1: 2013/06/30(日) 13:30:22.07 ID:M/vl5QaU0
雪乃「もう支払期限を三日も過ぎているのだけれど、これはあれかしら私と友達でいるのは嫌ということなのかしら」

結衣「ち、違うよゆきのん!ただ、今月ちょっと厳しくて……」

雪乃「言い訳は聞きたくないわ。お金がないなら稼げばいいじゃない。馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけれど、そこまで馬鹿だとは思わなかったわ」

結衣「うう……」

8: 2013/06/30(日) 13:37:08.68 ID:M/vl5QaU0
結衣「あ、あのねゆきのん。もうすぐ期末テストがあるじゃない?」

雪乃「ええ。それがなにか?」

結衣「えっとね、テスト勉強もしなくちゃいけないし、来月まとめて払うからそれでゆるしてもらえないかな?」

雪乃「……ええ、払ってくれるのならそれで構わないわ」

結衣「やったあ!ありがとうゆきのん!それじゃあ早速サイゼで一緒に勉強しよ!」

雪乃「え?嫌よ」

結衣「え!?」

13: 2013/06/30(日) 13:45:42.09 ID:M/vl5QaU0
雪乃「あたりまえでしょう。貴方今いったわよね?来月まとめて払うって。ならその料金が支払われるまでは私たちは友達じゃないの。あたりまえの理屈でしょう?」

結衣「そんな……酷いよゆきのん……」

雪乃「酷い?何を言っているのかしら。だいたい貴方と一緒に勉強したところで私が一方的に教えるばかりで、全くメリットがないじゃない。だったら金銭という形で対価を支払うのは当然でしょう」

結衣「友達って、メリットとか対価とかそういうものじゃないよゆきのん……」

雪乃「そう?ならもうお友達料金は払わなくても結構よ。そして二度とココにも来ないでもらえるかしら。私は一人でいた方が気楽なの」

結衣「やだよ!ゆきのんと友達じゃなくなるのは絶対にいや!」

雪乃「そう、なら早めの支払いを薦めるわ。利子って怖いものね」

結衣「利子取るの!?」

15: 2013/06/30(日) 13:51:23.28 ID:M/vl5QaU0
結衣「分かったよ。何とかしてお金は作るからもうそんなこと言わないで……」

雪乃「そう、期待しないで待ってるわ」

結衣「……今日はもう帰るね。バイバイゆきのん、ヒッキ―」

八幡「お、おうじゃあな由比ヶ浜」

雪乃「……」

結衣(挨拶すら返してくれないなんて……)

19: 2013/06/30(日) 13:57:23.01 ID:M/vl5QaU0
八幡「……おい雪ノ下、今のは何だよ」

雪乃「今の、では分からないわ。生憎私にはミジンコの脳内を察するだけの能力はないの」

八幡「さっきの由比ヶ浜に対する態度だよ。えっと、お友達料金?なにそれそんなもん実在するの?陰湿な掲示板のSSなの?」

26: 2013/06/30(日) 14:16:24.58 ID:M/vl5QaU0
雪乃「比企谷くん、あなた友達いないでしょう?」

八幡「ああ、そうだけど今更何言ってんのおまえ」

雪乃「では貴方は分からないかもしれないけれど、お友達料金というのはごくごくありふれたものなのよ?」

八幡「はぁ?」

雪乃「能力のないものが優秀なものを利用したいと思うならそれなりの代償があるに決まっているでしょう」

八幡「なるほどそうなのか……っていやいやねーよ。流石の俺でもそれはねーって分かるよ。その理屈じゃあこの奉仕部自体成り立たなくなっちまうじゃねえか」

雪乃「何故かしら?奉仕部に依頼に来た生徒たちからはきちんと謝礼金を受け取っているわよ。なにも問題ないじゃない」

八幡「ええ!?金取ってんのお前?材木座も戸塚も葉山も戸部も金払ったの?」

雪乃「ええ。当然でしょう」

八幡「俺貰ってないんですけど」

雪乃「貴方の報酬はこうして私と話すことで消費されているもの。金が欲しければもっと頑張ることね」

27: 2013/06/30(日) 14:21:23.37 ID:M/vl5QaU0
八幡「お前守銭奴すぎるだろう……なんなのワタミなの?」

雪乃「私は別に働くことに喜びは感じないけれど……。比企谷くん、ひとつ教えておいてあげるわ」

八幡「ああ?」

雪乃「お金持ちっていうのはね、他の人が考えもつかないようなお金もうけの手段を実行できるからお金持ちなのよ」

八幡「さいですか……」

28: 2013/06/30(日) 14:25:34.80 ID:M/vl5QaU0
由比ヶ浜自宅
結衣「どうしよう。早く三万円稼がないとゆきのんとお話し出来ないよ……」

結衣「でも、バイトする時間もないし、定期代節約して自転車通学に変えたところで全然足りない……」

結衣「はぁ、どうしよう。何か短時間で稼げる方法ないかなぁ」

32: 2013/06/30(日) 14:31:04.39 ID:M/vl5QaU0
翌日2-F教室
結衣「やっはろー……」

三浦「おーす結衣」

海老名「どうしたの?元気ないね?」

結衣「うん、ちょっとお金に困っててね……」

海老名「お金?何か買いたいものでもあるの?」

結衣「そういう訳じゃないんだけど、ちょっとね」

37: 2013/06/30(日) 14:42:45.83 ID:M/vl5QaU0
三浦「親に前借でもしたらいいんじゃね?」

結衣「えっと、それは無理なんだ先月もう前借りちゃってて」

海老名「そんなに高いものなの?」

結衣「高いっていうか、毎月払わなくちゃいけないっていうか……」

海老名「ねえ結衣、じゃあ一緒に同人誌売らない!?いまはやはち本作ってるんだけど」

結衣「うーん私絵書けないしなあ。それにその本売れないと思う……」

海老名「そんなことないよ!はやはちはマストゲO!例え二人の存在を知らない人でも腐の心があれば必ず心にくるカップリングなんだよ!」グヘヘ

結衣「あぁ、そうなんだ……」

三浦「あんさぁ、結衣」

結衣「なあに優美子?」

三浦「短時間で高収入なバイト、紹介してあげようか?」

結衣「え?ホントに!?ありがと優美子!」

三浦「きーすんなって。あーしら友達っしょ?そんなわけで今日の放課後開けときな」

結衣「うん!」

42: 2013/06/30(日) 14:50:43.16 ID:M/vl5QaU0
放課後JR千葉駅
結衣「お待たせ!優美子!」

三浦「おっし来たね。んじゃいこっか。歩いてもいいけど時間ないしモノレール乗るよ」

結衣「うん分かった」

43: 2013/06/30(日) 14:55:59.29 ID:M/vl5QaU0
千葉モノレール栄町駅
三浦「さて着いたよ結衣」

結衣「なんだか人の少ないところだねえ。焼肉屋さんに、あれはなんだろう派手な建物だけど」キョロキョロ

三浦「あーあれはクラブみたいなもんだから。あそこならすごく簡単に金稼げっから」

結衣「そうなんだ。こんなに人通りがないのにすごいコスパ良いね!」

三浦「だしょ!?いやー喜んでもらえてなによりだわ。やっぱあーしら親友ジャン?困ってるときは助け合わないとだめっしょ?」

45: 2013/06/30(日) 15:05:06.50 ID:M/vl5QaU0

三浦「さて、ここだよ結衣」

三浦「おつかれっすー」

黒服「お疲れ様ユミちゃん。今日シフト入ってないよね?」

三浦「あー今日はあーしじゃなくてこの子。お金欲しいって言ってたから連れてきたんだけど」

結衣「初めまして!由比ヶ浜結衣っていいます!割のいいバイトがあるって優美子から聞いて来ました!」

黒服「紹介か。そういや昼に店長がそんなこと言ってたなぁ」

三浦「んじゃそういう訳だから紹介料頂戴よ」

黒服「おっけ。この子凄く可愛いし奮発して5万円ね」

三浦「サンキュー。これで今月はもう働かずにすむわ」

黒服「あはは。あんまり出勤しないとNO1から落ちちゃうぞ?」

三浦「だいじょーぶだいじょーぶあーしかわいいから」

47: 2013/06/30(日) 15:12:29.52 ID:M/vl5QaU0
黒服「それじゃあ、ゆいちゃんだっけ?こういう所で働くの初めて?」

結衣「はい。これまではマックでちょっとバイトしたくらいで他はあまり」

黒服「そっか。でもゆいちゃんかわいいしおっOい大きいからすぐに稼げるようになると思うよ?」

結衣「お、おっOいって何言ってるんですか!?」

三浦「ははは。結衣は初心だねえ。そんなんじゃここでやってけないよ?」

結衣「えっと優美子?どういうこと?」

三浦「だってここ風俗店だよ?」

結衣「風俗店……ってええ!?それってその、いかがわしいお店のこと!?」

49: 2013/06/30(日) 15:17:29.75 ID:M/vl5QaU0
結衣「ちょっと優美子!どういうこと!?聞いてないんだけど!?」

三浦「いや、短時間で高給なバイトなんてこのくらいしかないし、普通に分かってたと思ったんだけど」

結衣「分かるわけないでしょ!?無理無理私そんなの絶対無理!」

三浦「大丈夫だって。ここは口でするだけだだから膜は無事だし、変なの来たらそこのくろいのがなんとかしてくれっから」

結衣「そういう問題じゃないよ!それにまだ私たち高校生なんだよ!」

三浦「だいじょーぶだって店内くらいからわかりゃしないよ」

結衣「無理!私帰る!」

51: 2013/06/30(日) 15:25:06.06 ID:M/vl5QaU0
三浦イラッ「……あんあさ結衣、さっきからその態度何なの?」

結衣「え?」

三浦「あーしが折角割のいいバイト紹介してあげたのにさあ、その態度はなくない?」

結衣「だって、その……まさかそういうお店だとは思わなかったし……」

三浦「は?なにそれ別にそれあーしのせいじゃないじゃん」

結衣「でも……」

三浦「それにさあもうあーし紹介料貰っちゃたし、今更できませんとか言われても困るんだけど。金返さなきゃいけないし面目丸つぶれだし、結衣は友達がそんな目にあって平気なわけ?あーしら親友でしょ?」

結衣「それは……そうだけど……」

三浦「じゃああーしの顔を立てるためにもきちんと働いてよ。困ってる時には助け合いっしょ?」

結衣「うん……分かった。ここで働くよ……」

55: 2013/06/30(日) 15:30:06.14 ID:M/vl5QaU0
結衣(ここでお金をかせげばゆきのんと友達に戻れるし、優美子とだってケンカせずに済む)

結衣(私が我慢すればすべてうまくいくんだ。ならやるしかない……!)

結衣(二人の親友のために私は……ごめんヒッキ―……)

三浦「まじで!?あんがと結衣!流石親友!困ったときはやっぱ助け合いだねえ」

結衣「うん、私、頑張るよ……。ありがとう優美子」

三浦「気にすんなし。そんじゃあーしこのお金で隼人とご飯食ってくるから、じゃーねー」

56: 2013/06/30(日) 15:39:15.41 ID:M/vl5QaU0
同時刻 奉仕部
八幡「おっす」

雪乃「こんにちは、比企谷くん。由比ヶ浜さんはどうしたのかしら?まだ姿を見せないのだけれど」

八幡「あぁ、そういやなんかバイトするとかいってたな。三浦の紹介で」

雪乃「聞き耳を立てていたのかしら。気持ち悪いわね。早く氏んでくれないかしら」

八幡「あいつらのグループが無駄に声でかいから嫌でも聞こえちまうんだよ。むりやり罵倒につなげるな」

雪乃「バイト?昨日は時間がないと言っていたのに奇妙ね」

八幡「なんでも割のいいバイトだとかなんとか。詳しくは知らん」

雪乃「そう、べつにお友達料金さえ払ってもらえれば私はどうでもいいのだけど」

57: 2013/06/30(日) 15:45:26.00 ID:M/vl5QaU0
八幡「なあ雪ノ下、なんであいつお前に金払ってんの?」

雪乃「言っておくけど私から強制はしていないわよ。最初にお金を差し出してきたのはあの子だもの」

八幡「ふーん。で、お前はそれを受け入れたってわけか」

雪乃「ええ。せっかくもらえるものを無下に返すのも悪いしね。最初はジュースをおごってもらう程度だったのだけれど、いつの間にか額が上がっていったの。私から頼んだわけではないのに不思議ね」

60: 2013/06/30(日) 15:52:20.97 ID:M/vl5QaU0
八幡「でもお前その金何に使ってんの?」

雪乃「秘密よ。今はまだ……ね」

61: 2013/06/30(日) 15:58:01.02 ID:M/vl5QaU0
夜 由比ヶ浜家
結衣「オエェ、グェッ」ゲホゲホ

結衣(気持ち悪い)

結衣(醜悪な臭いが記憶に染みついて頭から離れない)

結衣(客に強く揉まれた跡が付いちゃった。赤くなってる)

結衣(でも、これでまたゆきのんと仲良くできる……!)

66: 2013/06/30(日) 16:07:49.79 ID:M/vl5QaU0
翌日放課後 奉仕部部室
結衣「やっはろーゆきのん、ヒッキ―!」

八幡「おう」

雪乃「……」

結衣「あのね、ゆきのん今月のお友達料金持ってきたよ。遅くなってごめんね。今度から気を付けるからまた仲良くしてくれないかな……なんて」

雪乃「そう……悪いわね。別に無理をしなくてもいいのよ」

結衣「そ、そんな無理なんてしてないよ……。私はただゆきのんと仲良くしたいだけだから」

雪乃「そう」

結衣「ねえゆきのんテスト勉強見てくれないかな?」

雪乃「ええ、構わないわよ」

結衣「やったあ!ありがとうゆきのん!」

雪乃「ふふ、おおげさね。私たちお友達でしょう?」

八幡(現金すぎるだろこいつ……)

71: 2013/06/30(日) 16:14:47.54 ID:M/vl5QaU0
雪乃「それじゃあ比企谷くん。私たちはこれで」

八幡「あ、ああ」

結衣「じゃあねヒッキ―」

八幡「おう、じゃあな」

八幡「お友達料金ねえ。そんなもん払う位なら一生ボッチのままでいいけどな俺は」

72: 2013/06/30(日) 16:24:46.12 ID:M/vl5QaU0
数日後
八幡(期末テストも終わり、いよいよ冬休みが近づいてきた)

八幡(雪ノ下と由比ヶ浜は期末の打ち上げだかなんかで部室には来ていない)

八幡(打ち上げってなんだよ。ただファミレスで飯食うだけなのに何言ってんの?)

八幡(そんなわけで俺は奉仕部の部室を独占して、一人優雅に読書(ラノベ)をしていたのだが)

ドア「コンコン」

八幡「あ?」

葉山「ヒキタニくん、居るかい?」

八幡「葉山?何しに来たんだよ。今日は俺しかいなくてな。依頼を受け付けてないんだ。悪いが出直してきてくれ」

葉山「いや、そちらの方が都合がいい。大岡」

大岡「ああ、そうだな」

八幡(童O風見鶏がなんの用だ?)

73: 2013/06/30(日) 16:29:39.02 ID:M/vl5QaU0
葉山「すまない女子二人がいたのでは話しづらいことなんだ。」

八幡「ちっ。何だよ。聞いてやるから簡潔に話せ」

葉山「ありがとう、ヒキタニくん」

74: 2013/06/30(日) 16:37:06.33 ID:M/vl5QaU0
葉山「大岡」

大岡「ああ。ヒキタニくん。これから話すことは誰にも言わない、ここだけの秘密にしておいてほしい」

八幡「信用ねーのは分かるが誰にも言わねえよ。てか、言う相手がいないよ」

葉山「……」

大岡「実は、先週の金曜日、期末テスト明けの憂鬱な気持ちを晴らすために風俗に行ったんだ」

八幡「風俗!?」

八幡(やべえこいつ童Oこじらせすぎだろ)

大岡「無論俺はまだ学生で金がないし、それに、その、初めては好きな人としたいからさ、安上がりな店にいったんだよ」

八幡(知らねえよ気持ち悪い)

大岡「それで、栄町で適当な店見繕って入ったんだけど、その店の女の子の写真が由比ヶ浜そっくりだったんだよ」

八幡「……は?」

78: 2013/06/30(日) 16:42:53.30 ID:M/vl5QaU0
大岡「ほら、これを見てくれ」
携帯渡す

八幡「どれ、ゆい(18)T158B88W57H84……」

大岡「由比ヶ浜に似てると思わないか、目線を手で隠しているからはっきりしないけど」

八幡「……」

82: 2013/06/30(日) 16:52:51.07 ID:M/vl5QaU0
八幡「……気になるなら指名してみればいいだろ」

大岡「いやそれはないっしょ。ヒキタニくん勇気ありすぎっしょ。風俗で知り合い出てきたときの気まずさときたらないからねマジで」

八幡「知らねえよ」

葉山「それでヒキタニくん。なにか心当たりはないかい」

八幡「心当たり?」

葉山「ああ。これが結衣なのかどうかは分からない。だけどもし結衣ならこんなこと辞めさせないといけないと俺は思う」

八幡「んなこと言っても、由比ヶ浜と一緒にいる時間はお前らの方が長いんだし、そんなもん……」

葉山「ヒキタニくん?」

八幡「お友達料金」ボソ

葉山「え?」

八幡「由比ヶ浜の奴、お友達料金を払うために金稼がなきゃとかいってたなそういや」

83: 2013/06/30(日) 17:00:37.38 ID:M/vl5QaU0
葉山「お友達料金だって!?」

八幡「あ、ああ」

葉山「そんなもの一体誰に払っているっていうんだ?」

八幡「……さぁな。俺みたいなボッチがあいつの広い交友関係を把握してるわけじゃないし知らん」

葉山「……じゃあ、やっぱりこれは……」

大岡「由比ヶ浜なん?やっべ興奮するわあ」

葉山「大岡、お前少し黙れよ」カベドン

大岡「うげえ」

八幡「別にこの女が由比ヶ浜って決まったわけでもないだろう」

葉山「だけど!」

100: 2013/06/30(日) 17:58:20.06 ID:M/vl5QaU0
八幡「大体、お前はどうするつもりなんだ?店に電話して確かめるか?それとも直接顔を見に行くのか?」

葉山「くっ……」

八幡「そこで伸びてる童O風見鶏も言ってただろ。風俗で知り合いが出てきたら超気まずいって。客でさえああなんだ。嬢側なんて尚更だ」

八幡「相手を助けようとした結果、その相手を傷つけてしまうなんて本末転倒だ」

葉山「それでも!俺は!」

八幡「話は終わりか?ならば帰ってくれ。どうしても調べたいなら好きにしろ。俺は止めん」

葉山「比企谷……見損なったよ。君は少なくとも結衣とは安からぬ絆を持っていると思っていたのに……俺の買い被りだったのか?」

八幡「全く持ってその通りだね。俺はただのボッチだ。お前らみたいに誰かと心から通じ合うことなんて、通じ合った気になるなんて出来ねえよ」

葉山「そうかよ……」

103: 2013/06/30(日) 18:07:05.06 ID:M/vl5QaU0
八幡(葉山は軽蔑のまなざしを向け、大岡を引きずりながら部室を後にした)

八幡「そう。俺はぼっちだ。お前らのような足かせはない」

八幡「俺の行動の結果で周囲がどうなろうが、周りから俺がどう見られようがそんなものどうだっていい」

八幡「だから行こう。俺のしたいことを、身勝手に、我儘にするために」

108: 2013/06/30(日) 18:24:13.79 ID:M/vl5QaU0
千葉モノレール栄町駅
八幡(一度着替えに戻ったら、既に日は沈みかけていた)

八幡(店の名前は確か『やはり俺の性処理方法は間違っている』か。ひでえ名前だな。アニメだったらゼロ話切りされるぞ)

八幡(おっとここか)

八幡(由比ヶ浜は今日打ち上げでいない。なら、今日中に済ませよう)

黒服「いらっしゃいませー」

八幡「あ、あの、えっと初めて利用するんですけど……」

黒服「はい、当店は45分9千円、別途指名量に千円かかりますが本日お客様は初回ということで指名量は無料とさせていただきます」

八幡「え、えっと、一番若い子を指名したいんですけど……」

黒服「はい、それでしたらA子ちゃんがお勧めですよ。30分ほどお時間いただきますがよろしいでしょうか?」

八幡「は、はい大丈夫です」

黒服「はいでは、お会計9000円になります。はいちょうどお預かりします。それではそちらの椅子に掛けてお待ちください」

113: 2013/06/30(日) 18:35:50.11 ID:M/vl5QaU0
黒服「お待たせいたしました。女の子の準備が整いましたので、3番席に座ってお待ちください」

八幡「は、はい」

八幡(やべえ緊張してきた)

A子「初めまして、A子でーす」

八幡「あ、ど、ども」

A子「お客さん、今日は仕事帰りですか?」

八幡「え、いや学生、あ大学生なんで」

A子「学生なんだぁすごーい若ーい」

八幡「き、君も随分若く見えるけど、いくつなのかな?」

A子「えへへ、秘密ですよ。なんと私16歳でーす」

八幡(ビンゴ)

八幡「え、それってヤバいんじゃないの?刑法的に」

A子「大丈夫ですよーばれなきゃ」

八幡「ばれなきゃ、ね」

A子「それじゃあズボン脱いでくださいねぇ」

127: 2013/06/30(日) 19:15:54.25 ID:M/vl5QaU0
黒服「ありがとうございました」

八幡(結局、緊張しているだのなんだの理由を付けてなんとか息子は氏守したわけだが)

八幡(ぼっちの俺には45分間話を繋ぐことなどできず、非常に気まずい空気が3番席に流れていた)

八幡(さてと、あとは……)

129: 2013/06/30(日) 19:25:42.35 ID:M/vl5QaU0
翌朝
結衣「やっはろー!」

海老名「おはよ、結衣」

三浦「おっす結衣。ちょっと来て」

結衣「え、何?」

三浦「いいから」グイ

廊下
三浦「あんたは大丈夫だった?」

結衣「え?何のこと?」

三浦「あんた……少しはニュースとか新聞見た方がいいわ。昨日店が摘発されたんだけど知らないの?」

結衣「店って、まさか」

三浦「そう、あーしやあんたが働いてる『俺はいる』のこと」

結衣「(何その妙な略し方)えぇ!?」

三浦「何でも18歳未満を働かせてるってタレこみがあったらしくてね。結衣あんた店に私物とか置いてないよね?」

結衣「うん、大丈夫だけど」

三浦「そ、ならいいわ」

130: 2013/06/30(日) 19:31:02.56 ID:M/vl5QaU0
朝のHR
担任「あー今日は皆に悲しいお知らせがある」

担任「わがクラスの比企谷が、その、十八歳未満立ち入り禁止の、そのなんだ、風俗店を利用したことがあることが明らかになって、無期限停学となった」

葉山「な!?」

大岡「ギク!」

戸部「比企谷くん超ぱねえわwwwww」

相模「キモい。そういえばあの時もう↑ち↓のこといやらしい目で見ていた気がするわ」

結衣「ヒッキ―……」

145: 2013/06/30(日) 19:47:27.77 ID:M/vl5QaU0
同時刻比企谷家 八幡個室
八幡(あれから俺はA子ちゃんとの会話を録音したヴォイスレコーダーを持って千葉中央警察署に向かった)

八幡(警察はすぐに動き、その店は摘発された
)

八幡(ただ、当然こちらの身元も確認されてしまい、俺もその場で補導と相成った)

八幡(その結果が今の状態である親父にはぶん殴られるわおふくろは泣き出すわ、なんだかんだ俺になついていた小町に汚物を見るような目で見られた時は本気で氏にたくなった)

八幡(ただ、唯一の救いは、あの店が正確な従業員名簿を作っていなかったことである)

八幡(ぶっちゃけこれは賭けだった。ただ、未成年を平気で働かせるような店ならば名簿はないと俺は睨んだ)

八幡(店側としても罪が重くならないように、あの場にいた以上に未成年を雇っていたとは話さないだろう。あとは警察の取り調べが厳しくないのを祈るばかりだ)

八幡(ま、これで由比ヶ浜はあの店からノーリスクで離れることができたってわけだ。まあ本当にアレが由比ヶ浜かなんて俺には分からんがな)

153: 2013/06/30(日) 20:03:42.49 ID:M/vl5QaU0
放課後 廊下
結衣「平塚先生!」

平塚「ああ、由比ヶ浜か。どうした」

結衣「あの、ヒッキ―が、ヒッキ―が……!」

平塚「ああ、知っている。昨日ラーメン食ってる途中に呼び出されたよ」

平塚「あいつのことだ、どうせまた事情があるんだろうが、全く馬鹿なことを……」

結衣「私の、私のせいでヒッキ―は……」

平塚「それは違う」

結衣「え?、でも!」

平塚「この件にお前がどうかかわっているのか私は知らん。今だけ聞かないでおいてやる。けど今お前が口を出せばあいつの被った汚名が、不名誉が、全て無為なモノになってしまうのは確かだ」

結衣「だけど!それじゃあヒッキ―が、ヒッキ―がかわいそうで……!私が悪いのに、私のせいで……!ヒッキ―が!」

平塚「それならなおのことだ。あいつのためを思うなら余計なことはするな」

平塚「それに、そんな不器用な奴だからこそ、お前はあいつを好きになったんじゃあないのか?」

161: 2013/06/30(日) 20:20:00.14 ID:M/vl5QaU0
結衣「……私、ヒッキ―に会いに行きます。今思ってること私の気持ちを全部ぶつけるために……!」ダッシュ

平塚「停学中の生徒に接触するのは禁止、って聞いてないか」

平塚「私もなにも聞いていないっと」

162: 2013/06/30(日) 20:20:57.16 ID:M/vl5QaU0
千葉市内路上
結衣「ヒッキ―の電話、つながらない……なら!」
prrrrrrr

小町「はい、もしもし小町です」

結衣「あ、小町ちゃん!?ヒッキ―いる?」

小町「あぁ、結衣さんお兄ちゃんなら今部屋で寝てますけ」

結衣「ならなんとか外に出るように誘導してくれないかな?ヒッキ―と話したいんだけど電話つながらなくて!」

小町「はいはい別にいいですけど……何かあの変態に用ですか?」

小町「昨日のこと、に関係がある話ですか?」

結衣「……うん。会って話したいの。お願い小町ちゃん。私をヒッキ―に、比企谷八幡に会わせて!」

小町「……一つだけ教えてください。結衣さん。貴方は昨日のことの関係者なんですか?」

結衣「……うん。そうだよ……」

小町「そうですか。少し見損ないました結衣さん」

結衣「……」

小町「でもよかったです。やっぱりお兄ちゃんは私の大好きなお兄ちゃんだったみたいです」

結衣「小町ちゃん……」

167: 2013/06/30(日) 20:30:36.10 ID:M/vl5QaU0
小町「お兄ちゃんには近所のファミマにファミチキとアイスを買いに行ってもらいます。あとはそちらでなんとか合流してください。ファミマの位置は分かりますか?」

結衣「うん、大丈夫!サブレの散歩でなんどか通ったことがあるよ!」

小町「そうですか。では10分ほどで現地に到着すると思うので、それまでにそちらもたどり着いてください」

結衣「10分!?……わかった、頑張るよ!」

小町「はいはいそれではー」

結衣「ありがとう、小町ちゃん」

小町「……頑張ってくださいね。結衣お姉ちゃん」ブツ

169: 2013/06/30(日) 20:38:20.86 ID:M/vl5QaU0
十分後 ファミリーマート
八幡「ったく、小町の奴機嫌直ったかと思ったら急に買い物行ってこいとかなんなんだよ」

八幡「大体停学中って本当はこうやって出歩くのもいけないんだけどわかってんのかよ」

八幡「ま、別にどうでもいいけどな。学校には戸塚くらいしか執着ないし。どうせ今回の話で戸塚にも引かれただろうし」

八幡「小町の機嫌が直るなら、停学が伸びるくらいどうということは……」

結衣「ヒッキ―!!!」

171: 2013/06/30(日) 20:47:26.49 ID:M/vl5QaU0
八幡「由比、ヶ浜、お前、なんで……」

結衣「はぁ……はぁ……何とか、間に合ったよ……」

八幡「……停学中は在校生と接触しちゃいけないから帰るわ」

結衣「待って!」手を掴む

八幡「……!!」

172: 2013/06/30(日) 20:57:07.21 ID:M/vl5QaU0
結衣「ずるいよヒッキ―。どうしていつも、今回だけじゃない、そうやっていつも私を置いて行っちゃうの?」

八幡「はぁ?何言ってんの。俺の停学とお前に何の関係があるんだよ」

八幡「学校でどれだけ噂になってるかは知らんが大体その通りだよ。俺が性欲に負けて馬鹿なことをした。そしてこのザマだ。お前には関係ない」

結衣「そういうの、もうやめてよ」

八幡「俺はぼっちだからな。専業主夫目指すなんて言っても一生あんなことできそうになかったからな。だから店で卒業しようと思ったんだ」

結衣「やめて」

八幡「ま、自業自得って奴だ。いつものことだから気にする必要は」

結衣「黙って」

八幡「」


八幡(な!?キスされた!?)

175: 2013/06/30(日) 21:03:44.65 ID:M/vl5QaU0
結衣「……そうやって、自分を粗末にするの、もうやめてよ。凄くつらい」

八幡「俺は自己保身の塊のような人間だぜ?そんなわけ」

結衣「ううん。それは違う。私には分かる」

結衣「だって、ついきのうまで、私もそうだったから」

結衣「ゆきのんと友達になるため、優美子の面目を守るためだって、自分に嘘をついて、自分の心と身体を傷つけてた」

結衣「私が我慢すれば全て穏便に済む。そう思っていたから」

結衣「でもそれは間違いだった。だってヒッキ―、優しいもん」

177: 2013/06/30(日) 21:08:32.44 ID:M/vl5QaU0
結衣「私が馬鹿だったせいで、ヒッキ―に迷惑をかけた。だから、同じことをヒッキ―に、大好きな人にしてほしくないの」

八幡「由比ヶ浜、お前何言って……」

結衣「今回だけじゃない。私の作った不味いクッキーを食べてくれた、私が優美子に責められている時に助けようとしてくれた、他にも数えきれないくらい、ヒッキ―に助けられたよ」

結衣「だから何度でも言うよ。あなたに伝わるまで。由比ヶ浜結衣は、比企谷八幡が大好きです」

八幡「……」

184: 2013/06/30(日) 21:25:47.12 ID:M/vl5QaU0
八幡「はは……何の罰ゲームだよこれは」

八幡「トップカーストのお前が俺みたいな変態ぼっちが好き?そんなことあるわけがないだろ」

八幡「どうせその辺の角にでも三浦や戸部あたりが隠れているんだろ?」

八幡「残念だったな由比ヶ浜。俺はそういう罠は食らいなれているんだ。今更通用せ」パシン!

八幡「」

結衣「さっき言ったよね。あなたに伝わるまで何度でも伝えるって。私はヒッキ―が好きなの!優美子が何?戸部っちが何?そんなに周りの目が怖いの?結局今のヒッキ―は平気なふりをして面倒事から逃げてるだけじゃない!」

結衣「他の人は関係ない。私は私だけの意思でヒッキ―が好き!ヒッキ―のためなら友達だって全て捨てられるって、やっとわかった。私のことなら何も心配はいらない!だからお願い!返事をして!」

八幡「俺は……」

191: 2013/06/30(日) 21:32:21.11 ID:M/vl5QaU0
八幡「俺は、ひねくれていて、悲観的で、卑屈で、協調性もない」

八幡「人を信じることに臆病で、今だって、いつお前が裏切るかビクビクしてる」

八幡「だけど……そんな俺でも、由比ヶ浜、お前が本当にこんな俺が好きだって言うのなら……」

八幡「俺も、こう答えよう。比企谷八幡は、由比ヶ浜結衣が好きです。俺と付き合ってください」





結衣「はい・・・・・・」チュ

195: 2013/06/30(日) 21:42:42.92 ID:M/vl5QaU0
新学期停学明け初日 奉仕部部室
八幡「うっす」

雪乃「久しぶりね、工口谷くん。停学の感想はどうだったかしら?」

八幡「別に、停学っつてもほとんど冬休みと被っていたしな。いつもの長期休暇とかわんねーよ」

雪乃「そう。随分とお気楽なのね。今や全校の女子の唾棄すべき存在になり下がったというのに」

八幡「そうかもな……そういえば由比ヶ浜は来てないのか?」

雪乃「由比ヶ浜さんならあなたが停学になった日から部室に来てないわね。お友達料金も滞納してるし、もうこの部活に愛想が尽きたのでしょう。まあこんな変態がいるのだもの。それが正常だわ」

八幡「……」

雪乃「これでは専業主夫なんてまた夢の夢ね」

雪乃「だから比企谷くん」

雪乃「貴方、私のモノになりなさい」

198: 2013/06/30(日) 21:48:02.91 ID:M/vl5QaU0
雪乃「ここに1億5千万円あるわ」

雪乃「大卒平均年収(データは2005年)のおよそ半分強に匹敵する金額よ」

雪乃「私の全財産と、由比ヶ浜さんから頂いたお友達料金を転がしてここまで増やしたの」

雪乃「貴方、働きたくないのでしょう。なら私のモノになってしまいなさい。私がこのお金で貴方を買い取ってあげます」

八幡「雪ノ下」

雪乃「何かしら」

八幡「それは無理だ」

205: 2013/06/30(日) 21:59:50.26 ID:M/vl5QaU0
雪乃「金額が足りなかったかしら?大丈夫よ。まだまだ増やせるし貴方が心配することなんてなにも」

八幡「いや、そういう問題じゃなくてだな。俺、由比ヶ浜と付き合ってるし」

雪乃「……え?」

雪乃「えっと、貴方が一体何を言っているのか分からないのだけど。妄想はほどほどにしておいた方が精神衛生上のためよ?」

八幡「妄想じゃねえよ、ホレ」ケータイ差し出す

携帯「キスプリクラ写メ」

雪乃「そんな、どうして……私の方が、私の方が顔だっていいし、頭もいい、お金だってあるわ。なのに!」

八幡「悪い。雪ノ下、俺、奉仕部辞めるわ」

雪乃「ま、待って!」

八幡「さっきの言葉、嬉しかったぜ。春のお前に言われてたら、多分頷いてた」

八幡(まだ誇り高く、穢れを知らない、俺が憧れた雪ノ下に言われていたらな)

207: 2013/06/30(日) 22:01:49.76 ID:M/vl5QaU0
平均年収→生涯平均年収
友達料金は総額100万くらい
ぶっちゃけそこまで足しになってません
ただお金さえあれば人の心も買えるとゆきのんが勘違いしてしまったきっかけと考えてください

212: 2013/06/30(日) 22:06:49.09 ID:M/vl5QaU0
廊下

平塚「よう比企谷」

八幡「平塚先生……」

八幡「すいません。雪ノ下のこと、俺……」

平塚「君に落ち度はないよ。気に病むことはない」

八幡「けど俺止められなかった……あの雪ノ下が、あんなふうになってしまうのを」

平塚「確かに金はこの世でもっとも大切なものかもしれない。だけどすべてではないんだ」

平塚「今回の一件で、雪ノ下もきっとそのことを学ぶだろう。そのことに気が付くのはいつかまでは分からんがね」

八幡「先生……」

平塚「由比ヶ浜と、幸せにな。奉仕部卒業、おめでとう」

八幡「……ありがとう、ございました」


213: 2013/06/30(日) 22:07:49.56 ID:zqrR2K/s0

216: 2013/06/30(日) 22:10:28.35 ID:7tqb2bp1P
乙ヶ浜

引用元: 雪乃「由比ヶ浜さん、今月のお友達料金はまだかしら」