1: 2008/08/22(金) 18:03:05.83 ID:DdOOpIHJ0
キョン「って、朝比奈さんじゃないか」
みくる「あ、あの~これは一体どういうことなんですか~?なんで私は縛られているんですか~?」
ハルヒ「今日は団員諸君に非常に悲しい報せがあるわ!今までSOS団のよきマスコットキャラクターとして活躍していた朝比奈みくるが実は未来人だったのよ!」
キョン「(ぬぉ、バレた?)ちょっと待てそんな訳あるか、大体何を証拠にそんなことを」
ハルヒ「ふぅ~ん・・・やっぱりあんた何も聞かされてないのね・・・」
キョン「?」
ハルヒ「まぁいいわ、とにかくこの女は今まで私達を騙し欺いてきた極悪非道の未来人なのよ。何か悪さをする前に制裁を加える必要があるわ!」
みくる「ふ、ふぇ~?一体私は何されるんですか~?」

6: 2008/08/22(金) 18:07:21.82 ID:DdOOpIHJ0
キョン「で?具体的に朝比奈さんに何をするつもりなんだお前は」
ハルヒ「キョン、いい?“朝比奈さん”って呼び方はやめなさい、残念かもしれないけど目の前にいるこれはもう我々の英知を遙かに凌駕した未来人なのよ?なれなれしく名前で呼んで情でも移ったらどうするのよ!」
キョン「情って・・・お前朝比奈さんに何するつもりだったんだ?」
ハルヒ「“儀式“に決まってるじゃない!」
古泉(!!)
みくる「ふ、ふぇ~?ぎ、儀式ですか~?」
キョン「よし分かった儀式でも何でもするがいい。ただし変な衣装を着て玄関前でビラを配るような真似だけはやめてくれよ」
ハルヒ「バカね、そんなの儀式なんて言わないじゃない。まぁいいわ、もう準備は整っているんだし。また明日にしましょう」

7: 2008/08/22(金) 18:10:47.58 ID:DdOOpIHJ0
キョン「って、朝比奈さんはどうするんだ」
ハルヒ「もちろん今日はここに監禁していくわ、お楽しみは明日からよ」
キョン(仕方ない、解散した後にまた部室に来て朝比奈さんを助けよう)
ハルヒ「それでは本日はこれにて解散!言っておくけどこの宇宙人を解放しようとしても無駄よ。もし明日この部室が空っぽだったらキョン、代わりにあんたを共犯罪で儀式にかけるらね!」
もはや意味が分からん。
キョン(古泉)
古泉(分かっています、では今から10分後またここに集合しましょう。僕は涼宮さんが返した部室の鍵をとってきます。『忘れ物をした』とでも言えば数分くらい借りることはできるでしょう)

10: 2008/08/22(金) 18:14:38.66 ID:DdOOpIHJ0
今は夏休み、今回ハルヒが突如あの地獄の夏休みメニューを一部変更して部室で部活をやろうと言い出したのがことの始まりだ。
夏休み、それも炎天下の中どうして学校に来なくてはいけないのかはまったく分からない、だが我々SOS団の団長様がやると言ったらやるのである。これはSOS団の団員にとっては質量保存の法則よりも当たり前で恒久的な鉄則なのである。
ハルヒ「それじゃお先に!あ~これから準備に大忙しだわ」
キョン「準備が必要なくらいならやらなきゃいいだろ、大体何か準備が必要なのか?」
ハルヒ「そりゃ少なくとも心の準備くらいは必要に決まってるじゃない」
キョン「準備って心の準備かよ、心の準備もできてないくらいなら儀式なんかやめちまえ」
ハルヒ「あ~・・・まぁとにかく明日、またこの部室に集合だからね!」

12: 2008/08/22(金) 18:20:17.85 ID:DdOOpIHJ0
キョン「古泉のヤツ遅いな・・・あれから30分は経ってるぞ・・・」
古泉「お待たせしました、遅れて申し訳ない」
キョン「なんかあったのか?」
古泉「いやはや流石は涼宮さんですね、今日は部室の鍵をまだ返していないということだそうです。確かに『返し忘れた』とでも言えば一日くらい返さなくても平気ですしね、我々が考えつくようなことを彼女はとっくに考えていたということです」
キョン「じゃあその鍵はなんだ?」
古泉「機関の方達から速達で入手したものです、とにかく急ぎましょう」
キョン「あぁ、あんな姿で縛られている朝比奈さんを長い間放置しておくのは忍びないしな」

13: 2008/08/22(金) 18:22:53.79 ID:DdOOpIHJ0
古泉「朝比奈さん、大丈夫ですか?」
ガチャ、ガラガラガラ
古泉「朝比奈さ・・・そんな、バカな・・・」
キョン「どうした?朝比奈さんに何かあったのか?」
古泉「朝比奈みくるは・・・この部屋にいません」

15: 2008/08/22(金) 18:26:35.70 ID:DdOOpIHJ0
古泉「実は最近涼宮さんの様子がおかしいのです」
キョン「“涼宮さんの様子がおかしい”のはいつものことだろ」
古泉「確かにこういう状況になった時の原因はいつも涼宮さんです、でも今回はそうではありません」
キョン「もっと分かりやすく話せ」
古泉「涼宮さんが不安定になる度に閉鎖空間が生まれる、そしてその中の神人を暴れさせることで彼女なりのストレス発散を行う。ここまではいつも通りなのです、ですが今回は彼女の発散のベクトルがいつもと違っているのです」
キョン「どういうことだ?」
古泉「閉鎖空間の中に人を作り神人に暴れさせているのです」

17: 2008/08/22(金) 18:31:27.37 ID:DdOOpIHJ0
キョン「人を作って・・・だと?」
古泉「いつもは閉鎖空間の中に建物などを作り、気が済むまで壊す。それが最近閉鎖空間の中に人を作り壊すことを覚えた、ただそれだけのことです」
キョン「ちょっと待て、人を作って壊すってのは一体どういうことだ?まさかあいつは閉鎖空間の中で殺人を楽しんでいるとでも言うのか?」
古泉「人と言ってもただ人の形をしたダミー人形のようなものだそうです、“人”というものを建物の一部として生み出して壊しているだけだと僕は推察しているのですが・・・」
キョン「それはそれで問題じゃないのか?ハルヒの不安定度が増している証拠なんだろ?」
古泉「それが意外とそうでもなくて、最近は僕の仕事もめっきりお呼びがかからなくなりましてね。
やはり人形とは言え“人を壊す”という行為は涼宮さんにとって多少後ろめたい点もあるのでしょう、だからできるだけ閉鎖空間を作らないようにする。
確かにあまり良い傾向とは言えませんが前よりも上手に閉鎖空間での発散方法を開発したと思ってもらえれば良いみたいです」

18: 2008/08/22(金) 18:41:09.48 ID:DdOOpIHJ0
古泉「今回の涼宮さんがいつもと違うというのはそういう意味です。今日の涼宮さんを見てお分かり頂けると思いますが、彼女の言う“不思議”に対する扱い方が180°逆になっています。
今まではむしろ『不思議がないことに対する不満』で閉鎖空間を作ってきましたが今回に限ってはまるで不思議を排除しているかのような・・・」
キョン「そうだ、朝比奈さんは無事なのか?」
古泉「恐らくこの部屋に朝比奈さんがいないというのは涼宮さんが望んだ結果なのでしょう。何が何でも明日になるまで朝比奈みくるを解放させたくないという涼宮さんの意志が働いたのかもしれません」
キョン「どうすればいい」
古泉「僕は今から機関に行ってこの事態の解決方法を探してきます、あなたはもう少しここで待機していて下さい。
未来からの朝比奈みくるがあなたを迎えに来るということが今回もまたあり得るかもしれません」
キョン「なるほど、分かった」

22: 2008/08/22(金) 18:48:43.26 ID:DdOOpIHJ0
一時間経っても朝比奈さん(大)は現れなかった、結局俺は家に帰ることにした。
家に着いて俺は何の気も携帯をいじっていたら見覚えのない名前がアドレス帳に入っていた。
キョン「長門有希・・・?こんな奴知り合いにいたっけ?」



長門・・・長門!そうだ、どうして俺は今まで長門の存在を忘れていたんだ。今日部活を休んだくらいであいつのことを忘れるなんてどうかしている。
・・・いや違う、これはうっかり忘れていたなんてもんじゃない。何か見えない力が俺の記憶から長門の情報を無理矢理消そうとしているようなそんな・・・。
キョン「ハルヒ・・・これもお前の力なのか?お前は一体何を望んでいるんだ・・・?」
とりあえず俺は長門の家に電話を掛けてみることにした、俺も長門に頼ってばっかりだなとは思いつつも今は朝比奈さんが心配だ。個人的な自虐的感傷に浸っている場合ではない。
長門「・・・・・・」
キョン「お、長門か?実はお前に相談したいことがあってな、あとお前どうして今日部活を休」
長門「・・・さようなら」
ガチャ
ツーツーツー

27: 2008/08/22(金) 19:11:21.67 ID:DdOOpIHJ0
これはただごとではない。ひとしきり「長門!」と叫んだあと数回長門にコールしたが出ない、まさかあの長門の身に何かあったのか?冗談じゃない、あんな意味深な「さようなら」に対して「ハイ、さようなら」と言えるほど俺はまだ人間が腐っていない。
キョン妹「キョン君、おでかけ?」
キョン「あぁそうだ、おみやげは何が欲しい?コンビニに売ってる物くらいだったら・・・ってあれ?」
俺は今どうしてこんな独り言を言ったんだ?まるで誰かに話しかけられたような・・・。
キョン「まぁいいか、とりあえず長門だ長門。」

28: 2008/08/22(金) 19:12:17.77 ID:DdOOpIHJ0
途中俺は何度か自転車に乗っている目的を忘れかけた、一度コンビニで買い物してそのまま帰ってしまったくらいだ。あまりに忘れるものだからメモに「長門」と書いてポケットにしまい、幾度となくポケットからメモをとりだした。
ようやく長門の部屋に着いた、夜も遅くアパートの中に入るタイミングには苦労した。入り口にカメラはついているし女性と一緒に入ったら絶対怪しまれるに決まってる。
キョン「長門、俺だ。何があった?開けてくれ」
長門「・・・・・・」
インターホン越しの訴えも10分を経過した。俺の声が長門に届いているかどうかは分からない、でも俺にはこうするより他はない。
キョン「お前今日部活休んだよな?俺もお前のことはすっかり忘れていた・・・なぁ長門、何が起こっているんだ?このままだと俺お前の」
長門「帰って」

29: 2008/08/22(金) 19:13:14.94 ID:DdOOpIHJ0
キョン「え?」
長門「お願い帰って、あなたは自分の家に帰るべき」
キョン「やっと返事してくれたな長門。だがあいにく俺はあまのじゃくで有名な性格なんだ、『さようなら』と言われたからお前の家に来たし、『帰って』なんて言われたらもう地面に根っこが生えて動けない」
長門「・・・・・・」
キョン「気が向いたら俺を中に入れてくれ、それまで俺は地面に生えた根っこを抜く気はないからな」

30: 2008/08/22(金) 19:15:22.31 ID:DdOOpIHJ0
あれから二時間半が経過した、俺の時計はちょうど10時をさしている。にしてもアパートの階段っていうのは意外と涼しいものなんだな。
今は夏だからそれだけ造りが良いという証拠だが、さすがにこの格好で何時間も座っていたら身体も冷える。これは明らかにアパートの設計ミスだな、階段で寝る人間のことを少しも考えていない。
キョン(そろそろ限界かもな・・・)
足に根っこというよりいい加減にしないとそろそろ本当に身体が動かなくなってしまう、睡魔や寒気との勝負は明日に持ち越しかな。
キョン(いやダメだ、朝比奈さんへの儀式は明日行われるらしい。儀式の内容はよく分からんが今日中に長門に会わないと・・・)

32: 2008/08/22(金) 19:19:43.44 ID:DdOOpIHJ0
・・・て

「・・・起きて」

キョン(ん・・・ここはどこだ?)
長門「起きて」
キョン「ここは・・・?」
長門「私の部屋、あなたは外で寝ていたせいで身体の体温が2.45度程上昇していた。現在も平常時より1度程高い、注意が必要」
キョン「そうか・・・俺はうっかり寝ていたのか」
長門「あなたは私の忠告を破った、そして私の所に来てくれた。あなたと私にとってこのことはとても不都合であり後の障害になりうる、でも私という個体はあなたが来てくれた事をとても喜ばしいと思っている」
キョン「お前・・・」
長門「話を始めるのは少し待って。今お茶を淹れている、今はあなたの身体の回復を待つのが先決」
キョン「お前・・・誰だ」

35: 2008/08/22(金) 19:24:36.87 ID:DdOOpIHJ0
長門「・・・・・・」
キョン「いいのか、俺みたいな見ず知らずの人間を自分の部屋に上げたりなんかして。階段で寝ているような男だぞ、少しは警戒を・・・?」
違う、この部屋はどこか見覚えがある。彼女のことも見覚えがある、初対面じゃない気がする。そもそもどうして俺は階段で寝ていたんだ?何か大切な用事が・・・。
キョン(ん?なんだこのメモは)
長門「買い物に出ようと思ったらあなたが外で寝転がっていた、放っておけないので部屋に入れてあげた。赤の他人であるという自覚があるならば少しは感謝すべき」
キョン「長門・・・?」
長門「そう、私は長門有希。今お茶を淹れている、お茶を飲んで体調が良くなったら自分の家に帰って欲しい。私ももう少ししたら買い物に出たい」
キョン「何言ってるんだお前?なんでそんな他人行儀な・・・」
長門「・・・あなたは私を知らない、私もあなたを知らない」

36: 2008/08/22(金) 19:25:20.98 ID:DdOOpIHJ0
キョン「何を言ってるんだ長門?俺だ、まさか今日一日会わなかっただけで忘れたとは言わせないぞ」
違う、今の今まで忘れていたのは俺だ。今日幾度となく体験してきたアレだ。くそ、俺は負けないぞ。
長門「あなたは私を苦しめている、あなたは家に帰るべき」
キョン「長門よく聞いてくれ、今日の俺は混乱している。
お前の助けが必要だ、朝比奈さんを助けお前の記憶をなくさない方法を探している。頼むからそんな他人行儀にならないでくれ、俺にはお前の力が必要なんだ」
長門「分かった、あなたに謝りたい」
キョン「俺の方こそ本当にすまん、お前を忘れるなんてどうかしていた。
まず今日あったことを全部話す」

37: 2008/08/22(金) 19:26:22.43 ID:DdOOpIHJ0
キョン「という訳だ、俺がお前に聞きたいことは三つ。まず朝比奈さんの行方とハルヒの今の状態、そして俺がお前の記憶をなくす理由だ」
長門「午後5時32分12秒頃朝比奈みくるはこの時間軸上から消滅した、現在の時間軸に呼応して現在以降の時間軸に存在している朝比奈みくるの情報も完全に凍結してしまっている」
何だって、俺はてっきりハルヒがこっそりあの部屋から朝比奈さんを連れ出して俺たちをおどかそうしているのかと思っていたのだが・・・。

キョン「未来の朝比奈さんもって・・・まさか朝比奈さんはもう氏んでしまったとか言わないよな?」
長門「言わない、だが楽観はできない」
キョン「さっき未来の朝比奈さんの情報が全て“凍結している”って言ったよな、それは今朝比奈さんが生きるか氏ぬかの瀬戸際にいるってことじゃないのか?」
長門「そう、もし現在の朝比奈みくるの生還が確定すれば再び未来の朝比奈みくるの情報が解凍される。もしそうでなければ朝比奈みくるの情報は凍結したまま消滅する」
キョン「じゃあ今朝比奈さんはどこにいるんだ?」
長門「朝比奈みくるは現在涼宮ハルヒの閉鎖空間内にいる」

40: 2008/08/22(金) 19:31:05.13 ID:DdOOpIHJ0
一方古泉
古泉「ご無沙汰です新川さん、森さん。部活が終わってから直接きたのでこんな格好ですが」
森「お構いしませんよ」
古泉「それと今日は鍵をありがとうございました」
新川「あれくらいたやすいものです」
森「それよりなにやら緊急ということみたいですが・・・」
古泉「はい、まずは僕の話を聞いて頂けますか」

41: 2008/08/22(金) 19:32:07.46 ID:DdOOpIHJ0
森「なるほど、とうとうご学友にまで・・・」
古泉「近頃涼宮さんの閉鎖空間は安定を保っているものと思われます、それなのに僕達SOS団のメンバーに手を出すのはとても不可解です」
森「別に閉鎖空間は安定していませんよ」
新川「・・・森」
森「はい」
古泉「どういうことですか?最近そのような連絡はありませんが・・・」
新川「そのままそういうことです、あなたが呼ばれる程の閉鎖空間は最近発生していない。と」
森「それより古泉君は今日何を相談しに来たのですか?そのご学友の居場所を知りたくて私達に相談に来たのではありませんか?」
新川「森!」
森「はい」
古泉(どうしたんだ今日の新川さん、なんだかいつもと様子が違う気が・・・)
新川「後で話があります、二人きりでお話ししたいのですがよろしいですかな」
古泉「僕は構いませんが・・・」
森「では私はこれで」

42: 2008/08/22(金) 19:33:42.91 ID:DdOOpIHJ0
古泉「どうしたんですか二人きりなんて、森さんに聞かれてはまずい話なんですか?」
新川「森を信用してはいけません」
古泉「それはどういう・・・?」
新川「森はあなたを危険な目に遭わそうとしている、としか言えませんな。私と約束して下され、森の言うことには一切耳を貸さないと」
古泉「理由をお聞きすることはできない雰囲気ですね」
新川「分かって頂けたらありがたい、また何かあったら森ではなく私にご連絡下され」

44: 2008/08/22(金) 19:36:21.14 ID:DdOOpIHJ0
キョン「閉鎖空間だって!?まさかアイツは本当に人を閉鎖空間の中に閉じ込めているのか?」
長門「このような現象は朝比奈みくるに対してだけではなく他の人間でも幾度となく行われてきた。今まで閉鎖空間に閉じ込められた者は全て無傷で生還しその時の記憶もない、おそらく古泉一樹の機関による働きがあるものと思われる」
キョン(そんなバカな、だって今日古泉は全く逆のことを俺に・・・)
長門「事実朝比奈みくるは現在閉鎖空間内にいるもののその存在をたやすく感知できるくらいの生命力を持っている、また無傷で生還できる可能性は高い」
キョン「朝比奈さんの他に閉鎖空間の中にいるやつはいないのか?古泉は?」
長門「閉鎖空間の中に朝比奈みくる以外の生命体は確認できない、古泉一樹の機関も古泉一樹自身もまだその閉鎖空間に探りを入れていないと見える」
キョン「そうか・・・ひとまず朝比奈さんが最悪の事態になっているということはないわけだな」

45: 2008/08/22(金) 19:38:01.23 ID:DdOOpIHJ0
古泉(新川さんやつれていたな・・・何かあったのだろうか)
森「古泉くん」
古泉「も、森さん・・・?」
森「新川さんとのお話はもう済んだかしら?」
古泉「はい、これからやっと帰宅です。まったくこんな長い部活は久々ですよ」
森「そう言っているところ申し訳ないのですが今日の夜11:00時頃部室の前に来て頂けませんか?あなたに見て頂きたいものがあるのですよ」
古泉(さっきあの話を聞いた後のこれだ、ここは正直に話した方が良いな・・・)
森「どうかなさいましたか?ご学友をお救いになりたいとは思わないのですか?」
古泉「実は先ほど新川さんに森さんのことをあまり信用するなと言われたばかりでして・・・」

46: 2008/08/22(金) 19:38:41.28 ID:DdOOpIHJ0
森「新川がそのようなことを?」
古泉「はい、僕もいまだに信じられないのですが」
森「実は新川は現在我々ととある強大な別の機関との間で板挟みになっているのです」
古泉「と、言いますと?」
森「彼はこう言いませんでしたか?『詳しくは語れない』と」
古泉「言葉は違いますが確かにそのようなニュアンスはありましたね」
森「新川は今弱みを握られ我々の機関を裏切るようにし向けられているのです、だから私の言うことは聞くな。そう言うしかないのです」
古泉「弱み、ですか?それは一体・・・」

48: 2008/08/22(金) 19:42:22.41 ID:DdOOpIHJ0
キョン「次はハルヒについてだ、ハルヒはどうしてあんな行動をとるようになったんだ?」
長門「今からちょうど1週間前、涼宮ハルヒは古泉一樹の機関がいうところの神人を閉鎖空間内で暴れさせていた。いつものようにその神人を倒すという話になった時事件が起きた」
キョン「何が起きたんだ」
長門「ある者が彼女の閉鎖空間内にある何かを作為的に故障させ、それによって涼宮ハルヒの嗜好が変わってしまった」
キョン「その何かって何だ?誰だそんなことをしたやつは?」
長門「分からない、だがそのことによって涼宮ハルヒは閉鎖空間内に人を呼ぶということを覚えてしまったのだけは確か。この一週間で彼女が呼んだ人間の総数は12名に及ぶ」

49: 2008/08/22(金) 19:43:21.89 ID:DdOOpIHJ0
古泉「まさかあの新川さんがそのようなことをするとは・・・」
森「彼が直接手を下した訳ではありません、彼の部下の中にいる一部の急進派が勝手に行ったことです。とにかくそのことは我々以外の組織にとっておいしいことなのです、新川を責めないであげて下さい。何も知らないふりをして彼を苦しめないことが今は一番重要なのです」
古泉「分かりました、これで納得できました。ところで朝比奈みくるについてですが・・・」
森「今頃新川は閉鎖空間の仕事をしているハズです、彼の担当は10時には少なくとも終わるハズですが、念のため11時に部室に来て下さい」
古泉「それが一体なんの関係が・・・?」
森「朝比奈みくるは現在部室に発生した閉鎖空間内に閉じ込められています」
古泉「!!」
森「では後ほど」

50: 2008/08/22(金) 19:44:15.78 ID:DdOOpIHJ0
キョン「12人だと!?一週間でか?」
長門「そう」
キョン(ってことは朝比奈さんが13人目か・・・なんか嫌な数字だな)
長門「今回朝比奈みくるは他の12人より遙かに長い間閉じ込められている、だが神人の動きは今のところない」
キョン「そういえばあいつ『楽しみは明日』とか言ってたな、やはり今回は朝比奈さんを閉じ込めるためだけに閉鎖空間を作ったと思っていいのか?」
長門「その可能性は高い、だが他に侵入者が現れた場合はその限りではない」
キョン(そうだよな、やはり閉鎖空間とはいえあいつが人を襲うなんて・・・ましてや俺たちメンバーを襲うなんてことはまずあり得ないよな)
長門「油断しない方がいい、閉鎖空間内に人間を呼び襲わなかった今回がむしろ特例」
キョン「そもそもS0S団の団員を呼び込んだことが既に特例なんだろ?」
長門「今回涼宮ハルヒが呼び込んだ人間は全て宇宙人、未来人、超能力者、またはその関係者に該当している。油断は禁物」

51: 2008/08/22(金) 19:46:07.53 ID:DdOOpIHJ0
古泉「お待たせしました」
森「ご苦労様、新川達の仕事はもうとっくの間に終わっていました、少し慎重になりすぎたようですね」
古泉「あぁ、どうりで全く気配がないと思いましたよ」
森「では行ってらっしゃい。他の機関の方、特に新川には知られないようにしてあります」
古泉「本当にお手数おかけしました」
森「今のところ神人の動きはないみたいですがあなたが入ったら何かしらのアクションがあるかもしれません、大丈夫ですか?」
古泉「大丈夫です、では行って参ります」
森「お気をつけて」


森「フフフ・・・」

53: 2008/08/22(金) 19:53:48.62 ID:DdOOpIHJ0
作者「ちょ・・・すんません休憩時間下さい・・・」
森「あなたに休憩時間なんてありませんよ?」
作者「いや、冗談抜きでマジで。今から買い物に行きなきゃ行けないんですが」
長門「私も買い物に行きたいのに行けないでいる、あなただけ行くのは不平等」
作者「いや、そこをなんとか・・・」
ハルヒ「じゃ私コーラね!30分以内に帰ってこなかったら罰金だからね、罰金!」

63: 2008/08/22(金) 20:18:23.32 ID:DdOOpIHJ0
長門「あ」
キョン「どうした?」
長門「閉鎖空間内で別の生命体の侵入を確認、神人の動きに影響があるかもしれない」
キョン「何!古泉か?」
長門「分からない、案の定神人の動きだしを確認」
キョン「何だって、朝比奈さんは無事なのか?」
長門「・・・」
キョン「おい、長門?」
長門「・・・」
キョン「長門」
長門「・・・」
キョン「長門!質問に答えてくれ!」
長門「・・・あなたの質問に答える。あなたの三つ目の質問は私についてだった」
キョン「あ、あぁ・・・やっぱりハルヒが俺の記憶からお前を消そうとしていたんだろ?」
長門「あなたが私の記憶を忘れた原因は涼宮ハルヒではない。私のせい」

65: 2008/08/22(金) 20:19:13.43 ID:DdOOpIHJ0
キョン「・・・お前が?」
長門「あなたは日常に帰るべき、今涼宮ハルヒは日常を欲している」
キョン「どういう意味だ?」
長門「私達は彼女によって呼ばれたイレギュラー的な存在にすぎない、このままいけばいずれ彼女に消される可能性も大いにあり得る。でもあなたは違う」
キョン「それが俺の記憶とどう関係あるんだ?」
長門「日常に戻るあなたの負担を軽くするためあなたの中から私の情報を消そうと試みた、でもあなたはそれと闘い私に辿りついた」

66: 2008/08/22(金) 20:20:27.26 ID:DdOOpIHJ0
キョン「・・・バカかお前は」
長門「この選択は結局双方の負担を重くしただけだった。“あなたが私を忘れることはあなたの負担を取り除くことである”と私が判断したという事実がかえってあなたを苦しめてしまっていた。
私自身あなたに忘れてほしくないと思っている、例えあなたの負担になったとしても私のことは覚えていて欲しい」
キョン「当たり前だろ、誰だってそうに決まってる」
長門「あなたは日常に戻るべき、今の涼宮ハルヒを救えるのはあなただけ」
キョン「ハルヒを救う?・・・俺がか?」
長門「そう、また明日」


気がついたら俺は自分のベッドで横になっていた。昨日何か色々あったような気がしたが全く覚えていない、確か今日はハルヒがどうしても部室に来いと言っていたような気がする。
キョン「ん・・・なんだこの紙切れは」

『長門』

キョン「・・・?」

69: 2008/08/22(金) 20:37:15.69 ID:DdOOpIHJ0
古泉「朝比奈さん、ご無事ですか!」
みくる「古泉くん!キョン君と涼宮さんはどこですか~?少しウトウトして目が覚めたら部室の色がなくなっていて・・・」
古泉「説明は後です、とりあえず今はこの部屋から抜け出すことを考えましょう」
みくる「でもこの縄固くて・・・キャッ!」
古泉「神人?そんなハズは・・・そんな気配は少しも・・・」
ズドーン
古泉「(これが森さんの言っていた・・・)もう少し待って下さい朝比奈さん、そうだこのガラスの破片を使えば縄が・・・」
みくる「古泉君、危ない!」
バゴ
古泉「うぐぁ!」 バタッ

70: 2008/08/22(金) 20:37:51.27 ID:DdOOpIHJ0
みくる「いやぁぁぁぁぁぁぁ」
古泉「朝比奈さん・・・大丈夫ですか・・・申し訳ありません、今からその縄を・・・」
バギッ
ドガッ
ザクッ
古泉「・・・ハァ・・・ハァ・・・」
みくる「古泉くん・・・エグッ、もう私のことはエグッいいですからもうエグッ逃げて下さい~・・・エグッ」
古泉「あと・・・あと少しだ・・・頼む・・・早く切れてくれ頼む・・・」
みくる「古泉くん!その手・・・真っ赤・・・」
古泉「あのクソ神人め・・・縄がほどけたら覚えてろ・・・あと少し・・・あと・・・切れた!切れましたよ朝比奈さん!やっと縄が・・・」
みくる「あ・・・あの・・・まだ・・・」
古泉「・・・あと最低でも3カ所は切る必要があるみたいですね、流石は涼宮さんです」

71: 2008/08/22(金) 20:39:06.05 ID:DdOOpIHJ0
みくる「古泉くん・・・お願いだからもう私のことを放って逃げて下さい~・・・」
古泉「申し訳ありません朝比奈さん、あと少しの辛抱です」
みくる「そんな・・・その手で・・・」
古泉(今僕が神人と戦ったら間違いなく朝比奈みくるに被害が及ぶ・・・僕はともかく女性でなんの超能力のない彼女を放っておくことは見頃しに値する。まして彼女は今まで全く身動きができない形で縛られていたのだ)
ブチッ
みくる「あ、私手があきました!今度は自分でやるので古泉くんは・・・」
古泉「まだ僕だって左手が残っています、朝比奈さんは動かないで」
みくる「やめて下さい!私が・・・あ・・・フラッ」
古泉「あなたはまだ衰弱しています、僕がやったほうが早い。それにもう痛みにも慣れました」

72: 2008/08/22(金) 20:40:09.86 ID:DdOOpIHJ0
古泉「これで・・・とりあえず動けるハズです」
みくる「あ・・・フラッありがとうございます」
古泉「(こんな長時間縛られていたんだ、無理もない・・・)僕に捕まって下さい、とりあえずここを出ましょう」
みくる(古泉くん両手をこんなに血だらけにして・・・)
古泉「バカな・・・そんな・・・」
みくる「どうしました?」
古泉「で・・・出られない!こんなこと・・・」
バギッ
古泉「!!」
みくる「キャッ」
ドサッ
古泉「・・・朝比奈さん、そこの隅の方に避難していて下さい」
みくる「ふ・・・ふぇ?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
古泉「ウォォォォォォォォォォォォォォ!!」

73: 2008/08/22(金) 20:40:43.10 ID:DdOOpIHJ0
古泉「ハァ・・・ハァ・・・やった・・・」
みくる「こ、古泉くん・・・」ガタガタガタガタガタガタ
古泉「驚かせてすみません・・・お怪我はありませんか・・・?」
みくる「ハ・・・ハイ・・・それより古泉くんの方こそ・・・」
古泉「す・・・すみません、少し休ませて下さい・・・」
みくる「あの・・・本当にありがとうございます・・・そのなんとお詫びしたら良いか・・・」
古泉「女性を守るのは男性の役目です、特に今回あなたはあのような状況で身体も心も弱っていた。当然の振る舞いです」
みくる「その・・・古泉くんさえよければ・・・その・・・もしちゃんとここから抜け出せたら・・・何か私にお礼させてください、何でもききます!」

75: 2008/08/22(金) 20:47:50.91 ID:DdOOpIHJ0
古泉「お礼、ですか?」
みくる「ハ、ハイ!何でもいいです!というかさせて下さい!」
古泉「では明日また部室に来て頂けますか?僕も行きます」
みくる「え?二人きりですかっ?」
古泉「涼宮さんの中ではあなたを部室に閉じ込めたことになっている。その朝比奈さんが部室にいないとなると明日彼女が作る閉鎖空間の規模は計りしれないものになる」
みくる「では私は明日どうすれば・・・」
古泉「とにかく普通にしていて下さい、彼が『やっぱりあまりにも可愛そうだったので助けた、文句はないだろう』とでも言えば涼宮さんは黙るハズです」
みくる「彼ってキョン君のこと?」
古泉「彼には私から明日お話しておきます、その後4人で一度話し合って・・・ん、この声はなんでしょうか?」

ボソボソボソボソボソ
ドガーン・・・

みくる「な、長門さん!?」
古泉「長門さん・・・」
長門「閉鎖空間と部室の空間軸とのリンクに成功した、私に掴まって」
みくる「こ・・・古泉くん・・・長門さん・・・」
古泉「助かりました、今外に出られなくて困っていたところだったんですよ。行きましょう朝比奈さん」

76: 2008/08/22(金) 20:49:39.71 ID:DdOOpIHJ0
古泉「と、言うことです。また明日4人で話しあってから涼宮さんに会おうということになりました」
長門「それはできない、話し合いなら我々3人だけですべき」
みくる「キョン君がいたらまずいんですか?」
長門「涼宮ハルヒが殲滅しようとしている対象は私達、彼を巻き込むのは感心しない」
古泉「彼はそういうのを最も嫌うような人間です、そして彼の勘は鋭い。隠したりなんかして、明日の部活の時に彼が少しでも勘づくことの方こそ恐れるべきではないですか?」
長門「彼は涼宮ハルヒと共に日常に生きるべき、彼女の中での私達の幕はもう下されている」
古泉「長門さんらしくない意見ですね、破滅主義者気取りですか?」
長門「彼の日常のためなら私は決して容赦しない」
古泉「それが例え私達相手でも、ですか。SOS団という日常の中で私達と活動していた頃のことはお忘れですか?」
長門「それはかつての涼宮ハルヒにおける日常、現在涼宮ハルヒは私達を排除し彼と二人きりの日常を過ごすことを望んでいる」
みくる「そ・・・そんな・・・」
古泉「長門さん、あなた彼と何かあったんですか?」

78: 2008/08/22(金) 20:51:49.51 ID:DdOOpIHJ0
長門「・・・・・・」
古泉「あなたも一人の女性です、彼に恋慕のようなものを抱いてしまったのだとすればそれはとても美しいことです。ですが彼を想うが故の答えが自らの破滅というのはとても理解しがたいですね」
みくる「そ、そうです・・・せっかく彼を好きになったのなら一緒にいようと思う方がいいです!」
長門「分かった、明日はあなた達の言うように振る舞う。だが私は彼のためなら何でもする、これだけは忘れないで欲しい」
古泉「結構です。彼には僕から連絡しておきますが構いませんね?」
長門「了解した」

82: 2008/08/22(金) 21:04:15.67 ID:DdOOpIHJ0
キョン妹「キョン君また部活?」
キョン「あぁそうだ、また遅くなるかもしれない」
キョン妹「ねぇ、コンビニのお土産は?」
キョン「そんなものは知らん」
キョン妹「え~!昨日買ってくるって言った!」
キョン「言ってな・・・い!・・・よな?」
キョン妹「言ったもん!あれ?でもあのあとあたし何してたんだっけ?」
キョン「俺が知るかよ・・・あ、そういえば冷蔵庫にプリンあるはずだぞ・・・?」
キョン妹「え~なんで昨日くれなかったの?でもありがとう!」
キョン(プリン・・・なんのことだ?まさか俺が買ってきたのか?)

84: 2008/08/22(金) 21:06:40.17 ID:DdOOpIHJ0
休憩がてら遅レス



>>39
言われるまで気づかなかった

>>56
すまん、もう二度としない

>>67
俺も一人の人間だ、読む速度より早くタイピングなんかできない


86: 2008/08/22(金) 21:12:29.33 ID:DdOOpIHJ0
古泉(長門さんはいつも通り読書をしていてください)
長門(コクッ)
古泉(僕は彼が来たらボードゲームでも始めるつもりです、皆さんいつもと同じように振る舞って下さい)
みくる(あの~私は何をすれば・・・)
古泉(朝比奈さんもいつも通りお茶を淹れていて下さい、服装はそのままで)
みくる(は、はい)
キョン「うっす」
古泉(来ましたよ)

87: 2008/08/22(金) 21:14:39.00 ID:DdOOpIHJ0
入った瞬間思ったことはなんか空気がよそよそしいということだった、そして俺にはこのよそよそしさに何故か心当たりがある。
みくる「あ、あ、あ、キョン君。いいいい今お茶淹れますね!」
キョン「ありがとうございます朝比奈さん、いつもご苦労ですね」
みくる「いぃ!?いえ、とんでもございません!これが私の、いいいいつも通りですから!」
朝比奈さんはお茶入れで長門は制服で読書か。朝比奈さんがコスプレをしていないのが残念だがこれがいつものSOS団の雰囲気だよな。かくも日常とは美しく貴重なものだ、これは真理である。
古泉「僕のこの両腕についてはノータッチですか?」
キョン「お前はその腕でボードゲームをするつもりだったのか」
古泉「えぇ、人生ゲームなのであなたが僕の分のルーレットを回してくれたら何の問題もありません」
キョン「何で俺が二人分の金勘定や人生設計をしきゃならないんだ」

88: 2008/08/22(金) 21:17:04.32 ID:DdOOpIHJ0
古泉「それより昨日のことですが・・・朝比奈さんは僕が助けておきました、涼宮さんに聞かれたときは話を合わせて下さい」
キョン「(・・・なんのことだ?)大体その手はどうしたんだ、そんな手で無理して日常に混じろうとしなくてもいいんだぞ。お前はもう俺の日常の中にいないんだからな」
カターン!
古泉「わっ」
みくる「あ、すみません!」
古泉「僕は大丈夫ですよ朝比奈さん」
朝比奈さんのお茶の洗礼を受けるなんて滅多にできないことなんだぞ古泉、俺だって浴びることができるなら浴びたいもんさ。ハルヒのお茶ならご勘弁だがな。
みくる「キョン君!二度とそんなこと言わないで下さい!」
何、俺の心の声が聞こえたとでも言うのか?まさか俺はサトラレか何かか?その割には頭悪いし俺の考えてることを見たらきっとみんな
みくる「・・・古泉くんは日常にいないなんて・・・そんな・・・」
キョン「え?あ、そっちですか。あれは冗談ですよ、ハハハ・・・」

91: 2008/08/22(金) 21:24:53.72 ID:DdOOpIHJ0
ガラッ
ハルヒ「・・・・・・」
古泉(!)
みくる(!)
長門(・・・)
キョン「おう」
ハルヒ「・・・みくるちゃん?」
みくる「ハ、ハイ!あの・・・お茶いかがですか?」
ハルヒ「古泉くん・・・これはどういうこと?」
キョン「おいおい朝比奈さんがお茶を淹れているのがそんなに不思議なのか?」
古泉(そうそう、その意気です)
ハルヒ「あんた達・・・自分のしたこと分かってるの?」
キョン「おいおいなんのことだ?」
古泉(!?)
ハルヒ「帰る。覚えておきなさい」

92: 2008/08/22(金) 21:26:57.99 ID:DdOOpIHJ0
古泉(長門さん、これは・・・)
長門(・・・・・・)
古泉(そうですか、あなたはやはりそういう人だったのですね。よく分かりました)
みくる(あ、あの~・・・これはどういう・・・?)
古泉(恐らく彼の中に昨日の記憶はない、情報操作という奴ですよ)
みくる(情報操作・・・まさか長門さんが!?)
古泉(えぇ、厄介なことになりました・・・)
キョン「お、長門も帰るのか?」
長門「部活は終わった、あと今日はあなたに話しておきたいことがある」
キョン「俺にか?」
長門「そう、私の部屋に来て」
キョン「では鍵お願いします、朝比奈さん」
みくる「え・・・えぇ」
キョン「あ、あと古泉」
古泉「なんでしょう」
キョン「今日は悪かったな」
長門「・・・・・・」

93: 2008/08/22(金) 21:32:19.73 ID:DdOOpIHJ0
古泉「厄介なことになりました、本当に厄介なことに」
みくる「キョン君・・・ちゃんと謝ってくれましたね、それに比べて私なんかあんなに動揺したりして・・・」
古泉「そんな悠長なこと言ってる場合じゃないですよ朝比奈さん、昨日の今日で長門さんの言っていることが本当だとしたら一番危ないのはあなたです」
みくる「長門さん・・・キョン君の記憶を消したことどうして黙っていたのでしょうね・・・」
古泉「とにかく今日は一旦帰りましょう、また何かあったら連絡下さい・・・ってあれ」
みくる「どうかしました?」
古泉「ドアが開きません・・・」

95: 2008/08/22(金) 21:34:24.91 ID:DdOOpIHJ0
キョン「お前の部屋も久しぶりだな」
長門「久しぶりではない、昨日も来ている」
キョン「あ、やっぱりそうなのか?なんかそんな気がしていたんだがなんか昨日の記憶が色々と曖昧でな」
長門「あなたは私の計り知れない何者かの力によって記憶をなくしている、原因は私にも分からない」
キョン「どういうことだ?」
長門「私は昨日あなたをめぐって古泉一樹、朝比奈みくると口論になり今日を迎えた。彼らは私を誤解しているはず」
キョン「俺をめぐって?一体何を言い合ったんだお前達は」

97: 2008/08/22(金) 21:37:40.06 ID:DdOOpIHJ0
キョン「なるほど・・・ハルヒがお前達3人を消そうとしているのか、あまり信じたくはない話だが」
長門「先ほども言った通りあれはかつての涼宮ハルヒではない、今も強大な力の支配下にあることが考えられる」
キョン「あいつらはお前をどう誤解してるんだ?」
長門「あなたを守るためなら私もろとも古泉一樹、朝比奈みくるもろとも自らを消滅させることも厭わない。それが長門有希」
キョン「どうしてあいつらはそんな解釈を・・・」
長門「これはあくまで推測だが」
キョン「なんだ?」
長門「古泉一樹と朝比奈みくるは惹かれ合っている」

99: 2008/08/22(金) 21:47:12.69 ID:DdOOpIHJ0
キョン「そうなのか?」
長門「これは飽くまで推測、私という個体が抱くであろう感覚を言語化したに過ぎない」
キョン「女の勘ってやつか」
長門「涼宮ハルヒは今夜にでも強力な閉鎖空間で彼らを閉じ込めるはず、そうなった場合彼らを助けるのが私の役目。彼らに誤解されたままというのは私も辛い」
キョン「そりゃそうだ」
長門「私はあなたを日常に引き戻す、そのためなら手段は選ばない」

100: 2008/08/22(金) 21:51:42.55 ID:DdOOpIHJ0
古泉「やられましたね・・・」
みくる「またあのヘーサクーカンですか?」
古泉「えぇ、僕も油断していました。昨日のような奴らが出てきてもまた倒していけばいい話ですが、今度はここから出られない可能性もありますね」
みくる「どうしてですか?」
古泉「昨日は長門さんの手引きによってこの空間から抜け出すことが出来ました、ですが長門さんの考えは今日見た通りです」
みくる「まさか・・・私達を見頃しになんてしませんよね・・・?」
古泉「見頃しどころか彼女が私達をここに閉じ込めた可能性もあります、昨日僕たちを閉鎖空間から脱出させることができたのもそう考えたら納得いきます」
みくる「でも・・・それだったら昨日どうして私達を助けたりなんかしたんですか?」
古泉(そうだ、それが分からない。最初は神人が倒されたから仕方なく僕たちを脱出させたのかとも思ったがそれだったらずっと僕たちを閉じ込めておけばいいだけの話、昨日はダメで今日だと都合がいい理由となると・・・)
喜緑「知りたい?」
古泉「あ・・・あなたは・・・」

103: 2008/08/22(金) 21:55:38.81 ID:DdOOpIHJ0
新川「森!」
森「なんでしょう?」
新川「あれほど古泉くんは巻き込むなと言ったのに、どうして朝比奈くんが閉鎖空間にいることを彼に教えたりしたんだ!」
森「なんのことです?」
新川「とぼけるな、君は彼の正義感は知っているだろう。あんな状況で彼を失うことは我が機関にとって大きな損失になる」
森「でも彼も朝比奈さんも結局助かったじゃないですか」
新川「涼宮ハルヒは朝比奈くんに危害を加える気はなかったハズだ、古泉くんをよこしたりなんかしたからあんなことに・・・」
森「うるさいんだよ」
新川「なんだと」
森「お前はもう不要なの、さようなら新川」
ボグッ

104: 2008/08/22(金) 21:57:51.01 ID:DdOOpIHJ0
長門「・・・!」
キョン「きたのか?」
長門「閉鎖空間・・・とても強力な」
キョン「なに、どんなだ?」
長門「規模は昨日のそれと大差ない、だが複雑さが違う」
キョン「大丈夫そうか?」
長門「分からない、私は今から学校に向かう。あなたにも見ていて欲しい」
キョン「もちろんだ長門」

105: 2008/08/22(金) 21:59:46.74 ID:DdOOpIHJ0
喜緑「長門さんはね、あなた達が苦しむ様を見ていたいのよ」
古泉「何ですって?」
喜緑「昨日あなた達口論したみたいじゃない?彼女はそのことを根に持っているの」
みくる「そんな・・・長門さんはそんな人じゃありません!」
喜緑「じゃあこれからそれを試してみましょうよ、あの音が聞こえるかしら?」
古泉「神人・・・!」
喜緑「そう、もしあいつが私達を襲った後でも長門さんが助けにこなかったら・・・後は分かるわね」
みくる「あ、キョン君!長門さん!」
喜緑「さぁ教えてもらおうかしら、あなた達の友情というやつを」

106: 2008/08/22(金) 22:03:30.95 ID:DdOOpIHJ0
キョン「朝比奈さん!古泉!あとあれは・・・喜緑とか言ったか?」
長門「彼女がこの中にいるのは予想外、彼女が中にいるために閉鎖空間の複雑さが増している」
キョン「くそ、ドアが開かない。窓もきっと一緒だろう、何とかなるか長門?」
長門「やってみる」


107: 2008/08/22(金) 22:04:52.95 ID:DdOOpIHJ0
みくる「ほら、長門さんとキョン君ですよ!やっぱり二人は私達を助けに来てくれたんです!」
喜緑「そうかしらね・・・ではあなた達はなぜ私がここにいると思うの?」
みくる「え・・・」
喜緑「涼宮さんはここ数日私やあなた達のような特殊な能力を持った人間を閉鎖空間の中に閉じ込めて遊んでいるの、その矛先が今日はたまたま私だっただけよ。
あなた達はむしろ涼宮さんにとってはオマケになる予定だったの、でもあなた達が涼宮さんと長門さんの両方を怒らせたせいで閉鎖空間の力が余計に強力になってしまった。
出してくれる者もいない、長門さんにとってこの状況はとってもありがたい状況なの」
みくる「そんな・・・私達が涼宮さんを怒らせるのを長門さんが待っていたなんて・・・」
古泉(そうか、それなら神人がいないと困る理由と昨日ではなく今日でなくてはいけない理由と昨日僕たちをわざわざ助けた理由の納得がいく!
長門有希め・・・よくも朝比奈さんをこんな目に・・・)
喜緑「・・・まだ分からないの?」
みくる「え?」
喜緑「あなた達のせいで私がこんなひどい目に遭っているって言いたいのよ!」

109: 2008/08/22(金) 22:10:17.04 ID:DdOOpIHJ0
また例によって長門は何かを早口にしゃべり始めた、ドアに手を添え古泉達をじっと見つめている。
キョン「どうだ長門?」
長門「涼宮ハルヒの感情が暴走している、解析は困難」
キョン「そうか・・・」
俺は見ているだけしかできないのか、これほど自分の無力さを呪ったことがあるだろうか。俺にできることはないか、何かできることは・・・。
キョン「・・・ガンバレ長門」
長門「・・・・・・」
キョン「長門、頑張るんだ!俺らの日常を取り戻すんだろ、俺がついている。一緒に頑張ろう!」
長門「ありがとう・・・何よりも嬉しい言葉」
そうだ、俺にできることはこれくらいしかない。それでも俺は。いや、だからこそ俺は長門を応援しなくてはいけない。
俺がいてもたってもいられず長門に近づいた、また早口言葉が始まる前に長門の口が少しだけ動いた気がした。

「デモ、ゴメンナサイ」
と。

112: 2008/08/22(金) 22:13:32.02 ID:DdOOpIHJ0
喜緑「本来ならあの化け物は誰も襲わないと聞いたわ。でもあの殺気、確実に私達を殺そうとしているようにも思えるじゃない、どうしてくれるのよ!」
みくる(長門さん・・・まさか本当に・・・)
古泉「・・・喜緑さん、申し訳ありませんが少しだけ朝比奈さんを見ていてくれませんか?」
喜緑「え?」
古泉「こうなってしまったのは僕の責任です、だから今から僕はあいつと戦ってくる」
喜緑「そんなの無理に決まってるじゃない、あなた本気?」
古泉「これが僕の唯一の能力です。それに長門さんの恨みの対象は僕だけです、僕がいなくなったとなればあなた達なら助けてくれるかもしれない」
喜緑「・・・・・・」

114: 2008/08/22(金) 22:15:37.42 ID:DdOOpIHJ0
古泉「朝比奈さんに罪はありません、もちろんあなたにもだ。
二人は長門さんに精一杯祈ってみて下さい、お願いします」
みくる(ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ)
喜緑「・・・さっきは悪かったわ、気をつけて」
古泉「はい、行ってきます」
みくる「・・・絶対・・・絶対帰ってきて下さいね!」
古泉「えぇ」ニコッ
ピューン
みくる(お願い長門さん・・・早く古泉くんを助けてあげて・・・)
喜緑「彼のこと好きなの?」
みくる「え・・・?えぇ多分・・・こんな胸の高鳴りは初めて・・・」
喜緑「ソォォォォォォォナノォォォォォォ!ソレハヨカッタワネェェェェェェェェェ!!」

ドンッ

115: 2008/08/22(金) 22:18:05.69 ID:DdOOpIHJ0
何がゴメンナサイなんだ・・・まさか長門お前・・・。
長門「できない・・・」
キョン「え?」
長門「私にはできない・・・できない」
キョン「長門落ち着け、古泉も頑張っているんだ。昨日と同じようにすればいいんだ」
長門「違う・・・昨日とは違う、今日はダメ・・・」
こんなに焦っている長門をみたのは初めてだ、大量の汗をかき両手は震え眼はつり上がり噛みしめた唇から血が流れ出ている。
その時惨事は起こった、どうみても神人の足下の一番危ないような場所で朝比奈さんが座り込んでいた。その眼はしっかりと古泉を捕らえ、喜緑は両手で口を押さえていた。
キョン「朝比奈さ・・・」
神人の足が彼女の華奢な身体を押しつぶし、その上に吹き飛んだ机の破片や瓦礫が降り落ちてきた。

116: 2008/08/22(金) 22:20:39.58 ID:DdOOpIHJ0
古泉「とりあえず一体・・・他の神人が来る前に二人の様子を」
喜緑「朝比奈さん!朝比奈さん!」
みくる「こ・・・古泉くん・・・」
古泉「そんな・・・馬鹿な・・・」
ピューン
古泉「朝比奈さん、朝比奈さん!その身体・・・」
喜緑(この、ギリギリ氏にそうで氏なないような表情がたまらないわ・・・人間って意外と丈夫ね、そんな深い傷を負っても生きていられるなんて)
みくる「ごめんなさい・・・私ってうっかり者だし鈍いところもあるし・・・いつも古泉くんや長門さんの足を引っ張ってばかりで・・・」
古泉「あなたはまだそんなことを・・・長門さん、長門さんはまだ開けてくれないんですか!朝比奈さんがこんな姿になっても!!」
喜緑「イヤァァァァァ!やっぱり長門さんは私達を頃すつもりなのよ!どうしてくれるのよ、あなた達のせいよ!」
喜緑(ハハハハハハハハハハ、もっと恨め。憎め。お前ら人間の友情なんてそんなものだということを思い知るがいいわ!)

117: 2008/08/22(金) 22:24:47.64 ID:DdOOpIHJ0
みくる「・・・古泉君」
古泉「はい・・・」
みくる「その・・・長門さんを恨んじゃだめですよ」ニコッ
古泉「あ、あなたはまだそんなことを・・・」
みくる「私分かっちゃいました、私あなたのことが好きです」
喜緑(・・・ハァ?)
古泉「・・・僕もですよ、朝比奈さん」
喜緑(なんだこれは、私はこんな人間芝居を見たくてやった訳じゃない)
みくる「一度でいいから本当に好きになった人の腕で眠りたかった・・・一樹くんいる?もう私目が・・・」
古泉「みくるさん、僕はここにいます。みくるさん、眠ってはダメです、一緒に外に出て一緒に」
みくる「一樹くん・・・どこ・・・?黙ってないで何かいってお願い・・・」

119: 2008/08/22(金) 22:28:14.69 ID:DdOOpIHJ0
古泉「み・・・みくるさん・・・」
ガシッ
古泉「僕はここにいます!お願いだ、行かないで!」
みくる「ウフフ、一樹くんの温もり・・・私幸せ・・・もう一樹くん以外なにもない・・・」
古泉「お願いだ、神様!みくるさんを・・・」
みくる「私・・・幸せだ・・・よ・・・わ・・・たし・・・うくっ」
古泉「みくるさん・・・」
みくる「でも・・・本当は・・・もっと一緒に・・・生きて・・・いたかっ」
グシャ
喜緑「きゃぁぁぁぁぁぁ!(早くしろよ、いつまでやってんだよカスが)」
古泉「・・・・・・許せん」
喜緑「こっこここここ古泉さん、腕が・・・右腕が・・・!!(なくなっちゃってるね~☆)」
古泉「貴様だけは・・・」

122: 2008/08/22(金) 22:31:33.64 ID:DdOOpIHJ0
古泉「長門有希イイイイィィィィィィィ!!僕たちが・・・ここまでされるような何をしたァァァァァァ!出てこい!今すぐ八つ裂きにして・・・みくると・・・同じ目に・・・」
喜緑「あ・・・神人の数が・・・」
古泉「・・・・・・フフフフフフフフフ・・・そうか、僕のことも頃すつもりだな?いいだろう、受けてたってやる・・・ウラァァァァァァァァアッァ!!」

キョン「朝比奈さん!朝比奈さん!おのれハルヒめ、何が人を殺さないだ!よりによってSOS団から氏人を出すなんて!」
長門(ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ・・・・・・)

132: 2008/08/22(金) 23:00:54.60 ID:DdOOpIHJ0
古泉「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
キョン「・・・終わった」
長門「・・・閉鎖空間の情報凍結解除に成功した、古泉一樹が神人を倒してくれたお陰」
キョン「そうか・・・お前はよくやったよ」
長門「でも朝比奈みくるは戻ってこない」
キョン「言うな、お前が一番辛いはずだ・・・いや、一番はアイツか」
長門「・・・喜緑江美里の生体反応が消滅している」
キョン「え?まさかあいつも・・・」
長門「彼女は我々と同じ空間軸に存在しており無傷。どうやら私とは違う方法で閉鎖空間から脱出した模様」
キョン「ハルヒか」
長門「分からない、私はこれから家に戻る」

135: 2008/08/22(金) 23:04:18.21 ID:DdOOpIHJ0
キョン「お前・・・古泉は放っておくのか?」
長門「彼らをここまで苦しめたのは私の不手際、共犯と同罪。彼らに会わす顔がない」
キョン「バカいうな、お前がいなかったらあいつらはずっとあん中だったんだろ。それくらいあいつらも分かってる、少し仲間を信用してやれよ」
長門「できない、今古泉一樹は朝比奈みくるを失ったことで非常に動揺している。私が通常の生命形態だった場合、逆上して私を氏に至らしめてしまう可能性がある」
キョン「そ、そんなに・・・分かった」
カッカッカッカッ・・・
古泉「・・・あなたですか」
キョン「・・・俺だ」

137: 2008/08/22(金) 23:06:38.85 ID:DdOOpIHJ0
古泉「僕は、自分がどうしてこの能力を持ったのか考えることがあるのです。誰かを守るため?それともただの涼宮さんのストレス発散の道具として?」
キョン「・・・・・・」
古泉「だが現実に朝比奈みくるは涼宮さんの閉鎖空間の中で息絶えた、一番大切な人を一番得意としている分野の中で氏なせてしまったんですよ。あなたにこの気持ちが分かりますか?この無念さが!」
キョン「・・・すまん、俺には到底わからん」
古泉「フフフ・・・でしょうね。能力を持つ前の私でもきっと理解出来なかったでしょうし、理解しようともしなかったでしょう」
キョン「古泉」
古泉「見て下さい、みくるさんの寝顔・・・こんなに幸せそうじゃないですか」
キョン「もういい・・・やめろ」
古泉「僕はこれを期に機関を辞めるつもりです、いざという時に自分の能力を発揮できないという無念さを一日でも早く忘れたい・・・」バタッ
キョン「古泉!・・・救急車。長門、救急車だ!」

138: 2008/08/22(金) 23:08:40.49 ID:DdOOpIHJ0
長門の部屋にて
キョン「・・・」
長門「・・・」
キョン「・・・」
長門「・・・」
キョン「長門、あの二人は・・・」
長門「情報操作をしておいた。二人は老朽化した建物の下敷きとなり、大けがを負った」
キョン「それで・・・」
長門「不幸にも一人はその時の事故で片腕を失い、もう一人は命を失った。これが世に広まるであろう経緯」
キョン「そうか・・・」
長門「・・・」

140: 2008/08/22(金) 23:13:26.22 ID:DdOOpIHJ0
長門「・・・あなたにいくつか話しておきたいことがある」
キョン「何だ」
長門「あなたには妹がいた」
キョン「藪から棒になんだそりゃ、俺に妹なんかいない」
長門「いた、ただし朝比奈みくるの消失と同時にその情報は白紙になった。恐らく朝比奈みくるの氏が早まったことによってあなたの妹の存在がパラドックス化しことが原因であると思われる」
キョン「つまりそれは・・・まさか朝比奈さんが俺の妹だったということか?」
長門「今となっては調べようがない、だが涼宮ハルヒがそう確信していた可能性は高い」
キョン「ハルヒが?」
長門「何らかの理由により涼宮ハルヒが朝比奈みくるとあなたの妹との同一性または関係性を確信し、あなたの妹の存在を疎ましく思った可能性は大いにあり得る」

142: 2008/08/22(金) 23:16:29.18 ID:DdOOpIHJ0
キョン「実感の沸かない話だな」
長門「仮にあなたの妹が朝比奈みくるの異時間同位体であるとした場合、朝比奈みくるの氏と同時にあなたの妹の存在が消滅した理由の説明がつく。たがそうすると今度は」
キョン「もういいよ・・・いもしなかった俺の妹の話なんか興味ないし、そもそも今回のこととは無関係だろ」
長門「無関係ではない。あなたの妹が消滅したということから涼宮ハルヒの裏に強大な力が存在することが証明され、涼宮ハルヒの不思議に対する考えが理解できる」

144: 2008/08/22(金) 23:19:28.27 ID:DdOOpIHJ0
長門「涼宮ハルヒが閉鎖空間を生み出し不思議に関する事象を排除しようとしている。昨日は朝比奈みくるだった」
キョン「そうだったのか?」
長門「そう、そして今日は古泉一樹になる予定だった」
キョン「!」
長門「喜緑江美里は何らかの手段を使って無理矢理あの閉鎖空間内に侵入したと思われる。事実彼女が空間内にいる間は空間閉鎖の情報が完全に封印されていた」
キョン「何らかの手段・・・?お前が言っていた外部の強大な力か何かか?」
長門「そう思って間違いない」

145: 2008/08/22(金) 23:22:42.65 ID:DdOOpIHJ0
長門「ここ数日涼宮ハルヒが閉鎖空間に閉じ込めた特殊能力者は合計15人となるが、今日閉じ込められた3人以外の者は全て無傷で生還している。また、近日涼宮ハルヒが呼び込んだ者はSOS団のメンバーに集中している。昨日は朝比奈みくる、今日は古泉一樹。そして明日は私」
キョン「何だって?」
長門「そして彼女にとって非日常度の高い者から順に彼女なりの排除の度合いが高まっている、今言った外部からの力が加わっているものと考えられる」
なるほど、いくら不思議な能力を持った人間とはいえハルヒと関係性を持っていない人間はみんな無傷で解放される。3年前に突然能力を持った古泉は仕事を続けられないような身体にされ、未来から来た朝比奈さんはもうどうしようもないから頃してしまおうと。
キョン「馬鹿げている」
長門「・・・私という個体がそのことに多大な恐怖を抱いている」

147: 2008/08/22(金) 23:25:47.15 ID:DdOOpIHJ0
そうだ長門は宇宙と交信が可能なヒューマノイドインターフェース、特殊能力の塊だ。今の優先順位でいえば氏以上の残酷な目に遭うかもしれない。例えば・・・
キョン「存在が・・・なくなるとか?」
長門「この世界にいる全ての人間が長門有希という存在を忘れてしまうかもしれない。または氏よりも苦しい拷問のような目に遭うのかもしれない」
キョン「ちょっと待て、それは流石に飛躍しすぎだろ。そういう根拠は一体なんだ」
長門「彼女の行動の根源はあなた。彼女があなたと共に歩む日常を欲するが故に私達のような非日常の存在を消そうとしている、だが私に関してはその限りではない」
キョン「どうしてそう言えるんだ?」
長門「私があなたを愛しているから」

151: 2008/08/22(金) 23:36:32.49 ID:DdOOpIHJ0
いきなり長門から愛の告白を受けてしまった、普段の俺なら内心浮かれながらもクールを装おうとしたかもしれない。でも今回は状況が状況なだけにただ動揺しただけで終わり、次の言葉を出すのが精一杯だった。
キョン「・・・つまりお前は、ハルヒがお前に嫉妬してお前をめった打ちにするかもしれないと、そういう訳だな?」
うへぇ、自分で「嫉妬」とか言って恥ずかしい限りだ。こんなのは今回きりにしてくれよ長門さん。
長門「私が消滅しないで済む方法はただ一つ。誰か一人でも私の存在を覚え、気づいてくれること。誰かが私に気づいてくれる限り私は存在することができる。」
キョン「俺がお前を忘れることは絶対にない、絶対にだ」
長門「・・・ありがとう」

158: 2008/08/22(金) 23:47:40.89 ID:DdOOpIHJ0
次の日俺は長門と共に古泉の見舞いに向かった。嫌がる長門を無理矢理連れてくるのに苦労したが、今日一日俺が長門と一緒の部屋にいることを条件に渋々着いてきてもらった。
キョン「古泉・・・入っていいか」
古泉「どうぞ」
古泉は向こうを向いて寝ていた、なくなった右腕を庇いながらこっそり仰向けになった。
古泉「・・・その方はどちら様でしょうか」
キョン「は?何を言っているんだお前は。長門だよ長門、しっかりしろ」
まさかもう長門のことを忘れているやつが出始めているのか?それもこんなに早く・・・。
古泉「出て行け!」
キョン「(!?)落ち着け古泉、一体どうして・・・」
古泉「みくるを奪ったこの悪魔め!出て行け!早く!」
長門「・・・・・・」

159: 2008/08/22(金) 23:49:40.19 ID:DdOOpIHJ0
キョン「・・・長門には出てもらった」
古泉「申し訳ありません、醜態をお見せしてしまいました」
キョン「朝比奈さんを奪った悪魔ってのはどういうことだ?」
古泉「・・・あなたは何も知らないみたいですね」
キョン「何をだ?」
古泉「私達が閉鎖空間の中にいる間彼女が何をしていたのかご存じですか?」
キョン「あぁ、あいつはお前らを外に逃がすために頑張っていたんだ。感謝されこそすれ恨むなんてお門違いじゃないのか?」
古泉「彼女は・・・僕達をあの中に閉じ込めていたんですよ
キョン「・・・なんだって?」
古泉「あなたはあの閉鎖空間が涼宮さんによって作られたものだと思っているみたいですね、それは基本的に当たっています。
ですがその空間閉鎖があそこまで頑丈になりうるでしょうか?」
キョン「それはどういうことだ」
古泉「通常の閉鎖空間であれば例え僕でも小指一本で出入りが可能です、というよりそれが仕事ですのでそれは何も不思議なことではない。
おかしいと思いませんか?彼女がいる時だけ僕たちの出入りの制約がかかるなんて。
よく思い出してください、僕たちが閉鎖空間に閉じ込められた時の彼女の反応を」
キョン「そういえば妙に焦っていたような・・・」
古泉「そして『部室に向かう』というようなことを言いませんでしたか?」
キョン「・・・言った」
古泉「その前の時もそうだったのです。僕が神人を倒すまで彼女は僕たちを閉じ込め、身の安全が保障されたと同時に僕たちを解放した。第一涼宮さんは閉鎖空間に人を閉じ込める能力を持っていない、そしてそのような能力を持つ者は限られる」
朝倉と・・・長門か。
古泉「あなたにはお話しておきましょう、僕たちがあの中でどのような会話を交わしていたのかを」

161: 2008/08/22(金) 23:54:50.70 ID:DdOOpIHJ0
キョン「長門が・・・そんな・・・」
古泉「喜緑さんはこうも言っていました、今回の神人は閉鎖空間に人を閉じ込めるだけで人は襲わないハズだと。だがそうではなくなったのはあの悪魔のせいだと」
キョン「悪魔って・・・やっぱり長門のことか?」
古泉「今思えばあの女があなたの記憶を消したのも昨日の事件の真実をあなたに悟られないようにするためだったのでしょう。
昨日の本当のターゲットは喜緑さんでした」
ちょっと待て、長門が俺の記憶を?だって長門は昨日・・・本当のターゲットはあの喜緑だって?
キョン「・・・混乱してきた・・・」
古泉「昨日喜緑さんは途中で閉鎖空間を抜け出していました、それこそ彼女が昨日の本当のターゲットであったことの証明になるのです。
恐らく彼女は涼宮さんの言うところの儀式を終え通常通り抜け出した、それなのに僕とみくるさんは抜け出すことが出来なかった。そういうことです」
キョン「じゃあ・・・ハルヒは・・・」
古泉「記憶をなくしているあなたに言ってもしょうがないと思いますが、一昨日僕とみくるさんは閉鎖空間に閉じ込められてしまいました。
もしかしたら今日閉鎖空間に閉じ込められるのはあなたかもしれません。彼女の目的はあなたと涼宮さん以外の消滅です、そのことをよく頭に入れておいて下さい」

162: 2008/08/23(土) 00:00:16.70 ID:AC9Hfjee0
長門「話は終わった?」
キョン「あぁ、待たせたな」
長門「そう」
ギュッ
キョン「なんだ」
長門「約束」
今日一日長門の部屋にいる。ってやつだな、だがあの話を聞いた後でそんな条件をのめるハズがない。それでも俺は長門にきかなくちゃいけないことがある。
キョン「そうだったな、今から行くのでいいのか?」
長門「いい」

164: 2008/08/23(土) 00:03:40.29 ID:AC9Hfjee0
キョン「長門・・・そろそろ腕を離してくれないか、もうお前の部屋なんだぞ」
長門「できない、今日発生する予定の閉鎖空間内に涼宮ハルヒが登場する可能性がある。そうなった場合守ってくれるのはあなた」
病院で腕を組まれてから長門の部屋に着くまでずっとこうしたまんまだった。
端から見るとバカップル、というよりはずるずる引きずられ顔が引きつってる俺と無表情な長門の組み合わせだった。
キョン(先制攻撃か、まさかこうなることは予想外だった)
長門「今日はこの部屋に空間閉鎖が起こる可能性が高い。あなたには私と一緒に涼宮ハルヒの説得にあたってほしい」
キョン「!!ってことはやっぱりお前は俺も閉鎖空間に巻き込む気だったのか!昨日見たやつみたいな!」
長門「涼宮ハルヒがあなたに危害を加えることはあり得ない」
キョン「・・・じゃあお前はどうなんだ」
長門「私の存在が消滅するかしないかはあなたと涼宮ハルヒ次第」
キョン「そうじゃない!やっぱりお前は俺も巻き込むつもりなんじゃないのか?」
長門「あなたの日常は私が守る、あなたを巻き込んだりは絶対にしない。そしてそのためなら手段はいとわない」
キョン(古泉が言っていた通りだ)
長門「私があなたに望むものは私と涼宮ハルヒの日常への帰還、これはあなたの望む日常に一番近い形を」
キョン「黙れ!」

166: 2008/08/23(土) 00:06:58.68 ID:AC9Hfjee0
キョン「何が『俺を巻き込まない』だ、もう巻き込んでいるじゃないか!」
長門「あなたが古泉一樹から何を聞かされたのかは知らない、だが私があなたに話していることは全て真実」
キョン「そう言われてすぐに信じられるほど俺はお人好しじゃない、俺の記憶を消しておいて今更何を言う」
長門「あなたの記憶を消したのは私ではない」
キョン「どうかな?それにお前は嘘を吐いた。昨日閉じ込められる予定だったのは古泉じゃなくて喜緑だったみたいじゃないか」
長門「違う、昨日閉じ込められる予定だったのは古泉一樹」
キョン「妹の話もよく考えたよな、俺に妹がいると言ってハルヒの裏に強大な力があることをにおわせれば俺はお前を疑うことはない」
長門「あなたは今興奮している、昨日あなたに話したことは全て真実。私を信じて欲しい」
ギュッ
キョン「くそ、離せ!」
長門「できない。あなたは今日一日私と一緒にいる約束となっている、この腕を離せばあなたは約束を裏切る」
キョン「当たり前だ、昨日あんなものを見せられたら誰だってこの部屋から出たいと思うに決まっている」
長門「それでは私と交わした約束を反故にすることになる」
キョン「俺が約束したのはお前の部屋にいる約束だ、閉鎖空間の中に入る約束まではしてない。しかもお前はそのことを故意に隠していた」
長門「行かないで欲しい、これは私の意思」
キョン「とうとう本音を吐いたな、だがそうはいかない」
長門「行かないで!」
キョン「離せ!お前俺の日常のために自らの破滅を望んでいるんだろう、だったらお前一人で沈んでいればいいじゃないか!」

169: 2008/08/23(土) 00:10:14.17 ID:AC9Hfjee0
長門「・・・・・・!!」
スルリ
キョン「・・・お互い頭を冷やそう、それまで俺らは会わない方がいい」
長門「そんな・・・」
キョン「近寄るな!」
ドン
長門「・・・ッ・・・・・・」
キョン「・・・じゃあな」
ガチャ
バタン
長門「待って!」
ガチャガチャ
長門「・・・開かない」

176: 2008/08/23(土) 00:14:57.38 ID:AC9Hfjee0
生徒会長「あのときのあれは迫真の演技だったね喜緑くん」
喜緑「あれくらいたやすいものです」
会長「君も本当によくやってくれた」
森「いいえ、これくらい何でもありません」
喜緑「そういえばあの執事っぽいジジィはどうなったの?」
森「新川は今機関にも知られていないある場所に閉じ込めてあります」
会長「ただ古泉くんをあそこまでにしたのはやりすぎではなかったのか?」
喜緑「会長、佐々木さんの言ったことを思い出して下さい。本当はあの3人は頃す予定だったのに、会長の計らいで特別に古泉の命だけはということになったのはお忘れですか?」
会長「そうだったな、これが終われば僕も佐々木氏と・・・」
喜緑「会長があの人と知り合いなのには驚きました、そして一目惚れと伺った時は何かの冗談だと思いましたよ」
会長「彼女は人間を超越した存在であると確信している、ここにいる涼宮ハルヒとはものが違うのだ。なぁ涼宮くん?」

ハルヒ「・・・え?」
会長「君みたいに自分の仲間を皆頃しにして好きな人と一緒になりたいという幼稚な考えを持った人間とは違うのだよ、彼女は」
ハルヒ「私が・・・みんなを?」
森「今彼女を刺激してはいけません、これから彼女にはとても大きな仕事をしてもらうのですから」
会長「安心したまえ涼宮くん、これさえ終われば君はもう日常に生きることが許されている。君の片思い相手の彼の役目は僕が務める、ただしパートナーは君ではなく佐々木氏だ。
これからは僕と佐々木氏で第二のSOS団を発足していくつもりだ」
ハルヒ「あぁ・・・うぅ・・・キョン・・・キョン・・・」
喜緑「さっさと始めましょうよ。ホラ、早く行けば?涼宮さん」

183: 2008/08/23(土) 00:22:02.57 ID:AC9Hfjee0
私が自分の部屋に閉じ込められてから2時間52分59秒が経過した。神人の動きはまだ見られない、もちろん涼宮ハルヒもだ。
この3時間私は何を考えていたのだろうか、もしかしたらずっと彼のことを考えていたのかもしれない。
私のヒューマノイドインターフェースとしての能力は今全く発揮することが出来ない、言ってしまえば私は今普通の人間と同じ状態なのだ。
考えることは彼のことばかり、そう。好きで好きで仕方ない相手のことばかりを。
長門(・・・!私のヒューマノイドインターフェースとしての能力が機能していないということは、この閉鎖空間内にいる者は涼宮ハルヒの中で普通の人間として処理されているに違いない。
なのに昨日も一昨日も古泉一樹は超能力者としての能力を発揮していた・・・)
そうか、昨日のターゲットは古泉一樹ではなかった。私はあれだけ彼に信用して欲しいと言いながら結果的に嘘をついてしまったことになる、それなら彼に嫌われてしまうのも・・・。
長門(それに・・・これで彼の言うように彼を巻き込むこともなく私の存在を消滅させることができる)
これは私が一度試みようとした方法、それでも彼は私を忘れたくないと言ってくれた。
長門「あれは・・・嬉しかった」
そして今、当初望んでいた状況下に私はいる。彼を苦しめることもなく私の存在を忘れさせることが出来る。
長門「でも私は・・・やっぱりそれは嫌だ」



ハルヒ「・・・何が嫌なの?」
長門「涼宮・・・ハルヒ・・・?」
ハルヒ「あら、有希だけ?キョンはまだ部活に来てないの?」
長門「ここは私の部屋であり部室ではない、ここに私しかいないのは必然」
ハルヒ「ふぅ~ん」
自分で言っていて悲しくなった、本当なら彼は私の腕の中にいるはずだった。
ハルヒ「じゃあもう有希はいらないわね」
ザクッ

186: 2008/08/23(土) 00:26:20.79 ID:AC9Hfjee0
長門「!」
ハルヒ「どう?痛い?ねぇ、痛いの有希?ねぇ」
グリグリグリグリグリグリグリ
長門「・・・!!」
ハルヒ「あんたキョンのことが好きだったんだって?ふざけないでよね、何泣いてるの?そんなに痛いの?
・・・でも私の心の痛みに比べたらそんなの傷のうちに入らないわ」
ザクッブチ、ザクッ、グチャグチャ
ハルヒ「あんたにはもう腕も脚も身体も心を必要ないでしょ?もう誰もあんたのことなんか覚えていないんだから、それくらいの痛み我慢しなさいよね」
長門「・・・・・・・・・・・・ぐっ」
ハルヒ「じゃあね有希。さすがのキョンも夏休みが終わる頃にはあなたのことを忘れていると思うけど大丈夫、その分私が彼を愛してあげるから」



空間閉鎖が解かれた、いつも通りの私の部屋。玄関は開くだろうがもう身体が動かない、遠くに私の腕と脚が見えるから動かないのは当然。
窓ガラスに自分の姿が映っていた、あまりの悲惨さに私は思わず目を閉じた。痛い、生まれて初めての感覚。
長門「キョン・・・くん・・・」
初めて口にする言葉、できれば彼の前で言いたかった。
長門「キョン・・・」
朝比奈みくるの氏に顔を思い出した、彼女の顔はとても安らかで幸せそうだった。
自分の想い人の腕の中で眠ることができる幸せを彼女は手にすることが出来た、では私はどうだろう?
鏡に映る自分の顔は・・・苦痛と悲嘆に満ちた絶望の色をしていた。

自分を抱いてくれる者がいないのを確認して、私の視界は真っ暗になった。

192: 2008/08/23(土) 00:30:26.57 ID:AC9Hfjee0
みくるさんが氏んでから3日が過ぎた、僕は今なくした腕のリハビリに精一杯になることで彼女のことを忘れようとしていた。
森「調子はどうですか?」
古泉「森さん、わざわざ見舞いに来て下さったのですか?」
森「えぇ、あなたも不幸よね。もう機関に戻るつもりはありませんか?」
古泉「はい、申し訳ありませんが・・・そういえば新川氏はあれからどうなったのですか?」
森「そう、戻る気はないの・・・なら言っても構わないわね」
古泉「・・・何をです?」
森「新川は明日涼宮ハルヒに捧げる生贄になります」



古泉「新川氏が・・・!」
森「バカな男よね、私達の忠告を聞かずに裏切ろうとなんかするからこうなるのよ。自業自得だわ」
古泉「まさか新川さんが板挟みになっていた機関というのは長門有希のあの・・・?」
森「・・・は?」
古泉「森さん、新川氏が危ない!長門有希は我々を閉じ込めた後消息が分からない。もし彼女が今回をきっかけに機関の探りを入れているとしたら」
森「あんたバカじゃないの!?私のあの話をここまで信じていたっていうの?
いや、信じさせるつもりで吐いた嘘ではあるにしてもここまで信じてるとは思わなかった、どうりで私達の仕事がやりやすいと思ったわ!」
古泉「も・・・森さん?」
森「・・・なるほどねぇ、だったらあの時長門有希が一人で部屋にいるはずだわ。
あの女が意中の彼を部屋に連れてきていることを想定してあんなに涼宮ハルヒにイメトレさせたのに、全く無駄になったわねぇ・・・」
古泉「あ・・・あなたは一体何を言って・・・」
森「良いわ、話してあげる。涼宮ハルヒとその背後に潜んでいた我々のことをね」

195: 2008/08/23(土) 00:34:35.79 ID:AC9Hfjee0
古泉「まさか・・・長門有希が我々のために閉鎖空間を・・・」
森「いやぁ喜緑さんも笑っていたわ、『あいつら本物よ、本物のバカよ』ってね。あの後のことはよく知らないけどやっぱりあんた達仲たがいしていたのねぇ、でもこれでその理由がわかったわ!」
古泉「そんな・・・なら僕は・・・長門さんにひどいことを・・・」
森「あんたがしたのはあの女にだけじゃないわ、意中の彼にもあの女を裏切るようにし向けたんですってね。お陰で本当にやりやすかったわ」
古泉「馬鹿な・・・朝比奈さんはあんなに長門さんを信用しろと言っていたのに僕は・・・」
森「あなたの勘違いぶりには舌を巻くわ。
実際我々の最も大きな障害となりうるハズだった彼はあの部屋にいなかったんですもの、あなたは一体どちらの味方なのか分からないくらいだったわ!」
古泉「キ・・・キサマ・・・!」
森「涼宮ハルヒに彼の妹と朝比奈みくるの因果関係をふっかけて挑発したのも私。
その日彼の記憶をなくさせたのも私。
次の日涼宮ハルヒに『もし朝比奈みくると古泉一樹が一緒に部室にいたらあの二人があなたの日常を壊そうとしている証拠になるわね』と彼女に言ったのも私」
古泉「頃す!頃してやる!!」
森「あなたはもう日常には戻れない、なくした腕となくした仲間の影で一生ハンディキャップを背負って生きていくがいいわ!アハハハハハハハハハ!」

198: 2008/08/23(土) 00:39:41.67 ID:AC9Hfjee0
長門の部屋を飛びした日から5日、俺はだんだん長門のことを思い出すこともなくなってきた。
俺の中であの日のことはとてつもなく大きかったハズなのに、なんだか日を追う毎にどうでも良くなってきている。
キョン「そういえばあいつ俺に妹がいるとか言っていたな・・・」
どの部屋が俺の妹の部屋になる予定だったのだろうかとか考えつつぼーっと過ごしていた、すると突然ハルヒから電話で呼び出しがかかった。
ハルヒ「今すぐ会いたい、駅前に来て」



キョン「どうした今日は?」
ハルヒ「あんた・・・私の・・・その・・・忘れてないわよね・・・?」
キョン「何を?」
ハルヒ「だから・・・その・・・昨日のその・・・」
キョン「?」
ハルヒ「だから・・・告白よ!まさかあんた忘れてはいないわよね!」
キョン「いきなり大声だすな、周りみんなこっちを見てるだろ・・・」
ハルヒ「あんたが鈍感なのがいけないんじゃない・・・」
キョン「前も言ったろ・・・あんなことがあって俺は今気持ちの整理がつかないんだ」
ハルヒ「あんなことって?」
キョン「何を言ってるんだお前は。ほら、あれだよ。」
ハルヒ「あれって?」
思い出せない・・・最近大きな事件に遭遇したはずなのにそれを思い出すことが出来ない。
キョン「ほ、ほら!最近は古泉も入院したばっかりだし、なんかあいつに悪いしさ・・・」
ハルヒ「それは関係ないじゃない」
キョン「あ・・・あぁ、まぁな」
ハルヒ「まさかあんた・・・私の話をはぐらかそうとしているんじゃないでしょうね」
キョン「そんなことはない!・・・おっと、これから古泉の見舞いに行かなきゃ」
ハルヒ「ちょっとキョン、やっぱりはぐらかそうとしてるじゃない!」
キョン「違うよハルヒ、今日あいつに二人きりで話がしたいと言われてるんだ。悪いけどまた明日な!」
ハルヒ「ちょっと待ちなさい、始業式まであと3日よキョン!ちょっとキョン聞いてるの?待ちなさい!」

204: 2008/08/23(土) 00:43:11.38 ID:AC9Hfjee0
古泉「・・・やはりあなたもですか」
キョン「あぁ、俺らは何か重要なことを思い出せないでいる」
古泉「僕もあなたにお話しなくてはいけないはずの何かを思い出せないでいるのですよ、誰かに謝らなくてはいけないような何かを僕は思い出せないでいる」
キョン「お前・・・これからどうするんだ?」
古泉「親戚のすすめで転校することになりました、身体に障がいを持った者達の通うワークスクールのようなものだそうです。」
キョン「そうか・・・残念だな」
古泉「そうですか?僕はいたって前向きですよ、何事も人生経験が大事ですからね。それに利き腕がなくたって勉学くらいならできますよ」
キョン「違う、何かモヤモヤしたものを残しながらお前と別れてしまうことがだよ」
古泉「そう言って頂けると嬉しいですね、でも僕もいつまでもみくるさんのことを引きずる訳にはいきません。
新しい場所で新しい生き甲斐を見つけて、新しい恋を探していきたいと思っています」
キョン「あぁ、俺もいなくなった二人のことをいつまでも引きずってる場合じゃないな・・・」
古泉「・・・僕まで殺さないで下さい」

キョン「!!」
なんだ今の「二人」というのは、なんか無意識のうちに口をついて出たような・・・
キョン「・・・なぁ、古泉」
古泉「!・・・」
古泉も何かハッとした表情をしていた、目を見開いてじっと何かを見据えている。
キョン「じゃ・・・じゃあ俺は帰るから・・・」
古泉「・・・もし涼宮さんと二人きりになった時ポケットを探って見て下さい」
キョン「なんだって?」
古泉「・・・・・・」
眠っている。
キョン「やれやれ・・・」

209: 2008/08/23(土) 00:48:08.61 ID:AC9Hfjee0
今日はハルヒがいきなり俺の家に押しかけてきた、何でも俺がまだ宿題を終わらせていないことを動物的本能で察知して駆けつけてきたらしい。
ハルヒ「今日一日は私のことを“先生”と呼びなさい!」
キョン「・・・その眼鏡は伊達か?」
ハルヒ「そうよ、今日のためにわざわざ買ってきたのよ!」
キョン「なぁ、お前の答えを写すのはダメなのか?」
ハルヒ「ダメ!どこの世界に自分の生徒に宿題の答えを写させる先生がいるのよ!」
今日はハルヒに言わなきゃいけないことがある。昨日古泉と別れてから俺なりに色々考えていたが、やはり俺がハルヒを拒む理由はない。決心した。
ハルヒ「そうじゃないって!何度言ったら分かるの、ちょっとキョン聞いてる!?昨日の支払いは誰がしたと思ってるの?その分今日は厳しくいくわよ!」
キョン「ハルヒ、俺お前が好きだ」
ハルヒ「・・・!!!???」
キョン「だから・・・」
ハルヒ「だから・・・?」
キョン「昨日のツケはチャラにしてくれ、頼む」
ハルヒ「・・・!!」
頭が一瞬燃えたかと思うと30秒くらい自分が誰だか分からなくなった、そうか俺は殴られたのか。
ハルヒ「コラキョン、こんな時に冗談はやめなさい!」
キョン「冗談じゃない、昨日のツケは俺にとって大誤算だ」
ハルヒ「・・・もう一発殴って欲しいの?」
キョン「すまんやっぱ冗談だ、俺はお前のことが好きだ。もう一度言う、俺はお前のことが好きだ」

211: 2008/08/23(土) 00:52:44.31 ID:AC9Hfjee0
今一瞬とても悲しい視線を感じたが、そんなことはお構いなしにハルヒを抱きしめた。
もう俺は迷わない、このままうやむやになってしまったら愛する人を失ってしまった古泉に申し訳がない。
ハルヒ「キョン・・・」
キョン「ハルヒ・・・」
ハルヒ「・・・休憩はそこまでよ」
キョン「へ?」
ハルヒ「ハーフタイムは終了よ!宿題の続きをするのよ!」
結局はこうなるのか、ハルヒは自分の生徒だろうが恋人だろうが答えは一切写させてくれないらしい。
結局俺は再び机に向かった。
ハルヒ「・・・ありがと」
キョン「ん?何か言ったか?」
ハルヒ「・・・なんでもないわよ、早くしなさい!」
キョン「こちらこそありがとな」
ハルヒ「・・・・・・」
俺は今とても幸せだ、宿題ももうあと半分で終わる。これなら始業式までには間に合いそうだ。
ここで俺は古泉の言葉を思い出してポケットを探ってみた、すると何かくしゃくしゃの紙が出てきた。

『長門』

ハルヒ「コラキョン!何ボーッとしてるの、さっさと始めてさっさと終わらせる!」
キョン「分かった、分かったよ」
俺はその紙を丸めてゴミ箱へ捨てた、一瞬心が冷えるような感覚に襲われたがすぐに忘れた。

あと少しで俺たちの夏休みも終わる。


Fin

213: 2008/08/23(土) 00:53:34.38 ID:rC4aMcT50
長門・・・( ´;ω;`)

214: 2008/08/23(土) 00:53:41.96 ID:KnlwiUYzO
と思いきや…

220: 2008/08/23(土) 00:58:41.98 ID:AC9Hfjee0
これで一応の完結です、現在解答編を執筆中ですがもうお眠の方もいらっしゃるようなのでできれば近日中に別スレを立てたいと想います。
まだ構想段階ですが解答編はハイパー長門タイムになると思います。はい、ひぐらしのパクりです。



ここまで読んで下さったみなさん本当にありがとうございました。
さるさんや手厳しい言葉を受け途中20回くらいくじけそうになりましたがなんとか完結を果たしました、睡魔が襲ってくるまで質問や指摘などがあればお受け致します。


ではノシ

222: 2008/08/23(土) 00:59:39.71 ID:Y6CnTX+h0
乙 解まってる

223: 2008/08/23(土) 01:00:41.42 ID:JuFBNnsUO
なんかつけ麺食べたくなる話だな

広島風の辛いつけ麺を

224: 2008/08/23(土) 01:01:33.01 ID:RNXq4lN/0
ハイパー長門タイム期待してる

なんだかんだで面白かったよ乙

226: 2008/08/23(土) 01:02:16.79 ID:6rmhYERMO

230: 2008/08/23(土) 01:10:29.44 ID:czHTjv7AO
ハイパー長門タイム期待してる!

233: 2008/08/23(土) 01:26:21.82 ID:AC9Hfjee0
>>225
スレタイ+:解答編
みたいな?
もし明日板が残っていればそこに書きます、まぁ恐らくはスレ立てすることになるでしょう。

>>228
今日と同じか一時間早いかくらいの時間帯になると思います。



いまさら後書き、物語の余韻を消したくない人はスルー推奨
正直・・・今回のことでつくづく人に文章を読ませるのは大変だということを知りました。
時間をかけて作れば「早く結論を」と言われ結末を急げば「話の収集がイマイチ」と言われ。
かと言ってスレを連立させたりできるはずもなく・・・誰か教えて偉い人ってこういう時に使う言葉なのかしら。

目算ですが解答編は今回の話と同じくらい、少なくとも今回の半分以上の容量になるかもしれません。
SSに熟練した方がおられたらどうしたら良いかご教授下さい、今後の参考にします。


読んでくれた人が意外と多くて焦りました、みんなありがとう。
長門の婿さんを喜ばせるような話じゃなくてごめん、次回みんな発狂するかも。

265: 2008/08/23(土) 11:44:16.04 ID:AC9Hfjee0
佐々木は俺の嫁


ハルヒ「未来人を捕まえたわよ!」:解答編


引用元: ハルヒ「未来人を捕まえたわよ!」