1: 2015/06/13(土) 19:38:09.423 ID:8S4giZ9r0.net
今まで積み上げてきたものの上に

また何かを積み上げて

延々繰り返すその作業の中

あかりは最早積み上げる行為

そのものが目的になっていて

積み上げたものの中身など

興味を失いかけていた

ちなみに積んでいるのは岩だった

ちなみに積んでいる場所は水星だった

とっても常夏

2: 2015/06/13(土) 19:44:51.843 ID:8S4giZ9r0.net
平均気温約180度

赤座あかりちゃんは石を積む作業を繰り返しては

その灼熱の大地に汗を流して

休憩の為に

コンビニで買ってきたアイスを食べて

また岩を積んで行く

一人孤独におこなう作業であった

5: 2015/06/13(土) 19:47:12.144 ID:8S4giZ9r0.net
赤座あかりちゃんはその行為の中に

何かを欲しているわけではなかった

最初は岩を積む喜びはあった

だけどそのうちその感情も失い

今はただ

岩を積む事しかできないという

己の不自由さに目を瞑る為に

岩を積んでいるに

過ぎなかった

作業というよりも

それは至って主観的な見方をすると

それは逃避でしなかった

7: 2015/06/13(土) 19:50:56.597 ID:8S4giZ9r0.net
時折水星人が

孤独な作業を繰り返す赤座あかりちゃんを笑いにくることがあった

あんなところで何してるんだ

馬鹿な奴だぜHAHAHAHA

そんな水星人に初めは赤座あかりちゃんも

んもーっ@(`3´)@と抗議の声をあげていたけど

今は何も気にすることもなく

ただ眼前の作業に

没頭するのみだった

聖書しか信じない者に進化論が耳に入らない様に

それは至って神聖な自分のみが行い得る作業だと

赤座あかりちゃんは信じて疑わなかったからだ

8: 2015/06/13(土) 19:57:05.834 ID:8S4giZ9r0.net
度を越した水星人が赤座あかりちゃんの作業を

時折妨害することがあった

そんなときだけあかりちゃんはお団子をむしりとり

水星人に投げつけた

ウラニウムの「強い力」が解放され

E=MC^2を

正しく解放しようとするお団子の動きは

瞬時に巨大なエネルギーを爆発的に拡散させ

光的な速度で伝わる膨大な熱が水星人を蒸発させ

遅れて伝わった衝撃波で水星人を大気へ返した

赤座あかりちゃんはその後に

心穏やかに作業に戻ることが出来た

9: 2015/06/13(土) 19:58:44.882 ID:8S4giZ9r0.net
作業のみが

あかりちゃんを肯定した

作業のみが

あかりちゃんの存在価値だった

水星にてあかりちゃんは岩を積み上げ積み上げ

そうして何千万年かのち

あかりちゃんは遂に積み上げた岩で

大気圏を突破した

10: 2015/06/13(土) 20:00:48.204 ID:8S4giZ9r0.net
あかりちゃんは遂に宇宙に進出した

水星はとても太陽にちかくそして

とても小さいという事が

あかりちゃんはわかった

反対に目を向けると

金色に光る金星や

青色を薄気味悪く侵食されてる地球があった

カビみたいだとあかりちゃんはおもった

11: 2015/06/13(土) 20:10:32.870 ID:8S4giZ9r0.net
近日点移動というものがある

惑星の公転は正円ではなく

中心重力から楕円軌道を描くのが一般的であり

その中で太陽に再接近する地点を近日点という

しかしこの近日点もまた他の天体の比較的弱い重力の摂動により

軌道を僅かながらも乱されその位置を移動させてしまう

これを近日点移動という

12: 2015/06/13(土) 20:13:12.859 ID:8S4giZ9r0.net
ほとんどの近日点移動は

古典物理学による計算で証明されてきたが

水星の近日点移動についてのみ

100年につき数十秒の誤差が生じる事が

物理学者の頭を悩ませてきた

観測されていない未知の天体が水星軌道よりも内側に存在することを提唱する

学者もかつて存在したが

その疑問はある科学者の登場によって解決される事となる

13: 2015/06/13(土) 20:16:44.145 ID:8S4giZ9r0.net
アインシュタインが示した

一般相対性理論による

「重力による時空の歪み」が

水星の近日点移動観測値43秒を

計算式により補完したのである

それは太陽系の99%の質量を持つ太陽の最も内側も公転する

水星の特性と言ってよかった

15: 2015/06/13(土) 20:18:52.436 ID:8S4giZ9r0.net
あかりちゃんはその時空の歪みの中

数千万年存在していて

あかりちゃんが地球に到達したときには

地球では娯楽部のみんなは高校にあがっていた

@(`3´)@んもぅーあかり置いてけぼりだよぉ!

17: 2015/06/13(土) 20:21:08.308 ID:8S4giZ9r0.net
あかり「あかりだけ中学からやりなおしなんて」

あかり「あかり嫌だよぉ」

あかり「でも中学をしっかり卒業しないと」

あかり「京子ちゃんたちがいる高校に」

あかり「あかりはずっとあがれないもんね」

あかり「あかり中学でまたがんばるよぉ!」

ちなみにあかりちゃんが高校に上がる頃には京子ちゃんたちは卒業する

かなしい

19: 2015/06/13(土) 20:24:21.622 ID:8S4giZ9r0.net
あかりちゃんと同じくまだ高校に上がっていない馬鹿がいた

櫻子「あかりちゃん!」

あかり「さ、櫻子ちゃん!」

櫻子「どうしたのあかりちゃんまだ中学に残ってて!」

あかり「あかり重力の歪みにいたからまだ卒業してないんだよぉ!」

櫻子「わたしは馬鹿だからだよ!」

あかり「わぁい!櫻子ちゃんならやらかしてくれると信じてたよぉ!」

櫻子「これで一緒の中学一年生だね!」

あかり「うん!」

20: 2015/06/13(土) 20:26:32.111 ID:8S4giZ9r0.net
あかり「また一緒に登校して」

あかり「防波堤の上を歩いて」

あかり「木漏れ日の中いねむりするんだねぇ」

櫻子「それはとても素敵だね」

あかり「うん、とっても素敵だよ」

21: 2015/06/13(土) 20:28:24.043 ID:8S4giZ9r0.net
櫻子「じゃあ今日は一緒にホテルに泊まろうか」

あかり「どうしてなの?」

櫻子「それはとても素敵な事が起こるからだよ」

あかり「わぁ、なんだかわからないけど」

あかり「なんだか楽しそうだなぁ」

櫻子「うん、それじゃあ放課後にいっしょにいこう」

あかり「わぁい!ホテル!あかりホテルだぁいすき!」

22: 2015/06/13(土) 20:30:24.088 ID:8S4giZ9r0.net
ホテル

あかり「これから何が起こるのぉ」

櫻子「うん、まずは綺麗に体を洗わなくちゃいけないんだ」

あかり「お風呂?」

櫻子「そうだよあかりちゃん」

あかり「そっかぁじゃあ一緒に入ろう、櫻子ちゃん」

櫻子「先に浴びてきていいよ、あかりちゃん」

櫻子「あがったらベッドで待ってるんだよ」

あかり「う、うん・・・だよぉ・・・」

24: 2015/06/13(土) 20:34:33.149 ID:8S4giZ9r0.net
あかり「うぅーこれから何が始まるのかなぁ」

あかり「お菓子パーティーかなぁ」

あかり「それともブルーレイ(一迅社 コミック百合姫連載「ゆるゆり」 劇場版OVA ゆるゆりなちゅやちゅみ!【絶賛発売中】)一緒にみるのかなぁ」

あかり「うぅ・・・なんだか緊張してきたよぉ」

25: 2015/06/13(土) 20:36:24.142 ID:8S4giZ9r0.net
櫻子「ちゃんとベッドで待ってたんだね、あかりちゃん」

あかり「当然だよぉ」

櫻子「良い子だねあかりちゃん」

あかり「えへへぇ」

櫻子「綺麗な髪で綺麗な肌だよ、あかりちゃん」

あかり「さ、櫻子ちゃん、くすぐったいよぉ」

櫻子「あのね、あかりちゃん、今日私があかりちゃんをよんだのは」

あかり「・・・・・・う、うん・・・」

26: 2015/06/13(土) 20:38:24.782 ID:8S4giZ9r0.net
櫻子「貧乏すぎて団地を追い出されてのち」

櫻子「衛星ガニメデに資源堀りにいかされた」

櫻子「向日葵を一緒に救い出してほしいんだ」

あかり「・・・・・・うん、・・・・・・え?」

櫻子「強制労働につれていかれた向日葵を」

櫻子「とりもろす!」

あかり「・・・・・・・・・え?」

29: 2015/06/13(土) 20:44:01.413 ID:8S4giZ9r0.net
管制室
――シークエンス・・・スタート・・・180からカウントします

あかり「ひええええええええええ」

櫻子「最初の衝撃波から続けざまGがかかるから呼吸をとめない様に注意するんだ」

あかり「あかり無理だよおおおおおおおお」

櫻子「大丈夫600秒後にはもう宇宙だから」

管制室
3・・・2・・・1・・・・・・発射・・・!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

あかり「あばばばばばばば」

30: 2015/06/13(土) 20:49:48.037 ID:8S4giZ9r0.net
1969年

太陽系の地球外天体に人類は初めて足を付けた



その後長らく宇宙開発は停滞の時代を過ごし

火星で火星人と遭遇して後ワームホール理論を強奪した人類は

火星人を皆頃しにしたあと太陽圏内であれば

その複雑な計算式を制御して宇宙船を往還させることが

可能になっていた

櫻子「ガニメデに直行だよ、あかりちゃん」

あかり「」

櫻子「気絶してお団子が無重力に漂っている・・・」

31: 2015/06/13(土) 20:56:23.026 ID:8S4giZ9r0.net
ガニメデ

向日葵「うぅ・・・来る日も来る日も」

向日葵「ツルハシ片手に資源堀ですわ」

向日葵「ごんぶとお下げも」

向日葵「元気をなくして細身になりましたわ」

向日葵「だいたい赤座さんのお団子が縮んで」

向日葵「国際問題になるのもわかりますが」

向日葵「私のお下げが短小並みの細さになった問題も」

向日葵「もっと議題として上るべきですわ」

32: 2015/06/13(土) 21:01:05.278 ID:8S4giZ9r0.net
何が為に人は働くのか

あかりちゃんは考える

何故人は

生きる為に働く

素晴らしい人生を哲学することに費やした古代ギリシャの

市民権を得た奴隷をもつ哲人たち

彼らもまた特権を有しながらも

我らが何故神の御心の中にいて日々の生活に苦心し感情に悩み

美しいものや正義を求めるのか

そういった根源を追及する学者としての生を全うしていた

人は

生物は

動くことまたは考えること

そのものが生だった

では働くこととは――

33: 2015/06/13(土) 21:07:50.758 ID:8S4giZ9r0.net
あかり「あかりがピザを食べたいとする」

櫻子「うん」

あかり「あかりには1500円が必要なの」

櫻子「そうだね」

あかり「だからあかりは1500円を得なければならない」

櫻子「明白だね」

あかり「それが働く事?」

櫻子「違うよ」

あかり「そうなの・・・櫻子ちゃん?」

34: 2015/06/13(土) 21:08:02.994 ID:8S4giZ9r0.net
櫻子「じゃあ何故あかりちゃんは」

櫻子「ピザを食べたいの?」

あかり「それはあかりがピザが好きだからだよ」

櫻子「あかりちゃんはピザが食べるのが好きだから働くんだよ」

あかり「どういうことなの?」

櫻子「好きな事をするのが人生なんだよ」

櫻子「食べるため・・・つまり生きる為に働いてるんじゃないんだ」

櫻子「好きな事をするために働いているんだよ」

35: 2015/06/13(土) 21:10:36.498 ID:8S4giZ9r0.net
あかり「でもあかりが欲しいものはお金で買えない」

あかり「あの日娯楽部で過ごした時間も」

あかり「お金では取り戻せないよ」

あかり「今置いてけぼりにされたあかりは」

あかり「お金でみんなに追いつくこと何て」

あかり「できないんだよぉ」

あかり「あかりは至って不幸なのかな」

37: 2015/06/13(土) 21:13:31.871 ID:8S4giZ9r0.net
櫻子「あかりちゃんが時空の狭間でいた事はね」

櫻子「それ自体があかりちゃんの人生だから」

櫻子「しかたない事なんだよ」

櫻子「みんなに置いてけぼりにされるのも」

櫻子「時間がお金で戻らない事も」

櫻子「仕方のない事なんだよ」

櫻子「だからほらお金ってちっぽけで」

櫻子「そうして私たちは人生や感情に悩んで

櫻子「仕事、それはそれらを補完する手段でしかないから」

櫻子「だから強制労働の向日葵を救いに行くんだ」

櫻子「私は誰にも向日葵の人生を邪魔させない」

38: 2015/06/13(土) 21:21:22.115 ID:8S4giZ9r0.net
ガニメデ

向日葵「あら往来船ですわ」

向日葵「この時期に珍しいですわ」

向日葵「新たな奴隷の補給でしょうか」

向日葵「今度のは前のより頑丈だといいですわ」

あかり「着陸したよぉ」

櫻子「無事到着だね」

向日葵「櫻子!!!」

39: 2015/06/13(土) 21:23:25.656 ID:8S4giZ9r0.net
向日葵「あなたも父親が事業に失敗してアル中になった末借金でガニメデに?」

櫻子「んなわけあるか」

あかり「あかりだよぉ」

向日葵「まぁ!赤座さんまでどうして」

あかり「櫻子ちゃんが馬鹿であかりが時空の歪みにいたから」

あかり「一緒に留年した仲なんだよぉ」

向日葵「あらそれは大変でしたわね」

あかり「大変だよぉ」

40: 2015/06/13(土) 21:29:22.655 ID:8S4giZ9r0.net
櫻子「逃げよう、向日葵!」

櫻子「こんな強制労働、向日葵の人生が滅茶苦茶になっちゃうよ!」

向日葵「でも私労働が」

櫻子「このバカチンがあああああああああああああ!!!」

バシーーーン!!

向日葵「うおっ!イッテっ!」

あかり「ひえっ」

41: 2015/06/13(土) 21:31:34.326 ID:8S4giZ9r0.net
櫻子「頭のいい向日葵なら解るだろ!」

櫻子「こんなこと間違ってるんだ!」

櫻子「向日葵は一人の人なんだ!」

櫻子「機械のようなモノみたいに扱われて仕事させられるなんてこと」

櫻子「あっちゃダメなんだ」

櫻子「本当の向日葵は私の中にいる向日葵だから・・・!」

向日葵「櫻子・・・!」

42: 2015/06/13(土) 21:34:19.854 ID:8S4giZ9r0.net
幼い日の続きのように

二人は手を繋ぐ

あの日夕暮れの中一緒に帰った

幼い温かみを思い出すように

二人は繋いだ手の中でお互いに存在を感じ取る

あの日の続きのように

二人は歩き出す

二人には帰る場所があったから

43: 2015/06/13(土) 21:37:18.407 ID:8S4giZ9r0.net
二人乗りのロケット

櫻子と向日葵は祭壇に祀られる神聖な

儀式のように座席に乗りこみ

手を繋いだまま地球への往還へと着く

あの日の続きはまだここにある

夕暮れも公園の砂場も

泣いたあの日も

全て二人の中で繋がっていて

それは今も続いている

45: 2015/06/13(土) 21:40:20.597 ID:8S4giZ9r0.net
あかり「取り残されたよぉ」

あかり「くっそ氏ね」

京子「あれ?あれあかりじゃない」

結衣「マジだあかりだ」

あかり「!!」

あかり「結衣ちゃん!」

あかり「京子ちゃん!!!」

46: 2015/06/13(土) 21:42:03.091 ID:8S4giZ9r0.net
あかり「どうしてガニメデにいるのぉ」

あかり「ハッ!もしかして結衣ちゃんや京子ちゃんも」

あかり「借金でガニメデにきたのかな」

あかり「あかり知らなかったよぉ」

あかり「結衣ちゃんも京子ちゃんも苦労してたんだねぇ」

47: 2015/06/13(土) 21:43:44.274 ID:8S4giZ9r0.net
京子「違うぞ」

結衣「違うな」

あかり「え?じゃあどうしてガニメデに?」

京子「社会科見学でガニメデの奴隷を笑いにきてるんだぞ」

結衣「借金のかたに売られた哀れな労働者にならないように勉強中だ」

あかり「あ・・・そ・・・・・・」

48: 2015/06/13(土) 21:45:44.798 ID:8S4giZ9r0.net
京子「あかりがまさかガニメデの労働者だったなんて」

結衣「驚きだな京子プププ・・・いやごめん!」

あかり「ちがうよぉ」

京子「じゃあこんなとこにいるはずないだろ!このガニメディアン!!」

結衣「ププププププよしなよ京子」

49: 2015/06/13(土) 21:48:30.007 ID:8S4giZ9r0.net
あかり「あかり往来船できたけど置いてけぼりにされて」

あかり「帰る手段がないの」

あかり「どうにかしてほしいよぉ」

京子「・・・本当に労働者じゃないのか?」

結衣「え?」

あかり「そうだよぉあかりが地球に戻ろうと自由なの」

京子「な・・・・・・・なぁんだ、それならそうと早く言ってくれよ!」

あかり「言ったよぉ」

結衣「ひ、ひさしぶりだな!あかり!親友に会えて私も嬉しいよ」

京子「さぁさぁこっちにこいよ社会科見学の帰りの便に潜り込ませてやるからな、あかり」

あかり「・・・・・・ありがとうだよぉ」

50: 2015/06/13(土) 21:51:45.014 ID:8S4giZ9r0.net
究極のところ

自分しか信じるものがない

他人を頼っちゃダメだ

かつての親友も

あかりを食い頃すものとして

あかりを襲うかもしれない

誰も何も信じてはいけない

氏なない事が重要だ

誰にも自分を左右されない事が重要だった

あかりちゃんはそろそろそれが解りかけていた

何がお金

何が親友

何が神

53: 2015/06/13(土) 21:54:12.340 ID:8S4giZ9r0.net
地球の戻ったあかりちゃんは

酒に溺れた

ニューヨークに居住した

そこなら銃も薬も良く手に入った

アルコホリックはとても多かった

みな人生の仕事という部分を諦めていた

それよりも悲惨なのは路地裏に倒れるジャンキー達だった

彼らに金を与えると薬を買う資金にしてしまう

与えない事が彼らを助ける事だった

通常の倫理ではなかった

54: 2015/06/13(土) 21:55:56.848 ID:8S4giZ9r0.net
あかりちゃんは濁った眼で

青空を見つめた

ストリートの壁面に背を預けて座り

何か確からしい思考を探すも

朧な意識は宙を掴むばかりだった

お団子は徐々に垂れ下がった

55: 2015/06/13(土) 21:59:45.297 ID:8S4giZ9r0.net
時空は歪むが

時は不可逆に進む

あかりちゃんはあかりちゃんである

それがあかりちゃんの人生だからだ

だけどお金や仕事や親友は

あかりちゃんそのものではないから

あかりちゃんは何物にも頼らなくて

何物も信じなかった

結局の頃理不尽とは他のものと自分との関係に発生するから

だからあかりちゃんは全て捨ててしまっだけど

得たのは精神的自由であることも自由だった

56: 2015/06/13(土) 22:02:11.100 ID:8S4giZ9r0.net
宇宙は広かった

何物の恣意も存在しない空間が広大に広がっていた

三つの次元と一つの時間軸しかなく

ただ一つの分子も見当たらない場所は

いくらでもあった

精神はそこに在るべきで

あかり達は地球という枠組みでは小さすぎる

複雑な構造のシナプスの反応を得てしまっていた

あかりたちは何故にこうしてここにいるのか

57: 2015/06/13(土) 22:04:32.248 ID:8S4giZ9r0.net
解らないから

あかりちゃんは踊った

踊ることがあかりちゃんの精神を安定させた

相方のいないワルツだった

一人

誰かの手を取るような動作をとって

あかりちゃんは目を閉じて踊った

いつも踊った

毎日毎日おどった

ニューヨークはだれもあかりちゃんの踊りを咎めなかった

58: 2015/06/13(土) 22:06:42.756 ID:8S4giZ9r0.net
「ここにいたんだね、あかりちゃん」

あかりちゃんは閉じていた目を開ける

あかり「ちなつちゃん・・・」

ちなつ「言いたいことや聞きたいことが一杯あるのよ」

あかり「えへへぇあかり一人でここにきたのに見つかっちゃったよぉ」

ちなつ「その前にあかりちゃんのワルツ」

ちなつ「私に相手させなさいよ」

あかり「・・・・・・・・・!」

あかり「えへへぇいいよぉ」

ちなつ「まったく、あかりちゃんの踊る相手は」

――ワルツの相手は私しかいなんだから


おわり

61: 2015/06/13(土) 22:10:53.335 ID:hGA1E1pH0.net

引用元: あかり「プレシャス赤座あかりだよぉ」