1: 2011/07/03(日) 09:22:27.74 ID:Gkc9braq0

 涼しくて過ごしやすい、夏の夜のことでした。

唯「うーいっ」

 リビングで本を読んでいると、いきなりお姉ちゃんが後ろから抱きついてきました。

 えへへー、と笑いながら首元にぎゅっと腕を回して、ほっぺたを擦り寄せてきます。

憂「どうしたの? お姉ちゃん」

唯「うい、ちゅーしよ」

憂「だめ」

唯「えーっ」

 お姉ちゃんがほっぺたをふくらませます。

唯「なんでー? 今日だれもいないよ?」

憂「だって……んっ」

 お姉ちゃんが後ろからのしかかるようにして、くちびるを奪います。

 くちびるの触れる感触にびくりとしました。
けいおん!college (まんがタイムKRコミックス)

2: 2011/07/03(日) 09:25:25.30 ID:Gkc9braq0

憂「……もう」

 本を置いて、お姉ちゃんのほうに向きます。

唯「やる気になってくれた?」

憂「……はい、お姉ちゃん」

 お姉ちゃんの質問は無視して、わたしは両手を開いて差し出しました。

唯「んふふー」

 手のひらをぴったり合わせて、お姉ちゃんの手をぎゅっと握ります。

 向かい合って、両手でお姉ちゃんとラブ繋ぎ。

唯「んー、ちゅっ」

 嬉しいなぁ……なんて思う間もなくお姉ちゃんがキスをしてきます。

 最初は触れあうくらいのキスです。

 くちびるをぺたぺたくっつけて、軽くちゅっと鳴らします。

3: 2011/07/03(日) 09:27:49.36 ID:Gkc9braq0

憂「おねえちゃん……」

 ぎゅっと繋いだ手を握り、お姉ちゃんの名前をつぶやきます。

唯「うーいっ」

 お姉ちゃんは嬉しそうにくちびるをつけ、ぐりぐり押し付けてきました。

憂「んんっ……ちゅっ」

唯「んふふ……かわいいよ」

 おねえちゃんは満足そうに笑うと、ぺろりと舌を出します。

憂「んうぅ」

 暖かい舌がぺろぺろとくちびるを撫でます。

 お姉ちゃんの唾液の匂いが漂ってきます。

唯「ふへ、おいしい……」

 お姉ちゃんがぼそりと言うと、舌が尖って、閉じたくちびるをこじ開けようとしてきます。

4: 2011/07/03(日) 09:30:07.00 ID:Gkc9braq0

憂「んっ、だめっ」

唯「やーだ。憂、べーして」

 お姉ちゃんが求めますが、首を振ります。

 手を強く握ってくちびるをぎゅっと閉じ、なんとか侵入を許さないようにします。

唯「……はむっ」

 やがて諦めたか、お姉ちゃんがわたしのくちびるを挟みこんで、食べるように吸います。

唯「あむ、ちゅっ……ぺろっ」

 アイスにしゃぶりつくように吸いつき、舌を這わせて。

 お姉ちゃんは諦めたのではありませんでした。

 こうして誘惑して、わたしが口を開くのを待っているのです。

憂「ふっ……うぅ」

 負けないもん……

憂「ん……ぁっ」

5: 2011/07/03(日) 09:32:46.48 ID:Gkc9braq0

唯「うい、大好きだよ……大好き」

 お姉ちゃんが愛を訴えながらくちびるを蹂躙します。

 心がぐらぐら揺れて、体も震えてしまって、そろそろうっかり口を開けてしまいそうです。

 でも、今日こそは……

 指を絡めて繋ぐ手をぎゅっと握り、まだこらえます。

唯「……ふむ」

 いつもならここで私が折れてしまっているから、

 まだがんばる私にお姉ちゃんはすこしキスをやめて、私を眺めます。

唯「うい。ふつうのキスだけでいいの?」

憂「い、いいよ……」

 お姉ちゃんはくすくす笑います。

 私が折れかけになっているのはわかっているのでしょう。

6: 2011/07/03(日) 09:35:17.59 ID:Gkc9braq0

唯「ふーん?」

憂「……」

 お姉ちゃんがぐっと顔を近づけます。

 そのまま、すこし睨みあい。

唯「……じゃあしょうがない……こうしよっか」

 やがてお姉ちゃんが言いました。

 そして首をぐっと傾けて、大きく口を開けて私に喉を見せると、

唯「んむっ」

 私の鼻をくちびるで挟んで、塞ぎました。

憂「……っ」

 鼻呼吸が通りません。

 すこし我慢しようとするけれど、

 お姉ちゃんのくちびるの感触でドキドキして、10秒もちませんでした。

7: 2011/07/03(日) 09:37:43.90 ID:Gkc9braq0

憂「ぷはっ……」

 大きく息を吐いた瞬間、鼻が開放されます。

 くちびるに触れる生暖かい唾液の味。

唯「んふー♪」

憂「ふあっ、はあぁっ」

 息の整わない私に、お姉ちゃんは容赦なく舌を突き入れて呼吸を塞いできました。

憂「ふ、ふううっ」

 いっしょうけんめい鼻で呼吸します。

 鼻息がすごく荒くなってしまって、はずかしいです。

唯「んー、れろれろ……」

憂「っ、んふうっ!」

 お姉ちゃんが舌の後ろをべろべろ舐めると、腰が跳ねてしまいました。

 それにあわせて、力の抜けた私の体をお姉ちゃんは床に押し倒していきます。

8: 2011/07/03(日) 09:40:28.06 ID:Gkc9braq0

 手の甲が床につきました。

 お姉ちゃんの舌が口の中を走り回ります。

唯「はっ、はっ……」

 歯をなぞりあげ、舌をぐいぐい押しつけて、唾液をぴちゃぴちゃ鳴らして、

 お姉ちゃんは激しく口を犯してきます。

憂「お、おねえちゃっ……んむっ」

唯「うい、ういっ……」

 次第に口の中がお姉ちゃんの唾液の味に変わっていきます。

 そうなるほどに、頭の中もキスのことしか考えられなくなってしまいます。

 なんとか手をしっかりと握り直して、お姉ちゃんが変なところに手を伸ばさないように……

 今のところお姉ちゃんはキスに夢中みたいですが。

憂「ぁ、ぁふ……」

9: 2011/07/03(日) 09:43:03.48 ID:Gkc9braq0

唯「憂も、もっと……」

 お姉ちゃんがそっと囁きます。

憂「……うん」

 わたしもそっとお姉ちゃんの舌に触れていきます。

 柔らかい感触が、口の中でずるずるとこすれました。

憂「ふぁ、ぅ」

唯「んーっ」

 おねえちゃんが手をぎゅっと握ります。

 固く、きつく、握り返して、唾液の味を喉の奥に流しました。

憂「んくっ……」

 それでも唾液の匂いは消えるどころか、もっと濃くなるようです。

 こめかみに熱い、濡れた感触が垂れてきたのは汗でしょうか、わたしたちの唾液だったでしょうか。

10: 2011/07/03(日) 09:45:48.02 ID:Gkc9braq0

唯「はふ。ういっ」

 お姉ちゃんがくちびるを押し付けて塞いできました。

 やさしく動いたくちびるが離れないまま、舌が口の中へ戻ってきます。

憂「んぐっ……んんっ」

 頭がくらくらします。

 お姉ちゃんとのキスと、絡めた指の感覚しかわかりません。

 お姉ちゃん、愛してる……

――――

 それからどれほどの時間が経ったでしょうか。

 ずっとずっと甘いキスをしていたのに、ふと頭の中が冷めていくような感覚が始まって、

 だんだん視界がはっきりしてきました。

唯「くふー……ふぅ」

11: 2011/07/03(日) 09:48:08.08 ID:Gkc9braq0

憂「……」

 手を繋いだまま、私に布団のようにかぶさったまま、お姉ちゃんは眠ってしまっていました。

 窓の外に白い明かりがのぞいていて、どれほど長いことキスをしていたのかようやくわかります。

 お姉ちゃんにキスをせがまれたのが夜10時、

 今は朝の4時くらいでしょうか。

憂「……はぁ」

 今日もずっと、手を繋いでいられました。

 6時間握り続けた手を、そっと解きます。

 それから眠っているお姉ちゃんにキスをして、起こさないようお姉ちゃんを床に降ろします。

憂「……」

 起き上がると、体の感覚はすごくだるくなっていました。

 ずっとお姉ちゃんに敷かれて、ぬるい快感にさいなまれ続けたのだから当たり前でしょう。

12: 2011/07/03(日) 09:51:04.39 ID:Gkc9braq0

憂「……おねえちゃん」

 眠っているお姉ちゃんに、そっと囁きます。

憂「わたしたち、姉妹だよね」

憂「ちゅーするときは……ずっと手を繋がなきゃ、いけないんだよね」

唯「すく……」

 眠っているお姉ちゃんのおでこを撫でます。

 私ももう、すごく眠くなっていました。

憂「……」

 お腹の上に置かれているお姉ちゃんの左手をとり、指を絡めてラブ繋ぎ。

 呼吸に合わせて上下しているお姉ちゃんの胸をちらりと見ます。

 私はお姉ちゃんの横に寝そべると、体をくっつけて目を閉じました。

 それ以上、お姉ちゃんに変な気持ちを抱かないように。


  おしまい

13: 2011/07/03(日) 09:52:50.91 ID:ZCdnBPaT0
イイハナシダナー

引用元: 憂「ずっと手を繋いでようね、お姉ちゃん」