1: 2015/01/03(土) 23:26:50.87 ID:meT+Go6h0
八幡「先生…?いまなんて…?」

静「八幡、君はいつまで私を先生と呼ぶつもりだ……」

八幡「あ、ごめん……戸惑ってつい。それよりいまなんて言ったの?俺の聞き間違い?」

静「だからその……へ、閉経期が来たみたい……」

八幡「そ、そうか…」

静「その……ごめん……」

八幡「いや、まあ……静が悪いわけじゃない……ですし」

静「なんで急に敬語なんだ!?やめろ、気まずいだろ…!」

八幡「はあ、まあ…歳が歳だから結婚する前からある程度覚悟はしてたんですが、いざ直面してみるとなんというか……」

静「で、でも平均よりは遅い方なんだぞ!早ければ四十代初半から始まんだ!それと妊娠が出来ないだけでを出来ないわけでは…!」




2: 2015/01/03(土) 23:27:26.49 ID:meT+Go6h0
八幡「あーそれはわかるけどさ。それと閉経期でなくとも静は不妊じゃないか……」

静「っく……す、すまん……」

八幡「あ、ごめん。今のは俺が悪かった」

静「無駄に年だけ取って、その上子供も出来ない体ですまない……」しくしく

八幡「泣くなって。俺は子供なんざいらないって言ったろ?もとより子供好きじゃないし、子育てに掛かる費用を考えるとすごい負担かかるしさ」

八幡(今になってはもう遅いしね)

静「でも……」

八幡「いや、子供なんてほんとにいらないから。俺はただ二人で仲睦まじく生きればそれでいいんだよ。それと大事なのはそれではなくてだな」

八幡「なんというか、閉経期の女性とは――いや、なんでもない」

静「言いかけてやめたら気になるだろ!」(´;ω;`)

3: 2015/01/03(土) 23:29:23.41 ID:meT+Go6h0
結衣(37)「あ、ヒッキ!久しぶりー!」

八幡「ああ、久しぶりだな。ってか二十年も過ぎたのにそのアホっぽい呼び方どうにかならないのか?」

結衣「だってヒッキはヒッキだし!」

八幡「いや、俺達ももういい年だしさ……正直、三十代半ばのババアにヒッキはないわ」

結衣「ヒッキマジきもい!女に年の話しちゃだめだし!それとババアじゃないし!」

八幡「俺たち同い年なのに年云々もなにもないだろ。それとお前ババアだろうが」

結衣「ババアって言うな!まだsy―…と、とりあえずババアじゃないよ!服とか買いに行けばまだ姉さんって言われるもん!」

八幡「それはお世辞に決まってんだろうが。いや、ちょっと待って、お前、まだ処Oなのか?」

結衣「キモッ!なに訊いてるの!?……しょ、処Oだけと……///」

八幡「えっ…いや、お前だいたい自分が何歳だと思って……まさか、今まで誰とも付き合わなかったとか?」

結衣「……」

八幡「ま、まじか」

結衣「うう……全部ヒッキが悪い!ヒッキのせいだよ!」涙目

5: 2015/01/03(土) 23:31:29.12 ID:meT+Go6h0
八幡「いや、お前がその年まで処Oなのがなんで俺のせいになるんだ」

結衣「……ほんとに教えて欲しいの?」

八幡「いや、すみませんでした」

八幡「はあ……あのな、俺最近憂鬱なんだよ。あんまり悩み事増やさないでくれよ」

結衣「え、どうしたの?なにかあった?」

八幡「静先生がな……いや、よそう」

結衣「そこまで言ってやめはないでしょ!言ってよ。相談に乗るからさ」

八幡「いや、お前に相談するのはちょっとあれなんだが」

結衣「そ、そりゃあたしは頼りないかも知れないけど……」

八幡「あ、いや、別にお前だからって――はあ、わかった話すよ。実はな、静先生は閉経期が来たらしいんだ」

結衣「へ?」

八幡「なんだお前閉経期がなにかわからんのか?閉経期ってのはな――」

結衣「いや、それくらいは知ってるし!そうじゃなくて…先生は歳が歳だから閉経期が来てもおかしくはないでしょ?むしろ今更って気もするし」

八幡「はあ……やはりそうか」

結衣「先生が閉経期になったのがそんなに気になる?」

八幡「どうしてもな。精神的にちょっとあれっていうか、いくらなんでも閉経期の女性とはやりづらいというか、俺はまだまだって感じなのに――いや、すまん。失言だ」

結衣「……ねえ、ヒッキ」

八幡「あ?」

結衣「ヒッキが望むならあたしが手伝ってあげてもいいよ…?」

八幡「」

6: 2015/01/03(土) 23:34:23.27 ID:meT+Go6h0
八幡「ただいま」

静「あ、おかえり八幡」

八幡「ごめん、夕飯まだだろ?いま準備するよ」

静「いや、毎日八幡が苦労してくれるから今日くらいは私が支度しよう」

八幡「そう?じゃ適当になんでもいいよ。俺は風呂入ってくるわ」

静「あ、ああ」

八幡「ふう、いい風呂だった」

静「八幡、ごはん出来たぞ!」

八幡「生姜焼きか。そういえば奉仕部の頃、生姜焼きがおすすめだと返信して以来、ずっと生姜焼きだけ作ってくれるね。静って一途だな」

静「あはは、それほどでもないさ」

八幡(褒めてないけどな)
八幡「いただきます」

静「はい、召し上がれ」

7: 2015/01/03(土) 23:35:47.37 ID:meT+Go6h0
静「……し、しかしだな八幡」

八幡「ん?」もぐもぐ

静「今日はその……誰に会いに行ったんだ?」

八幡「あ?由比ヶ浜だけど」

静「そ、そうか。由比ヶ浜か。ふむ……久しぶりにあったのだから楽しかったのだろ?」

八幡「まあね。由比ヶ浜とはもう二十年の付き合いだしな。あいつも結構年を取ったもんだよ」

静「くっ……」

八幡「あれ?あ、ごめんごめん。別に静が老いたってわけじゃないよ」

静「い、いや…認めたくはないけと客観的にもう老いたって言える年だから……」

八幡「いや、そう―…だな。でも静は童顔だからまだ四十代に見えるぞ?」

静(くっ、褒めてくれてるのに涙が……)

静「あ、ところで由比ヶ浜とは二人だけで会ったのか?」

八幡「まあ、な」

静「……」

八幡「ん?あ……ごめん。やっぱりいま考えてみたらいくら友達といえど女の由比ヶ浜と二人で会うのはダメだったかな」

静「い、いや、由比ヶ浜は私の弟子でもある上、奉仕部の一員だからな。お前にとっても大事な人だというのはわかってるさ」
静(はあ……まさか私は嫉妬してるのか?弟子の由比ヶ浜に?こんなことなかったのに……これも閉経期のせいかな?)

11: 2015/01/03(土) 23:42:57.42 ID:meT+Go6h0
雪乃(37)「あら、久しぶりね比企谷くん」

八幡「やあ、久しぶり」

雪乃「相変わらず腐った魚のような目をしてるわね」

八幡「そんなにDHAが豊富そうに見えるか?」

雪乃「ふふ……相変わらずね。静先生のヒモになってから身も心も腐ってはいないか心配してけれど」

八幡「ヒモじゃなくて専業主婦だ。それと心はともかく体は以前より健康になったんだぜ。主婦うつにかからないように毎日運動してるんだよ。……ん?なに驚いてんだ」

雪乃「い、いいえ。あまりにも比企谷くんとは思えない言葉が出たので少し脳が驚いただけよ」

八幡「俺が運動するのがそんなにおかしいのかよ」

雪乃「引き籠もりくんが運動だなんて誰も信じられないと思うけれと」

八幡「引き籠もりじゃねえよ。まあ、たしかに周期的な運動なんてらしくないとは思うけどよ、何年も家で家事ばかりするのも大変なわけよ」

雪乃「そう、気分転換は大事なことよね」

八幡「それにしてもお前は本当に変わらないな。由比ヶ浜もそうだが、お前も二十代通るぞ」

雪乃「そ、そうかしら?/// 引き籠もりくんに言われても嬉しくないけれど、とりあえず褒め言葉だとして受け取ってやるわ」

八幡「偉すぎて俺の呆れが有頂天だよ」

12: 2015/01/03(土) 23:44:22.37 ID:meT+Go6h0
雪乃「それより、あなた由比ヶ浜さんとも会っているの?」

八幡「は?まあ、そうだが。家もそんなに遠くないからちょくちょくな。お前らのそうだったんじゃねえのか?」

雪乃「いいえ、そういうわけでは……最近ずっと会ってないから」

八幡「え?まさか喧嘩でもしたのか?」

雪乃「違うわ。暫くの間、私が……忙しすぎたのよ。会う暇がないほど」

八幡「仕事本当に大変そうだな。苦労してるな」

雪乃「仕事はたしかに忙しいけれど、そのせいじゃないわ」

八幡「?じゃなにが原因だ?」

雪乃「……この間、離婚したの」

八幡「……え、まじ?」

雪乃「私がこんなことで冗談を言うとでも?」

八幡「あ――それもそうだな…そ、そのなんだ、元気だせよ」肩とんとん

雪乃「もしかしてそれで慰めのつもりかしら」

八幡「……正直いま反応に困っている。こんな時どうすればいいのかわかんねえ……他人ならともかく、お前の事だしな……」

雪乃「『他人』ではないのね」

13: 2015/01/03(土) 23:45:17.45 ID:meT+Go6h0
八幡「あーその、なんだ……お前は大事の友達だからな」こほん

雪乃「そう……///」

八幡「で、どうなんだ?離婚に関する問題は全部終わったのか?」

雪乃「先日全部終わったわ。子供のないし、お互い愛情もなかったから」

八幡「そ、そうか」

雪乃「そう。親に決められた結婚って結局こうなんるものね」

八幡(気まずい……雪ノ下じゃなければ今すぐ逃げ出すくらいに気まずい…!)

八幡「それで…これからどうするつもりだ?」

雪乃「さあね……」

八幡「離婚の直後に言うのもなんだが、お前はまだ若いし、やっぱり再婚相手を探したほういいんじゃないか?人生長いといっても俺たちもうこんな年だしな」

雪乃「そうね。思い浮かぶ相手が一人いるのだけれど」

八幡「え、そうなの?」

雪乃「離婚した男と結婚する前から気に留めていた人がいたわ」

八幡「なに?じゃそんな人がいるのに別の人と結婚したのかよ」

雪乃「そう」

八幡「好きな相手がいると話はしてみたのか?」

雪乃「……話したことはないわ」

八幡「なんでだ?話さなきゃどうにもならんだろ」

雪乃「その人はすでに別の人と結婚してしまったのよ」

八幡「……あ?」

雪乃「ふふ、そうね。人生はまだ長いもの。久しぶりに会えて楽しかったわ比企谷くん。静先生にも残りの人生どうか元気で、と伝えてくれる?」

八幡「え?あ、ああ……」

雪乃「いえ、その時まで待つ必要はないかしら」

八幡「え?」

雪乃「なんでもないわ。それじゃ、またね。比企谷くん」

八幡「ああ……」

17: 2015/01/03(土) 23:56:15.37 ID:ReyLEhNFO
ん、待てよ?
八幡(37)の37から20を引くと17
静(50)の50から20を引くと?(名推理)

19: 2015/01/04(日) 00:39:24.52 ID:Rl5u7Tc50

八幡「小町、来たぞ」

小町(35)「あ、いらっしゃい、お兄ちゃん!」

八幡「元気だったか?」

小町「うん!お兄ちゃんはどう?」

八幡「俺も変わらないよ。さっちゃんは?」

小町「姫さまはいま夢の国ですよ~」

八幡「そうか」
小町「起こそうか?」

八幡「いや、いい。寝かせとけ。それより昼は食べた?俺がなんか作ろうか?」

小町「ふふふ、今の小町的にポイント高い!でもお客さんにそんな手間かけさせないよ?」

八幡「でも、お前まだ大変だろ?」

小町「まだ五ヶ月だから大丈夫!それに初めてでもないから。小町が作るからお兄ちゃんは待っててね」

八幡「そうか。じゃ、久しぶりに妹にごちそうされるかな」


20: 2015/01/04(日) 00:40:07.08 ID:Rl5u7Tc50
八幡「おお、なんだこれ豪華過ぎるだろ。なんかの記念日か?」

小町「そりゃお兄ちゃんが来た記念日だよ?あ、今の小町的にポイント高すぎる!」

八幡「その余計な言葉がなければな。ていうかそのポイント制度はいつまで続くんだ。年を考えろ」

小町「ブブー女に年の話をするなんていまのはすごくポイント低いよ」

八幡「はいはい、悪かったよ。しかしお前も由比ヶ浜と同じこというのな」もぐもぐ

小町「ん?お兄ちゃん結衣さんと会ったの?」

八幡「まあ、この間ちょっとな」

小町「なっつかしいー!もう三年くらい結衣さんと会ってないもん。結衣さん元気?」

八幡「健康には問題なさそうだが、元気ではないかな」

小町「へ?なんで?」

八幡「その、なんだ……こう言っちゃ悪いが、あいつまだ一人らしくてな」

小町「へえ……昔はまさか結衣さんが静姉さんより遅く結婚するとは思わなかったけど」

八幡「しかもただ独り身ってだけじゃなく、未だ誰とも付き合ったことないらしい」

小町「……え?」

八幡「いいやつなのになんでああなったんだろうな。静と結婚してなかったら貰っちゃいそうだよ」

小町(そうか……結衣さんはまだ……)
小町「ゆ、結衣さん、なにもしてあげられなくてごめんね!」ぽろぽろ

21: 2015/01/04(日) 00:40:51.81 ID:Rl5u7Tc50

八幡「おいおい、泣くほどかわいそうなのかよ」

小町「小町は泣かないよ……泣きたいのは小町じゃないから……」

八幡「いや泣いてんだろうが。しかしまあ、今年は気の毒な事が多ことよ」

小町「またなにかあるの?」もぐもぐ

八幡「いや、それが……まあ、お前ならいいか。実は雪ノ下が離婚したらしい」

小町「……本当に?」

八幡「ああ。でも幸いというか何と言うか、子供もないし、雪ノ下なら再婚もそう難しくはないだろうよ」

小町「そうか……でもそうだね。雪ノ下さん、結婚式の時もあんまり幸せにはみえなかったから」
小町(雪ノ下さんもやっぱりまだ……)

小町「はあ……お兄ちゃんがこんなに罪な男になるとは思わなかったよ」

八幡「はあ?いきなりなんだ?」

小町「本当に知らないっていうの?」

八幡「まさか存在が罪とはいわないだろうな」

小町「はあ…このごみいちゃんは本当に…」

八幡「お前までなんだよ。癒やしに来たのにひでえな」

小町「え?まさかまたなにかあるの?」

八幡「……」

小町「お兄ちゃん…?」

八幡「実はな…」

小町「ど、どうしたの?そんな真剣な顔で…」

八幡「静……静がな……」

小町「ま、まさか?!」

八幡「閉経期が来たんだよ」

小町「……」

八幡「まあ、由比ヶ浜や雪ノ下に比べるものではないが、なんというか、男してはちょっと受け入れ難いというか、気が抜けるんだよ」

小町「お兄ちゃん」

八幡「ん?」

小町「黙ってご飯食べて」

22: 2015/01/04(日) 00:54:31.21 ID:Rl5u7Tc50
八幡「じゃあ、そろそろ行くよ」

小町「え、もう行くの?もう少しいてもいいのに」

八幡「いや、静のために夕飯の支度しなきゃな。さっちゃんの顔だけ見ていくよ」

小町「ううん、それもそうだね。はい、こっちだよ」

八幡「いい顔して寝てるな」

小町「やっぱり起こそうか?」

八幡「いや、いいよ」なでなで

八幡「しかし、我が妹の娘だからか、やっぱりかわいいな」なでなで

小町「えへへ」

八幡「……」なでなで

小町「お兄ちゃん」

八幡「ん?」

小町「やっぱり……子供ほしかったの…?」

八幡「いや、俺はあんまり子供好きじゃないからな。静と二人で生きるほうが気楽だよ」

小町「……」

八幡「それにもう遅いしな。静は産みたかったようだったけど、いまさら養子ってのもな」

小町「…そっか」

八幡「じゃ、本当に行くぞ。元気でな」

小町「うん。お兄ちゃんも元気でね。次は小町が遊びに行くよ!」

八幡「ああ、いつでも来いよ」がちゃり

小町「……」

小町「本当に、嘘が下手なんだから…」

24: 2015/01/04(日) 01:18:11.76 ID:Rl5u7Tc50
結衣「失礼しますー!」

雪乃「久しぶりです、平塚先生」

八幡「おう、いらっしゃい」

静「久しぶりだな、由比ヶ浜、雪ノ下。元気だったか?」

結衣「もちろんです!」

雪乃「はい、先生もげ……すみません。愚問でした」

八幡「おいおい、なんで俺を見るんだ」

雪乃「ヒモがやくんのような寄生虫が取り付いているのに先生が元気なはずがないもの」

八幡「だからヒモじゃなくて専業主婦だっつの。内助の功はしっかり果たしてるんだよ」

静「あのな、雪ノ下。一応は私の旦那s――」

雪乃「あら、内助の功の意味は分かってるの?異性に飼われるのは内助とは言わないの」

八幡「主婦経歴15年を馬鹿するな。もうプロの領域だぜ」

結衣「あはは、なんか楽しいね!まるで昔に戻ったみたい」

静「あの……その…」

雪乃「そうね。あの時に戻ったようね」ふふっ

八幡「だな」

静「こほん、雪ノ下も由比ヶ浜も、そう立ってないで入ったらどうだ?」

八幡「おっと、俺としたことが。ほら入って入って」

雪乃「そうですね。では失礼します」

結衣「はい、ヒッキ。おみやげだよ」

八幡「え、わざわざ買って来る必要なかったけどな」

結衣「以前ここに引越しの時には渡せなかっから。遅いけど引越祝いと思って」

八幡「引越ししたのは七年前だがな……えらく時間に寛容だな」

34: 2015/01/04(日) 12:34:32.65 ID:Rl5u7Tc50
雪乃「素朴で綺麗な家ですね」

静「ははは、そうかい?」

雪乃「はい。子供なしに二人で生きるにはちょうどかと」

静「そ、そうよね」

結衣「ヒッキーの家久しぶり~前とは結構変わったね?」

八幡「まあな。本棚も新しく買ったし、この前はテレビも変えたからな。それに鉢植えも置いた」

結衣「カーテンも変えたの?」

八幡「カーテンは二年前に変えたよ。お前頭悪いくせによく覚えてるな」

結衣「ヒッキー、あたしの事また馬鹿にするし!こう見えても生徒たちに尊敬される先生だし!」
結衣(それにヒッキのことはなんでも覚えてるし…)ボソッ

八幡「ああ、そうだっけ。実のところお前が小学校の先生になるって言い出した時は無理だと思ったがな」

雪乃「そうね。私もその話を聞いた時はかなり心配だったわ」

結衣「ゆ、ゆきのんまで……」

八幡「でも、もうすっかり中堅教員だな、由比ヶ浜」

結衣「もうー!中堅っていうとあたしが年よりみたいじゃん!」

静「あはは……は…」

八幡「さてと、俺はご飯の支度済ませるからその間お茶飲んで待ってろよ。すぐ出来るからな」

雪乃「そう。プロと自負したその腕前、期待してるわ」

結衣「ヒッキー、あたしが手伝ってあg」

八幡「いや、いい」

結衣「最後まで聞きもしないで断った!?ヒッキーひどい!あたしだって今は普通に料理できるんだから!」

八幡「いや、そういうんじゃなくて、お前らは今日お客さんだから大人しくもてなされて行け」

静「そうだぞ、由比ヶ浜。君らはお客さんだからな」
結衣「そっか。わかった。じゃ、頑張ってね、ヒッキー」

八幡「あいよ」

35: 2015/01/04(日) 12:36:14.13 ID:Rl5u7Tc50

雪乃「……」

結衣「……」

静「……」あせあせ
静(いきなり空気が……)

静(しかし、二人とも相変わらず若くて綺麗なものだ。私なんてもうただのおばさんなのに…)

結衣「……ヒッキーが淹れてくれた紅茶、昔ゆきのんが淹れてくれた紅茶と同じくらいに美味しいよ」ずる

雪乃「そうね。本当にいい味を出して来たわね」

静(私と結婚してなかったら八幡もまだ若くて綺麗な奥さんと住んでいたんだろうな……多分子供もあって……)

雪乃「平塚先生は紅茶が好きでしたっけ?」

静「う、うん?あ、紅茶は嫌いではないが、特に好きっていう事もないな」

結衣「へえーそうなんだ。ヒッキーが淹れてくれた紅茶が美味しすぎていつも飲んでるのかと思ったのに」

静「まあ、私達はどちらかと言うとコーヒー派だからな。紅茶はたまにくらいしか飲まん」

雪乃「それにしては本当にいい紅茶を淹れるようになりましたね。……誰の為にうまくなったのかって思うほどに」

静「え?」


36: 2015/01/04(日) 12:37:00.98 ID:Rl5u7Tc50
雪乃「平塚先生」

静「な、なんだ?」

雪乃「今日は招待してくださってありがとうございます」

結衣「ありがとうございます、静先生」

雪乃「せっかくの休日なのに迷惑ではなかったんでしょうか」

静「いや、私こそ久しぶりに弟子たちに会えて嬉しい。明日は日曜日でもあるから、なんなら泊まってもいいんだぞ?ゆっくりしていてくれ」

結衣「ありがとうございます!よかった。ヒッキーに誘われたのは嬉しかったけど、二人の時間を邪魔してるんじゃないか心配だったんですよ」

静「邪魔なわけあるか。別に新婚ってわけでもないし、せっかくの休日に君らが来てくれて嬉しい限りだ」

雪乃「相変わらず優しいですね、平塚先生。だから彼も先生を選んだんでしょう」

静「え?あ、ああ……それにしてもだな、雪ノ下。私はもう平塚じゃなく、比企谷なわけだから…」

雪乃「あら、そうでしたね。申し訳ありません、先生。先生も比企谷だというのに」

結衣「あはは、あたしも意識しないと平塚先生と呼びそうだもん」

静「まあ、君たちは長い間平塚と呼んでいたからな。だが私が八幡と結婚して比企谷になったのも随分昔なわけだから、いくらなんでもそろそろ……」

雪乃「そうですね。でも比企谷先生と呼んでしまっては比企谷くんと紛らわしいかも知りません」

静「ん?あ、私なら普通に静せんs」

雪乃「それではこれから比企谷くんを苗字ではなく名前で呼んだほうがいいですね。それなら紛らわしい事もないですから」

静「う、うん?…そ、そうだな」

結衣「……」

37: 2015/01/04(日) 12:37:50.71 ID:Rl5u7Tc50

静「あ……し、しかし君たちは本当に年を取らないものだ。ふたりとも八幡と同い年とは思えない」

結衣「本当ですか?ありがとう先生!この前、ヒッキーにババアって言われたから自信なくしたけど、やっぱりまだいけますようね?ヒッキーに」

静「え?」

雪乃「お褒めに預かり恐縮です、先生。先生も……五十代には見えません」

静「あ、あはは……私はつい先日になったからな。五十代というよりは四十代後半だと思うぞ?あはは……は…」

結衣「そうですよ~静先生はまだ綺麗ですから。なんていうか、おばぁさんじゃなくて熟女という感じ?閉経期か来たというのが信じられませんよ」

静「?!なっ…」

結衣「あれ?違いました?ヒッキーにそう聞いたんですけど……先生に閉経期が来たったて」

雪乃「あら……」

静(くっ、はちまあああああああん!よくも喋ってくれたな!ふたりとも帰ったら鉄拳制裁だぞ!)

八幡「おーい、静、運ぶの手伝ってくれ」

静「よし!いま行く!!」   

                     え、どうしたの?ちょっ…くはっ!
雪乃「……仲良さそうね」

                     私が閉経期というのを世界に知らせる気か!!! 
結衣「うん……そうだね」

41: 2015/01/04(日) 16:52:39.39 ID:Rl5u7Tc50
結衣「うわ!ヒッキー、まじでおいしい!」

八幡「ふっ、だろ?」

結衣「ヒッキー、本当に料理が上手になったんだね~こんな料理を毎日食べられる静先生が羨ましすぎるよ!」

静「あはは、まあ、普段はこんなに手の込んだ料理は出ないんだがな」

雪乃「門前のひも、望まぬ職を得る、だったかしら」

八幡「なにそのことわざ。なんで俺追い出されてんの。てか普通に美味しいと言え」

雪乃「そうね。まあ、プロと自負するくらいはあるわね。もしかしたら、私より上手くなっているかもしれないわ」

八幡「お、まじか」

雪乃「そう。家にお手伝いさんとして雇いたいくらいよ、八幡くん」

八幡「そりゃどうも――あれ?いま名前で呼んだのか?」

雪乃「なにか問題でもあるのかしら?」

八幡「いや、そういうわけじゃないが、今までずっと苗字だったのにいきなり名前で呼ばれたら、な」

雪乃「先生の苗字もいまは比企谷なのだから、比企谷と呼んでしまっては紛らわしいでしょう?ねえ、先生」

静「え?あ、まあ、そうだな」

八幡「そっか。まあ、たしかに紛らわしいし、二十年近くの付き合いでまだ苗字で呼び合うのもそっけなくはあるな」

雪乃「そう。だから貴方も私を雪乃ってよ呼びなさい、八幡くん」

八幡「はは、正直ちょっと照れくさいな」

結衣「あー考えてみればヒッキーは比企谷を略称だから先生とヒッキーが紛らわしいかも。あたしも八幡って呼ぶかな~?」

八幡「それは紛らわしいくないだろ」

結衣「紛らわしいよ!」

42: 2015/01/04(日) 16:53:19.76 ID:Rl5u7Tc50
八幡「いや、まったくもってそんなことないな。というかお前、以前俺にヒッキーはずっとヒッキーとかなんとか言ってなかったけ」

結衣「でもヒッキーもヒッキーって呼ばれるのいやそうだし、あたしだけ苗字で呼んでるようでいやだし……」

八幡「いまさらかよ。……それと、ヒッキーって呼ばれるの別に嫌じゃねえ」

結衣「へ?」

八幡「そりゃ最初の頃は嫌がったが、もう二十年近く呼ばれ続けてるからな。もう他の呼び方がむしろぎこちないというの?それに、…せっかく友達が付けてくれたあだ名だしな」ぼりぼり

結衣「ほ、ほんと?」

八幡「まあ、他のやつらがヒッキーって呼んだらぶっ飛ばしたいが、お前なら別にいいよ」

結衣「ひ、ヒッキー…!」

静「たしかに、由比ヶ浜が八幡を他の呼び方で呼ぶのは想像がつかないな」

雪乃「私も、由比ヶ浜さんが八幡くんをヒッキーって呼ばないのは想像し難いわ」

八幡「おい、雪乃、俺は名前で結衣は苗字ってのもおかしくないか?」

雪乃「そうね……八幡くんの言うとおりだわ。私としたことが八幡くんに指摘されてしまうとは、不覚ね。ごめん、結衣。遅かったのだけれど、これからは名前で呼んでもいいかしら?」

結衣「!もちろんだよ、ゆきのん!」

八幡「本当にいまさらって感じだが、名前で呼び合うのも、悪くないな」

雪乃「そう。いまになって考えると、私も余計な意地を張ったものね」

八幡「うん?」

雪乃「なんでもないわ、八幡くん」ふふっ

静(よかった。なんか言葉に棘がある気がして、実は来たくなかったのかと思っていたが、どうにも杞憂だったようだ。場も和やかになって、今日が雪ノ下に慰めになったらいいんだが)


43: 2015/01/04(日) 16:54:50.48 ID:Rl5u7Tc50
結衣「この肉じゃがもヒッキーが作ったの?」

八幡「あ、それは静が作ったやつだな。どうした?ひょっとして口に合わないとか?」

結衣「いや、おいしいよ。でもなんだかこれだけ味が違うなーと思って」
雪乃「確かに八幡くんの料理とは味が違うわ。でもまあ、働いてる先生より実力が落ちたらそれこそ主婦失格ものだもの」

静(八幡が名前で呼ぶのは私と義妹だけだったんだが……微笑ましいと思いながら、なんか寂しい……どこか羨ましい気もする)

結衣「あたしも自炊するけど、ヒッキーにはかなわないかな……そうだ!ヒッキー、暇があったら家に来て料理教えてくれたらだめ?」

八幡「え、めんどくさい」

結衣「もうー!一日くらいはいいでしょ!長い付き合いだし!」

雪乃「そうね、だったら結衣、私も八幡くんと一緒に教えてあげるわ」

結衣「え…?あ、うん!いいよ!」

雪乃「ではいつがいいかしら。私は週末以外は忙しいのだけれど。八幡くんはいつでもいいんでしょう?」

八幡「おいおい、まだ行くとは一言も言ってないぞ」

静(先生か……私だけ壁が出来ているようだな……そりゃ師弟の間柄ではあるが、私も名前で呼んでくれたら…)

静「あ、あのな、雪ノ下、由比ヶ浜」

雪乃「はい、先生」

結衣「なんですか?先生?」

静「その……私も君たちを名前で呼んでもいいか?」

結衣「もちろんです!静先生」

雪乃「お好きになさってください、先生」

静「そうか!じゃ、これからは私も名前で呼ぶとしよう。雪乃、結衣。君たちも私を先生じゃなくて静姉さんと呼んでいいんだぞ?君たちは弟子達である上、旦那の親友だからな」

雪乃「すみません、それは無理です」

結衣「ねー、いくらなんでも先生なのに姉さんはちょっと……」

八幡「まあな」

静 (´;ω;`)

53: 2015/01/04(日) 20:41:05.59 ID:Rl5u7Tc50
雪乃「今日は楽しかったですよ、先生」

結衣「また来ますねー」

静「はいはい、気を付けて帰れよ」

八幡「んじゃ、またな」

雪乃「……」

八幡「ん?」

雪乃「八幡くん、まさかか弱い女性二人を夜道に放っておくつもり?」

八幡「は?いや、二人だし、別に問題ないんじゃ」

雪乃「私や結衣みたいに若くて綺麗な女性が一緒だからむしろ危険なの。それほどの常識のないのかしら?」

結衣「そうだよ!それにここから駅は遠いし」

八幡「若くて綺麗って、……まあ、きれいなのは別になんとも言わないが、お前らもうあと三年で
四十――」

雪乃「…」ギロッ

結衣「…」ギロッ

八幡「…が、お前たちは童顔だからそうかもしれないな」

静「そ、そうだな遅い時間だし送ってやってやれ八幡」

結衣「ありがとうございます~先生」

雪乃「はい、では失礼します。八幡くん?」

八幡「仕方ない、静、ちょっと行ってくるわ」

静「わかった。みんな気を付けておかえりなさい」


54: 2015/01/04(日) 20:42:23.36 ID:Rl5u7Tc50

結衣「今日は本当に楽しかったねー」

雪乃「そうね、こんなに楽しかったのは久しぶりだわ」

八幡「そりゃよかった」

雪乃「で、どういう風の吹き回しで食事に誘ったのかしら?」

八幡「別に何かあるわけじゃねえよ。俺たち三人で会わなくなって久しいからな。三人で顔あわせていいんじゃないかって思っただけだ」

雪乃「ついでに離婚して傷心してる私を慰める為に?」

八幡「……まあ、否定はしねえが」ぼりぼり

結衣「ヒッキーは相変わらず優しんだね」

八幡「そんなことはない。本当にキツかった時には何も知らなかったし、何もしてないから。むしろ申し訳ない」

結衣「あたしもごめんね、ゆきのん……ゆきのんが苦しんでるのに全然しらなくて……」

雪乃「知らなくて当然よ。私が言ってないもの。言ってないのを知ってるほうが不自然だわ」

八幡「そう言ってもな…まあ、知ってたとしてもどうにか出来たとは思えないが。家庭の問題はいくら親しいと言っても勝手に出来ないからな。しかも俺は男だから相談や慰めで会ってるのを旦那に誤解されたら火に油だ」

雪乃「……」

八幡「だから出来ることはこんなことしかない。これもお前が離婚したからこそ出来るっていうのは皮肉なものだな」

雪乃「いいえ、これで十分よ。ありがとう、嬉しいわ」

八幡「とにかく、これで誰かに誤解されることもないし、鬱になったり、暇だったらいつでも遊びに来いよ。結衣はともかく俺は暇だからな」

雪乃「あら、でもそうしたら貴方が誤解されるんじゃないかしら」

八幡「他の人ならまだしも静がそんな誤解するはずないだろ」

雪乃「ふふ、そうね」

結衣「あ、そうだ。料理を教えてくれるのはいつがいい?」

八幡「さてな、お前と雪乃が時間が合う日でいいんじゃねえの」

雪乃「そうね、では来週の日曜日はどうかしら?」

55: 2015/01/04(日) 20:43:04.65 ID:Rl5u7Tc50
結衣「来週の日曜日ね、わかった!」

八幡「こっちもオッケー」

雪乃「では結衣の家に行く日はその日として、私の家に来る日を決めましょう」

結衣「え?」

雪乃「私は貰ったものは必ず返す主義よ、恩も仇も。今日は八幡くんにごちそうされたから次は私の番ということよ」

八幡「おいおい、取引先との接待でもあるまいし、そうすることないだろ」

雪乃「たとえ友達同士だと言っても貰ってばかりはいやなのよ。それとやっぱり私の方が料理の腕が上だというのを証明しなきゃならないし」

八幡「いつもの負けず嫌いかよ。わかったよ」

雪乃「結衣、再来週の土曜日はどう?時間があるかしら?」

結衣「え?あ、土曜日の夕方ならたぶん大丈夫」

雪乃「そう。なら来週の日曜日は結衣の家、再来週の土曜日は私の家ね」

八幡「土曜日の夕方か。静の時間を聞かなきゃな」

雪乃「いいえ、その日は私達三人だけで集まって欲しいわ。元奉仕部の部員だけということで」

結衣「!」

八幡「は?でも静も奉仕部の顧問だったぞ?」

雪乃「静先生には悪いけど、その日は部員だけで集まってみたいの。それと先生ももう年だから遠くまで足を運ぶのは大変でしょう?」

結衣「そうそう!先生もそろそろ体に気をつける年だからね。あ、健康検診でもさせてあげたら?」

八幡「おいおい、そんなにお年寄りではないだろ、たったのg――とにかく、車があるから別に無理じゃねえよ」

雪乃「先生とは次の機会に小町さんと戸塚さん達も呼んでみんなで会いましょう」

八幡「戸塚か。戸塚もしばらく見てないな…はあ、元気かな?」

結衣「ヒッキーまじきも!さいくんの話したらすぐ顔緩むし!」

56: 2015/01/04(日) 20:43:39.35 ID:Rl5u7Tc50
雪乃「もうすぐ駅ね。ここまででいいわ、今日はありがとう、八幡くん」

結衣「うん、たのしかったよヒッキー!じゃ、また来週!」

八幡「あいよ、また来週な。気をつけろよ」





雪乃「……」

結衣「……」

雪乃「……結衣」

結衣「うん?」

雪乃「結衣に話したいことがあるの」

結衣「そう?偶然だね。あたしもゆきのんと話したいことがあったよ」


57: 2015/01/04(日) 20:54:56.37 ID:AHtPnlBmo
お前ら、先生を苛めんなよ……?

61: 2015/01/04(日) 21:59:40.12 ID:Rl5u7Tc50
土曜日

八幡「いくら夏で、家の中だと言ってもな……」

八幡「なんだその格好は。見てるこっちがまいっちんぐだよ」

雪乃「まいっちんぐ?何を言ってるのかしら。もっと人間にわかるように言ってくれる?」

八幡「人間じゃねえのか俺は。だからお前ら露出しすぎなんだよ」

結衣「ヒッキーサイッテー」

八幡「いや、最低なのはお前らの羞耻心パラメータだ。由比ヶ浜至っては、それミニってレベルじゃねーぞ」

結衣「夏だからあついし、家の中くらいは楽でいたいし」

八幡「なんでエアコン付けないんだよ。あれは飾りなの?見るだけで涼しくなるような新技術なの?」

結衣「省エネだよ、省エネ!」

雪乃「そうね。国家的な問題になってるもの」

八幡「小学校の教科書かよ。そんなの気にしても国家的な問題を個人がどうこう出来るわけないし、そんなの事で得られるのはけし粒のような自己満足だけだ。だから文明の利器を使いこなした方がお得なんだよ」

結衣「二十年経ってもヒッキーはヒッキーだね……」

八幡「まあ、いくら年を取ったからって本質的なところは変わらんだろう。俺を変えたければ映画のように事故でも起こして記憶をなくすことだな」

雪乃「そうね、八幡くんを変えるには頭の中をフォーマットしたほうがよさそうね。まあ、それだから彼らしいけど」

結衣「あはは、昔はこんなおじさんになってまでとは思わなかったよ」

八幡「うるせ、お前らもおばさんだろ」

雪乃「あら、こんな若くて綺麗なおばさんがあるとでも?」

結衣「そうだよ!毎日欠かさず運動してるからまだぴちぴちだし!」

八幡「お前らが綺麗で若くみえるのは認めるが、他のところでそんな事言うなよ。正直37歳ババアがそんな事言ったら引くぞ」

結衣「ババアいうな!大事なのは中身だし!」

62: 2015/01/04(日) 22:15:01.45 ID:Rl5u7Tc50
雪乃「そうよ、大事なのは何歳かじゃなく、何歳に見えるかだもの」

結衣「かわいいって言い寄って来たから年を教えると黙って去っていたあの筋肉バカまじ許すまじ……」

八幡「そ、それはご哀愁様で…まあ、お前らが実際の年が重要じゃないと言うならそうだろうな。お前らの中ではな」ニヤリ

結衣「ヒッキーひどい!うう……やっぱり男は若い子がいいのかな……」

雪乃「心配しないで、結衣。言葉はそう言っても八幡くんは女の年なんか気にしないわ」

八幡「は?」

雪乃「だってそうでしょう?貴方が静先生と結婚した時に静先生はちょうど今の私達と同じ年だもの」

結衣「あ、本当だ」

雪乃「二十代半ばの時から恋愛対象であったから、三十代半ばの今はいうこともなしね。それとも今は五、六十代の完熟した女が好みかしら?」

八幡「それは完熟しすぎて腐るだろ」

雪乃「あら、年上好きの八幡くんならそれくらいは当然のものだと思ったのだけれと」

八幡「俺は別に年上好きじゃねえよ。惚れた女が偶然年上だっただけだ。それと男という生物は結局年下好きになってしまうんだよ。同い年いい、年上がいいってやつらも五十歳超えれば対象は全部年下になるんだからな」

結衣「へえー…」

雪乃「頭が禿げて老いぼれた八幡くんならともかく、今の八幡くんにとっては五、六十代の女性は異性としては見れないということかしら」

八幡「禿げねえよ。まあ、そうだが、年上だろうが年下だろうが結婚してる俺には関係ないがな」

結衣「……静先生も五十代なのに」

八幡「え?」

63: 2015/01/04(日) 22:24:33.06 ID:Rl5u7Tc50
雪乃「可哀想な先生。もう旦那に女として愛されないんでしょうね」

結衣「先生、かわいそうだよー」しくしく

八幡「いや、おま、違う」

雪乃「八幡くんが悪いわけじゃないわ。年の差を考えるとこういう問題は避けられない問題だったのよ」

結衣「うん、そうだね。先生はもう閉経期だし。夫婦で過ごした時間も長いからもう異性には見れないようね」

八幡「ち、ちかうからな?俺達はまだラブラブだからな?」

雪乃「あらそう。結婚して十五年も経ってる夫婦がまだまだラブラブなんて大したものね」

結衣「へえ、ラブラブか。でももうそのラブラブは出来ないんでしょ?」

八幡「だからちげーよ!他の女はともかく静は例外というか……ま、まあ、大事なのは何歳かじゃなく、何歳に見えるかであって――」

雪乃「あら、さっきとは話が違うんじゃない?」

結衣「あはは」

八幡「ちっ、うるせえな。無駄に暑くなってしまったぜ。おい、結衣、頼むから本当にエアコン付けくれ。電気代なら三百円まで出すからさ」



64: 2015/01/04(日) 22:44:02.10 ID:Rl5u7Tc50
雪乃「三百円って……小学生にも劣る器量ね」

八幡「三百円をバカにするな。三百円あればMAXコーヒーが買える」

結衣「ごめんヒッキー、実はそのエアコン壊れていて使えないの。近いうちに業者さん呼ぶつもりだから、次きた時は付けてやるね?」

八幡「はあ、まじか……」

雪乃「そんなに暑かったら服を脱いだらどうかしら」

八幡「は?俺この下はタンクトップだけだぞ?家の中でしか着ないやつだから」

雪乃「いいじゃない。短い付き合いでもないんだから。それに貴方の言うとおり、そんな事で恥じる年でもないでしょう?」

結衣「そうだよヒッキー。暑かったら脱いでよ」

八幡「いや、なんで脱がそうとするんだよ」

雪乃「あら、もしかして恥ずかしいのかしら。気にしないで頂戴。私と結衣は八幡くんがぽっこりしたお腹を持っていても受け入れられるわ」

八幡「ぽっこりなんてないな。どこにぽっこりがあるように見える?」

結衣「恥ずかしがらなくてもいいんだよ?ヒッキー」

雪乃「そうよ。結婚した主婦が太るのは当然だもの。家の中のひき幡くんならそうなるのが当然のもの」

八幡「おいおい、この前運動してるって言っただろ?割れてはいないが、結構自身あるんだよ」

結衣「へえー」

雪乃「八幡くん、羞耻を逃れる為に嘘をついてしまってはもっと大きい羞耻心に苦しむ事になるわ」

八幡「信用ねえな。見せてやろうか?」

結衣「へ?」

雪乃「そう、結局露出癖に目覚めてしまったのね。いつかはそうなると思ってはいたのだけれど」

65: 2015/01/04(日) 22:56:23.96 ID:Rl5u7Tc50
八幡「何も目覚めてねえよ。腹を少しめくるだけだ」

結衣「でもヒッキー、それならただシャツを脱ぐだけでいいんじゃない?」

八幡「…まあ、そうだな」

雪乃「暑いことも解決して、自信の体も見せる事が出来るのね。合理的だわ」

八幡「ううむ……いや、考えてみると別に見せる必要はねえな。自慢したいわけじゃないしな」

雪乃「もしかして静先生の事が気になるの?それなら余計な心配よ。貴方が言ったでしょう?そういうことで誤解する方ではないと。普通の奥さんなら私達が会うことさえ快く思ってないだろうけれど、旦那とその親友の為に長い時間頑張って来てくれた先生なら気にしないと思うわ」

結衣「ゆきのんの言う通りだよ!それともあたし達を意識して恥ずかしいの?」

八幡「バーカ。二十年近く見て来たのに意識なんてするか。学生の頃ならまだしも、いまさらお前らの裸を見てもなにも思わねえよ」

雪乃「……それはそれでむかつくのだけれど」

結衣「失礼だよ!」ぶるぶる

八幡「はいはい、わかったわかった。脱いだらいいんだろ?脱いだら」

雪乃「そういう言い方はやめてくれないかしら。まるで私達が貴方を脱がしたように聞こえて不快だわ。私達はあくまで暑いと駄々をこねる露出狂に解決策を提示しただけよ」

八幡「はいはい、ふうー暑いな本当」

結衣「あ……///」

雪乃「あら……///」

八幡「ん?どうした?惚れたか?」

結衣「き、きもい!ひ、ヒッキー本当に運動してるんだね///」

雪乃「まあ、見苦しくはないわね///」

83: 2015/01/05(月) 11:05:07.58 ID:19T3qjXH0
八幡「見るがいい、この素晴らしいボディーを!」ポーズ

結衣「うわ……腕が前より太くなったとは思ったけどここまでだなんて……」

八幡「主婦のプロとまでなれば相手の為の健康維持は基本だからな」

雪乃「驚いたわ。貴方がそこまで真面目に主婦をやっていたなんて」

八幡「ようやくわかったか?男の中では俺は専業主婦全国上位1%のうちに入るんだよ。優秀な旦那の鏡って言えるぞ」

結衣「優秀な旦那さんは専業主婦じゃないと思うけど」

八幡「それは差別的な発言だ。男女平等の旗印を掲げてもはや何十年。性別なんて構わず適性によって分担するのが真の夫婦ってものだ。正直、静に家事を任せるのは不安だしな」

雪乃「言ってることはそれほど間違ってないわね。先生は家事が下手そうに見えるもの。それに主婦の仕事も大事なものである事を考えると八幡くんがいい旦那さんと言うのはあながち間違ってはないかもね」

八幡「だろ?だからお前らも俺みたいないい男を探せ」

結衣「……」

雪乃「……」

八幡「おいおい、冗談だぜ、そんなにきつい顔するな」

雪乃「いいえ、貴方の言うとおりだわ」

結衣「うん、そうだね」

八幡「そ、そっか。まあ、頑張れ」

雪乃「……ところで八幡くん」

八幡「ん?」

雪乃「青い鳥という話を知ってるかしら?」

八幡「過去文系で優秀な成績を誇った俺が知らないはずないだろ」

雪乃「そう。チルチルミチルの兄妹が青い鳥を探しに行く話しなの。その結末がどうなったか知ってる?」

八幡「夢オチで自分たちが飼っていた鳥がその青い鳥だったって話だろ?」

雪乃「そうよ。幸せはすぐそばにあったという話し」

八幡「それがどうしたんだよ」

雪乃「さあね、ふふ」

結衣「あはは」

八幡「何なんだ?いきなり変な奴らだな」

84: 2015/01/05(月) 11:05:43.00 ID:19T3qjXH0



雪乃「本当に暑いわね、今日は」

結衣「うん。もうすっかり夏だね」

八幡「俺がなんども暑いって言ったろ。結衣、扇風機はないのか?」

結衣「エアコンがあるから扇風機は買ってないの」

八幡「いや、そのエアコンまったく使われてねえし。お前この夏をどうするつもりだ…」

雪乃「まあ、暑いなら熱の放出を遮るものを排除すればいいんじゃないかしら」

八幡「これ以上どうしろと」

雪乃「そうね。そのズボンでも脱いだら?」

八幡「ズボン脱いじゃうと下着しか残らないんですが?」

雪乃「気にしなくていいわ。私は貴方の下着を見ても何も思わないもの」

八幡「俺が気になるんだよ」

結衣「ヒッキー、そんなに暑いならシャワーでも浴びたら?」

八幡「あ?」

結衣「結構汗かいてるようだし、お水でシャワー浴びだらしばらくは涼しくなるじゃん」

雪乃「いい考えね。ただでさえ臭い八幡くんだから洗ってきた方がいいわ」

八幡「え、まじ?俺来る前にシャワー浴びて来たんだが」

雪乃「冗談よ」

八幡「勘弁してくれ、あやうく昔のトラウマが蘇るところだったぞ。結衣、本当にシャワー借りていいのか?」

結衣「もちろんだよ。あたし達の仲だし気楽に使ってよ」

八幡「そっか。ありがとな。じゃ、行ってくるわ」テクテク

結衣「うん!」
                    ガチャ

雪乃「……」

結衣「……」

85: 2015/01/05(月) 11:06:24.82 ID:19T3qjXH0

八幡(なっ、これ結衣の下着なのか?)

八幡(ありし日の俺が見たら一発でビXチと叫ぶレベルのきわどさだな)

八幡(いくら長い付き合いでも俺も一応男だから気を付けてくれよな……)

八幡(今日にしてもあれはヤバイだろ。俺じゃなかったらこいつ誘惑してると勘違いするレベルだぞ)シャアア

八幡(まあ、いまさらそんなことがあるはずもないし、大体、真の友情を交わした俺達にそんなのあり得ないしな)

八幡「生き返るわー」

八幡(しかし、あいつら本当に年に合わない体してるな。三十七ならもう立派なババアって言うのによ)

八幡(時が過ぎても由比ヶ浜は由比ヶ浜で、雪ノ下は雪ノ下ということか)シャワー

86: 2015/01/05(月) 11:07:08.00 ID:19T3qjXH0
八幡「ふいーいいシャワー浴びだぜ」

結衣「おかえりー」

雪乃「あら、もう上がったの?」

八幡「ああ、体流しただけ――え?」

結衣「ん?どうしたの?」

八幡「いや、お前らがどうしたんだよ?」

雪乃「私達がなにか?」

八幡「ほぼ下着姿じゃねえか。なんで脱いでんだよ」

結衣「暑いからに決まってるじゃん。そしてこれ下着じゃないし」

雪乃「なにか問題でも?」

八幡「あるに決まってんだろ」

雪乃「貴方の姿も私達とそう変わらないんじゃなくて?結衣が言ったようにこれは下着じゃないから問題ないわ」

八幡「いや、下着じゃないかもしれないが、布の面積が圧倒的に少ないんですけど」

結衣「いいじゃん、ここは家ん中だし、あたし達しかないし」

雪乃「それともなにか?刺激が強すぎて八幡くんは犯罪者になってしまいそう?」

八幡「んなわけあるか、ババアども」

結衣「じゃいいんでしょ?それとババアないし!」

雪乃「本当にダメそうなら言って頂戴。お願いしたら聞いてあげないこともないわ」

八幡「お願いするのもあれだが、お願いしたら服でも着るのかよ」

雪乃「乱暴な獣を野放しにして一般人を犠牲にするわけにはいかないもの。古い友人が性犯罪を犯すのを見過ごすのは本意ではないから、貴方の為にこの体を犠牲にしてもいいわ」

結衣「うん、あたしもヒッキーの為なら大丈夫だよ」

八幡「な、なん――」

雪乃「それに……いまは独り身だから。ねえ、結衣?」ニコ

結衣「ねえー」ニコ

八幡「……」

雪乃「ふふ、冗談よ」

結衣「あれ?ヒッキー顔赤くなってる?」ニヤ

八幡「お前ら、年食ってシモネタばかりかよ……大体こっちはそんなつもり毛頭もない」

雪乃「あら、そう」

八幡「さっきも言ったが、いまさらお前らを意識したりしねえよ」

結衣「そっか。じゃあ、ヒッキーは意識しないからこのままでもいいよね?」

八幡「はあ……勝手にしろ」

雪乃「八幡くんも私達を気にせず、暑いならそのズボン脱いでいいわ」

八幡「結構です」

89: 2015/01/05(月) 12:46:15.79 ID:19T3qjXH0
静(50)「おかえり!ごはんにする?風呂にする?それとも、わ・た・し?」

八幡「……」

静「……」

八幡「……」

静「……な、なにか言ってくれ」

八幡「ごめん……一瞬、鳥肌全開だったもので」

静「くっ……す、すまない。年甲斐もなくはしゃいじゃって…」

八幡「あ、いやいや、こっちこそつっこみきれなくてごめん」

静(つっこみ待ちだったわけじゃないんだが……)

八幡「それにしても、その格好はなに?まさか裸エプロン?」

静「いや、下着はつけている。さすがにこの年で裸エプロンはな……」

八幡「いや、下着エプロンもどうかと思うんですが」

静「あ、暑かったから…」

八幡「だからエアコンをな…」

静「その……省エネというか、あはは……」

八幡「またそれか。まったく俺の周りはなにを起こそうとしてるんだ」

静「え?」

八幡「なんでもないです。ふむ、しかし裸エプロンね……十年前なら素直に喜んだけどな」

静「ううっ……若い頃の私にはハードルが高かったんだ」

八幡(十年前なら四十代だから若く無いといったら鉄拳制裁だろうな)

90: 2015/01/05(月) 12:46:54.83 ID:19T3qjXH0

八幡「でも本当にどうしたんだよ。なにかあったの?」

静「特になにかあるわけではないんだが、ちょっと思いついたから……」

八幡「まったく……子供かよ」

静(夫婦の仲が疎遠になるか不安だったからって言えないだろ……何が裸エプロンならイチコロだ!2chに相談した私が馬鹿だった……)

八幡「ごはんは?まだならいま作るよ」

静「あ、それなら私が作っておいたぞ。夕飯まだなんだろ?一緒に食べよう」

静(そう、裸エプロンは失敗したが、まだ愛妻料理が残っている!)

八幡「え?あ、こめん。夕飯は材木座ともう食べてきたんだ。連絡するの忘れたな」

静「へ…?そう、なのか?七時前には帰るといったから……」

八幡「本当にごめん!俺も夕飯は一緒に食べようと思ったんだけど材木座の奴がお腹空いたってうるさかったから仕方なくな」

静「そ、そうか……」

八幡「だからまだ食べないで待ってたんだ?ごめん。先に食べていいのに……」なでなで

静「い、いや、私は大丈夫」

八幡「そうか。じゃ、俺は先に風呂入ってくるから夕飯食べていて」

静「うん……」

96: 2015/01/05(月) 16:21:29.16 ID:19T3qjXH0
八幡「くう~風呂あがりはMAXに限るわ」

静「は、八幡」

八幡「うん?」

静「ひ、久しぶりに一杯どうだ?」

八幡「うん、いいよ」

静(よ、よかった……これもダメだったらもうどうしたらいいのか…)ぶるぶる

八幡「外で飲む?」

静「いや、買っておいたものがあるし、家でゆっくりと飲みたいが…」

八幡「そうか。で、なんでそうおしゃれしてるの?それ静の一張羅じゃなかったけ?見るの久しぶりだな」

静「これはその……おしゃれした方が酒が美味いという話を聞いて…」

八幡「まあ、確かに雰囲気はよくなるかもな。しかしまだその服が着れるとは、さすがだな静。見直したよ」

静「ま、まあなー」
静(実は油断すると服が破れそうだとは氏んでも言えない!)

八幡「じゃせっかくだから俺もおしゃれするか」

静「い、いいね」

97: 2015/01/05(月) 16:22:12.33 ID:19T3qjXH0
八幡「おまたせー、え?なんで真っ暗なの」

静「こっちこっち」

八幡「おいおい、どうしたんだ蝋燭まで準備して。なんか記念日だったけ?」

静「なにかの記念日じゃなくてもたまにはいいだろ?」

八幡「まあ、そうだわな。これはビール飲むって雰囲気じゃないが、ひょっとしてワインか?」

静「ははは、正解だ」

八幡「ワインはよくしらないけど、これそこらへんで買える安物じゃないな。いくらしたの?」

静「そんなに高くはないよ。二万くらいだ」

八幡「いやいや、高いと思うんですが。二万だったらMAXコーヒーが何箱買えると……」

静「た、たまにはいいだろ!酒で高いものを探せば二万は足元にも及ばないんだぞ?それと私の給料も高くはないが二人の生活には十分だから……」

八幡「いや、まあ、そうだな。ごめん、せっかく準備してくれたのに余計な言葉だった。ありがとう、美味しくいただくよ」

静「いや、私こそ相談もしないで買ってごめん。ふふ」ぽん

八幡「へえ、いい音するな」

静「そうだな」コポコポ

八幡「お、いい匂いだな。今度は俺が注いでやるよ」コポコポ

静「ありがと。じゃあ、乾杯しようか?」じー

八幡「ああ、君の瞳に乾杯―」チリン

98: 2015/01/05(月) 16:23:07.52 ID:19T3qjXH0

八幡「この味は……クレオパトラ!?」真剣

静「ブ――ッ、けふっ、あはは、なんだそれ」

八幡「どうだ、それっぽいだろ?昔読んでいたマンガでこんなセリフがあってな」

静「それなら私も見たことがあるが、実際に言葉にするものではないな」

八幡「まあ、ビーム噴き出したり、食べ物で絶頂するよりはましなんじゃね?」

静「そりゃ漫画だからな」

八幡「どこかの番組でこんなセリフをいうソムリエを見た気がするけどな」

静「あはは、そうか」

静(せっかく作った夕飯が無駄になった時は泣きたかったけど、まあ、こうやって二人で飲めるからいいか)

99: 2015/01/05(月) 16:24:29.94 ID:19T3qjXH0



八幡「ふう、いいワインだったよ」

静(13歳下の若い旦那との結婚)

八幡「たまにはこういうのもいいな」

静(先生という身分で教え子に手を出したという事に世間の視線はきつかったし、雪乃や結衣に対する罪悪感もあった)

八幡「もう十一時半か」

静(だが一人の女性として、彼との結婚は幸せだった。幸せを手に入れる事が出来たんだ)

八幡「ふむ、明日は月曜日か」

静(でも不安なんだ……君はまだ若いのに私だけこんなに老いてしまったことが……)

八幡「昨日無理して疲れてるから」

静(子供でもあったらこんなに不安になることもなかったはずだが、不幸にも私には子供が出来なかった)

八幡「早く寝るほうがいいかもな」

静(私は子供なしに二人だけでも幸せだけど、君はそうじゃないかも知れないという事実が怖くてたまらない)

八幡「静も寝るだろ?」

静(子供も出来ないおばさんの私に飽きて他の女の所に行ってしまうのではないか、そんな想像が怖くてたまらない)

八幡「ん?」

静(もう五十路。早ければ孫さえある年だ)

八幡「静?」

静(そのうちお婆さんと呼ばれてもおかしくないこの年に自分でも色ボケたと思うけど)

八幡「もしもし~」

静(私はまだ君と愛し合いたい。愛されたい…!)

100: 2015/01/05(月) 16:25:10.81 ID:19T3qjXH0

静「は、八幡!」

八幡「な、なに?」

静「あ、あのな……今日は、その、久しぶりに……」

八幡「ん?」

静「や、やらないか…?///」

静(く、くうっ、言ってしまった////)

八幡「え?あ、その……悪いけど俺、昨日ちょっと精力消耗してしまっちゃってさ、違う日にしない?」

静「!?!?!」

八幡「ごめんな、こんなに準備してくれてるのに」

静「しょ、消耗しちゃったの……?」

八幡「え?あ、ああ」

静「そそそそそれは、つ、つまり、うううううう浮気…?」

八幡「なっ、いや違う!」

静「そ、そうか……私はもう飽きてしまったのか……」涙目

八幡「待って、お前いま絶対誤解してるぞ!」

静「そう、だな……八幡はまだ若いし、私は閉経期の廃れ物だからな……」しくしく

八幡「だから誤解だって!」

静「子供もできない……もう捨てられて当然か……あは、は……」ぽろぽろ

101: 2015/01/05(月) 16:26:14.70 ID:19T3qjXH0
八幡「おい静!」

静「!?」ビク

八幡「誤解されるようなこと言ってしまったのは悪いけど、浮気じゃないから」

静「ほ、ほんとに?」

八幡「大体浮気の告白をこんな堂々とするか。昨日は……そのナニを頑張ってしまっただけなんだよ」

静「……」

八幡「その、なんだ、この間があれだったからな115回目のあれ。材木座の奴がなんかいっぱい送ってきたんだよ」

静「……」

八幡「そんなの貰っても迷惑だが、来てしまったものを捨てるのもあれだし、その、…な?」

静「……」

八幡「だから全部誤解だ。泣くなよ」

静「……」

八幡「まあ、そういうわけで今日はちょっと疲れてるから、次にしよ。な?」

静「………うん」

八幡「怒るなって。ごめん、愛してる」チュ

静「あっ…///」

八幡「じゃ、先に寝るぞ」

静「うん!///」

静(ふええ…よかった……閉経期が来たと言った日からなんかよそよそしいと思って……でもまだ愛されてるんだ……よかった……本当に……)

静「……」

静(……でもよく考えてみたら、私と関係は持たなくてもナニはしてるってこと?)

静(最後にしたのはいつだったかな……)

静(妻として愛してるけど、性的対象にはならないと……)

静「くっ……心が…!」


つづく

102: 2015/01/05(月) 16:32:13.73 ID:qNl2TERmO
なぜか涙でてきた…
まだ何も起きてないのに…

103: 2015/01/05(月) 16:56:43.11 ID:QWsKNPJVo
教師という社会的信用もあるし養子貰えば良い

104: 2015/01/05(月) 17:45:59.49 ID:Wm8s2uQz0
ものすごい心にくるな、これ

引用元: 静(50)「すまん、八幡。閉経期が来たようだ」八幡(37)「」