2: 2018/11/08(木)22:41:10 ID:8yL
「...暇だなあ」
寮にある自分の部屋で私...こと岡崎泰葉はそうひとりごちた。
「外に出るのはさすがないよね...」
外を見ると大雨が降っていた。機関銃のような音を鳴らしながら私の部屋の窓を叩いている。
風も強くガタガタとたまに窓が揺れている。とてもじゃないが外出する気にはならない。
幸いにも食料品は買いだめしてあるし、そもそも寮なので、飢えることはないだろう。
「事務所に遊びにいくのもなあ」
さすがにこの大雨だとためらわれる。台本読みでもするかなー...でもせっかくの一日オフだしなー...
そんなふうに思っていると...こんこん、とノックの音がした。
3: 2018/11/08(木)22:41:22 ID:8yL
「はーい」
返事をしながら扉を開ける。
「...やっほー」
そこにいたのは同僚アイドルの塩見周子さんだった。
彼女は寮生ではないが、よく寮にも遊びに来るのだ。
「周子さん?」
「...しゅーこちゃんだよー...」
何か用ですか?と聞く前に雨で濡れているのがわかる...つまり、私のやるべきことは。
「...とりあえずタオルと着替え持ってきますね」
「ありがとー。そうしてくれると嬉しい」
4: 2018/11/08(木)22:42:23 ID:8yL
とりあえ服は共用の乾燥機にいれてきた。周子さんにはシャワーを浴びてもらって、私の着替えを手渡す。
周子さんに着てもらって、とりあえず一息ついた。
「サイズがあってよかったです」
ウエストまわりはまあ...なんとかなると思う。
モデル体型の周子さんだと私の服でも少しきついくらいかもしれないけれど。
「なんかスカートがミニすぎひん?」
「周子さん足長いから...」
「身長差がなあ...紗枝はんの服も借りれんのよね」
「で、何があったんですか?」
「えっとねー...」
周子さんは髪を拭きながら説明してくれた。
5: 2018/11/08(木)22:43:42 ID:8yL
簡単に言うとこうだ。
昨日は寮の小早川紗枝さんの部屋に泊まった。紗枝さんが仕事へ向かうので、休みだった周子さんは玄関まで見送った。
空腹に襲われて、コンビニによって帰ろうかなーととりあえず門を出たあたりで大雨に振られ、引き返してきたのだそうだ。
「外でて雨が顔が当たった時点で【あ、コレアカンやつ...】って思ったよねー」
「それは大変でしたね...」
「まあ、なんていうか...おなかすいたよやすはー...」
「寮で朝食とか食べなかったんですか?」
「あたし寮生じゃないし時間がわからんかったんよ」
「まあ、寮の食堂しまっちゃいますからね」
ちなみに寮での昼食は前持った申請がない限り用意はされていない。
学校や仕事がある以上用意する意味はあまりないからだ。
6: 2018/11/08(木)22:44:18 ID:8yL
「おなかすいたーん...」
「それはしょうがないですねえ...大したものは出せませんよ?」
「別にカップ麺とかでもいいよ?」
「カップ焼きそばならありますが」
「おーめずらしー...ちなみに何?」
「Pさんがおすすめしてくれた...」
「うんうん」
「俺の塩です」
「...なんていうかあれやね?俺の塩を泰葉のPさんが渡すってなんか...」
「...何が言いたいんですか?」
「プロデューサーの汗とかで作ってたり......」
「...やめてくださいよ。ちょっと想像しちゃったじゃないですか」
確かお笑いで聞いたことがあるやつ...エリートなんとか?じゃないんだから
7: 2018/11/08(木)22:44:58 ID:8yL
「てか、泰葉のPさんこういうの食べるんやね。いつもコーヒーしか飲んでないイメージやわ」
私のプロデューサーはヘビードリンカーというやつで、いつもコーヒーしか飲まない人だ。
スタドリ+コーヒーのスタイルを貫いていて、お菓子すらもほとんど食べない人である。
「...確かにそうですけど、食事だってしますよ?」
「あたしが食堂で見た時は一人でコーヒーだけだったよ?」
「確かによくありますね。Pさん曰く【仕事中はあまり食事をしないんだ】って言ってましたね」
「ふーん...泰葉と一緒の時はいつも食べてるのにねぇ~」
「ッ!?...わ、私が食べるから付き合ってくれてるだけですよ」
「その割には二人で結構色んな所行ってるよね?オフとかも一緒に行くんでしょ」
「ひ、一人では...行きにくいところに付き合ってるだけです!他意はありません!」
「ま、そういうことにしとこっか。ごーはーんー」
「はいはい...」
くう、顔が熱い...周子さんがにやにやしている。むう、なんか負けた気分...
8: 2018/11/08(木)22:46:21 ID:8yL
「うーん...家庭の料理やね、美味しい」
「簡単なものでお構いもできませんで」
用意したのは白ごはんとお味噌汁、その場で玉子焼き、昨日作った焼肉の残りである。
俺の塩はさっきの話想像したらなんか食べたくなくなったと周子さん。私もそうだしまあいいや。
「いやー...ほら、この玉子焼きとかすごい美味しいよ?味があってさ」
「...形が崩れただけなんですが」
「まーまー、しっかし泰葉も料理できるようになってきたよねー」
「周子さんほどじゃないですよ?」
「あたしはほら、めんどくさがりだからさ。誰かのを食べるほうがいいよ」
「周子さんのPに作ってもらえば良いじゃないですか?」
「あの人あかん...料理まったくできへんの」
「あ、そうなんですか」
「このままだとあたしが料理担当になっちゃうな~って思う時けっこうあるよ」
「...将来的に料理担当をするつもりがある。と、そういう解釈でよろしいので?」
「......さて、どうやろね?」
どうやらからかいは失敗したようだ。ちょっと悔しい。
9: 2018/11/08(木)22:47:41 ID:8yL
「実際周子さん料理できるじゃないですか。なんというかこう...家庭に入ろうみたいなのあるんですか?」
「あたし子供の頃の夢はお嫁さんだったし~?」
...あ、嘘ついてるな。でもここはのっかっとこう
「あ~そういうの良いですよね」
「でしょー」
「結婚式ってあれですよね?白い教会で」
「白無垢着て」
「...ライスシャワーとかして」
「三三九度して」
「クラリスさんに頼めば良いんですかねこういうの」
「ここはやっぱり歌鈴ちゃん?...いやフレちゃんかなあ」
「......ブーケとか投げちゃうんですよね!」
「ほたるちゃんに頼もっか」
「植木鉢は落ちてくるものであって投げるものじゃありません!」
いや、それもおかしいけども!くう、さきに突っ込んじゃった...
「泰葉」
「はい」
「ほたるちゃんにごめんなさいしよっか」
「ごめんなさいほたるちゃん...」
明日なにか差し入れしようそうしよう
「よし、許したー」
「周子さん」
「...ごめんね。ほたるちゃん」
10: 2018/11/08(木)22:50:16 ID:8yL
~~~
「なにしよっかーな...」
「周子さん」
「んー?」
「ベッドの上で足ぱたぱたさせるとその格好だとパンツ見え放題ですよ」
私だと膝ちょい上くらいのスカートだが、周子さんだと結構際どいラインになっている。
「泰葉しかいないしいーじゃん...」
「...どっかやらかしてませんよね?」
「そこまでガードゆるくないしー...いや...あれ?まって...Pさんの家の時...あっ...あー...」
「え、心当たりあるんですか?」
「いやー...大丈夫、たしかあの時は...あ、だめだわ。うわー...」
「襲われても文句言えませんよ?」
「ま、まあ大丈夫でしょ、てか泰葉は?」
「私はベッドに座るなんてことできませんので...そもそも家にいったことすらありません」
「お、なんか意外」
「ガード硬いんですよ、さっさと観念すればいいのに...」
「...あ、地雷ふんだかな」
「大体ですねいつもいつも子供扱いで...」
「おっけー落ち着いて
「たまには意識とかね...!」
~~30分後~~
11: 2018/11/08(木)22:50:35 ID:8yL
「大体あの人はいつもいつも...」
「わかった!わかったから!そろそろやめよ?」
「周子さん」
「どったの?」
「暇です」
「あー...そだね」
「ゲームでもします?」
「なんかあるん?」
「麻雀卓が」
「なんでそんなもんがこんなところに?」
「この前GBNSでやろうと思ってたら早苗さんが貸してくれたんですよ」
「二人でできないやん」
「二人でもできるんじゃないんですか?」
12: 2018/11/08(木)22:51:21 ID:8yL
「......どうやって遊んでたん?」
「まずこの中って書いてあるのを真ん中において...」
「あ、うん...ネットでルール調べんと...」
「なんかややこしかったので、あとはこの...むつみちゃんからもらった」
「お、何?」
「冒険マップのコピーがありますね」
「雨だから外でたくないっていってるやん。でもちょっと見たい」
「後は...」
「もういいよ、あたしが探すよ」
「あ、そうですか」
「えっとータンスの一番下からー」
「そこは下着入ってるので開けないでください」
「別にええやん...うわあ...えっぐ」
「そこ、風評被害しない!」
「真面目な話、もうちょっと攻めても良いんじゃない?」
「そもそも開けないでくださいよ...遠慮しときます」
「えー」
「いや、えーでなくて」
~~~~
13: 2018/11/08(木)22:52:19 ID:8yL
「この時間はー...お、ブラタカモリだ」
「藍子さんのですね。今日のゲストは...?」
「この時はフレちゃんだよ」
「覚えてるんですか?」
「フレちゃんが楽しかったよーって報告にきてその後一緒に見たんよ」
「そういえば私にも言ってました。楽しかったーって、だから録画したような覚えがあります」
「そうでしょ?とりあえず見ようか?」
「ですね」
「お茶請けある?」
「かすていらならありますよ」
「おー...さすが長崎の子」
「あっちに行ったこと殆どないですけどね?」
「牛乳ある?」
「もちろん」
~~~
14: 2018/11/08(木)22:53:46 ID:8yL
「いい感じに夕方になっちゃったねー」
「本当に何もしてないですよ私達...貴重な休日なのに」
「カステラ食べながらTVみたやん」
「...確かにそうですね」
「一回見たやつも結構楽しいもんだね。ていうか...」
「どうかしました?」
「おなかすいたーん...」
「本日二回目ですか、しかもかすてらたべたばかりなのに」
「...寮の夕ごはんなーにー?」
「さあ?食堂行けばわかりますよ」
「どうしよっかなー...お、雨やんでるやん」
「あ、本当だ」
「...なんか天気が良くなったからラーメン食べたくなってきたわ」
「ラーメンですか?全く関係ないですね」
「よし、ラーメン食べに行こう、泰葉は?」
「しょうがないですねえ...お供しましょう」
「よっしゃ~行こっかー」
「...ちなみに周子さんや」
「なんだい泰葉さんや」
「なんで私のところに来たんですか?いくらでも行き先あるでしょうに」
「んー...なんとなく?」
「なんとなくですか」
15: 2018/11/08(木)22:54:37 ID:8yL
「...友達の家に行くのに理由とかいらんやん?」
「...それもそうですね」
うわ、ちょっと嬉しいのが悔しい。
「さーてラーメンラーメン~♪」
「ら...ラーメンラーメン~♪///」
「お、泰葉もノリノリだね」
「周子さんに合わせないといけませんからね」
「そういうことにしといたげよう」
「今日は割と楽しかったですよ」
「いや、まだ終わってないやん。メインイベント残ってるやん」
「そうでした」
「ねえ、周子さん」
「んー?」
「大雨でも、暇を持て余してても楽しい事はあるるものなんですね」
「二人だからね、余裕でしょ」
「確かに。二人ですからね。余裕です」
「ま、しゅーこちゃんは一人でもぜんっぜん平気だけどね~」
「わーお、しまらない」
なんだかんだで結構楽しい休日を過ごしたのだった。
16: 2018/11/08(木)22:55:13 ID:8yL
~~翌日~~
【事務所】
「今日はあまり遅れずにこれた...あれ、机の上に八つ橋とメロンパン....?」
【ほたるちゃんへ ごめんなさい 謎の二人より】
「.........何があったんだろう...?......そして誰からなんだろう......」
17: 2018/11/08(木)22:56:09 ID:8yL
【物陰】
「これで許されたかな?」
「間違いなくパーフェクトですね」
「おー困惑しとる困惑しとる」
「あたりをキョロキョロして困惑してるほたるちゃんめちゃくちゃ可愛いですよね」
「やすはー...」
「あ、ごめんなさい」
「超わかる」
「わかっちゃいますか」
「なんかいじりたくなるのわかるよ...それにしても」
「ほたるちゃん...本当に気づいてないんですかね...?」
「どうやろ...?」
「メロンパンと八ツ橋ですよ?大体誰だか特定できそうですけど」
「まあ、どっかのタイミングでネタばらししにいくかねー」
「あ、ほたるちゃんがご自由にどうぞコーナーへ置こうとしてる!」
「泰葉」
「がってんです!...ほたるちゃーん!」
18: 2018/11/08(木)22:57:00 ID:8yL
「...あれ、ほたるちゃんに伝わってないな...あ、泰葉のPさんや...あーあー恋する乙女の顔しちゃってまあ...よし、お腹空いたしかえろか」
「周子さんも説明して...!いない!?やめてほたるちゃん...そんな目で見ないで...疲れてるわけじゃないの...」
「大丈夫だよ泰葉ちゃん、ゆっくり休もう?」
「いや、そーじゃなくて!やめてくださいよPさんまで!周子さん!どこ行ったんですか!しゅーこさーん!」
19: 2018/11/08(木)22:57:39 ID:8yL
以上です
ありがとうございました
しゅーやすすき
忘れてましたプロデューサーはそれぞれのアイドルにいる設定です。
書き忘れた
ありがとうございました
しゅーやすすき
忘れてましたプロデューサーはそれぞれのアイドルにいる設定です。
書き忘れた
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