1: 2008/12/11(木) 19:46:11.82 ID:L1WwT4HV0
長門「テメェ…俺があれだけ食うなっつったプリン食べただろ? 正直に吐けよコラ」

キョン「――! オロロロロrrr」ビチャビチャ

長門「そっちの吐けじょねぇよこのボンクラがぁぁぁ!」


4: 2008/12/11(木) 19:50:36.99 ID:L1WwT4HV0
長門「ふざけんじゃねぇ! 今すぐ買い直してきやがれ! 高かったんだぞアレ!」

長門はキョンの胸倉を掴み、ゆさゆさと揺さぶる。

キョン「分かった分かった、少しは落ち着きたまえ長門嬢。私が買い直してくれば問題はないのだな」

長門「そうだ。今すぐ行け。5秒で行け。早くしろ」

キョン「5秒…物理的に考えてこの部室からこのプリンを売っているコンビニまで、それだけの短時間で辿り着くことは不k」

長門「いいからさっさと買って来いアホンダラ!」

5: 2008/12/11(木) 19:52:47.53 ID:L1WwT4HV0
キョンは追い出されるようにして、文芸部部室を後にした。

キョン「まったく。長門嬢のわがままにも困ったものだな…」

キョン「だがまぁ仕方がない。あのプリン、非常に美味であったからな」

7: 2008/12/11(木) 19:55:22.83 ID:L1WwT4HV0
――――コンビニ



店員「いらっしゃいませー」

キョン「ふむ、先程のプリンは…これか? どれどれ、値段の方は――」

『¥1000』

キョン「…」

キョン「さて」

キョン「私の財布には37円しかないが、どうしたものだろうか」

8: 2008/12/11(木) 20:00:15.81 ID:L1WwT4HV0
キョン「仕方がない。こうなれば最後の手段だ」



――――自宅

キョン「自分で作るしかあるまい…」

朝倉「で、何で私まで呼んだのよ」

キョン「他でもない。君にプリン製作の助力を請いたいからに他ない」

朝倉「ようするに手伝えってことでいいのかしら?」

キョン「そうだ」

朝倉「分かったわよ…ま、他ならないキョン君の頼みだもんね。で、なんでまたプリンなんて作るのかしら?」

キョン(ここは正直に吐露すればまずいか)

キョン「古泉へのプレゼントだ」

朝倉(な…に…)

キョン「む、どうした朝倉嬢、鼻から赤い筋が」

朝倉「な、なんでもないわ」

10: 2008/12/11(木) 20:03:40.66 ID:L1WwT4HV0
朝倉「い、いいからさっさと始めましょう、ね」

キョン「? ああ、分かった」



キョン「よし、後は冷蔵庫で固めれば完成だ」

朝倉「ふぅ、慣れないことすると疲れるね…肩こっちゃった」

キョン「手伝ってくれて悪いな。少し余分に作ったから一緒に食そうではないか」

朝倉「え? あ、ありがとう…」



長門「遅ぇ…あいつドコほっつき歩いてやがる」

13: 2008/12/11(木) 20:10:56.76 ID:L1WwT4HV0
そして数十分後、完成したプリンを二つ、テーブルに並べる。

キョン「うむ、我ながらよい出来だ。あっ こりゃ たまらん ヨダレ ずびっ」

朝倉「美味しそうだね」

キョン「では」ぱく

朝倉「いただきます」ぱく

キョン&朝倉「…」

キョン&朝倉「ンまぁぁ~い!!!!」

キョン「なんつーか気品に満ちた味っつーか
例えるとアルプスのハープを弾くお嬢様が飲むような味っつーか」

朝倉「やっぱり隠し味にマーマレモンを入れたお陰だね」

キョン「む?」

朝倉「え?」

「…」

バタン

14: 2008/12/11(木) 20:13:39.89 ID:L1WwT4HV0
長門「――…おっせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
何やってやがんだあのクソがぁぁぁ!!」

長門は息を荒げて携帯をポケットから引っ張り出し、キョンのアドレスを呼び出した。

プルルルル

長門「…」

プルルルル

長門「…」

プルr
長門「ヤロォォォォォ!!!!」

15: 2008/12/11(木) 20:18:52.89 ID:L1WwT4HV0
ピリリリリ

?「…」

ピリリリリ

?「むぅ…」

ピッ

?「もしもし…?」

長門『キョォォォン…テメェ、覚悟は出来てるんだろうな…』

?「?」

長門『おいキョン? キョンだろ? 返事しろよ』

キョン子「何のこと? ボクはキョンはキョンでもキョン子だけど」

16: 2008/12/11(木) 20:23:19.11 ID:L1WwT4HV0
長門『あぁ!? 何ほざいてやがんだてめー? それともナニか? 苦し紛れの言い訳か?」

キョン子「あははー、面白いねぇ貴方」

長門『…はぁ? おいおいどうした裏声まで使いやがって。頭湧いてんじゃねーのか』

キョン子「あはははー」

長門『…キョン?』

17: 2008/12/11(木) 20:25:41.22 ID:L1WwT4HV0
長門『…おい、本当にお前キョンだよな?』

キョン子「だから、キョンはキョンでもキョン子だって」

長門『…おい、今どこにいるんだよ』

キョン子「んー、家?」

長門『ちょっと待ってろ。今すぐに行くから』

19: 2008/12/11(木) 20:31:27.29 ID:L1WwT4HV0
――――家



ピンポーン

長門「おいキョン、いるかー?」

キョン子「いやぁ、お早いお着きで」

長門「な…
お、男モノの制服を着た女の子が笑顔でオレに手を振っている」

キョン子「えははー、どーも」

長門「い、一体何がどうなってやがるんだ!? 訳が分からねぇ…とりあえず頃しとくか」チャキリ

キョン子「うわぁバイオレンスだねぇー」

21: 2008/12/11(木) 20:38:40.44 ID:L1WwT4HV0
キョン子「痛いのは止そうよー、危ないよー」

長門「痛いのはテメェのキャラだ。氏ねオトボケ野郎!」バッ

キョン子「うあぅやられてしまう」

キョン子まであと数センチの距離まで近づいて、長門はふと足を止めた。

長門「クンクン…」

キョン子「?」

長門「ば…馬鹿な…これは」

キョン子「どったのー?」

長門「この芳しい香り…この香りは間違いなくキョンのモノだ。お前、まさか本当に…」

23: 2008/12/11(木) 20:45:44.50 ID:L1WwT4HV0
キョン子「だからキョンはキョンでも(ry」

長門「一体何故…」

?「恐らくそこのテーブルの上にあるプリン…それを食べたからでしょう」

不意に背後から聞こえた声に振り返ると、見知らぬ男が床に膝を付いていた。

長門「じょ…女装趣味の変態がいる…」

朝倉「断じて違う。僕だ。朝倉だ。何やら大変なことに巻き込まれてしまったらしいな」

26: 2008/12/11(木) 20:50:00.71 ID:L1WwT4HV0
長門「あ、朝倉ぁ!?」

朝倉「まったく…どうしてこんなことになったんだか」

キョン子「ふっしぎだねぇ、ふっしぎだねぇ」

長門「えー、なんだ、その、つまり、あれか? 性別転換って奴か?」

朝倉「多分そうだと断定して良いと思う。僕に至っては世にも恐ろしい美男子になってしまったからね」

長門「うん、ちょっと黙ってような」

29: 2008/12/11(木) 20:57:10.61 ID:L1WwT4HV0
長門「それでキョン、お前はどうにも頭の中身までソックリ阿呆に変わっちまったらしいな」

キョン子「あほーとは失礼だなぁ。ボクは見知らぬ人にあほーと言われる筋合いなんてないもん!」

長門「え…?」

朝倉「見知らぬ人?」

キョン子「むむ、そーいえば貴方たち二人ともボクのこと知ってるみたいだけどドナタですか?」

30: 2008/12/11(木) 21:02:46.24 ID:L1WwT4HV0
長門「…(絶句)」

朝倉「…(絶句)」

長&朝「…」

長&朝「ぎゃははははははは!!!!」

キョン子「むむっ?」

長門「うははははは、こ、こいつはたまげた! 腹がいてぇ! しぬしぬ、笑い氏ぬ!」

朝倉「き、君がまさかそんな陳腐な展開に陥ってるとは思わなんだよ」

キョン子「むぅー…なんか馬鹿にされてるよーな」

長門「くくく…よーするにあれだ、記憶喪失かなんかだろ?」

朝倉「ふふ…そういえばキョン君は僕よりもプリンにがっついていましたからね」

長門「お陰さまで頭の中枢までやられちまったってか? うはははは! 最高だぜキョン! こいつは末代までネタになるぞ」

31: 2008/12/11(木) 21:06:03.46 ID:L1WwT4HV0
朝倉「僕は食べた量が少量だったのが幸いしたのか、どうやら性別が変わっただけのようだね」

長門「いや、とんでもねぇナル野郎になってんぞ」

朝倉「はっ、君にも困ったものだね、まさかこの僕に嫉妬とは…」

長門「ははは、バケツ一杯にあのプリン食わせるぞボケが?」

32: 2008/12/11(木) 21:16:32.31 ID:L1WwT4HV0
朝倉「いやまぁとにかく、面白いからもう少しだけこのままにしておこうよ」

長門「テメェは早く着替えろよ変態」

キョン子「ちょっとちょっと! 一体どーいうことなのさ? ボクにも説明ぷりーずぷりーず」

長門「うーむ…」

キョン子「ねぇってばー、聞いてるの?」

長門「うん、よしよし、いいか、ちょっとそのまま動くんじゃねーぞ」

キョン子「なになにー?」

次の瞬間、長門の目が怪しく光ったかと思うと、キョン子に向かって勢い良く飛びかかった。

キョン子「ふみゃ!?」

がばちょ

長門「う~ん、やはりこの肌触り…予想通りだな」すりすり

キョン子「はうわう」

33: 2008/12/11(木) 21:23:20.37 ID:L1WwT4HV0
キョン子「な、なんなんだよーやめてよー」

長門「動くな!!」

キョン子(びくっ)

長門「可愛いんだからもっとすりすりさせろやゴラァ!」

キョン子「ええー…」

長門「うーん、可愛いなぁ」

36: 2008/12/11(木) 21:45:24.71 ID:YBcpnwuuO
朝倉「ふぅ、この家が男子の家で助かったよ」

長門「おう、よし、着替えたんならさっさと着てた制服をよこしてくれ。こいつに着せるから」

キョン子「ねぇ君たちほんとになんなのさー?
ボクは着せ替え人形じゃないんだからさ」

長門「可愛ければ全て無問題。
さぁ着替えた着替えた」

キョン子「むぅ…」ぬぎぬぎ

長門「ばっ、ここで着替えんじゃね――」

朝倉「どうしたの?」

長門「…」

長門(クソッ…言えねぇよ…俺よりも発育が良いなんて)

38: 2008/12/11(木) 21:51:59.14 ID:YBcpnwuuO
キョン子「終わったよー」

長門「さて、それじゃこれからどうするか考えるとしようか」

朝倉「とりあえず一旦学校に戻ろうよ。皆で相談して解決するのが一番良いんじゃないのかな」

長門「確かにそうだがお前の口から聞くと何故か無性に腹が立つな」

朝倉「フッ、いけないな長門君。この僕に嫉妬などと――」

長門「してねぇ。くだらねぇこと言ってんなよ勘違い馬鹿が。行くぞ」

その時だった。

?「ただいまー!」ガチャリ

長門「!」

40: 2008/12/11(木) 21:58:38.61 ID:YBcpnwuuO
長門「お、お前は…キョンの妹じゃねーか」

妹「あれぇ? 長門のお姉ちゃんだ。またキョン君に遊びに来たの?」

長門「なっ、馬鹿、ちげーよ」

妹「ていうかキョン君は? それに後ろにいる人たち誰? お友達?」

キョン子「ボクはねぇー…!? むごごっ?」

長門「お前は話がややこしいことになるから黙っとけ」

朝倉「僕たちは実は君のお兄さんの――…むぐっ!?」

長門「酸欠でくたばりたくなけりゃテメェも黙ってろ」

妹「あはは、面白ーい」

41: 2008/12/11(木) 22:07:57.03 ID:YBcpnwuuO
シャミセン「にゃあ」

妹「あ、シャミだぁ」

キョン子「猫可愛いなー可愛いなー」

長門「そ、そうだ! キョンの奴なら、さっきナントカサイクルってミステリ小説買いに出かけたっきりだなぁ~
いやぁ、実はここにいるこの男の誕生パーティーをしてたんだけどよ、もうお開きっぽい空気になってた感じだから帰るぜ」

キョン子「お誕生日おめっとー」

長門「それじゃあ悪い! 邪魔したな!
おい行くぞお前ら」

キョン子「行くってどこにー?」

長門「いーからいくぞホラ」ドタドタ

妹「じゃーねー」

シャミ「にゃあ」

長門「じゃあな!」バタン

43: 2008/12/11(木) 22:13:06.07 ID:YBcpnwuuO
シャミセン「にゃあ」トテトテ

妹「こらシャミ、勝手に歩き回っちゃ駄目でしょ、めっ」

シャミ「にゃあ」

妹「あれれ? なんだろうねこれ。美味しそうなプリンだねぇシャミ。食べ残したのかな?」

シャミ「にゃあ」

妹「…こんなにあるんだから、少しくらい食べちゃってもいいよね? ねぇシャミ?」

シャミ「にゃあ」

妹「よし、食べちゃうんだから。えへへ、美味しそう~♪


いただきまーす、あむっ」

シャミ「にゃあ」ペロペロ

妹「美味し~♪」

44: 2008/12/11(木) 22:17:42.54 ID:YBcpnwuuO
妹「これ美味しいねぇシャミ。シャミも食べてるし」

シャミ「にゃあ」ペロペロ

妹「えへへ…もう少しだけ、もう少しだけ」

パクパク…



妹「――ふぅ、ごちそうさまー…って、ありゃりゃあ、全部食べちゃった」

シャミ「にゃあ…」

妹「…う~ん、食べ終えたら何かか急に眠く…なっ…」

ドサッ

シャミ「にゃ、にゃあ…」

ぱたり

45: 2008/12/11(木) 22:24:06.82 ID:YBcpnwuuO
――――部室



長門「うぶるるぶるぁぁぁぁぁ!!!!」

ガラリンコ

古泉「何事!?」

長門「た、大変だ! 良いから落ち着けよ、な?」

古泉「お前が落ち着け」

ハルヒ「あら長門さん、急に部室からいなくなったと思ったら、どうかしたんですか?」

長門「おおおお、おと、おと」

古泉「音?」

長門「男が、女になって…女が男になったんだよ…」

古泉「はい?」

ハルヒ「どういうことですか?」

長門「実はだな…」

66: 2008/12/12(金) 06:11:58.97 ID:WDhzEU5sO
長門「…というわけだ」

ハルヒ「なるほど。つまりそのなんだかよく分からないプリンを食べたらお二人の性別と性格が変わってしまったと」

朝倉「そういうことだよ。まったく恐ろしい話だね」

キョン子「ぐーぐー」

長門「コイツ寝てるし」

古泉「しかし殺人級に可愛いな」

長門「だが元はキョンだぞ」

古泉「はっ、今は女の子で、しかも前の記憶はふっ飛んでるんだぜ?
つまりコイツはキョンとはまったくの別モノ…天真爛漫な感じがまたたまりませんなぁぐへへ」

長門「いっぺん氏んどくかお前?」

67: 2008/12/12(金) 06:14:07.35 ID:WDhzEU5sO
>>65そんな感じ

69: 2008/12/12(金) 06:23:17.60 ID:WDhzEU5sO
ハルヒ「あのぅ…そろそろその辺で殴るのをやめたほうが…」

長門「君が! 泣くまで! 殴るのを! やめないッ!」

ドゴッドゴッドゴッドゴッ

古泉「…」

ハルヒ「もう泣くにもなけない感じですけど…」

長門「そうだ! こんなことしてる場合じゃねぇ!
早くこいつらを元に戻さねーと!」

キョン子「ぐーぐー」

朝倉「ふっ、窓ガラスに映る僕の顔、やはり美しい」

長門「これ以上アホが増える前に!」

70: 2008/12/12(金) 06:26:20.98 ID:WDhzEU5sO
古泉「そもそも、その元凶だっていうプリンそのものはどうしたんだよ」

長門「あ」

朝倉「しまった」

ハルヒ「もしかして…」

長門「置きっぱです」

古泉「ンなぁ~にぃ~!? やっちまったなぁ」

朝倉「男は黙って」

長門「諦めよう!」

75: 2008/12/12(金) 06:39:56.89 ID:h5sR2E740
長門「さて、一体どうしたものやら」

ハルヒ「どうすればお二人を元に戻すことが出来るのでしょうか?」

古泉「とりあえずアレは? ほら、なんか二人がそれぞれ反対方向から勢いよく衝突した衝撃で元に戻るってヤツ」

長門「それはお互いが入れ替わった時の話だろうが。話をややこしくするんじゃねーよ」

ハルヒ「では先程のプリンをもう一度作って食べさせるのはどうでしょうか?」

長門「うーん、それで首尾よく元に戻るとは限らないし、より一層事態を深刻化しかねねーからなぁ」

朝倉「大体僕が混入したマーマレモンの量は絶妙過ぎてもう一度同じ量を入れろといわれても難しいね」

長門「お前アレだよ、そもそもの元凶確実にソレだよ」

朝倉「てへっ☆」

長門「よし、頃す」

76: 2008/12/12(金) 06:47:44.55 ID:h5sR2E740
ハルヒ「うーん、どうにもなりませんね」

古泉「困ったもんだな。まぁ可愛いから自然に元に戻るまでこのままでいいんじゃないのかね?」

キョン子「あははー」

ハルヒ(しっかし可愛いですねキョン君…いえキョン子さん)

ガラリンコ

みくる「失礼しますわ皆様」

ハルヒ「あっ、みくるさん」

長門「あっ、みくる」

みくる「長門様、ご機嫌麗しゅう…あら? 一体この方々は誰かしら?」

朝倉「朝倉です」

キョン子「キョン子だよー」

みくる「?」

長門「まぁ座れ、今からオレが説明してやるから」

77: 2008/12/12(金) 06:51:15.69 ID:h5sR2E740
長門「カクカクシカジカ」

みくる「なるほど、カクカクシカジカですね」

長門「そういうこった」

みくる「ところでカクカクシカジカってなんですか?」

ハルヒ「聞いてなかったんですか」

長門「悪いハルヒ。オレ本当にカクカクシカジカって言ってた」

ハルヒ「この状況で冗談はやめてください」

78: 2008/12/12(金) 06:56:49.07 ID:h5sR2E740
長門「――…というわけだ」

みくる「なるほど…にわかには信じがたい話ですが」

長門「んなこと言っても信じるしかねーだろ。現に匂いはアイツのモンで間違いない」

みくる「匂い!? 匂いというからには長門様、アイツのお体を嗅ぎなすったのね」

長門「お、おう」

みくる「何たる暴挙! わたくし許しませんわよ長門様!
罰としてわたくしも長門様のお体をスミからスミまでクンカクンカしてやるんですから!」

がばちょ

長門「あっ、おい」

みくる「スーハースーハー…ああっ、んああっ…長門様の良い匂いがしますわ…」

長門「変態かテメーは!」

79: 2008/12/12(金) 07:01:49.98 ID:h5sR2E740
みくる「ああっ、駄目…もう我慢出来ない」

みくるの指が、そっと長門のブレザーを下から捲り上げていく。
色っぽい吐息が長門の顔にかかる。

長門「おい、何するん――」

みくる「長門様の匂いを長門様の肌から直接嗅ぎたい…」

長門「おいよせ、やめねーか」

みくる「それでもって長門様の肌を唇で柔らかく噛んではむはむしたいですわ…」

みくるの視線がうつろになり、怪しい光を宿す。
吐息がどんどんと熱くなっていく。

みくる「長門様…」

80: 2008/12/12(金) 07:05:39.82 ID:h5sR2E740
みくる「わたくし長門様に己の全てを捧げる所存です」

そういって、自らのブレザーを脱ごうとする。

長門「ちょっと待ったー! ストップ!」

ぴたりと、みくるの暴走が止まる。

みくる「長門様?」

長門「と、とりあえず今はこいつらを元に戻す方法を探すのに専念しようぜ。な? 頼むから」

みくる「むう、仕方がありませんわね」

そういうと、脱ぎかけたブレザーをまたいそいそと着なおし始める。

長門(助かった…)

82: 2008/12/12(金) 07:18:03.52 ID:h5sR2E740
長門「さてこれで手詰まりってわけだ」

朝倉「…いや、案外そうでもないかも」

長門「あん?」

朝倉「今ふと思い出したんだけど…彼、いや今は彼女か。とにかく、彼女の家でプリンを作っているときに参考にしたお菓子の百科事典みたいなのがあるんだけどね…
もしかしたらアレに何かヒントになるものが書いてあるかもしれない。パラパラ捲ってよんだけど、ホント、黒魔術めいたものまで書いてあったから。材料にイモリの黒焼きとか」

長門「まぁこいつが持ってる本だからな。こいつが何でもアリならこいつが持ってる本も何でもアリってか」

キョン子「えっへん」

長門「まぁいいさ。残してったプリンも気になる。さっさと行こうぜ皆」

一同「おう!」

83: 2008/12/12(金) 07:24:04.22 ID:h5sR2E740
――――キョン(子)の家



長門「!」

ハルヒ「どうしました? 長門さん」

長門「何やらただならぬ妖気…」

ハルヒ「あぁ? いえ、何ですって?」

古泉「今一瞬素に戻っただろ」

長門「皆、下がってろ」

そう言って、長門は眉間にしわを寄せたまま、懐から一振りの刃物を取り出した。

みくる「あれ? これこういう話でしたっけ?」

古泉「いんでね別に」

84: 2008/12/12(金) 07:38:18.44 ID:WDhzEU5sO
長門「様子がおかしい…ちょっと確かめてくる」

みくる「お気をつけて」



長門「お邪魔しま~す」ギィ…

家の中は夕暮れ時だというのに明かりはつけられておらず、物音一つない。

長門(気味が悪いぜ…ってか、確か妹がいたはずなんだけどな)

?「にゃあ」

長門「うん? 猫?」

85: 2008/12/12(金) 07:46:04.99 ID:WDhzEU5sO
?「にゃあ」

長門(どこだ? どこにいる?)

?「お主の後ろに立っとるよ」

長門「うおぅ!」びくっ

慌てて後ろを振り返るが、そこには誰もいない。

長門「?」

?「こっちじゃ」

バッ

?「遅い。こっちじゃ」

バッ

?「実はこっちに――」

長門「潔く出てこいコラァ!」

86: 2008/12/12(金) 07:54:03.09 ID:h5sR2E740
?「くくく…まあそう焦るな。今姿を見せてやる」

謎の声はそれだけ言うと途切れ、代わりに廊下の向こうから何者かが歩いてくる音が聞こえてきた。

長門「お、お前は…」

長門の目の前に現れたのは、豊満かつしなやかな肢体をした、艶かしい色気を放つ、黒髪ウルフヘアーの少女だった。

?「くくく、驚いたか? 以前はシャミ、などと呼ばれていたが」

長門「は、破廉恥だぁぁぁ!」

シャミ「?」

長門「ま、まっぱだなんて…まっぱだなんて…ふ、服を着ろバカヤロウ!」

シャミ「な、何だかよく分からんがすまん」

87: 2008/12/12(金) 07:56:40.17 ID:WDhzEU5sO
突然だが出掛けてくる
よければ保守よろ

119: 2008/12/12(金) 21:49:05.99 ID:h5sR2E740
長門「はっ、しまった、そんな場合じゃねぇ! 誰だテメェは!」

シャミ「じゃから言っておるじゃろう。シャミじゃよ。何の因果か人間になっとるがのう」

長門「確かキョンがその昔拾ってきたとか拾わなかったとかいう猫か」

シャミ「なんじゃ、驚かんのか」

長門「あいにく、この程度のドッキリならもう百回は経験してるんでな」

シャミ「つまらん。ところで何しに来たのじゃ?」

長門「おう、それがだな、キョンの持ってるお菓子百科事典を取りに来た」

シャミ「菓子の百科事典? それならキョンの部屋にあるはずじゃ。さっさと行けばよい」

長門「おう、悪ぃなババ猫ちゃん」

シャミ「ババアなのは喋り方だけじゃろうに、引っ掻いてやろうかこの小娘は」

120: 2008/12/12(金) 21:50:37.86 ID:h5sR2E740
長門「それじゃあな」

シャミ「さっさと行けい」

長門がキョンの部屋に向かい、廊下の奥の曲がり角へ消えていく。

シャミ「…くくく」

121: 2008/12/12(金) 21:55:27.22 ID:h5sR2E740
長門(さっき感じた妖気はあのババ猫のだったか…つーかキョンの妹はどうした? どこへ行きやがったんだ?)

長門「…ってかあの猫まさか、回収し忘れたプリン食べたからああなったのか?
だとしたら責任は間違いなくオレにあるよなぁ…うわー気ぃ重っ」

?「その通りだ。貴様は責任を取らねばならぬ」

背後から唐突にぶちまけられた、殺意混じりのその言葉に、反射的に長門は足を止め、振り返った。

長門「お、お前は…」

?「この私を目覚めさせた代償…高くつくぞ」

長門「と、とぐろ120%…いや違う! お前はキョンの妹!」

妹「ご名答だ」

123: 2008/12/12(金) 22:02:59.76 ID:h5sR2E740
長門の目の前には、超然と佇むキョンの妹の姿があった。
その見てくれに以前のような面影は無く、全身の骨格を無骨に強化した荒々しい輪郭と、それに見合った恐ろしいまでの殺意を身に纏っていた。

長門「なんて波動だ…まるで悪意という悪意が渦巻き、息づいているかのような…」

妹「貴様は真に目覚めた我が力を試すのに丁度良い。さあ、氏合おうか」

妹は呟くと、すっ、と、静かに戦いの構えを取った。
それを見た長門は、ただ覚悟を決めたように目を閉じ、ゆっくりと息を吐くと、

長門「お断りします」

妹「何」

長門「あ、今オレ急いでるんで、それじゃ」

124: 2008/12/12(金) 22:11:54.84 ID:h5sR2E740
妹「待て」

長門「待つかボケ!」

シャミ「おっと」

長門「! テメーは!」

シャミ「ここは通さぬよ」

長門「…へぇ、どうあってもオレを通せんぼしたいらしいな」

妹「さあ氏合おう」スッ

長門「そいつが本当に目的なのか? オレを本当に足止めしたい理由が実はあるんじゃねーのか?」

妹「…」

シャミ「…」

長門「答えろよ」

妹「…目下、そんなモノ、私には関係の無い話だ。今はただ純粋に氏合いたいだけだ」

長門「ざけんなよ。オレはフツーに氏ぬっつーの。いくらアレから鍛え始めたとはいえ、未だに腹筋背筋スクワット総計30回しか出来ねーんだよ」

126: 2008/12/12(金) 22:18:27.51 ID:h5sR2E740
シャミ「自慢にならぬ自慢じゃの」

長門「うるせーよ」

妹「ふむ、かからぬか…では仕方がない。イニシアチブは与えてやろうかとも思ったが、どうやら不要のようだ。
――行くぞ?」

瞬間、妹の身体が、爆発的に膨れあがった――ように見えた。
だがそれはただの錯覚で、実際には妹が超人的な速度で突進してきただけなのだった。
だけ、とは言うものの、それは決してそんなに軽くあしらえる程度のものではなく、気が付いたのは身体と身体の衝突するコンマ1秒前である。
コンマ1秒という時間では、長門有希の身体は思うように動いてくれない。
結果として、長門は何とか直撃を避けることは出来たものの、肩にかすったその衝撃で、廊下の奥にまで吹っ飛ばされてしまった。

長門「がっ」

128: 2008/12/12(金) 22:23:13.78 ID:h5sR2E740
あまりの衝撃と痛みに一瞬にして思考が混濁し、平衡感覚が一時的に失われる。
視界がぐるぐると旋回し、長門はただ呻くことしか出来ない。

長門「痛ってぇな…クソッ」

それでも懸命に立ち上がろうとするが、すぐに気分が悪くなりしゃがみ込む。
危うくそのまま床に嘔吐するところだったが、寸手のところでそれを押し留める。

長門(こいつはやばいな…かすっただけでこれだ。直撃してたらシャレになんねーぞ)

妹「どうした。来ないならこちらから行くぞ」

長門(やべぇ――!)

131: 2008/12/12(金) 22:29:25.34 ID:h5sR2E740
「待てよ」

長門「…? 古泉?」

古泉「何ジャンプの真似事してんだよお前ら。ガキかコラ」

長門「クソ遅ぇんだよ古泉。何してやがった」

古泉「悪ぃ。マス掻いてたら遅れた」

長門「キモイ氏ねタコ」

古泉「おいおいせっかく助けに来てやったのになんて言い草だ。帰るぞ?」

長門「よし古泉、後は任せたぞ」

古泉「あ!? オイちょっと待てよ、ねぇ、待てって! ねぇ!
…いっちゃった」

シャミ「くくく、奴の代わりに面白そうなのが来た故に、特別に見逃してやったわ」

妹「…ふん、ではまずこちらからやるとするか」

古泉「ふざけんなぁぁぁ!!」

133: 2008/12/12(金) 22:33:39.48 ID:h5sR2E740
長門「…ふぅ、危ないところだった。古泉には尊い犠牲になってもらうとしよう…」





長門「ここがキョンの部屋か」

長門「さて、探し物はどの辺にありますかってか」

長門「ここか?」

長門「いやここかも」

長門「あるいはこっちに」

長門「いやいやこの下とか」

長門「…あるぇ? さっぱり探してもどこにもねーぞ? ベッドの下も育毛剤しか隠してねぇし…」

136: 2008/12/12(金) 22:39:00.82 ID:h5sR2E740
長門「おかしいな…早いトコ探しちまわねーと、古泉ガードの効果時間が切れちまうじゃねーか」

※古泉ガードの効果時間は古泉が骨の髄までしゃぶり尽くされるまでです。用法用量を守ってこき使いましょう。

長門「ん? 待てよ?
そもそも本がここにあるって言ったの、あのババ猫だよな?
もしかしてアイツ、オレに嘘八百を吹き込んだんじゃねぇだろうな」

長門「やられたぜ…ともすりゃあ本は一体どこに…
! まさか、キッチンか!」

シャミ「正解じゃ。よく分かったの」

長門「!」

137: 2008/12/12(金) 22:45:07.77 ID:h5sR2E740
気がつけば、扉の脇に寄り掛かり、長門に向けて不敵な笑みを浮かべるシャミの姿があった。

シャミ「じゃが、答えに辿り着いたところで、実際に行動できなければ、導き出した解答は無意味じゃ」

長門「つまり、オレを足止めするってか? さっきみたいに」

シャミ「くく…猫の爪は存外鋭いぞ?」シャキン

長門「く…」

シャミ「小僧なら今ごろ妹と氏闘を繰り広げているだろうよ」

長門「いや、そいつは違うな」

シャミ「?」

長門「アイツの貧弱さを舐めるなよ?
今頃一方的なリンチを受けて、骨の髄までしゃぶられてる頃だろうさ…」

シャミ「…その余裕、普通ワシら側のものなんじゃが」

138: 2008/12/12(金) 22:50:14.63 ID:h5sR2E740
シャミ「まあよいわ。とりあえずお主は今ここで終わらせてやろう」

突然、シャミの姿が消え失せる。攻撃を察知した長門は思わず身体を竦めたが――

ガキィン!

甲高い鉄同士の衝突音が響き、攻撃は長門に襲い掛かることはなかった。

長門「?」

思わず顔を覆っていた両手をどけると、そこにはある人物が立っていた。

長門「え…」

鶴屋「にょろにょろ。長門ちゃんは油断のし過ぎにょろ」

139: 2008/12/12(金) 22:55:24.00 ID:h5sR2E740
長門の目の前に立っていたのは、かつてみくるの側近であった鶴屋だった。

長門「鶴屋!? どうしてお前が?」

鶴屋「みくるちゃんの命令にょろ。電話一本即コールにょろ。長門ちゃんのサポートを仰せつかったにょろよ」

シャミ「む…中々やるな」

鶴屋「地味に重量挙げで鍛えた私の筋肉を舐めないでほしいにょろ」

長門「よし、よけ分かんねぇけどサンキューな。じゃ、頼んだぜ」

鶴屋「めがっさほい来た!」

シャミ「調子付くなよ小娘が」

141: 2008/12/12(金) 23:11:43.48 ID:WDhzEU5sO
長門はキョンの部屋を飛び出すと、一目散にキッチンへ向かった。

長門「はぁ…はぁ…」

流石に溜まる疲労に、体力の消費を隠せない長門の顔は青ざめ、息は乱れるばかりだ。

長門「キッチン…本を探して…治さないと」

妹「どこへ行くつもりだ」

長門「! 馬鹿な、こんなに早く…」

妹「容易かったぞ。まさかすぐに倒れてしまうとは。2分くらいか」

長門「短っ! あの野郎マジで使えねぇ…」

142: 2008/12/12(金) 23:18:19.21 ID:WDhzEU5sO
古泉「誰が使えねぇだって?」

長門「古泉!」

妹「ほう、生きていたか」

古泉「おうよ。勝手に頃してくれるな」

妹「とはいえ、どうやらまさしく虫の息だが」

古泉「…るせー」

長門「古泉…」

古泉「俺はやると言ったらそれなりにやるかもしれない男だ!」

長門「えぇ~…? 説得力無っ」

143: 2008/12/12(金) 23:23:35.92 ID:WDhzEU5sO
古泉「てーわけでもう少しだけお付き合い願おうか。
何、覇道を行こうって人間が、まさか勝負をシカトぶっこいて相手を背後から襲うわけねぇよな?」

妹「…」

古泉「そういうこった。早く行け」

長門「恩に切るぜ」

古泉「もし無事に帰れたら…一つ頼みたいことがある」

古泉「…あれ?」

妹「もう行ったぞ」

古泉「仕事早ぇぇぇ!!」

182: 2008/12/13(土) 19:28:10.87 ID:hsbN9xlF0
長門「目指すは台所一筋! もう迷わねぇ! 他はアウトオブ眼中!」

長門は台所へと飛び込んでいった。

長門「本! 本! お菓子辞典!」

そして強盗の如く派手に台所をかき回す。

長門「出て来い!」

と、そこへ交戦中の二組が後を追うようにして台所へと雪崩れ込んできた。

鶴屋「ここは通さないにょろ!」

シャミ「ええい道を開けんかたわけ!」

古泉「ゆずらねぇぞここだけは!」

妹「さっさとどけ。氏にたいか」

長門「早く探さないと…」

183: 2008/12/13(土) 19:51:35.38 ID:hsbN9xlF0
長門「…あったっ!」

古泉「でかした長門! ずらかるぞ!」

鶴屋「どうするにょろ?」

古泉「どうするって、そりゃあ…」

鶴屋「ゴクリ」

古泉「どうする?」

鶴屋「めがっさざけんなにょろ! お前が生贄になって氏ぬにょろ!」

古泉「あんだとコラ! てめーこそ生贄になれや!」

185: 2008/12/13(土) 20:05:21.76 ID:hsbN9xlF0
長門「ええいまどろっこしい! くそったれが!」

鶴屋「にょろ?」

古泉「ん?」

シャミ「お」

妹「む」

長門は入り口を塞ぐ四人に向かって跳んだ。

長門「いっけぇぇぇぇ!」

すると、一瞬で鶴屋と古泉はいかに動くべきかを察し、目の前の敵に向かって、互いに片足を真っ直ぐに突き出した。
その突破力は三人の力全て結合し、一点貫通の強力な破壊力となって、入り口を塞ぐ二人を突破した。

長門「今だ! ずらかるぞ野郎ども!」

古泉&鶴屋「へい!」

186: 2008/12/13(土) 20:11:51.94 ID:hsbN9xlF0
シャミ「く…待たんか貴様ら!」

妹「やってくれたな」

シャミと妹を突破した三人は一目散に玄関を出た。

キョン子「あ、おっかえりー」

みくる「よかった長門様、無事でしたのね」

ハルヒ「どうかしましたか? 中が随分と騒がしかったようですが」

長門「ぼさっとすんな! 行くぞ!」

ハルヒ「え?」ぐいっ

キョン子「あははー」ぐいっ

みくる「な、長門さm」ぐいっ

長門「逃げるぞ」

187: 2008/12/13(土) 20:17:49.44 ID:hsbN9xlF0
妹「ふんぬ!」べきし

長門「やべぇ奴だ! ずらかれ!」

古泉「ずらかるって、どこへ!?」

長門「バカヤロウこいつらをまいてから学校にだよ! 急げ」

193: 2008/12/13(土) 21:12:49.00 ID:hsbN9xlF0
キョン子「いや、その必要はない」

長門「ああ? んだとテメ…
あれ、今口調が…」

キョン子「いや悪かったな。今の今まで夢の国にいた」

長門「まさか…キョン? 戻ったのか?」

キョン「ああ。どうやらプリンの効果が薄れてきたようだ」

長門「た、助かった…」

キョン「とはいえ、身体はどうやら女子のままらしいが」

長門「なんでもいいさ。おかえりキョン」

キョン「うむ」

194: 2008/12/13(土) 21:15:22.13 ID:hsbN9xlF0
長門「…待て、じゃあオレらがわざわざ危険を冒して中に踏み込んだ意味って…」

キョン「無いな」

長門「…はぁ~」

古泉「なんと、珍しく長門さんがへこんだ!」

長門「るせー! 大きなお世話だボケ!」

195: 2008/12/13(土) 21:17:22.66 ID:hsbN9xlF0
キョン「む、あやつらは何者だ」

長門「お前のプリンが生み出した災害だよコラ」ガスガス

キョン「頭を蹴るな。ハゲが加速する」

長門「バーコードにはげちまえ」

キョン「待て、奴らが先だ」

197: 2008/12/13(土) 21:21:28.25 ID:hsbN9xlF0
妹「何やら強者が一人増えたようだな」

キョン「ふ、お褒めに預かり光栄だ」スウッ

キョン「北斗真拳――」

妹「!」

キョン「アタタタタタ!」

妹「効かぬ」
ゴッ

キョン「くぅ」

妹「そのような貧弱な蹴りでは、我が身体は砕けはせぬわ」

キョン「やはり慣れぬ身体では戦えぬ…」

198: 2008/12/13(土) 21:29:13.01 ID:hsbN9xlF0
キョン「しかし!」バッ

妹「無駄だと何度言えば――」

キョン「あた!」ズムッ

妹「何!? ぐおっ」ブシュアッ

キョン「…」

妹「な、何故だ…一体何故攻撃が届くのだ」

キョン「隙間」

妹「!」

キョン「実に簡単な仕組みだ。表皮が鋼鉄の如く強化された貴様には威力の拡散する打撃や斬撃は通じぬらしい。
では、一点に力を集中した突きならば、それも、その硬い表皮と表皮の狭間にある薄い皮膚を突けば、貴様の防御はもろくも崩れ去るのだ」

妹「小癪な…」

199: 2008/12/13(土) 21:33:19.46 ID:hsbN9xlF0
キョン「何が目的で暴れているのかは知らんが、ひとまず大人しくしていてもらおうか」

妹「く…」

長門「た、助かった…」

キョン「怪我はないか、長門」

長門「キョン…


テメーのせいであちこち怪我だらけじゃボケがぁぁぁぁぁ!!!!」

どがばきびしべし

キョン「あごっ」

長門「責任取れ…責任取っていっぺん氏んで来い…」

キョン「ずばない。ずべではおまえのためをおもっでのごどだっだのだ」

200: 2008/12/13(土) 21:38:19.94 ID:hsbN9xlF0
キョン「え? お、オレ?」

キョン「ずずっ…ふぅ、鼻血は止まったか。
お前が欲しがっていたプリンがなかった故に、自分でそのプリンを作ろうとしただけだ」

長門「それ…だけ?」

キョン「ああ。ただ、レシピがよく分からなかったので参考にしようと朝倉とこの本を用意した」

長門「なんでよりにもよってこんな本を」

キョン「家にある菓子の本がこれしかなかったのでな」

長門「馬鹿だな…だったら作るなっての」コツン

キョン「む、何故だ、欲しがっていたではないか」

長門「その気持ちだけで十分なんだよ…このボケナス」

202: 2008/12/13(土) 21:41:53.08 ID:hsbN9xlF0
キョン「気持ちだけでいい…? では何故プリンを頼んだのだ? 理解し難いな」

長門「だから馬鹿なんだっての。お詫びの印と反省の気持ちだけでいいものを…わざわざこんなに話をデカくしやがって」

キョン「大変申し訳なく思っている」

長門「ならその証拠に、この現状を何とかしろ」

キョン「うむ、把握した」

203: 2008/12/13(土) 21:49:29.82 ID:hsbN9xlF0
――――……

その後、何とかしようと奮起したキョンの大立ち回りのお陰で、プリンの被害者は全員元に戻ることが出来た。
なお、損壊した家屋は責任を持って、怪我をしていない事件の当事者たちが協力して修復にあたった。

長門「よう、修復作業は順調かい?」

キョン「なんと、長門ではないか。病院はどうした?」

長門「ばっくれた。だってあすこ、つまんねぇんだもん。
それに、様子見に来たってのもあるしな」

キョン「愚かな…安静にしておれば良いものを…」

長門「うるせぇや。今回の事件のオオモトが、偉そうな口きいてんじゃねぇよ」

キョン「む、そこを突かれては返す言葉も無い」

長門「そこ、いいか?」

キョン「構わん」

204: 2008/12/13(土) 21:55:39.76 ID:hsbN9xlF0
長門「よっこらせっと」

長門は上に羽織ったジャケットの胸ポケットからシガレットケースを取り出した。

キョン「煙草、やめたんじゃなかったのか?」

長門「薬タバコだよ」

キョン「そうか」

長門「どのくらいまで直った?」

キョン「中は終わった。後はこの玄関だけだ」

長門「まったく、迷惑かけてくれやがって」

キョン「すまん」

長門「…ま、お陰で退屈はしなかったけどな」そっ

キョン「む」

長門「ほどほどにしとけよ。じゃねーと、次は本当に氏ぬんだからな」

キョン「承知した」

205: 2008/12/13(土) 22:08:19.16 ID:hsbN9xlF0
長門「じゃ、そろそろ病院戻るわ」

キョン「安静にな」

長門「わかってら」

キョン「長門」

長門「あん?」

ちゅっ

キョン「ではな」

長門「ではな、じゃねぇぇぇ!て、てめー、いきなりナニしやがるっ!」

キョン「接吻だ」

長門「知ってるよ! じゃなくて、何でいきなりしやがるんだってこったよハゲ!」

キョン「さあ病院へ戻りたまえ」

長門「はぐらかすな! テメー、おい、コラ、こっち向けー!」

妹「平和だねぇシャミ」

シャミ「にゃあ」

206: 2008/12/13(土) 22:08:56.33 ID:hsbN9xlF0

207: 2008/12/13(土) 22:09:55.23 ID:00SVSlu00

208: 2008/12/13(土) 22:10:52.07 ID:7NT1dJ7n0
終わっちゃったw
乙w

引用元: 長門「おいキョン! ちょっと表出ろ」