1: 2022/05/06(金) 17:20:15.77 ID:riDdW/7V.net
千砂都「ま~るいやつ~♪ ま~るいやつ~♪ ま~るいやつ~♪ ま~るいやつ~♪」フンフフーン

千砂都「せつめい~むずかしいやつ~♪」フンフフーン



かのん「うぃっす~」

千砂都「かのんちゃん! うぃすうぃっす~」

かのん「ん? ちぃちゃん何描いてるのー? 上から見たプリン?」

千砂都「ふっふっふ! 今ね、丸を描くバイトをしてるの!」

かのん「丸……?」

可可「ナント! 日本にはそのような仕事があるのデスね~」

すみれ「いやいや、聞いたことないわよそんなの」

恋「内職の一種でしょうか……?」

千砂都「んー。説明~難しいんだよね~。たぶん実際に見てもらったほうが早いかな」

千砂都「こうやってね、きれいな丸を描くと──」カキカキ


ズゴオオオオオンッ!!!


チャリーン
グワワワワワ
パタッ

千砂都「こんな風に、描いた丸の中からお金が出てきます!」

4人「」

2: 2022/05/06(金) 17:26:36.77 ID:riDdW/7V.net
かのん「……い、いいい今! ノートから何か、打ち上がらなかった……!?」

すみれ「あ、あれよ! あそこに落ちてる1円玉よ! あれが出てきたんだわ!!」

千砂都「あ! まだ、それに触っちゃ──」

すみれ「あっつ!」

千砂都「……やけどしちゃうから、触っちゃダメだYO」

すみれ「言うのが遅いったら遅いのよ! ううぅ耳たぶ耳たぶ……」

可可「見るからに熱エネルギーの塊なのに、考えなしに触るとは……。グソクムシは愚かデスね」

すみれ「誰がグソクムシよ!」


恋「い、今のは一体……ど、どういった原理なのでしょうか……?」

かのん「……火薬で、ドッカーン……とか?」

可可「しかし……ノートには焦げた跡なんてありまセンよ……?」

すみれ「千砂都、どういうことか説明しなさいよ!」



千砂都「」ニヤニヤ

すみれ「なに一人でニヤニヤしてるのよ!?」

千砂都「だって……みんなの反応が面白くて……」ニヤニヤ

かのん「ちぃちゃんって、結構なドSだよね……」

3: 2022/05/06(金) 17:31:50.90 ID:riDdW/7V.net
かのん「でもすごいよちぃちゃん! どうやったの!?」

可可「丸を描くだけでお金が手に入るなんて夢みたいデス! 千砂都さんすごいデス!」

恋「ち、千砂都さん! 私にもその素晴らしい妖術を伝授していただけないでしょうか!?」

千砂都「えへへ……。みんなにすごいすごいって崇められてる……」ニンマリ


すみれ「……ふんっ。チヤホヤされてご満悦のところ悪いけれど、こんなの所詮、子供騙しよ」

千砂都「むっ」

すみれ「ショウビジネスの世界で生きてきた私は、これまでに何度も、超能力や超常現象と呼ばれるものを目にしてきたわ」

すみれ「…………もちろん、全部タネがある、ただのマジックだったけれどね」

すみれ「どうせ千砂都も、みんなの注目を集めたくてマジックを覚えたって口でしょ?」

すみれ「あー、いるわよね、そういう子。うんうん。私にはよくわかるわ」

千砂都「……」

5: 2022/05/06(金) 17:37:05.47 ID:riDdW/7V.net
千砂都「……すみれちゃん。そこに座って」

すみれ「えっ? な、何よ……」

千砂都「マジックだと思うなら、すみれちゃんの体で試してあげるね……?」

すみれ「え……いや、遠慮しておくわ……」

千砂都「大丈夫。すみれちゃんのお望み通り、マジックペンで描いてあげるから」

すみれ「何が大丈夫なのかわからないんだけれど……」

すみれ「ちょっ……! 誰か助けて──」


可可「もう一度アレが見られるのデスね!」ワクワク

恋「しっかり観察させてもらいます!」

かのん「すみれちゃんー。がんばれー」


すみれ「あれ……? 誰も私のこと、助けてくれない…………」

6: 2022/05/06(金) 17:43:30.64 ID:riDdW/7V.net
千砂都「はい、首だけ動かして上を見てねー」

すみれ「……」グググ

千砂都「あ、角度つき過ぎ。ちょっとだけ下見てー」

すみれ「角度って何ったら何よ!? 怖いんだけど!」

千砂都「じゃあ危ないから、首は固定するね~」ガシッ

すみれ「ギャラ!? 首ロックされてる!!」


すみれ「ちょ、ちょっと千砂都! 横を向けない恐怖知らないでしょ!? すごいのは認めるから、すぐにやめなさい!!」

千砂都「ちょっと前髪上げるねー」

すみれ「千砂都ぉ!!」

かのん「大丈夫だよすみれちゃん。美容院みたいなものだと思って、全身を委ねればいいよ。……たぶん」

すみれ「このっ……! 他人事だと思って……!」


千砂都「みんな見ててね? それじゃあ、いくYO!」キュッキュ

すみれ「ええっ!? ちょ、まだ心の準備が──」



ズゴオオオオオンッ!!!

すみれ「ギャラクシィィィ!!!」

7: 2022/05/06(金) 17:48:44.44 ID:riDdW/7V.net
かのん「すごい! すみれちゃんのおでこから1円玉が発射された!!」

恋「何度見ても不可思議ですね……。興味深いです」

可可「すみれ。おでこ熱くはないデスか?」

すみれ「うん。普通に触れるし、大丈夫…………なわけないでしょ!?」

すみれ「わ、私の頭から、1円玉が……!」

すみれ「もしかしてこれ、私の体の成分から生成されてるんじゃ……!? あー、頭がクラクラしてきた……」

恋「安心してください。1円玉の素材はアルミニウム100%ですから。鉄は含まれていません」

すみれ「安心できないったらできないわよ! あんた達、自分の体から硬貨出したことないでしょ!?」

千砂都「まあまあすみれちゃん~。落ち着いて落ち着いて」

すみれ「主にアンタのせいよ、千砂都!」


すみれ「……ていうか、まだ私のおでこに丸が残ってるのよね……?」

すみれ「ま、まさか、またギャラクシーするんじゃないの!?」

千砂都「ううん、大丈夫だと思うよ。1丸につき1発限りだから。……たぶん」

すみれ「たぶんで私を実験台にしないで!」

9: 2022/05/06(金) 17:54:08.65 ID:riDdW/7V.net
可可「……」カキカキ

可可「やっぱり出まセン……。クゥクゥの丸では反応しないようデス」

かのん「きれいな丸じゃないとダメなのかな?」

恋「なるほど。ちゃんとした円でないと、円は出ないということですね」

かのん「……恋ちゃん」

恋「な、なんですか……? そんな目で見ないでください!」


すみれ「ねえ。これって丸はただのトリガーであって、実際は千砂都の能力とかなんじゃないの?」

すみれ「…………たぶんだけど」

可可「グソクムシはアニメの見過ぎデス。もう一つ丸を描いてちょっぴり大人にしてやりまショウか?」

すみれ「あんたに言われたくないわよ……」


カキカキ
ズゴオオオオオンッ!!!

千砂都「んー確かに、私が描いた時だけお金が出てくるみたいだね」

かのん「ほへー。ほんとに能力みたいなものなんだ……? アニメの主人公みたいだね」

恋「つまり、千砂都さん以外はその能力を扱えない……ということですか……」

千砂都「私もまだ、この現象がどうして起こるのかわかってないんだけどね。最近目覚めたばかりだし」

11: 2022/05/06(金) 18:00:51.90 ID:riDdW/7V.net
可可「そういえば……」

可可「千砂都さんは先程、『丸を描くバイト』と言っていまシタが、誰かに雇われているのデスか?」

千砂都「えっと、雇われてるというか……」

千砂都「君には不思議な能力があるから、それで自由に稼ぐといい」

千砂都「……みたいなことを、道端で会った知らない人に言われたの」

かのん「へー。その人どんな感じだったの?」

千砂都「フードを被ってて、顔はよく見えなかったけど……」

千砂都「確か、語尾が『~アル』とか『~ネ』みたいな喋り方だったよ」

すみれ「胡散臭いわね……。創作とかでよく見るタイプの中国人じゃないの」

可可「もしかするとその方は、千砂都を同じ中国の人だと思ったのではないデスか?」

千砂都「あはは! もしかしたらそうかもねー。あり得るかも!」

12: 2022/05/06(金) 18:07:02.02 ID:riDdW/7V.net
恋「あの、そんなことより……」

恋「千砂都さんの力では、1円玉しか出せないのですか……?」

かのん「あ、確かに。100円玉とか出せるなら、そっちの方がバイトとして効率いいよね」

千砂都「1円以外かー。うん、ちょっとやってみるね」

千砂都「恐らくだけど、描いた丸の大きさと出てくる金額は比例してると思うんだ」

千砂都「試しに、これくらいの大きさで描くと──」カキカキカキ


ズゴオオオオオンッ!!!

チャリーン
グワワワワワ
パタッ


可可「5円玉が飛び出まシタ!!」

恋「1円以外も出せるとは……!」

すみれ「この能力、調べたらいろんな法則性とか見つけられそうね」

かのん「すごいすごい! ねえ、ちぃちゃん! もっと色々試してみようよ!」

千砂都「うん!」

13: 2022/05/06(金) 18:12:25.75 ID:riDdW/7V.net
キュッキュッキュ



『丸金生成(まるがねせいせい:可可ネーミング)について』


『ルールその1 丸はすべて千砂都が描かないとダメ。』

可可「これはそもそもの前提条件デスね。このフシギ現象は千砂都さんにしか起きまセンので」

かのん「ちぃちゃんが描いてる途中で私が線を加えたら、お金発射されなくなっちゃった!」

恋「孤が1周する全てを、千砂都さんの手で描く必要があるわけですか」

千砂都「どうやらそうみたいだね」

かのん「私たちもちぃちゃんのお手伝いしたかったけどダメなんだー。残念」

14: 2022/05/06(金) 18:16:33.12 ID:riDdW/7V.net
『ルールその2 丸はきれいな形でなくてはダメ。』

千砂都「完璧な円である必要はないけど、丸としての体裁は守らないといけないみたいだね」

すみれ「なるほど……。逆に言えば、多少の歪みなら許容されるというわけね」

かのん「途中で切れるのもダメで、完全に線が1周してないと反応しないのかー。判定厳しいなー」


『ルールその3 丸が他の線や図形と重なるのはダメ。』

千砂都「線が重なると、きれいな形ではなくなる……ってことなのかな?」

可可「毎回、描くスペースを確保しなくてはならないのが面倒デスね。ノートが丸でいっぱいになってきまシタ」

かのん「丸の内側とか外側に描いてもダメみたい」

恋「もしかすると、この丸は一次元ではなく二次元……つまりは、平面として捉えるべきなのかもしれませんね」

可可「ベン図で例えるのであれば、共通部分があってはダメということデスね!」

15: 2022/05/06(金) 18:21:57.85 ID:riDdW/7V.net
『ルールその4 丸は一筆書きじゃないとダメ。』

千砂都「途中で手を離すと、どれだけきれいな丸を完成させてもダメっぽい」

恋「小さい丸であれば、さほど問題ではありませんが……丸のサイズが大きくなるほどネックになってきそうなルールですね」


『ルールその5 お金は描いた側の面に発射される。』

かのん「丸が紙の裏に透けてても、お金が出てくるのは表側なんだね」

すみれ「……もし裏側に発射されてたら、私はとっくに氏んでるわよ!」

可可「危うく、丸を描くだけで暗殺できる最強の頃し屋が誕生するところでシタ……」

千砂都「えへへ~」

16: 2022/05/06(金) 18:25:42.31 ID:riDdW/7V.net
『ルールその6 発射されるお金は、丸の大きさに比例する。』

恋「直径およそ3cmの丸からは、1円玉1枚……。これより小さい丸では発射されませんね」

可可「丸が大きくなるにつれ、2円、3円、4円と増え……5円になると、5円玉になりまシタ!」

すみれ「…………大きさに比例するってことは、広い土地にどデカい丸を描けば、すごい額のお金が出てくるんじゃ…」

恋「すごい額……!?」


『ルールその7 丸1つにつき、1発しか発射されない。』

かのん「これは、すみれちゃんのおでこが証明してるね」

千砂都「うんうん。一度消してから改めて描き直さない限りは、すみれちゃんのおでこから1円玉が発射されることは金輪際ないわけだ」

すみれ「ええ、そうね。もう2度と発射することはないでしょうけど……」

17: 2022/05/06(金) 18:30:48 ID:riDdW/7V.net
すみれ「……と、ルールはこんなものかしら」

千砂都「あ、待って! まだ言い忘れてたのがあった! ちょっと借りるね」キュッキュ


『ルールその8 発射は中断できる!』

かのん「中断……?」

千砂都「実際にやってみるから見ててね~」


千砂都「まず、ノートに丸を描いて──」カキカキ

千砂都「すぐ閉じる!!」パタンッ

かのん「えっ! それ、大丈夫……? 貫通してこない……?」

千砂都「まあまあ、見てて!」

18: 2022/05/06(金) 18:37:07 ID:riDdW/7V.net
すみれ「……何も起きないわね」

千砂都「これが今、中断中の状態なの」

千砂都「で、再びノートを開くと──」ペラッ


ズゴオオオオオンッ!!!


4人「!」

千砂都「……はい!」

恋「なるほど……。ノートを閉じたことで、発射が一時的に中断されたわけですか」

千砂都「閉じるというより、丸を何かで覆うことによって中断するんだと思うよ」

可可「そ、それはつまりデスよ……」

可可「一度中断すると……任意のタイミングで、誰でも再発射できるってことデスか!?」

かのん「ひぃ……。ちぃちゃんのノートをうっかり開いちゃったら、顔面ギャラる可能性があるんだね……。ひぇ……」

すみれ「ギャラるって何よ」


千砂都「んー、まあ、そういう事故も想定できるけど……」

千砂都「……だからね? 最後のルールは…………」キュッキュ


『ルールその9 人に向けて発射しない!』

19: 2022/05/06(金) 18:41:20 ID:riDdW/7V.net
可可「1秒に1つ丸を描き、1円玉を出す作業を1時間続ければ……」

可可「60×60で……3600円となりマス……!」

恋「時給3600円……!?」

すみれ「ま、単純計算ならそうなるわね」

かのん「でも描くための余白を毎回1つずつ確保しないといけないし、それにそんなに描いてたらちぃちゃんが保たないよ」

恋「だからこそ、大きめの丸で1回あたりの単価を上げ、労力を抑えるべきなんです」

千砂都「うーん。何円ぐらいが一番効率いいんだろうね?」


すみれ「…………私たちはまだ、1円5円10円の世界しか見たことないわけだし、一度もっとデカい丸で試してみるのもアリなんじゃない?」

かのん「あ、だったらグラウンドに描くってのはどう? ほら、SOS的な感じで」

千砂都「いいね! Google Earthで見た時に、謎の丸が描かれた学校だと思ってもらえそうだもん!」

可可「丸が小さ過ぎると反応しなかったように、大き過ぎてもダメな可能性は考えられマスが……物は試しデス!」

恋「そうですね! やってみましょう! 案ずるより産むが易しです!」

かのん「よーし! グラウンドに行こー!」

すみれ「完全に練習のこと忘れてるわね……。まあ、そっちの方がいいったらいいんだけれど」

20: 2022/05/06(金) 18:48:00 ID:riDdW/7V.net
☆グラウンド☆


かのん「あ、鉄パイプ落ちてる! はい、棒代わりにどうぞ」

千砂都「ありがとー。恋ちゃん、丸のサイズはどれぐらいがいいかなー?」

恋「他の部活動も使っていますので、迷惑にならない範囲で最大限にしましょう!」

可可「レンレン、すごく乗り気デスね」

かのん「極貧生活を経験してるから、お金への執着が強いのかもね」

すみれ「でも、どうやって巨大な丸を描くつもりなの?」

恋「紐を使えば、コンパスの要領で描けるはずです!」

恋「丸の中心となる部分に杭を打って紐を結び、もう片方の端を千砂都さんが持って一周すれば、多少の歪はあれど、丸にはなりますから」

かのん「なるほど~」

可可「……しかし、杭を打つことによってできた中心点Oは、ルールその3の重なり禁止に触発しないのでショウか?」

かのん「んー、どうだろう? 私たちもまだまだ全然、この能力のこと理解しきれてないし……」

千砂都「と、とりあえずやってみるよ! みんな、離れてね!」ガガガガッ

21: 2022/05/06(金) 18:53:51 ID:riDdW/7V.net
千砂都「……発射、せず」

かのん「形はわりときれいだと思うんだけどなあ……」

可可「やはり丸が大き過ぎて反応しなかったのか、あるいは点Oが丸に重なったと判定されたのか、どちらかデスね」

恋「……こうなったら、止むを得ませんね」

恋「人間コンパスです……!」

千砂都「人間コンパス……!?」


恋「中心の杭の代わりに、人を置いて軸にしましょう」

恋「人が軸代わりとなれば、穴を開ける必要もなく、点にはならないはずです」

恋「…………これでもダメなら、私はもう……お終いです……」

千砂都「なんで恋ちゃんが絶望してるの!?」

すみれ「とりあえず、今描いた丸と中心の穴を平さないといけないわね」

かのん「わかった! トンボ持ってくるよ!」

可可「地面を真っ平らにしてやりマス!」


ガガガガガガガガッ

22: 2022/05/06(金) 18:56:43 ID:riDdW/7V.net
かのん「ふぅ、きれいに整地したよー!」

恋「ありがとうございます。では、改めて丸を……」

4人「……」

千砂都「? みんな、どうかしたの?」


すみれ「……これ、誰が中心に行くのよ」

可可「中心にいたら、丸が完成した瞬間に吹き飛びマスよ!?」

かのん「肝心なところを決めてなかったね……」

千砂都「……えっと、ルールその8で、人が丸の中にいたら発射は中断されるんじゃないかな……?」

恋「中断には、丸全体を覆い隠す必要がありそうですが……このサイズの丸では難しいかと……」

かのん「シートか何かで覆えるかな?」

可可「覆ったとしても、中心が危険地帯であることには変わりありまセンよ」

5人「……」

23: 2022/05/06(金) 18:59:40 ID:riDdW/7V.net
恋「日本は、民主主義国家です」

すみれ「え」

恋「ここは平等に、誰が中心に行くのかを、多数決で決めるべきかと」

すみれ「あ、やな予感がする」

可可「……グソクムシは前々からずっと、センターに立ちたいと言っていまシタ!」

すみれ「氏地のことをセンターって言うのやめなさいよ!」

かのん「すみれちゃんは一度、おでこギャラクシーの経験があるから大丈夫だよ。……たぶん」

すみれ「もうアンタ達のたぶんは信用してないわよ!」

千砂都「すみれちゃん……」

すみれ「もうわかったわよ! でも、丸が完成する前に逃げるから!?」

24: 2022/05/06(金) 19:06:09.03 ID:riDdW/7V.net
千砂都「よいしょよいしょ……」ガガガガッ

すみれ「…………」


かのん「すみれちゃん、遠くの空を眺めてる……」

可可「グソクムシは既に覚悟を決めているようデスね」

すみれ「絶対に生きて帰るわよ……見てなさい……!」


千砂都「すみれちゃん! あとちょっとだから、もう離れていいよ!」

すみれ「」シュバッ

かのん「わっ、速っ!?」

可可「人間の速度ではありまセン! 流石はグソクムシ……」

すみれ「誰がグソクムシよ!」

25: 2022/05/06(金) 19:14:50.04 ID:riDdW/7V.net
恋「では千砂都さん! 丸を完成させてください!」

千砂都「うん! いっくよー!」


千砂都「3! 2! 1! 発射──」ガガッ



ズゴゴゴオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!!


かのん「うわあああああっ!!?」

可可「大きい分、すごい爆発デス……!!」

恋「や、やりました……!!」

すみれ「大成功ね……!」


チャリーン チャリーン チャリーン チャリーン チャリーン

26: 2022/05/06(金) 19:17:17.82 ID:riDdW/7V.net
「なんだなんだ!? どうしたー!!」

「あそこで何か爆発したような……!」

「生徒会長! 何事ですかー!?」


恋「あ……。だ、大丈夫です、皆さん。心配いりません。これは大丈夫な爆発です」

「爆発が大丈夫じゃないんですが!?」

かのん「い、今! 新曲のMV撮影してるんです! 派手な感じにドカーンズゴーン……って!」

かのん「……Coming soon!」

「なんだ、撮影かー」

「もうビックリさせないでよー」

27: 2022/05/06(金) 19:21:06.82 ID:riDdW/7V.net
かのん「よかった……。誤魔化せた……」

千砂都「今ので納得しちゃうのもどうかと思うけど……」

恋「そ、それより金です! お金はどうなりましたか!?」

すみれ「今は熱くて触れないから、ざっくりとしか数えられないけど……」

可可「グソクムシも学習しまシタね」

すみれ「うるさい。……見た感じだけでも、軽く1000円以上はあるわ」

かのん「おー! すごい大量だよー!」


恋「このサイズの丸で、これだけの収益ということは…………つまり、3πx=Σ@^☆○○○yz……」サササササッ

可可「地面に式を書いて計算していマス! なんだか頭良さげデス!」

恋「……なるほど、わかりました! もっと大きな丸を描けば、もっとたくさんの金が手に入ります!」

すみれ「一体何を計算したのよ……」

28: 2022/05/06(金) 20:02:12.48 ID:riDdW/7V.net
☆部室☆


千砂都「500円玉2枚、100円玉2枚、50円玉1枚、10円玉1枚、1円玉3枚……」

恋「先程の丸金生成の結果……1,263円の収益を獲得しました!」

かのん「おーすごい!」

可可「千円以上でも硬貨で出てくるのデスね。両替しないと嵩張りそうデス」

かのん「私も、てっきりお札が出てくるものだと思ってたよ。でもちぃちゃん的には丸の硬貨の方がいいよね」


千砂都「…………」

すみれ「千砂都、どうかしたの?」

千砂都「あ、うん……」

千砂都「あの……ずっと思ってたんだけどさ……」

恋「!! す、すみません……! 千砂都さんが稼いだお金なのに、あたかも私たち全員の取り分かのように振る舞ってしまい……」

千砂都「あー、それは別にいいの。今後の活動の資金になるんだったら、私にとっても嬉しいし!」

29: 2022/05/06(金) 20:06:11.62 ID:riDdW/7V.net
千砂都「それより、そもそもの話なんだけど……」

千砂都「このお金って、果たして本物なのかな……?」

恋「偽造硬貨、ということですか……」

千砂都「丸を描くだけでお金が貰えるなんて、話がうま過ぎるし……。偽物の可能性は考えられるよね」

千砂都「どうにかして判別できたらいいんだけど……」

可可「はっ! 磁石デス!」

可可「クゥクゥが中国にいた頃、日本の硬貨は磁石にはくっ付かないと聞いたことがありマス!」

かのん「そうなの!? じゃあ試しにやってみようよ!」


カツッカツッ

すみれ「……付かないわね」

恋「だからといって、偽造ではないことの証左にはなりませんが……」

30: 2022/05/06(金) 20:10:25.73 ID:riDdW/7V.net
可可「あとは……金属光沢やプリントの差異などから、偽造かどうかを見分けられマス!」

かのん「すごいよクゥクゥちゃん! スマホで調べながら、あたかも自分の知識みたいに喋ってる!」

可可「フッフッフ、これが現代人なのデェス!」

すみれ「見た感じは本物っぽいけど」

恋「そうですね……。今のところ、これらを偽造だと断定する根拠が見当たりません」

千砂都「そっか……。どうやら私の考え過ぎだったみたいだね」


千砂都「…………」

千砂都(本物かどうか……そんなことよりも……)

千砂都(そもそも、このお金はどこから来てるんだろう……?)

千砂都(無から生まれてる……わけ、ないもんね……)

31: 2022/05/06(金) 20:14:31.22 ID:riDdW/7V.net
恋「あの、皆さん! 私から一つ提案があるのですが……」

恋「私たちで……丸儲け、してみませんか……?」

かのん「丸儲け……?」

すみれ「恋。勿体ぶらずにはっきり言いなさいよ」

恋「はい……」


恋「…………我々はグラウンドに描いた丸で、1000円以上稼ぐことができました」

恋「ならば、もっと大きな丸を描ければ、途轍もない大金を手に入れることができると思うんです……!」

可可「ルールその6デスね」

かのん「でも、グラウンドよりも広いスペースなんてあるかなー?」

すみれ「あったとしても、そこで丸を描いてもいいのかって問題もあるわよね」

かのん「そうそう。広くて平らな場所って何かの敷地だったりしそうだから、勝手に何か描いたりしたらよくないんじゃないかな……」

可可「描く作業を邪魔されないよう、できれば人の少ない場所が好ましいデスね」

恋「その点は心配に及びません! 既に調べてありますから」

恋「広くて、平らで、丸を描いてもよくて、人が少なくて、アクセスが容易な場所……」





恋「──鳥取砂丘は、いかがでしょうか」

33: 2022/05/06(金) 20:18:32.42 ID:riDdW/7V.net
だらだら更新

鳥取編へと続く

43: 2022/05/07(土) 17:14:24 ID:dJFYjz3P.net
かのん「鳥取砂丘……」

かのん「鳥取って、左の方にある県だっけ」

可可「中国じゃない方の中国地方にある県デスよ」

すみれ「東京と鳥取って、かなり距離ありそうだけど……大丈夫なの?」

恋「飛行機を使えば羽田から1時間と少しで行けます。費用は多少嵩みますが……」

恋「丸金生成により、その費用の数十倍……いや、数百倍の利益が見込めますので問題はナシッ……です!」

かのん「あの無駄に思えた計算は伊達じゃなかったんだ!」


千砂都「でも、観光客とかたくさんいそうだけど……」

恋「調べによると、夕方以降の時間帯は人が少ないようです」

恋「日が沈む前に、砂丘で巨大な丸を完成させましょう!」

可可「さながら、ミステリーサークル……デスね」

千砂都「サークル……!」

44: 2022/05/07(土) 17:17:57 ID:dJFYjz3P.net
すみれ「いいわね。それで、決行はいつにする?」

恋「そうですね……。では今度の休日を利用して、鳥取まで行きましょうか」

すみれ「1時間で行けるんだったら、平日の学校終わりでもいいんじゃない?」

恋「……確かに可能ではありますね。平日なら更に人も少ないでしょうし……」

千砂都「いいね! 土日まで待ってられないし、明日行こう!」

かのん「うん! 明日、放課後、即羽田で!」


恋「……わかりました。では明日、鳥取作戦決行です!」

45: 2022/05/07(土) 17:21:08 ID:dJFYjz3P.net
恋「明日までに各自分担して、丸の製作に必要な資材や、往路に掛かる費用などを用意しておいてくださいね」

すみれ「だったら私は長めの紐をたくさん準備しておくわ。結んでいけば、かなりの長さになるし」

かのん「私は家に眠ってるはずの百万円貯金箱を探しておくよ!」

恋「私は、砂に埋もれたお金を掻き集めるために、潮干狩り用の熊手を買っておきます」

可可「では、可可は……恐らく海沿いの地形で寒そうなので、防寒アイテムを持っていきマスね!」

千砂都「私は、足りなかった時のために予備の貯金箱持っていくね」

恋「詳細は追って連絡します。とりあえず今日のところはここまでにして……」


恋「……そろそろ練習、始めましょうか」

かのん「あ、やるんだ。流れ的にこのまま解散しそうだったのに」

可可「ラブライブ予選も近付いていマス。休んでなんていられまセン!」

千砂都「今日は前やった振り付けを徹底的に叩き込むよ! 遅くなった分を取り返せるよう、ビシバシいくよー!」

46: 2022/05/07(土) 17:26:38 ID:dJFYjz3P.net
☆澁谷家☆


かのん「ただいまー」

千砂都「こんばんはー」

澁谷母「あら、千砂都ちゃんいらっしゃい」

ありあ「千砂都さん、うぃっす~!」

千砂都「うぃっす~!」

かのん「ねえお母さん。昔買ってすぐに飽きた100万円貯金箱ってまだあるー?」

澁谷母「貯金箱……あー、そういえばそんなこともあったわねぇ! 何に使うの?」

かのん「んー貯金?」

ありあ「どうせまたすぐ飽きちゃうんじゃないの?」

かのん「大丈夫大丈夫。今回はすぐに貯まる予定だから」

ありあ「はあ……?」

47: 2022/05/07(土) 17:28:19 ID:dJFYjz3P.net
千砂都「マンマル~。うぃっす~」

マンマル「マルー」

千砂都「君はいつ見ても丸いねぇ。目が釘付けになる丸さだよぉ」

マンマル「マルー?」


千砂都「…………私、この国に生まれて……本当によかったよ……」

かのん「えっ、何!? やめてよ、急に氏亡フラグみたいなこと言わないでよ……」

千砂都「日本の国旗は日の丸で、通貨も円(丸)でしょ?」

かのん「う、うん……」

千砂都「まさに、丸のためにある国だと思わない……?」

かのん「うん……? そうだね?」

千砂都「そして、私に授けられた、丸でお金を稼げる能力……」

千砂都「これはもう、丸の神様の祝福なんだよ!」

かのん「ああ、うん……。ちぃちゃんは丸を愛し、丸に愛されてるんだね」

48: 2022/05/07(土) 17:32:37 ID:dJFYjz3P.net
澁谷母「あったわ貯金箱。レジのとこに埋もれてた、はい」

かのん「ありがとー、お母さん」

かのん「……それで、あの……。ついでに、5万円程お借りしてもよろしいでしょうか……?」

ありあ「お姉ちゃん、何企んでるの……!?」

かのん「すぐに返すから! お願い!」

澁谷母「まったく……。お父さんには内緒よ?」

かのん「お母様ぁ……! ありがとうございます……!」


千砂都「私も明日の準備しなきゃ……。それじゃ私、そろそろ帰るね」

かのん「うん、また明日~」

千砂都「マンマル~。またね~」

マンマル「マルー」

49: 2022/05/07(土) 17:35:24 ID:dJFYjz3P.net
☆翌日☆


恋「皆さん、準備はよろしいでしょうか?」

かのん「おーけー!」

可可「ばっちりデス!」

千砂都「鳥取♪ 鳥取♪」

すみれ「いつでもいいわよ」


恋「これから我々は原宿駅に向かい、JR山手線に乗って品川駅まで行きます」

恋「そこで京急本線に乗り換え、羽田空港第1・第2ターミナル駅で降ります」

恋「そして羽田空港から鳥取空港まで飛行機で飛び、鳥取に到着……という経路を予定しています。チケットなどは既に購入済みです」


かのん「放課後にみんなで飛行機乗って旅行なんて、なんだかワクワクするね!」

恋「…勘違いされては困りますが、遊びに行くわけではありません。これは部費とお小遣いを稼ぐための大切な仕事なんです」

恋「向こうに着いても羽目を外さず、結ヶ丘の生徒として恥ずかしくないよう、規律正しい行動を…………」

50: 2022/05/07(土) 17:39:25 ID:dJFYjz3P.net
☆鳥取空港☆


かのん「やっほー! 鳥取だーい!」

可可「見てくだサイ、かのん! あんなところにあの有名な、江戸川コナンさんがいマスよー!」

かのん「ほんとだ! すごーい! 写真撮ろー!」

\ワーイワーイ/


すみれ「……全力で羽目を外してるわね」

恋「はい……。こうなることは、なんとなくわかっていました……」

千砂都「あはは……」

千砂都「……でも、ねえ? せっかくみんなで来たんだし、すみれちゃんも恋ちゃんもさ、鳥取を楽しもうよ!」

恋「……そうですね。陽が落ちるまでまだ時間はありますし、少し観光でもしましょうか」

すみれ「やれやれ、しょうがないわねぇ……!」

51: 2022/05/07(土) 17:43:23.89 ID:dJFYjz3P.net
☆鳥取砂丘☆


可可「すごいデス! 本当に一面砂だらけなのデスねー!」

かのん「うん! ここだけ別世界みたいー!」

\ワーイワーイ/


恋「あれだけ観光地を周った後だというのに、元気なものですね」

すみれ「今から大変な作業が始まるっていうのに、何やってるんだか……」

すみれ「まあ、大変なのは千砂都と私なんだけど」

千砂都「あれ? もうすみれちゃんがセンターやるって決まってるの?」

すみれ「過去の信頼と実績から、私が選ばれるのは目に見えてるわよ……」

千砂都「あはは、そっかー。一緒に頑張ろうね」

52: 2022/05/07(土) 17:47:20.51 ID:dJFYjz3P.net
可可「頂点からの見晴らし最高デスねー! 赤く染まった空と、遠くの水平線までよく見えマス!」

かのん「うぅ高い…。でも気持ちいい場所だね…!」


恋「おーい、そこのお二人。いつまでも遊んでいないで、こちらの準備を手伝ってください」

可可「なっ……心外デス! クゥクゥ達はただ遊んでいるわけではありまセン!」

かのん「そうそう! 丸が描けそうなスペースを高い所から探してたの」

恋「そ、そうでしたか……。すみません、勝手に遊んでいると決めつけてしまい……」


かのん「ねえ、ここから滑ったら楽しそう!」

可可「一緒に滑りまショウ!」

\キャッキャ/

恋「……」

53: 2022/05/07(土) 17:52:33.66 ID:dJFYjz3P.net
恋「では準備が整いましたので、ただいまより……丸金生成丸儲けプロジェクトを開始します」

かのん「いぇーい」

恋「ここ、鳥取砂丘で最も広い平地を選定しました。この場所で丸を製作していきます」

恋「丸を描く担当は当然、千砂都さんです」

千砂都「はーい……あっ! どうしよう……描くための道具、持ってきてないや……」

恋「あ……。私も失念していました……。その辺に何か手軽な棒はないでしょうか」

かのん「棒……そうだ! さっきお土産屋さんで買ったコレとか使えそう! はい」グッ

千砂都「木刀……」

すみれ「何のために買ったのよ、これ……」

可可「勿論、世界を守るためデス!」グッ

すみれ「なんで二人して同じの買ってるのよ!」

恋「帰りの荷物は多そうですね……」

54: 2022/05/07(土) 17:54:56.77 ID:dJFYjz3P.net
恋「センターで軸となる担当は、すみれさんです」

すみれ「あ、相談とかもなく勝手に決まってるのね。……はいはい、わかったわよ」


恋「そしてかのんさんクゥクゥさん私は、円に内接する正三角形の頂点の位置に立ってもらいます」

恋「勿論、邪魔にならないように、丸の外側で」

クーカー「はーい」

恋「千砂都さんが近くに来たらサポートをするのと、丸に近づく輩を追い払うのが、私たち三人の担当です」

かのん「うん。給水とか食事ができるようにしておくね」

可可「任せてくだサイ!」


恋「このプロジェクトは、1時間以上の作業になると予想されます。皆さん、気を引き締めて臨んでください」

恋「全員が所定の位置に着いたら──プロジェクト、スタートです…!」

55: 2022/05/07(土) 17:59:07.66 ID:dJFYjz3P.net
千砂都「…………」

千砂都「カイロ……ぬくぬく、あったかい……」


恋『……もしもし、千砂都さん』

恋『お待たせしました。全員スタンバイ完了ですので、今から丸を描き始めてください』

千砂都「お、了解ー!」グッ

恋『大変だとは思いますが、あまりロープが撓まないように留意してくださいね』

千砂都「はーい」サーーーッ

56: 2022/05/07(土) 18:03:04.42 ID:dJFYjz3P.net
千砂都「夕焼け、きれいだなぁ……」サーーーッ


千砂都「……」サーーーッ


千砂都「この木刀、重い……」サーーーッ

千砂都「まあ重さの分、しっかりと砂に線を残せるんだけど……」サーーーッ


千砂都「これって一周で、何mぐらいあるんだろう……?」サーーーッ

千砂都「円周の求め方は確か、2πrだよね」サーーーッ

千砂都「半径が大体、500mだとしたら……」サーーーッ

千砂都「…………一周、3.14km……?」サーーーッ


千砂都「……」サーーーッ

57: 2022/05/07(土) 18:05:12.19 ID:dJFYjz3P.net
千砂都「ダメダメ! 長いと思ったら、余計に長く感じちゃう!」サーーーッ

千砂都「ネガティブなこと考えないように、違うもので頭をいっぱいにしよう……」サーーーッ

千砂都「かのんちゃん……マンマル……丸……0……」サーーーッ


千砂都「そういえば今って神無月だよね……全国の神様が、出雲大社に集まってるんだ……」サーーーッ

千砂都「もしかしたら……丸の神様も、来てるのかな……?」サーーーッ

千砂都「あれ? 出雲大社って鳥取だっけ……?」サーーーッ

千砂都「いや、島根だった気もするけど……」サーーーッ

千砂都「……ど、どうしよう! 気になってしょうがないよ……! どっちだったっけ……!?」サーーーッ

千砂都「待機所に着いたら、聞いてみよう……!」サーーーッ

58: 2022/05/07(土) 18:08:58.46 ID:dJFYjz3P.net
☆第一待機所☆


かのん「ちぃちゃん、ここまでお疲れ様! 温かいお茶と、お土産屋さんで買ったお団子あるよ!」

千砂都「ありがとう! ……あ、かのんちゃん」サーーーッ

かのん「なあに?」

千砂都「神無月になると全国の神様が集まる、出雲大社ってあるよね」サーーーッ

かのん「あるの?」

千砂都「……」サーーーッ


千砂都「お団子、もらうね!」サーーーッ

かのん「うん! ちぃちゃんいま手が離せないから、私が食べさせるよ。喉詰まらせないよう気をつけて」

千砂都「うんうん……美味しい! ついでにお茶も欲しいなぁ」サーーーッ

かのん「はい、どうぞ!」

千砂都「……ぷはっ。ありがとう! 続き、頑張るね!」サーーーッ

かのん「がんばれ~!」フレフレ

59: 2022/05/07(土) 18:11:22.50 ID:dJFYjz3P.net
千砂都「うぅ……急に冷えてきたなあ……」サーーーッ

千砂都「陽もだいぶ落ちてきた……」サーーーッ

千砂都「このペースだと、一周する前に真っ暗闇になっちゃう……」サーーーッ

千砂都「ちょっと急がないと……」サーーーッ


千砂都「……この長さのロープを常に張ってなきゃいけないのが、一番大変……」サーーーッ

千砂都「ロープの重さもあるから、ただ歩くよりも体力消耗する……」サーーーッ

60: 2022/05/07(土) 18:15:03.41 ID:dJFYjz3P.net
千砂都「……今、どれだけ進んだんだろう……」サーーーッ

千砂都「出発点を0時とすると、かのんちゃんがいた地点が2時あたりだから……」サーーーッ

千砂都「あと少し歩けば、4時を超えて……」サーーーッ

千砂都「そこから更にしばらく歩き続けて、ようやく恋ちゃんがいる中間地点……」サーーーッ

千砂都「…………長いなぁ」サーーーッ


千砂都「……あー、また長いと思っちゃった……」サーーーッ

千砂都「時計の針を確認すると時間の流れが遅く感じるみたいに、道のりが長いと思えば、より長く感じちゃうのに……」サーーーッ


千砂都「ダメダメ! 違うことで、頭の中をいっぱいにしなきゃ……!」サーーーッ

千砂都「かのんちゃん……マンマル……丸……0……」サーーーッ



千砂都「……あれ? 結局、出雲大社ってどこにあるんだっけ……」サーーーッ

61: 2022/05/07(土) 18:18:20.46 ID:dJFYjz3P.net
☆丸の中心点(センター)☆


すみれ「……」

すみれ(ロープを引く角度で、千砂都の現在地がわかるけれど……)

すみれ(今でようやく180°地点なのね。先は長そうだわ……)

すみれ(もう月が出てるじゃない……)

すみれ(観光なんてしてなきゃ、とっくに丸が完成してたかもしれないのに……)


すみれ「…………」

すみれ(砂、サラサラしてるわね……)サラーッ

すみれ「…………はぁ」



「何をため息なんて吐いてるデスか」

すみれ「きゃあぁっ!?」グワッ

ゴンッ

可可「ぐふっ!?」

62: 2022/05/07(土) 18:22:14.87 ID:dJFYjz3P.net
すみれ「えっ! クゥクゥ!?」

すみれ「ビックリした……妖怪かと思ったわ」

可可「し、失礼デスね……! 妖怪ではありまセンよ!」

すみれ「……大丈夫? 鼻血、出てるわよ」

可可「誰のせいだと思っているのデスか! グソクムシが急に頭を上げるからデスよ! ううぅいたい……」

すみれ「静かに接近して、上から顔を覗かせてる方がおかしいでしょ……」

可可「モウ! せっかく温かい飲み物を差し入れしてやろうと思いまシタのに……。コノ石頭!」

すみれ「はいはい、悪かったわよ。差し入れはありがたくもらっとくわ」

可可「……わ、わかればいいのデス」


すみれ「……鼻血の止め方、わかる?」

可可「わかるに決まっていマス! クゥクゥは子供ではありまセン!」

63: 2022/05/07(土) 18:24:49.38 ID:dJFYjz3P.net
可可「…………」

すみれ「ん? どうしたの、早く持ち場に戻りなさいよ。どうせ黙って勝手に離れてきたんでしょ?」

可可「あ、いえ……」


可可「……すみれがとても暇そうにしているので、クゥクゥが話し相手になってあげマスよ!」

すみれ「……ふっ。まったく、アンタも素直じゃないわねぇ」

すみれ「千砂都のサポートもあるんだから、気が済んだらすぐに戻りなさいよ」

可可「わ、わかっていマス!」

64: 2022/05/07(土) 18:28:55.38 ID:dJFYjz3P.net
すみれ「…………」サラーッ

可可「……すみれは先程からずっと、砂ばかり触っていマスね。もしやそれはグソクムシの本能デスか?」

すみれ「ええ。砂に触れてるとなんだか懐かしい気持ちになるの……って誰がグソクムシよ」


可可「……やはりツッコミにキレがありまセン」

すみれ「そう? ……だとしたら、ちょっと感傷に浸ってるだけよ」


すみれ「……ねえ、座ったら? 首を上にし続けるの疲れるんだけど」

可可「!」

すみれ「ほら、隣。来なさいったら来なさいよ」ポンポン

可可「……そこまで懇願するのであれば、仕方ありまセンね……!」

すみれ「ふふっ、まったく……」

65: 2022/05/07(土) 18:32:35.96 ID:dJFYjz3P.net
すみれ「……空、もう真っ暗ね」

可可「はい、満天の星空デス……! まん丸お月様もきれいデスねー」

すみれ「……それ、意味わかって言ってるの?」

可可「ん? 何がデスか?」

すみれ「いや、知らないならいいのよ」


すみれ「……あーあ。観光なんかで時間を食い潰してなかったら、今頃家に着いてたはずなのに……」

可可「お家の人が心配しているのデスか?」

すみれ「ううん。帰りが遅くなるかもって伝えてあるし、そこは大丈夫だけど……」


可可「……では、すみれは早く帰りたいと思っているのデスか……?」

すみれ「……どうかしらね」

66: 2022/05/07(土) 18:35:23.04 ID:dJFYjz3P.net
すみれ「少なくとも、こんな砂だらけの土地で海風に吹かれてうずくまってるよりは、ぬるま湯に浸かってくつろいでたいものだわ」

可可「……すみれは、鳥取旅行……楽しくなかったデスか……?」

すみれ「…………」


すみれ「そんなの……楽しかったに決まってるったら決まってるでしょ!」

可可「! す、すみれぇ……!」

すみれ「な、何よ……。それより、早く鼻血止めなさいよ。いつまで下向いてるつもり?」

可可「なっ……! これは誰のせいだと……!」

\ギャーギャー/

67: 2022/05/07(土) 18:38:12.00 ID:dJFYjz3P.net
すみれ「今、ロープの角度……225°ぐらいかしら」

可可「……そろそろ戻った方がよさそうデスね。では、クゥクゥはもう行きマス」


すみれ「…………あ、ちょっと待って!」

可可「?」

すみれ「最後に一つ、クゥクゥに言っておきたいことがあるんだったわ」

可可「……な、何デスか? 何を企んでいやがるのデスか……!」

すみれ「何もないわよ。ちょっと、耳近づけて」

可可「? 二人しかいまセンのに、ヒソヒソ話なんてする必要あるのデスか……?」

すみれ「いいから、ほら」

可可「まったく、仕方ありまセンねぇ……」


すみれ「……ねえ、クゥクゥ」





すみれ「…………帰ったら、ベッドの中で幸せになりましょう」ボソッ

68: 2022/05/07(土) 18:42:36.67 ID:dJFYjz3P.net
可可「……?」


可可「…………」


可可「……っ!?///」

可可「なっ……ななな何を言ってるデスか!?///」

可可「傻子ッ!!/// 発情グソクムシ!!///」バサッ

すみれ「ちょっと、砂かけないでよ! やっぱり妖怪じゃない!」

可可「クゥクゥは砂かけ婆ではありまセン! この変態ムシ!!///」

可可「……もういいデス!」フンッ



すみれ「あー、行っちゃった」

すみれ「……お子様にはまだ早かったかしら?」

69: 2022/05/07(土) 18:45:43.24 ID:dJFYjz3P.net
☆第三待機所☆


可可「まったく……すみれは何故こうも変態グソクムシなのでショウか……」

可可「…………ベッドの中……」

可可「……ど、どんなことをするつもりだったのデスか……!?///」

可可「変態……!/// この変態……!///」ペチ ペチ



千砂都「……あ! 可可ちゃん見えた!」サーーーッ

可可「千砂都……! お疲れ様デス! 今、お水を用意しマスね……!」


千砂都「……クゥクゥちゃん、大丈夫?」サーーーッ

可可「? どうして千砂都がクゥクゥを心配するのデスか?」

千砂都「いや、だって……。クゥクゥちゃん、顔が真っ赤だもん。熱でもあるのかなって」サーーーッ

可可「っ……!?///」

可可「……夕陽に照らされて、そう見えるだけデス!」

千砂都「……?」

千砂都(もうとっくに陽は沈んでるんだけどなぁ)

70: 2022/05/07(土) 18:48:10.92 ID:dJFYjz3P.net
千砂都「丸、完成まで……」

千砂都「……残り、1m……!」サーーーッ

恋『了解しました。すみれさん、避難できましたら教えてください』

すみれ『……っと! 丸の外に出たわ、避難完了よ!』


かのん『ついに完成かぁ……! ちぃちゃん、ほんとにお疲れ様! よく頑張ったよ!』

千砂都「ありがとう、かのんちゃん!」

可可『この規模の丸だと、途轍もない爆風が起きそうデスね……!』

すみれ『一応念のために、備えておいた方がよさそうね』


恋『……いよいよですね! 千砂都さん……!!』

千砂都「うん! ……それじゃあ、いくYO!」



千砂都「3! 2! 1!」サーーーッ

千砂都「発射──」



ピカッ

71: 2022/05/07(土) 18:52:26.23 ID:dJFYjz3P.net
かのん『……』

可可『……』

恋『……』

すみれ『……』

千砂都「……」



かのん『……あれ?』

恋『千砂都さん……。完成、させました……よね?』

千砂都「う、うん……。ちゃんと始めの線につなげたよ……?」

かのん『……だったら、どうして何も起きないの……』

5人「……」

72: 2022/05/07(土) 18:56:39.70 ID:dJFYjz3P.net
恋『……な、なるほど! 暗い上に中心から距離もあったため、発射したのがわからなかっただけなのですね!』

可可『……いえ。発射していたら、これだけ離れていても爆音と粉塵が届いているはずデス……』

すみれ『まさか……』

千砂都「そ、そんな……」


恋『ま、まだです! 音が凄過ぎて、私たちの鼓膜が破れ爆破音が聞こえなかっただけという可能性もあります!』

すみれ『だったら今どうやって会話してるのよ……』

恋『と、とにかく! 私は中心に向かいます!』

恋『きっと数百万…………いえ! 数千万円分の硬貨が堆く積もり、星々に照らされ鈍い輝きを放っているはずですから!!』

かのん「恋ちゃん……」

73: 2022/05/07(土) 18:59:27.76 ID:dJFYjz3P.net
☆中心地☆


恋「ほらぁ、潮干狩り用の熊手ですよぉ……?」

恋「出ておいでぇ、お金たち……!」


かのん「……恋ちゃん」

可可「レンレン……。こんな姿、見ていられまセン……!」

千砂都「もうやめて! 恋ちゃん!」ガバッ

恋「お金……お金……」

恋「……何故、出てこないのですかぁ……」


可可「ルールその2、きれいな丸ではなかったのかもしれまセン……」

すみれ「まあ、このサイズの丸をきれいに描くなんて機械でも使わなきゃ不可能よね」

可可「あるいは、途中で線が消えた可能性も……」

かのん「うん……」

74: 2022/05/07(土) 19:03:06.41 ID:dJFYjz3P.net
千砂都「ごめんね……みんな……」

かのん「ううん、ちぃちゃんは悪くない! 一番大変な役なのに、こんな暗い中でも頑張ってくれたんだから!」

可可「そもそもの計画からして無理があったのデス。欲を出さず、地道にコツコツ稼ぐべきでシタ」

恋「……皆さん、すみませんでした。今回の失敗の責任は、すべて私にあります」

千砂都「恋ちゃんも謝らないで!」

千砂都「私は……ほら、みんなで旅行して、一緒に思い出を作れて……楽しかったよ……?」

恋「千砂都さんはお優しいのですね……」


かのん「……んー」

かのん「ねえねえ、これって本当に失敗だったのかな?」

恋「……かのんさん。爆発音もなく、硬貨も発射されていないんです……。誰がどう見ても失敗ですよ…」

かのん「でも、一瞬だけど…………何か出てたよ」

恋「え……?」

75: 2022/05/07(土) 19:06:08.75 ID:dJFYjz3P.net
可可「な、何かとはなんですか!?」

すみれ「かのん、下手な慰めはしない方がいいわよ。恋が余計に傷付くだけなんだから」

かのん「いや、本当に見たんだもん!」


千砂都「……私は、かのんちゃんを信じるよ」

かのん「ちぃちゃん……!」

恋「……その何かを見たのは、どうやら、かのんさんお一人のようですが……」

恋「一体何を見たというのですか?」

かのん「あ、先に言っておくけど、はっきり見えたわけじゃないよ……? 段々自信もなくなってきたけど……」


かのん「……なんか、完成した時にさ、不思議な色した光が空に打ち上がったような気がしたの」

千砂都「光……?」

かのん「うん、確か……そんな気がする……。……たぶん」

すみれ「たぶんじゃ信用に値しないわね」

76: 2022/05/07(土) 19:08:44.60 ID:dJFYjz3P.net
可可「クゥクゥはまばたきせずに、しっかり中心地を見ていまシタが、何も見えませんでシタよ?」

かのん「……あ、光が見えたのは中心じゃないの」

かのん「方角で言ったら…………そう、ちぃちゃんがいた方向、かな」

千砂都「え、私……?」

すみれ「でも千砂都は何も見てないんでしょ?」

千砂都「う、うん……」

かのん「んー。やっぱり気のせいなのかなぁ……?」


すみれ「……これからどうするの? 失敗の原因を探して、再チャレンジでもしてみる?」

恋「…………」

恋「いえ…………今日はもう、帰りましょう……」



千砂都(往きのワクワク感とは正反対……)

千砂都(私たちは、お通夜みたいな空気をまとったまま飛行機に乗り込み、東京へと帰りました)

77: 2022/05/07(土) 20:59:43.87 ID:dJFYjz3P.net
☆澁谷家☆


かのん「……た、ただいま」

澁谷母「おかえりー…………って、千砂都ちゃん!?」

かのん「うん……。疲れて眠っちゃってて……家までおぶってきたの」

千砂都「まぁるいやつ……まぁるいやつ……むにゃ……」


かのん「今晩、うちに泊めていい?」

澁谷母「それはいいけど……千砂都ちゃんのお家には連絡してないでしょ? ちょっと待ってて、今電話するから……」

かのん「ありがと……」


かのん(貯金箱、無駄になっちゃったなぁ…)

78: 2022/05/07(土) 21:03:12.38 ID:dJFYjz3P.net
千砂都「んー……マンマル……おいしい……」

マンマル「マルー?」

かのん「ちぃちゃん、今日はほんとによく頑張ったもんね……」

かのん「ゆっくり休んでていいよ」ナデナデ

千砂都「うへへ……」


ありあ「……何? お姉ちゃん達、修学旅行にでも行ってたの?」グッ

かのん「あ、その木刀……」

かのん「重いし嵩張るし用途ないし、かといって捨てるわけにもいかない2000円の粗大ゴミだよ……。よかったらあげるけど」

ありあ「うわぁいらない……。一応もらっておくけど…」

79: 2022/05/07(土) 21:07:23.78 ID:dJFYjz3P.net
かのん「ごちそうさまー!」

千砂都「ごちそう……さま……」

澁谷母「ちぃちゃんは夜、かのんの部屋で寝るわよね?」

千砂都「うん……ねる……」

かのん「お泊まりなんて久しぶりだね~。いつ以来だろう?」


澁谷母「ちぃちゃん、お風呂はどうする? この状態で入るのは危なそうだけど……」

かのん「かなり汗かいてると思うし、シャワーだけでも浴びた方がいいよね」

澁谷母「そうね……。じゃあかのん、ちぃちゃんをお風呂に入れてあげなさい」


千砂都「おふろ……すきー……よんでない……」

澁谷母「……溺れないよう、気をつけるのよ?」

かのん「わかってるってー」

80: 2022/05/07(土) 21:09:31.57 ID:dJFYjz3P.net
かのん「ほら、ちぃちゃん。一緒にお風呂入ろ」

千砂都「ん~……」


千砂都「かのんちゃぁ……」ギュー

かのん「」

かのん(はっ! 今一瞬、理性が吹き飛びかけた……!///)

かのん(危ないところだった……! 長女だからなんとか我慢できたけど、やばかった……)

かのん(私も疲れで判断力が鈍ってるし……変なことしないよう気を付けないと……)

81: 2022/05/07(土) 21:12:53.88 ID:dJFYjz3P.net
☆脱衣所☆


かのん「……」ヌギヌギ

かのん(ちぃちゃんの方は、できるだけ見ないようにしないと……)

かのん(いや、別にいいはずなんだけどね……? 私たち女の子同士だし……)

かのん(なんなら幼馴染だから、何回もお風呂入ったことあるし……)

かのん(私が意識し過ぎなんだろうね……。もっと普通でいなきゃ……)


千砂都「……かのんちゃぁん……」バンザーイ

かのん「!?」

かのん(え、なんでバンザイしてるの……? 日本万歳ってこと……? それとも降伏……!?)


千砂都「……かのんちゃん…………ぬがして……?」

かのん「」

かのん(危ない! また理性がどっか行きそうだった!///)

かのん(ちぃちゃんはただ、服を脱ぎたいだけなんだよね。でも頭がふわふわして脱げないから、私に脱がしてほしいわけだ……うん)

かのん(何もやましいことなんてないんだよ、うん。バナナの皮をむくみたいに、ちぃちゃんの服を脱がしていけばいいだけ……)

かのん(ちぃちゃんはバナナ、ちぃちゃんはバナナ、バナナバナナバナナ…………あ、お腹空いてきた)

82: 2022/05/07(土) 21:15:58.06 ID:dJFYjz3P.net
かのん「…………///」ドキドキ

千砂都「……かのんちゃん……さむい……」

かのん「!」

かのん(あ、危ない……。下着姿のちぃちゃんを舐め回すように舐め回しちゃってた……)

かのん(もうここまできたら、ちぃちゃんも自力で脱げそうな気もするけど……やるなら最後までやり通さなきゃね!)


かのん(ちぃちゃんをハグする形で、ブラのホックを外して……///)

かのん(…………ん? なんか背中が固いような……いや気のせいか)

かのん(流石に胸をガン見するのはよくないので、チラ見しながらパンツも下ろして……///)


かのん「……じゃ、じゃあ……お風呂、入ろっか……///」ドキドキ

千砂都「んん……」

かのん(あー! これ以上見てると、おかしくなりそう……!///)

かのん(もういっそのこと、目をつむっちゃおう! そしたら意識せずに、普通にちぃちゃんと接することができるはず……!)

83: 2022/05/07(土) 21:18:15.06 ID:dJFYjz3P.net
☆浴場☆


シャワーーー

かのん「……」シャカシャカ

千砂都「~♪」

かのん(お風呂の中なら意外と目を開けなくても動ける……)


千砂都「……からだも、あらって……?」

かのん「う、うん……///」ドキドキ

かのん(洗うって……どこまで洗っていいんだろう……?)

かのん(前もいいのかな……?/// し、下の方も……///)

84: 2022/05/07(土) 21:21:31.72 ID:dJFYjz3P.net
かのん(次は、首元を……)


千砂都「……んっ」

かのん(んんんんんっ!!?///)

かのん(何その声!?/// 絶対に狙ってるよね……!?///)

かのん(こ、このまま前に突入したら…………一体どうなっちゃうの……!?///)


かのん「はあはあ……///」ドキドキ

かのん(背中を洗ったら……今度は前に行って……///)

かのん(前が終わったら……ついに、下〈アンダーグラウンド〉へと突入する……///)

かのん(そこにあるのは……ちぃちゃんの、丸……///)

かのん(わ、私……耐えられるかな……!?///)





コンッ

85: 2022/05/07(土) 21:24:54.58 ID:dJFYjz3P.net
かのん「…………………………………………」


かのん(ちぃちゃんのスベスベ肌を堪能してると、突然、手に異物が当たって……)

かのん(浴室内を、鈍い音が反響して……)

かのん(私、思わず目を開けちゃって……)

かのん(そして、そこにあったのは……)



キュィィィン


かのん(……丸)

かのん(ちぃちゃんの背中に、丸がある……)

かのん(無機質で、違和感しかない、丸が……)

かのん(機械……なのかな)

かのん(完全に、背中にくっ付いてる……)

かのん(……ん、あれ? なんか、くっ付いてるというより……)

かのん(まるで、ちぃちゃんの体と、一体化してるみたいな……)

86: 2022/05/07(土) 21:28:11.70 ID:dJFYjz3P.net
かのん(……って、あれ? この光の色……)

かのん(この不思議な感じの色……)

かのん(確か、鳥取で見た光も、こんな色だったはず……!)

かのん(そっか……! あの時の光は、ちぃちゃんから出てたんだ……!)


千砂都「……かのんちゃん……?」

かのん「えっ!? な、何……?」

千砂都「……あらって……」

かのん「…………」

かのん(ちぃちゃんに……この丸のこと、聞いてみようかな……)

87: 2022/05/07(土) 21:31:17.71 ID:dJFYjz3P.net
かのん「…………ねえ、ちぃちゃん」ドキドキドキ

千砂都「んー……」

かのん「……この、背中に付いてるやつって……何……?」ドキドキドキ

千砂都「せなか……」

千砂都「……あ、それはたしか……きづいたら、ついてて……」

かのん「え……」ドキドキドキ

千砂都「これがついてから……まるをかいて、おかねがでるように……なって……」

千砂都「……それが、どうしたの……?」

かのん「…………い、いや……なんでもない……」ドキドキドキ


かのん(血の気が引いたのに、心臓の鼓動はさっきよりも早くなってる……)

かのん(わ、私は……見てはいけないものを見てしまったのかもしれない……)


かのん(その後、普通に全身を洗って、お風呂を出て、一緒のベッドで寝て……)

かのん(まるで何事もなかったみたいに、時間は流れていった…………)

88: 2022/05/07(土) 21:34:19.68 ID:dJFYjz3P.net
☆翌朝☆


千砂都「んー! よく寝た~」

かのん「……おはよう、ちぃちゃん」

千砂都「うん! おはよう、かのんちゃん!」

千砂都「あ、昨日はごめんね? 私ずっと寝ぼけてて……」

かのん「う、ううん……。別に、大丈夫だから……」

千砂都「……かのんちゃん?」

千砂都(なんだか、かのんちゃんの様子がおかしい気がする……)


千砂都「ねえ、かのんちゃん。昨日、何かあった?」

かのん「えっ!?」

かのん「…………い、いやあ? 特に、何も、平常運転だったよ……?」

千砂都「そう……?」

かのん「そ、それより! 学校! 準備しなきゃじゃない!?」

千砂都「あ……そうだね。私は一旦家に帰らないと……」

89: 2022/05/07(土) 21:38:03.54 ID:dJFYjz3P.net
『続いてのニュースです。今日未明、島根県上空で確認された謎の飛行物体は、現在も飛行を続けています。海外の新型兵器との噂も飛び交い、周辺住民に混乱が広がり…………』


澁谷母「すごいわねー。ニュース番組でUFOを取り上げるなんて」

千砂都「島根かあ……。出雲大社の神様たち、大丈夫かな……?」

かのん「島根県って……左の方にある県だよね」

ありあ「そうそう。鳥取とどっちがどっちかわからなくなる県だよ」


千砂都「アダムスキー型UFO……いい丸だ……」

ありあ「千砂都さんの審美眼が輝いてる!?」

かのん「ちぃちゃんは丸には目がないからねぇ」

千砂都「なんでもいいわけじゃないんだよ? ほら、マンマルなんかは、丸の中でも至高なわけだし!」

千砂都「ね、マンマル?」

マンマル「マルー」

90: 2022/05/07(土) 21:42:10.60 ID:dJFYjz3P.net
澁谷母「千砂都ちゃん、時間大丈夫?」

千砂都「あ、そろそろ行きます! 昨日は泊めてもらい、ありがとうございました!」

澁谷母「いいのよぉ! またいつでも泊まりにおいで」

千砂都「はい!」

千砂都「かのんちゃん、また学校で!」

かのん「おーう」





『……先程のニュースに誤りがありました』

『「島根県上空」で飛行物体が確認されたとお伝えしましたが……』

『正しくは「鳥取県上空」でした。訂正してお詫び申し上げます……。それでは、次のニュースです…………』

91: 2022/05/07(土) 21:45:31.72 ID:dJFYjz3P.net
だらだら

侵略編へと続く

93: 2022/05/07(土) 23:22:51 ID:rcGTVUIe.net
どういうことだってばよ

97: 2022/05/08(日) 21:16:53.64 ID:GwFXkbyg.net
☆学校☆


「ねーニュース見たー?」

「あれって絶対UFOだよねー」

「エイプリルフールとっくに過ぎてるのにー」

「てことはさ、本物なんじゃないー?」

「宇宙人が来てるってことー?」

「えーまさかー?」



かのん「わー、学校でもUFOの話ばっかりだ」

すみれ「SNSもその話題で持ち切りね」

千砂都「すごい……どの角度から見ても、寸分違わず丸いねぇ……」

かのん「それにしても突然現れたね、このUFO。どこの星から来たんだろう?」

可可「…………」

98: 2022/05/08(日) 21:19:04.14 ID:GwFXkbyg.net
かのん「いやー、でも惜しかったねー」

千砂都「惜しい?」

かのん「うん。だってさ、このUFOが現れた鳥取って県、ちょうど昨日行ったばかりのとこだもんね!」

千砂都「え……?」


千砂都「か、かのんちゃん……! 今、なんて……?」

かのん「へ? ……UFOが鳥取県に現れて……」

千砂都「そ、そこっ!!」

千砂都「ニュースだと、確か……島根県って言ってなかった……!?」

可可「……千砂都さん。これを見てください」

可可「これはSNSに投稿された、UFOに関する呟きデス……」


『UFO真下の砂丘に向かったら、巨大なミステリーサークル見つけたんだけど!?でかすぎやばっ!!』


千砂都「砂丘……ミステリーサークル……!」

千砂都「UFO……!!」

99: 2022/05/08(日) 21:21:27.32 ID:GwFXkbyg.net
千砂都「もしかして…………昨日私が描いた、丸が……UFOと関係してる……?」

すみれ「そんなわけないでしょ。偶然よ、偶然。千砂都一人が背負い込む必要なんてないわよ」

千砂都「で、でも……!」

可可「丸を完成させたのが昨日の夜で、UFOの出現が今日未明デスから……」

可可「タイミング的にも、ばっちりと合いマスね……。因果関係を疑いたくなってしまいマス……」

千砂都「わ、私の丸のせいで……UFOを、呼んじゃったのかも……」



千砂都「…………な、なーんてね!」

千砂都「そうだよね……偶然だよ。私たちが鳥取に行って丸を描いた後に、偶々タイミングよくUFOが現れただけだよ!」

すみれ「そうね。丸を描いてUFOを呼ぶなんて、聞いたことないわ」

可可「……そ、そうデスか……」

かのん「あー、もし鳥取旅行を今日にしてたら、生のUFO見れたのにねー。残念」

千砂都「う、うん。惜しいことしたねー」

100: 2022/05/08(日) 21:23:53.02 ID:GwFXkbyg.net
先生「はい、皆さん。ホームルーム始めますよ」

「それどころじゃないですよ、先生!」

「UFOが日本に出たんですよ! これはもう学校どころじゃないですよ!!」

先生「UFOは後、今は学校です。さ、席に着いてください」


千砂都「…………」

千砂都(でも、もし……)

千砂都(もし…………砂丘に描いた丸のせいで、UFOを引き寄せたのだとしたら……)

千砂都(……私は、取り返しのつかないことをしちゃったんじゃ……)

101: 2022/05/08(日) 21:26:26.33 ID:GwFXkbyg.net
☆休み時間☆


可可「うぐぅ! 昨日の疲れがまだ残ってマス……!」

かのん「私も筋肉痛だもん……。体育つらかった~」

可可「重いのを我慢して持って帰った木刀も、既に部屋の肥やしデス……。邪魔で仕方ありまセン……」

かのん「うん……。買い物であんなに後悔したのは久しぶりだよ……」

可可「……早く用具を片付けて、教室に戻りまショウ」

かのん「そうだね~」


かのん「……ん?」

可可「かのん~。よそ見してないで、手を動かしてくだサイ!」

かのん「クゥクゥちゃん、あれ見てよ」

可可「んー? ……な、なんですか、あれは」

かのん「着ぐるみ……? 何かのゆるキャラとかかな?」

可可「何故ゆるキャラが結ヶ丘に来てるのデスか?」

かのん「さあ? 何かイベントでもあるのかなあ。ねえ、ちょっと見に行ってみる……?」

可可「ダメデスよ! 先に片付け済ませないと、着替える時間がなくなりマス!」

かのん「それもそうだね……。じゃあ、さっさと終わらせちゃおー!」

可可「オー!」

102: 2022/05/08(日) 21:28:54.68 ID:GwFXkbyg.net
☆音楽科教室☆


恋「はぁ……」

恋(昨日は、私のせいで千砂都さん達に迷惑をかけてしまいました……)

恋(欲に駆られ、金に目がくらみ、周囲のことが何も見えていませんでした……)

恋(生徒会長就任後の一悶着から、私は何一つとして学んでいなかったようです……)

恋(今日、千砂都さん達にお会いしたら、改めて昨日の件について謝らなければいけませんね……)


ピンポンパンポーン

『鈴木先生、鈴木先生、今すぐ中庭に来てください。繰り返します。鈴木先生、鈴木先生…………』


恋「……」

恋(変ですね。結ヶ丘には、鈴木という名前の教諭はいないはずですが……)

恋(呼び間違いでしょうか……? あるいは……)


恋(なんでしょう、この空気……)

恋(…………なんだか、胸騒ぎがします……)

103: 2022/05/08(日) 21:31:47.81 ID:GwFXkbyg.net
☆普通科教室☆


千砂都「~♪」ヌギヌギ

すみれ「…………」

千砂都「ん、すみれちゃん? 私の背中、じーっと見てるけど……何か付いてる?」

すみれ「えっ! いや……付いてるどころの騒ぎじゃないでしょ……」


「えー、なになにー?」

「何かのイベントかなー?」

「撮影でもしてるんじゃない?」

「あ、先生だー」

「面白そー!」


千砂都「……なんだろう? 廊下の方がザワザワしてるね」

すみれ「そうみたいね。私たちも行ってみましょう」

千砂都「う、うん……」

104: 2022/05/08(日) 21:34:04.74 ID:GwFXkbyg.net
☆廊下☆


千砂都「わっ、みんな窓から中庭を見てる……」

すみれ「中庭に何かあるのかしら? 見てみましょう」

千砂都「……ここからじゃ、見えない……!」ピョンピョン

「ちょっ、押さないでよ!」

千砂都「ご、ごめんなさい……! 私も、見たいの……」グググッ



「あの丸いの何ー?」

「着ぐるみでしょ。ほら、バレーボールのマスコットみたいなやつ」

「もしかしてバボちゃんのこと?」

「そうそう、それ!」

「でもなんか、質感違くない……?」

「着ぐるみの質感ってどんなのよ」

「いや知らないけど」


千砂都「ま、丸い……!」

すみれ「……丸いわね」

105: 2022/05/08(日) 21:36:35.70 ID:GwFXkbyg.net
「先生達、あの丸い着ぐるみと何か話してるのかな?」

「なんか、先生達、すごいガチな雰囲気だけど……」

「危ない人を取り押さえるための棒持ってるし、もしかしてあの着ぐるみ、不審者なんじゃない?」

「だとしたら不審度MAXじゃん。あんな着ぐるみ着て、怪しさを隠す気皆無だし」


「あ! 先生が攻撃した!」

「……でも、全然効いてなくない? あの着ぐるみ、びくともしてないけど……」

「そりゃ着ぐるみだもん。防御力は高いでしょ」

「あ、今度は丸い方が動いた!」

「なんか口みたいなの開けて……」

「……身体が、裂けて…………」


「え……」

「え、何あれ……?」

「ほんとにあれ、着ぐるみなの……?」

「え、ちょ…………先生、捕まった……」

「えっ? え、えええ、え?」

「何何? 理解できないんだけど……?」

「何、してるの……? 何これ、どういう状況……?」

「……………………」



「先生…………丸いやつに飲み込まれた…………」

106: 2022/05/08(日) 21:38:30.42 ID:GwFXkbyg.net
「えっ…………何、これ……」

「これほんとに撮影なんだよね……?」

「誰!? 撮影って言ったの?」

「いや、知らないけど……」

「ありえないって……」

「いやでも、これは流石になんかのドッキリとかじゃないの……?」

「…………あ。もう一人の先生も捕まって……」


「……ちょっ、先生、めっちゃ叫んでない?」

「うっ、また…………飲み込まれた……」

「えっ、これ、リアルなやつじゃないの……?」

「は? え……じゃあ先生達、怪物に食べられたってこと……?」

「……いや、マジでヤバくない……? これって……」


「…………ねえ、あの化け物、こっち見てない……?」

「え、いや、これ……ガチでヤバいって……」

「どんどん、こっちに近付いてきてるって……!」

「い、いや…………いや…………」



「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

107: 2022/05/08(日) 21:41:44.08 ID:GwFXkbyg.net
千砂都(誰かの叫びを皮切りに、堰を切ったように、皆一斉に逃げ始めて…………)



「逃げろーーー! 殺されるーーー!!」
「きゃああああああああああああ!!!」
「どこに逃げればいいの!!?」
「まだ氏にたくない……!!」
「邪魔っ! どけよっ!!」
千砂都「きゃあっ!?」
「み、みんな! 落ち着いて……!」
「避難訓練を思い出して! 押さない、駆けない……」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!!」
「逃げなきゃ殺されるんだよ!!?」
すみれ「千砂都ぉーーー!!」
「いやあああああああああ!!!」
「な、何だ! どうした!?」
「やばいやばいやばい! みんな戻って!!」
「こっちからも来てるんだって!! ちょっ、早く向こう行け!!」
千砂都「う、うごけない……!!」
「助けてぇ!! 助け…………ぐっ」
「いやあ……! もう、いや……!」
「また食われた……! 逃げなきゃ逃げなきゃ……!!」

109: 2022/05/08(日) 21:43:43.53 ID:GwFXkbyg.net
千砂都(波に飲まれて、身動き取れない……!)

千砂都(…………もしかして、この丸い子……私が呼んだUFOに乗ってたエイリアン、とかなのかな……)

千砂都(……だったら、私が食べられても……自業自得だよね……)

千砂都(そもそも、この子を呼んだのは私の責任なんだから……)

千砂都(みんな……巻き込んじゃってごめんなさい……ごめんなさい…………)



ガシッ!

千砂都「!」

すみれ「何やってんのよ! 早く逃げるわよ!!」

千砂都「す、すみれちゃ……」

すみれ「いいから立って! 遮二無二に走って!」

すみれ「絶対に千砂都を……皆を……」

すみれ「……氏なせないったら、氏なせないんだから…………!」

千砂都「…………うん! 私も、諦めない……!」


すみれ「とにかく、部室に行きましょう! あそこなら籠城できそうだし、既にかのん達も逃げ込んでるかもしれないわ!」

すみれ「急ぐわよ!」

千砂都「……うん!」



ゴゴゴゴゴゴ..

「マルー」

110: 2022/05/08(日) 21:46:09.79 ID:GwFXkbyg.net
☆グラウンド☆


かのん「よーし、片付け終了!」

可可「先生はどこかへ行ってしまいまシタが……鍵は職員室に戻せばいいのデスか?」

かのん「うん、たぶん……」


キャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

可可「!」

かのん「誰かの叫び声だ……!」

可可「校舎の方からデス……。一体何があったのでショウか……?」

かのん「……あ! 教室のとこに、何かいる……!」

可可「さっきのゆるキャラみたいデスね。教室で何をしているのでショウか?」

かのん「……あ! 今あの着ぐるみと目が合った気がする! おーい!」ピョンピョン


パリーン

可可「わっ! ゆるキャラ、窓に体当たりしまシタよ!?」

かのん「ええ!? あの高さから落ちたら痛いだろうし……というか、あのサイズじゃ窓枠通れないのに……。何やってるんだろ……?」


メキメキ..

可可「……ま、窓枠を、捻じ曲げて…………」

メキメキメキメキ..

かのん「無理矢理、通った…………」

可可「落ちてきマス……!」


ガシャーン!

111: 2022/05/08(日) 21:48:21.04 ID:GwFXkbyg.net
ボヨンッ
ボヨンボヨンボヨンッ

かのん「ええっ!? 跳ねながら…………こ、こっちに向かって来るよ……!」

可可「このままではぶつかってしまいマス……。かのん! 避けるデス……!!」

かのん「うん!」

かのん「…………ぐぉっ! き、筋肉痛で、脚が動かない……!」

可可「何やってるのデスかー!? 待っててくだサイ! クゥクゥが今、助けに…………アイャーッ! クゥクゥも、筋肉痛でした……!」

かのん「や、やばいやばいやばいやばいかなりやばい……!!」


ボヨンボヨンボヨンボヨンボヨンボヨンボヨンボヨンボヨンッ

クーカー「ぎゃああああああああああ!!?」





「マルー?」

かのん「はあ……はあ……ダンスステップで……なんとか……避けれた……」

可可「日頃からの……練習の、賜物デスね……。身体が覚えていました……!」

112: 2022/05/08(日) 21:50:45.33 ID:GwFXkbyg.net
「マルー」


可可「かのん……」

かのん「どうしたの、クゥクゥちゃん……?」

可可「日本の着ぐるみは、クオリティが高いのデスね……」

かのん「ど、どうかなあ。あれは……私にはとても、着ぐるみには見えないんだけど……」

可可「やっぱり、そうでシタか……」


かのん「ひぃ……! 口がぱっくり裂けて……きもいし、怖いぃ……!」

可可「……もしかすると、クゥクゥとかのんのことを、食べるつもりなのかもしれまセンね……」

かのん「ええっ!?」

可可「……着ぐるみサン! クゥクゥは食生活が乱れていて、美味しくありまセン! 食べるならかのんから食べてくだサイ!」

かのん「ええ!? わ、私だって! 食生活は…………めちゃくちゃいいかも……。帰ったらお母さんに、いつもありがとうって言わなきゃ……」

113: 2022/05/08(日) 21:50:55.74 ID:GwFXkbyg.net
「マルー」ノシノシ

可可「……どんどん近付いてきてマスよ……。どうしまショウ……!?」

かのん「に、逃げたいけど……! 脚が震えて……!!」

「マルー」

可可「かのん……!!」


ボヨンッ

「マルー?」

可可「ここはクゥクゥが食い止めマス!!」ペチペチ

可可「その間に、かのんは逃げてくだサイ!!」ペチペチ

かのん「く、可可ちゃん……!!」



「マルー」ヒョイ

可可「ギャアアアアアアアアアアアア!!!」ブラーン

かのん「あっさり持ち上げられてる……!? クゥクゥちゃあああああん!!」

114: 2022/05/08(日) 21:57:25.23 ID:GwFXkbyg.net
可可「かのん……! 可可のことはいいデス!! 早く逃げてくだサイ……!!」

かのん「で、でも……!」

「マルー」アーーーン

かのん「ギニアァ!? 口の中が異空間デス!! クゥクゥはなぞのばしょに送られてしまうのデスかー!? いやデスー!! 氏にたくありまセンーーー!!」

かのん「クゥクゥちゃん……!!」


かのん(…………クゥクゥちゃんが、最初に声をかけてくれたから……)

かのん(背中を押してくれたから……手を取り、隣に立ってくれたから……)

かのん(……今の私があるんだ)

かのん(いやだ……! クゥクゥちゃんを失いたくない……!! 助けなきゃ……!?)

かのん(でも、私の力じゃ勝てない……! こんな時、どうすれば…………)


かのん「──っ!」

115: 2022/05/08(日) 21:59:53.51 ID:GwFXkbyg.net
可可「帮我!! 帮我!! 我不想氏!!」

「マルー」アーーーン


かのん(身体が、震えてる……)

かのん(でも、これは……恐怖で震えてるんじゃない……)

かのん(これはただの、筋肉痛だー!)


かのん「喰らえぇ! 鉄パイプーーー!!」ブンッ

ボヨンッ

「マルー?」

かのん「うそぉ!! 効果がないようだ……!?」

かのん「……でも、やめないっ!」ブンッ

かのん「おらーーー!! クゥクゥちゃんを離せぇーーー!!!」ブンッ ブンッ

可可「かのん……!」

116: 2022/05/08(日) 22:02:11.96 ID:GwFXkbyg.net
かのん「こ、この…………このっ……!!」ブンッ ブンッ

かのん「クゥクゥ、ちゃん、を……! 離、せぇ……!!」ブンッ ブンッ

可可「かのんっ……!!」

かのん「絶対に……クゥクゥちゃんを、助けるんだ……!!」ブンッ ブンッ

「マルー」アーーーン

可可「かのんーーー!!」

かのん「うおおおおおおおおおおおおお!!!」ブンッ ブンッ ブンッ ブンッ


ツルッ

かのん「!?」

かのん(手が滑って、鉄パイプが……!)



「マ、マルーーー!?」グググッ

かのん「え……」

117: 2022/05/08(日) 22:04:10.71 ID:GwFXkbyg.net
可可「ギャアス!!」ドサッ

かのん「クゥクゥちゃん!」

可可「……流石デス、かのん! 鉄パイプを着ぐるみサンの口につっかえ、閉じれないようにするとは……!」

かのん「え……? ……あー、うん! がんばった!!」

「マルー!? マルーーー!!」バタバタ


可可「しかし、いつ復活するかわかりまセン! かのん、早く逃げましょう!!」

かのん「待って! さっき校舎の方から悲鳴が聞こえたよね!?」

かのん「もしかしたら、ちぃちゃんや恋ちゃんも私たちみたいに襲われてるのかも……!」

可可「た、助けに行くつもりデスか!? 無理デス! クゥクゥ達が行ったところで何もできまセン……!」

かのん「…………」

118: 2022/05/08(日) 22:06:46.49 ID:GwFXkbyg.net
かのん「私は……1人で助かっても、嬉しくないよ……!」

かのん「みんながいてくれるから、私は私でいられる……」

かのん「みんなで生き残らなきゃ……意味ないよ!」

可可「かのんは、無鉄砲が過ぎマス……!」


可可「…………デスが、クゥクゥはそんなかのんに憧れて、ついてきたのでシタ……」

可可「……かのん! クゥクゥもお供しマス! 今度はクゥクゥがかのんを助けてみせマス!」

かのん「クゥクゥちゃん……! うん! みんなを助けに行こう!!」タッ タッ タッ



「きゃああああああああああああ!!!」

「マルー」ノシノシ


かのん「うわあ……!?」

可可「校舎の至るところに、着ぐるみサンがいっぱいいマス……!!」

かのん「ちぃちゃん……みんな……無事だといいけど…………」



「かのんちゃんー!!」

119: 2022/05/08(日) 22:09:31.58 ID:GwFXkbyg.net
☆音楽科教室☆


「えっ……!?」

「先生が、食べられた……!?」

恋(な、何ですか……! あの、丸い生物は……!?)

恋(今朝、UFOのニュースがやっていましたが……まさか、宇宙人……? あるいは、妖怪か……)


キャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

「普通科の方でもパニックになってる……!!」

「どうしよう、葉月さん!」

恋「……皆さん! 落ち着いて、逃げてください!!」

恋「中庭には近づかないよう、グラウンドの方へ向かってください!!」

120: 2022/05/08(日) 22:11:48.59 ID:GwFXkbyg.net
ギャアアアアアアアアアアアア!!!

クゥクゥチャアアアアアン!!

恋「!?」

恋(今の声は、クゥクゥさんとかのんさん……!)

恋(まさか……あの丸い妖怪に、食べられてしまったのですか……!?)


「やばい! グラウンドの方にも丸いやついるよ!?」

「引き返して!! グラウンドにいるんだって!!」

「待って! こっちにもいる……!? あっちにも……!!」

「いつの間にこんなに増えたの……!?」

「葉月さん! 私たち、どこに逃げればいいの!?」

恋「え……」

「葉月さん!」

恋「…………」


恋「と、とにかく逃げてください……!!」

恋「自分で判断して、安全な所まで逃げてください……!!」

恋(こんな指示しかできないなんて……生徒会長失格です……)

121: 2022/05/08(日) 22:13:57.05 ID:GwFXkbyg.net
「はあ、はあ……。教室で鍵をかけて籠もれば、大丈夫なはず……」

「マルー」バキバキ

「きゃあああああ!!?」


恋「あちらにも丸、こちらにも丸、そちらにも丸……」

恋(一体どうなってるんですか……!?)

恋(この妖、どんどん数が増えているようです……!!)

恋(そこら中を徘徊しています……。もう外には逃げられません……)

恋(校内も、占拠されるのは時間の問題…………)



「マルー」ヒョイ

「いやあっ!!」ブラーン

恋「!!」

「マルー」アーーーン

「や、やだ……! やめて……!! 葉月さん、助けてぇ……!!」

恋「っ……!」

122: 2022/05/08(日) 22:17:02.25 ID:GwFXkbyg.net
恋(すみません! 緊急事態ですので、物を粗雑に扱わせてください!)

恋(……この、椅子を……………)

恋「……あなた! その汚い手を離しなさい!!」ブンッ

ボヨンッ

恋「!?」

恋(攻撃が、効きません……!?)

恋(この妖……身体が柔らかくて、衝撃がすべて吸収されてしまいます……!!)


「マルー」アーーーン

「いやっ…………いやあああああああああああ──」

パクンッ



恋「あ…………ああ……あ…………」

「マルー」

恋「あああああああ……ああ…………あああ……!!」

恋(守れませんでした……)

恋(目の前で……大切な生徒が、食べられてしまいました……)

123: 2022/05/08(日) 22:20:28.68 ID:GwFXkbyg.net
恋「はあ、はあ、はあ、はあ…………」タッ タッ タッ タッ

恋(食べられた、食べられた、食べられた、食べられた、食べられた……)

恋(生徒会長なのに……何もできなかった……)

恋(私は…………わたくし、は……逃げることしか、できません…………)


恋「……!」

恋(あんなところにも、妖が……!)


キュルルルルルルル..

恋「!?」

恋(妖の身体が、細くなって…………)



恋「り、理事長……!?」

124: 2022/05/08(日) 22:22:44.79 ID:GwFXkbyg.net
理事長?「…………」

恋(ど、どうなっているんですか……!?)

恋(今、目の前にいるのは……どこからどう見ても、理事長ですが……)

恋(し、しかし……理事長の身体……骨格や関節が、おかしいです……)

恋(首も変な角度に曲がっていて…………)


理事長?「…………リジチョー」ガクガクガクッ

理事長?「……リカイ、シタ」ガクガクガクッ

理事長?「イマ、ノミコンダ、ニンゲン……リジチョー、ト、ヨバレル、ナマエ」ガクガクガクッ



リジチョー「ワタシハ、リジチョー、デス」ガクガクガクッ

恋「……っ!?」

125: 2022/05/08(日) 22:25:15.30 ID:GwFXkbyg.net
☆廊下☆


すみれ「こっちよ!!」タッ タッ タッ

千砂都「うん……!」タッ タッ タッ

すみれ「ここから上へ昇って…………」

「マルー」

千砂都「!? 上にも丸がいるよ……!」

すみれ「ちっ……! 遠回りして行くしかないわね……!」


「マルー」ノシノシ

すみれ「!?」

千砂都「向こうからも来てる……! 挟み撃ちされた……!!」

すみれ「……この部屋に入って! 隠れてやり過ごすわよ!!」

126: 2022/05/08(日) 22:27:28.79 ID:GwFXkbyg.net
☆更衣室☆


すみれ(ロッカーに隠れたはいいものの……)ヒソヒソ

すみれ(……せ、狭いわね……。お尻が窮屈だわ……)ヒソヒソ

千砂都(そうかな……? わりと余裕あるけど……)ヒソヒソ

すみれ(それは千砂都が小……)ヒソヒソ

千砂都(何?)

すみれ(……なんでもないわ)ヒソヒソ



ガラガラガラ

千砂都(!!)

千砂都(入ってきた……!)

127: 2022/05/08(日) 22:29:28.91 ID:GwFXkbyg.net
ノシノシノシ..

千砂都(…………)


「……イナイ」

「ニゲタ。ニゲタ。ニゲタナラ、ホカヲサガス」

千砂都(……!)

千砂都(言葉を、喋ってる……!?)ゴソッ



「…………マテ。オトガ、キコエタ」

「ドコカニイル。ドコカニイル。ドコニイル?」

「……ハコガアル。ニンゲンナラ、ハイレルオオキサ」

「アケテイク。アケテイク。ゼンブアケレバ、ドコカニイル」


千砂都(……ロッカーを、開けようとしてる……!!)

128: 2022/05/08(日) 22:31:48.44 ID:GwFXkbyg.net
ガチャ
ギイイイイイ..

「ココニハイナイ」

「トナリ。トナリ。アケテイク」



千砂都(…………)ドクンドクンドクンドクン



ガチャ ギイイイイイ..

「……イナイ」

「ツギ。アケル」



ギイイイイイ....



千砂都(……)ドクンドクンドクンドクン

千砂都(だんだん、近づいてきてる……!)ドクンドクンドクンドクン

129: 2022/05/08(日) 22:34:29.79 ID:GwFXkbyg.net
ガチャ

「……ココモチガウ」

「メンドウ。メンドウ。スベテコワセバイイ?」

「ダメダ。モクテキヲ、アヤマルナ」

「ワカッタ。ツギ、アケル」



千砂都(…………)ドクンドクンドクンドクン



ギイイイイイ..



千砂都(……すぐ、そこまで来てる……!)ドクンドクンドクンドクン

千砂都(そろそろ、開けられる…………)ドクンドクンドクンドクン

130: 2022/05/08(日) 22:36:47.67 ID:GwFXkbyg.net
千砂都(…………3)ドクンドクンドクンドクン



ガチャ

「……ココニモイナイ」



千砂都(…………2)ドクンドクンドクンドクン


ペラッ

「……ナンダ?」


千砂都(…………1)ドクンドクンドクンドクン

「ッ!? コ、コレハ……!!」







千砂都(発射──)

ズゴオオオオオンッ!!!

131: 2022/05/08(日) 22:40:04.73 ID:GwFXkbyg.net
「グオオオオオオゥゥゥギギギギギギィィィ!!?」バタッ

「ドウシタ!? ドウシタ!?」


千砂都(やった! 一体倒した!!)

千砂都(このままもう一体を、倒す──)バンッ!


「!?」

千砂都「喰らえ! 発……」ペラッ

千砂都(え…………人間……!?)



ズゴオオオオオンッ!!!

「ギアアアアアアアアアアウィイイイイイイイイ!!!」バタッ

132: 2022/05/08(日) 22:42:15.05 ID:GwFXkbyg.net
千砂都「………………………」


すみれ「ふぅ……。危なかったわね」バンッ

すみれ「よくやったわ、千砂都」オシリグググググググッ

千砂都「……わ、私…………人を撃っちゃった……」

千砂都「人を……頃しちゃった…………!」

すみれ「……よく見てみなさいよ」

千砂都「え……?」


「グギッ…………グギギギギ……」ピクピク

千砂都(身体が、不自然に膨らんでる……)

すみれ「さっきの丸いのが、人間の姿を模倣してたんでしょ」

すみれ「ほら、徐々に元の丸い身体に戻りかけてる」

千砂都「……ほんとだ」


すみれ「千砂都は何も悪いことなんてしてないのよ。安心しなさい」

千砂都「うん……」

133: 2022/05/08(日) 22:45:03.60 ID:GwFXkbyg.net
すみれ「それにしても……よく咄嗟に、ロッカーにトラップを仕掛けようなんて思いついたわね」

千砂都「えっと……丸金生成でお金を発射したら、攻撃手段になると思ったの」


千砂都「ロッカーの奥に丸を描いて、紙を立て掛けて中断させ……」

千砂都「そのロッカーを開けると、風が生まれて紙が倒れ、丸が再発射される……」

千砂都「もう一体いたから、相手が驚いてる隙に私も出て、直接ノートから撃ち込んだけど……」

すみれ「まさか、こんな形で丸金生成が役に立つとはね……」

千砂都「う、うん……。嬉しいような、悲しいような……」


すみれ「……って、立ち話してる場合じゃないわ。早く部室を目指しましょう!」

千砂都「うん! …………あ」


千砂都(誰のものかはわからないけど……このペンとノート、お借りします……!)

千砂都(しっかり、武器として使わせてもらいますから……!)

134: 2022/05/08(日) 22:47:54.55 ID:GwFXkbyg.net
ガラガラガラ


「マルー」

すみれ「……ったく、数多すぎったら多すぎなのよ……!」タッ タッ タッ

すみれ「……でも、丸金生成で突破できるようになったし、すぐに部室まで辿り着けそうね」タッ タッ タッ

千砂都「そうだね!」タッ タッ タッ



「うわあ……!?」

「校舎の至るところに、着ぐるみサンがいっぱいいマス……!!」


千砂都(あれは……!)

千砂都「かのんちゃんー!!」

135: 2022/05/08(日) 22:50:06.49 ID:GwFXkbyg.net
☆中庭☆


かのん「……ちぃちゃんだ! 廊下から手を振ってる……!」

可可「すみれも一緒デス……!」


すみれ「かのん! クゥクゥ! 私たちも向かってるから、部室に来なさい! そこで籠城するわよ!」

可可「グソクムシは愚かデスか!? こんな着ぐるみパーティを掻い潜って、部室まで行けるわけなかろーがデスよ!!」

千砂都「……あ! それならこれを……!」

千砂都「かのんちゃん! 受け取ってー!!」


クルクルクル

かのん「うわあ!? すごいスピンかかってる……けどキャッチ!!」

千砂都「丸金生成でお金を発射すれば、あの丸いのを倒せるの!!」

すみれ「それを使って、部室まで逃げてきなさい! 途中で恋を見かけたら、一緒に連れてきて!」

すみれ「……それじゃ、千砂都! 行くわよ!」タッ タッ タッ

千砂都「うん!」タッ タッ タッ


かのん「行っちゃった……」

137: 2022/05/08(日) 22:54:03.42 ID:GwFXkbyg.net
かのん「このノートを渡したってことは、開いたら丸が書いてあるんだよね。どれどれ……」

可可「かのん!? うっかり開けたら顔面ギャラりマスよ!!」

かのん「ひぃ!? そ、そうだった……!」

可可「このノートは、暴発寸前の拳銃デス……! 慎重に扱わなくてはなりまセン……!」


「マルー」ノシノシ

かのん「わっ! 来た……!」

可可「早速、試してみまショウ……!」

かのん「う、うん……」


かのん「The NOTE──第一頁!」ペラッ



かのん「……」

可可「……」

「マルー?」

138: 2022/05/08(日) 22:56:53.08 ID:GwFXkbyg.net
可可「かのん!! それっぽい技名を付けていマスが、肝心の技が発動してまセンよ!?」

かのん「ええぇっ!? この丸は使用済みなのかな……」


「マルー」ノシノシ

可可「ち、近づいてきてマス! 早く撃ってくだサイ!!」

かのん「わ、わかってるよー! えーっと……」


かのん「The NOTE──第二頁……うわっ!」ペラッ

ズゴオオオオオンッ!!!



「マルー?」

可可「どこを狙ってるんデスか!?」

かのん「開き終わる前にもう発射が始まってるから、狙ったところに撃つのが難しいよ~!」

可可「仕方ないデスね……。ここはクゥクゥに任せてくだサイ!」

139: 2022/05/08(日) 23:00:31.87 ID:GwFXkbyg.net
可可「さあ、かかってきやがれデス……!」

「マルー」ノシノシ

可可「覚悟してくだサイ! この丸金生成を、そのまん丸な巨躯に撃ち込んでやりマス!!」

かのん「いけいけー!」



「マルー」ヒョイ

可可「ギャアアアアアアアアアアアア!!!」ブラーン

かのん「クゥクゥちゃあああああん!? 何やってんのー!!?」


「マルー」アーーーン

可可「……フッフッフ! まんまと引っかかりまシタね!」

可可「大口を開けたこのタイミング……この至近距離であれば、どこへ撃っても命中しマス!!」


可可「The NOTE──第三頁!」ペラッ

かのん「あ、その技名気に入ってくれたんだ」

ズゴオオオオオンッ!!!

140: 2022/05/08(日) 23:05:05.05 ID:GwFXkbyg.net
「マァァルゥアアアアアアアアアアアア!!」バタッ


可可「……グヘッ!」ドサッ

かのん「やったやった! ほんとに着ぐるみを倒せちゃった……!」

可可「この調子で、すべての着ぐるみサンを倒したいところデスが……あまりにも数が多すぎマス……!」

可可「千砂都さんがどれほど丸を書溜めてくれているのかわかりまセンが、使える丸は有限デス……」

かのん「弾の数が限られてるなんて、ほんとの銃みたい……」

可可「……不服デスが、グソクムシの言っていた通り、今は部室に隠れるのが最善手かもしれまセン」

かのん「うん……」

141: 2022/05/08(日) 23:10:32.58 ID:GwFXkbyg.net
かのん「……と、その前に! 恋ちゃんを見つけないと……!」

可可「レンレンは音楽科の教室の方にいると思われマス!」

かのん「だね! そっちに寄ってから、部室へと……」


可可「……かのん? どうかしましたか?」

かのん「あの木のところにいるの……」

可可「木デスか……? んー…………あっ!」

クーカー「……マンマル!?」

かのん「なんでこんなところに、マンマルが……?」

可可「……! あれは……」



「今すぐ出て行きなさいーーー!!!」

142: 2022/05/08(日) 23:16:44.66 ID:GwFXkbyg.net
☆廊下☆


恋「はあ、はあ、うっ……! はあ、はあ……」タッ タッ タッ タッ

恋(アレは……理事長ではありませんでした……)

恋(理事長の姿形をした……ナニカです……!)

恋(理事長を、あの大きな口で飲み込み…………理事長の姿になっていました……!)

恋(あの妖は……人に成り代わることもできるみたいです……)


キャアアアアアアアアアアアア!!
シニタクナイヨー!!
ダレカタスケテー
「マルー」


恋(…………嗚呼、結ヶ丘が……)

恋(お母様が遺した、この学校が……)



ズゴオオオオオンッ!!!

恋「!」

恋(また聞こえました……!)

恋(あの爆破音……間違いありません、丸金生成の音……!)

恋(あちらに、千砂都さんが……)

143: 2022/05/08(日) 23:22:05.33 ID:GwFXkbyg.net
恋(……いました!)

恋(千砂都さんはいませんが……かのんさんとクゥクゥさんです!)

恋(よかった……。どうやらご無事なようで…………)

恋(……ん?)


かのん「……タマノカズガ……」ガクガクガクッ

可可「……フフクデスガ……」ガクガクガクッ

恋「っ!?」


恋(あの2人……何故か身体が、ガタガタと震えています……!)ドクンドクン

恋(あの身体の振動……尋常ではありませんっ……!!)ドクンドクンドクンドクン

恋(ま、まさかっ……!!)ドクンドクンドクンドクンドクンドクン

恋(既にあの2人は、妖に化けられた偽者なのでは……!?)ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン

恋(そういえば、先程……音楽科の教室にいた時に、2人の悲鳴が聞こえました……!)ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン

恋(あの時点で既に、妖に食べられ…………成り代わられてしまったのですね……!)ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン

恋(待っていてください! 今すぐ妖を倒し、かのんさんとクゥクゥさんを救ってみせます……!!)ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン

144: 2022/05/08(日) 23:28:06.62 ID:GwFXkbyg.net
恋「今すぐ出て行きなさいーーー!!!」タタタタタタッ

かのん「!? あ、恋ちゃん……!!」

恋「出て行きなさいーーー!!!」ペチペチペチ

かのん「いたいいたいいたい」

可可「な、なんデスかー!?」

恋「かのんさんとクゥクゥさんを返しなさいーーー!!!」ペチペチペチ

かのん「へ……?」

可可「レンレン! 何か勘違いしてまセンか!?」

恋「…………」ペチペチペチ

かのん「いたい……」


恋「……あ、あなた達は……あの丸い妖に食べられ、成り代わられているのでは……?」

かのん「あー。確かにクゥクゥちゃんは食べられかけたけど……」

クゥクゥ「失礼デスね! 本物のクゥクゥデスよ! 見てくだサイ、この髪を!」サラーッ

恋「見た目もそっくりに変身するので、容姿で判断はできませんが……」


恋「……では、身体がずっと震えているのは……?」

かのん「昨日の筋肉痛だよ!」

可可「正直はしゃぎ過ぎまシタ! 今は反省していマス!」

恋「……そ、そうですか」

恋「このゆるい空気感、本物のかのんさんクゥクゥさんで間違いないみたいですね」

145: 2022/05/08(日) 23:35:58.15 ID:GwFXkbyg.net
可可「……しかしデスよ。レンレンだって、我々視点では本物である確証はないのデスよ!」

恋「! た、確かにその通りですが……」

かのん「うーん、顔も髪型も恋ちゃんだねー。身体の方は……」ジーッ

恋「い、いやらしい目つきで見ないでください!///」


可可「では、こうしまショウ!」

可可「今から、レンレンにしか知り得ないクイズを出しマス! これに答えることができれば、レンレンのことを本物だと認めまショウ!」

恋「……はい。見事正解して、自分自身を証明してみせます!」


可可「では問題デス! 『部室のパソコンで、レンレンが一番最後に調べたものは何デスか!?』」

恋「!?」

146: 2022/05/08(日) 23:42:26.33 ID:GwFXkbyg.net
かのん「工口サイトかなあ」

可可「十中八九、工口サイトでショウね」

恋「…………」

恋「ば……」

可可「ば?」

恋「……///」



恋「…………『バター犬 方法』……///」

可可「」


可可「……かのん! このレンレンは本物デス!」

かのん「そうなの? よかったー!」

恋「うぅ……/// 偽者と思われる方がマシでした……」

147: 2022/05/08(日) 23:50:29.81 ID:GwFXkbyg.net
かのん「いやー、でも恋ちゃんが無事でよかった~」

恋「はい、お2人も元気そうで……」

恋「あの、ところで……千砂都さんとすみれさんは……?」

かのん「あ、そうだった! 恋ちゃんを連れてきてって言われてたんだった!」

可可「2人は先に部室へと逃げ込んでいマス! どうやら部室で籠城するみたいデス」

恋「……なるほど。確かに、隠れ場所としてはよさそうではありますが……」

恋「もし攻め込まれた時、屋上しか逃げ道がありません……」

かのん「それなら大丈夫!」

可可「対着ぐるみ兵器がありマスので!」

恋「兵器……?」

恋「ま、まさか……それって……」

可可「そのまさかデス!」


「マルー」

ズゴオオオオオンッ!!!

148: 2022/05/08(日) 23:56:14.70 ID:GwFXkbyg.net
☆部室前 廊下☆


すみれ「……くっ! 行き止まり……」

千砂都「すみれちゃん……」

「マルー」ノシノシ

すみれ「ノート、2冊もらっておくべきだったわね……」

千砂都「ごめんね……? 私が勝手にあげちゃったから……」

すみれ「いや、それはいいのよ。あのままじゃ、かのんもクゥクゥもやばかっただろうし」

すみれ「それにしても……しつこいわね、この饅頭達……!」

千砂都「うん。どこに行っても現れるもんね……」

千砂都「まるで、誰かが私たちを見張ってて、逐一報告してるみたい……」

すみれ「…………」

149: 2022/05/09(月) 00:02:44.30 ID:D62Jt/kV.net
「マルー」


千砂都「……すみれちゃん、いい?」

すみれ「ええ。タイミングは千砂都に任せるわ」

千砂都「……それじゃあ、いくよ……!!」キュッキュ


千砂都「──避けて!!」サッ!

すみれ「……!」スッ!





「マルー!?」

千砂都「発射──」

ズゴオオオオオンッ!!!


「マアアアアアアアアアアアア!!?」バタッ


千砂都「壁に丸を描けば、まっすぐ綺麗に撃ち抜いてくれる……!」

すみれ「あんたのサイズじゃ、この狭い廊下で横に動くこともできないでしょ?」

すみれ「追い込んだつもりみたいだったようだけど……どうやら、追い込まれてたのは饅頭の方だったようね」ブニブニ

「マゥゥアアア..」ピクピク


すみれ「……さ、もうすぐで部室に着くわ」

千砂都「うん! 行こう……!」

150: 2022/05/09(月) 00:11:30.68 ID:D62Jt/kV.net
☆部室☆


ガチャ


千砂都「うぃっす~」

千砂都「……って、誰もいないかぁ」

すみれ「恋は、かのんとクゥクゥが連れてくることを祈りましょう」

千砂都「無事だといいけど……」


すみれ「…………」

千砂都「……すみれちゃん?」

すみれ「何よ、千砂都?」

千砂都「……なんか、悲しそうな表情してるから、気になって……」

すみれ「……悲しくもなるでしょ。学校がこんなことになったんだもの」

千砂都「うん……。そうだけど……」

151: 2022/05/09(月) 00:17:51.03 ID:D62Jt/kV.net
すみれ「……あ、ねえ千砂都」

千砂都「ん?」

すみれ「絆創膏、持ってる?」

千砂都「うん、あるよ。どこか怪我したの……?」

すみれ「……いや、怪我はしてないんだけれど」

千砂都「?」


すみれ「あと……もう一個だけ、千砂都にしてほしいことがあるの」

千砂都「私に……?」

152: 2022/05/09(月) 00:23:16.68 ID:D62Jt/kV.net
ガチャ


かのん「つ、着いたー!!」

可可「はあ、はあ……部室までの道のりが、これほど過酷でシタとは……!」

恋「後半は、連戦に次ぐ連戦でしたね……」

かのん「丸が切れなくてよかったよ~! ちぃちゃんには感謝だね」

千砂都「かのんちゃん! クゥクゥちゃん! 恋ちゃん……!!」

すみれ「皆、集まったわね」

恋「……到着したばかりで、早速ですが……籠城作戦開始です!」


恋「扉の鍵を閉めて……」

かのん「机とかを寄せて、扉前にバリケードを作って……」

可可「それでも突破されそうだったら、丸を撃ち込んでやりマス!」

千砂都「完璧だね! これで後は、レスキューを待つだけ……」


すみれ「……どうやら警察や消防は、当てにならなそうよ」

千砂都「えっ……!」

153: 2022/05/09(月) 00:29:09.24 ID:D62Jt/kV.net
『日本各地に宇宙人!? 報告相次ぐ謎の生命体』

『【閲覧注意】丸い怪物が人間を捕食する瞬間』

『【悲報】エイリアンさん、食べた人間の姿を完璧にコピーできる模様』

『グンマー、エイリアンといい勝負』


千砂都「全国各地で、あの丸いのが暴れてるんだ……!」

かのん「じゃあ……助けは来ないってこと……!?」

すみれ「結ヶ丘以外でも同じような被害なら、それどころじゃないでしょうね……」

可可「この籠城も、せめてもの時間稼ぎ……というわけデスか……」

恋「…………何故、こんなことになってしまったのでしょう……」

千砂都「…………」

154: 2022/05/09(月) 00:39:01.55 ID:D62Jt/kV.net
千砂都「……私のせいだ……」

すみれ「千砂都」

千砂都「私が、丸を描いたから……」

すみれ「やめなさい! 千砂都に責任はないわ!」

千砂都「……でも」


恋「……昨日の、鳥取の丸がすべての原因であるなら、提案して作戦指揮をした私にも責任があります……」

かのん「ええ!? それだったら、私も協力したし……」

可可「クゥクゥもデス……」

すみれ「……過ぎたことを悔いてもしょうがないでしょ!」

すみれ「あんた達は、これからのことを考えなきゃったら考えなきゃでしょ!!」

千砂都「すみれちゃん……」



コンコン

5人「!?」

155: 2022/05/09(月) 00:44:16.23 ID:D62Jt/kV.net
かのん「……もしかして、他の生徒の子かな!?」

かのん「助けを求めてるのかも……入れてあげなきゃ……」

恋「ま、待ってください!!」

可可「……丸エイリアンは、人間に化けることができるようデス。迂闊に信用するのは危険かと……」

かのん「でも、助けを求めてるのなら、私は助けたい……!」

すみれ「……話を聞いてみたら? 扉越しでも会話はできるでしょ」

かのん「うん……! あのー、あなたは……?」



「……私よ、私」

千砂都「この声は……」

かのん「理事長!」

恋「!?」

156: 2022/05/09(月) 00:50:43 ID:D62Jt/kV.net
「ねえ、ここを開けてちょうだい。あなた達に話があるのよ」

かのん「は、はい! 今、開けますので……」

恋「かのんさん! かのんさん……!」

かのん「……恋ちゃん?」


恋「……わ、私は…………先程、目撃したんです……」

恋「エイリアンが、理事長に成り代わっている、姿を……!!」

千砂都「理事長が……!?」

可可「……ということは、今そこにいるのは、エイリアンということになりマスが……」


「ちょっと! 私があの丸共の仲間だっていうの!?」

かのん「え……えええ……!? どっちなの……?」

「とにかく、今すぐ開けて! 可及的速やかに済まさなきゃいけない要件なのよ!」

恋「……よ、要件ならこの場で聞きます! 話してみてください!」

「……ええ、わかったわ」

157: 2022/05/09(月) 00:57:55.23 ID:D62Jt/kV.net
「葉月さんのお父さんが、結ヶ丘の生徒を助けるために色々と手を尽くしてくださってるみたいなの」

恋「……お、お父様が……!?」

「エイリアンのコピーじゃないと確認できたら、すぐさま日本から避難させる手筈は整っているの!」

「あなた達もすぐに検査したいから、早くここを開けて!!」


かのん「……ど、どうするの……?」

可可「この状況下で、救助が来るのであれば……断るなんてあり得まセン」

千砂都「わ、私も……。助かるなら、そっちに方に行きたい……」

恋「…………」

すみれ「恋……?」

恋「……先程見た、理事長は…………ここまで流暢に話せていませんでした……」

恋「もしかしたら、本物……なのかもしれません……」

千砂都「…………」


千砂都「でも、待って……」

千砂都「どうして理事長は……外にいるエイリアンに、襲われてないんですか……?」

恋「!!」

158: 2022/05/09(月) 01:03:39.79 ID:D62Jt/kV.net
かのん「た、確かに……」

可可「外はあれだけエイリアンがいまシタのに、それを掻い潜ってここまで到達するのは、不可能デス……!」

千砂都「……私みたいな能力を持ってるなら、話は別だけど……」

恋「……とにかく、理事長…………いえ、理事長の名を騙る、あなた!」

恋「あなたの作戦には乗りません! 私たちは、ここで籠城を続けます!!」

かのん「そうだそうだー!」

可可「クゥクゥ達は騙されまセンよー!」


「……そうですか」

「ならば、もういいです」





「…………撃ちなさい」

「マルー」「マルー」

ズゴオオオオオンッ!!!
ズゴオオオオオオオンッ!!!


千砂都「!?」

千砂都(この爆破音は……!!)

159: 2022/05/09(月) 01:10:58.18 ID:D62Jt/kV.net
パラ..パラパラ..


かのん「けほっ! けほっ……け、煙が……!」

可可「か、壁を破壊されました……!! かのん! ノートを構えてください……!!」

かのん「う、うん……!!」


恋「……やはり、偽者でしたか……」

千砂都「…………」

すみれ「……3体、いるわね」



リジチョー「『あらまあ。大切な校舎が壊れてしまったわ』」

リジチョー「……という台詞を、元の体の人間なら言うと思われます」


恋「……理事長」

千砂都「これが……エイリアンのコピー能力……」

かのん「……! 理事長の両隣に、丸いエイリアンが……!」

可可「……かのん、落ち着いてくだサイ! やつらはかなり遅いデス。変な動きをした瞬間、即発射すれば対処できマス……!!」

160: 2022/05/09(月) 01:16:10.90 ID:D62Jt/kV.net
リジチョー「……大変長らくお待たせ致しました」

リジチョー「コード、CC065」

千砂都「え……? コード……?」


タッ タッ タッ タッ


恋「完璧な模倣……。しかも、知識や記憶まで完璧に再現しています……」

可可「かのん! 残り丸数も少ないデスから、しっかりと確実に狙ってくだサイ!」

かのん「わ、わかってる! わかってるって~!」


千砂都「…………え」


タッ タッ タッ タッ タッ タッ





すみれ「…………」タッ タッ タッ タッ

千砂都「…………すみれ、ちゃん……?」

161: 2022/05/09(月) 01:21:52.35 ID:D62Jt/kV.net
可可「!? す、すみれ! 何をやってるのデスか!?」

可可「エイリアンに近づくと危険デス! 離れてくだサイ!!」

すみれ「…………」タッ タッ タッ タッ


かのん「す、すみれちゃん……?」

すみれ「…………」タッ タッ タッ タッ


恋「すみれさん……! 聞こえていますか、すみれさん……!?」

すみれ「…………」タッ タッ タッ タッ



リジチョー「CC065。お迎えにあがりました」

すみれ「ええ。ご苦労」


千砂都「な……なん、で…………」

162: 2022/05/09(月) 01:33:06.52 ID:D62Jt/kV.net
すみれ「……ふふっ♪」

すみれ「わーるかったわねぇ! 今まで騙してて!」

すみれ「残念ながら……私は最初から、こっち側だったのよ!」


千砂都「……………………………………………………」

千砂都「……な、なにを、いってるの……………」


リジチョー「任務遂行おめでとうございます」

リジチョー「地球人に巨大な丸を描かせて我々の母船を呼び、そこを拠点として、地球を侵略する我々のプロジェクト」

リジチョー「CC065。地球への船員上陸に無事成功。プロジェクトは現在、滞りなく進行中でございます」

リジチョー「すべて、CC065のおかげです」

すみれ「そう。よかったわね」


かのん「すみれちゃん……? うそ、だよね……」

恋「すみれさん……! 戻ってきてください……!!」

千砂都「すみれちゃん…………」

可可「…………」


すみれ「……ああ、地球人共。今までそこそこ楽しかったわ」

すみれ「私は母星に帰るから、最後に…………あんた達には、この言葉を送ることにするわ」



すみれ「ギャラクシィー☆」

163: 2022/05/09(月) 01:34:49.57 ID:D62Jt/kV.net
ここまで
書き溜めなくなったのでペース落ちます

176: 2022/05/12(木) 00:45:49.10 ID:Ujwj6Kp8.net
すみれ「…………それじゃ、行きましょう」

リジチョー「はい、承知しました」
可可「すみれぇ……!!」

すみれ「…………まだ何か用?」

可可「……もし、そのエイリアン達と共に行くのであれば…………」

可可「……クゥクゥはすみれのこと…………絶対に許しまセン……!!」

すみれ「そう。じゃあ許さなくてもいいわ」

すみれ「もうこの星に来ることは金輪際ないもの」

可可「っ……!」
可可「かのん! カノン砲を撃ってくだサイ! あの丸エイリアンと理事長を撃ち頃してくだサイ!!」

かのん「え……う、うん……」

かのん「……いくよ! 発射ぁー!!」ペラッ

ズゴオオオオオンッ!!!

177: 2022/05/12(木) 00:50:05.96 ID:Ujwj6Kp8.net
すみれ「」シュゥゥゥゥゥ..


かのん「えっ……!?」

千砂都「うそ……」

恋「発射された硬貨を、手で受け止めた……!?」


すみれ「…………もう、地球人のふりをする必要ないものね」

すみれ「あー、ほんと今まで大変だったわ。痛がったり熱がったり、地球人の感覚に合わせるのって」ジュルルル

千砂都「……1円玉が、すみれちゃんの手に吸収されてく……!?」


可可「…………何故、デスか……」

可可「何故、すみれなのデスか……」

可可「何故……何故…………」

178: 2022/05/12(木) 00:54:45.39 ID:Ujwj6Kp8.net
すみれ「……もう用は済んだわね。さあ、行きましょ」

可可「ま、待つデス!! すみれはどこにも行かせまセン!!」

リジチョー「CC065。この人間達は……」

可可「すみれのことを変な名前で呼ぶなデス!!」

可可「すみれには、平安名すみれという、美しい名前が──」

すみれ「はっ、よく言うわ! あんたは私のこと、ずっとグソクムシ呼ばわりしてたくせにねぇ?」

可可「っ!!」


リジチョー「CC065。この人間達は、どうされますか?」

すみれ「…………このままでいいわ。放っておいても、どうせすぐに捕まるでしょうし」

リジチョー「了解しました。それでは参りましょう」スタスタスタ


すみれ「……じゃあね。地球の虫ケラ共」スタスタスタ



かのん「すみれちゃん……!」

「マルー」「マルー」

恋「通せんぼしています……。どうやら追わせないつもりのようですね」

千砂都「すみれちゃん…………」

可可「………………………」

179: 2022/05/12(木) 00:59:03.19 ID:Ujwj6Kp8.net
千砂都(すみれちゃん達が去ってからしばらく、誰も口を開きませんでした……)

千砂都(部室の入り口付近は木端微塵に破壊され、ここからでも階段までよく見えます……)

千砂都(いまだ、校内や外では、エイリアンに襲われている人達の悲鳴や怒号が響いています……)



プルルルルル

かのん「……ダメだ、家に電話掛けても出ない」

恋「私もです……」

恋「……既に、街一帯がエイリアンに占拠されているのかもしれません……」

千砂都「そんな……」

かのん「お母さん……ありあ…………」

恋「今は、無事でいてくれることを願うしかありません……」


千砂都「…………これから、どうしよう……」

恋「この状況で、家に帰るのは危険でしょうね……」

恋「エイリアンがいる可能性がありますし、家族などを模倣して成りすましている場合も考えられます……」

恋「そもそも、一人で家まで辿り着くことすら難しい状況です」

かのん「…………やっぱりここでずっと、来るかもわからない救助を待つしかないのかな……」

可可「…………」

180: 2022/05/12(木) 01:04:16.86 ID:Ujwj6Kp8.net
『……ねえ、クゥクゥ』

『…………帰ったら、ベッドの中で……』


可可「…………帰ったら、ベッドの中……」

かのん「……え?」

可可「…………すみれが、言っていた言葉デス……」

可可「今思えば…………『帰ったら』というのは、母星に帰った時……という意味だったのかもしれまセン……」

恋「ベッドの中……」

かのん「すみれちゃんがクゥクゥちゃんに残したメッセージなら、きっと意味があるはずだよ……!」

千砂都「うん! 私もそう思う!」

可可「…………デスが……すみれは、もう……クゥクゥ達のことは……」

千砂都「…………」


千砂都「ねえ。今からすみれちゃんの家に行ってみない?」

恋「……それはいいですが、街中にエイリアンが跋扈している中、そう簡単には……」

千砂都「」カキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキ!!!


千砂都「……とりあえず、3人分の丸ノート!」

千砂都「これでお互いを守りながら、4人で動けば……すみれちゃんの家までいけると思う……たぶん」

かのん「……ここにいても、仕方ないもんね」

かのん「行こう! すみれちゃんの家に! もしかしたら、そこに何かがあるのかも……!」

181: 2022/05/12(木) 01:07:52.29 ID:Ujwj6Kp8.net
☆神社☆


千砂都「……意外とあっさり来れちゃった」

恋「あのエイリアン、身の危険を察知し、回避できるだけの知能はあるようです」

かのん「エイリアンも本能的に、丸金生成はやばいってわかるんだね」

千砂都「丸金生成……」

千砂都(理事長の側にいたエイリアン達は、私と同じように丸金生成を使ってた……)

千砂都(この能力は、エイリアンの技術によるものなんだろうけど……どうやらその辺にいる有象無象は、この能力を使えないみたいだね)

千砂都(うーん。丸金生成、まだまだ奥が深そう……)


かのん「あー、ちゃんと鍵が締められてる……」

恋「呼び出し鈴を鳴らしていますが、反応なし……。中から人の気配は感じられませんね」

可可「……」ペタペタ

千砂都「? クゥクゥちゃん、窓にガムテープ貼って……何してるの……?」

可可「……この鉄パイプを使いまショウ」ブンッ

パリーン

千砂都「!?」

可可「ガラスにガムテープを貼ってから破ると、破片を散乱させず、音も抑えることが可能デス」ガチャ ガラガラガラ

可可「……ここから入れマス」

千砂都「う、うん……」

千砂都(今のは見なかったことにしよう……)

182: 2022/05/12(木) 01:11:56.25 ID:Ujwj6Kp8.net
☆すみれの部屋☆


恋「中にエイリアンが潜んでいるかも、と思いましたが……」

かのん「エイリアンどころか、すみれちゃんの家族すらいなかったね」

恋「家族……」

恋「すみれさんが宇宙人なのだとしたら……平安名家は皆、宇宙人ということになるのでしょうか……?」

千砂都「んー。すみれちゃんの家族は普通の地球人なんじゃないかな。特に根拠はないけど」


かのん「……この部屋、すごくオシャレ。女の子の部屋って感じがするね」

恋「はい……。彼女が宇宙人だなんて信じられません……」

千砂都「そうだね……。信じたくないって気持ちが大きいからなんだけど……」

可可「…………」


かのん「……あっ! これ、私がすみれちゃんに渡した名刺だ!」

千砂都「……大切に取ってあるんだ」

かのん「なんかこういうの、嬉しいね〜」

183: 2022/05/12(木) 01:15:47.90 ID:Ujwj6Kp8.net
ガサゴソ

可可「…………ありまシタ……」

可可「これが、すみれの残したメッセージ……」

恋「手紙……ですか」

かのん「読んでみようよ」

可可「……クゥクゥは、見たくありません……。かのんが読んでください」

千砂都「いいの……?」

可可「……はい」

かのん「うん、わかった。ではでは、せんえつながら…………」



『ギャラクシー☆

あんた達がこの手紙を読んでるってことは、私の任務は成功して……地球が大ピンチったら大ピンチってわけね。

任務を終えた私は、今頃何してるのかしら?

母星に帰って優雅に余生を過ごすのか、あるいは……って、こんなことはどうでもいいのよ!

……きっと私のことだから、お別れも言わずに去るんでしょうね。
だから、一応ここに書いておくわ。


ありがとう。今まで生きてきた中で、あんた達と過ごした時間が一番楽しかったわ。

さようなら。』

184: 2022/05/12(木) 01:19:09.33 ID:Ujwj6Kp8.net
可可「…………」

かのん「……それと、地図みたいなのが付いてる」

恋「これは……避難場所が描かれていますね。ここに逃げれば安全ということなのでしょうか」

千砂都「すみれちゃんは、私たちを助けようとしてくれてたんだよ……」


可可「…………わかりまセン……」

可可「クゥクゥが知ってるすみれは、偽者だったのデスか……?」

可可「高飛車ぶってるくせに面倒見がよくて……いつも気丈に振る舞っているすみれは、すべて演技だったのデスか……?」

可可「どれが本当の、すみれだったのデスか……?」


恋「……どれも、本物だったのではないでしょうか」

可可「……!」

恋「私たちが知っているすみれさんは、ほんの断片でしかないのでしょう……。それも、すべて演技なのかもしれません……」

恋「……ですが! 私たちがすみれさんと過ごした時間は、間違いなく本物です!」

185: 2022/05/12(木) 01:23:58.13 ID:Ujwj6Kp8.net
かのん「……ねえ、クゥクゥちゃん。すみれちゃんのこと……どう思ってる?」

可可「…………クゥクゥは……」


可可「……会いたいデス」

可可「すみれに、会いたいデス……!」

可可「ずっと側にいてほしいデス……! 隣にいてほしいデス……!!」

可可「真剣にバカやってるクゥクゥ達を見て、呆れながらも笑っていてほしいのデス……!!」

可可「宇宙人とか任務とか知ったことじゃありまセン!」

可可「これからも、ずっと……クゥクゥと一緒にいてくだサイッ……!!」


かのん「……うん! そうだよね……!」

かのん「みんなですみれちゃんに会いに行こう……!」

千砂都「……え?」

恋「かのんさん? な、何を仰っているのですか……? 話が噛み合っていないようですが……」

かのん「へ? だから、すみれちゃんに会うために、UFOに乗り込もうよ!」

恋「話がいつの間にかすり替わっています……!」

千砂都「……あはは! いいね、私たちもUFOに乗っちゃおうよ!」

恋「千砂都さんまで……!」

186: 2022/05/12(木) 01:30:21.13 ID:Ujwj6Kp8.net
可可「……クゥクゥは、すみれを地球に連れ帰りたいと思っていマス」

可可「たとえ嫌がったとしても、ぶん殴ってでも連れて帰ってやりマス!」

かのん「うん! やろう!」

かのん「私たちですみれちゃんを取り戻そう!」

恋「なんて無茶なことを……」

千砂都「あー、恋ちゃんは来ないんだ?」

恋「!」

千砂都「じゃあしょうがないね。私たち三人だけで宇宙に行こっか!」

恋「え……いや、あの……」

千砂都「恋ちゃんは安全な避難所で、もちどる抱えてすやすや寝てればいいよ。うん」

恋「……い、行きます! 私も行きますよー!」

可可「これで4人デス!」


かのん「とは言ったものの、どうやってUFOまで行けばいいんだろ……?」

恋「考えなしに仰ってたんですね……」

千砂都「……うーん。私、ずっと気になってたことがあったの」

千砂都「あの丸エイリアンの鳴き声……どこかで聞いたことあるような気がしてて……」

かのん「マルーって声だよね。マルー、マルー…………」



マンマル『マルー』

4人「マンマル……!?」

187: 2022/05/12(木) 01:34:42.60 ID:Ujwj6Kp8.net
☆澁谷家☆


かのん「私、お母さん達がいないか見てくるね!」

可可「クゥクゥもついていきマス!」


千砂都「マンマル……」

恋「まさか、この子も……」

マンマル「……」


千砂都「ねえ、マンマル……」

千砂都「あなたは……エイリアンなの?」

マンマル「マルー」

恋「あなたの鳴き声が、エイリアンのものと一致するのはわかってるんです!」

恋「なんとか言ったらどうなんですか……!?」

マンマル「マルー?」

恋「くっ……あくまでもシラを切るつもりですか」


千砂都「……マンマル、お願い。教えてほしいの……」

千砂都「どうすれば、あのUFOに乗り込めるの……?」

千砂都「マンマル……」

マンマル「…………」

188: 2022/05/12(木) 01:38:49.51 ID:Ujwj6Kp8.net
キュルルルルルルル..

千砂都「!! マンマルが、巨大化してる……!」

恋「い、いえ! これは……変態(メタモルフォーゼ)です……!」


マンマル「……ア。ア、アア、ア」

千砂都「人の姿に……!」

マンマル「…………チィチャン」

千砂都「……!」

恋「……やはりエイリアン! フクロウを模倣して、かのんさんの家にずっと前から潜んでいたんですね」


かのん「……あー、お母さん達いなかったよ……」

可可「まだ希望はありマス! どこかへ避難しただけかもしれまセンよ!」

かのん「うん、そうだね……………って、誰かいる!」

千砂都「あ、この子マンマル」

マンマル「…………カノン」

かのん「喋ったぁ!?」

189: 2022/05/12(木) 01:42:47.34 ID:Ujwj6Kp8.net
マンマル「……ツイニ、シンリャクノトキガキタ」

マンマル「ワガドウホウガ、チキュウニ、セメイッテイル」

マンマル「チキュウガ、ワレワレノモノニナルノモ、ソウトオクハナイ」

かのん「いやー、まさかマンマルと話ができる日が来るなんてね」

千砂都「感慨深いねぇ」

恋「何故そんなに呑気なんですか……」


恋「……いいですか、マンマルさん? もし我々を攻撃しようとしたら、即座にあなたを仕留めます」

恋「この、丸金生成で」サッ

マンマル「……ワカッタ」ガクガク

可可「震えていマス……。やはり、丸金生成がどういったものなのかを理解していマスね」


千砂都「ねえ、マンマル。キミたちの船には、どうやったら行けるの?」

マンマル「ワレワレ○○○ハ、ワープソウチデ、イドウデキル」

かのん「ワープ?」

マンマル「○ヲツカイ、モノヤセイブツヲ、テンソウデキルノダ」

恋「それって……」

可可「丸を使った物体の転送……千砂都さんの能力と似ていマスね……」

190: 2022/05/12(木) 01:48:17.12 ID:Ujwj6Kp8.net
マンマル「ワレワレノカラダハ、ワープソウチト、ナッテイル」

マンマル「ノミコマレレバ、ワレワレノフネヘト、テンソウサレル」

千砂都「じゃあ、学校で食べられてた先生やみんなは……」

マンマル「イキテイル。オソラク、ホリョトナッテイルノダロウ」

恋「つ、つまり……船に行くためには、あなたの体内に入ればいいわけですね……?」

マンマル「アア。タダイキサキハ、フネノナカニアル、ロウゴクダガ」

かのん「……それでも、行けるならなんだっていいよ!」

マンマル「……」


千砂都「それじゃあみんな、準備はいい!?」

可可「あ、待ってくだサイ! 一度、クゥクゥの家に荷物を取りに帰りたいデス」

かのん「わかった! じゃあ今度は私がついていくよ!」

可可「背中は頼みまシタよ、かのん!」

かのん「おう!」


恋「すごいですね、あの2人は……。こんな状況でも楽しんでいます……」

191: 2022/05/12(木) 01:53:25.10 ID:Ujwj6Kp8.net
恋「千砂都さんは、もう準備はいいのですか?」

千砂都「うん。私はペンさえあれば戦えるから」

恋「そうですか……。私は唯一の武器がこのノート1冊なので、少し心許ないです……」

恋「何か、他に自衛できそうなものを持っていった方がよさそうですね……」

千砂都「…………」


千砂都「恋ちゃん。ちょっと服脱いでみて」

恋「えっ! な、何をいきなり……/// マンマルも見ているんですよ……!?///」

千砂都「いいから脱いでよ」

千砂都「さあ、さあ、さあ」

恋「そんな乱暴に……!/// 女の人っていつもそうですね……!///」

恋「ああっ!/// だ、ダメです千砂都さん……!!/// あああああああ…………」

192: 2022/05/12(木) 01:58:06.57 ID:Ujwj6Kp8.net
キュッキュッキュ


恋「…………これは」

千砂都「恋ちゃんの身体に、丸を描いておいたよ」

千砂都「裾をめくったり、ちょっと露出するだけで発動する位置に描いておいたから」

恋「……そ、そうでしたか……。私、てっきり……」

千砂都「てっきり……どうしたのかなぁ??」ニヤニヤ

恋「なっ、なんでもありません!!///」

千砂都「んー? どうしたのー? 赤くなってるよー?」ニヤニヤ

恋「うぅ……千砂都さんがいじめてきます……」シクシク



千砂都「……ねえ、マンマル」

マンマル「ナンダ」

千砂都「マンマルも、何か任務があって地球に来たんだよね。どんな任務なの?」

マンマル「……」


マンマル「ワレワレニアタエラレタ、メイレイハ、タダヒトツ」

マンマル「『○ヲアイスルニンゲンヲサガセ』……ダ」

千砂都「……!」

193: 2022/05/12(木) 02:03:01.54 ID:Ujwj6Kp8.net
マンマル「シンリャクキョテンニ、サイテキナバショ。コレヲ、ニンゲンニエラバセル、ヒツヨウガアッタ」

マンマル「ソコデ、ニンゲンガ、ショウバイナドニリヨウスル、『ツウカ』ヲエサニシタ」

マンマル「タダ、ソレダケデハ、マダタリナイ」

マンマル「○ヲアイシ、○ニアイサレタニンゲンデアレバ、カンペキナ○ヲ、エガコウトスルハズ」

マンマル「ダカラコソ、チィチャンノヨウナ、○ヲアイスルニンゲンヲ、サガシテイタ」

マンマル「ワレワレノドウホウハ、アラユルカイワイニチラバリ、カツドウヲツヅゲテイタ」

マンマル「ヤキュウカイヤ、ラーメンカイ……。ファッションビルヲ、ウンエイスルヤツモイル」

千砂都(ファッションビル……OIOIかな……)


マンマル「ソウシテヨウヤク、チィチャンヲミツケタ」

千砂都「全部、計画通りってわけなんだね……」

マンマル「ソノトオリ」

マンマル「ニホンハ、○ノクニダ。アラユルモノガ、○デデキテイル」

マンマル「ソンナニホンデ、チィチャントデアウノモ……ヒツゼンダッタノカモシレナイナ」

千砂都「……そうだね」


千砂都「ずっと知らない何者かの掌の上で踊らされてるようで、いい気分じゃないけど……」

千砂都「でも……やっぱり私、丸が好きだし……好きでよかったって思える」

マンマル「……ヤハリチィチャンハ、スジガネイリノ、○ズキダナ」

千砂都「えへへ」

194: 2022/05/12(木) 02:12:58.78 ID:Ujwj6Kp8.net
可可「お待たせしまシター!」

かのん「がいせんだよー!」

恋「……あのぉ、その手に持っているものは……?」

かのん「何って、決まってるじゃん!」グッ

可可「鳥取のお土産屋さんで購入した……」グッ

クーカー「エクーカーリバー!!」シャキーン


恋「……ただの木刀ですよね」

かのん「違うよ! これは、世界を守るための正義の剣だよ!」

可可「正義のために振らねば、ダークサイドに染まってしまうという勧善懲悪仕様となっていマス!」

千砂都「ちゃんと設定も付けてる……!」


かのん「みんな、これで準備完了だね」

千砂都「うん!」

可可「はい!」

恋「いつでもいけます!」

かのん「……絶対に、すみれちゃんを取り返すよ!」

可可「……任せてくだサイ……!」



マンマル「デハ、モトノカラダニモドル」キュルルルルルルル

マンマル「……カヨワキニンゲンドモニ、サチアランコトヲ」アーーーン

千砂都「ありがとうね、マンマル!」


かのん「…………それじゃあ、いくよ……!」

195: 2022/05/12(木) 02:13:51.17 ID:Ujwj6Kp8.net
サボってたら更新遅くなってしまった

宇宙編へ

200: 2022/05/13(金) 23:37:40.38 ID:Xg2sgdqs.net
☆トオイキオク☆
『……あ、お星さまが光ってる』

『きれい……』

『私もお星さまになったら、あんな風にかがやけるのかな……』
『ウウゥ…』

『えっ……!』

『どうしよう……川でなにかがおぼれてる……!』

『まっててね!』

『今、たすけに行くったら行くんだから……!』

『ウゥ…』
──コレガ、ニンゲン……──

201: 2022/05/13(金) 23:45:24.70 ID:Xg2sgdqs.net
☆宇宙船☆


「CC065」

すみれ「…………」

「おい、CC065」

すみれ「……え、ああ…………何かしら?」

「ようやく反応したアル」


「おまえには、感謝してるネ」

「われが○○を与えた地球人が、おまえの導きで○を描き、母船を呼んだアル」

「そのおかげで、われの功績が評価されたヨ」

すみれ「……そう。よかったわね」

「われわれ○○○は、『個』をもたないアル。全体で一つの生命だからネ」

「だがこの星に潜入し始めてから、われは自身の思考を持つようになったヨ」

「『考える』……これが『個』というものなのだと、実感してるネ。CC065はどうアルか?」

すみれ「……そんなこと訊いてどうするのよ」

「少し気になっただけアル。答えるつもりがないのであれば別にいいネ」

すみれ「……」


リジチョー「CC065。帰りのご案内いたします」

すみれ「ええ、ありがと」


すみれ「……ちなみに、あんたの地球語いろいろ間違ってるわよ」

「嘘ヨ!?」

202: 2022/05/13(金) 23:50:15.96 ID:Xg2sgdqs.net
☆宇宙船 捕虜収容所☆


「ここどこ……私たちどうなっちゃうの……」

「怖いよ……もう地球には帰れないの……?」

恋「…………」


恋「一先ず、捕虜のふりをして様子を見ていましたが……」

恋「この巨大な部屋には扉は一つだけ。外側からしか開閉できないようです」

かのん「たまにほりょの移動とかで開いたりするけど、エイリアンが多すぎて突破するのは難しそう……」

可可「扉も壁も床も、蟻んコ一匹入る隙もなく、頑丈に作られていマス」

可可「丸金生成でぶち破れる程やわではありまセンね……」

千砂都「唯一の穴は、あそこにあるガラス窓かなあ」

千砂都「…………10m以上の高さのとこにあるけど」

4人「うーん……」


恋「扉から出るのはリスクが高過ぎます」

恋「しかし窓から出るには位置が高過ぎます。困りましたね……」



「おーい、みんなー!」

203: 2022/05/13(金) 23:55:22.15 ID:Xg2sgdqs.net
かのん「なやこ……!」

ななみ「かのん達も捕まっちゃったんだ……」

恋「いえ、捕まったわけではなくてですね……」

やこ「しーっ! 部屋の中にもエイリアンがいるんだから、こういう話は内密にしないと……!」

可可「内密……かのんが一番苦手なものデスね」

かのん「あははー参ったねこりゃ」

ここの「こんな状況なのに呑気すぎるでしょ……」


ななみ「もしかして、ここから脱出する方法を考えてるの……?」

かのん「うん。でも今のところどっちの道も難しそうかなー」

やこ「……ねえ。私たちに手伝えること、何かないかな!?」

千砂都「! 手伝ってくれるの……?」

ななみ「勿論よ!」

ここの「このままどこか知らない惑星に拉致られるなんてごめんだもん!」

204: 2022/05/14(土) 00:00:45.14 ID:lh/UDkKn.net
かのん「手伝いかー……。何を手伝ってもらうべきなんだろう」

やこ「今は何に困ってるの?」

可可「なんとかして、あの10mの高さにある窓に届くようにしたいところデス」

恋「しかし道具も何もない中、どうやっても不可能……」

ななみ「……いや、できる!」

ここの「うん! 捕まった人たちで人間タワーを作れば、駆け上がれるよ!」

千砂都「ええっ!? たしかに、それなら高さ問題は解決するけど……」

かのん「10mなんて、組み体操でもお目にかかれないレベルだよ……!?」


ななみ「……やろう!」

やこ「そうだね!」

ここの「やるっきゃないよね!」

恋「正気ですか……!」

ななみ「あの窓にさえ届けば、後はかのん達がどうにかしてくれるんでしょ?」

かのん「……うん! 任せて!」

可可「……しかし、タワーを作るにはまだまだ人が必要デス」


ありあ「……まったく、お姉ちゃんはしょうがないなあ」

かのん「ありあ……!」

205: 2022/05/14(土) 00:05:55.92 ID:lh/UDkKn.net
澁谷母「子供の踏み台になる……それが、親の務めってものでしょ?」

かのん「お母さん……!」

澁谷父「español」

かのん「お父さん……!」

理事長「生徒のためなら喜んで踏まれましょう」

かのん「理事長……!」

大家「唐さんのため、一肌脱ぎますか」

かのん「……誰!」

可可「うちの大家さんデス」

結ヶ丘生徒「私たちがみんなを導くから!」

かのん「みんなぁ……!」


ニダンメー! サンダンメー! ドダイグラグラスルナー!!

千砂都「す、すごい! 数万人が一致団結して……」

恋「一つのピラミッドになっていきます……!」

かのん「これが、地球人の結束力……!」

206: 2022/05/14(土) 00:11:09.34 ID:lh/UDkKn.net
「マルー!」ノシノシ

「マルーマルー!!」ノシノシ


千砂都「ピラミッドを破壊するつもりだよ!!」

かのん「邪魔だー!」

かのん「喰らえ! 私のエクーカーリバーを……!」ブンッ

かのん「ぎゃあ」ボヨンッ

可可「何をやっているのデスか! ここはクゥクゥに任せてくだサイ!」

可可「喰らえ! エクーカーリバー!!」ブンッ

可可「ギャア」ボヨンッ

恋「ふざけてないで、真面目にやってください!」ペラッ

ズゴオオオオオンッ!!!


ななみ「さあ! 私たちを踏んで行って!!」

千砂都「ありがとう! エイリアンの応援が来る前に、頂上まで登っちゃおう!」

207: 2022/05/14(土) 00:17:05.91 ID:lh/UDkKn.net
かのん「うおおおおおおおおおおお!!!」ダッ ダッ ダッ ダッ

恋「すみませんすみません! 少しばかり踏ませてください……!」フミフミ

千砂都「……頂上! 着いた!」

可可「ガラスにガムテープ貼りまシタ! 準備OKデス!」ペタペタ

かのん「それじゃ、一斉に発射するよ!」

かのん「……せーのっ!」

ズゴゴゴゴオオオオオオオオオオンッ!!!


千砂都「やった! 開いたよ……!!」

恋「ここまま部屋の外へ攻め入りましょう!」



「……あ、あの!」

可可「!」

かのん「わっ、ちっちゃいすみれちゃんだ!」

可可「すみれの妹さんデス」

ちびれ「皆さん、お姉ちゃんのお友達……ですよね」

ちびれ「お姉ちゃん、どこかで見ませんでしたか?」

かのん「えっ……!?」

ちびれ「お姉ちゃん……この近くにいる気がするんですけど、どこにいるのかわからなくて……」

208: 2022/05/14(土) 00:21:13.74 ID:lh/UDkKn.net
千砂都「どうしよう……なんて答えたら……」ヒソヒソ

恋「姉は宇宙人だなんて言っても、信じてもらえないでしょうし……」ヒソヒソ

可可「…………」


可可「……安心してくだサイ」

可可「すみれには必ず、会えマスから……!」

ちびれ「本当……?」

可可「約束しマス!」

ちびれ「……うん! 待ってる……!」


可可「……クゥクゥ達が、必ず……」

かのん「……必ず!」

恋「……ここからは本格的な戦闘になることが予測されます。くれぐれも油断しないように」

千砂都「もしピンチになったら、すぐに助けを呼ぼうね!」

可可「了解デス!」


かのん「…………攻撃開始だー!」

ズゴオオオオオンッ!!!

209: 2022/05/14(土) 00:25:35.46 ID:lh/UDkKn.net
☆宇宙船 搭乗口☆


リジチョー「CC065。こちらの小型船で、あなたの船まで飛行できます」

すみれ「……そう」

すみれ「はあ……。これからあの砂の星に帰らなきゃいけないのね。いやになるわ」

リジチョー「希少な金属がたくさんあるいい星ではありませんか」

すみれ「……あんた達にとってはそうかもしれないわね」

リジチョー「搭乗されましたら、責任を持って出発まで見守らせていただきます」

すみれ「……好きにしなさい」


すみれ(戻ったらまた、周りも見えず身動きひとつ取れない箱に押し込められ、任務のために外星に送られる……)

すみれ(次はどこの星に送り込まれるのかしら?)

すみれ(……こんなこと考えるだけ無駄ね)

すみれ(私は☆☆☆に生まれた、個体コードCC065だもの)

すみれ(導きに従い、ただ生きるだけ……)

210: 2022/05/14(土) 00:32:23.48 ID:lh/UDkKn.net
「マルー!! マルマルー!!」

リジチョー「騒々しいな……。何があった?」

リジチョー「……何? 侵入者が4匹いるだと?」

すみれ「……!」

リジチョー「どうやってこの船に……まあそれはいい。一刻も早く排除しろ」

「マルマルマルー!!」

リジチョー「何? 船内で暴れ、捕虜も逃している……だと?」

「マルー…マルマルー」

リジチョー「戦闘員がほとんど地球に降りているから、今の船員だけでは太刀打ちできない…………」

リジチョー「……いいからなんとしてでも止めろ!」

リジチョー「あの場所にだけは、絶対に行かせるな……!」


すみれ「……何か手伝った方がいい?」

リジチョー「……いえ、これは○○○の問題です。☆☆☆とは関係ありませんので」

すみれ「……そう。別にいいけど」


すみれ「…………」

211: 2022/05/14(土) 00:35:20.41 ID:lh/UDkKn.net
☆宇宙船 連絡通路☆


「マルー!」ゾロゾロ


千砂都「ごめんかのんちゃん! こっちは手一杯だから、そっちのエイリアンはお願い!」ズゴオオオオオンッ!!!

かのん「り!」

かのん「本当はエクーカーリバーで戦いたいけど……がまんがまん」

かのん「……発射ぁ!」ペラッ

ズゴオオオオオンッ!!!

「マゥゥアアアアアアアアアアア!!?」バタッ

可可「かなり命中率を上げまシタね、かのん!」

可可「……3回に1回は当たっていマス!」

かのん「どんなもんよー!」



「きゃあああ!?」

「マルー」ノシノシ

恋「少し下がっててください!」

恋「……喰らいなさい!///」スカート ピラッ

ズゴオオオオオンッ!!!

「マウッシャアアアアアア…」バタッ

212: 2022/05/14(土) 00:41:47.21 ID:lh/UDkKn.net
「マルー」「マルー」「マルー」ゾロゾロゾロ


「お、おい! こっちからも来てるぞ!」

「倒しても倒しても、どんどん出てきてるよ……」

「葉月さん! 私たちどこに逃げればいいの……!?」

恋「……!」

「葉月さん!」

恋「…………」


恋(もう二度と、あのような失態は重ねません……!)


恋「……皆さん、こちらです!」

恋「エイリアン達が地球に来る時に使用した転送装置が、大通路の奥にあります!」

恋「それを利用し、皆さんを鳥取砂丘……地球へと転送します!」

恋「装置までの道のりは…………この私が、導いてみせます……!!」

「葉月さん……!」

213: 2022/05/14(土) 00:46:59.82 ID:lh/UDkKn.net
可可「破ァァァァァッ!!」ペラッ

ズゴオオオオオンッ!!!

「マルー!?」ズコッ

「マルー!」「マルマルー!?」ボヨンボヨンボヨンッ


かのん「すご! 可可ちゃん、今何したの……!?」

可可「エイリアンの足を撃ってみまシタ!」

可可「あの不安定な身体で足が使えなくなれば、その場で倒れて身動きが取れなくなりマス!」

可可「起き上がることもできずにもがくことで、周囲のエイリアンも足止めすることができるのデス!」

かのん「なるほどー! でも、よく足に当てれたね!?」

可可「フッフッフ! どうデスか、このエイムは! 今度からはスナイパーと呼んでくだサイ!」 



千砂都「手のひらに描いて……」キュッキュ

千砂都「発射──」パッ

ズゴオオオオオンッ!!!

千砂都「腕に3つ描いて……」キュッキュッキュ

千砂都「3連、発射──」サッ

ズゴゴゴオオオオオオオオンッ!!!

214: 2022/05/14(土) 00:51:49.20 ID:lh/UDkKn.net
千砂都「うん。うんうんうん……!」

千砂都「すごくいい調子……!!」

恋「避難も順調に進んでいます! このままのペースであれば、そう時間はかからないと思われます!」

かのん「攻めてくるエイリアンもだんだんと減ってきたね!」


可可「…………あの!」

可可「クゥクゥは先に、すみれを探しに行きたいデス……!」

千砂都「クゥクゥちゃん……」

恋「待ってください! 独断専行は承認できません! エイリアンに不意を突かれたらどうするつもりなのですか!?」

恋「探すなら、4人で探すべきです!」

可可「で、デスが……!」

可可「今、こうしている間にも……すみれは母星に帰ってしまうかもしれまセン……!」

千砂都「……何光年先の星まで追いかけるのは、流石に難しそうだよね」

可可「そうデス! だからこそ、今すぐに見つけないと……」

215: 2022/05/14(土) 00:56:30.39 ID:lh/UDkKn.net
かのん「ダメだよクゥクゥちゃん」

可可「かのん……!? 何故止めるのデスか!!」

かのん「…………一人で行くなんて、ダメだよ」

可可「!」

かのん「……私も行くよ!」グッ

可可「かのん…………はい!!」グッ

クーカー「このエクーカーリバーで、道を切り拓く……!」シャキーン


恋「……かのんさんが同伴するなら、まあいいでしょう」

可可「レンレン……!」

千砂都「クゥクゥちゃん! すみれちゃんのこと……頼んだよ!」

可可「任せてくだサイ……!」


恋「避難が完了しましたら、私と千砂都さんも合流します!」

千砂都「かのんちゃん、クゥクゥちゃん。気をつけてね……」

かのん「行ってくるー!」タッタッタッ

可可「必ずやすみれを見つけ出して、連れ帰ってきマスー!」タッタッタッ

216: 2022/05/14(土) 01:02:09.59 ID:lh/UDkKn.net
☆宇宙船 搭乗口☆


リジチョー「では、ハッチを閉めてください」

リジチョー「ハッチが閉まると、自動的に目的地まで飛行するようになっております」

すみれ「…………」

リジチョー「? どうかされましたか?」

すみれ「このおでこに貼ってあるやつ。ずっと違和感あって邪魔なの。取ってくれないかしら?」

リジチョー「はあ……承知しました。では、少しお顔の前を失礼……」

リジチョー「……これは、地球にあるバンソーコーというものですね。では、剥がします」

ペリペリ



すみれ「……ねえ。私の名前って……何かしら?」

リジチョー「☆☆☆の個体コードCC065です。それが何か?」

すみれ「そう……CC065…………」

217: 2022/05/14(土) 01:06:31.05 ID:lh/UDkKn.net
☆☆☆☆☆


『──スミレ! 氏ナナイデクダサイ! スミレ……!!』

『…………あーあ。まだ、私……ぜんぜんかがやけてないのに……』

『こんなところで……終わる、なんて…………』

『無理ニ喋ラナイデクダサイ! 今、救急車ヲ……』

『……私ね。あなたの、目的…………知ってるわ』

『エッ……!?』

『あなたは…………人間に、ならなきゃ……いけないんでしょ……?』

『……ド、ドウシテソレヲ……』

『ふふっ……これだけ、長いこといたら…………わかるわよ……』

『ス、スミレ……! モウコレ以上、喋ッテハ……』

『いいの…………わかってる、から……』

『もう、助からないって…………』

『スミレ…………』

218: 2022/05/14(土) 01:11:18.96 ID:lh/UDkKn.net
『…………ねえ、C子……』

『私の体……使えば…………私に、なれるん、でしょ……』

『……いいわよ…………私に、なってちょうだい……』

『ッ!? ナ、ナニヲイキナリ……』

『…………そう、よね……。やっぱり……私の人生なんて…………いやよね』

『ソ、ソンナコトナイ……!』

『……だったら、この体を…………受け取って、ほしい……』

『私の、じんせ……い…………あなたに……うまく、生きてほしい』

『私、が…………叶えられ、なかった……夢……を、あなたに……たくす、わ……』

『スミレ……!』

『…………ちがう、わよ……』

『きょう、からは……あなた、が…………』


☆☆☆☆☆


すみれ(3,2,1……)

すみれ「発射──」

ズゴオオオオオンッ!!!


リジチョー「…………えっ」ブシャー

リジチョー「おでこに……○、が……」バタッ

219: 2022/05/14(土) 01:13:56.36 ID:lh/UDkKn.net
リジチョー「…………CC065。……ワレワレヲ、ウラギル、ノカ……」ピクピク


すみれ「……違うわよ」

すみれ「私の名前は……平安名すみれ」

すみれ「平安名すみれったら、平安名すみれよ……!」

すみれ「しっかりと覚えておきなさい! …………って、もう氏んでるわね」



すみれ「さて……丸い奴らを裏切っちゃったからには、地球人側に着くしかないわね」

すみれ「まったく……普段は私に厳しいくせに、どうしてこういう時だけは助けに来ちゃうのかしら……?」

すみれ「……誰も助けてくれなんて、頼んでないのに…………」

すみれ「ほんと…………バカな子達なんだから……!」〜♪

220: 2022/05/14(土) 01:15:55.89 ID:lh/UDkKn.net
まだちょっと続く

223: 2022/05/14(土) 23:28:17.96 ID:lh/UDkKn.net
☆宇宙船 連絡通路☆
さや「お嬢様……どうかご無事で……」

恋「はい。必ず帰りますから……」

キュィィィン
恋「……これで全員の避難が済みました」

恋「私たちもすみれさん捜索に移りましょう……!」
恋「千砂都さんー」タッタッタッ

千砂都「…………」

恋「……千砂都さん?」
千砂都「手の甲に、丸を描いて……」キュッキュ

千砂都「発射──」
「マルー?」

千砂都「………………………」

恋「おや? 不発ですか……」

224: 2022/05/14(土) 23:31:40.55 ID:lh/UDkKn.net
「マルー」ノシノシ

恋「ここは私に任せてください!」

千砂都「う、うん……」

恋「服を……脱ぎ脱ぎして……///」ヌギヌギ

恋「……喰らいなさい!」



「マルー?」

恋「えっ……」

恋「な、何故!? 発射されないのですか……!」

恋「丸は完璧なはず……それなのに、どうして……!?」

千砂都「……私も、さっきから丸を描いてもお金が出なくなってて……」

恋「……まさか!」

恋「千砂都さんの丸金生成が……機能していない……!?」

千砂都「わからないけど……いま確実に言えることは…………」



「マルー」「マルマー」「マルーマル」ゾロゾロゾロ

千砂都「私たち……大ピンチってことだよ……!」

225: 2022/05/14(土) 23:35:38.48 ID:lh/UDkKn.net
☆宇宙船 倉庫☆


可可「…………やばいデス」

かのん「く、クゥクゥちゃん……」

ペラペラペラペラッ

可可「ノートから……硬貨が発射されなくなってしまいまシタ……!」

かのん「……私もダメだ。まだ全部は使ってないはずなのに……」

可可「かのんとクゥクゥだけ発射できなくなったのであれば、まだいいのデスが……」

可可「もし、丸金生成自体が機能しなくなっていたとしたら…………」

かのん「……で、でも! 私たちには、無敵のエクーカーリバーがあるよ!」

かのん「これさえあれば、丸金生成がなくても戦え…………あっ!?」


可可「……そうデス。クゥクゥ達にはまだ、戦える武器がありマスが…………」

かのん「…………ちぃちゃん達には、ない……!」

かのん「ちぃちゃん達が危ない……!!」

かのん「助けに行かなきゃ……!!」

226: 2022/05/14(土) 23:39:37.11 ID:lh/UDkKn.net
可可「……かのんは今すぐに、千砂都さんとレンレンを助けに向かってくだサイ!」

かのん「!? クゥクゥちゃんはどうするの……!」

可可「クゥクゥは……このまま、すみれを探します」

かのん「で、でも……!」

可可「安心してくだサイ、かのん!」

可可「クゥクゥにはこの、無敵のエクーカーリバーがありマスから!」グッ

可可「クゥクゥ一人でも、なんとかしてみせマス!」

かのん「クゥクゥちゃん…………」



かのん「……クゥクゥちゃん、氏んじゃいやだよ……!?」タッタッタッ

かのん「また、いつか、絶対…………一緒に旅行に行って、どこかのお土産屋さんで木刀買おうね……!?」タッタッタッ

可可「はい! その時は、木刀すべて買い占めてやりまショウ……!」

かのん「約束だよ!? 絶対ぜーったいに、約束だからね……!?」タッタッタッ

可可「はい……! クーカーコンビは……永遠に不滅デス……!!」



可可「…………そうデス。こんなところで、くたばってなんかいられまセン……!」

「マルー」ノシノシ

可可「……すみれを、連れ戻すまでは…………」

227: 2022/05/14(土) 23:42:37.28 ID:lh/UDkKn.net
かのん「はあ……はあ……」タッタッタッタッ

かのん「クゥクゥちゃんに、あんなこと言ったけど……」タッタッタッタッ

かのん「よくよく考えたら、私も一人になっちゃってるじゃん……!」タッタッタッタッ

かのん「ちぃちゃん達に合流するまで、一人だし……」タッタッタッタッ

かのん「合流しても、戦えるのは私一人……」タッタッタッタッ

かのん「……ううん! そんなことどうだっていい!」タッタッタッタッ

かのん「今はとにかく、ちぃちゃん達のところへ急がなきゃ……!」タッタッタッタッ


「マルー」ノシノシ

かのん「ひぃぃ!? もう遭遇しちゃったよ……!!」タッタッタッタッ


かのん「……お、落ち着いて……私」タッタッタッタッ

かのん「私でも……戦えるはず……。自信を持って……」タッタッタッタッ

かのん「普通に攻撃しても、あの柔らかいボディで弾かれるだけ……」タッタッタッタッ

かのん「どうすれば、倒せるかな……?」タッタッタッタッ

228: 2022/05/14(土) 23:45:37.04 ID:lh/UDkKn.net
かのん『すご! 可可ちゃん、今何したの……!?』

可可『エイリアンの足を撃ってみまシタ!』

可可『あの不安定な身体で足が使えなくなれば、その場で倒れて身動きが取れなくなりマス!』


かのん「足……そういえばクゥクゥちゃんが言ってたね……」タッタッタッタッ

「マルー」ノシノシ

かのん「捕まったら終わりだ……」タッタッタッタッ

かのん「……この勢いのまま、木刀を打ち込む……!」タッタッタッタッ


「マルー」グワッ

かのん「」シュッ

かのん(速度が出てる状態で一気に身体を下げ、エイリアンの側に滑り込み……)

かのん(構えていた木刀で、足を…………)

かのん(──打つっ!!)ブンッ

「マルー!?」グランッ

229: 2022/05/14(土) 23:48:18.45 ID:lh/UDkKn.net
かのん「……倒れてない! 力が弱かったのかも……!」

かのん「でもバランスは崩した! あとは……」


かのん「うおおおおおおおおお!! 倒れろおおおおおおおおおお!!」ドスコイッ!!

「マルー!?」グラグラ..

かのん「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」ドスコイドスコイッ!!!

「マ、マルーーーーー!!」


「…マルッ!!」ドテッ

かのん「やった! 倒した……!」



「マルー」「マルマルー」ゾロゾロ

かのん「! いっぱいきたー!?」

かのん「……今のは一対一だからなんとかなったけど、流石にあんなたくさんの数を相手には…………」

「マ、マルー」バタバタ

かのん「……っ! そうだ、ひらめいたー!」

230: 2022/05/14(土) 23:52:08.59 ID:lh/UDkKn.net
☆宇宙船 連絡通路☆


「マルー」「マルマールー」「マーママルー」ゾロゾロゾロ


千砂都「ど、どうしよう……」ジリジリ

恋「丸金生成が使えない今……私たちは丸腰の丸裸です……!」ジリジリ

千砂都「丸裸は恋ちゃんだけだよ……」


恋「どうにかして、丸金生成を再起動させることはできないのでしょうか……?」

千砂都「うーん……」

千砂都「元々エイリアンが使ってるテクノロジーみたいだし、どういう理屈で発動してるのかもわからないよ……」

恋「先程までは使えていたのに突然停止したことを鑑みるに、何か停止した原因があるはずなんです……」

恋「しかし……今この状況では、原因を突き止めるどころの話ではありませんね……」


「マルー」ゾロゾロ

千砂都「……どんどん、距離が縮まってきてる……!」

恋「くっ……! 最早ここまでですか……万事休す…………」

千砂都「…………かのんちゃん……!」


「どすこおおおおおおおおおおおおおおい!!!」ドドドドドッ

231: 2022/05/14(土) 23:55:16.21 ID:lh/UDkKn.net
千砂都「この声……!」パァァ


「マルー!?」ボヨンッ

「マルーマルー!!」ボヨンッ

マルマル ボヨンボヨン マルマル ボヨンボヨン マル ボヨンッ!!!


千砂都「……かのんちゃん!」

恋「かのんさん……!」

かのん「あーよかったー。迷わずちぃちゃん達のとこに着けたー」


恋「か、かのんさん……一体何をしたのですか……!?」

かのん「ドターンって転んだエイリアンを大玉転がしみたいにコロコロしてボウリングみたいにコロコロしてきたの!」

恋「擬音と比喩が多くてわかりづらいですが……」

千砂都「とにかくありがとう、かのんちゃん!」

千砂都「かのんちゃんが助けににきてくれなかったら、危ないところだった……」

かのん「いやー間に合ってよかったよー」

かのん「ちぃちゃん達の方も丸金生成が止まってるかもしれないから、急いで来たんだよ」

千砂都「ありがと、かのんちゃん……! 大好き!」


恋「……ちょ、ちょっと待ってください!」

恋「かのんさん…………クゥクゥさんはどうしたんですか……!?」

232: 2022/05/14(土) 23:58:40.16 ID:lh/UDkKn.net
かのん「クゥクゥちゃんは、すみれちゃんを探すって……」

恋「それで一人にしてきたんですか!?」

かのん「……一人でも大丈夫だって、言ってたから……」

恋「大丈夫なわけがありません! 敵に囲まれたらどうするつもりですか!?」

かのん「クゥクゥちゃんが大丈夫って判断したんだから大丈夫だよ!」

かのん「私は……クゥクゥちゃんを信じてる」

恋「かのんさんは浅慮が過ぎます! クゥクゥさんと共にこちらへ戻り、また4人で動くべきだったのでは……」

千砂都「まあまあ! 二人とも落ち着いて!」


恋「……とにかく、今すぐクゥクゥさんの元へ向かいましょう」

かのん「うん……」

千砂都「……丸金生成が使えないから、戦闘はかのんちゃん頼りになっちゃうけど……」

恋「私にも、何か戦える武器があれば……」

かのん「……心配ないよ! 私が2人を守るから!」

かのん「泥舟に乗ったつもりでドーンと構えててよ!」

恋「沈んでます!」

千砂都「大丈夫かなぁ……」

233: 2022/05/15(日) 00:02:24.34 ID:nggMJuxf.net
☆宇宙船 倉庫☆


可可「木刀の先をエイリアンの足元に刺し……」

可可「柄の部分を押し上げれば……」グググッ

「マルー!?」ドテンッ

可可「テコの原理の完成デス……!」

可可「この調子で、どんどん進んでいきまショウ……!」


「マルー」

可可(隙だらけデスね! 足元を叩きマス……!)

「マルーーーー!!」バタバタ

「マルー!?」ドテッ

可可「!?」

可可(倒れたエイリアンが暴れ、他のやつがクゥクゥの方に押されてきまシタ……!!)

可可「痛ッ!」ベタッ

可可(ウグゥ! クゥクゥが倒れてしまいまシタ……! 早く体勢を整えなければ……)

234: 2022/05/15(日) 00:05:30.41 ID:nggMJuxf.net
「マルー」「マルマルー」ゴゴゴゴゴゴ..

可可(まずいデス! エイリアンに囲まれていマス……!!)

可可(このままでは、クゥクゥは…………)


「マルー」ヒョイ

可可「っ!!」ブラーン

可可「放手!! このっ……!」ブンッブンッ

可可「っ……!!」


可可(すみれを連れ戻すと息巻いたのに、こんなにあっさりやられてしまいまシタ……)

可可(こんなことなら、かのんと一緒に行けばよかった……)

可可(クゥクゥ一人では、何もできまセン……)

可可(すみれ……すみれ……)

可可「すみれええええええええ!!!」



「……ったく、世話が焼けるわね」

235: 2022/05/15(日) 00:10:06.62 ID:nggMJuxf.net
「マルー…マグググッ!?」ブシャー

「マルウウウアアアアアア!!」グシャ

「マウウゥゥルアウウゥ…」バタッ



可可「すみ、れ…………ギャアス!」ドサッ

すみれ「あんたの体力で、これだけの数を相手にできるわけないでしょ」シュルルルル

すみれ「……ったく、クゥクゥは私がいなきゃ何もできないのね」


可可「…………しゅみれぇ……」

可可「しゅみれぇぇ……! しゅみれしゅみれしみゅれ……しゅみれぇ……!!」ビエーン

すみれ「ギャラッ!? ちょっと、鼻水とか諸々付けるんじゃないわよ!」

可可「しゅみれぇぇぇ!!! しゅみれえぇぇぇぇ……!!!」ビエーン

すみれ「ばっちいわね……! いいから、このっ……離れなさいぃ……!!」ググググググッ

可可「いやデス……! もう絶対に、離れたりなんかしまセン……!!」ダキー

すみれ「…………ほんと、お子様なんだから……!」

236: 2022/05/15(日) 00:13:50.42 ID:nggMJuxf.net
可可「…………」ジーッ

すみれ「……な、何よ? 人の顔ジロジロ見て……私のおでこの丸は、名誉の丸よ?」

可可「……いえ、ふと思ったのデスが……」


可可「あなたは本物のすみれなのデスか?」

すみれ「はあっ!? あんな感動の再会した後に言うセリフじゃないでしょ!?」

可可「人間を模倣するエイリアンがいマスので、これぐらい疑り深くなっても致し方なしデス!」

すみれ「どこからどう見ても、パーフェクトビューティー平安名すみれよ!」

可可「本物のすみれはそのような頭の悪い発言はしまセン!」

すみれ「こ、このっ……!」

可可「…………」


可可「ほ、本物のすみれならば……」

可可「こういう時……クゥクゥの頭を、なでなでしてくれる……はずデス……!」

すみれ「……」

すみれ「はぁー。しょうがないわねー? 撫でればいいんでしょ?」



すみれ「なでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなで」ガシガシガシガシッ!!

可可「ギャアアアアア!! イタイデス! イタイデスゥー!!」ゴワゴワゴワゴワッ!!

可可「わかりまシタからー! この性格の悪さは本物のすみれに間違いありまセンー!!」

237: 2022/05/15(日) 00:17:19.84 ID:nggMJuxf.net
可可「ムーッ」

すみれ「もう、いつまで怒ってるのよ」ナデナデ

可可「…………」


可可「ずっと、デス」

すみれ「え?」

可可「すみれが、あのエイリアンと消えてから……クゥクゥはずっと怒っているのデス」

すみれ「……私が、宇宙人だっていうのを隠してたから?」

可可「違いマス……。すみれが地球人だろうが何星人だろうが、そんなのは些細なことデス」

すみれ「……!」

可可「一人でいろいろ背負い込んで、言いたいことも言わせず逃げ去ったことにクゥクゥは怒っているのデス……!」

すみれ「……そう。悪かったわ」


すみれ「私が生きてきた中で、あんた達と過ごした時間なんてほんと、星の瞬きみたいなものよ」

すみれ「……でも、すごく輝いてた……」

すみれ「だからこそ……できるだけ迷惑をかけないようにしたかったんだけれど……」


すみれ「まさか、私を助けるためだけに、敵の母船まで乗り込んできちゃうとはね」

可可「本当デスよ! クゥクゥ達はすみれに迷惑かけられっぱなしデス!」

可可「皆に会ったら、ちゃんと謝ってくだサイ!」

すみれ「はいはい。わかってるって」

238: 2022/05/15(日) 00:21:20.42 ID:nggMJuxf.net
すみれ「……というか、こんなにのんびり話してる暇あるの……? かのん達は大丈夫なの?」

可可「今はかのんが千砂都たちを守ってくれているはずデス」

可可「丸金生成が使えなくなってしまいまシタので、このエクーカーリバーだけが頼みの綱デス!」グッ

すみれ「その木刀、こんなとこにまで持ってきたのね……」

可可「当然デスよ! これは世界を救うための無敵の剣なのデスから!」

すみれ「へー。そういう設定なのね。はいはい」

可可「あー! クゥクゥ達のことバカにしてマスね!?」



すみれ「丸金生成……」

可可「話を変えようとしても無駄デスよ! エクーカーリバーを侮辱した罪は決して許されるものでは……」

すみれ「…………」

可可「……すみれ?」

すみれ「……ああ、なんだか嫌な予感がするわ……」









ズズズズズ..

239: 2022/05/15(日) 00:24:50.17 ID:nggMJuxf.net
☆宇宙船 広間☆


かのん「……あれ? クゥクゥちゃんといた時、こんなところ通ったっけ……?」

恋「しっかりしてください! 道を知っているのはかのんさんだけなんですよ!?」

かのん「えぇ〜そんなこと言われても……必氏で走ってたから覚えてないよ……」

恋「やれやれですね……」

千砂都「……あ! あそこに人がいるよ!」

かのん「ほんとだ! おーい!」テテテッ

恋「かのんさん!? 不用意に近づいては……」


「……なっ! 貴様ら、侵入者の人間アルか!?」

千砂都「ん?」

「だ、だめアルヨ! ここから先は、行ってはいけないネ!」

千砂都「んんー?」


千砂都「あなた……もしかして……あの時の!」

「……あー! この白髪のちびっ子は、われが地球で声をかけた人間……!!」

千砂都「……ちびっ子」

かのん「わー。感動の再会だね」

恋「どこがですか……」

240: 2022/05/15(日) 00:27:43.61 ID:nggMJuxf.net
千砂都「……ねえ。いま私たち、友達を探してるんだけど……見なかった?」

「し、知らないアル! われは侵入者が神の間に入らぬよう見張っていただけヨ!」

千砂都「神の間……?」

「!? な、何故そのことを知ってるアルか……!?」

恋「自分で仰ってましたよ」

かのん「へー。じゃあそこに、神様がいるってこと?」

「い、言うわけないネ!」

「われわれ○○○の始祖である神が鎮座されていることを人間共に知られるわけにはいかないアル!」

「神はすべての○○○を司る存在であり神が倒されると○○○は滅びてしまうことが人間共に知られると狙われてしまうから、絶対に言わないネ!」

恋「全部話してくれましたね……」

千砂都「逆に罠なんじゃないかって思えてきたよ……」


かのん「つまり……神様にお願いしたら、あの丸エイリアン達は止められるってことだよね?」

かのん「よーし! 神の間にいこー!」

「な、何故それを……!? 行かせないアルー!」

かのん「木刀ぉ!」ブンッ

「脚っ! 痛いアル〜!!」

かのん「今のうちに行くよ!」

241: 2022/05/15(日) 00:31:14.75 ID:nggMJuxf.net
☆宇宙船 神の間☆


千砂都「まさか、丸の神様に会える日が来るなんて……!」

かのん「ちぃちゃんごきげんだねぇ」

千砂都「うん! だってずっと夢見てたんだもん……!」

千砂都「ああ……丸の神様は、どれぐらい丸いんだろ……」ウットリ

恋「話を聞く限り、その神様というのはエイリアン達の親玉的存在のようです」

恋「どれほど恐ろしいのやら、想像すらできません……」

かのん「案外話のわかる神様かもしれないよ」

かのん「地球侵略なんてやめてください〜ってお願いしなきゃ!」


千砂都「……で、その神様はどこにいるんだろう?」

かのん「全然いないねー」

恋「部屋の中央に、巨大な箱があるだけですが……」


『その箱が本体だという考えには及ばぬか』

3人「!?」

242: 2022/05/15(日) 00:37:53.20 ID:nggMJuxf.net
かのん「あなたが……」

恋「神様……?」

神『左様。我は○○○の神と呼ばれている』
千砂都「……違う」

神『何?』

千砂都「丸の神様が……こんな立方体なわけない」

神『なんだと……?』

かのん「ダメだよちぃちゃん! 神様が怒っちゃう!」
神『……ある意味では、其奴の言うことも正しい』

神『我は既に肉体を持たぬ概念であり、今の姿は○○○を治めるために用意した神の器でしかない』

千砂都「じゃ、じゃあ! 元の身体は……」

神『ああ。それはそれは丸かった』

千砂都「ふぁあああ……!」

243: 2022/05/15(日) 00:40:26.41 ID:nggMJuxf.net
神『しかし……よもや地球人が、我らが船に乗り込んでくるとはな』

かのん「うん! すみれちゃんを取り返しに来たよ!」

恋「……そうです! 神であるあなたなら、すみれさんの現在の居場所を……」

神『あの☆☆☆の使者であれば、とうに我々を裏切っている』

神『案内者を頃し、つい先程は船員を殺害して地球人を守っていたな』

千砂都「地球人……!? もしかして……」

かのん「クゥクゥちゃんのことだ!」

恋「2人とも、無事に会えたのですね……!」


かのん「……って、あれ?」

かのん「神様からしたら、私たちは敵なんじゃないの?」

神『敵、か。まあ端的に表現するならば敵対関係と呼ぶに相応しいだろう』

かのん「じゃあどうして、私たちにいろいろ教えてくれるの……?」

恋「確かに……言われてみればそうですね」

千砂都「今の話全部、嘘……だったり?」

神『我が話す言葉はすべて真実だ。そこに嘘偽りなど介在し得ない』

恋「では、何故……?」

神『単純な話だ』

神『もう直に滅びる地球人への、せめてもの餞だからだ』

244: 2022/05/15(日) 00:42:15.19 ID:nggMJuxf.net
恋「…………滅びる……?」

かのん「またまた、ご冗談を……」

神『我は真実しか語らぬ』

千砂都「ど、どういうこと……?」

恋「確かに、あのエイリアン達は脅威ではありますが……」

恋「それだけで滅びるほど、地球人はやわではありません!」

神『その通りだ。今までは地球人を生かして捕虜にするつもりであったため、拉致行為だけに抑えていた』

神『しかしこれからは、すべての地球人の積極的殺害を許可する』


神『そして……いよいよやつらの出番だ』

神『この船のさらに上空に、☆☆☆の母船が控えている』

神『やつらが地球に降り立てば、瞬く間に地球人は殲滅されるだろう』

かのん「そんな……!」

恋「お願いします! なんでもしますので、侵略をやめていただけないでしょうか……?」

神『既に手遅れだ。今更引き返すことなどあり得ない』

245: 2022/05/15(日) 00:45:24.04 ID:nggMJuxf.net
神『人間風情が我々の母船にまで攻め込んだとあれば、最早手段は選んでられぬ』

神『凡ゆる生命を滅し、この星そのものを我らが手中とする』

神『既に我が同胞には、その命令を送った』

神『これから始まるのは、今までのような生温い侵略ではない。虐殺だ』

神『……抗え、地球人共よ。最後までその生命を輝かせてみろ』

シュウウウウウウウウン


かのん「…………」

かのん「…………えっと」

かのん「これって、つまり……」

恋「……非常にやばいです」

かのん「……やばいよね」

恋「くっ……丸金生成さえあれば、すぐにでも破壊しているものを……」


かのん「……と、とりあえず……クゥクゥちゃんとすみれちゃんが会えたなら、私たちも合流しよっか?」

かのん「ね、ちぃちゃん?」

千砂都「…………」



千砂都「地球人……頃す……」

かのん「!?」

246: 2022/05/15(日) 00:49:02.45 ID:nggMJuxf.net
千砂都「地球人発見。頃す」ガシッ

かのん「ええっ!? ち、ちぃちゃん!? うわぁっ!!」

恋「何やってるんですか千砂都さん!! その手を離しなさい!!」グイッ

千砂都「頃す。頃す」グググッ

かのん「うっ……! がぁぁ……首、が……!」

恋「……まさか、神様からの命令を、千砂都さんも受信してしまったのですか……!?」


恋「千砂都さん! 目を覚ましてください!!」

恋「あなたが殺そうとしているのは、かのんさんですよ!?」

千砂都「頃す。地球人、頃す」

恋「千砂都さん! いいから手を離しなさい!!」グイッ

恋「くっ……! なんて力ですか……!?」


かのん「れ、恋ちゃん……!」

かのん「ちぃちゃんは……我を失ってる……!」

かのん「丸を……与えて……ちぃちゃんを、取り戻して…………!!」

恋「かのんさん……!」

247: 2022/05/15(日) 00:53:21.50 ID:nggMJuxf.net
恋「丸を与えろと言われましても……どうすれば……」

恋「丸……丸といえば……」


恋「……ち、千砂都さん! ボールシリーズ、いきます!」

恋「野球ボール! サッカーボール! テニスボール! バスケットボール!」

千砂都「…………」

恋「それから……バレーボール! ハンドボール! ラグビー……」

千砂都「頃す」グググッ

かのん「ぐぁぁぁぁ……!」

恋「はっ! ラグビーボールは楕円でした……!」

かのん「恋ちゃん……! もっと、丸を……」

恋「うぅ、難しいです……!」


恋「……千砂都さんが好きな丸といえば……」

恋「…………ホーホー! マルー!」

恋「」クビ クルクル

恋「」オメメ パチパチ

恋「ホーホー! マルー!」

千砂都「……まんまる……」

かのん「力が弱まった! いいよ、その調子!」

恋「まだ続けるんですか……!?///」

248: 2022/05/15(日) 00:57:46.05 ID:nggMJuxf.net
千砂都「まる……まる……うっ! 頭が……」

かのん「恋ちゃんがんばって……! あとちょっとでちぃちゃんを助けられるよ!」

恋「そう言われましても、もうネタ切れで……」

かのん「恋ちゃん……!」

恋「……そうですよね。千砂都さんとかのんさんを救うため……恥は捨てましょう!」


恋「……///」ヌギヌギ

かのん「れ、恋ちゃん……?」

かのん「どうして、全裸に……」

恋「……参ります」


恋「とぉ!」ガパッ

千砂都「!?」

恋「さあ! 千砂都さん! 私の『丸』はいかがですか!?」

千砂都「ごぼ……ごぼごぼ……」

かのん「股をちぃちゃんの顔に押し付けてる……ひぃぃ……!」


恋「あはははは! 私、宇宙に来ておかしくなっちゃいましたー!」

かのん「恋ちゃんーーー!!」

249: 2022/05/15(日) 01:00:39 ID:nggMJuxf.net
千砂都「うっ……」

千砂都「……あれ? 私……何してたの……?」

かのん「ちぃちゃん! 目が覚めたんだね!」

千砂都「かのんちゃん……」


恋「あはは〜あはははは〜」

千砂都「れ、恋ちゃん……?」

かのん「今はそっとしておいてあげて……」

千砂都「う、うん……?」

千砂都(何があったのか、気になるけど……)

恋「全裸さいこー! ふぅー!」

千砂都(聞かないほうがよさそう……)



マールイヤツー マールイヤツー

千砂都「……! 電話だ……!?」

かのん「えっ! 宇宙でも電話って繋がるの!?」

千砂都「クゥクゥちゃんからだ……! 出てみるね」ポチッ


千砂都「もしもし、クゥクゥちゃ……」

『ギャラクシー☆』

250: 2022/05/15(日) 01:03:56 ID:nggMJuxf.net
千砂都「……その声……まさか」

『そのまさかったらまさかよ!』

千砂都「すみれちゃん……!」


『クゥクゥもいマスよー! ……いでっ!』

千砂都「クゥクゥちゃんも……!」

『ちょっと、今電話中なんだから邪魔しないで!』

『クゥクゥの携帯なのデスから、それくらいよかろうでショウ!?』

ギャーギャー!!

千砂都「あはは……! いつもの2人だ……!!」


かのん「クゥクゥちゃんー! ごめんね、一人にしちゃって!」

『結果オーライデス! すみれも見つけましたし、後は地球に帰るのみデス!』

千砂都「そうだね。当初の目的は果たしたわけだし、いつまでもここにいても仕方ないよね」

『……と言っても、今地球に戻ったらエイリアンに虐殺されちゃうのよね』

千砂都「!! もう知ってるの……?」

『丸いやつがそんなこと言ってたわ』


『恐らく、次の進行では「上」のも来るでしょうね』

千砂都「上……」

『あいつらが来たら、いよいよ地球もお終いね……』

251: 2022/05/15(日) 01:06:51 ID:nggMJuxf.net
千砂都「……ねえ、すみれちゃん。エイリアンの地球侵略を、止める術はないのかな……?」

『……あるにはあるわね』

千砂都「ほんと!?」

『ええ。とても単純よ……』


『このUFOを、撃ち落とせばいいわ』

千砂都「…………」

『そんなに簡単に撃ち落とせるなら苦労しまセンよ!』

『いいえ、できるわ。千砂都になら』

千砂都「私が……!?」

『千砂都には、千砂都にしかない能力があるでしょ』

千砂都「私にしかない、能力…………」


千砂都「……丸金生成……!!」

『そうよ!』

『あんた達は地球に戻って、地上に……鳥取砂丘の時の数千数万倍のスケールの丸を描くのよ!』

『そして地上から硬貨を打ち上げて……このUFOを貫くの!』

千砂都「……でも、できるかな……」

『できるかどうかじゃない、やるしかないのよ!』

千砂都「…………私が、やるしか……」

252: 2022/05/15(日) 01:11:26 ID:nggMJuxf.net
『ちょっと待ってくだサイ! 今は丸金生成が使えないのデスよ!?』

『それなら大丈夫。私がなんとかするから』

『……千砂都。あなたが世界を救うのよ』

千砂都「…………」


『それと……恋、いる?』

恋「! ……は、はい! います!」

『恋には簡単な計算をしてほしいの』

『そういうの、得意でしょ?』

恋「……わかりました」

『地球に戻るとき、装置をいじれば転送先の座標を変えられるわ』

『鳥取砂丘よりももっと広い土地にワープして、丸を描くこと!』

『できれば何か、乗り物がほしいわね。その辺も調達できるように頑張りなさい』

恋「投げやりではありませんか……!?」

『それだけ期待してるってことよ』


かのん「私は何を任されるんだろうなー?」

『かのんは……そうね。応援とか頑張りなさい』

かのん「わかった!」

253: 2022/05/15(日) 01:19:08 ID:nggMJuxf.net
『私からの用件はそれだけ。皆で力を合わせて、地球を守ってほしいの』

『あ、私とクゥクゥは別の装置から地球に戻るから、あんた達は先に帰ってなさい!』


恋「……すみれさん。あなたに言いたいことはたくさんありますが……」

恋「その話は、地球に帰ってからにしましょう」

『……そうね。私も皆と話したいこと、たくさんあるわ』

『謝らなきゃいけないことも、たくさん……』


千砂都「すみれちゃん! また、結ヶ丘で会おうね……!」

『……ええ! 当然よ!』


かのん「帰ったら宇宙の話とか聞かせてねー!」

『はいはい。飽きるほど聞かせてあげるわ!』


『…………それじゃあ、また会いましょう』

ピッ



恋「……こうしてはいられません!」

恋「地球進行が本格化する前に、過去最大規模の丸を完成させなくては……!」

かのん「だね! 早く地球に帰ろう!」

千砂都「うん!」

255: 2022/05/15(日) 01:27:05 ID:nggMJuxf.net
☆宇宙船 倉庫☆


ピッ


可可「すみれ……」

すみれ「何?」

可可「丸金生成……。どうにかすると言っていまシタが、すみれにどうにかできるものなのデスか……?」

すみれ「……そうね。技術自体は私の専門外だけど、要領は把握してるわ」


すみれ「あれは千砂都の描いた丸が擬似的な転送装置となり、硬貨を一方通行でワープさせてるのよ」

すみれ「硬貨は何故か高エネルギーを持って打ち出されるんだけれど……あれは転送が不安定とか、一方通行による弊害とかそんな理由でしょうね」

すみれ「で、いま何故発射されなくなったかというと、原因は『転送元』にあるわ」

可可「転送元……つまり、送り出す硬貨がなくなったということデスか?」

すみれ「少し違うわね。送り出してるのはそもそも、硬貨なんかじゃないのよ」

可可「……?」


すみれ「……まず、この地球侵略には2種類の星が関与してるの」

すみれ「それが○○○と☆☆☆なんだけど……って、地球人には聞き取れないわよね」

すみれ「そうね……適当に名前をつけて、『マル星人』と『カネ星人』と呼ぶことにするわ」

すみれ「マル星人は、あの着ぐるみみたいな丸いやつのこと。で、カネ星人は…………」


ズズズズズ..

可可「ひぃ……!? 気味が悪いデス……」

すみれ「……カネ星人は、あいつのこと。私の同胞よ」

256: 2022/05/15(日) 01:30:51 ID:nggMJuxf.net
すみれ「……丸金生成で発射される硬貨は、カネ星人の体なのよ」

可可「!?」


すみれ「私たちカネ星人は、体が金属でできてるの。自分の体の成分であれば好きなように金属を動かせるわ」

すみれ「そしてそのカネ星人の体質を利用して、丸を描くだけでお金が出てくるシステムが構築されたの」

可可「つ、つまり……丸金生成で出てきたお金は、カネ星人の爪や骨……ということデスか……!?」

すみれ「いやな表現しないでよ……」

すみれ「元々人型なんて存在してないわ。基本的にはあんな感じで、スライムみたいな形状が多いのよ」


すみれ「…………でも、あいつ……異様に体が大きいのよね」

可可「確かに……すみれよりもはるかに大きいデスね」

すみれ「カネ星人は、自身の体に他の金属を吸収できるの」

すみれ「あいつは恐らく……丸金生成で使われるはずだった同胞を、食ったわね……」

可可「共食いデスか……!?」

すみれ「どちらかというと、氏体食いね。丸金生成の素材となるのは身分の低いカネ星人の氏骸だし」

可可「あいつが食べたから、丸金生成は使えなくなったわけデスね……!」

すみれ「そういうことよ」

257: 2022/05/15(日) 01:34:06 ID:nggMJuxf.net
可可「では、あのカネ星人を転送装置にぶち込めば……!」

すみれ「丸金生成が発動するわ」

すみれ「……けど、そう簡単にはいかないでしょうね……」


すみれ「あいつは恐らく、丸金生成を止めるためだけに送り込まれた遣いよ」

すみれ「むしろ今まで止められなかったのが不思議で仕方ないけど」

可可「……やつは、クゥクゥ達とは完全に敵対しているわけデスか」

すみれ「ええ。それに氏骸を吸収した分、力も増してるでしょうね……」

可可「ど、どうするのデスか……!?」

すみれ「……戦うしか、ないわね」

可可「すみれ……! 勝算はあるのデスか……!?」

すみれ「……そう、ねぇ…………」



すみれ「大丈夫よ、きっと勝てるわ」

すみれ「……たぶん」

258: 2022/05/15(日) 01:36:20.79 ID:nggMJuxf.net
続く
次かその次でおわるかなー

261: 2022/05/16(月) 00:06:17.19 ID:5z4Dxy9B.net
☆宇宙船 武器庫☆
かのん「はあ……はあ……なんとか、逃げてきたけど……」

恋「エイリアンが獰猛になっています……! これでは、転送装置まで辿り着くのも困難です……」

千砂都「……ここ、武器庫かな? 何か使えそうなものあるかも!」

かのん「ひぇ……銃みたいなのがあるけど、デカ過ぎて持てないよー」

恋「地球人用の武器ではありませんからね。私たちに扱えるものはないかもしれません……」
「マルゥアア!!」ドンッ

かのん「き、きたぁ!?」

恋「もう逃げ道はありません。なんとかして切り抜けねば……!」
千砂都「まん丸だぁ……!」キラキラ

かのん「ちぃちゃん!? 今は丸に見とれてる場合じゃないよ!」

恋「……いえ! かのんさん……」
恋「これ…………使えるかもしれません……!」

262: 2022/05/16(月) 00:11:07.17 ID:5z4Dxy9B.net
恋「えー……ここをタップすれば、エンジンが起動して……」

千砂都「ホイールが座席の周りを一周してるタイプの一輪バイクだぁ……!」

千砂都「目を見張るほどの丸……! 宇宙テクノロジーはすごいねぇ」

恋「ですねぇ」

「マルゥゥア!!」グニグニ

かのん「は、早くしてぇ……! 足止めするのも限界なのぉ……!!」ググググググッ


恋「……操作は大体わかりました」

恋「いざ、発進です……!」キュィィィン


千砂都「かのんちゃん! 私の手を取って!!」

かのん「ちぃちゃんー!」ガシッ!

恋「どきなさいエイリアン! 轢きますよー!?」キュィィィン

「マ、マルゥゥ!!」ドテッ

263: 2022/05/16(月) 00:13:35.70 ID:5z4Dxy9B.net
☆宇宙船 大通路☆


恋「ああ……。私は今、無免許運転をしています……犯罪者です……」キュィィィン

かのん「大丈夫だって! バレなきゃ犯罪じゃないから!」

千砂都「発言が危険だよ!?」


恋「このまま転送装置へ入ります!」キュィィィン

ガンッッ!!

恋「かのんさん! 転送先の座標を設定してください!」

かのん「って言われても……」

「マルゥゥア!!」ドシドシ

千砂都「追ってきてるよ……!」

かのん「あー! もう適当に設定するからね!? どうなってもしーらない!」ピッピッピッピッピッ


キュィィィン

恋「転送が始まりますっ! しっかり掴まって──」


シュンッ

264: 2022/05/16(月) 00:15:57.69 ID:5z4Dxy9B.net
☆地球☆


シュンッ


恋「っ……」

千砂都「……ワープ、成功……!」

かのん「でもなんか、地面が遠くない……?」

恋「y軸が高過ぎるんですよ! このままだと……」


3人「落ちるぅーーー!!?」



キュィィィィィィン

ブワンッ

恋「……あれ」

千砂都「ホイールが横向きになって落ちるのがゆっくりに……! 何かしらの原理が働いてるみたい……!」

かのん「あれだよ! 自転車が倒れないやつ!」

恋「ジャイロ効果ですか? あれには反重力機能は付いていなかったはずですが……」


フワッ

恋「無事に着地しました……正確には少し浮いていますが」

千砂都「これが宇宙テクノロジー……!」

かのん「地球でもいつかこんな乗り物が当たり前になるのかなー」

恋「夢を膨らますのはいいですが、先にやらなければならないことがありますよ」

265: 2022/05/16(月) 00:19:09.66 ID:5z4Dxy9B.net
かのん「砂ばっかり……。ここ鳥取じゃないよね?」

千砂都「落ちてる間に確認したけど、見渡す限り砂だったよ。どこかの砂漠とかかな」

恋「……位置情報を確認したところ、ここは中国のようです」

かのん「あ! 可可ちゃんの国!」

恋「はい。中国地方ではない方の中国です」

千砂都「いい感じのところに来れたね! ここなら、砂丘よりも大きい丸が描けるよ!」



恋「千砂都さん。ペンをお借りします」

恋「……偶然ですが、こうなることを見越していたかのように手元にはペンとノートがあります」

恋「これから紡ぎ出す計算式が、世界の命運を分けるわけですね……」


恋「かのんさん! このバイクの運転を任せてもよろしいでしょうか?」

かのん「私が!? ……わかった! 無免許だけどがんばるよ!」

恋「千砂都さんは、丸を描いてください」

かのん「あ、それならこれを!」グッ

千砂都「木刀……」

千砂都「砂丘で丸を描いた時も、この木刀を使ったんだよねぇ……」シミジミ

かのん「あの時はちぃちゃん一人に任せっきりだったけど、今度は私達も力になれるよ!」

千砂都「ありがとう……! かのんちゃんも、運転がんばってね!」

266: 2022/05/16(月) 00:23:00.79 ID:5z4Dxy9B.net
かのん「恋ちゃん。私はどこをどう走ったらいいの?」

恋「ほんの少しだけ、車体を傾けながら走るだけでいいです」

恋「その状態を保ち続ければ、いずれ出発地点まで回って丸が出来上がるはずです」

かのん「要はバランスをとり続ければいいんだね! それなら体幹鍛えてるしいけそう!」


恋「私はUFOに丸金生成を命中させるための計算をしながら、適宜指示を出します」

恋「なので丸を描く作業はすべて二人にお任せします」

かのん「オッケー!」

千砂都「任された!」


恋「失敗してもやり直せますが……」

恋「UFOがこのエリアを通過してしまうと最早成す術がありません。できるだけ早く成功させましょう!」


恋「それでは準備が完了しましたら──プロジェクト、スタートです……!」


キュィィィン

267: 2022/05/16(月) 00:26:30.11 ID:5z4Dxy9B.net
☆宇宙船 倉庫☆


マル星人「」ズズズズズ..


可可「金属光沢が、ギラギラと輝いていマス……」

すみれ「……クゥクゥ」

可可「はい?」

すみれ「何やってるのよ、あんたはさっさと逃げなさい。いつまでここにいるの?」

可可「!? く、クゥクゥだって戦えマス!」

すみれ「マル星人を相手にやられてたくせによく言うわ……」

可可「あれはたまたまデス! クゥクゥも、すみれと共闘しマス!」

すみれ「……わかったわよ。ただ、私はクゥクゥのこと守ったりしないからね?」

可可「わかっていマス! 自分の身は自分で守れマス!」

すみれ「ほんとかしら……」

268: 2022/05/16(月) 00:31:34.54 ID:5z4Dxy9B.net
すみれ「カネ星人の体には核があって、それを破壊すれば氏ぬわ」

すみれ「といってもカネ星人の体は金属製だから、実際のところ、核に傷をつけることすら難しいんだけど」

可可「では、どうすれば……?」

すみれ「……同じカネ星人の私なら、金属を吸収して核に触れられるわ」

可可「なるほど! つまりすみれが奴に触れれば勝ちというわけデスね!」

すみれ「……ま、逆も然りなんだけど」

すみれ「少なくとも、敵対してる間は体には触れさせてくれないでしょうね」

すみれ「それに金属を吸収するのにもかなり力を使うから、そこそこ時間を要するのが厄介ね……」


可可「…………クゥクゥが、隙を作ります」

すみれ「……」

可可「その間にすみれは奴の体に触れてください!」

すみれ「……ま、今考えられる作戦ならその辺が妥当なところね」

すみれ「頼りないけど、任せることにするわ」

可可「謝謝!」

269: 2022/05/16(月) 00:34:41.37 ID:5z4Dxy9B.net
可可「……やいやい、そこのカネ星人! クゥクゥがお相手しマス!」

カネ星人「……?」

可可「お覚悟ォ!!」ブンッ

カーンッ

可可「手がビリビリィ……! 硬いデスゥ……!」


すみれ「……」タッタッタッ

可可(すみれが奴の背後に回っていマス……! クゥクゥがもっと時間を稼がないと……)

可可「テイッ! ヤーッ! トーッ!」ブンッ ブンッ

カネ星人「…………」ズズズ..

可可(いい調子デス! あと少しで、すみれが触れられ…………)



すみれ「クゥクゥっ!!」

可可「…………え?」


可可(カネ星人の上に……巨大なハンマーが……)

可可(そして、クゥクゥを目がけて振り下ろされて…………)

グオンッ

可可(あ、氏ぬ──)


ドオオオオオンッ!!

270: 2022/05/16(月) 00:37:17.84 ID:5z4Dxy9B.net
可可「…………」

可可「…………え……?」

可可(生きて、いマス……)


すみれ「っ……!!」ゴゴゴゴゴッ

可可「す、すみれ……!?」

すみれ「ほん……っと…………世話を焼かせるわ、ねぇ……」ゴゴゴゴゴッ

可可(すみれが、巨大なハンマーを手で受け止めていマス……!)

可可「……く、クゥクゥのこと、守らないって……」

すみれ「そんなの……嘘に、決まってるでしょうが……!!」ゴゴゴゴゴッ

すみれ「それ、より……! 危ないから、さっさと離れなさい……!」ゴゴゴゴゴッ

可可「は、はい……!」ズルズル


すみれ「……ぐっ!?」ゴゴゴゴゴッ

すみれ「やばっ……! こいつ……私の体を、吸収してる……!!」ゴゴゴゴゴッ

可可「!」

271: 2022/05/16(月) 00:42:48.19 ID:5z4Dxy9B.net
すみれ「ちょ、ほんとにやばい……潰されるより先に……体がなくなる、かも……!!」ゴゴゴゴゴッ

可可(潰されないよう踏ん張っているため、すみれには吸収する余力がないのデスか……!?)

可可(すみれはクゥクゥを守ってくれた……だから今度はクゥクゥがなんとかしなくては……!)


すみれ「はあ……はあ……! ぐぅっ……!!」ゴゴゴゴゴッ

すみれ「……クゥクゥ…………」ゴゴゴゴゴッ



可可「ドスコオオオオオオオイ!!!」ドドドドドッ

すみれ「!!」

可可「この、マル星人の氏骸を挟めば……!」グイグイ

可可「すみれ! もう大丈夫デス! 潰されることはありまセン!!」

すみれ「……ええ!」サッ


ブヨヨーンッ

カネ星人「……」


すみれ「……助かったわ、クゥクゥ」

可可「いえ! クゥクゥこそ、助けてもらい感謝していマス」

すみれ「ったく、弱いくせに無茶しすぎなのよあんたは……」

可可「申し訳ありま…………おや? すみれ、体が小さくなっていまセンか?」

すみれ「そんなこと今はどうだっていいでしょ!」チンマリ

可可(か、かわいいデス……!)

272: 2022/05/16(月) 00:46:21.71 ID:5z4Dxy9B.net
すみれ「……さて、ここからどうする……?」

可可「既にこちらの狙いも敵にバレていマス。作戦を変更しなければいけまセン」

すみれ「……正直さっきみたいな力のゴリ押しをされたら勝ち目は0よ」

すみれ「だからここみたいな広い場所より、狭いところで戦うべきね」

可可「では通路へと誘い込みまショウ!」


すみれ「……狭い場所だと、攻撃が避けにくいんだけれど……」

すみれ「そこは、私が守ってやるしかないわね……!」



カネ星人「……!」

可可「こっちデス! ついてきやがれデス!」タッタッタッ

カネ星人「」ズズズズズ..

すみれ「狙い通り、通路へと誘い込めたわね……!」タッタッタッ

可可「この後の作戦は……」

すみれ「安全第一!」

すみれ「あとは……どうにかして隙を作る、ね」

273: 2022/05/16(月) 00:49:27.33 ID:5z4Dxy9B.net
☆宇宙船 連絡通路☆


カネ星人「ググッ…」シュルルルル..

可可「な、なんデスか!?」

すみれ「メタモルフォーゼ……」


スタッ

カネ星人「……コノバショデハ、コノフォルムガ、タタカイヤスソウダ」シュルルルル

可可「人型になりまシタよ……!?」

すみれ「あいつ……人間の情報を持ってたのね……」


カネ星人「コードCC065。キサマハココデ、シマツシナケレバナラナイ」

すみれ「はぁ……。母星を裏切るとこういうことになるから面倒なのよね……」

可可「…………」


可可「すみれ。クゥクゥは一つ、作戦を思いつきまシタ」

すみれ「作戦……?」

可可「耳を貸してくだサイ……」

274: 2022/05/16(月) 00:53:09.71 ID:5z4Dxy9B.net
カネ星人「……イザ、マイル」ザッ

すみれ「私が相手よ!」ガンッ!

グググググググググッ


すみれ「……ちょっと押されてるけど、動きを止めれたわ!」

カネ星人「CC065。コノホシガ、ソンナニダイジカ」グググッ

すみれ「ええ……! あんたも地球に移住してみれば!?」グググッ

カネ星人「コトワル。ワタシニトッテ、☆☆☆ノハンエイコソスベテダ」グググッ

すみれ「狭い世界に生きてるわねぇ……! ま、あんたの考え自体は否定はしないけど」グググッ



可可(すみれが相手してくれているうちに……)タッタッタッ

カネ星人「……キサマトクミアッテイルアイダニ、ムコウノチキュウジンガ、ナニカヲネラッテイルナ」グググッ

カネ星人「アサハカダ。ワタシハコノママデモ、コウゲキハデキル」ギュンッ

すみれ「!? しまった……!!」

可可「……っ!?」

可可(カネ星人の身体から、触手が……!)

可可(ここは一か八か…………)


可可(木刀で、いなす──!)ギギギギギッ

カネ星人「……ホウ、ナカナカヤルナ」

275: 2022/05/16(月) 00:56:39.20 ID:5z4Dxy9B.net
可可(木刀でうまく弾きながら、距離を詰めていきマス…………)タッタッタッ


すみれ「木刀は金属ではないから、吸収されることもない……!」グググッ

すみれ「正直、木刀のことバカにしてたけど……結果的にはいいチョイスだったのかもしれないわね」グググッ

可可「やはりバカにしていたのデスね!?」タッタッタッ

カネ星人「……チキュウノソザイヲ、ツカッテイルノカ。ナルホド、アナドレナイナ」グググッ


可可(かなり近づけまシタ……!)タッタッタッ

可可(ここから、攻撃に移りマスよ……!)タッタッタッ


カネ星人「シカシ、モンダイデハナイ」グググッ

可可「っ!!」タッタッタッ

カネ星人「ソノヨウナボウデ、ワタシヲコウゲキシテモ、ムイミダ」グググッ

カネ星人「ヤハリ、チキュウジンハ、アサハカダ。☆☆☆ノタイシツヲ、リカイシテイナイ」グググッ



可可「……それは、こちらのセリフデス」

カネ星人「ナンダト……?」

276: 2022/05/16(月) 00:59:44.16 ID:5z4Dxy9B.net
可可「……すみれ!」

すみれ「オッケー!」


カネ星人「キサマラガチカラヲアワセヨウト、ショセンハチキュウジントウラギリモノ……」

すみれ「ごちゃごちゃうるさいのよ!」

すみれ「…………ギャラクシー頭突きッ!!」ブンッ

カネ星人「!?」ゴンッ

すみれ「よろけたわ! 今よ!!」

可可「はいっ!」タッタッタッ



可可(木刀を、逆手に……)グッ

可可(手が届く距離……! ここで姿勢を屈めて、奴の視界から外れ……)スッ

可可(この木刀で…………)


可可(垂直に、顎を打ち上げるっ──!!!)グンッッッ!!!

カネ星人「ッッッ!!?!?!!?」グラァァァン



カネ星人「ガッ……グ、ウグァァッ……!!?」クラクラ

可可「人体の急所や当たると痛い箇所は、すみれとのじゃれあいで身に染みて覚えまシタ……!」

可可「『人間』歴は、クゥクゥ達の方が先輩デス!」

可可「ついさっき人間になったばかりのエイリアンが、クゥクゥ達に勝てると思わないでくだサイ!」

可可「……地球人、舐めんじゃねぇデスよ!!」

278: 2022/05/16(月) 01:09:34.50 ID:5z4Dxy9B.net
可可「……すみれ! 見てましたか!?」

可可「クゥクゥ……! クゥクゥ……やりましたー!!」

すみれ「ええ……。だけど、まだ気を抜いちゃ──」

カネ星人「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!」グラングラン

クゥすみ「!?」


カネ星人「グアアアアッ!! グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!」ギュンッ! ギュンッ! ギュンッ!!

すみれ「訳もわからずに辺りを攻撃しまくってるわ……!?」

カネ星人「グアアアアアアアアアアッッッ!!!」ギュンッ! ギュンッ!

可可「っ!!」

可可(防御! 間に合わな──)



可可「ゲフッ……!!」メキッ!

すみれ「クゥクゥ!?」


すみれ「このっ……! 全部、吸収してやるったらしてやるんだからっ……!!」シュルルルル

カネ星人「グアアァァァッ……!! グアァ…………!!!」ドロドロ

すみれ「このっ! このっ……!!」シュルルルル

カネ星人「グアアアアァァ…………」ドロドロ

279: 2022/05/16(月) 01:15:42.51 ID:5z4Dxy9B.net
すみれ(見えた! こいつの核……!)

カネ星人「アア……ァァ…………アァ……」

すみれ「…………」


すみれ「さようなら、元同胞」

すみれ「また会いましょう」

パリーン

カネ星人「ッ…………」ガクッ



すみれ「クゥクゥ!! 今すぐ脱いで体を診せなさい!!」

可可「……すみれは、変態デスか……!」

すみれ「何こんな時でもふざけてるのよ……!」

すみれ「さっき思いっきり吹っ飛ばされてたでしょ! ほら、脱いで!!」

可可「……ぜ、全然痛くないデス! ほんとデスよ!?」

すみれ「それはアドレナリンが出てるからでしょ!!」

すみれ「私もそこそこ地球人やってるんだから、それぐらいわかるわよ!」

280: 2022/05/16(月) 01:25:45.85 ID:5z4Dxy9B.net
すみれ「……肋骨、折れてるったら折れてるわね」ペタペタ

可可「ウエストが細くなってしまいまシタ……」

すみれ「……これだけ余裕そうなら問題ない気もするけど……」


すみれ「…………メスいれるわよ」

可可「……メス?」

すみれ「人差し指の先を、メスに変化させて……」シュルル

可可「!? ちょ、ちょっと待ってくだサイ!!」

すみれ「……何? 今から手術してあげようと思ったのに」

可可「何をしれっとした顔でやばいこと言ってるのデスか!?」

すみれ「あんまり騒ぐと傷が悪化するわよ」

可可「誰のせいだと思っているのデスか!?」


すみれ「大丈夫よ。私の金属で折れた骨を結合させるだけだから」

すみれ「そのために、切開する必要があるけれど……」

可可「そうデス! ヤブ医者手術のせいで、クゥクゥの身体に傷痕が残ったらどうするのデスか!?」

すみれ「……そうね。その時は…………」



すみれ「私が責任、取ってあげるわ」

可可「…………ひ、卑怯デスよ、すみれは……///」

281: 2022/05/16(月) 01:37:50.80 ID:5z4Dxy9B.net
すみれ「痛みはどう? 動けそう?」

可可「うぅ……まだ痛いデス……」

すみれ「じゃあこれは?」ベシッ

可可「痛ァ!? こっちの方が痛いデス……!」

すみれ「うん、大丈夫そうね」

可可「全然大丈夫ではありまセン!!」


すみれ「千砂都達がうまくやってくれてるなら、あと数分以内にこのUFOは撃ち落とされるわ。すぐにやること済まして逃げなきゃね」

すみれ「だから、どれだけ痛くても……今は我慢しなさい」

すみれ「どんな痛みも、いつかは過ぎ去るものなんだから」

可可「……ムーッ。わかりまシタよ」

可可「今だけは、我慢してやりマス」

282: 2022/05/16(月) 01:55:12.61 ID:5z4Dxy9B.net
すみれ「さて。このカネ星人の氏体を丸金生成用の転送装置まで運ばなきゃいけないわね」

可可「その場所はわかってるのデスか?」

すみれ「この子が出てきた方向にある……と思うわ」

可可「やれやれ、適当デスね〜」

すみれ「……カネ星人の体は金属で出来てるのよ」

可可「? それは何回も聞きまシタよ」

すみれ「……このサイズで、体全部が金属ってなったら……」

可可「…………」


可可「ぐににぃ……! お、重いデス……!!」グググッ

すみれ「まったく、クゥクゥは非力ねぇ」カルガル

可可「……そもそも、すみれが金属吸収すれば、わざわざ担いで運ぶ必要もないデスよね!?」グググッ

すみれ「絶対いやよ。これ以上吸収したら、もっと体がでかくなっちゃうじゃない」

可可「…………」


可可「そういえばすみれの体……いつもより大人びて、いろいろ大きくなっていマス……!」

可可「制服も弾けそうなぐらいの肉感デス……!!」

すみれ「ちょ、やだ、ジロジロ見ないでよ……!」ムチムチ

可可「……しかし先程のチビすみれの方が、クゥクゥは好みデスよ」

すみれ「誰もあんたの性癖なんて聞いてないわよ!」


すみれ「ほら、時間もないんだしさっさと運ぶ!」

可可「……ギャアス!! き、傷口が痛みマス……!」

すみれ「さっき我慢するって約束したでしょ!?」

可可「では、精神的苦痛により心が痛みマス……!」

すみれ「知らないわよそんなの!」

可可「なんデスとー!?」

\ギャー! ギャー! ギャー!/

283: 2022/05/16(月) 01:58:09.70 ID:5z4Dxy9B.net
続く
次で完結まで投稿したいので数日空くかも

292: 2022/05/19(木) 20:37:11.88 ID:A+tUKpUM.net
☆中国 砂漠地帯☆
キュィィィン

恋「砲口初速……加速度…………空気抵抗……角度……」カキカキカキカキ

恋「風速……風向き…………高度……気圧…………」カキカキカキカキ

恋「丸の大きさ……3πx=Σ@^☆○○○yz……」カキカキカキカキ

かのん「おっとっと! バランスバランス……」キュィィィン

千砂都「っ……」ザーーーーーッ
恋「……UFO、東南東の空に確認できました」

恋「予想よりも速いです……それに進路にも若干のズレが見られますね……」

恋「かのんさん。角度を5.01°程起こしフルスロットルで走行してください」

恋「千砂都さんは線が途切れないよう木刀をしっかりと握っていてください」

かのん「ちょっと待って! 5.01度とか言われてもわかんないよ?!」キュィィィン

恋「かのんさんの髪の毛の先を想像すればわかるはずです」

かのん「なるほど! よくわかった!」キュィィィン

千砂都(ほんとかなぁ……)

293: 2022/05/19(木) 20:41:40.06 ID:A+tUKpUM.net
ゴオオオオオオオオオオオ..
千砂都「ん? なんだろう、この音」ザーーーーーッ

恋「どんどん近づいてきています」
千砂都「あ、あれってもしかして……!」ザーーーーーッ

恋「どうやら戦闘機のようですね。UFOに接近しています」

かのん「すごーい! まるで地球防衛軍だ!」キュィィィン

千砂都「何か発射した! 今のはミサイルかな……?」ザーーーーーッ
ゴオオオオ....

ドゴォーーーンッ!!

千砂都「当たった!」ザーーーーーッ

千砂都「これでUFOを撃墜してくれたら、この丸は必要なくなるね!」ザーーーーーッ
恋「……そう、うまくいくでしょうか」

千砂都「え?」ザーーーーーッ

恋「よく見てください」

千砂都「……!?」ザーーーーーッ

千砂都「UFOの周囲に光の障壁が……!!」ザーーーーーッ

294: 2022/05/19(木) 20:46:11.95 ID:A+tUKpUM.net
千砂都「あっ! 戦闘機が全部UFOの周りに引き寄せられて、衛星みたいに……!?」ザーーーーーッ

恋「……推察するに、あのUFOは磁力により浮遊しているのだと思われます」

恋「UFOから発せられる磁場の影響で周囲に金属が集まり、自然と本体を守るための障壁が形成されているようです」

千砂都「じゃあ、周りに付いてるゴミみたいなのは全部……」ザーーーーーッ

恋「勇敢に挑んだ兵器達の残骸でしょうね……」

千砂都「そんな……」ザーーーーーッ

恋「……UFOの性能は計算外でした。もし丸金生成が磁力に阻まれたのなら……この作戦は失敗するかも…………」


かのん「大丈夫っ!」キュィィィン

かのん「私、ちゃんと覚えてるよ! クゥクゥちゃんが言ってたこと……!」キュィィィン



可可『はっ! 磁石デス!』

可可『クゥクゥが中国にいた頃、日本の硬貨は磁石にはくっ付かないと聞いたことがありマス!』



恋「磁力の影響を受けない、ということは……!!」

千砂都「UFO本体まで届く……!」ザーーーーーッ

かのん「停止中の丸金生成が発射されるかもわかんないけどさ、今は信じるしかないよ!」

かのん「すみれちゃんを、クゥクゥちゃんを」キュィィィン

かのん「そして、私たちを……!」キュィィィン



丸完成まで残り5分

295: 2022/05/19(木) 20:51:02.72 ID:A+tUKpUM.net
☆宇宙船 大通路☆


すみれ「失せなさい!」ギュンッ

「マウウゥゥゥゥアアアアアッ!!?」グニィッ

すみれ「邪魔っ邪魔っ邪魔っ!!」グオンッ グオンッ

「マギャアアアアアアアッ!!」ズゴンッ

「マウウウウゥゥゥゥゥ…」ブチィッ


すみれ「柔らかいだけで芸がないわね。数に頼りすぎなのよ」

すみれ「あんたらなんて、この平安名すみれの敵じゃな──」

可可「すみれ! 危ない!」ブンッ

「マルゥゥア!?」ドテー


すみれ「……ありがと」

可可「仕方ないデスねー。すみれは詰めが甘いので、クゥクゥがすみれのこと守ってやりマスよ!」エッヘン

すみれ「怪我してるんだからあんまり無茶なことするんじゃないわよ」

可可「わかってマスよ〜」ヒョイヒョイ

すみれ「やれやれ……」ギュンッ

「マグゥゥアアアアアアアアアアッ…」グチャ

296: 2022/05/19(木) 20:54:18.62 ID:A+tUKpUM.net
すみれ「あらかた片付けたし、しばらくは丸共も来ないでしょうね」

可可「カネ星人を丸金生成装置においてきまシタし、クゥクゥ達の任務はお終いデス!」

可可「早く地球へ帰りまショウ!」タッタッタッ

すみれ「ええ、そうね」


すみれ「……でもまさか、あんた達がこのUFOにまで乗り込んでくるなんてね」

可可「すみれ? 時間がないんデスよ。口ではなく足を動かしてくだサイ!」

すみれ「あの時あんた達とは今生の別れになると思ってたから、未練を残さないよう徹底的に嫌われるつもりだったの」

すみれ「わざと憎まれ口をたたいて私を嫌うようにしてたの……気づいてた?」

可可「……あの程度でクゥクゥ達がすみれを嫌いになると、本気で思っていたのデスか?」

すみれ「いいえ、全然。……でもちょっとだけ怖かった」

すみれ「わざと嫌われようとしてたくせに、もし嫌われてたらどうしよう!? ……なんて考えてたわ。笑っちゃうでしょ?」

可可「すみれ……」


すみれ「……あんた達が乗り込んできたって知った時、すごく心配だったの」

すみれ「でもそれと同時に、すごく嬉しかったわ……」

すみれ「大切だと思ってたのは私だけじゃないんだって……皆も私のこと、大切に思ってくれてたんだって……!」

すみれ「嬉しかった……! 本当に、心の底から……」


すみれ「……あんた達でよかった」

すみれ「あんた達に出会えて、本当によかった」

可可「……もうわかりまシタから! ほら、早くこっちに来てくだサイ」

すみれ「はいはい。わかってるわよ」


スタスタスタ..

297: 2022/05/19(木) 20:57:37.03 ID:A+tUKpUM.net
ドン

可可「ギャア!?」ドテッ


可可「……すみれ!? 何故、クゥクゥを押して…………」

ガラガラガラガラガラ

ガンッ



すみれ「…………」

可可「すみれ……?」

可可「…………何、しているのデスか……? このドアを開けてくだサイ」

可可「まだすみれが入っていないのにドアを閉めたら、すみれが入れなくなって…………」

可可「……っ!?」


バンッ!!

可可「何をふざけているのデスか!? すみれ!!」グググッ

可可「あ、開けるデスッ!! このっ……何故開かないのデスか……!!」グググッ

可可「すみれぇ!! クゥクゥと一緒に地球に帰るのでショウ!?」グググッ

可可「早くドアを! 開けてくだサイ……!!」グググッ

すみれ「……無駄ったら無駄よ。私の金属で溶接してあるから」

すみれ「あんたの非力な腕じゃ、どうやっても開けられないわ」

可可「すみれぇぇぇ!!!」

298: 2022/05/19(木) 21:01:37.08 ID:A+tUKpUM.net
すみれ「転送先を渋谷に設定しておいたわ。これで迷わず帰れるわね」ピッピッ

可可「すみれぇ!!!」バンッバンッ!!

可可「くっ……こんなガラス……! 割ってやりマス……!!」バンッバンッ

すみれ「ったく……言ったでしょ? 怪我してるんだから、あんまり無茶するなって」

可可「っ……!」


可可「すみれぇ!! 何故地球に帰らないのデスか!?」

可可「まさか地球侵略のことで責任を感じているのデスか!? そんなもの、すみれが負う必要などありまセン!!」

可可「……とにかく開けやがれデスッ!! すみれぇぇぇ!!!」バンッバンッバンッ!!!

すみれ「…………あまり時間もないから、手短に話すわ」


すみれ「今、千砂都達は地上で懸命に丸を描いてくれている」

すみれ「そして完成した丸金生成で硬貨を発射し、このUFOを撃ち落とすことで地球は救われる……」

すみれ「でも、もしも……発射される硬貨が足りなければ?」

すみれ「さっき運んだカネ星人の氏体。あれだけじゃ、撃ち落とすにはまだ足りないかもしれないわ」

可可「…………だ、だから、すみれも丸金生成の一部になる……ということデスか……?」

すみれ「話が早いわね」

299: 2022/05/19(木) 21:04:08.29 ID:A+tUKpUM.net
可可「……クゥクゥは納得できまセン!」

可可「カネは足りているかもしれないのデスよ!? それなのに、何故すみれまで残らなければならないのデスか!!?」

すみれ「少しでも成功確率を上げる……」

すみれ「地球を守るために私にできることがあるなら、それをやるまでよ」

可可「〜〜〜っ! すみれのわからず屋……!!」

可可「すみれがいなくなれば、悲しむ人がいるのがわからないのデスか!?」

可可「ちびれは!? すみれの家族はどうするのデスか!?」

可可「かのんや千砂都、レンレンも悲しみマス! どうか考え直してくだサイ!!」

すみれ「そうね……。皆には、迷惑かけちゃうかもしれないわね」

可可「違いマス……! そうでは、なくて…………」


可可「……クゥクゥは」

可可「クゥクゥは、地球の命運なんて知ったこっちゃないのデス……」

可可「クゥクゥは! すみれに生きていてほしいのデスッ……!!」

可可「地球がエイリアンに侵略されようと、いつも側にすみれがいてくれるのなら…………クゥクゥはそれだけで幸せなのデスよ……!!」

可可「地球などよりも、すみれの方が大切なのデス……!!!」

すみれ「…………」

すみれ「……何言ってんのよ。地球みたいないい星、中々巡り会えないわよ。空気が澄んでて色彩豊かな景色もあるわ……」

すみれ「自分の星は大切にしなさい。……って、こんなこと私が言えた義理じゃないんだけどね」

300: 2022/05/19(木) 21:08:36.67 ID:A+tUKpUM.net
ピッ

キュィィィン

すみれ「転送を開始させたわ」

すみれ「これで本当に、お別れよ」

可可「!? す、すみれ……!」

すみれ「……じゃあね。クゥクゥ」スタスタスタ










すみれ「……大好きよ」

可可「っ……!」

301: 2022/05/19(木) 21:13:11.43 ID:A+tUKpUM.net
バンッ! バンッ!!

可可「すみれぇ!! すみれぇぇぇ!!!」バンッバンッバンッ!!!

可可「このっ……! ガラス……!! 割れろ! 割れろ! 割れろっ!!」バンッバンッバンッ!!!

可可「…………ううっ……! 何が、世界を救う剣デスか……!!」バンッバンッ!!

可可「大切な人ひとり守れないで、何が無敵の剣デスか……!!」バンッバンッ!!

可可「こんなの……ただの木の棒デスよ……!!」バンッバンッ!!

可可「すみれぇ……!! すみれぇぇ……!!! 行かないでぇ……!!!」

可可「すみれすみれすみれすみれすみれっ……すみれぇぇぇ!!!」

可可「うっ、うぅっ……!」



キュィィィン

可可「…………」

可可「…………クゥクゥ、も……!」

可可「すみれの、こと…………ずっと…………」

可可「す──」


シュンッ






すみれ「………………………………」

すみれ「…………なに、よ……ぐすっ……」

すみれ「さい、ご……まで…………」

すみれ「はっきり……言いな、さい……よ…………!!」


すみれ「っ…………ばか……」

302: 2022/05/19(木) 21:16:07.44 ID:A+tUKpUM.net
☆中国☆


キュィィィン

恋「かのんさん! 徐々に角度を倒していってください」

かのん「オッケー!」キュィィィン

恋「千砂都さんは最後まで気を抜かないで線を維持してください!」

千砂都「うんっ!」ザーーーーーッ

恋「太陽が消えました……。UFOは今、私たちの真上にいます……!」


恋「かのんさん、いい感じです!」

かのん「ほんとに!? 私バイクの運転とか向いてるのかも……!」キュィィィン

千砂都「クゥクゥちゃんとすみれちゃん、もう地球に帰れてるかな……?」ザーーーーーッ

かのん「大丈夫だよ! あの2人を信じよう!」キュィィィン

千砂都「そうだね……!」ザーーーーーッ


恋「もうすぐ初期地点に到着し、丸が完成します……!」

恋「……千砂都さん。10秒前からカウントダウンをお願いします!!」

千砂都「了解!」ザーーーーーッ

303: 2022/05/19(木) 21:19:08.30 ID:A+tUKpUM.net
10

千砂都「じゅうっ!」ザーーーーーッ



9

千砂都「きゅうっ!」ザーーーーーッ



8

千砂都「はちぃっ!」ザーーーーーッ



7

千砂都「ななぁっ!」ザーーーーーッ



6

千砂都「ろくっ!」ザーーーーーッ



5

かのん「いよいよだねっ……!」キュィィィン



4

恋「これで、終わりです……!」



3

すみれ「…………明日の天気、なんだったかしら」



2

可可「ああっ…………あああああ……」



1

千砂都「いちぃっ!!」ザーーーーーッ

304: 2022/05/19(木) 21:23:08.79 ID:A+tUKpUM.net
ピカーーーーーン


恋「閃光が上がった……! 丸金生成、発射しましたっ……!!」

恋「かのんさん! すぐに中心から離れてください! フルスロットルで!!」

かのん「う、うん!」キュィィィン





千砂都「光が……空へ…………」



恋「到達まで……」

恋「3,2,1…………」



ピカッ

305: 2022/05/19(木) 21:27:45.96 ID:A+tUKpUM.net
恋「…………被弾、そして爆発を目視で確認……!」

恋「UFOを撃墜しました……!!」

かのん「ええっ!? でも、何も爆発音とか聞こえないよ……?」キュィィィン

恋「……音速は、遅れてやってきます」



恋「そろそろ来ます……! 耳を塞いでください!」

かのん「私、ハンドル握ってるから耳ふざけないよ!?」キュィィィン

千砂都「じゃあ私がかのんちゃんの耳を塞ぐ!」ガッ!

恋「では私は千砂都さんの耳を塞ぎます!」ガッ!


恋「……って、そうなると誰が私の耳を塞いでくれるのですかー!?」アワアワ

かのん「えー? 恋ちゃん何か言ったー?」

千砂都「かのんちゃん何か言ったー?」

かのん「えー? ちぃちゃん何か……」

恋「…………来ますっ──」

ブオンッ









ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンンンンンンンンンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

306: 2022/05/19(木) 21:32:51.14 ID:A+tUKpUM.net
『……戦闘機やミサイルによる攻撃が行われていますが、現在のところ飛行物体への効果の程は確認できておりません』

『一部メディアでは、「飛行物体は磁気をまとっているため並の兵器では無効化されてしまう」といった情報が伝えられていますが、現在のところ詳細不明であり、事実を確認中です』

『飛行物体は現在ユーラシア大陸上空を飛行中。専門家によると「エイリアンは主要先進国での侵略活動を優先するよう舵を切ったのではないか」とのことです』

『ここで、自称宇宙人だという女子高生、上原さんと中継が──』


『…………はい。……えっ? はい……』

『……ほんとに……? そんなことって……いや、でも……』

『…………あ、失礼しました。えっと…………あの……』

『……今、大変信じがたいことが起こりました…………』

『…………ゆ、UFOがっ……! 爆破しましたぁー!!』

『えー!? やったー!! どこに落ちるかなんて知りませんが! とにかくUFOが落ちましたぁー!!!』

『爆発前に、光の柱が見えたという目撃情報もあるんですって!!』

『これはもしや……神様のおかげではないのでしょうか……!?』

『て、テレビを観ている皆さん……! 私はもう大興奮で自分でも何を言っているのかわかりませんっ! でも、これだけは伝えさせてくださいっ!!』

『神はっ、いますっ!!!』

307: 2022/05/19(木) 21:38:43.57 ID:A+tUKpUM.net
【速報】UFO、ユーラシア大陸上空にて爆破。撃墜された模様


1 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 20××/10/24(金)14:18:05.79 ID:Ngvds7Ax
hppps://i.imgur.com/a/835685.jpg
敗北を知りたい

2 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 20××/10/24(金)14:18:09.30 ID:sKH81dij
マ?

3 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 20××/10/24(金)14:18:12.42 ID:2qQawp0c
どうせコラだろ?地球はおしめぇだ

83 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 20××/10/24(金)14:20:01.55 ID:Ui6nw4pl
もう戦争はいい
静かに暮らさせてくれ

125 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 20××/10/24(金)14:21:36.02 ID:rB0acH11
【速報】アメリカ政府がUFO撃墜を公式発表
hppps://fate.0ch.net/test/vip/6027242091//

141 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 20××/10/24(金)14:21:53.88 ID:Fsmtt9pp
くく125
公式発表キター!

157 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 20××/10/24(金)14:22:01.43 ID:75sknw9G
くく125
UFO半日で消えててワロタ

160 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 20××/10/24(金)14:22:01.84 ID:Mpnvi4Ke
くく125
ざまあうぃーーーーーwwwwwwww

268 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 20××/10/24(金)14:22:39.52 ID:oarjD381
中国の友達が言ってたけどUFO爆破前に光の柱が見えたらしい
某国の新型兵器なのでは?

493 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 20××/10/24(金)14:23:33.19 ID:26geysk4
UFO消えたらしいぞ

546 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 20××/10/24(金)14:24:11.18 ID:is3E5yos
くく493
フェイクかと思ったらガチだった
hppps://yespentagon.us

554 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 20××/10/24(金)14:24:39.07 ID:rfzz49XD
宇宙人さんwwwwwイキってたくせに涙目で撤退wwwwwww

613以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 20××/10/24(金)14:24:58.94 ID:mt7lxa2i
とうとう飛行物体、もう逃避行!失態!

818 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 20××/10/24(金)14:25:45.79 ID:t0nj2rY8
逃げるな卑怯者!地球人の勝ちだ!

308: 2022/05/19(木) 21:43:56.28 ID:A+tUKpUM.net
☆渋谷☆


「やった……! やったよー!!」

「あの忌まわしき円盤をやっつけてくれたんだー!!」

「これで地球は救われたんだ……!」

「UFO撃墜の映像、めちゃくちゃ拡散されてる……! たった5分で100万親指もついてるよ……!!」

「エイリアンが熱に弱いことがわかったから、簡単にエイリアンを殺せるようになったし!」

「エイリアン狩りの動画、見てると心がスカッとするよ〜! もっと惨たらしく殺せ! 殺せ!」

「先に攻撃してきたのはこいつらだもん。殺されても仕方ないよね〜」

「連れ去られてた人たちも帰ってきたことだし、地球人の大勝利だよー!」

「みんな無事でよかったぁ……! 一時はどうなることかと……」

「パニックにはなったけど、結果的にみんな助かったもんね。よかったよかったー!」

「うん……! 最高のハッピーエンドだね!」





可可「…………………………………………」

可可「すみ……れぇ…………」

309: 2022/05/19(木) 21:49:24.49 ID:A+tUKpUM.net
可可「……ああっ…………ああ……あああ…………」

可可「うっ……ぐすっ…………うううぅぅ…………」

可可「すみれ…………ううっ…………ああ……うぅ…………」

可可「ああ……あああ…………あああああああっ……!」


「大丈夫!?」

「泣き崩れちゃってる……」

「そっか! UFOの脅威が去って、嬉しさで咽び泣いてるんだね!」

「うんうんわかるよ……! 怖かったもんね、あのエイリアン」

「でももう安心だね! UFOは撃ち落とされたんだから!」

「そうそう、木端微塵に爆破してたわ! ドカーンって!」

「これでまた平和な世界に戻れるね」


可可「うっ……! ううっ……ぐぅぅ…………うううぅっ…………」

可可「すみ…………うっ……ひっく…………ううっ…………れ…………」

310: 2022/05/19(木) 21:55:07.24 ID:A+tUKpUM.net
「……あれ? よく見たらこの子、スクールアイドルの子じゃない?」

「あー! 確か中国の子だよね。そこの結ヶ丘のスクドルだったはずだよ」

「すごーい! 写真撮っとこ!」

「ちょっとー。泣いてる子を撮るとか性格わるー」

「あはははは! ごめんごめん、有名人に会えたみたいで嬉しくてさ!」



可可「………………………………………………………………」

可可(何が、ハッピーエンドなのデスか……?)

可可(それは、誰にとってのハッピーエンドなのデスか……?)

311: 2022/05/19(木) 21:59:55.06 ID:A+tUKpUM.net
☆中国☆


かのん「……やっと視界が晴れたー」

恋「ずっと砂煙で何も見えませんでしたからね……」

千砂都「丸金生成……これだけ巨大な丸で撃つと、ここまでの爆発力を生むんだね……」

千砂都「もしかして地球にあるどんな兵器よりもすごいんじゃ……」

恋「……残念ながら、これ以上の被害を生む兵器を人間は所持しています」

千砂都「そ、そっか……」


かのん「UFOが、落ちてく……」

恋「慣性があるため、ここからだいぶ離れた位置に墜落するでしょうね……」

恋「恐らく、落下地点周辺ではかなりの被害が出る…………」


千砂都「……あれっ!?」

かのん「UFOが……消えた……!」

恋「…………どこかへ転送されたようですね……」

かのん「ええっ……! じゃあ、また攻めてくるんじゃ……!?」

恋「これだけのダメージを与えましたし、しばらくは大丈夫だと信じたいですね……」

312: 2022/05/19(木) 22:02:19.96 ID:A+tUKpUM.net
☆中心地(センター)☆


キュィィィン

恋「ここが丸の中心地ですね。見るだけでよくわかります」

千砂都「わあ……! ミステリーサークルだぁ!!」

恋「爆心地の周囲に、木の年輪のように丸が広がり続けています……。思わず見とれてしまう美しさです……」


かのん「でもあれだね。これだけの丸を描いたのに、お金は全然落ちてないんだね」

恋「打ち上げられた分のほとんどは、UFOと共に消えたか風で流されたのでしょう」

恋「この辺りに落ちているのは恐らく、うまく打ち上がらなかった硬貨だと思われます」

かのん「ふーん。やっぱ500円玉ばっかりだな〜」

恋「……熱が冷めたら、拾い集めましょうか」

かのん「恋ちゃん……?」

恋「その冷ややかな視線は早急にお止めください。これにはれっきとした理由がありますから!」

かのん「理由?」


恋「……私たちは、日本に帰る飛行機代を持ち合わせていません」

かのん「ほんとだ……!」

恋「そうです! 私たちはなんとかして、日本に帰るための資金を工面しなければならないのです!」

千砂都「パスポート持ってないから、どのみち飛行機には乗れないんじゃないかな……」

恋「ほんとです……! 詰みました!」

かのん「このバイクで海を渡れないかな?」

恋「不法入国じゃないですか! ……いえ、既にそうなんですけども!」

313: 2022/05/19(木) 22:08:51.25 ID:A+tUKpUM.net
恋「……ここは大人しく、助けを呼びますか……」

かのん「助けが来るまでの間、中国観光できるかな?」

千砂都「いいねぇ! 原産のパンダとか観に行きたいなあ」

恋「その前にまずこの砂漠から脱出しなければ……」


かのん「……あれ?」

千砂都「かのんちゃん?」

かのん「ねえ、この500円玉みて」

かのん「この裏面さあ、なんか変じゃない?」

恋「硬貨は数字が記載されている方が裏ですよ」

かのん「あ、そうなんだ。じゃあこの表面、なんか変じゃない?」

千砂都「んー……?」

恋「……言われてみればどことなく違和感があるような……」


かのん「前に丸金生成のお金が偽造かどうかをチェックした時に、細かいところまでじっくり見てたから気づいたんだけど……」

かのん「なんかこの500円玉、変な気がするんだよね」

恋「……プリントされている花が違うようですね。本来の500円硬貨のプリントは桐の花ですが、これは…………」



千砂都「…………スミレの花、だね」

314: 2022/05/19(木) 22:11:44.15 ID:A+tUKpUM.net
恋「あー、そうです! スミレです! この花弁の付き方などまさにスミレです」

かのん「すごーい! よく花の種類なんてわかったねー」


かのん「でもプリントが違うってことは……」

恋「……これ、偽造硬貨ですね」

千砂都「あはは……。こんなところで丸金生成の真偽が明らかになるなんて……」

恋「今まで丸金生成のお金を使ってこなくて正解でしたね……。危うく犯罪者になるところでした」

かのん「大丈夫! バレなきゃ犯罪じゃないよ!」

恋「そうでしたね! 無問題です!」

千砂都(恋ちゃん、ここ数日でだいぶ変わったなぁ……)


恋「……そろそろ、移動しましょうか」

かのん「どこ行こっか〜? ペキン? ダック?」

恋「とりあえず、人がいる町に出たいですね……」


キュィィィン

315: 2022/05/19(木) 22:15:20.06 ID:A+tUKpUM.net
千砂都(バイクが発進した後)

千砂都(私はずっと、中心地に残してきた点O……)

千砂都(……ではなく、スミレの花がプリントされた500円玉たちを眺めていました)

千砂都(その鈍い輝きが、見えなくなるまで)


千砂都「…………」

かのん「ちぃちゃん。どうかしたの?」

千砂都「……ううん。なんでもない」





千砂都(その後サヤさんが迎えに来てくれて、無事に日本へと帰ることができました)

千砂都(どのような手段で日本へ帰ったのかは、緘口令が敷かれているため言えませんが……)


千砂都(こうして私たちはいつもの日常へと帰っていきました)

千砂都(……約2名を除いて)

316: 2022/05/19(木) 22:20:39.06 ID:A+tUKpUM.net
☆数日後☆


恋「ラブライブ大会は来年に延期ですか……」

千砂都「世間的にはまだUFO騒動が尾を引いてるもんね……。学校は今日から再開されたけど」

恋「クゥクゥさん……それに、すみれさんとはあれから丸っ切り会えていませんね」


千砂都「……クゥクゥちゃんには連絡ついたけど、すみれちゃんは未だ消息不明……」

恋「家を訪ねた際の妹さんの心配そうな表情……。見ているだけでつらかったです」

恋「クゥクゥさんはすみれさんの動向を知っている様子でしたが、固く口を閉ざしていますし……」

かのん「…………」


かのん「……私、帰りにクゥクゥちゃんの家に行ってみるよ」

恋「でしたら私も……」

千砂都「恋ちゃん!」ガシッ

恋「ぐふっ!? な、何を……」

千砂都「ここはかのんちゃんに任せよう」

恋「……わ、わかりました」


恋「頼みましたよ、かのんさん」

かのん「頼まれた」

317: 2022/05/19(木) 22:24:32.87 ID:A+tUKpUM.net
☆可可の家☆


かのん(宇宙船で別れた後、クゥクゥちゃん達に何があったのかは誰も知らない……)

かのん(クゥクゥちゃんは帰ってきたのに、何故かすみれちゃんはどこを探してもいなくて……)

かのん(クゥクゥちゃんは学校に来ないし……)


かのん(私がどうこうできる問題なのかわかんないけど……)

かのん(とりあえずクゥクゥちゃんの元気そうな顔が見られたら、今日はそれだけでもいいかな)


かのん「あ、大家さん」

大家「おや、あなたは確か……」

かのん「澁谷です。澁谷かのん」

大家「ああ。唐さんのお友達でしたね」

かのん「はい! クゥクゥちゃんの……一番の友達です!」

大家「一番の友達、ですか……」

大家「ふふっ。唐さんはいいお友達を持っていますね」

かのん「えへえへ」

318: 2022/05/19(木) 22:27:18.34 ID:A+tUKpUM.net
かのん「あれ、もしかして大家さんもクゥクゥちゃんに用事でしたか?」

大家「ええ。ですが……」

大家「……唐さんは地球に戻ってから、ずっと外に出ていないようでして」

大家「心配でちょくちょく様子を見にきたりしているのですが、今は誰にも会いたくないようで……」

かのん「そうだったんですか……」


大家「これ、私から唐さんに渡そうと思っていましたが……代わりに澁谷さんから渡してもらってもよろしいですか?」

かのん「いいですけど、これは?」

大家「ろくなものを食べていないのではないかと思いまして、余り物ですがお裾分けを持ってきたんです」

大家「早く元気になってくれるといいんですけど……」

かのん「……はい。私からクゥクゥちゃんに渡しておきます」

大家「よろしくお願いしますね」


かのん(クゥクゥちゃん……)

319: 2022/05/19(木) 22:31:41.87 ID:A+tUKpUM.net
ピンポーン

かのん「……応答なし」


ピンポーン ピンポーン

かのん「……出ない」


ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン

可可「アー! もうピンポンピンポンうるさいデス!!」バンッ

可可「大家さん! 今は誰にも会いたくないと言って……」

かのん「えへ、来ちゃった」

可可「かのん……」


可可「…………どうして、わざわざ……」

かのん「クゥクゥちゃん、最近全然見てないから心配でさあ〜」

かのん「……あ、これ大家さんからクゥクゥちゃんに渡しといてって預かったの。はい」

可可「……ありがとうございマス」

かのん「それじゃ、クゥクゥちゃんの顔も見れたことだし、私は帰るね」スタスタスタ

可可「…………待ってくだサイ!」


可可「……せっかくデスので、上がっていってくだサイ」

320: 2022/05/19(木) 22:36:26.94 ID:A+tUKpUM.net
かのん(家に上げてくれるとは思ってなかった……!)


可可「お茶デス。どうぞ」

かのん「ありがとー!」ズゴゴゴゴ

可可「……皆は元気デスか?」

かのん「うん、ちぃちゃんも恋ちゃんも学校で楽しく過ごしてたよ」

可可「そうデスか……」

かのん「あ、マンマルも元気してるよ」

かのん「特に害はなさそうだから普段通りにカフェの看板ふくろうやってもらってるんだ〜」

かのん「マンマルがいなくなったら、ちぃちゃんや常連さん達が寂しがっちゃうからね」

可可「…………」


かのん「ちゃんとごはん食べてる?」

可可「……はい。一応」

かのん「そっかー」チラッ

かのん(ゴミ箱にカップ麺が山盛りに……)

かのん(そういえば前に、食生活が乱れてる……とか言ってたっけ)

かのん(見るからにげっそりしてるし……。このままじゃよくないよね……)

321: 2022/05/19(木) 22:39:40.34 ID:A+tUKpUM.net
かのん「あ、木刀……」グッ

可可「…………」

かのん「いやー、まさかお土産屋さんで買った2000円の木刀が世界を救うキーアイテムになるなんてねー」

かのん「ほんと、自分でもビックリなくらいすごかったの!」

かのん「エイリアンの足をスパーンって攻撃して、倒れたエイリアンを転がして他の子達もみんななぎ倒していって……」

かのん「地球最大の丸を描いた時なんて、ちぃちゃんが私の木刀を使って丸金生成を完成させたんだよ!?」

かのん「……まあ、今はまた粗大ゴミに戻っちゃったけどね。あはは」

かのん「あ、でも恋ちゃんの家に行ったらチビが喜んでくわえてるんだー」

かのん「まさに猫に真珠、犬も歩けば木刀だね☆」

可可「……そうデスね」

かのん「……」


かのん「……あっ、そういえば!」

かのん「ねえクゥクゥちゃん! ラブライブって知ってる!?」

可可「……開催されるのデスか?」

かのん「あ、いや、延期だって……」

かのん「いつか私たちも出場しようね」

かのん「……さーて、学校も再開したことだし、スクールアイドルの方もリスタートだー!」

かのん「また、5人で一緒に練習できるといいねー」


かのん「……すみれちゃん、元気してるかな」

可可「…………」

323: 2022/05/19(木) 22:43:45.22 ID:A+tUKpUM.net
かのん「あの日以来、すみれちゃんとは全然連絡が取れないんだよね」

かのん「クゥクゥちゃん…………何か、知らない?」

可可「…………」

可可「……クゥクゥに訊かないでくだサイ……」

可可「クゥクゥは……クゥクゥは…………」


かのん「……ねえ、クゥクゥちゃん」

かのん「他人の心の中なんてさ、これっぽっちもわかんないし……理解したつもりでも、まだまだ全然知らないことがたくさんあったりしてさ……迷宮みたいに複雑かと思えば実は直線コースだったり…………」

かのん「……あーえっと! つまり、何が言いたいかっていうと……」

かのん「クゥクゥちゃんはきっと、私たちにも言えないようなことを抱えてると思うんだ」

かのん「それがどんなものかは私には想像つかないし、どれだけクゥクゥちゃんが苦しんでるかもわからない」


かのん「けど……知りたいよ」

かのん「クゥクゥちゃんの胸の内……教えてほしいの」

かのん「たとえ理解できなくても、クゥクゥちゃんがつらい想いをしてるなら共感したいし、傍にいたいって思う」

かのん「一人で抱えきれないなら、私も一緒に共有するから! ……いや、私たちみんなで共有したい!」

かのん「そういうのが、友達なんじゃないかな。……たぶん」

可可「…………かのん……」

324: 2022/05/19(木) 22:48:51.95 ID:A+tUKpUM.net
☆☆☆


可可(ずっと、痛いデス)

可可(胸が。ずっと。ズキズキしていマス)

可可(苦しい……つらいデス……)

可可(これは、怪我の痛みではないことはわかっていまシタ)


可可(すみれがいなくなってから、クゥクゥの胸はずっとズキズキ痛みマス)

可可(痛みが記憶を呼び起こし、笑顔のすみれが脳裏に浮かぶのデス……)

可可(そしてその度に……もうすみれには会えないという現実が、さらに胸を苦しくさせマス……)

可可(すみれ…………)



すみれ『だから、どれだけ痛くても……今は我慢しなさい』

すみれ『どんな痛みも、いつかは過ぎ去るものなんだから』



可可(…………そうかも、しれまセン……)

可可(いつか、この痛みが完全になくなる日が訪れるのでショウ……)

可可(……クゥクゥは、それが怖いのデス……)

可可(この痛みが過ぎてしまうと……その時には既に、すみれのことを忘れ去っているような気がして…………怖いのデス……!)

325: 2022/05/19(木) 22:53:28.36 ID:A+tUKpUM.net
可可(胸がズキズキして痛むほどに、すみれを強く想起できます……)

可可(だから、誰にも胸の内を明かしたくはないのデス……!)

可可(話せばきっと……心が楽になってしまいマス……)

可可(楽になればなるほど、痛みが薄れ……すみれを思い出す機会が少なくなっていき……)

可可(いつか…………クゥクゥは、すみれを思い出せなくなってしまう……)

可可(それがいやなのデス……!!)

可可(すみれ……すみれ……すみれぇ……!)



かのん「けど……知りたいよ」

かのん「クゥクゥちゃんの胸の内……教えてほしいの」


可可(いやデス!)

可可(かのんに話せばまず間違いなく、クゥクゥの心は救われてしまいマス……!)



かのん「たとえ理解できなくても、クゥクゥちゃんがつらい想いをしてるなら共感したいし、傍にいたいって思う」

かのん「一人で抱えきれないなら、私も一緒に共有するから! ……いや、私たちみんなで共有したい!」


可可(ダメなのデス……!)

可可(クゥクゥが抱え込んでいなければいけないのデス……!)

可可(クゥクゥは一生、この痛みを消さないように生きなければなりまセン……)

可可(そうしなければ……クゥクゥはすみれのこと…………)





『ばーか。誰もそんなこと望んでないわよ』

可可『!?』

326: 2022/05/19(木) 22:56:49.65 ID:A+tUKpUM.net
可可『…………すみれ……!?』

可可『すみれ……! すみれなのデスか……!?』

『何回人の名前を呼ぶのよ……。声でわかるでしょ?』

可可『しゅみれぇ……!』

可可『……しかし何故、すみれの声が……?』

『あんたの肋骨を治す時に、私の体の金属で接合したでしょ?』

『それで……あれよ。クゥクゥの中にはいつだって私がいるのよ』

可可『……説明になっていないような気がしますが……すみれがいるならなんでもいいデス』


『ねえ、クゥクゥ』

可可『なんデスか、すみれ!』

『あんたってほんと……』



『バカでアホでマヌケでたわけでとんまで☆☆☆のくせに☆☆☆☆☆よね!』

可可『!? 知らない星の言語で罵るのは卑怯デスよ!!』

327: 2022/05/19(木) 23:01:19.77 ID:A+tUKpUM.net
『クゥクゥは、もっと自分のことを大切にしなさい』

『自分で自分を苦しめてどうするのよ?』

可可『…………デスが……』

可可『痛みを忘れると、クゥクゥはすみれのことを忘れてしまい……』

『ほら、人のせいにしない! 私を言い訳に使わないで!』

可可『っ!!』


『あんたが痛みを忘れたくないのは、ただの自罰行為なのよ』

『私が犠牲になった現実を受け入れられないから全部自分の責任だと思い込ませ、自らを罰することで許しを得た気になってるだけよ!』

『クゥクゥのこんな姿……あんたの大好きな平安名すみれが望んだと思う!?』

可可『……クゥクゥは…………クゥクゥは…………』

『いつまでも目を閉じてないで!』

『……ほら、目の前を見てみなさい!』

可可『目の、前……』





かのん「そういうのが、友達なんじゃないかな。……たぶん」

可可「…………かのん……」

328: 2022/05/19(木) 23:08:37.24 ID:A+tUKpUM.net
『そこが、あんたのいる場所……』

『そこが、あんたの生きる場所なのよ』

可可『…………』


可可『クゥクゥは…………クゥクゥは……』

可可『……とても弱い人間デス』

可可『弱くて……すみれの氏から目を背け、ずっと逃げてきまシタ……』


可可『……しかし、もう逃げたりしないと心に誓いマス!』

可可『この胸の痛みも、乗り越えてやりマス……!』

可可『クゥクゥの、大切な友達と共に……!』

可可『いつか、この痛みを忘れられるぐらいに強くなってみせマス……!!』


可可『……忘れまセン』

可可『すみれと過ごした星の瞬きみたいなあの時間……絶対に忘れたりしまセン……!』



可可(……もう既に、すみれの声は聞こえなくなっていまシタ)

329: 2022/05/19(木) 23:17:44.67 ID:A+tUKpUM.net
可可「…………かのん」


可可「聞いて、もらえマスか……?」

可可「…………クゥクゥの、心を……」

可可「……すみれの、ことを…………」

かのん「クゥクゥちゃん……!」

かのん「……うん、もちろん!」



可可(千砂都、レンレンも家に呼び、3人にすみれの訃報を伝えまシタ)

可可(みんな既に覚悟はしていたようで、クゥクゥの話をすんなりと受けていれていまシタ)

可可(……しかし徐々に込み上げてきたのか、突然泣き始めて……)

可可(それを見たクゥクゥも涙が溢れ、みんなで抱き合ってひとしきり泣きまシタ)

可可(それから質疑応答を続け、思い出すたびに感情が昂ぶり号泣、落ち着いたら話を続け、また号泣……)

可可(……気づくと夜で、みんなは各々大切な人が待つ家へと帰っていきまシタ)


可可(涙が枯れるほどいっぱい泣いて水分が抜けたため、心が少し軽くなりまシタ)

可可(……大家さんが作ってくれたナポリタンは、レンジでチンしたので、とても温かかったデス)

330: 2022/05/19(木) 23:23:41.62 ID:A+tUKpUM.net
☆神社☆


平安名母「ちびれ。境内の掃除お願いね」

ちびれ「はーい」



ちびれ「…………」

ちびれ「……負けないよ」サッ サッ

ちびれ「さあ、一緒に飛ぼうよ……」サッ サッ

ちびれ「…………」

ちびれ「お姉ちゃん……」


ちびれ「……あ」

可可「……」ペコッ


可可「……ちびれ、さん」

可可「あなたにお話ししたいことがありマス」

ちびれ「…………はい」


可可(ちびれに……すみれはUFOの中に残り、亡くなったことを伝えまシタ)

可可(……すみれが宇宙人ということは隠して)

331: 2022/05/19(木) 23:29:59.86 ID:A+tUKpUM.net
ちびれ「…………そう、でしたか」

可可「すみれに会えると言いまシタのに……」

可可「クゥクゥはその約束……守ることができませんでシタ……」

ちびれ「いえ……。ありがとうございます、わざわざ伝えにきてくれて……」


ちびれ「それに……今の話を聞くところ、お姉ちゃんはまだ生きてる可能性もありますよね……?」

可可「っ……」

ちびれ「お姉ちゃん……あんな感じだし、きっとしれっと生きてますよ……!」

ちびれ「……それ、で…………いつか……家に帰ってきて……」

ちびれ「いつも、みたいに…………ぎゃらくしぃ……って……」

ちびれ「…………おねえ……ちゃん……!」

可可「ちびれ……」


可可(すみれ……)

可可(すみれのことを想い涙を流してくれる人がいマス……)

可可(そのことだけは、忘れないでいてくだサイ……)

332: 2022/05/19(木) 23:39:51.10 ID:A+tUKpUM.net
☆部室☆


千砂都(時は流れ、11月)

千砂都(出雲大社に集っていた神々は、既にそれぞれのお社へと戻ったことでしょう)

千砂都(私たちもそろそろ、日常に戻らなければなりません)

千砂都(……すみれちゃんのいない、日常に)


恋「これから、どうしましょうか……」

かのん「恋ちゃんが加入する前も4人だったし、この人数で活動できないわけではないけど……」

千砂都「やっぱり、一人いなくなった分の穴は大きいね……」

可可「…………」



可可「ダァーーーーー!!」グワァ

3人「!?」

333: 2022/05/19(木) 23:48:44.78 ID:A+tUKpUM.net
可可「何を暗くなっているのデスか! これからは4人で頑張っていくのでショウ!?」

かのん「でも……」

可可「デモもストもありまセン!」

可可「……すみれが安心して成仏できるよう、クゥクゥ達だけでもやれるってところを見せなければ!!」

かのん「クゥクゥちゃん……」


かのん「……うん! こんな姿見られたら、すみれちゃんに笑われちゃうもんね!」

千砂都「だね! 『ったく、この私がいなきゃあんた達は何もできないったら何もできないのね〜』って言われちゃうよ!」

恋「そうですね……! 私たちには亡くなったすみれさんの意志を継ぎ、先に進む義務があります!」

かのん「もう一回、始めよう!」

かのん「この、4人で…………」



ガチャ

???「ギャラクシー☆」

4人「!!」

334: 2022/05/19(木) 23:56:57.12 ID:A+tUKpUM.net
可可「……何をしているのデスか……?」

千砂都「あ、この子……」

恋「すみれさんの……」

かのん「妹ちゃん……!」


ちびれ「何言ってんのよあんた達?」

ちびれ「よーく見なさいよ! ほら!」

ちびれ「どこからどう見ても……」

ちびれ「私が! 平安名すみれでしょー?」

4人「…………」


可可「こ、これは……」

かのん「ちびれちゃん……お姉ちゃんを失ったショックで、自分を平安名すみれだと思い込んでるんじゃ……!?」

千砂都「そ、そんな……! お姉ちゃんの口調や性格まで模倣して……なんて健気……!」

恋「防衛機制が働いてもおかしくありません……。まだこんなに幼い子供なのですから……」

335: 2022/05/20(金) 00:08:32.23 ID:9JWTwIQM.net
かのん「どうする……? ここは話を合わせておいた方がいいのかな……」

恋「しかし、そんなことをしても不毛なだけです……。何も解決しませんよ?」

千砂都「でも、こんな精神状態の子に現実を突きつけるなんて残酷だよ……」

可可「せめて、今日一日だけでも……ちびれのことを平安名すみれとして扱ってあげまショウ……」

ちびれ「ちょっと! 全部聞こえてるんだけどー!?」


可可「ち……すみれ! 今日は部活には来ないのかと思っていまシタよ!」

かのん「ち……すみれちゃん! 何か飲む? そんなに種類はないけど……」

千砂都「ち……すみれちゃん! 今日も練習頑張ろうね!」

恋「ち……すみれさん! あー、えーっと……今日はいい天気ですね!」

ちびれ「あーもう! なんで私がわかんないのよ!」

ちびれ「この顔ですぐにわかるでしょ!?」

恋「はい、わかっていますよ。ちびれさん」

かのん「恋ちゃん!」

恋「あっ! 失礼しました……す、すみれさん」

ちびれ「1ミリもわかってないじゃないの!」

336: 2022/05/20(金) 00:15:49.87 ID:9JWTwIQM.net
ちびれ「ったく、ちょっと見た目が違うだけで私がわからないなんて……あんた達ってほんと……」

ちびれ「……もういいわ! こうなったら強硬手段よ!」


ちびれ「クゥクゥ!」

可可「どうしまシタ、ち……すみれ?」

ちびれ「そこの椅子に座りなさい」

可可「椅子に……? わかりまシタ」ストンッ

ちびれ「次に千砂都!」

千砂都「なあに? ち……すみれちゃん?」

ちびれ「後ろから、クゥクゥの首の角度を調節しなさい」

千砂都「角度……? うん、わかった♪」


かのん「わー、なんか見たことある光景だなぁ」

恋「確か千砂都さんが丸を描いてお金を発射しているのを見て、すみれさんが突っかかっていったんですよね」

かのん「それでちぃちゃんの怒りに触れて、すみれちゃんがおでこギャラクシーの餌食に…………」



恋「……何故、ちびれさんがそのことを……」

かのん「すみれちゃんから、聞いた……のかな……」

337: 2022/05/20(金) 00:22:39.19 ID:9JWTwIQM.net
ちびれ?「はい、首を下に動かして」

可可「な、何デスか……これは……?」グググ

ちびれ?「あ、角度つき過ぎよ。もうちょっと上でいいわ」

可可「角度って何デスか!? 怖いデスよ!?」

ちびれ?「ここで……千砂都。クゥクゥの首を固定してちょうだい」

千砂都「はーい」ガシッ

可可「ギャア!? 首ロックされてマス!!」


可可「ち、ちびれ!? 何をするつもりデスか!!」

可可「千砂都もデス! 今すぐに離してくだサイ……!」

千砂都「でも、ちび……すみれちゃんのお願いを無碍にするわけにもいかないし……」

可可「ぐっ……! そ、そうデスが……」


ちびれ?「……」スタスタスタ

可可「ちびれ……? 何故近づいてくるのデスか……!?」

可可「……か、かのん! レンレン! 助けてくだサイ!」

かのん「いやぁ……」

恋「すみません……」

可可「この薄情者ー!!」

338: 2022/05/20(金) 00:33:19.55 ID:9JWTwIQM.net
可可「く、クゥクゥは今から何をされるのデスか……?」

ちびれ?「…………」スタスタスタ

可可「ちびれぇ!!」


ちびれ?「……それじゃ、いくわよ」

可可「!? ま、まだ心の準備が──」



ポンッ

可可「!?」

可可「っ……」

可可「……」

可可「…………」


ナデナデ

可可「…………………………………………」





可可『あなたは本物のすみれなのデスか?』

すみれ『はあっ!? あんな感動の再会した後に言うセリフじゃないでしょ!?』


可可『ほ、本物のすみれならば……』

可可『こういう時……クゥクゥの頭を、なでなでしてくれる……はずデス……!』

339: 2022/05/20(金) 00:39:53.23 ID:9JWTwIQM.net
ポタッ


可可「あっ……………………ああ……あっ……!」ポロポロ

可可「あああっ…………ああ……あああああっ……!」ポロポロ

可可「あああああ…………あああっ……!!」ポロポロ

可可「…………しゅみれ……」ポロポロ

可可「……しゅみれ…………しゅみれぇ……!」ポロポロ

可可「しゅみれ……しゅみれ、しゅみれぇぇ……!!」ポロポロ


すみれ「……やっと気づいたのね」

すみれ「ったく、遅過ぎるわよ……!」


千砂都「く、クゥクゥちゃん……!? どうしたの……?」

可可「ううっ……あああっ…………」ポロポロ

恋「ま、まさか……本当に…………」

かのん「すみれちゃん…………なの……?」

千砂都「えっ……!?」


すみれ「ええ! 私こそ、ショウビジネスの世界で3ヶ月に1人の逸材と謳われた…………」

すみれ「平安名すみれったら、平安名すみれよっ!!」

340: 2022/05/20(金) 00:46:04.23 ID:9JWTwIQM.net
かのん「すみれちゃんー! 生きてたの!?」

千砂都「丸金生成の素材になるため、UFOに残ったって聞いたけど……?」

すみれ「ええ。実際あれで、体のほとんどが持ってかれたわ」

すみれ「でもギリギリ体が残って……船底に空いた穴から地球に落っこちたのよ」

すみれ「そこからなんとか金属を吸収しまくって、ここまで回復できたけど……」

すみれ「力を使いすぎたみたいで、今はこのサイズが限界みたい」

可可「だからこんなにチンチクリンなのデスねー」ナデナデ

すみれ「勝手になでなでするんじゃないわよ!」ググッ


恋「…………本当に……」

恋「本当に、すみれさんが生きてて……よかったです……!」ウルウル

かのん「うんっ……よかっだよぉ〜!」ダバーッ

千砂都「また、この5人でいられるんだね……!」チョロチョロ

可可「……まったく、クゥクゥ達の涙……返しやがれデス……!」ポロポロ

すみれ「…………心配、かけたわね」

すみれ「……ごめん、なさいっ…………」プルプル

341: 2022/05/20(金) 00:52:52.18 ID:9JWTwIQM.net
可可「あー! すみれが泣いていマスー!」

すみれ「!? な、泣いてなんかないわよ!」

すみれ「こんなの……演技よ、演技! この私を誰だと思ってるの!?」

可可「…………」





可可「平安名すみれ……」

可可「クゥクゥの…………宇宙で一番大切な人デス!」

342: 2022/05/20(金) 01:11:34.81 ID:9JWTwIQM.net
☆翌日☆


千砂都「ま〜るいやつ〜♪ ま〜るいやつ〜♪ ま〜るいやつ〜♪ ま〜るいやつ〜♪」フンフフーン

千砂都「せつめい〜むずかしいやつ〜♪」フンフフーン



かのん「うぃっす〜」

千砂都「かのんちゃん! うぃすうぃっす〜」

かのん「ん? ちぃちゃん何してるのー? 丸を描くバイト?」

千砂都「あー、あのバイト辞めたんだ〜。給料が全部偽造硬貨で使えないからさ」

かのん「へー。そりゃ難儀だねぇ」

千砂都「やっぱりたこ焼き屋が私にとっての天職みたい」


可可「おはよーございマース!」

すみれ「あー騒がしいわねぇ」

可可「おや、すみれ! 少し背が伸びましたか!?」ナデナデ

すみれ「なっ……絶対私のことバカにしてるでしょ!」

可可「してないデスよ〜」

すみれ「うぐぐっ……! 元のサイズに戻ったら覚えてなさいよー!」


恋「皆さん、おはようございます」

かのん「おっ、恋ちゃんー」

恋「……揃っていますね、この5人が」

千砂都「うんっ♪」

343: 2022/05/20(金) 01:19:32.35 ID:9JWTwIQM.net
恋「……ここ最近、本当に色々とありました」

恋「今もなお、解決していないトラブルも多々あることでしょう」


可可「すみれは元の体に戻るまで、家に帰れないデスからね」

すみれ「仕方なくクゥクゥの家に居候させてもらってるけど……あー、早く出て行きたいわ」

可可「なんデスとー!?」


かのん「ちぃちゃんの背中の機械も、結局つきっぱなしなんだね」

千砂都「うん……。ヘタに病院とかで診てもらうと、そのまま研究機関とかに送られて実験される気がするからね……」


恋「……ですが、時間は待ってはくれません」

恋「来たるラブライブ大会! 結ヶ丘のためにも、我々は必ず出場しなければなりません!」

恋「そのためにも……今はとにかく練習あるのみです!」

恋「さあ、今日も気合を入れていきましょう!」

4人「おー!」

344: 2022/05/20(金) 01:29:18.67 ID:9JWTwIQM.net
\ワイワイガヤガヤ/

千砂都「……」

千砂都「あー、いいなぁ。楽しいなぁ」

かのん「ちぃちゃん?」



千砂都「まるいやつがいて……」

千砂都「ほっそいやつがいて……」チラッ

可可「ん? クゥクゥデスか?」

千砂都「とがったやつがいて……」チラッ

かのん「私? ……まあ、この中なら一番尖ってるけど……」

千砂都「けぶかいやつがいて……」チラッ

恋「!? ちゃ、ちゃんと処理しています!!///」

千砂都「…………そして、せつめいむずかしいやつがいる……」チラッ

すみれ「……ま、当然よね。この平安名すみれを言葉で表すなんて不可能よ!」


千砂都「そんなみんなが集まって……」

千砂都「一つの大きな輪っかになって…………」

345: 2022/05/20(金) 01:37:13.43 ID:9JWTwIQM.net
千砂都「……まさに、大団円だね!」

かのん「ち、ちぃちゃん……!?」

おしまい



千砂都「…………んー、ほんとはこれで幕引きなんだけど……」

千砂都「なんか違うなぁ……」

千砂都「……あっ! そうだ!」

千砂都「やっぱり物語の最後には『丸』が相応しいよね……!」

千砂都「」カキカキ..


















おしまい。

347: 2022/05/20(金) 01:39:53.73 ID:9JWTwIQM.net
☆後日談☆


かのん「グループ名?」

恋「はい。ラブライブ自体は延期となってしまいましたがエントリーにはグループ名の登録が必要ですので今のうちに決めようかと」

すみれ「そういえば今まで決めてなかったのね」

可可「ここは全員の名前から取って、クーカースミチーレンというのはどうでショウ!?」

千砂都「麻雀の役みたいだね〜」

すみれ「もっと真面目に考えなさいよ。私たちの大切なグループ名よ?」

恋「では各自で案を考え、グループ名として相応しいものを選出しましょう」

4人「おー!」

〜3分後〜

かのん「……うん! もうこれしか考えられないよ!」

千砂都「いい名前だ!」

すみれ「私たちにピッタリね!」

恋「全会一致です!」

可可「コンセンサス取れまシタよ!」


かのん「私たちは…………」

『EDF』

348: 2022/05/20(金) 01:42:04.96 ID:9JWTwIQM.net
かのん「EDF……フランス語で地球防衛軍って意味かもしれない」

すみれ「いいじゃない! EDF!」

恋「EDF!」

可可「EDF!」

千砂都「EDF!」

かのん「EDF!」

〜翌年〜

『今回のラブライブ優勝はーーー…………』

『結ヶ丘女子高校スクールアイドル、EDFぅぅぅーーー!!!』

観客「EDF! EDF! EDF!」

フランスの宇宙人「\$€\€€$\!?(なにー!?こいつらが地球を守ってるだとー!?)」

フランスの宇宙人「€$$€€\$\\\!!(ころしてやるー!びーむ!)」

かのん「ぎゃーーーーー」


――――――――――――
―――――――――
―――――


かのん「……はっ! 夢かっ……!?」ガバァッ

かのん「…………」

かのん「あんなことにならないよう、ちゃんとグループ名考えとかなきゃ……」

かのん「お父さんー。ちょっと辞書とか借りるねー」テテテテ


おわり。

349: 2022/05/20(金) 01:44:13.80 ID:9JWTwIQM.net
これにて完結です
保守していただきありがとうございましたまる

350: 2022/05/20(金) 01:47:08.01 ID:oTr/PoiV.net
乙。

351: 2022/05/20(金) 05:25:34.89 ID:Nf1pnHT1.net
おつかれ
面白かった

352: 2022/05/20(金) 05:54:18.89 ID:wp1QPPEq.net
めちゃくちゃ面白かった>>301のあたり泣きそうだったわ
スパスタで長編しかも良いクゥすみ読めて嬉しい ありがとうありがとう…

引用元: 千砂都「丸を描くバイト!?」