10: 2008/01/15(火) 19:35:39.77 ID:SFTWN/1nO
男「長門……さん、だっけ?」
長門「そう」
男「どなたか存じませんか、お帰り頂く訳にはいきませんかね」
長門「それはできない」
男「そうかぁ……じゃあせめて家賃を」
長門「私は金銭や紙幣を持ち合わせていない」
男「……行くあてとかは?」
長門「ない」
男「……そう。じゃあ俺はちょっと行ってくるから」
長門「……」
男「晩飯は頼んだ」
長門「わかった」
長門「そう」
男「どなたか存じませんか、お帰り頂く訳にはいきませんかね」
長門「それはできない」
男「そうかぁ……じゃあせめて家賃を」
長門「私は金銭や紙幣を持ち合わせていない」
男「……行くあてとかは?」
長門「ない」
男「……そう。じゃあ俺はちょっと行ってくるから」
長門「……」
男「晩飯は頼んだ」
長門「わかった」
14: 2008/01/15(火) 19:42:22.99 ID:SFTWN/1nO
男「ただいま、長門さんや」
長門「……」
男「おかえりなさい」
長門「……」
男「おかえりなさい」
長門「……?」
男「ただいまと言ったらおかえりなさいと返すもんなの。わかった?」
長門「そう」
男「こほん……ただいま」
長門「……」
男「はー……で、晩飯は?」
長門「カレー」
男「カレー……? あ、なんか良い匂いがする」
長門「夕食を作るのは構わない……だけど──全て平らげてしまっても、良い?」
男「よし、良いと思う理由を二万文字で述べよ」
長門「……」
男「おかえりなさい」
長門「……」
男「おかえりなさい」
長門「……?」
男「ただいまと言ったらおかえりなさいと返すもんなの。わかった?」
長門「そう」
男「こほん……ただいま」
長門「……」
男「はー……で、晩飯は?」
長門「カレー」
男「カレー……? あ、なんか良い匂いがする」
長門「夕食を作るのは構わない……だけど──全て平らげてしまっても、良い?」
男「よし、良いと思う理由を二万文字で述べよ」
16: 2008/01/15(火) 19:45:56.47 ID:SFTWN/1nO
長門「──となり、私の体は一有機生命体の必要とするエネルギーの……」
男「ごめんなさい、俺が悪かったです……一杯分だけ残してお召し上がりください……」
長門「そう」
男「……大鍋が軽い……あ、大盛り一杯分だけ残してくれてる……」
男「ごめんなさい、俺が悪かったです……一杯分だけ残してお召し上がりください……」
長門「そう」
男「……大鍋が軽い……あ、大盛り一杯分だけ残してくれてる……」
17: 2008/01/15(火) 19:54:09.82 ID:SFTWN/1nO
男「はー……もう寝るか」
長門「そう」
男「んじゃ、ベッド使えよ」
長門「わかった」
男「…………まあ、家出娘に不埒を働いたとあっちゃ、お天道様に顔向けできねぇよな。遠赤外線暖房器具+毛布最高!」
長門「そう」
男「んじゃ、ベッド使えよ」
長門「わかった」
男「…………まあ、家出娘に不埒を働いたとあっちゃ、お天道様に顔向けできねぇよな。遠赤外線暖房器具+毛布最高!」
18: 2008/01/15(火) 19:58:41.93 ID:SFTWN/1nO
男「よし、俺は風邪を引かない!」
長門「…………」
男「あー、長門さんや、何時に起きられたので?」
長門「六時」
男「なるほど、12時間前か」
長門「カレー」
男「また作ってくれたのかね?」
長門「食べた」
男「報告かよ、知らねぇよ。うわ、鍋空だ!?」
長門「…………」
男「あー、長門さんや、何時に起きられたので?」
長門「六時」
男「なるほど、12時間前か」
長門「カレー」
男「また作ってくれたのかね?」
長門「食べた」
男「報告かよ、知らねぇよ。うわ、鍋空だ!?」
19: 2008/01/15(火) 20:07:21.35 ID:SFTWN/1nO
男「んー、夜か。どうするかね」
長門「就寝する」
男「まだ起きて五時間しか経ってねぇよー」
長門「床につく」
男「眠くないー」
長門「本を読む」
男「家には置いてねぇな……本、好きなの?」
長門「……」コク
男「そっかぁ……ん、明日は図書館にでも行こうか」
長門「……」コク
男「お話が好きなら俺がしてやろうではないか。どら、俺のひい婆ちゃんの話だ。ジョ……」
長門「…………」
男「……寝るのはえぇ」
長門「就寝する」
男「まだ起きて五時間しか経ってねぇよー」
長門「床につく」
男「眠くないー」
長門「本を読む」
男「家には置いてねぇな……本、好きなの?」
長門「……」コク
男「そっかぁ……ん、明日は図書館にでも行こうか」
長門「……」コク
男「お話が好きなら俺がしてやろうではないか。どら、俺のひい婆ちゃんの話だ。ジョ……」
長門「…………」
男「……寝るのはえぇ」
20: 2008/01/15(火) 20:16:54.01 ID:SFTWN/1nO
男「……図書館なんて何年ぶりかね」
長門「……」
男「……置いてっても、良いかな」
長門「……」
男「ふぁ……」
長門「……」
男「ん、んー……」
長門「……」
男「おう、おはよう。本十冊詰めたみたいだが、貸出は一人五冊までだぜ」
長門「あなたの図書カードも作った」
男「……そうか」
長門「そう」パタン
男「もういいのか?」
長門「……」コク
男「帰るか」
長門「……」
男「……置いてっても、良いかな」
長門「……」
男「ふぁ……」
長門「……」
男「ん、んー……」
長門「……」
男「おう、おはよう。本十冊詰めたみたいだが、貸出は一人五冊までだぜ」
長門「あなたの図書カードも作った」
男「……そうか」
長門「そう」パタン
男「もういいのか?」
長門「……」コク
男「帰るか」
21: 2008/01/15(火) 20:25:57.79 ID:SFTWN/1nO
男「よし居候の長門さんや、出ていくのはいつよ?」
長門「……」
男「べ、別に今すぐ出て行けって訳じゃなくて……そう! 働かざるもの食うべからずなんだから、なにか家の事やってよね!?」
長門「なら、今日の食事は私一人で取る」
男「掃除も洗濯も俺一人でやってるよね……そういやお前の服洗った事ないな……でも不潔な感じはしないし、まさか!」
長門「……」
男(人並みに女の子してんだな、こいつ……)
長門「……」
男「べ、別に今すぐ出て行けって訳じゃなくて……そう! 働かざるもの食うべからずなんだから、なにか家の事やってよね!?」
長門「なら、今日の食事は私一人で取る」
男「掃除も洗濯も俺一人でやってるよね……そういやお前の服洗った事ないな……でも不潔な感じはしないし、まさか!」
長門「……」
男(人並みに女の子してんだな、こいつ……)
24: 2008/01/15(火) 20:34:54.54 ID:SFTWN/1nO
男「いやはや、一ヵ月経ったよ長門さん。髪全然伸びないね」
長門「……」
男「もしや自分の髪切るの得意?」
長門「……」
男「最近長門さんの冷たさが2月の気候よりも堪えるよ……」
長門「……これ」
男「こ、これは!? まさか!?」
長門「……」コク
男「カレー粉だな。わかるぜ。出合って一ヵ月を記念して最初の日とは逆に俺にカレーを作って欲しいんだな?」
長門「…………」
男「あ、ちょ、どこ行くの~」
男「……」カジ
男(……ちょいとビターだな、このチョコ)
長門「……」
男「もしや自分の髪切るの得意?」
長門「……」
男「最近長門さんの冷たさが2月の気候よりも堪えるよ……」
長門「……これ」
男「こ、これは!? まさか!?」
長門「……」コク
男「カレー粉だな。わかるぜ。出合って一ヵ月を記念して最初の日とは逆に俺にカレーを作って欲しいんだな?」
長門「…………」
男「あ、ちょ、どこ行くの~」
男「……」カジ
男(……ちょいとビターだな、このチョコ)
26: 2008/01/15(火) 20:54:10.21 ID:SFTWN/1nO
男「そろそろアイツが居着いて二ヵ月目か……時々図書館一緒に行く以外で外でねぇなぁ」
男「……まさか、アイツ超能力者か!? 持って生まれた超能力のせいで色々な組織に狙われて、仕方なく俺の家に転がり込んだ……と」
男「有り得るな……あ、ホワイトデー近いのか。何かあげないとな。喜びそうなもの……本か?」
男「ほい、ただいまー」
長門「……」
男「今日はプレゼントに本を買って来たぜー」
長門「……」ピク
男「これはおとぎ話なんだけどな、長門さんを青くしたような女の子が読んでた、イーヴァ……なんだったかな。とにかく、あげる」
長門「そう」
男「んじゃ、俺はこれで」
長門「……」クィ
男「んー?」
長門「本とは情報媒体であると同時にコミュニケーションツールでもある。得た情報を相手に伝える方法もあるが、同じ情報を共有する方法を試してみたい」
男「あー、つまり一緒に読むと?」
長門「……」
男「……まさか、アイツ超能力者か!? 持って生まれた超能力のせいで色々な組織に狙われて、仕方なく俺の家に転がり込んだ……と」
男「有り得るな……あ、ホワイトデー近いのか。何かあげないとな。喜びそうなもの……本か?」
男「ほい、ただいまー」
長門「……」
男「今日はプレゼントに本を買って来たぜー」
長門「……」ピク
男「これはおとぎ話なんだけどな、長門さんを青くしたような女の子が読んでた、イーヴァ……なんだったかな。とにかく、あげる」
長門「そう」
男「んじゃ、俺はこれで」
長門「……」クィ
男「んー?」
長門「本とは情報媒体であると同時にコミュニケーションツールでもある。得た情報を相手に伝える方法もあるが、同じ情報を共有する方法を試してみたい」
男「あー、つまり一緒に読むと?」
長門「……」
27: 2008/01/15(火) 21:06:21.75 ID:SFTWN/1nO
男「おとぎ話もなかなか面白いな……」
長門「……」
男「いやあ、まさか勇者が不意打ちしまくるとは思わなかった」
長門「……」
男「でもまあ、不意打ちだろうと大きな何かに挑むってのは凄いよなぁ」
長門「……」
男(……楽しそうに見えなくもないな)
長門「……」
男「いやあ、まさか勇者が不意打ちしまくるとは思わなかった」
長門「……」
男「でもまあ、不意打ちだろうと大きな何かに挑むってのは凄いよなぁ」
長門「……」
男(……楽しそうに見えなくもないな)
28: 2008/01/15(火) 21:16:13.24 ID:SFTWN/1nO
男「今日は四月一日か……言葉少ななアイツの事だ、嘘を吐くとは思えんが、イベント事に詳しい以上、無視はできんな」
長門「情報の伝達に齟齬が発生するかもしれない。でも、聞いて。私は(ry)インターフェイス」
男「……なかなか面白い冗談だな。ニュースでやられたらたまげそうだ……カレー食う?」
長門「食う」
長門「情報の伝達に齟齬が発生するかもしれない。でも、聞いて。私は(ry)インターフェイス」
男「……なかなか面白い冗談だな。ニュースでやられたらたまげそうだ……カレー食う?」
長門「食う」
31: 2008/01/15(火) 21:39:18.89 ID:SFTWN/1nO
男「なんかさ、やりたい事とかないの?」
長門「……」
男「ないか……やれやれ、ゴールデンウィークも近いし、どっか行こうかと思ったんだけど」
長門「また、図書館に」
男「……そうね。連休は毎日行こうか」
長門「……」
男「ないか……やれやれ、ゴールデンウィークも近いし、どっか行こうかと思ったんだけど」
長門「また、図書館に」
男「……そうね。連休は毎日行こうか」
32: 2008/01/15(火) 21:50:14.70 ID:SFTWN/1nO
男「……本当に図書館行ってるだけで終わりそうだな。前はどんな事してたよ?」
長門「……野球」
男「へぇ、白球を追いかけたりしてたようには見えねぇけどな。そういや、俺のひい婆ちゃんも……」
長門「……」クィ
男「はいはい、図書館な。わかったって」
長門「……野球」
男「へぇ、白球を追いかけたりしてたようには見えねぇけどな。そういや、俺のひい婆ちゃんも……」
長門「……」クィ
男「はいはい、図書館な。わかったって」
33: 2008/01/15(火) 21:58:30.00 ID:SFTWN/1nO
長門「……雨」
男「もうそんな季節か……走るぞ!」
長門「……」
男「走れよ……やれやれ」ヒョイ
長門「……」
男「文句があるなら後で聞くさ。にしても軽いな。飯はちゃんと……食ってんだよなぁ……」
長門「……」
男「あ~、そのまま行こうとすんなって。ほれ、拭くぞ」ガシガシ
男「もうそんな季節か……走るぞ!」
長門「……」
男「走れよ……やれやれ」ヒョイ
長門「……」
男「文句があるなら後で聞くさ。にしても軽いな。飯はちゃんと……食ってんだよなぁ……」
長門「……」
男「あ~、そのまま行こうとすんなって。ほれ、拭くぞ」ガシガシ
35: 2008/01/15(火) 22:09:04.46 ID:SFTWN/1nO
男「さーさーのーはー……らーらららー……メロディも違うか?」
長門「……」
男「七夕だ……って知ってるよな。短冊になんか書く?」
長門「書く」
男「ん、明日海に流すから、それまでに書いとけ」
長門「……」カキカキ
長門「……」
男「七夕だ……って知ってるよな。短冊になんか書く?」
長門「書く」
男「ん、明日海に流すから、それまでに書いとけ」
長門「……」カキカキ
37: 2008/01/15(火) 22:15:53.10 ID:SFTWN/1nO
「キャァァァアア!!」
長門「……」
男「な、なんか、気持ち悪いのが……」
長門「カマドウマ。バッタ目・カマドウマ科に分類される昆虫の一種。俗称は便所コオロギ」
男「そ、それはどうでも良いから、なんとかしてくれ……」
長門「信長……おいで」ポイ
男「ふぁ~助かったよ長門さぁん……ってか信長って誰?」
長門「今付けた」
男「なんで?」
長門「昔の知り合いの、名前」ベチャ
男「信長ぁぁぁぁ!」
長門「……」
男「な、なんか、気持ち悪いのが……」
長門「カマドウマ。バッタ目・カマドウマ科に分類される昆虫の一種。俗称は便所コオロギ」
男「そ、それはどうでも良いから、なんとかしてくれ……」
長門「信長……おいで」ポイ
男「ふぁ~助かったよ長門さぁん……ってか信長って誰?」
長門「今付けた」
男「なんで?」
長門「昔の知り合いの、名前」ベチャ
男「信長ぁぁぁぁ!」
38: 2008/01/15(火) 22:24:47.04 ID:SFTWN/1nO
男「世間一般では夏休みです」
長門「……」コク
男「ひい婆ちゃんは昔ひい爺ちゃんと友達の屋敷に行った事があるとか」
長門「……」
男「つまりそう、俺も屋敷いきたい~!」
長門「これを」
男「ミステリー小説?」
長門「読んで」
男「……なるほど。これで屋敷にいったつもりになろうと……思えるかぁぁぁぁ!」バチーン!
長門「……!」
男「あ、いや……ごめん……本に当たるつもりはなくて……」
長門「……」
男「もしもし、長門さんやー?」
長門「……」クィ
男「なに、外? 外に出るの? 図書館?」
長門「……」バタン! ガチャ
男「あけて~………………」
長門「……」コク
男「ひい婆ちゃんは昔ひい爺ちゃんと友達の屋敷に行った事があるとか」
長門「……」
男「つまりそう、俺も屋敷いきたい~!」
長門「これを」
男「ミステリー小説?」
長門「読んで」
男「……なるほど。これで屋敷にいったつもりになろうと……思えるかぁぁぁぁ!」バチーン!
長門「……!」
男「あ、いや……ごめん……本に当たるつもりはなくて……」
長門「……」
男「もしもし、長門さんやー?」
長門「……」クィ
男「なに、外? 外に出るの? 図書館?」
長門「……」バタン! ガチャ
男「あけて~………………」
40: 2008/01/15(火) 22:40:35.07 ID:SFTWN/1nO
男「八月と言えばプールだな。海に行きたいとか無茶は言わんぞ」
長門「水着がない」
男「こんな事もあろうかと買っといた! 市民プール行こうぜ市民プール!」
長門「……」コク
男「あー……市民プールは相変わらず無駄に人が多いなぁ。こう人が多いとさ」
長門「……」
男「世界が広いって感じて面白いよな?」
長門「……そう」
男「時に長門さんや、泳げる?」
長門「得意」
男「んじゃ勝負だ。俺が負けたら言う事なんでも聞く。勝ったら聞いて貰う。良いな?」
長門「……」コク
男「負けた……俺が……負けた……」
長門「パソコン、買って。最新の」
長門「水着がない」
男「こんな事もあろうかと買っといた! 市民プール行こうぜ市民プール!」
長門「……」コク
男「あー……市民プールは相変わらず無駄に人が多いなぁ。こう人が多いとさ」
長門「……」
男「世界が広いって感じて面白いよな?」
長門「……そう」
男「時に長門さんや、泳げる?」
長門「得意」
男「んじゃ勝負だ。俺が負けたら言う事なんでも聞く。勝ったら聞いて貰う。良いな?」
長門「……」コク
男「負けた……俺が……負けた……」
長門「パソコン、買って。最新の」
42: 2008/01/15(火) 22:48:03.73 ID:SFTWN/1nO
男「夏休みも終わりか……ずっと夏休みが終わんなきゃ良いのに」
長門「そうとは限らない。もしかしたらあなたの知らない所で、誰かが何回も繰返してる可能性もある」
男「……本の話かなんか?」
長門「……それに、明日が来ない事を知っている今日は、とても辛い」
男「そんなもんなのかねー」
長門「……本の話」
男「そっか」
長門「そうとは限らない。もしかしたらあなたの知らない所で、誰かが何回も繰返してる可能性もある」
男「……本の話かなんか?」
長門「……それに、明日が来ない事を知っている今日は、とても辛い」
男「そんなもんなのかねー」
長門「……本の話」
男「そっか」
43: 2008/01/15(火) 22:56:39.51 ID:SFTWN/1nO
男「秋か……体育祭は五月だったし、受験ねぇし、どうするか」
長門「読書の秋」
男「……ま、いっか。図書館行くか」
男「……ん、やべ、図書館来る度寝てんな。俺。カーディガン……?
かけてくれたのか。ありがとう、長門さん」
長門「…………」コクン
男「俺にかけてたから寒いでしょ? 返すよ」
長門「寒くはない」
男「やれやれ、手がこんなに冷たいのに、よく言うよ」
長門「読書の秋」
男「……ま、いっか。図書館行くか」
男「……ん、やべ、図書館来る度寝てんな。俺。カーディガン……?
かけてくれたのか。ありがとう、長門さん」
長門「…………」コクン
男「俺にかけてたから寒いでしょ? 返すよ」
長門「寒くはない」
男「やれやれ、手がこんなに冷たいのに、よく言うよ」
44: 2008/01/15(火) 23:01:17.19 ID:SFTWN/1nO
男「映画一本50円でさ、買ってきたよー」
長門「……」
男「おや、映画とかは興味ない?」
長門「作った事なら」
男「おぉ……どんなの、ねぇどんなの?」
長門「……」
男「まさか……言えないような……」
長門「違う」
男「なら何を作ったのか言ってよ」
長門「…………猫」
男「猫?」
長門「……猫が、出てた」
長門「……」
男「おや、映画とかは興味ない?」
長門「作った事なら」
男「おぉ……どんなの、ねぇどんなの?」
長門「……」
男「まさか……言えないような……」
長門「違う」
男「なら何を作ったのか言ってよ」
長門「…………猫」
男「猫?」
長門「……猫が、出てた」
45: 2008/01/15(火) 23:08:15.91 ID:SFTWN/1nO
長門「……」カタカタカタ
男「なに、ゲーム?」
長門「サジタリウス」カタカタカタ
男「射手座?」
長門「21」カタカタカタ
男「そんな出てんの!?」
長門「開発者の顔写真」カタカタカタ
男「無駄にイケメンだなこいつ……」
男「なに、ゲーム?」
長門「サジタリウス」カタカタカタ
男「射手座?」
長門「21」カタカタカタ
男「そんな出てんの!?」
長門「開発者の顔写真」カタカタカタ
男「無駄にイケメンだなこいつ……」
46: 2008/01/15(火) 23:17:07.16 ID:SFTWN/1nO
男「お、雪だ。もう冬か……」
長門「あの、お呼びでしょうか?」
男「ん? いや別に」
長門「そうですか……」
男「俺、雪好きなんだよね」
長門「ふぇあ!?」
男「どうしたの?」
長門「あの、も、もう一度、言ってください!」
男「どうしたの? ……こう?」
長門「あの、そこじゃなくてですねぇ……」
男「雪、好きだけど」
長門「えへへー」
男「いや、ほんと、どうしたの?」
朝倉「それはね、長門さんの下の名前がユキだからよ」
長門「あ、朝倉さん!」
男「……夢? にしては妙に現実味があるってかなんて言うか」
長門「それは、ただの夢」
男「そっか……まあ、長門さんがあんなのは想像つかんしね」
長門「……急がないと」
長門「あの、お呼びでしょうか?」
男「ん? いや別に」
長門「そうですか……」
男「俺、雪好きなんだよね」
長門「ふぇあ!?」
男「どうしたの?」
長門「あの、も、もう一度、言ってください!」
男「どうしたの? ……こう?」
長門「あの、そこじゃなくてですねぇ……」
男「雪、好きだけど」
長門「えへへー」
男「いや、ほんと、どうしたの?」
朝倉「それはね、長門さんの下の名前がユキだからよ」
長門「あ、朝倉さん!」
男「……夢? にしては妙に現実味があるってかなんて言うか」
長門「それは、ただの夢」
男「そっか……まあ、長門さんがあんなのは想像つかんしね」
長門「……急がないと」
48: 2008/01/15(火) 23:29:30.05 ID:SFTWN/1nO
男「ひい婆ちゃんが昔雪山行って変なの見た事があるって言ってたな、そういや」
長門「そう」
男「いやそれよりクリスマスだよもうそろそろ。サンタさんと長門さんにプレゼント用意しないと」
長門「サンタは……親がやってると聞いた。それにプレゼントもサンタから貰うと」
男「そう、俺の親ってサンタなんだよ!? で、今まで毎年誕生日やらクリスマスやらお年玉やら貰ってんだから、お返ししたいな、と」
長門「……」
男「変、かな。やっぱ」
長門「別に」
男「そっか。長門さんは何が欲しい?」
長門「私は……」
長門「そう」
男「いやそれよりクリスマスだよもうそろそろ。サンタさんと長門さんにプレゼント用意しないと」
長門「サンタは……親がやってると聞いた。それにプレゼントもサンタから貰うと」
男「そう、俺の親ってサンタなんだよ!? で、今まで毎年誕生日やらクリスマスやらお年玉やら貰ってんだから、お返ししたいな、と」
長門「……」
男「変、かな。やっぱ」
長門「別に」
男「そっか。長門さんは何が欲しい?」
長門「私は……」
49: 2008/01/15(火) 23:33:23.85 ID:SFTWN/1nO
男「年末か……掃除しなきゃね」
長門「目立った汚れは見当たらない」
男「そりゃ目立たない汚れを落とすのが大掃除だからねぇ」
長門「そう……」
男「んじゃ、手伝ってね。終わったら今日は寿司と蕎麦取るから」
長門「……」コク
長門「目立った汚れは見当たらない」
男「そりゃ目立たない汚れを落とすのが大掃除だからねぇ」
長門「そう……」
男「んじゃ、手伝ってね。終わったら今日は寿司と蕎麦取るから」
長門「……」コク
51: 2008/01/15(火) 23:37:59.65 ID:SFTWN/1nO
男「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
長門「……」コク
男「去年長門さんは良い子にしてたからお年玉をあげよう」
長門「……」
男「貰えるもんは貰っとくもんさ。さてどうしようかね、雑煮に御節、初詣……」
長門「全部」
男「ん、よし来た!」
長門「……」コク
男「去年長門さんは良い子にしてたからお年玉をあげよう」
長門「……」
男「貰えるもんは貰っとくもんさ。さてどうしようかね、雑煮に御節、初詣……」
長門「全部」
男「ん、よし来た!」
52: 2008/01/15(火) 23:47:40.43 ID:SFTWN/1nO
男「今日は~♪ カレーの日~♪ 美味しい美味しいカレーの日~♪」
長門「カレー?」
男「そう。長門さんが家に居着いてからもう一年になるからね」
長門「……」
男「それでさ、給料三ヶ月分のカレーを作ってみた訳よ」
長門「そう」
男「む……反応が薄いな……ウチのひい爺ちゃんは昔、好きな女の子に変な名前を名乗って窮地を脱したって言ってたしなぁ……俺もやるか」
長門「カレーは……カレーは金をかければ美味しくなるものじゃない。作り手の情熱や想いを吸って深みを幾層にも積重ねていく」
男「……」
長門「だから、このカレーは……今まで摂取してきた食物の中で、一番好ましい味をしている」
長門「カレー?」
男「そう。長門さんが家に居着いてからもう一年になるからね」
長門「……」
男「それでさ、給料三ヶ月分のカレーを作ってみた訳よ」
長門「そう」
男「む……反応が薄いな……ウチのひい爺ちゃんは昔、好きな女の子に変な名前を名乗って窮地を脱したって言ってたしなぁ……俺もやるか」
長門「カレーは……カレーは金をかければ美味しくなるものじゃない。作り手の情熱や想いを吸って深みを幾層にも積重ねていく」
男「……」
長門「だから、このカレーは……今まで摂取してきた食物の中で、一番好ましい味をしている」
53: 2008/01/15(火) 23:51:17.19 ID:SFTWN/1nO
男「節分か……豆をまかない、以上!」
長門「何故」
男「鬼もさ、色々あるんだってきっと。もし悪い鬼だったとしても、やはり食べ物をぶつけるのは俺の道徳観が良しとしない」
長門「そう」
長門「何故」
男「鬼もさ、色々あるんだってきっと。もし悪い鬼だったとしても、やはり食べ物をぶつけるのは俺の道徳観が良しとしない」
長門「そう」
54: 2008/01/16(水) 00:09:32.02 ID:YH+XZvfFO
長門「これ……読んで」
男「本? ……紙が挟まってるな。なるほど、推理ゲームをしたい、と。良いだろう」
男「まずドライバーを探して……なんで棚に敷かれてんだ。クソ、棚を動かすスイッチは……9桁の暗号を入力して、ぬいぐるみ?
中から鍵か。確か引き出しに鍵がかかってたな……また暗号か!」
男「ようやく辿着いたぜ……中身は……チョコ?」
長門「……」ジー
男「い、いただきます……美味いな」
長門「本命には、三倍返しする習慣があると聞いた。待ってる」
男「本? ……紙が挟まってるな。なるほど、推理ゲームをしたい、と。良いだろう」
男「まずドライバーを探して……なんで棚に敷かれてんだ。クソ、棚を動かすスイッチは……9桁の暗号を入力して、ぬいぐるみ?
中から鍵か。確か引き出しに鍵がかかってたな……また暗号か!」
男「ようやく辿着いたぜ……中身は……チョコ?」
長門「……」ジー
男「い、いただきます……美味いな」
長門「本命には、三倍返しする習慣があると聞いた。待ってる」
57: 2008/01/16(水) 00:24:08.30 ID:YH+XZvfFO
男「三倍返しか……本以外に思い付かない俺も俺だな。とりあえず買ってから帰るか」
男「ただいまー、長門さんやー……あれ? 長門さんやー」
「良いんですか、伝えなくて」
長門「構わない。知ってもどうにもならない事」
男「なるほど、だが長門さんの愛は痛いくらい知ってしまってるんだぜ、俺はな!」
「随分青春してるのね、あなた」
男「まあ、アンタよりはね」
長門「……やっぱり、ここに来た」
男「そりゃ、当然ね。一年も一緒にいれば、なんとなくわかる」
長門「そうじゃない。あなたは、何度もこの時間に私に会いにきてくれた」
男「ただいまー、長門さんやー……あれ? 長門さんやー」
「良いんですか、伝えなくて」
長門「構わない。知ってもどうにもならない事」
男「なるほど、だが長門さんの愛は痛いくらい知ってしまってるんだぜ、俺はな!」
「随分青春してるのね、あなた」
男「まあ、アンタよりはね」
長門「……やっぱり、ここに来た」
男「そりゃ、当然ね。一年も一緒にいれば、なんとなくわかる」
長門「そうじゃない。あなたは、何度もこの時間に私に会いにきてくれた」
59: 2008/01/16(水) 00:36:00.54 ID:YH+XZvfFO
長門「世界とは、本来無限に増えなくてはならないもの。
最初に一歩を踏み出す時、右足か左足か、どのような表情をするか、どれだけ前に進むか、それが宇宙規模で処理されていなければならない」
男「……待ってくれ、話が見えない」
長門「それが及ぼす影響は無視できる筈だった。だけど、生物は辿着いてはいけない領域に到達してしまった」
男「だから、なんだって聞いてんだ」
「ここから先は私が説明します」
男「……アンタは?」
「朝比奈みくる。そう呼んでください」
最初に一歩を踏み出す時、右足か左足か、どのような表情をするか、どれだけ前に進むか、それが宇宙規模で処理されていなければならない」
男「……待ってくれ、話が見えない」
長門「それが及ぼす影響は無視できる筈だった。だけど、生物は辿着いてはいけない領域に到達してしまった」
男「だから、なんだって聞いてんだ」
「ここから先は私が説明します」
男「……アンタは?」
「朝比奈みくる。そう呼んでください」
60: 2008/01/16(水) 00:47:40.54 ID:YH+XZvfFO
みくる「そう……つまり辿着いてしまった領域とは≪禁則事項≫で≪禁則事項≫が≪禁則事項≫してしまい≪禁則事項≫になった結果≪禁則事項≫を及ぼしてしまった。そう言う訳です」
男「おまえは黙れ」
長門「増えすぎた未来から過去に溯る事により、過去と未来の数が無制限に増え、時空間での時空航行間事故が起こってしまった」
男「よくわかんね」
男「おまえは黙れ」
長門「増えすぎた未来から過去に溯る事により、過去と未来の数が無制限に増え、時空間での時空航行間事故が起こってしまった」
男「よくわかんね」
62: 2008/01/16(水) 01:05:42.34 ID:YH+XZvfFO
長門「そして私が、今からおよそ70年程前に戻り、再び70年間、世界の可能性を繰返し整備する。可能性がそれぞれの世界から溢れないように」
男「なんでおまえが?」
長門「最初に彼女に接触したのが私だから。私以外がそれを行おうとすると、目的が達成されない。予定調和を私が繰返す必要がある」
男「明日は、来ないのかよ」
長門「私の明日は70年前、あなたの明日は今から一時間後。明日はくる」
男「そんなのって……」
長門「70年経てば、また私はあなたに会える。15499回。これが私とあなたが出合った回数」
男「なんでおまえが?」
長門「最初に彼女に接触したのが私だから。私以外がそれを行おうとすると、目的が達成されない。予定調和を私が繰返す必要がある」
男「明日は、来ないのかよ」
長門「私の明日は70年前、あなたの明日は今から一時間後。明日はくる」
男「そんなのって……」
長門「70年経てば、また私はあなたに会える。15499回。これが私とあなたが出合った回数」
65: 2008/01/16(水) 01:16:08.72 ID:YH+XZvfFO
長門「あなたは15499回私を家に置いてくれて、私は15498回あなたに恋をした。あなたは私に12336回恋をした。 あなたは31094回私の作ったチョコレートを食べてくれた。15499回、全て違う本を私に送ってくれた」
長門「だから、きっと私は、15500回以上、あなたの家にいくに決まっている」
長門「そして……また、図書館に」
70年間を延々と 世界に 居座り続ける長門
長門「だから、きっと私は、15500回以上、あなたの家にいくに決まっている」
長門「そして……また、図書館に」
70年間を延々と 世界に 居座り続ける長門
66: 2008/01/16(水) 01:25:13.87 ID:YH+XZvfFO
長門「そう、予定調和を繰返す必要があった。これが、15500回目の出会い。あなたにとっては一時間ぶり」
俺「説明して貰おうか」
長門「私は対有機生命体ヒューマノイド・インターフェイス。記憶のバックアップを取って同じ構成の別の体に同じ情報を入れるのは造作もない」
男「……まあ、いいや。細かい事考えてもしょうがないか……とりあえず、なにがしたい?」
長門「あなたと、同じ明日をいきたい」
男「ん、よし来た!」
俺の隣りに居座り続ける長門 完
俺「説明して貰おうか」
長門「私は対有機生命体ヒューマノイド・インターフェイス。記憶のバックアップを取って同じ構成の別の体に同じ情報を入れるのは造作もない」
男「……まあ、いいや。細かい事考えてもしょうがないか……とりあえず、なにがしたい?」
長門「あなたと、同じ明日をいきたい」
男「ん、よし来た!」
俺の隣りに居座り続ける長門 完
67: 2008/01/16(水) 01:29:20.23 ID:EIDMAjVxO
GJ
68: 2008/01/16(水) 01:31:40.17 ID:NOVCMsk2O
乙です
70: 2008/01/16(水) 01:33:23.09 ID:LGLEgp6VO
Endless seventy yearsか
中々良いものを読ませて貰った
乙
中々良いものを読ませて貰った
乙
71: 2008/01/16(水) 01:33:51.55 ID:Y0fTBXvu0
乙
引用元: 新ジャンル「居すわり続ける長門」
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