1: ◆qKN1KEFb.k 2013/11/30(土) 18:06:29.35 ID:wh2F03XE0



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□ドーム・舞台裏



\ワァァァァァァ!/


スタッフ「「LIVE、お疲れ様でーす!」」


晴「お疲れ様っしたー!」

のあ「……お疲れ様」

晴「のあさん、その衣装超カッコよかったな! すげーマッチしてるっていうかさっ」

のあ「……そう。あなたも、歌う事がとても楽しそうだった。その心は、かけがえのない事よ」



2: 2013/11/30(土) 18:07:21.14 ID:wh2F03XE0



晴「そういやのあさん、LIVEの時とかよくステージ天井の星を見てたけど、あれってなんか楽しいのか?」

のあ「……そうね。ただ、星を見るという行為が好きなだけ。……深い意味は無いわ」

晴「ん、そっか。良く分かんねーけど、のあさんが楽しいならいっか」

のあ「あなたは、星は好きかしら?」

晴「あー、好きかどうかだったら好きかな。綺麗なもんは嫌いじゃないぜ」

のあ「……そう」

晴「? ま、いっか。……そういや、またPが来ねーなぁ」

のあ「そうね」

晴「前はリハ終わったら直ぐに飛んで来てたってのに、最近は全然来なくなっちまって……なにしてんだか」

のあ「……」




3: 2013/11/30(土) 18:07:49.14 ID:wh2F03XE0



スタッフA「お二方、お疲れ様です」

のあ「……お疲れ様」

晴「あ、おつっした!」

スタッフB「やー、晴ちゃん、可愛かったよー」

晴「可愛い……あー……あざっす」




4: 2013/11/30(土) 18:08:23.34 ID:wh2F03XE0



スタッフC「次の出番まで時間があるので、控え室で待っていて頂けますか? こちらからお呼びしますので」

のあ「ええ、了解よ」

スタッフB「晴ちゃん、次も可愛さ全開でお願いしますよ!」

晴「……はい、頑張るっす。それじゃオレ、控え室戻るんで。のあさん、行こうぜー」テテテテ

のあ「……そうね、失礼するわ」カツカツ


「オツカレサマデシター」「オツッシター!」




5: 2013/11/30(土) 18:09:08.73 ID:wh2F03XE0


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控え室


晴「…………ふー。……はぁ」

のあ「……不機嫌のようね」

晴「不機嫌っつーか……あ、いや、不機嫌なんだと思う。うーん……」

のあ「私と居るのは……つまらないかしら?」

晴「は!? いやいや、ちげぇよ! のあさんカッコイイし、一緒にユニット組めたのはすげー嬉しいんだ。でもさ……」

のあ「……」

晴「毎回毎回、台本の台詞がどーもオレ好みじゃないんだよ……『はるちんの出番だよっ!』ってなんだよ……」




6: 2013/11/30(土) 18:10:00.71 ID:wh2F03XE0



のあ「それがアイドルということ。あなたも分かっているのでしょう?」

晴「ん、これでファンが喜んでくれるんならいいんだけどさー。なんか、方向性が違うんだよ」

のあ「……」

晴「こう、アイドルって可愛いだけじゃないじゃん? 格好良かったり、のあさんみたいにミステリアスだったりさ」

のあ「……そうね。十人十色でなければ、私達は輝けないわ」




7: 2013/11/30(土) 18:10:33.75 ID:wh2F03XE0



晴「それで、オレは可愛いアイドルを目指してるってわけじゃねーんだ。だから、Pのやり方にはあんまし納得いってねーっつーか……」

のあ「……」

晴「前からずっとカッコイイ衣装にしてくれーって話してんのに、前々回はバニーだわ今回も台本酷いわで……なんかなー」

のあ「……」

晴「Pってやっぱり、ろ、口リコンとかなんじゃないか? オレにこういう恰好ばっかりさせるし……」

のあ「……」




8: 2013/11/30(土) 18:11:13.36 ID:wh2F03XE0



のあ「……晴」

晴「ん、なんだのあさ……って怖っ! のあさん、な、何か背後からオーラ出てるぞ!?」

のあ「あなたを輝かせているのは、他でもない彼よ。あなたは、覚悟をしてこの場所に居るのではないのかしら?」

晴「いや、そうだけど……と、とりあえずその背後の化身っぽいの消してくれって! 怖いから! 必殺シュートしそうだから!」

のあ「……そう」

晴「あ、治まった……オレ、何かのあさんを怒らせることしたか?」




9: 2013/11/30(土) 18:12:19.96 ID:wh2F03XE0


のあ「……晴、あなたは年齢にそぐわない技量を持っているわ。今回のLIVEも、それが感じられた」

晴「そ、そうか? それは嬉しいけど……」

のあ「ただ、あなたはまだアイドルの世界を深く知れていない。今、あなたがしている行いは、今後に繋がるための鍵でもあるの」

晴「……鍵?」

のあ「そう、アイドルの道には、多くの開かない扉がある。その扉を開くには、より多くの鍵が、経験が必要になる」

晴「……あ、色々やることで、技術が身についていくって事か。サッカーの基礎練とかもそうだもんな」

のあ「あなたが毛嫌う事も、あなたの成長には必要になる可能性を秘めている。経験という事象は、人をより成長させるわ」

晴「そ、そうなのか……のあさんは、腐抜けたオレを見てそう言ってくれて…………ん?」




10: 2013/11/30(土) 18:13:05.36 ID:wh2F03XE0


のあ「……晴?」

晴「……いや、あのさ、気のせいかも知れないんだけどさ」

のあ「……何かしら」

晴「もしかしてのあさん…………オレが腐抜けたことよりも、Pのやり方に愚痴を言ったことに、オーラ出してたわけじゃないよな?」




11: 2013/11/30(土) 18:13:41.35 ID:wh2F03XE0


のあ「……」

晴「……」

のあ「……気のせいよ」

晴「そ、そうか、気のせいか……? まぁとにかく、少し気が楽になったよ。ありがとな、のあさん」

のあ「……そう思えることが、あなたの美点よ」



12: 2013/11/30(土) 18:15:05.65 ID:wh2F03XE0


-----


コンコンコン


晴「ん、誰だ? 入って良いぞー!」


ガチャッ


P「2人ともお疲れ様。さっきのLIVE、リハの時よりも良かったよ」

晴「おー、Pじゃん。LIVEの後に居なかったけど、何処行ってたんだ?」

P「LIVEが終わる直前に、やらなきゃいけないことがあってな。ごめん、迎えに行けなかった」

晴「ふーん? ああ、そうだP。本番前から聞きたかったんだが……今回の台本も、お前のプロデュースなのか?」

P「ああ、あれなぁ。どうも今回のディレクターが、前々回の晴を甚く気に入っていたみたいでさ」

晴「前々回……ああ、バニーか……」




13: 2013/11/30(土) 18:15:57.24 ID:wh2F03XE0



P「そう、バニーはるちん。あの恥じらいがどうとか言うことで、今回もそれに似た運びにしたわけだ」

晴「……なんだ、お前が一方的に決めた訳じゃないんだな?」

P「いや、それでも俺のプロデュースと言うことには変わりないよ。……あ、でもちゃんと可愛かったぞ?」

晴「か、可愛いとかはオレ苦手なんだっての。くそー、もっとカッコイイ仕事とかないのかよ? ……今までのも悪くは無かったけどさ」

P「……おお? 晴からそんな言葉が出るとは思わなかったな。実はあのプロデュース路線で良かったのか?」

晴「ち、ちげーよっ! のあさんから教えて貰ったんだよ、何事も経験みたいなこと!」

P「……そうなんですか、のあさん?」




14: 2013/11/30(土) 18:17:10.11 ID:wh2F03XE0


のあ「私はただ、晴のポテンシャルについて話しただけよ。どう感じ取ったかは、晴にしか分からないわ」

P「なるほど。……でも、のあさんのおかげで、晴も楽になれたと思います。ありがとうございます、のあさん」

のあ「……貴方は、私に感謝してばかりね」

P「そうですか? はは、のあさんにはとても頼らせて貰っているので、自然とそう言ってしまっているかも知れません」

のあ「……そう。ただ、頼らせているのは……貴方だけとも限らないわ」

P「あー、プロデューサーですからね。多方面から期待されてしまっているのは確かに……ダメにならない程度に頑張りますよ」

のあ「……そうね」

晴(のあさん、それって……)




15: 2013/11/30(土) 18:18:06.72 ID:wh2F03XE0


のあ「貴方の働きは、私達に直結するわ。けれども、貴方自身が保てなければ、私達もアイドルとして形を保てない」

のあ「ダメにならない程度ということは、ダメになる寸前と同義。近い将来にダメになっては、全く意味がないわ」

P「う、そうですね……」

のあ「今の私達は、確実にアイドルしての階段を上っている。しかしそのスピードは、常に最高速である必要はない。……もう分かるかしら?」

P「は、はい、定期的に休み入れます……。自分が倒れたら、2人をプロデュース出来ないですからね」

晴(……いや、今の思いっきりPを心配しただけだよ! 気付けって! ああ、言いたいけど言える雰囲気じゃねえ!)




16: 2013/11/30(土) 18:18:53.25 ID:wh2F03XE0


晴(と、いうかさ……)

のあ「……P。LIVEの後、貴方自身に予定はあるのかしら?」

P「LIVEの後だと、はる……じゃなくて、○○社で今後の番組の為の打ち合わせが入ってまして……」

のあ「……そう。明日以降のスケジュール、変更する気では無いわね?」

P「ええ、分かってます。2週間後くらいには自分のスケジュールが空くので、そこらに休みを入れますよ」

のあ「ならいいわ。忘れないように……貴方の体は、貴方だけのものでは無くなっているわ」

晴(のあさんのこの言い方からするとさー……)




17: 2013/11/30(土) 18:20:40.73 ID:wh2F03XE0


P「うぬぬ、責任重大ですね。見境無く仕事入れてたツケが来たって感じですかね……」

のあ「見境無く、ではないのでしょう? 貴方の掴む仕事は、常に私達を輝かせるエッセンスになりうるものばかり」

のあ「私達が貴方の仕事に従属するのは当然よ。ただ、なにも無知というわけではないの」

P「……のあさんにそう思って頂けるのなら、仕事の獲り甲斐があるものです。これからも、頑張りますよ?」

のあ「そう。期待に背かず、貴方自身の歩調で……楽しませて頂戴」

晴(オレの思った事、やっぱり気のせいじゃないよなぁ……)




18: 2013/11/30(土) 18:21:21.21 ID:wh2F03XE0


P「……おっと、もうこんな時間か。のあさん、自分ちょっとやることがあるので、終わりまで晴をお願いしますね」

のあ「ええ。ただ……私が居なくとも、彼女は平気よ。彼女の強かさ、理解しているのでしょう?」

P「もちろんですよ。だからのあさんと一緒にプロデュース出来るんです。単に、のあさんにお願いすると安心出来るだけですから」

のあ「……そう」

晴「ちょ、当の本人が居る前で恥ずかしくなるような会話すんなよ! なんかこう、褒められっとムズムズするじゃん!」

P「はは、晴はそこら辺がまだ弱いかな。こういうのには、軽くあしらう位の気概が無いと」

晴「無茶言うなって……。あー、オレも、もう少し冷静さってのが必要なのか?」




19: 2013/11/30(土) 18:22:31.40 ID:wh2F03XE0


P「冷静さというか、こういうことは今後どんどん言われることになるからな。習うより慣れろってやつだ」

のあ「そのためには、相手に見合う褒め言葉が必要になるわ。あなたには、それが従来の人間より度数を超えているだけよ」

P「晴、12歳で大分考えが出来てると思うよ。ファンのために苦手な可愛い台詞も言おうとするなんて、この年代の子にはあり得ないくらいだ」

のあ「先程のLIVEも、晴の力が合わさってこそだった。……それは確かよ」

晴「にゃっ、バッ、止め、止めろってば! 恥ずかしくて氏にそうだっての!」




20: 2013/11/30(土) 18:23:06.11 ID:wh2F03XE0


P「はは、真っ赤だな。でも1度言われれば、似たようなことを言われたときに慌てず、それなりの対応が出来るだろ?」

のあ「言ったでしょう? ……経験は、人を成長させるのよ」

晴「そうかもだけどよ……Pものあさんも、よくそんな事恥ずかしがらずに言えるな!」

P「俺は言い慣れてるからなぁ」

のあ「……恥ずかしいと思うから、羞恥心が出てくるものよ」

晴「ぐぅ……オレものあさんぐらいのクールさが欲しいぞ……」



21: 2013/11/30(土) 18:23:36.60 ID:wh2F03XE0


のあ「私にも、照れや羞恥という感情はあるわ。ただ、それが相手には目視出来ていないだけ」

P「のあさん、結構照れたりしてますからね。今回も、緊張されてましたし」

晴「……え? のあさんが照れてた? 緊張? 嘘だろ?」

のあ「……どうかしらね」

晴「い、今のそれが照れなのか? え、ちょっと、マジで分かんねーぞ!?」




22: 2013/11/30(土) 18:24:30.98 ID:wh2F03XE0


P「晴もそのうち分かるようになるって。のあさん、プライベートだと凄くかわ」

のあ「P、時間はいいのかしら?」

P「え? ……あっ、そうだった! す、すみませんのあさん、晴のことお願いしますね」

のあ「……任せておきなさい」

晴「……」

P「晴も、姿は見られないけど応援してるからな」

晴「ん、お、おお、急いで転けたりすんじゃねーぞ? オレらのプロデューサーがドジとか笑えないからな!」

P「ああ、分かったよ。それじゃ、失礼しましたっ」ポロッ


ガチャッ バタンッ タタタタタタタタ…


のあ「……」スッ




23: 2013/11/30(土) 18:25:39.03 ID:wh2F03XE0


晴「ったくPのヤツ、慌っただしいなぁ……なんか、結局オレの事恥ずかしがらせに来ただけじゃねーか……」

のあ「……晴、口角が上がったままよ」ペラッ

晴「っ! 気のせい! 気のせいだよ!」

のあ「……そう、なら気のせいね」パタン

晴「そうそう気のせい…………って、そうだのあさん。やっぱりさっきの、オレの気のせいじゃなかったよな?」




24: 2013/11/30(土) 18:26:20.48 ID:wh2F03XE0


のあ「……何のことかしら?」

晴「のあさんがすげーオーラ出してたヤツだよ。……あれ、オレがPを悪く言ったから怒ったんだよな?」

のあ「先にも言ったでしょう。それは」

晴「っと、気のせいとは言わせないからなっ。のあさん、Pの事めっちゃ心配してんのバレバレだぞ!」

のあ「……」

晴「あと、さりげなくPの空き時間とか聞こうとしてたろ? あとPのことべた褒めだったし、流石にオレでも分かるっての!」

のあ「……そう」




25: 2013/11/30(土) 18:26:53.66 ID:wh2F03XE0


のあ「……」

晴「……」

のあ「……」

晴「……あー、その」

のあ「……」

晴「……のあさん? な、なんか言ってくれよ?」




26: 2013/11/30(土) 18:27:33.78 ID:wh2F03XE0


のあ「……晴」

晴「っ! な、なんだ?」

のあ「……秘密よ?」シー

晴「え? あっ、おう……け、結構あっさり認めんのな……。のあさんが人差し指を口にやる動作って、すげー様になるなぁ……」

のあ「気のせいと思われなければ、その事象は相手の認識になる。それを無理に否定する権利は、誰にも無いわ」




27: 2013/11/30(土) 18:28:23.26 ID:wh2F03XE0


晴「……のあさん、Pの事好きなのか?」

のあ「……あなたがPを慕う程度と同じよ」

晴「んなっ!? お、オレは別にPのこと、そこまで好きってわけじゃ……」

のあ「苦手とすることを我慢して、Pについていく理由は何かしら?」

晴「うっ」

のあ「今日のLIVE、『Pが居ない』と不安を表面に出していたのは、誰かしら?」

晴「不安ってわけじゃ……ぬぐぐ……分かったよ! 確かにPの事は嫌いじゃねーけど……のあさんは絶対オレ以上に好きだろっ!」




29: 2013/11/30(土) 18:29:07.45 ID:wh2F03XE0


のあ「……そうかしら」

晴「オレから見たら、そうとしか思えねーよ。のあさん、Pと話す時はいつもより口数多いし……なんか、嬉しそう?だったぞ」

のあ「……そう」

晴「のあさん、Pのどこが気に入ったんだ? 確かに仕事は凄いみてーだけど、それ以外は普通の人間だし……」

のあ「……」




30: 2013/11/30(土) 18:31:09.07 ID:wh2F03XE0


のあ「……それなら晴。これを見て頂戴」スッ

晴「ん、なんだコレ? ……手帳?」

のあ「Pのスケジュール帳よ。彼がこの部屋から出て行くとき、落としていったわ」

晴「はぁ? おいおいアイツ、変なとこでドジしてんじゃねーよ……。ってかのあさん、話の続き……」

のあ「とにかく、中を見てくれるかしら。付箋の付いているページが、今日のスケジュールよ」

晴「? お、おう。よくわかんねーけど、見りゃいいんだろ?」ペラッ




31: 2013/11/30(土) 18:32:42.12 ID:wh2F03XE0


『☆月11日


 AM1:00 昨日の書類まとめ

 AM5:00 事務所、一部書類の郵送・他、ちひろさんの手伝い

 AM7:00 △社への○道路工事中、ルート1迂回予定

 AM8:00 △社・会議室、週刊「アイドル」、打ち合わせ・演出など のあさん

 AM10:00 ○○社・8階ミーティングルーム、番組「スポフェス!」・サッカー、打ち合わせ・工程など 晴
  終わり次第事務所、晴とのあさん入り □ドームへ送迎

 PM1:00 □ドーム、入りから最終LIVEのリハ のあさん・晴

 PM2:00 □ドーム、LIVE本番 のあさん・晴 17時まで

 PM3:00 ○○社へ連絡・挨拶回り

 PM6:00 ○○社8階ミーティングルーム、番組「スポフェス!」、打ち合わせ・詰め 晴

 PM9:00 事務所、着き次第明日の書類整理・戸締まり









32: 2013/11/30(土) 18:35:08.23 ID:wh2F03XE0


晴「……なんだ、これ。Pのやつ……寝てんのか?」

のあ「……昨日は事務所に泊まっていたわ」

晴「うお、2週間先までみっちり予定書いてやがる。う、嘘だろ、こんなに働くつもりなのかアイツ……あっ」

のあ「晴?」

晴「……なぁのあさん、このスケジュールの横に書いてある名前。もしかして」

のあ「おそらく、私達が担当することになる仕事ね。週刊アイドルの話、Pから聞いているわ」

晴「……! そっか……そうか、アイツ…………」




33: 2013/11/30(土) 18:36:02.14 ID:wh2F03XE0


のあ「……晴」

晴「な、なんだ?」

のあ「……心が、急いているようね」

晴「う……そうだな。その、まさかこんな事決まってるとは思ってなかったからさ……」

のあ「……」



34: 2013/11/30(土) 18:36:53.38 ID:wh2F03XE0


晴「あのさ……この『スポフェス!』ってさ、ガチのスポーツ番組なんだ。のあさん、知ってるか?」

のあ「……そうね、聞いたことがある。あなたが、Pに言っていたわね」

晴「ああ。この番組、年齢別で芸能人とかアイドルが色んなスポーツで試合してさ。毎回毎回、すげー白熱した試合になって、本当に面白いんだ」

のあ「……」

晴「オレ、サッカー好きだから、Pにずっと頼んでたんだよ。『この番組に出られたら、絶対カッコイイアイドルになれる』って」

のあ「……そう」

晴「アイツ、本当に獲ってくれてたんだな。オレに何言われても、このことを一切言わずにさ」

晴「なんだよアイツ……くそ、なんだよ、めっちゃかっこいいじゃねーか……」




35: 2013/11/30(土) 18:37:33.68 ID:wh2F03XE0


のあ「……晴。私がPを慕う理由、聞きたかったのでしょう?」

晴「ん、ああ。……でも、何となく分かった気がするぞ」

のあ「……彼は、時間を削り、私達に全てを注いでいるわ」

晴「ああ」

のあ「ぶつかる風は強くとも、その全部を自分自身で受け止め……私達のために走り続けている」

晴「……うん」

のあ「私はそんな彼のプロデュースに……惚れたの」

晴「……納得。というか、納得出来ない訳がなかったっつーか……うん、アイツ、凄いヤツだったわ」




36: 2013/11/30(土) 18:38:25.77 ID:wh2F03XE0


のあ「……惚れたのかしら?」

晴「ぶっ!? す、清々しいくらいストレートだなのあさん!」

のあ「私の目は、頬を紅潮させたあなたを捉えているのだけれど……」

晴「……『嫌いじゃない』から、ワンランク上がったくらいだよっ。そんなのあさんみたいにベタ惚れって訳じゃ無いっての!」

のあ「……素直じゃ無いわね」

晴「んぐっ……素直じゃ無いのは、のあさんも似たようなもんじゃん。難しく言って、なんかはぐらかしてさ」

のあ「……? 私にとって、これが普通なのだけれども」

晴「それ天然なのかよ!? なんだか、のあさんだと納得出来ちまうのが悔しいぞ……」




37: 2013/11/30(土) 18:39:20.47 ID:wh2F03XE0


コンコンコン


晴「んお、っと、はいー!」

スタッフ「高峯さん、結城さん、そろそろ出番です、よろしくお願いしまーす!」

のあ「分かったわ」

晴「あ、はーい! 了解っす!」

のあ「……積もる話も終わったわね。衣装を整えて……行くとしましょう」





38: 2013/11/30(土) 18:39:50.65 ID:wh2F03XE0


晴「ああ、分かってる。…………よしっと、オレは準備出来てるぜ」

のあ「……服の襟、髪が引っかかっているわ」スッ

晴「あっ。わ、悪りぃな、のあさん」

のあ「晴……私は、平気?」

晴「……おう、カンペキ。最初から、何一つおかしくないぜ。どーなってんだか」

のあ「そう。……行きましょう、晴。私達ユニットの、最後のLIVEへ」

晴「……おうっ!」


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39: 2013/11/30(土) 18:40:54.81 ID:wh2F03XE0


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舞台裏


\ワァァァァァ/

~♪  ♪ ♪~



晴「おー、盛り上がってる盛り上がってる。はー……楽しそうにLIVEしてるとこ見てたら、オレまでワクワクしちまうなぁ」

のあ「LIVEを楽しむ心は、必要不可欠よ。それを忘れないように……」

晴「ああ、もちろん。のあさんも、楽しんでるのか?」

のあ「ええ、勿論。今も…………少し……熱を感じる」

晴「……最初から思ってたけど、やっぱりのあさんって不思議な人だな。でも、近寄りがたいってわけでも……ないんだよなぁ」

のあ「あなたが近寄れる技量を持っていたから、こうしてユニットとして成り立っているのよ。他の子では、駄目だったでしょうね」

晴「……そっか。そう言われると、すげー嬉しいもんだな」




40: 2013/11/30(土) 18:41:28.08 ID:wh2F03XE0


晴「オレさ、このLIVEだけっていう短い期間だったけど……のあさんとユニット組めて、めっちゃ楽しかったよ」

晴「初めは話しづらかったけど、タメ口で話してものあさん怒んねーから、すげー練習の時も楽でさ」

のあ「あなたがあなたを出せるのは、その口調がある故。それを蔑ろにするのは、私の役目ではないもの」

晴「ま、そーゆーわけで、LIVEまで来れたんだ。のあさんと一緒でマジで良かったよ、へへ」




41: 2013/11/30(土) 18:41:58.92 ID:wh2F03XE0


のあ「……そう。私も、フレッシュアイドルと組めて……面白かったわ」

晴「んなっ、そこでそれ言うなよ! いや、間違ってねーけど、それはねーよ!」

のあ「あなたはもうすぐ、そうなるのでしょう?」

晴「そうだけどさぁっ、あーもう! やっぱりのあさん分かんねー!」

のあ「……ふふっ」




42: 2013/11/30(土) 18:42:30.59 ID:wh2F03XE0


晴「あっ、笑った。のあさん……今、笑ったよな? ……今更だけど初めて見たぞ」

のあ「そうかしら? 結構感情は出しているつもりなのだけれど……」

晴「マジかよ、オレが気づかなかっただけ? Pぐらいになりゃ直ぐ分かるんだろーが……難しいな、オイ」

のあ「Pになる必要は無いわ。晴そのもので、私に向かって来て頂戴。あなたは、あなたなのだから」

晴「……そうだな、そりゃそうだ。んじゃ、オレはもっとオレなりに、これからものあさんを知ってくからな!」

のあ「……ええ、楽しみにしているわ」




43: 2013/11/30(土) 18:43:16.43 ID:wh2F03XE0


\ワァァァァァァァァァ!/


のあ「……前のユニットのLIVE、終わったようね」

晴「さて、オレらだな。このLIVEでオレらの出番は終わり、かー」

のあ「ええ。これが、私達のユニットとしてのラストステージ。Pがいないのが、残念ね?」

晴「お、オレを見ながら言うなよっ。そりゃ残念だけど、アイツはオレらのために別の所で頑張ってくれてんだ、仕方ねぇよ」

のあ「……そうね」




44: 2013/11/30(土) 18:43:46.85 ID:wh2F03XE0


のあ「晴。もうあなたなら、これからの私達が何をすべきか、分かっているのでしょう?」

晴「……ああ、もちろん。伊達にPのアイドルやってないからな!」

のあ「……そう、頼もしいわね」




『さぁお次は、あのユニットが再び登場だー!』




45: 2013/11/30(土) 18:44:35.56 ID:wh2F03XE0


のあ「彼が私達に、時間を費やし役目を与えてくれているのなら……」

晴「オレらはアイドルとして、きちんとあいつに応えて、輝いてやんなきゃな!」

のあ「……パーフェクトよ、晴。さぁ……行くわよ」

晴「まっかせろ! 行っくぜー、のあさんっ!」




『それでは出て来て貰いましょう、NOA-HAL――!』




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46: 2013/11/30(土) 18:45:53.74 ID:wh2F03XE0


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番組D(ディレクター)「いやー、2人ともご苦労様! LIVE、大盛り上がりだったよ!」

晴「すげー……じゃなかった、オレも、凄く楽しかった、です!」

のあ「この高揚感……やはり、LIVEは良いものね」

D「いやー、晴ちゃんの活躍っぷり、大人顔負けだ。12歳とは思えないくらいしっかりしてると思ったね!」

晴「あ……へへ、ありがとうございます。次もあったらよろしくお願いしまっす!」

D「おお、言ってくれるねぇ。上に掛け合っておくから、機会があったらまた担当させてくれると嬉しいよ」

のあ「……ありがとうございます」

晴「ありがとうございまっす!」




47: 2013/11/30(土) 18:46:31.25 ID:wh2F03XE0


D「高峯さん……だったね? 晴ちゃんを支える、素晴らしい出来だったよ。どうだい、これから一杯……」

のあ「……申し訳ありません。この後、仕事が……」

D「そうかー、残念だ。ああ、君たちのプロデューサーにも言っておいてくれ。『君の熱意が気に入ったから、今度呑みに行こうか』とね」

のあ「……確かに、聞き届けました。では、私達はこれで…………晴」

晴「あ、おう。えと、お、お疲れ様でしたっ!」


「「お疲れ様でしたー!」」「オツシター!」




48: 2013/11/30(土) 18:47:41.64 ID:wh2F03XE0


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□ドーム・スタッフ専用通路



晴「ふー、シャワーも浴びてスッキリしたし、これで今日の仕事も終わりかー!」

のあ「完璧な仕事だった。晴、良くやってくれたわ」

晴「のあさんカンペキ主義だもんな、相棒が下手こくわけにはいかないっての!」

のあ「……そう。あなたと同じユニットで、光栄だったわ」

晴「ふふん、もうあんまし照れないからな! のあさん結構褒めてくれるし、来ると構えてりゃなんとかなるもんだな!」

のあ「そうかしら? そういう晴の姿……可愛いわよ?」

晴「んなっ…………かっ、可愛いは無し! そりゃ不意打ちってヤツだろっ、ファールだ、ファールっ!」

のあ「……ふふ。もう少し、慣れていく必要がありそうね」




49: 2013/11/30(土) 18:48:19.36 ID:wh2F03XE0


晴「……あ、そうだ。なぁ、のあさん?」

のあ「なにかしら?」

晴「LIVEが終わった後、ディレクターの誘いを断ってたけどさ。オレらってもう今日は仕事終わりなんじゃねーのか?」

のあ「……時には、嘘も方便となるのよ」

晴「うお、さらっと嘘吐いたのかよ……意味のない嘘なんて吐かない方がいいんじゃねーの?」

のあ「それに、意味がないわけでも、強ち嘘でもないの。まだ私達の中で、仕事が終わっていない人が居るでしょう?」




50: 2013/11/30(土) 19:23:00.28 ID:wh2F03XE0


晴「え? ……あー、ああ、居たな、居たわ。毎晩毎夜、仕事の他にもオレ達の分まで頑張ってるヤツ」

のあ「あなたは先に事務所へ送るわ。あなたの親族が、事務所へ向かいに来るのは聞いているから」

晴「……で、のあさんはどうするんだ?」

のあ「○○社に行くわ」

晴「んじゃ、オレも付いてくよ」

のあ「……時間を消費するだけよ?」




51: 2013/11/30(土) 19:23:40.60 ID:wh2F03XE0


晴「親父達にはメールしておけば大丈夫だからな。それに……」

のあ「……」

晴「なんかのあさんが、待ち遠しそうに見えるんだ。きっとオレにナイショで、Pとどっか行く気なんだろ?」

のあ「……」

晴「折角今日は頑張ったんだ。のあさんだけ抜け駆けなんてズルイじゃん? それとも、のあさんはオレといるとつまんねーか?」

晴「……ま、ホントの所は、Pに色々言ってやりてーこともあるし……な?」




53: 2013/11/30(土) 19:24:06.60 ID:wh2F03XE0


のあ「……この1日で、随分と扉を開いたのね」

晴「Pとのあさんのせいだよ。のあさんのことがようやく分かったの、一番の収穫かもなー」

のあ「……そう。それなら……メールは早急に送ると良いわ。親には、心配をさせないものよ」

晴「了解っと! へへ、あんがとな、のあさん!」


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54: 2013/11/30(土) 19:26:52.08 ID:wh2F03XE0


のあ「……この1日で、随分と扉を開いたのね」

晴「Pとのあさんのせいだよ。のあさんのことがようやく分かったの、一番の収穫かもなー」

のあ「……そう。それなら……メールは早急に送ると良いわ。親には、心配をさせないものよ」

晴「了解っと! へへ、あんがとな、のあさん!」


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55: 2013/11/30(土) 19:28:17.59 ID:wh2F03XE0


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PM8:00

○○社 エントランス



P(よーし、これでようやく晴のサッカー番組の段取りが決まった。あいつ、喜ぶだろうなぁ)

P(さてと、ちゃちゃっと事務所に帰って………………ん?)


晴「あ、おせーぞP! 遅くまで仕事しすぎだ!」

のあ「……待っていたわ。終了時間、聞き逃していたわね」

P「え? のあさんと、は、晴ぅ!? 何でこんなところに……?」




56: 2013/11/30(土) 19:29:09.35 ID:wh2F03XE0


晴「なんでもなにも、お前のこと待ってたに決まってんだろ?」

のあ「晴の言う通りよ。晴、奥のエレベーターがこの階に付く度に、そわそわしていたもの」

晴「ぶっ!? の、のあさん、それ言わなくていいっての!」

P「あ、ああ。いや、待っててくれたってのは嬉しいんだけど……晴、両親の迎えはどうしたんだ?」

晴「ちゃんとメール送ったよ。ほら、『のあさんに任せた』って返信も来てるぜ」パッ

P「……本当だ、なら大丈夫か。あー、色々と驚いたぞ……」



57: 2013/11/30(土) 19:29:47.05 ID:wh2F03XE0


のあ「……P」

P「? なんですか、のあさん」

のあ「……遅くまで、お疲れ様。LIVEは、完璧にこなしてきたわ」

P「……ありがとうございます。LIVEに関しては、2人を信じていたので大丈夫ですよ」

のあ「……そう」



58: 2013/11/30(土) 19:30:21.54 ID:wh2F03XE0


晴「……のあさん、嬉しそうだな」

のあ「そう見えるかしら?」

晴「おう、なんかわかんねーけど、嬉しそうってのは雰囲気でな」

のあ「……そう」

P「……2人とも、なんかやけに距離が縮まってないか?」

のあ「……彼女が、多くの扉を開いただけよ」

晴「へへ……らしいぞ、P」

P「? お、おう。まぁとにかく、仲が良いのはいいことだ。これからもよろしくやるかもしれないからなー」




59: 2013/11/30(土) 19:30:57.78 ID:wh2F03XE0


晴「……ん、よろしくやる? なんだそれ?」

のあ「……P?」

P「おっとそうだな、じゃあ言っておくか。晴……『スポフェス!』、お前の出演決まったぞっ!」

晴「あ、おう、知ってる。あんがとな」

P「……おろ?」

のあ「P、ドームの控え室で、これを落としていたわ」




60: 2013/11/30(土) 19:32:20.46 ID:wh2F03XE0


P「あっ、スケジュール帳!? ああ、無くしたかと思ってたんですよ……ありがとうございます、のあさん」ギュ

のあ「……中身、晴に見せてしまったの。貴方は秘密にしていたかったと思ったのだけれど……」

P「あー、なるほど。確かにネタバレの宝庫ですからねコレ。まぁ、落とした俺が悪いですし、黙ってるのも悪かったかなぁと……」

晴「……そんなことねーよ。Pは驚かせてくれようとしたんだろ? コレ見たとき、十分びびったっての」

P「……そっか、なら目的は達成できたか。それじゃあ帰ったら、番組の日程とかいろいろ伝えるからなー」

晴「おいおい、なんでPがそんなに嬉しそうなんだよ」

P「いや、これでようやく、晴がやりたいことをさせてあげられると思ってな。これからちょっとずつ出来るよう、頑張るよ」




61: 2013/11/30(土) 19:33:02.55 ID:wh2F03XE0


晴「こ、こいつ……ふん、それで駄目になるんじゃねーぞ? のあさんも言ってたけど、Pの体はPだけの体じゃないんだからな?」

P「はは、分かってるって。きちんと休みはとる。それでいいだろ?」

晴「言ったな? 約束だかんな! ……それと、いつまでのあさんの手、両手で握ってんだ?」

P「へ? あっ、ああ、すみませんのあさん! 握っているのすっかり忘れてました……」

のあ「……気にしていないわ」キュッ




62: 2013/11/30(土) 19:33:47.68 ID:wh2F03XE0


晴「……で、番組は分かったけどよ。結局よろしくやるってなんのことなんだ?」

P「あ、ごめんごめん、話が逸れてた。晴が『スポフェス!』に出演する事になった時、丁度のあさんの話も上がってさ」

P「実は、打ち合わせ途中でどうも欠員が出ちゃったみたいでな。その埋め合わせ役として、のあさんも晴と一緒に出演できそうなんだよ」

晴「はぁ!? な、なんだそれ、すげーな!」

のあ「……」

P「それで、どうせなら晴とのあさん、一緒に映して宣伝できないかなーと思ってさ。……今回のユニット、解散せずに続けようと思うんだ」

晴「おお、マジか!?」

P「ああ、マジだ。プロデュースしている2人の折角のユニットなんだ。前から解散するのは惜しいと思ってたんだよ」

晴「よっしゃあ! のあさん、また一緒にLIVEとか出来るんだな!」

のあ「そのようね。……嬉しく思うわ」

晴「へへっ、オレもだよ!」




63: 2013/11/30(土) 19:34:30.91 ID:wh2F03XE0


P「ということで、それの打ち合わせで時間押しちゃってなぁ……2人とも、こんな時間まで待たせちゃってすまなかった」

晴「いんや、良いこと聞いたから全然気になんねぇよ」

のあ「……そうね。そもそも、私達が勝手に来ただけよ。貴方が気にすることでもないわ」

P「まさか晴まで来てくれるとは思ってなかったよ……。そうだ、ほら晴、これでジュース買ってくるといいぞ」コインッ

晴「お、なんだP、気前良いじゃん?」

P「わざわざ来てくれたお礼のひとつってことで。ありがとな」

晴「はは、なんならジュース奢って貰いに、迎えに行くのも悪くなさそう……なんてな。サンキュ、ちょっと買ってくる!」タタタタタ…




64: 2013/11/30(土) 19:35:31.71 ID:wh2F03XE0


のあ「……相変わらず、元気な子ね」

P「のあさんも、わざわざ来て下さってありがとうございます。最近、こうして仕事終わりに来てくれてますよね」

のあ「……そうね。迷惑だったかしら」

P「そんなわけないじゃないですか。いつも1人でとぼとぼ帰っていたので、誰かが居てくれるって凄く嬉しいんですよ」

のあ「……P、この後の予定は?」

P「スケジュール帳、見たんですよね? 見たとおりですよ。事務所で書類整理と、戸締まりだけです」




65: 2013/11/30(土) 19:36:35.94 ID:wh2F03XE0


のあ「……帰路にはつくのかしら?」

P「あー……」

のあ「……貴方が帰れるよう、助力するわ」

P「うう、すみません……のあさんにはご迷惑ばかり……」

のあ「私がそうしたいだけよ……貴方に、ね」

P「もう足向けて寝られないくらいですよ……」




66: 2013/11/30(土) 19:37:23.41 ID:wh2F03XE0


のあ「……それと、聞きたいことがあるのだけれど」

P「あ、はい、なんですか?」

のあ「晴が望んでいた番組……どのような売り文句で、私を推薦してくれたのかしら?」

P「あっ…………あー、ばれてました、か」

のあ「無知ではないと、控え室で言ったわ。突然の欠員だからといって、直ぐにキャストを入れるなど……普通なら、ありえないことよ」

のあ「私が出演する事になった理由。それは、貴方の働きにしか考えられないわ」

P「……のあさんは、俺の事お見通しですね」

のあ「いいえ、ただ理解出来ているだけよ。貴方が、私を簡単に見抜くのと同じように……」




67: 2013/11/30(土) 19:37:53.95 ID:wh2F03XE0


P「えーっと、その、言わなきゃ駄目ですかね?」

のあ「その方が好ましい結果になる、と伝えておくわ」

P「そ、そうですか? いや、これ本人の前ではちょっと恥ずかしいんですが……」

のあ「……それは、どんな意味で? 貴方、晴は簡単に褒めていたでしょう?」

P「晴はまだ子供ですし、褒めやすいんですよ。あ、いや、のあさんが褒めにくい人だとか、そういう事じゃないですよ!?」

のあ「ええ、分かっているわ。貴方の判断には従う……けれど、その過程を気にしていないわけではないの」

のあ「教えてくれるかしら。貴方は、私をどう売り込み、褒めてくれたのか……」ズイッ

P「あー……えっと、その……」




68: 2013/11/30(土) 19:38:50.33 ID:wh2F03XE0


タタタタタ……

晴「よっ、待たせたな! こういうとこの自販機って、少し安いのな。なんか得した気分だわ」チャリン

P「お、おう晴! 早かったじゃないか。飲み物はそれでいいのか?」

晴「おう。といっても、これ以外に欲しいの無かったんだよ。後はお茶とかコーヒーばっかりでよー」

P「あー、会社の自販機だからなぁ。……の、のあさん、晴も来ましたし、この話はまた今度……」

のあ「……そう」

晴「……? P、のあさんとなんか話してたのか?」




69: 2013/11/30(土) 19:39:34.51 ID:wh2F03XE0


P「ん、いや、晴が気にすることでもないよ」

のあ「……」

晴「……ほほぉ?」

P「どうした、晴?」

晴「……なんだP、オレをおいて何処か行こうとか、そういう話でもしてたのか? 仲間外れは止めろよ?」

P「おいおい、そんなわけないだろ。……なんなら、今から3人でご飯食べに行くか? のあさんも、まだですよね?」

晴「おっ、じゃ、そうすっかな!」

のあ「……そうね」

晴「のあさん、どっか行きたいところってあるのか? オレ、ここらで何あるかわかんねーからさ」

のあ「……この辺りの地理は、私もまだ把握していないわ」

P「それじゃあ、歩いて直ぐの所にファミレスがあるので、そこに行きましょうか。良いですか、のあさん?」

のあ「……ええ、大丈夫よ」




70: 2013/11/30(土) 19:40:20.17 ID:wh2F03XE0


晴「うし! なぁP、ファミレスなら……今、のあさんと話していた事も話せるよな?」

P「なっ……はぁ!? おま、な、何言ってんだ晴!?」

のあ「! あなた……」

晴「なんだP、もしかして本当にオレの前じゃ言えない話でもしてたってのか?」

P「いや、それは……」

のあ「……いえ、してないわ。ただ、Pがどう私を褒めるのか……そんな話をしていただけよ」

P「の、のあさん!?」





71: 2013/11/30(土) 19:40:50.67 ID:wh2F03XE0


晴「ん、さっき、そんな話を中断したのか? なんだよ、オレは弄るくらい褒めておいて、のあさんは褒めないのかよ?」

P「そういうことじゃないって! そりゃ褒められるけれど、今回は全力で宣伝したから……」

のあ「……全力。俄然、気になってきたわね」

晴「ほほーん、Pの全力褒めか。いいじゃん、オレもすげー気になってきたぞ?」

P「え、待って、本当に話すの? ……晴、お前、控え室の事根に持ってる? 持ってるよな!?」

晴「いやー、そんなことねーよ? へへっ、それじゃ、さっさとそのファミレス行こうぜ!」グイッ




72: 2013/11/30(土) 19:41:45.87 ID:wh2F03XE0


P「っと! 晴、急に腕引っ張るなって……」

晴「ほら、のあさん、手ぇつなごーぜ。こういうこと、のあさんとはしたことなかったからさ」

のあ「……そうね。では、失礼するわ」ギュッ

晴「へへっ、のあさんってあったけーのな。しかし、2人とも背がでけーから、真ん中にいるオレがすげー小さく見えそうだなー」

P「元々、晴は小さくて可愛いぞ?」

のあ「そうね。可愛らしいと思うわ」

晴「んにゃっ……なんで2人して可愛いとか言うんだっての! なんだ、図ってんのか、グルなのか!?」

P「いや、言いたくなるだけだよ。ですよね、のあさん?」

のあ「……そうね、本能よ」

晴「なんで2人して頷きあってんだよ! 本能にそんな機能はねぇよ!」




73: 2013/11/30(土) 19:42:28.70 ID:wh2F03XE0


晴「あー、くそっ。こうなったら、ぜってーPからのあさんの褒め言葉聞き出すからな!」

P「ぐぬっ……黙秘権を行使したいんですけど」

のあ「駄目よ。目には目を、歯には歯を……知っているでしょう?」

P「それ使い方違ってますよね!? ……いや、だったら、俺も2人から褒めて貰えるのか?」

晴「Pって凄いヤツだよなー、よく生きてるよなー、すげーなー」

のあ「……驚嘆に値するわ」

P「……」

晴「……」

のあ「……」

晴「……おし、後はPがのあさんに言うだけだな」

のあ「……ええ、そうね」

P「え、今ので終わり!? おざなりだし具体性もないぞ!?」




74: 2013/11/30(土) 19:43:33.03 ID:wh2F03XE0


晴「P、ファミレスって、こっから出て直ぐの所にあるんだろ?」

P「あるけど、あるけどさ! 明らかに今の言葉じゃ釣り合っていないだろ……」

のあ「……釣り合う言葉は、既に晴と交わしたわ」

P「え?」

晴「あっ!? あーあー、なんでもねーよっ! Pものあさんも、突っ立ってないで行こうぜ!」グイッ

P「あ、おいちょっと」

のあ「……ええ、行きましょう」




75: 2013/11/30(土) 19:44:15.59 ID:wh2F03XE0


晴(のあさん、控え室での事、Pには絶対に言うなよ?)ヒソッ

のあ「……私は、いつ伝えても構わないのだけれど」

晴(潔いな!? とにかく、頼むよマジで……もし知られたら、オレ恥ずかしくて生きていけねぇ……)ヒソソッ

のあ「ええ、晴が望まないのなら黙秘するわ。……あなたが生きていけないことなど、したくないもの」

晴「のあさん……」パァァ




76: 2013/11/30(土) 19:45:16.59 ID:wh2F03XE0


P「あのー、のあさん。結局、今の話ってなんのことなんですか? かなーり気になるんですけど……」

のあ「……いえ、なんでもないわ。そうでしょう、晴?」

晴「おう、なんでもないぜ。ほら、いーから行こうぜP、オレ腹減って仕方ねーんだっ」グイッ

P「うお、そんな引っ張るなって、歩くから、歩くから! そう言われると益々気になるっての……」

晴「ダーメだ、絶対に言わねーからな。な、のあさんっ」

のあ「そうね、あなたとの……約束事」シー

晴「そうそう、これはオレとのあさんの……」シー







晴「2人の秘密、だかんなっ」
のあ「2人の秘密、なのだから」







お わ り





77: 2013/11/30(土) 19:50:53.09 ID:wh2F03XE0


今では遙か昔のツアーカーニバル in スペースワールドでのあさんが居たので、つい。のあさん、相変わらず星が好きなようでなによりです。
のあさんと晴の一部の台詞は、今までに出たそれぞれのレアリティの台詞と、とある歌詞を参考にさせて頂いております。今回は3曲ほど。

のあさんはタメ口などは全く気にしなさそうなので、晴が懐きそうな気がします。のあ晴+P、これは新しい境地。
こうなってくると、晴のSRが気になります。一体どんなカワイイ衣装を着せられるのかが楽しみですね。

ここまで読んで下さって、本当にありがとうございました。
奏ガチャで爆氏した傷をアイプロで癒しつつ、晴や鷺沢さんのSRを心待ちにしております。




78: 2013/11/30(土) 20:33:57.21 ID:wh2F03XE0
(アイプロのあさんが予想を超えて可愛かったので、近いうちにまたのあさんの短SS書きたい)

80: 2013/11/30(土) 23:16:13.14 ID:43oD0ri0o

天体観測に続く良作でした。
新作にアーニャを足してもいいのよ(チラチラ

引用元: モバP「クールな2人の宇宙紀行」