに野球場にくんの。自分を見失わないようにね」
古父 「自分を見失う?」
ハルヒ「私ね、変わってんのよ」
古父「そうだろうねぇ」
ハルヒ「他人にはとやかく言われるけど私は今の自分を曲げるつもりはない。
でも、やっぱり曲げられちゃそうになる時がある。そんなときにここに来るの。スタートラインだから。ここは」
古父「ほう」
ハルヒ「ところでオジサンの息子ってどんな子?」
古父「いい子だよ。今度から中学生になるんだが、最近野球に興味を持ち始めたらしい」
ハルヒ「ふうん。同い年か……じゃあオジサン私もう行くわ。それと、助けてくれてアリガト」
お礼をちゃんと言うのが恥ずかしかったのか彼女は走って去っていった
古父 「自分を見失う?」
ハルヒ「私ね、変わってんのよ」
古父「そうだろうねぇ」
ハルヒ「他人にはとやかく言われるけど私は今の自分を曲げるつもりはない。
でも、やっぱり曲げられちゃそうになる時がある。そんなときにここに来るの。スタートラインだから。ここは」
古父「ほう」
ハルヒ「ところでオジサンの息子ってどんな子?」
古父「いい子だよ。今度から中学生になるんだが、最近野球に興味を持ち始めたらしい」
ハルヒ「ふうん。同い年か……じゃあオジサン私もう行くわ。それと、助けてくれてアリガト」
お礼をちゃんと言うのが恥ずかしかったのか彼女は走って去っていった
116: 2008/05/06(火) 03:38:40.87 ID:HvUF7cl90
ハルヒなる少女と別れたあと私は適当に飲み物を見繕って、応援席へと戻った。
古泉「ご苦労様です。父さん」
古母「遅かったわね。あなた」
古父「いやー。道に迷ってしまってね。ゴメン」
妙な少女との事は結局話さなかった。
それからしばらくして。
巨人は試合に勝った。
まわりの人間たちは浮かない顔。
一樹はと言えば嬉しそうな顔……はしていなかった。
顔は笑っているがどこかつまらなそうにしていた。
そうだよな。敵軍じゃ笑えないよな。
ごめんな。
古泉「ご苦労様です。父さん」
古母「遅かったわね。あなた」
古父「いやー。道に迷ってしまってね。ゴメン」
妙な少女との事は結局話さなかった。
それからしばらくして。
巨人は試合に勝った。
まわりの人間たちは浮かない顔。
一樹はと言えば嬉しそうな顔……はしていなかった。
顔は笑っているがどこかつまらなそうにしていた。
そうだよな。敵軍じゃ笑えないよな。
ごめんな。
117: 2008/05/06(火) 03:42:21.12 ID:HvUF7cl90
古泉「父さん今日はありがとうございました」
古父「今日はごめんな。一樹」
古泉「え?」
古父「敵軍だったなぁ。父さんこういうことに疎いから……ごめんな」
古泉「いいんです。仕事休んでまで連れて来てくれて僕は嬉しかったです」
古父「今日はごめんな。一樹」
古泉「え?」
古父「敵軍だったなぁ。父さんこういうことに疎いから……ごめんな」
古泉「いいんです。仕事休んでまで連れて来てくれて僕は嬉しかったです」
119: 2008/05/06(火) 03:45:47.13 ID:HvUF7cl90
父さんに野球に連れて行ってもらった日。
どういうわけか……巨人の夢をみなかった。
ビルを殴り倒す青い光の巨人の夢。
それと戦う赤い光。
何日も見続けたその夢を、僕はその日見なかった。
その日、何日かぶりに僕は熟睡できた気がする。
どういうわけか……巨人の夢をみなかった。
ビルを殴り倒す青い光の巨人の夢。
それと戦う赤い光。
何日も見続けたその夢を、僕はその日見なかった。
その日、何日かぶりに僕は熟睡できた気がする。
120: 2008/05/06(火) 03:49:51.08 ID:HvUF7cl90
上級生1「なぁ君、君。サッカー部に入らないか!」
上級生2「いーや。その身長を生かしてバスケ部にっ!」
上級生3「身長生かすならバレーに決まっている!!!」
そんな風な勧誘をようやく受けるようになるくらい、中学に慣れ始めた頃、
僕はどの部活に入ろうか悩んでいた。 いや、正確には部活をやるかどうかを悩んでいた。
なぜだか、自分がやるべきことは他にあるようなそんな気がしてならなかったのだ。
上級生2「いーや。その身長を生かしてバスケ部にっ!」
上級生3「身長生かすならバレーに決まっている!!!」
そんな風な勧誘をようやく受けるようになるくらい、中学に慣れ始めた頃、
僕はどの部活に入ろうか悩んでいた。 いや、正確には部活をやるかどうかを悩んでいた。
なぜだか、自分がやるべきことは他にあるようなそんな気がしてならなかったのだ。
122: 2008/05/06(火) 03:53:51.40 ID:HvUF7cl90
中学に入ったら部活は必ずやる!
そう決めていたはずなのに。
原因はわかっている。あの、わけのわからない夢だ。
そもそもあれは夢なのか? そんな風な疑問が頭に浮かんでくる。
それ自体が異常だ。
今はまだいい。自分が異常だと自覚しているから。
だけどもし、自覚が失われてしまったら?
まさか――あの閉鎖空間にとじこ……
……閉鎖空間? なんだそれは。僕は何を言ってるんだ?
そう決めていたはずなのに。
原因はわかっている。あの、わけのわからない夢だ。
そもそもあれは夢なのか? そんな風な疑問が頭に浮かんでくる。
それ自体が異常だ。
今はまだいい。自分が異常だと自覚しているから。
だけどもし、自覚が失われてしまったら?
まさか――あの閉鎖空間にとじこ……
……閉鎖空間? なんだそれは。僕は何を言ってるんだ?
123: 2008/05/06(火) 03:59:58.18 ID:HvUF7cl90
体育教師「予定していた通りスポーツテストを行う。A組は握力、B組みは反復横跳び……E組はシャトルラン
以下ローテーションだ。何か質問は? よし無いな。はじめ」
古泉「僕はシャトルランからか……頭痛いのに大丈夫かな」
以下ローテーションだ。何か質問は? よし無いな。はじめ」
古泉「僕はシャトルランからか……頭痛いのに大丈夫かな」
125: 2008/05/06(火) 04:04:01.63 ID:HvUF7cl90
PiPiPi
徐々に上がっていく電子音に体が悲鳴を上げる。
頭が……割れる。
足を、足を止めろ。
もういい。足を、足を、……足が止まらない。
息が、出来ない。駄目だ駄目だ。今倒れたら閉鎖空間に
違う、そんなもの僕は知らない。
倒れちゃ駄目だ。
足を止める。止めるんだ。
――ッ
徐々に上がっていく電子音に体が悲鳴を上げる。
頭が……割れる。
足を、足を止めろ。
もういい。足を、足を、……足が止まらない。
息が、出来ない。駄目だ駄目だ。今倒れたら閉鎖空間に
違う、そんなもの僕は知らない。
倒れちゃ駄目だ。
足を止める。止めるんだ。
――ッ
126: 2008/05/06(火) 04:09:20.05 ID:HvUF7cl90
保健医「お前バカか!!」
古泉 「ハイ……すいません」
目の前の女が何かを言っている。
ここは保健室らしい。
色は普通。閉鎖空間じゃない。
保険医「シャトルランで無理なんかするもんじゃないそ?」
古泉 「はい、すいません」
保険医「何回走しったんだ?」
古泉 「わかりません」
保険医「おい、お前どこ見――ガーが―」
ノイズが走る。脳みそ自体を殴られるような感覚。
古泉「あ、がっ……」
古泉 「ハイ……すいません」
目の前の女が何かを言っている。
ここは保健室らしい。
色は普通。閉鎖空間じゃない。
保険医「シャトルランで無理なんかするもんじゃないそ?」
古泉 「はい、すいません」
保険医「何回走しったんだ?」
古泉 「わかりません」
保険医「おい、お前どこ見――ガーが―」
ノイズが走る。脳みそ自体を殴られるような感覚。
古泉「あ、がっ……」
128: 2008/05/06(火) 04:16:49.39 ID:HvUF7cl90
神人、涼宮ハルヒ、壊す、世界を覆う。
僕は狩る。神人を。出来る。今日××に閉鎖空間が現れる。
行かなくては。そこに。
僕は目を覚ました。
心配する父親の顔。
古泉「父さん。僕を××につれていって欲しいんだ」
古父「お前自分が、どういう状況にいるのかわかっているのか?」
古泉「わかっています。少なくとも今までよりは」
古父「三日も寝てたんだぞ!」
古泉「大丈夫です。もううなされる事はありません。少なくともうなされる事は」
僕は狩る。神人を。出来る。今日××に閉鎖空間が現れる。
行かなくては。そこに。
僕は目を覚ました。
心配する父親の顔。
古泉「父さん。僕を××につれていって欲しいんだ」
古父「お前自分が、どういう状況にいるのかわかっているのか?」
古泉「わかっています。少なくとも今までよりは」
古父「三日も寝てたんだぞ!」
古泉「大丈夫です。もううなされる事はありません。少なくともうなされる事は」
130: 2008/05/06(火) 04:21:23.50 ID:HvUF7cl90
古父「しかし……」
古泉「父さんが連れて行ってくれないなら僕一人で行きます」
いいながら、僕はもう一人の自分を感じていた。
いや、もともとの自分か……
狂っている事を自覚していた自分が、必氏に叫んでいる。
「お前は狂っているぞ!!」と
僕は狂ってなんかいない。間違っているのは世界のほ――
「ふざけるな。父さん。止めてください!父さんッ!!」
古泉「父さんが連れて行ってくれないなら僕一人で行きます」
いいながら、僕はもう一人の自分を感じていた。
いや、もともとの自分か……
狂っている事を自覚していた自分が、必氏に叫んでいる。
「お前は狂っているぞ!!」と
僕は狂ってなんかいない。間違っているのは世界のほ――
「ふざけるな。父さん。止めてください!父さんッ!!」
132: 2008/05/06(火) 04:30:39.24 ID:HvUF7cl90
古泉「父さん。××に着いたら先に帰ってくれますか?」
古父「お前。母さんになんて言う……いや。母さんを言い訳にするのはよそう。
一樹。父さんはお前が心配だ。三日も親を心配させておいて先に帰れなんていうもんじゃない」
古泉「それでも僕は――あっ……」
古父「一樹ッ!」
古泉「いや、大丈夫ですよとぅさ――」
「大丈夫なんかじゃない!!」
「お前は!僕じゃない!」
古泉「とう・・・さん。車を引きか……車を止めてください」
「待っ!」
――バタン。
左手が勝手に動いた。足が床を蹴った。
「駄目…・・・だ」
古父「おい!いつ――」
父さんの叫び声は後ろの車のクラクションでかき消された。
古父「お前。母さんになんて言う……いや。母さんを言い訳にするのはよそう。
一樹。父さんはお前が心配だ。三日も親を心配させておいて先に帰れなんていうもんじゃない」
古泉「それでも僕は――あっ……」
古父「一樹ッ!」
古泉「いや、大丈夫ですよとぅさ――」
「大丈夫なんかじゃない!!」
「お前は!僕じゃない!」
古泉「とう・・・さん。車を引きか……車を止めてください」
「待っ!」
――バタン。
左手が勝手に動いた。足が床を蹴った。
「駄目…・・・だ」
古父「おい!いつ――」
父さんの叫び声は後ろの車のクラクションでかき消された。
133: 2008/05/06(火) 04:38:37.22 ID:HvUF7cl90
今度は倒れなかった。
言う事を聞かない足のスピードと夜風がどうしようもなく気持ちが良かった。
息切れもしない。
月並みな表現をするなら翼が生えたようだった。
古泉「ここが閉鎖空間の入り口に間違いない」
声が言う。今そう言ったのは僕じゃない。
手が伸びる。
冷たい寒天に触るような感覚。
弾力のある壁。
さあいこう。夢の続きに。
夢を終わらせに。
古泉「……?」
腕が止まる。まだ、自覚している自分が抵抗している。
古泉「無駄なんですよ。もう。涼宮ハルヒからは逃げられないんです。だから……諦めてください」
声は……嫌だとは言ってくれなかった。
言う事を聞かない足のスピードと夜風がどうしようもなく気持ちが良かった。
息切れもしない。
月並みな表現をするなら翼が生えたようだった。
古泉「ここが閉鎖空間の入り口に間違いない」
声が言う。今そう言ったのは僕じゃない。
手が伸びる。
冷たい寒天に触るような感覚。
弾力のある壁。
さあいこう。夢の続きに。
夢を終わらせに。
古泉「……?」
腕が止まる。まだ、自覚している自分が抵抗している。
古泉「無駄なんですよ。もう。涼宮ハルヒからは逃げられないんです。だから……諦めてください」
声は……嫌だとは言ってくれなかった。
134: 2008/05/06(火) 04:45:26.87 ID:HvUF7cl90
閉鎖空間に入ると一気に夢と現実を突きつけられた。
神人が破壊した瓦礫がまっすぐこちらに飛んでくる。
――右!
古泉「!」
右に飛ぶ。文字どうり飛ぶ。
――新人?
声の主が言う。
古泉「そうです……多分」
――そう。多分か。まぁそうよね。私もそうだった。
古泉「僕は……どうすれば?」
――とりあえず氏なないで
神人が破壊した瓦礫がまっすぐこちらに飛んでくる。
――右!
古泉「!」
右に飛ぶ。文字どうり飛ぶ。
――新人?
声の主が言う。
古泉「そうです……多分」
――そう。多分か。まぁそうよね。私もそうだった。
古泉「僕は……どうすれば?」
――とりあえず氏なないで
137: 2008/05/06(火) 04:55:47.82 ID:HvUF7cl90
氏なないでだって?
冗談じゃない。
この瓦礫の雨のなかを?
新人だとわかるなら保護くらい――
――新人上っ!
咄嗟に身をかわす。
考える時間も与えてくれない。
古泉「何の冗談だよ……これっ!!」
理解できる自分がにくい。
ここは閉鎖空間。敵は神人。
僕は神人を狩る者。
少なくともこれは夢じゃない。
冗談じゃない。
この瓦礫の雨のなかを?
新人だとわかるなら保護くらい――
――新人上っ!
咄嗟に身をかわす。
考える時間も与えてくれない。
古泉「何の冗談だよ……これっ!!」
理解できる自分がにくい。
ここは閉鎖空間。敵は神人。
僕は神人を狩る者。
少なくともこれは夢じゃない。
138: 2008/05/06(火) 05:02:05.37 ID:HvUF7cl90
朝。
ベッドの上。
台所に下りなければいけない時間だ。
僕は昨日どうやって帰った?
父さんにただいまと言ったのは覚えている。
父さんが何かを言っていたのも覚えている。
それで……どうしたんだっけ?
まぁいいや。台所に行けば父さんと母さんがいる
台所
古泉「父さん。昨日は――
??「遅い! 新人!」
父さんがいるべき席には見知らぬ女性が座っていた。
ベッドの上。
台所に下りなければいけない時間だ。
僕は昨日どうやって帰った?
父さんにただいまと言ったのは覚えている。
父さんが何かを言っていたのも覚えている。
それで……どうしたんだっけ?
まぁいいや。台所に行けば父さんと母さんがいる
台所
古泉「父さん。昨日は――
??「遅い! 新人!」
父さんがいるべき席には見知らぬ女性が座っていた。
139: 2008/05/06(火) 05:07:14.26 ID:HvUF7cl90
古泉「ええと、あなたは?」
??「新人。目は覚めてる」
古泉「ええ、多分」
??「新人ちょっとこっちに来て」
古泉「はい」
――パァーン
痛みの次に音が来た。
振り切られた腕を見てようやく頬を叩かれたのだと認識する。
??「新人。あなたの敵は誰?」
古泉「神人ですか?」
??「その原因となっている少女の名前は?」
古泉「涼宮ハルヒ」
??「じゃあ、私の名前は?」
??「新人。目は覚めてる」
古泉「ええ、多分」
??「新人ちょっとこっちに来て」
古泉「はい」
――パァーン
痛みの次に音が来た。
振り切られた腕を見てようやく頬を叩かれたのだと認識する。
??「新人。あなたの敵は誰?」
古泉「神人ですか?」
??「その原因となっている少女の名前は?」
古泉「涼宮ハルヒ」
??「じゃあ、私の名前は?」
141: 2008/05/06(火) 05:14:53.34 ID:HvUF7cl90
古泉「……すいません」
??「もう一度だけ教えてあげる。私の名前は森よ。まあ偽名だけどね。昨日のこと覚えてる?」
古泉「すいません」
森「簡単に言うと、戦闘中にあなたが閉鎖空間に入ってきて足を引っ張って、邪魔だから閉鎖空間の外に追い出されたの。
わかった?」
古泉「すいません」
森「一応聞くけどあなた名前は? あ、本名は駄目よ」
古泉「家に来て置いてそれは――」
森「いいのよ。癖をつけておけば」
古泉「じゃあ古泉で」
??「もう一度だけ教えてあげる。私の名前は森よ。まあ偽名だけどね。昨日のこと覚えてる?」
古泉「すいません」
森「簡単に言うと、戦闘中にあなたが閉鎖空間に入ってきて足を引っ張って、邪魔だから閉鎖空間の外に追い出されたの。
わかった?」
古泉「すいません」
森「一応聞くけどあなた名前は? あ、本名は駄目よ」
古泉「家に来て置いてそれは――」
森「いいのよ。癖をつけておけば」
古泉「じゃあ古泉で」
142: 2008/05/06(火) 05:22:06.25 ID:HvUF7cl90
森「何? 首相の名前?」
古泉「字が違います古い泉です」
森「冗談よ。まぁそれはいいんだけどあなたには選択肢が二つあるわ。大きくわけてね」
古泉「二つですか」
森「そう。一つは『機関』に入り与えられた仕事をこなす。主な仕事内容はわかってるわね?」
古泉「涼宮ハルヒの生み出す神人を狩る」
森「正解。もう一つは逃げる」
古泉「逃げる……ですか?」
森「そう。逃げる」
古泉「字が違います古い泉です」
森「冗談よ。まぁそれはいいんだけどあなたには選択肢が二つあるわ。大きくわけてね」
古泉「二つですか」
森「そう。一つは『機関』に入り与えられた仕事をこなす。主な仕事内容はわかってるわね?」
古泉「涼宮ハルヒの生み出す神人を狩る」
森「正解。もう一つは逃げる」
古泉「逃げる……ですか?」
森「そう。逃げる」
143: 2008/05/06(火) 05:27:29.91 ID:HvUF7cl90
森 「命がかかってるんだから一応ねそー言う選択肢もあるわ。ただし、逃げるからには追いかけるわ」
古泉「それは……」
森 「まあ、私もふざけた話だとは思うけどね。でも大丈夫。
後者を選択した人は数いる『機関』の人間の中でも一人だけだから」
古泉「……」
森 「先輩として忠告してあげる。中途半端に逃げるのなら氏ぬことね。
私にはそれが出来なかったけど、唯一機関が手出しできない逃げ道よ」
古泉「それは……」
森 「まあ、私もふざけた話だとは思うけどね。でも大丈夫。
後者を選択した人は数いる『機関』の人間の中でも一人だけだから」
古泉「……」
森 「先輩として忠告してあげる。中途半端に逃げるのなら氏ぬことね。
私にはそれが出来なかったけど、唯一機関が手出しできない逃げ道よ」
144: 2008/05/06(火) 05:32:45.76 ID:HvUF7cl90
古泉「実行できなかったって……じゃああなたが?」
森 「そうよ? 逃げるを選んだ一人」
古泉「……」
森 「最初に『機関』に来たときはここは狂ってると思ったわ。私たちに鎖を繋いだ女を神様扱い。
そいつのストレス発散に命をかけてる連中。
私はね、どこかのスラムの生まれじゃないから命を懸けてまで欲しいものなんて無いの。
わかる? 私の気持ち。それともあなたも狂ってるクチ?」
古泉「僕は……」
森 「そうよ? 逃げるを選んだ一人」
古泉「……」
森 「最初に『機関』に来たときはここは狂ってると思ったわ。私たちに鎖を繋いだ女を神様扱い。
そいつのストレス発散に命をかけてる連中。
私はね、どこかのスラムの生まれじゃないから命を懸けてまで欲しいものなんて無いの。
わかる? 私の気持ち。それともあなたも狂ってるクチ?」
古泉「僕は……」
145: 2008/05/06(火) 05:40:40.52 ID:HvUF7cl90
古泉「僕は……僕にはまだ、わかりません」
森 「子どもみたいな答えね。君いくつ? ああ、誤魔化しても誤魔化さなくてもいいわよ。
『機関』ならいくらでも調べられるし別に興味も無いしね」
古泉「今、中学一年生ですかね」
森 「あら……ホントに子どもだった。ふーん彼女と同じ歳なんだ」
古泉「それが……どうかしましたか?」
森 「いいえ、なんでもないわ。ただちょっと大変そうだなと思っただけ」
森 「子どもみたいな答えね。君いくつ? ああ、誤魔化しても誤魔化さなくてもいいわよ。
『機関』ならいくらでも調べられるし別に興味も無いしね」
古泉「今、中学一年生ですかね」
森 「あら……ホントに子どもだった。ふーん彼女と同じ歳なんだ」
古泉「それが……どうかしましたか?」
森 「いいえ、なんでもないわ。ただちょっと大変そうだなと思っただけ」
147: 2008/05/06(火) 05:45:10.83 ID:HvUF7cl90
森 「まあいいわ。逃げる気が無いって言うのなら話は別。今から指定する場所に来て。もちろん一人でね」
古泉「わかりました」
森 「一応言う決まりだから言うけど、あなたが加入する組織は巨大で狂ってる。一人でと言われれば――」
古泉 「一人で行きますよ」
森 「まぁ、私は反応的なくらいが好みなんだけど」
古泉 「あなたの好みは聞いていません」
古泉「わかりました」
森 「一応言う決まりだから言うけど、あなたが加入する組織は巨大で狂ってる。一人でと言われれば――」
古泉 「一人で行きますよ」
森 「まぁ、私は反応的なくらいが好みなんだけど」
古泉 「あなたの好みは聞いていません」
149: 2008/05/06(火) 05:51:26.01 ID:HvUF7cl90
森 「……」
古泉「こういう答え方をする人間が好みとは……理解に苦しみますね」
森 「ふぅん。君ってなかなかイイ性格してるのね。
ところで、両親の事とか気にならないの?」
古泉「気になりますが、あなたの言う『機関』が危害を加えるとは考えにくいでしょう?
今からともに戦う相手をそんな手段で拘束するわけが無い。
もしそんな手を使っているのなら、仲間うちで手を組まれると厄介ですしね」
森 「まぁ、正解よ。各自寝室でゆっくり眠ってもらってるわ」
古泉「こういう答え方をする人間が好みとは……理解に苦しみますね」
森 「ふぅん。君ってなかなかイイ性格してるのね。
ところで、両親の事とか気にならないの?」
古泉「気になりますが、あなたの言う『機関』が危害を加えるとは考えにくいでしょう?
今からともに戦う相手をそんな手段で拘束するわけが無い。
もしそんな手を使っているのなら、仲間うちで手を組まれると厄介ですしね」
森 「まぁ、正解よ。各自寝室でゆっくり眠ってもらってるわ」
150: 2008/05/06(火) 05:55:49.85 ID:HvUF7cl90
森 「じゃあ、また後日」
古泉 「ええ、わかりました。」
森 「最後に、申し訳ないけど後ろを向いてもらえる?」
古泉 「なぜですか?」
森 「気を失ってもらう必要があるから」
古泉「わかりました」
僕は言われたとおりに後ろを向き、気になっていた一言を口にする。
古泉 「ええ、わかりました。」
森 「最後に、申し訳ないけど後ろを向いてもらえる?」
古泉 「なぜですか?」
森 「気を失ってもらう必要があるから」
古泉「わかりました」
僕は言われたとおりに後ろを向き、気になっていた一言を口にする。
151: 2008/05/06(火) 06:07:57.11 ID:HvUF7cl90
古泉「あの時……右だと警告してくれたのはあなたですか?」
森 「そうよ」
古泉「二度目の時も?」
森 「ええ」
古泉 「最後の質問です。 逃げるを選んだ一人は本当にあなたですか?」
森 「なぜそう思うの?」
古泉「昨日のあの戦い。僕が覚えている限り、決して楽ではなかったはずです」
森 「そうね。足手まといもいたしね」
古泉「そんななか、あなたは僕を助ける……少なくとも気にするだけの余力があった」
森 「それで」
古泉 「あなたが『機関』の中で地位が低いのならそんなことは出来ません。
理由は簡単です。神人を狩るのがおもな仕事なら、強者が上に行くはずだから。
逆に『機関』があなたの言うとおり狂っているのなら逃げるを選んだあなたが
前線で戦えるはずが無い。いくら強者でもいつ裏切るかわからない人間と一緒には戦えない
少なくとも僕は嫌です」
森 「そうよ」
古泉「二度目の時も?」
森 「ええ」
古泉 「最後の質問です。 逃げるを選んだ一人は本当にあなたですか?」
森 「なぜそう思うの?」
古泉「昨日のあの戦い。僕が覚えている限り、決して楽ではなかったはずです」
森 「そうね。足手まといもいたしね」
古泉「そんななか、あなたは僕を助ける……少なくとも気にするだけの余力があった」
森 「それで」
古泉 「あなたが『機関』の中で地位が低いのならそんなことは出来ません。
理由は簡単です。神人を狩るのがおもな仕事なら、強者が上に行くはずだから。
逆に『機関』があなたの言うとおり狂っているのなら逃げるを選んだあなたが
前線で戦えるはずが無い。いくら強者でもいつ裏切るかわからない人間と一緒には戦えない
少なくとも僕は嫌です」
153: 2008/05/06(火) 06:17:01.40 ID:HvUF7cl90
古泉 「これが決めてですが、あなたがここにいることです」
森 「?」
古泉 「逃げるを選択した人間が勧誘員? そんなのおかしいでしょう。
あなたが『機関』によほどひどい目に合わされたのならともかく……
少なくとも、僕はあなたからそんな印象は受けませんでしたよ」
森 「そう。それで、推理は終わったの?」
古泉「ええ、助けていただきありがとうございました」
森 「あなたにしかわからない方法で場所は指定する。じゃあ、おやすみ」
――シャッ
意識が飛ぶ。
森さんが誰かと電話している声が聞こえた気がする。
この日。僕が『機関』へと加入した正式な日付となった。
154: 2008/05/06(火) 06:19:21.92 ID:HvUF7cl90
よし。一応機関にはねじ込んだな。
でも、朝倉も出るって書いちゃったし、古泉に「氏のう」とも言わせてないしなぁ。
まぁ一応区切りだから、寝たい人は寝ればいいと思うんだ
でも、朝倉も出るって書いちゃったし、古泉に「氏のう」とも言わせてないしなぁ。
まぁ一応区切りだから、寝たい人は寝ればいいと思うんだ
155: 2008/05/06(火) 06:26:46.74 ID:HvUF7cl90
7月7日
この日は七夕と言って短冊に願いを吊るし、願いをかなえてもらうのだそうだ。
私、朝倉涼子は最、相手をしてくれない長門さんに相手をしてもらいたいなーなんて思ってみたりしている。
最近の長門さんは本に夢中で、私は本に嫉妬をしているらしい。
この日は七夕と言って短冊に願いを吊るし、願いをかなえてもらうのだそうだ。
私、朝倉涼子は最、相手をしてくれない長門さんに相手をしてもらいたいなーなんて思ってみたりしている。
最近の長門さんは本に夢中で、私は本に嫉妬をしているらしい。
156: 2008/05/06(火) 06:31:54.10 ID:HvUF7cl90
最近長門さんが読んでいた本で私が納得いかなかった物は走れ○ロスだ。
なぜ妹の結婚を控えた体で暴君にナイフを突きつけるのか。
他にも色々と言いたい所はあったのだけど、長門さんがこの本はユニーク
と言うから特に何もいえない。
肝心の彼女は急遽パパに呼び出されて、私は一人暇を持て余している。
なぜ妹の結婚を控えた体で暴君にナイフを突きつけるのか。
他にも色々と言いたい所はあったのだけど、長門さんがこの本はユニーク
と言うから特に何もいえない。
肝心の彼女は急遽パパに呼び出されて、私は一人暇を持て余している。
173: 2008/05/06(火) 12:21:37.75 ID:HvUF7cl90
今まで急に呼び出されることなんて無かったのに……
私は、何かが壊れていくような、そんな気がしてならなかった。
朝倉「どうしちゃったのかしらね」
私は長門さんと食べた素麺の器を洗剤で洗いながら、彼女の帰りを待っていた。
――ブ、ガガガ、ギー
部屋全体にひどいノイズが走る。
ガギガガガガギーガーゴゴーガー
――ノイズ?
そんな優しいものじゃないこれは……情報の地震っ?
私は、何かが壊れていくような、そんな気がしてならなかった。
朝倉「どうしちゃったのかしらね」
私は長門さんと食べた素麺の器を洗剤で洗いながら、彼女の帰りを待っていた。
――ブ、ガガガ、ギー
部屋全体にひどいノイズが走る。
ガギガガガガギーガーゴゴーガー
――ノイズ?
そんな優しいものじゃないこれは……情報の地震っ?
174: 2008/05/06(火) 12:27:44.73 ID:HvUF7cl90
まばゆい光が、部屋全体を覆った。
目なんか、空けていられる筈がない。
――パパと同期をっ。
急いで情報の手を出す。
早く。早くっ。
必氏で呼びかけるが、情報統合思念体からの返事はない。
ちょっと。どうなってるのよこれっ!!
――ドサッ
何かが近くに落ちる音がした。
私は身をかがめ、這いつくばって落ちた何かを探す。
目なんか、空けていられる筈がない。
――パパと同期をっ。
急いで情報の手を出す。
早く。早くっ。
必氏で呼びかけるが、情報統合思念体からの返事はない。
ちょっと。どうなってるのよこれっ!!
――ドサッ
何かが近くに落ちる音がした。
私は身をかがめ、這いつくばって落ちた何かを探す。
175: 2008/05/06(火) 12:30:56.47 ID:HvUF7cl90
柔らかい人間の感触が私の手に触れる。
朝倉「な、長門さん?」
返事は無いがこの柔らかさは長門さんしかいない。
朝倉「ねえ、ちょっと!? 大丈夫? 長門さん?」
視力が戻らない。
不安だ。不安で仕方が無い。
朝倉「長門さん!? 長門さんってば!!」
朝倉「な、長門さん?」
返事は無いがこの柔らかさは長門さんしかいない。
朝倉「ねえ、ちょっと!? 大丈夫? 長門さん?」
視力が戻らない。
不安だ。不安で仕方が無い。
朝倉「長門さん!? 長門さんってば!!」
176: 2008/05/06(火) 12:36:47.81 ID:HvUF7cl90
――ピクリ。
何かが私の頬に触れた。
すぐには何か私にはわからなかった。
長門「へ……いき」
朝倉「な……がとさん」
長門「緊急時の空間転送にこのインターフェースが耐えられなかっただけ。
問題、ない。だから、泣かないで」
朝倉「泣いてなんかない……泣いてなんか無いから」
長門「そう」
何かが私の頬に触れた。
すぐには何か私にはわからなかった。
長門「へ……いき」
朝倉「な……がとさん」
長門「緊急時の空間転送にこのインターフェースが耐えられなかっただけ。
問題、ない。だから、泣かないで」
朝倉「泣いてなんかない……泣いてなんか無いから」
長門「そう」
177: 2008/05/06(火) 12:42:50.33 ID:HvUF7cl90
長門「緊急事態……あなたは部屋で待機していて」
朝倉「そんな、あなたこんなにグッタリしてるのに!」
長門「今……情報統合思念体と同期している。問題ない」
朝倉「でも……」
長門「これは情報統合思念体からの支持。あなたは従うべき」
朝倉「……」
長門「終わったら連絡する。だから」
朝倉「……わかった」
朝倉「そんな、あなたこんなにグッタリしてるのに!」
長門「今……情報統合思念体と同期している。問題ない」
朝倉「でも……」
長門「これは情報統合思念体からの支持。あなたは従うべき」
朝倉「……」
長門「終わったら連絡する。だから」
朝倉「……わかった」
181: 2008/05/06(火) 13:04:15.37 ID:HvUF7cl90
朝倉「あーもう。パパのバカ」
私はベッドをバタバタさせながら枕をギュッと抱きしめた。
朝倉「何であんなグッタリになるような方法で空間転送なんて行うのよっ!!!」
――バタンバタン。
朝倉「長門さんに何かあったらただじゃ済まさないわ」
その頃の長門宅
長門「……」
――ピンポーン
長門「……」
キョン「長門有希さんのお宅でしょうか?
私はベッドをバタバタさせながら枕をギュッと抱きしめた。
朝倉「何であんなグッタリになるような方法で空間転送なんて行うのよっ!!!」
――バタンバタン。
朝倉「長門さんに何かあったらただじゃ済まさないわ」
その頃の長門宅
長門「……」
――ピンポーン
長門「……」
キョン「長門有希さんのお宅でしょうか?
182: 2008/05/06(火) 13:08:39.67 ID:HvUF7cl90
その頃の古泉
電話中
古泉「僕です。一時的に急速に拡大していた閉鎖空間は某時刻よりさらにそれを上回る速度で急激に収縮したのち消滅。
指示を願います」
上 「わかった。いつでも出られるような状態にしたまま自宅待機」
古泉「了解いたしました」
電話中
古泉「僕です。一時的に急速に拡大していた閉鎖空間は某時刻よりさらにそれを上回る速度で急激に収縮したのち消滅。
指示を願います」
上 「わかった。いつでも出られるような状態にしたまま自宅待機」
古泉「了解いたしました」
183: 2008/05/06(火) 13:15:52.45 ID:HvUF7cl90
私が自宅で待機し始めて40分ほどすると、長門さんから電話が来た。
内容は『来て』の一言だけ。
まあ、長門さんと言えば長門さんらしい。
長門さんの家のドアを開けるとどういうわけか長門さんが出迎えてくれた。
朝倉「どうしたの珍しい」
長門「どうもしない……」
朝倉「どうもしないって、あなた泣いてるの?」
長門「泣いてなどいない」
まるで逃げるようにして私の胸に飛び込んでくる長門さん
内容は『来て』の一言だけ。
まあ、長門さんと言えば長門さんらしい。
長門さんの家のドアを開けるとどういうわけか長門さんが出迎えてくれた。
朝倉「どうしたの珍しい」
長門「どうもしない……」
朝倉「どうもしないって、あなた泣いてるの?」
長門「泣いてなどいない」
まるで逃げるようにして私の胸に飛び込んでくる長門さん
184: 2008/05/06(火) 13:20:36.13 ID:HvUF7cl90
抱きしめられると言うよりは縋り付かれると言った方がいいかもしれない。
弱弱しい手で私の服を掴んでいる。
朝倉「長門さん? ねえ本当にどうしたの」
長門「なんでもない。少しこうしていれば……すぐ元に戻る」
私がいない40分間に何かがあった。
それは間違いない。
誰かが長門さんを傷つけた。
今の私には知る術がない。
今はただ、彼女を優しく抱きしめてやるだけ。
弱弱しい手で私の服を掴んでいる。
朝倉「長門さん? ねえ本当にどうしたの」
長門「なんでもない。少しこうしていれば……すぐ元に戻る」
私がいない40分間に何かがあった。
それは間違いない。
誰かが長門さんを傷つけた。
今の私には知る術がない。
今はただ、彼女を優しく抱きしめてやるだけ。
186: 2008/05/06(火) 13:38:35.67 ID:HvUF7cl90
長門「もう……平気」
朝倉「あ、そう?」
長門さんの温もりが、腕から離れていく。
ちょっと……残念。
長門「事情を説明する。こっちにきて」
朝倉「あ、そう?」
長門さんの温もりが、腕から離れていく。
ちょっと……残念。
長門「事情を説明する。こっちにきて」
188: 2008/05/06(火) 13:49:05.42 ID:HvUF7cl90
和室。寝ている二人組みの男女
要約すると、未来人が過去にやってきたが、帰れなくなったので長門さんが空間を凍結したと言うことらしいが、
そこのどこに、長門さんを打ちのめすような事があったのか。
今は、いつもと同じようにどこを見ているのかわからないような顔で虚空を見つめている。
長門「今度」
朝倉「ん? 何どうしたの?」
長門「近くで、祭りがあるらしい」
要約すると、未来人が過去にやってきたが、帰れなくなったので長門さんが空間を凍結したと言うことらしいが、
そこのどこに、長門さんを打ちのめすような事があったのか。
今は、いつもと同じようにどこを見ているのかわからないような顔で虚空を見つめている。
長門「今度」
朝倉「ん? 何どうしたの?」
長門「近くで、祭りがあるらしい」
189: 2008/05/06(火) 13:57:28.50 ID:HvUF7cl90
長門「喜緑江美里に教えてもらった。三人で一緒に行かないかと。
一緒に行ってほしい」
朝倉「私と? 」
長門「そう」
朝倉「もちろん。いいけど。三人がそろって出かけるって大丈夫なの?」
一緒に行ってほしい」
朝倉「私と? 」
長門「そう」
朝倉「もちろん。いいけど。三人がそろって出かけるって大丈夫なの?」
190: 2008/05/06(火) 14:04:44.61 ID:HvUF7cl90
長門「問題ない。情報統合思念体の許可は取ってある」
朝倉「あら、そうなの」
長門「喜緑江美里が話をすでに通していた」
朝倉「へぇ。準備がいいのね」
それから数日後。
古泉サイド
電話中
古泉「まずいです。閉鎖空間の出現頻度がこちらの対応に対して早すぎます」
上 「原因はわかっていないのか?」
古泉 「いえ、それがその」
朝倉「あら、そうなの」
長門「喜緑江美里が話をすでに通していた」
朝倉「へぇ。準備がいいのね」
それから数日後。
古泉サイド
電話中
古泉「まずいです。閉鎖空間の出現頻度がこちらの対応に対して早すぎます」
上 「原因はわかっていないのか?」
古泉 「いえ、それがその」
191: 2008/05/06(火) 14:08:14.85 ID:HvUF7cl90
上 「なんだ? はっきり言いなさい」
古泉「実は涼宮ハルヒは人を探しているようなのです」
上 「なん……だと」
古泉「涼宮ハルヒが北高を何度も訪れ、ジョン・スミスなる人物を探しているとの証言を多数収得しております」
上 「ジョン・スミス? 外国人か?」
古泉「実は涼宮ハルヒは人を探しているようなのです」
上 「なん……だと」
古泉「涼宮ハルヒが北高を何度も訪れ、ジョン・スミスなる人物を探しているとの証言を多数収得しております」
上 「ジョン・スミス? 外国人か?」
192: 2008/05/06(火) 14:18:46.69 ID:HvUF7cl90
古泉「いいえ。日本人です。どうやら冗談めかして偽名をつかったようです」
上 「厄介な事をしてくれるものだな」
古泉 「全くです。おそらく、ジョン・スミスなる人物を見つけるか、彼女が諦めてくれるまで、
閉鎖空間の出現は止まらないかと……」
上 「それで、そのジョン・スミスという人物にあたりはついているのか?」
古泉 「今現在調査中とのことです」
上 「そうか」
上 「厄介な事をしてくれるものだな」
古泉 「全くです。おそらく、ジョン・スミスなる人物を見つけるか、彼女が諦めてくれるまで、
閉鎖空間の出現は止まらないかと……」
上 「それで、そのジョン・スミスという人物にあたりはついているのか?」
古泉 「今現在調査中とのことです」
上 「そうか」
195: 2008/05/06(火) 14:32:37.31 ID:HvUF7cl90
広げられる北高生の名簿。
しかもただの名簿ではない。画像や名前はもちろん趣味、友人関係にいたるまで事細かに記されている。
森 「このペースで神人に現れられたら、本気で私たちの命が危ないわ」
古泉 「ジョン・スミスですか。一体何を思ってこんな名前を……」
森 「本当。迷惑極まりないわ」
古泉「今わかっているのは、ジョン・スミスという名前とその男が北高の制服を着ていたこと」
森 「そして、眠りっぱなしの女の子か」
しかもただの名簿ではない。画像や名前はもちろん趣味、友人関係にいたるまで事細かに記されている。
森 「このペースで神人に現れられたら、本気で私たちの命が危ないわ」
古泉 「ジョン・スミスですか。一体何を思ってこんな名前を……」
森 「本当。迷惑極まりないわ」
古泉「今わかっているのは、ジョン・スミスという名前とその男が北高の制服を着ていたこと」
森 「そして、眠りっぱなしの女の子か」
196: 2008/05/06(火) 14:37:42.60 ID:HvUF7cl90
古泉「ジョン・スミスは姉だと称していたそうですが……」
森 「あまりあてにならないわね」
古泉「もう一つ、僕の調査の方で、明らかになったのですが……」
森 「何?」
古泉「ジョン・スミスは北高に織姫と彦星宛にメッセージを送るような人間に心当たりがある。
そんな風に涼宮ハルヒに言ったらしいとの証言が」
森 「ジョン・スミス。眠り続ける少女。涼宮ハルヒに近しい人物」
森 「あまりあてにならないわね」
古泉「もう一つ、僕の調査の方で、明らかになったのですが……」
森 「何?」
古泉「ジョン・スミスは北高に織姫と彦星宛にメッセージを送るような人間に心当たりがある。
そんな風に涼宮ハルヒに言ったらしいとの証言が」
森 「ジョン・スミス。眠り続ける少女。涼宮ハルヒに近しい人物」
198: 2008/05/06(火) 14:42:18.63 ID:HvUF7cl90
それなりに情報は出揃っている。
なのに、条件にヒットする人物が全く出てこない。
本当に、ジョン・スミスは北高に?
でも、そこを疑いだすと候補が多くなりすぎる……
森 「古泉……あのさ」
古泉「はい? なんですか?」
森 「凄く疲れた顔してるけど大丈夫?」
なのに、条件にヒットする人物が全く出てこない。
本当に、ジョン・スミスは北高に?
でも、そこを疑いだすと候補が多くなりすぎる……
森 「古泉……あのさ」
古泉「はい? なんですか?」
森 「凄く疲れた顔してるけど大丈夫?」
199: 2008/05/06(火) 14:50:45.85 ID:HvUF7cl90
古泉「そうですか? でも仕方ありません。
こんな仕事でも、命がかかってますからね」
森 「あのさ……古泉。今度、私とデートしようか?」
無表情で森さんはそんなことを言った。
とても、デートの誘いには見えない
古泉「いいですよ。この件が片付いたらエスコートさせていただきます」
森 「子どもの癖に生意気。エスコートはする必要はないわ。一応仕事だから」
こんな仕事でも、命がかかってますからね」
森 「あのさ……古泉。今度、私とデートしようか?」
無表情で森さんはそんなことを言った。
とても、デートの誘いには見えない
古泉「いいですよ。この件が片付いたらエスコートさせていただきます」
森 「子どもの癖に生意気。エスコートはする必要はないわ。一応仕事だから」
200: 2008/05/06(火) 15:00:15.05 ID:HvUF7cl90
古泉「そうですか。まあ、予想はしていましたけど……」
森 「生意気。まぁいいわ。今度、夏祭りがあるのよ」
古泉 「夏祭りですか」
森 「そう。涼宮ハルヒが浴衣を購入したと言う情報からもその祭りに参加する可能性はきわめて高い」
森 「生意気。まぁいいわ。今度、夏祭りがあるのよ」
古泉 「夏祭りですか」
森 「そう。涼宮ハルヒが浴衣を購入したと言う情報からもその祭りに参加する可能性はきわめて高い」
201: 2008/05/06(火) 15:04:30.07 ID:HvUF7cl90
古泉「そうですね。彼女の性格を考えれば……近場の祭りに参加しないはずが無い」
森 「それに祭りには人も集まるしね。少なくとも涼宮ハルヒはこう考えるでしょうね」
古泉「ジョン・スミスがそこに現れるかもしれないと」
森 「そういうこと。じゃあいこっか」
古泉「行くってどこにですか? 」
森 「ん? デート」
森 「それに祭りには人も集まるしね。少なくとも涼宮ハルヒはこう考えるでしょうね」
古泉「ジョン・スミスがそこに現れるかもしれないと」
森 「そういうこと。じゃあいこっか」
古泉「行くってどこにですか? 」
森 「ん? デート」
202: 2008/05/06(火) 15:12:02.20 ID:HvUF7cl90
それから僕が婦人服衣料の量販店に連れ込まれたのは、
森さんの「デート」発言から一時間後のことだった。
まだ仕事中です。という僕に対し、森さんは「私に恥を書かせる気? あなたはこの時間私の彼氏役だから」
といい、僕をこの店へと引っ張り込んだ。
森さんは女性は買い物が遅いと言う原則からははずれ「じゃあこれ」にしようかなと、
来店から10分もせずに浴衣を選んだが、予想以上に着付けに時間がかかっていた。
森さんの「デート」発言から一時間後のことだった。
まだ仕事中です。という僕に対し、森さんは「私に恥を書かせる気? あなたはこの時間私の彼氏役だから」
といい、僕をこの店へと引っ張り込んだ。
森さんは女性は買い物が遅いと言う原則からははずれ「じゃあこれ」にしようかなと、
来店から10分もせずに浴衣を選んだが、予想以上に着付けに時間がかかっていた。
203: 2008/05/06(火) 15:16:55.82 ID:HvUF7cl90
僕はと言えば、特にやる事もなく女物の洋服をただあてもなく見て回った。
女性の店員さんに「もうすぐ着付けは終わりますが、お茶でもいかかですか?」
と畳を四畳引いたスペースの付近で言われたが遠慮した。
あまり、こういう場所に溶け込むのはよくないと僕は判断したからだ。
女性の店員さんに「もうすぐ着付けは終わりますが、お茶でもいかかですか?」
と畳を四畳引いたスペースの付近で言われたが遠慮した。
あまり、こういう場所に溶け込むのはよくないと僕は判断したからだ。
204: 2008/05/06(火) 15:22:18.51 ID:HvUF7cl90
森 「お待たせ古泉君……どう?」
一瞬自分を見失う。
君をつけられたこともそうだけど、浴衣がとてもよく似合っていたからだ。
古泉「とても、よくお似合いですよ」
素直に、そういうと店員さんの見ていないところでガッと右足を蹴られた。
森 「張り付いた笑顔で棒読みするなっ!」
一瞬自分を見失う。
君をつけられたこともそうだけど、浴衣がとてもよく似合っていたからだ。
古泉「とても、よくお似合いですよ」
素直に、そういうと店員さんの見ていないところでガッと右足を蹴られた。
森 「張り付いた笑顔で棒読みするなっ!」
205: 2008/05/06(火) 15:30:47.40 ID:HvUF7cl90
古泉「違いますよ。本当にそう思ったんです」
森 「ふーん」
古泉「本当ですよ。綺麗です」
森 「……アリガト」
場面は変わり長門サイド
長門「涼宮ハルヒが行動を開始した模様」
朝倉「七夕の日の影響が大きいみたいね」
長門「そう。我々とは違う涼宮ハルヒに選ばれた集団が暗躍していると言う報告も受けている」
朝倉「例の閉鎖空間に入れる連中が?」
長門「そう」
森 「ふーん」
古泉「本当ですよ。綺麗です」
森 「……アリガト」
場面は変わり長門サイド
長門「涼宮ハルヒが行動を開始した模様」
朝倉「七夕の日の影響が大きいみたいね」
長門「そう。我々とは違う涼宮ハルヒに選ばれた集団が暗躍していると言う報告も受けている」
朝倉「例の閉鎖空間に入れる連中が?」
長門「そう」
206: 2008/05/06(火) 15:34:17.85 ID:HvUF7cl90
朝倉「未だに信じられないなぁ。情報統合思念体にも解析が遅れてる空間に自由にアクセスできるなんて」
長門「涼宮ハルヒの作り出す空間に、涼宮ハルヒが選んだ人間がアクセスできるのは不思議じゃない」
朝倉「こちら側からその連中に何かしらのアプローチは仕掛けなくてもいいの?
連中がミスしたら世界は終わるかもしれないんでしょ」
長門「今はまだ様子を見るべき」
朝倉「長門さんがそういうならそうするけど」
長門「涼宮ハルヒの作り出す空間に、涼宮ハルヒが選んだ人間がアクセスできるのは不思議じゃない」
朝倉「こちら側からその連中に何かしらのアプローチは仕掛けなくてもいいの?
連中がミスしたら世界は終わるかもしれないんでしょ」
長門「今はまだ様子を見るべき」
朝倉「長門さんがそういうならそうするけど」
208: 2008/05/06(火) 15:40:39.43 ID:HvUF7cl90
そんな他愛もない会話をしていた時だ。
長門さんの家の電話が鳴った。
――TLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLL
長門「私が出る」
長門さんはトコトコと受話機のあるほうへと歩いていき電話に出る
長門「もしもし」
喜緑「喜緑です。今度のお祭りの件ですが。浴衣を買いに行きませんか」
長門さんの家の電話が鳴った。
――TLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLL
長門「私が出る」
長門さんはトコトコと受話機のあるほうへと歩いていき電話に出る
長門「もしもし」
喜緑「喜緑です。今度のお祭りの件ですが。浴衣を買いに行きませんか」
209: 2008/05/06(火) 15:54:02.51 ID:HvUF7cl90
長門「今から?」
喜緑「ええ。出来れば」
長門「少し待って」
喜緑「はい」
長門さんが受話器を持ったままこちらを向いた。
長門「浴衣を……買いに行く。喜緑江美里も一緒」
喜緑「ええ。出来れば」
長門「少し待って」
喜緑「はい」
長門さんが受話器を持ったままこちらを向いた。
長門「浴衣を……買いに行く。喜緑江美里も一緒」
210: 2008/05/06(火) 16:00:45.24 ID:HvUF7cl90
朝倉「今から行くの?」
長門「そう」
朝倉「いいけどお金はどうするの?」
長門「朝倉涼子がお金はどうすると聞いているが?」
喜緑「パパ達に出させますから問題ありません」
長門「そう」
喜緑「では光陽園駅前公園にてお待ちしています」
長門「わかった」
長門「そう」
朝倉「いいけどお金はどうするの?」
長門「朝倉涼子がお金はどうすると聞いているが?」
喜緑「パパ達に出させますから問題ありません」
長門「そう」
喜緑「では光陽園駅前公園にてお待ちしています」
長門「わかった」
211: 2008/05/06(火) 16:11:08.70 ID:HvUF7cl90
集合する三人。
朝倉「喜緑さん。どこに買いに行くの?」
喜緑「もう店は決まっています。着付けもやってくれるそうです」
朝倉「へぇ。便利なのね。でもお金大丈夫なの?」
喜緑「必要経費です」
朝倉「まぁパパ達だしね」
長門「問題ない」
朝倉「喜緑さん。どこに買いに行くの?」
喜緑「もう店は決まっています。着付けもやってくれるそうです」
朝倉「へぇ。便利なのね。でもお金大丈夫なの?」
喜緑「必要経費です」
朝倉「まぁパパ達だしね」
長門「問題ない」
212: 2008/05/06(火) 16:24:51.88 ID:HvUF7cl90
私たちは喜緑さんに連れられて婦人服衣料の量販店にやってきた。
夏だからか、浴衣が沢山置いてあり、10人くらい客が入っていた。
朝倉「へぇ。色んなのがあるのねぇ」
喜緑「値段は気にする事はありません」
朝倉「長門さんはどんなのがいいの?」
長門「なんでもいい」
朝倉「じゃあ、私が選んであげるね」
夏だからか、浴衣が沢山置いてあり、10人くらい客が入っていた。
朝倉「へぇ。色んなのがあるのねぇ」
喜緑「値段は気にする事はありません」
朝倉「長門さんはどんなのがいいの?」
長門「なんでもいい」
朝倉「じゃあ、私が選んであげるね」
215: 2008/05/06(火) 16:33:11.24 ID:HvUF7cl90
長門さんの浴衣かぁ。
どんなのがいいかなぁ。
ハイビスカスは派手だし、金魚はちょっとどうかと思うしなぁ。
ふと白をベースに幾何学模様が踊っている浴衣が目に付いた。
これなんて長門さんに似合いそう。
朝倉「長門さんこれなんて――」
声をかけようとした長門さんの視線が、一人の男に集中していた。
どんなのがいいかなぁ。
ハイビスカスは派手だし、金魚はちょっとどうかと思うしなぁ。
ふと白をベースに幾何学模様が踊っている浴衣が目に付いた。
これなんて長門さんに似合いそう。
朝倉「長門さんこれなんて――」
声をかけようとした長門さんの視線が、一人の男に集中していた。
217: 2008/05/06(火) 16:36:30.64 ID:HvUF7cl90
ずっと一緒に居てきた私が、一度も見たことのない顔。
思いつめたような顔。
朝倉「長門さん……? どうかしたの」
長門「何故か、彼に違和感を感じる。あなたは感じない?」
長門さんに言われて私はそいつの顔を見る。
喜緑さんとはどこか違う張り付いた笑顔。
いかにも本心は腹の中と言った空気をそいつは匂わせていた
思いつめたような顔。
朝倉「長門さん……? どうかしたの」
長門「何故か、彼に違和感を感じる。あなたは感じない?」
長門さんに言われて私はそいつの顔を見る。
喜緑さんとはどこか違う張り付いた笑顔。
いかにも本心は腹の中と言った空気をそいつは匂わせていた
219: 2008/05/06(火) 16:41:20.69 ID:HvUF7cl90
朝倉「私は何も感じないけど……」
長門「……そう。私の気のせいだと思う」
このとき長門さんが嘘をついていたことなど、私は当然知らない。
彼が、今後長門さんと大きく関わっていく事や、そのことを長門さんが情報としてすでに手に入れていたことなんか。
朝倉「まあいいわ。これ、選んだんだけど……どう?」
長門「……着てみる」
長門「……そう。私の気のせいだと思う」
このとき長門さんが嘘をついていたことなど、私は当然知らない。
彼が、今後長門さんと大きく関わっていく事や、そのことを長門さんが情報としてすでに手に入れていたことなんか。
朝倉「まあいいわ。これ、選んだんだけど……どう?」
長門「……着てみる」
220: 2008/05/06(火) 16:49:11.32 ID:HvUF7cl90
戻り古泉サイド
森 「それで、古泉は浴衣どれにするの? もう決めた?」
古泉「僕も着るんですか?」
森 「あら? 言わなかったっけ?
古泉「言ってませんよ」
森 「まあ似合わなさそうなら私も着ろなんていわないけど。アナタ似合いそうだし」
古泉「男の浴衣見たって楽しいものじゃないでしょう?」
森 「そう思ってるのは男だけよ」
森 「それで、古泉は浴衣どれにするの? もう決めた?」
古泉「僕も着るんですか?」
森 「あら? 言わなかったっけ?
古泉「言ってませんよ」
森 「まあ似合わなさそうなら私も着ろなんていわないけど。アナタ似合いそうだし」
古泉「男の浴衣見たって楽しいものじゃないでしょう?」
森 「そう思ってるのは男だけよ」
221: 2008/05/06(火) 16:54:35.08 ID:HvUF7cl90
森 「私が買えって言ってるの。どうせ経費で落ちるんだから」
古泉「落ちるんですか? コレ」
森 「私が落とすから心配しなくていいわ」
古泉「しかし、もし閉鎖空間が出現したら動きやすい格好の方が……」
森 「君って、たまに頭固いのね」
森さんはふうっとため息をついて呆れ顔を作って見せた。
森 「いくら涼宮ハルヒでも祭りの最中は楽しんでるわよ。いざというときは私が何とかするから。
たまには息を抜きなさい。言ったでしょ。デートだって」
古泉「はい」
古泉「落ちるんですか? コレ」
森 「私が落とすから心配しなくていいわ」
古泉「しかし、もし閉鎖空間が出現したら動きやすい格好の方が……」
森 「君って、たまに頭固いのね」
森さんはふうっとため息をついて呆れ顔を作って見せた。
森 「いくら涼宮ハルヒでも祭りの最中は楽しんでるわよ。いざというときは私が何とかするから。
たまには息を抜きなさい。言ったでしょ。デートだって」
古泉「はい」
223: 2008/05/06(火) 17:03:56.81 ID:HvUF7cl90
古泉「しかし、婦人服衣料の量販店に男物の浴衣があるなんて知りませんでした」
森 「お客のニーズに答えてるのよ」
古泉 「ニーズ? ですか」
森 「言ったでしょう? そう思ってるのは男だけよって」
古泉 「そうですね。あの、見繕ってもらえますか?」
森 「もちろん」
森 「お客のニーズに答えてるのよ」
古泉 「ニーズ? ですか」
森 「言ったでしょう? そう思ってるのは男だけよって」
古泉 「そうですね。あの、見繕ってもらえますか?」
森 「もちろん」
224: 2008/05/06(火) 17:09:31.53 ID:HvUF7cl90
森 「そうね。アナタ年の割りに身長もあって大人びて見えるしね。ベージュとかかな」
古泉「とするとコレとかですかね」
森 「藍色なんかは……うん。まだ早いからやっぱりベージュかな。どう着せてもらう?」
古泉「いえ、時間もかかりますし……」
――ゴンッ
森 「どう? 着せてもらう?」
古泉「すいません。時間を取らせてもらいます」
森 「ええ。待っててあげる」
古泉「とするとコレとかですかね」
森 「藍色なんかは……うん。まだ早いからやっぱりベージュかな。どう着せてもらう?」
古泉「いえ、時間もかかりますし……」
――ゴンッ
森 「どう? 着せてもらう?」
古泉「すいません。時間を取らせてもらいます」
森 「ええ。待っててあげる」
225: 2008/05/06(火) 17:22:44.98 ID:HvUF7cl90
別室での三人
朝倉「どう? 長門さん。浴衣は」
長門「キツイ」
朝倉「似合ってるから、我慢しなさい」
喜緑「どうします? このまま着て帰りますか?
それとも浴衣は予約だけしておいて祭りの日にまたここに来ます?
お父様達は浴衣を買ったら写真を撮りなさいと仰っていましたけどね。
どちらにせよ祭りの日にもう一度ここに来ないといけませんね。
情報操作を使わないのなら浴衣の着付けなんて出来ませんし」
長門「脱ぐ」
朝倉「だーめ。長門さん今日脱いで帰ったら祭りの日もおんなじこというでしょ?
慣れておかなきゃだめ」
長門「言わない」
朝倉「どう? 長門さん。浴衣は」
長門「キツイ」
朝倉「似合ってるから、我慢しなさい」
喜緑「どうします? このまま着て帰りますか?
それとも浴衣は予約だけしておいて祭りの日にまたここに来ます?
お父様達は浴衣を買ったら写真を撮りなさいと仰っていましたけどね。
どちらにせよ祭りの日にもう一度ここに来ないといけませんね。
情報操作を使わないのなら浴衣の着付けなんて出来ませんし」
長門「脱ぐ」
朝倉「だーめ。長門さん今日脱いで帰ったら祭りの日もおんなじこというでしょ?
慣れておかなきゃだめ」
長門「言わない」
228: 2008/05/06(火) 17:31:32.70 ID:HvUF7cl90
朝倉「ほんとに?」
長門「本当」
朝倉「じゃあ、喜緑さんに聞いてみましょう。ねえ? どう思う」
喜緑「私も朝倉さんに賛成です。慣れておかないと祭りは楽しめませんし
あ、別に長門さんが脱ぐって言い出すと思ってるわけじゃありませんよ?」
長門「……わかった」
朝倉「部屋に着いたらすぐ脱がせてあげるからそんな顔しない」
長門「本当」
朝倉「じゃあ、喜緑さんに聞いてみましょう。ねえ? どう思う」
喜緑「私も朝倉さんに賛成です。慣れておかないと祭りは楽しめませんし
あ、別に長門さんが脱ぐって言い出すと思ってるわけじゃありませんよ?」
長門「……わかった」
朝倉「部屋に着いたらすぐ脱がせてあげるからそんな顔しない」
236: 2008/05/06(火) 18:18:48.12 ID:HvUF7cl90
浴衣のまま、売り場の方に戻ると、さっきの男がベージュの浴衣を着ていた。
特に柄があるわけじゃないが妙に似合っている。
隣にいる女も多分美人な方だと思う。
浴衣もよく似合っていていかにもカップルと言った感じだ。
古泉「浴衣って案外きついんですね……」
森 「そうね。団扇か扇子か祭りに持参した方がいいかもね」
そんな会話がところどころ聞こえてくる。
同じ祭りに参加するのかもしれない。
特に柄があるわけじゃないが妙に似合っている。
隣にいる女も多分美人な方だと思う。
浴衣もよく似合っていていかにもカップルと言った感じだ。
古泉「浴衣って案外きついんですね……」
森 「そうね。団扇か扇子か祭りに持参した方がいいかもね」
そんな会話がところどころ聞こえてくる。
同じ祭りに参加するのかもしれない。
238: 2008/05/06(火) 18:26:50.54 ID:HvUF7cl90
――グッ
袖に重みを感じる。
見ると長門さんが私の袖を引いている
長門「帰る」
朝倉「うん。帰ろっか」
喜緑「支払いは済ませておきました。では帰りましょう」
袖に重みを感じる。
見ると長門さんが私の袖を引いている
長門「帰る」
朝倉「うん。帰ろっか」
喜緑「支払いは済ませておきました。では帰りましょう」
240: 2008/05/06(火) 18:32:56.12 ID:HvUF7cl90
古泉「……」
森 「何見とれてんのよ」
ふと、向こうの三人に気を取られていた僕に森さんが言う。
古泉「嫌だな。違いますよ。さっきのあの人たち。なんか違う感じしませんでした?」
森 「はいはい。三人とも可愛かったわね」
古泉「違いますって。本当ですよ」
森 「まぁいいわ。私領収書貰ってくるから。ここで待ってて」
古泉「わかりました」
森 「何見とれてんのよ」
ふと、向こうの三人に気を取られていた僕に森さんが言う。
古泉「嫌だな。違いますよ。さっきのあの人たち。なんか違う感じしませんでした?」
森 「はいはい。三人とも可愛かったわね」
古泉「違いますって。本当ですよ」
森 「まぁいいわ。私領収書貰ってくるから。ここで待ってて」
古泉「わかりました」
241: 2008/05/06(火) 18:42:37.20 ID:HvUF7cl90
長門宅
珍しく急いで帯をほどこうとする長門さん
落ち着いてやれば簡単なのに、どういうわけか帯に苦戦している
長門「浴衣嫌い」
浴衣を脱ぎ捨てながらそんなことを言う。
朝倉「はいはい。脱ぎ捨てない」
喜緑「いけません。。写真を撮るのを忘れていました」
朝倉「いいわよ別に。パパ達だし」
長門「問題ない」
喜緑「それもそうですね」
珍しく急いで帯をほどこうとする長門さん
落ち着いてやれば簡単なのに、どういうわけか帯に苦戦している
長門「浴衣嫌い」
浴衣を脱ぎ捨てながらそんなことを言う。
朝倉「はいはい。脱ぎ捨てない」
喜緑「いけません。。写真を撮るのを忘れていました」
朝倉「いいわよ別に。パパ達だし」
長門「問題ない」
喜緑「それもそうですね」
242: 2008/05/06(火) 18:53:59.93 ID:HvUF7cl90
そして祭りの日。
やっぱり嫌がる長門さんを婦人服衣料の量販店へと連れ込む。
長門「浴衣は機動性に優れない。何かあったとき大変」
朝倉「大丈夫よ。何かあったら私が護ってあげるから」
長門「……そう?」
喜緑「私もいますし、本当に大変な事になったら、お父様達も黙っていません」
朝倉「そうね。パパたちが出てくるなら私はその何かに同情する事になると思うなぁ」
そんな他愛もない事を言いながら私たちは婦人服衣料の量販店に着いた。
そこにいたのはこの前の二人組みだ。
やっぱり嫌がる長門さんを婦人服衣料の量販店へと連れ込む。
長門「浴衣は機動性に優れない。何かあったとき大変」
朝倉「大丈夫よ。何かあったら私が護ってあげるから」
長門「……そう?」
喜緑「私もいますし、本当に大変な事になったら、お父様達も黙っていません」
朝倉「そうね。パパたちが出てくるなら私はその何かに同情する事になると思うなぁ」
そんな他愛もない事を言いながら私たちは婦人服衣料の量販店に着いた。
そこにいたのはこの前の二人組みだ。
244: 2008/05/06(火) 19:00:06.35 ID:HvUF7cl90
森 「古泉。あれ」
森さんに言われ、彼女が示す方を見るとこの前の三人組が店の入り口をくぐる所だった。
森 「アナタのお気に入りはどこ娘?」
古泉「嫌だな。本当に違いますから」
森 「ふうん」
心なしか、ロングヘアーの女の子にこちらを睨まれた様な気がしながら、僕は言葉を先に繋ぐ。
古泉「本当に違和感を感じません? 」
森 「感じるわ」
古泉「でしょう?」
森 「あんな可愛い娘達が三人も揃ってるなんておかしいわね」
古泉「ですから……ひどいな」
森さんに言われ、彼女が示す方を見るとこの前の三人組が店の入り口をくぐる所だった。
森 「アナタのお気に入りはどこ娘?」
古泉「嫌だな。本当に違いますから」
森 「ふうん」
心なしか、ロングヘアーの女の子にこちらを睨まれた様な気がしながら、僕は言葉を先に繋ぐ。
古泉「本当に違和感を感じません? 」
森 「感じるわ」
古泉「でしょう?」
森 「あんな可愛い娘達が三人も揃ってるなんておかしいわね」
古泉「ですから……ひどいな」
245: 2008/05/06(火) 19:02:58.22 ID:HvUF7cl90
古泉をからかうのもいい加減飽きた。
私には古泉の言う違和感が感じられない。
しかし、カマをかけるくらいしてみてもいいかもしれない。
森「まあいいわ。アナタ早く着付けてもらってきなさい」
古泉「わかりました」
別室に向かう古泉を確認してから私は彼女達へと接触を図った。
私には古泉の言う違和感が感じられない。
しかし、カマをかけるくらいしてみてもいいかもしれない。
森「まあいいわ。アナタ早く着付けてもらってきなさい」
古泉「わかりました」
別室に向かう古泉を確認してから私は彼女達へと接触を図った。
248: 2008/05/06(火) 19:21:33.82 ID:HvUF7cl90
森 「ちょっといいかしら。あなた達も今日のお祭りに参加するの?」
朝倉「ええ、まあ」
不意をつかれる。警戒していない方から、声をかけられるとは思っていなかった。
森 「この前もこの店に来てたからそうなのかなって。私も今日ここのお祭りに行くんだけど私初めてなのよね。ここのお祭り。
あなたたちは?」
長門「私達も始めて。よかったら一緒に回って欲しい」
朝倉「ええ、まあ」
不意をつかれる。警戒していない方から、声をかけられるとは思っていなかった。
森 「この前もこの店に来てたからそうなのかなって。私も今日ここのお祭りに行くんだけど私初めてなのよね。ここのお祭り。
あなたたちは?」
長門「私達も始めて。よかったら一緒に回って欲しい」
250: 2008/05/06(火) 19:27:25.91 ID:HvUF7cl90
朝倉「え?」
私はこの日始めて驚いて声を漏らすということをしたかもしれない。
だって長門さんがそんなこというなんて。
相手もそれはおなじだったようで少しだけ驚いたようだ。
森 「えっと、ごめんなさい。私一応他の人と回る事になっているから……」
長門「そう」
長門さんが私のほうを向き何かを促す顔をした。
朝倉「じゃあ、私たち着付けがあるので失礼します」
私はこの日始めて驚いて声を漏らすということをしたかもしれない。
だって長門さんがそんなこというなんて。
相手もそれはおなじだったようで少しだけ驚いたようだ。
森 「えっと、ごめんなさい。私一応他の人と回る事になっているから……」
長門「そう」
長門さんが私のほうを向き何かを促す顔をした。
朝倉「じゃあ、私たち着付けがあるので失礼します」
252: 2008/05/06(火) 19:34:23.33 ID:HvUF7cl90
古泉が言っていたことを思い出す。
「違和感を感じませんか?」のその一言。
今なら、なんとなくわかる気がする。
あのおとなしそうな子が、言葉にこめた何か。
私はそれを感じ取ってしまった。
多分彼女はそんなつもりは無いし私の敵意を感じ取って、少しムッとした。
その程度の事なのかもしれない。
だが、なんとなく私の負けだと、そう感じる。
それからしばらくして古泉がいつもの笑顔で着付け室から戻ってきた
古泉「どうかしましたか? 森さん」
森 「どうもしない」
「違和感を感じませんか?」のその一言。
今なら、なんとなくわかる気がする。
あのおとなしそうな子が、言葉にこめた何か。
私はそれを感じ取ってしまった。
多分彼女はそんなつもりは無いし私の敵意を感じ取って、少しムッとした。
その程度の事なのかもしれない。
だが、なんとなく私の負けだと、そう感じる。
それからしばらくして古泉がいつもの笑顔で着付け室から戻ってきた
古泉「どうかしましたか? 森さん」
森 「どうもしない」
253: 2008/05/06(火) 19:39:01.97 ID:HvUF7cl90
着付け室の中にて
朝倉「どうしてあんなこと言ったの? 長門さん」
長門「あなたが困っているように見えた」
朝倉「え、うん、そうだけど」
長門さんに助けられたのは嬉しい。
でもやっぱり長門さんらしくない。
喜緑「長門さんらしくなかったですけど……どうかしました?」
長門「どうもしない」
朝倉「どうしてあんなこと言ったの? 長門さん」
長門「あなたが困っているように見えた」
朝倉「え、うん、そうだけど」
長門さんに助けられたのは嬉しい。
でもやっぱり長門さんらしくない。
喜緑「長門さんらしくなかったですけど……どうかしました?」
長門「どうもしない」
255: 2008/05/06(火) 19:46:46.39 ID:HvUF7cl90
古泉「そうですか? それならいいんですけど」
相変わらず笑顔のままなので本当に心配しているかは疑わしい。
古泉「着付けは行わないんですか?」
森 「まだいいわ。祭りまでもう少し時間あるし、もう少しゆっくりしていましょ」
古泉「そうですね。たまにはのんびりするのも悪くないですね」
もちろん嘘だ。
私は、彼女たち三人と場を同じくするのが嫌だった。
相変わらず笑顔のままなので本当に心配しているかは疑わしい。
古泉「着付けは行わないんですか?」
森 「まだいいわ。祭りまでもう少し時間あるし、もう少しゆっくりしていましょ」
古泉「そうですね。たまにはのんびりするのも悪くないですね」
もちろん嘘だ。
私は、彼女たち三人と場を同じくするのが嫌だった。
256: 2008/05/06(火) 19:59:03.33 ID:HvUF7cl90
日没前。
私たち三人がついたころは祭りの会場には、どこからともなく市民達が湧き溢れ、うごめきあっていた。
私たちのように浴衣を着た人間。学生服、私服、スーツ。
よくもこれだけ集まるものだ。
朝倉「凄いわね。まるで人間がゴミのよう」
喜緑「本当。そうですね」
長門さんは珍しく屋台に興味を引かれたのか、屋台の売っている食べ物に気を引かれたのか、
少し嬉しそうな顔をしている。
私たち三人がついたころは祭りの会場には、どこからともなく市民達が湧き溢れ、うごめきあっていた。
私たちのように浴衣を着た人間。学生服、私服、スーツ。
よくもこれだけ集まるものだ。
朝倉「凄いわね。まるで人間がゴミのよう」
喜緑「本当。そうですね」
長門さんは珍しく屋台に興味を引かれたのか、屋台の売っている食べ物に気を引かれたのか、
少し嬉しそうな顔をしている。
259: 2008/05/06(火) 20:17:58.06 ID:HvUF7cl90
朝倉「長門さん。どの出店からよる?
長門「あれ」
長門さんが指差したのはお面屋さんだった。
何かのアニメのキャラクターやら特撮? もののヒーローと思われる。
長門「ユニーク」
長門さんは銀色の顔に黄色く光る目玉のお面を手に取った。
朝倉「それ、欲しいの?」
長門「……そう」
長門「あれ」
長門さんが指差したのはお面屋さんだった。
何かのアニメのキャラクターやら特撮? もののヒーローと思われる。
長門「ユニーク」
長門さんは銀色の顔に黄色く光る目玉のお面を手に取った。
朝倉「それ、欲しいの?」
長門「……そう」
261: 2008/05/06(火) 20:26:43.23 ID:HvUF7cl90
朝倉「じゃあ、おじさんそのお面ください」
オジサン「はい300円だよ」
長門「私が――」
朝倉「いいから。長門さんが本以外に興味を持つなんて珍しいんだから」
長門「……うれしい」
朝倉「つけてあげる。こっち向いて」
三人がお面屋を訪れてから数秒後
女の子「ねーねーキョンくーん。あのお面かってー」
キョン「だからーそのキョンくんってのやめろって」
女の子「おにーちゃーん。あのお面かってー」
オジサン「はい300円だよ」
キョン「ほら付けてやるから」
オジサン「はい300円だよ」
長門「私が――」
朝倉「いいから。長門さんが本以外に興味を持つなんて珍しいんだから」
長門「……うれしい」
朝倉「つけてあげる。こっち向いて」
三人がお面屋を訪れてから数秒後
女の子「ねーねーキョンくーん。あのお面かってー」
キョン「だからーそのキョンくんってのやめろって」
女の子「おにーちゃーん。あのお面かってー」
オジサン「はい300円だよ」
キョン「ほら付けてやるから」
264: 2008/05/06(火) 20:33:56.31 ID:HvUF7cl90
古泉「お祭りとはいいものですね。太鼓の音が空気を伝わって心臓に響く感じがします」
森 「そうね。涼宮ハルヒも今は落ち着いてるらしいし」
古泉「このあとの予定は打ち上げ花火と盆踊りですか。
それまで出店でも回って、時間をつぶす事にしましょう」
森 「古泉。あなた盆踊りはやった事ある?」
古泉「一応やったことはありますが、子どもの頃の話ですよ?」
森 「それでいいわ。 あのさ、一緒に踊ってくれる?」
森 「そうね。涼宮ハルヒも今は落ち着いてるらしいし」
古泉「このあとの予定は打ち上げ花火と盆踊りですか。
それまで出店でも回って、時間をつぶす事にしましょう」
森 「古泉。あなた盆踊りはやった事ある?」
古泉「一応やったことはありますが、子どもの頃の話ですよ?」
森 「それでいいわ。 あのさ、一緒に踊ってくれる?」
267: 2008/05/06(火) 20:46:07.28 ID:HvUF7cl90
古泉「いいですけど……」
森 「そう……ありがとう。さすがに一人じゃ恥ずかしいから。
さて、それはそうと花火まで時間をつぶしましょうか」
古泉 「何でもお付き合いしますよ。食べ物もでも遊びでももちろんおごらせてもらいます。お姫様」
森 「まあ素敵。じゃあ射的をおごって貰おうかしら」
古泉「射的ですか?」
森 「苦手? 」
古泉「やってみないとわかりません」
森 「私が負けたら素直に奢られてあげる。王子様」
森 「そう……ありがとう。さすがに一人じゃ恥ずかしいから。
さて、それはそうと花火まで時間をつぶしましょうか」
古泉 「何でもお付き合いしますよ。食べ物もでも遊びでももちろんおごらせてもらいます。お姫様」
森 「まあ素敵。じゃあ射的をおごって貰おうかしら」
古泉「射的ですか?」
森 「苦手? 」
古泉「やってみないとわかりません」
森 「私が負けたら素直に奢られてあげる。王子様」
269: 2008/05/06(火) 20:55:47.25 ID:HvUF7cl90
花火大会数分前
朝倉「そろそろ花火が始まる時間ね」
喜緑「場所の確保は済んであるそうですが」
朝倉「場所の確保?」
喜緑「ええ、お父様達が」
朝倉「パパ達が?……凄くいやな予感がする」
朝倉「そろそろ花火が始まる時間ね」
喜緑「場所の確保は済んであるそうですが」
朝倉「場所の確保?」
喜緑「ええ、お父様達が」
朝倉「パパ達が?……凄くいやな予感がする」
271: 2008/05/06(火) 21:02:13.53 ID:HvUF7cl90
喜緑さんがいう場所に言ってみて場所の確保の意味がよく分かった。
人ごみの中どういうわけか3メートル四方の空間だけに人がいなかった。
ご丁寧にベンチまで数脚用意してある
長門「情報操作で人払いがしてある」
朝倉「マナー違反もここまで来ると……」
喜緑「最低です」
私たちはおのおの意見を述べながら、パパ達の好意に甘えその空間で花火を鑑賞することにした。
人ごみの中どういうわけか3メートル四方の空間だけに人がいなかった。
ご丁寧にベンチまで数脚用意してある
長門「情報操作で人払いがしてある」
朝倉「マナー違反もここまで来ると……」
喜緑「最低です」
私たちはおのおの意見を述べながら、パパ達の好意に甘えその空間で花火を鑑賞することにした。
273: 2008/05/06(火) 21:08:31.03 ID:HvUF7cl90
その頃古泉サイド
古泉「森さん。そろそろ花火が始まりますからもう、いいじゃないですか」
森 「だめ。まだあなたに勝ってないんだから」
女の子「キョンくーん。お面つけてあげるー」
キョン「だからキョンは止めろって」
古泉「森さん? 今ジョンくーん? って聞こえませんでした?」
森 「何とぼけてるのよ? ほら次はボールすくいやるわよ」
古泉「いえ、確かに聞こえました」
辺りを見回す古泉。
しかし視界に映るのはお面をつけた男の子とその他大勢。
森「古泉ー!はやくー」
古泉「気のせいですか」
古泉「森さん。そろそろ花火が始まりますからもう、いいじゃないですか」
森 「だめ。まだあなたに勝ってないんだから」
女の子「キョンくーん。お面つけてあげるー」
キョン「だからキョンは止めろって」
古泉「森さん? 今ジョンくーん? って聞こえませんでした?」
森 「何とぼけてるのよ? ほら次はボールすくいやるわよ」
古泉「いえ、確かに聞こえました」
辺りを見回す古泉。
しかし視界に映るのはお面をつけた男の子とその他大勢。
森「古泉ー!はやくー」
古泉「気のせいですか」
279: 2008/05/06(火) 21:46:47.60 ID:HvUF7cl90
古泉「僕の勝ちですね」
森 「……そうね」
古泉「もう花火終わってしまいますね」
森 「悪かったわよ……ごめん」
古泉「いえ、僕は楽しかったですよ。本当です」
森 「そう、ならいいわ」
古泉「行きましょうか。盆踊りに」
森 「……そうね」
古泉「もう花火終わってしまいますね」
森 「悪かったわよ……ごめん」
古泉「いえ、僕は楽しかったですよ。本当です」
森 「そう、ならいいわ」
古泉「行きましょうか。盆踊りに」
280: 2008/05/06(火) 21:51:37.18 ID:HvUF7cl90
花火という物はとても不思議だった。
音もそうだけど夜空に浮かぶ絵はまさに花。
長門さんも珍しく見入っていたように思う。
その花火もどうやらフィナーレが近いようで
発射感覚がどんどん短くなってきた。
喜緑「どうやらもうそろそろのようですね。これからどうします?」
朝倉「あとは盆踊りだけでしょ? これが終わったらもう帰ってもいいんじゃない?
長門さんはどう思う?」
音もそうだけど夜空に浮かぶ絵はまさに花。
長門さんも珍しく見入っていたように思う。
その花火もどうやらフィナーレが近いようで
発射感覚がどんどん短くなってきた。
喜緑「どうやらもうそろそろのようですね。これからどうします?」
朝倉「あとは盆踊りだけでしょ? これが終わったらもう帰ってもいいんじゃない?
長門さんはどう思う?」
282: 2008/05/06(火) 21:58:23.64 ID:HvUF7cl90
長門「私は、やる事がある」
朝倉「やる事? 」
長門「そう。あなた達は先に帰って欲しい」
喜緑「長門さん。やる事ってなんなんです?」
長門「内緒」
朝倉「内緒って」
長門「言わない」
朝倉「やる事? 」
長門「そう。あなた達は先に帰って欲しい」
喜緑「長門さん。やる事ってなんなんです?」
長門「内緒」
朝倉「内緒って」
長門「言わない」
283: 2008/05/06(火) 22:05:30.80 ID:HvUF7cl90
朝倉「私たちには言えないことなの? それってどういうこと?」
長門「言わない」
喜緑「……わかりました。朝倉さん……帰りましょう」
朝倉「ちょっと!喜緑さん?」
喜緑(いいから私に合わせてください)
朝倉「わかった。……帰る」
長門「言わない」
喜緑「……わかりました。朝倉さん……帰りましょう」
朝倉「ちょっと!喜緑さん?」
喜緑(いいから私に合わせてください)
朝倉「わかった。……帰る」
284: 2008/05/06(火) 22:13:02.79 ID:HvUF7cl90
一人スタスタと歩いていく喜緑さんの後を走って追いかける。
朝倉「ちょっと。喜緑さん? 待ってよ」
喜緑「朝倉さん。長門さんにおかしな事があったのはやっぱり7月7日ですか?」
朝倉「そう……だけど、なんで?」
喜緑「私が長門さんの言動に違和感を覚えたのがその日ですから。
朝倉さんは今日のお祭りのこと私が誘ったと聞かされてますよね?」
朝倉「そうよ」
喜緑「実はそれ、違うんです。」
朝倉「ちょっと。喜緑さん? 待ってよ」
喜緑「朝倉さん。長門さんにおかしな事があったのはやっぱり7月7日ですか?」
朝倉「そう……だけど、なんで?」
喜緑「私が長門さんの言動に違和感を覚えたのがその日ですから。
朝倉さんは今日のお祭りのこと私が誘ったと聞かされてますよね?」
朝倉「そうよ」
喜緑「実はそれ、違うんです。」
285: 2008/05/06(火) 22:18:28.65 ID:HvUF7cl90
朝倉「違う……ってどういうこと?」
喜緑「確かに準備とかをやったのは私ですが、もともとこのお祭りに参加するって言い出したのは長門さんなんです
最初は、ただ単に祭りを楽しみたいのかとも思いましたけど、さっきの事とか、
浴衣の着付けの時の長門さんのことを考えると……」
朝倉「長門さんはやっぱり何かを隠してる?」
喜緑「多分そうでしょうね」
喜緑「確かに準備とかをやったのは私ですが、もともとこのお祭りに参加するって言い出したのは長門さんなんです
最初は、ただ単に祭りを楽しみたいのかとも思いましたけど、さっきの事とか、
浴衣の着付けの時の長門さんのことを考えると……」
朝倉「長門さんはやっぱり何かを隠してる?」
喜緑「多分そうでしょうね」
286: 2008/05/06(火) 22:28:45.33 ID:HvUF7cl90
喜緑「どうします? お父様たちに協力を仰げばある程度の事はできます。
ですが、それはある意味で長門さんを裏切る事になります」
朝倉「私は……」
喜緑「あ、ちょっと待ってください。お父様から緊急連絡です。
閉鎖空間のコードの解析が完了したとの事です」
朝倉「今はそんなことどうだって――」
喜緑「そうでしょうか? このタイミング……私はおかしいと思いますけど」
ですが、それはある意味で長門さんを裏切る事になります」
朝倉「私は……」
喜緑「あ、ちょっと待ってください。お父様から緊急連絡です。
閉鎖空間のコードの解析が完了したとの事です」
朝倉「今はそんなことどうだって――」
喜緑「そうでしょうか? このタイミング……私はおかしいと思いますけど」
289: 2008/05/06(火) 22:41:29.57 ID:HvUF7cl90
古泉サイド
古泉「さすがに踊っている人は少ないですね」
櫓を中心に、円形になって踊っている人たちを見て、僕は客観的な意見を述べた。
森 「まあ、ね。でもいいじゃない。休暇なんだから。輪に入りましょう」
森さんに促され、僕はしぶしぶ輪の中に入る。
古泉「彼女は……涼宮ハルヒは探し人を見つけたでしょうか?」
森 「私たちに見つけられないのに、彼女に見つけられるはずないわ」
炭坑節にあわせ踊りながら僕らはそんな話をする。
古泉「さすがに踊っている人は少ないですね」
櫓を中心に、円形になって踊っている人たちを見て、僕は客観的な意見を述べた。
森 「まあ、ね。でもいいじゃない。休暇なんだから。輪に入りましょう」
森さんに促され、僕はしぶしぶ輪の中に入る。
古泉「彼女は……涼宮ハルヒは探し人を見つけたでしょうか?」
森 「私たちに見つけられないのに、彼女に見つけられるはずないわ」
炭坑節にあわせ踊りながら僕らはそんな話をする。
292: 2008/05/06(火) 22:58:14.86 ID:HvUF7cl90
古泉「それはそうですが、何とか見つけないと神人と閉鎖空間の出現は止まらないでしょう」
森 「そうなのよねぇ。」
長門(彼女の言うジョン・スミスならこちらで保護している)
どこからともなく聞こえてきた声に僕と森さんは体が止まる。
長門(そのまま聞いて。他の人に迷惑)
声に促され、また踊りだす。
長門(次に出てくる神人をあなた達は倒す事ができない。
古泉「そんなこと!」
森 「古泉」
僕の場違いの声に、森さんが小さくしかる
森 「そうなのよねぇ。」
長門(彼女の言うジョン・スミスならこちらで保護している)
どこからともなく聞こえてきた声に僕と森さんは体が止まる。
長門(そのまま聞いて。他の人に迷惑)
声に促され、また踊りだす。
長門(次に出てくる神人をあなた達は倒す事ができない。
古泉「そんなこと!」
森 「古泉」
僕の場違いの声に、森さんが小さくしかる
295: 2008/05/06(火) 23:10:01.90 ID:HvUF7cl90
長門(聞いて。これは覆る事のない事実。『機関』の能力者たちだけでは次の神人には勝てない)
古泉「では、どうすれば?」
長門(たった今、我々の組織が閉鎖空間のコードの解析に成功した。援軍を一人送る事が可能)
古泉「一人って……」
長門「もちろん、神人を狩る事は我々にはできない。だがあなた達を神人から護る事はできる。
あなた達が攻撃のみに集中すれば、今回の神人も狩る事が可能。私が援軍として閉鎖空間に向かう」
古泉「ちょっと待ってください。僕は……いえ、僕ら『機関』はまだあなたを信用していません」
古泉「では、どうすれば?」
長門(たった今、我々の組織が閉鎖空間のコードの解析に成功した。援軍を一人送る事が可能)
古泉「一人って……」
長門「もちろん、神人を狩る事は我々にはできない。だがあなた達を神人から護る事はできる。
あなた達が攻撃のみに集中すれば、今回の神人も狩る事が可能。私が援軍として閉鎖空間に向かう」
古泉「ちょっと待ってください。僕は……いえ、僕ら『機関』はまだあなたを信用していません」
298: 2008/05/06(火) 23:15:55.08 ID:HvUF7cl90
森 「いいわ。信じる」
古泉「森さん!?」
森「今回の件での責任は私がとる。古泉、いつだったかあなたはそれなりの地位の人間なのではないですか?
そう私に聞いたことがあったよね?」
古泉「え、ええ」
森 「その通りよ。少なくともこの場でこの程度の事を即決するくらいの権限はあるの」
古泉「しかし……」
森「あなたの組織……『情報統合思念体』だったっけ。『機関』の代表として感謝するわ」
長門「別にいい。ジョン・スミスに関してはこちらの不手際もある」
古泉「森さん!?」
森「今回の件での責任は私がとる。古泉、いつだったかあなたはそれなりの地位の人間なのではないですか?
そう私に聞いたことがあったよね?」
古泉「え、ええ」
森 「その通りよ。少なくともこの場でこの程度の事を即決するくらいの権限はあるの」
古泉「しかし……」
森「あなたの組織……『情報統合思念体』だったっけ。『機関』の代表として感謝するわ」
長門「別にいい。ジョン・スミスに関してはこちらの不手際もある」
300: 2008/05/06(火) 23:23:09.30 ID:HvUF7cl90
長門さんは……私に、一体何を隠しているというの?
私は……どうしたら。
喜緑「朝倉さん。ちょっといいですか。もう一つ連絡……いえ。命令が下りました」
朝倉「命令?」
喜緑「長門さんを私とあなたで強制的に一時機能停止に追い込めと」
朝倉「なん……で」
喜緑「長門さんの位置を補足しました。移動しながら説明します」
私は……どうしたら。
喜緑「朝倉さん。ちょっといいですか。もう一つ連絡……いえ。命令が下りました」
朝倉「命令?」
喜緑「長門さんを私とあなたで強制的に一時機能停止に追い込めと」
朝倉「なん……で」
喜緑「長門さんの位置を補足しました。移動しながら説明します」
304: 2008/05/06(火) 23:33:16.99 ID:HvUF7cl90
喜緑「始まりは、やはり7月7日です。涼宮ハルヒはジョン・スミスと出会った事で、自分に理解者が現れたと思いました。
しかし、長門さんが彼を保護した事により、彼女の精神状態は悪化。結果今の『機関』では倒せないほど巨大な力を持った神人が誕生しました。
事態を重く見た情報統合思念体は、閉鎖空間のコードを解析に力を注ぎ、どうにかインターフェースを一人閉鎖空間に転送する技術を開発したそうです。
ついさっき転送される事に決まっていたのが朝倉さん。あなたです」
朝倉「わ……私?」
しかし、長門さんが彼を保護した事により、彼女の精神状態は悪化。結果今の『機関』では倒せないほど巨大な力を持った神人が誕生しました。
事態を重く見た情報統合思念体は、閉鎖空間のコードを解析に力を注ぎ、どうにかインターフェースを一人閉鎖空間に転送する技術を開発したそうです。
ついさっき転送される事に決まっていたのが朝倉さん。あなたです」
朝倉「わ……私?」
306: 2008/05/06(火) 23:39:10.58 ID:HvUF7cl90
喜緑「ですが、長門さんは……あなたにその知らせが届く前に、『機関』に自分が援軍に向かうと単独行動にはしったと」
朝倉「どうして」
喜緑「情報統合思念体が言うには、7月7日に未来の自分と同期したことに原因があるのではないかと」
朝倉「……」
喜緑「とにかく、私たちは長門さんを止めて、あなたが『機関』に協力するという未来を取り戻さなければなりません。
朝倉「……わかった」
朝倉「どうして」
喜緑「情報統合思念体が言うには、7月7日に未来の自分と同期したことに原因があるのではないかと」
朝倉「……」
喜緑「とにかく、私たちは長門さんを止めて、あなたが『機関』に協力するという未来を取り戻さなければなりません。
朝倉「……わかった」
308: 2008/05/06(火) 23:46:58.98 ID:HvUF7cl90
喜緑「長門さんを発見ししだい私が情報制御空間を作ります。私は補佐に回りますから長門さんを止めてください」
朝倉「わかった」
喜緑「長門さん捕縛まであと3、2、1」
――バッ
景色が変わる。
どこかの教室。
机や椅子が並んでいるが壁しかない。
中央には長門さんが静かに立っていた
朝倉「わかった」
喜緑「長門さん捕縛まであと3、2、1」
――バッ
景色が変わる。
どこかの教室。
机や椅子が並んでいるが壁しかない。
中央には長門さんが静かに立っていた
309: 2008/05/06(火) 23:52:24.02 ID:HvUF7cl90
長門「そう……きたの」
朝倉「長門さんおとなしく独断専行は止めて。『機関』への協力なら私がちゃんとやるから。
長門「あなたは私のバックアップ。おとなしく私に従えばいい」
朝倉「そんな……言い方」
喜緑「待ってください。閉鎖空間に私たちが入るには情報統合思念体の協力が必要なはずです。
あなたが勝手な事を言っても情報統合思念体は協力しませんよ」
長門「必要ない。私は未来の私と同期した。その時の私から、必要な情報はすべてダウンロードした」
朝倉「長門さんおとなしく独断専行は止めて。『機関』への協力なら私がちゃんとやるから。
長門「あなたは私のバックアップ。おとなしく私に従えばいい」
朝倉「そんな……言い方」
喜緑「待ってください。閉鎖空間に私たちが入るには情報統合思念体の協力が必要なはずです。
あなたが勝手な事を言っても情報統合思念体は協力しませんよ」
長門「必要ない。私は未来の私と同期した。その時の私から、必要な情報はすべてダウンロードした」
311: 2008/05/06(火) 23:56:35.97 ID:HvUF7cl90
長門「今、情報統合思念体は無理な閉鎖空間解析で疲弊している。障害はあなた達だけ」
朝倉「どうして、こんなことするの?」
長門「あなたには関係ない」
朝倉「関係ないはずない!
あなた、泣いてたじゃない。」
長門「私は……泣いてなどいない」
見えない槍が私に向かって放たれる
朝倉「どうして、こんなことするの?」
長門「あなたには関係ない」
朝倉「関係ないはずない!
あなた、泣いてたじゃない。」
長門「私は……泣いてなどいない」
見えない槍が私に向かって放たれる
314: 2008/05/07(水) 00:07:06.63 ID:7jTRQPta0
喜緑「無駄です」
見えない槍は彼女によって迎撃される。
喜緑「いくらなんでも2対1です。あなたに勝ち目はありません」
長門「……違う」
朝倉「何が違うのよ」
長門「言ったはず。私は未来の私から必要な情報をダウンロードしたと。
インターフェースとして一年も生きていないあなた達に、三年以上の経験がある私には勝てない」
体が急激に重くなる。
朝倉「なっ……」
長門「もう一度言う。情報統合思念体に従って情報操作を控えていたあなた達は私には勝てない。だから、もう止めてほしい」
見えない槍は彼女によって迎撃される。
喜緑「いくらなんでも2対1です。あなたに勝ち目はありません」
長門「……違う」
朝倉「何が違うのよ」
長門「言ったはず。私は未来の私から必要な情報をダウンロードしたと。
インターフェースとして一年も生きていないあなた達に、三年以上の経験がある私には勝てない」
体が急激に重くなる。
朝倉「なっ……」
長門「もう一度言う。情報統合思念体に従って情報操作を控えていたあなた達は私には勝てない。だから、もう止めてほしい」
316: 2008/05/07(Wed) 00:19:31.55 ID:7jTRQPta0
oioi
339: 2008/05/07(水) 00:30:50.55 ID:7jTRQPta0
朝倉「どうして? どうして私じゃいけないの?あなたが見た未来の私は……失敗したの?
長門「あなたはよくやった。一人の氏者も出さなかった」
朝倉「だったらなんで!」
長門「言わない」
朝倉「分からず屋!」
長門「分からず屋でいい。邪魔はさせない」
長門「あなたはよくやった。一人の氏者も出さなかった」
朝倉「だったらなんで!」
長門「言わない」
朝倉「分からず屋!」
長門「分からず屋でいい。邪魔はさせない」
340: 2008/05/07(水) 00:33:52.70 ID:7jTRQPta0
朝倉「どうしても長門さんは譲らないのね?」
長門「譲らない」
朝倉「わかった……」
喜緑「朝倉さん?」
朝倉「だったら私も譲らない!氏んでもこの空間からは出さない。
この空間から出たかったら私を消して見なさいよっ!」
涙が溢れる。
どうして、大好きな長門さんにこんな事……言わなきゃいけないのか、私分からない……
長門「譲らない」
朝倉「わかった……」
喜緑「朝倉さん?」
朝倉「だったら私も譲らない!氏んでもこの空間からは出さない。
この空間から出たかったら私を消して見なさいよっ!」
涙が溢れる。
どうして、大好きな長門さんにこんな事……言わなきゃいけないのか、私分からない……
341: 2008/05/07(水) 00:39:56.16 ID:7jTRQPta0
長門「この空間から出るのにあなたを消す必要などない。今の私には簡単なこと」
朝倉「やってみなさいよ」
長門「そうする」
――フッ
朝倉「ガッ――あっぁぁあああああぁあ」
体に稲妻が走る。意識が何度も飛ぶ。飛んでいく意識を何度も何度も手繰り寄せる。
長門「次はあなた」
喜緑「あなたの相手はまだ朝倉さんですよ」
朝倉「そぉ……よ。まだ、生きてるでしょうが……制御空間だってまだ維持できてる
勝手に終わらせないで……くれる?」
朝倉「やってみなさいよ」
長門「そうする」
――フッ
朝倉「ガッ――あっぁぁあああああぁあ」
体に稲妻が走る。意識が何度も飛ぶ。飛んでいく意識を何度も何度も手繰り寄せる。
長門「次はあなた」
喜緑「あなたの相手はまだ朝倉さんですよ」
朝倉「そぉ……よ。まだ、生きてるでしょうが……制御空間だってまだ維持できてる
勝手に終わらせないで……くれる?」
346: 2008/05/07(水) 00:48:44.14 ID:7jTRQPta0
長門「あなたの生命維持機能が低下している……これ以上は無理」
朝倉「だから……勝手に決めないでよ。私はあなたを止めるんだから」
――フッ
朝倉「あっぁぁ……」
――バタン
倒れ落ちるからだ。一瞬見えた悲しげな目
長門「もう無理。朝倉涼子は気絶した。貴方まで――」
朝倉「まだ……よ。やっぱり長門さんは優しいね。さっきよりずっと威力が落ちてた……
私を機能停止させるんでしょう? だったら遠慮なんかしなくてもいいよね」
一歩一歩。長門さんに近づいていく。
長門「もう……止めて」
手を伸ばす。震える体を何とか捕まえる。
朝倉「長門さん……つか……まえた」
朝倉「だから……勝手に決めないでよ。私はあなたを止めるんだから」
――フッ
朝倉「あっぁぁ……」
――バタン
倒れ落ちるからだ。一瞬見えた悲しげな目
長門「もう無理。朝倉涼子は気絶した。貴方まで――」
朝倉「まだ……よ。やっぱり長門さんは優しいね。さっきよりずっと威力が落ちてた……
私を機能停止させるんでしょう? だったら遠慮なんかしなくてもいいよね」
一歩一歩。長門さんに近づいていく。
長門「もう……止めて」
手を伸ばす。震える体を何とか捕まえる。
朝倉「長門さん……つか……まえた」
348: 2008/05/07(水) 00:53:22.94 ID:7jTRQPta0
朝倉「こんなにふるえて……どうしたの?大丈夫。私が、全部何とかするから」
長門「やめて……」
朝倉「ちゃんと……言ってくれないと、分からないよ? 長門さんいっつもちょっとしか話してくれないんだもん……
たまには、ちゃんと……話して欲しい……な」
長門「やめて……」
朝倉「大丈夫だから。安心して。ここにいる私は……絶対、あなたを傷つけたりしない」
長門「やめて……」
朝倉「ちゃんと……言ってくれないと、分からないよ? 長門さんいっつもちょっとしか話してくれないんだもん……
たまには、ちゃんと……話して欲しい……な」
長門「やめて……」
朝倉「大丈夫だから。安心して。ここにいる私は……絶対、あなたを傷つけたりしない」
351: 2008/05/07(水) 01:02:08.33 ID:7jTRQPta0
長門「私はあなたを……」
朝倉「うん」
長門「あなたを二度も……頃したくない」
朝倉「ちゃんと聞いてるよ。続き……話して」
長門「情報統合思念体の閉鎖空間のコードの解析は正確では……ない。
もともと閉鎖空間に入るために作られたわけではない我々ヒューマノイドインターフェースは、
閉鎖空間に入ると同時に、体をバグで犯される。最初は本人も気が付く事のないそのバグはゆっくり増殖し、
いずれあなたを狂わせる。未来の私は狂ったあなたをこの手で消した。
私には……あなたを消した記憶が……すでに一つある」
朝倉「うん」
長門「あなたを二度も……頃したくない」
朝倉「ちゃんと聞いてるよ。続き……話して」
長門「情報統合思念体の閉鎖空間のコードの解析は正確では……ない。
もともと閉鎖空間に入るために作られたわけではない我々ヒューマノイドインターフェースは、
閉鎖空間に入ると同時に、体をバグで犯される。最初は本人も気が付く事のないそのバグはゆっくり増殖し、
いずれあなたを狂わせる。未来の私は狂ったあなたをこの手で消した。
私には……あなたを消した記憶が……すでに一つある」
354: 2008/05/07(水) 01:07:14.85 ID:7jTRQPta0
長門「私は、もうあなたを頃したくない」
朝倉「そっか……ごめんね。辛かったね……」
長門さんの瞳から涙が溢れる。ずっと我慢していたのだろう。
長門「あなたに真実を知ってほしくなかった……。あなたに狂って欲しくなんか無かった。
優しい……あなたが狂う位なら私が狂ったほうが……いい」
朝倉「そっか……ごめんね。辛かったね……」
長門さんの瞳から涙が溢れる。ずっと我慢していたのだろう。
長門「あなたに真実を知ってほしくなかった……。あなたに狂って欲しくなんか無かった。
優しい……あなたが狂う位なら私が狂ったほうが……いい」
360: 2008/05/07(水) 01:17:50.48 ID:7jTRQPta0
朝倉「ごめんね。長門さん……ごめんね」
長門「謝るのは私……あなたに頼るばかりで、何も出来なかった。今だってあなたをこんなにボロボロにして……」
朝倉「長門さん……私はこんなに優しい長門さんのことを知ってる。だから……だからね」
――トン
出来るだけ優しく一発入れる。
朝倉「私は、絶対に……狂ったりなんかしない!」
喜緑「朝倉さん。私――」
朝倉「だめよ。この仕事は私の仕事なんだから。指名どおり私がこなせば、長門さんの立場もまだ保てる」
喜緑「でも」
朝倉「私は狂ったりなんかしないわ。だから、私の体を修復するのを手伝ってくれる?」
喜緑「分かり……ました」
長門「謝るのは私……あなたに頼るばかりで、何も出来なかった。今だってあなたをこんなにボロボロにして……」
朝倉「長門さん……私はこんなに優しい長門さんのことを知ってる。だから……だからね」
――トン
出来るだけ優しく一発入れる。
朝倉「私は、絶対に……狂ったりなんかしない!」
喜緑「朝倉さん。私――」
朝倉「だめよ。この仕事は私の仕事なんだから。指名どおり私がこなせば、長門さんの立場もまだ保てる」
喜緑「でも」
朝倉「私は狂ったりなんかしないわ。だから、私の体を修復するのを手伝ってくれる?」
喜緑「分かり……ました」
364: 2008/05/07(水) 01:28:57.48 ID:7jTRQPta0
閉鎖空間にて
古泉「あれが……神人?」
森 「冗談……でしょう」
神人の大きさはこれまでと比べ物にならな大きさだった。
神人の大きさはすなわち強さだ。
涼宮ハルヒのストレスの大きさそのものが強さに直結する。
古泉「今までの神人がビルならこの神人は……山ですかね」
森 「アレに勝てって言うの? 」
古泉「こんなの援軍が来たって倒せるわけが――」
朝倉「何あんなデカブツ怖気づいてるの?」
古泉「――ッ」
急に私が現れた事、現れたのが長門さんでないことで困惑が広がる
古泉「あれが……神人?」
森 「冗談……でしょう」
神人の大きさはこれまでと比べ物にならな大きさだった。
神人の大きさはすなわち強さだ。
涼宮ハルヒのストレスの大きさそのものが強さに直結する。
古泉「今までの神人がビルならこの神人は……山ですかね」
森 「アレに勝てって言うの? 」
古泉「こんなの援軍が来たって倒せるわけが――」
朝倉「何あんなデカブツ怖気づいてるの?」
古泉「――ッ」
急に私が現れた事、現れたのが長門さんでないことで困惑が広がる
368: 2008/05/07(水) 01:33:50.40 ID:7jTRQPta0
古泉「あなた……は?」
朝倉「代理よ。長門さんの」
古泉「そんなっ!どうして」
朝倉「大事な長門さんが怪我したら悲しいじゃない。だから私が変わったの」
古泉「冗談はやめてください。僕らは命を懸けて――」
森 「古泉。やめなさい。あなたを信用しても?」
朝倉「あなた達にはかすり傷だって負わせない。だからアイツを倒す事だけに集中して」
森 「分かったわ」
朝倉「代理よ。長門さんの」
古泉「そんなっ!どうして」
朝倉「大事な長門さんが怪我したら悲しいじゃない。だから私が変わったの」
古泉「冗談はやめてください。僕らは命を懸けて――」
森 「古泉。やめなさい。あなたを信用しても?」
朝倉「あなた達にはかすり傷だって負わせない。だからアイツを倒す事だけに集中して」
森 「分かったわ」
2: 2008/05/07(水) 03:24:58.77 ID:Lq0tDtU0
光球が舞う。
古泉「本当にあの朝倉さんという人を信用して大丈夫なんでしょうか……」
森 「氏にたくなければ余計な事は考えないで」
朝倉「情報操作。りミッター解除。ブースト開放。サクリファイスモード。ブロック対象光球すべて」
攻撃しては逃げる。それをひたすら繰り返す光球
神人が壊す建物を私は迎撃する。
破片すらも残さない。一人でも攻撃から外れれば、形成は逆点する。
息が上がる。腕が重い。
弱音なんか吐かない。長門さんが待ってるんだから。
長門さんが目を覚ます前に帰る。そして、お夜食、作って上げるんだから。
古泉「本当にあの朝倉さんという人を信用して大丈夫なんでしょうか……」
森 「氏にたくなければ余計な事は考えないで」
朝倉「情報操作。りミッター解除。ブースト開放。サクリファイスモード。ブロック対象光球すべて」
攻撃しては逃げる。それをひたすら繰り返す光球
神人が壊す建物を私は迎撃する。
破片すらも残さない。一人でも攻撃から外れれば、形成は逆点する。
息が上がる。腕が重い。
弱音なんか吐かない。長門さんが待ってるんだから。
長門さんが目を覚ます前に帰る。そして、お夜食、作って上げるんだから。
3: 2008/05/07(水) 03:26:36.92 ID:Lq0tDtU0
すでに、リズムは出来つつあった。
神人は攻撃翌力こそ増加したものの、防御力はいつもと同じ。
朝倉涼子がディフェンスを完璧に行っていたため『機関』側は一方的に神人を痛めつける事に成功していた。
しかし、戦闘開始から20分後。
神人は攻撃翌力こそ増加したものの、防御力はいつもと同じ。
朝倉涼子がディフェンスを完璧に行っていたため『機関』側は一方的に神人を痛めつける事に成功していた。
しかし、戦闘開始から20分後。
4: 2008/05/07(水) 03:27:12.27 ID:Lq0tDtU0
古泉(凄い……あの人ホントに一人で持ちこたえてる)
古泉一樹の油断ももちろんあっただろう。
しかし、私、森園生を含め『機関』皆が油断していたといっていい。
朝倉涼子という援軍はそれほど強力だったのだ。
森 「バカッ!!! 左っ!」
声は届かない。
古泉の驚く表情が私を絶望させる
古泉「あっ……」
古泉一樹の油断ももちろんあっただろう。
しかし、私、森園生を含め『機関』皆が油断していたといっていい。
朝倉涼子という援軍はそれほど強力だったのだ。
森 「バカッ!!! 左っ!」
声は届かない。
古泉の驚く表情が私を絶望させる
古泉「あっ……」
5: 2008/05/07(水) 03:27:39.38 ID:Lq0tDtU0
スローモーションって本当なんだ。
このとき僕はそんなことを考えた。
神人の腕が僕のほうに飛んでくる。無理だ避けれない。
アハハ。今更自我が戻ってきた。
狂ってる自分を認めている自分が。
ただの小学生だった自分が
だから言ったんだよ。僕は。
でも君はよくやったんじゃないかな?
もう神人はかなり弱ってる。
君一人いなくてももう大丈夫さ
そう思いますか?
うん。君は頑張ったよ。だから――
古泉「……氏のう」
このとき僕はそんなことを考えた。
神人の腕が僕のほうに飛んでくる。無理だ避けれない。
アハハ。今更自我が戻ってきた。
狂ってる自分を認めている自分が。
ただの小学生だった自分が
だから言ったんだよ。僕は。
でも君はよくやったんじゃないかな?
もう神人はかなり弱ってる。
君一人いなくてももう大丈夫さ
そう思いますか?
うん。君は頑張ったよ。だから――
古泉「……氏のう」
6: 2008/05/07(水) 03:28:04.69 ID:Lq0tDtU0
朝倉「ふざけないでよっ!!人間っ!!!!」
彼女が僕の腕を掴む。
投げ飛ばされる僕の体。
飛んできた神人の腕は彼女を体ごとさらっていく。
古泉「僕は……僕は……何を」
森 「行くなっ! 古泉っ!」
反射的に彼女を助けに行こうとしたところを静止される。
森 「彼女なら大丈夫。あなたが行っても何も出来ない」
古泉「しかしっ……」
朝倉「それで……正解よ」
古泉「――ッ」
高速で戻ってきた彼女の体は血に染まり何故生きているのかが不思議でならなかった。
朝倉「簡単に、諦めないでよ……言ったでしょ……かすり傷だって負わせないって」
彼女が僕の腕を掴む。
投げ飛ばされる僕の体。
飛んできた神人の腕は彼女を体ごとさらっていく。
古泉「僕は……僕は……何を」
森 「行くなっ! 古泉っ!」
反射的に彼女を助けに行こうとしたところを静止される。
森 「彼女なら大丈夫。あなたが行っても何も出来ない」
古泉「しかしっ……」
朝倉「それで……正解よ」
古泉「――ッ」
高速で戻ってきた彼女の体は血に染まり何故生きているのかが不思議でならなかった。
朝倉「簡単に、諦めないでよ……言ったでしょ……かすり傷だって負わせないって」
7: 2008/05/07(水) 03:28:41.21 ID:Lq0tDtU0
森 「古泉」
古泉「はい」
森 「私が言いたい事はわかるわね?」
古泉「はい」
神人の腕を引きちぎる。
受け入れろ。今を。
もう僕にはこの生き方しか無いんだから。
古泉「はい」
森 「私が言いたい事はわかるわね?」
古泉「はい」
神人の腕を引きちぎる。
受け入れろ。今を。
もう僕にはこの生き方しか無いんだから。
10: 2008/05/07(水) 03:29:57.19 ID:Lq0tDtU0
朝倉涼子は瀕氏にしか見えない状況でもなお、我々『機関』を護り抜いた。
何が彼女をそうまでさせるのかその時の私には判らなかったが、彼女の姿は『機関』の指揮を極限まで高めたといっていい。
朝倉「ハァハァ」
自分はちゃんと息をしているのか? 誰も怪我をしていないのか?
そんなこともうとっくに判らなくなっていた。
何が彼女をそうまでさせるのかその時の私には判らなかったが、彼女の姿は『機関』の指揮を極限まで高めたといっていい。
朝倉「ハァハァ」
自分はちゃんと息をしているのか? 誰も怪我をしていないのか?
そんなこともうとっくに判らなくなっていた。
11: 2008/05/07(水) 03:31:03.27 ID:Lq0tDtU0
飛んでくるものを粉々にする。
それだけをただただ繰り返した。
すぐ戻るから。もうすぐだから。
私なら平気。バグってもいない。
明日も、明後日も、一年後も、三年後も地球にいる間はずっとあなたの側にいる。
もう決めたんだから。だから――
それだけをただただ繰り返した。
すぐ戻るから。もうすぐだから。
私なら平気。バグってもいない。
明日も、明後日も、一年後も、三年後も地球にいる間はずっとあなたの側にいる。
もう決めたんだから。だから――
12: 2008/05/07(水) 03:32:51.28 ID:Lq0tDtU0
朝倉涼子が倒れる。
それと同時に神人も消滅する。
誰からとなく、私たちは閉鎖空間の壁に光球をぶつけ始めた。
一秒だって待ってはいられない。
そんなこと誰の目にも明らかだった。
氏なせるわけにはいかない。
戦っていた全員がそう思っていた。
そして……
それと同時に神人も消滅する。
誰からとなく、私たちは閉鎖空間の壁に光球をぶつけ始めた。
一秒だって待ってはいられない。
そんなこと誰の目にも明らかだった。
氏なせるわけにはいかない。
戦っていた全員がそう思っていた。
そして……
15: 2008/05/07(水) 03:35:27.61 ID:Lq0tDtU0
私、森園生はこうして報告書を書いている
結果。朝倉涼子は『機関』の団員に誰一人にも怪我を終わらせる事なく戦いを終わらせた。
戦いが終わり、閉鎖空間から運び出された彼女のインターフェイスは生きているのが不思議な有様だっが、
すでに目を覚ましていた長門有希が駆け寄るとただ「ごめんね」とだけ謝った。
長門有希の処分も回復した朝倉涼子、喜緑江美里の必氏の弁護により不問となる。
結果。朝倉涼子は『機関』の団員に誰一人にも怪我を終わらせる事なく戦いを終わらせた。
戦いが終わり、閉鎖空間から運び出された彼女のインターフェイスは生きているのが不思議な有様だっが、
すでに目を覚ましていた長門有希が駆け寄るとただ「ごめんね」とだけ謝った。
長門有希の処分も回復した朝倉涼子、喜緑江美里の必氏の弁護により不問となる。
16: 2008/05/07(水) 03:36:14.74 ID:Lq0tDtU0
朝倉涼子と『機関』の共闘により『機関』と「情報誌念体」の関係は以前と比べてはるかに良好なものとなった。
『機関』は閉鎖空間を調べ、そのデータを「情報統合思念体」に提供する事を約束。
「情報統合思念体」は日本に散らばるインターフェースの何%かの情報を 『機関』に提供してくれる事になった。
すべては、朝倉涼子のバグの可能性に対処するためだ。
『機関』は閉鎖空間を調べ、そのデータを「情報統合思念体」に提供する事を約束。
「情報統合思念体」は日本に散らばるインターフェースの何%かの情報を 『機関』に提供してくれる事になった。
すべては、朝倉涼子のバグの可能性に対処するためだ。
18: 2008/05/07(水) 03:38:29.76 ID:Lq0tDtU0
私と、古泉は戦いから数日後、改めて彼女の家……いや長門有希の家を訪問した。
すっかり回復した彼女は、長門有希と仲良く夕食をとっていた。
私が「まるで姉妹ですね」と言うと「姉妹ですから」とそう答えた。
少なくとも私には彼女が、長門有希に殺されるシーンなど永遠に想像したくない。
すっかり回復した彼女は、長門有希と仲良く夕食をとっていた。
私が「まるで姉妹ですね」と言うと「姉妹ですから」とそう答えた。
少なくとも私には彼女が、長門有希に殺されるシーンなど永遠に想像したくない。
19: 2008/05/07(水) 03:39:47.35 ID:Lq0tDtU0
余談だが、彼女達の部屋を去るときにこんなやり取りが聞こえてきた。
勝手だが勝手に記載させてもらう。
朝倉「明日は何が食べたい? 明日は喜緑さんもくるって」
長門「あなたが私のために作ってくれる物なら何でもいい」
朝倉「ん~じゃあ、カレーとハンバーグどっちがいい?」
長門「明日はあなたのハンバーグが食べたい」
きっとこの二人は当分こうなんだろう。
それでいいと私は思う。
完
勝手だが勝手に記載させてもらう。
朝倉「明日は何が食べたい? 明日は喜緑さんもくるって」
長門「あなたが私のために作ってくれる物なら何でもいい」
朝倉「ん~じゃあ、カレーとハンバーグどっちがいい?」
長門「明日はあなたのハンバーグが食べたい」
きっとこの二人は当分こうなんだろう。
それでいいと私は思う。
完
23: 2008/05/07(水) 03:44:23.64 ID:Lq0tDtU0
とりあえず終わりです。丸一日以上かかったけど、
久しぶりに書きたいものを好きなだけ書けました。
付き合ってくれた人。お疲れ様です。
ぶっちゃけ予定と色々変わりました。
夕食とお風呂で話を色々とこねくり回して今の形に落ち着きました。
ではおやすみなさい。
久しぶりに書きたいものを好きなだけ書けました。
付き合ってくれた人。お疲れ様です。
ぶっちゃけ予定と色々変わりました。
夕食とお風呂で話を色々とこねくり回して今の形に落ち着きました。
ではおやすみなさい。
9: 2008/05/07(水) 03:29:38.80 ID:jl.CD9M0
スレタイのセリフ来た
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