1: 2013/03/24(日) 07:50:10.52 ID:732ZRzVSo
 昔々の事じゃった。
冬が終わり、山に木を切りに二人の木こりがやって来た。
しかし、その山には牛鬼淵が有ったのじゃ。
近づいた人間を底まで引きずり込む、
恐ろしい化け物牛鬼の住みかじゃ。



シンジ「おやずよ~ぅ!元気だったがぁ~!」

ゲンドウ「ああ…久すぶりだな…スンズ…」


 二人は親子じゃったが、
シンジが嫁を貰った事を機に、
離れて暮らしておった。


ゲンドウ「ガガぁ元気にすてだが?…」

シンジ「元気も元気、おらケツさ敷がれでだじゃあ…」

ゲンドウ「そうが…」


ゲンドウ「ワラスばまだ成さねのが…?」

シンジ「いっこど成さね…いづになっだら孫の面見せられっか分がんねじゃ…」

ゲンドウ「そうが…」



シンジ「まんず、あのあだりの木がら切っぺが」

ゲンドウ「ああ…」


カーン カーン カーン

ギーコ ギーコ ギーコ


 二人は早速仕事に取り掛かった、
シンジは斧を使い、
ゲンドウはノコギリを使って仕事をした。
して何本か木を倒したところ、
そろそろ日が傾き始めたのじゃった。


シンジ「やんべ木ぃ倒すたす、暗ぐなんねうぢに小屋っこさ入ぇるべ」

ゲンドウ「ああ…んだな」

二人は木こり小屋に帰った。

【エヴァ昔話・①】シンジ「雪女だ!間違いねぇ!」
【エヴァ昔話・②】シンジ「なんたらや、鶴が罠っこさ引っかがってだ…」
【エヴァ昔話・③】マリギツネ


2: 2013/03/24(日) 07:54:57.75 ID:732ZRzVSo

~~~~小屋~~~~


シャッ シャッ シャッ

ゲンドウ「……」シャッ シャッ シャッ


シンジ「おやずよ…なんもそったにヤスリっこ掛げねくてもいがべじゃあ」


ゲンドウ「バガこぐでねぇ…こいづぁ命の次に大事なノコギリだぁ…」シャッ シャッ シャッ


ゲンドウ「しっかりど手入れしとがねばな…」シャッ シャッ シャッ


シンジ「へぇ~、めんどくしぇ…おら酒っこ飲むじゃ」グビ



 その時、入り口に垂れ下がっていたムシロが揺れたのじゃった。



ゲンドウ「誰だ…?」




???「何…してんのや…?」



ゲンドウ「ノコギリの手入れだ…」


ゲンドウ「こごば見ろ…こごの刃は鬼刃つってな、鬼ば切り裂ぐ為にあんだど…」


ゲンドウは入り口から覗く人影を見据えながら語ったそうな。




???「……」スッ…


 人影は何も言わず居くなってしまった、
その人影は女じゃった、
深い山中に不自然だと、
二人は思ったそうな。


シンジ「なんだべな…こっただ真っ暗ぇ山ん中さ…」


ゲンドウ「……」

  
 
 
 

3: 2013/03/24(日) 07:58:30.99 ID:732ZRzVSo
~~~~翌昼~~~~

シンジ「おやずよ~ぅ!まんまにすっぺじゃ~!」


ゲンドウ「ああ…」


シンジ「今日は暗ぐなんねうぢに村さ戻るべな」モグモグ

ゲンドウ「ああ…んだな…」モグモグ

シンジ「すかす、あの姉っこ…誰だったんだべな」


ゲンドウ「…まさがな…」




~~~~村・シンジの家~~~~

シンジ「帰ぇったど」

アスカ「スンズお帰ぇり」

シンジ「明日ぁまだ弁当二日分こしぇでけろなぁ」

シンジ「まだ寒ぇがら、あめねがらよ」

アスカ「はいはい…」


 シンジは晩酌をしながら嫁に夕べの事を話したそうじゃ。


シンジ「ゆんべおがすね事あってよ…」

アスカ「なんしたれ?」

シンジ「小屋っこさ居だらよ、見だごともねぇ姉っこが覗いてだのよ…」

シンジ「あっただ真っ暗ぇ山ん中さ、おがすねべぇ?」

アスカ「気持ぢ悪ぃ…」


アスカ「もすかして…牛鬼でねが?」

アスカ「下手すっとコロされっかもしんねど…?」


シンジ「あははは!」

シンジ「おらいさ鬼よりおっかねぇ鬼嫁いだおん、牛鬼なんぞおっかねぐねぇべ!」ゲラゲラ


アスカ「」プルプル

アスカ「あんだバガぁ!あだすがせっかぐ心配ぇしてけでんのに!」ドカッ!ドカッ!

シンジ「あだだだ!勘弁してけろ勘弁してけろ!」


シンジは一言余計な性分じゃった。
 
 
 
 
 




4: 2013/03/24(日) 08:00:18.61 ID:732ZRzVSo
~~~~翌日~~~~

シンジ「んだば行ってくっからよぅ」

アスカ「気ぃ付けらいよ…」フリフリ…


アスカ(なしてだが、胸騒ぎするじゃ…)




~~~~山~~~~

シンジ「ふぃ~…こんなもんでねが?」


ゲンドウ「いや…もう少し切るべ…」

シンジ「んだってが…」

シンジ「したらあれいいんでねが?」


 シンジは高値で売れそうな太い木を指さした。


ゲンドウ「よす…切るべ」


ギーコ ギーコ ギーコ…

ゲンドウ「ぬぅ…硬ぇな」


ゲンドウ「スンズ…ぺっこすけろ…」

シンジ「お」

ギーコ ギーコ ギーコ…ギギギ…ギチッ 

ゲンドウ「じゃじゃじゃ…噛んでしまったじゃ…」


シンジ「ぐぬぬぬ…」グググ…

ゲンドウ「スンズ!わがねっ!」

ゲンドウ「力任せでわがねでば!」

パキン!

ゲンドウ「お!鬼刃が!」

シンジ「あじゃあ…もさげねぇ…」


ゲンドウ「しゃあねぇ…村さ戻って修繕してもらわねばね…」



ゲンドウ「おら村さ戻っけんど…おめ残んのが?」

シンジ「んだ、一人して居っがら心配ぇすんな」


ゲンドウ「ほうが…」



ゲンドウ「スンズ…もすゆんべの姉っこ来たって…ぜってぇ鬼刃の事語るなよ…」

ゲンドウ「ぜってぇだど!」


シンジ「わ、わがった…」
 
 



5: 2013/03/24(日) 08:03:23.37 ID:732ZRzVSo
 
~~~~村・鍛冶屋~~~~

ゲンドウ「こりゃ見ろ、すっかり鬼刃欠げでだべ?」

冬月「んだな、ぺっこ待ってけらい」

カンカンキンキン カンカンキンキン


冬月「ほれ、直ったど」


ゲンドウ「すまねぇな…」

冬月「あの山で仕事すんなら、鬼刃ねばなんねしな」

ゲンドウ「ああ…鬼さ対しで普通の刃じゃ役にただねおん」




~~~~山~~~~


 シンジはその夜、一人で小屋に泊まったそうな。




パチパチ…

シンジ「ぷはぁ…仕事終わりの酒っこはたまんねなや」




シンジ「……」ウツラウツラ…

ヒュゥ~… カサッ…




女「何…してんのや…?」


シンジ「だ、誰だぁ!?」ビクッ




女「何…してんのや…?」


シンジ「な、何って…」

シンジ「酒っこ飲んで寝ふかぎしてだじゃ…」ゴクリ…

 女は小屋の中に入ってきた、
見た目は綺麗な若い女じゃった。





6: 2013/03/24(日) 08:06:18.36 ID:732ZRzVSo
 
女「ゆんべのおやんず、今日は居ねのが…?」ユラッ…


シンジ「んだ…」

シンジ「ノコギリの鬼刃が欠けてしまったがら、修繕さ行ったじゃ…」


シンジ「!」ハッ


 シンジはしゃべってから、
しまった!と思った。



女「ほうが…今日は鬼刃が無ぇのが…」



シンジ「おめぇ!なにもんだ!?」ガクガク



女「様式反転…」

女「裏暗号…之、獣!!」

ブニャアアアアアアア!!

シンジ「うわああああああ!!」


シンジ「で、出たあああ!!牛鬼だあああああ!!」



 なんと女は牛鬼じゃった!
ざわざわと蠢く桃色の毛に覆われた牛鬼じゃった!
シンジは慌てて逃げ出した!


シンジ「逃げねばわがね、逃げねばわがね、逃げねばわがね、
     逃げねばわがね、逃げねばわがね、逃げねばわがね!」


ブニャアアアアアアア

シンジ「ひぃぃぃ!!」


 シンジは暗い夜道を逃げに逃げた、
後ろから迫る恐ろしい声から逃げた。

 そしてしばらく走ると道が開けた。



シンジ「こ、こごは…」


シンジ「牛鬼淵でねが!?」


 シンジは牛鬼の雄叫びに追われ、
まんまと牛鬼淵まで誘い込まれてしもうた。



7: 2013/03/24(日) 08:09:07.45 ID:732ZRzVSo
ブニャアアアアアアア!!

シンジ「うわああああああ!!来やがった!!」ガクガクブルブル


ザブザブ…


 シンジは水の中に入って向こう岸まで逃げようとした。


シンジ「はあはあ、がふっ!」バシャバシャ

ブニャアアアアアアア!!

シンジ「ぎゃあああああ…」

ザブーン!! ブクブク…


 シンジはとうとう牛鬼に捕まって水の中に引きずり込まれてしもうた… 





~~~~翌朝~~~~

 ゲンドウはシンジを心配して仕方ない、アスカを連れて小屋に来た。


バサッ!

ゲンドウ「スンズ!無事が!?」

ゲンドウ「居ねえ…」


アスカ「お義父さん…スンズどごさ行ったべ…?」オロオロ…


ゲンドウ「まさが…」

ゲンドウ「牛鬼淵さ誘い込まれだが…」


 ゲンドウとアスカは牛鬼淵に急いだ。
道には見たこともない大きな足跡が有った。



8: 2013/03/24(日) 08:09:53.44 ID:732ZRzVSo
 

ゲンドウ「無事で居でけろよ…スンズ…」タッ タッ タッ



ザザッ…




 しかし、牛鬼淵の岸にシンジの着物が漂っていた…


ゲンドウ「やっぱす…やられだが…」

ゲンドウ「あったに語っだのに…」


アスカ「お義父さ~ん…これって…」オロオロ…



ゲンドウ「ああ…間違いねぇ…牛鬼だ」



アスカ「スンズ…スンズ…」ポロポロ…

アスカ「うわぁぁぁぁ…」

アスカ「スンズーーー!」


 山にはシンジを呼ぶアスカの声だけがこだましたそうじゃ…




おしまい

9: 2013/03/24(日) 08:49:26.03 ID:732ZRzVSo
~~~~NERV試写会場~~~~

シンジ「こ、怖かった…」

アスカ「ホント怖いわ…」

ミサト「これ…トラウマになりそうね…」

日向「この話は昔TVでやった牛鬼淵ってアニメをアレンジして脚本書いたんだよ」

日向「子ども心に相当怖い思いをしたよ、夢に見たりして」

リツコ「予算大丈夫だったようね」

日向「ええ、今回碇司令を主人公にしましたから、大喜びで出してくれましたよ!」



ゲンドウ「これからも私の出番を増やすなら…予算は幾らでも出す」

日向「わ、わかりました…色々考えて置きます(いつの間に居たんだ?)」


アスカ「それにしても…コネメガネ、あんたお化け似合うわね…」

マリ「キツネだったりお化けだったり…人外ばっかしだニャ!」

シンジ「ホントに怖かったですよ、本気で逃げましたから撮影中…」

マリ「にゃはは♪わんこ君追いかけまわすの楽しかったニャ~」




レイ「」


シンジ「あ、綾波は今回お休みだったね」

アスカ「エコヒイキは主役2回やったから良いじゃないのよ!」


10: 2013/03/24(日) 09:10:17.29 ID:732ZRzVSo

アスカ「あ~あ、あたしはいつになったら主役が回ってくるのかしらねぇ~」チラッ

日向「げふんげふん…そ、その内必ず主役に抜擢するからね!」


カヲル「僕が活躍する日は来るのかい?」

カヲル「どうせならシンジ君と夫婦役でも良いんだけどね」フフッ

アスカ「ナルシスホ〇は引っ込んでなさいよね!」

カヲル「セカンド、君が妻役じゃないとイヤなのかい?それが現実となっても構わない、そう思ったとかね?」

アスカ「な、何いってんのよ!そそ、そんなの関係無いわよ!///」


ミサト「あたしももっと目立つ役やりたいわ~」

リツコ「私は別に出たいと思わないけどね」

ミサト「何よ~あんたも美人なんだからもっとアピールしなさいよねぇ~」

リツコ「そんなに持ち上げても何も出ないわよ」

リツコ「それより…」

ミサト「何よその手…?」

リツコ「この前貸した3万…そろそろ返してね」

ミサト「ゴメン!もうちょっと待ってぇ」チッ

リツコ「あなた無計画すぎるのよ、もっとしっかりなさい!」

ミサト「はーい…」


11: 2013/03/24(日) 09:21:41.84 ID:732ZRzVSo

シンジ「今回みたいな怖い話、結構面白いですね」

シンジ「もっと色々やってみたいです」

アスカ「や~よ、もっと華の有る話がいいわ!」

アスカ「そしてあたしが今度こそ主役!これで決まりよ!」

シンジ「ははは…そ、そうだね」


マヤ「」


ミサト「ちょっ…大丈夫伊吹二尉?」

マヤ「声の出演も無かった…」ウルウル

ミサト「あたしも無かったから、ねっ」

青葉「今回は男性ナレーションだったので、俺がやっちゃいましたからね、ごめんねマヤちゃん…」

冬月「まぁ良いではないか、のんびりやって行こう」

ミサト「そうですねぇ~最後の使徒もさっぱり現れないですし」

アスカ「いつ来るんだろ…」




カヲル「」





ホントのおしまい

12: 2013/03/24(日) 09:25:09.42 ID:732ZRzVSo
ご静読ありがとうございました(*_ _)ペコリ

13: 2013/03/24(日) 09:59:25.67 ID:eMZLq8m2o
>>12
次回も楽しみにしてる

14: 2013/03/24(日) 12:14:09.89 ID:iGuHp21SO
乙だ

引用元: 【解読困難】 ゲンドウ「ああ…間違いねぇ…牛鬼だ」 【エヴァ昔話・第四話】