73: 2013/11/17(日) 14:21:21.18 ID:ZFkNxjSU0


タイトル:
雪ノ下「映画研究会からの依頼ですか?」



平塚「ああ。何でも来週から自主制作映画の上映会をするそうでな」

平塚「その前に行う試写会に付き合って欲しい、とのことだ」

比企谷「…具体的に何をするんです? もう映画は完成してますよね?」

平塚「君たちは普通のお客として見ていればOKだ。

本番さながらにお客を入れて進行の練習をしたいそうだ」

74: 2013/11/17(日) 14:22:43.47 ID:ZFkNxjSU0

雪ノ下「なるほど… お店のプレオープンのようなものですね」

平塚「何も知らない生徒を入れてリハーサルはしたい、しかし来場予定の親しい友人やクラスメートに声は掛けにくい。

そういうわけで奉仕部に依頼が回ってきたわけだ」

由比ヶ浜「…いいんじゃないかな? 映画とか面白そうだし!」

雪ノ下「そうね、奉仕部本来の活動ではないのだけれど… 他に適当な団体も無いでしょう」

雪ノ下「わかりました。この依頼お受けします」

平塚「話が早くて助かるよ。試写会は明後日の16時から、場所は視聴覚室だ。

映画研究会の部長には私から話を通しておく。じゃ、当日は頼んだぞ」

75: 2013/11/17(日) 14:23:41.59 ID:ZFkNxjSU0

(補足)
普通は文化祭で上映すると思いますが、(ややこしくなるので)文化祭とは別の上映会を行う、
という設定で補完してください。

76: 2013/11/17(日) 14:24:30.24 ID:ZFkNxjSU0

比企谷「(そして迎えた試写会当日…)」


【視聴覚室】

由比ヶ浜「映画って何やるのかなー? 超楽しみー!」ワクワク

比企谷「あんまり期待しない方がいいと思うけどな。高校の映研なんてアマチュアの駆け出しみてーなもんだし」

由比ヶ浜「むっ、ヒッキ―ひどーい!」

雪ノ下「作品の質はともかく、上映会を成功させたいと鋭意努力する彼らの熱意は見習うべきね。

あなたも来年は映画研究会に入部させてもらったらどうかしら?」

比企谷「…小学校の学芸会で毎年木の役だった俺が何を学べと?」

由比ヶ浜「あっ! そろそろ始まるみたいだよ!」

77: 2013/11/17(日) 14:25:38.65 ID:ZFkNxjSU0


「――それでは上映を開始いたします。皆様、どうぞ最後までお楽しみください――」


~~~~


女『その年の夏休み、私の所属する映画研究会は合宿のため、とある地方の山荘に来ていた』

女『撮影は順調に進んでいた。が、次第に私たちの回りで不可解な事が起き始める…』



比企谷「(そういや内容は何も聞いてなかったけど、どうやらホラー映画みたいだな)」

由比ヶ浜「(こ、怖い話はちょっと苦手かも…)」

雪ノ下「……」

79: 2013/11/17(日) 14:26:49.74 ID:ZFkNxjSU0

『1年生、小道具が足りないよ! 早く用意して!』
『は、はい!(あれ… 昨日そこに置いてたと思ったんだけどなぁ…)』


『ちょっと先輩! イタズラか知らないですけど、夜中の3時に電話掛けてくるのやめてくださいよ…』
『――え? 俺電話なんて掛けてないけど…?』


『朝起きたら食堂の照明とテレビが付きっ放しじゃないか! 副部長、見回りはどうなっているんだ!』
『い、いや、夜の見回りでは確かにすべて消えていましたよ!』


『部長、テープに変なノイズが入ってるんですが…』
『なんだこれ…? 子どもの声か…?』


『きゃあああ! が、画面に白い女の人が…』

80: 2013/11/17(日) 14:27:51.26 ID:ZFkNxjSU0

『…どうなってんだ? 全然撮影が進まねーぞ!』

『まさか幽霊でもいるんじゃ…』

『ちょっと! 怖いこと言わないでよ!』


『…思い出した。10年ぐらい前にこの辺りで殺人事件があったんだって。

若い夫婦が旅行に来てたんだけど、ちょっとしたことから激しい口論になって、

カッとなった旦那さんが奥さんを刺し頃したって話…

そのとき奥さんは妊娠7か月になる赤ちゃんを身ごもっていたはずなんだけど、

警察が調べた結果、何故か奥さんの氏体から赤ちゃんが忽然と消えてしまっていたの…

それ以来、この辺りでは赤ちゃんを探す女性の幽霊が――』

『おい! バカなこと言うな!』

『もうヤダ! あたし帰る!』



比企谷「(よくある設定だけど悪くは無いな。変にぶっ飛んでるより好感が持てる)」

由比ヶ浜「……」ガタガタガタガタ
雪ノ下「……」ガタガタガタガタ

81: 2013/11/17(日) 14:28:36.74 ID:ZFkNxjSU0

『まったく、幽霊とかバカバカしい…』

『でも… ここを紹介してもらったときやたら料金が安かったし、2階奥の部屋は封鎖されていたし…』

『ま、まさか、10年前の事件の現場って…』

ガタッ

『だ、誰だ!』

猫『にゃー』

『なんだ猫か… 驚かすなよ』クルッ




『カエシテ… 私ノ赤チャンヲ… カエシテ…!』




由比ヶ浜「」
雪ノ下「」

比企谷「(結構雰囲気あるな… ハンディカムの安っぽい映像がそのまま良い演出になってる)」

82: 2013/11/17(日) 14:29:38.75 ID:ZFkNxjSU0

~エンディング~


【山荘前】

女『結局生き残ったのは私だけだった…』 

女『私はすべての元凶であるこの山荘に火を放ち、命からがら逃げだすことに成功した』

女『逃げ出す途中、女性の断末魔が聞こえた… ような気がした』

83: 2013/11/17(日) 14:30:30.77 ID:ZFkNxjSU0

女『…そういえば、結局あの夫婦の赤ちゃんはどこに行ったのだろうか?』

女『○○の話だと妊婦の体から忽然と消えてしまったらしいが…』

女『もし生きていたら10歳くらいか』

女『ふと、そんなことを考えているときだった――』





ヒタヒタヒタヒタ




ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタ




ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタ




女『――背後から何かが近づいてくる音がした』

女『人や動物のものとは全く違う足音』

女『だが、振り返ることはできなかった』





『オ姉サン… 僕ノオ母サン… 知リマセンカ…?』




『ネェ… 知ッテルデショ…?』ニタァ




『オ 姉 サ ン ガ オ 母 サ ン ヲ 殺 シ タ ン デ シ ョ ?』



THE END

84: 2013/11/17(日) 14:31:28.11 ID:ZFkNxjSU0

「――以上で上映を終了いたします。ご来場頂きありがとうございました。

お帰りの際はお忘れ物のないよう――」


由比ヶ浜「ヒ、ヒッキー! さ、最後、あ、あの子と目が合っちゃった! ど、どーしよー!」ポロポロ

雪ノ下「ひ、比企谷君。こ、これは作り物よね? フィクションよね!?」ポロポロ

比企谷「二人とも落ち着けって… 俺も目が合ったし、これは映画の話だから大丈夫だ」

比企谷「(泣くなよ…)」

86: 2013/11/17(日) 14:32:06.70 ID:ZFkNxjSU0

『奉仕部のみなさん。どうもありがとう! やっぱりお客さんがいると違うね!』

『ちなみに映画はどうだったかな?』

雪ノ下「……」

由比ヶ浜「……」

比企谷「(なんか言えよ…)」

比企谷「よ、よかったですよ。自主映画のチープっぽさを逆に生かした演出は臨場感があってドキッとしました」

『そう言ってもらえると嬉しいよ。よかったら来週の上映会も是非来てくれ!』

比企谷「ええ、機会があれば――」

雪ノ下「そ、それでは私たちはこれで失礼します…」

由比ヶ浜「ほ、本番も頑張ってくださいね…」ソソクサ

88: 2013/11/17(日) 14:32:50.27 ID:ZFkNxjSU0

【廊下】

比企谷「……」テクテク

雪ノ下「……」ギュー

由比ヶ浜「……」ギュー


比企谷「あの… すげー歩きにくいんだけど」

雪ノ下「が、我慢なさい。ひ、比企谷君が怖くないように一緒に連れ添ってあげてるのよ」ガクガクブルブル

由比ヶ浜「あ、あたしは結構おもしろかったけどね! も、もう! ヒッキ―ったら仕方ないなぁ…」ガクガクブルブル

90: 2013/11/17(日) 14:33:41.27 ID:ZFkNxjSU0

【部室】

雪ノ下「きょ、今日はもう帰りましょう」

由比ヶ浜「そ、そうだね。ゆきのん一緒に――」

ガラッ

雪ノ下「!」
由比ヶ浜「!」

平塚「おー、諸君お疲れさん」

雪ノ下「ひ、平塚先生! ノックを! ノックをしてください!」

平塚「おっと失礼。それで、試写会はどうだった?」

雪ノ下「……」

由比ヶ浜「……」

比企谷「(だからなんか言えよ…)」

比企谷「映画は面白かったですし、上映のトラブルも無かったです。特に問題は無いかと」

平塚「そうか、それなら大丈夫そうだな。もう遅いから早めに帰るように」ピシャ

~~~~

比企谷「じゃあ帰るか。お先に」

雪ノ下・由比ヶ浜「ちょ、ちょっと待ちなさい(待って)!」グイー

雪ノ下・由比ヶ浜「比企谷君(ヒッキ―)、その… 今夜は――」

93: 2013/11/17(日) 14:34:29.75 ID:ZFkNxjSU0

【夜 比企谷家 小町の部屋】

小町「いやー、雪乃さんと結衣さんが泊まりに来てくれるなんて… 小町は嬉しいです♪」

雪ノ下「突然お邪魔してごめんなさいね」

由比ヶ浜「夕食とお風呂も頂いちゃったし…」

小町「いえいえ気にしないでください♪ お二人ならいつでも大歓迎ですよ!」

95: 2013/11/17(日) 14:35:25.27 ID:ZFkNxjSU0

『そして夜は更けてゆき…』

~~~~

小町「ふあぁ~。じゃあそろそろ寝ましょうか。電気消しますね」

由比ヶ浜「こ、小町ちゃん! 全部は電気消さないで!」

小町「? わかりました。じゃあ豆電球を付けておきますね」カチ

~~~~

雪ノ下「こ、小町さん。何が起こってもお姉さんたちが守ってあげるからね」ギュー

由比ヶ浜「な、何でもお姉さんたちに頼っていいんだよ?」ギュー

小町「(いやんお義姉さんだなんて気が早い♪ でもでも、そっちの方が小町的にはポイント高いです!)」ルンルン

97: 2013/11/17(日) 14:36:07.14 ID:ZFkNxjSU0

小町「zzz…」スヤスヤ

由比ヶ浜「ゆきのん、もう寝てる…?」

雪ノ下「いえ、まだ起きているわ…」



ガタッ

由比ヶ浜・雪ノ下「ひっ!」

カマクラ「にゃー」

由比ヶ浜「なんだ猫か…」ホッ

雪ノ下「全く… 脅かさないで頂戴」

由比ヶ浜「ははは… でも、幽霊なんているわけないよね」

雪ノ下「そうね、所詮は人間の思い込みよ」

由比ヶ浜「ふふっ、お休み、ゆきのん」

雪ノ下「ええ、お休みなさい」



由比ヶ浜「zzz…」スヤスヤ
雪ノ下「zzz…」スヤスヤ


『……』
『……』

99: 2013/11/17(日) 14:36:48.19 ID:ZFkNxjSU0

【翌日 朝】

雪ノ下「おはよう、小町さん。早いのね」

由比ヶ浜「小町ちゃんおはよー」

小町「雪乃さん、結衣さんおはようございます! よく眠れましたか?」

雪ノ下「ええ、おかげさまでね」

由比ヶ浜「朝食作るのあたしたちも手伝うね」

102: 2013/11/17(日) 14:38:02.92 ID:ZFkNxjSU0

小町「…そういえば昨日の夜中、お二人はキッチンかリビングに行きましたか?」

雪ノ下「いえ、私はずっと眠っていたのだけれど」

由比ヶ浜「あたしも起きてないけど、何かあったの?」

小町「いえ、大したことではないんですが…」

小町「今朝キッチンに来たら、コップが2つ見当たらないんです。

昨日洗い物はすべて済ませたと思ったんですけどねー」ウーン

小町「まったく、お兄ちゃんたら。リビングの照明もテレビもずっと付きっ放しだったし… 

小町的にポイント低いよ!」プンプン

由比ヶ浜「そ、そうなんだ…」

雪ノ下「……」

104: 2013/11/17(日) 14:38:42.93 ID:ZFkNxjSU0

比企谷「うーっす。ふあぁ…」

小町「お兄ちゃんおそーい。朝ご飯出来てるよー」

由比ヶ浜「あれ、ヒッキー寝不足?」

雪ノ下「今朝は一段と目が濁っているわね…」

比企谷「ったく、誰のせいだと思ってんだよ…」

雪ノ下「…?」

由比ヶ浜「何の話?」

比企谷「お前らのせいだよ、朝までドタバタ大騒ぎしやがって… うるせーのなんのって…」ブツブツ

小町「…お兄ちゃん何言ってるの? 小町たちは12時前には電気消してお休みモードだったよ?」

雪ノ下「…比企谷君。あ、あなた一体何の話をしているの…?」

106: 2013/11/17(日) 14:40:01.15 ID:ZFkNxjSU0

比企谷「だから昨日の夜中から今朝のことだよ」

比企谷「廊下ドタバタ走るわ、いろんな物音はするわ、由比ヶ浜から夜中に2回も電話掛かってくるわ…」

比企谷「由比ヶ浜も何かあるなら直接叩き起こしてくれりゃいいのに」


雪ノ下「由比ヶ浜さん… あなた比企谷君に電話を掛けたかしら…?」

由比ヶ浜「か、掛けてないよ… ほら! 発信履歴にも残ってないし」

比企谷「寝ぼけてたんじゃねーの? 俺の着信履歴には残ってるし」ホレ


『比企谷八幡は携帯を差し出した』

『するとそこには確かに「由比ヶ浜結衣」からの着信履歴が残っていた』


雪ノ下「た、確かに残ってるわね…」

由比ヶ浜「そんな… あたし確かに…」

小町「お、お兄ちゃん… 冗談やめてよ… 笑えないよ…」

108: 2013/11/17(日) 14:41:00.53 ID:ZFkNxjSU0

ピリリリリ
ピリリリリ

『そのとき比企谷八幡の携帯の着信音が鳴り響いた』


一同「!」


『いつまで経っても鳴りやまず、比企谷八幡は恐る恐る画面を確認した』


比企谷「由比ヶ浜、雪ノ下… 着信はお前ら2人からになっているんだが…」

由比ヶ浜・雪ノ下「…え?」

小町「ほ、ほんとだ…」

『画面には「由比ヶ浜結衣」と「雪ノ下雪乃」の名前が並んで表示されている』

由比ヶ浜「あ、あたし掛けてないよ!」

雪ノ下「わ、私の携帯は小町さんの部屋だけど…」

小町「でも、お父さんもお母さんも既に出掛けてますから、家にはこの4人しかいませんよ…?」

小町「じゃ、じゃあ、い、今お兄ちゃんに電話を掛けているのは、誰… なんですか…?」




ピリリリリ
ピリリリリ









~~~~

雪ノ下「映画研究会からの依頼ですか?」

終わり

<●><●>

110: 2013/11/17(日) 14:41:48.89 ID:ZFkNxjSU0

以上ですべて終わりです。

読んでくださった方ありがとうございました。

113: 2013/11/17(日) 15:42:59.63 ID:iRt1EYL2o
乙乙

引用元: 由比ヶ浜「あ、あたしの胸見てたでしょ///」比企谷「!?」