ちひろ「別に心さんだけに愛を注いでるわけじゃないんでー。勘違いしないでくれますー？」

心「はぁとだけじゃないって事ははぁとにも注いでるんでしょ？」

ちひろ「……」

心「眉間に皺寄ってるぞ☆」

ちひろ「寄せてるんですよ」

ちひろ「はぁ……もうこの人は本当にめんどくさい……」

心「まぁまぁ」

心「とりあえず一区切りじゃん？」

ちひろ「そうですね。一番忙しいと言っても過言ではない時期は終わりました」

心「じゃあやっぱりちひろちゃんにかける言葉は『お疲れ様』以外にないな☆」

ちひろ「……そういうとこですよ」

心「ん？　どういうとこ？」

ちひろ「なんでもないですー」

心「え～、もう気になるだろー。教えて☆　教えろよ☆」

ちひろ「はいはい……心さんは優しいなって事ですよ」

心「嘘つ……、えっ！？　ちひろちゃんが憎まれ口叩いてない！？」

ちひろ「しばきますよ」

心「だ、だって、いつもならなんか憎まれ口叩いてはぁとがツッコむってのが定番だったじゃん！？」

ちひろ「私だってたまには素直になるんですよ」

ちひろ「それに、心さんが優しいのはちゃんと知ってましたから」

心「そ、そお？」

ちひろ「いい歳なんですからこのくらいで照れないでもらえません？」

心「いやぁ。やっぱさ。この歳になっても褒められたり良く言ってもらえると嬉しいから☆」

心「特に仲の良い友達に言われるとやっぱ照れちゃうぞ☆」

ちひろ「はぁ……どうしてこんなめんどくさい人と友達になっちゃったんだろ」

心「おい☆　嫌か。嫌なのか」

ちひろ「嫌じゃないですけどめんどくさいんですー」

ちひろ「私は穏やかに人生を過ごしたかったんですよ」

心「ちひろちゃんが……穏やかな人生……？」

ちひろ「はいそこー。心底不思議そうな顔しないでくださーい」

心「いやいや☆　穏やかに過ごしたいなんて言う人が芸能関係で働きますか？　働きませんよね！？」

ちひろ「何故に言い切る」

心「なんとなく☆」

心「それでもさ。穏やかにってならもっと普通なお仕事とかあったでしょ？」

心「ちひろちゃん優秀だし、引く手数多だったんじゃない？」

ちひろ「んー。まぁ確かにそうですね」

心「おっと、謙遜しないんだな、こいつ」

ちひろ「事実ですから」

心「うわー……。ヤな奴だ～」

ちひろ「なんとでも言ってください」

心「んで？　そんな優秀なちひろちゃんがどうしてまた穏やかとはかけ離れた芸能関係に？」

ちひろ「……私も夢を見たかったんですよ」

心「夢？」

ちひろ「たぶんですけどね」

ちひろ「私だってアイドルに憧れてたりしたんですよ」

ちひろ「でも、さっき心さんが私を優秀と言ってくれたように、優秀な私は夢でご飯を食べられない事をわかってるんです」

ちひろ「それでも夢を見られない人生は灰色でとてもつまらないです」

ちひろ「だから少しでも夢の近くに行きたかったんですよ」

心「ちひろちゃん……」

ちひろ「……なんてね」

ちひろ「冗談ですよ。冗談」

ちひろ「知ってますか、心さん。芸能関係って他の職種よりも稼げるんですよ。もちろん仕事がデキる人間に限りですが」

心「ちひろちゃんはその仕事がデキる人間だと？」

ちひろ「わぁ、さすが心さん！　ご名答です」

心「お前……なんかすごいな☆」

ちひろ「あら？　今ごろですか？」

心「んにゃ。知ってたけど改めて、ね☆」

ちひろ「ま、そんなこんなで私は先月と今月とても頑張ったのでお給料が楽しみです♪」

心「んー。じゃあ何奢ってもらおっかなー♪」

ちひろ「……は？」

心「いやぁ、優秀なちひろちゃんならたっくさんお給料もらっちゃうでしょ？」

心「はぁとに何か奢ってくれてもバチは当たらないと思います！」

ちひろ「その辺で雑草ちぎってきてあげますよ」

心「てめぇ☆」

ちひろ「ていうかですね。心さんだってトップアイドルなんですから充分お給料もらってるでしょ」

心「いやぁ。はぁとの場合はさ。趣味がね……」

ちひろ「趣味……。あぁ……。わかります。高いですよね、布……」

心「そうなんだよー！　いやそりゃね？　自分で作るから買うよりは安いのかもだけどさ」

心「凝り始めるとそれはもう際限なくお金が……」

ちひろ「わかります……私もコスプレ衣装が……」

心「布とかどうしてる？」

ちひろ「安売りしてる時にまとめ買いですね。でも最近は自分で作るよりも、一式買う方が多いですよ」

ちひろ「さすがに心さんほどのクオリティは私には無理ですし」

心「言えば作ってあげるのに」

ちひろ「おいくらで……？」

心「そこは交渉次第かな♪」

ちひろ「……何か心さんの弱みはっと」

心「おい☆」

ちひろ「冗談です」

ちひろ「でも心さんには頼みづらいですよ」

心「なして？」

ちひろ「心さんのスケジュールを把握してるからです」

ちひろ「作るってなると時間も労力もかかりますし、人気アイドルのしゅがーはぁとさんにスケジュール割いてもらうのは申し訳ないです」

ちひろ「それに、誕生日にドレスを作ってもらいましたから。充分ですよ」

心「……ちひろちゃん！」

心「なんで今日そんな素直なの？　本当に不気味なんだけど☆」

ちひろ「貴様、せっかく人が素直にお礼を言ったのに」

心「冗談！　冗談です！　冗談なんで！　スウィーティージョーク！　へい！　ハサミはおろして！」

ちひろ「……無意識でした」

心「無意識ってヤバすぎるだろ☆」

ちひろ「正解はこっちですね！」

心「カッターもアカンて！」

ちひろ「冗談ですって」

心「わかっちゃいるけど、刃物は怖い☆」

ちひろ「あ、でも手が滑って前に心さんがうちに泊まりに来たときによだれ垂らしながら寝てる写真がプロデューサーさんに送られてしまいそうに！」

心「ちょおおおおい！　待って！　待って！」

ちひろ「なんで？」

心「なんでじゃないし！　なんでがなんで！？」

ちひろ「……寝顔くらい見られても困らないですよね？」

心「寝顔は困らない！　確かに寝顔は困らないけど！　よだれ垂らしてるってとこが問題なの！」

ちひろ「あぁ、そっち。じゃあ大丈夫ですよ」

心「何が大丈夫なの……」

ちひろ「だって見せた事ありますし。えいっ☆　送信っと♪」

心「お前なにしてんだ！　消せ！　早く！」

ちひろ「あ、さすが敏腕プロデューサーさん。返信早いですね」

心「あああぁぁぁもおおおぉぉぉ！」

ちひろ「なになに……『もうすぐ戻るんで、お疲れ様って事で飲みに行きませんか？』ですって」

心「……はぇ？」

ちひろ「まぁ送ってないですし、そもそも心さんの寝顔の写真なんて持ってないですもーん」

心「……は？」

ちひろ「いやぁ、さすがプロデューサーさんですね！　なんて素晴らしいタイミングで飲みのお誘いをくれるんでしょう！」

心「おま……お前……」

ちひろ「私をおちょくるからですよ」

心「はぁー……。もうめっちゃ疲れた……」

ちひろ「お疲れ様です」

心「誰のせいだと……」

心「……まぁいいや」

心「その飲みってはぁとも行っていい感じのやつ？」

ちひろ「私とプロデューサーさんが付き合ってたらどうします？　デートですよ？」

心「それはない」

ちひろ「言い切るって事は何か進展が？」

心「……それもない」

ちひろ「……心さん」

心「やめて！　言わないで！　お願い！」

ちひろ「本当にガキかあんたらは……」

心「言うなって言っただろ☆」

ちひろ「あー、はいはいっと」

ちひろ「プロデューサーさんは心さんが良いなら是非との事です」

心「んじゃ行こっかな☆」

心「頑張ってくれた二人を労ってあげたいし☆」

ちひろ「……別にいいですって」

心「まぁまぁ☆　はぁとの厚意は受け取っとけ☆」

ちひろ「見返りが怖い……」

心「てめぇ☆」

ちひろ「冗談です」

ちひろ「ま、せっかくですしありがたく頂戴しますね」

心「うむ☆」

ちひろ「そろそろプロデューサーさんも着く頃だと思いますし、戸締りして行きましょうか」

心「うん☆」

ちひろ「……あ、そうだ。心さん」

心「ん？」

ちひろ「属性別6位、全体22位おめでとうございます」

心「……ありがと☆」

ちひろ「どういたしまして。じゃあ行きましょう」

心「ねぇ、ちひろちゃん」

ちひろ「はい？」

心「夢は見れてる？」

ちひろ「……はい」

心「ならよし☆」

心「じゃあ総選挙も終わったし！　思う存分飲むぞー！」

ちひろ「はいっ！」

ちひろ「あ、奢ってくれるんですよね？」

心「なんでだ☆」

ちひろ「労ってくれるって言うから……」

心「くっ……！　会計の半分は……出すから、残りをちひろちゃんとプロデューサーで折半……という事でどうですか」

ちひろ「仕方がないですね。それで手を打ちましょう」

ちひろ「ありがとうございます、心さん」

心「うん☆」

End

以上です。

第8回総選挙、お疲れ様でした。
本田未央さんシンデレラガールおめでとうございます。

私の担当アイドルである「佐藤心」は全体22位、属性別では6位と言う順位でした。もう一人の担当の「神谷奈緒」は全体16位の属性別6位でした。
担当アイドル二人がこのような順位を頂けたのは、皆様の応援あってこそです。
本当にありがとうございました！
次回、第9回でも「佐藤心」と「神谷奈緒」をよろしくお願いします。

では、お読み頂ければ幸いです。