1: 2013/06/14(金) 20:55:06.90 ID:f9uWArhuO
雪美「第一回……P対策……会議…………」

薫「いぇーい!」

仁奈「わっほー」

【パラレル】 バディファイト S-UB-C03/0088 元気いっぱいアイドル 龍崎薫 (上) アイドルマスター シンデレラガールズ劇場
2: 2013/06/14(金) 20:56:55.25 ID:f9uWArhuO
仁奈「で、これはなんの集まりでありやがりますか」

薫「せんせぇのことについて話すんだよね?」

雪美「あまりにも鈍感な……Pに対して……有効な……作戦を……」

仁奈「プロデューサーをどうにかする作戦会議でごぜーますか」

雪美「そもそも……Pを落としたいと思う人……いる?」

仁奈「仁奈はプロデューサーといると悪くねーきもちになるですよ」

雪美「私は……Pとずっと一緒にいたい……けど」

雪美「成就したらしたで……Pの両手に手錠が……」

仁奈「早苗おねーさんにとっつかまりやがりますね」

雪美「……ジレンマ……」

3: 2013/06/14(金) 21:01:24.54 ID:f9uWArhuO
仁奈「薫ちゃんはどうなんですか?」

雪美「Pのこと……」

薫「うーん、かおるはよくわかんないなぁ……」

薫「せんせぇは優しいし、一緒にいて楽しいし」

薫「でもちょっと変なんだよ」

雪美「変……?」

薫「前はそんなことなかったのに、せんせぇといるとうまくしゃべれなかったり」

薫「クラスの男子といても何もないのに、せんせぇといるとドキドキしたり」

薫「かおる病気かなぁ……」

4: 2013/06/14(金) 21:09:41.46 ID:f9uWArhuO
仁奈「だいじょーぶですよ薫ちゃん」

雪美「それは……恋……」

薫「恋?」

雪美「薫ちゃんは、Pのことが好きってこと……」

薫「えっ?」

薫「えっ、そ、そんなことないよ!?」

仁奈「お顔がまっかでごぜーますよ」

雪美「私と……一緒ね……」

雪美「……恋のライバル……ふふっ」

7: 2013/06/14(金) 21:23:12.39 ID:f9uWArhuO
薫「あ、う……」カー

雪美「薫ちゃん……かわいい……」

仁奈「青春でありやがりますね」

留美「……かわいいわね」

瑞樹「小学生の恋バナ……なんて純粋なのかしら」

留美「飲みに行きたい気分……」

瑞樹「P君でも誘って行きましょうか」

留美「そうですね」

8: 2013/06/14(金) 21:30:32.71 ID:f9uWArhuO
prrrr
prrrr

ピッ

薫「あ、せんせぇ?かおるだよ」

薫「お仕事おわったよ!」

薫「うん、今近くの川のそばだよ」

薫「わかった!まってるね!」

ピッ

ジージジージー
ミーンミンミンミン

薫「あついなぁ……」

9: 2013/06/14(金) 21:36:38.98 ID:f9uWArhuO
雪美『薫ちゃんは、Pのことが好きってこと……』

薫「すきって、なんだろう……」

薫「一緒にいて楽しいのはせんせぇも、仁奈ちゃんも雪美ちゃんもおなじなのに」

薫「なにがちがうのかな……」

薫「せんせぇといると、胸の奥がドキドキして」

薫「なでてもらったり、ほめられたりしたいし」

薫「気がつくとせんせぇのこと考えてたり……」

薫「これが……恋なのかな」

11: 2013/06/14(金) 21:41:53.95 ID:f9uWArhuO
薫「そっか」

薫「えへへ……そっかぁ」

P「おーい、薫ー」タッタッタ

薫「せんせぇ!」

P「悪いな遅くなって」

薫「せんせぇ、汗すごいね」

P「ちょっと急いだからな」

P「んじゃ、行こうか」

薫「うん!」

P「ほら、ちゃんと手つなげ。危ないから」スッ

薫「う、うん」ギュ

12: 2013/06/14(金) 21:48:50.57 ID:f9uWArhuO
P「よし、帰るか」

薫(せんせぇの手……おっきくて、あつい……)

P「あっついなぁ今日も」

薫(だいじょうぶかな)

薫(ドキドキしてるの、手からばれないかな)

P「薫はもう夏休みか」

薫(せんせぇ、ゆっくり歩いてくれてる……)

薫(やさしいな、うれしいな)

P「おーい、薫ー?」フリフリ

13: 2013/06/14(金) 21:56:09.96 ID:f9uWArhuO
薫「なっ、なに?」ビク

P「どうしたんだ、ぼーっとして」

薫「ううん、だいじょうぶだよ」

P「ちゃんと宿題終わらせたか?」

薫「ううん、まだ!」

薫「でもあとちょっとで終わるんだよ!」

P「そっか、薫は偉いな」ナデナデ

薫「えへへ……」

16: 2013/06/14(金) 22:10:41.13 ID:f9uWArhuO
P「悪いな、本当は友達と遊びたい年頃なのに」

P「アイドルの仕事ばっかりで」

薫「ぜんぜん!かおるお仕事楽しいよ!」

P「そう言ってくれるか、ありがとな」

P「俺が本当に先生だったら色々教えてやれるんだけど……」

薫「せんせぇはかおるにいろんなことを教えてくれたよ!」

P「そうか?例えば?」

18: 2013/06/14(金) 22:13:44.53 ID:f9uWArhuO
薫「うんとね、アイドルのことや、かわいいお洋服のえらびかたや、お姉ちゃんたちとも友達になれたよ!」

P「そりゃ俺のお蔭っていうか、アイドルやろうとした薫についてきた結果だよ」

薫「ううん、せんせぇはいちばん大事なことを教えてくれたの」

P「おっ、なんだなんだ?」

薫「だれかを……好きになること」ギュ

P「おう、俺も薫のこと好きだぞ」

薫「ううん、違うの」

P「うん?」

薫「そういうのとは、ちがう……『すき』」

19: 2013/06/14(金) 22:18:23.83 ID:f9uWArhuO
P「……薫?」



セミが全員で歌をうたっている。

薫の手を握るせんせぇの手の力が、少し強くなる。

夕やけに背中を押されて、二人分の影が前にのびている。

身体中を包むような熱気でタンクトップの内側に流れる汗を感じながら、

今にも溢れそうな不安をからからの喉で飲み込んだ。

21: 2013/06/14(金) 22:22:43.12 ID:f9uWArhuO
薫「かおるは……」


夏の暑さは、人をおかしくさせる。


だから、これも。


夏のせい―――


薫「かおるは、せんせぇのことが、だいすきです」

22: 2013/06/14(金) 22:31:42.52 ID:f9uWArhuO
ミーンミンミンミン

薫「今日もあっついなぁ」パタパタ

薫「遅いなぁ……女の子を待たせるなんて失格だよっ」

P「かっ、か、薫……っ!」ダダダダ

薫「あっ、せんせぇー」フリフリ

P「はぁ……はっ……遅れて……わ、悪い……」ハァハァ

薫「汗だくだよ……もう若くないんだからさー」フキフキ

P「バカいえ、まだ30代だ」ハァハァ

薫「すっごい息切れしてるじゃん」

24: 2013/06/14(金) 22:37:07.97 ID:f9uWArhuO
P「暑い……暑すぎる」フゥ

薫「蒸し暑い日、真っ赤な夕暮れ」

薫「……あの日も、こんな感じだったね」

P「あの日?」

薫「せんせぇがはじめて私に宿題をくれた日」

薫「そしてせんせぇが口リコンだと判明した日でもあるね」

P「俺が本当に口リコンだったらあの時もっともらしい理由つけて襲ってるよ」

27: 2013/06/14(金) 22:42:59.52 ID:f9uWArhuO
P「……忘れろよもう、我ながら恥ずかしい」

薫「一生忘れられるわけないでしょー」

薫「告白して、テンパっちゃって、泣いちゃって」

P「大変だったんだぞ……」

突然、自分の意思とは無関係に口を突いて出た自分の言葉を受け入れるのには、あの時の私は小さすぎた。

動揺と不安で脇目も振らず顔中くしゃくしゃにして大声で泣き出した私に、

せんせぇは張りついた髪をかき上げ、優しい顔でゆっくりと口を開いた。


P『薫』

29: 2013/06/14(金) 22:49:41.73 ID:f9uWArhuO
P『薫のその気持ちは凄く嬉しい』

P『でも、薫はまだ小さい』

P『俺よりいい男なんて、山ほどいる』

P『だから、俺から毎年、薫に宿題を出すよ』

P『毎年夏休みが終わる日に、その時点での俺への気持ちを伝えてくれ』

P『そして、薫に夏休みがなくなるくらい大きくなって』

P『それでも俺のことを好きだって言ってくれるなら』

P『その時は―――』

31: 2013/06/14(金) 22:57:46.64 ID:f9uWArhuO
好きだという気持ちを伝える行為を、毎年、この日に。

その日の異常な暑さに、せんせぇと私は。

大切なものを不意に奪われた気がして、キスをした。


P『その日まで、待ってるから』


それから毎年この日は、一年に一度だけの恋人の日。

一年に一度だけの、二人の秘密。

しょっぱくて甘い、真夏日の想い出。

そして。

32: 2013/06/14(金) 23:03:51.79 ID:f9uWArhuO
P「むしろこの年になるまで我慢した俺を讃えろ」

薫「えらいねー」ナデナデ

P「わーい」

薫「一回り以上歳の離れた女の子になでなでされて喜ぶ30代……」

P「ほっとけ」

P「でも、本当によかったのか?」

33: 2013/06/14(金) 23:11:53.70 ID:f9uWArhuO
P「アイドルやめちゃうなんて」

薫「うん、だってせんせぇと一緒にいたいし」

P「勿体ないな、これからアイドルとして脂の乗る年齢なのに」

薫「いいんだ!」タッ

P「手塩にかけたアイドルが卒業する……嫁に行く娘を持った親父の気分だ」

薫「いいじゃん、嫁ぎ先はせんせぇなんだし」トンッ

P「ちょ、おまっ」

薫「……もらってくれないの?」

P「あの、その……ほら、年の差とか」

35: 2013/06/14(金) 23:22:36.11 ID:f9uWArhuO
薫「9歳の頃からずっと」

薫「『かおる、せんせぇのおよめさんになる!』」

薫「って言い続けた一途な乙女の想いを無下にするなんて」

薫「男としてどうなのかなー?」

P「あー……はい、俺の負けです」

薫「あははっ」

薫「ほらせんせぇ、早く行こう!」スッ

37: 2013/06/14(金) 23:31:51.50 ID:f9uWArhuO
P「あの頃からずっと変わらないな、薫は」ギュ

小さな頃から、大切にアイドルとして育ててくれた人。

あの日彼からもらった、私だけのたからもの。

それは時間を置き去りにして、私を大人にした。


そして今年。

最後の宿題。


薫「大好きだよっ、せんせぇ!」チュ

薫「薫のこと、ずっと大事にしてよね!」


END

38: 2013/06/14(金) 23:36:15.87 ID:f9uWArhuO
支援してくれた方ありがとうございまする。

薫は夏が似合うと思うのです。
薫は合法。

40: 2013/06/14(金) 23:38:08.37 ID:7ujf1Tp/0
いい雰囲気だった

引用元: 龍崎薫「なつやすみのしゅくだい」