1: 2011/09/04(日) 19:01:36.10 ID:iRFMpXfPo

テレビ「今日、動物園で子ぶたの赤ちゃんが生まれ……」

梓「子ぶたさん美味しそう」ジュルッ

律「もっと他の感想ねえのかよ」

梓「夕飯はトンカツにしてください!」

律「……」


律梓「はじまり!」

けいおん!Shuffle 2巻 (まんがタイムKRコミックス)

2: 2011/09/04(日) 19:02:21.71 ID:iRFMpXfPo

「おしおき!」


ガチャッ

律「ただいまー」

梓「……」ムスッ

律「おっす、今帰ったぞ」

梓「ふぅん」

律「不機嫌だなぁ」

梓「どうしてか胸に手を当てて考えてください。当てるほど胸があるかは知りませんが」

律「うっせーお前の胸触んぞ」

梓「殴りますよ?」ギロッ

律「」ビクッ



3: 2011/09/04(日) 19:02:58.83 ID:iRFMpXfPo

梓「……」

律「なーそう怒んなって」

梓「ふんっ」

律「ゼミの飲み会だったんだからしょうがないだろ」

梓「それは分かってます。ですからそのことについては怒ってません」

律「じゃあ何を梓「今何時だと思ってるんですか」

カッチコッチ カッチコッチ

律「……十一時半」

梓「を十分ばかり過ぎていますね」

律「……ごめんなせえ!」ドゲザッ

梓「……」

律「早く帰りたかったんだけど、強引に二次会に連れてかれて……」

梓「他人のせいにするんだ」

律「そ、そういうわけじゃ」

梓「遅くなるならなるで連絡してくれてもいいんじゃないですか?」

律「そ、その通りでございますっ」

梓「……」ハァ

律「私が悪かった! この通り、何でもするから!」

梓「へぇ、何でも」

律「そう、何でも!」

梓「……」



4: 2011/09/04(日) 19:03:35.71 ID:iRFMpXfPo


テレビ「明日のお天気は……」

律「……」

梓「……」ギュウウウウ

律「あの、梓さん」

梓「何ですか?」

律「ひざが重いんですけど」

梓「私一人乗ったぐらいで柔なこと言わないでください」

律「あと、お前に抱きしめられてんのが苦しい」

梓「うるさいです」

律「コアラかお前は」

梓「何でもするって言ったじゃん」

律「はい」

梓「……」ギュッ

律「で、これは一体」

梓「あずさ縛りの刑です。律先輩にはお仕置きが必要ですから」

律「あずさ縛りってお前……」クスッ

梓「……」ギュウウウウウ

律「ちょ! 中のもの出ちゃう!」


5: 2011/09/04(日) 19:04:11.16 ID:iRFMpXfPo


三十分後

梓「……」プクー

律「……まだ拗ねてんのか?」

梓「当たり前です」

律「テレビが見えないんですが」

梓「知りません。知る筋合いもございません」

律「ひどっ」

梓「……」ムスッ

律「……」

律「あのぉ」

梓「」ギロッ

律「」

梓「何でございますか田井中先輩」

律「たい焼きアイス買ってきたんだけど。お前の好きな」

梓「!」ピクッ

律「食べる?」

梓「食べる!」

梓「♪」ハムハム

律「美味しい?」

梓「うん!」

律「そいつはよかった」

梓「♪」ニコニコ

律(……単純なやつ)クスッ

梓「あ、食べ終わったらお仕置きの続きしますから」

律「えっ」



6: 2011/09/04(日) 19:04:37.98 ID:iRFMpXfPo

「なつかぜ!」


律「……ゲホッゲホッ」

梓「風邪ですか?」

律「んー何か喉が痛くて頭がぼーっとする」

梓「ひどい声してますね。ちょっと失礼」ピタッ

梓「わっ、すごく熱いじゃないですか」

律「あーそうなの?」

梓「そうですよ! 完全に風邪です!」

律「参ったなー、今からバイトなのに」

梓「そ、そんな体で行ってどうするんですか!」

律「でもシフトが……」

梓「ダメです、今日は休んでください」

律「……」

梓「後ろめたいなら私から連絡しますから」

律「……分かったよ」


7: 2011/09/04(日) 19:05:04.86 ID:iRFMpXfPo

律「……」

梓「ふんふん♪」

律「何してんだ?」ムクリ

梓「あ、寝てなきゃダメですよ」

律「だって気になんだもん」

梓「卵かゆです。さっきネットで作り方調べてきました」

律「お、嬉しいな」

梓「もうすぐできますから待っててください」

律「へーい」


8: 2011/09/04(日) 19:05:31.07 ID:iRFMpXfPo

梓「……」ジー

梓「うーん、どのタイミングで卵入れたらいいんだろ」


ゴトゴトゴトゴトゴト

梓「わ、わ、吹きこぼれてる!」

ドンガラガッシャーン

梓「にゃっ、お椀落としちゃった!」

梓「とにかく火を止めなきゃ……あつっ」

モクモクモク

梓「うっ、湯気が目に……」

ドタドタバタバタ


律(卵かゆってお粥に卵かけるだけじゃないのか……?)



9: 2011/09/04(日) 19:06:27.17 ID:iRFMpXfPo

梓「できましたよ律先輩!」

律「お、おう」

梓「さぁ、勝負です!」

律(勝負ってなんだよ)

律「」ソー

梓「……」

律(すっげーおどろおどろしい色してるんだけど)

ぷ~~ん

律(ぬぐっ、刺激臭の一歩手前だぞこりゃ)

梓「」ジー

律「……はっ」

梓「」キラキラ

律(う、うう……そんな目をされたら食べない訳にはいかない)

律(か、覚悟を決めるか)

律(鼻から息を吸わないようにして、少量をなるべく味わわないように)

律「」パクッ


10: 2011/09/04(日) 19:06:55.64 ID:iRFMpXfPo

律「……」

梓「……」

律(塩っからぁ、、こいつ醤油入れすぎただろ。てか底の方焦げてるし……)

梓「あの、どうですか……?」

律(そ、そんな不安そうな目をしないでくれよマイハニー)

律「う、うぅ……」タラリ

梓「う?」

律「うううぅぅうまい」タラタラタラ

梓「ホントですか!?」

律「あ、ああホントだ、よ」

律(私今受験勉強の時よりも頑張ってると思う)

梓「わぁーい、どんどん食べてくださいね♪」アーン

律「ちょ、すとっ……」

梓「いっぱい食べて、早く治してください」ヒョイヒョイ

律「んーっ、んーっ」ムグムグ

梓「どうしたんですか律先輩?」

律「んー……」バタッ

梓「り、律先輩!?」

律「」

梓「一体どうしたんだろ」

梓「……」ジー

梓「」パクッ

梓「うわまずっ」ペッ



11: 2011/09/04(日) 19:07:44.34 ID:iRFMpXfPo

律「んー」

律「はれ、私寝てた?」ムクリ

律「ん、熱が下がったような」

律(あの刺激粥が利いたとか……なんてな)

律「ん……?」

梓「zzz」

律「……こいつ、ずっと看病してくれてたのか」

律「迷惑かけたな」ナデナデ

梓「……」ニヤー

律「治ったら、何かお礼しないとな」

梓「りーつ……ん……い」

律「ふふ、寝言かよ。可愛いやつ」

梓「夏かぜなんて……おばかさん」ニヤニヤ

律「」ムカッ



12: 2011/09/04(日) 19:08:44.93 ID:iRFMpXfPo

「うらない!」


デート中!

梓「あ、見てみて律先輩!」

律「何だよ」

梓「相性測定だって」

律「あー昔流行ったよな」

梓「ちょっとやってみましょう!」

律「はいはい」


梓「……」ピッピッ

律「どれどれ」


名前を入力してね!

女:あずさ 男:りつ


律「くぉらあああぁぁぁっ!!」

梓「うるさい人だなぁ」

律「『男:りつ』ってどういうことだよ!!」

梓「だって私が男じゃおかしいじゃないですか」

律「私でもおかしいだろ!」

梓「あ、もうすぐ結果でますよ」

律「聞けよ」


パンパカパーン

大恋愛!!

あずさ ちゃんと りつ くんの相性度は100パーセントです!


梓「やったぁ! 見てください、律先輩」

律「……何か素直に喜べない」



13: 2011/09/04(日) 19:09:11.97 ID:iRFMpXfPo

「あいあい!」


ザーザー

律「うっひゃぁ、すげぇ雨だなぁ」

梓「……」

律「まぁ、帰りが電車でよかったよ。自転車なら最悪だったな」

梓「そ、そうですね」

律「ぁん?」

梓「……」ドギマギ

律「何緊張してんだ」

梓「だ、だって」

律「?」

梓「これっていわゆる『相合い傘』じゃないですか」

律「いわゆるも何もそのまんまだけど」

梓「だ、だからその……緊張しちゃって」

律「ばっ! い、今さらだろっ」

梓「そうですけどっ……」


14: 2011/09/04(日) 19:09:43.40 ID:iRFMpXfPo

コツコツ コツコツ

律「……」

梓「……」

律「お、おい」

梓「な、何ですか」

律「何か話せよ」

梓「律先輩こそ」

律「私は別に何も」

梓「いつも騒がしいくせに」

律「お、お前だって」

梓「何ですか!」ズイッ

律「何だよ!」ズイッ


律梓「……はっ」

律「……」

梓「……」


15: 2011/09/04(日) 19:10:10.69 ID:iRFMpXfPo

律「……」

梓「……」

律「な、何かあれ思い出すな」

梓「あれって?」

律「付き合って間もないときの、こそばゆい感じ」

梓「っ……///」ボンッ

律「あ、いや別にそういう意味じゃなくてっ」

律(てか私は何言い出してんだよ!?)

梓「じゃあどういう意味?」

律(聞くなよそれ)

律「い、いやぁ、まぁ。な?」

梓「……ヘタレ」


16: 2011/09/04(日) 19:12:20.43 ID:iRFMpXfPo

梓「……」

律「……」ジー

梓「な、何ですか?」

律「あ、いやうん何でも」

梓「そ、そうですか」

律「……」

梓「……」

梓「あ、あの」

律「何?」

梓「手握っていいですか?」

律「い、いいんじゃねーの?」

梓「それじゃ」キュッ

律「……」

律(あー緊張して心臓が鳴りっぱなしだよ)

梓「……」

律(でも、もう少しこうしていたい)

律(早く過ぎ去ってほしいような、もう少し長く続いてほしいような)

梓「……」

律(何か、不思議な時間)

梓「……」



駅員(何であの二人、駅の中で傘さしてるんだろう……?)



17: 2011/09/04(日) 19:13:01.35 ID:iRFMpXfPo

「かみがた!」


律「けっせら~せら~♪」

梓「……」

律「あーずさちゃーん」

梓「何ですか?」

律「あっそびーましょ」

梓「すいません忙しいんで」

律「ん~いけず~」

梓「」イラッ

梓(あー面倒くさいときの律先輩だ)

梓「……何でそんなに上機嫌なんですか?」

律「いや~、実は今日ティッシュペーパーの特売日でさぁ」

梓「あ、それで」

律「安く大量に買えちゃったんだぞ。向こう半年はティッシュに困らないな」

梓(何てささやかな幸せだろう)



18: 2011/09/04(日) 19:13:27.63 ID:iRFMpXfPo

梓「……」

律「はっぴーはっぴー♪」スルスルッ

梓(うざい)

律「きゅきゅっとな♪」

梓「……」

律「できた! ポニテ梓!」

梓「人の髪で遊ばないでください」

律「うーんなかなかセンスいいじゃん、私」

梓「」イライラ


19: 2011/09/04(日) 19:14:10.15 ID:iRFMpXfPo

律「つづきまして~」スルスル

梓「……」ハァ

律「黒髪ロング梓!」

梓「ただ髪を下ろしただけじゃないですか」

律「随分雰囲気変わるなぁ。大人っぽくて美人」

梓「ほんとっ!?」

律「なーんてな」

梓「」

律「大人っぽさをアピールするなら、身長をあと十センチと胸囲を二十センチほど……」

梓「」プチッ

ドゴォッ


律「」シュウシュウ

梓「さいっっていっ! しばらく一緒に寝てやんない!」

律「ちょっとした冗談なのに……」

梓「うるさい!」

律「はい」



20: 2011/09/04(日) 19:15:15.28 ID:iRFMpXfPo

「おむかえ!」


ワイワイ ガヤガヤ

梓「それでね、律先輩ったらひどいんだよ!」ヒック

憂「うん、何度も聞いたよ。梓ちゃんのハーゲンダッツ食べちゃったんだよね」

梓「それだけじゃなくて、『お前も私のアイスいつも食べるんだからお互い様だろ』なんて言って、謝りもしないんだよ!」

純「ごもっともだと思うけど」

梓「」ギロッ

純「」

憂「純ちゃん、めっだよ」

純「ご、ごめん」

純(どうして私が怒られてるんだろう)

梓「モテるのか知らないけどさ、毎日毎日キャンパスで別の女の人と歩いてて」

純「本当に一緒に歩いてるだけじゃないの?」

梓「」キッ

憂「しっ」

純「……」

梓「部屋の隅で、こそこそ男の人と電話したりしてさ」

純「えー、あの律先輩が信じられないなぁ」

憂「どんなこと話してるの?」

梓「なんか、明日は都合が悪いだとかシフト替わってくれだとか色々」

純「それ単なるバイトの連絡かと」


21: 2011/09/04(日) 19:15:47.86 ID:iRFMpXfPo

梓「あ、お酒なくなった……すいませーん」

純「もう止めときな」

憂「飲み放題だからって飲み過ぎだよ」

純「梓、あんまりお酒強くないでしょ」

梓「今日は飲みたい気分なのー!」

純「……」ハァ


22: 2011/09/04(日) 19:16:15.38 ID:iRFMpXfPo

梓「」グデーン

純「……案の定」

純「しっかし、いきなり電話で呼び出したかと思えば」

憂「梓ちゃんが律さんとケンカだなんて珍しいね」

純「私にはただの惚気話に聞こえたんだけど」

憂「たまには付き合ってあげようよ。梓ちゃん滅多に愚痴なんか言わないんだから」

純「ま、そだけどさ」

ブー ブー

憂「鳴ってるよ」

純「私じゃないよ」

憂「じゃ梓ちゃんかな。おーい、携帯鳴ってるよ」

梓「zzz」

純「ダメだこりゃ」

憂「困ったなぁ、勝手に取る訳にもいかないし」

ブー…

純「あ、切れた」

憂「ま、仕方ないか」

プルル プルル

純「また鳴ってるよ」

憂「今度は私だ……律さん?」ピッ


23: 2011/09/04(日) 19:17:22.30 ID:iRFMpXfPo

憂「もしもし、どうしましたか?」

『あ、憂ちゃん? ごめん、梓知らない?』

憂「あ、一緒に居ますよ。今飲み屋にいて」

『たくっ、何で電話でないんだよあいつ』

憂「……」

『怒ってんのか知らないけどさ』

憂「そ、その、梓ちゃん酔いつぶれちゃって」

『酔いつぶれたぁ? ……あのバカ』

憂「はい……すいません」

『あ、いや憂ちゃんが謝る必要はないよ。で、今どこにいんの』

憂「はい、大学近くの……」


24: 2011/09/04(日) 19:17:48.17 ID:iRFMpXfPo






梓「zzz」

律「ごめんな二人とも、世話かけちゃって」

憂「いえ、そんな」

純「気にしないでください、これでも梓の親友ですから」

律「そっか、ありがと」

梓「……」スースー

律「よし、帰るぞ梓」ヨイショ

純「大丈夫ですか?」

律「ああ、こいつ一人ぐらい負ぶって帰れるよ」

憂「……」

憂「あの!」

律「ん?」

憂「梓ちゃん、よろしくお願いします」

律「……うん、了解」

梓「zzz」

律「じゃ、おやすみ」

憂純「おやすみなさい」


純「……」

憂「……」

純「梓、愛されてるじゃん」

憂「うん、律さんがいれば安心だね」

純「羨ましい限りだよ。はぁ、私も恋人欲しいなあ……」

憂「そう拗ねないの」ヨシヨシ


25: 2011/09/04(日) 19:18:24.58 ID:iRFMpXfPo

コツコツ

律「……」

梓「んー……あれ?」

律「目さめたか?」

梓「何で私」

律「潰れたって聞いたから迎えに来たの」

梓「えと……」

律「人をタクシー代わりに使いやがって」

梓「むっ、別に頼んでないもん」

律「あっそ」


26: 2011/09/04(日) 19:18:50.92 ID:iRFMpXfPo

梓「うー……」

律「戻す?」

梓「大丈夫、ちょっと頭痛いだけ」

律「そか」

梓「……」

律「……悪かったよ」

梓「えっ?」

律「勝手にアイス食べちゃってさ。お詫びに別の奴買っといたから」

梓「ハーゲンダッツ?」

律「うん、お前の好きな抹茶味」

梓「じゃあ許す」

律「どうも」

梓「……」

律「……」

梓「律先輩?」

律「なーに」

梓「大好き」

律「しらふのときに言ってほしいなそれ」



27: 2011/09/04(日) 19:19:17.56 ID:iRFMpXfPo

「かなしば!」


テレビ「ある日、夜中にふっと目を覚ましたんですね」

律「……」

梓「アワワ…」

テレビ「そしたら、体がずんっと重くて全く動かせなくなって」

律「……」

梓「ヒイィィ…」

律「おい、梓」

梓「ひっ……な、何ですか驚かさないでくださいよっ」

律「いや普通に言ったし。つか苦しいんだけど」

テレビ「ふと天井に目を向けると、血まみれの女がいて……」

梓「きゃああああああっっっ」

律「」キーン

テレビ「私の首を、ぎゅっと絞めてきたんです」

梓「いやああああああああっっっ!!!」ギュウウウウウウ

律「ぎぇっ、わたしの首が絞まってるって!!」


28: 2011/09/04(日) 19:19:52.30 ID:iRFMpXfPo

梓「ふぅ、怖かったぁ」

律「だったら見なけりゃいいのに」

梓「怖い番組を見て涼しくなるんです。夏の定番じゃないですか」

律「夜中にトイレ行きたくなっても知らないぞー?」

梓「よ、余計なお世話です!」


29: 2011/09/04(日) 19:20:20.43 ID:iRFMpXfPo

律「じゃ、電気消すぞ」

梓「はーい」

カチッ

律「ふー、今日も一日お疲れさんと」

梓「あの、律先輩」

律「ん?」

梓「そっちの布団、行っていいですか?」

律「暑いからダメ」

梓「こ、怖いんですよ!」

律「はぁ?」

梓「その、夜目を覚ましたら隣に律先輩がいなくて、代わりに貧Oの白装束女がいたら……」

律「それ貧O設定いらんだろ」

梓「怖い怖い怖い~~」ジタバタ

律「ん、おやすみ」

梓「律先輩の薄情者!」


30: 2011/09/04(日) 19:20:46.12 ID:iRFMpXfPo






カッチコッチ カッチコッチ

律「……」

梓「……」スースー

律「……ん」パチッ

律「といれ……はれっ?」

律「」

律「」

律「!?」

律(な、何だこれ? 体が全然動かせない! てかすっげー苦しい)

律(もしかしてこれが金縛りってやつか!?)

律(や、やべぇ! 霊感ゼロの私が何でっ!)

律(体が熱いし何だかすごく息苦しい)

律(……)

『天井に目を向けると、血まみれの女が……』

律(ひ、ひいいぃぃぃぃぃっっ)

律(見えない見えない何も見えない私は目を閉じていて絶対に開けはしない)


31: 2011/09/04(日) 19:21:21.71 ID:iRFMpXfPo

カッチコッチ カッチコッチ

律(あ、暑いよぉ……苦しいよぉ……)

律(ごめんなさいごめんなさい私が悪うごぜえました)

律(小さい頃しょっちゅう澪を脅かすダシにしたことは謝ります。霊なんていないしばーかなんて思ってたことも謝ります)

律(これからはもう二度と霊的現象を否定したりしませんからぁ)ダラダラダラ


律「……ん?」

梓「だきまくら~……zzz」ギュウウウ

律「お前かよ」



32: 2011/09/04(日) 19:21:49.05 ID:iRFMpXfPo

「やきもち!」


律「じゃ、私たちはここで」

梓「先輩方、さようなら」

澪「うん、またな」

紬「二人ともさようなら」

唯「あずにゃんすとーぷっ!!」

律「んぁ?」

梓「な、何ですか?」

唯「」ギュウウウ

梓「ゆ、唯先輩くるしいです」

唯「次いつ会えるか分からないもんね。あずにゃん分補給しとかなきゃ」

梓「意味不明ですっ」

律「はは、唯は相変わらずだなぁ」

澪「いいのか、律」

律「別にいつものことだろ?」

澪「ならいいけど」


33: 2011/09/04(日) 19:22:16.28 ID:iRFMpXfPo

唯「」ギュウウウ

梓「あうぅ……」

律「……」

澪「おい唯、そろそろ」

唯「ふ~……体力回復、気力充実だよ!」

梓「はぁ、やっと解放された」

律「ん、早く帰るぞ」

梓「は、はい」

紬「」ジー

梓「ムギ先輩?」

律「な、何だよムギ」

紬「」パフッ

梓「にゃっ!?」

律「」

紬「」ムギュウウウ

梓「!??!」

律「……!」

律(な、何だこの感じ。心の底から煮えたぎるような感情が……)

紬「梓ちゃん、柔らかいわね」

梓「む、ムギ先輩」

律(嬉しそうな顔してんじゃねえ……梓のバカ)

紬「ぬいぐるみを抱いてるみたい」

梓「恥ずかしいです……」

律(イライライライライライライライラ)

唯「り、りっちゃんが恐いよぉ」

澪「嫉妬の炎って奴だな」


34: 2011/09/04(日) 19:23:33.11 ID:iRFMpXfPo

紬「ふぅ、満足満足」

梓「よ、喜んでいただけたみたいで」

律「ん。じゃそろそろ……」

澪「次は私だな」

梓「へっ?」

律「!!!!????」

澪「順番的にそうだろ、なあ律」

律「は、はは、ははは……お、お前が言うならそうなんじゃないか?」メラメラメラ

澪「だってさ梓、許可が出たぞ」

梓「は、はぁ」

律「」ゴオオォォォ

唯「りっちゃんの背中から業火がっ……」

紬「愛だわ~」

澪「じゃあ梓おいで」

梓「え、えと」

律「……」

澪「早く早く」

梓「それじゃ……」トテトテ


35: 2011/09/04(日) 19:24:10.39 ID:iRFMpXfPo

律「ちょっと待ったあああぁぁぁっっっ!!!」

唯紬梓「」ビクッ

澪「どうした律」

律「悪いな、ちょっと用事を思い出したんだ!」

澪「へぇ、そうなんだ」

律「梓、帰るぞ!」ギュッ

梓「あ、律先輩! ……すいません、さようならっ」


唯「……」

紬「……」

澪「行っちゃったな」

紬「澪ちゃん、わざとでしょう」

澪「うん、いつもからかわれてる仕返し」

唯「策士だねぇ……作詞家だけに」

澪「上手く言ったつもりか」

紬「それにしても、りっちゃんがやきもちなんて珍しいわね」

澪「結構独占欲は強い方なんだけどな」

紬「でも、嫉妬してるりっちゃん可愛かったわ~」

唯「にやにやですなぁ」



36: 2011/09/04(日) 19:24:47.04 ID:iRFMpXfPo

律「……」ムスッ

梓「……」

梓「ねぇ、律先輩」

律「……」プイッ

梓「怒ってます?」

律「べっつに!」

梓「思いっきり怒ってるじゃないですか」

律「ふんっ」

梓「……」ハァ

律「……」

梓「律先輩も、やきもち焼くんですね」

律「なっ!? 別に、焼いてねーし!」

梓「私が唯先輩やムギ先輩に抱きしめられたから怒ってるんでしょ」

律「そんな訳ないだろっ」

梓「うそつき」

律「嘘じゃないし!」

梓「仕方ない人だなぁ」ハァ

律「ぁん? どういう意味……」

梓「」キュッ

律「」


37: 2011/09/04(日) 19:25:19.85 ID:iRFMpXfPo

梓「そりゃ私は、小さくて抱き心地がいいようですから、色んな人に抱かれますけど」

律「」

梓「……でも、私が抱きしめるのは律先輩だけですよ」

律「」

梓「だからもっと自信持ってください……律先輩?」

律「」

梓「呆けてる」

律「」

梓「意外に押しに弱いんだなぁ」

律「うるせぇっ」

梓「あ、生き返った」



38: 2011/09/04(日) 19:25:54.05 ID:iRFMpXfPo

「ふじゅん!」


テレビ「政権与党は国会対策のため……」

律「……」

律「ふぁ~あ……もうこんな時間か」

梓「律先輩……」ボソッ

律「うおぉっ!? き、急に耳元で囁くなよ!」

梓「あの、相談があるんですけど」

律「末期ガン宣告されたような顔して、一体どうしたんだよ」

梓「実は……」

律「うん」

梓「今月、まだ来ないんです」


39: 2011/09/04(日) 19:27:21.37 ID:iRFMpXfPo

律「……」

梓「……」

律「来ないって、アレが?」

梓「はい」ポッ

律「あ、そうなの」

梓「それに、最近妙に熱っぽくて」

律「ふーん」

梓「日数的にも……ちょうどぴったりかなって」

律「キャベツ太郎うめー」


40: 2011/09/04(日) 19:28:01.33 ID:iRFMpXfPo

梓「律先輩!」ユッサユッサ

律「何だよ」

梓「私たちの将来に関わることなんですよ! 何でそんなにのんきなんですかっ?」

律「私にどう反応しろと」

梓「明日病院行って、ちゃんと検査受けさせてください!」

律「恥かくだけだからやめろ」

梓「うぅ……ひどいです律先輩」

律「何でだよ」

梓「新しい生命を授かったかもしれないのに」

律「いやないから」

梓「可哀想に、胎児にして既に父なき子だなんて……大丈夫、私が一人で育ててあげるからね」

律「うん、生理不順だから早めに休めよ」



41: 2011/09/04(日) 19:28:55.78 ID:iRFMpXfPo

「おまつり!」


夏の暑さがまだまだ残りますが、いかがお過ごしでしょうか。

私は今日、律先輩と少し遅めの夏祭りに出かけることになりました。

実家から送ってもらった浴衣を着て、出発準備は万端です!


梓「律先輩、まだですか~?」

律「もうちょっと!」

梓「早くしてください」

律「仕方ねえだろっ、浴衣なんか着慣れてないんだから」

梓「もう、お祭り終わっちゃいますよ」

律「お待たせ!」

梓「……」

律「ど、どうかな」

梓「な、中々似合ってますよ……ぷっ」

律「なら何でにやけてるんだ」

梓「だって浴衣姿の律先輩なんて新鮮で」クスクス

律「あずさぁ!」

梓「ちょ、ぎぶぎぶ! 浴衣が乱れちゃいます」

律「あ、悪い」

梓「それより、早くお祭り行きましょう」

律「そだな」

梓「てか、カチューシャ取らないんですか?」

律「うっ、だって変だろ」

梓「つけっぱの方が変ですよ。ほらほら」スッ

律「あっ!」

梓「……」

律「……」

梓「ぷくくっ、律先輩が乙女チックだなんて」

律「~~~~~!!」


42: 2011/09/04(日) 19:29:28.76 ID:iRFMpXfPo

ドンドコ ドンドン

ピーヒャララー

梓「わ~~にぎやかですね」

律「ここの祭りは毎年ケンカ神輿をやるらしいぞ」

梓「あ、わたあめがありますよ!」

律「お、おい梓」


43: 2011/09/04(日) 19:30:05.28 ID:iRFMpXfPo

梓「♪」パクパク

律「いきなりわたあめかよ」

梓「だって美味しそうだったんですもん」

律「大体わたあめ一つ三百円ってなんだよ……ただの砂糖だろ」ブツブツ

梓「もう、風情のない人だなぁ」

律「悪かったな」

梓「はい!」スッ

律「……何だよ」

梓「きっと甘いものが足りてないんですよ。ちょっとだけあげます」

律「ありがと」

梓「あ、一口だけですよ!」

律「うっせ」パクッ

梓「あぁっ、いっぱい食べた!」

律「一口は一口だろ」モグモグ

梓「もう!」


44: 2011/09/04(日) 19:30:34.87 ID:iRFMpXfPo

梓「律先輩、金魚すくいですよ!」

律「金魚なんか家じゃ飼うところないだろ。それより……」

梓「?」

律「見ろ、ウナギ釣りだ」

梓「うなぎなんて、それこそどうするんですか」

律「釣って食うに決まってんだろ。飼いたいのか?」

梓「……遠慮します」

律「これでも子供の頃は澪と行ってよく釣ったんだぞ」

梓「澪先輩も釣ったんですか?」

律「まさか。私が釣って、澪に見せて驚かしてた」

梓「澪先輩、可哀想に」

律「よし、久しぶりにやってみよう。帰ったらうな丼だ」

梓「期待しないで待ってます」

律「おっちゃん、一回」

テキ屋「あいよ」


45: 2011/09/04(日) 19:31:06.02 ID:iRFMpXfPo

律「ウナギ釣りのコツは、こう竿をしなるようにしてウナギのえらに引っかけるんだ」

梓「へぇー」

律「引っかけたら、離れすぎないようにひたすらウナギの動きに合わせて……よっ、よっ」

梓「お、お、上手くいきそうですよ」

律「へっへ、だてに鍛えてねえよ」

ブチッ

律「……」

梓「……」

テキ屋「あっちゃ~残念だったねぇ。もう一回いっとく?」

律「望むところ!」

梓「ダメですよ!」


46: 2011/09/04(日) 19:31:32.78 ID:iRFMpXfPo

律「ちぇー、悔しいなぁ」

梓「もう、散財して!」

律「ありゃきっと釣り糸をよっぽど弱くしてるに違いない。たく、あのケチ親父め」

梓「腕が鈍ったんじゃないですか?」

律「なっ! そんなはずは……こうなったらもう一度」

梓「はいはい、分かったから次行きましょう」

律「はーなーせー!」


47: 2011/09/04(日) 19:32:29.62 ID:iRFMpXfPo

梓「あ、たこ焼きだ」

律「夏祭りの定番だな」

梓「私、ちょっと買ってきますから待っててください!」

律「おう、行ってら」


梓「ちょっと並ばないといけないかな」

ワイワイ ガヤガヤ

梓「ふぅ、やっと順番が来た。くださいなー」

女「はいよ、お一つ?」

梓「はいっ」

ジュウウウ

女「お嬢ちゃん中学生? 浴衣可愛いね」

梓「むっ……これでも大学生なんですけど」

女「あ、こりゃ失礼」


48: 2011/09/04(日) 19:33:04.17 ID:iRFMpXfPo






女「はい、三百円ね」

梓「はーい」


梓「買ってきましたよー……あれ、律先輩どこ行ったんだろう」

梓「もう、待っててって言ったのに」

梓「変な人に絡まれたりしたら嫌だなぁ」キョロキョロ


「おおーー!!」

「あの姉ちゃんすっげえ!」

「あれで何枚目だよ」


梓「何だかあっちの方が騒がしいな……って!」


49: 2011/09/04(日) 19:33:35.97 ID:iRFMpXfPo

律「ん。これ五百円だっけ」

男「しくしく」

観客「すごい、文句のつけようがないぐらい綺麗」

男「も、もうご勘弁を……」

律「何だよ、高い賞金の奴はやってないだろ。どうせイチャモンつけて払ってくれないだろうし」

男「は、はいどうぞ」

律「じゃ次」

男「ひぃっ」

梓「律先輩!」

律「よ、梓。今ちょっと良いところだから待ってろ……」

梓「早く行きますよ!」グイッ

律「あ、おい引っ張るなよ!」

観客「あの小さい女の子強いなぁ」

男「ほっ」


50: 2011/09/04(日) 19:34:05.44 ID:iRFMpXfPo

梓「もう、何やってるんですか」

律「いやー型抜き名人って言われた頃の血が騒いでさ。ほら、さっきウナギ釣りで巻き上げられた分回収したぞ」ジャラジャラ

梓「……お気の毒に」


51: 2011/09/04(日) 19:34:33.05 ID:iRFMpXfPo

梓「うん、美味しい」

律「ソースとマヨネーズの相性が抜群だな」モグモグ

梓「これならご飯にも合いそうですね。大阪の人はたこ焼きをおかずにするって本当でしょうか」

律「いやしないだろ」

梓「でもお好み焼き定食はあるって話ですよ」

律「あーらしいな」


52: 2011/09/04(日) 19:35:02.94 ID:iRFMpXfPo

梓「ふー、満足です」

律「デザートが欲しいところだな……お、ちょうどクレープ屋が」

梓「私もうお腹いっぱいですよ」

律「じゃ半分こしようぜ半分こ」ピュー

梓「あ、律先輩!」


梓「はぁ、行っちゃった」

梓「それにしても律先輩、いつにもましてテンション高いなぁ」

梓「きっとお祭りが大好きなんだろうな。あの調子じゃ、昔から屋台を荒らし回ってたみたいだし」

梓「夏祭りではしゃぎ回るチビ律先輩……可愛い」クスッ

梓「でも、お祭りって本当楽しいな。年に一度の大騒ぎ」

梓「……年に一度、かぁ」

律「お待たせ!」

梓「あ、お帰りなさい」


53: 2011/09/04(日) 19:35:29.48 ID:iRFMpXfPo

梓「何買ったんですか?」

律「いちごチョコ」

梓「えー、私あずき入ってる方が好きなのに」

律「何だよ、鉄板だろ」

梓「鉄板は律先輩の胸です」

律「んだとっ」


54: 2011/09/04(日) 19:35:55.54 ID:iRFMpXfPo

ドドドドドドドドドド

ワァーーー


梓「何か始まるみたいですよ!」

律「メインイベントのケンカ神輿だな」

梓「うぅ、見にくいです」

律「肩車してやろうか?」ニヤニヤ

梓「いりません!」


55: 2011/09/04(日) 19:36:22.29 ID:iRFMpXfPo

ヨイヤッセェッ

ホイサッ ホイサッ

梓「小さい神輿が入ってきました」

律「次に入ってくるのが本神輿だぞ」

梓「きゃあっ、いきなりぶつかり合い始めましたよ」

律「気をつけろよ、毎年けが人が出るらしいから」

梓「……!」ゾォ


56: 2011/09/04(日) 19:36:49.49 ID:iRFMpXfPo

ギュウギュウ

梓「ひ、ひどい人混みです」

律「梓、いるか?」

梓「はい、ここにっ」

律「よっと」ギュッ

梓「!」

律「はぐれないように、手つないどかないとな」

梓「……律先輩」

律「おっしゃぁ! 盛り上がって行こうぜ!!」

梓「了解です!!」



57: 2011/09/04(日) 19:38:43.06 ID:iRFMpXfPo


私はもみくちゃにされながら、背が低い分他の人たちよりずっと酷い目に遭いながら、

神輿と神輿の壮絶なぶつかり合いを目前にしました。

大きな神輿が会場から脱出を図れば、小さな神輿はそれを阻止し、

鈴で装飾された小さな神輿が大きな神輿に果敢にぶつかっていくと、しゃらしゃらと音を立て。

神輿を担ぐ人たちのかけ声と、湧き上がるお客さんの喚声と拍手が、いつもは静かな広場に響き渡ります。

まだまだ暑い夏の夜、熱気に溢れかえる会場は、いつか見た夏フェスを彷彿とさせました。



そして、どれぐらいの時間が経ったころでしょうか。

大きな神輿がとうとう妨害を突破して、小さな神輿もそれを追うようにして去っていくと、

会場はため息やら話し声の混じり合った、奇妙な静けさを取り戻しました。



58: 2011/09/04(日) 19:39:11.73 ID:iRFMpXfPo

梓「……」ボー

律「梓。おい、梓」

梓「はっ……何ですか?」

律「大丈夫か」

梓「はい、何とか。ただ、少し気が抜けちゃって」

律「歩ける?」

梓「はいっ」


59: 2011/09/04(日) 19:40:03.20 ID:iRFMpXfPo

律「何か、すごかったな」

梓「私まだ、興奮が抜けきってません」

律「私も。胸がドキドキしっぱなし」

梓「律先輩汗びっしょりですよ」

律「げっ、マジかよ」

梓「私も体がベタベタしてます」

律「ひぃ……気持ちわりぃ」

梓「早く帰ってお風呂に入りましょう」

律「おっと、その前に」

梓「?」

律「空、見てみな」

梓「何かあるんですか?」


60: 2011/09/04(日) 19:40:39.73 ID:iRFMpXfPo


ヒュルルルル ドーン 

パチパチパチ


ドーン ドーン


パラパラパラ


梓「わぁ~、花火だぁ」

律「毎年、お祭りの最後にやるんだってさ」

梓「へぇ~」


61: 2011/09/04(日) 19:41:27.54 ID:iRFMpXfPo

ヒュルルルル ドーン


梓「たーまやー」

律「かーぎやー」

梓「……きれいですね」

律「だな」

梓「これで今年の夏も終わりかぁ」

律「まだまだ暑い日は続くけどな」


62: 2011/09/04(日) 19:42:09.10 ID:iRFMpXfPo


ヒュルルルルル

ドーン


梓「……」

律「……」

梓「律先輩」

律「ん?」

梓「」ギュッ

律「急に手握ってどうしたんだよ」

梓「何か、寂しくて」

律「あー分かる。祭りの終わりって妙に寂しい感じがするよな」

梓「そうじゃなくって」

律「?」

梓「これで夏が終わりだと思うと、何だかすごく恐くなっちゃって」

律「……」

梓「何というか、時間の移り変わりを如実に感じられるというか……」

律「……」


63: 2011/09/04(日) 19:42:52.59 ID:iRFMpXfPo

律「なーにしんみりしてんだよ」ギュッ

梓「あっ……」

律「そりゃ今年の夏は終わるけどさ」

律「秋が来て冬が来て春が来て、そしたらまた別の夏が来るじゃん」

梓「……」

律「来年の夏も、きっと今年の夏と同じくらい……いやそれ以上に、楽しいと思うぜ」

梓「……」

律「来年も、一緒に来ような」

梓「……はい」


64: 2011/09/04(日) 19:43:36.03 ID:iRFMpXfPo


ヒュルルルルル ドーン!

パラパラパラ


ワァー パチパチパチ


律「終わったみたいだな」

梓「人が帰っていきますね」

律「混まないうちに、私らも帰ろっか」

梓「……はい!」


65: 2011/09/04(日) 19:44:40.76 ID:iRFMpXfPo


暦の上ではとっくに秋に入っていますが、夏の暑さ残る日々はまだまだ続きます。

とはいえ、私の夏はこれで一応終わりました。

今年の猛暑に苦しんだ体には、秋の涼しさが恋しいです。

でも、きっと冬になれば、今度は夏の暑さが恋しいなんて言ってるんだろうな。


今年の夏は律先輩と海に行ったり遊園地に行ったり、本当に楽しかったな。

あ、でも! 秋には私の誕生日があるし、その次はクリスマス!

年をまたいで正月、続いてバレンタイン……まだまだイベントは目白押しです。


それはさておき、とりあえず今年の夏に別れを告げたいと思います。


律「見ろよ梓、星がきれい」

梓「わぁ~、ほんとだ」


さようなら、また来年!


66: 2011/09/04(日) 19:45:28.40 ID:iRFMpXfPo

梓「ねー律先輩」

律「だめ」

梓「まだ何も言ってないじゃないですか!」

律「お前が猫なで声使うときはわがまま言うときだって決まってる」

梓「そんなことないですっ」

律「じゃ何の話だよ」

梓「子ねこ飼っていい?」

律「だめ」

梓「むー」



梓律「おしまい!」


67: 2011/09/04(日) 19:45:56.12 ID:iRFMpXfPo
以上です
ここまでお付き合いいただきありがとうございました

68: 2011/09/04(日) 20:21:26.46 ID:OMCCXtFn0

面白かったよ

69: 2011/09/05(月) 03:02:58.69 ID:uuykOPgBo
おつ

律梓はかわいいコンビだよね

引用元: 梓「子ぶた?」律「小ねた!」